第188回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和4年11月30日(水)17:30~18:30

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第188回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、公益代表の太田委員、小畑委員、労働者代表の勝野委員、津村委員、使用者代表の砂子田議員、小野委員、宮田委員が御欠席と伺っております。
 宮田委員の代理といたしまして、ANAホールディングスグループ人事マネージャーの田辺様にオンラインで御出席いただいております。また、労働者代表の山田委員におかれましては所用で18時頃御退席とのことです。
 事務局では、田中職業安定局長が公務のため御欠席で、平川訓練受講支援室長がオンラインでの御出席になります。
 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 本日の分科会はZoomによるオンラインでの開催になります。発言方法等につきましては、事務局から事前にお送りしております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って操作をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。最初の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」で、雇用調整助成金の特例措置関係の諮問でございます。本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。
 では、事務局から説明をお願いします。
○小宅雇用開発企画課長 雇用開発企画課長の小宅ございます。
 資料1-2の2ページ目、この表の記載でこれまで御議論いただきましたので、これを省令の要綱という形にしております。省令ですので、この表の下線部分が見直し部分なのですが、※2の生産指標、それから、※6の生産指標、これは支給要領、通達ベースの話ですので、今回省令の要綱には入っておりません。それ以外のところについてということになります。
 では、今回の要綱でございます。まず、第1-1でございますが、これは12月から通常制度ということでございますけれども、3月までの間はクーリング制度を適用しないということになっておりました。2行目のところで起算して1年、これは原則1年受給したら次の1年は受給できないということですけれども、括弧書きで令和5年3月31日までは受給できるということで書いております。これによってクーリング制度の適用がないということになります。
 次に2でございますが、これは12月以降、3月末までの間の助成率、助成額について規定したものでございます。3行目、1日当たりの支給上限額を雇用保険法16条1項の規定による基本手当の日額の上限とするとともに助成率を2分の1、中小企業によっては3分の2ということでございます。
 3番目が、特に業況が厳しい事業所についての経過措置的な支給額でございます。2行目にございますが、12月から1月末までの期間中につきましては1日当たりの支給上限額を9,000円とするとともに助成率を2分の1、中小企業にあっては3分の2とし、解雇を行っていない場合は助成率を3分の2、中小企業にあっては10分の9とするということでございます。
 4番目ですが、これは12月以降、受給日数を3月末まで100日受給可能とするというものでございます。2行目のところで、令和2年1月24日から令和4年11月30日までの期間中に判定基礎期間の初日がある休業とあります。その前に「百日に」を加えるということですので、この期間にも100日受給できるということになります。
 5番目でございますが、特例措置、その他、必要なものについて継続するということになっておりまして、そのうちの一つ、6か月未満の被保険者についても対象とする特例を継続するというものでございます。
 6番目ですが、これは手続面で事前の計画届を要しないとするものでございます。
 7番目として、その他所要の改正でございます。
 説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 既に御議論をいただいているところではありますけれども、本件について御質問・御意見がありましたら挙手、または手を挙げるボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃって御発言をお願いいたします。御質問・御意見等はございますでしょうか。
 西尾委員、お願いします。
○西尾委員
 先月の合同会議に加え、先週の雇用保険部会においても労働者側から申し上げていますが、雇用情勢や感染状況、雇用保険財政、ばらつきのある産業ごとの状況、人材育成など、様々な要素に関する議論が総合的に勘案されているものと受けとめています。
 今後については、会社によって在籍型出向を活用して雇用を維持したい、あるいは労働者に新たなスキルを獲得させたいというニーズに対応のうえ、雇調金から産業雇用安定助成金に橋渡しを行うことも大変重要だと考えています。そのためには、雇調金活用企業に産業雇用安定助成金の制度内容やメリットが効果的に伝わるように、周知・広報活動に取り組んでいただくよう、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問・御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にございませんでしたら、当分科会として厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨、私から御報告を申し上げたいと思っております。この点について御意見等はございますでしょうか。
