薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第3回運営委員会議事録

日時

令和4年12月14日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子
  • 鹿野 千治



事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 仲島 昌司   (血液対策課長補佐)
  • 有田 創    (血液対策課長補佐)
 

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.各調査会の審議結果について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 


○有田血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、血液事業部会令和4年度第3回運営委員会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いします。
 本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議における委員の出席についてですが、委員6名全員に御出席いただいていることを報告いたします。本日は参考人として、国立感染症研究所より水上拓郎次世代生物学的製剤研究センター第1室室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所長、後藤直子技術部次長、鹿野千治経営企画部献血推進課長に御出席いただいております。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議の開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いします。タブレット上にマル1議事次第からマル11資料3-3までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いをする場合があります。その場合は、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。 
間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。それでは、これから始めさせていただきます。これまでの御説明に関して、何か御質問等がありますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、議事に入らせていただきます。
 まず、初めに議題1「感染症定期報告について」、事務局より説明をお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料1-1を御覧ください。感染症定期報告(研究報告概要一覧表)、令和4年6月~8月受理分です。1ページから順に論文の概要について御説明いたします。
 1ページの論文の番号1番と2番は「サル痘」に関する論文です。今回のサル痘のアウトブレイクにおいては、主に性交渉による感染、特に男性と性行為を持つ男性(MSM)が関与していることが報告されています。また、PCR検査を追跡できた患者の中で、最も遅い病変部からの陽性検出は発症21日後であったと報告されています。
 続きまして、2ページの論文の番号3番は「ウイルス感染」に関する論文です。Powassanウイルスに関して、輸血による感染の可能性のある症例1例が報告され、警戒が必要であるという内容です。
 続いて4番は「デング熱」に関する論文です。台湾でデング熱が大流行した2015年の輸血によるデング熱ウイルス感染リスクを後ろ向きに評価したものです。供血者のデング熱ウイルスRNA検出率と各地域の感染率を調べたところ、相関があり、デング熱感染者が多い地域ほどRNA検出率は増加したと報告されています。また、143件の輸血によるデング熱ウイルス感染症例が発生した可能性があると報告されています。
 続いて、3ページの論文の番号5番は「アデノウイルス感染」に関する論文です。小児における肝炎の増加について調査したところ、この肝炎がアデノウイルス41型と関連している可能性があることが明らかになったという報告です。この時点までに、10歳未満の小児9例でアデノウイルス陽性と確認され、2例が肝移植を必要としたと報告されています。
 続いて6番は「サイトメガロウイルス感染」についての論文です。遺伝子改変されたブタから心臓を移植されて2か月間生存した男性が、動物に感染するウイルスであるブタサイトメガロウイルスに感染していたという報告です。
 続いて4ページの7番は「ウイルス感染」に関する論文です。中国において、H3N8トリインフルエンザの初のヒト感染が記録されたという報告です。
 続いて8番は「細菌感染」に関する論文です。血小板製剤中のStaphylococus aureus(S.aureus)と献血者の皮膚疾患との関連性、細菌培養スクリーニングの限界についての論文です。日本で導入が検討されているBacT/ALERT 3Dを使用したスクリーニングの有効性を評価するために、各種の細菌及びS.aureusを血小板製剤にスパイクして増殖パターンを検証したというものになります。S.aureusについては、スパイク24時間後に陽性でも36時間後には陰性となる偽陰性のものが出てきたという報告です。
 以上が感染症定期報告(研究報告概要一覧表)の説明です。資料1-2に、それぞれの論文の本文が載っていますので、適宜、御参照ください。
 続いて、資料1-1の5ページから「感染症定期報告(個別症例報告概要)」の外国症例報告一覧です。こちらも令和4年6月~8月の受理分です。6~9ページまで症例が載っております。こちらは通算しますと6症例に関する報告になります。私たちが得ている症例表では、感染と製剤の関連性について否定的又は調査中でした。資料1-1、資料1-2についての説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、水上参考人から追加で御発言があれば、よろしくお願いいたします。
