第67回厚生科学審議会感染症部会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

令和4年9月15日(木)14:00~16:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)
 

議題

(1)新型コロナウイルス感染症に係る全数届出の見直しについて
(2)サル痘への対応について

議事

    
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第67回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます健康局結核感染症課の杉原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議事は公開となります。また、前回と同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。また、事務局のほうで用意しておりますYouTubeの撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の皆様におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
本日は、新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案いたしまして、ウェブ会議で開催することとしております。
まず、ウェブ会議で開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言いただく場合は、まず挙手機能を用いて挙手いただくか、チャットのほうに発言される旨のコメントを御記載いただきまして、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じることがございますが、御了承願います。会議の途中、長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話いただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。御出席の委員につきましては、通信状況の確認も踏まえまして、こちらでお名前を申し上げますので、お返事を一言いただければと思います。五十音順で失礼いたします。
今村委員。
大曲委員。
釜萢委員。
越田委員。
白井委員。
調委員。
菅原委員。
谷口委員。
戸部委員。
中野委員。
西山委員。
森田委員。
山田委員。
脇田委員。
お願いいたします。
なお、味澤委員と岩本委員、賀来委員、中山委員からは、御欠席の連絡をいただいております。
また、オブザーバーとしまして、全国知事会より伊藤様、全国保健所長会より内田様、全国衛生部長会より中澤様、東京都の保健福祉局より成田様、KMバイオロジクス株式会社より成瀬様、新村様の御参加をいただいております。
現在、感染症部会委員18名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
(カメラ退室)
○杉原エイズ対策推進室長 そういたしましたら、これから議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第、委員名簿、座席表、資料1-1、資料1-2、資料2、参考資料1~6となります。不備がございましたら、事務局のほうにお申し出ください。
それでは、ここからの進行は脇田座長にお願いいたします。
○脇田座長 それでは、議事を進めてまいります。今日も皆様、よろしくお願いいたします。
今日の議題ですけれども、(1)が「新型コロナウイルス感染症に係る全数届出の見直しについて」、(2)が「サル痘への対応について」ということであります。
それでは、資料に関しましては事前に各委員へ事務局から御説明いただいていると思いますが、事務局から、まず議題(1)に関して資料の説明をお願いいたします。
○江浪結核感染症課長 資料1-1でございます。
「新型コロナウイルス感染症に係る全数届出の見直しについて」ということになります。
資料の3ページ目に、9月8日に新型コロナウイルス感染症対策本部で決定いたしました「Withコロナに向けた新たな段階への移行」をつけてございますけれども、今後、発生届の対象に関しましては、65歳以上の方、入院を要する方など4類型に限定して、重症化リスクの高い方を守るための保健医療体制の強化、重点化を進めるということでございます。
症状が軽いなど自宅で速やかな療養開始を希望される方に関しては、検査キットでセルフチェックをして、陽性の場合、健康フォローアップセンターに連絡をして、自宅で療養いただくということでございます。
また、発生届の対象外となる若い軽症者の方々が安心して自宅療養できるようにするための環境整備のめどが立って、全国的に感染者数の減少傾向が確認されたということから、必要なシステム改修を経て、9月26日から全国一律で療養の考え方を転換して、全数届出を見直すということとしたいと考えてございます。この関係で、感染症法の施行規則の改正及び関連の告示により措置をしたいと考えてございます。
この全数届出の見直し後も、システムを整えて、届出対象外の方も含めて感染者数の総数は引き続き把握していくということでございます。これに関しましては、新型コロナについて都道府県ごとに感染者数をしっかり把握していただきまして、必要に応じて稼働病床を増床するなどの対応を実施していただいているという中で、引き続き全患者数の把握そのものは続けていく必要があるということから、今回こういう対応としているというものでございます。
この一方で、将来的には定点報告によりまして感染動向をモニタリングしていくということになるとも考えております。そのため、定点報告への移行のための準備、研究は並行して行っていきたいと考えてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
次に、資料1-2、HER-SYSデータを用いた新型コロナウイルス感染症における定点医療機関の選定方法の検証及び自治体におけるCOVID-19の入院サーベイランスの実施状況に関する調査の説明を分担研究者の谷口委員からお願いいたします。
○谷口委員 ありがとうございます。
時間もありませんので、早速、現時点における分担研究班の概要と進捗を報告させていただきます。
定点サーベイランスの本質は、ILIサーベイランス、つまりは、地域で発生したインフルエンザ様疾患のような急性呼吸器疾患の患者のうち、何割がCOVID-19、何割がインフルエンザ、あるいは何割がその他の呼吸器感染症であるかということを示すものです。そして、それらを病原体サーベイランスにとも連携するということです。定点サーベイランスは、単に全数届出の代わりではない、ということをまず申し上げておきます。
次のスライドをお願いします。
2021年6月から2022年6月までのHER-SYSデータから、匿名化された医療機関別の集計データをいただきまして、それを研究班で解析を行いました。第5波、6波で全国レベルでの医療機関単位での報告数の分布といった基礎統計解析を行いまして、また、このデータから幾つかの方法で医療機関を抽出して、その抽出されたデータ、標本データの統計量の解析を行って、どういう定点を設定することが最も実情、つまり、この場合には全数届出数ですけれども、全数届出数を反映しているか、あるいは全数を推計した場合に、どのぐらいの精度であるかを検討しました。
基本的に定点サーベイランスというのは統計学的にいうと標本調査ですから、母集団における分布は極めて重要です。右上の図を見ていただきたいと思うのですけれども、図の横軸は都道府県番号です。縦軸は報告数上位10%の医療機関の報告数が全体の報告数に占める割合を示したものです。
例えば2021年の第5波では、都道府県番号の2番と5番と6番を見てみますと、上位10%の医療機関で100%です。つまり、全てのコロナ患者を診ているということになります。これが赤のように第6波になりますと全体で低下してきます。
ちなみに、ブルーが季節性インフルエンザです。季節性インフルエンザはおおむね30%程度です。
ちなみに、第7波になりますと赤と青の間に入ってきますので、より特定の医療機関への集中度は緩和してきているということが言えます。この特定の医療機関への集中というのが実際の推計の際の障害になるわけですし、実際の医療の逼迫にもつながっているということは言うまでもありません。
定点選択のオプションとしましては、既存のインフルエンザ定点、そして、既存のインフルエンザデータ定点に内科定点を追加したもの、これは便宜上強化インフルエンザ定点とこれから言います。そして3つ目、全く新たにコロナ用の定点として、コロナの診療検査医療機関の上位10%とそれ以外の2つの層で新たに選択をする。この3つの方法を検討しました。
あまり細かいこと申し上げている時間はありませんが、強化定点を用いて患者の発生動向を確認したところ、実際の全数患者数の動向と一致します。また、患者数の推計については、標準誤差率は全国レベルで4.3%、都道府県レベルで15~40%の範囲で確認されました。
ちなみに、標準誤差率10%といえば、推計値が10万人だとすると、95%信頼区間が8万から12万人の間に入るという意味です。例えば標準誤差率が100%だとしますと、下限値がマイナスになってしまいます。つまり、そのぐらいの数字だということを御理解いただければと思います。現状では医療機関における診療状況の偏りは徐々に解消、つまり、多くの医療機関で診ていく方向にあります。実際にそうしないと今年の冬には医療体制が破綻するわけですけれども、そうすれば、標準誤差率はどんどん既存の季節性インフルエンザの精度に近づいていくと思われます。
左のカラムの一番下に記載されていますように、既存のインフルエンザ定点をそのまま使用する場合は、患者推計の精度はが低下します。患者の発生動向については、動向と一致しています。新たにコロナ定点を選定する場合、患者報告数の医療機関ごとの偏りが非常に大きいため、一定程度の精度を確保しようとした場合には全国で約1万定点が必要となります。恐らくこれから新たに都道府県で全体で1万定点を選定するというのはかなり難しく、現実的ではないと思われました。
右下、入院サーベイランス、これはWHOのSARIに相当してくると思うのですが、現状ではほとんどの地方自治体で独自の入院サーベイランスを行っているということが分かりましたので、現在、その状況の調査と実際にどのような項目を収集すべきかという調査を行っているところであります。
次のスライドをお願いします。
研究班では、都道府県の個々の医療機関の名前とか情報は分かりませんので、協力いただける地方自治体さんにお願いして、研究班で都道府県で定点医療機関データを選んで入力していただくと、その定点設定における患者の発生動向と全数との比較、推計値の精度が分かるようなExcelのスプレッドシートを研究班で作成しました。それを配付して、それに入力いただいて、結果をこちらにいただいています。
現在、それぞれの自治体にて結果を入れているところです。今回は、その一例を示します。これはある県における強化インフルエンザ定点を用いて検討していただいた結果です。どのぐらいの定点を追加するかは、実は都道府県によって異なります。
右上に外来患者数の動向及び選定した定点(既存のインフルエンザ定点にランダムサンプリングにて選定した定点を追加した定点)あたりの患者数の動向を示しています。
右下の表です。推計については、第6波、7波の標準誤差率はそれぞれ13.8%、11.9%。でした。第7波になるにつれてだんだん既存のインフルエンザ定点の標準誤差率に近づいています。これは実際に母集団の変動係数を見ますと、第6波で149%、第7波で112%。徐々に医療機関における患者数の偏りの緩和が見られているということが原因によると思われます。
