薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第1回適正使用調査会議事録

日時

令和5年1月23日(月)14:00~16:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員:(13名)五十音順、敬称略 ◎座長


東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学科:敬称略

  • 田中 朝志

青森県立中央病院:敬称略

  • 北澤 淳一

群馬県赤十字血液センター :敬称略

  • 坂倉 慶太

群馬大学医学部附属病院 輸血部:敬称略

  • 横濱 章彦

大垣市民病院 血液内科部:敬称略

  • 小杉 浩史

国立大学法人佐賀大学 医学部:敬称略

  • 末岡 榮三朗

日本赤十字社:敬称略

  • 松田 由浩
  • 杉山 朋邦
  • 日野 郁生

事務局:

  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 仲島 昌司   (血液対策課長補佐)
  • 有田 創    (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.血液製剤使用実態調査について
  2. 2.血液製剤使用適正化方策調査研究事業について
  3. 3.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 
○有田血液対策課長補佐 定刻となりましたので、血液事業部会令和4年度第1回適正使用調査会のweb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、webでの審議とさせていただきます。本日のweb会議における委員の出席についてですが、現時点で適正使用調査会委員13名全員の出席を頂いていることを報告いたします。また、三谷絹子委員が新たに委員に就任されましたので、御紹介いたします。
○三谷委員 獨協医科大学の三谷です。数年ぶりに適正調査会に復帰いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 本日は参考人として、東京医科大学八王子医療センター臨床検査医学科准教授の田中朝志先生、青森県立中央病院新興感染症対策監の北澤淳一先生、群馬県赤十字血液センター事業部学術情報・供給課学術係長の坂倉慶太先生、群馬大学医学部附属病院輸血部部長の横濱章彦先生、大垣市民病院血液内科部長の小杉浩史先生、国立大学法人佐賀大学医学部長の末岡榮三朗先生に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部から松田由浩経営企画部次長、杉山朋邦経営企画部供給管理課長、日野郁生技術部安全管理課長に御出席いただいております。
 続いて、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告いたします。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上にマル1議事次第からマル9資料2-3までのPDFファイルが表示されているか、御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声がけください。
 本日はwebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、座長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを確認の上御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は座長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。また、本日のweb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。
 なお、事務局の異動がありましたので報告いたします。血液対策課長補佐の仲島が、菅原の後任として着任しております。また、先ほどから説明しております、私、血液対策課長補佐の有田が、佐野の後任として着任しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を半田座長にお願いいたします。
○半田座長 皆様、こんにちは。まず、今までの説明に御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、早速議事に入ります。議題1、血液製剤使用実態調査についてです。事務局から、本事業の概要についての説明をお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。「血液製剤使用実態調査」については、血液製剤の適正使用の推進に必要な方策を検討するため、医療機関の血液製剤の管理体制、使用状況など、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、日本輸血・細胞治療学会に委託して実施していただいている調査になります。当該調査の結果等については、本日お越しいただいております田中参考人、及び北澤参考人より発表していただきます。
○半田座長 ありがとうございました。それでは、資料1-1、資料1-2について、田中参考人、北澤参考人から、続けてそれぞれ10分ずつ御説明をお願いします。どうしても長くなりがちなので、時間を厳守していただいて、ディスカッションに重きを置きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず田中参考人より資料1-1についてよろしくお願いします。
○田中参考人 参考人の田中からは、まず医療機関における血液製剤の適正使用について調査した結果を説明いたします。今回は、2021年度に日本赤十字社から輸血用血液の供給を受けた9,357医療施設を対象といたしました。調査内容としては、2021年度、1年間の血液製剤の使用状況、並びに輸血管理・実施・評価体制などについて調査、分析した結果を報告いたします。
 まず、2ページ目の図2を御覧ください。こちらで、輸血の調査回答率の年次推移を示しております。2014年以降はほぼ同じで、約50~51%台の回答率で、今回2021年度の調査についても51.01%と同様の回答率でした。図1では、輸血実施施設の病床群別の分布と回答率を示しております。これも例年と同じですが、500床以上の大規模施設では約90%の回答率ですが、病床の規模が小さくなるほどに回答率は下がり、一番小さい0床規模では約4割という回答率です。
 輸血部門で業務と考えていることを示しますので、図3を御覧ください。こちらでは、300床以上の中規模、大規模病院の結果を示しておりますが、輸血療法に伴うインシデントの把握、輸血療法に伴う副反応の把握と対策、輸血関連情報の伝達、適正な院内血液製剤在庫量の検討、輸血検査項目の選択と精度管理、並びに輸血の使用状況調査については、ほぼ8割以上の施設が業務と考えておりました。血液製剤使用基準遵守の事前評価と事後評価については、300-499床で約40%、500床以上で55%程度が、業務と考えていました。
 続いて図4を御覧ください。病床規模が少なくなると輸血部門がない施設が増えて、0-19床までの施設では、ほぼ9割の施設が輸血部門がないと回答いただきましたので、小規模においては20ベッド以上の施設についての解析結果を図5で示します。輸血部門で業務と考えていることは中規模、大規模病院とほぼ同じですが、小規模では、適正な院内血液製剤在庫量の検討のみ、各病床群で業務と考えていた比率が低い状況でした。血液製剤使用基準遵守の事前評価、事後評価を業務と考えている比率は、4割前後でした。
 続いて、輸血部門で適正使用の評価を業務と考えている施設の特徴を示します。この特徴を調べるために、輸血管理体制や輸血適正使用推進に効果があったものや適正使用に関して連携している部門について分析した結果を示します。それが図6、図7、図8です。カイ二乗検定で有意差が見られたものを*で、*1つが5%以下の有意水準、2つが1%以下、3つが0.1%以下の有意水準を示しております。見ていただいて分かるとおり、細かいことは省きますが、病院機能評価や輸血機能評価の受審率は、適正使用の評価を業務と考えている施設で高く、その他、適正使用に必要なこととして最新の使用指針の提供や輸血管理料の改定、外部監査の活用などを挙げている施設が多いという結果でした。連携部門としては、看護部門、薬剤部門、診療部門、手術部門との連携率も高いことが示されました。
 小規模施設での輸血管理体制と適正使用の評価を業務として考えている施設の特徴も示します。図9を御覧ください。0-19床までの施設では、輸血検査体制がほぼ院外委託されていて、検査技師の方もほぼいないという状況でしたが、20床を超えると、検査技師の方が検査をしている体制が増えて、200ベッドを超えると、24時間体制の施設も増えてくる状況です。図9の右側の図を見ていただきますと、輸血管理体制もよく分かるのですが、20ベッドを超えますと、輸血担当技師、輸血責任医師、輸血療法委員会などのある比率が50%を超えてきて、200ベッドを超えると、9割の施設が3つともあるという状況でした。