 ございませんようですので、報告文案の表示をお願いします。
 おおむね妥当と認めるという報告文案でございますけれども、この表示された報告文案によって労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。
 では、次の議題に移ります。議題の2ですが「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の諮問でございます。こちらは11月25日付けで厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、同日の雇用保険部会であらかじめ議論を行っていただいております。
 資料、それから、雇用保険部会での議論につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課でございます。
 まず、資料2-2の2ページの横の図を御覧いただければと思います。こちらは左側が雇調金で、右が労働者向けの休業支援金でございます。今回の見直しで雇用調整助成金等について、地域特例、業況特例を廃止し、原則的な措置に一本化していく。そして、助成率については原則に戻していくという方向性を打ち出しておりますのに合わせまして、休業支援金等につきましても今回、地域特例を原則的な措置に一本化した上で、雇調金等の助成額とバランスを取りまして、これまでの助成率8割を令和4年12月から来年の3月までは6割にしたいということで前回御了承いただいたところでございます。
 これを受けまして、資料2-1の省令案要綱でございます。
 第1ということで、対象休業期間を令和5年3月末まで延長した上で、12月1日以降、3月末までの休業に対しましては、賃金日額の100分の60(基本手当の上限額を上限とする)を日額とするということに見直したいと思っております。先ほど申し上げた地域特例につきましては、今回延長しないということでこの要綱には盛り込まれておりません。
 以上が改正内容になります。
 11月25日に開催されました雇用保険部会では、先ほど西尾委員から御発言がございました雇用情勢、感染状況、あるいは雇用保険財政、または産業の状況、人材育成等々について、総合的に勘案された内容との受けとめをいただくとともに、休業支援については休業手当を事業主が払って、それを国が雇調金で支えることが基本と捉えており、そうした基本を踏まえた対応の徹底が前提であるということを改めて意見としていただいたということでございます。
 以上、御報告させていただきました。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきましても御質問・御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はございますでしょうか。
 特にございませんようですので、当分科会として、こちらにつきましても厚生労働省案をおおむね妥当と認めるということで、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。これについて御意見等はございますでしょうか。
 では、報告文案の表示をお願いします。雇用保険部会の報告としては、おおむね妥当と認めると表示されておりますけれども、この表示された報告文案によって労働政策審議会会長宛てに報告をするということで御異議ございませんでしょうか。
 それでは、御異議がございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の議題3に移ります。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(「物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策」関係)」の諮問でございます。こちらは11月25日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。
 では、こちらにつきまして、事務局から説明をお願いします。
○柴田労働移動支援室長 労働移動支援室長の柴田でございます。
 資料3に沿って御説明いたします。資料3-1が要綱、3-2は概要、3-3が関連資料となっております。3-2の概要を基に御説明させていただきます。
 1ページを御覧ください。1の改正の趣旨でございますけれども、令和4年10月28日の閣議決定、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を受けての各助成金の見直し等になります。職業安定局所掌は下線部の1番、2番、4番、5番、6番になります。
 1、2、4について私から御説明させていただきます。
 今回の総合経済対策に記載がございます「賃上げを伴う転職・労働移動の実現に向け、より高い賃金で新たに雇い入れる企業への支援の拡充を行う」という記載を受けまして、今回の見直しとなります。
 まず、概要の2ページになりますが、1、労働移動支援助成金早期雇入れ支援コースの見直しでございます。本コースは事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者につきまして、早期に期間の定めのない労働者として雇い入れた事業主に対して助成を行うものでございます。この「離職を余儀なくされる労働者」につきましては、労推法第24条に規定されておりますが、その内容の「事業主は、相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小を行うときは、離職を余儀なくされる労働者の再就職の援助のための措置に関する計画を作成しなければならない」とされておりまして、この早期雇入れ支援コースは労推法第24条の「離職を余儀なくされる労働者」の早期の雇入れに対する助成になります。
