令和4年度第7回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和4年7月27日(水) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので「令和4年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
 本日御出席の先生方、また、参考人の先生方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載いたします。また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。
 先立ちまして、進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした際は、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
 その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等おかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。
 事務局からは以上です。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 今回もウェブ開催ということで、事務局から御説明がありましたが、これまでの御説明に御質問、御意見等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 本日の委員の出欠状況ですが、6名中6名の委員に御出席をいただいております。薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
 続きまして、本日、参考人として参加いただく先生方を御紹介させていただきます。
 議題1「一般用医薬品の『濫用等のおそれのある医薬品』の範囲見直しについて」の関係で、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長の嶋根卓也先生、日本OTC医薬品協会安全性委員長の山本圭一様に御出席いただいております。
 以上になります。
○岡座長 ありがとうございます。
 続きまして、審議参加に関する遵守事項について、御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員の先生方につきまして、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
 報告は以上になります。
○岡座長 ただいまの事務局から説明に対し、御意見、御質問等はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料はあらかじめお送りさせていただいておりまして、議題1に関して、資料1、参考資料1及び参考資料2がございます。このほか、議事次第・資料一覧及び委員・参考人名簿がございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
 なお、資料は厚生労働省のホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されていらっしゃる方は、そちらを御参照いただければと思います。
 以上になります。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
 それでは、議題1「一般用医薬品の『濫用等のおそれのある医薬品』の範囲見直しについて」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1「一般用医薬品の『濫用等のおそれのある医薬品』の範囲見直しについて」を御覧ください。
 まず「1.経緯」です。
 平成25年薬事法改正において医薬品販売制度の見直しが行われ、「濫用等のおそれのある医薬品」として、1ページ目の(参考)に記載しておりますとおり、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンの6種類を指定しました。これらのうち、コデイン、ジヒドロコデインは鎮咳去痰薬に限り指定されており、メチルエフェドリンは鎮咳去痰薬のうち内用液剤に限り指定されています。
 医薬品は、用法・用量等を守り適正に使用いただくことを前提にしてはおりますが、これらの成分を含む一般用医薬品の販売等をする際には、薬局開設者、店舗販売業者及び配置販売業者はリスク区分に応じた情報提供等に加えて、購入者が若年者である場合の氏名・年齢の確認、他店舗での購入状況や購入理由等の確認、販売時の数量の制限(原則として一人一包装単位)を行っています。