 小規模施設での輸血管理体制の特徴を図10に示しております。輸血責任医師や臨床検査技師、輸血担当技師あるいは輸血療法委員会があるという施設では、輸血適正使用の評価を業務と考えている施設の比率が多いという結果でした。また、連携している部門も、看護部門、薬剤部門との連携が多いですし、病院機能評価も、適正使用の評価を業務と考えている施設では、受けている比率が高いという結果でした。
 次に、適正使用推進の現状と地域の医療連携について示します。図13を御覧ください。適正使用について、院内に輸血関連職種がいない場合には地域の医療連携を要望されるかなと思って聞いてみたのですが、意外なことに、小規模施設でこの医療連携の希望は少なく、15%程度でした。
 適正使用推進についての問題点を、図14に示します。多くの病院で問題と捉えていたのは、多職種の関与がルール化されていないことや、適正使用推進の責任者が不明確であるということでした。病院の規模により、小規模で多かったのは、適正使用について検討する機会がない、大規模病院で多かったのは、担当医師の専門分野外での知識不足ということでした。
 続いて、輸血管理料の適正使用加算が適正使用の評価を反映しているかを調べたものが、図15~17です。一言で言いますと、500床以上の施設での適正使用の加算については、適正使用の評価をしている、していないが余り反映されていないということです。特に図16ですが、肝移植をしている施設では、適正使用の評価をしていてもなかなか加算を取れていない施設が多いという状況でした。また、図17では、心臓大血管手術や造血幹細胞移植、血漿交換の件数の多寡と加算のありなしを比べてみたのですが、それらの治療法の件数が多い所では加算が取れない施設が多いという状況が見受けられました。
 考察ですが、全体をまとめますと、輸血部門の血液製剤適正使用を推進するためには、適正使用の意識を高めて、院内各部門との連携強化が図れるような体制整備が必要と考えられ、それらを支援するための外部評価システムの導入や適正使用加算の見直しも検討すべきと考えられました。以上です。
○半田座長 簡潔な発表で、ありがとうございました。続いて、北澤参考人に資料1-2の説明をお願いいたします。
○北澤参考人 青森県立中央病院の北澤です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは資料を御覧ください。私が与えられましたのは、へき地・離島における輸血医療体制ということで、令和4年度の血液製剤使用実態調査報告の中での抜粋となります。
 へき地とは、「無医地区」「準無医地区」などのへき地保健医療対策を実施することが必要とされている地域という定義になっています。病床規模別の回答施設数及びへき地医療拠点病院の分布ということですが、ここに記載されているとおり、1~299床という300床未満の病院、有床診療所が最も多く、無床診療所から14件、300~499床から7件の回答がございました。図には示してございませんけれども、「へき地医療の中核医療機関であるか」という問いもございまして、その中での回答が73施設、「地域医療支援病院であるか」という問いにおきましては、44施設が「はい」と答えておりました。
 図1を御覧ください。血液センターからの血液製剤の定期搬送に掛かる時間というのは、へき地においては2時間以内が50%で、4時間以内で76%でした。
 図4を御覧ください。輸血管理料の取得状況としては、「算定している」という所は48%だったのですけれども、輸血管理料の内容としましては、輸血管理料Ⅱが84%で、そのうちの60%が適正使用加算も算定しているという状況でした。ただ、回答施設が58施設、これは管理料を取得しているという所です。
 地域の合同輸血療法委員会に参加しているという割合が、実は30%で、その地域の合同輸血療法委員会の中で、「へき地や離島の輸血医療連携について検討したことがあるか」というものに関しては、図7ですけれども、34%という回答でした。また、過去に地域の医療施設へ緊急避難的に血液製剤を供給したことがある施設としましては、「ある」という回答は、126施設のうちの8%ということでした。数としましては、10施設となっております。供給先の施設数としては1施設がほとんどで、多くとも、2施設まででした。図9は、地域の病院から緊急避難的に血液製剤を受領したことがある施設ですが、126施設中12%の15施設で、全て1~299床の施設でした。この緊急避難的な血液製剤の供給・受領のマニュアルは、119施設中13%で「ある」と回答されていらっしゃって、供給・受領のマニュアルは15施設で整備されていたという回答でした。
 以上が、今回の検討から出たデータで、図11は、昨年の適正使用調査会で牧野参考人が資料として出されていたものなのですけれども、Blood Rotationとか、既に研究が多く進んできていることも利用できる地域もあるように聞いております。そのような要望がある施設は15施設で、これらのへき地・離島では、輸血が必要な重篤な病態の患者を受け入れる施設が26施設存在したということなのですけれども、「血液センターに相談した」というのが22施設、それから、「地域の自治体、行政等に相談、要請を行った」というのが5施設という状況です。
 考察としましては、へき地や離島は、やはり通常の医療の範囲からはかなり超えている所のようですので、そういう所でどのようにうまく血液製剤を受渡しして、供給・受領の関係をつくっていくかということに関しては、特に小笠原でも実施されておりましたし、鹿児島や長崎もでしょうか、Blood Rotationとかが田中先生の研究でされているかと思いますけれども、そういう所で用いている方法等を、もう少し広く使えるようになると、使える血液というのも、もしかしたらあるのかなというところです。この中では、昨年と同じなのですけれども、「輸血適正使用地域連携加算」などによって、地域連携の仕組みを行政主導で作っていただければ有り難いということで結ばせていただいております。以上となります。
○半田座長 北澤参考人、ありがとうございました。それでは早速、質疑応答に入りたいと思います。2つの御報告を頂いたのですけれども、田中参考人から説明いただいた資料1-1の実態調査、全国調査の内容について、まず御意見あるいは御質問を頂きたいのですが、いかがでしょうか。薄井先生、その次に、喜多村先生にお願いしたいと思います。それでは、薄井先生から。
○薄井委員 慈恵医大の薄井でございます。田中先生がお示しになった図15~17は、結構驚きというか、非常に輸血を使っている施設で、適正使用加算算定ができないというようなことだったと思います。私の分野で言いますと、造血幹細胞移植をやっているほぼ半分ぐらいの所が加算がないということで、先生が最後にお示しになった適正使用加算の規定というのでしょうか、その辺の見直しというのは非常に大事なことなのではないかと思っています。先生、具体的にはどのような形で算定ルールを見直せばいいか、その辺のところを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中参考人 これはあくまで私見でございますけれども、やはり今の適正使用加算は適正使用の取組を反映していない点があります。私が出したデータは、ほんの一部ですけれども、特に、先端的な心臓大血管手術、造血幹細胞移植、肝移植、血漿交換もそうですけれども、そういった血液製剤、特にFFPやアルブミン製剤などをたくさん使う医療を多く手掛けている施設は、適正使用加算が取りづらい状況があるということは把握できましたので、適正使用加算の数値基準を変更するか、あるいは、別のやり方で適正使用加算というのを考えていくかだと思います。いずれにしても、血液製剤の使用実態調査データがありますので、そこをもう少し踏み込んで解析した上で、何らかの案を提示できればと考えている次第でございます。
○薄井委員 ありがとうございます。来年度に診療報酬の改定がありますので、是非、そこに向けて、適正使用の加算が取れるような工夫をしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中参考人 ありがとうございます。
○半田座長 薄井委員、ありがとうございます。次は喜多村委員、お願いします。
○喜多村委員 大阪市こころの健康センターの喜多村です。私からは田中参考人への御質問になります。まず、回答率でいくと、病床数の少ない施設は回答率が悪いというのが直線的に見られるのですけれども、お示ししていただいたデータで、適正使用の評価を業務と考えている施設での特徴、図6~11でしょうか、その辺りは適正使用の評価を業務と考えている施設と考えていない施設を比較して検定されているのですけれども、考えている施設の特徴を捉えようということであれば、この集計の仕方では分かりにくいです。幾つか疑問点があるのですけれども、300-499床と、500床以上に分けて集計されているデータと、300床未満の小規模施設で集計されているデータの項目が、ちょっと違いますよね。この項目が違っている理由は何かということと、その特徴を捉えようとしているのであれば、項目間の比較をしたほうがいいのではないかと思った次第です。解釈が間違っていたら、その辺も御教示いただければ有り難いと思います。