 現行制度では雇入れ時の賃金から雇入れ1年後の賃金を2%以上上昇させた場合に、優遇助成にさらに加算して助成していたものを見直し後におきましては、より高い賃金で新たに雇い入れる事業主への支援の拡充のため、雇入れ前の賃金から雇入れ後の6か月間の各月の賃金を5%以上上昇させた場合に、期間の定めのない労働者として雇い入れた全ての事業主に20万円を加算して助成することを考えてございます。
 資料3-3の2ページ目、現行制度では中ほどのオレンジの吹き出しでございますが、「雇入れ時の賃金から雇入れ1年後の賃金を2%以上上昇していた場合」といたしまして、左のほうにピンク色の囲みで通常助成と優遇助成に分かれてございますが、この優遇助成に加算するものとなってございます。
 1ページ目の見直し後でございますけれども、中ほど右手の※4、赤字の記載がございますが、「雇入れ時の賃金が雇入れ前からの賃金と比較して5%以上上昇させた場合」に助成することとしておりまして、その対象を優遇助成に通常助成を含めて加算するものとして考えております。
 資料3-2の概要に戻っていただきまして、3ページの2、中途採用等支援助成金、中途採用拡大コースの見直しでございます。本コースは中途採用者の雇用管理制度を整備した上で、中途採用者の採用を拡大した事業主に対して助成を行うものでございます。中途採用率を20ポイント以上上昇するとともに、そのうち45歳以上の者で10ポイント以上拡大させ、かつ当該45歳以上の者の全員につきまして、雇入れ前の賃金から雇入れ後6か月間の各月の賃金を5%以上上昇させた事業主に対しまして助成する等の要件の見直しを行うものでございます。
 資料の3-3の3ページを御覧ください。中ほどの青い枠で囲ってございます中途採用の拡大が現行制度となりますが、改正後がその右手に記載のある内容でございます。現行制度ではA、B、CとメニューがあったものをAとBに整理いたしました。Aの加算要件を廃止いたしまして、Bの助成額を拡充しております。Bの要件は20ポイント以上拡充するもののうち、10ポイント以上を45歳以上の方が占め、45歳以上の方につきましては、その全ての方が雇入れ時の賃金を雇入れ前と比較いたしまして5%以上上昇するといった内容になっております。
 また、右下の※に記載がございますが、現行制度では計画前3年間の中途採用率が60%未満の企業を対象としていたところでございますが、この要件を廃止いたしまして、助成対象を拡充いたしました。また、情報公表に係るCの助成を廃止いたしまして、A、Bそれぞれにつきまして情報公表の義務につきまして履行の確認をすることといたしております。
 資料3-2に戻っていただきまして、4ページの産業雇用安定助成金スキルアップ支援コースの新設でございます。このコースは在籍型出向が自社にはない実践の場における経験から新たなスキルを習得できることが期待できることから、在籍型出向により労働者のスキルアップを行い、併せて出向前の賃金から復帰後6か月間の各月の賃金を5%以上上昇させた事業主を支援するための助成金でございます。従来の産業雇用安定助成金との違いで御説明しますと、従来の産業雇用安定助成金は、コロナ禍におきまして雇用維持のために在籍型出向を活用していただいていたところでございますが、スキルアップ支援コースは平時のコースとしてスキルを身につけるために在籍型出向を行うものでございます。
 資料3-3の4ページを御覧ください。中ほどのマル3、助成内容等に従来の産業雇用安定助成金との相違点をまとめさせていただきました。
 助成率は、中小企業は従来10分の9から3分の2、中小企業以外は従来4分の3から2分の1としておりまして、出向元企業が負担する出向前賃金の2分の1と出向中賃金を比較して、いずれか低いほうを限度としております。
 また、1人1日当たりの上限額は従来の1万2000円から基本手当の日額の最高額の8355円としておりまして、1年度1事業所当たり1000万円としているところでございます。
 支給対象期間は1か月以上で連続した1年までとしておりまして、1人当たり1回としているところでございます。
 また、出向労働者の出向先での賃金額は100%以上、企業グループ内への出向は助成の対象外としております。
 出向労働者の要件は出向前の直近6か月間及び出向復帰後6か月について出向、派遣、請負等により、出向元事業所以外の事業所で就労した労働者を対象外としております。
 出向先での業務内容は出向労働者を建設業務等の派遣禁止業務に従事させる場合は対象外としているところでございます。
 また、省令ではなく要領への記載内容になりますが、生産量要件の設定はいたしておりません。
 私からは以上でございます。
○小宅雇用開発企画課長 次に、特定求職者雇用開発助成金につきまして御説明いたします。
 資料3-3をお願いします。マル3のところに施策の概要とございますが、現在、特定求職者雇用開発助成金の中には成長分野人材確保・育成コースというのがございます。マル3の「現行」の(1)のところですけれども、成長分野(デジタル、グリーン)の業務に従事する労働者として雇い入れる事業主に対して高額助成、通常の1.5倍を支給するという制度がございます。これを「新規」の(2)のところですけれども、拡充いたしまして、就労経験のない職業に就くことを希望する就職困難者の方を雇い入れて、人材育成計画を策定して人材育成を行った、その上で賃金引き下げを行うという場合に、やはり通常の1.5倍を支給するということでございます。
 分野については、(1)のほうは成長分野ですけれども、(2)のほうは、それ以外の分野も対象となる、それから、訓練については一定の基準を満たすものについて対象とするということでございます。