○水上参考人 よろしくお願いいたします。国立感染症研究所の水上です。今回は、文献1、2のサル痘ウイルスと文献4のデングウイルス、それから文献8の血小板における細菌混入対策についてコメントしたいと思います。
 まず、文献1、2のサル痘ウイルスです。サル痘ウイルスは、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に分類され、症状の重いクレードⅠのコンゴ盆地型と、症状の軽快なクレードⅡa及びクレードⅡbに分類される西アフリカ型に分類され、本年5月以降に国際的に拡大しているウイルスは、クレードⅡbの西アフリカ型となります。
 文献1は2022年6月2日時点でのサル痘ウイルスについての状況報告であり、当時、27か国から780症例の報告がされています。7月には国際保健規則緊急委員会が開催され、WHOは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(通称PHEIC)に該当すると宣言いたしました。10月5日付けの同シチュエーション・レポート第7版では、106か国、6万8,900症例と増加しておりますが、全世界的には8月をピークに減少傾向となり、第39週は前週と比べ16.8%減となっております。直近4週の感染例は、米国からが85.6%、EUが12.8%となっております。リスク分析としましては、世界的にはモデレートの状況であり、米国と欧州が引き続きハイとなっております。しかし、米厚生省は、12月2日に、来年2月1日からサル痘の公衆衛生上の緊急事態指定を解除すると、既に発表しております。
 死亡例に関して、文献1の時点では報告はありませんでしたが、12月11日付けの最新のプロメッドメールでは、65死亡例が新旧流行地より報告されており、15例がアフリカ、20例が米国、24例が南米地域、5例が欧州からとなっております。感染経路としましては、皮膚病変や近接した対面での呼吸飛沫への一定時間の曝露、それから、寝具等の媒介物により伝搬し得ると考えられてきましたが、先ほどの話にもあったとおり、今回のアウトブレイクでは性行為が主とされています。セックスパートナー以外の濃厚接触者への継続的な感染は報告されておらず、幅広い層の人々へのリスクは低いと考えられます。
 文献2は、2020年4月~6月までの16か国で発生したサル痘ウイルスの感染症症例についての調査報告で、文献1と同様に、感染者の98%がゲイ又はバイセクシュアルの男性と高く、41%でHIV感染、海外渡航歴のある方は28%でした。潜伏期間の中央値は7日で、最長のPCR検出期間は21日でした。また、検出組織として、皮膚病変が97%と最も多く、次いで鼻咽頭が26%、血液は7%、尿は3%でした。精液に関しては、検査した32例中29例で陽性でした。
 その後の報告でも、特に皮膚病変や肛門ではウイルスDNA量が多く、また、患者の精液からサル痘ウイルスの分離も報告され、精液を介した感染の可能性が示唆されております。一方、治癒後40日後のリンパ節や54日後の精液又は唾液、あるいは76日後の唾液からもウイルスDNA自体は検出されています。
 現在の献血対応に関して、日本赤十字社からの報告では、海外渡航歴の確認、帰国後4週間の献血延期期間の設定、体調不良等の場合は更に症状消失後4週間、6か月以内に同性同士、不特定異性、あるいは新たな異性との性的接触があった場合は献血延期とされております。また、サル痘濃厚接触者に関しても21日の延期期間を設定しており、現状の報告事例と鑑みましても、妥当な対策であると思われます。本邦では現在までに7例の陽性報告があり、海外渡航歴及び感染者との濃厚接触がない症例は2例のみで、残りは、海外渡航歴のある3例、あるいは渡航歴はないが濃厚接触者となっている2例となっています。血液でのウイルス量は、病変部と比べ極めて少なく、現時点で輸血による感染の報告はありませんが、引き続き情報収集と分析が必要であると考えております。
 続きまして、文献4のデングウイルスです。2015年に台湾で発生したデング熱流行時における供血者のデング熱ウイルスRNAの検出率に関する論文です。デング熱の蔓延地域の供血者から採血した血清4,976検体について、定性的TMA法によるデング熱ウイルスRNA検査を行った結果、21例が陽性であり、1週間当たりの新規感染者数が多い地域ほど供血者のRNA検出率も増加しておりました。197件のデング熱ウイルスRNA陽性血液が供血され、143件の輸血によるデング熱ウイルス感染症例が発生したと考えられております。デング熱ウイルス感染症1万例当たり9.2例が輸血感染例に該当すると考えています。
 本報告により、感染症例全体の中では、環境曝露によるデング熱ウイルス感染に比べ、輸血を介した潜在的な感染は少ないということが明らかとなりました。2014年には日本国内において341例の感染が確認されていますが、2015年以降は海外からの輸入例のみであり、国内感染例は認められておりません。(発言者注:会議後の調べで、2019年には5年ぶりに3例の国内感染報告がありました。)新型コロナウイルスによる行動制限と東京オリンピックの無観客実施等により、当初想定されていた輸入感染例も少ない状況です。しかし、世界的には各地で発生しており、今後も日本でも散発的な発生が想定されるため、引き続き、情報収集とともに対策が必要であると考えております。
 最後は、文献8の血小板製剤における細菌混入対策です。文献8は血小板製剤の細菌感染に関する報告で、血小板製剤中の黄色ブドウ球菌(S.aureus)と献血者の皮膚疾患との関連性、及び細菌培養スクリーニングの限界を示した文献となります。血小板製剤の黄色ブドウ球菌混入への関与が疑われた献血者の追跡調査を行った結果、6名の皮膚及び鼻咽頭ぬぐい液検体中に献血者由来の血小板製剤から分離された黄色ブドウ球菌が同定されました。
 また、BacT/ALERTを使用したスクリーニングの有効性を評価するため、黄色ブドウ球菌、及び、比較対象として、その他3つの細菌種を血小板製剤にスパイクして増殖パターンを検証した結果、黄色ブドウ球菌以外の3つの細菌種は24時間後で全て陽性となりましたが、黄色ブドウ球菌のみは条件により検出される場合とされない場合があり、また24時間後は陽性であったが36時間後には陰性となるような検体もあり、BacT/ALERTの検査では、黄色ブドウ球菌に関して偽陰性が発生する可能性が示されております。
