第24回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和4年8月30日(火)10:00~12:30

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

出席者

(委員)(五十音順)
入山委員 大橋委員 岡本委員 川﨑委員 古賀委員 佐々木委員 武田委員 中野委員 春川委員 守島部会長 山川委員 山田委員
(ヒアリング対象者)
宮﨑 知子氏(株式会社陣屋)
久野 功雄氏(久野金属工業株式会社)
(事務局)
小林厚生労働審議官、山田大臣官房長、中村政策統括官(総合政策担当)、田中政策立案総括審議官、蒔苗政策統括官付参事官、古屋政策統括官付政策統括室労働経済調査官、古舘労働基準局総務課長、宇野人材開発統括官付人材開発政策担当参事官、宮元職業安定局雇用復興企画官、飯田雇用環境・均等局総務課企画官

議題

  1. (1)ヒアリング
  2. (2)その他

議事

議事内容
○守島部会長 皆様方、おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまから第24回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。
カメラの頭撮りはこの辺なのですけれども、いらっしゃらないので。
本日は、所用により、石山委員及び冨山委員が御欠席でございます。
また、所用のため、山川委員は遅れて御出席、入山委員、武田委員は途中で退席、それから、佐々木委員は一度出られてまた入ってこられると伺っております。
議事に入ります前に、オンラインの開催に関しまして事務局から説明があります。よろしくお願いいたします。
○古屋政策統括官付政策統括室労働経済調査官 事務局の古屋です。おはようございます。
オンラインでの開催に関しまして、留意事項を御説明いたします。
まず、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただくようお願いいたします。
委員の皆様は、御発言の際は「参加者パネル」の御自身のお名前の横にあります「挙手ボタン」を押して、部会長から御指名があるまでお待ちいただければと存じます。部会長から御指名がありました後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後はマイクをミュートに戻し、再度「挙手ボタン」を押して、挙手の状態を解除していただくようお願いいたします。
通信の状態などにより、音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りいただくようお願いいたします。
また、会の途中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡いただくようお願いいたします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず、本日の進め方について御説明さしあげます。
「DX推進による、働き方改革やリスキリングの取組」について、今日は2名の方にお話をいただきたいと思います。
第1番目は株式会社陣屋の宮﨑様でございます。
2番目が久野金属工業株式会社の久野様でございます。
その後、「企業におけるIT化・DX推進への労働組合の取組」ということで、春川委員からお話をいただきたいと思います。
お三方のプレゼンテーションが終了した後に、まとめて質疑応答及び自由討議を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ヒアリングに移りたいと思います。最初に宮﨑様、よろしくお願いいたします。
○宮﨑様 ただいま御紹介にあずかりました、株式会社陣屋の宮﨑と申します。
私どもは温泉旅館でございまして、そちらでの取組というのをお話しさせていただきます。
資料は画面共有させていただきます。
まず、私どもの事業内容の御紹介を少しさせていただければと思っております。
鶴巻温泉というのは神奈川にあるところなのですが、神奈川の元湯陣屋というのが主体になっておりまして、ホテル旅館経営・運営事業という形で、来年以降ですけれども、兵庫県の新温泉町湯村温泉、長野県の別所温泉、長崎県の三原庭園といったところで開業する予定になっております。それを支えるDX事業、観光DX業としまして、宿泊に特化した仕組みではあるのですけれども、陣屋コネクトという基幹システムを私どもは自社で開発しておりまして、ライセンス販売を行っております。同業他社の方に御利用いただきまして、今で十数年経過しているところです。
新しい地域共通のDXシステムというものも今開発させていただいておりまして、順次リリースを控えているところ、そして、一昨年に観光事業と更新事業ということで旅行業を取得いたしまして、他社の施設様に送客するという仕事もかなうようになってまいりました。
そういった中で、この12年間のところを少しお話しさせていただくのですけれども、もともと神奈川県の秦野市という中央部から少しに西に寄った地域にございます。新宿から約1時間程度でお越しいただけるところで、創業が現在105年目になっております。
施設規模としましては、客室は18部屋の小さな温泉旅館です。レストラン、宴会場などが6つあるほどの施設規模のものでございます。
もともとは2009年に事業を主人と私が継承したところからスタートしておりまして、当時の売上げはバブル期から衰退の一途をたどり、5億あったものが2億9000万円まで減ってしまって、EBITDAが既にマイナス6000万円。これは償却前の利益なのですが、既にそこで借入金が10億円あるような惨たんたる企業だったのですけれども、オーナーである主人の父が急死してしまったということと、社長兼おかみであった母が体調を崩しまして入院してしまうというアクシデントがあったために、経営者が不在になったことで、急遽、長男夫婦である私どもがバトンタッチしたというようなことが背景にあって、2009年の10月から引き継いで行ってまいりました。
そのとき、2009年10月時点で決めた方向性があるのですけれども、仕事内容は全てアナログでございました。まだDXという言葉もございませんし、IT化という言葉もまだそれほどなかったような状況です。社内を1か月間観察しながら、何がまずかったのかというところで決めたところなのですけれども、まずは情報の見える化がない。お客様の情報というのが個人に依存してしまいまして、共有化されていない。お客様の情報というのは会社にとって財産なので、これを中央で管理して、いつでも誰でもどこからでもアクセスすることができる。あとは、情報をすぐにスタッフ皆で共有するという文化がありませんでした。まずこの可視化をしたい。そして、PDCAサイクルを高速化したい。PDCAサイクルという概念もなかったような状況ですので、月次管理から日次管理に切り換えたいというような形で改善を実行していくことになっていきました。
あとは、お客様の情報を持っているだけではいけないので、活用させる。CRMという仕組みとともに概念も根づかせなければいけないなというところがございました。
4つ目の仕事を効率化してお客様との会話の接点を増やすということが最たる重要なものなのですけれども、接客業だと思って主人も私も旅館に参りましたが、1日の8割以上の時間をバックヤードに費やしているような状況で、重要なお客様の接点といったところに時間が割けないという本末転倒なことが起こっておりました。
接客時間というのは、昔と今とそれほど何十時間も変わるかというほどではないのです。常に隣にいるとうっとうしいということもあるのですが、スタンバイにかける時間というのが以前はあまりに取れなくて、お客様が誰が誰だか分からない、区別ができない。これが人に依存していたというのが重要なところといいますか、ポイントでございました。初めてお目にかかる方と、5回目に御来館いただいているお客様はかける言葉が違うはずなのに、誰が誰だか区別がつかないので、取りあえず一辺倒な無難な接客をする。なので、接客が全然楽しくもないですし、お客様も全然記憶に残らないというようなことが繰り返されておりました。これが、区別ができるキャリアを積んだ何十年のベテランというような方がいれば、この方は大体半年に1回ぐらい来てくださる方だわとか、以前お子さん連れてきてくださったなみたいな記憶に頼るというようなところが行われていて、年月が長い方が有利に仕事ができるというようなことが行われていたというのがあるのですが、それが人に依存しているので、サービスクオリティーが一定に保てないというのが最大のポイントといいますか、課題でした。
あとは、非効率な会議・朝礼・夕礼を減らしたいというのもございました。24時間365日営業ですので、全員を集めてミーティングをするというのが不可能です。ですので、セクションからポイントとなる方を集めてミーティングをするのですけれども、その方々の解釈によって伝わっていく伝達事項が異なるので、伝言ゲームになってしまって、結局正確な情報が末端のメンバーまで届かないということが多々起こっておりました。皆さん自分の都合のいいように解釈するので、なかなかそこが難しい。なので、ミーティングをする意味がないのです。やっているだけ時間が無駄なので、これを省きたいなと思っておりましたが、入社して間もない人間がミーティングをやめようと言おうものなら、なかなか立場がしんどくて、言い出せなかったというところがございました。
ただ、口で鼓舞するだけでは変えられないので、基幹システムを導入して一気に変えてしまおうという形で導入を判断いたしました。当時市販されていたホテル旅館向けの基幹システムには、私たちが欲しい要件を満たすものが存在しませんでした。2009年当時、まだクラウドという言葉はなかなか世の中に浸透していなかったです。
実は主人が以前働いていたのがホンダでございまして、燃料電池開発に携わるエンジニアでございました。私も以前の職場が東芝系のリース会社でして、いろいろな企業さんにダイナブックを売りさばくという部隊と一緒に行動していたので、企業さんのパソコンの入替えというシーンにたびたび立ち会っていたのですけれども、大企業さんは何十台も入れ替えるときにシステムを一回入れ替えて、ソフトウエアをクリーンアップして入れ替える。そのソフトウエアの代金とデータを移行するという代金がこんなに高額なものかというのが学生上がりにはひどく驚くことでして、普通に1000万円級かかるのです。これは大きな企業様でしたらできるのですけれども、自分たちのような中小企業というのはなかなかこれは金額的には厳しいというのと、正直、サーバーをメンテナンスするメンバーというのが社内におりませんので、情報システム部というものがつくれないという問題もありましたので、何とかこれを回避する方法はないだろうかと考えてクラウドというものに行き着いたのですけれども、当時、クラウドで基幹システムを提供しているところがなかったので、それであれば、大きな金額をかけてカスタマイズして不便なものを使うぐらいならば、自分たちでつくったほうがいいのではないかという結論に至りまして、社内でシステムエンジニアを1名採用して独自開発をするということを2009年の暮れ頃にスタートいたしました。
この開発に関しまして、コンセプトとしては、陣屋の社是である「物語に、息吹きを。」というものは重要なポイントになりまして、お客様と陣屋をつなぎたい、スタッフ同士、仕事の流れをつなぎたい、お客様の物語をつなぎたいということで、陣屋コネクトというシステム名を命名いたしまして、愛着が湧くようにここから開発をスタートしたという背景がございます。
この陣屋コネクトは開発を始めて12年経過しております。今でもずっと開発を続けています。ずっと開発を続けて何ができるようになったのかという一覧を表示してございます。
まずは予約管理、顧客管理、社内SNS、設備管理、勤怠管理、会計管理、売上げ管理、経営分析とできるようになっているのですが、本来ホテルシステムと言われているPMSは予約をつかさどる仕組みなのですが、予約を管理するだけではホテル・旅館は運営することができませんので、これにPOSレジが必要だったり、ここに今度キャッシュレスというものが入ってくるのですが、財務や給与のソフトウエアが必要だったり、顧客管理が必要で、例えばお誕生日の前にDMを出したいといった営業支援をやりたいと。これは全部違うメーカーのものを採用して、カスタマイズしますと連結するためのカスタマイズ費用がかさみまして、二重登録が止められなくて、結果、最後はExcelにインポートして二次加工をして銀行さんに提出するとか、そういった裏方でやってくださっている仕事がまだまだたくさんあると思うのですが、これをやめたい。Excelにデータを落としてしまったら最後は紙運用しかなくなりますので、何とかここに落とさずに経営分析まで持っていきたいと思いがありまして、一元管理を目指してずっと作ってまいりました。今、この導入効果としましては、全部手書きのアナログだったところがデジタル化したというような一覧になっております。
