薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第2回運営委員会議事録

日時

令和4年9月14日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 前野 節夫
  • 皆川 信也
  • 松田 由浩
  • 後藤 直子



事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 仲島 昌司   (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾   (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.日本赤十字社の令和3年度血液事業報告について
  4. 4.各調査会の審議結果について
  5. 5.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 


○佐野血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「血液事業部会令和4年度第2回運営委員会」のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。本日は、お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議における委員の出席についてですが、委員6名全員に御出席いただいていることを御報告いたします。本日は、参考人として、国立感染症研究所より水上拓郎次世代生物学的製剤研究センター第一室室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所長、前野節夫副本部長、皆川信也経営企画部次長、松田由浩経営企画部次長、後藤直子技術部次長に御出席いただいております。
 続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、マル1議事次第からマル13資料5までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に、御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただくようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようよろしくお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、チャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明していただく場合がありますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。これまでの御説明で、何か御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、議事に入ります。議題1、感染症定期報告について、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。資料1-1及び1-2をお手元に御用意ください。まず、資料1-1を用いて私から御説明させていただきます。こちらは感染症定期報告の、研究報告概要一覧表となっております。令和4年3月から令和4年5月までに報告された分となっております。1ページから3ページ目に、今回の当該期間に報告された研究報告がまとめられております。今回は6報の報告がありまして、順に私から御説明させていただきます。
 まず、1報目の報告ですが、こちらはB型肝炎の報告となりまして、NAT検査陰性のHBVウインドウ期の血液を輸血された患者におけるHBVの長期潜伏という形で、症例報告がなされております。当該症例ですが、NAT検査陰性のHBVウインドウ期と考えられる血液を輸血された患者様が、輸血されてからHBV-DNAが陽性になるまでに5か月近く掛かったという症例となっております。個別NAT導入後、日本で報告された当時、最も長い潜伏期間は84日であったということも並べて記載されております。当該長期間の潜伏が起こった原因としては、HBVの遺伝子型のA2は複製速度が遅く、本症例の長期の潜伏に寄与した可能性があることが述べられております。また、血小板製剤が多量の血漿成分を含むことや、血液腫瘍患者における免疫応答がHBV感染の成立に寄与した可能性があることが考察されております。結論としては、個別NAT陰性のHBVウインドウ期の血液に由来する血液を輸血した場合は、3か月より長期間のHBV感染の継続的なモニタリングを行う必要性があるのではないかという結論がされております。
 続いて2報目ですが、こちらはジカウイルスの感染症について報告です。FDAは今まで、ジカウイルスについて採血時のスクリーニング検査や問診を実施するようにということで、米国内で処置を取っていたのですが、ジカウイルス自体が、もはや潜在的なドナー集団に影響を与えるのに十分な発生率及び/又は有病率はないことが証明されたので、FDAは措置を解除する旨の通知を行った報告となっております。
 続いて3報目ですが、こちらは仮性狂犬病ウイルス(PRV)の変異株が引き起こす新型ヒト急性脳炎という報告となっており、当該ウイルスはブタをはじめとする複数の動物種でよく見受けられる病原体であります。ただ、ヒトに感染することは希であり、これまでヒトの検体から分離されたことはないということが、この報告で記載されている形となっております。本研究では、ヒト急性脳炎患者4例が、臨床症状や臨床検査結果、メタゲノム解析よりPRVと確定診断され、このうち1例のヒトの脳脊髄液検体から当該ウイルスが分離・同定されている報告となっています。結論としては、今回検出されたウイルス株は、中国の古典的な株と異なり病原性が高く、ブタに急性神経症状を誘発する特徴があることが記載されております。また、株自体は中国のブタに流行している変異株と系統学的及び病因学的に類似する特徴を有していることから、ブタからヒトへのPRV感染のリスクが大きいことを示唆されていることが、結論として書かれています。
 続いて4報目ですが、こちらはハンタウイルスの感染という形になっており、アルゼンチンで初めて報告されたAlto Paraguayウイルスというものの感染が初めてHPSの症例、ハンタウイルス関連の肺感染症として報告されたということとなっております。結論としては、引き続きハンタウイルス株については疫学的なサーベイを続けていく必要性があるのではないかという結論が書かれている報告となっております。
 続いて5報目ですが、こちらは4報目に関連した報告となっており、行政機関から同じものが報告されている報告となっております。説明については割愛させていただきます。
 続いて6報目ですが、こちらは沖縄県におけるレプトスピラ症の検査診断学的、疫学的、臨床的特徴ということで、2003年~2020年までにまとめられた報告となっております。当該報告ですが、沖縄県の農業労働者の間でレプトスピラ症というものが流行しておりますが、その流行状況や傾向に関するデータは乏しい状況が続いておりました。本研究ですが、2003年11月~2020年12月にレプトスピラ症の臨床的疑いがある患者について、沖縄県衛生環境研究所において分析を行った報告となっております。研究対象とされた531名の患者のうち、レプトスピラ症と確定診断された症例は246名となっておりまして、その背景は、多くが20~29歳の若年男性に見られていることが記載されております。さらに、推定感染源ですが、河川や湖でのレクリエーション活動と労働が多かった形となっております。結論としては、河川でのレクリエーション活動は沖縄県への旅行者の多くが楽しむ野外活動でありますので、レプトスピラ症は沖縄県民のみならず、旅行者にとっても注目すべき感染症であることが記載されております。
 続いて4ページ目ですが、こちらは感染症定期報告の個別症例報告概要で、外国症例報告の一覧となっております。こちらも令和4年3月~令和4年5月までに報告されたものとなっておりまして、5~8ページにまとめられております。今回はCSLベーリング株式会社から9報の報告がありますが、症例としては、実質的には3報の報告となっております。私のほうで症例票を見させていだきましたが、明確に感染症と血漿分画製剤との因果関係が考えられる報告がなかったという形となっております。資料1-2については、研究報告の詳細版となっておりますので、お時間があるときに御覧いただければと思います。私からの説明は以上です。田野﨑委員長、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 御説明ありがとうございました。3か月間で6報ということですが、ただいまの御説明について、水上参考人から追加で何か御意見、御発言などお願いできればと思います。