 令和元年度に、本日、参考人として御出席いただいている国立精神・神経医療センター精神保健研究所薬物依存研究部の嶋根卓也先生を研究代表者として実施した、厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)、以下、令和元年度厚労科研と称しますけれども、において民間の依存症支援団体利用者を対象とする依存実態の再解析及び追加調査が実施されており、この調査の中で、一般用医薬品の濫用による薬物依存が報告されました。報告書を参考資料1として添付しておりますが、内容は次の項目で御説明いたします。
 本日は、ただいま御説明した経緯と、昨今の使用実態等を踏まえ、「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲について検討をお願いしたいと思います。
 資料1の2ページ目「2.一般用医薬品の濫用による薬物依存の実態について」説明いたします。
 ●の1つ目が、経緯でも御説明した、「令和元年度厚労科研について」です。
 令和元年度厚労科研において、薬物依存の民間支援団体であるダルク利用者を対象として、一般用医薬品の依存症例の実態を把握することを目的とした調査を実施しています。参考資料1の10ページからが、当該研究の報告書ですので、あわせて御覧ください。
 本調査では、一般用医薬品のうち、主たる依存の対象として、ジヒドロコデイン及び/またはメチルエフェドリンが含まれる鎮咳去痰薬のみならず、同成分を含んだ総合感冒薬の依存症例が報告されています。なお、解熱鎮痛薬が1件報告されていますが、「濫用等のおそれのある医薬品」の成分であるブロムワレリル尿素を含むものでした。これらの結果は、参考資料1の23ページ、「表5.調査対象者の主たる依存対象となっていた製品名および成分」にございます。
 また、本調査では、一般用医薬品の「入手しやすさ」や「合法性」が高い再使用率につながっていると考察されているほか、大麻などの「違法薬物の使用歴がある」ことも特徴として挙げられています。こちらは、参考資料1の16ページ「2.新たに明らかになった特徴」に記載がございます。
 続いて、資料1●の2つ目、「公益財団法人日本中毒情報センターの分析について」です。報告書は、参考資料2になります。
 依存症患者に限らない実態を広く把握することを目的として、2017年~2021年に急性中毒に関する電話相談等を応需している公益財団法人日本中毒情報センターに寄せられた相談のうち、一般用医薬品を意図的に過量摂取した事例について、集計及び分析を行いました。
 寄せられた相談内容を、薬効分類ごとに整理した結果、解熱鎮痛薬が389件と全体の33%を占めましたが、令和元年度厚労科研で主たる依存の対象とされたかぜ薬(総合感冒薬)が210件18%、鎮咳去痰薬についても176件15%と多く確認されています。
 参考資料2の9、10ページに、薬効分類ごとに整理した結果を示しています。
 これらのかぜ薬(総合感冒薬)の中には、鎮咳去痰薬に限り、「濫用等のおそれのある医薬品」として指定しているジヒドロコデイン及び/またはメチルエフェドリンを含むものが見られました。また、メチルエフェドリンを含有する製剤については、内用液剤以外の剤型の鎮咳去痰薬及び総合感冒薬が含まれました。
参考資料2の15ページからの表において、相談内容の詳細を薬効分類、製品ごとに整理しています。各製品に、どの「濫用等のおそれのある医薬品」の成分が含まれるか示しており、本調査で確認できなかったエフェドリンとコデインを除く4成分を含有しているものについてはオレンジ色で●がついています。鎮咳去痰薬については17ページ、かぜ薬(総合感冒薬)については16、17ページになります。
 資料1の3ページ「3.対応(案)」になります。
 鎮咳去痰薬に限っているコデイン、ジヒドロコデイン及びメチルエフェドリンについては、鎮咳去痰薬に限らず総合感冒薬の依存症例が報告されていることから「鎮咳去痰薬に限る」との限定を外してはどうか、加えて、メチルエフェドリンを含有する製剤については、内用液剤以外の剤型においても濫用の実態が報告されたことから「内用液剤に限る」との限定も外してはどうか、としております。
 改正案としては表に示したとおりです
 説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本日お二人の参考人に御出席をいただいておりますので、御意見をいただきたいと思います。まず、嶋根参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○嶋根参考人 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの嶋根と申します。ふだんは薬物依存に関する研究を担当しております。