○田中参考人 御指摘ありがとうございます。300床以上の規模と300床未満の規模で分けたのは、やはり輸血管理体制とか輸血の使用状況がかなり違っているので、それぞれ規模に応じて解析したほうがいいのだろうと思って、このように群分けしました。
 今回お示ししたのは、輸血適正使用の評価を業務と考えている施設と考えていない施設で有意差があった項目を挙げていまして、小規模でも大規模でも、ほとんど同じ項目は解析しています。ただ、有意差がない項目は、あえて御提示しなかったという状況でございます。
 ほかに項目間の比較をということで、それもおっしゃるとおりで、多重解析とか、いろいろな解析をすべきなのですけれども、このデータを頂いてから1か月以内に、この資料を提出しなければいけないという期限があるので、そこまで手が回らないというのが、正直なところでございます。お時間を頂けるのであれば、項目間の比較というか、多重解析等もできればと考えております。ありがとうございます。
○半田座長 喜多村委員、よろしいでしょうか。
○喜多村委員 有意差のある項目だけを挙げておられるということで、納得しました。どうもありがとうございました。
○半田座長 引き続き、統計上の処理は、是非やっていただければと思います。西脇委員、どうぞ。
○西脇委員 名古屋大学の麻酔科の西脇でございます。適正使用加算の算定について、同じことなのですけれども、実際に肝移植とか心臓移植、あるいはそういった大量出血の対応をしている所が取れていないというところは、私どもの施設もそうなのですけれども、最近は、赤血球とFFPと血小板は1対1対1というようなものが輸血に適正であるということも言われているわけなので、これは是非、早急に見直すべきと思っています。具体的にその見直し基準について、現時点で何か調査とか取組はあるのでしょうか。その辺を教えてください。
○田中参考人 ありがとうございます。現状では、まだ具体的な取組をするところまでいっておりません。ただ、この適正使用加算は、かなり前に基準が決められてから長い間、改定されておりませんので、改定をしたほうがいいという認識はあるものの、具体的なデータの解析までは着手できていない状況でしたので、先生方の御意見を踏まえて、これから具体的にデータ解析などをやっていければと考えております。
○西脇委員 是非、早急にお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございます。
○半田座長 ありがとうございました。三谷委員、どうぞ。
○三谷委員 獨協医大の三谷です。図5に関する質問でございますけれども、真ん中ぐらいに適正な院内の血液製剤在庫量の検討の有無を病床数別にお示しになっているのですが、20床未満の病院ですと、ほとんどされていなくて、20-100床未満の所でも、3割台ぐらいしか検討されていないということです。こういう小規模病院での実際の在庫量というのは、どのようになっているのかということと、将来的には、検討が難しい小規模病院について、適正な在庫量の考え方等に関して、国なり学会なりが提示したらよろしいのでしょうかという御質問です。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。ここも詳しくは解析していないので、あくまで私見なのですけれども、特に小規模にいくほど在庫量の検討がされていないというのは、恐らく在庫を置いていない施設が増えるからではないかと考えています。0床規模、診療所レベルでは、まず置いていないでしょうし、それ以上の20床とか100床ぐらいでも、やはり輸血の使用頻度が少ない所では置いていなくて、必要時に発注しているから在庫がないので、検討はしていないと、多分、そのような状況ではないかと考えています。
先生の御提示のとおり、やはり小規模病院は、なかなか実態の把握が難しいものですから、学会なり厚労省なりが、このぐらい在庫を置いたほうがいいという提案をしたほうがいいと思いますけれども、やはりそれぞれの医療による特徴をふまえる必要があります。私が特に考えているのは、産科で帝王切開をしている施設では、幾ら使用量が少なくて、輸血の頻度が少なくても、やはり在庫を置く必要があるのではないかと。そこでは廃棄率が高いと思うのですが、廃棄率が高くても、産科の患者さんの命を守るために必要な在庫というのもあるかと思いますので、やはり数値だけではなくて、医療の全体像を考えて、何が適切なのかというのを提示できればいいかなと考えております。ありがとうございます。
○三谷委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○半田座長 続きまして、北澤参考人から御説明いただきました資料1-2、へき地・離島での状況について、委員の方々から何か御質問等々はございますでしょうか。いかがでしょうか。今回は実態調査ということで、ある程度の実態が把握できた、ある程度それぞれが納得のいくデータなのかなというところで、先ほどの在庫の問題等々も含めて、ATRとかBlood Rotationというものが1つ有効な方法ではないかという、そういう考察もありますが、いかがでしょうか。これは輸血医療における1つの課題、問題点であるということで、それを実態調査としてやっていただいたということですが、いかがでしょうか。國土委員、どうぞ。
○國土委員 國土です。教えていただきたいのですが、図1の定期搬送に掛かる時間というのがありますが、緊急搬送の時間というのもあるのでしょうか。定期搬送というのはどのようなものなのか、基本的な質問で恐縮ですけれども、教えてください。
○半田座長 いかがでしょうか、北澤参考人。
○北澤参考人 定期配送は、基本的には緊急ではなくて、次の日に普通の定期配送でというときですから、何時何時というもので来ているという、緊急では来ていないということかと思います。へき地であれば道路がつながっていると思いますけれども、離島だと道路はつながっていないので、その辺で、時間はいろいろになっているのかと思います。青森県でも、青森市に血液センターがありますが、マグロで有名な大間まででしたら、夏でも4時間ぐらい掛かりますし、サイレンを鳴らしても、きっと3時間ぐらい掛かるのかと思っています。
○國土委員 そうしますと、緊急でもほぼ同じぐらいの時間が掛かるという理解でよろしいのでしょうか。
○北澤参考人 緊急でもそれほど実際は変わっていないと、多少違うと思いますけれども、変わっていないかと思います。
○半田座長 大変鋭い質問だと思います。緊急搬送の例を統計上で調査はされたのですか。
○北澤参考人 いいえ、されておりません。
○半田座長 なるほど。それでは矢口委員、お願いします。
○矢口委員 矢口です。Blood Rotationのシステムなのですが、非常に良いシステムだなと思ったのですけれども、今回、134施設の回答の中から、この要望があるのが15施設ということで、やはりこの回答になりますと、このシステムを進めていこうというようにお考えになるのか、どのように今後は進めていくべきなのかというところを教えていただきたいと思いました。
○北澤参考人 後ほど田中参考人からも御回答いただけると有り難いと思いますけれども、実際に東京都の血液センター様では、小笠原諸島の所でBlood Rotationというシステムを作って、数年前から実施されております。また、今回、田中参考人と一緒に実施しておりました厚労科研でも、鹿児島県とかでも実施されていたと思いますし、もう1つ、茨城県とかでは、産婦人科の先生たちに御協力いただいてのBlood Rotationというのを、ATRを使って実施したことがあったと思います。今回のデータに関しましては、へき地や離島ということで、少し制限がかかっておりますけれども、もう少し広く拾えると、ATRというのが必要な地域は、例えば東北地方だと今は雪深くて、秋田県の血液センターなどでも、県南のほうには血液を載せたバンがあちこちぐるぐる回っているということもありますので、必要な地域、必要な状況というのは、やはりいろいろ探してみるとあるのかなと考えています。
○矢口委員 ありがとうございます。平時のときからこのようなシステムがもしできているとなると、実際の災害のときなどにも応用ができるのかと思いまして、質問させていただきました。ありがとうございます。
○北澤参考人 すばらしい御意見をありがとうございます。
○半田座長 田中参考人、何か追加でございますか。
○田中参考人 今回、15施設でATRの使用希望があるということですが、調査した対象施設の中では71%ということで、比較的多い比率で希望があったということは言えると思います。あと、ATRは、小型で温度管理ができるような搬送容器赤血球製剤を入れて搬送するのですが、本来、急性大量出血等であれば、赤血球だけではなくてFFPや血小板も必要なので、それらの搬送をATRなどでの対応ができると、より離島の施設側としても要望が増えるのかとも思っております。ですので、ATRはとても良いシステムなのですが、赤血球だけというところで、若干ニーズに不足している点があるのかと考えております。以上です。
