第187回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第177回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年10月28日(金)18:00~19:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 定刻になりましたので、ただいまから、「労働政策審議会職業安定分科会(第187回)・労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(第177回)」の合同会議を開催いたします。
皆様方、大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですが、職業安定分科会委員においては、労働者代表の久松委員、使用者代表の馬渡委員、小野委員、大下委員が御欠席と伺っております。雇用保険部会委員におきましては、公益代表の水島委員、使用者代表の柴田委員、段委員が御欠席と伺っております。
それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○山川分科会長 本日の分科会は、会場とZoomによるオンラインでの開催になります。オンラインでの発言方法につきましては、事前に事務局よりお送りしております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
では、早速議事に入ります。
議題1「雇用調整助成金等・休業支援金等の助成内容(案)について」でございます。
では、資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
○雇用開発企画課長 雇用開発課長の小宅でございます。資料に沿って御説明いたします。
前回の審議会におきまして、一番上のところに書いておりますけれども、12月以降通常制度とするとともに、業況が厳しい方については一定の経過措置(支給要件の緩和、日額上限・助成率を通常制度より高率とするなど)の措置を設けるということで、皆様の御意見が一致したかと思われます。それを踏まえまして、具体的な額や率をお示ししたものでございます。
まず、雇調金につきまして、通常制度とするということですが、一番上の「原則的な措置」につきまして、12月以降、2~3月という欄がありますけれども、12月以降は8,355円、助成率は中小企業であれば3分の2、大企業であれば2分の1とするということが書いております。
それから、一定の経過措置ということで、支給要件の緩和に関しましては、下のほう、小さい字で恐縮ですけれども、※2で、生産指標につきまして、現時点ですとコロナ前比較も可能ということで10%以上減少しているということでございます。これについて、引き続き経過措置として要件緩和をします。
それから、その後ろのなお書きでございますけれども、令和4年12月以降に対象期間が1年を超える事業主については、業況を再確認するとございます。基本的に雇調金は1年単位で受給するということで、最初の申請時点で生産状況を確認し、それ以降は確認しないという運用でございました。それがコロナ期間中も同様でして、最長で2年数か月確認していないということがございます。このため、12月以降、1年を超える時点でいま一度生産状況を確認するというものでございます。もちろん、コロナ前比較での生産量の確認ということでございます。
それから※5ですけれども、その他の要件緩和としまして、クーリング期間制度、雇調金は1年受給すると次の1年は受給できないというのが基本でありますけれども、コロナ特例として連続して受給できることになっております。これについては引き続き3月までは、ということであります。
それから、※5の2個目のポツですけれども、12月以降、クーリング制度の適用除外となる事業者の方については100日まで受給できる。
3つ目ですけれども、その他、申請書類の簡素化などの措置を講じておりますので、これも引き続き3月までは、ということであります。
4つ目ですけれども、これまで雇調金を使っていなかったという方で、新規にコロナの影響で雇調金を申請したいという場合につきましては、経過措置での生産状況の確認ではなくて、通常の前年度比較で確認をするということであります。
それから、日額上限・助成率についての経過措置としまして、表の3個目、6段目の12月~1月と書いてあるところでありますが、原則8,355円、それから3分の2、2分の1となるところにつきまして、12月~1月につきましては、中小企業は上限9,000円、助成率3分の2で、括弧書きが解雇のない場合で10分の9、大企業ですと9,000円の2分の1、解雇のない場合は3分の2ということでございます。
具体的には、※6ですけれども、生産指標がコロナ前比較で30%以上減少しているということと、毎月確認。これは現行の業況特例についても毎月確認しているということでありますので、そこは一緒でございます。このような経過措置でどうかということでございます。
それから、本日は内容についての御議論ということで、省令改正ということになれば、また来月別途お諮りするということになります。
雇調金関係は以上です。
○雇用保険課長 続きまして、休業支援金等につきまして御説明させていただきます。