○水上拓郎参考人 聞こえておりますでしょうか。それでは、よろしくお願いいたします。国立感染症研究所次世代生物学的製剤研究センター第一室の水上と申します。今回は6件の文献について御報告いただきました。その中で、レプトスピラ症に関する文献6とハンタウイルス肺症候群に関する文献4と5、そして仮性狂犬病ウイルスに関する文献3について補足したいと思います。
 まず、文献6のレプトスピラ症に関する報告です。レプトスピラ症はレプトスピラ属細菌による人畜共通感染症で、げっ歯類等の保菌動物より排泄された尿、あるいは尿に汚染された水や路上との接触により感染・発症する急性熱性疾患で、その症状は、軽症型から腎不全を伴う重症型のワイル病まで多彩であります。国内では沖縄県での発生が多く、次いで東京都となっております。患者は夏から秋にかけて集中し、先ほどお話がありましたとおり、原因としては水田作業や牧畜、ネズミが徘徊する調理場や市場などでの発生が報告されておりました。本文献は、4類感染症に指定された2003年~2020年の沖縄県におけるヒトレプトスピラ症531名の疫学的・臨床的及び検査診断学的特徴についての分析報告となります。
 レプトスピラ症の臨床的疑いがある患者について、血液検体、脳脊髄液検体及び尿検体のいずれかで陽性となった246名がレプトスピラ症と確定診断され、また、分離株の約半数は日本、本邦で本州でも確認されている主要な血清型のhebdomadisでした。患者における血中、脳脊髄液中、尿中の分布を見ますと、発症1~5日目の初期には血中での検出例が多く、3~5日では尿中からも検出されている一方、脳脊髄液で検出された例は少ないことからも、血液による感染のリスクがあると考えられます。主な推定感染源は、先ほどの話のとおり、河川や湖でのレクレーション活動で44.5%となっており、労働が27.8%とされ、もはや沖縄県のみならず、旅行者にとっても注意すべき感染症となったと言えます。
 レプトスピラ症の届出患者については重症例が多いのが特徴ですが、感染者の大半は無症候あるいは軽症であることを考えますと、患者発生の多い沖縄県外では見逃されている可能性があります。また、デング熱やマラリアなどの熱帯感染症との臨床症状が似ているため、問診では職業や旅行歴に加え、淡水や土壌、動物との暴露歴などの聴取も重要であると考えられます。今後、献血の問診項目についても、現状で問題ないかの再確認が必要であると考えられます。
 続いて、文献4~5のハンタウイルス肺症候群です。ハンタウイルスはブニヤウイルス科のRNAウイルスで、マイナス1本鎖、3分節、80~120nmの球形粒子で、エンベロープを有し、腎症状を伴わない急性の呼吸器症状により約半数が死亡するハンタウイルス肺症候群、いわゆるHPSを引き起こします。
 近年、南米からのHPS発生報告が増加いたしまして、2013年までに4,000名以上のHPS患者の発生が報告されております。また、1996年には、アルゼンチンにおいてヒトからヒトへの感染も起こったと考えられております。現在までに5種のオルトハンタウイルスが確認されており、そのうち、アルゼンチンで一番初めにHPSと関係あるとされたAndes Virus (ANDV)には、更に類似のANDV-Like Virusが7種類同定されており、そのうち3つがHPSと関係あるとされております。
 本文献では、アルゼンチンにおいて、これまでヒトにおいて病原性がないと考えられてきた、げっ歯類由来のAlto ParaguayウイルスがHPSの患者から初めて検出されたという報告になります。また、HPS流行地におけるげっ歯類の捕獲集中調査により、新種ウイルス、レイエス・オルトハンタウイルス(Leyes orthohantavirus)が発見されたという報告です。いずれのハンタウイルスもヒトでの病原性は不明であります。ハンタウイルスは、げっ歯類との宿主の相互関係が強く、ハンタウイルス感染症の発生地域は病原性のあるハンタウイルスの宿主生息域と密接に関わっております。そのため、容易に本邦に移入されることはないと考えられます。日本では、1985年以降ハンタウイルス感染症の報告はありませんが、北海道ではエゾヤチネズミがウイルスを保有していることが明らかとなっており、今後、げっ歯類の生息数の増加、ヒトとの接触の増加などにより、日本でもハンタウイルス感染症が発生する可能性は十分にあり得ます。げっ歯類の侵入や輸入症例なども含め、引き続き情報収集に注視すべきであると考えられます。
 最後に、文献3の仮性狂犬病ウイルスです。仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus (PRV))はオーエスキー病ウイルスとも呼ばれ、アルファヘルペスウイルス亜科に属し、線状2本鎖のDNAウイルスです。主にブタに感染し、新生ブタ感染では神経症状を有し、100%死亡いたします。発症個体、死亡個体の鼻汁スワブ、扁桃及び脳乳剤からのウイルス分離は可能ですが、感染ブタはウイルス血症を引き起こさないため、血液から分離されることはないことが知られております。ヒトに感染することは希で、ヒトからウイルス分離がされたことはありませんでした。
 本研究では、ヒト急性脳炎患者4例のメタゲノム解析によりPRVの確定診断がなされ、そのうち1例では脳脊髄液からPRVが分離された初の報告となります。分離されたPRVは中国の古典株と異なり病原性が高く、ブタにおいて急性神経症状を誘発いたしました。また、中国のブタで流行している変異株と類似しており、ブタからヒトへのPRVの感染リスクが高いことが示唆されております。また、発症後、8~16日の間でグリコプロテインB遺伝子が血中より検出されており、感染性のウイルスが血中に存在するのか、今後の研究が待たれております。
 中国においては、今までヒトへの感染は16例が報告されており、同様に粘膜や血液からウイルス断片が検出されておりますが、現時点では、ヒトからヒトへの感染は報告されておりません。ブタPRVは、多くの欧米諸国では既に洗浄化されておりますが、中国ではPRVのアウトブレイクは過去に2度発生しております。日本では、一部地域でまだ野外ウイルス感染ブタが確認されており、完全な洗浄国にはなっておらず、引き続き注視が必要であると考えております。なお、PRVは血漿分画製剤のウイルスクリアランス試験のモデルウイルスでも使用されており、製造工程中で一定のクリアランス能力を有することが明らかとなっております。コメントは以上です。ありがとうございました。
○田野﨑委員長 詳細な御説明、どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問、御意見などがありましたらお願いいたします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですけども、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 岡田委員、よろしくお願いします。
○岡田委員 一番最初のB型肝炎の症例なのですが、これは検査されたサンプル数が多くて非常に特異的なのですが、患者さんからB型肝炎が検出されるまでかなりの日数を要しているのですね。発症するまでに時間が掛かったというよりも、検出されるまでの時間が、これまでにないぐらい長かったということなのです。それで、ウイルスそのものに関しては野生株と同じでジェノタイプAなのですが、Aとしても増え方としては特に問題がなく、ジェノタイプとしては3日間ぐらいで増えているのですが、検出されるまでが非常に長いというのが特徴なのです。どうして長いのかというと、ウイルス側ではなくて宿主側、患者さんがちょうど治療を受けている段階ですので、例えば、白血病に対する抗がん剤の治療とかがB型肝炎の増殖を抑制していたりとか、そういう原因も考えられます。非常に希な例だと思うのですが、やはりウイルス学的な倍加時間等でウインドウ期は決められているのですが、この症例のように、特に血液内科の疾患等では治療を行うことによってウイルスの増殖そのものが抑制されて、長期間の潜伏期を経て発症するということは希だとは思うのですが、考慮しておくことが必要です。ですので、とんでもないときにB型肝炎になったときに、輸血とはもう関係ないというふうに判断するのは少し危険だと、これを示唆するような報告です。
 最後のレプトスピラ症は、沖縄からの報告が一番多いのですが、2番目に東京都が入っているのですね。ですので、沖縄に特に多いというわけではなく、全国で20何県からの報告がされておりますので、全国的に病原体は存在していると思います。それで、やはりレクリエーションというのが1つの穴というかポイントだと思いますので、やはり野外に出るときには、それなりの感染症に暴露される危険性があることを示す報告だと思います。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。B型肝炎の症例については、同じような症例がまた今後ともあり得るということ、それから、レプトスピラに関しては、今後とも東京なり沖縄に限らずあり得るという御発言であったかと思います。ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。武田委員、お願いします。