第6波、第7波における強化インフルエンザ定点における推計値と実際の届出数の比を見ますと、第6波で1.8倍、第7波で1.47倍、このぐらい過剰推計になっています。これはもちろん定点が活動性の高い医療機関が選ばれやすいということによりますけれども、現在の季節性インフルエンザは医療機関の外来患者延べ数によって補正しています。今後、実際に行う場合には、都道府県単位で医療機関の外来患者延べ数は分かりますので、これによって補正をすることによって、より真実に近い患者数の推計が可能になるだろうと思っています。
また、今後、各都道府県によってコロナを診る医療機関が拡充していくと、受診行動
の偏りが解消されます、患者推計における標準誤差率も低下して、既存のインフルエンザ定点の精度に近づくと考えられます。
以上でございます。
○脇田座長 谷口先生、御説明ありがとうございました。
今、最初に事務局から資料1-1、全数届出の見直しについて御説明をいただきました。
それから、全数届の仕組みの見直しが9月26日に全国一律で行われるということですけれども、その後というか、現在既に定点を同時に走らせるための研究が進んでいて、谷口先生にその結果を御説明いただきました。今のところ、インフル定点にプラスアルファ800の機関、強化インフルエンザ定点という御説明でしたけれども、それで行うことによってかなり精度よく全数の推計が可能になるのではないかと。ただし、この定点サーベイランスはそもそも全数を推計するというのが目的ではないのだというところを御説明いただいたところでありました。
それでは、今の御説明に関しまして、委員及び参考人の先生方から御意見をいただければ議論をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
これまで様々な専門家から重層的なサーベイランスがコロナに関して必要になってくるということでありましたが、今日は定点の研究の進行具合を御説明いただけたということだと思います。
白井先生、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
谷口先生の調査の御報告をすごく興味深く拝聴しまして、私たちというか保健所のほうも大分前から今、全数把握を継続したとしても、全数というか全体を把握できていないのではないかという問題意識もあり、定点への移行をどのようにしていくのか、今、お話をいただいた中で、定点を選ぶ方法や、自治体によっても今の定点でも十分トレンドが分かるということは、すごく心強いと思いました。
定点を今回強化型という形で増やしていただいて、特に内科系を増やしていただいたのではないかなと思いますけれども、基準を示していただいて、できるだけ精度を確保するということには自治体のほうも努めたいと思いますので、研究班では自治体ごとに増やしていただいているところはどのように選んだのかとか、自治体に任せて大丈夫だったのかとか、その辺をお知らせいただきたいのと、今、感覚的には全年齢で患者さんが発生していますので、自治体によっては今までのインフルエンザ定例が小児科に偏っていることが多かったですから、内科定点を増やすということについては賛同というか、それが方法としてはよいと思っています。できるだけ確実、有効な定点の把握の方法がわかれば、このような形にできるだけ早期に移行していただく時期かなと思いますので、特定の医療機関に集中していないということは、それだけ患者さんが増えているということだと思いますし、特定の医療機関だけにもし偏っているのであれば、その地域の医療の配分の仕方がどうなっているかということも検討する時期と思いました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
まず皆さんの御意見を伺ってから、お答えいただけるところはお答えしていただこうと思いますが、いかがでしょうか。
山田先生、お願いします。
○山田委員 今頃こんなことをお聞きすると笑われるかもしれないのですけれども、定点のほうの精度が結構いいということが分かってくると、では、重症者、重症化しやすい方たちを把握するということの意義は一体どういうふうに受け止めればいいのかということをお聞きしたいと思います。というのは、そういう方たちというのはもう入院していると思われるわけで、その方たちの情報をわざわざ保健所を通して国が吸い上げて、それで何ができるのかなというところが若干疑問に思えたので、質問させていただきました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
取りあえずここで伺いましょう。白井先生から定点の仕組みのことにコメントがありました。かなり精度高くいけるということが分かってよかったということなのですけれども、この強化定点を行う場合に、追加する医療機関の選び方の基準がもし分かれば示してほしいと。自治体によって今まで選んだところの選び方みたいなところももしあれば、これは谷口先生ということでよろしいですか。コメントをいただければと思います。
それから、山田先生からは、重症化リスクのある人の把握の意義ですね。これが今後も続くのかと。これは事務局にお答えいただければと思いますが、谷口先生、まずコメントをいただけますでしょうか。
○谷口委員 まず、今は時間節約のために強化定点と言いましたけれども、既存のインフルエンザ定点にプラスアルファα、つまり内科定点を追加する、という意味です。これは十分な精度を確保するための数ですから、例えば某都などは既存の定点数で十分な精度が担保されていますので、増やす必要がありませんが、某県などは足らないので増やしていただく必要があります。県によって異なります。
今回は研究ですので、基本的にランダムサンプリングを繰り返してやりました。これは
Excel上の乱数発生プログラムによってランダムに医療機関を選択して、そのデータを入れてやってみる。先ほど申し上げましたように、そういったExcelのスプレッドシートを作りましたので、都道府県によって自由にそこにデータを入れることができます。我々はその医療機関は知りませんけれども、都道府県は分かっているわけで、都道府県はパターンAでこういうふうな定点を追加したらどうなるかといったことができます。都道府県によって数も違いますし、状況も違うと思いますので、基本は、発生動向調査の要綱にも書いてありますようにランダムサンプリングになろうかと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
そうしましたら、事務局のほうから、山田先生の御質問にコメントができればお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○江浪結核感染症課長 結核感染症課長の江浪でございます。
資料1-1に関連するものになりますけれども、感染症法上の届出に関しましては、実際に新型コロナウイルス感染症に罹患した方がどれぐらいいらっしゃるのかという全体像の把握という目的と、あとは患者さん自身に対する行政機関などのアプローチの起点となるという2つの活用のされ方をもともとされてきたところでございます。
今回、患者数の把握ということに関しましては、届出の対象を重点化した後も医療機関から患者さんの数を別途報告していただくということで当面続けてまいりますので、この患者さんの届出に関しまして、患者数の全体を把握するという目的はなくなっているという状況になります。
一方で、重症化リスクの高い方々、これは皆さん入院しているわけではなくて、例えば65歳以上の方ということであれば、多くの方は自宅療養されている方になります。そういった方々に関して、まだ当面、健康状況のフォローアップなども含めて重点化した取組を進めるということとしておりますので、その起点となる届出については、そういった方々を対象として残されているということになります。
今後、患者さんの発生動向のモニタリングを主体とする考え方に移った場合に、定点報告のような形になったとしたときに、届出についてどうするかということに関しましては、重症化しやすい方について引き続き行政機関をはじめとするフォローアップ体制といったものを維持するのかどうかという観点で、また別途検討していくものと考えてございます。
私からは以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
確かに重症化リスクのある人というのが、全体のアドバイザリーボードでも自治体からありましたけれども、25%ぐらいという話でしたね。入院率が全体の数%ですから、多くの人が自宅療養、宿泊療養、あるいは施設の中にそのままいらっしゃるというような形になるので、そういった人たちをしっかりと把握していくといったことかと思いました。
どうぞ。
○山田委員 フォローアップセンターと例えば保健所と二重の機能でそういうことをしなくてはならない、例えばフォローアップセンターに一括化するというようなことは不可能なのですか。
○脇田座長 今の山田先生の御質問は、今、資料1-1の下の図のところで、上のトラックは症状が軽い方などがフォローアップセンターで登録する。下のトラックは、高齢者の方は保健所で把握していく。自治体かもしれませんが、そこのということですが、事務局、そこはいかがでしょうか。一本化できるかということですか。
○江浪結核感染症課長 結核感染症課長でございます。
資料1-1にお示ししております健康フォローアップセンターというのは、自治体によって機能は異なっているのですけれども、今回お示ししております考え方におきましては、症状が軽い方で自宅で療養開始を希望される方に関しては、健康状態が変化したときなどに必ず連絡がつく先として健康フォローアップセンターを置くことによって、行政側から能動的にアプローチするということではなく、患者さんのほうからアプローチしていただくという形で、安心して自宅療養できるような環境整備を行うという考え方にしてございます。それに対しまして、高齢者の方々に関しましては、それよりもやや行政のほうからのアプローチによる能動的な重点的な健康観察というものを進めていきたいという内容になります。
自治体によりましては、保健所が行います健康フォローアップにつきまして、自治体に委託するということによって、保健所の業務も減らしながら、重症化しやすい方々への重点的な健康観察というものを行っている場合もありますので、委員の御指摘のように、必ず重症化リスクのある方に関しては、保健所自身が保健所の職員を使って頑張っていただいて健康観察をしていただくという必要があるわけではありませんので、ある意味一本化できる部分というのはございますけれども、考え方といたしましては、御連絡をいただいて対応するフォローアップセンター機能というものと能動的にアプローチするものと2つあって、それらを組み合わせて行う際に、能動的にアプローチする際には届出情報というものが必要ということで、今回このような考え方にしているというところでございます。 以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
それでは、内田参考人、谷口委員、釜萢委員、調委員の順番でお願いします。
内田参考人、お願いします。
○内田参考人 ありがとうございます。
私のほうから1つ質問と1つ意見がございまして、一つは、届出対象は重症化リスクが高くて入院対応の可能性も高いという方々になるわけなのですけれども、そうすると、検査で確定した例である必要があるのではないかなと思っていまして、そういう点では、これまでありましたみなし陽性という取扱いはもう廃止になるのだろうと思うのですが、そういう理解でよろしいのかということが質問です。
