薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第4回運営委員会議事録

日時

令和5年2月8日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長
日本赤十字社:敬称略
事務局:

議題

  1. 1.委員長の選出及び委員長代理の指名について
  2. 2.感染症定期報告について
  3. 3.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  4. 4.各調査会の審議結果について
  5. 5.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

議事内容
○有田血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、血液事業部会令和4年度第4回運営委員会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 初めに、薬事・食品衛生審議会血液事業部会委員等の改選があり、運営委員会委員についても委員の交代がありましたので、お手元の委員名簿に沿って御紹介申し上げます。武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、濵口功委員、松下正委員、松本剛史委員、水上拓郎委員です。なお、本日のWeb会議には委員6名全員に御出席いただいていることを報告いたします。また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博中央血液研究所長、後藤直子技術部次長、鹿野千治経営企画部献血推進課長に御出席いただいております。
 続きまして、本日は改選後初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項について2点御説明いたします。第1に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とすると規定されております。委員の皆様は非常勤の国家公務員として、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願い申し上げます。第2に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規程第11条において、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならないと規定されております。審議の忠実性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合又は任期中に該当することになった場合は、速やかに事務局に御連絡を頂くようお願い申し上げます。なお、ただいま御説明した薬事分科会規程第11条について、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には会議の開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、マル1議事次第からマル10資料3-2までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる場合があります。審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いをする場合があります。その場合は、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、これより議事に入りますが、委員長が選出されるまでの間は、私が進行役を務めさせていただきます。
 議題1「委員長の選出及び委員長代理の指名について」です。運営委員会規程第4条第1項により、委員長は委員等の互選により選出することとなっておりますが、どなたか御推薦いただけますでしょうか。
○濵口委員 感染研の濵口です。
○有田血液対策課長補佐 濵口先生、お願いいたします。
○濵口委員 これまで委員長を務められた田野﨑先生に、是非お願いしたいと思います。
○有田血液対策課長補佐 ありがとうございます。皆様、いかがでしょうか。異議はございませんでしたので、田野﨑委員が委員長に互選されました。それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。田野﨑です。このたびは再選していただきまして、どうもありがとうございます。それでは、運営委員会規程第4条第3項によりますと、委員長代理をあらかじめ委員長が指名すると定めておりますので、引き続き松下委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。松下委員、お願いいたします。
○松下委員 了解いたしました。
○田野﨑委員長 それでは、よろしくお願いいたします。
○松下委員 よろしくお願いします。
○田野﨑委員長 それでは、議事に入らせていただきます。議題2「感染症定期報告について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料1-1です。感染症定期報告(研究報告概要一覧表)、令和4年9月から10月の受理分になります。
 1ページ目です。今回は、サル痘に関する論文が4編となっております。なお、WHOよりサル痘の名称につきまして、モンキーポックスからMポックス、M痘に変更するよう推奨されておりますので、私も本日、M痘と申し上げようと思います。それぞれの論文について概要を説明します。
 1番目の論文です。こちらにつきましては、M痘の感染状況について報告されているほか、献血者につきまして、ドナーが健康であればM痘に対するワクチンの接種を受けていてもドナー延期を推奨しない。また、M痘が輸血感染をすることは知られていないということが書かれています。2番目の論文です。輸血によるM痘の感染のリスクは、依然として理論上のものであり、輸血を介したM痘ウイルス感染は報告されていないこと。また、献血者に関しまして、M痘ウイルスへの曝露の可能性について、追加で特定の質問をしたり、スクリーニングの目的で診断検査の使用をしたりすることは推奨しないと書かれています。3番目の論文もM痘についてですが、感染状況についての報告になります。4番目の論文もM痘についてです。感染症例報告がメインとなりますが、東京において2022年7月25日に日本で1例目のM痘ウイルスが検出されたということが書かれています。なお、概要の中に東京研修医という言葉が出てきますが、論文本文では「Tokyo resident」という言葉ですので、東京の住人という言葉の誤訳かと思われます。この資料につきましては、企業から提出された感染症定期報告の記載をそのまま掲載しておりますので、資料の記載はこのままとさせていただきます。(注;会議終了後に当該記載を「東京居住者」に修正しました。)5番目の論文につきましては、M痘ではなくウイルス感染についての論文です。中国においてヘニパウイルスの感染者が確認されて、それらの患者さんが発熱等の症状があったという報告になります。以上、御説明しました論文につきましては、資料1-2に本文が載っておりますので、適宜御参照ください。