 現在、日本赤十字社では、採血後40時間以上において、BacT/ALERTによって24時間培養スクリーニングを実施し、陰性が確認されたものを出荷することで、現行の4日間の有効期限を6日に延長する案を検討されているかと思います。BacT/ALERT検査では偽陰性となることもあるので、現在、実施している皮膚消毒や初流血除去、供給輸血直前の外観確認及び輸血後の患者フォロー等、細菌混入の対策に関しては、引き続き継続強化することが望ましいと考えられます。コメントは以上です。
○田野﨑委員長 詳細な御説明をどうもありがとうございました。ほかに委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。松下委員、どうぞ。
○松下委員 松下です。一番最後に御紹介されたTransfusionの文献ですが、これは佐竹先生の所から出ているものです。BacT/ALERTは一般的な病院の検査室に使われている血液培養の分析装置で、確かCO2センサーか何かで検出していると思うのですが、これの精度管理上の問題なのか、それとも根本的な測定原理の問題なのか。aureusが途中で消えてしまうということは余り経験しないのですが、血小板製剤独特の問題なのか、この辺は日赤の佐竹先生に聞かないと分からないでしょうか。
○田野﨑委員長 そうしましたら、よろしくお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。S.aureusの培養の問題は全世界共通の問題で、特に血小板製剤においてそれが目立って注目されております。もともとaureusは血小板製剤中で凝集を作る傾向があります。したがいまして、総数はPCの中でどんどん増えていくわけですが、それが凝集を起こしますと、ビジブルな凝集塊となって下に沈降し、その結果、液層での細菌濃度が低くなる。もう1つは、いわゆるバイオフィルムを形成して、フィブリンなどのマトリックスと一緒にバッグの内面に固着して、それでもっても液層での細菌の濃度が低くなる。そこで、サンプリングしますと、むしろ、前は陽性だったのが今度は陰性になっている、そういうことが起こります。これは、ほかのバクテリアでも、特にバイオフィルムを形成するような菌では起こる可能性があります。特に、aureusは病原性、頻度の上から、最もTTIを起こす可能性が高い細菌ですので、このaureusについてこの危険性が言われております。
 実際に、英国で、ラージボリュームディレイドサンプリングの2手順を入れてから起こった事例は、全てこのaureusによる4例です。これはaureusに特有の現象で、なかなか難しい。ですので、ボリュームをできるだけ多く、それからなるべく遅くサンプリングすることで、この解決をすることができるかと思います。
 ですので、我々が現在計画しています40時間をおけば、少なくともこのペーパーの段階では40時間をおいて、2つのボトルに培養サンプルとして入れれば、全てこの場合は陽性となっていますので、それが現在できる最善の方法かなと考えております。もっとサンプリング量を多く、又はもっと遅れてサンプリングすれば、安全性は更に高くなるわけですが、そうなりますと、血小板そのものが製剤として使えなくなりますので、そこは限度があります。現在の考えはそのようなところです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。松下委員、よろしいでしょうか。
○松下委員 論文中だと5mLをサンプリングして入れると書いてありますが、製剤の特性として、それ以上はなかなかサンプリングできないという感じなのでしょうか。
○田野﨑委員長 その辺は、まだ量やタイミングを検討しているのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。量やタイミングとかも、こちらの医療機関でどのぐらい使えるかという時間や余裕等も考えて、非常に多くの検討をしてまいりましたが、現在のところ、ベストなのは、バランスがとれるのは採血後40時間以上たってから、それから、16mL以上サンプリングする、これで一番バランスがとれる状況ではないかと思います。それ以上をサンプリングしますと、製剤として単位割れしてしまいますので、製品とならなくなる場合があります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
○松下委員 もう1つ、よろしいでしょうか。今のフォローアップの質問なのですが、例えば、サンプルを弱遠心して血小板をある程度落としてしまってからカルチャーしたほうが検出が上がるとか、そういうことはないですか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 遠心をしてからサンプリングをする、そういうことでしょうか。
○松下委員 そうですね。もしバイオフィルムが問題なのであれば、上清だけ入れるとかですね。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 血小板製剤を遠心しますと、バクテリアは下に行ってしまいます。
○松下委員 下に行ってしまうので、よくないと。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 全て下に落っこってしまいますね。
○松下委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
○松下委員 引き続き、御検討をよろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 ほかの委員の先生方からはいかがでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 よろしくお願いします。
