第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会・第66回厚生科学審議会感染症部会(合同開催) 議事録

健康局 結核感染症課

日時

令和4年9月5日(月)13:00~15:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)
 

議題

第1部:感染症部会(単独開催)
現行の感染症法等の見直し等について(案)
第2部:合同開催
季節性インフルエンザワクチンについて

議事

議事内容
○堤結核感染症課長補佐 それでは、ただいまから第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び第66回感染症部会の合同会議を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
私、本日、議事進行を務めさせていただきます結核感染症課の堤と申します。よろしくお願いいたします。
本日の議事は公開となります。本合同会議としては初めての試みではございますが、議事の様子をYou Tubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYou Tube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
本日は、新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案しまして、ウェブ会議で開催することとしております。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される方は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントをしていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが発生しますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じましたら、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は2部構成になっておりまして、第1部は感染症部会単独開催、第2部は予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会との合同開催となります。
初めに、第1部、第2部、両方御出席いただく感染症部会の委員から御報告いたします。御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえまして、当方から五十音順にお名前を申し上げますので、一言お返事いただければと思います。
今村委員。
岩本委員。
大曲委員。
賀来委員。
釜萢委員。
越田委員。
白井委員。
菅原委員。
谷口委員。
戸部委員。
中野委員。
中山委員。
森田委員。
山田委員。
脇田委員。
御協力ありがとうございます。
なお、味澤委員、調委員、西山委員から御欠席の御連絡を受けております。
また、オブザーバーとして、全国知事会より伊藤様、全国保健所長会より内田様、全国衛生部長会より中澤様、東京都福祉保健局より成田様の御参加をいただいております。
次に、基本方針部会の委員を御報告いたします。基本方針部会との合同開催は第2部の議題2からになりますので、ここではお名前のみ読み上げさせていただきます。
五十音順に、伊藤委員、釜萢委員、川俣委員、白井委員、中野委員、中山委員、宮入委員、脇田委員でございます。なお、池田委員、磯部委員、坂元委員から御欠席の御連絡を受けております。
現在、感染症部会委員18名のうち15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議のうち、感染症部会につきましては成立したことを御報告いたします。基本方針部会との合同会議につきましては、開始時に改めて出席状況を御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○堤結核感染症課長補佐 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
退室が確認されましたので、それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第及び委員名簿、座席表、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2、手持ち資料としまして、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策及び概要の2つとなります。不備等ございましたら事務局までお申し出ください。
それでは、ここからの進行は脇田座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田座長 承知しました。それでは、皆さん、今日もよろしくお願いいたします。
早速ですが、議事に入ってまいりたいと思います。もう既に各委員の先生には事前に事務局から資料の送付、それから説明もいただいていると思いますが、事務局から必要な部分について簡潔に御説明いただければと思います。議題1からお願いいたします。
○江浪結核感染症課長 それでは、資料1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。資料1でございますけれども、「現行の感染症法等の見直し等について」ということでございます。
資料の右下のページですと2ページ目に、前回8月1日での議論の概要を、その後3ページにわたって掲載してございます。前回いただきました御意見を議論のテーマごとに整理しておりまして、御意見のうち、御意見を2つ、法改正が必要な事項という関係のものと、それ以外の御意見ということで整理をさせていただいてございます。2ページの最初の頭の四角の中に書いてありますとおり、法改正が必要な事項に関しましては、この資料の5ページ以降に記載した対応の具体策のとおり対応していきたいと考えてございます。また、その他の事項に関しましては、引き続き検討していきたいということで考えてございます。
資料の5ページから「課題・対応の方向性・対応の具体策」ということで資料をお配りしてございます。これは、前回御議論いただきましたテーマごとに課題と対応の方向性を整理したものに、対応の具体策を今回追加したものということになります。
次の6ページ目を見ていただきますと、感染症に対応する医療機関の抜本的拡充でございまして、課題、それに対して、次の7ページ目に対応の方向性。ここまで前回御議論いただいたところでございますけれども、前回の御議論も踏まえまして、8ページ目に対応の具体策ということで対応の内容を書いているということでございます。
前回の御議論の中で、8ページ目の下に点線で囲んだ四角がございますけれども、感染症発生・まん延時の医療提供体制の確保に関しまして、協定を結ぶ形でやっていきたいということの補足説明をつけさせていただいております。
その上で、対応の具体策ということで、平時からの計画的な保健・医療提供体制の整備に関しましては、平時に予防計画を策定するということ。また、感染症発生・まん延時における確実な医療の提供ということに関しましては、協定を中心とした対応をやっていってはどうかということを具体策として挙げさせていただいてございます。
以降、9ページ目は自宅・宿泊療養者への医療提供体制の確保ということでございまして、右下のページで言いますと11ページ目に対応の具体策を記載させていただいております。これに関しましても、平時には予防計画を策定するという中で対応していった上で、協定の締結ということなどにより対応していきたいという内容でまとめてございます。
12ページ目は(3)広域での医療人材の派遣等の調整権限等ということで、対応の具体策のところでございますけれども、DMATの仕組みの整備ということなどを記載してございます。
13ページ目からは保健所の体制とその業務に関する都道府県の権限・関与の強化等ということで、14ページ目、対応の具体策でございますけれども、予防計画の策定などで対応していきたいということをまとめさせていただいております。
15ページ目は検査体制の強化ということでございますけれども、16ページ目に対応の具体策がございまして、こちらに関しましても予防計画などを中心に対応していきたいという内容を提示させていただいてございます。
17ページ目、感染症データ収集と情報基盤の整備ということでございますが、データの連結分析や第三者提供を可能とする仕組みを整備してはどうかということでございます。
18ページ目は治療薬の研究環境の整備。
19ページ目は医療用物資等の確保の強化。
また、21ページ目に水際対策の実効性の向上ということで、それぞれ具体的対応策を整理させていただいたものでございます。
本日は、前回の議論も踏まえまして、この資料につきまして御議論いただければと考えております。
あと、本日お配りしている資料のうち、参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1に関しましては、検査体制の強化の中で記載しております、感染症発生・まん延時に医師・看護師等以外の一部の者が検体採取を行うことができる枠組みの整備に関しまして、9月2日に取りまとめられました検討会の報告書でございます。PCR検査等のための鼻腔・咽頭拭い液の採取につきましては、医師や看護師等が対応を行った上でもなお、業務の担い手の確保が困難と見込まれる場合に、歯科医師が対応することが適当であるとされておりまして、報告書の内容を踏まえて対応してまいりたいということでございます。
また、参考資料2でございますけれども、本日の議題に関しましては、次の感染症危機に備えた感染症法等の見直しを御議論いただくというものでございますけれども、現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対しまして、8月24日に本部会を持ち回り開催させていただきまして、都道府県知事の申出によりまして発生届の対象者を限定する仕組みを導入してございます。この参考資料2が、今般お示ししました発熱外来や保健所における更なる負担軽減策の資料ということになります。発生届の対象者の限定に関しましては、9月2日から4県において実施されているということでございます。
参考資料1と参考資料2につきまして、併せて御説明申し上げましたけれども、本日は資料1につきまして御議論いただければと思っております。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○脇田座長 どうもありがとうございました。
前回も委員の皆様から順番に御意見をいただいたわけですけれども、今、事務局からの説明があったとおり取りまとめていただいたところです。それで、この説明、今回の取りまとめの資料も見ていただいたということでありますけれども、委員全員の皆様から幅広く意見を言っていただくという立場から、前回と同様に名簿の順番に指名させていただきますので、その上で御発言いただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、順番でいきますと今村先生からでございますので、今村委員、よろしくお願いいたします。
○今村委員 今村です。
全体的な課題の整理、そして対応の方向性については賛成いたします。
その上で、(1)感染症に対応する医療機関の抜本的拡充について、2点意見を述べたいと思います。
まず、6ページ、課題の3つ目の○の2行目に「医療機関との認識のずれ」という言葉が入っているのですけれども、これが何を指しているのか不明確なので、できれば例示するなどの検討も必要かと思いました。