右の表でございますが、休業支援金等につきましても、今、御説明いたしました雇用調整助成金等と並びをそろえた形で見直しを図りたいと思っております。
雇調金等のほうで、今回、地域特例が原則的な措置に一本化されることを踏まえまして、休業支援金等につきましても、地域特例を原則的な措置に一本化するということで考えております。
また、雇調金等におきまして、原則的な措置の助成率の見直しが行われるという案になっておりますので、休業支援金等につきましてもこれとのバランスを考慮し、現在、支給率が8割ということになっておりますが、令和4年12月から令和5年3月までの間につきましては、この支給率を6割とさせていただきたいという案でございます。
○総務課長 続きまして、次のページに参ります。
「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージにつきまして、御説明いたします。
先般の会議におきましては、今後の施策の方向性として人材の育成・活性化と労働移動を通じた構造的な賃上げの実現について御説明を申し上げました。本日、経済対策が取りまとめられたところでございますが、厚生労働省におきましても、先般の方向性をより具体化したものとしてこちらのパッケージを取りまとめ、本日、公表を予定しているところでございます。今後の労働政策の方向性を示すものでございますので、御説明・御報告させていただきます。
まず、「基本的な考え方」ですが、かいつまんで御説明いたしますと、これまで雇用調整助成金等の特例措置を講じることで雇用維持に向けた支援を行ってまいりました。こちらによりまして、雇用と暮らしの安定に貢献してきたと考えているところでございます。
次のポツでございます。一方で、コロナ禍の緊急的・短期的な施策が長期化することによりまして、足元では人手不足の問題が再び顕在化し始めているところでございます。
3つ目のポツですが、また、多様な働き方へのニーズが高まっており、賃金が上昇していく仕組みが求められているといったところでございます。
4つ目のポツの赤いところですが、「多様な働き方」を可能とし、「賃金上昇」の好循環を実現していくため、これまでの賃上げ支援に加えまして、「人材の育成・活性化を通じた賃上げ促進」「賃金上昇を伴う円滑な労働移動の支援」「雇用セーフティネットの再整備」の一体的な取組を推進していくことが必要と考えております。下の図は、そちらを図式的に示したものです。
次のページを御覧いただきますと、今、御説明したことをイメージにまとめたものでございます。真ん中のマル1が労働者の賃上げを支援するということで、これまでの賃金を引き上げるための施策の推進、最低賃金の引上げなどを通じた労働者の賃上げ支援でございます。
左側にマル2とございまして、個人の主体的なキャリア形成の促進。
また、右側にマル3としまして、安心して挑戦できる労働市場を構築。
下に参りますと、マル4、多様な働き方の選択を力強く支えるといった施策を組み合わせることによりまして、上に丸が3つございます。「賃上げにつながる人への投資」「賃金の底上げ」「賃金上昇を伴う労働移動」といったことを実現してまいりたい。こうしたことによりまして、さらにその上でございますが、「あらゆる層の賃上げ」を推進してまいりたいと考えているところでございます。
具体的にどういった施策を行うのかにつきましては、次のページに施策の一覧がございます。「労働者の賃上げ支援」につきましては、最低賃金の引上げと履行確保、業務改善助成金の拡充等を実施することとしております。
2番目の柱「人材の育成・活性化~個人の主体的なキャリア形成の促進~」につきましては、例えば人材開発助成金の助成率の引上げ等の見直しによりまして、個人の主体的なキャリア形成の促進。
(2)でございますが、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)の創設などによります「新たな経験を通じた人材の育成・活性化」
(3)では、キャリアアップ助成金の拡充などによります「ステップアップを通じた人材活用」などを図ってまいることとしています。
右側に参りますと、3つ目の柱「賃金上昇を伴う労働移動の円滑化」でございます。
(1)の最初のポツでございますが、日本版O-NETの整備等によります「労働市場の強化・見える化」
(2)の労働移動支援助成金の見直し等によります「賃金上昇を伴う労働移動の支援」
(3)の公共職業訓練・求職者支援訓練のデジタル分野の重点化などによります「継続的なキャリアサポート・就職支援」を図ってまいりたいと考えております。
4つ目の柱「多様な選択を力強く支える環境整備・雇用セーフティネットの再整備」につきましては、(1)としまして、「次なる雇用情勢の悪化に備えた雇用保険財政の早期再建」などを実施してまいることとしております。
次のページからは、各施策を簡単に解説させていただいたものでございます。今回のパッケージにつきましては、安定局の施策に限らず、各局の施策を取りまとめたものとなっております。助成金の拡充等の具体的な内容につきましては、今後、各局の分科会等におきまして御説明がなされるものと考えておりますが、本日はこうしたパッケージを取りまとめましたことを御報告申し上げます。
私からの御説明は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ただいま、3件の御説明をいただきましたけれども、これらにつきまして、御質問、御意見等がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はございますでしょうか。