旅館にITを浸透させるポイントというのがリスキリングという類いになってくると思うのですけれども、まずは経営側の方に積極的に使ってもらいたいというのがあります。社長が使わないシステムは従業員の方も使いませんので、まず社長さんにログインしていただきたいというのがあります。なので、トップダウンのレポートや報告、メッセージなどがすごく必要だなと思っています。あとは、定期的な会社方針のブレークダウンなども社内SNSを通じて行うというようなところが重要かなと思っています。
私のところにも一日50件くらい投稿があるのですが、多いときでは50件以上メッセージが投稿されることもあります。それに全部既読サインをつけて、必要であればコメントを返す。昨今の若い方々は既読スルーとかをすごく嫌がるので、承認欲求が高い子たちがたくさんいますので、なるべくすぐ手がけるというのが重要かなと思っています。
あとは、ログインしないと仕事にならない環境を構築するというのも一つの手でございました。ここは「70歳の仲居がタブレットを使うまで」という副題を小さくつけておりますけれども、10年前の70歳の方にはログインをするというのがなかなか大変な作業でした。現在の70代の方であれば、これだけスマートフォンが普及していますので、特に問題なくお孫さんとLINEされている方とかもいらっしゃいますが、当時、皆さんがなぜここまでログインをやりたがらないのかという原因を見ていたのですが、まずパソコンが怖い。壊してしまって弁償しろと言われたら困るみたいな、要は事務作業をやってこなかったメンバーがたくさんいらっしゃるのです。そういった職場になかった、環境になかったまま年月が経過してしまっているという方々がいらっしゃるので、まず自分たちがあまり触り慣れていないものに触るのが怖い。よく家電とかもちょっと違うスイッチをいじってしまって、思ったことではない動きをすると怖くなってしまって、コンセントからぶちっと引き抜いてしまう方とかがいらっしゃると思うのですけれども、物が壊れるからやめていただきたいのですが、平気でぶちっと電源を落としてしまうみたいな方たちがまだまだいらっしゃるような職場ですので、まずはそういった触り慣れていないものが怖い。
あとは、かな打ちがまだ正直そういう職場になかったので、認識が薄れていて、思い出せない。あかさたなぐらいは打てるのですけれども、ちゃちゅちょ、きゃきゅきょがかな文字で打てないです。「社長」とかが打てない。そこからまずログインが難しいみたいな方も正直いらっしゃいました。
なので、その方々にどうしても触ってもらわなくてはいけないので、触る環境に持ってくという囲い込みをするのが重要でした。陣屋としましては、勤怠管理の機能が開発して3年ぐらい経過したときに出来上がりましたので、勤怠管理をまずこの中に入れて、ログインして出勤ボタンを押さないと給与が発生しないという社内ルールにしましたところ、何とか70代の方も全員ログインするようになりました。
それまでは、正直情報も同僚の優しい方が教えてくれて、その方の言うとおりに動けば何とか皆についていけるみたいな方もパートさんではいらっしゃらなくはなかったのですけれども、その同僚の時間を奪っているということに気づかない方々も当時はまだいらっしゃいまして、それを説得しながら、自分で必要な情報を見てほしいと。この部屋には今日何人の方がお泊まりになって、座布団は何枚必要ですよみたいな必要事項を確認できるというようなところを自分でやれるふうにしていただきたいという形で毎日繰り返していきました。毎日毎日やればできるようになります。銀行のATMでお金を下ろしたことがある方は使えるようになるので、頑張ってくださいというような形で励ましたりいたしました。
あとは、20回ぐらい同じことをびっくりするぐらいに聞かれます。なので、共有のパソコンに席が近いメンバーは、パートさんが出勤してくる時間は質問攻めに遭いまして、自分の仕事ができないので、それを対応してくれるメンバーがいました。ただ、彼女にお願いしたというのと、彼女を評価したところは、彼女は腹を立てずに何度でも付き合ってくれたのです。若いスタッフさんが高齢のパートさんに。それは彼女のすごく貢献してくれるところなので、それは彼女の人事評価として後日評価をしました。
あと、お年寄りの皆様に叱らないということが重要でした。やはり自分の年の半分以上下の人から皆さん叱られたくないのです。嫌われたくないので、嫌な顔もされたくない。これをあまりむげにやってしまうと、分からないものを分からないまま放置しだします。それをやられる方が後々よっぽど面倒なので、なるべく対応していく。あまり御自身も毎日聞くと申し訳ないなという気持ちも少しずつ出てくるので、当時まだ御自身で持っておられた携帯はほとんどの方がガラケーでしたけれども、写真を撮れたりという機能はまだあったので、御自身で分からないところは写真を撮ってもらったり、いろいろな工夫をしながら覚えていただいたというのはございます。
よく質問をいただくのは、一斉のパソコン教室みたいなことは行いませんでした。やっても正直無駄だと思いました。皆様分からないところがまちまちですので、進捗もばらばらです。リテラシーもばらばらです。なので、一斉にやるだけの意味がない。自分たちに必要な30秒だけあればいいので、例えば30分集めましても、自分に必要な30秒が過ぎてしまうと29分30秒は無駄になりますので、そういった一斉に集めるということは一切いたしませんでした。
あとは、使いやすいデバイスを当時自由に選択してもらったということはあります。2009年、2010年、使い出した当時、まだiPadなどは発売されていませんでしたので、私たちはパソコンから使い出しています。デスクトップ、ノートパソコンからです。そこから新しいモバイルが出るたびに数台購入してみて、社内で人気のあるもの、使いやすいものから買い足していくという方法で進んでまいりました。
あと、メディアや展示会に積極的に情報公開したりということも当時ございました。
ITと並行して旅館開発をいろいろ手がけていったのですけれども、ITを全て入れれば丸く収まるわけではなくて、ITのほかに料理、設備、サービス・オペレーション、働き方と5つのプロジェクトを12年間同時に推進しています。
今回はサービス・オペレーションのところと働き方といったところをお話ししたいと思うのですが、タスクと情報伝達というところで、以前ボトルネックになっていたところが、お客様の情報がやはりいち早く入手できるポジションというのが予約やフロントのポジションです。そこから、例えば手書きだったら毎日の予定表を書き込んで、コピーして、ほかのスタッフさんに配る。そこから接客係、清掃係という形で情報が流れていくのですけれども、こうやって流れていきますと、この図のとおりに情報が上から下に流れていくにつれて、情報の取りこぼしがあったり、要は情報の風下にいるメンバーが劣等感を持つのです。情報の上位者が優越的な立場に立ってしまうので、同じ肩書きであったとしても、毎日指示を出すという行為をすることによって勘違いするメンバーも出てきて、偉くなった気分を味わえてしまうというのが出てきまして、社内文化があまりよくなかったです。主体性がなく、指示待ちというのが長く続いてしまいました。知りたいけれども、分からない。情報が下りてこない。情報が開示されないとやはり不透明な組織になりますので、本当にこれで合っているのとか、あの人がせき止めているのではないかなど、あまりよくなかったというのがございます。
これが、全員が自分のアカウントで情報の開示レベルも全部一定に保つ。正社員に関しましても、パートさんに関しましても、お客様のその日に必要な情報というのは、私たちは今、開示レベルを同一にしていますので、自分が知りたいと思えばすぐにアクセスして確認するということが自分で行える。人から教わらなくてもできる。なので、情報を共有することによって指示待ちから脱却するということがかなうようになりました。
そうしますと、マルチタスク化ということを少しずつ推進することができるようになりました。以前からマルチタスクを行いたい。従業員はたくさんいましたので、これをスリム化するためにも、徐々に単体タスクからマルチタスクに切り換えるという形で業務の幅を広げていきたいのですが、やはり以前、昔からいた方で予約とかフロント、要は情報の上位者のポジションにいるメンバーは、例えば忙しいときにお布団敷きを手伝ってほしいということをお願いしても、私がなぜそんなお布団なんてことをやらなくてはいけないのですかみたいなことを平気で言う方がいらっしゃいました。平社員です。社長でもございません。やはりそういう優越感を与えてしまうというのがよくないなと常々感じておりました。
なので、主体性がアップするとモチベーションアップします。接客係も清掃係のメンバーも、フロントに何か聞かなくても、自分でお客様のことを考えて前倒しで準備がかないますし、また、マルチタスクになりますと、フロントだろうが接客のポジションにいようが、陣屋のスタッフであることは変わりませんので、どこにいても何ができても応援で駆けつけることができるというメンバーの方が重宝がられますので、そちらのほうが評価が上がるというのが身をもって体験することができるようになってまいります。
この情報の開示と比例して組織の透明度が少しずつ向上したという経緯がございます。なので、情報共有の手段を提供することによって、言った・言わない・聞いていないという不毛な時間を撲滅することができるようになりました。
社員さん、パートさんにかかわらずライセンスを付与して、全員が社内SNSに参加すること。そして、スタッフ全員に経営レポートを必ず開示する。どうしても中小企業ですと、ファミリー企業にありがちなのですけれども、決算書を従業員に開示していないというような企業もたびたびお伺いといいますか、私たちも入社する前はそうだったのですけれども、そういうこともなく、従業員のメンバーに必要事項は全て開示するということにしております。決算書も開示しています。個人の人件費はさすがに開示いたしませんけれども、全体の人件費も全て開示しています。そして、役員の給与、報酬に関しても全部開示しています。あとは、会社の銀行口座の残高も開示しています。
上質なサービスを提供するためのマルチタスクという形で言わせていただいているのですが、現在は私たち接客部門と調理部門の2部門しかございません。接客部門が予約、接客、ハウスキーピング、ゲストリレーションと全て担っています。調理以外の業務を担当しますので、お客様のリクエストに自分で即座に対応するということが可能になってまいります。単一の仕事をするよりもスタッフの知識・経験・意識が高まりますので、人材スピード、人材育成のスピードが高まります。調理部のメンバーも、料理を運んだり、お客様の前でお料理を仕上げたりというパフォーマンスもいたしますので、お客様の反応を直接拝見することによって意識、レベルが向上しまして、接客係と協力してどうやってお客様に商品を届けようか、お料理を楽しんでいただこうかというアイデアもお互いが出し合うような協力するという体制が少しずつ育っていきました。
ですので、情報の共有と、そして、メンバーの協力、人材育成というものが掛け合わされることによってサービスの質が高まるのではないかなと現在は考えております。
「ES向上に向けた取り組み~ワークスタイル変革」といったところなのですけれども、2014年から休館日を設けました。火曜日、水曜日です。2016年には月火水と休館日を3日にしました。
現在なのですけれども、2020年5月から変形労働時間制を採用いたしまして、それまで従業員の皆様は、お店は週3日の休館日がありましても、働き方としてはほかの企業さんと変わらず1日8時間労働を週5日勤務、2日お休みというような形だったのですけれども、お店のお休みと合わせまして、週4日の労働で週3日お休みをいただく。なので、変形労働時間制の圧縮型とでも言うのでしょうか、週40時間を4日で消費するというスタイルに今変わっております。
これをすることによってなのですけれども、まず、基本給を変更する必要がありませんでした。2020年5月でなぜ変えたかというのが、コロナの1回目の非常事態宣言が出た臨時休業明けが5月です。実は臨時休業をしている間に就業規定を改定いたしまして、リスタートするときに皆さん全員に説明をして、承諾いただいて、36協定も全部取り直してスタートし直したというのがございます。
シフトは1日2交代制、日勤と夜勤だけです。当時、どうしても見通しが立たない中経営していかなければならないという思いがありました。なので、どこまで売上げが落ち込むか、まだ手探りで分かりません。休業していましたので、当時、2020年4月の売上げは前年度対比で93%減という状態でした。なので、どこまでできるか分からない。けれども、なるべく雇用を維持したいという思いもありまして、ここに切り換えたというのがあります。
マルチタスクを以前から行っていたため、夜勤のメンバーというのが、夜警さんというメンバーが要らなくなる。夜勤も仕事を継続するということができます。当番制で回しています。なので、夜勤は大体2~3か月に1回ぐらい当番が回ってくるのですが、まず週休3日で働いていますので、宿泊は金土日の3日間のみなので、3日間連続夜勤をして、公休に入って、次の週に復帰するときはまた日勤に戻るという形になるので、2~3か月に1回、数週間に1回という当番制で回しています。これは男性、女性変わらず行います。
調理場のメンバーも夜勤を行いますので、常に2人以上、複数夜勤メンバーがおります。