 先ほど事務局の方から御説明があったとおり、当センターでは、薬物依存からの回復を目指している施設でありますダルクというところに入所している方々を対象とした調査をさせていただきました。それによりますと、OTC薬を主たる依存対象とする症例が21症例ありまして、この方々で可能な限り連絡を取って、また、再調査ということでインタビューをさせていただきました。
 それによって分かってきたことなのですが、いわゆる鎮咳去痰薬のみならず、総合感冒薬なども依存の対象になっているということが分かってきておりますので、現状のこの6成分において、例えばジヒドロコデインに対して、鎮咳去痰薬に限りという例外規定を設けていること自体が、実態に即していないのではないかと私たちは考えております。ですので、今回のこの見直しについて御審議いただけるということで大変ありがたいなと思っているところです。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 続きまして、山本参考人より御意見をいただきますでしょうか。
○山本参考人 ありがとうございます。日本OTC医薬品協会安全性委員長を務めております山本圭一と申します。
 嶋根先生の研究報告、それから、紹介のありました日本中毒情報センターの分析結果からも、かぜ薬の一部の製品が濫用の対象になっているということが分かります。OTC医薬品の濫用問題についてちょっと振り返りますが、今から30年ほど前、せき止めシロップの一気飲みといったものが問題になりました。そのときは濃度を薄める、あるいは味を苦くする、処方を変更するなどの措置を取ることによって、一度沈静化しました。
 時代が平成になり、濫用の対象がシロップ剤からせき止めの錠剤に広がり、鎮咳去痰薬を中心として現行の6成分が、平成26年に濫用成分として指定されたという流れになっております。
 時代が令和になり、先ほど報告があったとおり、同成分を含むかぜ薬まで、現在対象が広がっているといったような状況かと考えております。
 医薬品の適正使用を推進していく、あるいはさらなる濫用の拡大を防止していくという意味で、日本OTC医薬品協会としましてもなんらかの措置を取っていく必要があるだろうと考えております。しかしながら、嶋根先生をはじめとする専門家の先生方からの御意見として、「規制を強化してもなかなか根本的な解決には至らない。その背景にある若者の心の問題にしっかり目を向けていく必要がある。」と口をそろえておっしゃっておられます。
 供給側の措置として、規制をしっかり強めていくということが必要と考えておりますが、一方で、家庭内に居場所がない、あるいは生きていくことが辛い、SNSの中にしかよりどころがないといったような若者を増やさないための対策、これを講じていくことも必要ではないかと強く感じています。
 確かに一部の若者の間でOTC医薬品の濫用が認められておりますが、国民の大多数はOTC医薬品を適正に使用して軽度な症状を御自身で手当てしているのも事実です。適正に使用している多くの国民が、ごく一部の不適正な使用に対する規制の強化によって、不安感や不利益を被らないように、各方面の方々の慎重な対応をお願いいたします。
 それから、現行6成分のうちの1つメチルエフェドリンについてですが、現在の指定として「鎮咳去痰薬のうち内用液剤に限る」とされておりますが、外用剤について1点だけ御意見をさせていただきます。
 今回薬効群や剤型の縛り、条件を外すことで、結果として外用剤も含まれることになりますが、一部の一般用医薬品において外用剤にも指定成分が配合されております。
 嶋根先生の先ほどございました研究報告や、同センターの松本俊彦先生の「全国精神科医療施設における薬物精神神経疾患の実態調査」等の報告を拝見しますと、一般用医薬品の外用剤が、頻回購入とか濫用の対象として使用されている実態はなかなか浮かび上がってこないように思います。
我々としましても、ここまで規制する必要があるかという根拠についても見いだせておりません。外用剤にまで規制を広げることが効果的な措置であるのか、その辺りも含めまして、委員の先生方に御議論をお願いできればと考えております。
○岡座長 以上でよろしいでしょうか。
○山本参考人 はい。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本件につきまして、委員の先生方から御意見、御質問等をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 平成25年の改正のときに、そもそも今回検討している3つの成分について、鎮咳去痰薬に限るとか、内用液剤に限るという設定された根拠といいますか、何か理由がありましたら教えていただけますでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 事務局ですけれど、鎮咳去痰薬に限るとした根拠につきましては、平成25年の薬事法改正にて、濫用のおそれのある医薬品に関する販売ルールを設定したところですが、これに基づきまして、平成26年2月に開催された安全対策部会で、これまで通知等で規制されていた成分を統合するという観点から見直しがなされて、6成分を「濫用等のおそれのある医薬品」として指定しているという経緯がございます。