もう一つ、意見としましては、コロナ病床の確保とか診療検査医療機関の取組については継続していくということですけれども、今後、感染者が増加したりあるいは季節性インフルエンザとの同時流行といったことによって発熱患者が増加した場合には、現在の体制では不安な部分も大きいと思いますので、通常医療対応も視野に入れたロードマップを明確化するなどの検討が必要なのではないかなと思っておりますので、できましたらそういったことを早急にお願いしたいなと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
医療体制は、これまでみんな初診医が診て、主治医が診て、かかりつけ医が診て、保健所さんに報告をすると、保健所さんがずっとフォローして、かかりつけ医は自分の患者さんがその後どうなったかさえ分からない。もう医療ではないですよね。今後、通常の医療に戻していくためには、我々は常にしていますが、患者さんにこういう状況だったら必ず来なさいとか、状況によっては明日もう一度来なさいとか2日後に来なさいといったフォローをするのが本来の医療だと思うのです。だんだんそういう形にしていかなくてはいけないと思いますし、実際に保健所とかフォローアップセンターを挟んだがために入院が1日遅れるということがあります。そういうのは直接紹介の先生から電話いただいたほうが、こちらはオーケー来てくださいと。そこで保健所さんにお伝えすればいいわけで、どうしても調整がつかない場合には行政にお願いすればよいのではないかと思います。やはり行政には、本来やるべきイベント・ベースド・サーベイランス、あるいはフィールド・インベスティゲーションをきちんとやっていただかないといけないと思いますので、徐々にそういった形に戻していくのが本来の医療ではないかと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。確かに今後さらに通常医療へ戻していくというステップで重要なコメント、提言だと思いました。ありがとうございます。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 谷口先生から今日お示しいただきました内容は非常に重要であり、この内容を生かして今後、施策を進めていく必要があるだろうと強く思います。
その中で、谷口先生からありました医療機関はさらに患者さんのフォローアップの役割を担い、力を尽くすべきだという御指摘はそのとおりなのですが、これまでの経験の中で、感染拡大があまりにひどいととても医療機関が対応できなかったという事態がありまして、そのういう場合には、行政のほうもとても対応が困難でした。感染急拡大時も含めて、あらかじめ医療機関がしっかり役割を担うところ、行政に任せるところを明確にしてまた、地域により状況が違うので、常に見直しながら体制を整えていくことが極めて重要だろうと思います。
その観点から、健康フォローアップセンターの果たしている役割は、地域によって大分その能力に違いがあって、かなりしっかりやれるところもある一方、あまり機能していないというところまでいろいろあると感じます。したがって、健康フォローアップセンターの担っている役割がしっかりうまくいっているかどうかということのチェックを国にはぜひ考えていただいて、また、あまり報告を求めると、さらに自治体あるいはフォローアップセンターは大変なのだという面はありますけれども、国が地域の状況をよく把握していただくということもぜひ必要だろうと思います。
それで、フォローアップセンターが患者さんから不安を感じて電話をもらったときに、ちゃんと医療につなげる、重症者を医療につなげるという役割がしっかり担えるということはぜひ必要なので、指摘をしておきたいと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
調委員、お願いします。
○調委員 ありがとうございます。
2つあるのですけれども、一つは谷口先生に単純な質問で、これまでは5類感染症など、定点把握でやってきたわけですけれども、各都道府県で人口ベースで医療機関の定点の数を決めていたのかなと思っていて、そうであるとすれば、こちらの自治体では数が足りていて、別の自治体では足りないといったことがなぜ起こっていたのかというのは知りたいなと思いました。
もう一つは、もう少し長期的な観点で、今後、サーベイランスどういうふうにやっていくのかなということなのですけれども、定点把握にすることによって定点の選び方で全体の数をきちんと推計できるようにするというのは一番重要なことだと思います。
HER-SYSでは、クラスター対策を効率よく行うために患者の疫学情報を全国から収集してということが最初の目的であったと聞いているのですけれども、我々、やはり自治体で保健所の膨大な疫学情報をまとめていて、一番例えば知りたいと思っているのは、ワクチンの効果でありますとか、あるいはどういう人が重症化しているかということです。そういったデータですけれども、そういうことを研究班とかではなくてサーベイランスとしてできないだろうかと。そのことを目的とした定点、ワクチン効果判定定点みたいなところではこういう数の定点にこういう情報を集めてもらうというようなことをすれば、そういったことも可能になるのかなと考えて、将来的にはそういうことができないかなと少し考えました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
続きまして、伊藤参考人、中澤参考人、越田委員という順番でお願いします。
伊藤参考人、お願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部次長の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今回の見直しについては、全国知事会からも早急な方針の提示を求めていたところでありまして、今回、大きな方向性を示していただいたことに感謝申し上げます。
一方で、現場の運用の視点等について課題もあると考えますので、全国知事会を代表して3点申し上げたいと思います。
まず1点目、運用上の課題への対応についてです。今回の見直しは各自治体の実情や考え方があるとして、運用方法は自治体の判断に一定程度委ねられている状況にあります。しかし、特に発生届の対象外となる方への対応においては、患者情報はないが、必要な支援は継続という難題に各自治体が直面しております。先行している県の中には、患者情報がない状況を避けるため、代替の登録方法を新たに構築するなど、医療機関から自治体に業務負荷が移転している状況も見られるところです。長期的な視点での健康フォローアップセンターの在り方やオミクロン株の特性、外出自粛の考え方の見直しなどによる宿泊療養や食糧支援の必要性をどのように考えるべきかなど、国として改めて方向性を示していただきたいと考えます。なお、制度設計に当たっては、実際に運用する都道府県等と十分に協議、意見交換を行い、しっかりと実務面でのすり合わせに取り組んでいただくようお願いします。
2点目、準備や周知期間の確保についてです。先週の療養期間等の見直しについては、療養期間中の外出自粛の考え方が修正されるなど重要な変更があったにもかかわらず、直前まで事前説明がなく、施行も即日であり、医療機関や保健所等の現場では混乱が生じました。今回の見直しに当たっては、医療機関への説明や準備期間、国民への周知期間等を確保しなければならない点に十分配慮いただく必要があります。
3点目は、国としての国民への周知についてです。発生届出の対象外となることにより、診断の必要性や外出自粛の制限がなくなったかのような誤ったメッセージが国民に伝わらないよう、国においても国民へ周知徹底いただきますようお願いします。
以上、現場での運用の実際を十分に御考慮いただき、検討くださるようお願いいたします。
私からは以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございます。
中澤参考人、お願いします。
○中澤参考人 ありがとうございます。
私は、今回、コロナというのは非常に株の変異が波ごとでころころ変わっていて、自治体のほうでも対応を余儀なくされてきて、非常に大変だった中で、ここでWithコロナに向けての保健医療体制の強化ということで現状を踏まえて整理していただくことは、大変にありがたいことだと受け止めております。
ただ一方で、今、伊藤参考人のお話にもありましたけれども、コロナ自体の株の変化もさることながら、地方によって医療資源の多い少ないであったり、クラスターの様相なども状況は非常に様々となっております。今後、体制を整備し直していく際には、それぞれの地方ごとに異なる課題も大きいものから小さいものまで多くありますので、そこら辺をよく酌み取っていただきたいということで、私は神奈川県ですけれども、今回、神奈川県は随分いろいろとうるさいことを言いまして、それにいろいろ細かく御対応いただきまして本当に感謝しておりますけれども、うちみたいにいろいろ言うところだけではなくて、そうではない全国の状況をそれぞれ聞いていただきながら、最終的に国民のためによい保健医療体制を提供できるように、今の状況を酌み取りながら丁寧な説明と調整を進めていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
以上です。
○脇田座長 越田委員、お願いします。
○越田委員 では、3点ほど発言させていただきたいと思います。
まず1点目は、資料1-1の1ページ目、健康フォローアップセンターの機能についてです。発生届の重点化によって、私どもはざっくりと保健所が実際に感染者をフォローする割合は2割程度になるのではないかと予測しています。つまり、医療機関で陽性が判明した重点化の対象外の方、および検査キットで自己診断して陽性が判明した方のうち「健康フォローアップセンター」に自分で連絡・登録する方は、保健所には情報が届かないため保健所のフォローからは外れることになります。保健所が情報を持たない8割の方が、自宅療養中に症状が悪化したり、ご心配の時に適時適切に対応していただくためにも「健康フォローアップセンター」の役割があると思っています。陽性者の登録共々大事だと思います。「健康フォローアップセンター」は自治体によって運営の仕方は違うのではないかと思いますが、保健所への発生届がない方への在宅療養への後方支援と、自己検査によって陽性と判明した方の登録、この2つの役割をきっちりと果たしていただけるといいのではないかなと思っています。
2点目は、これを機に、クラスターの考え方そのものの整理が必要ではないかなということです。一方で、全数把握の見直しによって、重症化リスクの高い集団のクラスターの察知が遅れる懸念があります。厚生労働省のホームページには、小規模患者クラスターとは、感染経路が追えている数人から数十人の規模の患者の集団のことと明記されていますが、保健所が疫学調査の重点化を進めて以降は、感染経路は厳密には追っておりません。そもそも、医療機関であろうが、飲食店であろうが、教育機関であろうが、どのような集団であっても、クラスターの発生を世の中に知らしめる意義はほとんどないと考えます。ただ、懸念されるのは、高齢者や障害者施設、医療機関における急激な感染拡大です。発生届の対象が絞り込まれることによって、これらの施設の感染拡大の察知が遅れて、そのために介入が後手後手になることがないように、地域の実情に応じた仕組みを構築すべきではないかと考えております。