これをやることによって、朝食のスタンバイを夜勤のメンバーが行えるようになりましたので、早朝出勤する必要がなくなりました。今まで調理場のメンバーは忙しいときは朝5時とかに出てこないと間に合わないようなことが多々ございましたけれども、それがなくなります。朝7時とか7時半、遅くて8時とかの出勤で間に合う。これはすごく大きな負担が減ったというところもありますし、従業員の労働的な負担、体力的な負担だけではなく、会社としましても早朝手当が必要なくなりますので、夜勤のメンバー1人に付加すればよろしいので、今までは夜警さんにもつけて、早朝出勤メンバーにつけてというような形でダブルで発生していたものが必要がない。削減がかないます。
それによって、調理場さんの長時間労働というのが問題でして、職人世界なので、彼らは修行という側面もあるので、常に練習も兼ねているところから長時間になりがち。ただ、そこを現在の働き方というところにスライドさせて、踏ん切りをつけて、何時までに帰りなさいというような形にしているのですが、どうしても仕込みをやっていると途中で終われない、時間が来たから作業を終えないというところがございます。例えば何か練り物を作っていて、粗熱を取って冷やさないと帰れませんみたいなこともあるのですが、そこが夜勤のメンバーと交代することができたりするので、時間内で上がるということができるようになってまいりました。
接客のメンバーもそういった形で夜勤のメンバーに交代して帰るということができますので、夜中の間に引き継ぎをした分を進めておいてほしいという伝達が毎日ありますので、予約の処理に関しましても、繁忙日になりますと日勤の時間帯で全て終わらないということがあるのですが、夜勤のメンバーが予約の処理やお客様へのメールの返信の下書きを全部夜中のうちに用意して、朝一斉に送信するといったこともやっていただけますので、すごく満遍なくといいますか、処理することができるようになったというワークスタイルになっています。
ただ、これのおかげで残業時間が大幅に減りました。昔、コロナ前は720時間の残業時間をどうやって死守するかというのが課題だったのですけれども、今は正直そこまで到達していません。半分以下になっています。そういったところもあるので、残業時間が減ったということは、イコールまだ役職がついていない若手のメンバーは、基本給はキープしていますけれども、手取りが減っているというのもあります。なので、体力があるメンバーでもっと働きたいという方がいらっしゃるのであれば、副業を推奨しています。ただ、時給で働かれるには、今、主たるところが管理しなければならないはずなので、こちらが一生懸命圧縮して繁忙期に備えて余力を残した分に使われるとなかなか難しいということもあります。なので、できれば委託や受託というような形で仕事をしてほしいということをお願いしています。
ワークスタイルの変革としましては、ほかに、休館日明けの金曜日の午前中を使って、ここでしたら、お客様が来館する前の時間なのでみんなが集まるという時間をつくることができるようになりました。なので、サービスの研修会や定例会というようなことをこの時間で行うことができるようになりましたので、サービスクオリティーを高めるための時間という形で活用しています。
こういった取組を行いましたところ、いろいろなメディアに取り上げていただいたり、政府要人の視察をいただいたり、2018年ですけれども、日本サービス大賞の総務大臣賞を頂いたりというようなことがございました。
業績の推移なのですけれども、2009年の売上げ2億9000万円から、これはコロナ前ですが、2018年の6億1400万円まで伸びまして、宿泊単価も1泊2食つき9,800円まで落ち込んでいたのですが、その当時3万7000円からとなりまして、お客様お一人当たりに頂く平均単価が5万円ほどとなりました。
EBITDAは回復いたしまして、売上げに関しましては週2日の中間日を設けた2014年に一旦頭打ちになっているのですが、こちらに関しましては、2018年までは特に問題なく右肩上がりに推移いたしました。
人件費に関してなのですけれども、2010年当時は人件費率50%を超えるようなことも多々起こっていたのですが、当時、売上げが伸びたこともありまして、人件費が24%。これはまだ就業規則改定前なので、1日8時間、残業時間も結構目いっぱいというようなところになっていました。
従業員数は120人から42人なのですが、これは全員いきなりがばっと減ったのではなくて、8年かけて徐々に減っていったというのがございます。当時私が32で、主人も同い年なのですが、入社したとき、私たちが最年少でございまして、学生のパートさんも一部いましたけれども、社員としては最年少で、一番年が近い方でも10以上離れていました。なので、全体的に年齢が高い方がすごく多くて、パートさんも当時2割ぐらいのメンバーが70代以上だったと思います。そういった形でかなり年齢層が高かったので、8年たてばそういった方々が皆さん卒業していくということもございますし、学生のパートさんもそれ以降は採用していないので、卒業とともに数人、5~6人ずつがばっと減っていくというようなことも最初の3年間はございました。そういった形で徐々に減っていったというのがございます。ただし、社員は毎年新卒、第2新卒、中途も応募していましたので、若干増えまして、パートさんが卒業していったというイメージになります。なので、平均年齢も大分若返りました。
この平均年収というのは社員のみです。高卒から大卒まで実は一律25万円から当時スタートしているのですが、この25万円の中には実は残業の含み時間も入っていまして、一番多い方で55時間分ぐらいついていました。なので、720時間弱分ぐらいは既に消費するだろうという見込みで月額均等割りにしてお支払いしていたというところがございます。現在はこの見込みの残業時間ということをやめまして、ほかの企業さんと同じように超過した分だけ割増賃金としてお支払いするという方法に、2020年5月、変形労働時間制に変更したところから変えています。なので、これは1分超過すれば1分分の割増賃金が発生するという形になっています。
2012年4月に陣屋コネクトという自分たちが開発してきた仕組みを販売する会社をつくりまして、同業他社の方々にライセンス販売するという仕事も増えることになりました。これは別会社になっています。こういった形で全国の450施設様に御利用いただいて現在に至るというところになってございます。
まず1回目のこちらの発表は以上となっております。御清聴いただきましてありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
ディスカッションは最後にまとめてやりますので、続きまして久野様、よろしくお願いいたします。
○久野様 久野金属の久野と申します。
では、画像の共有をしていきます。
過去最高売上げでも残業削減ということで、DXによる働き方改革への取組ということで、IoTGOの開発や導入の経緯、働き方の変化、また、リスキリングについてということでお話ししていきます。
私、久野金属の副社長兼CIOをしております久野功雄と申します。よろしくお願いします。
質問ということで、DXとはデジタルで変革するということだと思うのですけれども、デジタルを使った仕組みで会社が自立的にうまくいくということではないかと私は捉えています。
よい会社に必要な仕組み、先ほどの陣屋さんでもかなり大掛かりなクラウドの仕組みを持たれていたのですけれども、まさにいろいろな業種の中でもそれぞれの会社の仕組みというものがうまくいくと、会社が勝手にうまくいくという形になっていくと思うのですけれども、その中でいきますと、まず、私どもは製造業なのですけれども、よいお客と仕事が自動集客できれば、これがいいだろうと。
業務の見える化ということで、常に今の状況が見えていて、それがシェアされている状況。また、それが常に整理整頓されていく状況といったところですとか、業務の標準化、マニュアルも含めて、各仕事が常にみんなが同じ。一番確からしいやり方をやりながら、それが改善できていく。さらに、品質状況や生産性も含めて見える化できる。そういったそれぞれの業務の中で、やり方のコツですとか、こうしないとうまくいかないというところを共有して、教育する。最後に、やりがいがある環境構築ということで、いろいろな仕組みをつくってきている。
実際にDXとかと言われているもので導入するべきものはということで、久野金属としては、まずはできる限り簡単なものを進めていこうということで、まず、安くて、専門知識が不要で、楽ですぐ成果が出るというものをやっていこうということで進めてきています。なので、作っているものとしては、全体を網羅するというよりは目的に特化したような内容となっている。
ここからは、久野金属についてちょっとだけ概要を説明したいと思います。
まず、久野金属の場所なのですけれども、日本の愛知県の知多半島、常滑市の本社工場と東工場、名古屋の有松工場の3つの拠点でやっていまして、こちらが本社工場になりまして、屋根に太陽光パネルを敷き詰めていまして、約1メガ弱の発電も行っています。
概要ですけれども、従業員が約350名。愛知県常滑市が本社になりまして、主には自動車用のプレス部品の製品設計開発から金型製作、プレス加工、組立てまで一貫して行っている。いわゆるプレス屋という形の仕事です。プレス機でいうと150台、ロボットが140台。そういった設備とかロボットも自社開発でやっているという会社になります。
製造業という枠組みの中でも、プレスに関わる会社というのは実は一番多いジャンルでして、全国に約8,000社あると言われています。8,000社もある中でプレス部品をある意味同じようなお客様から受注してやっていくということは、一見するとレッドオーシャンというか、本当に付加価値をつくるのが難しいジャンルにはなっているのですけれども、そんな中でどのようにやっていくかということでいろいろと考えてやっているということです。
次のスライドなのですけれども、久野金属のITの活用概要図ということで載せております。さっき、陣屋さんからも基幹システムという言葉がありましたけれども、私どもで言うとE-MRPという生産管理システムがいわゆる基幹システムというものになりまして、そこには金型の管理や原価管理、修理履歴、品質管理、仕入先管理、自動倉庫の管理といったものが連動してつながっている。上流には営業のクラウドの関連のシステム、ホームページですとか、下流には開発系のものがある。さらに、欄外に関連会社マイクロリンクとあるのですけれども、このシステムの中の赤というかオレンジ色で表現されているものです。これがこの関連会社のマイクロリンクとともに専用につくってきているところです。
社内のやり取りというか、ほとんどの業務のやり取りは、下にあるTeamsという、ウェブ会議システムなどでも最近よく使われていますけれども、久野金属はこのTeamsを社内の全業務の交通整理というかやり取り、例えば新しい仕事を受注して、図面を共有したり、また、ある製品に関連する全ての情報が、Teamsの専用チャンネルというものがつくられて、そこに集約されていくような形を取っていく。さらに、Teamsとしては、お客様が提供してくれるファイルといったものとも親和性が高いということで、それを主に使っている。
その下にIoTGOというものがあるのですけれども、GOとDXとCAEということで、IoTの取組もいろいろ進めてきました。今日はこのものについて少し詳しく説明していきます。
それに行く前にもう一個、一番下にDARKTRACEというものがあるのですけれども、昨今、セキュリティーの問題が出ています。私ども自動車の関連でも、久野金属ではないのですけれども、トヨタの下請け会社がサイバー攻撃を受けて、トヨタの工場が止まるということがありましたけれども、久野金属としてはやはり一番可能性の高い機器がウイルスとかランサムではないかということで、結構早い段階からその辺りに気をつけてやってきていまして、最新の取組としてこのDARKTRACEというものがあります。これは、社内の全ネットワークをこのDARKTRACEが常に監視していまして、万が一ふだんと違う動き、例えばやたらとあるパソコンにアクセスを繰り返すとか、ランサムでいろいろなファイルを暗号化するだとか、そういったふだんと違う動きがある時点でパソコンを自動でネットワークから遮断する。24時間AIが常に監視している環境ができているということで、万が一そういったものが入ってきても問題がないように進めてきています。
今日はこの2つのIoTGOについてお話ししていこうと思うのですけれども、2つのIoTGOの役割ということで、まず、赤のIoTGOが機械のIoT、IoTGO DXというのがヒトのIoTということでやってきています。
開発の経緯なのですけれども、やはり自動車関連は100年に一度の大変革期という言葉がよく言われているのですけれども、そもそも取り組み当初はCASEという言葉がありまして、ConnectedやShareだとかAutonomous、自動運転だとかいろいろ言われていたのですけれども、実際は自動車関連でいうとまずやはり電動化というのが大きいのではないかということで、一番左に電動化を載せています。最近、コロナとかウクライナの辺りの問題が複合的に関係してきています。