 以上です。
○岡座長 今の御質問は、その物質を指定したことは分かるのだけれども、鎮咳去痰薬に限るとしたのはどうしてかという御質問だったのですけれども、そこは今は分からないでしょうか。
○事務局 その当時に通知されていたものが、鎮咳去痰薬に限るとなっていたので、そこから来ていると思われます。その当時に濫用されていたものが、鎮咳去痰薬が多かったということだと思います。嶋根先生、いかがでしょうか。
○嶋根参考人 私どものセンターでは、2年に1回、全国の精神科医療施設を対象とした調査をやっておりますので、その当時、例えばかぜ薬などでの濫用症例が報告されていたかどうかは、今即答できないですが、調べていることはずっと調べております。ちょっとお時間をいただければ、過去にさかのぼって情報を出すことはできます。ただ、感覚としては、昔からそういった患者さんはいたなという感じです。統計として出ているかどうかではなくて、通常、普通にいたなという感じです。
○岡座長 よろしいでしょうか。
 細かいいきさつは把握は難しいけれども、実際上そういう方が当時いてということからかと理解します。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 実際にほかのかぜ薬とかでも同じ成分を含むので、濫用のおそれがあるということで、今回、限るというのを外すというのは、先ほどお話がありましたように、外用剤までというのは、よく検討が必要なのかもしれませんけれども、実際に濫用されているほかの医薬品が含まれるように、鎮咳去痰薬に限るなどは外すのがいいのかと思うのです。実際、そうしますと、対象の医薬品がかなり増えることになるのかと思うのですが、そういった場合に、いろいろな薬局さん、ドラッグストアさんで対応をされるときに、販売記録をつけるとか、近隣の薬局さんと情報共有するとか、そういった手続上、現実的に可能なのでしょうか。かなり数が増えたときに、いろいろな対応が難しくなってくることがあるのかと思うのですけれども、現実的に可能といいますか、何か工夫される点とかがあるのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
 実際の規制の情報提供に加えてという、マル1からマル3を実施するに当たって、どの程度の現実的な問題があるのかということですけれども、事務局のほうはいかがでしょうか。
○事務局 御質問、ありがとうございます。
 現在も「濫用等のおそれのある医薬品」の成分については、薬剤師さんや登録販売者さんが、売っている商品について、お調べいただいて御指導いただいているところと思います。今回、かぜ薬にも範囲を広げるのですけれど、同様に売っている製品の情報を確認して対応いただくということは、現実的に可能だと思っております。
 以上です。
○岡座長 そのほかはいかがでしょうか。
 柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
 先ほど、参考人の先生から、メチルエフェドリンの外用剤まで加えるのは、少し規制のし過ぎではないかという御意見をいただいたのですが、外用剤を加えることによって、患者さんのアクセスが落ちるとか、特段の不都合というのはどういった点があるのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
 これは山本参考人にお答えいただいてもよろしいでしょうか。もしよろしければでいいですけれども。
○山本参考人 製品群としてはそれほど多いわけではございませんが、実態として、濫用の事実が我々のほうでも確認できておりません。主な製剤としましては痔疾用剤の数が多くなっていますが、果たしてそこまで規制をかけていく、広げていく必要があるかという意見が、協会内でも出ております。
○柿崎委員 分かりました。
○岡座長 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 先ほど山本参考人がお話をしていたように、この問題というのは、根本的には10代、20代の心の原因だったり、社会情勢の不安定さを反映しているものであります。そこについてはそのとおりなのですが、先ほどまでの議論のように、このメチルエフェドリン関係についての外用剤も全て対象に入れるべきかと私は思っています。
 理由は、これまでの参考資料とかを全部読みますと、もともと粉があって、粉から錠剤ができて、錠剤がすごく簡便で使いやすくなって、これからそういった部分の規制を全部していくと、坐剤、軟膏に入っているメチルエフェドリンのことについても、本当に依存があって必要であれば、やはり何かしら使おうとする行動原理に入っていくと思うのです。そういうところからすると、少しずつ制限するのではなくて、一度幅広く制限を全般的にしていただいて、いたちごっこみたいな形にならないことがいいのかなと思っています。