○半田座長 ありがとうございました。委員の皆様、ほかに御質問等々はございますでしょうか。それでは、今回、幾つか課題が挙がったと思いますけれども、以後も引き続き御研究をよろしくお願いします。
 続きまして、議題2に移りたいと思います。血液製剤使用適正化方策調査研究事業についてです。まず、事務局から御説明をお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。「血液製剤使用適正化方策調査研究事業」については、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における課題とそれに対する取組について調査研究していただくことを目的としております。各都道府県に設置されている合同輸血療法委員会に主体となってこれを行っていただき、全国で共有することで、効果的な血液製剤の適正使用の方策を推進するものです。今回は、令和3年度に採択された8つの都道府県の取組のうち、3つの都道府県から御発表いただきます。それぞれの都道府県からの発表者は、群馬県から坂倉先生、横濱先生、岐阜県から小杉先生、佐賀県から末岡先生となっております。
○半田座長 それでは、早速、資料2-1について、坂倉参考人、横濱参考人から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○坂倉参考人 群馬県赤十字血液センターの坂倉と申します。私からは、群馬県合同輸血療法委員会で行った、Google Formを用いた外来輸血後副反応調査と副反応への対応について報告させていただきます。
 次ページです。まず、この研究の背景ですが、近年、外来化学療法が盛んになっており、外来輸血は増加傾向にあります。一方、外来輸血の問題点として、患者さんが輸血後帰宅されるため、副反応の把握が困難でして、時に重篤な副反応が見逃され、十分な安全性が担保されているとは言い難い状況です。
 次ページです。ここで、群馬県の外来輸血の実態についてお話しいたします。外来輸血の実態調査の調査概要ですが、対象期間は2020年4月から2021年3月、対象施設は、対象期間に血液製剤の供給があった143施設、回収率は78.3%となっております。まず、今まで外来輸血を行ったことがあるかどうかですが、群馬県では約半数の施設で外来輸血の実績があるといった回答でした。
 続いて、対象期間2020年度の外来輸血の実施状況ということで、施設規模・製剤別の実施状況の資料です。まず、左側の赤血球製剤のグラフと表を御覧ください。赤血球製剤ですが、2020年度1年間で群馬県では44の施設で外来輸血を行っていて、患者さんの数で言うと1,521名の患者さんが外来で赤血球製剤の輸血を行っておりました。右側の血小板製剤のグラフと表を御覧ください。血小板製剤については、県内12の施設、1年間で226名の患者さんが外来で血小板製剤を輸血されておりました。
 次ページです。続いては、2020年度の外来での輸血副反応発生状況です。外来輸血を行った47施設のうち、36.2%に当たる17施設で合計459件の副反応が発生しておりました。左側の症状別の円グラフを見ていただくと、最も多かったのは軽症アレルギーで、61.0%と最も多くなっておりました。続いて、右側の製剤別の円グラフですが、最も多かったのが血小板製剤による副反応で、約半数を占めておりました。
 次ページです。以上、ここまで群馬県の外来輸血の実態についてお話をしました。群馬県では、約半数の施設で外来輸血が行われていて、決して少なくない数の副反応が起きているということから、本研究の目的ですが、外来輸血後の副反応を、アンケート作成・管理クラウドサービスであるGoogle Formを用いて収集し、患者さんと医療者がリアルタイムに副反応を共有できるシステムを新たに構築することで、外来輸血の安全性の向上が図られることを明らかにすることが本研究の目的です。
 本研究の期待される効果ですが、今まで明らかでなかった外来輸血後の副反応の種類や頻度が明らかになると同時に、生じた副反応の早期治療が可能となるほか、蓄積された副反応データを基に、全県的に利用できる外来輸血マニュアルや患者向けの案内の作成をするなど、より安全な外来輸血管理体制を包括的に構築することができます。さらに、患者さんと医療者のインターネットを介したつながりというのは、今後増えることが予想されている在宅輸血への安全性向上にも寄与することが期待できます。
 次ページです。それでは、本調査、Google Formを用いた外来輸血後副反応調査の概要です。調査期間は2021年11月から2022年2月、調査実施施設は群馬県内の血液内科を有する7施設です。調査方法については、同意が得られた患者さんに二次元コードが印刷された説明書を渡すということで、患者さんにお渡しした説明書は資料の右下のほうにお示ししております。そして、患者さんは二次元コードをスマートフォン等で読み取って、Google Formにアクセスして、副反応の有無などを回答していただきました。副反応への早期対応を目的として、患者さんが重篤な副反応と考えられる症状を回答した場合は、輸血実施施設の連絡先と連絡を促すメッセージが画面に表示されるようFormを作成いたしました。
 調査結果です。患者さんの背景ですが、調査に参加した患者さんは24名で、年齢は23~91歳、中央値は72歳です。原疾患は、最も多かったのが骨髄異形成症候群16名で、次いで急性骨髄性白血病2名、再生不良性貧血2名となっております。
 次ページです。この調査期間中に輸血した血液製剤は、赤血球製剤81本、血小板製剤18本、血漿製剤9本の合計108本です。同日における複数製剤の輸血を1回とカウントすると、合計103回の輸血が行われており、回答があったのは78.6%に当たる81回、副反応は2件報告されております。報告があった2件の副反応ですが、赤血球製剤と血小板製剤が1件ずつで、症状は体の痒み、発熱であり、重篤な副反応は報告されておりません。また、副反応への緊急対応を行った症例もありませんでした。
 続いて考察です。今回の調査で、78.6%の輸血に対して副反応に関する回答を得ることができました。今回と同様の調査がなくて、回答率の良し悪しの評価は難しいところですが、実施した輸血回数に対して8割近い回答を得たということは、副反応の報告システムとして一定の有効性を示していると考えられます。また、帰宅後に一定数の副反応が起きていることが分かり、このことから、副反応について患者さんへの注意喚起が重要で、輸血実施施設では帰宅後の副反応への対応を決めておく必要があると思われます。
 今、考察で出てきた、副反応について患者さんへの注意喚起ということで、次ページですが、今回、群馬県合同輸血療法委員会の看護師会において、外来輸血患者向けパンフレットを作成しております。2種類のものを作成しており、日本語版だけではなくて、要望があったので5か国語版、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語ということで、外国語版の外来患者向けパンフレットを作成しております。
 次ページです。一方、今回のようなwebを使った手法や調査そのものの問題点も見られました。どういうところかと言うと、外来で慢性的に輸血を行っている患者さんは一般的に御高齢でして、スマートフォンを使えずに調査にそもそも参加できない患者さんがいらっしゃいました。あとは、アンケートフォーム画面に到達しても見当違いのコメントが入力されていたり、短時間に何回も同じ内容の回答が寄せられていたりと、不適切と思われる回答が見られ、患者さん側の慣れも必要かと思われました。今回は8割近い回答率でしたが、更なる回答率の改善に向けて、原因の調査が必要であると思われました。
 実は、調査期間中に輸血関連循環過負荷(TACO)が1例発生しておりました。しかし、このときの患者さんの回答は「体調に変化なし」であり、副反応なしと回答されていたので、体調が悪いにもかかわらず適切な回答が得られなかった事例が1例あったということで、第三者が介在しない自己回答式のアンケートであるため必ずしも正しい回答を得られないという本調査の根本的な問題点も明らかとなりました。
 最後、まとめです。実施した輸血の8割に対して副反応が観察できる有効なwebベースのシステムが構築できました。こうした患者さんと医療者のwebを介したつながりは、今後増えることが予想される在宅輸血の安全性向上にも寄与することが期待できます。今回の調査で、外来輸血後の副反応が一定数発生していることが証明されました。ただ、改善点としては、回答率の改善に向けての原因調査が必要であるということと、また、本調査の根本的な問題点も明らかになったということで、調査方法の改善も必要であると思われました。以上、報告です。
○半田座長 坂倉参考人、ありがとうございました。ただいまの御報告に関して質疑応答、委員の皆様、いかがでしょうか。外来輸血、最近では自宅での在宅輸血という。國土委員、どうぞ。