次に、7ページの具体的事項についてです。新たな感染症の急速な拡大に対応するためには、病床数だけでなく、その病床を運用できる人員数の確保、そして通常医療から人員を転用する場合の切換えのスピードが重要なポイントとなります。病床を運用するためには人員が必要ですが、その必要な人員数は重症度や患者ADLによって変わってきます。この見積もりを見誤ると、箱はあっても人が足りない状況となってしまいます。新たな感染症の発生初期段階に、通常の医療の中からいかに迅速に必要な人員数を確保するかということが、実際に運用可能な病床数を確保するための重要な課題となります。
このページの具体的事項の1つ目の○、目標と書かれている後ろの括弧内には、病床の確保に関する記載もありますが、人員に関しては人員派遣のことしか書かれておりません。ここには病床とともに、重症度に合わせた診療人員の確保に関することを明記すべきだと考えます。
こちらからの意見は以上となります。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、岩本委員、お願いします。
○岩本委員 岩本です。
今日もちょっと書いてありますので、6点ほどあるのですけれども、長くなるので、まず3点申し上げて、あとは個別のことですので、もし時間があれば申し上げたいと思っております。
まず、1ですけれども、COVID-19により明らかとなった問題として、日本の公衆衛生が医学にとどまり、パブリックヘルスの問題として総合的な対策を取れなかったことが挙げられると思います。2020年2月14日に発表された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーの12人のうち、実に10人、83%が医学系の専門家です。約1年後、2021年1月6日、政府新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーでは、臨時構成員を入れて20名、うち医学系の専門家は7名、35%となりました。政府対策分科会が結成されて以降、分科会での議論は余り報道されず、厚労省のアドバイザリーボードからの発信がより頻繁に報道されるようになりました。
公衆衛生や医療技術学を中心とした厚労省での議論を、経済の専門家も加わった分科会でもんで、最終的に政治が判断するという構図だと理解していますが、現在に至るまで厚労省アドバイザリーボード、政府分科会を通した議論の内容や結論に至る合意形成が非常に分かりにくいと思います。
僕は、この原因の一つが、日本では公衆衛生学が社会医学に属する医学の一分野として規定されていることにあると思っています。アメリカではスクール・オブ・パブリックヘルスがスクール・オブ・メディスンとは別に存在し、医学ばかりでなく、政治や経済、法律など幅広い範囲に精通し、政策を立案できる多様な人材を輩出しています。日本の公衆衛生学を学際的なパブリックヘルスと変えていく必要があると思います。今後、対策を取り、人材を育成するにしても大変時間のかかる話ですが、あえて申し上げました。
2番目、8月1日に開催された第63回感染症部会において、感染症法は公衆衛生対策上必要な医療の特例だけを書いた法律になっていると申し上げました。全ての患者に対して十分な医療を提供することが国と地方自治体の責務であり、医療従事者にそれに協力する義務があるということを明確にする目的で、感染症法第6章、「医療」の冒頭、つまり第37条の前文として、「感染症の患者に対する医療は、医療法の定めのほか、この法律の定めるところによる」という条文を入れてはいかがでしょうか。
3番目、日本の公衆衛生対策は、ある意味でパブリックヘルスと医療の間に挟まった状態にあると言えますが、感染症における医療の問題が見直し案の中でほとんど触れられておりません。これまでも感染者の病状、例えば重症者の定義が自治体によって異なるという問題がありました。また、新型コロナウイルスの病原性が変異によって変化し、オミクロン株では明らかに病原性が減少しているにもかかわらず、持病を持つ高齢者の死亡が増えています。そのため、経済対策と公衆衛生対策の方針が折り合わず、混乱を招いていると思います。難しいと思いますが、この辺りについても法律に書き込んだ上で経験を積み重ねて改善していくことが必要ではないでしょうか。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、大曲委員、お願いします。
○大曲委員 よろしくお願いいたします。大曲です。
まず、御提案いただいた内容に関しては、全体としては賛成いたします。それに関わって、細部として、それをちゃんと実現できるようにするためにお願いしたい点ですとか、直接感染症法の関連ではないのですが、結果的には関わってくる、ほかの法律との関係も少し含めて触れたいと思います。
まず、(1)感染症に対応する医療機関の抜本的拡充というところで、ここには僕は人材も含まれていると考えておるのですが、例えば感染症の専門医に関して言いますと、医療機関とか行政で雇用するという場合の枠をつくる。そこに関しては、枠をつくって、例えば予算をつけて公的に雇用するといったこともお考えいただければと思います。
というのも、感染症医というのは、病院の中ですと、その診療は非常に収益性が低いので、病院は自然体ではまず雇用してくれないのですね。ですので、数はすぐに増やせないというところもあります。私自身は今の職場に来て10年たって、病床も確保して入院診療もしていますが、それぐらい時間がかかります。今まで感染症医がいなかったところでゼロから始めようとすると、それはなかなか無理なわけです。ですので、まずは1人でも2人でもいいから枠をつくっていただくということと。
あとは、その中で少しでも病院の中での立ち位置をよくするという意味では、感染症医の活動に関して診療報酬をつけていただくといったこともお考えいただけるといいのではないかと思います。自然体のままだとなかなか増えないだろう、根づかないだろうと思います。
2点目は、(2)自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保について、書かれているのですが、1つの発想として、自宅や宿泊でいらっしゃる方々も、必要に応じて医療機関に来ていただける。それは流行の早期からですけれども、ということを申し上げておきたいと思います。これがなかなか難しかったがゆえに、患者さんのニーズとかリスクとかが届きにくかったということもありますし、治験もすごくやりにくかったので、内服薬とか外来治験が日本では進まなかった大きな理由の一つはこちらだと思っています。
3点目は、治験に関連して、(7)の治療薬の研究環境の整備というところですが、コロナというよりはサル痘に関わって分かったことを共有したいと思います。危機管理として、国内未承認薬を国内で使うという場合には、現状の枠組みだと特定臨床研究で行うか、治験を行うという形で使われると思います。特定臨床研究で今、運用しておるのですが、危機の緊急時の対応の中で特定臨床研究を使うのはなかなか大変だなと思っています。制度がまた新しいということもありますし、内部の規定がすごく厳しくて審議がなかなかできないということもあるので、研究をスピードをもって始められない。あとは、非常に負担が大きいので、現場のスタッフの疲弊も大きいなと思っています。
ですので、別の法律の話ですが、運用を変えていく、あるいは別の仕組みをつくっていくといったことも考えられると思います。特に、海外で既にある程度有効性が示されたようなお薬を、コンパッショネート・ユースで国内で使うということも考えられるのですが、現状は医療機関任せです。それは、例えば公的に何らかの枠組みをつくるといったことも1つの考え方ではないかと思っています。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、賀来委員、お願いします。
○賀来委員 ありがとうございます。
先日もいろいろな議論があったわけですけれども、5つ課題として挙げたいと思います。課題というよりも、希望としてお願いしたいと思います。
1点目は、人材育成をしっかりと図らなければいけないということで、抜本的に医療機関の体制を整備するときに、感染症を理解している医師などの育成、あるいは看護師の方も含めて、薬剤師、検査技師も含めた人材育成が非常に必要であろうかと思います。
また、加えて、公衆衛生あるいは疫学的な専門性を持つ人材の配置を、全国的に広げていく。公衆衛生、感染症研究所の実地疫学コースなどを修了した方々が確実に各県に存在する。そして、そういった方が各地方自治体の中で、しっかりと疫学的な解析を行っていただければと思います。そういう意味では、大きく1つ目は、人材育成を法的な意味からも、しっかりとうたっていただきたいというのが1点目であります。
2点目は、開業医の先生方も含めて、必ずしも感染症の専門でない方も多数おられますし、一般の基幹病院でもそういった方が少ないところも多いので、先ほどの人材育成と重なるのですが、啓発・教育体制をしっかりとつくっていくことが非常に重要だろうと思っております。
3点目は、医療機関への支援体制を構築していく。これは前回も申し上げましたが、環境感染学会や様々な学会でも専門医制度もありますし、専門家のチームをつくって医療機関や高齢者・介護施設をしっかりと支援していくような全国的な体制、あるいはブロックごとの体制みたいなものをつくっていっていただきたい。
ですから、1番目が人材育成、2番目が啓発・教育、3番目が支援体制を広域、なおかつ地域別に行っていくということをお願いしたいと思います。
4点目は、今回もPCR検査のキャパシティーが少なかったということがありました。検査体制は、それぞれの地域によって違うのですけれども、大型の検査センターなど、各地域で集約して検査できるような体制も含めて、あるいはいろいろな機関が相互に利用できるような検査体制を充実していっていただきたいと思います。
最後に、5点目ですが、今回の全数把握のことに関して、HER-SYSと電子カルテとの連結も含めた、情報の共有化システムの構築を早急にお願いしたいと思います。
再度、申し上げますが、1番目が人材育成、2番目が啓発・教育、3番目が支援体制、4番目が検査体制、そして5番目の情報の共有化ということをぜひお願いしたいと思います。私からは以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
資料1の6ページ、(1)感染症に対応する医療機関の抜本的拡充のところですが、この方向性はこの方向でしっかり進める必要があるわけですが、地域で提供する医療は、感染症に対するもの、それから、それ以外の診療の両方を提供しなければならないので、地域にどのような医療資源があって、これがどういうふうに活用可能なのかということについて、自治体、地域の医療機関、また地域の住民の方も含めて、情報がしっかり共有されることが必要で、そして極端に感染症にだけシフトしてしまって、それ以外の部分が極めて手薄になってしまうという事態をどうやったら避けられるのかということ。そして、それぞれの医療機関がどういう役割を担えばよいのかということの観点で、この具体策を進めていく必要があると思います。
医療機関はそれぞれの役割がありますし、対応可能な部分は努力するのは当然ですけれども、構造上、なかなか難しかったりするところもあるので、その辺りのところをどう改善するかというところは、しっかり連携しながらやっていく必要があると思っております。