 この審議の前に少しだけ調べた中でも、次はセルフメディケーションとしてのアクセス制限が変に偏らないかという部分については、この痔の薬としての部分では、0.5%から1%メチルエフェドリンが入っていまして、高濃度に、坐剤を濃縮して使うとかということとかがなければ、さほど大きな問題にはならないのかなと思っていますけれども、基本的にインターネットとかで先ほど調べた中では、実際に痔を、評価を自分でするときに、5日間とか10日前後みたいなことがOTCの指導箋に書かれています。1箱となったときに、1箱の販売包装単位が10個から20個なので、販売制限を箱とかにかけたとしても、治療の評価タイミングに、また買いに行かなければいけないということは特段ないのかなと、大体の痔の坐剤については、そういうことを確認させていただきました。
 よって、セルフメディケーション自体を、必要な人に制限が二度手間になることもなく、濫用の部分としては、しっかりと薬局のほうで指導等をしていただけたらと思っています。
 ただ、やはり希望は、嶋根先生等の報告書の中にもありますように、インターネットの規制が全然かかっていないなというのが、正直今日までもいろいろ見た中でも、全然かかっていないほうが実態でして、もう一つは、薬局でも、正直言って、私は必要なのだと言ったら販売してしまうケースもよく見られるということも書かれているケースも含めると、やはり表示には、個人的には、これは1箱までとか、逆に花粉症の時期に、2箱、3箱セットで買えますみたいなことの、正直販売のほうがすごく強くて、ドラッグストアの表示には、やはり、もう少ししっかりと規制とか表示をしていただいたほうが、行動制限にはつながるのかなとは思います。その表示については、事務局等やOTC協会の中で、何か今後強化する動きというのはあるのでしょうか。まず1つ、インターネットと表示のことについてお伺いしたいと思います。
○岡座長 事務局、表示のほうについて何かお考えはあるでしょうか。
○事務局 事務局から販売について少しだけコメントさせていただきます。
 販売については、これは販売制度のルールがございまして、インターネット販売もルールに定められており、それに従っているということだと思われます。そこがちょっとどうかという議論があるのであれば、それは、また、この場での議論とは違うところになると思います。セクショナリズムなことを言うつもりは一切ないのですけれども、そこは、かなりの議論があったところでもありますので、今回の議論については、ちゃんと担当に伝えて、別途、議論を局内でさせていただきたいと思っております。
○岡座長 またそれは別途議論していただくということで、ですけれども、貴重な御意見だったと思います。
 あと、もう一つ、パッケージのことについてはいかがでしょうか。
○山本参考人 日本OTC医薬品協会の山本です。
○岡座長 お願いします。
○山本参考人 表示についても御意見があるところかと思いますが、今回、薬効群や剤型の縛り、条件を外すことによって、感冒薬のほとんどが対象になります。数多くの製品に注意喚起の表示がなされると、不適正な使用を目的とする者に対して濫用する製品の選択肢を増やしてしまうというリスクを逆に心配しております。
 それから、インターネットで不適正な使用の情報が拡散していることが取り沙汰されていると思いますが、「この印がついているものは濫用できる印だよ」と逆に助長につながらないか、そういった面も含めパッケージの表示については慎重に対応していく必要があると考えております。
○舟越委員 ありがとうございました。
 私見ですけれども、実際に感冒薬は特に配合剤で、全て配合剤の成分を把握しているとは言えない、覚え切れないので、実際にぱっと見て分かったほうが正直いいのかなと、これは私見でございますが、そういったことになると思います。
 これは論点ではないですが、今、医療現場ではオピオイドになりますと、例えばオキシコドンに粉砕をして濫用する社会問題から、崩すとナロキソンという分解する、中和する薬が混ざってしまって薬の効果が出ないような、そういった薬も世の中に出てきていますので、もし濫用をした場合に、ただ、メチルエフェドリンは安定性がすごく高いので、中和するものもないので何とも言えないですが、そういったものも将来的には、濫用をもしした場合に、効果がでないような製剤が将来できたらなということも、今回、検討会で事前に自分の中でも調べた中ではそういうことも思いました。
 以上、最後はコメントでした。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、次に石井委員、お願いいたします。
○石井委員 今の舟越先生のお答えを嶋根先生がお持ちでしたら、嶋根先生が先でいいのですけれども。
○岡座長 もし嶋根参考人のほうが、今の関係でありましたら、では、先にお願いします。○嶋根参考人 ありがとうございます。お先に失礼いたします。