大谷委員、お願いします。
○大谷委員 御説明ありがとうございました。全国中央会の大谷と申します。よろしくお願いします。
まず、雇調金につきまして御発言させていただきます。雇用調整助成金等につきましては、財源の問題もありますということで、縮減はやむを得ないのかなと考えております。申請手続簡素化などの経過措置も講じていただいておりますので、御説明いただきました助成内容につきまして、御異議・御異論はございません。
また、現在、都内のコロナ感染者が徐々に増えている状況ということもありますし、第8波はインフルエンザとの同時流行が懸念されております。業況の厳しい企業はまだ残っておりますし、今後、支援が必要になった際には、以前議論されているところでございますけれども、一般財源を投入するなど、機動的に運用できるようにしていただきたいなと思っておるところでございます。
また、事業を継続・再開している事業者様につきましては、先ほど御説明いただきましたパッケージ等について、必要なところに必要な時期に届くように御周知いただきまして、御支援くださいますようお願い申し上げるところでございます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続きまして、清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田でございます。御説明ありがとうございました。
まず、雇調金と休業支援金について申し上げます。日商の調査でも、人手不足の状況が戻っております。政府の水際対策も緩和されて、本格的に感染抑制と経済活動の両立のステージに入る中、雇調金等について、特に業況の厳しい企業に対する一定の経過措置は設けつつ、原則的な内容に戻すということに異論はございません。今回、経過措置を含めて3月までの期限を示していただいたことから、企業の予見可能性は高まるものと期待しております。
ただし、雇用情勢には引き続き注視をいただきながら、急激な悪化が生じた際の対応は御検討いただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
次に、賃上げ等の施策パッケージについて申し上げます。経済の好循環に向けて構造的な賃上げというのは重要で、賃上げ支援、人材育成、労働移動の支援などを通じて多様な働き方と賃金上昇サイクルを促していく、この政策の方向性については、賛同するところでございます。
パッケージ全体の内容は理解しましたが、どの施策に重点を置くかが難しいように感じております。枯渇化している雇用保険二事業会計を踏まえて、政策効果を考えながら、できる限り有効に予算を使っていただく、お願いいたします。
また、賃上げにつきましては、余力のある企業が積極的に賃上げに取り組む後押しとなるように、今回、補助金・助成金によって支援をいただくということには感謝したいと思います。
一方で、中小企業の労働分配率は約7割から8割となっていることから、持続的な賃上げのためには生産性の向上と取引の適正化による付加価値の増大が不可欠な状況です。政府全体で中小企業の自発的な賃上げ環境の整備と一体的に、賃上げ支援の施策を進めていただきますようにお願いしたいと思います。
また、多様な働き方のうち、フリーランスや兼業・副業を拡大していくというところを施策に盛り込んでいただいております。この点については、労働市場全体における構造的な賃上げとはむしろ逆の方向に進んでしまうのではないかということも懸念しております。
基本的には非正規雇用者の正規雇用化を進めることと、多数を占める正規雇用者の賃上げをしっかり進めていくことを優先するべきと考えています。その上で、フリーランスや兼業・副業という働き方を選ぶ方にとっても安心して働ける環境を整備していただくなど、非常に難しいことと理解はしておりますけれども、できる限り施策同士の優先順位や主従を明確にしていただきたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
申し訳ありません、こちらの接続の具合かと思いますが、パッケージのフリーランスの話の直前のところでちょっと聞き取りにくい部分がありまして、差し支えなければもう一回簡単におっしゃっていただけるでしょうか。
○清田委員 直前の部分で申し上げますと、賃上げは、中小企業にとっては賃上げ余力が乏しい中で非常に厳しい状況があり、生産性向上と取引適正化が不可欠でございます。
今回の政策パッケージ等を通じながら、生産性向上等に取り組んでいただくとともに、政府全体でぜひ取引適正化を含めた賃上げ環境の整備に努めていただきたいというお願いでございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。お手数をおかけしました。
続きまして、冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
私からは雇用・労働総合政策パッケージと雇調金について、それぞれ意見を申し上げたいと思います。
まず、賃上げ等のパッケージでございますけれども、今回、基本的な考え方とともに産雇金などの人材育成に寄与するような施策などについて示されたと認識しています。前回も申し上げましたが、個々の産業・企業における人材育成、処遇改善に軸足を置くことが重要だと考えており、労働移動の促進が主たる政策目的にならないようにしなければいけないと考えています。
