令和4年度第19回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和4年11月22日(火) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、先生方、皆様、お集りいただきましたので、定刻より若干早いのですが、開会させていただきたいと思います。
令和4年度第19回「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
本日の御出席の先生方におかれましては、お忙しいところ、どうもいつもありがとうございます。
今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大の防止の観点からユーチューブによるライブ配信で行うこととします。御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としておりますので、対面での進行と異なる部分があります。議事に先立ちまして、進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした際は、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他システムの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
また、もし、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。
御不便等をおかけするかもしれませんが、御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。
事務局からは、以上になります。
ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡先生にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、皆様にも円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がありましたけれども、これまでの説明に、御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告します。
6名中6名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により定足数に達しており、今回の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として御参加いただいております先生を御紹介いたします。
議題1「カルシウム拮抗薬2剤(アムロジピンベシル酸塩及びニフェジピン)の使用上の注意の改訂について」の関係で、一般社団法人日本循環器学会より、昭和大学医学部内科学講座・循環器内科学部門教授、木庭新治先生、また、国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターより、後藤美賀子先生と、八鍬奈穂先生に御出席をいただいております。
以上になります。
○岡座長 ありがとうございます。
続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいたところ、石井委員より、ヴィアトリス製薬株式会社、バイエル薬品株式会社、協和キリン株式会社、田辺三菱製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、第一三共株式会社より、50万円以下のお受取り。
柿﨑委員より、EAファーマ株式会社、住友ファーマ株式会社、田辺三菱製薬株式会社、武田薬品工業株式会社より、50万円以下のお受取り。
舟越委員より、第一三共株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受取り、ヴィアトリス製薬株式会社、バイエル薬品株式会社、協和キリン株式会社、住友ファーマ株式会社、田辺三菱製薬株式会社、武田薬品工業株式会社より、50万円以下のお受取り。
後藤参考人より、武田薬品工業株式会社、第一三共株式会社より、50万円以下のお受け取り。
木庭参考人より、武田薬品工業株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受取り、バイエル薬品株式会社、田辺三菱製薬株式会社、第一三共株式会社より、50万円以下のお受取りと御申告いただいております。
舟越委員におかれましては、議題1の審議中、意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。
また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの御申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならないと規定されております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。
以上になります。
○岡座長 ありがとうございます。
ただいまの事務局からの御説明に何か御意見、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から、本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。
