第17回ILOアジア太平洋地域会議(概要)

開催趣旨

概ね4年に1度、ILO加盟国のうちアジア太平洋、アラブ地域の政労使の代表が、地域における雇用・労働問題について幅広く議論し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)達成のため、今後の当該地域の活動の方向性を決定する会議。
 

会期・場所

令和4年12月6日~9日、シンガポール

参加国

35か国・地域から、388人の政労使の代表者が参加。

日本からの出席者

政 府 側:小林洋司厚生労働審議官、富田望厚生労働省総括審議官(国際担当) 他
労働者側:清水秀行連合事務局長、郷野晶子連合参与 他
使用者側:市村彰浩経団連労働法規委員会国際労働部会長、松井博志労働法制本部参事 他
 

開催概要

【開会式】
〇 議長及び副議長の選出
   議長:タン・シーレン シンガポール労働大臣
   副議長:アルティ・アフジャ インド労働雇用省事務次官(政府代表)
               ロバート・ヤップ シンガポール全国雇用者連盟総裁(使用者代表)
               メアリー・リュー シンガポール全国労働組合総連合会総裁(労働者代表)
〇 開会挨拶(ジルベール・ウングボILO事務局長、ハリマ・ヤコブ シンガポール大統領 他)
 
【全体討議】
〇 「人間中心の回復のための新たな社会正義」をテーマとした事務局長報告に基づき、各国政労使による演説が行われ、日本からは、小林厚生労働審議官、連合の清水事務局長、経団連の市村国際労働部会長が演説を行った。
〇 小林厚生労働審議官は、事務局長報告に関連した日本の取組として、新型コロナウイルス危機における労働市場インフラの強靭性を生かした対応や、生産性とスキルの向上に関する取組を紹介するとともに、日本政府がこれまで取り組んできたILO/日本マルチバイプログラムを通じた支援などにより、今後ともアジア太平洋地域に貢献していく旨を表明した。
 
【個別討議】
〇 議題
 ・ 議題別セッション1:包摂的かつ持続可能で強靭な人間中心の回復のための統合的な政策アジェンダ
 ・ 議題別セッション2:フォーマルなディーセント・ワークへの移行を支援するための制度的枠組
 ・ 議題別セッション3:社会と雇用の保護・強靱さの強力な基礎
 ・ 議題別セッション4:より多くのより良い仕事のための、生産性伸長とスキルの活性化
 ・ 特別セッション1:すべての人の生産的な完全雇用とディーセント・ワークを実現するための多国間協力の強化
 ・ 特別セッション2:アジア太平洋地域における「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の適用及び促進(※)
※ 政府代表として富田厚生労働省総括審議官(国際担当)が登壇。
 
【閉会式】
〇 結論文書(シンガポール声明)の採択
〇 閉会挨拶(ウングボILO事務局長 他)

【結論文書(シンガポール声明)の主な内容】 
〇 バリ宣言の重要性を認識し、以下の通り、将来の行動のための行動指針を採択する。
 ・ 社会正義と労働における基本的原則及び権利の促進に向けて協力する。
 ・ 2019年の「仕事の未来に向けた記念宣言」及び2021年の「包摂的かつ持続可能で強靭な、新型コロナウイルスからの人間を中心に据えた回復のための行動のグローバルな呼びかけ」は、公正な移行を実現するための重要な基礎となる。
 ・ ジェンダー平等と多様性は、誰一人取り残さないための政策策定・実行を支えるべきである。
 ・ 社会的パートナーは、仕事の未来に備えるうえで重要な役割を持つ。
 ・ 持続可能な企業は、雇用創出及び革新とディーセント・ワーク促進の担い手として重要な役割を持つ。
 ・ 労働者の権利の促進、特に結社の自由や団体交渉権の効果的な認定は、包摂的で持続可能な成長の達成における鍵である。
 
〇 ILO事務局は、第17回APRMのフォローアップとして、シンガポール声明の実行計画を策定し、2年毎に点検し、既存のプロセスやメカニズムに基づいて構成員と理事会に報告する。

(別添)結論文書(シンガポール声明)本文