(2)の自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保の部分ですが、ここに書かれている自宅・宿泊療養者の中に幅広く含まれるのですが、今回のコロナの対応からしますと、高齢者施設等において、療養、またはそこで治療を施すということが必要になってくる場合もあって、高齢者の方をみんな入院ということになると、病床も確保できませんし、環境が変わることによるマイナス面も大きいですから、高齢者施設等でどのように治療を含めてうまく対応するかということが極めて重要なのですが、この(2)の書きぶりにその辺りの内容がなかなか読み取れないように私は感じまして、もっと具体的に高齢者施設等における医療の在り方について、これは平時とはまた異なるわけですから、それに対してどういう手当てをすればうまく回っていくのか。
高齢者施設等には協力医療機関というのが決められていますけれども、これが実際に機能するとはほど遠い現状もあるので、今回の協定を結ぶということで、すぐ協定にいかないと思いますけれども、その辺りのところが進展するようにしていただけたらどうかなと思っています。
それから、資料1の今日のテーマからちょっとずれますが、今、問題になっている全数把握の問題について、きのう、近畿ブロックの医師会の多くの方々と協議する機会があったのですが、それぞれの府県の方は、現状の全数把握が大変でも全力で今の対応を継続するという強い意思を示しておられました。国は年齢階級別の感染者の数をきちんと毎日報告するという形で、それに代えていこうというお考えと承知しておりまして、この方向はそういうことでやむを得ないかなと思いますけれども、行政と情報を共有すべき対象者に対する、しっかりした医療機関からの情報提供については、ぜひやらなければいけないという強い認識を現場で持っておりますので、その点については御報告を申し上げたいと思います。
一方、年齢階級別の感染者の報告ということが前面に出た結果、全数把握と、検討されてきた定点把握であったり、それ以外の様々な感染状況を把握する手段についての検討が、ちょっと遅れてしまうのではないかという懸念を持っていて、それについての検討は粛々と進めていって、そして三重県が代表するように、大変優れたところもあるわけですから、そういうところを参考に進めていく必要があるだろうと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、越田委員、お願いします。
○越田委員 3点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず、感染症病床の拡充や一般病床の転換については、都道府県がプラットフォームになって、おおむね医療圏単位での調整が必要かと思っております。保健所設置市である政令指定都市や中核市は県庁所在地であることが多く、医療資源も豊富なので、周辺の基礎自治体を巻き込んだ調整を行わねばならないと考えています。同時に、感染者の搬送システムの協議も行わねばなりません。地域医療を守るために、住民が安易に119番で救急搬送を要請することへの警鐘を、何らかのメッセージをもって発信せねばならないと、この第7波をもって切実に感じました。
また、施設や在宅療養中に上位の医療機関への移送・搬送が必要となった場合の救急搬送のルールや輪番の構築についても、都道府県が調整役となって保健所や医療機関と医療圏の中の消防部局との連携、さらに協定の締結も必要かと思っております。その他、地域の実情に応じて、民間救急やタクシーによる搬送や移送も考慮に入れて、COVID-19だけではなくて、救急医療を含めた本来の地域医療をがっちり守っていく必要があるということを感じております。
2点目は、在宅療養者や宿泊療養者への医療提供体制の確保に関連してですが、これは都道府県が全県的に一定のルールで行うのではなくて、地域の実情に応じて保健所と郡市医師会、薬剤師会との密な連携が不可欠であると思っております。特に、自宅療養者へのオンライン診療、訪問診療、医薬品の宅配は道半ばの感じが否めません。軽症の自宅療養者に関わる受診に関しては、オンライン診療に何らかのインセンティブを設定するのも一考かと思います。感染者、疑いの方も含めまして医療機関に殺到する今の発熱外来の現状を鑑みると、地域医療の中での関係機関の連携は不可欠ではないかと思われます。 一方、全ての基礎自治体に対しては、所管の保健所から自治体内での感染状況をリアルタイムに提供することとした上で、自宅療養者への医療や健康保持面以外の生活支援、すなわち食料や日用品の宅配、生活上の悩みを受け止める相談窓口については、保健所の設置の有無にかかわらず、基礎自治体が責任を持って行うといったことを明言化してはいかがでしょうか。このためには、保健所から全ての基礎自治体にリアルタイムの情報提供が必要であると思いますし、現時点では保健所を持たない基礎自治体が若干置いてきぼりになっている感じがいたします。
3点目は、広域での人材育成に関することなのです。現場では、これまで様々な集団で感染拡大、いわゆるクラスターを経験してまいりました。しかしながら、それらの施設ないしは集団を熟知しており、かつ、一定の感染症対応マインドを備えた医師などの早期介入がないまま感染が拡大し、保健所や保健所か依頼を受けた医療機関がクラスター対応班として関与することが多々ありました。平時からの備えとして、福祉施設や教育機関、そして企業といった集団に対しての感染症予防対策の責任者、これは医師が適当であると思っております。平時から施設に関わりのある医師の位置づけを明確にしておくことが必要かと思います。
普通に考えますと、福祉施設なら協力医、教育機関なら学校医、企業なら産業医かと思いますが、それらに該当する医師は、平時は施設や集団に対して感染症拡大予防の観点からの助言、有事においては施設に出向いて感染症状況の把握と拡大防止のための指揮を執って医療機関との連携を取り、橋渡しを行うといったことを何らかの制度上の要件としてはいかがかと感じております。感染症専門医でなくても、内科や小児科など感染症を日常診療として診ている診療科であることの有無にかかわらず、感染症対応についての一定の知識と対応力を備えた医師が、施設等の後方支援を行うために、福祉施設協力医、学校医、産業医に対して感染症対応の講習を受けるなりして資格要件を定めることが必要ではないでしょうか。
まず足元からの底上げを行う必要があると思っています。都道府県単位で大学や研究所等のアカデミアであるとか、あるいはFETPで研修を受けた先生方によって、人材育成の観点で研修や実地指導を行い、施設に対して責任を持って、一定の感染症対応・治療ができる医師のみが協力医、学校医、産業医になり得ることができるといった制度を設けてもいいのではないかと思っております。
また、特に一定規模の高齢者等の福祉施設には、感染管理看護師、ICNを置くことも施設の設置基準に盛り込んでいただきたいと思います。小規模な施設に関しては、常勤でなくても必要時に相談できるような感染管理看護師との契約を結ぶことを義務づけるなどして、平時からの備えと有事の機動力を自助努力で確保していただきたいといったことを考えております。繰り返しになりますが、まずは足元を固めることかと思っております。
最後になりましたが、番外です。ワクチンの接種証明についてです。今般、新型コロナワクチン接種証明アプリが汎用されております。遊びに行くにしても、いろいろなところに入場するにしても、この接種アプリが汎用されています。今後、全ての定期予防接種の接種記録がマイナンバーと連動して蓄積され、母子手帳の記録や基礎自治体窓口での照会によらず、必要なときに必要な内容のものを入手できるようなデジタル化も、これをきっかけに全ての予防接種に対して進めていただきたいと考えております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 よろしくお願いします。
資料1の4ページの感染状況のフェーズに応じた対応のところに示されておるのですけれども、届出とサーベイランスの違いを明確にすべきといったところで、具体的な保健所からの課題であったなと思うのですけれども、届出については、目的が何なのか。患者さんの支援のための、医療提供のための個人情報の収集と思って対応していました。ただ、サーベイランスとの違いについては、発生動向や流行状況の把握ということで、そのためには感染症疫学としての必要な情報だと思っていますが、今の感染症法においては、その目的が届出には全て包括されていて、それがなかなか分かれていないというところが今の対応についての問題ではないかと思っています。
これは今でも直していただきたいのですけれども、近い将来においても、これは法改正が必要な事項として挙げられておりますので、具体的に誰にも理解できるような形で、目的と方法を挙げて明記する必要があると思っています。
あと、8ページの対応の具体策の最後のほうについて、感染症のまん延時の医療提供体制の確保についてというところで、都道府県等と医療機関が協定を結ぶ形が適当とお示しいただいています。そこについて、もちろん平時からの協定が必要と思いますけれども、手挙げ方式や任意ではなくて、これは国がリーダーシップを持って方針決定して、実際、都道府県等と医療機関が協定を結ぶという作業はあると思いますが、それはあえて必須であるというところまでリーダーシップを取って方針を決定していただきたいと思います。これは感染症法ということになると思うのですが、感染症に限らず、特に有事には、医療というのは設備や人材も含めてですが、公共財であるといった意味での対応が必要と思っています。
14ページも、都道府県と保健所設置市・特別区その他関係者の平時からの意思疎通・情報共有・連携を推進するために、各都道府県に連携協議会の設置を推進ということを書いていただいておりますが、これも有事になってからばたばたとつくる連携協議会ということではなくて、特に都道府県と保健所設置市を含むということになっておりますけれども、これは場合によっては医療圏を越えて、または都道府県を越えて調整しないといけない部分もあると思います。そういうことも想定しながら常設し、また都道府県を越えての協力も可能なような検討をしておく必要があるかなと思っています。
平時からの医療というのが重要と思っていますけれども、具体的な資料のほかに、特措法と感染症法の関係性ということについて、今、どのような法律で、どういう形で自治体が対応しているのかということが明確でないというか、分かりにくかったところがあります。そういった意味では、感染症法と、それを取り巻くほかの法律の関係性についても、感染症法を読んでも特措法を読んでも分かるような形で明確に分担するということ、またはお互い補うということが必要かなと思います。これは、省庁を越えて、国が今後、どういうようなリーダーシップを取るかという危機管理に関わっていると思います。また、保健所においては、感染症法と地域保健法の齟齬がないように、整合性を取って整備する必要があるかなと思います。
そういった意味で、法律の中で、今、どういう根拠でやっているのかということが現場に分からないというか、分かりにくい部分がありましたので、特に今、緊急避難措置についての届出対象の患者さんがどうなっているのかということについても、十分な説明をいただいていたのかもしれませんけれども、外出制限の対象に届出外の人が含まれるのかといったことについては、ちょっと腑に落ちていないようなところがあります。
そういうところでは、届出の無い人に宿泊療養とか受診調整に保健所がどこまで介入するのか、食料の調達ということについても、誰を優先するか。医療が必要な方、生活支援が必要な人が誰なのかということを明確にする必要があると思いますし、患者さんの数が増えたということで、委託して保健所の仕事を補うという方向が再三行われてきておりましたけれども、委託までして行う業務が本来、保健所業務なのかということを、現場では本当に苦悩しながら対応していました。委託は面倒というだけではなくて、そういうモチベーションに関わる仕事だと思っています。