 続きまして、3ページ目から感染症定期報告(個別症例報告概要)、外国症例報告一覧が載っております。こちらも、期間は令和4年9月から10月の受理分です。4ページ目から表が幾つか載っておりますが、これらは全て同じ患者についてになりますので、1例ということになります。詳細な説明は割愛します。事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、水上委員から追加で御発言があれば、よろしくお願いいたします。
○水上委員 よろしくお願いします。国立感染症研究所の水上です。今回の報告資料のほとんどが、サル痘とヘニパウイルスに関する情報でしたので、今回はサル痘に関し、まとめてコメントしたいと思います。サル痘ウイルスは、前回も御説明させていただきましたが、ポックスウイルス科オルソポックスウイルスに分類され、症状の重いクレードⅠのコンゴ盆地型と症状の軽快なクレードⅡa及びⅡbの西アフリカ型に分類され、2022年5月以降、国際的に拡大するウイルスは、このサブクレードIIbに属しています。サブクレードIIbは、更に亜系統AとBに分類され、最近の流行株はB1となっています。また、サル痘の名称に関しては、先ほど説明が事務局からありましたとおり、2022年11月にWHOがMonkeypoxからMpox、日本語ではM痘への変更を推奨している関係上、今回、私のほうもM痘と呼ばせていただきます。
 まず、文献3ですが、WHOがM痘を国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、通称「PHEIC」と呼んでいますが、これに該当すると宣言した後の2022年7月25日時点での感染状況報告であり、当時の状況で75カ国から1万6,016症例、5件の死亡例が報告されていました。2023年1月19日発表の同シチュエーションリポート第14版では、110ケ国、8万4,733症例と増加していますが、全世界的には8月をピークに減少傾向となっており、第2週は前週に比べ12.7%減となっています。米国に関しては17%減、EUが12%減と大きく減少しています。全世界でのリスク評価はモデレートの状態ですが、米国は引き続きハイ、欧州はモデレートと評価されています。死亡例は先ほど5例ということでしたが、現時点では80例となっており、15例がアフリカ地域、58例が米国から、5例は欧州からとなっています。
 報告された7万4,928人のデータの解析の結果、感染者の96.6%が男性で、年齢の中央値は34歳とのことでした。3万1,152人のデータ解析の結果、84.3%がゲイ、バイセクシュアル、あるいは男性との性交渉のある人で、そのうち69%が性交渉による皮膚等の接触によるものでした。また、調査できた3万4,791例のうちHIV感染者の割合は48%と高く、また、未治療のHIV感染者では、M痘の症状がより増悪しやすいことが分かっているとのことでした。アフリカにおける感染ルートについては現時点でも不明な点が多く、異なる感染経路があることが想定されています。また、現時点でセックスパートナー以外の濃厚接触者への継続的な感染は報告されておらず、幅広い層へのリスクは低いと結論付けられています。
 続いて文献4ですが、こちらは2022年7月27日付けのProMED-mailによるM痘情報で、米国、カナダ、バミューダ諸島、イギリス、そして日本での第1例目が報告されたことが示されています。そこで、ここでは日本における発生状況について報告したいと思います。
 2022年7月25日、欧州でM痘と診断された人と接触した後、帰国後に発症した東京在住の成人男性がM痘と診断されました。現行の感染症発生動向調査が開始された2003年以降、国内で探知された初めてのM痘症例となりました。2023年2月8日現在、国内では18例の感染例が報告されており、4例は海外渡航歴があり、2例は海外渡航歴のある者との接触が確認されていましたが、9月以降に確認された12例、特にこの1月は極めて多いのですが、本人に海外渡航歴がなく、海外渡航者との接触歴も確認されていません。これらの状況から、厚生労働省は、より一層、国内外の発生動向等に注意する必要があるとして、2022年5月に発出した地方自治体の注意喚起と情報提供への協力依頼を改正し、令和4年10月に再度の周知徹底をしています。
 続いて文献1ですが、こちらはアメリカの輸血学会(AABB)の輸血感染症委員会(TTD)が、Monkeypox Virus Outbreak Summaryを発表したという5月25日付けのニュース資料となります。発表されたのはMonkeypox Virus Outbreak/May 2022という文書で、輸血によるM痘感染は生じていないが、患者血液よりウイルスDNAが検出された例があることから、理論的なリスクは存在しているとしています。しかし、M痘患者は発熱・発疹等の臨床症状があるため、通常の問診等で十分に対応可能であるとしています。また、MSMの方への対応に関しても、現在、米国で導入されている3か月間の献血延期措置の設定でリスクを軽減できるとしています。また、現状の病原体不活化工程によっても不活化されると想定され、現時点で献血血液スクリーニングは不要としています。
 なお、本邦では、MSMの方への対応に関しては、より長い6か月の献血延期措置をお願いしているところです。また、サル痘対応ワクチンに関してですが、米国のFDAの生物製品評価研究センター、いわゆるCBERは、第3世代であるババリアンノルディック社のスモールポックスとMポックスの非増殖型生ワクチンである販売名「Jynneos」、製剤名としてはMVA-BNを接種した場合は、連邦規則集21CFR Part630.10及び630.15にのっとり、健常であれば献血延期措置は不要という見解を出しています。一方、緊急使用許可された第2世代の弱毒生オルソポックスワクチンであるACAM2,000接種者に関しては、引き続きこれらの規則が適用され、8週間の献血延期措置が必要とされています。我が国においても、2020年8月2日にLC16ワクチンのM痘への適用追加承認がされています。当該製品は、副反応も少なく、安全性が高い第3世代のワクチンです。LC16の血中移行等については不明ですが、天然痘ワクチンの場合、接種後は2か月間の献血延期措置が講じられており、現状の対策としては問題ないと考えられます。