あらかじめ資料はお送りさせていただいておりまして、議題1に関しまして、資料1-1から1-3がございます。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
また、資料は厚生労働省のホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方は、そちらを御参照いただければと思います。
以上になります。
○岡座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか、お手元にございますでしょうか、委員の皆様。
それでは、議題の1「カルシウム拮抗薬2剤(アムロジピンベシル酸塩及びニフェジピン)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
まず、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題1について御説明いたします。資料1-1を御覧ください。
アムロジピンとニフェジピンは、どちらも高血圧症や狭心症を効能・効果とするカルシウム拮抗薬と呼ばれる医薬品の1つです。
1の品目概要に、先発医薬品の販売名、製販業者等をお示ししています。
2の経緯を御覧ください。
成育医療センターでは、厚労省の委託事業として、医薬品の添付文書における妊産婦等に関する記載を、最新の知見に基づき見直すワーキンググループを設置しており、本件は、アムロジピンとニフェジピンについて、ワーキンググループの報告書をまとめられたことが契機となります。
現行、アムロジピンは、非臨床試験で、妊娠期間と分娩時間の延長が認められたことをもって、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与が禁忌となっています。
また、ニフェジピンは、非臨床試験で、催奇形性が認められたことをもって、妊婦または妊娠している可能性がある女性の投与が禁忌となりましたが、これは、平成23年に見直しが行われ、現在は、妊娠20週未満の妊婦または妊娠している可能性のある女性が禁忌となっています。
昨今、妊娠全期間において厳格な血圧コントロールが求められるようになってきた医療環境を踏まえまして、積極的適用のない、すなわち特定の降圧薬を使ったほうがよいとされる病態を有しない高血圧に対して、第一選択薬の1つとされているカルシウム拮抗薬のうち、現場での処方割合の高いアムロジピンとニフェジピンについてワーキンググループで検討が行われました。
その結果、アムロジピン、ニフェジピンともに、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌から治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するに変更することが適切であるとの報告書が取りまとめられました。
今般、ワーキンググループの報告書を受けまして、PMDAにおいても調査が行われ、PMDAにおいてもワーキングが提示する添付文書の改訂は可能との報告書が取りまとめられました。
続いて、「3.調査結果及び対応方針」を御覧ください。
まず、アムロジピンについてですが、以下の点から、禁忌から妊婦または妊娠している可能性のある女性を削除いたしまして、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、本薬を妊婦または妊娠している可能性のある女性に投与することを可能としてはどうかと考えております。
1つ目として、本邦の高血圧治療ガイドラインにおいて、カルシウム拮抗薬は、アンジオテンシン受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素Ⅱの阻害薬、利尿薬とともに、積極的適応のない高血圧に対して投与すべき降圧薬(第一選択薬)の1つとされていること。
2つ目として、アムロジピンは、非臨床試験で妊娠期間と分娩時間の延長が認められたことをもって、妊婦への投与が禁忌となっておりますが、関連する副作用報告は認められておらず、また、ヒトにおいて、妊娠期間及び分娩時間の延長については、通常の診療内においても発生することであり、診療ガイドライン等も参考にして対応することが可能であると、ワーキンググループにて判断されていること。
3つ目、国内外のガイドラインにおいて、アムロジピンの妊婦への使用に関して、安全性上の懸念を示す特段の記載は確認できなかったこと。
4つ目、海外の添付文書について、米国、英国、カナダ、オーストラリアの4か国を確認したところ、いずれの国においても、アムロジピンは妊婦に対して禁忌とされていないこと。
5つ目、先天異常リスクについて、臨床使用に関する公表文献を精査した結果、カルシウム拮抗薬の使用による上部消化管奇形のリスク増加が認められたとの報告があるものの、アムロジピンやカルシウム拮抗薬の使用で先天異常のリスク増加は認められなかったと複数の報告があることを踏まえますと、アムロジピンにより先天異常のリスクが増加するか否かについては、一致した見解が得られていない。すなわち、児へのリスクが完全に否定されているわけではないものの、リスクがありそうとも言えず、医療上のニーズを踏まえると禁忌ではなく、有益性が危険性を上回る場合の投与とすることは可能と考えたこととなります。
以上がアムロジピンになりまして、ニフェジピンのほうも併せて説明させていただきます。

