第180回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和4年5月27日(金)18:00~18:30

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

傍聴会場
厚生労働省職業安定局第2会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館 12階 公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、ほぼ定刻になりますので、ただいまから第180回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
本日は、労働者代表の平山委員、それから、使用者代表の小阪委員、田原口委員が御欠席と伺っております。カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
本日の分科会は会場、それから、Zoomによるオンラインでの開催となります。オンラインでの発言方法につきましては、事前に事務局からお送りいたしました「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って操作をお願いいたします。
では、早速議事に入ります。今回の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の諮問でございます。こちらは本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の吉田です。よろしくお願いいたします。
諮問の案件の背景・前提となりますウクライナ避難民の方に対する就労分野での支援につきまして、お手元の資料1の1枚目で御説明いたします。
まず、ウクライナ避難民の方に対しまして、政府全体での取組の状況が一番上のボックスにあります。出入国在留管理庁を中心に、相談の窓口やハローワークによる就労支援、また、そのほか様々な利用可能な支援メニューの情報を提供しております。また、身寄りのない避難民の方に対しましては、出入国在留管理庁が一時滞在施設を提供し、生活費、医療費の支給等も実施しています。なお、身寄りのある避難民の方に対しましては、日本財団のほうから生活費等の支援を実施することとなっております。
ウクライナ避難民の状況ということでございますが、5月18日時点で出入国在留管理庁から聞いております数字です。ウクライナ避難民の方は全体で995名、当初、「短期滞在」という在留資格で入ってこられ、そこから「特定活動」という在留資格に切り替えると、この切り替えた方が694名です。ただ、この694名の中には、注にありますように、子どもなど就労ができない方も含まれていますので、この「特定活動」でさらに就労ができる「就労可」というステータスの方が就労支援を希望された場合に、我々の支援の対象になるということでございます。
右側にありますハローワークの中で外国人へのサービスに特化しているのが東京・大阪などいくつかありまして、そのうち東京と大阪につきましては、ウクライナ語の通訳の方も配置しまして、窓口を設置しています。
そして、今後の対応というところでありますが、既に労働局に対して指示していることも含めて御紹介しますと、まず、ハローワークと自治体、日頃の関係の中で、避難民の方にとって自治体での支援というのは大変大きなウェイトです。そうした中で、就労支援ニーズの情報がありましたら、ぜひともハローワークにお声掛けをいただくようにとお願いしております。
また、企業からもウクライナの方への雇用の支援ということをお申し出いただいておりますので、実際にどのようなお仕事ができるかといった求人化に向けた調整というのも既に着手しております。
また、避難民の方に対しての支援ですが、やはり入管、自治体といった他の役所での手続というのがあります。そうした場所に私どものほうから出張相談する、あるいはメールなども使って双方向でのやり取りということで、なるべく支援の実効が上がるようにしたいと思っております。
次ですが、本日のこの後の諮問案件に係りますが、助成金の対象ということです。また、訓練のほうも定住外国人向けの公共職業訓練の対象にするということは別の局ですが、準備をしているということです。
以上でございます。
○雇用開発企画課長 引き続きまして、今般諮問させていただく件を御説明申し上げます。資料は2-2を御覧くださいませ。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)」でございます。
まず1ページ目でございますが、今般の出資、1パラの最後の行のところに、ただいま御説明がございましたように、国内各地に滞在しているウクライナの避難民の方々が相当数いらっしゃいますところ、雇用機会の増大を図り、特定求職者雇用開発助成金の対象事業主にウクライナ避難民の方も雇用する事業主を追加することを内容とする施行規則の改正を諮問させていただくものでございます。
概要は次の2ページ目が分かりやすいかと存じますので、2ページ目を御覧くださいませ。これ自体はウクライナ避難民支援として、特開金とトライアルをお書きしておりますが、省令の改正の対象となりますのが、この上の欄の特開金のほうでございます。特開金は対象者が一般被保険者として、かつ2年以上継続して雇い入れが見込まれる者を対象とする雇い入れ支援の助成金でございます。この中で、こちらの特定就職困難者コースにおきましては、御覧のとおりの就職困難者を対象としているところでございますけれども、今般、ここに当分の間として、65歳未満の日本に避難を余儀なくされたウクライナの住民を追加する内容でお諮りしたいと存じます。これは施行規則の付則に規定する改正でございます。