 最後に文献2となりますが、こちらは文献1と同様の内容で、FDAが2020年8月に発出した情報提供となります。現時点で輸血によるサル痘の感染例はなく、また、血中のウイルス動態等、不明な点は多いものの、献血における問診等で十分にリスクを低減できると報告しています。さらに、M痘ウイルス感染の可能性について、特別な問診や臨床検査試薬を用いた献血血液スクリーニング検査は推奨しないとしています。本邦においても、日本赤十字社が設定している体調に関する質問、既往歴、海外渡航、性的接触等に関する問診において、リスクは十分に低減できると考えられます。追加コメントは以上です。ありがとうございます。
○田野﨑委員長 詳細な御説明、詳細な御説明、どうもありがとうございました。それでは、委員の皆さんから御質問、コメントなどあれば、よろしくお願いします。私から1つ、水上委員に確認で伺いたいのですが、4報のサル痘の報告は少し古いところもありますが、今なお輸血での感染例はゼロということでよろしかったでしょうか。
○水上委員 私も含めていろいろ探していますが、輸血による感染は報告されていません。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。どなたかあれば、よろしくお願いします。
○濵口委員 濵口です。
○田野﨑委員長 濵口委員、どうぞ。
○濵口委員 せっかくの機会ですので、日本赤十字社でつかんである情報が、もし何か追加であるようだったら、お聞きかせいただければと思います。
○田野﨑委員長 よろしくお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 それでは、日赤の後藤からお答えいたします。特に新しい情報で入手しているものはありません。献血した後にサル痘にかかったとか、サル痘にかかった人と接触したという献血後情報が入ったという情報もありません。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。献血に関しては、引き続きサル痘にかかった可能性があれば、献血をお控えくださいということで、よろしかったでしょうか。どうもありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。武田委員、お願いします。
○武田委員 事務局に質問ですが、先ほど文献番号4番で、東京研修医が誤訳であるというお話がありましたので、誤訳であることが議事録には残るところかと思います。ただ、一方で、この資料自体はPDFで、議事録とは別に独立して載せていますので、明らかな誤字・誤植については直していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。ありがとうございます。おっしゃるとおり明らかな誤植になりますが、公開資料を直すかどうかは検討の上、またお返事差し上げます。
○田野﨑委員長 よろしくお願いします。そうしましたら、ありがとうございました。ほか、御質問等なければ、事務局においては、今後とも感染症定期報告をお願いしたいと思います。
 次に、議題3「血液製剤に関する感染症報告事例等について」に移りたいと思います。事務局より、資料2-1、2-2について、説明をお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料2-1を御覧ください。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についてです。1ページ目、令和4年9月から10月の期間に報告があった感染症報告は、輸血用血液製剤が9件、血漿分画製剤が5件でした。そのうち輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は1件、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告が1件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳は、HBVが0件、HCVが2件、HIVが0件、その他が6件(細菌等6件)でした。
 2番目の項目からは、それぞれのウイルスについての詳細です。HBVはありませんでしたので割愛します。HCVの2件のうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。HIVは0件でしたので割愛します。その他の感染症報告事例ですが、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルス感染報告事例は0件でした。細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性だった事例は0件でした。また、このうち輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。次のページから症例表が載っていますが、詳しいことは説明をいたしません。資料を御覧ください。
 続いて資料2-2を御覧ください。供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。1ページ目は、供血者から始まる遡及調査の実施状況の表です。こちらは今回から様式が変更になっております。今まではHEVについて別の表が用意されていましたが、今回からはHBV、HCV、HIVと並んで同じ表の中にHEVが入っています。
 表の一番右が、令和4年4月1日から11月30日までの速報値です。調査対象とした献血件数はHBVが1,008、HCVが172、HIVが11、HEVが3,026でした。そのうち調査対象とした輸血用血液製剤の本数や、医療機関に情報提供を行った輸血用血液製剤の本数については御覧のとおりの数字です。また、このうち医薬品副作用感染症報告を行った件数はいずれも0件でした。したがって、今回は2番目の表、3番目の表も全て0になっておりますので、詳細な説明は割愛いたします。
 続いて2ページ、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況です。こちらは全部で63本ありました。個別の例につきましては、詳細な説明は割愛いたします。事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。医療機関からの感染症報告事例につきましては、昨年9月、10月の2か月、そして供血者からの遡及調査につきましては、4月から11月の終わりまでとなりますので8か月、その間、重篤なもの、それから疑われるものは0件ということでしたが、委員の皆様から何か御質問、コメントなどありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 今回は問題になる事例はなく、回収報告が63件と結構多いことは多かったわけですが、これの内訳に関しまして、日赤のほうから御説明をお願いできますでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤からお答えいたします。回収状況の本数につきましては、ほとんどが新型コロナの献血後情報による回収となります。8月は非常に感染者数が多かったのですが、9月、10月と少し減ってきてはいるものの、やはりベースとなる感染者数が多いということから献血後情報もたくさん寄せられて、これだけ使わなくて済んだ物があったという状況でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかに御質問、コメントなどよろしいでしょうか。そうしましたら、事務局におかれましては、今後とも感染症症例、そして遡及調査結果の報告をよろしくお願いいたします。続きまして、資料2-3について日本赤十字社から御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 それでは、個別HEV-NAT導入後のHEVの遡及調査について、日赤の後藤から御報告します。資料の2-3を御用意ください。
