第186回労働政策審議会職業安定分科会及び第176回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年10月24日(月)10:30~11:30

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「労働政策審議会職業安定分科会(第186回)・労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(第176回)」の合同会議を開催いたします。皆様方、大変お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですが、職業安定分科会委員におかれましては、公益代表の玄田委員、中窪委員、酒井委員、労働者代表の西尾委員、使用者代表の小坂委員、砂子田委員、小野委員が御欠席と伺っております。労働者代表の津村委員におかれましては、所用のためオンラインで遅れて御出席ということと伺っております。それから、雇用保険部会委員においては、公益代表の水島委員、労働者代表の小林委員が御欠席と伺っております。
カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○山川分科会長 本日の分科会は、会場とZoomによるオンラインでの開催になります。オンラインでの御発言の方法につきましては、事前に事務局からお送りしております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
それでは、早速議事に入ります。議題1「雇用調整助成金等・休業支援金等について」です。それでは、資料について、事務局から説明をお願いします。
○雇用開発企画課長 それでは、御説明させていただきます。雇用開発企画課長の小宅でございます。
それでは、資料をめくってください。まず、直近の雇用失業情勢でございます。
求人倍率、失業率ともに改善傾向を示しております。求人倍率1.32、失業率2.5ということでございます。
次のページですが、有効求人、有効求職の傾向です。
赤線が求人数でございますが、コロナ前の水準を上回っていると。それから、青線が有効求職で「高止まり」と書いておりますが、次のページを見ていただきますと、新規の求職者については紫の線でございますけれども、こちらはなだらかに低下しているということで、先ほどの高止まりというものについては、じっくりと求職活動されているという方が一定程度いらっしゃるということかと思います。
次のページが、業況でございます。
日銀の短観で見ますと、業種別、企業規模別ともに改善の傾向を示しております。
次のページが、その業種の中分類で少し詳しくしたものでございます。
右側の非製造業の緑の線が宿泊・飲食サービスということで、雇調金をこういった業種で多く使っていただいておりますけれども、こういったところでも改善傾向が見られているところであります。
次のページは雇用人員判断でございます。
こちらについては、業種別、企業規模別をおしなべて不足のほうに振れているということでございます。
次のページが中分類でのものですが、やはり非製造業の緑の線、宿泊・飲食などについては、かなり急激に不足のほうに振れているという状況でございます。
次のページが、休業者等の状況でございます。
上段の休業者については、月末の一定期間の調査対象期間において休業したかどうかという調査でございますけれども、2021年から基本的に▲ということで休業者は減ってきているということでございます。直近の7月、8月は黒字になっておりますが、コロナの感染でお休みされたという方が増えたということのようで、業績に伴う休業ということよりはそちらの影響が大きかったということでございます。
次のページは、雇用調整助成金の概要でございますので、これは割愛させていただきます。
次のページもその詳細でございますので、割愛させていただきます。
直近の支給状況でございますが、赤線が4週間平均の1週当たりの支給金額でございます。ピーク時は1,300億ぐらいを超えていたところですけれども、今200億を割り込んでいるという状況でございます。
次のページが、月別の決定件数、それから1件当たりの額ということでございますが、いずれもなだらかに下がってきているということでございます。
次に、週ごとの支給状況でございますけれども、直近のものが赤で囲っておりますけれども、10月8日から14日ですと147億円ということでございます。
次のページが、どういった業種で使われているかというもので、大分類でございます。製造業、宿泊、飲食といったところが上位に来ております。
次のページが、中分類で見たものですが、飲食、宿泊、道路、旅客、その他のサービス、輸送用機械器具といったところでございます。
次が、休業支援金・給付金の概要と支給実績でございますので、説明は割愛させていただきます。
次のページですが、こういった雇用失業情勢、支給状況とともに、雇用対策とか経済全体の対策の流れということで、このペーパーで御説明いたしたいと思います。
先月、経済対策の策定ということの指示が出されております。この中で新しい資本主義の加速ということで構造的な賃上げに向けて、人への投資の抜本的強化と成長分野への労働移動を強力に推進するということが指示されております。それを踏まえて雇用対策の方向性としてまとめたものでございます。経済財政諮問会議などでも大臣のほうから説明しているものでございます。
個人の多様な働き方や構造的な賃上げを実現するために、人材の育成の活性化や円滑な労働移動を推進していくということが必要になっております。その方策として、具体的には左のほうですけれども、本人の主体的なキャリア形成の促進とか在籍型出向、副業・兼業といった新たな経験を通じたスキルアップの促進、非正規雇用の方々のステップアップの機会の提供などによって、人材の育成・活性化を通じて賃上げを促進するというものでございます。