○國土委員 國土です。大変すばらしい取組をありがとうございました。方法について確認させていただきたいのですが、患者さんが輸血して自宅に帰って、何かあったらwebベースで入力するのでしょうが、それを医師側はどういう時点で確認するのか。このスライドを見ると、リアルタイムで確認して対応するというようなことが書いてあるのですが、実際にはどのようにやられたのでしょうか。
○半田座長 坂倉参考人、いかがでしょうか。実際にwebの回答はいつ閲覧して、それに対して医療者がどういう反応をするかというのは、非常に大切な問題だと思うのですが、その辺の時間的な問題というのは、今回の調査ではどういうものだったのかという御質問です。
○國土委員 ちょっとオンライン診療のような対応に読めたので質問しました。そういうものではなくて単なる学術的な調査なのか、そこがちょっと引っ掛かりました。
○半田座長 はい。横濱参考人、お答え願えますか。
○横濱参考人 群馬大学の横濱と申します。この研究の研究代表者を務めさせていただいております。実際は、患者さんには、御自宅にお帰りになったときに、とにかく1回入力してくださいと。その後、何か変化があったら更に入力ができるようになっておりますので、そういう形で、取りあえず1回、一報を入れてくださいという形にいたしました。実際に医療機関が見るのは、時間があれば多分その夜とか、あるいは次の日の朝とか、そういう形になるということと、重要なものに関しては、電話番号が出るので電話が掛かってくる形になっておりますので、それ以上リアルタイムというのは、逆に言えばこの程度のリアルタイムの調査ということです。よろしいでしょうか。お答えになっていますか。
○國土委員 ありがとうございます。純粋に調査であればいいと思うのですが、そういう少し介入が入るというか、オンライン診療的なところがあるのであれば、手続きとしていろいろ整理しなければいけない部分もあるかなと思い、うるさいようで恐縮ですけれども確認させていただきました。
○半田座長 よろしいでしょうか。それでは、喜多村委員、御質問をよろしくお願いいたします。
○喜多村委員 大阪市こころの健康センターの喜多村です。今の御発表のまとめの所で、「輸血の8割に対して副反応が観察できる有効な」と書いてあるのですが、この8割というのは、最初のほうの円グラフの103回の輸血に対して81回の回答があったというところから取られているので間違いないでしょうか。まずその1点と、そうであれば、この合計108本の輸血血液製剤の使用というのは、分母と分子の問題で、うるさくてすみませんが、回答された方に対してなのか、この期間に全ての施設で使用した製剤に対してなのか、ちょっとその辺がはっきりしなかった点が1点です。
 それから、今回、Google Formを使ったほうがいいのか使わないほうがいいのかという評価をするのであれば、使わないとどうだった、使ったらどうだったかという差を見ないといけないと思います。私はもちろんアンケートフォームの内容を確認していないので、先ほどの御指摘にあったような、いつ、どのタイミングでの副反応なのかということをきっちり取られているのでしたら、そちらも是非分析していただきたいと思います。輸血を行ってからどれぐらい時間がたってからのどういう副反応が多いかとかという分布を見ることができるので、そういう分析をしていただきたいと思います。それで、その分析は可能かどうか、可能なフォームになっているかということを検討いただきたい。
 それから、一番心配しているのは、こういうツールを使うことによって、逆に副反応が増えたり、こういうことがあるかもしれないと言われると人間は心配になるので、少しでも軽微な副反応が出たときに副反応の報告をしてきたりとか、発生頻度に影響を与えないかどうか。その辺りも、今後リーフレットとかを作られる際に活用すべきと思われますので、是非、分析をお願いしたいと思います。
○半田座長 ありがとうございました。御質問と御意見を頂きました。今の喜多村委員に対する回答はいかがでしょうか。横濱参考人、どうぞ。
○横濱参考人 群馬大学の横濱です。分母に関しては、今回、登録というか対象となった患者さんに対して行った108回のうち、要するにアンケート調査をお願いした人のうちの8割弱ということです。時間的なものは、正直に言って、この調査では正確には分かりません。記録として残るのは反応した時間だけなので、その前に起こったというぐらいは分かりますが、正確にいつというのは分からないということです。よろしいでしょうか。大丈夫ですか。
○喜多村委員 その場合、いつ起こったとか日時を書くようにはなっていないのですか。
○横濱参考人 日時は分かるのですが、それは患者さんが入力した時間がGoogle Formに記録されるということです。
○喜多村委員 では、患者さんには入力はさせない、いつ起こりましたと。
○横濱参考人 いやいや、入力していただいた時間が分かるということです。要するに、レスポンスを送っていただいた時間が分かるということです。
○喜多村委員 はい。いつ起こったかというのは、患者さんは書く必要はないのですね。
○横濱参考人 そうですね。
○喜多村委員 分かりました。しかし、発生日時をできるだけ正確に報告していただくことは重要なので、それはあったほうがいいと思うのですが、無理ですか。
○横濱参考人 できるのですが、今回とにかく目指したのは、まず、こういうシステムが動くのかどうかというのが一番不安だったので、とにかく簡単にしようというのが頭にあったので、患者さんはポチポチッとボタンを押せば終わるという形にしたかったのです。なので、それはこれからの検討事項だと思います。
○喜多村委員 ありがとうございます。
○横濱参考人 どうもありがとうございます。
○半田座長 それでは、三谷委員、どうぞ。
○三谷委員 ありがとうございます。非常に興味深い試みだなと思って拝聴していました。これもこれからの試みということになるのだと思いますが、今回、回答率が8割弱ということで、高齢者は難しいのかなという印象を持ちますので、今後、高齢者が増えていく中で、全てこのシステムで解決するのは難しいかなという点。それから、今回は血液内科を有する7施設で実施されたということですので、余り小規模病院というのはないのかなと思うのですが、対象になっている原疾患で一番多いのが骨髄異形成症候群という病気なのです。私も血液内科医なのですが、年余にわたって輸血が必要になる患者さんが多くて、大きな病院だけではなかなか診きれないので、場合によっては輸血のできる小規模施設を御紹介することもあるのです。ですので、こういった副作用の調査を立ち上げるに当たって、やはりその後の対応のことも少し考えておかなければいけないかなと思いました。TACOとかTRALIとか重症な副作用が出た場合に、医療連携等を強化して、何らか方策を考えておかないと、申告はしていただけたけれども対応できないということになってはいけないかなと思いました。もちろん、今後の課題です。ありがとうございました。
○半田座長 ありがとうございました。御意見を頂きました。現場の声ということで、非常にすばらしい御意見だったと思います。ほかによろしいですか。
 それでは、次の御発表をお願いいたします。小杉参考人から、資料2-2についてお願いいたします。
○小杉参考人 岐阜県合同輸血療法委員会を代表して、大垣市民病院の小杉と申します。よろしくお願いいたします。頂いた課題は、中小規模病院における血液製剤適正使用推進のためのweb形式を活用した教育支援です。本委員会は、平成24年度にこのような形で発足し、11年を迎えます。適正化推進のために、様々な事業を行ってきました。ところが、ここ2、3年の新型コロナのパンデミックによって、様々な委員会活動や専門部会活動の継続がなかなか困難な事業も発生してきて、新たに現地訪問等々を代替する方策を模索しました。それが、このweb会議システムをどこまで併用あるいは活用できるかというテーマでした。
 2ページを御覧いただきますと、岐阜県合同輸血療法委員会の推進体制を見ていただくことができます。合同輸血療法委員会は、委員会そのものとしては年1回の会合ではあるのですが、その下部組織として、輸血の実務者、医療従事者、多職種の実務関係を使用量上位9医療機関から募り、各施設の施設長、病院長の先生から御推薦いただき、専門部会を構成しております。それに対して、平成24、25年度から、岐阜県における課題を選定し、8つの課題類型を行い、それに基づいて専門部会活動としております。専門部会でまとまったことは、全ての使用量上位30医療機関と協議会を開き、専門部会報告書を委員会に上げて、次年度の方向性を決めるという構成になっております。
 その際、もともと利用されるものとして、対面式の会合以外に、各階層ごとに設けたメーリングリストで情報交換等々を始終動かしながら推進するというシステムです。また、東海四県ではありますが、東海四県輸血療法会議といって、各県の合同輸血療法委員会の方々と各県の活動の情報共有、また、岐阜県においては、設置要綱で特徴的なのですが、県医師会、県薬剤師会、検査技師会の3つの団体の代表に、必ず委員会に入っていただいているという構成になっております。