 まず2ページ目を御覧ください。最初にE型肝炎のおさらいについてです。E型肝炎は、一過性の急性感染症です。B型肝炎等とは異なり、治癒後はウイルスが体から排除されます。患者が免疫抑制状態の場合には、症状が遷延することがありますが、通常は適切な治療により治癒します。献血者における感染経路は、経口感染のみです。輸血歴や移植歴がある場合は、献血をお断りしています。健康な献血者においては、HEVに感染後、最長で3か月程度、ウイルス血症となりますが、その後ウイルスが排除され治癒します。日赤では、HEVの陽転が判明した献血から6か月は献血延期としています。HEVに感染してから、検査で検出可能となるまでのウインドウ期は明確になっていませんが、ウイルス血症が最長3か月程度であることを考慮し、遡及調査期間を6か月として運用してきました。
 それでは、HEVの遡及調査についての報告となります。4ページ目を御覧ください。令和3年度の運営委員会等でも、一度、御報告していますが、2020年8月5日に個別HEV-NATスクリーニングを導入した後のHEVの遡及調査については、HEVの陽性が認められた献血の過去6か月に遡り、保管検体のHEV-NATが陰性になるまで追加検査を行い、HEV陽性の血液について遡及調査を実施しました。つまり、HEV陽性の血液についてのみ回収や、受血者の感染状況の調査を実施したということになります。遡及調査期間が6か月ですので、下の枠内に記載したように、HEV-NAT開始から6か月間を超えた2021年2月4日以降にHEV陽転が認められた場合は、遡及調査対象の血液が全てHEV-NAT陰性であり、出庫停止や受血者の調査は発生しないとしていました。
 結果については、5ページ目を御覧ください。8月から2月までの6か月間のスクリーニング数は、256万2,309件、そのうちHEV-NATが陽性になったのは1,412件で、陽性率は0.055%でした。遡及調査対象となる献血者数は756人で、遡及調査対象の献血件数は2,163件あり、保管検体がHEV-NAT陽性となったのが15本ありました。これらの献血血液から20本の製剤が製造され、赤血球製剤1本、血小板製剤5本の受血者について感染状況を調査しました。なお、FFP1本と原料血漿13本は、供給や送付を停止しました。受血者6名の調査結果は、輸血後もHEV関連検査陰性が3名で、うち1名は原疾患で死亡。IgG抗体陽性が1名、HEV RNA陽性となったがすぐに陰性化し、肝機能異常なしが1名。原疾患で死亡され、調査できなかったのが1名でした。HEV-NAT陽性血液の輸血により、明らかにHEV感染を起こした事例というのはありませんでした。
 6枚目を御覧ください。先ほどの6か月分の遡及調査結果について、令和3年度の運営委員会及び安全技術調査会で報告しましたが、その際にHEVのウインドウ期は不明であるが、ウインドウ期を考慮し、遡及調査期間の6か月間は、HEV-NATが陰性であっても遡及調査、つまり受血者の調査を実施する必要があること、スクリーニングHEV-NAT開始時に遡り、HEV陽転から過去の遡及期間6か月間はHEV-NAT陰性の血液の受血者の感染状況を調査すること、また、HEV遡及調査のデータをもとに、HEVのウインドウ期等の検討を実施し、適切な遡及調査期間等について安全技術調査会で議論すること、等の御意見を頂きました。それらに基づき実施したHEVの遡及調査について、本日御報告します。
 7枚目を御覧ください。HEVの遡及調査は2つに分けて実施しました。先ほど頂いた御意見を受けて、マル1の過去に遡って調査した期間とマル2の陽転時の遡及調査の対象血液のリアルタイム調査です。これらの調査は、いずれもHEV-NAT陰性献血由来の輸血用血液製剤を輸血された方について調査した結果となります。マル1、マル2の期間を合わせて陽転献血数が3,949件、遡及調査対象で医療機関に情報提供を実施し、受血者の調査をお願いした輸血用血液が6,902本、受血者の情報を頂けたのが6,015名分で、回収率は87%に達しました。御協力ありがとうございました。医療機関でHEVマーカーの検査を実施いただき、輸血後にIgA抗体陰性だったものが288件、IgA抗体陽性が1件ありましたが、これについては日赤でHEV-NATを実施し、RNA陰性を確認しました。輸血後にHEV RNAの検査を実施いただいたものも18件あり、いずれも陰性でした。まとめますと、献血でHEV陽転が認められた献血者由来の過去6か月に採血されたHEV-NAT陰性の血液の受血者約6,000人について、明らかに感染が認められたり、疑われたという事例はありませんでした。
 遡及調査で得られた受血者の情報について、少し御紹介します。8枚目を御覧ください。調査対象となった受血者の年代、性別をグラフにしました。比較のため下に令和3年度の東京都の輸血状況調査の輸血状況を並べていますが、高齢者が多いという傾向は同様と考えられました。
 9枚目を御覧ください。受血者の情報提供があった事例において、使用された輸血用血液製剤の内訳です。血小板が6割、赤血球が4割となりました。血小板の献血間隔は最低2週間で、血漿献血と併せて年24回まで献血できることから、遡及調査対象の本数が多くなっています。なお、HEV-NAT陽転時の遡及期間は6か月なので、FFPは6か月の貯留保管中であることから医療機関に供給されておらず、遡及調査対象となる製剤はありませんでした。
 10枚目を御覧ください。こちらは受血者の主な原疾患を、副作用の報告に用いる用語集であるMedDRAに基づき分類したものです。半分は白血病やリンパ腫、MDSなどの血液及びリンパ系障害でした。これに固形がんや腫瘍など、そして心臓障害や血管障害、胃腸障害が続きました。その他の部分で、いろいろな疾患が入っています。