ただ、現実的に保健所だけでは難しいということが今回も分かってきておりますので、保健所を強化するということだけではなく、産官学で協力してという体制ができるように、感染症法だけでなく、いろいろな法律を整合性をもって組み立てるという中の一つの感染症法としていただきたいと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、菅原委員、お願いします。
○菅原委員 よろしくお願いします。
私は、(1)医療機関の抜本的拡充というところの関連で2点お話しさせていただきたいと思います。
これは前の会議でもお話しましたが、ここで協力医療機関と協定を結ぶということが書かれておりますが、そういった感染症まん延時に積極的に患者さんを引き受ける病院の感染対策に関する組織では、インフェクション・コントロール・ドクター、インフェクション・コントロール・ナース、薬剤師、検査技師などの構成員がいるのですが、これは全て診療報酬の施設基準に従っています。
こういった病院は、もちろん診療報酬加算1とか2といった基準を取っていらっしゃると思うのですけれども、インフェクション・コントロール・ナースというのが、具体的には臨床の一番最前線で力を発揮しなければならない立場にあると思います。これは人材育成に関連する事柄でもありますが、そのインフェクション・コントロール・ナースの配置人数ということに関して、少し具体的に示していただければありがたいなと思っています。ただ、これは感染症の法律の中で位置づけるのではなくて、それに結びついた診療報酬などの中で何人必要であるといったことが明記されればいいなと思います。
また、このような医療機関は地域の基幹病院などの場合が多いと思われ、地域の医療従事者のリーダーの立場にある方も多くいらっしゃると思います。感染症有事の際は院内だけではなくて、地域に派遣されるようなこともあるかもしれません。そういった意味でも、人員を確保するためにも、ある程度の目安となる必要人数というものを明記していただければいいなと思います。
もう一つは、高齢者施設の支援の問題です。この資料を確認しますと、高齢者施設の支援ということに関して、読み取れる文章がどこにもなかったかなと思います。高齢者福祉施設は、少子高齢化の中で欠かすことのできない施設でありながら、今般のパンデミックで、いわば感染症に、非常に脆弱だということが表面化したしたました。ところが、今回の議論の中ではこの話題が余り出されていないというのがとても残念だなと思います。どこに位置づけられるのか、またほかの法律で位置づけられるのか、このことも検討していただきたいなと思います。
また、高齢者施設に現在働いている人の中で、感染症対策にたけた人材をつくるということも必要ですが、現状では専門家の支援が必要で、そういった意味で、先ほど前半に申し上げました、リーダーとなる病院の感染制御を担う人材の人員確保にもつながってくるかなと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
まず、1つ目、番外なのですが、スライド6ページ、感染症に対応する医療機関の抜本的拡充に関する素朴な疑問ですけれども、医療体制の逼迫というのは、感染症だけじゃなくて、いわゆるCBRNEを含む災害、いずれでも起こり得ます。だから、感染症法だけで規定するようなことなのかなというのが、僕は法律の専門ではありませんが、素朴な疑問です。
それと、コメントをこれから3点申し上げます。
1点は、これまでほかの先生も御指摘されていますが、これだけは何度も指摘しておきたいと思いますので、あえて申し上げます。医療機関の抜本的拡充の際に、病床とか協定とか履行のための措置とか、いろいろなことが記載されていますが、輸液だけする患者と挿管する患者と、あるいは精神的な問題がある、発達障害のある患者さん、全て必要な医療スタッフとキャパシティーが異なります。ゆえに、協定をつくる、あるいは平時に計画をつくる際に、それらも全て含めて病院の運営も考えた上で協定・計画をつくっていただきたいというのが1点です。
2点目、17ページの感染症データ収集と情報基盤の整備です。これは、これまで何度も申し上げてきましたし、届出とサーベイランスの違いを明確にすべきと、まとめのところには記載していただいているのですけれども、対応方針には、残念ながらいまだに届出を強力に推進すると記載されています。明治時代の伝染病予防法から変わっていないわけですね。欧米は、もう30年ぐらい前にエレクトロニカル・ヘルス・レコードを中心にした電子的なサーベイランスネットワークを整備しています。日本は30年遅れています。サーベイランスは届出とは根本的に異なることを理解していただいて、届出に代わるサーベイランス手法など幾らでもあるわけです。
このサーベイランスという考え方を明確に法律に書いていただいて、柔軟にサーベイランスができるように、届出だけでサーベイランスするんじゃなくて、いろいろな情報ソースからサーベイランスができるように書き分けていただきたいというのが2点目です。
3点目、これも引き続いて21ページ、水際対策ですけれども、ここもサーベイランスの考え方の欠如があると思います。特にポイント・オブ・エントリー、国際保健規則、インターナショナル・ヘルス・レギュレーションの考え方においても、日本で言うところの検疫所を感染症対策機関と位置づけてボーダーサーベイランスということが記載されているわけです。つまり、平常時からどのような病原体がポイント・オブ・エントリーを超えて入ってきているのか。そういったことをきちんと把握する枠組みがないと、非常時には対応できません。ここにおいても、隔離等の措置を適切に講ずるための体制ではなくて、サーベイランス・アンド・レスポンスが適切に平時から対応できる体制をつくっていただきたいと思います。
以上です。
○脇田座長 どうもありがとうございました。
続きまして、戸部委員、お願いいたします。
○戸部委員 お願いします。
全体的に賛成なのですが、3点コメントいたします。
まず、8ページの平時からの医療提供体制の整備のところで、前回の部会では医療機関とか協定という手法ではなく、行政処分の形式がよいのではと申しましたが、今回、事務局から御説明いただいて、従来からの協定を用いてきたこととの連続性を図るという意味で、協定という手法を用いること自体は了解しました。
この点に関して、1点目、2点目のコメントといたしましては、内容は前回と重複しますが、協定というのは基本的に自由な交渉の余地を許すものですので、その結果として各協定の内容について不公平感が残らないように、それぞれの医療機関の負担がそれぞれの規模あるいは性質などに応じて実質的に公平になるように、運用上の工夫をしていただきたいというのと、他方で、協定である以上、行政が一定の内容を医療機関に強制することまではできませんので、負担の公平を図ると同時に、強制に当たらないという微妙な舵取りをお願いしたい。これが1点目です。
2点目は、同じ8ページで協定上の義務履行確保の点ですが、協定違反への対処については、協定の中にあらかじめ違反条項を設けるというように、協定の内部で完結させるというのが通常で、今回の御提案のように、承認の取消しといった公権力を行使するという方法は、法制度としては非常に珍しい、ほかにあまり例がないものではないかと思いますので、こうした手法を取ることが、果たして法理論上あるいは法制度上可能なのか。法制局サイド、関係各省としっかり詰めていただきたい。これが2点目です。
3点目は、21ページの水際対策のところで、居宅待機等について罰則を設けるという部分ですが、これは実際にちゃんと自宅待機などしているかを逐一監視することはできないので、待機状況の報告義務のところに罰則を科すという趣旨かと思いますが、この場合だと、ただ、ふらふら出歩いていたとしても、この日は出歩いていましたと正確に報告しさえすれば罰則は科されないということになりますので、これが果たして待機の実効性を確保するというために合理的な制度なのか、よく詰めていただきたいというのと、罰則をつける場合には、過剰な罰則にならないようにしていただきたいということがあります。
あとは、この21ページの具体的対応案のところでの質問事項なのですが、待機状況の報告に応じない場合等と書いてありまして、この「等」が何かというのは非常に重要なので、可能であれば御説明いただきたいと思います。以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
前回の部会で、私は感染症法等の見直しに関して、明記は難しいかもしれませんが、各種法律がフェーズオリエンテッドな対応ができるようにという要望を申し上げました。恐らくそれを法律として明記することは難しいだろうと思うのですけれども、今回、資料1の6ページ以降、(1)から(9)まで、課題と対応の方向性と対応の具体策という項目でお示しいただいたことによって、実際にフェーズによってどう動いたらいいのかというのが、ちょっと分かりやすくなったのではないかなと思っています。そういう点において、今回お示しいただいた案に関しまして、細かい文言は各委員の先生、いろいろ御指摘があったかと思いますが、私はこの大まかな流れとしては賛成でございます。
各論を少しだけ申し上げれば、先ほど来お話が出ています、例えば教育とか人材育成がどうなっているのか、あるいは保険診療上の点数とかがどうなっているのか、そういうお声もあったかと思うのですけれども、いろいろな疾患の中で、感染症だけではもちろんないですし、感染症の中でもコロナだけでもないし、新しく出てくる疾患だけでもないと思うのですが、全ての疾患の中で感染症の教育とか診療上の位置づけというのが非常に重視されているかというと、何十年前に比べれば重視されてきていますが、まだまだ充実していないのではないかなと思っています。
その根拠といたしまして、感染症等が発生したときに、例えば筋肉内注射とか検体の採取をどなたがするかということに関して、教育プログラムとして、それを受けている職種の方ということがございましたが、恐らくは私の知る限りは、医学部の中でも具体的に予防接種の皮下注射と筋肉注射をどのようにするのかとか、あるいは検体を鼻咽頭拭い液と唾液とどのように採るのかとか、そこまでしっかりとできている教育機関というのはそれほどないのではないかと思っています。
そういったことを充実させること、これは法律とは直接すぐには結びつかないかもしれませんが、大切なことではないかと思っておりますし、あとは発熱外来という言葉もしばしば出てきます。今度のコロナのことで小児科領域でいえば、新型コロナウイルス外来が逼迫するというよりは、新型コロナが流行することによって、発熱を呈する患者さんが受診する外来が非常に逼迫して、ほかの疾患を含めて、小児の救急搬送、その他がうまく回らなかったということがあると思うのですね。
そうすると、患者さんは、私はコロナですというプラカードを首に下げて来ていただくわけでは決してないので、私たちは発熱患者、その他の体がだるいとか、ほかの症状がある患者さんにどう対処するかということを考えたときに、これも具体的な問題過ぎて法律とは直結しないかもしれませんが、検査のことも今回、かなりクローズアップされていますが、今、コロナの検査は、恐らくどの年齢でも、どの病状の方でもできるようになっていますが、保険診療という観点からいくと、RSウイルスはこう、メタニューモウイルスはこうこうと、いろいろな縛りがあるわけですね。それだと何らかの疾患がはやったときへの対処として、全てのときにおいて全て検査できるようにというのは正直無理な問題だと思います。
だからこそ、フェーズオリエンテッドという言葉をこの前使わせていただいたのですが、それも含めて保健医療体制を整備していくという、法律にどう明記していただくかというのはなかなか難しいかと思うのですが、そんなふうに考えておりました。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、中山委員、お願いします。