 3ページを御覧ください。このように、アウトカム指標を適正化推進のために設けております。平成29年までは、一番下の欄にありますように、全体の血液製剤廃棄率の指標を見ると、全体が順調に下がってきたわけですが、平成30年度以降、ジワジワと少しずつ上がり始めました。大規模病院は、いわゆる学会の病院輸血機能評価、I&Aの認証を順次受けていただき、認定技師や認定看護師等々の設置も進めていただいて、適正化が進んでいったと理解しておりますが、平成30年度以降、中小規模病院の中で、残念ながら一部の施設で廃棄率が上下し、どちらかと言うと全体の平均を上げてしまう施設が目立つようになりました。
 合同輸血療法委員会の令和3年度の活動実態は、4ページに示すとおりです。重点課題を定めまして、これが今回採択いただいて、御報告申し上げている課題です。web会議システムを利用した専門部会におけるオブザーバー支援をする、web会議システムを利用した輸血療法委員会への専門部会オブザーバー招聘を行う、web会議システムを利用した施設研修等の実施を行う。特にマル3は、これまでI&A認証が進んだ大規模病院を中心として6、7施設が、全県の医療従事者あるいは輸血の実務者たちを公務として研修に出して、場を提供していただくというシステムだったのですが、これが新型コロナによって、言ってみれば壊滅的な打撃を受けて、web方式の研修を進めなければならないということになったわけです。マル4職種間ネットワークの活用、また、岐阜県医師会を通じた小規模医療機関の支援と言いますか、情報収集等を継続的に取り組みました。
 6ページを御覧ください。当委員会では、こういったWG1からWG9に至るまで課題を整理しており、これらをそれぞれ10年やってきたわけですが、先ほど来申し上げている新型コロナで、現地訪問あるいは対面集合型の会が開けなくなったので、いち早くwebシステムに置き換えられるものはないかということで取り組みました。例えば、WG1、WG2にある課題は、先ほど重点課題として示しました、また、今回の採択事業のマル1、マル2、マル4に該当します。また、先ほど申し上げた病院視察研修ですね。良いモデルを視察研修して、御自身の病院にも良い点を持ち帰って改善に役立ててほしいというシステム、横の連携ですが、本当に現地視察ができなくなりましたので、各施設の状況等々の御報告を、しっかりwebで行っていただいて、それに対して参加者がディスカッションをするという研修方式を用いました。また、現在一部は完成、さらに現在進行形で開発継続案件ですけれども、eラーニングでいろいろなモデル的なビデオ研修、その教材を作成しつつあります。また、WG4が先ほどの重点課題のマル5に当たります。岐阜県医師会の調査アンケートを複数次行っておりますが、その時々の少数設問ではありますが、県医師会に所属している、輸血を実際に使用したクリニック等々に対して、アンケートを行っていただいております。これによって集まってきている過去のテーマも含めて、もう一度2回目、3回目と行ったり、新しい課題を設定したりということで、課題報告となっています。
 8ページが、実際の数量統計のテーマです。御覧いただけますように、平成29年度の大中小規模病院のうち、大中規模病院は順当に廃棄率の改善が進んできたのですけれども、そこを境に、小規模病院群あるいは中規模病院群で、少し上昇傾向が見られました。
 9ページですが、このような課題マル1に該当する活動、10ページにおいては、薬剤師ネットワークにおける薬剤師web研修会、臨床看護師ネットワークにおける輸血看護業務調査といったことです。薬剤師ネットワークは、実は10年ほど前に薬剤師会を通じて100施設ぐらいから回答を頂いて、中小規模病院の中に、直接輸血の発注や受領・検品等々の業務に携わっている薬剤師が結構いらっしゃるということでした。薬剤師が輸血に関する知識を得る場として、どういうものがあるかということをお尋ねすると、やはり輸血学会とのアクセスが余りないようで、主に中小規模薬剤師に知識を持っていただくために、実際に委員会が研修会を開こうということを薬剤師会と共同で決めて、ずっと実施しているものです。
 11ページは、岐阜県合同輸血療法委員会が独自に各病院の適正化推進のためのリソースとなるアイテムをセレクトし、傾斜配点してあります。下の欄にありますが、責任医師任命が専従である、専任である、兼任である等々で傾斜配点をしまして、一番右のスコアが高いほど、適正化リソースが足りていないということを示します。この時点の資料でいきますと、い病院がスコア2で、ほぼ全てのことがそろうという状況ですけれども、一番点数の高い所は27点で、そういった病院と比べて、これらの項目がほとんど満たせていないということです。ですから、自力で適正化を進めるには、ひょっとしたら無理があるかもしれないということで、横からの支援が是非必要だという方向で、廃棄率が上がり始めた頃から、大規模病院はそのまま維持していただきながら、主に中小規模病院、特に中規模病院の底上げを図ることが、当委員の大きな目標になっております。
 そこで12ページを御覧ください。中規模病院で言われている全国平均廃棄率2%を目標値として、スコアが10というのを超えている施設がどうかということを、経時的にスコアを取っております。これを見ますと、平成30年度においては、一応7施設ぐらいが10点以上で2%以上の廃棄率のグループですが、翌年度は4施設ぐらいに低減できております。これが最終的にアウトカムにつながるかというのが、次の課題になるわけですけれども、継続的に調査をしております。
 課題マル3に該当するWG3、病院視察研修の現地視察研修会には、今までは1施設に対して10~30人ぐらいを送っていただいておりましたが、これができなくなったので、令和3年度はweb型の研修会の立ち上げを実施しました。これを発展させて、アフターコロナあるいはウィズコロナ後は、現地研修会プラスweb研修会の併用へ展開していけたらということにしております。
 課題マル5のWG4の岐阜県医師会の調査、小規模医療機関のニーズ把握ということでは、例えば在宅輸血等に関するアンケート調査等を、小規模医療機関に対して複数回行ったりしましたので、こういったことを束ねて、大都市圏とは違い、岐阜県において在宅輸血というのは、まだまだニーズがそれほど高くないという現状がありますが、今後に備えて、大都市型の体制を見習いながら整備するということを話し合っております。
 また、定期刊行物として、専門部会で決めた方針や年度の報告書等々を、各施設の輸血療法委員会に配布したり、認定検査技師を支援するような体制も継続しています。また、専門部会を通じて、輸血に関する学術講演会等々の研修の場、情報を提供するということもやっております。
 18ページを見ていただきますと、岐阜県合同輸血療法委員会がやってきた、各年度の事業の総一覧があります。このうち上から3行目ぐらいから6、7行目までの所が、課題マル4に該当します。施設委員会に実際に専門部会から指名した人たちに行っていただいて、交流を図っていただいて、その質疑応答に答えて支援につなげていただくという活動が、施設委員会オブザーバー派遣というものです。これらの学会のI&Aの視察員、視察実績あるいは自分の施設が視察認証を受けたというような方々が選抜指名されており、ある意味、専門家として病院を代表して、病院からの御質問に対して何とかお答えできるような質を担保しようとしております。
 それから「病院視察研修」と書いてある所は、先ほど申し上げたとおりで、これが一番打撃を受けたものです。これを何とか病院間の横の関係で協業していく、横の関係で出来上がっている合同輸血療法委員会を維持するため、また、効率的に適正化を推進するときの大事なリソースなので、何とかwebで維持できるようになっていったということで、令和3年度は再立ち上げに成功したのではないかと感じております。
 活動総括が19ページにあります。web会議システムに関しては、各施設をweb会議で、委員会を直接中継すると言いますか、交流させていただいております。逆に、専門部会の会議に参加していただくのに、webで参加できる施設を調査し、協力をお願いして参加し、御自身の施設の課題とその解決策を提案していただきました。また、後半の会のときに、その後改善の具合はいかがでしょうかということで、招聘する施設を年度ごとに決めて、webでその継続が可能となっております。先ほど申しましたように、WG3の研修・交流プログラム、職種間ネットワークである薬剤師ネットワークや看護師ネットワークのweb型の開催等々が立ち上がり、2年前に完全停止に追いやられた活動が、何とか再び別の形で開催できるようになってきました。
 最後にまとめです。web会議システムが社会的にも浸透してきており、新型コロナウイルス感染症の収束後も、ツールとして定着することが予想されますので、それぞれの特性をいかして併用し、適正化推進活動の継続に寄与させていきたいと考えております。以上です。
○半田座長 小杉参考人、ありがとうございました。webシステムを利用した活動という意味では、医療全般でもう既にいろいろな分野で行われておりますが、それを輸血分野でも、合同輸血療法委員会を中心にしてやられたという御報告です。それでは委員の方々、ただいまの御報告について何か御意見等はありますか。宮川委員。