ニフェジピンについては、非臨床試験で催奇形性が認められておりますが、動物種や用量の違いによる影響を考慮する必要がございまして、箇条書きの3つ目のとおり、臨床使用に関する公表文献を精査したところ、こちらについても、児へのリスクが完全に否定されているわけではないものの、リスクがありそうとも言えないとの結果でした。
また、箇条書き2つ目のとおり、国内外のガイドラインにおいて、ニフェジピンは、妊娠初期を含め、妊娠中の降圧薬の第一選択薬または第二選択薬として推奨されていること。また、4つ目のとおり、海外添付文書において、米国と英国では禁忌とされていないことも踏まえまして、アムロジピンと同様、医療上のニーズを踏まえ、禁忌ではなく有益性が危険性を上回る場合の投与とすることは可能と考えています。
御説明は、以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、続けて、本日御出席の参考人の先生方の御意見をいただきたいと思います。
まず、国立成育医療研究センターの後藤参考人と八鍬参考人より、御意見をいただけますでしょうか。
○後藤参考人 まず、私、後藤のほうから2剤の臨床上の必要性についての補足を少しさせていただきたいと思います。
近年、妊娠する年齢の高年齢化が言われております。年齢が上がりますと、高血圧等の合併症を有する妊婦さんが増加します。さらに、そうしますと、妊娠高血圧症候群のリスクも増加するといった現状があります。ですので、妊婦さんに対する降圧薬の使用の必要性が増しております。
また、妊娠中に薬を使用する場合の原則として、安全に使用することができる代替薬の存在を検討するということがあります。ですので、現在、妊婦に用いることは可能な薬剤が、十分な効果があり、かつ副作用が少ないということであれば、既にそれで問題ないといったことになります。
現在、一般の高血圧診療におきまして使用されているのは、主に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、また、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、そしてカルシウム拮抗薬、一部のβ遮断薬といったものがあります。
ACE阻害薬やARBに関しましては、胎児毒性がありますので、妊婦さんには使用できません。
β遮断薬は、一部妊婦に可能な薬剤もありますけれども、降圧薬としての効果は高くないために、使用頻度が下がってきている、低下しているという現状がございます。
現在、妊婦に使用可能なものは、メチルドパ、ドララジン、ラベタロールがございますけれども、報告書内のNDBデータベースからのデータでお示ししましたように、一般の診療において、これらの薬剤の使用頻度は極めて低いものです。
この背景として、これらは、降圧効果が低く、副作用が多いという点から、一般診療での使用頻度が低下したといった背景がございます。
ですので、そういった薬剤を現在は妊婦さんに使っているということなのですけれども、使用可能なそれらの3剤の薬剤の中で、弱いながらも降圧効果を得られて、それで現状がよいかという点についてなのですけれども、高血圧の合併妊娠に対する考え方も、以前と変化しております。
近年、海外では、妊娠中の初期、中期、末期、時期にかかわらず、全期間において、血圧の厳格なコントロールをするということが、母体死亡の減少に寄与し、母児の予後の改善に寄与するということが言われております。
ですので、効果の乏しい降圧薬のみでは足らず、効果のあるカルシウム拮抗薬の必要性が増していると考えます。
また、報告書に盛り込みました高血圧専門医を対象としたアンケート調査においても、妊婦さんそのものではないですけれども、挙児希望の女性によく使う降圧薬の中に、ニフェジピン、アムロジピンが、禁忌でありながらも既に含まれているといった現場の状況も明らかになっております。
私のほうからは、以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
八鍬参考人は、よろしいですか。
○八鍬参考人 では、私のほうから、臨床使用に関する公表文献について、研究デザインや情報源について、追加でコメントさせていただきたいと思います。
今回、取り上げました公表文献についてですけれども、研究デザインとしては、コホート研究が5つ、症例対照研究が5つになっております。
まず、コホート研究の5つから説明させていただきたいと思います。
まず、5つのうちの3つに関しては、実際に妊婦が使用したことを確認している研究になります。
催奇形性情報サービスからの研究で、妊娠初期にカルシウム拮抗薬を使った80人程度の研究、また、300人程度の研究では、大奇形等の発生率の上昇との関連は見られなかったという報告がされています。
また、スウェーデンでの出生レジストリーを用いた研究、200例程度、初期に使った方が対象となっておりますが、この研究では、心奇形のリスクの上昇との関連は見られなかったという報告になっています。
次に、米国からのレセプト情報を使用した研究、こちらは、実際に曝露したかどうかというのは確認できていない研究になります。
この研究では、先天異常との関連性、発生リスクの上昇との関連は見られなかったという報告になっておりますが、上部消化管奇形とのリスクの関連が見られたという報告になっております。
しかし、この例数で申し上げますと、上部消化管奇形が見られたのは2例ということで、この2例の症例に基づいた結果になっております。