それから、今般の諮問外でございますけれども、トライアル雇用助成金についても支援を図りたいと思っておりますので御説明申し上げますと、トライアルのほうは省令改正ではなくて局長通知の改正でございます。これは安定した職業に就くことが困難である者として、職業安定局長が定める者として規定を考えております。本日の御議論を経て、特段の御異論がなければ、施行は5月30日付でいたしたいとも考えております。それで、そもそも雇用保険法の中では、雇用安定事業の対象者としては被保険者、それから、被保険者であった者、加えて、被保険者になろうとする者を対象としているところでございます。
今回の改正を御覧いただきますと、特開金につきましては一般被保険者になるものであって、かつ2年以上継続雇用が見込まれる者を対象、それから、トライアル雇用につきましても、制度の対象者として1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用を希望している者が対象という制度になっております。
それで、特開金やトライアルを活用することで、この保険の担い手である被保険者が増える効果が見込まれる、そういう制度設計にいたしております。
今般のウクライナ避難民の適用に当たりましても、雇用安定事業であるという趣旨から、今述べた対象者の要件については同じ運用でいたしたいと考えております。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 それぞれ御説明ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御質問・御意見がございましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただいて、こちらが御指名させていただいた後に、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問・御意見等はございますでしょうか。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員
今回の諮問に限らず、さらには国籍にかかわらず、人道上必要な方に必要な支援を行うべきだと考えております。支援対象の方が避難民であることを踏まえ、日本での就労に向けてもともと準備をしてきた外国人の方ではないということにも留意した上で、当該のウクライナ避難民の方、また、受入企業に対する効果的な支援をそれぞれお願いしたいと考えています。
また、働くための日本語のみならず、生活する上で必要な日本語学習への支援など、様々支援内容について書いていただいていますけれども、例えば日本の労働法規を学んでいただく研修なども含め、日本で働き、暮らすための多文化共生に係る支援を含めた受入体制の構築に向けて、ぜひ他省庁とも連携して、効果的にお取り組みいただければと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。
今回の諮問内容については妥当と考えているところでございます。ウクライナ避難民の雇用機会の増大と創出を図るために、ウクライナ避難民を雇用する企業への支援ということで、今回の特定求職者雇用開発助成金の対象にウクライナ避難民を追加することで進めていただければと思います。
ただ、今回のこの助成金については、主な財源が事業主拠出の保険料であるということから、適切にその支給状況等を確認していただきたいということと、他の雇用保険二事業と同様に、その実績の把握と評価を行っていただくことをお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 では、事務局からございますか。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。
実績の把握もしっかりと行いまして、効果のあるように、また、先ほど冨髙委員からも言われましたように、実態を踏まえて丁寧に支援も進めてまいりたいと考えております。
それで、実績の把握でございます。特開金は日々、労働局のほうでシステムに入力がされておりまして、通常はこちらの本省のほうでは月ごとに状況を確認しながら政策に生かしているところでございます。一方で、今回のウクライナの件は、果たしてどういう方がどのようなタイミングでこれを活用して就職されるかというのも、なかなか見込まれにくいものでございますから、できるだけ丁寧に把握しようと思っております。具体的には1か月ごとではなくて、もう少し頻回に全労働局で実績が出次第情報をもらって、状況を把握しながら運用に努めてまいりたいと思っております。
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の吉田です。
