第181回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第171回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年5月31日(火)18:00~18:30

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第181回「労働政策審議会職業安定分科会」第171回「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の合同会議を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠ですが、職業安定分科会委員におかれましては、労働者代表の津村委員と平山委員が御欠席と伺っております。
 また、公益代表の小畑委員、酒井委員につきましては、所用のため、もし間に合えばオンラインで遅れて御出席となっております。
 雇用保険部会委員につきましては、労働者代表の小林委員が御欠席と伺っております。
 では、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 よろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○山川分科会長 本日の分科会は、会場とZoomによるオンラインでの開催になります。
 オンラインでの御発言の方法につきましては、事前に事務局からお送りしております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 では、早速、議事に入ります。
 今回の議題は「7月以降の雇用調整助成金・休業支援金の取り扱いについて」となっております。
 それでは、資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。
 雇用開発企画課長でございます。
 本日は、職業安定分科会と雇用保険部会の合同開催の形で、7月以降の雇用調整助成金などの在り方につきまして、政府案に御意見を伺いたく、開催をお願いいたしました。雇調金の特例措置の7月以降の在り方につきまして、いつものように案をお示しして、御議論いただく会でございます。
 資料を御覧いただきますと、こちらのいつもの青い表のとおり、原則的な特例措置、地域特例、業況特例のいずれも6月までの水準を7月から9月までの3か月間、単純延長する案といたしております。
 雇調金は、これまで例のない手厚い措置で雇用維持を支援してきたところでございます。
 一方で、特例措置につきましては、骨太方針に基づきまして、段階的に見直すことともされております。
 足元を見ますと、多くの産業で人手不足感が強まっておりますし、休業の長期化によるスキルや就労意欲の低下なども懸念されているところでございます。また、成長分野や人手不足分野への労働移動の必要性に係る認識も、今まで以上に高まっているところでございます。
 こうした事実を背景に、毎回のプロセスと同様に、今回につきましても、骨太方針に基づいて、縮減も含めて、在り方の検討を中で行ってまいりました。
 振り返りますと、これまでは、昨年5月に原則的特例を設けて、上限を1万3500円に下げて以来、本年1月に1万1000円、そして3月には9,000円に段階的に見直してきたところでございます。
 現状では、まん防地域の指定も3月に解除されまして、回復に向けたプラスの要素がございます。
 それから、雇調金の支給決定額も減少傾向が見られておりまして、昨年秋頃には1か月で2000億程度だったものが、足元では1か月当たり1,000億程度になっております。
 一方で、ここのところ原油高、物価高騰が顕著になってまいりまして、コロナ禍からの経済回復において、その及ぼす影響が懸念されている要素も新しく出てまいりました。
 こういうことを考え合わせまして、当面は、コロナ禍からの回復の状況を見極める必要がございますことから、骨太方針を念頭に置きつつ、単純延長の案といたしました。
 また、期間につきましては、これまでも複数の刻み方があったところでございますが、事業主さんが今後の経営の計画を立てることができる程度の予見性を持った期間を取る必要があること、それから、先ほど申しました原油高、物価高の高騰がコロナ禍からの回復に与える影響が一体どの程度になるか、不透明な部分があることなどを考慮いたしまして、3か月延長という案にいたしました。
 なお、4月の下旬に決定されました原油価格・物価高騰等総合緊急対策がございましたが、諸施策につきましても、おおむね9月までを意識した経済対策集となっているところでございます。
 そして、運用面でございますが、本年1月以降の休業からは、業況特例適用時の業況再確認を開始しているところでございました。
 さらに、4月以降につきましては、毎回、申請のたびごとにこれを確認する運用に改めております。確認を頻回に行うことによりまして、真に必要な事業主さんに限って手厚い支援を行う運用に努めているところでございます。
 それから、不正受給の対策も強化しております。申告のあった事業所については、優先的に、できるだけ早く調査を行うこと、それから不正時の事業所名の公表も今まで以上に確実に行うということで、様々な不正受給対策を強化しているところでございます。
 それから、参考資料を御覧いただけますでしょうか。