3点目は、9月10日付の厚生労働省の新型コロナウイルス対策本部の通知で、資料1の3ページ同様、発生届の対象外の者に関わる療養証明書は発行しないと明記されています。これを機に、業界では生命保険等の給付の対象を入院のみにする動きが見られていますが、届出対象者以外の方が例えば職場等への提出などで療養証明書を必要とした場合の対応について、医療機関との調整が必要ではないかなと考えております。保健所は証明書の発行ができなくなるので、その辺りをきちんと整理していただきたいなと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
ここで区切らせていただいて、様々御質問、御意見がありましたので、事務局から順次答えられるところを答えていただけますか。
○江浪結核感染症課長 結核感染症課長でございます。
みなし陽性の取扱いに関しましては、感染拡大した際に、例えば家庭内感染などリンクが明らかで症状があるというような場合に、特に検査なく臨床診断で確定診断とすることが可能であるということをお示ししたものです。その際にも、一方で重症化リスクがある方に関しましては投薬の必要があるというような場合もありますので、そういった場合には検査を受けていただくという取扱いもお示ししていたところでございます。
今回の届出の見直しによって、みなし陽性という考え方、臨床診断そのものによって診断することができるという場合があるということについて何か変更があるというものではないと考えてございますけれども、届出の対象となる方に関しましては、この図にもありますとおり、発熱外来などを受診していただいて検査を受けていただくという流れが引き続き主体になるだろうと考えてございます。
健康フォローアップセンターの役割について、あるいはその充実の必要性について御指摘をいただきました。健康フォローアップセンターに関しましては、感染拡大時における外来の逼迫というものを解消する中で、自己検査、自分で検査をしていただくというものと組合せをしてお示ししたものになります。そういった中で、各自治体においていろいろな取組が行われておりますので、そのよい事例をしっかりと収集して、また、お示ししていくことによって、フォローアップセンターの機能を平時からしっかりと機能させるようにしていきたいと考えてございます。
そのほか、今回の見直しにおきまして、発生届出の対象外の方に関しても従来どおり支援の対象であり、法律に基づく外出制限がかかる方だと整理したいとさせていただいております。今回、大きな見直しの中で、引き続きそういった対応ということで整理をしたものでございますが、自治体における運用などを踏まえまして引き続き検討していくということでございます。
また、周知期間の部分に関しましては、特に陽性者の方の待機期間の見直しにおきまして、これまでもこういった待機期間の見直しのときには即日適用ということで御迷惑をおかけしているところでございますが、今回の大きな制度の見直しに関しましては、十分前に考え方をお示しして、その間に、また、今、緊急対応ということで実施していただいております自治体の対応なども収集しながら、そういった知見を共有しながら進めていきたいと思っております。自治体の皆様方の情報をしっかり聞きながら、国として周知を進めながら進めていくという考え方でいるところでございます。
また、地域の実情を踏まえた対応ということについては、これまでもコロナ対策の中核でございましたので、そういった視点を大事にしていきたいと思っております。
高齢者施設におけるクラスター対策に関しましては、職員の方におけます定期的な検査の実施などによって早期探知が引き続きできるように図っていきたいと考えておりまして今回、対策を重点化していくという中で、最も重症化しやすい集団である高齢者施設などでもしっかりと対策ができるようにしていきたいと思っております。
療養証明書に関しましては、まず職場が療養証明書を求めないということに関しまして、関係省庁を通じて関係団体に幅広く要請を行っております。その上で、職場の方で例えば病休を取るときに証明書を求めるということがないようにということでお願いをしているものであります。その上で、従来から指摘されておりました保険の関係の療養証明書の取扱いに関しましても、その方向性が見えてきたという状況でございます。療養証明書に関しましては、それを必要としない形での協力の依頼というものを引き続き徹底していきたいと考えてございます。
私からは以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
様々なところでありがとうございました。自治体からの意見、状況をしっかり把握してほしい。それから、市民への周知も徹底していただきたいという御意見がありました。
それから、調先生から谷口先生に、インフル定点は人口ベースで指定されているが、結果に差が出てくる理由は何が考えられますかという御質問がありましたので、谷口先生、コメントをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○谷口委員 もともと保健所の管轄人口で設定されているのですけれども、その人口によって1か2かという場合に、1をとる場合と2をとる場合とありますし、2009年にインフルエンザパンデミックが起こった際に、都道府県での精度というのがある程度話題になりまして、都道府県での精度を保つためにはどうしたらいいかというときに、これだけ増やせばいいですよというのが提案されています。そのときに増やしたところと増やしていなかったところがありまして、それが現在の差として出ているということになります。
もう一つ、調先生が御指摘になりました、特にワクチンの効果とかいろいろなものをサーベイランスとして行ってはどうかと。これは欧米で既に行われていますが、限定された地域でいわゆるバーティカル・サーベイランスが行われています。米国はEmerging Infections Programのように特定のところを最初から指定して、そこからだけは詳しいデータをもらって、そこでワクチン・エフェクティブネスとか細かい病原体のサーベイランスをするというふうに限定したサーベイランスを立てています。恐らく今後はそういったバーティカル・サーベイランスとして狭く深いサーベイランスをいろいろなところで立てていくのが必要だと思います。そうしますと負荷が分散されます。HER-SYSのように全国一律にすべてのデータをとるからかなり負荷が大きかったわけですから、その負荷を分散していただくといいのではないかなと思いますし、疫学調査もきちんとイベント・ベースト・サーベイランスでもってクラスターを探知して、その調査という形にしていけばいいのではないかなと思っています。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
もう一つ、ワクチン分科会のほうでも、今、次の予防接種法の改正のところでも議論がありましたが、ワクチンの接種記録と診療記録のデータベースとしての一体化というか、そういったものからのワクチン効果というものを迅速に得られないかという試みといいますか、そういった仕組みをつくっていくことも重要ではないかという議論をされていますということです。
それでは、そろそろ時間ですが、これだけはということがもしあれば伺いますが、いかがでしょうか。
白井先生、どうぞ。
○白井委員 ありがとうございます。白井です。
これだけはというところで、今、Withコロナに向けた新しい段階ということなのですが、この先があると思いますので、これは必ず移行期であるというよう発信していただきたく、今の段階は移行期だと思っています。
それと、このような健康フォローアップセンターや、セルフチェックでキットを使うということになってくると、セルフチェックだけではなくて、オミクロンに対してはセルフケアをしていく病気であると。もちろん、いろいろ医療機関も関わっていただくということも含めて、感染症に羅っている方だけでなく国民の皆さんが自分でコントロールできるような病気になっていくということを示していただく時期だと思いますので、そういった意味で情報発信をお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
山田委員、お願いします。
○山田委員 定性抗原検査キットをOTC化すると書き込まれているのですけれども、それ自体を否定するものではないのですが、これはやはり陽性者を速やかに見つけるということに意義があって、陰性であることの証明にならないということを利用者に徹底させていただかないと、感染症対策として問題になることがあるのではないかと思いますので、その辺のところをよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
今、白井先生、山田先生から御意見ということですが、事務局、こちらは特によろしいですか。御意見ということですが。
○江浪結核感染症課長 結核感染症課長でございます。
今回、Withコロナに向けた対策の切替えということでございますけれども、最終的に一体どういうふうにこの疾患の対策を継続していくのか、これは今、まさに移行期という御指摘がありましたけれども、引き続き検討していくべきものと考えてございます。
検査に関しましては、偽陰性があるということに関しましてこれまでも情報提供をしてきたということでございますし、これからもしっかり情報提供をしていきたいと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
それでは、そろそろこの議題はまとめということにしたいと思いますけれども、今、事務局からは全数届出の見直しというところの説明がありました。それから、谷口先生からは、定点サーベイランスの現状について御報告をいただきました。そして、委員の皆様からはそれぞれ意見、質問等をいただいたということでありますので、様々な委員の先生からの御指摘も踏まえまして、今後の全数届出の見直しに関する省令告示の改正について事務局でさらに進めていただいて、定点サーベイランスの在り方については引き続き研究班と事務局で検討していただいて、この感染症部会にもまたフィードバックいただければと思います。そういったところになります。
続けて議題(2)に参りたいと思います。次がサル痘への対応ということになります。
それでは、事務局からまた資料の説明をお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございます。
時間も押しておりますので、簡潔に説明させていただきます。
資料2を御覧ください。
サル痘についてということで、今回改めてまとめております。
まず、3ページ目を御覧ください。
サル痘の国際的な感染拡大ですけれども、現状、9月に入りまして患者数自体は発生報告が全世界的にも減ってきておりまして、9月4日の時点で5万2000。今、直近のデータを見ますと大体6万前後という状況でございます。
4ページ目になります。
国内におきましては、これまで4例の患者が報告されております。これまで対策としましては、国内対策としてサーベイランス、検査・疫学調査、臨床対応体制など、順次事務連絡を発出しております。こちらは5ページ目を御覧ください。
新しいこととしまして、下線が引いてあるところでございますけれども、国立感染症研究所におきましてリスク評価を順次実施しておりまして、第3報を9月13日付で発出しております。
また、これは前回の感染症部会のときにも一度取り上げましたけれども、サル痘の届出基準と届出様式の改正というものを行っております。それぞれ8月10日と19日に実施しております。
また、治療薬の臨床研究体制でございますが、現在、NCGMに加えまして6都道府県において実施できる体制と合計7都道府県において実施できる体制を確立しております。
次のページを御覧ください。
コミュニティ・アウトリーチ活動でございますが、いわゆる男性と性交渉を行う男性、MSMのコミュニティにおける啓発ということで、コミュニティ自身における啓発活動も活発に行われておりますけれども、そういったところと連携しながら、情報につきましてコミュニティ内で周知いただいたり、厚労省内のツール等もお使いいただいてコミュニティで周知いただいているところでございます。