 事業スキームでございますけれども、ハローワークなどからの紹介で雇い入れていただいた後、人材育成計画、賃金引き上げ計画を各事業所でつくっていただきます。あとは普通の特定求職者雇用開発助成金と同様でして、6か月ごとに雇用状況を確認しまして、6か月ごとに支給するというものでございます。人材育成を行った上で賃金の引き上げを行うということですので、最初から賃金の引き上げというのがない場合が想定されます。賃金引き上げまでは1.5倍ではなくて1.0倍の額を支給しまして、確認できた後、その差額分も含めて支給するということになります。
 資料の3-2でございますが、今申し上げた中で、若干補足でございます。2行目のところですけれども、雇入れから起算して3年までの間に賃金を引き上げていただくということ。それから、3行目のところですけれども、比較対象となるのは雇入れ日からの賃金と引き上げ後の賃金であるということ、それから、4行目以降、括弧書きでついておりますけれども、きちんと人材育成をやっていただいたけれども、天災、その他の理由で引き上げ増額ができなかった場合は支給対象とする。一方、一旦引き上げるけれども、すぐに理由なく賃金を引き下げてしまうような場合は対象にならないということでございます。
 それから、2マル目ですけれども、対象分野が成長分野だけではなく拡大いたしますので、名称を成長分野等人材確保・育成コース助成金とするということでございます。
 以上です。
○平川訓練受講支援室長 引き続きまして、訓練受講支援室長の平川と申します。私からは同じページの6番、成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業につきまして、御説明をさせていただきます。
 この事業は文科省と厚労省で連携して実施をしております。資料の3-3の最後のページを御覧いただければと思いますけれども、本事業は文科省が大学等に委託をいたしまして、失業者、就業者、非正規雇用労働者等を対象といたしました教育訓練の講座を開発・実施するものでございます。厚労省といたしましては、各大学がプログラムを作成するに当たって労働局からの助言、情報提供、それから、ハローワークにおきまして受講修了者の就職支援等を行っておりますけれども、加えまして、求職者を対象とするコースの受講者につきましては、求職者支援制度の職業訓練受講給付金の支給対象としてございます。
 資料3-2に戻っていただきまして、本事業につきましては、今後、リカレント教育を大学の責任で推進していくという観点から、補助事業として実施することとされております。文科省におきまして令和4年度補正予算に必要な予算を計上しているところでございますけれども、雇用保険法施行規則の現行の規定におきましては、大学等に委託して実施する講習につきましては、職業訓練受講給付金の支給を行うことができるとされておりますところ、それに加えまして、補助事業として実施する講習についても給付金の支給対象とするための改正を行うという内容でございます。
 御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 5件ございましたけれども、本件につきまして御質問・御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問・御意見等はございますでしょうか。
 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とスキルアップ支援コースについて、それぞれ質問させていただきます。
 いずれの助成金についても、趣旨は理解できるものの、適切な運用となるのかという点については懸念があります。例えば資料3-3の1ページの早期雇入れ支援コースについては、もともと賃金水準の低い企業から新たに労働者を雇い入れた場合、賃上げ5%以上のチェック期間経過後にも賃上げ後の賃金水準が維持、あるいは向上されるのか、悪用されるリスクはないのかという点について、何か対策を考えていれば教えていただきたいと思います。
 また、前職に比べて5%以上の賃上げで助成金が受給できるとすれば、もともと受入れ先企業の賃金水準が高かった場合、受け入れ先企業の自助努力がなくても要件を満たす可能性もあると思います。この助成金は、個人の賃上げに着目した施策だと思いますけれども、賃上げに向けた企業の自助努力を促すという観点について、お考えがあれば伺いたいと思います。
 次に4ページのスキルアップ支援コースについてです。企業業績が非常に悪い場合には、賃金カットをしている状況で出向させるというパターンが考えられます。例えば、コロナ禍の影響等により、賃金カットを実施している企業が賃金水準を復元した結果、5%以上賃金が上がるような状況でも活用できると思います。この助成金は、スキルアップを促進するために賃金を上げる企業を助成する趣旨だと思いますが、本来の政策目的に合致しない事例については、どのような対策を考えられているのか、伺いたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局からいかがでしょうか。
○柴田労働移動支援室長 賃金水準の維持の件で御質問がありました。賃金水準につきましては雇入れから半年間経過後に賃金の上昇を確認した後に、雇用維持や特定受給資格者の率等を確認して助成金を支払うこととしておりまして、他の雇入れ助成同様に、一定の雇用維持の確認を行っているものと考えております。
 また、過去のサンプリング調査におきましても1年後の定着率は約9割となっておりまして、ハローワークにおける個別の求人開拓等の支援により、良質な求人の確保に努めたいと考えております。
 また、労働移動支援助成金は再就職援助計画の対象になっている方の支援になっておりまして、そういった方々に個別の求人開拓を実施することとしておりまして、その際、求人事業所に対しまして当該助成金の活用について働きかけを行いまして、早期雇入れや賃金上昇等の制度についても説明することとしております。そのための助成金が企業へのインセンティブに働くものと考えております。