成長産業に限らず、処遇や雇用環境が魅力的でなければ、仮に政策誘導によって労働移動させたとしても労働者の定着にはつながらないのではないかと思いますし、期待するような効果は生じないのではないかと思います。まずは労働者にとって魅力的な成長産業の展望を描くことが重要であり、他省庁とも連携して進めていただきたいと考えています。
また、現状では重層的な雇用対策や社会的なセーフティネットの整備が不十分であることも指摘しておきたいと思います。
その上で、「雇用と暮らしの安定」を目的とした政策から「賃金上昇」を目的とした政策に力点を移すという考えが示されておりますが、「雇用と暮らしの安定」というのは当然のことながら今後も雇用政策のベースであると考えています。雇調金が担ってきた「雇用関係の継続」や「労働者が積み上げてきたスキルの保持」といった役割は、雇調金が通常制度に移行しようとも何ら変わるものではありませんし、社会的セーフティネットの柱であるという考えは、引き続き堅持すべきだと考えています。
また、産雇金についても同様ですが、人材育成に関する施策については、予算措置の確保、施策効果の検証を適切に行っていただくことで、真に労働者・求職者の人材育成に資するものとする必要があるということは改めて申し添えておきたいと思います。
その上で、今回提示されている雇調金・休業支援金等の見直し案につきましては、助成内容を通常制度の水準に戻すことと併せて、特に業況が厳しい事業主に対しては経過措置を設けることで、コロナ禍の影響の残る産業等にも一定の対応をしようとするものだと捉えています。今後の雇用政策の方向性に関しても、産雇金をはじめとして人材育成に資する施策の一端が示されていると考えています。
前回の合同会議での意見も一定反映されており、雇用情勢、感染状況、雇用保険財政、人材育成等の様々な要素を総合的に勘案したものだと考えています。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続きまして、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。
私からは、資料1ページの雇調金等の助成内容についてコメントさせていただきたいと思います。
今回示されている内容自体は、前回の合同会議で私も申し上げた意見を反映しているものと考えております。経過措置をきちんと設けた上で、雇調金等の助成内容を通常制度に戻していくということでありますので、この内容に異論はございません。
ただ1点、少し懸念していることがございます。今朝、ニュースを見ておりましたら、この10月から雇用保険料率が上がったということで街角のインタビューをやっておりました。8割以上の方が、雇用保険料率が上がったことを知らなかったという結果でした。それに対するコメントとして、「なぜこのタイミングで上げるのか」といった意見が複数の方から出されておりました。
もちろん一般の方ですので、弾力条項とか、特例という細かい話は御存じないにしても、10月から料率を本則に段階的に復帰させていくという内容が一般の労働者の方々に知られていないということを非常に懸念しています。
したがいまして、今回示されている助成内容についても、原則に戻していくというわけですが、しっかりと制度の内容や趣旨、経緯を広報していただいて、一般の方々にもきちんと理解していただくような周知活動をぜひお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
次に、勝野委員、お願いします。
○勝野委員 全建総連の勝野です。御説明ありがとうございました。
私からは、直接職安局の施策として関係するのか分かりませんが、御説明のあった労働総合政策パッケージの最後のフリーランスに関わる部分について、少し発言をさせていただきたいと思います。
今回、フリーランスに関わる取引の適正化を目指すということで、法整備の検討が進められているということでありますが、取引の適正化についての方向性については一定の理解ができるわけでありますけれども、例えば建設業の場合、いわゆるフリーランスに該当する一人親方と言われている皆さんの報酬や就業の実態は非常に不安定で、経済的に弱い立場に置かれているのが現状であります。また、経済的な従属性や労働者性が高いケースも散見されているというのが現状です。
こうした現状において、今回のフリーランスの取引適正化は、内閣府を主幹として法整備の検討が進められているということでありますけれども、競争法的な観点による取引の形式、または形態の規定に関する法整備のみが先行することで、個人の事業者性だけが強調されてしまうということは非常に私どもも懸念しているところであります。
使用者責任、雇用経費負担等の回避、意図的な労働法制の適用除外、労働者性の判断基準範囲の縮小、低報酬や契約関係の不安定化、同じ役務の提供市場にある雇用労働の不安定化などを誘発させないことが重要だと考えておりますので、検討に当たりましては、厚生労働省としてもこの論議に関与していただくよう、お願いしたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、玄田委員、お願いします。
○玄田委員 ありがとうございます。