○武田委員 武田です。よろしくお願いします。今、岡田委員からも御指摘があったところですが、1番のB型肝炎で、これだけ長い期間が空いてから見付かるということがあるというのは、私も驚いたところです。とても希な例だということで、輸血をされた側の病気のことであったり、血漿がどれぐらい入ったなど、いろいろなことがあってのことだとは思うのですが、今後もこうしたことが起こり得るということですので、もし、そのリスクに応じて、こういった状況であればこういったことが起こり得るのではないかということが分かってきている、若しくはこれから分かっていくというところであるならば、それに応じて、輸血を受けた人のフォローアップの仕方などを検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○田野﨑委員長 御意見ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。では私から。レプトスピラの最後の症例については、文献を読んでいると、輸血で感染したという報告がどうもインドでされているみたいなことが一言書かれていたものがありまして、これは潜伏期も非常に長いので輸血での感染、それから、オーストラリアでのクイーンズランド州など、先進国でも地域によっては結構多いということがあるようなので、今すぐ何かということはないとは思いますが、引き続き、輸血での感染というのも視野に入れないといけないのかなと思いました。
○岡田委員 レプトスピラについて、いいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい、お願いします。
○岡田委員 レプトスピラの血培も、特殊な培地を使わないと生えてこないので、ちょっとその辺が診断のときにネックになるかと思います。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほか、よろしいでしょうか。事務局におかれましては、今後とも、感染症の定期報告をお願いいたします。
 それでは、次の議題2に移りたいと思います。血液製剤に関する感染症報告事例等について、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 資料2-1と2-2の説明に入る前に、アナウンスを間違えていた部分がありますので、訂正いたします。本日、会場にお越しいただいている委員の皆様のタブレット上に保存されている資料としては、マル1議事次第からマル12資料4-2までとなっておりますので、そちらを修正いたします。
 続いて、資料2-1及び2-2について説明いたします。まず、資料2-1をお手元に御用意ください。こちらは令和4年3月から令和4年5月までの感染症報告事例のまとめ及び一覧となっております。1ページ目は、当該期間における感染症報告事例をまとめております。当該期間に報告がありました感染症報告は、輸血用血液製剤が9件、血漿分画製剤が2件でした。そのうち、輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は0件で、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告は1件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳としては、HBVが2件、その他が7件。その他の内訳としては、HEVが1件、細菌等が6件となっております。当該期間において、HCV及びHIVの感染事例はありませんでした。
 続いて内訳に入ります。HBV感染報告事例のうち、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は2件でした。そのうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例はありませんでしたし、劇症化又は輸血後に死亡したような症例もありませんでした。HCVの感染とHIVの感染の報告事例はありませんでしたので、割愛いたします。
 その他の感染症報告事例としては、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルス感染報告事例は、1件ありました。細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌検査が陽性となった事例は、1件ありました。そのうち、輸血後に死亡したとの報告を受けた事例はありませんでした。2~5ページに、各症例の詳細が横表として記載しておりますので、御覧いただければと思います。
 続いて、資料2-2の説明に移ります。こちらは供血者からの遡及調査の進捗状況等について、日本赤十字社より提出していただいた資料となっております。供血者から始まる遡及調査実施状況として一覧表を記載しておりますが、今までと違って少しフォーマットを変えております。以前は、遡及調査の対象の中で、NAT検査が陰性なのですが、輸血されて感染した方から輸血による感染症が証明された場合は、両括弧の中の内訳で記載していたのですが、かなり分かりづらいという御指摘がありましたので、全て書き下す形の表としております。表としては2ページになってしまいますが、こちらのほうが見やすいと思いますので、今後はこちらのフォーマットで報告させていただければと思います。
 今回は、一番右側の令和4年度の第1四半期の速報値について説明いたします。まず、1項目の遡及調査対象献血血液の概要として、当該期間で調査対象とされた献血件数は、トータルで475件となっております。HBV、HCV、HIVのそれぞれの内訳としては、HBVが412件、HCVが60件、HIVが3件となっております。調査の対象とした輸血用血液製剤の本数は、総数で490本となっております。それぞれの内訳としては、HBVが423本、HCVが64本、HIVが3本となっております。さらに、そのうち医療機関に情報提供を行った輸血用血液製剤の本数としては、総数で376本となっております。それぞれの内訳は、HBVが309本、HCVが64本、HIVが3本となっております。
 続いて2項目は、遡及調査対象のうちプールNATの結果が陰性かつ個別NAT結果が陽性であった献血血液については、当該期間に報告はありませんでしたので、説明は割愛いたします。続いて3項目は、遡及調査対象のうち個別NATの結果が陰性の輸血用血液製剤の輸血により、受血者の感染の可能性が高いとされた事例の報告の概要となっております。こちらも当該期間において報告がありませんでしたので、説明は割愛いたします。
 続いて、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況です。令和4年3月から令和4年5月までの回収状況としては、こちらの表にあります112本の輸血用血液製剤が回収対象となっております。事務局からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 御説明ありがとうございました。委員の皆様から御質問、御発言等がありましたら、お願いいたします。細菌感染の事例の1番目の症例は、実際に大腸菌が検出されて遺伝子解析などで同じであったという、血小板4日目の製剤だったと思います。亡くなられてはいないで回復はされていますが、かなり重篤な症例かなと思います。こちらに関しては、製剤の外観上の異常などについては、より詳しい情報はあったかどうかは分かりますか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 血液センターから出荷するところまでで、異常は指摘されておりません。それから、この献血者は後に面談をしております。そこで詳しい病歴等を聴取しましたが、特に異常はなかった、特記することはなかったということです。医療機関でも、この血液を輸血するときに特にラインが詰まったとか、そのような事象の報告は、全く頂いておりません。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。なかなか防ぎようがなかった事例になるのかなと思います。この事例も含めて、委員の先生方から何か御発言やコメントはありますか。濵口委員、お願いします。
○濵口委員 これは4日目の血小板を使われたということなのですが、これまでの細菌感染の事例から、今回に限らずですが、具体的には、この4日目というのは非常に感染のリスクが高まると考えてよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 おっしゃるとおりです。