また、イギリスからの曝露情報が確認できていない研究を基に見てみますと、先天異常との関連性は見られなかったという報告になっています。
また、動物実験で見られた四肢の異常に関する症例というのは、この曝露例の中には見られなかったという報告になります。
次に、症例対照研究に関しては5つ報告があります。
今回の症例対照研究に関しては、先天異常がある症例とない症例を比較しておりますので、リコールバイアスなどが懸念されるものになると思います。
こちらも5つ報告がされていて、1つがコロンビアから、ハンガリーからは3つ、次にアメリカ、カナダからという報告になっています。
まず、コロンビアからの報告ですけれども、これは、頭蓋顔面奇形の原因は何かというような研究を行った研究になっていて、この研究でニフェジピンとの関連が見られたというような研究結果になっておりますけれども、この研究は、ニフェジピンは早産予防で使用される薬だというコメント記載がありまして、曝露時期に関しては明記されていないことから、初期に使ったかどうかというところは、不明な部分が多い研究になっております。
次に、ハンガリーからは、3つ報告がされておりますけれども、カルシウム拮抗薬と先天異常、四肢の異常に関しても含めてですけれども、関連性は見られなかったというような報告がされています。
また、別のニフェジピンと心臓の奇形、右心神経系狭窄との関連を見た研究では、右心系の狭窄等にニフェジピンの関連が見られたというような研究結果になっております。
この研究では、ニフェジピンが使われる目的でもあります、高血圧とも関連が見られたということが報告されております。
次に、またハンガリーからの報告でありますけれども、これはニフェジピンと食道閉鎖との関連を見たものでありますけれども、この報告では、関連性は見られなかったという研究になっております。
次に、アメリカ、カナダからのケースコントロールスタディですけれども、カルシウム拮抗薬と、先天異常全体との関連を見たものになりますが、この研究では、リスクは、関連性は見られなかったというような研究結果になっております。
ですので、ワーキンググループとしては、これらの研究を総合的に考えまして、妊娠初期の使用によって、先天異常の発生リスクを大きく増加させるということは考えにくいのではないかという結論になりました。
私からは、以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
続きまして、木庭参考人より、御意見をいただけますでしょうか。
○木庭参考人 現在、カルシウム拮抗薬が、高血圧を併発しました妊婦において、最も使用頻度の高い薬剤でございます。この頻度は、我が国の処方箋を基にしたデータベースからいきますと、2013年から2020年にかけまして増加しております。それから、特に有害事象の報告はなくて、あと、むしろメチルドパよりもはるかに使用頻度が高い薬剤であります。
また、ネットワーク、メタ解析におきましても、このカルシウム拮抗薬の2剤においては、妊娠中における安全性も証明されていると思います。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、委員の方から御意見、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
幾つか質問がありますが、よろしいでしょうか。
○岡座長 続けて、していただいて結構です。
○舟越委員 1つが、八鍬先生にお伺いしたいのですが、7つの報告について、御解説ありがとうございました。海外でのレセプトデータからの、実際に妊婦に使用されている実態調査を教えていただきましたが、今回添付されている資料の、令和元年度の妊婦と薬の情報センターのワーキンググループの成果物にあります、参考資料ですと、両方のカルシウム拮抗剤の資料が、実際には、妊婦に使われているかどうかというのは、ちょっと言い切れないのではないかなと読み取りました。
日本でのレセプトデータを用いての妊婦にアムロジピン、ニフェジピンが処方されていることを示した論文があるのであれば、海外と同様の結果だったのかを教えていただければと思います。
○岡座長 では、まず、ここでちょっとお答えいただきましょうか。
八鍬参考人、いかがでしょうか。
○八鍬参考人 研究に関してということでしょうか。実際、レセプト情報で、アムロジピンやニフェジピンが使用されているかということでしょうか。
○舟越委員 はい、国内で実際の妊婦に使われているレセプトデータから、研究しているのが、たしかパブメドか何かで、ちらっとだけ見たことがあったもので、今回の資料には載っていなかったので、もし、先生が知っている範疇で教えていただければなと。
○八鍬参考人 確かに、日本でのJMDCのデータを使った研究で、カルシウム拮抗薬、ニフェジピン、アムロジピンがどれだけ使われているかというような報告がされていると思います。
今回の資料に提出したのが少し前だったもので、今回の資料には載せることができませんでした。確かに先生からお話しくださったように、国内でどれぐらい使用されているか、妊婦さんが使用されているかというところについて、レセプト情報のデータを、今回載せることができたら、より使われている現状などもお伝えすることができたかなと思います。ありがとうございました。
○舟越委員 基本的には、海外と同じ傾向だという見解でよろしいのでしょうか。
○後藤参考人 そうですね、ただ、アムロジピンは、より日本で使われている傾向があるかもしれません。