○岡田委員 デングウイルスなのですが、これは不顕性感染の方が50%とか80%存在すると言われておりますので、大流行が起こった場合は、やはり何らかの核酸のスクリーニングを導入しないと、輸血による感染が起こってしまう可能性があるということですね。ただ、ヒト以外には感染しないので、ヒト・蚊・ヒトの感染ですので、流行地域が限定されていれば、その周囲の献血を一時的に避けることによって、ある程度防ぐことができるのではないかと思います。デング熱に関しては、温暖化によって蚊の活動期間が長くなりますので、台湾でこういう大流行があったということだと、日本も知らないうちに地域的に流行が起こっている可能性もあるので、空港など人の国際的な出入りがあるような所では、恐らく実施されていると思うのですが、空港の周りの蚊の定期的なサンプリングでモニタリングをして、早期に発見することが重要だと思います。
 それと、6番のブタの心臓を移植された患者さんの話です。これは以前から言われているのですが、異なる動物由来の臓器を人に移植した場合に、内在性のレトロウイルスが持ち込まれて、新たな感染が起こったり、予期しないような病原体による感染が起こるのではないかという危惧がされておりました。今回の例も、正に、レトロウイルスではなくサイトメガロウイルスによって死亡してしまったという例でありました。今、異種の臓器を移植するような場合に、ブタが一番注目されていると思いますが、病原体の検出は十分に行うことが必要ではないかと、この論文は示唆していると思います。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。佐竹参考人、お願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 コメントをありがとうございます。デングについては、2014年のときの事例もありますので、日赤としても、それへの対策は常に考えておかなければならないと考えております。ただ、前回の2014年での広がり方等を見ますと、岡田先生がおっしゃいましたように、スクリーニングよりは、恐らく地域での献血の在り方を考えるのがベストだろうと思われます。広がり方は、例えばCOVID-19などとは全然違いますので、ある程度、限定された地域での広がりという形になってくるかと思いますので、そういう所での献血制限などといった方法が、まずは一番有効ではないかと考えられます。実際にオーストラリア等で行われている対策は、クイーンズランドという角の右上の所では、もう土着していますので、毎年、夏になると、そこでの献血は制限すると、そういうことで防いでいますので、そのようなストラテジーがベストではないかと今のところは考えています。もちろん、ホールカントリーでエンデミックならば、それはまた別の話になりますが。その辺が一番ベストではないかと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。日本赤十字社でも対応は準備していて、なおかつ、これは地域的な疫学的モニタリングも重要であるという御指摘であったかと思います。ほかはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。事務局におかれましては、今後とも、感染症の定期報告をお願いしたいと思います。
 そうしましたら、議題2「血液製剤に関する感染症報告事例等について」に移りたいと思います。事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料2-1を御覧ください。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について、感染症報告事例のまとめ及び一覧、令和4年6月~8月分になります。1ページ目にまとめが載っています。当該期間に感染症報告があったのは、輸血用血液製剤が11件、血漿分画製剤が6件でした。そのうち、輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は2件、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告は0件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳ですが、HBVが4件、HCVが1件、HIVは0件、その他が4件、このうち、HEVが1件、細菌等が3件でした。
 HBVに関しては、このうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後の死亡の報告を受けた事例は0件でした。HCVに関して、このうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後の死亡の報告を受けた事例は0件でした。HIVは0件でしたので割愛いたします。
 その他の感染症報告事例ですが、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルスの感染報告事例は、先ほど申し上げたHEV感染が1件でした。細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性だった事例は0件でした。そのうち、輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。2~4ページまでに詳細な事例が載っています。こちらの説明は割愛いたします。
 続いて、資料2-2です。供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。項目は2つありまして、供血者からの遡及調査の進捗状況について、また、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況、こちらも令和4年6月~8月分になります。
 1ページ目です。供血者から始まる遡及調査実施状況(HBV、HCV、HIV)に関してです。一番目の表、遡及調査対象献血血液の概要です。こちらは、左側に一昨年と去年のものが載っていて、一番右側が今年4月1日~9月30日の速報値です。調査対象とした献血件数は881件、そのうちHBV、HCV、HIVは、それぞれ754件、121件、6件でした。調査対象とした輸血用血液製剤の本数は942本、そのうちHBV、HCV、HIVは、それぞれ800本、135本、7本でした。医療機関に情報提供を行った輸血用血液製剤の本数は616本、そのうちHBV、HCV、HIVは、それぞれ488本、122本、6本でした。このうち、医薬品副作用感染症報告を行った件数は0件でした。