これらは何が大きく影響するかと考えますと、自動車の電動化についてはゲームチェンジ、すなわち今までのルールが通用しない。今まで強かった会社が一気にルールを変えられて勝てなくなってしまう世界になりつつあるかなと。コロナについては、やはり突発的な変化に適応する能力、今回でも、コロナが始まって私どももお客さんも相当変わったと思うのです。かれこれ2年半ぐらいたってきた中で、この環境に早く適用して進めている会社とそうでない会社の差がすごく開いているなという実感があります。その辺りもやってきている。最後、ウクライナ問題については、まさに価値観の変化だと。私たち、こうやって日本で平和に幸せに暮らしていますけれども、こういったものが実は当たり前ではない。そういった価値観を大きく変えられるような状況になっているということだったのですけれども、そんな中、まず何をするべきかということで、やはり本業をあるべき姿にしていくべきではないかということで、久野金属で言えば自動車部品を作っていますので、まずはその自動車部品をいかにうまくやっていくかということでやってきています。
まず、いろいろな主要生産設備というものをIoT化してきたのです。プレス機でいえばカム信号という信号から接点を取って、送信機につないでクラウドに上げていく。マニシニングはパトライトがありますので、パトライトに光センサーを取りつけてIoT化する。NC旋盤などですと、扉にマグネットセンサーを取りつけまして、扉の開閉で、それを軸にしてIoT化していく。このように、古い機械でも全てIoT化できるようになってきたわけです。機械に送信器をつけてインターネットクラウドに情報を上げまして、パソコン、スマホで見えるようにしている。実際の画面としては、こういった形で緑が動いていて、実際の設備の稼働率やサイクルタイム、サイクルタイムというのは1個作るのに何秒かかるかということです。一番上ですと、1sというのは1秒ということです。常にこういったものが取られていて、稼働時間、どれだけの期間機械が動いていたか。1直2直というのは昼勤とか夜勤の稼働時間、稼働率が比較できるようになっている。
ずらずらっと主要設備が並んでいるわけですけれども、実際に最近ですとスマホで確認しますので、縦画面をしゅっとスクロールするだけで全体が見えるという形になっています。稼働率のグラフも自動で作れます。
実際にこのIoTGOで何がやられているかというと、まず、いつでもどこでも見守ることができる。IoTということで、今までですと設備の近くで見なくてはいけないとか、また、集計しても決まったパソコンで管理者だけが見るということだったのですけれども、IoT化することで、いわゆるインターネットにつながるパソコンやスマホなど、何でも今の状況が誰でも見えるということで、こちらは現場のインタビューがあるので御覧ください。
(インタビュー映像)
○久野様 2つ目なのですけれども、何も言わなくても稼働率が上がる。機械の稼働率は上げたいのですけれども、できる限り稼働率を上げろ上げろと現場や管理者の方に言うのはなくて、どちらかというと自立的に自ら気づいて、稼働率を徐々に上げていきたいということで取り組んできています。実際に稼働率の変化として32%から71%と、状況としてほとんどのラインで生産性が上がってきているのですけれども、その理由について、こちらのインタビューを御覧ください。
(インタビュー映像)
○久野様 3つ目なのですけれども、改善が早くなる。これはどういうことでしょうか。従来の改善プロセスというのは、データ収集して、見える化して、現状把握をして、それらを踏まえてやっと改善にかかっていたのですけれども、なので、改善活動に時間がかかっていく。改善を進める前の準備に時間がかかっていたわけです。IoTGOを入れますと、この頭の3つがほとんど終わった状態になりますので、改善を進める前にIoTGOをスマホでしゅしゅっと見て、数分見たら踏まえて改善を図っていけるということで、人が改善活動に集中できるという環境になっている。改善は難しいとよくいろいろな現場で言われるのですけれども、このIoTGOの導入で非常に改善が楽にできるようになったということです。
実際に稼働率の時間的な推移も見られますし、例えば朝一の8時10分から9時10分の間は少し稼働率が落ちますよね。何でこれは落ちるのかなとクリックしますと、実際にいつどういうサイクルタイムで動いていたかということで、サイクルタイムというのはさっき言ったように1個作るのに何秒かかるかという時間ですけれども、そういった時間のばらつきも見えますし、こういった形でいつからいつ何を何個つくったかということも詳細残っているわけです。こういった数字を見ることによって、例えば一番下のほうに94秒とあります。こういう94秒というのが20個を2個とか、1時間に1回こういうものがあるのだったら、何でこういうのが起きているのかというところが分析できるわけです。
実際にこのサイクルタイムのばらつきに注目した活動としてCTM活動というものをやっていたのですけれども、それだけでも82%だったものが97%まで上がって、少しでもサイクルタイムのばらつきを減らす活動をやるだけでも、かなり大きな稼働率の向上が見られたということで、こちらも現場のインタビューがあるので御覧ください。
(インタビュー映像)
○久野様 実際にIoTGOを導入した設備ということなのですけれども、これは全ての設備に入れるのではなくて、まず目的をかなり明確にしています。基本的に残業・休出をしている設備ということで決めてやってきたわけです。
プレス機で言いますと全部で21台、結果としてもともと平均45%だったものが86%の稼働率まで上がっている。
次に溶接ロボットですけれども、もともと55%だったものが92%まで上がっている。これは19台。
3つ目が金型の部品を加工する加工機です。それはカウントの方法がちょっと違うのですけれども、もともと月に250時間動いていたものが450時間まで伸びているということで、本当にこれを見て分かりますけれども、それぞれ主要設備が1.5倍とか2倍近い仕事をするようになったということで、56台残業・休出しているものがかなり大きな効果が出ている。
IoTGOの紹介ムービーもあるので、そちらも御覧ください。
(紹介映像)
○久野様 1年間の生産性向上効果ということでまとめていまして、2019年8月、これはコロナ前です。大体日当たり2700万の売上げだったのですけれども、342名で残業時間が月当たり4,600時間。これが1年後の2020年8月、この間にコロナでばーんと売上げが落ちて、その後にちょうど戻った感じです。ちょうどV字回復して戻ったタイミングが1日当たり2800万円ぐらいの売上げでやっていたのですけれども、残業時間が何と4600時間から1,300時間まで減ってきまして、これだけで3300時間、労務費にして約2億円の効果があった。
それ以降もずっと徐々に改善を進めていまして、導入から3年で毎年3億円ほどの残業代削減効果が出ていまして、1億円以上の追加設備の購入費用を抑制できています。これは私どもの会社の規模でとてつもない効果、金額になっていまして、これらによって非常に利益体質になってきている。
さっきの機械のIoT化というのを大分進めてきたのですけれども、それ以外に、やはり人が仕事するということで、人のほうも見える化とかを進めてみたらいいのではないかということで、次のプロジェクトを進めてきました。これがIoTGO DXというものです。
イメージとしてはこういった形で、事務の仕事をしているメンバーも右側の小さなパソコンでIoTGO DXの画面を表示させて、左側で仕事をするというイメージです。
実際の画面なのですけれども、毎朝最初にスケジュールを作ります。昨日と同じだったら、これに複製して終わりということで、同じだったら数秒で終わってしまうのですけれども、同じでない場合は自分のマニュアルから追加していく。
今出ているものは、チェックシートの右側に赤いものが出ているのですけれども、今日のスケジュールを出したときに、昨日のやり忘れがあると右側に残ってきますので、それをちゃんとチェックして終わらせる。製造業、特に営業事務などですと、300名近い製造部員の全体の司令塔になっているわけです。なので、ある業務をやり忘れてしまったり、ミスしたりするとかなり大きな影響が出ます。なので、こういった一つ一つの業務のミス、手順をしっかり守りながら、かつやり忘れがない状況を確実につくっていくということをするだけでもかなりの効果が出るわけです。
それ以外で、これは実際の使用状況を説明していますけれども、こういった形でチェックシートが出せます。この場合、見積もりを作っているのですけれども、左で見積もりを作りながら右側でチェックをして、確認しながら各業務をやっていく。チェックすると必ずチェックした人の名前と日にちと時間がタイムスタンプされてきますので、確実にそういった業務をチェックできているかということも記録が残っていくということです。
さらに、製造部のほうではこういったスマートフォンを使ってやっているのですけれども、従来ですと計測した数字などを紙に記録していたのですけれども、この場合、製品をノギスで計測しまして、表裏を確認して、これがオーケーだったら、ボタンを押しますと、Bluetoothでスマホのほうに情報が送信されて、かつ瞬時に緑の表示がされていますけれども、合否判定がされて次の業務に行けるということで、この業務だけでも10倍以上のスピードで、かつ正確に業務が行えるということで、実際に使う人も非常に楽に正確にできる。
今、スタメンボードという全社が共有している画面で全員の業務の状況がこのように見えるようになっているということで、例えば赤の人が業務が遅れているということになったら、赤の人たちを事前にフォローしてあげるだけで、変な残業が防止できたり、またはその人のピンチを早く救ってあげることができる。
実際にIoTGO DXの運用としてはまだやり始めて数か月の状況で、まだ全社で完全に展開できていないのですけれども、これをどんどん取り組んでいくことで、様々な仕事を効率よく、かつスムーズに行っていくということができるのではないのではないかなと思います。
経営に必要な仕組みということで、先ほど挙げた内容です。これらが今挙げたIoTGOとIoTGO DXでかなり網羅できてしまう。自動集客は私どもはホームページでやっていますので、その組合せでかなりの経営の仕組みというのが構築できている。
久野金属のリスキリングということで最後にお話ししたいのですけれども、6項目あります。まず、メリットとして新しいアイデアだとか高効率化、自己改善が促されるということなのですけれども、まず、今お話ししたIoTGO DXは全業務がマニュアル化されて、かつ個人の資産ではなくて、これが会社のまたは全員の共通の資産にできるということで、自他の教育ができて、かつ多能工化も進めやすくなり、品質も常に見える化されていますので、もし品質に問題がありそうな状況になると黄色で表示されて、それが問題になる前に動けるという仕組みですとか、5Gen5minです。これは現場、現物、現実を原理原則で教えるという状況なのですけれども、さらにそれを5分で教えるというのがこの5Gen5minなのですが、先ほどの陣屋さんも集合教育はあまり意味がないと言われていたのですけれども、それに近い内容になるのですが、各現場で持ち回りで毎週5分間の時間を設けて、かつ仕事がほぼ同じ人たち、3人から5人のかなり小集団で仕事のやり方、仕事のコツだとか、こういうことをしたらうまくいった、うまくいかなかったということを共有する会です。しかも、これは職長からだけではなくて持ち回りなので、部下から職長とか、いろいろな方に逆転の教育も行えるということで、こういう教え方をしてもらったらすごく分かりやすかったというようなということもやっている。
次に、20の行動指針ということで、このコロナ禍で久野金属は新しく20の行動指針というものを策定しまして、毎朝10個交互に唱和しているのですけれども、そういうことをやっている会社はたくさんあると思うのですが、私どもが特殊なのは、この20の行動指針が完全に評価連動している。20の行動指針イコール評価基準であるということで、この20の行動指針をやる前は何を頑張れば給与が上がるのかというのが不明確だったわけです。だけれども、今は全員が行動指針を毎朝読み上げている。それイコール何を頑張れば給与が上がるかというのが全員が完全に分かっている状況になりますので、それに基づいて働いてもらうだけで、全員が行動指針を暗記していますので、評価も暗記している状態になるわけです。なので、方向性がかなり明確になった。コロナ禍でみんなどこを向いて仕事をすればいいのかというのが分からなくなったというか、さっきの価値観の変化が起きて、大きくいろいろなことに不安を感じていると思うのですけれども、この行動指針を作ることでみんなが同じ方向を向けるようになったということです。
次に、IT提案制度というものがあります。いろいろなシステムを使っていますけれども、それに対して、例えば自分の仕事は繰り返し業務が多いなと。これはソフトに換算すればもしかして早くなるなということを自分で何の承諾もなく見積もりを出してもらって、2年で元が取れるなら即採用するということで決めていますので、事務員の方だとか、いろいろな人がこういう機能を追加したいとかということを提案してくれて、どんどん基幹システムがよくなっていくという仕組みになっています。結果として自分が楽になるということです。