次からが前回の感染症部会での議論を踏まえた対応ということでございますが、届出基準の見直しにつきまして、先ほどのお話ししたとおり、届出票の症状のところで筋肉痛、咽頭痛、倦怠感、その他の粘膜皮膚病変、肛門直腸痛を加えております。また、届出基準の検体材料に鼻咽頭拭い液や肛門直腸拭い液等を追加しております。
次のページを御覧ください。
8ページ目ですが、LC16ワクチンの曝露前接種、こちらはWHOでの表現が変わっておりまして、Primary Preventive Vaccination、PPVという表現を行っておりますが、こちらにつきましては、現状、サル痘の国内における発生状況のリスクアセスメント、そして、サル痘の臨床の承認、サル痘の予防の効果に関する薬事承認、諸外国の取組状況等を踏まえてさらに検討するということで、特に職業上の曝露のリスクの高い者について、医療従事者、検査担当者、保健所職員、特定のサル痘に対応する医療従事者の方々を想定して、接種対象者は実際にどれぐらいいるのかというような把握を準備段階で行ってきているところでございます。
この状況を踏まえまして、8月2日の時点でKMバイオロジクス社のLC16ワクチンにつきましては、サル痘の予防の適用の追加承認がされておりまして、同時に、職業曝露リスクのある方につきまして把握する予備調査を実施しております。
以上の対応を踏まえまして、サル痘とワクチン接種をどうするかという論点につきまして、今回御議論いただきたいと考えております。
次のページを御覧ください。
こちらは予備的調査の結果になります。実際に特に最初のタイミングでサル痘の患者や疑い例が発生したとして、職業上対応を行うことが想定される方としてどの程度の方がいらっしゃるかということで8月10日に調査を行っております。
各都道府県でサル痘患者の入院体制を確保している医療機関の方の中での実際にサル痘対策に従事される方の数、保健所職員で実際にサル痘対応をされる方、地方衛生研究所で対応される方ということで、こちらにお示ししています1~4の条件に合致する方、特に最初のクラスター、最初の10例のサル痘患者が発生したとき、それがある自治体の一つの保健所の管内でほぼ同時に発生したという仮定で調査を行ないましたところ、機械的に算出いたしますと合計約4万3000人程度が対象になり得るということを予備的調査の結果で把握しております。
この後、KMバイオロジクス社様のほうから、今回のサル痘の追加の適用承認につきまして御報告いただきますけれども、今回、論点としましては、サル痘に対する天然痘ワクチンの有効性安全性の知見に基づきまして、サル痘の感染性や病原性、現在の国内外での流行状況、そして、それらを踏まえたサル痘に対する国内のワクチン接種につきまして御議論いただけますと幸いです。
これらの論点について、サル痘に対する天然痘ワクチンの有効性・安全性につきましては、これからKMバイオロジクス社様のほうから御発表いただきますけれども、1、2、3の論点につきましては、現状の事実と評価につきまして、いずれも参考資料または資料に掲載し抜粋を行っているところでございます。こちらを御参考いただきまして、どのように考えるかということにつきましてコメントをいただきますと幸いでございます。
事務局からは以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、参考資料6です。LC16ワクチンのサル痘に関する有効性・安全性につきましてKMバイオロジクス株式会社の新村参考人から御説明いただきます。よろしくお願いします。
○新村参考人 ありがとうございます。KMバイオロジクス社の新村と申します。よろしくお願いいたします。
次のスライドをお願いします。
本日はこの4点について御報告させていただきます。
2ページ目をお願いいたします。
では、簡単にLC16ワクチンについて御紹介します。
LC16m8株は千葉大の橋爪先生によって開発された国産の弱毒生ワクチンとなります。
製法としましては、このワクチン株を初代のウサギ腎細胞で培養しまして、凍結乾燥した弱毒生ワクチンとなります。
1973年から74年に種痘研究班によりまして約5万例の小児の方に接種されまして、そのうち約1万例において詳細な調査がされまして、高い安全性と有効性が確認されております。
その成績をもって、1980年に痘そうの予防という形で製造販売承認の取得がされております。
2002年以降に成人での安全性と有効性の確認が行われております。
その間、厚生労働科学研究の研究班活動としまして、感染研の先生方を中心に製法の改良であったり、最新の科学水準に基づいた評価を継続してまいっております。
そのような成績を基に、2013年にWHOのほうから、本剤は天然痘がアウトブレイクしたときに使用可能な優れたテロ対抗薬として推奨を受けているようなワクチンでございます。
今回、今年の8月2日にサル痘予防の効能追加という形で承認取得をいただいております。
次のスライドをお願いします。
こちらのスライドは、現在、WHOより出ているワクチン接種につきまして暫定のガイダンスを示しています。世界で使用可能なサル痘に対するワクチンとして、曝露後または曝露前の接種のオプションとしては、下表に示しております3つの製剤が挙げられております。
その中で第2世代と区分されますACAM2000につきましては、継続的な製造はなされておりませんで、米国を中心に各国で天然痘テロ対策用として備蓄品があるのみでございます。また、接種後に心筋・心膜炎が発生しておりまして、安全性上の懸念があるということが知られておりまして、今回のWHOの暫定のガイダンスでもサル痘予防の目的ではより慎重な使用が必要と述べられております。
ということで、実質的に現在世界でサル痘対策に使用可能なサル痘のワクチンとしましては、バーバリアンノルディック社の第3世代のMVAワクチンと弊社のLC16の2製剤のみとなっております。
本剤LC16の特徴としましては、小児から成人まで打てるという接種可能年齢層が広いということと、1回の接種で十分だということ。あと、剤形が凍結乾燥製剤ということで、有効期限を長く維持できる。あと、昔からの天然痘ワクチンと同じ方法で二叉針を使って接種できるという特徴、優位性がございます。
次のスライドをお願いします。
今回のサル痘予防の効能追加に関する背景情報になりますけれども、天然痘が撲滅宣言された1980年以降、1984年までの間にザイール共和国の疫学調査の成績からWHOや米国CDCのほうでは、一般的に痘そうワクチンはサル痘に対しても約85%の発症予防効果があるというような見解が示されております。
あと、厚労省様のほうで作成されております天然痘対応指針の第5版におきましても、今回の痘そうワクチンの元になっておりますワクチニアウイルスを含むオルソポックスウイルス間では免疫の交差性が高いということが示されております。
あと、先ほど御説明しましたバーバリアンノルディック社のMVAワクチンは、先行して米国、カナダ、EUでサル痘に対して承認を得ておりますけれども、こちらはサルを用いた発症防御の成績をもって承認されております。ヒトでサル痘ウイルスに対する中和抗体価の誘導というものを確認した成績は、バーバリアンノルディック社のMVAに関してはございません。その状態でサル痘の効能追加の承認を得ているところです。
一方で、弊社のLC16ワクチンに関しましては、同様にサルでの免疫原性及び発症防御効果、ほかの動物種への防御効果の成績もあります。加えて、ヒトでサル痘ウイルスを含む様々なポックスウイルスに対する中和抗体応答というものを確認した成績もございます。
次のスライドをお願いいたします。
ここからサル痘に対する有効性の成績を御紹介いたします。お手元の資料では6ページになると思います。
こちらはちょっとビジーなスライドで申し訳ないのですけれども、サル痘に対する有効性を示す成績が文献化されておりまして、そちらをまとめた資料になります。
カニクイザルを用いた免疫原性、防御効果に関する論文が3報ございます。それぞれ攻撃用に使ったサル痘ウイルス株とかチャレンジのルートは異なるモデルになりまして、LC16m8が1回接種でサル痘に対する中和抗体応答または細胞性免疫応答を誘導して、第1世代のDryvaxと同様に致死的なサル痘チャレンジに対して防御効果を示すことが確認されております。
サルの試験の3番目に示した文献なのですけれども、こちらのほうではLC16m8が1回接種により誘導された発症予防効果が1年持続するということも示されております。
下の緑枠で示したものが、臨床試験で中和抗体価の応答を確認した論文になります。こちらは後ほど成績をお示しします。
次の7ページ目を御覧ください。
こちらがカニクイザルを用いた免疫原性と防御効果を確認した試験になります。
デザインとしましては、下のほうに書いてありますけれども、LC群14頭、Dryvax群4頭、対照群6頭に、接種60日後に病原性がより高いと言われております中央アフリカ型のZaire-79株を静脈内に投与(チャレンジ)しまして、チャレンジ後45日間観察しております。
免疫原性の結果に関しましては、スライドが小さくて申し訳ないのですけれども、Bのグラフになりますが、ワクチネーション後に第1世代のDryvaxと比べて、若干低いのもののサル痘ウイルスに特異的な細胞性免疫の誘導が確認させております。
右側に行っていただいて、中和抗体応答のグラフなのですけれども、こちらもサル痘ウイルスに対する中和抗体価が確認されております。
最後、下の生存率というグラフなのですけれども、非免疫群におきましては、全身にかさぶたのようなサル痘特有の発痘が見られまして、チャレンジ後12日までに全ての動物が死亡または安楽殺されております。
このような致死的なチャレンジにおきまして、本剤群は、症状は若干出るのは出るのですけれども、12日後までに痂皮(かさぶた)となって症状が治まりまして、全ての動物が観察期間全て生存しております。
次のスライド、8ページ目をお願いいたします。
こちらが米国で行いました臨床成績の成績になります。2004年から2005年に痘そうワクチンを打ったことのない18~34歳の健康成人を対象に、本剤の安全性と免疫原性を米国の備蓄ワクチンでありますDryvaxと比較するランダム化の二重盲検比較試験を行っています。
免疫原性に関しましては、本剤を接種した方は125名、男性が81名、女性が44名なのですけれども、こちらを評価した結果、痘そうワクチンに特徴的な接種部位に跡がつくことで免疫が獲得されたかどうかを確認する指標である“善感反応”というものがあるのですけれども、こちらは100%善感したということが確認されております。
本剤を接種した方から無作為に26名選びまして、サル痘ウイルスに対する中和抗体価を確認して、中和抗体応答の誘導というのが確認できております。
そのほか、この試験の中では、痘そうウイルス、あとは様々なワクチニアウイルス株に対する中和抗体の誘導というのも確認しております。
では、ここからはLC16ワクチンの安全性について御紹介させていただきます。
安全性に関しましては、国内に関しましては臨床研究と使用成績調査というもの、あと、米国で実施しました第1/2相臨床試験というもの、こちらが成人の試験になります。あと、小児に関しましては先ほど御紹介しました種痘研究班の成績がございます。
従来の痘そうワクチンで言われておりました心血管系の疾患とか脳炎・脳症、皮膚病変、進行性のワクチニアのような重篤な有害事象、あと、死亡というのは全ての臨床研究、臨床試験において認められておりません。
本日は、時間の都合で、この中の幾つかを次のスライドで御紹介させていただきます。
こちらが国内で行われた臨床研究の成績になります。