政策パッケージのほうに2つほど申し上げておきたいと思います。先ほどの御説明ではスキップされましたけれども、2ページ目に「しなやかな労働市場」という言葉が示されております。恐らくこれは今年7月の雇用政策研究会の報告書で使われた表現をこちらで用いられていると予想しています。
ただ、この資料で「しなやかな労働市場」の説明がないので、受け取る方がどう受け取るか若干不安というか、次のページで「賃金上昇を伴う労働移動」とか、どちらかというと外部労働市場を強化するというイメージで受け止められたりとか、短期的な変化に対応するということをイメージされる方がもしかしたら多いのではないか。
それで今、チャットに研究会報告のものを載せましたけれども、研究会報告の「しなやかな労働市場」の定義は、そこに書いてあるとおり、内部労働市場の強みを生かして強化しながら外部労働市場の機能を活用するとか、短期的な情勢変化と長期的な産業構造の変化という短期と長期の両方に目配りしていくのだとか、回復力と持続力といったような、どちらかというと両にらみでやっていかないとしなやかではないよというメッセージなので、これから記者発表等いろいろされるときにちゃんとそこは説明しておかないと誤解されるのではないかなと思ったので、まず1点、そこは申し上げておきたいと思います。
もう一点は、パッケージの具体的な内容で、もちろんそれでいいかと思うのですけれども、基本的に賃上げというのは、職場の労働者が要求しないと上がらないので、余裕があったら自動的に企業が上げるというものではないので、ちゃんと要求できるということをもっと後押ししないと駄目なのではないか。
もちろん最低賃金以下、賃金不払いという不当な賃金に対して是正するようにいろいろな指導とか、相談に乗るというのはこれまでどおりやっていかなくてはいけないのですけれども、今、求められているのは、不当とまでは言えないけれども、もっと上げたい、上がってもいいのではないかということをちゃんと要求できる交渉力、英語でAssertionといいますけれども、自分自身の要求を正当に要求する力を上げるということです。
1番の企業への賃上げ指導はもちろん大事だけれども、今、弱くなっている労働者に対する賃上げ指導というか、労働者がちゃんと要求できるのだというところをキャンペーン的にもっと強めていかないと、政府や労働組合がどんなに要求しても、うちの社員に要求されていないですもんと言われたら、賃金は絶対上がらないので、そういうアサーションスキルのようなものをちゃんと強めるみたいなことを例えばこれだけ社会的認知が広がった総合労働相談コーナーでやってもいいのではないか。そういうものもちゃんと受け付けますよということをやらないと、どうしても依存的になる。
賃上げも、政府が何とかしてくれるとか、労働組合が何とかしてくれるというのは、今後の健全な労働社会、労働民主主義を考えると不安もあるので、正規・非正規を超えてちゃんと労働者が賃金を要求する力を持てるということも考えてもいいのではないかなと今日のパッケージを見ながら思いましたので、そこは申し上げたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど勝野委員からフリーランスの働き方について、非常に重要な御指摘がなされたと思いますので、同じことですが、私からも申し上げたいと思います。
現在、フリーランスと呼ばれている人の中には、実際には労働者性が認められる人もかなりいると思っています。労働者性というのは、ご案内のとおり、契約名称にかかわらず客観的に判断されるべきで、厚労省も労基法・労組法それぞれについて報告書でガイドラインを定めているところです。
そこで、現在の国際的動向としてはヨーロッパでは明らかに労働者性を広く認める方向で個人事業主を保護するために、規制をかけようとしていますので、ぜひ厚労省としても対応というか、競争法に任せるというのではなく、今後、労働者性を柔軟に認めるなどの対応も期待したいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局からは追加的に何かございますか。よろしいでしょうか。
種々有益な御意見をいただき、ありがとうございました。雇用調整助成金等につきましては、前回、御意見を伺いましたし、運用、周知についての御要望をいただきましたので、それらは受け止めさせていただくとして、基本的な方向性については御異論はなかったのではないかと理解しております。
また、パッケージについては、今後の政策の方向性も含めて種々有益な御意見をいただいたところでございます。個人的な意見ではありますけれども、これらは今後受け止めて、厚労省としても考えていただきたいと思っております。
ほかに委員の皆様から全体として何かございますでしょうか。
それでは、御議論いただきました雇調金等の助成内容、雇用労働政策のパッケージについては、この後、プレス発表することとなります。それから、省令案につきましては、先ほど事務局からの説明にもありましたけれども、来月、改めて省令案への諮問答申という形で御審議いただくこととしたいと思います。
議題1については以上となります。
本日、予定されております議題は以上で終了いたしましたけれども、この際、委員の皆様から何か御発言等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の合同会議はこれで終了いたします。大変ありがとうございました。