○中山委員 先ほど戸部委員がおっしゃった水際対策のところの、待機状況の報告に応じない場合等の「等」というのは、そういう中身が余りはっきりしないところで罰則と結びつけられるのは問題だと思いますので、ここを私もお伺いしたいと思いました。
それから、今回の感染症法の見直しについての中で、ワクチンのことについては、例えば15ページでワクチン接種の担い手、あるいは16ページでワクチン効果の分析やワクチン接種情報等の連結分析、あるいは17ページのワクチン開発などが触れられていますけれども、感染症法のテリトリーではないのかもしれませんが、ワクチンの実施方法について、ちょっと番外になるかもしれませんが、私が思ったことを述べさせていただきたいと思います。
今回のワクチン接種は、日本では自治体が住民票を基に対象者にクーポンを郵送して、ワクチン接種を希望する人は電話やインターネットを通じて予約した上で、接種場所にクーポンを持って出向くという仕組みが取られてきました。でも、高齢者などは、この秋以降、オミクロンに対応するような、もう5回目のワクチンを打つというところまでなっています。しかし、毎回、このようなクーポン券を郵送して、それを電話やインターネットで予約して、クーポンを持って出向くという接種方法を取るというのは、いかにも煩雑で非効率だと思います。緊急事態には、それに即したワクチンの接種方法を考えておく必要があると思います。
これはワクチン部会などでも頻繁に指摘されてきたことですけれども、そもそも日本では国が一元的に国民のワクチン接種の記録や管理をするシステムがないということが問題だと思っています。自治体にはワクチン台帳が整備されていると聞いていますけれども、住所を移転して違う自治体に行けば分からなくなってしまうという問題もあります。自分の接種履歴を自分で簡単に確認できないというのは、先進国としては大きな問題であると思います。次のパンデミックに備えては、例えばマイナンバーカードなどを使って、簡単に接種対象者の確認や接種歴の確認ができるような仕組みを国が主導してつくる必要があるのではないかと思っています。
また、COCOAも接触通知が来るのがいかにも遅いという改善の余地がありますし、日本のデジタル化政策が遅れているということを、今回のパンデミックで皆さん、痛感したのではないかと思います。ぜひワクチンだけでなく、例えばオンライン診療のさらなる普及など、次のパンデミックに備えて、さらなるデジタル化を考えていくべきだと思っています。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、森田委員、お願いします。
○森田委員 どうもありがとうございます。
対応の方向性、対応の具体策、全体的に私のほうからは特に異論ございません。何回か申しましたけれども、感染症の有事に際しては、大学あるいはアカデミアの活用、動員というのは非常に重要なコンポーネントだと思います。ですから、全体的にアカデミアや大学の人たちが自分たちの立ち位置というか、そういうものを自覚できるような表現があってもいいかなと思います。
例えば、16ページ、保健所の体制・機能の強化というのがありますけれども、この中で検査体制の確立ということがあって、民間検査機関等との間で協定を締結する。非常に重要なことだと思いますけれども、恐らくこの「等」という言葉の中に大学とかアカデミアが押し込められていると思うのですけれども、先ほど申しましたように、もう少し別の表現でもいいかなと思います。これは全体的にそういうふうに思います。
もう一つは、(6)の感染症データ収集と情報基盤の整備ですけれども、私もこの感染症情報の収集のデジタル・トランスフォーメーションというのは喫緊の課題だと思います。開発途上国と比較しても、日本がもしかしたら遅れているかもしれないというものもありまして、ここに書かれております対応の具体策というのは着実に実行していただきたいと思いますし、また情報の第三者の利用を可能とする仕組みというのも明記していただいたことは非常に重要で、これも着実に実行していただきたいと考えています。できれば、こういう情報を医療従事者のほうにフィードバックするようなシステムが、このデジタル・トランスフォーメーションの中で具現化されれば、感染症対策にさらに寄与する感染症データ収集ネットワークになるのではないかと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、山田委員、お願いします。
○山田委員 山田です。よろしくお願いします。
まず、今回の新型コロナの特徴というのが、無症状感染者あるいは発症前の感染者が極めて感染を拡大したということにあると思うのですね。そのために、毎日20万人を超えるという未曾有の感染者が出てきて、結果的に医療の逼迫を招きそうになったと。そういう経験を踏まえて、感染症法によって、そういう事態をどうやって避けていくかということを考えていくのは非常に重要だと思っています。ただ、これは必ずしも次回の新興感染症、エマージングディジーズが同じようなパターンであるという証拠もないし、確証もないので、どちらかといえば、例えばケースフェータリティー・レートの高い感染症、しかもアール・ノートの高い感染症が出てくるほうが必然だと私自身は考えています。
とすると、今回の無症候感染者とか発症前の感染者によって感染が拡大したという特殊事情だけを捉えていては、今後の新しい感染症に絶対対応できないと思うのですね。そのいい例が、都道府県の予防計画というものをきっちり立てなさいという文言があるわけですが、これは確実にコンティンジェンシープランをそれぞれつくっておけということだと思うのですが、その中に頻発して出てくる数値目標という言葉があります。ただ、この数値目標をどうやって決めるのですか。今回の経験に基づいて、毎日20万人が第7波だったから、それに耐えられるだけは整えていこう。だけれども、次のときにそれで足りるか。それも全く保証はないわけですね。
そういったときに、そこの部分を都道府県にだけ数値目標を決めなさいというのはあまりにも無責任ですし、そういう数値目標が破綻したときのことも絶対に考えておくべきだと思います。そういったものをコンティンジェンシープランに書き込んでいけばいいだろうと思います。そういう意味で、コンティンジェンシープランであるところの予防計画にお墨つきをつける法の改正というのは非常に重要だと私は思いますし、それに基づいた予防計画の策定には、国が相当な支援を都道府県にすべきだと思います。
もう一点ですけれども、今回は極めて早く病原体が特定できたわけです。それによって検査法も予防法も治療法も、割と思ったよりも速やかに世界に広がってくれた。感染症の広がりも早かったですけれども、そういうことを考えると、次回、我々のデータベースに載っていないようなものが、例えば全ゲノムを調べてみたけれども、こんなものは見たことがないというものが出てくるかもしれない。そんなまれなことにでも対応しなければいけないわけですけれども、そういうときに非常に重要なのは、そういう開発のスキームを用意しておくのは構わないですけれども、それが破綻したときのことを考える必要があるだろう。
それは、昔から病原体なんか分かっていない時代から記述疫学で乗り切ってきているはずなのです。今回は、積極的疫学調査という、これは先ほど言ったような無症候感染者の多さということを想定しなかったがゆえに、初期に役立つだろうと思うことに力を入れたわけですけれども、それと同時に、この病気が一体どういう病気であって、どういう感染経路であって、どういう方法が感染拡大防止に役立つのかということをつぶさに解きあかして、それにはものすごいソフィスケーテッドな方法なんか要らないのですね。現場の人たちが記述していくことが極めて大事なので、そういうことのできる人材を増やしていくことも重要だと思います。
あまり長くなるとあれですけれども、もう一点、平時からの準備が大事である。これは全くそのとおりですけれども、警察や消防のように、平時からも火事や犯罪が起こる場合には、それに対応する人材を用意しておいて設備とかを準備しておくことは決して無駄には見えないし、国民の理解も得やすい。ただ、毎年のようにエマージングディジーズが発生していますけれども、今回のようなパンデミックが10年に1つなのか、50年に1つなのか、誰も予測ができない。
そういうときに、そういう緊急事態に備えたヒト・モノ・カネをどうやって平時に確保するのか、これは極めて難しい問題なので、それこそ自衛隊に金を注ぐ。いつ攻撃されるか分からない国の防衛にお金を使うのと同じような、あるいはそれを凌駕するようなことを考えていかないと、全てが働かないのではないかということを感じました。
すみません、最後にもう一点、水際対策についてです。いろいろな御意見がありましたけれども、水際が有効なのは感染の初期、拡大する前。それでもうまくいかない場合は多々あります。人の動きを止めるとろくでもないことが起こるので、そうすると、本当に水際というものが何のためにあるのか。一旦動き出すとずっと動いているわけです。今回も9月7日まで、今まで動いていた。そういうことで社会に対する機能不全を招きかねない方策なので、これは非常に慎重にやるべきだと私は思っています。
以上です。どうもありがとうございました。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、伊藤参考人、お願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部健康衛生担当次長の伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、感染症法の課題と対応について、地方の立場から6点述べたいと思います。
まず、1点目は、協定締結についてです。医療機関との協定締結に際しては、平時からの環境整備や人材配置、診療報酬の加算措置などの財政支援、さらには有事における支援制度の提示が必要になります。また、医療機関に対する減収補償や病床確保等に要する経費については、現在の新型コロナウイルス対応と同様に、国庫による負担が基本と考えます。法制化に伴い、仮に地方負担を求められる場合にあっては、枠組みの前提が国全体での大規模感染症対策となることから、災害時と同様の措置が必要であり、地方財政に配慮し、国庫のさらなるかさ上げなど、負担の極小化を図っていただくよう求めます。
2点目は、予防計画についてです。都道府県が策定する予防計画については、医療、検査、宿泊施設等の確保や、個人防護具等の物資に係る数値目標を定めることになっていますので、都道府県によってばらつきが出ないよう、策定する際に必要な基準や考え方等の早期の提示が必要です。
3点目は、自宅・宿泊療養についてです。仕組みづくりや運営など、都道府県等に多大な負担が生じることから、感染症の予防と患者の医療という感染症法の視点に立ち、どのような状況下で、どのように自宅・宿泊療養を運用するのか、前提条件の整理が必要です。
次に4点目、広域的な人材派遣についてです。新興感染症発生時には全国的に医療人材が逼迫することから、平時からの人材育成と余力を持った配置が必要です。また、国が応援の求めを行う場合において、都道府県とどのように調整を行うのか、あらかじめ整理が必要です。
次に5点目、検査体制の強化についてです。具体的対応案では都道府県等が民間検査機関等と協定を締結するよう示されていますが、民間検査機関は全国規模のところが多く、都道府県で偏在していることから、国による協定締結など、全国的な体制の確保をお願いしたいと思います。医師・看護師等以外の一部の者が一定の条件の下、検体採取やワクチン接種を行うことができる枠組みの整備に際しては、事前の研修などの体制整備も重要と考えます。