デザインとしましては、18歳から55歳の皮膚病変のない健康な自衛隊員の皆様を対象に、本剤の安全性を評価する臨床研究が実施されております。3,221名の方がワクチンを接種されまして、そのうち47.5%、1,529名が初めて痘そうワクチンを接種された方です。そのうち98%が男性というような成績になります。
善感率は、初種痘者で94.4%、再接種者で86.6%というような成績が得られております。
安全性に関しましては、死亡等の重篤な有害事象は報告されておりませんで、主な有害事象、副反応としましては、腋窩リンパ節の腫脹、微熱、接種部位の掻痒感となっております。
その中で、重症と疑われる症例が2症例報告されておりまして、一症例が26歳の男性で初めて痘そうワクチンを打たれた方になります。こちらはアレルギー性の皮膚炎と診断されておりまして、念のために接種20日に入院したと報告されております。もう一人の方が29歳の男性、こちらも初めて痘そうワクチンを打たれた方で、接種後10日目に発疹が見られておりまして、多形紅斑と診断されています。いずれの被験者様も回復されております。
あと、米国のワクチンのDryvax、ACAM2000では心筋・心膜炎のリスクがございますので、LC16m8に関しましてもそういったリスクがないかということを確認しておりまして、接種中、心電図の異常とか心疾患の症状というのは報告されておりません。
さらに、無症候性の心筋炎の評価を行うために、血清中のトロポニンTの値も測定しましたが、いずれも異常は認められておりませんでした。
加えまして、国内の成人で行いました使用成績調査、こちらは2005年から2010年に19歳から52歳の自衛隊員の方に御協力いただきまして行っております。
男性が261名で、女性が7名の試験になります。
善感率は初回接種者で94.4%となります。
あと、安全性に関しましては、全268名のうち、有害事象を発現した割合は初種痘者で27%、再接種者で5.6%となっております。
調査期間中に心疾患の異常や脳炎、衛星病変、進行性ワクチニア等の重篤な有害事象、死亡というのは認められておりません。
こちらも主な副反応としましては、リンパ節の腫脹と接種部位の紅斑等が報告されております。
皮膚合併症の中で1例だけ重篤な副反応の方が発現しておりまして、こちらもアレルギー性皮膚炎と診断されております。こちらも接種後20日の時点で安静にするために入院という処置がとられております。このアレルギー性皮膚炎は対症療法なしで回復しております。生検の結果、皮膚病変にウイルスがいなかったということで、種痘性湿疹の可能性は否定されております。ワクチンの成分でゼラチンが含まれておりますので、恐らくゼラチンに対するアレルギー反応ではないかということで考察がされております。
最後、まとめになります。
LC16m8のサル痘予防の効能効果の追加に関する考察としまして、有効性に関しましては、サル痘への有効性(免疫原性)の評価というのは、米国で行いましたフェーズ1/2試験で確認されております。
あと、米国と日本人で実施されました臨床研究において、善感反応率に顕著な違いは認められませんでした。また、ワクチニアウイルスに対する中和抗体応答の誘導においては、米国で行ったものと日本で行ったもので明確な差というのは認められませんでした。これによりまして、LC16m8ワクチンの免疫原性に明らかな人種間差はないだろうということで、日本人に対しても同様にサル痘ウイルスに対する交差防御免疫を誘導することが期待できると考察しております。
安全性につきましては、ワクチン接種をした小児、成人におきまして、従来の痘そうワクチンで問題となっていたような重篤な有害事象は起こっておりません。つきましては、小児を含めた安全性というのは認容可能と考えております。
今回、サル痘の予防の適応追加に伴いまして、本剤の安全性プロファイルに変更はないと考えております。
一方で、因果関係が否定できないような重症の皮膚症状(アレルギー性皮膚炎、多形紅斑)というのが、少ない人数ですけれども確認されておりますので、本剤の重要な潜在的リスクとして今後も情報収集が必要と考えております。
以上で御報告を終わります。
○脇田座長 ありがとうございました。
それでは、今、事務局、新村参考人から御説明をいただきました。
今日はサル痘の件に関して結論を得るということではないのですけれども、皆様から広く御意見をいただければと考えております。皆様から幅広い御意見をいただくということで、ここのところやっていますとおり、こちらから御指名させていただきますので、順番に委員の先生方から簡潔に発言していただくということでまた進めてまいりたいと思いますので、前回までと同様にあいうえお順で、今村先生からスタートしますが、よろしくお願いします。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
曝露前接種については、国外における流行状況、国内の発生状況を考慮して決めていく必要があると思います。
ハイリスク層である男性同性愛者のワクチン接種においては、渡航者や濃厚接触者からの発生に限定されている間は、パートナーなどの濃厚接触者への曝露後予防でも対応可能かもしれません。しかし、渡航歴や接触歴がない複数の感染者が出てきた場合には、より広く希望者に曝露前接種をすることが必要になると考えます。
医療関係者への曝露前接種については、限定的な発生の期間は初期段階で診療に関わる接触リスクが高い医療関係者に限ることもできます。そして、渡航歴や接触歴のない、複数の感染者が出てきた場合には、広げるべき診療範囲に合わせて、曝露前接種の対象者を拡大することを検討すべきだと思います。
ハイリスク層の男性同性愛者においては、2018年に大規模なA型肝炎の流行がありました。また、梅毒については今も流行が続いています。さらに、サル痘の潜伏期間の長さ、非典型的なことも多いことなど、流行が拡大し始めた場合の制御の難しさはしっかりと念頭に置かなければなりません。
いわゆるハッテン場と呼ばれるような施設や場所の利用者から感染が発生し始めると、濃厚接触者を特定することが非常に難しくなってきます。したがって、このような発生が見え始めたときは、ハイリスクの接種希望者への曝露前接種を集中的に行うタイミングであると思います。また、そのときには、同時に対象層への啓発や検査診療体制を強化、拡大することも重要だと考えております。
こちらからは以上です。
○脇田座長 今村委員、ありがとうございました。
続きまして、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 よろしくお願いいたします。
論点3つについてですけれども、まず、感染性病原性については、感染性という言い方なのだと思いますが、やはりまだよく分かっていないなと思っています。例えばこれまでの研究で、要は無症状だけれども直腸にウイルスを持っていらっしゃる方の存在が明らかになってきたり、それがどう感染性と関係しているかはまた別の話としてですとか、医療従事者、医療関係者の感染例も少数ながらあります。その実態がよく分からないなと思っています。リネンを介したものと文脈から読まれていますが、もう少し細かく見ていかないと分からないなと思っておりまして、実際には感染防止対策はそうした様々な形の粒子を含むものも含んだものを対応せざるを得ないなと思っていまして、分かりやすく言えばN95をつけて対応しているというところがあります。
2点目ですけれども、国内外の流行状況に関しては資料に書いてあるとおりであります。幸い、欧州や北米での状況はピークを越えたように見えるのはいいニュースだと思うのですが、一方で、日本の状況を考えますと、海外から日本への渡航というのは条件がかなり緩和されていきます。海外の事例もそうですし、国内の事例でもそうですが、海外への渡航に関連して接触があって、恐らくそこで感染を獲得されたであろうという方が非常に目立つことを考えますと、国内での感染の拡大のリスクに関しては当面は変わらないというか、むしろ高くなると思って現場では見ております。
ワクチンに関しましては、まず曝露前の接種に関しては、現状ですとそこに関わる医療従事者、行政の方々で検査に関わる方々、あるいは医療にも関連して例えばリネンを使うような業者の方々といったところに、まずは希望者に届くという形にしていただければと思っています。どこまで広げるかというところはありますが、海外からの渡航に関連して、日本全国どこででも事例は生じると思いますので、地域性という観点では私は広めに考えてもいいのではないかと思っています。
あとは、一般の市民の方々に関しては、確かに現状ですと全ての4つの事例に日本はありますけれども、感染経路は分かっていますし、濃厚接触者の検出もできているところですので、配慮を行うということになるのだと思っています。ただ、感染が拡大した段階、危なくなってきた段階では、やはり対象を広げることは検討せざるを得ないのかなと。思っております。
あとは、個人的には最初の4例が出た後の事例が途切れているのを気にしておりまして、それが本当に感染の動向として落ち着いているのを見ているのか、あるいは軽症例がすごく多いですので、これは数週間我慢していれば治る病気でもありますので、実際に陽性者、持っていらっしゃる方がいても同定されていない可能性もあるかもしれないと思って注意はしております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 今、お二人の先生からお話があった中にほとんど網羅されていると思いますが、現時点で幸いにこの病気は、病気としての重篤度がそう高くないように判断できるということ、そして、幸いに我が国で非常に優れたワクチンが使用可能な状況であるということ、これは非常に心強いことです。したがって、接触あるいは感染の可能性のある限定された対象に、希望者に対してばく露前の接種を行うという限定的な対応で現状ではよいのではないかと私は思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、越田委員、お願いします。
○越田委員 越田です。
まず、ワクチンについてです。曝露後のワクチン接種については、対象者が明確で臨床研究の枠組みの中で進められているため、制度設計そのものに全く異存はございません。ただし、曝露前の接種に関しましては、サル痘の発症予防にどの程度有効であるかこれから確立されていくのではないかと思われますので、感染者と生活を共にした濃厚接触者や職務の上で曝露があった医療従事者にリスクとベネフィットの情報を提供して、接種ありきではなくて、本人の希望を聞いた上で接種の機会を提供すべきと現時点では考えます。
曝露前接種については、我が国におけるサル痘そのものの疾患としての重症度と発症頻度を考慮した上で、職種や生活スタイルを特定して、一律にプリベンティブな接種を推奨する必要はないと考えます。しかしながら、今後、国内の爆発的な感染増加があった場合に備えて、接種の準備は整えておくことが望ましいと思っております。その際には、患者の移送、搬送に救急隊が関わる可能性があると思いますので、救急隊員なども接種対象に入れるというようなことを考えては如何かと思います。
それから、この疾患は子供への感染も起こり得るのではないかと思いますが、皮膚の感染ですので、周囲の人々も皮疹に気づくことがあると思います。このことが妙な偏見あるいはいじめの対象にならないような対策も必要ではないかと考えております。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
曝露前ワクチンにつきまして、先ほど先生方がおっしゃったように、重要性というか必然性ということについては、今、急ぐものではないなと思いました。