 メチルエフェドリンの件と表示の件で2点お伝えしたいことがあります
 まず、メチルエフェドリンについては、私自身、そもそも6成分に入っている根拠がちょっとよく分からないなというのが正直なところです。2002年に、精神神経医学雑誌というところに報告されている論文によりますと「メチルエフェドリンはエフェドリンではない」という論文があるのですけれども、実はメチルエフェドリンの中枢作用は、動物実験だとほとんど認められていないということが言われているのと、そもそもメチル基がついているので、血液脳関門を通りづらいということとか、あと、メチルエフェドリン単独でメチルエフェドリンがやめられませんという症例自体、私は一度もお会いしたことがないです。
 ですので、恐らくですが、その当時、濫用されていたOTC薬に、ジヒドロコデインと同じ製品内にメチルエフェドリンが入っていたということなのではないのかなと思っていて、メチルエフェドリンが、この薬物濫用問題にどれぐらい寄与しているのかというのは、正直十分検討しなくてはいけないところなのではないかなと個人的には思っています。
 一方、エフェドリンを含有しているような外用薬があるならば、それは、例えば先ほど言った外用薬を何らかの方法で濫用するおそれは当然ありますので、フェンタニルなどと同じような形で注意していったほうがいいなと思うのですが、メチルエフェドリンが含まれていて、かつ、ジヒドロコデイン等が含まれていないような外用薬があるのであれば、それを規制する根拠は何だろうなというのが、ちょっと頭を抱えているような状況です。
 そして、もう一点、表示なのですが、これは恐らく寝た子を起こすな理論の話なのかなと思うのですが、アメリカの事例をお伝えさせていただくと、アメリカでは2000年代の前半に、デキストロメトルファンの濫用が広がりました。日本国内でも死亡例がありますが、アメリカでも死亡例が報告されていて、幾つかの製薬会社が合同で、共通した製品のパッケージにペアレンツと大きく書いてあるのです。このペアレンツの意味は、家庭内で親が薬をちゃんと管理していきましょうねということなのです。結局、ティーンエイジャーが多いわけです。日本の場合も、やはり若い方がOTC薬の濫用の問題が多いので、家庭内での管理を徹底しましょうという、そこのメッセージが含まれています。
 また、ここで大事なのは、表示をするだけではなくて、その表示の下にURLが書いてあって、ホームページとリンクしているのです。そのホームページには、例えば売る側の人向けあるいは学校の先生向け、親向け、本人向け、いろいろな立場の方向けの様々な予防に関するコンテンツが載っていて、例えば薬局ではこういうポスターを掲示してくださいねみたいなことが載っていますので、そちらもぜひ参考になさったらいいのではないかなと思います。
 大事なことは、その公衆衛生的な政策を取ってから、デキストロメトルファンの濫用が増えていないのです。激減はしていないですけれども、止まっているのです。なので、寝た子、それによって濫用が少なくとも増えてはいないので、そういう事例も踏まえた上で、きちんとした相談とか支援の情報も含めて啓発というものをやっていくということが大事なのではないかなと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 今の御意見について、事務局のほうはいかがでしょうか。1点目はメチルエフェドリンのそういう依存性ということについてですけれども。
○事務局 事務局からですが、冒頭、伊藤先生からも御質問をいただいた件とも関連しますが経緯を補足いたします。嶋根先生にも御指摘いただいたとおりで、リン酸コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンを含む鎮咳去痰薬の内用液剤の濫用が社会問題となりまして、昭和62年に規制したということがございます。その後、リン酸コデイン、ジヒドロコデインのコデイン類につきましては、実態を踏まえて鎮咳去痰薬の内用剤にも広げることとなりまして、さらに、冒頭御説明させていただいた平成25年法改正のときにエフェドリン、プソイドエフェドリン、ブロムワレリル尿素を含んだ今の形の6成分について規制をしたという経緯がございます。
 なので、メチルエフェドリンにつきましては、昭和62年あたりのせき止めの内用液剤に成分として含まれていた実態を踏まえて規制したというのが経緯になります。事務局からは以上になります。
○岡座長 よろしいでしょうか。以前のことでということのようですけれども。
 あと、パッケージについては、嶋根先生より貴重な御意見いただいて、ありがとうございました。
 お待たせしました、石井先生、よろしくお願いします。
○石井委員 今のメチルエフェドリンの話は、サイエンスベースのエビデンスが必要に思います。それ以外のことで、私が今の議論とか資料を見て思ったことなのですけれども、規制をかけるのだったらば、一気にしっかりかけてしまったほうがいいように思います。