一方、右側のほうですけれども、より高い賃金で新たに人を雇い入れる企業の取組支援とか、継続的なキャリアサポートなどによる賃金上昇を伴う円滑な労働移動の支援、こういったものが相まっていく必要があるのだろうということでございます。
一番下のところですけれども、そういったことを実現するためには、ハローワークを通じたきめ細やかな就職支援とともに、雇用保険財政の早期再建というのが重要だろうということで全体像をお示ししておるところでございます。
次のページですが、そういった雇用、失業情勢、給付状況、それから、今後の経済対策、雇用対策の流れというものを考えていったときに、12月以降の雇用調整助成金についてどのように進めていくべきかということを論点としてまとめさせていただきました。
本日、これについて御議論いただきまして、その上で雇調金の12月以降の姿については今月末までにお示しするということでしたので、今日の議論を踏まえ、もう一回、分科会で具体的な助成額、率等の在り方について御議論いただこうと思っています。本日は、今後の考え方について御議論いただければということでございます。
論点1としまして、先ほど御説明しました現下の雇用情勢、求人の状況、人手不足の状況などに鑑みて、通常制度とするということについてどのように考えるかと。
もう一つは、2としまして、通常制度とする場合、特に業況が厳しい事業主について一定の経過措置、例えば受給要件の緩和とか日額上限や助成率を通常制度よりも高率とするなどを設けることについてどう考えるかということでございます。
参考としまして、その下にこれまでの審議会での御意見をまとめております。
例えば1つ目のところですと、雇用調整助成金などの支給が長引く中での課題も挙げられていると。見直し等の対応は妥当だが厳しい状況が続いている産業もあることから、段階的な引下げといった対応が適切ではないかというような御指摘。
2つ目ですと、雇用政策については、少しずつ着実に円滑な労働移動にシフトしていく必要がある。雇調金の特例措置の縮減については、従来から示されている方針に従った内容であり異論はないが、特に支援を必要とする企業への配慮も必要ということで、こういった今までも方向性についての議論がありましたので、それを踏まえての論点1・2という形で整理させていただきました。御議論いただければと思います。
説明は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はございますでしょうか。
では、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
いろいろと論点が整理をされてきましたので、そこの論点1・2の部分について少し述べさせていただきます。
論点1の部分は、雇用保険のマイナスの部分が非常に増えてきていますので、通常制度に戻るというのは致し方ないのかなと思いますけれども、我々中小企業にとっては、やはり業況が厳しいところがまだ続いていると。それから、コロナが続いたこと、それから、世界的な情勢、原油高も含めて、そういうことによって業況が厳しい事業種というのも続いておりますので、まずはコロナの一定の激変緩和措置というのはまだまだ必要なのかなと思っています。
今、政府のほうで新しい資本主義ということで、キャリアを変えていこうという思いがあるのかと思いますけれども、そういったキャリアアップの施策がきちんと整っていくまでの間は、激変緩和を続けながら緩やかに移行をしていただくようにしていただきたいなと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続きまして、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。資料説明、ありがとうございました。
まず、論点1についてです。
資料の説明にありましたとおり、雇用情勢は緩やかに持ち直していると認識しております。新規求人数も、コロナ感染拡大前と同水準まで回復してきています。加えて日銀短観の人員判断DIを見ますと、製造業、非製造業の各産業において人手不足感が非常に高まってきている状況にあると認識しております。こうしたことに鑑みれば、セーフティーネットの再整備に向けて雇用調整助成金等の助成内容を原則に戻していくタイミングを検討すべき時に来ているのではないかと考えているところでございます。
続いて、論点2についてです。先ほど馬渡委員からお話がありましたが、まだまだ厳しい状況に置かれている産業等もありますので、一定の配慮は現時点では引き続き必要ではないかと思っております。雇用情勢を慎重に見極めながら、12月以降、一定の経過措置を設けるという方向性に異論はございません。こうした点についてさらに議論を深めていければと考えております。
私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、次に宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 ANAホールディングスの宮田でございます。御説明、ありがとうございました。
まず、現状の状況からいきますと、私どもも含めて、現在水際対策の緩和などで影響が長引いていった業界に関しても回復の兆しが出てきたということは顕著かと思っています。ただ、先ほど委員からありましたように、物価の高騰などという影響で、なかなかまだコロナ以前の状況に立ち直れていないところがあるということも事実かと思っています。そういう意味では、論点1の観点から申し上げれば、今回、雇用調整助成金を通常の制度に戻していくこと自体の方向性は妥当な考え方であると思っています。
ただ、一方で、論点2に係わりますけれども、今後また冬の時期を迎えるということで、再流行の可能性も意識はしておく必要があると思っています。そういう意味では、どのようなどのような状況になることを踏まえて、有事の際を想定した場合、例えば1年を超えて受給できる期間の見直しを検討しておく、また、休業規模の要件、また、業種特例の延長など、状況に合わせて適切にかつ迅速に検討できるようなサポート体制を同時に構築していくことが必要かと思っております。