 最後のスキルアップコースについてでございますが、もともと賃金カットをしているような事業所の活用というのはルール上、そういった取扱いは特に規制はしてございません。復帰後5%上がればいいという取扱いにしてございまして、今後、そのような事例があれば課題として捉えて見直しが必要かどうか検討させていただきたいと思います。
○山川分科会長 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 どのような助成金も適切に活用されなければ意味がないばかりか、悪用される可能性もありますので、まずは制度趣旨をしっかりと理解いただくよう、周知をお願いします。
 そのうえで、賃上げや人材育成に資する施策となっているのか効果検証していただきたいと思います。また、制度趣旨を逸脱した形で受給されることのないよう、適切な指導をお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 スキルアップ支援コースにつきましては、出向計画の中に職業能力開発のための計画を含む、そういう計画を都道府県労働局長に届け出るということで、そちらでもスキルアップの趣旨が確認できるのではないかと、私としては感じていた次第でございます。
 ほかに御質問等はありますでしょうか。
 新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田です。御説明ありがとうございました。
 今しがた御説明いただいた内容は、まさに政府が掲げておられる円滑な労働移動、あるいは労働移動の円滑化に向けた人への投資のために必要な改正と理解をしたところでございます。
 ただ一方で、冨髙委員からも御発言がありましたが、必要な人に必要な助成がきちんと届くことが非常に大事だと思っております。したがって、手続の簡素化も非常に大事ですが、不正受給の防止といった観点も引き続きしっかりと踏まえていただき、周知・広報活動等を通じて、必要な人がきちんと使えるように、活用拡大に向けてしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
 他方で、皆さん御承知のように、雇用保険財政が非常に危機的な状況にあるということを踏まえれば、今回のこの改正が行われた後に、しっかりとその効果検証を行って、残念ながら十分な効果が見られない場合には、廃止を含めた不断の見直しが必要だということを申し上げておきたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問・御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 適切な運用、それから、効果の検証、さらに周知・広報の徹底等、運用に向けての御意見をいただきました。それを踏まえた上でということになろうかと思いますが、特にほかに御意見・御質問がないようでしたら、当分科会としては、この厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、私からその旨を御報告申し上げたいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。御意見がございませんようでしたら報告文案の表示をお願いします。
 おおむね妥当という報告でいかがかということでございますけれども、御異議はございませんでしょうか。それでは、御異議がございませんでしたので、そのように報告させていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の議題4に移ります。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の諮問でございます。11月28日付けで厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、同日の雇用対策基本問題部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。
 では、資料、それから、基本問題部会での議論につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○宿里高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の宿里でございます。資料の4-1、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について御説明申し上げます。御説明は資料4-2に沿って行いますので、資料4-2を御覧くださいますようお願いいたします。
 改正の趣旨について、背景事情などを若干補足しながら御説明申し上げます。
 シルバー人材センター、またはシルバー人材センター連合は、会員である高齢者の方々に就業機会を提供する方法の一つとして、厚生労働大臣に届け出を行って、会員について労働者派遣事業を行うことができることとされております。
 シルバー人材センター等が会員について労働者派遣事業を行う場合は、一般の派遣元事業主と同じく、厚生労働大臣への事業報告等の報告が義務づけられます。平成24年に労働者派遣法が改正され、派遣元事業主が親会社やグループ内企業など、関係派遣先に労働者派遣を行う場合には、その割合を一定割合以下にしなければならないとの規制が設けられました。これに伴いまして派遣元事業主に対し、関係派遣先への派遣割合について報告することが義務づけられました。
 シルバー人材センター等が事業報告等を行う場合については、許可番号の記載等が不要であることなどを考慮し、高年齢者雇用安定法施行規則において、一般の派遣元事業主が用いる様式とは別に、シルバー人材センター等が用いるべき様式を職業安定局長が定めることとしております。今般、関係派遣先への派遣割合に係る報告についても同様に、シルバー人材センター等が用いるべき様式を職業安定局長が定める旨の改正を行おうとするものでございます。