○舟越委員 ありがとうございます。
続いて、後藤先生にお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
○後藤参考人 はい。
○舟越委員 今回の解除については妥当だなと思っているのですが、ベネフィットとリスクを勘案してという部分が、必要な患者に必要な医薬品が使用できることは、臨床現場としては、よりよい方向であると思います。
一方で、その分、現場で十分な情報と患者さんへの説明をすることが非常に重要だなと日々感じております。
この領域は、もちろん専門医が判断して処方される領域ではございますけれども、このアムロジピン、ニフェジピンの先天異常のリスクが増加するか否かについては、一定の見解が得られていないことなど、特に添付文書のみでの情報で、口頭説明にならないほうがいいのかなと、私見としては思っております。
さらに、ニフェジピン、アムロジピンは、多くの後発品も市販されていますので、製薬企業の情報の提供力によって、情報の過不足がないように、一定の企業からの情報提供資材もあるとよいと思うのです。ドクターの立場として、学会のガイドラインを参考にすることということについては、専門医の先生は十分見られていると思うのですけれども、説明不足にならないことを少し危惧しておりまして、企業のほうにも、そういった資材を一律に作らせたほうがいいのかなと勝手にちょっと思っているのですが、後藤先生、いかがでしょうか。
○後藤参考人 ありがとうございます。
私も個人の意見としては、非常に賛成です。そういった取組を厚労省の皆様と、今後、検討するということで、現時点での決定事項としては難しいかと思うのですけれども、厚労省のホームページの一部に、そういった情報を掲載するとか、あるいは、妊娠と薬情報センターのほうで、患者さんからの申込みにはなりますけれども、そういった使用する方に対する情報提供ということは、通常の業務として行っておりますので、そういったことをさらに周知するということも必要だと思いますし、現状ガイドラインは、添付文書が禁忌になっていますと、なかなか積極的にガイドラインに掲載されないという現状がありますので、むしろ添付文書が改訂された後に、ガイドラインのほうが変わっていくという日本のガイドラインの現状があるかと思うのですけれども、そういった形でガイドラインが整備されると、より現場の方は混乱なく、情報も得て使いやすいとなりますので、いろいろな方向から情報発信というのをしていく必要性については、私も同感です。
○舟越委員 ありがとうございます。
岡先生、もう一個だけよろしいですか。
○岡座長 どうぞ。
○舟越委員 もう一つ、後藤先生にお伺いしたいのですが、禁忌の解除の妥当性でございますけれども、今回、ニフェジピン、アムロジピンのみとなっております。妊婦と薬の情報センターでのカルシウム拮抗薬相談事例や、産婦人科の診療ガイドライン産科編の2020でも、ニカルジピンやジルチアゼムなど、アムロジピンと同じような位置づけになっている他のカルシウム拮抗薬についての相談、処方をされている実情があると思いますが、今後の学会等での、ほかのカルシウム拮抗剤についての解除にしろ、要請、要望をしていく方針はあるのでしょうか。
○岡座長 まず、後藤参考人、何か御意見ございますか。
○後藤参考人 禁忌解除の対象品目を検討する際に、カルシウム拮抗薬、海外のデータなどでは何剤も一度に検討しているような研究も多くございますので、複数の薬剤を対象にするのか、あるいは品目を絞っていくのかというのが、ワーキングの中で話題になりました。
その際に、1つは、日本での処方状況であるとか、あるいはデータの数として、日本発のものは、海外のデータは当然乏しい、あるいはないとなってきますので、そういったデータの情報量、そして、対象疾患ですね、不整脈ではなくて血圧を対象としたものという形で、品目を絞った形になった結果、この2剤になっております。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございました。
では、ニフェジピン、アムロジピンが、もし、患者さん自身が、ちょっと薬として合わないとか、そういったものがあった場合には、今までの、ほかのガイドラインの中で、それが効かない場合には、これを使うというようなものの順位づけになるという考え方でよろしいのでしょうか。
○後藤参考人 はい、現場の判断であると思っております。
○舟越委員 よく分かりました。長々と質問をさせていただいて、ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか、委員の先生方のほうから、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
どちらの薬剤も禁忌ながら使われていて、特に今まで問題がなかったということで、解除することに問題はないのかなと思うのですけれども、あと、カルシウム拮抗薬の妊婦さんへのニーズというところも御説明いただいて、理解したところですけれども、データを見ていますと、ニフェジピンのほうが、一応、動物実験で催奇形性が見られたりとか、どちらも一定の見解が得られていないというところが、やはり少し不安に思うところなのですが、例えば、アムロジピンだけとか、2剤を今回同時に解除する必要性につきましては、どのような御意見でしょうか。
○岡座長 これは、参考人のほうに、まず、お答えいただいたらよろしいですか。
○伊藤委員 お願いできればと思います。