次に6点目、国と地方の役割について。都道府県等が行う各種協定や、予防計画に定める検査や備蓄体制など、いずれの取組においても大規模感染症という国家の危機に対応するものであることから、前提として国全体の計画や国自らによる取組についても、明確に法に定める必要があります。また、これを踏まえ都道府県等が行う取組については、平時からの対応も含めて、国において確実な財政措置を講じるよう検討願います。
以上6点申し上げましたが、最後に感染症への対応については都道府県等が果たす役割が大きいことから、制度設計に当たっては地方と十分に協議し、意見を反映いただくようお願いします。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、内田参考人、お願いします。
○内田参考人 よろしくお願いいたします。
まず、4ページの表ですけれども、これのフェーズに応じた対応というものを感染症法に位置づけると、最後のほうに書いている部分です。この部分について、対応の方向性や具体策をもう少し明確にすべきではないかなと思っております。具体的に申しますと、8ページ目、感染症に対応する医療機関の抜本的拡充の部分ですけれども、最初の頃の入院というのは、確かに感染拡大防止の目的の入院で、入院勧告といった強制入院的な側面が強いですが、まん延期に入ってまいりますと、どちらかといいますと、入院というのも医学的な必要性、例えば脳梗塞、脳出血や検査してみたら陽性だという方が多くなってまいります。
ということで、その入院というのは、費用負担としてという話ですが、現在は全て37条の条文を根拠に全額公費負担しておりますけれども、もうまん延期になれば、結核の医療の公費負担、つまり37条の2に準じた取扱いにしたほうがいいのではないかと考えております。
それから、まん延期の具体的な役割・対応等について協定を締結する相手方としまして、救急搬送を担当する消防機関も位置づけていただければいいかなと。実際、救急の入院調整等は地域で非常に問題となることが多いということもありますので、そう思っております。
続きまして、11ページ目の自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保等の部分でありますけれども、宿泊療養というのが今回、感染症法に位置づけられたわけですけれども、この宿泊療養の意義といいますか、法的位置づけといいますか、そういったものをもうちょっと明確にしていただいて。最初の頃は、多分、感染症拡大防止、まん延防止という目的だろうと思うのですが、今のようなまん延期の状況になりますと、宿泊療養によって感染拡大防止だけで優先順位が決められるのかといいますと、なかなか難しい部分がございます。ですので、これもフェーズに応じて検討が必要かなと考えておりますので、そういった部分の整理が必要ではないかと思います。
それから、自宅療養者や宿泊療養者の健康観察につきまして、協定によって医療機関が実施するということになりますけれども、委託契約という方式は、これは医療機関にとりましても、また行政機関にとりましても大きな事務負担となります。特に、感染者数が多くなってきた状況で、そういった委託契約を結ぶというのは、双方にとって非常に大きな事務負担となりますので、診療報酬とか公費負担といった対応とすべきではなかろうかと考えております。
それから、11ページ目ですが、食事の提供等の生活支援につきまして、市町村の役割等についても記載がございますが、これは災害時に準じて、市町村の災害対応部局でありますとか、あるいは福祉部局。災害時はそういったところが避難者の食料支援等に当たるわけですが、そういったところを実施主体とすべきではなかろうかと考えております。
最後、16ページ目ですけれども、検査体制の強化についてでございます。行政委託検査というものが現在、行われておりますが、これについては今も行政委託検査を新たに始めるという医療機関が出てまいりますが、医療機関、行政機関双方にとって、先ほどと同じですが、大きな事務負担となりますので、民間検査体制が整い次第、この行政委託検査というものは濃厚接触者とかに限定していただいて、それ以外の検査は全て診療報酬及び公費負担によって対応していただいたほうがいいのではないかなと考えております。
以上でございます。
○脇田座長 どうもありがとうございました。
続きまして、中澤参考人、お願いします。
○中澤参考人 中澤です。
細かい点に関しましては、もう委員の皆様から様々な御指摘があったので、私からは地方自治体の衛生行政の者として、法改正後も見込んでお願いも含めて申し上げたいと思います。
前回のときにも申し上げましたけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、今後、起こり得る新興感染症への備えは必要だと思いますし、皆様の御意見も含めて、今回の法改正に向けての議論や、事務局で整理していただいている案に関して、方向性は妥当と受け止めております。それで、今後、法改正などを行い、厚労省から地方自治体へ様々な連絡が発出されると思いますけれども、御説明いただいた案につきまして、自治体によっては既に実施している、もしくは取り組み始めているところもありながら、全くそうではない違う方策によって対応しているところもあります。
ですので、項目によっては今後新たに整備していくものも多く、どこの自治体も一様に押しなべて同じ作業を行うわけではないと推測される点が何点かあります。それで、既に取り組んでいる自治体などにおきましては、既存の事業と齟齬が出てくる場合には大幅な修正が余儀なくされることもあるかと思います。
一方で、現状として新型コロナは相変わらずまん延しておりまして、職員はみんなその対策に追われている中で、法改正にまつわる地方自治体の、例えば計画づくりであったり、様々な体制整備や物品の備蓄など、相当の負担が容易に想像できます。このため、地方自治体がしっかりと皆様の御期待と責務に対応していくためには、まず厚労省から地方自治体へ通知とか事務連絡などを発出される際には、厚労省もお忙しいことは重々承知しておりますけれども、五月雨式ではなく、また自治体のほうが時間的余裕を持てるように、さらに必要に応じて技術的支援であったり、十分な予算措置をお願いしたいと思いますので、その点をどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
続きまして、成田参考人、お願いいたします。
○成田参考人 東京都福祉保健局の成田でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、1から9のうち、3つの項目について意見を申し述べたいと思います。
最初に(1)、8ページに該当いたしますでしょうか、医療機関の抜本的拡充についてでございます。都道府県が医療機関と医療提供体制の確保に関する協定を締結する場合には、その前提といたしまして、救急医療や特殊な診療領域を含む通常医療との両立を図りつつ、新型コロナウイルス感染症の拡大期において確実に医療が提供できますよう、国において医療機関における環境整備や人材配置への支援、診療報酬の仕組みの整備など、必要な対応を行っていただければと考えております。
また、今後のインフルエンザの流行も見据えまして、もちろん実施にあたって必要な支援策を検討した上でというふうになりますでしょうが、全ての医療機関において発熱外来に対応できるようにしていただければと思っております。
そして、今回、東京都におきましては中等症以上の高齢者の入院が大変厳しい状況がございました。国立病院機構、地域医療機能推進機構など国所管の公的病院におきまして、中等症以上の高齢患者を積極的に受け入れていただければと考えております。
また、感染症は国全体での対応が必要となることから、地方自治体や医療機関等における感染症対策に関わる経費につきましては、責任を持って国において御負担いただければと考えております。
続きまして、14ページ、(4)保健所の体制についてでございます。こちらは、人命に関わるような緊急時の入院勧告・措置について、都道府県知事が保健所設置市・特別区の長に指示できる権限の創設を検討することに関して、東京都は感染症対応における都と保健所の役割分担を実態上整理いたしまして、自宅療養フォローアップセンターやうちさぽ東京など、健康観察フォローアップ体制を強化して広域的に対処してまいりました。緊急時には、都が行ってきた、こうした取組など、保健所設置市と都道府県知事が一体性・統一性をもって感染症対策ができる仕組みを構築いただければと考えております。
また、都道府県知事から保健所設置区市等に対する感染状況等の報告聴取及び情報共有について、法的な根拠を明確にしていただくこと、この2点についてお願いできればと思います。
最後に、(6)、17ページ、感染症データ収集に関するページでございます。今回、電カルを導入されている医療機関からも、HER-SYSと電カルの連動があったほうがいいというような声も多く聞かれました。医療機関における電子カルテシステムの導入を支援するとともに、電子カルテ情報の標準化を進めることにより、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)やワクチン接種システム(VRS)など、ほかのシステムとの連動性を図っていただきたいこと。
また、HER-SYS等のシステムの改善等に際しましては、自治体や医療機関等と十分な意見交換をお願いしたいこと。この2点についてご検討いただければと考えております。
以上となります。
○脇田座長 ありがとうございました。
委員の皆様、参考人の皆様から御意見いただきました。漏れはないかと思いますが、最後に私のほうからも意見を述べさせていただきたいと思います。私も5点ほどあるのですけれども、簡単に述べます。
まず最初は、ちょっと番外編なのですけれども、もちろん医療人材の教育というのは非常に重要だというお話が今、何名かの委員の先生方からありました。それとともに、一般の感染症教育の重要性というものを改めて申し上げたいと思います。感染者への差別・偏見であったり、それから、昨今はワクチンの間違った情報等がありますので、そういったものをなるべく正しく理解していくための一般への、あるいは子供たちへの感染症教育というものの重要性を示していただければと思います。
2番目に、DXです。こちらもサーベイランス、情報収集のところではDXの重要性というものがありましたが、公衆衛生対策へのDXの活用というところも重要だと考えていて、濃厚接種者の同定等にCOCOAがあるわけですけれども、これが十分に活用されているとは必ずしも言いがたい状況ですので、その公衆衛生対策でのDXの活用も進めていただきたいと思います。
3番目に罰則のことですけれども、今日も戸部先生、中山先生から言及ございましたが、前回の改正のときも、この罰則の導入というのはかなり注目されますし、議論の対象になるのですね。ですから、今回も協定のところであったり、水際のところで罰則ということがありますけれども、その必要性であったり、妥当性というものを十分に示していただきたいと思います。
それから、前回の改正のときにも一部導入されたところがありますので、そういった前回の導入されたものの妥当性など、これまでの検証もやっていただければと思います。
それから、15ページ、検査体制のところでは、初期を思い起こすと、検体の輸送体制の確保というところがうまくいかなくて検査が進まなかったということもあるので、初期の検体輸送体制の確保というところも書き込んでいただければと思いました。