 11枚目を御覧ください。こちらはALT変動の情報提供があった事例について、輸血前と輸血後21日以降の最大値をプロットした図になります。横軸が輸血前のALT値、縦軸が輸血後のALT値となります。輸血後にALT値が大きく変動している事例がありましたが、担当医師が輸血によるHEV感染を疑う、若しくは検査等により輸血によるHEV感染が確認されたという事例はありませんでした。また、輸血後、ALT値が1,000以上となった7例のうち、6例の受血者が原疾患等による死亡、残る1例については輸血後感染の疑い不明との情報を得ています。
 12枚目を御覧ください。最後にまとめです。遡及調査対象製剤の受血者において、輸血後にALTの異常値を示す例は認められましたが、原疾患等の影響かHEV感染によるものかは、分かりませんでした。HEV-NAT導入後、陽転から過去6か月の遡及調査期間内の、HEV-NAT陰性の献血血液に由来する輸血用血液の受血者の調査においては、明らかにHEV感染と考えられた事例はありませんでした。なお、2020年8月以降、医療機関から輸血によるHEV感染疑いの症例報告は6件あり、そのうちHEV-NAT導入前の製剤を含む症例は4例ありましたが、保管検体若しくは献血血液の個別HEV-NAT陽性だった症例はありませんでした。また、当該血液の献血の前後6か月以内の陽転もありませんでした。
 調査を行う中での課題として、保険収載されているHEV関連検査がHEV-IgAのみであり、HEV感染を医療機関で判断するのは難しいこと、また、HEV-NAT陽性となった献血血液の約60%はウイルス濃度が非常に低く、万が一、受血者にHEV RNA陽転が認められたとしても、ウイルスの塩基配列の調査ができないことなどが分かってきました。私からの御説明は以上となります。
○田野﨑委員長 御説明どうもありがとうございました。委員の皆様から御質問、コメントなどお願いいたします。濵口委員、どうぞ。
○濵口委員 後藤さん、どうもありがとうございました。非常に重要な課題かなと考えています。6か月と期間を設定して、その間、できるだけ安全な輸血が行われるようにということで設定したのですが、今回、調べられたところで聞き逃がしたかもしれないので、ちょっと確認です。献血のときに陽性であった方のウインドウピリオドに関して、今回のスタディの中で何か手掛かりとして見えてくるようなものは得られたのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 御質問ありがとうございます。最初に、昨年の審議会で御報告した症例で、陽転が認められて、HEV-NAT導入前の保管検体で陽性になったものが15本あったという御報告をしましたが、これらについては一番期間が短いものはやはり血小板製剤で、2週間前のものから4週間前のものが陽性になるといった事例が認められたのは確かです。ただ、NATを導入した後の遡及調査については、全て個別NAT陰性の血液となりますので、実際のウインドウ期がどれくらいだったか、今回の調査からは明らかになったものはなかったかと思います。
○濵口委員 ありがとうございます。そうすると、こういったデータを積み重ねることによって、6か月というものを少し短くしていくことも可能ではないかとお考えということでよろしいですか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日本赤十字社の佐竹です。おっしゃるとおりですが、ただ、ウインドウ期の計算にはほかのデータが必要ですので、このスタディではない別のスタディのデータを用いて、今、大体のところが分かりつつあるところです。以前の運営委員会、あるいは安全技術調査会等でウインドウ期について、ある程度の値をフィックスしていくということが合意されたと思いますので、例えば安全技術調査会等で、先ほど言いましたようなほかのデータを併せて、遡及すべきウインドウ期の長さというものを御討議いただくことになるかと思います。日赤でも、それに役立つデータを用意したいと思います。
○濵口委員 ありがとうございました。大体、道筋は分かりましたので、またデータが出てきたときに検討させていただければと思います。ありがとうございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問など、いかがでしょうか。水上委員、どうぞ。
○水上委員 感染研の水上です。非常に貴重なデータをありがとうございます。ちょっとお伺いしたいところは、この2020年8月からHEV-NATが始まって、感染者の男女比、あるいは今までジェノタイプ3ということがほとんどメジャーだったかと思いますが、そういったもののトレンドに大きな変化がなかったかということと、以前、確かHEVのウサギ型というかウサギHEVというものが検出されていたかと思います。ウイルス濃度が低くて、塩基配列調査ができないというお話もありましたが、もしそういったところで何か大きなトレンドの変化などがあるようでしたら、教えていただければと思います。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。シークエンス等は大体1,000例以上はできています。そういった中でのジェノタイプの分布については、これまでのものと大きく変わるところはありません。95%以上は、ジェノタイプの3です。ジェノタイプ4はほとんど北海道に限られて、ほかの所に僅かにあるのですが、ほぼ北海道に限られて見られるものです。男女比も、男性のほうが多いということがあります。それから、そのほかの動物由来のもの、珍しいものはありません。そのほかの疫学的な状況については、これまでと大きく変わったことはありませんでした。ただ、やはり感度が非常に高いので、これまで20プールでやっていた北海道のデータ等に比べますと、非常に低いウイルス濃度のものにピークが偏っているということです。以上です。
○水上委員 どうもありがとうございました。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。私からですが、ここの課題の所にも挙げていただいていますが、保険収載されている検査項目がIgAのみで、これだけで実際に診断を付けるというのは、臨床の現場ではなかなか難しくて、当院でも18例の遡及の対象者がありました。いろいろな担当医の意見も聞いてみていたのですが、実際に輸血後にALTの値が上がった場合に、これを疑いますか、疑いませんかというような質問に、今まで余りこのE型肝炎を意識してこなかった、あるいはE型肝炎というものがこの鑑別診断にそんなに上がってこなかったこともあって、もともと肝機能障害がある症例でE型肝炎を疑っているのかという問いに対して、そんなに疑わないと答えてくる担当医が非常に多かったというのが事実でした。この受血者の輸血前後のALT値のプロットを見ると、前は余り上がっていないのに、輸血後に非常に高い症例が結構多いことはあって、担当医の印象でこれは完全に否定できるものではないけれどもというようなことになっているのではないかなと。