○濵口委員 そうしますと、現在、日赤では細菌検査等を検討されているのですが、導入されれば、細菌感染は少し軽減されていくというか、減らすことはできるとお考えなのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 現在、血小板製剤の有効期限を4日としている効果は、実は非常に大きいものがあります。その中で、こういう希な例が起こるわけですが、細菌のスクリーニング検査等をしますと、今度は有効期間、保存期間を長くしなければなりませんので、有効期間を短くしていることの効果は相殺されます。ですので、それを上回る細菌スクリーニングによる効果というものが期待できなければ、細菌のスクリーニングの意味がなくなるわけです。現在までの世界中の多くのデータを集積しますと、やはり細菌スクリーニングをしたほうが、わずかではありますが安全性が高まるだろうと現在は考えて、その検討を進めているところです。
○濵口委員 ありがとうございました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ほかに御意見はよろしいでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい、よろしくお願いします。
○岡田委員 E型肝炎の感染報告は、輸血をしてから非常に時間がたってから報告されているのですが、この症例を見たときに、先ほどの定期報告のほうでB型肝炎の例があったので、例えばこの患者さんもずっと治療を受けているがためにE型肝炎ウイルスの増えが悪くて、それですごく時間がたってから発症したということは考えられるのでしょうか。もちろんE型肝炎ですと、経口感染もあるのでなかなか難しいところなのですが、この患者さんは2020年9月まで輸血の治療を受けていて、E型肝炎が分かったのが2022年4月ということです。この間に、例えば抗がん剤の治療を受けたり、他の血液製剤の輸血を受けたりという情報はあるのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 この調査は輸血をされた血液について調査をしますので、その期間空いているということは、その間には輸血はされていないということです。
○岡田委員 分かりました。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 ですから、最後に検査された所から分かった所までに、候補となる血液は全部調べているわけです。ですので、全部陰性であったということですね。期間を見れば、最終的には何も分からないわけですが、一般的には通常の食生活から感染するというリスクのほうが、常識的には遥かに高いのではないかとは感じています。以上です。
○岡田委員 はい、分かりました。どうもありがとうございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。この症例は、ちなみに輸血後肝炎の発症などは記載がありませんので、ないということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。ほかに委員の先生方、何かありますか。よろしければ、どうもありがとうございました。事務局におかれましては、今後も感染症症例や遡及調査結果の報告をお願いいたします。
 次の議題3に移ります。日本赤十字社の令和3年度血液事業報告について、日本赤十字社より資料の説明をお願いいたします。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 令和3年度における血液事業への取組について、御説明申し上げます。資料No.3を御用意いただきたいと思います。表紙、1枚おめくりいただいて、こちらは輸血用血液製剤の需要動向です。医療技術の向上や適正使用の推進などにより、スライド右の棒グラフにあるように、この数年間の傾向として減少傾向にあります。なお、令和2年度はコロナ禍の影響による待機手術の増加などにより、供給量の減少幅が大きかったこともあり、令和3年度は前年度から増加となっております。
 次のページをお願いいたします。こちらは製剤別の供給状況です。前年度と比べ、全体では0.7%増の1,725万本、赤血球は1.8%増の647万本、血漿は0.6%減の209万本、血小板は0.2%増の868万本となりました。赤血球製剤と血小板製剤については、新型コロナウイルス感染拡大で待機手術の先送り等もあり、令和2年度は4月と5月の供給量は減少しましたが、その後は例年どおりの供給量であったため、令和2年度はトータルで減少いたしました。令和3年度は、年度を通しておおむね例年どおりであったため、令和2年度より増加しております。血漿製剤については、血漿交換の増減が年度の供給量に影響を与えているようであり、今後も需要動向の推移に注視してまいりたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。血漿分画製剤用原料血漿の確保状況及び送付状況です。令和3年度においては、計画どおり前年度から1万6,000L増加の123万6,000Lの原料血漿を、国内製薬メーカーに送付いたしました。一方、確保量については、124万9,000Lと送付量を1万3,000L上回り、貯留在庫を増加させることができました。
 次のページをお願いいたします。原料血漿に関連して、令和3年度においては国の事業として行われた特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業に参画いたしました。こちらは、今後想定される新興再興感染症への対応も考慮し、新型コロナウイルス感染症治療薬として特殊免疫グロブリン製剤の原料となる原料血漿確保・供給するための体制を整備することを目的に、令和3年9月から令和4年2月まで実施されました。日本赤十字社においては、血漿を採血する施設として指定した東京都赤十字血液センター、愛知県赤十字血液センター及び大阪府赤十字血液センター南大阪事業所の3か所にて、協力医療機関から紹介された回復者の血漿を採血いたしました。また、採血した血漿を製造所において検査するとともに、特殊免疫グロブリン製剤用原料血漿へ調製した後、血漿分画製剤製造業者へ送付いたしました。今後、新型コロナウイルス感染症のような新興再興感染症が発生し拡大した場合において、本事業で整備された原料血漿の確保・供給体制を活用し、国民の医療に寄与することといたします。
 次のページをお願いします。献血協力の状況です。令和3年度もスライド右の円グラフにあるように、400mL献血や成分献血を中心に献血に御協力いただき、医療需要に見合った血液量を着実に確保いたしました。
 次のページをお願いいたします。こちらは、献血種別ごとの献血協力状況です。献血者合計では505万3,000人と、昨年度より1万5,000人程度増加しております。先に御説明させていただいたとおり、赤血球製剤の供給量が前年度より増加したことに対応し、400mL献血が3万5,000人増加しております。なお、血漿成分献血が前年度より減少しておりますが、血漿製剤の供給量の減少や400mL献血及び血小板献血からの血漿による確保などにより、血漿分画製剤用原料血漿の確保目標量も達成されております。
 次のページをお願いいたします。こちらは参考として、今まで申し上げた供給・採血の状況を事業の流れに沿って落とし込んだものです。後ほど御確認いただければと思います。
 次のページをお願いいたします。血液事業における令和3年度事業の主な取組事項についてです。血液事業においては、令和3年度に、スライドにある(1)コロナ禍における必要血液量の確保対策、(2)新型コロナウイルス等の感染症に対応した広域事業運営体制の検討をはじめとした主な計画の8項目について、取組を進めてきたところです。
 次のページをお願いいたします。トピックスとしては、令和3年度の主な取組のうち、コロナ禍における必要血液量の確保対策についての内容を御報告いたします。令和3年度においては、新型コロナウイルス蔓延を受け、在宅勤務など新しい生活様式が定着し、企業献血をはじめとする団体献血の在り方が変容するなど、事業環境が変化する中での必要血液量の安定確保、免疫グロブリン製剤を中心とした血漿分画製剤の需要増加に伴う原料血漿の確保、少子高齢化やコロナウイルス蔓延の影響で減少した若年層献血者をコロナ前の実績に近付けるべく増加させること、これらを目標に取組を進めてまいりました。