次に、お困り事相談会。これは各職場に私が月1とか2か月に1回入りまして、困っていることをヒアリングして、その場で解決していく。時間のかかることは毎月それをフォローしていくということでやっています。
最後、動画・耳教育ということで、社内にYouTubeのような社内だけが見られる動画チャンネルを設けまして、これで新人が実際のマニュアルを見るだけで分からないようなもうちょっと複雑な業務は動画も含めて教えていく。さらに、耳教育ということで、今、全社員対象としてオーディオブックというサービス、これがみんな自由に聞き放題で、本が耳で聞けるようになっていますので、自分で勉強したいジャンルのことがあれば、無料で自分をどんどん教育していけるという環境です。
最後、そういったところで、売上げのところなのですけれども、コロナ禍で売上げが一瞬下がりかけたものの、昨今のいろいろなITや自動集客などの仕組みによって、コロナで下がった後に現状過去最高の90億を出していまして、今期もほぼ同じぐらいの90億、数年の後には100億行けるのではないかなということで、多分2年以内ぐらいには100億、かつ利益率もかなり高まっている。DXによって業務の自動化で余裕が出てもうかるという状況になってきています。
残業・休出が削減されると、実際は給料が減ってしまうのですけれども、この夏のボーナスも過去最高を出していまして、そういったところで、みんなが楽になりつつ、ボーナスが大きくもらえるという環境になってきています。
さらによい製品、サービスの開発も可能となってきていまして、さっきのIoTGO DXとかを使ってどんどん標準化を進めて、標準のレベルを上げて、仕事を楽にした上でクリエイティブな発想で次のことを考えていく。スピードもどんどん速くなってきて、クラウドのサービスを使っていくことで変化にも強くなっているという状況です。
こういった製造業の取組というのは結構引き合いが多くて、いろいろと工場見学とかの案件をいただくのですけれども、なかなか全部に対応しきれないということで、今は毎月バーチャル工場見学会というものを開催して、全てそこで済ませてしまっているという形になっています。
以上となります。
○守島部会長 久野様、どうもありがとうございました。
大分時間が押していますので、入山委員と武田委員、もし今御説明になった2社に対して何か御質問があれば最初にお伺いしておきたいと思いますけれども、入山委員、何かありますか。どうぞ。
○入山委員 ありがとうございます。では、私のほうから先にお話しさせていただきます。
どうもありがとうございました。入山と申します。
私、経営学者なので、いろいろな企業さんのDXの事例を見ていますので、そういう意味ではとても勉強になりました。
陣屋さんは、特にいろいろなところで以前から陣屋さんはすばらしいよという話をすごく聞いていたのでとても勉強になりましたし、久野さんのほうもとても先進的だなと思いまして、私もいろいろな製造業を見ていますけれども、ここまで進められているというのはあまり見たことがないので、本当にこれから日本の製造業の在り方を示されているなと思ってとても勉強になりました。感謝申し上げます。
2つ質問がありまして、一つは陣屋さんだけで、残りの1つは陣屋さんと久野さんにお伺いしたいのですが、とても勉強になったし、すごく日本のDXとか働き方を考える上にプラスになると思ったのですけれども、これは日本中で多分起きていることで、当然それぞれの企業さんの現場があって、一番現場に合ったデジタルを入れて、それによって働き方も変えていくというのは当然理想の状況だと思うのですが、これがどのくらい汎用化できるかというのが鍵になっていると思っていまして、宮﨑さんも久野さんも御自身の独力で前段で頑張られているので、いろいろ改革を苦労してされてきたと思うのですけれども、釈迦に説法ですが、全部の会社がそうではない。
でも、そこを変えていかなくてはいけないというときに、どのくらいそれが汎用化できるのかなというのが一番気になっていて、特に宮﨑さんにお伺いしたいのが、基幹システムみたいなものを作って売るというのは、僕はすごくありだと思っていて、ほかに僕が知っている業界だと魚屋さんです。魚屋さんで東京の杉並に東信水産というところがあって、やはりこの業界ならではの基幹システムというのが必要なのです。まさに陣屋さんもそうだと思うのですけれども、魚の場合も、僕も聞いてなるほどと思ったのですけれども、1匹、2匹と数えるだけではないのです。1尾、2尾とか、実は数を数えるユニットが違ったり、実はソフトは全然使えないとか、あと、魚は出世魚があるのですよね。意外と出世魚がネックになっていて、イナダからハマチ、ブリと変わるときにIDがひもづかないみたいな笑ってしまうような話があって、多分陣屋さんでもそういう苦労があったのではないかなと拝察します。
問題は、それをいろいろな業界のほかのお客さんに売るときに、やはり働き方も同時に変革させないと、本当の意味でうまくデジタルを使ってもらえないのではないかと思うのです。その辺のノウハウの共有とか、つまり、システムを売りっ放しだと、陣屋さんではできることがほかの旅館業ではできないのではないかと思うのです。そのとき、もっとソフトのところのノウハウみたいなものをどのくらいシェアされているのかとか、意外とそういうものはなくても皆さんうまく行くのか、これはどちらかというと宮﨑さん向けの質問かなと思ったのですが、その辺を教えていただければと思います。
○宮﨑様 やはりそこは導入される各社の考え方次第でして、どこまでやりたいかというヒアリングは行います。残念ながらなのですけれども、旅館のオーナーさんとかは売上げもそうですし、収益といった目先のところにすごく関心がある方が多い。あと、予約がどのように圧縮できるかとか、予約数がこまめにできるかといったところは興味がある方が多いのですけれども、いっとき生産性、生産性と叫ばれてやろうとしたのですけれども、生産性を向上するというのは、いろいろなことが複雑に絡まっているので、私たちも先ほど申し上げた5つのプロジェクトを同時に推進したというお話はしています。なのですけれども、あのぐらい5つ同時にやらないと動かないものなのですが、そこまでやる気があるかないかの問題が正直出てきます。
なので、やる気があるという方には、私たちがやってきた情報の共有だったりノウハウというのは伝達もしますし、なんだったらそれをお手伝いしてくれるコンサルの方とか、私たちが知り合いの方といいますか、そういったお話もあるのですけれども、そうすると、お金もかかるので、そこまではやりたくないという方も正直いらっしゃいます。そこまで手は出せないなと。でも、今、IT補助金があるから、それを入れて、予約のところがある程度自動化といいますか、時間が軽減できればいいなというぐらいで、そこで安心してしまう方というのが9割5分ぐらいだと思います。
なので、経営者の方の考え方とアンテナ張り方と投資の仕方の問題になってくると思います。なので、お手伝いとしまして私たちも全部揺り動かすという形になると、一回そういう募集もしました。でも、私たちもワンライセンス月々3,500円で販売しているのですけれども、そうすると、私たちの規模で導入すると、月々新入社員1人分弱ぐらいのランニングコストが出てまいります。私たちはそれを何とも思っていないですし、従業員が昔から比べれば80人減っても、それでもクオリティーを上げて、もちろん単価も上げていますけれども、成り立つようになっていますけれども、そこまで考えるかどうか。先々の出費もありますので、それを全部トータルで私たちが請け負ってサポートして差し上げると、頂く金額としましては月々100万では足りないです。でも、そこまでかけられるかというお話を現実的にお話しさせていただくと、大体皆さん下ります。そういう形になるので、あとは経営の方のどういう判断の仕方か。
○入山委員 長くなって申し訳ないですけれども、僕も実はDXでよく講演をさせてもらっているのですけれども、一番冒頭で言うのが、DXだけやっている会社は変わらないですよという話をさんざん申し上げていて、経路依存性と学者は経済学と経営学だと言うのですが、まさにおっしゃったように、久野さんのところもそうだと思うのですけれども、会社はいろいろなものが絡まってしまっているので、ここだけ変えてうまくいくということはあり得なくて、全体を変えないといけない。僕はデジタルはその最たるものだと思っていまして、なので、日本だとどうしても今DXという言葉が先に行ってしまっているので、デジタルを入れたらどうにかなるのではないかみたいな風潮があるのがすごく危険だし、逆にここをうまく啓蒙して、経営全体が覚悟を持って、まさに5つ全部同時にやられたということだと思うのです。経路依存性を取るために全部変えなくてはいけないというところの経営者さんの覚悟が、特に日本の中小企業などにこれから求められるのだろうなというのを商工会議所でもさんざん言っているのですけれども、その辺ですよね。だから、これは宮﨑さん答えていただいたわけではなくて、この研究会でもその辺が鍵になるかなと個人的にはとても思っております。
久野さんもきっと同じ感じですよね。
○久野様 さっきの経営者の理解というのは多分一番重要なのではないかと。どんなシステムを入れても、経営者がそこで、いや、そこまでやらなくていいとか、何をやっているのとなってしまうと駄目だと思うので、そこは私どものシステム入れている会社でも、経営者が早いとぱぱっと入れてもすぐ成果を出してしまうのだけれども、その後押しがないと、担当ベースでちょこちょこやっていても、何をやっているのと言われてしまって潰されてしまうということになりますので、そこは重要ではないかと思います。
○入山委員 ありがとうございます。
もう一点だけお二方にぱぱっとお伺いしたいのが、デジタルで働き方改革となっていくと、やはり若い方がついて来やすいと思うのです。先ほども陣屋さんなどでも年配の方も教育されているというお話があったのですけれども、一方で年齢構成を見ると、40代半ばで始まったのが今は平均年齢28歳になっているということは、やはり若い方が中心になってきているなという印象を持っていまして、久野さんのところも比較的若い方がいっぱい出られているという印象なのです。僕はそれはとてもすばらしいことだと思いますし、経営判断としては当然そのとおりだと思うのですけれども、日本の雇用のボリューム層はやはり40代後半がピークで、僕はど真ん中なのですが、要するに50代、60代の方にリスキリングしてもらうということがすごく大事なのではないかなと。ただ、どうしても改革をしていくと若い方が中心になっていて、その世代が取り残されてしまうというのは僕は日本の課題だと思っていて、この辺はどうやったらリスキリングできると思うかというのをお伺いしたいと思います。それでおしまいです。
○宮﨑様 本当に顕著といいますか、正直あると思います。DXの手前としてマルチタスクで働くと言ったときも、私たちがマルチタスクをやろうと思って取り組んだ10年近く前の40代の方、50代の方でも、そういう働き方をしていないですし、その環境に身を置いていなかったので、頭は理解するけれども、では、実際に私は何からやったらいいのというところも正直ありました。どうしても習得時間が若い方のほうが圧倒的に早いので、早い人からやってもらって、私はできるところやりますみたいな形になっていってしまうこともあります。忙しいと特に習得に時間がかかるところにわざわざ習得が遅い方を入れるというだけの余裕が会社的にもありませんので、適材適所という形で一番力が発揮できるポジションでその方に進めていただくということがどうしても増えてしまうので、なかなか習得の時間を割くこともできないですし、習得の効率としても年齢が高い方は正直不利だったというのはあります。ただし、やはり得意なところで得意なことを発揮していただくというポジションを与えつつ、若い方はぐるぐるいろいろなところをやっていますので、それの補佐に入ってもらったり、サポートしてもらったりというような形で過ごしていただいたというのが正直なところです。
あとは、ちょっとずつできるところから仕入れのところで取引先の方と連絡を取ってもらったり、現場で必要なことをやっていただいたり、今までは接客オンリーで、仕入れのことなんて考えたことはございませんみたいな方だったのですけれども、それを少しやってもらったり、お土産物の物販といったところも少しずつ手伝ってもらって、接客ができるのであればプラスアルファのことを少しだけ習得してもらえれば物販とかはできるので、そういったところで、主要なところから派生して少しずつできる領域を広げてもらうというやり方をしました。なので、マルチとまでは言わないですけれども、仕事の領域を増やすという形で私たちよりも20ぐらい上の方たちには当時働いていただきました。
○入山委員 ありがとうございます。
○久野様 かなりここが進まないと全体が回らないぐらいの形になっていると思うのですけれども、私どもの場合だと、やはりある程度同じようなジャンルの仕事というのがかなり多くあるので、そのジャンルの中で特に高齢の50歳、60歳、特に60歳以上の方ですよね。新しいことをどんどん覚えてというのは酷なものですから、やはりその似たような仕事でDXの関係も最小限使いこなしていってもらうという形で、外堀を埋めて、最後にその方が残っていて、いや、気がついたらみんな使っているから仕方がないかという感じで、てこで動かしていくという形。その程度です。