また、希望する方のために準備をしておいて、接種するものがあるというような状況は確保しておくべきだと思いますし、試算で保健所の職員もとありましたけれども、全国に保健所は470あって、1人か2人算定していただいたのかと思いますが、もし検体搬送とか積極的疫学調査で患者さんに接するというような場合が想定されたとしても、恐らく疑う方に対応するということになると思いますので、きちんとPPEをつけてということでも限定的に可能かなと思いますので、一律政策として曝露前接種を今進めるという段階ではないかなと思いました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
続いて、調委員、お願いします。
○調委員 調です。よろしくお願いします。
ワクチンの安全性については非常によく理解しました。
曝露前接種ですけれども、やはりリスクの順番で言うと医療機関で患者を実際に診られる方であったり、検体の採取をする方が一番リスクが高いのかなと思っていまして、その次が保健所。検査は、うちの職員などにも聞いたのですけれども、それほど大きなリスクはないのではないかと。もちろん検査は行いますけれども、そういうリスクについてはあまり考えていないと。例えばSFTSなどはもっとはるかにリスクが高いものを普通に扱っているので、それはワクチンの安全性というところとバランスを考えて接種を受けるかどうかということになると思うのですけれども、やはり希望によって受けるということですので、定期接種と違って、恐らく健康被害はないと思うのですけれども、何かあったときの補償があるのかないのかということが一つ気になっていました。
それから、NCGMを中心として、幾つかの医療機関で臨床研究という形でサル痘ワクチンの接種が可能になっていると思うのですけれども、現状どれぐらいの方が受けられているのかという情報を少しいただけたらなと思いました。
それから、ウイルス学の権威がお二人もおられるわけですけれども、ポリオのように復帰変異株というのが果たしてできるのかどうかということが若干気にはなるのですが、ゲノム解析などからそういうことが分かるのか、DNAウイルスなので大丈夫なのかなと思っていたのですが、細胞側のメカニズムによって、今回の西アフリカの変異株、今流行している株というのはかなりの変異が入っているということですので、その辺り、安全性に関してどうかということを若干気にはしております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
菅原委員、お願いします。
○菅原委員 私も今まで先生方がおっしゃられていたこととほぼ同じです。
曝露前接種ということなのですけれども、現時点では、医療従事者に関しましても、それほど積極的にワクチン接種を推進するという段階ではないのかなと思います。しかし、あくまでも流行状況に応じて、きちんと情報提供をしながら希望者に接種していくというのは異論のないところだと思います。ただ、そういう時点になったときに、優先順位などということが考えられるのではないかと思います。
それと、男性同士の性交渉があるというようなハイリスクグループに関しましては、やはりワクチン接種を積極的に行っていくこともあってもいいのかなと考えますが、いずれにしても、このようなコミュニティの方々に、今までもなさっているとは思うのですが、情報提供や医療へのアクセスなどをよりスムーズに行えるようさらなる点検や見直しなどを改めて行っていただければと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
続いて、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 谷口です。
3つの項目に従ってお話し申し上げます。
まず、感染性、重症度は少なくともこれまでの状況ではいずれも低いと思いますし、どうも接触感染がメインで広がっているようなところがありますので、今後、これが飛沫あるいはエアロゾル感染で広がるようになった場合に非常に注意すべきではないかと考えます。現状ではこの流行のリスクというのは限定的であって、今申し上げたように飛沫あるいはエアロゾルでMSM以外のところに広がり始めたところが非常にクリティカルポイントだろうと思います。
それに際して、ワクチンですけれども、現状ではまずは限定的な流行ですので、ポストpost-exposure prophylaxis、今はちょっと言い方が変わりましたが、これでいくべきだろうと思います。流行状況に応じましてやはりpre-exposureも考えていくべきだろうと思いますし、同時に医療関係者も考えていくべきだろうとは思いますが、ただ、コロナの初期もそうでしたけれども、きちんとしたPPEをつけることによって防御は可能ということをきちんと理解した上で、そのインディケーションを考えていけばよいと思います。
ただ、ワクチンを受けるということについて、個人的にはいい機会ではあるかなという気はいたします。1点だけ懸念するのは、先ほどのKMバイオロジクスさんのお話のスライドの10枚目だったと思うのですが、海外の第1層、第2層のときに副反応が全身性が74%と書いてあって、ここだけいやにほかのところと違うような気がしまして、こんなに頻度が違うのは、自分でも原文を読んでみないといけないなと思っているのですが、もしも今御存じだったら、何でここだけこんなに高いのかということを教えていただければと思います。
以上です。
○脇田座長 後ほどそこは伺いたいと思います。
戸部委員、お願いします。
○戸部委員 戸部です。
医療関係者について、希望者について曝露前の接種機会を提供するという方針は賛成ですが、MSMなどのハイリスクグループには接種機会を与えなくてよいというところはやや疑問で、ハイリスクグループというのは、感染リスクの点では医療関係者と同じか、むしろそれ以上に高いはずですし、感染経路的にも上流に位置すると思いますので、医療関係者に接種機会を与えるのであれば、ハイリスクグループにはなおさら接種機会を与えるべきで、このグループにも希望すれば接種できるような形で接種機会を提供すべきだと考えます。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
続いて、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。発言させていただきます。
まず、サル痘は感染症でございますので、基本として対処策としてワクチンの準備はしておくべきであると私は考えております。有効性と安全性のデータは非常に分かりやすかったので、感染研が出していただいているリスクアセスメントも参考にして、どのような対象に今後どうしていくかは今後課題だと考えています。
私の立場からは、現場での運用ということで何点かコメントをさせていただきたいと思います。
一つは、このワクチンは容器の中に非常に多人数分が入っていると思うのです。そういたしますと、曝露前免疫にしても曝露後免疫にしても、運用を考える上で、そのときの流行のフェーズとか、どの対象の方に打つかということにもよりますが、なかなかオペレーションが難しいのではないかなと。事前にいろいろ考えておかないと、せっかくのワクチンを無駄にしたり、準備はしたけれども有効に機能しないとか、そんなことが起こらないようにするべきではないかなと思っています。
2点目は、生ワクチンですし、本ワクチンは免疫の低下した宿主では副反応の程度や頻度が高い可能性があって、注意が必要です。そして、恐らくこのアクチンが開発された頃に比べると、たくさんの分子標的製剤をはじめ、いろいろな免疫抑制薬、免疫調整薬が出てきていて、様々な基礎疾患にたくさん使われています。これはほかのワクチンでも私たちは今接種の現場で時々戸惑うこともあるのですが、特に曝露御免疫などはその方の発症のリスクと天秤にかけてワクチンを打ったほうがいいのか、打たないほうがいいのかということを判断しなければならないと思いますから、過去のデータだけでは判断し切れないことが出てくると思いますので、それに対しても備えておく必要があると考えています。
3点目は、世代です。40代を境に天然痘ワクチンの接種歴のある方とない方に分かれると思います。本ワクチンはかなり長い間中和抗体が維持されるということで、そのpre-exposureにしてもpost-exposureにしても、世代でワクチンの推奨というのを変えるのか、変えないのか、そういった基礎データも集めておくことが必要かなと思っております。
最後、4点目でございます。善感の確認に関してです。私は天然痘のワクチンを定期接種として複数回受けた世代で、私の母子手帳にも善感の確認というのが書いてございますが、当時は恐らく5日とか1週間とかでやっていたのだと思いますが、今は1週間とか10日でやっているところが多いと思うのですが、このワクチンを実際に接種するようになったとき、わざわざ善感の確認をする必要があるのか、必要がないのか、その辺りも細かいところですが、かなり手間も、接種された方の戸惑いもどうしたらいいのか、例えば接種会場が限られていると、遠くに接種に行かれる方もいらっしゃるわけで、そんなことも考えておかなければならないのではないかなと思っておりました。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、西山委員、お願いします。
○西山委員 西山です。
今回なのですが、男性間での性交渉での感染ということで、今までとかなり違う特異性がありますので、そういった方に接種の機会を与えたほうがいいのかなとは思うのですけれども、今、情報化社会の中で、こういう人たちが感染しやすいというので、それ以外の曝露で感染された方もそういうふうな目で見られるみたいなことが出てきそうな部分もありますので、当然、ウイルスなので変異していくこともあるとは思うのですけれども、そこら辺の啓蒙、啓発というのは定期的にやっていったほうがいいのかなと思っています。
あと、医療従事者の方の曝露前接種につきましては、現在でも国内でも4症例しかありませんし、潜在の症例がどの程度あるか分からない部分もあるのですけれども、そこまで積極的にやるべきなのかなというのは個人的にちょっと疑問かなと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、森田委員、お願いします。
○森田委員 森田です。
私が付け加えることは何もないのですけれども、確認のために簡潔にコメントさせていただきます。
まず、感染性、病原性については高くない、低いと現状では考えています。そういうこともあって、我が国における流行リスクについても高くはないと思われます。
しかし、先ほど調先生がおっしゃったように、ウイルスの変異の可能性ですけれども、これまでの知見から考えると、ポックスウイルスがどんどん変化していく、病原性も変わるということは考えにくいのですが、やはり新型コロナの想定外のことが多々起こっておりますので、これは諸外国の状況を注視して迅速に対応していくということが必要だと思っております。
それゆえに、3番目のワクチンの問題ですけれども、これは十分準備されているとは思うのですが、私の意見としては、少なくとも医療従事者及び治験等の検査される方々で希望される方々にはワクチンを打てるような状況にしてほしいと思っています。
また、MSMのハイリスクグループのポピュレーションですけれども、これについては、必要なときにワクチン接種ができるような、対象者の把握は本当に難しいと思うのですが、厚生労働省には頑張っていただきたいと思っています。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続いて、山田委員、お願いします。
○山田委員 あいうえお順だと皆さんからほとんどのことが出てしまって困っているのですけれども、基本的に世界で数が減りつつあるというのは、恐らくアウトリーチの結果ではないかなとひとつ思います。