 2番目の表は、遡及調査対象のうち、プールNAT結果が陰性かつ個別NAT結果が陽性であった献血血液の概要です。こちらはHBV、HCV、HIVともに0件でした。
 2ページ目の3番目の表ですが、遡及調査対象のうち、個別NAT結果が陰性の輸血用血液製剤の投与により、受血者の陽転が確認された事例の概要です。こちらもHBV、HCV、HIVともに0件でした。
 3ページ目は、供血者から始まる遡及調査実施状況のHEVについてです。調査対象とした献血件数が2,011件、調査対象とした輸血用血液製剤の本数は1,334本、医療機関に情報提供を行った輸血用血液製剤の本数は1,052本、このうち、医薬品副作用感染症報告を行った件数は0件でした。2番目の表ですが、遡及調査対象のうち、個別NAT結果が陰性の輸血用血液製剤の投与により、受血者の陽転が確認された事例は0件でした。
 4ページ目からは医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告の状況です。こちらは185件報告されています。
 資料2-1と資料2-2についての説明は以上になります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の先生方から、何か御質問やコメントなどがあればよろしくお願いいたします。回収報告、回収血が非常に増えているということですが、こちらに関して、日本赤十字社のほうから何かあれば御説明お願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤から御説明いたします。回収の理由は、9割以上が新型コロナウイルスに感染したという献血後情報を基にしたものでした。今年6月~8月分ですので、ちょうど第7波が該当します。8月が非常に多く、1か月で123本の回収となっておりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ちなみに、こちらで感染が成立したという事例は1例もないということでよろしかったでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 輸血用血液からの新型コロナの感染という事例はございません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。委員の先生方から、何か御質問等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。そうしましたら、事務局においては、引き続き感染症症例や遡及調査結果の報告をお願いしたいと思います。
 続いて、議題3「各調査会の審議結果について」に移りたいと思います。まず、資料3-1について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局の仲島です。資料3-1について説明をさせていただきます。資料3-1については、令和4年度第2回献血推進調査会の審議結果ということです。当日は議題が2件あり、議題1が、献血推進計画見直しに関する関係者インタビュー、議題2が、輸出に際しての献血者への説明についてということでした。
 1ページの概要に沿って説明をいたします。まず、9月22日(木)14時から会議を開催させていただきました。出席者は委員12名、全員が御出席ということでした。日赤からは2名、参考人として出席していただいたというところです。議事概要ですが、議題1、献血推進計画見直しに関する関係者インタビューとして、令和3年度地方分権改革に関する提案募集事項として取り上げられた「都道府県献血推進計画」の策定義務付けの廃止について、薬事・食品衛生審議会において議論をして、その議論の中で検討するということで、令和4年度中に結論を得るというものです。今回はこの第2回で、各自治体の担当者様に御出席いただいて、御意見を頂き、その質疑を行うということで、今回御出席いただいたのは、県計画の義務付け廃止の提案団体2県、廃止を反対することとしている団体から2県ということでした。委員からの主な御意見としては、国の献血推進計画が年度末付近に告示されてから、「都道府県献血推進計画」が策定ということになっているので、事務負担の軽減を図るべきという御意見と、今後も血液を安定供給していく上で、都道府県、国、日赤の三者が一体となって推進していくためにも、推進計画の位置付け等を国が示すとともに、都道府県と丁寧にコミュニケーションを図るという御意見がありました。
 議題2に進みます。輸出に際しての献血者への説明についてです。事務局より、令和3年度第2回血液事業部会において了承された「令和4年度需給計画」にある血漿分画製剤の輸出について、その輸出に際して事前に献血者の方に説明をする必要があるということで御提案があったことから、調査会のほうで議論をさせていただきました。この第2回調査会では、事務局のほうから方向性を示させていただいたというところです。委員からの主な意見として、輸出に際して献血者に理解を求めるに当たり、「国内自給と安定供給の確保に支障の生じない範囲内で」という文言は明記すべきという御意見がありましたので、それを入れさせてもらい、日赤のほうで、その後の検討をしていただいているというところです。資料の説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。地方分権改革についての話と、輸出に際しての献血者への説明についてということですが、委員の先生方から、御質問やコメントなどがあればお願いいたします。よろしいですか。この地方分権改革に関しては、賛否両論が地域によってあるようです。各地方自治体と、現在の日本赤十字社のブロック別での体制とは少しだけ違うわけですが、この地方分権に際して、現場での連携というものが非常に重要かと思います。これに関連して、日本赤十字社として、どちらが適しているとか、難しいとか、何かあるように思いますが、どのようなお考えで取り組まれているのかというのを御説明いただければと思います。こちらに関していかがでしょうか。鹿野参考人、お願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。今の御質問ですが、事業計画を立てる上で、これまで通り進めていただくことで問題ございません。事業は各都道府県を含め7ブロックを対象に対応していくという状況があります。その中でも、やはりブロック内でも地域格差はあるものの計画は、各都道府県と連携しながら対応しているかと思います。ブロック単位ということで事業を進めていくという御理解を頂きながら、事業計画は市町村であったり県を含めて御理解を頂きながら進めているといった状況でございます。