○入山委員 どうもありがとうございました。とても参考になりました。長くなって失礼しました。
守島先生、ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
武田委員も早く出られるということで、武田委員、いかがですか。
○武田委員 ありがとうございます。
本日はすばらしい御発表をどうもありがとうございます。
三菱総合研究所の武田と申します。
私の質問は実は入山先生の2点目と同じでした。今御回答いただいて、どうリスキリングされていらっしゃるか伺いまして、やはりそういったアプローチが重要ということを改めて確認することができました。
一方で、まだスマホなどの使い方であれば、若い方も自然に身につけて、それを見てだんだんと周りの人も変わっていくアプローチは可能と思いますけれども、もう一歩進んでDXを進めていく、さらにこの先も新しい技術が出てくる中で、外部や内部で研修は定期的にされていらっしゃるのかどうか、追加でお伺いしたいというのが1点目です。
2点目は、人材の流動性、キャリア採用をどう考えていらっしゃるか、対応されているかということです。お二人の会社ともIT人材、ITにスキルが精通している方にとって非常に魅力的な職場であり、魅力を感じて訪ねてこられる方が多いのではないかと思います。そうした中でキャリア入社や中途採用比率を上げてきているのかどうか2つ目にお伺いしたいと思います。
最後に3点目。これは久野さんへのご質問ですが、行動指針を20個挙げて毎日10個ずつ皆さんで朝読み上げている、暗記されているとおっしゃっていましたけれども、これはパーパス的なものでしょうか。それとももう少し作業レベルに近いものなのでしょうか。こちらは可能な範囲で教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○宮﨑様 では、1つ目と2つ目、先に失礼いたします。
内部の研修についてですけれども、研修は定期的に内部メンバーで行っております。自分の得意なところを教え合う。教えることによって自分の中の整理もつきますし、教える側がまた飛躍的にアップするといいますか、技量が上がっていくという効果もありますので、持ち回りでやるということもあります。
あとは、新入社員に関しましては、うちは2名研修担当がいるのですけれども、身だしなみですとか、和食に関してとか和室、要は今、住宅に和室がないお宅がたくさんあって、若い子には畳とか襖を開けたことがない子とかもいるわけです。なので、立ち座りです。立ったり、座ったり、襖を正しい手順で開けたりというところからスタートするので、そういったものは毎週行っていきます。休館日明けの時間を使いますと定期的に集まることができるので、年に30回とか時間をつくることができますので、そこで時間を充てています。
あとは外部の練習というか、マナー講師に以前1年間来ていただいていたことがあるのでそのときの資料をブラッシュアップさせてまたそれを使ったり、それ以上のメンバーに関しましては、参加したいセミナーや資格の講習会とかは挙手制ですけれども、一部会社が費用を負担したりすることも必要である場合は負担して行かせています。
2つ目のキャリア採用に関してなのですけれども、ITに精通したメンバーというのは大体陣屋コネクトのほうです。システム会社の方には応募も来ますし、そういった方々に響くような採用サイトも活用したりということがございます。
陣屋コネクトの技術者とかエンジニアに関しましては、中途採用しかしていないです。これから向こう何年で必要な開発というのが見えているのですけれども、それに対しての技量を持っているか持っていないかというところが重要なので、それに対して必要であると思われる技量を持っていらっしゃる方に的を絞って採用するということを行っています。
サポートするメンバーに関しましても、新卒は実は採用していません。というのも、全部中途と、あとは陣屋からの移転です。転職といいますか、結局、いろいろな旅館さんに導入をサポートする、日々の業務をサポートしながら浸透を図るというポジションになりますので、旅館のことを理解していない人がいても通じ合うことができないのです。サポートする意味がないといいますか、的外れになる。サポートする相手というのはほとんど現場の方、担当者とかのレベルが多いので、担当者が言っていることの意図を酌めないとサポートができないので、旅館経験者を主に採用しています。なので、陣屋から転籍するメンバー、うちはマルチでやっていますので、例えば5~6年やればある程度のことが分かってきていますので、そこからの移転メンバーとほかの宿泊施設で働いたことある経験者などで構成されています。
陣屋に関しましては、中途のメンバーもいますけれども、今は新卒及び第2新卒ぐらいの若手に絞って採用しています。
○武田委員 ありがとうございます。
○久野様 では、久野金属の久野です。
まず、外部研修の関係ですけれども、全体としてはあまりやっていない。いわゆるリフトの免許などはありますけれども、特別外部研修というのはあまりやっていなくて、基本的にはさっき紹介したような5Gen5minだとか、社内の通常のもの、プラス、最近だと集合研修みたいなものでやっているのは動画研修です。例えばパワハラの教育だとか、ああいうものは、小グループに分けて、30分ぐらいのいい動画をある程度集めて流すということを繰り返しやっているということです。
次は人の流動性なのですけれども、私どもとしてはほとんど新卒です。毎年10名ほど、高校生5名、大卒5名とか、大体半々ぐらいで取っていまして、特に今、60歳を超えて65歳で定年を迎えるメンバーもまあまあいますので、自然にどんどん人員が若返っているという形になっています。
ただ、この数年は離職率はかなり低かったのですけれども、去年あたりから入っている高校生の価値観というのがすごく変わっている感じがしていまして、自分がやりたいことをやりたいというのですか、例えばやりたい仕事があったという思いがすごく強くなってきて、仕事も覚えてすごくやってくれているのに、途中でどうしてもそっちに行きたくなったと言っていきなり辞めてしまうとか、すごくうまくこなしてくれている人なのにそういうふうになってしまうという人が2人ぐらい出てきまして、今までそこまでなかったのに、うまくいっているにもかかわらずそういうことが起こるというのは、そういった年の教育なのか、時代のコロナの関係なのか分からないのですけれども、そういった意味では、この1年ぐらいは、特に高卒の人などでは、2人出て、3人目が辞めてしまったということがあって、人の採用というか維持、うまくやっていくというのも難しい時代になったなと感じています。
最後、行動指針の内容を紹介しますと、例えば1番が時間期限と約束ルールを守りますというものなのです。あと、3つ目でいうと常に笑顔を心がけ、ありがとうを伝えますとか、すごく基本的なことばかりが並んでいます。あとは、そういうことが1つずつ全部守られていった結果、仕事としてはみんながいい仕事できるという形なのです。例えばさっきの時間期限と約束ルールを守りますという行動指針をやり始めて、評価連動ですと言った1か月後ぐらいには、会議に遅れてくる人が一人もいなくなりました。最初は何人かいたのだけれども、やはりみんなが守るようになってくると、空気感として数分前にはみんなそろっている。これは久野金属でもかなり分かりやすい変化でした。
それ以外でも、朝の挨拶などでも、やはり350人もいると不愛想な人とかはいるのですけれども、そういう人たちの声が少しずつ大きくなってきて、みんなが当たり前に挨拶ができる環境というのもできたり、また、行動指針の中で行動指針を定着させる言葉もあるのです。なので、行動指針を読み上げていることによって行動指針が定着して、行動指針を浸透させますみたいな内容があるのですけれども、そういうことによって、行動指針自体が一人で回転していくというのですか、みんながいつの間にかいい人材に育っていくという形を目指してそういうものをやっています。
以上です。
○武田委員 どうもありがとうございました。大変よく理解できました。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、春川委員、大分お待たせしてしまって申し訳ありませんでしたけれども、春川委員のプレゼンテーションに入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○春川委員 ありがとうございます。
それでは、画面を共有させていただきます。
私、情報労連KDDI労働組合の春川より、社内におけるIT化・DX推進への労働組合の取組について御説明させていただきます。
こちらは資料の目次です。まず、会社と私の属する労働組合の概要を簡単に紹介します。その後、会社の施策を簡単に紹介しまして、それら会社の施策に対しての労働組合の対応、考え方や視点などについて説明いたします。
まず、KDDI株式会社ですが、通信事業を中心に展開しており、国内および海外で携帯電話サービスを行っています。固定電話やインターネットの接続サービスなども提供しておりますが、国内の通信市場は飽和状態になってきておりますので、新たな事業として、昨今は金融やエネルギーといった市場にも参入しているところです。
次のスライドはKDDI労働組合について示しております。
KDDI労働組合は単一の労働組合ですが、対象としている会社は8社ございます。こちらの8社で直接雇用されている社員は正規、非正規にかかわらず、全てKDDI労働組合に加入して組合員となっております。組合員数は総勢で約1万2000名です。
KDDI労働組合は、産業別労働組合の情報労連に加盟しております。情報労連はNTT労組やソフトバンク労組といった労働組合をはじめ、通信インフラの建設、保守、運用を行う産業の労働組合なども加盟しています。
つぎに、会社全体の動きについて事例を簡潔に紹介いたします。
昨今、KDDI株式会社は人財ファースト企業への変革というものを掲げ、様々な取組を進めています。その中には労使でコミットしながら進めているものも多々ございます。例えば、新人事制度、働き方改革、社内DX、これらを三位一体の取組として掲げています。 まず、新たな人事制度として、2020年8月からKDDI版ジョブ型人事制度というものを導入しています。こちらはジョブ型と称しておりますが、一般的にイメージされる欧米型のジョブ、仕事そのものに賃金が決まっているといった制度ではなく、あくまでも社員自身が従事する専門領域というものを明確にしまして、その職務の成果と挑戦すること、また、能力に応じて処遇するといった制度になっています。そのため、よくKDDI版ジョブ型人事制度ということで取り上げられることもあるのですが、その中で誤解されないように申し上げますと、携わるジョブイコール賃金確定としているわけではなく、あくまでも、成果や挑戦、能力に応じてそれらを評価し、賃金が決まるといった制度です。
この制度は、社員、組合員の職務領域というものをまず明確にするということが特徴です。それまではそういった領域を明確にするということはなかったのですが、職務領域を明確にするといった改定を行った背景には、冒頭の会社概要で触れたとおり、通信事業を軸に事業運営してきていたのですが、新たに金融やエネルギー分野、エンターテインメントなどの専門性の高い事業領域に拡大し、社員それぞれが活躍できるフィールドが広がっていることがあります。その上で、それぞれの専門領域を明確にし、その中で能力を高めながら成果を発揮していこうという考え方から、専門領域をつくってきました。
こちらのスライドは後ほどお読み取りいただきたいのですが、コロナ禍を契機に、社員一人ひとりが時間や場所にとらわれず、成果を出し、そういった働き方を実現していこうということで、2020年秋に新働き方宣言という形で策定した内容です。
続いて、社内DXと称しておりますが、主にIT化による働く環境整備とそれを支える制度について列記しています。いずれにおきましても、社員、組合員にとりましては環境変化が伴いますので、こういったものを進めるに当たりましては、事前の労使コミュニケーションによる意識合わせ、また、整備後の実態把握を行っています。
IT化の事例としましては、上段の表に示させていただいていますが、例えば首都圏のオフィスに関しては、デスクを固定することなくフリーアドレスとしまして、座席数も4割削減しながら、オフィスワークと在宅勤務、サテライトオフィスの併用に移行してきていることを示させていただいています。
また、在宅勤務やテレワークに関しては、過去からありましたけれども、セキュリティーの高いモバイルPCを全社に配備することで、全国展開を進めてきているところです。労働組合の対応については後ほど触れさせていただきます。
こちらのスライドは、社員の人材育成についてです。KDDIでは、社員教育の一環として、DXに特化した「KDDI DX University」と称した社内大学を2020年度からスタートいたしました。開設時におきましては、2023年度までに社内外でDXを推進するDX人材というものを4,000名拡大することを発表しておりまして、情報通信産業の一翼を担う事業者としましては、お客様御自身のDXの推進というところへの寄与はもちろんなのですが、社内のシステムや構造改革といった社内DXを推進するための人材育成、リスキリングというものにも現在着手している状況です。