 外用薬の量の問題とか濃度の問題とかもあるかもしれませんが、抜け穴をつくると、またそこで依存が始まる、依存が止まらないイメージが私にはあります。なかなかそこから抜け出せなくて苦労されている。一方、一生懸命そこから抜けそうとしていらっしゃる方はいっぱいいるとは思うのですが、だからこそしっかり規制をかける。
 それから、今、薬局とかドラッグストアでしっかりと御対応いただけるシステムがあるのでしたら、それをしっかりと利活用していきながら規制をかけるというのが一番いいかと思います。
 山本参考人のお立場になってきますとそこまではとおっしゃるかもしれませんが、それを使って濫用しないという証拠もないのです。そうだとしたら、今の段階ではしっかりと規制をかけてしまったほうが、濫用する人を増やさないという視点では重要かと思いました。
 私のほうからは以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤委員 たびたびすみません。
 先ほどの話とも少し重なるかもしれないのですが、今回、対象の薬がかなり広がってくるということで、薬局さんのほうの対応も大変になるかと思うのですが、なるべくそれを防ぐためにも、一般の方に向けて、今回このように変わりましたので、こういった一般のかぜ薬も一回に1つしか買えなかったり、そういう規制の対象になりますみたいなことを周知するほうがいいのかなと思うのですが、それについては何か検討されていますでしょうか。
○岡座長 いかがでしょうか。何か厚労省として一般向けの周知等については。
○事務局 御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 この後、いろいろ手続がありますが、最終的には、本件の案は、告示を改正することになります。この手続の際には広く周知させていただいて、国民の方々にも伝わるように内容を考えさせていただければと思います。御意見、ありがとうございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 一般の方々が、普通にかぜの目的で、濫用とは関係なく購入しようとされる方が怖がらないといいますか、影響がないような周知の仕方はなかなか難しいのかもしれませんけれども、何か工夫していただけるといいのかなと思いました。
 それと、もう一つ、違うことでよろしいでしょうか。
○岡座長 どうぞ。
○伊藤委員 濫用の可能性のある医薬品の中に、今回のものとは違うのですが、ブロムワレリル尿素も入っていたかと思うのですけれども、それに関しては、今回は特に規制の対象にはされないということなのでしょうか。
○岡座長 いかがでしょうか。
○事務局 今回は、ジヒドロコデイン等を含んだ鎮咳去痰薬以外の製品について、濫用の実態が確認されましたので、これについて規制の対象にしてはどうかということになりまして、ブロムワレリル尿素は、鎮咳去痰薬に限った規制をしていないので、現行のままで問題ないのかと考えております。
 以上です。
○伊藤委員 そもそも規制の対象になっているということでしょうか。
○事務局 そのとおりでございます。資料1の3ページ目を御覧いただければと思いますが、現行の4ポツとして、ブロムワレリル尿素は入っておりまして、改正後も引き続きという案を提示させていただいております。
○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 嶋根参考人、どうぞ。
○嶋根参考人 今の先生の発言に関連したことで、この6成分以外の成分についての規制は考えなくてもいいのかということですよね。今回のこの議題自体にはならないかもしれないですが、また別の機会で、ぜひ先生方に御議論いただきたいのですが、急性中毒、救急医療で最も多いOTC薬、成分は何だか分かりますか。実はカフェインなのです。安価に中毒になれるのはカフェイン製剤なのです。ですので、カフェインのことについてちょっと議論する必要はまずあるのかなというのが1つです。
 あと、2つ大事な成分があって、1つは先ほど言ったデキストロメトルファンです。これはアメリカでのOTC薬濫用の二大やばい物質がデキストロメトルファンとコデインなのです。
 デキストロメトルファンについては、御存じのとおり、昨年度ですか、スイッチOTC化された例のせき止めがあるので、あれが今、販売の規制になっていないわけです。だから幾らでも買えてしまうという現状があります。これは実際、死にます。この間、急性中毒の講義を救急の先生にしていただいたのですが、最終的には呼吸抑制ということで、延髄の抑制で呼吸が停止してしまうということがあります。