冨髙委員から御指摘のありましたウクライナの方と受け入れていただける事業主の方に対しましては、就労以外の分野も含めた連携ですが、政府としましては、内閣官房にタスクフォースがありまして、関係省庁一丸となって取組をしております。言語教育の部分について文科省がやっていますが、私どももこれまでの外国人に対する支援の蓄積というようなものを活用いたしまして、ウクライナの方に様々な就労ニーズがあると思います、そうしたものを丁寧に聞きながら、また、受け入れてくださる企業へのマッチングも丁寧にしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ただいま、事務局から追加的な説明がありましたが、新田委員、冨髙委員、何かございますでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 先ほど中村課長から、月単位ではなく、もう少しきめ細かく把握に努めたいという御発言がありました。非常にありがたい一方で、あまり過度な負担にならないように適切にやっていただければと思います。今回のような措置を行うからには、しっかり把握して検証していただきたいという趣旨で申しあげました。ハローワークは既に様々な業務で大変だと思いますので、負荷があまり大きくならないように、その点の御配慮をぜひお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○雇用開発企画課長 承知しました。ありがとうございます。
○山川分科会長 冨髙委員から何かございますか。
○冨髙委員 新田委員が発言されたとおり、効果検証をしっかり行っていただきたいと思います。以上でございます。
以上でございます。
○雇用開発企画課長 承知いたしました。ありがとうございました。
○山川分科会長 馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 中央会の馬渡でございます。
趣旨はよく分かりますので進めていただきたいと思うのですけれども、やはり急なことで、助成金の制度に合わせて、その前段となる部分というのも、そこに当てはめようとすると、結局、それをやっている間に本人さんたちも諦めて帰りたいとか、そうなると、何のためにこういうことをやっているか分からなくなるのです。
私は地方の中小企業の立場から言うと、言葉の問題がすごく大きいと思うのです。大企業さんと違って英語が通じるか通じないかも分からないような企業もありますので、もしも待機している期間があるのであれば、早めにそういった言葉の問題などもクリアをしてから勤め始めるとか、そういう部分も、制度は制度でおありでしょうから、雇ってからですよという話にはなるのかもしれませんけれども、そこを何とかうまく他省庁とも連携されてやれると、大いに雇いやすいなと思います。
ただ、本当に1年、2年先までおられるかどうか、今のところ分からないような気がしますので、もしも戦争が終われば帰りたいと思われる方が多いとしても、日本におられる間に、職業訓練を含めて就労の機会、それから、日本語を覚えていただくということも、日本にとってはいいことなのではないかなと感じますので、いろいろ難しい部分は少しずつこれをつくりながらやられたほうがいいのではないかと感じております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
大下委員、お願いします。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
これまでの御発言と重なるところがあるかと思いますが、今回の動きについては人道的な配慮からということで、妥当な内容かと思いますので、異論はございません。
先ほど、馬渡委員からもお話がありましたが、いらっしゃる方がどれくらいの期間、日本で働きたいとお考えになるのか、先行きが見えないところもあります。せっかく特別な措置を行うのであれば、時間がないかと思いますが、なるべく早く実効性が持てるような取組が必要かと思います。
商工会議所の関係では、福井県の商工会議所連合会が傘下の企業に対してアンケート調査を行いまして、県内85社がウクライナ避難民を受入れ可能だと回答し、合計人数を合わせると211人になりました。他方で、実際に福井県に避難されていらっしゃるのは3人です。こうした地方等を含めたニーズと、実際にいらっしゃる方とのミスマッチみたいなことも生じているかと思いますので、ぜひ各地のハローワークとも連携していただいて、でき得る限り早く事業者と避難民の方のマッチングができ、なおかつ、馬渡委員がご指摘されましたとおり、日本語の問題が大変大きいかなと思っておりますので、併せて取組を進めていただければと思っております。
最終的に仕事に就くができて生活に資する部分と、こういう取組がウクライナと今後の日本との関係の良好性にもつながるものもあるかなと思っておりますので、少しでも効果が上がることを期待しておりますし、そうした取組をお願いしたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御質問・御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
種々非常に有益な御意見・御示唆をいただきました。それを踏まえた上でということになろうかと思いますが、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認めて、その旨、私から御報告を申し上げたいと思いますけれども、この方向で御意見等はございますでしょうか。ございませんでしたら、報告文案の表示をお願いします。
このように表示された報告文案によりまして、労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議はございませんでしょうか。
御異議がございませんので、それでは、このように報告をさせていただきます。ありがとうございました。
本日予定されております議題は以上で終了となりますけれども、この際、委員の皆様方から何か御発言等はございますでしょうか。
それでは、特にございませんので、本日の分科会はこれで終了いたします。大変お疲れさまでした。