このスライドでは、いわゆる人事DX/HR Techについて触れています。今回のテーマとしてIT化・DX推進といった点におきましては、従来のビジネスモデルをIT化・DX化するといった形で新たな進化・発展というイメージをお持ちかと思いますが、むしろ従事する社員、組合員の立場では、それぞれのワークスタイルを変革していくという観点からは、人事面におけるDX化やHR Techの導入というものが大きな変化、また、流れであると捉えております。
左下にありますが、KDDIにおいては社員、組合員のワークスタイルを4つに分類しています。現時点ではまだトライアルの状況ではありますけれども、社員一人ひとりの働き方をデータベース化し、それを分析、可視化していくということで、個人や組織のパフォーマンス向上に資するということを進めております。また、こういったことを通じて自社でノウハウを蓄積していきながら、事業化につなげていくということも想定しているところです。これらの点につきましても、労働組合の対応を後のスライドで触れさせていただきます。
あとスライドは2枚なのですが、こちらからは、今御説明した会社施策のそれぞれの事例について、労働組合の対応についてまとめたものになります。
まず、私たち労働組合としてのスタンスとして、ポイントを2つ示しております。
一つは、社内のIT化・DX化に対しては、基本的にはポジティブなスタンスだということです。
2つ目は、IT化、また、DXに限らず、労務人事政策全般においては、全ての社員、労働者間で格差や分断を生じさせない環境を整備するということを念頭に我々労働組合としては向き合っているところでございます。
その上で、先ほどお示しした事例について触れさせていただきます。
まず、働き方についてですけれども、人事制度につきましては、社員、組合員がより専門性を発揮するための制度とするためにも、専門領域を定める必要がございましたので、その専門スキルをいかに向上していくのかといった部分も含めて労使論議を重ねました。当初100単位以上ありました領域を結果的には30の専門領域に大くくりで設定するようなことを労使論議の中で重ねてきました。
そして、柔軟な働き方や在宅勤務に関しましては、厚労省のガイドラインなども参考にさせていただきながら、より一層の労働時間管理の徹底であるとか、また、当然健康確保といった部分に関して労使の意識を合わせながら、それぞれの制度について労使合意を図ってきているところでございます。
あと、オフィス環境のIT化に関しては、こちらはまさに積極的に進めていくという中でも、今、我々労働組合からの課題提起としましては、実はIT化の中には位置情報が取得できるといったツールもございますので、プライバシーの確保を担保するというようなことも労使の中では進めてきているところです。
また、DXに関する人材育成につきましては、まだスタート段階ではありますが、我々労働組合としては、社員の育成そのものがまさに人への投資であるという考え方のもと労使論議を重ねてきました。今年の春闘交渉におきましては、育成機会の提供の拡充としては、人材育成に係る投資額の増額やDXに関する基礎スキルレベルの研修を、2024年度までに全社員に対してしっかり対応していくということで労使合意を図ってきているところです。
最後のスライドです。最後は職場現場、労働組合からの視点としてまとめております。
社内のIT化やDXが進展していく中においては、大きく3つの要素があると考えています。それがスライド上の3つの箱なのですが、まずは左側のオレンジ色の箱です。IT化の推進に伴いましては、働き方や身につけるスキルが変化していく。それがどう変化していこうとも、健康で安心・安全に働くことができる環境整備というものがまず大前提であることが一つの要素です。感染症対策をきっかけに、テレワークが浸透してきておりますから、テレワークを駆使することで、ワークライフバランスの向上といった部分は期待できるかと考えています。ただ一方で、それぞれ労働者は自律的に働いていくことが求められますので、例えば、過重労働による健康障害やリモート環境下における安全衛生の側面といった部分は危惧すべきところだろうと捉えています。
2つ目の要素は真ん中の青色の箱です。人材育成の機会提供そのものだと捉えています。スライドでは人材、DXの人材育成と示していますが、DXのスキルに限らずとも、スキルによる格差・分断をいかに回避するのか。そして、それは雇用区分による格差についても危惧しておりまして、繰り返しですが、人材育成機会は、より一層全ての社員、労働者に対して、公平・公正な機会提供というものが要素としては必要にだと考えています。
3つ目は、今後より進展が見込まれる人事面におけるDXです。働き方のデータ化、可視化においては、プライバシーへの懸念点もございますが、その一方で、データ分析した上で活用することがめぐりめぐってエンゲージメントへの効果というものも期待できるというところです。
これらの3つの要素を踏まえまして、下に職場現場からの視点として4つ示させていただいています。
一つは、そこに示させていただいているように、IT化で様々な働き方が職場に共存していますので、単に制度やルールを整備すればよいということではなく、職場実態を捉えながら運用上の課題対応を適宜行っていくことが大変重要だと考えています。そのため、職場現場を知る、労働組合の役割、機能がとても重要だと考えています。
2つ目は、今まさに変化、変革に向かっているところですが、柔軟に対応できる社員ばかりではないということです。いかに全体化していくかが重要だと捉えています。
3つ目は、これも当然のことですが、健康面のさらなる徹底として、労働時間管理、あるいは勤務間インターバルのような休息時間の確保が重要だと考えています。
最後、4つ目は、新たな能力開発・リスキリングにおける格差・分断を生じさせない方策検討とその対応が必要なのだと考えています。特にこの点は、一企業内においても発生し得る課題でもありますが、就業する上で必要な能力開発に関しては、特に非正規雇用労働や高齢者などを含めて、労働者全体にどう対応していくのかといった国の政策としても大変重要と考えています。
私からの説明は以上です。
○守島部会長 春川委員、どうもありがとうございました。
それでは、全体討議というか質問に入りたいと思います。どなたからでも御質問のある方、お手をお挙げください。
大橋委員、手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○大橋委員 お三方、どれも大変勉強になる話で、それぞれの方にお伺いしたいところなのですけれども、時間の関係もあると思いますので、久野様に質問させていただければと思っています。
生産設備のIoT化で稼働率が上がることもそうだと思うのですけれども、いろいろなことが本来可能になったのではないかと思っています。例えば保全でいうと、事後保全から予兆保全とか事前保全が可能になったり、あるいは生産準備、改善においても、シミュレーションとかいろいろなことをできるようになれば試験の回数とかも随分減るでしょうし、そうしたこともいろいろ可能になることを思うと、いろいろなものが変わっていくだろうなと思っています。
それで3点なのですけれども、現場の働き方において作業者とかあるいは組長、班長の役割というのは随分変わるのではないかと思うのですが、そこの辺りはどう変わっていくとお考えかというのをお伺いしたいのが一点です。
2点目はデータの扱いなのですが、要するに、稼働状況のデータは御社だけではなくていろいろな企業がお持ちのデータも併せて見ると、いろいろな異変の予兆を捉えることが可能になってくるし、あるいはさらなるプレス機の改善にもつながっていくのではないかと思うのです。そうすると、データを他事業者で共有するということが今後考えられ得るのかどうかなとも思うのですけれども、そういうところはあり得るのかどうかというのが2点目。
3点目は、プレス機は従来、油圧だと思いますが、整備しようとするとだんだん電動になってくるのではないかと思っています。今のDXとかの流れでいうと、やはり電化というものをやっていこうと考えている中小企業さんは多いと思うのですが、他方で、CAPEXやOPEXなどの計算は結構難しくて、多分皆さん電化を躊躇されていると思うのですけれども、そういうところについてどう考えたらいいのか、もし何か示唆があればいただければ。その3点をお伺いできますでしょうか。
○久野様 御質問ありがとうございます。
まず、保全とか予想修理とか試し打ちの影響が出るかということなのですけれども、実はこういった取組もかなりやってきたのですが、実際は今の設備はあまり壊れたりしなくて、何年かに1度の故障を見るためにいろいろなセンサーをつけるというのは正直なかなか割に合わないということで、その辺りについては、取り組みはしたのですけれども、結果としてはやめているという状況です。なので、一番成果が上がりやすいところに逆に特化しているという形です。
作業者の役割がどう変わるということですけれども、実際にいわゆる繰り返し業務的な機械でも見えるところをどんどん機械なりDXに任せていって、人は結局どうなのだということなのですが、最終的に今の感覚で言うと、残っていくのはやはりプラスアルファ、繰り返しではない新しいことを考えるだとか、よりその仕事を働きやすくするだとか、もっと抜本的に改善するだとかということを考えるほうに力を入れていく暇ができていくということで、実際にさっきの発表でもそういったところがあったのです。そんなところで徐々に変わってきているのではないかなと思います。
いろいろな企業のデータをミックスしたらもっとよくなるのではないかという話ですけれども、確かにその議論はあるのですが、それ以上にデータがほかの会社に漏れることを嫌がるというところが一方で非常に強くて、実際にデータを共有してもいいですかと聞いてみると、ほとんどの会社が駄目だと言われます。なので、現時点ではそういった取組の部分ではあくまでも自社内のデータだけを使っているのですけれども、そういった全体を向上させる取組としては、これは陣屋さんでも同じだと思うのですけれども、各社から出てきたいろいろなアイデアをサービスにフィードバックしていきますので、結果として全体がさらにいいサービスを使って、それによって生産性が向上していくという循環ができているということで、これはみんなが同じサービスを使っている大きな成果の一つではないかなと思います。
最後なのですけれども、油圧からサーボとかという話、基本的にはうちですと機械プレスというのが多かったのですが、最近は確かにサーボプレスが増えています。ただ、最後のキーワードが聞き取れなかったのですけれども、何が増えていくと言われていましたか。○大橋委員 皆さん、温暖化とかあるいはグリーンをどうするとかと話の中で、電化を進めていくという方向はあるのではないかと思うのです。
○久野様 電動化の意味ですか。
○大橋委員 そうです。
○久野様 そうすると、より効率のよい機械というか、省エネの機械が増えているという意味ですか。
○大橋委員 それは同時に制御もしやすくなると思うのですよ。
○久野様 確かにそもそも同じ機械でもうまく時間を短くして生産性を上げるだけでもかなりエコな状況だと思いますし、工場の操業時間が短くなれば、その分全体のエコにもつながりますし、機械を新しくしていくということもやっていますけれども、純粋にさっきの全体の取組でどんどんそういった無駄な時間が削減されていくというのは直接的にいい環境への影響も出ているのではないかと思っています。
以上です。
○大橋委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 ありがとうございます。中野と申します。
お三方から非常に興味深いお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。
いろいろとお伺いしたいのですけれども、私も2点に絞らせていただきます。
一つは陣屋の宮﨑様にお伺いしたいのですけれども、従業員数を3分の1に減らしながら、アナログからデジタルへの変革や従業員のマルチタスク化によるサービスの効率化によって業績自体は大きく伸びているというお話は非常に興味深く聞かせていただきました。
労働時間の話なのですが、ちょうどコロナの影響下で一日10時間、週4日勤務の働き方に変更したということだったのですけれども、これは一日の実労働時間としては従業員の負担が増えたということはないのでしょうか。つまり、もともと1日2時間程度の残業はしていて、それを所定労働時間内に反映させたということになるのか、ということです。
また、現在、コロナの影響で旅館業はいろいろと困難にも直面していると思うのですけれども、今後コロナが明けたときに、また改めて労働時間を含めた働き方が変わっていくという見通しはあるのかということをお伺いできればと思います。