 これまでは職業安定局長が定める様式がなく、一般の派遣元事業主が用いる様式が適用されておりました。法律の施行において特段の支障が生じていたわけではございませんが、シルバー人材センター向けのより簡易な様式を用意して、適切に報告が行われるようにしてまいりたいと考えております。
 本改正につきましては公布の日から施行することとしております。
 また、本改正につきましては、11月28日に行われました雇用対策基本問題部会において御審議をいただいており、妥当である旨の御報告をいただいているところです。御審議をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきましても御質問・御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問・御意見等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。様式の改正ということで基本問題部会でも妥当ということでございましたので、当分科会としても厚生労働省案を妥当と認めて、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますけれども、御意見はございますでしょうか。
 それでは、ございませんようですので、報告文案の表示をお願いします。
 こちらに表示されておりますように、妥当と認めるということ等で報告するということでよろしいでしょうか。御異議はございませんでしょうか。
 御異議がございませんので、そのように報告をさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の議題5に移ります。「雇用対策基本問題部会の報告について」です。
 では、事務局から説明をお願いします。
○小宅雇用開発企画課長 雇用開発企画課長でございます。資料5-1で御説明させていただきます。
 この駐留軍関係離職者臨時措置法の概要でございますけれども、駐留軍などの労働者の方については使用者が在日米軍などでございまして、アメリカの安全保障政策の変更、米軍の機構の改編、部隊の撤退・縮小などに伴いまして、多数の労働者が特定の地域において一時的に離職を余儀なくされるなどの事情に鑑みて特別の措置を講じ、その安定に資するという目的でこの法律が定められております。昭和33年に5年間の時限立法として成立いたしまして、その後、現在まで延長されてきているところでございます。4番のところですが、この法律は令和5年5月16日限りで有効期限が切れるということになっております。
 次のページでございますが、この法律の仕組みでございます。在日米軍の撤退縮小という枠囲みがございますが、撤退縮小に伴って離職者が発生するといった場合に手厚い措置を講じるというものでございます。
 まず、駐留軍関係離職者の認定というものを行います。認定は3年間有効です。安定した職業に就くまで、または最長3年ということになります。認定された場合、職業訓練を受講できる、それから、ハローワークでの職業指導などを行う、それから、求職者に対する転換給付金などの支給がございます。駐留軍労働者の方は日本の法令が適用されますので、雇用保険に加入できる方は雇用保険を受給する、その後、雇用保険が切れても就職ができていないという場合には、こちらの転換給付金が利用できるという制度になっております。その他、防衛省による支援、離職前訓練ですとか、給付金の支給がございます。
 現時点におきまして、どのぐらいの方がいらっしゃるかといいますと、1のところですが、約2万6000人の方が働いていらっしゃいます。
 次のページは最近の離職状況でございますが、最近においては大規模な離職というのは発生しておりません。転換給付金などの利用も、それに伴いまして最近ではあまり大きなものはございません。
 こういった中ではございますが、2番のところにございますように「また」のところですけれども、今年4月の日米安全保障協議委員会の共同発表におきまして、嘉手納以南の土地の返還を含む取組を行う令和6年以降、4,000人規模の海兵隊のグアム移転を行うということになっております。これに伴いまして、基地の再編なども想定されるところでございます。
 12ページでございますが、全体としては2万6000人の方が働いていらっしゃいますが、2プラス2で明示された移転候補地におきましては、4,247名の方が今働いていらっしゃるということでございます。
 次のページですが、職種もかなり細分化されておって、全てが特殊というわけではございませんけれども、例えば軍犬の取扱いですとか、射撃制御機器修理といったような、なかなか再就職が困難な職種もあるということでございます。
 こういったことから、この法律を5年間延長してはどうかという御議論をいただきまして、基本問題部会としては有効期限を5年延長することが必要であるという報告をまとめていただきました。
 また、資料の5-2でございますが、国際協定の締結に伴う漁業離職者に関する臨時措置法というものでございます。これも仕組みとしては駐留軍と類似でございますが、漁業をめぐる国際環境が急激に変化している状況下において、国際協定の締結などの事態に対処するため、漁船の隻数の縮減に伴って、一時に多数の漁業離職者が発生することが見込まれるなどの事情に鑑みて、再就職の促進のための特別の措置を講じ、もって漁業離職者の職業及び生活の安定に資するという目的で昭和52年に成立いたしまして、延長を重ね、現在に至っております。これは5年の6月30日で期限が切れることになっております。