○田野﨑委員長 この地方分権のほうに進めることにおいて、日本赤十字社としては非常に困るとか、何か大きな課題があるとかというのは、今のところないということでよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。特に問題や課題があるということはないのですが、計画を立てる上で、スケジュール等も含めて、しっかり国と協議しながら進めなくてはいけないのではないかというようには考えております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
○仲島血液対策課長補佐 よろしいでしょうか。この地方分権ですが、都道府県計画を策定する上で、まず必要になってくるのが、地方の日赤の受入計画の作成です。それは、都道府県単位、県を1つの単位として作成するというところが法律上で決まっておりますので、そのブロック単位でというのもありますが、あくまでも県での計画というのも必要になってくるというところで、補足をさせていただきたいと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。うまく連携して進めていただければと思います。ほかになければ、資料3-2について、事務局より御説明をお願いいたします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局の仲島です。資料3-2について説明をさせていただきます。資料3-2については、第3回の献血推進調査会の結果ということです。当日の議題については5件あります。議題1が、令和5年度の献血の推進に関する計画(案)について、議題2が、献血推進計画の在り方について(案)、議題3が、新たな献血者シミュレーションについて~2035年度を見据えて~、議題4が、輸出に際しての献血者への同意説明書(案)について、議題5が、その他として令和4年度上半期モニタリング結果についてということでした。議題2と議題4が、第2回の推進調査会の結果を基に開催されているというものになります。
 1ページの概要に沿って説明をさせていただきます。開催日時については10月24日(月)14時からということでした。出席委員については、当日1名の先生が御欠席であったというところです。日赤からも2名出席いただいたところです。議事概要の説明をさせていただきます。議題1が、令和5年度献血推進に関する計画(案)についてということです。先ほどの地方分権にも関係してくるのですが、5年度の献血推進計画について、調査会のほうで確認をしたというところです。この調査会では、目標量までは入っていないのですが、普及啓発であったり、その他の重要事項について御議論いただいて、中身について確認いただいたということです。委員からの主な意見としては、原案で了承、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、献血に遠のいた方への働き掛けが必要ではないかという御意見がありました。
 続いて議題2、献血推進計画の在り方についてということです。先ほどの9月に開催した調査会の結果を踏まえて、事務局から案を提示させていただいて、それを御議論いただいたというところです。その中で、委員からの主な御意見としては、事務負担の軽減を図る見直し案については、第2回の調査会で意見を伺った都道府県の意向が反映されている、更に全ての都道府県にも確認する必要があるのではないかという御意見、都道府県推進計画の事務手続の簡素化に向けて、国の献血推進計画を早期に施行する仕組みが必要ではないかという御意見を頂きました。
 続いて、議題3です。血液需給将来予測推計として、日本赤十字社から、2035年度を見据えた輸血用血液製剤の需給推計、今後の対策と取組を示し、議論したというところです。委員からの主な御意見としては、2035年度に大幅な献血者の不足が見込まれることに対して、改善策を考える上で、「ラブラッド」会員を増やす取組ということが1つ、あとは、献血血液の確保に関して、学校教育への指導案の提示等を行うよう働き掛けがあったというところです。
 議題4、輸出に際しての献血の同意説明書(案)についてです。こちらについては、第2回で考えさせていただいたものに対して、日赤のほうから案を示していただいたというところです。委員から頂いた主な御意見としては、同意説明書への記載事項について、研究用と輸出用で分ける必要性があることについて理解したということでした。今回の調査会での議論を踏まえて、引き続き厚労省と協議をしていただきたいということで、今、引き続き協議をさせていただいているところです。
 議題5、その他です。事務局より、上半期モニタリング結果、ここで「献血推進2025」でモニタリングをするということに当たり、今年度の上半期分の報告をさせていただいたというところです。委員からの主な意見はなかったということです。説明のほうは以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。ただいまの御報告と御説明について、委員の先生方から、何か御質問やコメントはありますか。そうしましたら、私から質問します。日本赤十字社から2035年度予測というのが出されていますが、2025年度予測というのもあって、なかなか達成が難しいところもありましたが、2030年を飛び越して2035年度予測というようになっています。2030年予測というのは、もう少し小刻みにする必要はないのかと思いますいますが、どうして2035年なのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。