 1ページ目でございます。
 先ほど申し上げました、雇調金の週当たりの支給状況でございますが、秋頃の1か月2000億ペースが、足元では1000億ペースに落ちているところでございます。
 6ページを御覧いただきますと、先ほど申しました業況特例の頻回確認の効果の部分でございます。つまり、業況確認によって、どれだけの件数が業況特例をもらっていた形から原則的特例に落ちているかというデータでございます。
 前回も申しましたとおり、現在、迅速支給のために、システムへのデータの入力を最小限としておりますので、業況特例から原則特例にどれほど落ちたのか、正確な把握が難しい状況でございますが、おおむね近い数を拾ったのが、6ページでございます。
 こちらの資料は、11月から1月の申請のときに、業況特例を活用していた事業主9万2439を母数と考えまして、このうち20.9%に当たる1万5275事業所が業況特例の水準に満たずに、改めて確認してみたところ、原則的特例での支給に落ちたという事実でございます。
 3月にも、省令の諮問をさせていただいたときに、同様の資料をお出しいたしました。そのときは、この1万5275の落ちた数が1,851事業所で、1桁違いました。それから、占める率につきましても、今般は20%が落ちたという結果になっておりますが、3月のときの資料では7%程度でございました。
 だんだんと支給の申請も進むことによって、頻回確認も進んでまいりましたので、原則的特例の適用になる事業主さんの実数も、割合も上がってきているところでございます。この運用につきましては、引き続き、毎月、着実に行ってまいります。
 雇調金の関係は、以上でございます。
 次に、休業支援金の御説明を申し上げます。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 休業支援金の給付水準につきましても、雇用調整助成金の特例措置と並べまして、現行、6月までの水準、具体的には、原則的な措置は率で言うと8割、上限が8,265円。この部分を3か月間延長ということでございます。
 制度的には、地域特例も8割、1万1000円の水準を3か月延長いたしますが、現在、これが該当する状況ではございませんので、こちらは御参考でございます。
 休業支援金の支給実績については、参考資料の7ページにつけてございます。
 支給決定額は、昨年度と比較いたしますと、少しずつ落ちているのかなという状況ではございますが、依然として、週当たり20~30億水準の支給決定が出ておりまして、制度が始まってから2年程度たちますが、累計では、3000億を超える決定額を出している状況でございます。
 なお、支援金、つまり、雇用保険被保険者、それから給付金、雇用保険被保険者以外の比率を見ますと1対2程度で、給付金、つまり雇用保険被保険者以外の方への給付が多い。この傾向は変わってございません。
 御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいてから、お名前を名のって御発言をお願いいたします。
 御質問、御意見等はございますでしょうか。
 宮田委員、お願いします。
○宮田委員 ANAの宮田でございます。
 御説明ありがとうございました。
 今回の取扱いに対しては、大変ありがたく思っております。
 一方で、御説明がありましたように、これだけコロナの影響が長引いている中で、財政面の影響、また、御説明のあったマイナス面の大きな課題があることは十分に認識しておりますが、まだまだ回復に向けた要素が見えてくる中でも、一部業界においては、まだまだ厳しい状況が続いております。
 特に私どもの運輸であったり、観光といったところに関しては、徐々に回復の傾向は感じているものの、まだまだ回復の途上という認識でございます。
 そういう意味では、まだ一部の産業においては雇用調整助成金の果たす役割が大きく、業界によってばらつきがあることを踏まえた上で、業界全体、産業全体のバランスを見ながら、今後も本当に必要とされる産業への手厚い支援をぜひとも御検討いただければと思っております。
 私どもからは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 次に、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 日本商工会議所の大下です。
 御説明ありがとうございました。
 御説明いただいた今般の特例措置の延長については、おおむね妥当かと思います。
 宮田委員からもお話がございましたが、宿泊、飲食等、依然厳しい業況の中小企業もございます。そうした企業にとっては、大変ありがたい措置かと思います。
 おおむねと申し上げた意味は、雇用統計等との整合性の部分です。
 今般公表になりました4月の有効求人倍率は、依然として東京などの1倍を下回る地域がある一方で、全体としては3か月連続で改善しておりますし、新規の求人数もおおむねコロナ前の水準に戻っています。
 宿泊、飲食については、まだコロナ前の水準には戻りませんが、同じ宿泊、飲食の休業者数を見ますと、12月、1月と減ってきて、2月、3月は、若干コロナの揺り戻しもあって微増でしたが、4月はマイナス11万人と大変大きく減っています。こうした水準を踏まえて、今般の9月末までという3か月分の延長が妥当かどうかというのは、様々な見方があるのではないかと思っています。