○岡座長 いかがでしょうか、どなたか、では、後藤参考人、お願いいたします。
○後藤参考人 1つは、動物実験で催奇形性が言われたものも、ヒトの臨床、疫学研究が蓄積して、そこで安全性が言われれば、動物の催奇形性については、ヒトの疫学研究を優先されるべきだという原則があるかと思います。それが1点。
あと、伊藤先生がおっしゃったように、ちょっと不十分ではないかという点を、先ほど八鍬のほうが補足させていただいたように、報告書の中には、疫学研究によって因果関係を、ケースコントロール研究においては因果関係を証明するものではないと私たちは考えておりまして、そういった研究においてリスクは示されておりますけれども、服薬状況をしっかり確認していて、かつ、曝露時期が明らかである強固な研究においては、催奇形性がないというところで、私たちとしては安全性に問題ないと判断しておりますので、ちょっとその文章の表現によって少し不安を与えるような表現になっているかと思いますけれども、ワーキングの考えとしては、安全性に問題はないと判断しております。
○伊藤委員 あと、2剤の必要性につきましては、いかがでしょうか。
○後藤参考人 そうですね、処方状況などを見ますと、まず2剤とも使われていて、やはりそれは、ニフェジピンが以前からあるという点、それで、ニフェジピンをより多く、慣れて使っている先生がいらっしゃるということがあるかと思うのですけれども、甲乙つけ難いという点があるとかと思います。
厳密に言えば、アムロジピンのほうが血圧低下をした際に、頻脈が起きにくいとか、使いやすいということもあるかと思うのですけれども、例えば、アムロジピンで安定していた方を、妊娠に際してわざわざニフェジピンに変更するというのは、なかなか、かえって現場では受け入れにくいのではないかなと思いますので、その辺りはむしろ、もし、よろしければ、木庭先生、すみません、私が指名していいのか分からないのですが、お伺いしたい点ではあります。
○岡座長 ありがとうございます。
もし、よろしければ、木庭参考人のほうから、御意見をいただけますか、今の点について。
○木庭参考人 ただいまの御意見のとおり、アムロジピンのほうが、降圧がマイルドで、頻脈もニフェジピンよりも起こりにくいということがあります。
現実に、妊婦以外の一般の高血圧患者においては、アムロジピンの処方のほうが多いと思いますので、その妊娠に際して、わざわざニフェジピンに変更する必要はないと思いますので、この両薬剤は、やはり使用率も高いですし、安全性も認められておりますので、同時に認めていいと思います。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
伊藤委員、よろしいでしょうか。
○伊藤委員 ありがとうございます。
今のお話を伺っていますと、アムロジピンだけ外すことでもいいのかなと、ちょっと思ってしまったのですけれども、ニフェジピンも、やはりニーズが個別にあるということなのでしょうか、ずっと継続されていた方が、わざわざ変更するのはというのは、もちろんあるのですが、新しく処方される方も、ニフェジピンについても、やはり禁忌を外したほうがよいということなのでしょうか。
○岡座長 お願いします。
○後藤参考人 現在、ニフェジピンが、妊娠20週以降に使うことが可能ということで、妊娠に関わるような循環器の先生ですとか、産婦人科の現場も、現在はニフェジピンを、初期には使っていなくても、非常になじんで使い勝手がよく、使い慣れているということがあるので、むしろニフェジピンは、初期には使えなくて、アムロジピンは使えるということがあると、現場が混乱して、むしろリスクなのではないかなと考えます。
以上です。
○伊藤委員 ありがとうございます。
もう一つだけ、よろしいですか。
○岡座長 どうぞ。
○伊藤委員 先ほども少しお話があったのですけれども、このリスクについて、メカニズム的に考えたときに、それぞれの薬剤の胎盤移行性ですとか、そういったデータというのは何かありますでしょうか。
○岡座長 いかがでしょうか、その辺りデータはございますか、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
御指摘のカルシウム拮抗薬について、こちらで確認したところ、いずれのカルシウム拮抗薬も動物試験の結果をもって妊婦禁忌となっているのが今の状況ではあるのですけれども、個々の医薬品について胎盤移行性まで確認されていたかというのは、手元に情報がなくて分からないところとなっております。
もし、参考人の先生方、補足をいただけることがあればお願いできればと思うのですけれども、各社様のデータというところもありますので、事務局から、まず御説明させていただきました。
事務局からは、以上になります。
○岡座長 データは、今、ここではないということかなと思いますけれども、よろしいでしょうか。
後藤参考人、お願いいたします。
○後藤参考人 胎盤移行性のデータに関しては、ヒトでの曝露データがない場合には、必要な、できればあるといいなという情報かと思うのですけれども、そういったデータがない薬剤も多数ありまして、そういった場合は、実際に曝露したヒトでのデータがあった場合には、必ずしも胎盤を通過するかどうかというデータは、必須ではないかなと考えております。
○伊藤委員 ありがとうございます。
もし、そういうデータがあれは、参考になるかなと思いましたので、ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、続いて、石井委員、お願いいたします。その後、柿崎委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