「献血推進2025」を含めて、10年後はどのような推移になるのかということを含めて、各年度ごとには推計はしているのですが、一応10年後ということでシミュレーションを立てていたという状況です。今後、2040年も含めて、2040問題もありますので、検討をしながら進めていきたいと考えております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。実際には原料血漿の問題とか、こちらについても、これまでも日本赤十字社とほかの企業の方々と、少し予測の幅が違っていたり、幾つか議論があったと思いますが、その辺については。あとは、これからも、血小板細菌のスクリーニングや何かを新たに入れたりとかというようなことが多分あると思うのですが、そういういろいろな要因が入ってくると、少し。それも含めた形での2035年予測というように理解してよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。2035年の今回の予測は、2021年度の新型コロナウイルスの感染症も含めて、需要の動向であったり献血者の動向を含めまして、シミュレーションさせていただいている状況です。今、御意見のあった原料血漿や細菌スクリーニングも含めた検証については、随時行っていきたいと思いますが、現状の2021年の状況を踏まえてシミュレーションをさせていただいたという状況になります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。何か、委員の先生方から御質問があればと思いますが、よろしいでしょうか。そうしましたら、続いて資料3-3について、事務局から御説明をお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料3-3を御覧ください。令和4年度第3回安全技術調査会の審議結果について御説明します。当日の資料が全部付いていますが、1~3ページが概要になりますので、本日はこちらを説明いたします。
 令和4年度第3回安全技術調査会が、令和4年10月25日(火)15時から17時に開催されました。出席者は御覧のとおりです。議事概要です。議題1、感染症安全対策体制整備事業について、国立感染症研究所の水上参考人より御発言いただきました。2021年度の成果としましては、令和2年度に開発したSARS-CoV-2に対する高感度核酸検査法を発展させて、複数の高感度Primerを組み合わせたMultiplex高感度核酸検査法を開発したこと、また、SARS-CoV-2核酸検査法のための変異株参照パネルを構築したこと等が報告されました。2022年度は、ジカウイルス・チクングニアウイルスに対する高感度核酸検査法の国内標準品の整備等に取り組む予定であると報告されました。これに対する委員からの主な御意見です。2022年度の事業において実施予定とされている、ジカウイルスに対する検査法の国内標準品の整備ですが、米国においては、ジカウイルスについて、血液上の安全性の監視の必要性が低いとする報告もありますので、ジカウイルスよりもデングウイルスについて優先的に対応したほうがよいのではないかという御意見がありました。
 続いて議題2です。NATコントロールサーベイ事業について、同じく国立感染症研究所の手塚参考人より御発表を頂きました。2021年度の成果としましては、HBV、HCV、HIV-1、HEVの4ウイルスパネルを用いたNATコントロールサーベイを実施しまして、その結果、全施設において、4ウイルスNATの精度管理が適切に実施されていることが確認されたと報告されました。2022年度は、血漿分画製剤の原料血漿プールのNATを実施する施設を対象に、NATの精度管理の実情把握を目的としたNATコントロールサーベイを実施する予定と報告されました。
 続いて議題3です。日本赤十字社のヘモビジランスについて、日本赤十字社より御発表を頂きました。2014年の個別NAT導入以降、輸血後の感染疑い例の年間報告件数は100例以下が続いています。2021年に発生した輸血による感染症は、HBV感染の2例でした。また、2020年に報告された輸血副作用は約2,800件で、非溶血性副作用が大半を占めていました。非溶血性副作用の約4分の1が重篤であり、分類別では、重症アレルギーや呼吸困難が多数を占めました。非溶血性副作用の残りの4分の3は、軽微のアレルギーや発熱が多数を占めました。この議題についての委員からの主な御意見です。輸血後HBV感染症例、受血者の例から、原疾患等の治療中に輸血した患者については、各種治療の影響を受けて、ウイルス感染から検出までに期間を要する可能性が考えられるので、従来の考え方よりも更に長期間にわたって、輸血後フォローをする必要があるのではないかという御意見を頂きました。
 続いて議題4、新型コロナウイルス既感染者の採血制限についてです。新型コロナウイルス既感染者の採血制限については、令和3年度の安全技術調査会での審議結果を踏まえまして、令和3年8月に、「症状消失から4週間」と定める通知を発出しました。併せて、「少なくとも1年ごとに本通知の適切性を評価すること」ということも説明してあります。これを踏まえまして、令和4年度第3回安全技術調査会では、この通知から1年がたとうとしていることから、再度、評価を行っていただいたことになります。結論としては、新型コロナウイルス既感染者の採血制限については、変更しない案が了承されました。議題4についての委員からの主な御意見です。現状での採血制限の変更は不要であるものの、血小板製剤に関しては有効期間が短いため、次の新型コロナウイルス感染拡大が起こった際には供給不足が起こる可能性も考えられます。成分献血については、2週間間隔で献血可能ということもありますので、供給不足になった場合に備えて、採血制限期間の短縮案を今のうちに検討しておくほうがよいのではないかという御意見。もう1つ、地方の病院の先生から、地方の病院においては、コロナの感染状況がやや落ち着いている今の状況でも、血小板製剤の供給が逼迫している印象があるので、日赤においてシミュレーションをする際には、少し厳しめな検討をしてほしいという御意見を頂きました。