 次のページをお願いいたします。この目標に対する主な成果です。献血者に安心して献血会場に御来場いただくとともに、新型コロナウイルス感染拡大期においても安定的に献血に協力いただくため、令和3年度においても献血Web会員サービス「ラブラッド」による献血事前予約を推進するとともに、この献血事前予約を増加させるため、ラブラッド会員の増強に努めました。ラブラッドの令和3年度終了時の会員数は、令和2年度終了時と比べ、約49万人増加の296万人となり、令和3年度累計における全献血者に占める予約率も、令和2年度に比べ10.8ポイント増加の38.7%となりました。このように、献血事前予約が国民の皆様に浸透してきたことで、着実な献血血液確保につながり、スライド下段の赤血球製剤在庫のグラフのとおり、年度を通じて安定的に推移させることができたとともに、先に申し上げたとおり、分画製剤用の原料血漿の確保目標量の達成につなげることができたと考えております。
 次のページをお願いいたします。若年層献血者への対応としては、若年層にも人気のある著名人を用いた献血推進プロジェクト「いこう!献血」や「はたちの献血キャンペーン」を実施し、献血の普及・啓発を行いました。
 次のページをお願いいたします。献血の大切さを訴える献血セミナーの実施については、オンライン形式での開催を充実させ、参加者に対して居住地周辺の献血会場に御案内しました。なお、10代、20代の若年層献血者は、令和2年度は大きく減少したものの、令和3年度は増加に転じております。
 次のページをお願いします。こちらは取組に対する課題事項と今後の対応です。課題の1つ目としては、血漿分画製剤の原料血漿の需要増加です。先にも御説明いたしましたが、免疫グロブリンを中心とした血漿分画製剤の需要増に対応すべく、ここ2、3年、日本赤十字社でも125万L程度を安定して確保することに至っているところです。しかしながら、今後130万L以上の需要があることも想定され、更なる対策を行うとともに、社会に原料血漿の必要性を御理解いただく努力を続ける必要がございます。
 また、課題の2つ目としては、高校・大学献血などの減少により献血活動への参加のきっかけを失った若年層への対応です。スライド中段のグラフには、過去3か年分の10代から20代の献血者の推移を表しており、令和3年度は10代、20代、いずれも令和2年度から献血者が増加しています。しかしながら、コロナ前の令和元年度に比べると、まだまだ減少している状況となっております。コロナによるオンライン需要の増加などで、高校・大学献血の実施機会が大幅に減少したことが要因の1つでもありますが、過去に行われたアンケート結果からも、若年層時の献血参加が、その後の献血活動につながることが明らかとなっており、この若年層時に献血に触れるきっかけを失った方への対応が非常に重要と捉えております。
 そのような中、まずは原料血漿確保への対応としては、原料血漿確保を専用とする献血ルームを、東京、大阪、愛知に設置し、従来の献血ルームと一線を画したコンセプトの下、血漿分画製剤用原料血漿の重要性を訴求してまいりたいと考えております。また、輸血用血液の確保にもつながることですが、献血事前予約を更に推進させることにより、献血血液の確保体制を更に充実させていきたいと考えております。
 若年層献血者の増加については、学校への移動採血車の配車について今後も見通しが付きにくいところもございますが、できる限りの配車を進めるのは当然ながら、現在、各血液センターで学校等に対して行われている献血セミナーの実施方法を見直し、回数や対象人数を拡大させるなど、強化を図ってまいりたいと考えております。そして、セミナーに参加された皆様に、学校若しくは居住地近くの献血会場を御案内するとともに、仮称ですが、献血未経験者を対象とした、ラブラッドのプレ会員への登録を促進し、献血行動につながる情報提供を行っていきたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。こちらは参考としてプレ会員の内容を示しております。プレ会員は、献血Web会員サービスのラブラッドにおける献血可能年齢未満や献血未経験の若年層を主な対象とした、スマートフォンアプリによる新会員サービスです。献血セミナーなどにより献血に関心を持たれた若年層の献血未経験者に対して会員への誘導を図り、献血に関する情報を提供することにより、将来的な献血参加につなげることを目的として、本年度中の開始を目指しています。
 次のページをお願いいたします。令和3年度血液事業特別会計の歳入・歳出・決算の報告です。まず、収益的収入です。令和3年度は1,660億円となり、前年度と比較して14億円の増加、率にして0.9%の増加となりました。収益的支出は1,546億円となり、前年度と比較して42億円の増加、率にして2.8%の増加となりました。これらの結果、令和3年度の収支差引額は、前年度の142億円から28億円減の114億円の黒字となりました。なお、この114億円の黒字額は、退職給付会計における決算整理による費用マイナス分として55億円を含んでおり、実質的な黒字額は約59億円と認識しているところです。
 次のページをお願いいたします。事業収益及び事業費用における令和2年度収支との比較です。まず、事業収益のうち輸血用血液製剤については、令和3年度は新型コロナウイルスの影響を大きくは受けなかったことに伴い、供給数が前年度に比べ増加した結果、収益も増加いたしました。原料血漿についても送付量が増加した結果、収益も増加し、事業収益全体としては、令和2年度に比べ10億9,000万円の増加となりました。次に事業費用ですが、次世代血液事業情報システムの開発検討に係る経費等が増加した結果、令和2年度に比べ36億円の増加となりました。
 次のページをお願いいたします。参考として収支状況の推移です。平成24年度に広域事業運営体制を導入しましたが、体制移行に伴うブロック血液センターの整備や血液事業情報システムの導入等の大きな投資が重なり、開始数年は赤字を計上しておりました。その後、事業の効率化等の対策を進めた結果、平成28年度から黒字に転換し、令和3年度まで黒字を継続しております。
 次のページをお願いします。最後に血液事業における今後の投資予定です。血小板製剤における細菌スクリーニング検査の導入といった、血液製剤の安全性及び品質の向上に係る取組や、次世代血液事業システムの構築等のIT分野への取組等に投資を行っていく予定です。そのため、計画的な投資を持続できるよう、引き続き安定的な収支の継続を目指し、事業を取り進めてまいります。令和3年度における血液事業の取組についての御説明は以上です。
○田野﨑委員長 委員の方々から御質問、コメントをお願いいたします。いかがでしょうか。
○岡田委員 一番最後のスライドについてです。赤血球製剤の有効期間の延長を予定され、もう一変の申請が済んでいるということなのですが、これは何日間ぐらい延長するのでしょうか。公開できるようであれば教えていただきたいのですが。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 御依頼がありましたので、現在のところは1週間と考えております。
○岡田委員 分かりました。4週間になる可能性があるということですね。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 はい。その可能性はあると思います。
○岡田委員 ありがとうございました。
○田野﨑委員長 ほかにはいかがでしょうか。
○松本委員 今の御質問に関連してです。これは、そのまま有効期限が延長されるだけなのでしょうか。何か変わったりするのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 特に何か大きな条件が付くということではなくて、そのまま延長になることを目指しております。
○松本委員 もう1つなのですが、最後のスライドの、安全性及び品質の向上の中に「PAS血小板製剤の導入」というようにあります。目指していただいて非常に有り難いと思います。これに関して、細菌汚染のリスクというのは、現在の4日という使用期限の血小板に比べて、リスクは低減するのか、増加につながるのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 PAS血小板は、細菌スクリーニングの有無と関係なく、PASの血小板と通常のコンベンショナルな血小板を比較しますと、細菌汚染に関するリスクに関しては、2つの報告があります。70~65%ぐらいの血漿をPASで置換することになりますと、バクテリアにとっては2つの面があって、1つはバクテリアにとっての栄養分が少なくなります。もう1つは、血漿に含まれているナチュラルイミュニティといったものが少なくなります。その両面がございます。したがいまして、前者で言えば、グラム陽性菌等に関しては、栄養分が少なくなる分、バクテリアの増殖は抑えられる傾向があります。ところが、グラム陰性菌に関しては、血中の補体等の機能が少なくなるので、むしろグラム陰性菌のリスクは高まる可能性があるという両面があります。したがいまして、全体を併せると、我々としては、PAS血小板を導入するのには細菌スクリーニングは必須であろうと考えて検討しています。