○宮川委員 大変興味深いお話をありがとうございました。日本医師会の宮川です。従来の対面式の場合、会議の後に小グループで集まって、いろいろな愚痴などを言い合いながら、地域の現状を理解したり知識を補完するという交流を行うことがありますが、web会議では完全に行うことはできないところがあって、少しフラストレーションが高まるところがあります。先生の所では、従来より各種のメーリングリストがあるということですが、私の場合、小規模のメーリングリストを運用している中で、web会議の開催後にメーリングリストの発言回数が多くなるということがよくあるのです。メーリングリストの頻度が多くなると、メーリングリストの管理人・管理者が非常に重要なパーソンになってくると思うのですが、先生の所では、その部分の変化はいかがだったでしょうか。
○小杉参考人 御質問、ありがとうございます。メーリングリストは、もう10年ぐらいの活用実績があり、いろいろな交流に使ってきたわけですが、正直申し上げて、この新型コロナのパンデミックの間は、病院も結構疲弊していらっしゃって、各部署部署、司司の方たちも、輸血療養委員会活動だけを専従に考えていられないという実態があったように思います。しかしながら、だんだん新型コロナに慣れてきて、慣れてきたというのは少し語弊があるかもしれませんが、相手を知ることができて、病気の理解がいろいろ進むようになって、少しずつ活動が再開されて、ようやく、一昨年のweb会議システムの再開後、少しずつ皆さんのいろいろな意見交換も復活してきたというのが実態です。
○宮川委員 ありがとうございました。
○半田座長 ほかに委員の方々、何か御質問等々はありますか。実際にwebシステムを利用されていて良くなった点というのはいかがですか。例えば、今まで小規模施設はなかなか出席できなかったというところに関して、何か実際に実感としてどういう利点というか、メリットがあったかというのはいかがでしょうか。
○小杉参考人 いつも御指導いただきまして、ありがとうございます。例えば、先ほどの薬剤師研修会というものがありますが、これまでは何とか年1回だけ、委員会主催で開催していました。岐阜県は御存じのように、美濃地区と飛騨地区という、人口集積エリアと比較的過疎化が進んでいるエリアと大きく2つのエリアがあり、この中で、5二次医療圏のうち、これまでは3医療圏からのみ参加が可能だったのですが、webを活用したことで大きく参加者が倍増しました。なおかつ、土曜日開催にもかかわらず、遠方の方々にwebで参加いただけるようになりました。
○半田座長 大変参考になる御報告だったと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後の御発表をお願いしたいと思います。末岡参考人に資料2-3について、御説明をお願いいたします。
○末岡参考人 佐賀大学の末岡です。よろしくお願いします。私どもが頂いたテーマは、パンデミック感染症や災害時におけるへき地や離島での輸血医療の継続のための体制整備ということですが、物理的な体制整備ではなく輸血関連情報や仕組みの整備ということでの体制整備を中心にさせていただいています。
 1ページ飛ばしていただきまして、これまでの活動状況を簡単に御報告します。佐賀県合同輸血療法委員会は2010年度に活動を開始し、現在13回の報告会を経ています。これまで適正化調査研究事業の助成を頂きまして、以下のような内容の活動を行っています。具体的な取組として、例えば真ん中の図にありますような院内輸血療法委員会設置推進用パッケージの作成というものを行ってきました。これは、輸血療法委員会を設置するに当たっての規約案であったり、あるいは同意書のひな型、あるいは適正使用のガイドライン等、こういった輸血療法委員会を立ち上げるに当たってハードルとなっているものを、パッケージとして提供し、そして、なるべく療法委員会の設置のハードルを下げるということを目的に行っています。また、輸血関連検査の教育用のDVDを実録版・アニメーション版と複数作って医療機関に配布したりということで、輸血医療上の技術や知識の均てん化ということに関しても、これまで活動を行ってきました。
 次のページです。今回の研究の背景と目的ですが、COVID-19感染症の拡大によって、これまで当然として医療機関同士が連携をしていたのですが、それが遮断され、医療情報の共有がなかなか困難になってきたという状況がありました。特に輸血医療のような専門性の高い医療活動が、影響を受けるということも分かってきました。そこで今回、在宅や小規模医療機関が輸血医療を実施するに当たって、どのような状況であるのかということを把握した上で、この連携をより密にできるような仕組みを作れないかということで検討を行ったというのが大きな背景になります。
 具体的に行った研究事業に関しては、まず輸血製剤使用状況の調査、どれくらいがコロナの影響を受けたのか、あるいは問題点は何だったのかということを浮き彫りにして、そして連携の状況を把握すること。それから、佐賀県では、医療情報の連携システム、ID-Linkの一種であるピカピカリンクという仕組みが既に動いています。このピカピカリンクの中で輸血情報を共有することができるわけですが、これをどのように使っているのか、あるいは、使っていないとするならば、どういうふうに推進するのかということを考えながら、活動を行ってきました。
 その次のページからですが、まず、コロナ禍における血液製剤の使用状況を、アンケート調査の結果から一部お示しします。アンケート調査の依頼は、輸血を実施している138施設に対して行いました。回答は67施設、回答率48.5%でした。当初、コロナ禍において、かなり患者さんが少なくなり、手術数も減少したという状況を感じていましたので、血液製剤に関しても使用状況はかなり減少したと考えていましたが、アンケート調査の結果からは必ずしもそうではなく、第1波から第4波までの期間だけで見るならば、余り大きな減少傾向は認められませんでした。この傾向に関しては、九州ブロックの調査においてもほとんど同じような傾向を示していたので、少なくともこの1波から4波の間に関しての佐賀県あるいは九州地域における医療機関の血液製剤の使用状況は、大きな変化はなかったのかなということを考えました。
 しかしながら、5ページですが、それぞれの血液製剤の種類において見てみますと、例えば赤血球製剤においては減少したと答える医療機関が増えています。やはり手術数の減少ということは明らかでしたので、その傾向は赤血球製剤には表れたのかと考えています。
 一方、6ページでは血小板製剤について見ています。血小板製剤に関してはどうしても使用する場面、疾患が限られているということもあり、大きな減少を見た施設は非常に少なかったということを示しています。
 7ページですが、自由記載によって、コロナ禍における輸血医療において、困った点あるいは工夫した業務方法ということを記載していただきました。困った点に関しては、特にコロナ禍がスタートした当初においては、コロナ患者さんに対する輸血製剤の受渡し等に関しては、かなりの混乱がありましたし、院内ルールの作成ということで、かなり医療機関は苦労したようでした。また、コロナ陽性となった患者さんたちが手術を延期する、あるいは医療機関のスタッフがそのような状況になり手術が中止になる等で、廃棄となる事例が発生したり、あるいは在庫の管理ということに苦労したという状況も今回のアンケート調査から明らかになりました。これが、コロナ禍が2年目、3年目となるにしたがって、それぞれの医療機関は個別の対応というものを工夫しながら、これまできています。少なくとも今年度の報告では、こういった混乱ということはほぼなくなっているという状況も感じています。
 8ページからは、ICT連携のことに関して御報告させていただきます。「ピカピカリンク」というICT連携は、佐賀県の診療情報地域連携システムの愛称となっています。このピカピカリンクは、2010年に運用を開始していますが、「開示施設」として15医療機関、そして「閲覧施設」として現在は400近くを数えています。それぞれの参加率はここにありますが、病院では既に7割を超えているということで、かなり利用状況としては多くなっています。
 9ページです。これは、ピカピカリンクの中で輸血関連情報を閲覧するときの画面となります。例えば血液型、あるいは不規則抗体の有無、そして、看護師の記録に関しては、輸血実施時のバイタルの変化であったり、副作用の有無等が記載され、これを閲覧することができます。
 10ページに関して、このピカピカリンクによる医療情報の連携ということですが、先ほど9ページに示したように、輸血関連の検査情報であったり、実施後の記録であったり、こういった内容が非常に細かく見られるにもかかわらず、なかなかこれが利用されていないという状況がありました。この理由は後ほど述べますが、この状況を少しでも打破するために、佐賀県診療情報地域連携システム協議会というものがありますが、そこに協力を依頼し、そしてピカピカリンクの広報及び利活用推進のために、この利用のための動画を医療機関に配布しました。それから、輸血実施医療機関へのピカピカリンクの利活用推進依頼に関しては、合同輸血療法委員会の報告会やその他のいろいろな会議体で依頼を行ってきたという形になります。11ページに実際の協力依頼の文書を示しています。