私のほうからは以上でございます。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続きまして、大下委員、清田委員。大下委員からでよろしいでしょうか。
○大下委員 ありがとうございます。日本商工会議所の大下でございます。
論点1・2について申し上げます。
私ども日商の調査でも、中小企業において、コロナ禍前の深刻な人手不足の状況が戻ってきております。政府による水際対策も緩和をされましたし、ある種本格的に感染抑制と経済活動の両立のステージに入る中で、雇調金等についても一定の経過措置を設けながら通常の内容に戻していく、こちらの方向性については異論ございません。
ただ、先ほどから皆さんがおっしゃっていたとおり、依然として業況が厳しい企業もございます。真に支援が必要な企業には、迅速かつ十分に支援の手が届くように、引き続き目配りをしながら、ただし、政策については少しずつ、しかし着実に雇用の安定から円滑な労働移動、働く人の能力開発、こちらにシフトをしていく必要があるのではないかなと思っております。
コロナ禍による企業経営への影響ですけれども、一時的、短期的なものと構造的な変化、両方があるのではないかなと思っております。この構造的な変化は、足元の物価の上昇や急激な円高といった経済情勢の変化も含めて、中小企業においても、厳しいですけれども自らのビジネスを変革することで対応していかざるを得ないと思っています。そういう意味では、短期的なものをもともと視野に入れながら経過措置を残していくということは必要ですけれども、これについても一定の期限を示すことで、企業としても自己変革に向けた予見可能性を高めていくということも1つの論点かなと思っております。
あと1点、コロナ禍への対応の中で、雇調金の支給に当たって様々な書類、手続等の簡素化、迅速な支給に向けての取組を進めてきていただきました。本当に感謝をいたしております。こうした点については、不正受給防止の観点とも合わせながら、できる限り簡便で迅速な支給につながる仕組みを継続していただくことが望ましいかと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、今後の雇用・労働施策の方向性と論点について意見を申し上げます。
まず、18ページですが、今後の雇用施策に関して、人材育成とともに労働移動を推進する中で構造的な人材育成、構造的な賃上げを実現していくという大きな方向性が示されています。これらを推進するに当たっては、当然のことながら個々の産業・企業における人材育成、処遇改善にしっかり軸足を置いた施策としていくことが重要だと考えています。成長分野への労働移動そのものを否定するわけではありませんが、それが本施策の主たる政策目的になってはいけないのではないかと考えています。
また、労働移動に当たっては、重層的な雇用対策や社会的なセーフティネットの整備が前提だと考えています。資料に賃金上昇を伴うとの記載があるとおり、成長分野での処遇や雇用環境が重要であり、これらが不十分な状況の中で労働移動を促進しても、定着にはつながらないと考えています。労働者自らが希望するような処遇や安定した雇用環境を整備していくことが非常に重要ですし、魅力ある成長産業に発展させるためにも、政府として産業政策や人材育成につながるような施策を拡充していただきたいと考えています。
その上で論点について意見を申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大の第7波のピークであった8月においても、完全失業率、有効求人倍率が改善傾向にあり、雇用情勢への影響は一定程度抑えられていると考えいます。12月以降の雇用環境の検討におきましては、これまでの雇用情勢と今後の見通しに加えて現下の雇用保険の財政状況などを総合的に勘案する必要があると考えています。
また、特例措置の取扱いのみならず、先ほど御説明いただいた、18ページで示された人への投資や分配についての各種施策についてもう具体的に示していただく必要があるのではないかと考えています。
これまでも申し上げてきましたが、産業・地域ごとの状況も、重要であり、現時点でもコロナ禍の影響を受けるような産業・地域に対しては一定の支援は継続されるべきだと考えています。今後、雇調金を通常制度に戻していくとしても、これらの産業・地域への一定の経過措置は当面の間必要ではないかと考えています。
これらも含めて、休業ではなく在籍型出向を活用して雇用を維持したい、また、新たなスキルを獲得したいというニーズにも対応できるように、産業雇用安定助成金がより一層活用されるような周知や支援も重要だと考えています。政府として、これまで以上の周知、申請しやすいような環境の整備や支援、出向先の開拓に引き続き取り組んでいただくことが重要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
そのほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の議題1につきましては以上とさせていただきます。
本日は、雇用調整助成金等・休業支援金等について御議論をいただきました。それで、先ほどの事務局からの説明にもございましたように、これらの12月以降の具体的な助成内容等につきましては、今回に重ねて日を改めて議論することといたします。具体的な日時は事務局から改めて御連絡をいたします。
本日予定されておりました議題は以上でございますけれども、この際、委員の皆様から何か御発言等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の合同会議はこれで終了いたします。お忙しい中、大変ありがとうございました。