安全技術調査会の審議結果についての説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の先生方から、何かコメント、質問などはございますでしょうか。よろしいでしょうか。先ほど、感染症の安全対策体制整備の事業のところで、ジカウイルスの体制を、今、整えられていてということでしたが、先ほどの文献にもデング熱の話がありまして、デング熱に関しては、いざというときには体制がとれるような形になっているというのでよろしいでしょうか。日本赤十字社からコメントを頂ければと思います。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。実際にできているこの試薬を用いてスクリーニングをするとなりますと、更に詳細な準備が必要ではありますが、この試薬ができていること自体は大変有り難いことだと思っております。ただ、それをどのような状況で入れるかについては、慎重な判断が必要かと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。武田委員、お願いします。
○武田委員 武田です。よろしくお願いします。今の議題4の新型コロナウイルス既感染者の採血制限についてです。委員の方から、血小板製剤について少し危惧されるような御意見が出ていますが、血小板製剤の供給について、今、どういう状況かというところを、日赤から少し御説明いただけますでしょうか。
○田野﨑委員長 よろしくお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤からお答えします。血小板製剤の供給が特に厳しい、ものすごく厳しくてかつかつの状態であるという状況ではありません。もちろん、先ほど回収事例がありましたように、新型コロナの影響を全く受けないわけではありませんが、予約された製剤に関しては遅滞なくお届けできるように、採血のほうも努力しているところです。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。実際のところ、コロナ禍でありましても、献血の人数は増加しているという実績もありますので、うまく対応ができているとは思いますが、本当に緊急事態になったときの対応というのも、先日、大隈班で既に少し議論をしたりもしていましたので、そういう意味では、何かしらの対応というのは、今のうちに準備をしてというのでよろしいかと思います。では、よろしいでしょうか。ほかに何か御意見等があればお願いしたいと思いますが。どうもありがとうございました。
 最後に、議題4「その他」ですが、事務局から何かありますでしょうか。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。特にございません。
○田野﨑委員長 はい。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 実は、赤血球液の有効期間が3週間から4週間になったという連絡が赤十字社から来たのですが、カリウムが増加しないように、何か製造上の改良等は行っているのでしょうか。
○田野﨑委員長 日赤からお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。それにつきましては、こちらでは特に新しい手段を講じたということはございません。以上です。
○岡田委員 多くの製剤は、恐らく3週間ぐらいで使い切ってしまうかと思うのですが、場合によっては、一部の製剤は4週間ぎりぎりまで、採血から4週間後に使うようなことがあると思うのです。その場合に、採血してすぐ照射をすると、結構カリウムが増えたりとかするかと思うのですが、その辺の検討はされているのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 カリウムについては、こちらで十分に検討していまして、基本的には、4週間に延びましても、やはり早い時期に輸血をしていただくのが基本かと思います。あとは、患者さんが小児ですとか、あるいは大量の、ほとんど全血の交換になりそうな輸血、そのような場合に注意を頂くことが、添付文書にもその旨が書いてありますので、その辺を御注意いただくことが大事かと思います。日赤としては、新たに製剤に何らかの変更を加えたということはございませんでした。以上です。
○岡田委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。これは、私からですが、赤血球製剤の期限を延ばすことによって、細菌感染についてはそれほど問題にはならない、赤血球の品質の問題、細胞障害の問題ということになるのかなと思います。これは、自己血などは5週間にもなっていますが、今回1週間だけ延ばしたということで、今後更に延ばすことも検討された上で4に決めたのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。いえ、そういうことはございません。一応、多くの先生のいろいろな調査や研究で、1週間延ばすことによって、どれだけその効果、すなわち、医療機関での廃棄が減るかというところで、1週間延ばせば90%ぐらいは廃棄が減るのではないか、そういう意味では、十分1週間で効果が得られるだろうということで、1週間というのは決められたということです。あとは、先ほどありましたカリウムのこととか、溶血のことがありますので、そういう意味では、それ以上延ばすことは現在は考えておりません。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。いずれにしても、十分、安全域の中で少し延ばされて、それで、今後とも副反応がどのようになっていくかを観察していくということかと理解しました。ほかはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見はございますでしょうか。なければ、それでは、議事進行を事務局に戻させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途、御連絡差し上げます。これにて、血液事業部会令和4年度第3回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。

(了)