また、少しアンダーエスティメイトされているところが否定できないのではないかなと感じています。もともと肝臓が悪い患者さん、単独であればそんなに問題ないかもしれませんが、肝臓が悪いところにこのE型肝炎がかぶってくると、かなり重篤になる可能性がまだ臨床の場ではあり得るのではないかと、ちょっと懸念しているというのが正直なところなのですが、こういうことについては日本赤十字社から何かコメントなどはいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。おっしゃるとおりです。HEVについては、肝炎の専門家の中でも認識は余り高くないというのが実際のところで、上がってくる数はアンダーエスティメイションが非常に顕著です。そう言いますのは、ここで0.055%と申しましたが、血液ドナーの中に見つかる場合はそのくらいの頻度で、これは非常に高い、BやCに比べると、とんでもない高い値になります。しかも、これはリピーターも含めたところですので、一人一人のドナー、実質の献血者からいうと実際の国民の中でのこのviremiaの頻度というのは、この3倍近くあることになります。それに比べると、これは4類の感染症ですので、肝炎が見つかれば国へ報告することが義務付けられていますが、その数は年間400~500例です。ですので、先ほどのウイルス血症のドナーの頻度から見ると、実際に顕性の感染症、HEVの感染、見つかるのは本当に1%未満になりますので、HEVの肝炎というものは、感染しても本当に症状として出てくるものはほんの一部であるということが言えるかと思います。同時に、それはアンダーエスティメンションもそこに一枚加わっているということで、このHEVの疫学については、今までの考えというものをかなり塗り変えるような事実がいろいろ出てくるかと思います。以上です。
○田野﨑委員長 大変よく分かりました。どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。どうもありがとうございました。そうしましたら、事務局においては今後ともこちらについて、感染症、そして遡及調査の結果などの報告も含めて、御報告をお願いしたいと思います。
 そうしましたら、議題4「各調査会の審議結果について」に移りたいと思います。まずは資料3-1について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局の仲島です。資料3-1、令和4年度第4回献血推進調査会の審議結果について説明をさせていただきます。資料1を1ページ進んでいただきますと、令和4年度第4回献血推進調査会の審議結果について概要がございます。こちらを御覧ください。開催日時は令和5年1月16日、14時から開催いたしました。出席者については委員12名全員御出席いただきまして、日本赤十字社社から3名、議題2に関しまして滋賀県から橋本様、イオンモール株式会社から森本様の御出席を頂いております。
 続きまして、議事概要のほうに移らせていただきます。当日は議題が3件ございまして、議題1が献血推進計画の在り方について、議題2が自治体・企業における取組の紹介、議題3がその他となっております。それでは、議事概要の説明をさせていただきます。
 議題1、献血推進計画の在り方について説明をさせていただきます。令和3年度地方分権に関する提案募集事項として取り上げられた都道府県献血推進計画の策定義務付けの廃止につきまして、献血推進調査会での検討結果を踏まえた見直し案について、全都道府県を対象に調査を実施し、その報告をいたしまして今後の方向性を示し、その方向性につきまして異議なしということで、原案で了承されたというところです。
 議題2、自治体・企業における取組の紹介の説明をさせていただきます。滋賀県から、若年層献血推進の取組としてアクションプランを作成されたということで、その御紹介がございました。イオンモール株式会社様については、昨年7月に第58回献血運動推進全国大会が開催されまして、その中で昭和天皇記念献血推進賞を受賞されたということで、その取組について、御紹介頂きました。委員からの主な御意見につきましては、滋賀県の取組によって、その効果が一部の地域に留まるのかという御意見がありましたが、これは県全体でその効果が出ているということでした。イオンモール株式会社様につきましては、全天候型の施設として高齢者の方がその中を歩かれるということで、健康維持の観点から優れているということと、献血においても集客力の観点からも御協力いただける方が多いということで、引き続き会場の御提供をお願いしたいという意見がありました。
 議題3、その他でございます。こちらにつきましては、国内血漿由来の血漿分画製剤の輸出について事前に献血者の方に説明し、同意を得る手続について従前、日本赤十字社から献血の同意説明書への記載としていたところ、「お願い!」パンフレットへの変更について案が提示されまして、それについて議論をさせていただきました。委員の方々からの主な御意見としましては、輸出に際して献血者に理解を求めるに当たって同意を得るということでありましたから、献血同意説明書とパンフレットの両方に記載するほうが良いのではないか、また、パンフレットへの記載のみとした場合、現場スタッフの説明の仕方による違いで理解の差が生じるということで、御意見があったというところです。輸出に際して献血者の説明についてのお知らせの方法は引き続き検討ということで、これは継続審議となりました。説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から御質問、コメント、いかがでしょうか。濵口委員、お願いします。
○濵口委員 御報告ありがとうございました。先日、確か新聞に輸出が何年かぶりでということが書いてあった気がしましたけれども、厚生労働省若しくは日赤で何か反応はあったのでしょうか。
○田野﨑委員長 まず、日本赤十字社のほうからいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。御質問ありがとうございます。今のところ日赤のほうには献血者等からの問合せというのはないという状況でございます。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。厚生労働省につきましても、よろしくお願いします。
○事務局 事務局から回答させていただきます。複数のマスコミから問合せがありましたが、一般の方からの問合せは現在のところありません。以上になります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
○濵口委員 ありがとうございました。
○田野﨑委員長 松下委員、お願いします。
○松下委員 松下です。一番最後の所で、最初の案ではお願いベースの所に書いてあったのを、同意書のチェックをしてもらわないと献血できないという方法に変わったということですよね。確認の質問です。