 最後の12ページになりますが、今回の活動で明らかになったこととして、先ほど少し触れましたが、ピカピカリンクというこのID-Linkに関しては、輸血情報を含む医療情報の連携に関しては非常に優れた仕組みだと考えています。しかしながら、開示施設の電子カルテ情報の開示範囲というのは限られていまして、先ほど示したような看護師記録等の開示ができる医療機関はかなり限られていました。そこで、佐賀大学病院も含めて、この開示情報の拡大ということを取り組んできまして、この調査事業を行ったその次の年には、かなりカルテ記事の開示範囲が広がっています。このような医療連携システムの開示内容を広めながら、この利用推進を図っていくということも、今後の活動の方向性として必要かと思います。
 また、そのような情報の共有だけではなくて、輸血医療の標準化・均てん化のためには、血液製剤の使用指針や輸血の実施手順、輸血実施の記録、副作用対応ガイド等、こういった輸血医療に関係する内容に関しては、より密な情報共有、そして、それぞれの医療機関が共通の方向性で進むということが必要だと思いますので、今年度の活動方向では、このような問題点を実施するということを計画しています。以上、御報告させていただきます。
○半田座長 末岡参考人、ありがとうございました。大変すばらしい医療連携システムを使って、その中に輸血情報というものを組み込んでという試みということで、小規模施設や離島・へき地などでも利用できるような情報の双方向の情報交換ができるようになるのではないかと思います。委員の方々、いかがでしょうか。何か今の御発表について、御意見、御質問はありませんか。いかがですか。今日、資料1で御発表いただきました田中参考人、あるいは北澤参考人、何か今のことについて御質問などはありますか。せっかく出席いただいていますので、何か御質問でもあれば、いかがでしょうか。委員の皆様はいかがでしょうか。
 可能性はいろいろとあると思いますが、これをどういうふうに適用していくかというところです。末岡参考人、これについては、先ほどの輸血副作用の問題、あとは、へき地・離島との問題がありますが、それをこのシステムによってどういうふうに解決というか、改善していく何かアイディアなどはありますか。
○末岡参考人 この仕組みでできるのは、輸血関連の情報の共有、例えば、先ほど言いました血液型であったり、不規則抗体の有無だったり、あるいは輸血時の副反応の内容や程度であったりということは、確かに共有できるのですが、実際に輸血をする場面の連携というのは、この仕組みだけでは不十分です。例えば、実施の手順、あるいは実施期間中の状況の把握というものを、リアルタイムにつなげることはできません。ですので、今回のこのICT連携の課題というのは、リアルタイムに専門機関と小規模医療機関との連携をどうするのかということ、これが今後の課題かなと思っています。それには、SNS関係のツールがかなり進歩してきましたので、そういったことをうまく利用しながらできればなということを、今、考えて計画しているところです。
○半田座長 それでは、北澤参考人、何かありますか。
○北澤参考人 よろしくお願いします。北澤です。末岡先生、どうもありがとうございました。いろいろな診療所の先生がカルテ開示をしてくれるというのは、青森県内でやっているものなど、ほかのものを見てもなかなか難しいところだと思います。きっと末岡先生は更に将来を見据えているのかなと思っているのですが、そういういろいろな診療情報の開示にも結び付いたということで、とても有意義な御研究だったのだろうなと推測しています。いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
○末岡参考人 ありがとうございます。まだまだ不足していると言うか、表面的なICT連携ということはいっぱいできるのですが、やはり実質的にいかに現場と専門医療機関を密につなげるかという課題はまだまだあると思いますので、先生方と一緒にいろいろ問題点を把握しながら整備していきたいなと思っています。
○半田座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。何かありますか。安達委員、お願いいたします。
○安達委員 全体で発言させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○半田座長 どうぞ、構いません。
○安達委員 私は産婦人科医なのですが、最初の血液製剤の使用実態調査のときにも、産科医療における輸血の問題、そういうことが少し話題に出ましたので、是非、ここで私の産婦人科医の立場から短時間でお話させていただきたいと思います。
 結論から言いますと、産科医療というのは、特殊性から、どんなに出血のリスクがないと思っている方でも、これは私たちの調査で分かっていることですが、全くリスクがないだろうと思っている妊産婦さんでも、3%が大量出血をするリスクがある。3%が大量出血する可能性があるのです。そうしますと、全てが輸血が必要というわけではないのですが、かなりの状況で、輸血がすぐできる状況にあるか、母体搬送システムというものがありますから、そういう高次施設へ搬送するというような必要があるということなのです。
 実は昨年は77万人の出生数があると言われていますので、多胎妊娠等もありますが、大体77万回ぐらいの分娩、死産、流産、そういうものを合わせますと、もしかすると90万回ぐらいのチャンスがあるかもしれないのですが、そのうちの約50%というのが有床診療所で出産しています。ここでも、先ほど言いましたように3%が大量出血の可能性があるのですが、こちらでは輸血を貯血して置いておく、あるいは、もしかしたら輸血療法委員会など、そういうものはない可能性があるわけです。
 今回の特にお願いということですが、やはり産科の輸血するときの特徴として、大量出血だから輸血するということではなくて、独自の消費性のDICというようなものを起こすことがありまして、特殊な輸血の方法を取らなくてはいけないのですが、そのために赤血球とFFPを一定数、周産期センターでは確保していると思います。周産期センターにも、総合周産期センターというものと地域周産期センターと呼ばれるものがあるのですが、総合周産期センターは、ほとんど大学病院などが兼ねているのですが、地域周産期センターは地域にいきますと産科の単科の病院という形になりますので、輸血をどうしても置いておきますと廃棄する数がものすごく多くなります。廃棄率はかなり高いと思います。
 今、廃棄率をどうやって減らせるかということで、へき地・離島の今日の御報告もありましたが、やはりBlood Rotationのシステムというものが、へき地・離島では行われるようなシステムになっています。恐らく、へき地・離島では、ハイリスクのものは初めからへき地・離島ではなくて、妊娠の場合は36週ぐらいからしかるべき施設のほうで検診したり、そういう形になっていると思いますが、一般的なことを考えますと、どうしてもBlood Rotationというものを、普通のへき地・離島ではない場所であっても、できるようなシステムを将来的に構築していただきたい。私たちは本当に廃棄するものが多いなということが実感ですので、そういうことも考えたシステム、あるいは調査など、そういうものも必要になってくるのかなと思いました。周産期の分野というのは、いろいろな血液疾患など、そういうものから比べますと、どうしても輸血するチャンスというのは少ないかもしれませんが、母体死亡、場合によっては、そのお腹の中にいる子供と2つの命というものがかかってきていますので、ここが十分に機能しないといけないと思っています。
 本当にハイリスクのものというのは、自己血を貯血したりもするのですが、当然それでは足りないものもありますし、ハイリスクものは逆に準備しておくがために、より廃棄する。ふだん置いておくものに関しても、施設ごとに、例えば赤血球でしたらO型のものを少し多めに取る、FFPではAB型を置いておくなど、いろいろなことがなされているし、確保する本数なども施設によって違っているとは思いますが、そういうところも含めまして、今後のどこかの検討課題の中に入れていただければと思うことと、周産期の事情について、ちょっとお話をさせていただきました。ありがとうございました。
○半田座長 ありがとうございました。大変重要なポイントをお話いただきました。大変参考になったと思います。全般を通して、ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの御意見等々をまた踏まえまして、事務局におかれまして、より一層の適正使用についての方策等々をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後に議題3、その他ですが、事務局から何かありますか。
○有田血液対策課長補佐 事務局、有田です。特にその他について用意しているものはありません。
○半田座長 ありがとうございました。本日は、これで議題は以上ですが、何かほかに皆様方から御意見等はありませんか。大丈夫でしょうか。それでは、事務局のほうに議事進行をお渡ししたいと思います。
○有田血液対策課長補佐 事務局、有田です。半田座長、ありがとうございました。次回の適正使用調査会の日程は、別途、御連絡差し上げます。
 これにて、血液事業部会令和4年度第1回適正使用調査会を終了します。ありがとうございました。
(了)