それから、以前、アメリカでプレーリードッグを介してサル痘がアウトブレイクしたことがあるのですけれども、その場合には、一般のポピュレーションに入っていたにもかかわらず、その後、持続的な流行は起きていません。そういうことを考えると、今回、特定のポピュレーション、MSMに限られた感染だと思われますので、これが一般のポピュレーションに入ってそのまま持続的に感染が広がるおそれというのは極めて少ないと私自身は考えています。したがいまして、今後、MSMの方たちにやることはアウトリーチを強化するということだろうと考えています。
一方、医療従事者等をどう守るかという点ですけれども、先ほど中野先生がおっしゃったように、1976年以降は種痘はされていませんけれども、それ以前は種痘が行われていました。したがって、そういうポピュレーションの方たちは、3回とか受けていれば、日本の古いデータですけれども、28年後に抗体価を調べたところ、八十何%の人、しかも、種痘はやめてから28年度ですが、そのときに80代とかそのぐらいの年寄りでも80%近い人たちが有効な抗体を持っていたというようなデータもあるようですので、76年以前に種等を受けたポピュレーションであれば十分感染防御するのではないかと私自身は期待しています。したがいまして、
もし非常に少ないケースで日本国内でクラスターが出るようなときには、そういう医療従事者、年代的に種痘を受けたポピュレーション、そういう人たちに働いていただく。これは以前も申し上げたと思うのですけれども、そういう体制を整えておけば、改めてワクチンを接種するまでのことはないのではないかと思います。
ただ、有効で安全なワクチンが手元にあるということは非常に心強いので、サル痘のみならず、バイオテロで天然痘が勃発したようなときにでも、速やかに接種体制ができるようなシミュレーションはしておく必要があると思っています。
以上です。ありがとうございました。
○脇田座長 ありがとうございます。
続いて、成田参考人、お願いします。
○成田参考人 私からは曝露前接種とハイリスク者対応について申し述べたいと思います。
曝露前接種につきましては、保健所職員や医療従事者など、業務従事の中でサル痘患者やサル痘が疑われる方と接触の可能性がある方への接種が検討されていると認識しております。このうち、保健所職員につきましては、業務内容からして感染のリスクはそれほど高くない可能性もございますので、業務上のリスクというものをしっかりと評価していただいた上で、慎重に接種対象を選定していただくようお願いしたいと考えております。
次に、今回の流行で報告されている方々の多くはMSMの方々でございまして、サル痘の感染者が都内で拡大した場合に、こうした方々の中からワクチン接種を希望する方が増加してくるものと考えられます。こうした方々へのワクチン推進につきまして、今後どのように進めていくのか、ルールをしっかりと定めていただいて、対象者の方々に対するルール説明と周知が大変重要になってくるのではないかと考えております。
また、勉強不足で恐縮なのですけれども、今回御説明いただきましたLC16ワクチンにつきましては、HIV陽性の方についての接種の適否というのはどうなっているのか、併せてお知らせいただけますと幸いです。
以上となります。
○脇田座長 ありがとうございました。
そうしましたら、最後に私からということになりますが、やはりあいうえお順だとあまり言うことはないのですけれども、今、流行状況についてなのですが、ハイリスクのグループというのは非常に限定された形になっていますので、そこで流行状況がどうなっているか、現在、8月上旬以降発生がないわけですけれども、これが本当になくなっているのか、それとも潜行しているのかというところが非常に気になっているところなので、しばらくはそこの状況をしっかりと把握できる体制をしっかりしていく。
それに基づいて、今後、発生がないということになれば、このワクチンの接種自体も非常に限定的ということになるでしょうし、そこでさらに医療への負荷があるようであれば、医療従事者への接種はリスクベースで検討していただくということで問題ないだろうと考えています。
もう一つ、あまりこれを言う機会がないので今日言っておきますけれども、せっかくこういった有効なワクチンがある、世界で2つしかないというワクチンがあるということですので、感染症部会とは違うマターかもしれませんが、ぜひこのLC16のワクチンを国際展開できるような形に持っていっていただければ、我が国がワクチンに対する国際貢献をできるいい機会ではないかなと思っておりますので、ぜひそちらも検討していただければありがたいと考えます。
ありがとうございました。私のコメントです。
それでは、様々意見をいただきましてありがとうございました。ただ、何点か御質問という点もありました。今、メモを全部すぐにチェックできないのですけれども、事務局の方はチェックしていただいていると思いますので、質問とか、あるいは意見に対するレスポンスが必要なものに関しては、事務局から何かいただけますでしょうか。
○杉原エイズ対策室長 事務局でございます。
どうもありがとうございます。皆様からいただきました御意見は非常に参考になるものでして、こちらを参考にさせていただきながら、今後どのような形を取っていくのかということをまた御相談させていただければと思います。
いただきました御意見の中で、やはり非常に重要だと考えているのは、先ほど中野委員からも御指摘ございましたが、接種に関して、このワクチンは一バイエルあたり最低50人接種できるということで、もし接種を行う場合には、接種体制をつくるときに、どのように行うかというのが非常に通常のワクチンと異なるということもございますので、そういったことも含めて、実際に行う場合のシミュレーションというお話もございましたが、検討を進めたいと考えているところでございます。
何点か御質問をいただいた点で、調委員から御質問いただきました補償につきましては、こちらはサル痘の薬事承認を受けているということで、いわゆるPMDAの補償はあるということになります。一方で、予防接種法に基づくような救済というのは、もちろん任意での接種になりますので、対象外になるということでございます。
また、NCGMでの曝露への接種の状況ですけれども、こちらは50名をリクルートすることによって、サル痘ウイルスに対する中和活性を測定するという研究でございまして、こちらはリクルーティングも終わって、既に50名が接種を完了している状況でございます。
事務局から恐らく回答に関しては以上でして、もう一件、先ほどの谷口委員からの御質問に関しましてKMバイオロジクスさんのほうからコメントいただけますでしょうか。
○脇田座長 全身性の反応が74%に見られたと。ここがほかの研究と比べると目立つといったコメント、御指摘があったところだと思いますが、発熱等と書いてあったのかな。そこの部分について、もし分かる範囲で情報をいただければということです。よろしくお願いします。
○新村参考人 ありがとうございます。KMバイオロジクスの新村です。
米国で行いましたフェーズ1/2試験で、少なくとも局所反応とか全身反応が見られる方が国内で行いました臨床研究と比べてちょっと高めに出ている背景なのですけれども、米国の試験は臨床試験ということですのでより細かく観察をしたというのが一つと、出ている局所反応の種類としましては、腋窩リンパ節の腫脹と発疹ということで、出ている種類としては違わないのかなと。
あと、発現割合が高くなっている背景なのですけれども、実は国内の種痘ワクチン接種の場合は二叉針を使って、初めて接種される方は5回圧刺するという方法を今まではとっていて、米国の治験の場合は、WHOや米国でも推奨している15回圧刺するという方法で接種を行いましたので、この接種時の圧刺の回数(punctureする数)が違う点がが少し影響したのではないかと考察しているところです。
○脇田座長 ありがとうございました。そうすると、日本での接種の方法というところにも少しつながってくるかなと感じました。
あと、今、事務局からお答えがあったかもしれませんが、よく聞き取れなかったところがあって、要は様々な標的薬等を使っている方で免疫が低下している方に対する注意点というのはいかがでしょうかという御質問があったと思うのですけれども、その点はいかがですか。これはKMバイオロジクスのほうからもし情報があればと思います。
○新村参考人 ありがとうございます。
弱毒生ワクチンになりますので、免疫抑制剤とか免疫機能が低下した方というのは基本的に禁忌となっております。先ほど御質問いただきましたHIV陽性者の方につきましても、臨床試験でこのような方を対象にしたデータというのはとっておりませんので、人でのデータはないというところになりますので、やはり基本的には接種は禁忌ということになります。
一方、動物の成績にはなるのですけれども、SCIDマウスとか、あとは人為的に特異抗体処理でCD4陽性細胞を一時的に枯渇させたサルにLC16m8のワクチンを打って評価したとき、重篤な反応は生じておらず、局所反応も特異抗体を投与していない正常群と比べてもそれほど大差がないというようなバックグラウンドのデータはあります。ただ、それをもってHIV陽性者に接種ができるかというところまでは保証ができないという状況でございます。
○脇田座長 ありがとうございます。
治療がされていない方で、CD4が本当に低下している方ではなくて、多くは多分治療が入っている方で、CD4カウントもある程度はあるような方に対してどうするかという問題が出ると思うのですけれども、今村先生、そのポイントでしょうか。
○今村委員 それです。HIV感染者であっても一般的な生ワクチンを打つことはあるのですけれども、CD4数が高いほど免疫機能が正常化してくるので、CD4数200/μlが接種可能とする目安となっています。
例えば当院はHIV感染症を診ているエイズ中核拠点病院なので、1,500人ぐらいの陽性者が通われていて、その多くがMSMの方なのです。そういう人がHIV陽性者というだけで対象にならないということであれば、通院しているMSMの多くがサル痘のワクチン接種対象から除外されてしまいます。彼らはハイリスクであるが、通院しているため実際にはコントロールしやすい対象者であるのに、接種対象から除外されてしまうのです。例えば米国におけるHIV罹患率は日本よりも遙かに高く、サル痘の感染者にも多くのHIV感染者が含まれているので、そのようなHIV感染症のMSMへの生ワクチン接種をどのように扱ったかという情報を集めたほうがいいのかなと思いました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
そのほか、大丈夫ですか。
ありがとうございました。
それでは、今、様々な御意見をいただきました。どうもありがとうございました。
サル痘に関する論点に関しては、引き続き事務局で検討を進めていただくということでお願いしたいと思います。
それでは、さらに何か皆様からなければ、議事は以上になりますが、いかがでしょうか。
どうもありがとうございました。
それでは、事務局にお返しいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 本日は、どうも皆様、長時間に及びまして御議論いただきましてありがとうございました。また、非常に貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。皆様の御意見を踏まえまして、これから進めさせていただきたいと思います。
この後、当方のほうで記者ブリーフィングとして議事の概要の説明をさせていただく予定としております。
また、次回につきましては、 事務局から改めて御連絡させていただきます。
本日は、どうもお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。