 あと、もう一つ、6成分に入っていない成分として大事なのが、ジフェンヒドラミンではないかと思っています。これも睡眠改善薬とかアレルギーの薬で使われている古い薬ではあるのですけれども、これも大量に飲むと心毒性があって不整脈等を起こしてしまうということで、これも死亡例が出ている。実際死んでいる症例が出ているということです。そこをもうちょっと重く受け止める必要があるのではないのかなと個人的には思っています。
 よく鎮咳去痰薬の中で、コデインがダウナー系でメチルエフェドリンがアッパー系でみたいな説明があるのですけれども、私はあれはちょっと違うかなと思っていて、むしろアッパー系で機能しているのはカフェインではないかなと思うのです。報告書にも書きましたけれども、ある症例ですと、ダルクの方が1日に200錠以上のせき止め薬を飲んでいるということで、その中に含まれているカフェインの量だけでも1,890ミリグラムでした。それだけでもカフェイン中毒を引き起こしてもおかしくないぐらいの量が入っているわけですので、こういったいわゆる隠し成分についても議論をする必要があるのではないかと思います。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 そうしますと、御意見をいただいた中で、まず、最後の、ほかの依存性を起こし得る物質についてはどうかという議論は今後の課題ということで、今日は、現行の括弧書きの部分をどうするかということに絞らせていただきますけれども、それについては、まず、鎮咳去痰薬に限るということについては除くという方向で、皆さん合意いただいているかなと考えます。
 メチルエフェドリンについて、嶋根参考人からの、その科学的根拠はどうなのかということは、今後も詰めていかないといけないとは思いますけれども、ただ、メチルエフェドリン自体が多幸感を起こすということで実際に記載をされておりますので、それをここで違うということも言えないのかなとは思っております。ですので、それを前提とした上で議論をしていただくということでここはお願いしたいと思います。ただ、引き続き、そうした点については検証していくということが恐らく必要な作業だろうと思います。
 それで、あと、山本参考人のほうから外用剤についての重要な御指摘がございました。これについては、確かに現場の御意見、それから、多くの方、一般の方は普通に使っておられるわけで、この一部の方のためにどうなのかということがありますけれども、やはり、今、社会的に非常に大きな問題になっているということも事実で、委員の先生方からは外用剤も含めて抜け穴をつくらないという御意見があったかと思っております。私のレベルで取りまとめると、そういったことになろうかと思います。なかなか社会的にも難しいところだと思いますし、今回のこの規制だけでどれだけの規制なのかというのはちょっと分かりませんけれども、薬剤師さんにその分、1つ御協力いただくということなのかと思って、それだけでも少しでも違えばということが、委員の皆様の同じ共通したお考えかと思います。
 それで、議決を取りたいと思いますけれども、この事務局案のとおりでいいかどうかということについて、最終的に皆様の御意見をいただきたいと思います。事務局案といいますのは、要するに、現行案の括弧書きを取るということです。先生方からいただいた表示のこと、それから一般向けにどう周知していくのか、あるいは、科学的なことについても検討は必要だと思いますし、ほかの成分についてといったような宿題をいただいていますけれども、この括弧書きを取るということについてはいかがでしょうか。もし特別の御意見がなければ、事務局案、一般医薬品の「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲見直しについて事務局の提案どおり進めるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 そうしましたら、御異議なしとさせていただきますので、事務局案で進めていただくということにしたいと思います。
 それでは、今後の進め方について、事務局から御説明いただけますでしょうか。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
 本日御審議いただきました結果に基づいてパブリックコメントの実施の手続を進めさせていただきます。
○岡座長 ありがとうございます。
 何か御質問等はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本議題を終了したいと思います。嶋根参考人、山本参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
 本日予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。次回開催については、改めてお知らせいたします。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の調査会は閉会とさせていただきます。ありがとうございました。