○松本委員 陰性菌に関して、弱くなるかもしれないということですね。ありがとうございました。
○田野﨑委員長 ほかにいかがでしょうか。
○武田委員 先ほど御説明いただいた14ページになります。昨年、初めて原料血漿専用ルームを開設していくということで御説明があって、当初の予定だと大阪が令和4年、東京が令和5年という御説明だったと記憶しているのですが、進捗はいかがでしょうか。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 まず、大阪については少し遅れておりますが、今年度中の開設を目指して進めているところです。東京については、来年、ちょうど1年後ぐらいの開設を目指して進めているところです。
○武田委員 先達ても申し上げたかもしれませんが、こうした献血ルームを設置いただくということは非常に大きなところだと思いますので、是非、この初めのときに多くの方に注目いただけるように、何らかのイベントのようなものを開かれて、血漿分画製剤についてもきちんと皆さんに分かっていただくようなことを、併せて御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 ほかはよろしいでしょうか。
○濵口委員 5ページの「新型コロナウイルス感染症治療への協力」というスライドですが、今回、日赤で治療薬を作るというところで採血の協力をしていただいたというのは、非常に大きな動きだったと思います。新型コロナウイルスにかかわらず、様々な治療法のないような感染症が起こった場合に、こういった免疫グロブリンでの対応というのが一番初めに考えられるところです。是非、今回構築していただいた協力機関とのつながりとか、その後の分画メーカーとのやり取りなども含めてですが、これを次の機会があるようであれば活用していただけるように、日赤としても、協力していただけるような方向性を検討していただけると有り難いと思いました。
○田野﨑委員長 これに関して、私も濵口委員の御発言に追加でコメントさせていただきます。私ども回復者血漿のプロジェクトを独自にいたしまして、その際には日本赤十字社、そして感染研に多大な御協力を頂き、非常にいろいろなことが勉強できました。今回の参考資料3にも資料として提示されていたものですが、実際には医療機関から約80L、日本赤十字社が採った血漿自体が146Lぐらいということで、計226Lで、特殊免疫グロブリンとして送付した量が139Lぐらいだと記載されていました。
 以前、血漿分画製剤を作るに当たって、1回、1ロットを作るのに200Lぐらいは必要であるということを伺いまして、回復者血漿を集めるに当たって、1ロット、プラントを1回動かすだけで、これを各医療機関だけでこういう人を集めるというのは至難の技であって、正に日本赤十字社の、特にラブラッドのようなものを活用して、それで余り重症者ではなくて、軽症で治ったような方が恐らくドナー候補になっていくだろうということも考え併せますと、こういうようなラブラッドをうまく活用していただいて、次の同じような新興再興感染症が出たときは逸早く動いていただけるように、国としても、厚生労働省としても同じように動いていただかないと難しいのかなと思いました。是非ともそういうような形で御協力いただければなと思いました。事務局からあればお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 今回、日本での初めての試みということで、我々もこの事業に調整役として入らせていただいて、いろいろと体験させていただきました。今回はスキームができたというところがありますので、次の感染症のときは、今回とは違って比較的早く動けるのではないかというのは期待しているところです。
○日本赤十字社佐竹正博中央血液研究所長 このことについては、今回のコロナが出たときに、幾つかの医療機関から、本日の田野﨑先生の所は別ですけれども、個人的にも我々の所に問合せがあって、一緒にやらないかというようなことがあるのです。ですので、一つ一つこちらでは答えたのですが、そういうことがばらばらに起こってまいりますので、今回のように国や医療界全体がイニシアチブを取ってやっていただくと、そういったいろいろな個別の依頼とか申込みといったところでばらばらにならないようになるという意味でも、今回、厚労省の関係者の皆さんが加わって、国としてのこういったシステムを作ろうという形ができたことは、大変よかったのではないかと考えています。
○田野﨑委員長 次が起こらないようにということはありますが、起こったときには速やかにいろいろできるように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。そうしましたら、日本赤十字社においては、引き続き安定した血液事業の運営をお願いしたいと思います。
 次に、議題4の「各調査会の審議結果について」に移ります。まず、資料4-1について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局でございます。資料4-1について説明させていただきます。資料4-1を御覧ください。令和4年7月28日(木)の14時から開催いたしました、令和4年度第1回献血推進調査会の審議結果について、概要の説明をさせていただきたいと思います。1枚進んでいただきますと、概要がございます。1.開催日時・場所ですが、令和4年7月28日に開催し、出席者は12名中11名に御出席いただきまして、日本赤十字社から2名、参考人として参加いただいたというところです。
 続いて、3.議事概要です。議題1、令和3年度実績報告についてです。資料は3部作になっておりまして、資料1-1、令和3年度供給・献血実績等についてということで、日本赤十字社から御説明していただきました。資料1-2として献血推進の施策について、これは厚生労働省の3年度の実績として説明させていただきました。資料1-3として、令和3年度の献血実績と今後の方向性についての説明をさせていただいた中で、令和5年度献血推進計画の作成に当っての方向性について、各委員から御意見があったというところです。主な意見としては、若い世代に対する献血推進活動についてのアンケートということで、委員の先生方が受け持っている講義の学生さんから協力を得て、アンケートを取れるのではないかということがありました。もう1つが、高校生の普及・啓発として、副読本「けんけつHOP STEP JUMP」を高校生が所持しているタブレットでできないかという話があったのですが、こちらは令和6年度から全国の高校にタブレットが配られるということを聞いておりますので、そこに合わせて電子化して、対応できるようにしたいと考えております。
 続いて、議題2、献血推進計画の在り方については、地方分権に提案されております都道府県献血推進計画の策定義務付けの廃止について議論をするということで、関係者インタビューの人選と内容について議論をさせていただきました。これについて、委員からの御意見として、都道府県献血推進計画を策定することで、献血推進事業をうまく行えているその好事例を取り上げるとよいのではないかとか、都道府県の負担軽減となる支援の在り方を考えていったほうがいいのではないか、というような御意見を頂きました。
 議題3、その他として、献血推進2025の取組として上期・下期の2期、半期に1度、モニタリング結果を報告させていただいております。今回は、令和3年10月から令和4年3月までの献血に関する実績の報告をいたしました。委員からの主な御意見はありませんでした。こちらの資料について、説明は以上でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、委員の方々から御質問、コメントをお願いいたします。いかがでしょうか。