○仲島血液対策課長補佐 事務局からお答えします。当初、個別同意ということで、個別にチェックしてもらう方向でいたものを、お願いベースのほうに変えたいということで説明があったということになります。
○松下委員 62ページの資料を見ると、「お願い!」のパンフレットから献血の同意に矢印で変わっていると見えるのですが。
○田野﨑委員長 事務局、お願いします。
○仲島血液対策課長補佐 この62ページですが、同意説明書と「お願い!」の両方で今後同意を取っていくということでよろしいのですか。日赤のほうにここは確認したいところです。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。左側の同意説明書と「お願い!」のパンフレットというものは別物であり、同意説明書と「お願い!」のパンフレットは、同様に献血者に説明をすることになっているため、そこで御説明をする。右側の献血の同意につきましては、会場で問診タブレットにおいて回答いただくことになっていますので、その御説明の資料ということで御理解いただければと思います。
○松下委員 ということは、63ページの同意説明書に1、2、3、4、5とあるのですが、1、2、3、4、5にイエスを付けないと献血できないという流れになるということでいいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。御質問ありがとうございます。当初は、この案で1、2、3、4、5で同意を求めて、先ほどの62ページの右側にあります同意を頂くという考え方で進めることで、前回御説明させていただいたのですが、「お願い!」のパンフレットでしっかり内容を記載して、献血者に御理解いただいた上で対応すれば、ここの同意というのを得る必要はないのではないかという内容で、今回今、御説明を変更させていただいたという状況があります。ただ、委員の方々からも様々な御意見を頂きまして、今後、「お願い!」のパンフレットと同意説明書の両方に記載して、献血者に同意を得るという方向で検討を進めて参りたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
○松下委員 私としては、この件に関しては最初の日赤の案で良い気がしています。献血推進調査会の意見は意見として進めていただいてもいいと思いますいまけれども、私の個人的な意見としては、輸出するかどうかまでを献血の同意に含めるのは少し厳し過ぎるのではないかと思っています。輸出に関しては様々な所で様々な立場の人が議論をした結果、進みましょうということになっている訳なので、それに丸を付けないと献血できないという運用を特にしなくてもいいのではないかと思っています。以上コメントです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。こちらに関する検討は、今、まだ検討中であるということでよろしいでしょうか。
○仲島血液対策課長補佐 事務局から回答いたします。検討中というところです。
○田野﨑委員長 そうしましたら、様々な御意見があると思いますので、またそれを踏まえてご検討いただければと思います。松本委員、どうぞお願いします。
○松本委員 よろしいでしょうか。これは今まで様々な所で議論をされてきたという経緯がありまして、それで私が代表をしているヘモフィリア友の会全国ネットワークからも、日本赤十字社あるいは具体的にはJB(日本血液製剤機構)というような所、様々な関係各機関、厚生労働省、経済産業省、様々な所と話をしてきました。やはり一番、日本赤十字社をはじめ献血者の同意がないと、同意とまで言っていいのか分かりませんが、献血者の納得が得られないと駄目だということは、まずあったというところもありまして、同意まで必要なのか、説明だけの範囲でいいのかというのは、なかなか難しい判断とはなるのですけれども、先日の献血推進調査会調査では、やはり同意を得たほうがいいのではないかという議論に収束したと理解しております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。武田委員、どうぞ。
○武田委員 今、松本委員から指摘頂いたところと重複するかもしれませんが、もともと当初、日赤のほうから、これは同意を取って進めていきたいという提案があって、それで議論を進めてきたところです。それが先日、このパンフレットで同意を得たいというようなお話があって、ただ、同意を得たいということであれば、パンフレットできちんと説明をして、同意もきちんと取っていただくというのが本来の形ではないかという意見が出て、このような形になりましたす。私もその場で献血推進調査会に参加しておりましたので、そのような意見を申し上げて、このような形になったというところです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ここで審議するものではないということだと思いますので、今の御意見を参考にして、また検討を続けていただければと思います。
○松本委員 少し発言をさせていただいてよろしいですか。
○田野﨑委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 先ほども申し上げたとおり、ヘモフィリア友の会全国ネットワークでは、この件に関しては少なくとも2013年頃から取り組んで参りまして、今回このような輸出という形で昨日、読売新聞の一面に掲載されることになりました。明日、厚生労働省記者クラブで我々の立場から会見を開いて、記者会見をすることになります。これは御報告になります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほか、よろしいでしょうか。追加でこれに関連して御意見があれば。よろしいですか、どうもありがとうございました。そうしましたら、こちらに関しましてはまた検討を続けていただければと思います。次に、資料3-2になりますが、こちらについて事務局より御説明をお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田でございます。資料3-2、令和4年度第1回適正使用調査会の審議結果について、私から御説明いたします。令和5年1月23日14時~16時に開催いたしました。出席者は御覧のとおりです。
 議事の内容について御説明します。議題1、血液製剤使用実態調査についてです。この調査は、血液製剤の適正使用の推進に必要な方策を検討するために、血液製剤の使用実態を把握することを目的としています。毎年、日本輸血・細胞治療学会に委託して実施していただいています。今年度のテーマとしましては、1つ目が輸血部門の業務についての意識調査、2つ目が小規模医療施設における輸血医療体制についてです。