最後に、17ページで、研究環境の整備というところがあります。これは、今、ワクチンの研究開発に関しては、SCARDAが設立され、フラッグシップ拠点等も開始されて開発研究が進んでいるところですけれども、ワクチンだけで感染症対策ができるわけではないので、治療薬・診断薬の研究開発が非常に重要です。一方で、そういった治療薬・検査薬の研究に関しては、いまだに1年ごとの研究費ということになっています。ですから、これもワクチン研究開発と同じように、基金を使って、複数年度にわたる研究がじっくりとできる体制が望ましいと考えています。
もう一つ、基礎研究が重要だということは、多分皆さん同意していただけると思うのですけれども、臨床研究や比較研究が非常に重要だということになっていますが、感染症の基礎研究が重要であるということをぜひ強調しておきたいと思います。
私のほうからは以上になります。ありがとうございました。
それでは、今、縷々意見いただきました。どうもありがとうございました。一部質問もあったと思いますが、事務局から質問事項に関して、もしコメントがあればいただいておこうと思いますが、そのほかは法改正に関して、おおむね方向性に関しては同意できるといった意見が多かったと思います。それに加えて、こういったポイントを進めてほしいといった意見が多かったと思いますので、事務局から提案された方針についてはおおむね賛成ということで問題がないかなと感じました。
事務局のほうから何かありますか。
○石塚検疫所業務課検疫対策戦略官 検疫所業務課の石塚でございます。
21ページの水際対策の関係で、罰則に係る待機状況の報告に応じない場合等の「等」は何を示すかという御質問があったかと思いますけれども、これにつきましては、虚偽の報告をした場合ということを想定しているところでございます。罰則につきましては、縷々他とのバランスなど踏まえながら、重さについては検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
その点だけでよかったですか。よろしいですか。
それでは、事務局におかれましては、法律の提出に向けた作業ということになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
さらに追加の御発言、もしどなたかあればと思いますが、よろしいですか。
それでは、本日の感染症部会単独開催の議題は以上になります。一度事務局にお返しいたします。
○堤結核感染症課長補佐 事務局でございます。ありがとうございました。
引き続き、基本方針部会との合同会議を行います。オブザーバーとして御参加いただいた参考人の方々につきましては、御退室いただいて構いません。
順次、基本方針部会の委員に御入室いただきますので、しばらくお待ちください。
(委員待機)
○堤結核感染症課長補佐 お待たせいたしました。それでは、基本方針部会の委員の御入室が済んだようでございますので、基本方針部会について、改めて出席状況の御報告をさせていただきます。御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえまして、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事いただければと思います。
五十音順に、伊藤委員。
釜萢委員。
神谷委員。
川俣委員。
白井委員。
中野委員。
中山委員。
宮入委員。
脇田委員。
なお、池田委員、磯部委員、坂元委員からは御欠席の御連絡をいただいております。
また、感染症部会の委員につきましては、途中退室はございません。
現在、感染症部会18名のうち15名に御出席いただいており、基本方針部会委員12名のうち9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の合同会議は成立したことを御報告いたします。
それでは、議事を進めていきたいと思います。ここからは脇田座長、よろしくお願いいたします。
○脇田座長 それでは、第2部に入りますので、よろしくお願いします。第2部の議題は「季節性インフルエンザワクチンについて」ということで、これはこれまで2シーズン、インフルエンザの流行はほとんどなかったのですけれども、今シーズンはインフルの流行も予測されているというところでありますので、その対策ということになります。
まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○稲角予防接種担当参事官室専門官 事務局でございます。
資料2を御覧ください。
まず、2枚目の資料になりますけれども、先ほど脇田先生がおっしゃったとおり、ここ数年、過去10年間、インフルエンザの流行状況につきましてでございます。過去2年間はインフルエンザがずっと報告されていないような状況でございます。
続きまして、3枚目でございますけれども、ワクチンの供給量をお示しさせていただきたいと思います。一番右側にございますとおり、ワクチンにつきましては、今年、約3500万本の供給が見込まれてございます。これは、成人に換算しますと大体7000万回分ということになります。この量は、記録が残る中という留保をつけておりますけれども、過去最大という状況でございます。
4枚目のスライドを御覧いただきますと、ワクチンが週次でどれだけ累積で出荷できることになっているかというのをお示ししたものになります。御覧いただけますように、9月5週、下の注2に書いてございますけれども、9月30日時点で大体1670万本のワクチンが出荷できる状況でございまして、それ以降も、10月の第2週ぐらい、10月半ばぐらいになりますけれども、2500万本ということで、ワクチン自体は供給が早いという状況でございます。
1枚目に戻っていただきまして、上の箱にございます点を御説明させていただきます。今シーズンは、先ほども御説明しましたように、ワクチンの供給量自体がかなり多い状況でございます。一方で、南半球のオーストラリアで例年よりも数か月早くインフルエンザの流行が確認されたということ。また、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ感染症というのは、どうしても発熱といったもので症状が似ていることもございますし、医療負荷を軽減したいということもございますので、ワクチンの接種が重要だということを感染症学会からも御提言としていただいているような状況でございますので、ワクチンの需要自体は高まる可能性があろうかと思っております。
また、2点目でございますけれども、先ほど申し上げましたように、供給量はこれだけでございます。
3点目、先ほどの4枚目でお示ししましたように、ワクチンにつきましてはかなりの量が10月から出ます。具体的に申し上げますと、10月1日の時点では1670万本ぐらい出荷可能ということでございますので、65歳以上の高齢者の方、3600万人から3700万人ぐらいいらっしゃいますけれども、その9割ぐらいの方が1回ずつ接種できるよう、初めから出荷できている見込みであるという状況でございます。
これを踏まえまして、以下の対応を取ってはどうかということで、この点、本日御議論いただきたいと思っております。
1点目が、参考というところにございますけれども、インフルエンザワクチンは予防接種法上、B類疾病になっておりますので、接種の関係では努力義務もございませんし、接種勧奨の対象になっていない状況でございます。一方で、過去2年はインフルエンザがはやっていないということですとか、海外でインフルエンザが例年より早くはやっていることもございまして、感染症学会からはちゃんとワクチンを接種したほうがいいのではないかという御意見をいただいております。
ですので、感染症対策といたしまして、ワクチンの定期接種の対象者の方。要するに、ワクチンは重症化予防効果が一番高いというのが主な目的になりますけれども、その効果が高い方々で希望される方には、ちゃんと接種の機会を逸することのないように接種の呼びかけをしてはどうかということを御提案させていただきたいと考えております。
2つ目のインフルエンザワクチンの供給に係る対応につきましては、下の※で記載しておりますけれども、先週のワクチンの研究開発部会のほうで既に議論を終わらせておりますけれども、ワクチンの効率的な使用につきましては、例年どおり医療現場へ働きかけるという方向で御議論いただいている状況でございます。
ちょっと補足になりますけれども、その生産・流通部会で呼びかけの関係で幾つか御意見が出ておりますので、御報告させていただきますので、適宜御参考にしていただければと思います。
1点目は、ワクチン自体はかなりの量ができておりますので、希望者が順次接種していただけるような量が確保できているのではないかという御意見。
また、2点目、重症化予防効果が高い方への呼びかけにつきましては、そういうことが考えられるのだけれども、その他の方に待ってほしいと言うのは適切ではないのではないか。2年前、10月1日から、高齢者のうち希望される方は早期に接種してほしい。それ以外の方は10月26日まで待ってほしいという呼びかけをしましたけれども、2年前、そういう予約を断るとか、そういったことが大変だったということでございますので、そういう御意見がございました。
また、3点目といたしましては、接種促進に関連いたしまして、同時接種が可能になったこと。コロナのワクチンとインフルエンザのワクチンにつきましては、同時接種、接種間隔の規定がなくなったことについても周知していいのではないかという御意見があったところでございます。
事務局からは以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
インフルについてですけれども、現在の状況としては、世界的にインフルエンザに対する免疫状況が、ほぼ2シーズン流行がないことによって免疫状態がかなり落ちているということがあって、それで、今、行動規制がかなり取れてきて、インフルエンザの流行が南半球から始まっている。さらに、免疫状態も影響していると思いますが、例年よりも早く始まっているという状況がある。それで、日本でも聞くところによると、そろそろレベルが上がってきているのではないかという御報告を受けるところであります。したがいまして、今のシーズンの状況としては、一定規模の流行があるのではないか。それも、さらに例年よりも早く始まる可能性もあるというところだと思います。
それで、今シーズンのインフルエンザワクチンの供給の見通しですけれども、例年より多めのものが早めに供給されるというところで、接種の呼びかけをどう考えるかという御提案です。まずは65歳以上の方に、希望する場合には接種の機会を逃すことのないように呼びかけをするということ。それから、供給の取組としては、昨年と同様の効率的な使用。13歳以上に関しては、原則1回の注射にしてもらう、あるいは必要量を購入してもらうお願いをするというところでありました。
さて、それでは、委員の皆様から御意見いただければ。いかがでしょうか。
まず、中野委員、宮入委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。
まず、インフルエンザが今シーズン流行するかどうか、それはシーズンが開いてみないと正直分からないと思いますけれども、諸外国の状況を見ると、人の移動とかが国際間も含めて増えてきておりますので、万全の予防を尽くしておくことは非常に必要なことで、希望者に対して呼びかけをすることに賛同いたします。
また、昨年までと同様に、効率的な使用に心がけていただく。それについても賛成でございます。
また、新型コロナとの同時接種ができるようになったということも、接種の機会を確保するという観点からも非常に賛成でございます。それに関して、1点、番外編みたいなコメントになって恐縮なのですけれども、どうしても65歳以上の方々、定期B類としてのインフルエンザと新型コロナを同時に打ったり、数日の間隔で打つケースも出てくると思うのです。