それから、もう一点は春川委員に労働組合の役割についてお伺いしたいのですけれども、IT化やテレワークの普及、働き方の柔軟化や多様化によって一つの企業の中においても労働者の働き方が多様化して、個々の労働者にとっての利益やニーズというものも多様化していると思います。同じ場所で同じように働くということを通じて、少なくともこれまでは一つの企業の中では労働者の利益が比較的均質であっただろうと思うのですが、それが今日変化していって、そのことが労働組合が労働者の利益を一つにまとめて代表することに難しさをもたらしているということはないのかということです。労働組合の役割や在り方の変化といったものについて、お考えがあればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○宮﨑様 では、まず1つ目の労働時間についてなのですけれども、もともと12時間働いていましたかということになるのですが、見越しではないですが、先ほども申し上げたとおり、720時間の時間外をどうやってその以内に収めるかぐらいの労働時間が出ていましたので、あと、閑散期は皆さん8時間ちょっとで帰れます。何だかんだで8時間以内の仕事、先に帰っても全然問題ないぐらいの仕事量のときもございますが、繁忙期については、本当にお恥ずかしい限りですけれども、1日15時間ぐらいは働いてしまっていました。私はそういう時間の規制がありませんので、自分の裁量でできてしまうので、正直16時間、17時間とかやっていました。
もちろん臨時の従業員の方を雇用しましても、サービス業でなかなかお客様が時間どおりに動いてくれるわけではないので、普通に予定の時間よりも1時間遅刻してくる方とかもいらっしゃいますし、電車が遅れた、飛行機が遅れたといった形にもありますが、とはいっても一生懸命目指してきてくださった方にここでサービスをストップしますという言い方は正直申し上げにくいということも多々ございます。
なので、長くなりがちということがありましたので、今、10時間プラス1時間休憩で、固定としましては11時間なのですが、約12時間。日勤に関しましては、朝食に必要な人数が全員分必要であれば朝8時からみんなという形になりますが、全員出勤しなくても済むことがほとんどなので、8時出勤または朝の10時半出勤ぐらいで2時間ぐらい差がつくので、上がる時間も少し時間を下げてとか、実際問題12時間働かなくても次の夜勤に交代できるというシーンは多々出てきているのですが、半日ぐらい働いても体力的には皆さん問題ないメンバーばかりでした。なので、新しく新卒で入ってくるメンバーにも、1日の労働時間が長くなるので、体力に自信のある方という形で募集はさせていただいています。
ただし、週3日お休みになりますと、月々のカレンダーで公休が13とか14で、有給を使っていただくと15日ぐらいお休みが取れますので、逆にまとまって3日間お休みいただけるほうが体は休まりますし、自由に時間が使える。都内ですとか私たちがいる神奈川の秦野ぐらいでしたら、オフィスといいますか会社と自宅までの間に何か寄って買い物ができたり、習い事ができたりという環境もなくはないですし、そういうOLさんの生活に憧れているメンバーなどもいますけれども、正直、地方に行くと会社からおうちの往復のみになってしまいます。何か寄れるほどのものが町になかったり、繁華街に出るまで車で30分とか、1時間行かないと大きな買い物や習い事は難しい。であれば、まとまった時間を自由に使えるほうが有効的に人生が豊かになるという土地柄も比較的多いので、そういった働き方も正直あるかなと感じております。
なので、今のところ、私たちの生活スタイルといいますか、就業的なところに関しては、この変形労働時間制の働き方が理にかなっている、やってみてよかったなというところが感想です。
あとは、コロナが明けて8時間の通常のものに戻るかといったところなのですが、私たちは戻らないと思います。休館日に関しては、今、火水木で完全に休館日をいただいています。これがもし稼働が上がってきて、インバウンドがまた戻ってきてというようなありがたい状況が発生すれば、例えば休館日を1日短くして週2日にする。ただし、働き方としては今、理にかなっているので、メンバーを増やして、週3日のお休みをみんなで少しずらして働いていくというやり方はあるかと思うのですけれども、今のところ、4日勤務3日お休みというのを変える予定は私たちはありません。また世の中が大きく変わったときには、そのときの変化に耐え得るだけのことを考えて構築しなければならないと思うのですが、今のところは戻らないという回答にさせていただきたいと思います。
○中野委員 ありがとうございます。
○春川委員 続きまして、春川のほうからお答えいたします。
先ほど中野さんからのご質問は、職場現場でいろいろな働き方が増えてきている中、社員、組合員からするとそれぞれの利益、ニーズがいろいろ労働組合に寄せられてくるという場面で、労働組合の対応は難しさが増しているものと受け止めています。実際、職場内ではいろいろな働き方が混在し、従来は画一的だった働き方に変化が生じたことによって、労働組合としての対応もやはり変化してきている部分があります。例えば、ニーズが画一的だったときは、労働組合と所管するある部門とが労使コミュニケーションを行い、意思疎通を図ったものが職場現場のルールに落とし込まれてきたのですが、それが今、多様な働き方が混在している中で、問題は制度が正しく理解されない状態でマネジメントされているケースという部分もございます。そういったものを我々がきちんと察知したときには、変化に対応する形でこれまで以上に非常に細かな単位で労使コミュニケーションをそれぞれの職場現場で行っています。
そういう意味では、労働組合の会社側との労使コミュニケーションが非常に増えてきていることは事実だろうかと思っています。
○中野委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員 岡本です。よろしくお願いします。
陣屋の宮﨑さんに質問させていただきます。なかなかユニークで大胆な取組だなと思いながら聞かせていただきました。
私は、特に22ページの人件費関連や人材育成に関して興味があったのですが、先ほどの宮﨑さんの御報告と委員との質疑応答で大体疑問点はクリアました。したがって、1点だけ伺いたいと思います。副業については、複数の仕事をかけ持ちすることで長時間労働となり、健康被害が生じるおそれがあることから、やはり適切な労働時間管理と健康管理が重要だと思っています。貴社の場合には夜勤シフトもあるわけですから、副業を認めるにしても何らかの条件を課さざるを得ないのではないかと思います。先ほどの御説明では委託業務だとか受託というお話がございましたけれども、それ以外に何か課している条件があればお伺いしたいと思います。また、労働時間の通算や健康管理にどのように取り組まれているのか伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮﨑様 実際に副業をやっているメンバーが今どんな仕事しているかというと、大体ホームページの作成だったり、ライター的な仕事だったり、観光関連のものをやりたいという形で、月に1日か2日分ぐらい、多い方で3日分ぐらいの仕事をしているという形は認識しております。それ以外は趣味のものを副業に変えて楽しんでいるメンバーなどもいると伺っていまして、最近はライブや演劇などのエンターテインメント系も動き出してきているので、小道具の作成とか、美術系の仕事というか学びがあるメンバーだとか、そういうものが好きで、そういう制作物みたいな形で請け負っているメンバーだったり、お友達の動画編集を手伝っているといった報告などは聞いております。皆さんどちらかというと好きなことを副業にするタイプのほうが多いように聞いております。
あとは、学びになることです。その学びについても、例えばお金を払ってスクールとかセミナーを受講するというだけの学びではなくて、賃金を得ながら、将来の自分の夢に向かって、キャリア構成といいますか、プラスアルファになっていくような技量を見つけるというような副業を選んでいるメンバーがほとんどなので、健康被害で労働時間ばかりを気にして働くという感じの働き方を選択しているメンバーは今のところ報告は聞いていないので、一応副業をする条件としては、本業に差し支えない仕事。逆にそちらが本業になるぐらいになるのであれば、うちを例えばパートにするとか、うちを副業にするというような形で、主たる事業を変えなければならないよということは先にお話をさせていただいていますし、本末転倒な働き方になったら、私たちもサービスクオリティーを担保しなければいけないので、それが担保できないのであれば、申し訳ないけれども、一度話をさせていただきますよということは最初にお話しさせていただいています。
働き方として、時給の働き方の考え方だけではなくて、世の中にはいろいろな仕事の仕方があって、やはりクオリティーを担保して納品しなければ仕事にならない。そこのクオリティーを担保するために、技量が上がってくれば、Aさんは3時間で到達するけれども、まだBさんは5時間ぐらいかかりますという仕事は正直あると思っていまして、そこを御自身で判断する必要がありますしという話で、健康被害が出ない程度にしてくださいということは、何か条件で厳しいペナルティがあるとかという形ではないのですけれども、それを条件に仕事というものは選択すべきですし、仕事と時間の使い方は人生に直結する問題なので、ちゃんとそういうところは考えてやりましょう。
推奨といったところに関しましては、旅行関係の仕事が好きなメンバーがやはり接客のメンバーでもこの業界は多いので、私たちは先ほど旅行業を取得したという話をしましたが、子会社である陣屋コネクトの旅行代理店業務をやっているところのホームページの構築に関して手伝いたいという形で受託ということで、ここからここまでホームページの作成は私がやりたい、納品日はいつですというような形で挙手をしてプロジェクトに参画しているメンバーなども複数おります。
今の状況はそんなところでございます。
○岡本委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
山田委員、どうされますか。簡単なものであれば。
○山田委員 時間がかかるかもしれないのですけれども、簡単にすみません。
処遇制度なのですけれども、これは陣屋さんと久野さんに聞きたいのですが、要はDXを入れることによって、従来は年功的とか能力的な要素が日本の老舗だと強いと思うのですけれども、それがより個別化とか成果主義的なものに変わったのかという部分だけ、簡単に大きな変化だけ教えていただきたいと思います。
○宮﨑様 組織的な問題としてはかなりフラットになったと思います。なので、肩書きがあるメンバーというのは若干名だけでございまして、支配人、副支配人、主任というようなぐらいで、あとは全て平らという形になっています。主任というのも予算などの管理を設置しなければいけない方にそういった役職を今お願いしている。ブライダル関係とか、そのぐらいになっていまして、そういった年功序列的なところは今ほとんどないような形になっております。ただし、一応勤続年数が長い方については、あとは評価なのですけれども、それだけ会社に貢献している時間と日々の形という形で、10年目までは一応お給与的なところは、勤続年数の手当が少しずつ毎年上がっていくような形になるのですが、それ以降は実力主義になっていきますので、そこからが自分の技量、判断で頑張るというような給与体系にここ10年で変わってきております。
○山田委員 ありがとうございます。
○久野様 久野ですけれども、私どもは大きくは変わっていないというのが全体的な話なのですが、これは、どちらかというと長くやらないと技術的にできないですとか、そういった年功による意味というのが結構ある仕事はありますので、この日本の雇用環境の中で年配の人たちもうまく力を発揮して、長く働いてももらおうという考えが根底にはあります。
ただ、評価制度としてはさっきの行動指針に全部集結させてしまったので、年功の部分はベースにありますけれども、評価自体はそれに基づいて評価されていきますので、かなり分かりやすくはなりましたが、さっき言ったようにやはり根底には残っているという状況です。
以上です。
○山田委員 それは、ボーナス部分が増えていたので、基本給は変わらないけれども、そちらで差がついているという感じですか。
○久野様 基本給はもともとの流れがあって、ボーナスもそうですし、昇給も同じ評価制度の中でやられているので、昇給の度合いが、年齢が高くなっていくと昇給されるのだけれども、昇給の幅が狭くなるというか、年齢が若いと昇給の幅が大きいという差はありますけれども、その程度です。
○山田委員 どうもありがとうございました。
○守島部会長 皆さん方、ありがとうございました。終了時刻になってしまいましたので、この辺りで今回の議論は終わりにさせていただきたいと思います。
宮﨑様、久野様、春川委員、どうもすばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。
それでは、最後に事務局から次回日程について御連絡さしあげたいと思います。
○蒔苗政策統括官付参事官 次回の日程につきましては、調整の上、また追って御連絡をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、以上で本日の労働政策基本部会は終了とさせていただきたいと思います。
御多忙の中、御出席いただいて、どうもありがとうございました。