 次のページですが、こちらの仕組みとしては先ほどと同様で、漁業協定に基づく規制の強化、漁業交渉による漁獲割り当ての変動などによって減船がおき、それに伴って漁業離職者が発生したという場合に支援を行うものです。手帳を発給します。これも安定した職業に就くまで、または最長3年の有効期間ということになりまして、この間、公共職業訓練ですとかハローワークでの就職指導を行う。また、先ほどと同様に転換給付金も支給されるというような仕組みになっております。
 次のページですが、今申し上げましたのは、漁船での就労から陸上の職業に来る場合はハローワークで支援いたしますし、引き続き別の漁業にという場合は運輸局のほうで同様な仕組みで支援をするということになっております。
 次のページは最近の離職状況ですが、こちらも最近においては大規模な離職というのは発生していない状況でございます。ただし1のところにございますように、カツオ・マグロ類について、地域の漁業管理機関において、沿岸国と遠洋漁業国の間で漁獲枠の配分の抜本的な見直しを求める議論が活発化している。このため、漁獲の割り当ての大幅な削減などを余儀なくされる。それから、ロシアとの2国間協定で行っているものがありまして、その影響が懸念されるということがございます。
 具体的にどのような協定があるかというのでつけておりますが、マグロですとか、一定の地域・海域についての協定というようなものがございます。
 次のページは参考までですが、対象となる漁業につきましては政令で指定するということになっておりまして、現時点で指定されているのはこういったものがあるというものでございます。
 また、現在、国際協定の交渉が行われている、予定されているというものについては、カツオ・マグロ類を中心にこういったものがあるということでございます。
 次のページは参考でございますけれども、現在指定されている特定漁業に従事されている方はこのぐらいの数がいらっしゃるということでございます。
これにつきましても漁獲割り当て削減などの可能性があるということで5年延長してはどうかという御議論をいただきまして、基本問題部会におきましては有効期間を5年間延長することが必要であると認めるという報告をまとめていただいております。
 また、この際、基本問題部会におきましては、自治体をはじめとする各団体からも駐留軍法に関しては要請が出てきておりまして、ぜひ延長をというようなこと、それから、駐留軍に関しまして、必ずしも全ての離職者の方が再就職困難かということはあるけれども、やはり必要な対策であり、支援をしっかりとしていくべきだというような御意見、それから、最近は漁業離職者に関しまして大規模な離職はないようであるけれども、現下の状況に鑑みて、セーフティネットの観点から5年延長すべきだというような御意見がありました。そういったことで延長することが必要であると認めるということでございます。
 本件につきまして御議論いただきまして御了解いただけましたら、延長の手続ということで改めて法案の要綱という形で諮問させていただければと思っております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。以上の説明につきまして、御質問・御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 雇用対策基本問題部会では、いずれにつきましても延長が必要だという報告でありまして、この件は法改正が必要になりますけれども、当分科会として基本問題部会の報告を了承することとしまして、事務局でこの報告を踏まえて法改正に向けた作業を進めていただいた上で、改めて当分科会に対して法律案要綱を諮問していただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。そのように法改正に向けた作業を進めていただいた上で、法律案要綱を諮問していただくということで御異議はございませんでしょうか。
 御異議がございませんでしたので、そのように進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
 では、本日の最後の議題に移ります。議題6「雇用保険制度の現状について」ということであります。事務局から説明をお願いします。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課でございます。資料6に基づきまして御説明させていただきます。
 最初のページは10月末に閣議決定されました総合経済対策でございます。太字のところでございますが、当面の雇調金の支給や労働移動円滑化、人への投資への支援の強化に万全を期すとともに、雇用情勢が悪化した場合にも十分な対応を図るためには、雇用保険の財政基盤の安定が不可欠であり、そのための財源確保を図る。注釈のところで、雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行うと記載されております。こうした記載に基づきまして、二次補正予算案におきまして0.7兆円の繰入を計上しているところでございます。
 次のページが補正予算の内容でございますが、一番上にございますとおり、7276億円の国庫からの繰入を行う補正予算案を計上しているとところでございます。
 これを踏まえた雇用保険財政の現状でございますけれども、3ページ目でございます。まず、失業等給付でございますが、一番右が4年度の当初予算案に対しまして3年度決算で今般の補正予算案を反映した内容でございます。収入の内訳、2つ目の国庫負担金のところが当初200億程度でございましたが、補正予算案を踏まえて0.75兆円となっております。差し引き剰余が下から4つ目でございますが、マイナスの0.04兆円、0.35兆円を二事業のほうに貸し出すという形になっておりまして、積立金の年度末の残高が0.85兆円という形になっております。
 次のページにこれを図にしたものが示されております。説明は割愛いたします。