 また、冒頭に御説明がございました、コロナ禍に加えて、原油高、資源高の影響を受けているというお話ですが、コロナ禍の影響と原油高、資源高の影響という部分で言いますと、その影響を強く受ける業界・業種は、必ずしも一致しない場合もあるのではないかなと思います。
 これも冒頭に御説明がございましたが、もともと雇用情勢を見極めながら、段階的に縮減という方向性は既に打ち出されております。予算や財源も限られておりますので、今後、10月以降の取扱いについて検討する際には、これまで以上に雇用統計等のデータから情勢の変化をしっかりと踏まえた検討を行う必要があると思っております。
 私ども日商が行った調査では、コロナ禍から経済が回復する中で、人手不足を訴える中小企業の割合が久々に6割を超えました。おおむねコロナ前の人手不足が厳しい状況に戻ってきています。
 特に運輸、建設、情報、介護などの業種において極めて深刻な状況で、今後、中小企業の経営全体に影響を及ぼす可能性も考えられると思っております。
 雇用の維持は非常に重要ですが、政府には、併せて人手不足産業、成長産業への円滑な労働移動に向けた施策の一層の推進についてもお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員
 雇調金の支給実績は減少傾向ということと、業況特例から原則的な特例に移行しているところも御説明いただきました。しかし、依然としてコロナ禍の影響が拭い切れない産業や地域も存在しているわけでございます。したがって、雇用情勢や感染拡大状況、産業ごとの回復の状況なども注視しつつ、必要な産業、地域へ適切な支援が行えることが重要だと考えております。
 加えて、従前から申し上げておりますが、休業以外の手段による雇用維持についても積極的に推進していただきたいと考えております。産業雇用安定助成金を活用したグループ企業内外への在籍型出向などの活用について、引き続き積極的に推進していただきたいと考えております。
 一方で、現在のペースで支給が続きますと、年度内には雇調金の財源が不足する可能性もございます。
 一般会計からの繰入れを機動的かつ実効的に行うために、まず、弾力倍率の見通しも含めた雇用保険財政の状況や基本手当受給者実人員を含めた雇用情勢について、定期的にご報告いただければと考えております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
  新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田でございます。
 御説明ありがとうございました。
 参考資料等で、かつて月2000億円だった雇用調整助成金の支給実績が1000億程度に下がっていること、あるいは参考資料の6ページにおいて、業況特例を活用してきた事業所のその後の状況として、約2割が原則的な特例になり、支給状況にかなり変動が見られるという御説明がございました。
 ただ、一方で、引き続き雇用調整助成金の支給が必要な厳しい業況に置かれている産業等があることも確認できたところでございます。
 したがいまして、結論といたしましては、今回の事務局からの提案について、この内容で了承したいと考えているところでございます。
 先ほど複数の委員の方から、あるいは中村課長からも御説明があったとおり、特例措置が非常に長期化していることについてのマイナス面が非常に懸念されているところでございます。
 具体的には人手不足、あるいは成長分野への労働移動を阻害しているのではないかといったことも聞かれるところでございますし、とりわけ雇用調整助成金の財源については、皆さんご承知のとおり、非常に厳しい状況にあります。
 こういった状況に鑑みまして、業況が特に厳しい、また真に必要な企業にきちんと支給されるような枠組みは非常に重要と考えているところでございます。
 そうした点から、今年4月から毎月実施しております業況確認の徹底を引き続きお願いしたいことと、不正受給の防止といった取組も引き続き事務局にお願いしたいことを申しあげて、私からの発言とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 御発言いただいた中では、おおむねということも含めて、御説明いたしました今回の提案は妥当という御意見が多かったかと思います。
 雇用状況をしっかりと見極めること、それから、既に一定の効果が上がっていると思いますが、業況特例を定期的に確認することをしっかりと行うこと、不正受給の対策を行うこと、休業以外の措置等についても採用を進めていくこと等、いろいろと御意見をいただいたところですが、それらを踏まえて、改めて今後について検討していただくことがあろうかと思いますが、今回の提案については、おおむねも含めて妥当という御意見が多かったと感じております。
 今回御議論いただいた内容につきましては、省令案については、また来月に改めて正式に御審議いただくことを想定しております。
 本日御議論いただきましたので、そちらの助成内容については、この後、プレス発表をすることが予定されております。
 こうしたことで御理解いただければと思いますが、今回予定しておりました議題は以上ですが、この際、委員の皆様方から何か御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の合同会議はこれで終了いたします。
 皆さんも大変お疲れさまでした。
 ありがとうございました。