 そうしましたら、1つ、田野﨑からですが、実際、ラブラッドを用いたりして、コロナ禍でも献血者が若い世代においても少しだけ増えたということで、すばらしいという反面、これまでの初回献血者総数とか献血率などを見ていますと、まだまだコロナの前には至っていません。それから、ちょっと気になったのが、学生の講義や何かをやっておりますと、一度も献血に行く機会がないために、行くのが怖いというようなことを言う学生が多くて、例えば令和3年度における高校生献血の現状や何かを見ていると、献血のバスの出張採血がかなり減っていて、献血ルームの血液センターでの献血をしている人数も減っているというのが、現在の実情ではないかと思うのです。ここのところを少し具体的に増やさないと、なかなか増えないのではないかと思うのですが、これに関しましてはいかがでしょうか。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 今、委員長から御指摘がありましたように、献血未経験者の方にアンケートを取りますと、針を刺すのが痛そうで嫌だとか、何となく不安があるという御回答を頂くのが非常に多くあります。こういった不安を払拭するために、我々としましても、キャンペーンなどで周知させていただくことを考えております。また、コロナ禍のリモート授業の普及によりまして、なかなか献血のバスがお邪魔できないということもございますので、リモートを使った献血セミナーなどを通じまして、献血場所、献血ルームの場所なども、献血に行きたいけど、どこで献血したらいいのか分からないという方もいらっしゃいますので、そういった周知も進めながら、是非とも若年層の献血者を上げていきたいと考えてございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。実際の数値で結果が出てくるのを楽しみに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、続いて資料4-2につ説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局でございます。資料4-2をお手元に御用意ください。こちらは令和4年度第2回安全技術調査会の審議結果についてということで、資料にまとめさせていただいております。当該審議会においては、過去の経緯もありましたので、資料がかなり分厚くなっておりますが、御了承ください。
 目次をめくっていただきまして、私からは、1~4ページにまとめております概要を基に御説明させていただきます。令和4年度第2回安全技術調査会が、令和4年8月23日(火)の午後2時から4時の間で実施されました。会場は、日比谷国際ビルコンファレンススクエアの8階8会議室となっており、形式としては、Web会議で実施されております。出席者の皆様ですが、まず、安全技術調査会委員11名の先生方に御出席いただきました。参考人としまして、日本赤十字社からは、以下の3名の方に御出席いただいております。加えまして、以下の9名の各血漿分画製剤の代表者の方に参考人として出席いただいております。
 それでは、議事概要に移ります。議題1としては、新たに承認された新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限についてということで、先生方には御議論頂きました。まず、事務局より、新型コロナウイルスの武田社製組換えタンパク質ワクチン接種者の採血制限については、不活化ワクチンと同様に24時間とし、ヤンセンファーマ社製のウイルスベクターワクチンについては、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチンと同様に、採血制限を6週間と、それぞれそろえることが適切とした意見が、研究班で取りまとめられたことを御説明させていただきました。また、今後、新たなワクチンが承認等された場合には、既に採血制限が定められたワクチン分類、例えばですが、不活化ワクチンとかRNAワクチン等といったものについては、基本的に特段の懸念事項がない場合には、当該ワクチン分類の採血制限期間を適用することも一案であるとの意見が、研究班で同様に出たことについても御説明させていただいております。以上を踏まえまして、組換えタンパク質ワクチンの採血制限期間は接種後24時間、ウイルスベクターワクチンの採血制限期間は、メーカー問わず接種後6週間とする案を提示させていただいております。
 続いて、大隈委員から上記内容に関わる研究班で行われた議論内容について説明がなされ、日本赤十字社より、今後、承認される新型コロナワクチン等に係る対応案及びワクチン接種後の献血受け入れ基準変更案について説明がなされております。その結果、委員の先生方から、事務局が提示いたしました組換えタンパク質ワクチン及びウイルスベクターワクチン接種者の採血制限案が了承されております。また、今後、ワクチンが新しく承認された際には、当該ワクチンが既に採血制限が定められた種類のものである場合には、接種者の採血制限について、原則、同じ種類のワクチンの採血制限でそろえることとする案についても了承されました。
 委員の先生からの主な御意見としましては、現段階で開発・承認されております新型コロナウイルスのウイルスベクターワクチンは、種類としましてはアデノウイルスベクターワクチンだけとなっておりますが、それらの採血制限期間については、接種後6週間とすることに異論はないものの、アデノウイルス以外のウイルスベクターワクチンが開発・承認された場合には副反応等の安全性が異なると考えられるので、別途議論する必要性があるのではないか、という御意見を頂いております。
 続いて、議題2は新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限の見直しについてということで、皆様も御存じのとおり、mRNAワクチン接種者の採血制限については、令和3年度第1回安全技術調査会において、血液製剤の安全性、献血者の安全確保及び血液製剤の安定供給等を総合的に勘案し、接種後48時間と決定したところでございます。
 そのときに、日本赤十字社から、既に国民のほとんどに新型コロナウイルスのmRNAワクチン接種歴があり、かつワクチン接種後の副反応についての理解が深まっていることから、mRNAワクチン接種者の採血制限期間を不活化ワクチンと同様に、接種後24時間とする形で見直しを行いたい旨の提案がなされました。審議の結果、委員の先生方から、残念ながら日本赤十字社の提案は否認されたという状況となっております。
 委員の先生からの主な御意見としては、mRNAワクチンと不活化ワクチンでは副反応の出方が異なるということを踏まえて接種後48時間と決めた経緯があり、国民の多くが3回目や4回目のワクチンを接種をしているが、前回までの接種で副反応が出ていない場合でも、次の接種で副反応が出ることもあることから、これまでの議論を尊重してmRNAワクチン接種後の採血制限期間は、今までどおり48時間のままとするのがよいのではないかという意見、あとは、接種者の副反応の科学的なデータに基づいて決めたという観点から考えますと、現段階で24時間に縮めるような科学的データではないのではないかという意見、交互接種も行っていることを考えると副反応の出方が今までと同じとは限らないのではないかという意見、オミクロン株に対応したものも新しく出てくるということを踏まえますと、もうしばらく48時間のままにしたほうがよいのではないかという意見が出されたという状況となっております。
 続いて、議題3、サル痘に係る安全対策について、事務局より、令和4年7月29日に発出しました通知、「本邦におけるサル痘の患者発生を踏まえた採血に係る対応について」についての説明がなされております。その後に、大隈委員より、上記内容に係る研究班で行われた議題の内容についての説明がなされました。その後、日本赤十字社より、研究班の中で日本赤十字社から説明を行った内容及び研究班以降に進展があった内容について説明がなされております。上記に加え、国内に血漿分画製剤を供給する各血漿分画製剤製造販売業者より、血漿分画製剤におけるサル痘への安全対策についての説明がなされました。その結果、委員の先生方からは、既に発出されました本通知におけるサル痘の遡及調査の対象から血漿分画製剤を除くことが了承され、それ以外の本通知の内容について追認されたという状況となっております。
 委員の先生からの主な御意見としましては、血漿分画製剤を供給する各社が既にサル痘ウイルスを不活化・除去する工程を複数導入しており、また、サル痘ウイルスは非常に大きいので、通常はバクテリアを除去する目的で製造工程の最終段階で導入されている無菌ろ過工程でも除去できることが期待できることから、サル痘ウイルスが血漿分画製剤に与える影響は、極めて少ないのではないかと考えられるという御意見、あとは、日本赤十字社提出資料において、サル痘症状の発疹の多くは、まずは顔から出る旨の記載があるものの、8月にパブリッシュされました『New England Journal of Medicine』によりますと、MSMの間で流行しているサル痘は、性器やお尻などに発疹が出る比率が高く、顔に出るのは恐らく20~30%の報告がなされていることから、従来のサル痘から病型が変わっている可能性があり、顔に発疹が出ていない場合でもサル痘とは言い切れない可能性があるのではないかという御意見が出ております。その他としましては、日本におけるサル痘感染の拡大を予測するためには、日本のMSMの間でどの程度の流行が拡大するかをフォローすることが有効ではないかという御意見が出されたという状況となっております。資料4-2について、私からの説明は以上となっております。田野﨑委員長、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 最後に議題5、その他に移りたいと思います。前回の令和4年度第1回運営委員会において、松下委員から御質問がありました、5月に発生したシステム障害について、日本赤十字社より御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 日本赤十字社の前野でございます。資料はNo.5になります。血液事業情報システムの障害発生により、血液製剤の供給が遅延した件でございます。発生日時といたしましては、令和4年5月24日(火)の8時30分~13時55分頃まででございます。事情といたしましては、血液事業においては、献血受入れから供給業務といったほとんどの業務における情報は、血液事業情報システムと呼んでおります基幹システムで管理をしてございます。その血液事業情報システムのうち製造所での血液の受入れ、検査、製造及び出荷といった製造管理に使用しているシステムに障害が発生いたしました。