 調査結果について、まず輸血部門の業務についての意識調査につきまして、適正使用の事前・事後評価を輸血部門の業務と考えている施設の割合は低く、適正使用に対する姿勢に施設間差があること。また、適正使用の評価を業務と考えている施設は、輸血療法に対する意識が高く、院内の各部門との医療連携が図られていることなどが報告されました。また、輸血管理料の適正使用加算につきまして、高度な医療機能を提供している病院の一部では評価されておらず、適切な指標を検討すべき時期にきていると報告されました。
 2番目の小規模医療施設における輸血医療体制に関しましては、血液センターからの定期搬送にかかる時間が、離島では4時間以上かかる医療機関が存在することや、合同輸血療法委員会の参加が30%程度であったこと等が報告されました。委員からの主な御意見としましては、輸血管理料の適正使用加算の指標については見直すべきであり、基礎資料となるデータ解析等の取組を進めていくべきである、ですとか、ブラッドローテーションのシステムについては、平時からシステムを構築しておけば災害時にも応用ができる、などの御意見がありました。
 続いて議題2、血液製剤使用適正化方策調査研究事業についてです。こちらの事業は、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における課題とそれに対する取組について調査研究することを目的としています。こちらは各都道府県に設置されている合同輸血療法委員会に主体となって実施していただいています。
 今年度は群馬県、岐阜県、佐賀県の3都道府県から取組が報告されました。群馬県の取組としましては、Google Formを用いた外来輸血後副反応調査と副反応への対応について、岐阜県からは中小規模病院における血液製剤適正使用推進のためのWeb形式を活用した教育支援について、佐賀県からはパンデミック感染症や災害時におけるへき地や離島での輸血医療の継続のための体制整備について、報告されました。
 委員からの主な御意見ですが、Google Formを用いた外来輸血後副反応調査につきましては、小規模施設においては副反応が報告されたときに、他施設と連携して対応できるよう、方法を考えておく必要がある、との御意見を頂きました。また、Web形式を利用した教育支援につきましては、対面式の会議では終了後に立ち話で有用な話がされることがありますが、Web会議の場合には会議後にメーリングリストでの発言が多くなるようなことが考えられる、という発言がございました。また、パンデミック感染症や災害時におけるへき地・離島での輸血医療の継続のための体制整備につきましては、医療連携システムの中に輸血情報を組み込むという試みであり、小規模施設や離島・へき地等で利用できる双方向の情報交換が可能になるということで、有意義であるという御意見がありました。事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがというございました。委員の先生方からコメント、御質問はいかがでしょうか。輸血の適正使用の指導について、輸血部門の業務としての意識が非常に低いというのは、大変問題がありそうな感じがしますが。何かこれらに対して御意見、コメントなどあればと思いますが。よろしいですか。
 これは学会ベースで行っているアンケート調査で、非常に現在の輸血医療のリアルワールドのところを反映しているわけですので、更にまた十分検討しながら、学会や何かも含めて検討を続けていく必要があるかなと思っています。
 特になければ、そうしましたら、どうもありがとうございました。最後に議題5、その他ですが、事務局から何かございますか。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田でございます。特にございません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。本日の議題は以上となりますが、何かほかに御意見等あればお願いしたいと思います。武田委員、どうぞ。
○武田委員 武田です、よろしくお願いします。ちょっと今日の議題からは離れるのですが、委員会の開催方法について、これまでコロナ禍ということでずっとWeb会議中心にやってきたかと思うのですが、先ほど適正使用調査会の中でも、対面だとその後の立ち話等で有用な話合いができるとか、やはり対面の利点もあるなと感じているところです。もちろん委員の皆さん、所属先のレギュレーション等もあると思いますので、一律に対面、もしくはオンラインのどちらというのは難しいのかもしれませんが、少し今後の会議の持ち方を、事務局のほうと、もし委員の皆様からも御意見というか、こういった形がというのがあれば、少しお聞きしたいと思ったのですが、いかがでしょうか。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。委員の皆さんからは御意見等ありますでしょうか。濵口委員、どうぞ。
○濵口委員 ありがとうございます。私個人的には、やはり対面の会議がいいのかなと思います。ただ一方で、利便性というか会場まで行かなくてもいいという意味では、時間的な節約ができるという別のメリットもあるかなと思います。
 1つはやはり感染対策というのが非常に重要なファクターになっていると思いますので、この辺りを運営委員会のみならず、他の審議会の事例を参考に、できれば私は対面でできる方向を目指していただければと、個人的には思っています。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。松下委員は御意見いかがでしょうか。
○松下委員 東京に住んでいない私としては、このやり方は大変有難いです。ただ、5月8日に世の中がどういうふうになっているのかということにも、かなり影響されるのではないかと思いますが、対面で開催します、来てくださいとなれば都合を付けて行くとは思いますけれども。時々はこの形式でやっていただくと、何かと便利かなと思っています。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほか、よろしいでしょうか。私は東京におりますので、やはり対面でこういうふうに議論するというのは、特に血液事業を決めていく重要な会議でもありますので、なるべく対面のほうがいいのではないかと、私個人は思っていますが、また事務局のほうで御検討いただければと思います。
○有田血液対策課長補佐 ありがとうございます、事務局です。頂いた御意見を参考にしまして、検討していきたいと思います。
○田野﨑委員長 それでは、そういうことでよろしいでしょうか。ほかに御意見があればと思いますが。そうしましたら、議事進行を事務局に戻させていただきます。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途御連絡差し上げます。これにて血液事業部会令和4年度第4回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。 

(了)