今の議論で少し質問がかぶっておりましたので、それ以外のところで質問します。今まで禁忌で通ってきてしまったので、この禁忌を解除するということ自体には、私は妥当性を認めたいと思うのですが、情報の共有の仕方が重要です。このお薬は、一般の町の薬局でもらうことが多いと思いますので、そこの辺りの情報浸透ということに関しては、かなり工夫をしないと、なかなか情報共有ができないと思います。先ほど、舟越先生もおっしゃっていたように、資材の作成あるいは何らかの形での情報発信ということを徹底していただかないと、なかなか浸透しないように思いました。
私からは、以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
その点は、先ほど御指摘もいただいたところかと思います。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です
禁忌の解除に関しましては、参考人の先生方の意見を拝聴して、特に異論はないのですが、先ほど舟越委員のほうからもありましたが、ジェネリック医薬品がかなり多い薬剤ですので、昨今、ジェネリック医薬品の不安を感じるような事例もございましたので、ジェネリック医薬品のメーカーの方には、妊婦が飲む可能性もある薬剤だということを踏まえて、さらに精度の管理というか、品質の管理を徹底していただきたいと、質問というよりお願いです。
また、石井委員や舟越委員からもありましたように、ジェネリック医薬品の多い薬剤ですので、やはり情報提供の方法には、何か工夫が必要なのではないかと感じました。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
ただいまいただいた御意見としては、やはり情報提供についてということと、あとは、ジェネリック一般についての昨今の状況についての御意見だったかと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
事務局のほう、何かございますか。
○事務局 ありがとうございます。
先ほどの柿崎先生に御指摘をいただいたのは、おっしゃるとおりと思っておりまして、改訂の根拠、すなわちどういうデータをもって改訂に至ったのかというのは、先発、後発にかかわらず、きちんと製販業者のほうでも適切に説明できる必要があると考えております。
私どもとしても、製販業者に、そういった適切に説明ができるようにというのは依頼させていただこうと思いますし、今、改訂に至った場合に備えてですけれども、後発も含む製販業者に対して、PMDAのほうからも事前の説明会を実施させていただいているところでございますので、製販業者にかかわらず、適切な情報提供ができるように努めさせていただきたいと思います。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
そうしますと、利益がリスクを超える状況ではということをつけた上での禁忌を外すということについては肯定的な御意見で、情報提供についてのところ、あと、特に後発薬品も多い領域ですので、その点に関する注意といったようなことの御意見だったかと思います。そうしましたら、議決のほうに移らせていただいて、よろしいでしょうか。
舟越委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加は御遠慮願いますので、よろしくお願いいたします。
そうしますと、皆様の御意見では、事務局の提案どおり、カルシウム拮抗薬の2剤、アムロジピンベシル酸塩及びニフェジピンの使用上注意を改訂するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岡座長 御賛同いただいたということで、解釈させていただきます。皆さん、うなずいていただけたと思います。
特にいただいたコメントとしては、先ほどの情報提供のことについて、先ほど事務局からもお答えがありましたので、それをちゃんとやっていただくということでよろしいですかね。
それは、後発医薬品についてもお願いするということかと思います。よろしいでしょうか。
それでは、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、誠にありがとうございました。
アムロジピンベシル酸塩及びニフェジピンの製販業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意の改訂をするよう指示させていただきます。
また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告させていただきます。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局からの御説明に御質問等ございませんでしょうか、よろしいでしょうか。
それでは、本議題を終了したいと思います。後藤参考人、八鍬参考人、木庭参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。次回の開催につきましては、改めて御連絡をいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本日の調査会を閉会とさせていただきます。活発な御議論をどうもありがとうございました。