そこで定期B類について、ちょっと考えてみたのですけれども、定期B類の場合、インフルエンザの定期接種で接種後2日以内に発熱の見られた者、及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者には、インフルエンザワクチンの接種を行ってはならないということが実施要領に記載してありまして、今年、もしインフルエンザワクチンを打って2日以内に発熱とか急性アレルギー反応が起こると、次の年から、その方が接種を希望されたにしても、定期B類としては接種できないと、現行の規定だとそのような運用になってしまうかもしれないと思っています。
これは、接種を希望する国民の皆様に有効な予防の手段をしっかり届けるという観点からは、非常にうまくいかないような気がいたします。新型コロナのワクチンは、ほかのワクチンに比べて発熱率とか急性アレルギー反応の頻度は高いと思います。ただ、恐らく定期B類の決まりは、定期の2類が始まった頃から運用されているものと思いますので、インフルエンザワクチンそのもので少し発熱したり、発疹が出ることももちろんないわけではありませんが、そういう方々が2日以内に起こったから、次の年に接種してはいけないという対象では、医学的にはないケースが多いと思います。
ですので、もしかしたら検討しなければならないのは次年度以降かもしれませんが、今年から同時接種とか短い間隔での接種というのが通常に行われるようになると、検討したほうがいい事項なのではないかと考えております。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございます。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
私も、提示いただいた方針については2点とも賛成です。1つ質問と1つコメントがあります。
1点目は、呼びかけという記載がありますが、具体的に何をするのかということ。
もう一つは、先ほど中野先生がおっしゃったところともかぶりますが、新型コロナワクチンとの同時接種において発生した有害事象の取扱い、先行したワクチンによる発熱で次のワクチンの接種が受けられなくなる可能性についての説明等が必要かなと思いました。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
続きまして、伊藤委員、谷口委員の順番でお願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
生産・流通部会を担当しておりまして、そのときの議論を参考に御説明させていただきたいと思います。
昨年は製造用のフィルターがコロナ関連で不足しておりましたが、今年は不足が解消したのと、ワクチン生産ロットが増えたということで、順調に生産量が増えたので。シーズン最初から比較的潤沢なワクチンがあると思っておりますが、コロナワクチンとの同時接種を可能にしたことと、オーストラリアはシーズンの初期の頃に増えたというところから、今回、不足する可能性もあるのではないかという議論があって、提案として、インフルエンザワクチンの適切な供給・購入をお願いしたいし、13歳以上は1回接種でということでお願いすることになったのだと思っております。
一方、過去の反省材料として、シーズン当初に不足する懸念から、高齢者の方々に優先するために、それ以外の方に接種の延期をお願いしたことで医療現場に大変負担がかかったということから、今年は、そういうことなく粛々と皆さんに接種していただけるようにすることも含めて、事務局からの提案をに対して了解したところです。
生産・流通部会の議論も含めての御報告をさせていただきました。以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
谷口委員、お願いします。
○谷口委員 谷口です。ありがとうございます。
御提案につきましては賛成させていただきます。
ただ、先ほどのお話にもありましたけれども、割と潤沢なワクチンが出てくるようですので、余りいろいろな制限というのはつけていただかないほうが、医療機関としてはやりやすいなと思っています。
あと、もう一つ、当県のサーベイランスだと、インフルエンザの陽性率が少しずつ上がってきて、先週は四日市保健所だと45件の検査があって、そのうち3件が陽性になっていますので、徐々に上がってきています。一方で、オーストラリア、夏にかなり流行しましたけれども、どのぐらいキャプチャーしているかにもよるのですけれども、コロナとインフルエンザのノーティフィケーションの数を見ますと100倍くらい違うのです。そうすると、これは日本でも今後早く出てきますし、それも地域差がありますので、そういった情報提供を地域ごとにきちんとしていただいて、リスクアセスメントをしていただくことが大事かなと思います。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
神谷先生、どうぞ。
○神谷委員 感染研の神谷です。
私も方針に関しては賛成なのですけれども、インフルエンザが過去2シーズン、はやらなかった1つの要素として、ワクチン接種だけではなく、個人レベルでの感染対策など、ほかの対策がいくつも重なって実施されて、インフルエンザの流行しない2シーズンあったと思いますので、ワクチン接種の呼びかけだけではなくて、それに併せてほかの対策も実施するということを一緒に呼びかけていただきたいなと思います。
それから、同時接種の場合、先ほど中野委員からもお話があったように、長期的なことを考えると、同時接種で発熱でがあった場合、翌年以降のインフルエンザワクチン接種の不適当者になってしまうという点をどのように対応するかというところ、あるいは、宮入委員がお話しされたように同時接種で生じた副反応の救済制度はどのようになるのか、そういった疑問点をある程度はっきりされた上で、呼びかけを行わないと、接種したはいいけれども、その後混乱が起きかねないと思います。Q&Aの作成など現場での混乱が生じない環境を整えることを呼びかけと同時にやっていただきたいなと思っております。
よろしくお願いいたします。
○脇田座長 ありがとうございました。
取りあえず、ここで一区切りさせていただいて、中野委員、宮入委員、神谷委員のほうからは、ワクチン接種によって、2日以内に熱が出たり、急性発疹等が出たときに、どのように対応するのかというところ。
それから、同時接種における有害事象の取扱いをどうするかということ。
あと、呼びかけの内容について、宮入委員からは具体的に何をするのか。神谷委員のほうからは、ワクチン接種だけじゃなくて、インフルエンザ対策の呼びかけもするべきではないかということ。
そして、伊藤委員からは、生産・流通部会の議論の内容の御報告があり、谷口委員からは、余り制限をつけないようにしていただきたいということと、情報提供が重要ですねというお話がありました。
事務局からレスポンス、何かいただければと思いますが、いかがでしょう。
○稲角予防接種担当参事官室専門官 予防接種担当参事官室の稲角です。どうもありがとうございました。
まず、中野先生からいただきました定期B類の関係で、高齢者の方が発熱したら、今後定期接種できないのではないかという点でございますけれども、御指摘の点、事前に先生から御指摘いただきまして、こちらでもこの検討が必要だと考えておりますので、対応についてはちょっと考えさせていただきたいと考えてございます。
また、宮入先生からございました、有害事象が出て救済がどうなっていくのかという部分でございますけれども、基本的には予防接種法に基づく特定臨時接種の救済のほうで、まずはどういうルートを使って評価していくことになるのだろうと思ってございますけれども、その辺も分かりやすくQ&Aでお示ししていけたらと考えてございます。
また、宮入先生からございました、呼びかけは何をするのかという点でございますけれども、一昨年のようにリーフレットみたいなものを作ることを想定しており、厚労省のほうから発信させていただきたいなと考えてございます。
あとは、神谷先生からございました、呼びかけの際に基本的な感染症対策も重要だという点、これは御指摘のとおりだと思いますので、併せてリーフレットを作るときに検討させていただければと考えてございます。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございます。
一方で、供給のところで、13歳以上の方は原則1回とか、医療機関が要請するときに必要量、ワクチンを購入してもらうみたいな話ですけれども、谷口委員からは、なるべく制限をつけないでいただきたいという御意見もあったところでした。
そのほか、意見ございますでしょうか。委員の皆様、いかがですか。御提案に対しては、今、皆さん、意見いただいた先生方は賛成と。その上で注文が幾つかということでしたが。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
1点だけ。これは今すぐにということではないかもしれませんが、13歳以上は1回ということで、これは国内の添付文書、決まり等に基づいて記載いただいていると理解しています。2年前にもインフルエンザワクチンをお勧めいただいたとき、諸外国ではもっと低い年齢から1回接種でオーケーということが参考資料として、たしか厚生労働省から会議の資料としてつけていただいたと思います。
これは、本来はエビデンスに基づいて、いろいろ構築した上で、国としてどうするかを決めることでございますので、すぐにこの場でどうということではないのですが、もしワクチンの供給が希望者全てに行き渡らないという場合、決して13歳ではなくて、学童の年齢で1回でもいいという世代がある可能性が高いのだということは、私たちは念頭に置いておいてもいいと思っております。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。今後の検討課題ということでよろしいですかね。ありがとうございます。では、その点も事務局、よろしくお願いいたします。
谷口先生、お願いします。
○谷口委員 すみません、先ほど中野先生のおっしゃいましたこと、とても大事なことだと思っていて、うちなんかは、重心とか、ずっと毎年打っている方が見えて、いつも毎年2回だとお金がかかって困りますという話ももちろんある。厚労省さんには流行予測調査事業というものがありまして、あれに入っていただくと、プレの抗体が測れます。プレが陽性ですと一応プライミングができていると考えて、うちは7歳でも8歳でもプライミングができている場合には1回にしています。そういったことも考えていっていいのではないかと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。特に毎年接種していただいている小児の子供たち、そういった抗体の調査に参加していただいているようなところでは、抗体陽性が分かっていれば1回ということでもいいのではないかといった情報提供でありました。よろしいですか。私もこの御提案には、基本的に賛成させていただきます。
それでは、ただいまの事務局からの御提案に関しては、おおむねこの方向性で皆さん賛成いただける。その上で、委員からの御意見を参考にしていただいて進めていただければと思っております。ありがとうございました。
それでは、議題は以上になりますので、事務局にお返ししたいと思います。
○堤結核感染症課長補佐 事務局でございます。
御議論いただき、ありがとうございました。
委員の皆様の御意見を踏まえまして、引き続き進めさせていただきたいと思います。
この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。また、次回につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日は、お忙しい中、また長時間御出席いただき、誠にありがとうございました。
○脇田座長 委員の皆様、今日もお疲れさまでした。ありがとうございました。