 この障害発生は、5月24日の朝8時30分、九州ブロック血液センターから、血液事業本部に問合せが入ったことで確認することとなりましたが、この事象により、製造所から血液センターへの製品出荷が行えなかったものでございます。このため、当日の朝、医療機関から発注された分、及び当日の朝、製造所から供給施設に移管の予定であった分の、主に血小板製剤の医療機関への供給が遅延することとなってしまいました。遅延したうち、ブロック血液センターを通じて地域血液センターから血液事業本部に報告があった全国22件については、医療機関様と調整をさせていただき、輸血の予定を変更していただくことになりましたことを、深くおわび申し上げます。なお、この事象で供給が遅延することとなった製剤は、待機手術を中心に使用する血小板等の製剤でございまして、輸血の予定を変更していただいたことにより人命に影響を与えていたといった御報告はございませんでした。また、本障害は、製造管理システムのみで発生したもので、献血受付等の他のシステムには影響がなかったことを、併せて御報告を申し上げます。
 原因でございますが、発生日の前日になりますけれども、製造所のほうから製造管理システムでのデータ取込みに時間が掛かっているとの原因調査依頼を受け、保守運用ツールにて、調査用データベース参照のプログラムを実行いたしました。しかしながら応答がなかったことからプログラムをキャンセルしましたが、実際はデータベース内でプログラムが稼動しておりまして、滞留するといったソフトウェアのエラーが発生しており、サーバーの目盛りが高負荷状態となり、障害の発生につながったものでございます。
 血液事業情報システムのサーバーなどは危機管理を考慮して、2か所の専門のデータセンターを横浜と岡山に設置しておりますが、正サーバーと副サーバーの切替えには4時間半程度を要すること、また、今回の事象はデータベースソフトウェアのエラーであったことから、結果的にサーバーの再起動による復旧といった判断に至りました。同システムは復旧いたしましたが、事象発生からサーバーを再起動させるまでの判断に時間を要し、血液製剤の供給に影響を与えることとなりました。
 今後の対策といたしましては、システム開発業者において、ソフトウェアのエラーに関する検知方法を見直すとともに、障害対応手順を見直すなど、今後、同様の障害が万が一発生した場合にも、早急に復旧できる体制を構築いたしました。私の説明は以上でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対して何か御質問など、御意見があればお願いいたします。松下委員、いかがでしょうか。何かコメントなどあればお願いいたします。
○松下委員 松下です。いろいろお調べいただきまして、ありがとうございました。今、お話を伺って、ヒューマンエラーとも思えないなという感じで聞いていたのですが、キャンセルしたけれどもプログラムが走り出してしまっていたということは何回か起こっているのではないかと思うのですけれども、初めて起こったのですか。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 短時間のことは発生していたようでございます。その場合、負荷状態も正常、それほど上がらないという状況があったのですけれども、今回は夜間ということもありまして、裏で走っていたということが高負荷状態になって、アラートは1回出たのですけれども、それについて原因を調べるのにも少し時間が掛かったということでございます。
○松下委員 そうすると、夜の間にもう既にエラーが起こっていて、朝、気付いたという感じなのですか。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 夜の間に既にキャンセルしたものが、実際はキャンセルされないで裏で動いていて、高負荷状態になっていたということでございます。
○松下委員 多分、システム開発業者の方がリモートメンテナンスしていれば、分かるのではないかと思うのですけれども。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 そのような体制は取ってはいたのですけれども、少しその対応に手間取ったということでございます。
○松下委員 分かりました。ありがとうございました。
○田野﨑委員長 ほかにはいかがでしょうか。こちらは、障害対応手順を見直すなどということで書かれていますが、例えばサイバー攻撃とかそういうのもあれば、このようなことはいつでも起こり得ることですが、具体的に障害対応手順をどのように見直されたのかということについて、概要をお話いただけますでしょうか。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 従来の対応手順でまいりますと、まず、サーバーの再起動というのは一番後回しにしてございました。そのため、今回、サーバーの再起動をするのが遅くなったということで、今後、このような似た障害も含めて、万が一起こった場合には、そのサーバーを再起動させないで復旧させる方法と、サーバーを再起動する方法の両方で検討を進め、最短の復旧を目指すという手順に変更してございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。これは医療機関で、こういう停電とか、停電しないような電源もやってはおりますが、何かあると紙での運用や何かやったりもするのですが、そういうようなところまでは実際には必要ないというようにお考えでしょうか。今、実際にはサーバーの再起動とか、そういうことで対応するということで大体、まずは対応できるであろうということで。
○日本赤十字社前野節夫副本部長 今回のシステム障害においては、製造のシステムが障害を起こしていまして、その途中のシステムに障害が起きた場合には、特に製造系のシステムですと、過去の検査履歴の確認とかがなかなかできないということで、紙ベースでの出荷は非常に厳しいところがございます。ただ、万が一、入口から止まった場合においては、供給まで、製品出荷までできるような手順は整えてございます。
○田野﨑委員長 了解いたしました。何かほかの委員の皆様から御意見、御質問があればと思いますが、よろしいでしょうか。
○松下委員 松下ですが、お話を伺っていて、災害時のBCPという観点からすると、何となくいろいろもう少し工夫していただかないと、国民としては安心できないという感じにも聞こえたので、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 武田委員、お願いいたします。
○武田委員 今、松下委員が言われたところと同じで、やはり一番、災害時に緊急で血液が必要になったときに、きちんと血液が供給されることは、人命に関わる大事なところになりますので、この機会に検討いただいて、二重三重のバックアップを取って、最悪、紙でも運用できるというような、何かそういった体制も取っていただければ安心できると思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。今回、大事には至らずにということであったと思いますが、もう少し障害が続いた場合などですと、例えば事務局に御連絡を頂くとか、そういうようなことも必要になってくるのかと思いますので、その辺についても御確認いただければと思います。そうしましたら、日本赤十字社におかれましては、今後、同程度のインシデント発生時には御報告なども適切にして対応していただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上で、本日用意した議題は、これで終了となりますが、ほかに何か御意見などございますでしょうか。よろしければ、事務局に議事進行をお戻ししたいと思います。
○佐野血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途、御連絡差し上げます。これにて、血液事業部会令和4年度第2回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。

(了)