 その次でございますが、二事業のほうでございます。収入につきましては1.9兆円ということで、保険料収入に加えまして一般会計からの受入、そして、先ほど申しました積立金からの受入等によりまして1.9兆円となっております。そして、支出のほうですがこの結果、本年度の雇用調整助成金等の支出のための予算といたしまして1.21兆円が確保されているという状況でございます。この予算案におきましては差引剰余はゼロということで、安定資金残高も引き続きゼロという形になっております。
 一方、括弧内でございますが、積立金からの借入累計額が3.19兆円という形になっております。
 次のページが、これを図にしたものでございまして、3年連続して安定資金がゼロという形になっております。
 最後のページは補正予算案と関係ございませんが、育児休業給付の収支でございます。保険料収入0.77兆円、国庫負担金0.01兆円に対しまして支出が0.75兆円ということで、差し引きプラス0.04兆円で給付資金残高が0.27兆円となっております。
 今後の見通しといたしましては、給付は年々増えておりますところ、単年度の収支につきましては、来年度か再来年度には赤字になるという見通しになっているところでございます。
 以上、財政状況でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして御質問・御意見等がありましたら、同様の方法で御発言をお願いいたします。
 久松委員、お願いします。
○久松委員 
 雇用保険制度の現状について1点、意見を述べます。
 雇用保険財政については、一般会計からの0.7兆円の繰入がなされても、失業等給付の財政の安定にはほど遠い状況であり、雇用保険二事業への3兆円を超える貸出累計額の確実な返済や厳しい財政見通しである育児休業給付の在り方など、課題が山積しています。
 本年1月の雇用保険部会から当分科会への報告では、財政を含めた雇用保険制度全体の在り方について拙速に議論を進めることは避けるべき、雇用保険財政の在り方について制度・運用両面において継続的に検証・検討し、必要な対応を行うこと、また、雇用保険事業における諸給付及びその費用負担の在り方について引き続き労働政策審議会において総合的に検討を行うべき、とされました。同報告のとおり、雇用保険財政の在り方については、労働政策審議会において丁寧な議論をお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、馬渡委員、お願いいたします。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。私も議題6の雇用保険制度の現状について、再度お話をさせていただきたいと思います。
 我々はほとんど中小企業の集まりでございますけれども、原材料価格の高騰や人手不足というのは今も続いておりますし、価格転嫁が進んでないということで、中小企業は非常に厳しい中で人手不足で給与を上げなくてはいけないという困難にも直面しているところです。
 また、巷間、聞くところによりますと、介護保険も若い人たちも適用しようというような議論がなされているかと思いますけれども、いろいろな面で厳しい中で上がるものが多いというのは、今、久松委員のほうからお話がありましたような形だと思っております。
 いろいろ申し上げますけれども、今回、雇用保険の財源というのは枯渇をしているとなってきていますけれども、我々は景気変動で積み立ては順調にしてきたのに、感染症対策でこれだけ枯渇してきたということもありますと、突発的にこういう大波が来ると、国に頼らざるを得ないと思いますので、一般財源による補填をぜひお願いしたい。第二次補正で、先ほどお話がありましたけれども、一般会計が繰り入れるということはありますけれども、令和4年度末まで限るではなくて、令和5年度以降も財政が立て直しになるまでは国に関与を引き続きしていただきたいなと思いますし、大手の企業さんと比べて中小企業はコロナからの立ち直りのダメージが大きいわけです。ですから、そういったことも考えていただいて議論を進めさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 大下委員、どうぞ。
○大下委員 日本商工会議所の大下です。御説明ありがとうございました。
 今、馬渡委員からもお話がございましたけれども、中小企業の経営状況や人手不足の状況は依然として極めて厳しい状況になっています。こうした中で、これらを支える雇用保険財政の安定は、中小企業の事業主としても大変重大な関心事項となっております。
 御説明にありましたとおり、コロナ対応を様々行ってきたことによって財政が極めて厳しい状況になっているだけでなく、一般会計等とのやり取りもあって、財政の厳しい状況が分かりにくくなっている部分もあろうかと思います。
 そうした中で、別途行われております全世代型社会保障構築会議では、より幅広い対象の雇用の安定についても、どうカバーをしていくのかという議論がなされています。雇用保険財政において、どこまでカバーし、その中でどうやって財政の安定を図っていくのか、この辺りの議論はまだ終わっているわけではないと思っていますが、そうしたものも含めて将来の見通しをしっかり示していただくとともに、今後、負担と給付の整合性、財政の安定の観点から、この労政審において、しっかり財政の問題についても議論をしていくことをお願いしたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 有益な御意見をいただきました。本日は雇用保険制度の現状について御説明をいただいて、審議会委員の皆様に御意見等をいただくということであります。
 それでは、本議題は以上とさせていただきます。
 本日予定されておりました議題は以上でございますけれども、この際、委員の皆様方から御発言等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。大変ありがとうございました。