薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和3年度第2回運営委員会議事録

日時

令和3年9月22日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



KMバイオロジクス株式会社:敬称略
     
  • 青山 式孝
  • 羽室 強
  • 田中 信寛



日本血液製剤機構:敬称略
     
  • 星山 孝男
  • 津田 昌重



日本製薬株式会社:敬称略
     
  • 塩入 將介
  • 関山 寛



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 前野 節夫
  • 皆川 信也
  • 松田 由浩
  • 後藤 直子



事務局:
 
  • 中谷 祐貴子  (血液対策課長)
  • 菅原 高志   (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾   (血液対策課長補佐)
  • 若林 雅之   (需給専門官)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.日本赤十字社の令和2年度血液事業報告について
  4. 4.各調査会の審議結果について
  5. 5.今後の血液事業の在り方について
  6. 6.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 


○佐野血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、血液事業部会令和3年度第2回運営委員会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。本日は、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
本日のWeb会議における委員の出席についてですが、委員6名全員に御出席いただいていることを報告いたします。本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部より水上拓郎第1室室長、KMバイオロジクス株式会社より青山式孝執行役員医薬営業本部長、羽室強生産本部熊本工場長、田中信寛医薬営業本部営業推進部長、日本血液製剤機構より星山孝男代表理事常務理事、津田昌重執行役員経営戦略部長、日本製薬株式会社より塩入将介取締役営業本部長、関山寛営業本部マーケティング部長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所所長、前野節夫副本部長、皆川信也経営企画部次長、松田由浩経営企画次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議の開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身の名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、チャットにてその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。
それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。これまでの御説明に、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしければ、本日は議題がかなり多いので、皆さん御協力いただければと思います。それでは、議事に入ります。議題1、感染症定期報告について、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。まずは、資料1-1の1~3ページを御覧ください。こちらは、令和3年3月から令和3年6月までに提出された感染症定期報告のうちの研究報告です。文献は計14報あり、病原体ごとに報告日順に並べて概要等を記載しており、右から2列目に番号を付しております。1から順に御説明いたします。
まず、1~6が新型コロナウイルスに関する報告となっております。1及び2の報告については、それぞれ中国と韓国からの報告で、供血者のNATスクリーニング検査や遡及調査の結果、血液からCOVID-19のRNAemiaは認められなかったという報告になっております。3番目は、米国血液銀行協会から発出されたCOVID-19ワクチン接種及びCOVID-19回復期血漿輸血後の供血延期の概要となっております。内容としては、COVID-19ワクチン投与後の供血延期は不要であり、回復期血漿輸血後は、供血延期が必要である。COVID-19ワクチンを接種された者は、未感染者は回復期血漿については不適格とし、既感染者も回復者血漿の採血は延期するとなっております。モノクローナル抗体を投与された者の供血延期は、医師の裁量の範疇であるという内容です。4番目は、米国FDAにおけるCOVID-19に関する供血延期の基準についてです。5番目は、Pub Medで検索されたCOVID-19に関する論文23報を分析した報告です。輸血によるCOVID-19の感染リスクというものは理論上に留まっていることが示唆されたとの結論となっております。6報目ですが、中国からの報告で、耳垢や唾液等からCOVID-19のRNAが検出された旨の報告となっております。
7番はHIV感染についての報告で、米国の供血者におけるHIVの抗レトロウイルス療法とばく露前予防内服の使用が輸血用血液製剤の安全性に与える影響についての報告です。
8番から10番については、新興・再興感染症の報告となっております。8番はハンタウイルス属のヒト-ヒト伝播に関わる論文、9番は、家きんからヒトに感染した鳥インフルエンザ株H5N8の初めての報告で、ロシアから報告されているという内容です。10番は、中国北東部の黒竜江省で、ダニ咬傷の検体からオルソナイロウイルスの新種が特定された報告です。
11番から14番は、その他の感染症についての報告で、11番は血液ドナーに関わる梅毒のスクリーニングにおけるFDAからのガイダンス、12番は、Klebsiellaの一種が乗馬ウマから初めて特定された報告、13番は、孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病患者の複数の箇所から採取した検体をいろいろ実験した結果、嗅粘膜からの検体のみが感染性を示したことについての報告、14番は、現在カナダのニューブラウンズウィック州北東部でクロイツフェルト・ヤコブ病に類似した詳細不明の病気が流行している旨の報告です。
次に、資料1-1の4~8ページを御覧ください。令和3年3月から令和3年6月までに提出された血漿分画製剤に関わる海外の個別症例の一覧です。詳細不明な点が多いのですが、CSLベーリング株式会社から9件、武田薬品工業株式会社から3件、自発報告として上がっております。これらの資料については以上です。各文献の詳細については、資料1-2にまとめております。資料1の説明は以上です。御意見のほど、よろしくお願い申し上げます。
○田野﨑委員長 ただいまの説明について、水上参考人から追加で御発言等があればよろしくお願いいたします。
○水上参考人 参考人の国立感染症研究所の水上拓郎です。よろしくお願いいたします。資料1-1の1~3ページを御確認いただきながらお聞きいただければと思います。感染症定期報告に関する追加コメントですが、まずCOVID-19に関連する文献1~6を取り上げたいと思います。SARS-COV-2感染者における血中ウイルスRNAの存在、いわゆるRNAemiaに関しては、今まで幾つかの報告がありましたが、献血血液を用いた大規模調査はありませんでした。文献1では、中国湖北省において2020年2月から4月末までに献血された9万8,342本の検体を用いて、多施設でのスクリーニング検査を実施した結果となりますが、いずれの検体でもRNAemiaは認められませんでした。文献2では、韓国における7名の供血者が献血後にCOVID-19を発症したことに関連する遡及調査についての報告です。いずれの保管血液検体からもSARS-COV-2ウイルスRNAは検出されず、輸血されたレシピエントにもウイルスRNAは検出されず、COVID-19も発症しなかったというものです。
文献5は、血液中のSARS-COV-2ウイルスRNAの検出に関する23の論文レビューで、いずれの研究の結果からも、現時点では献血血液においてウイルスRNAの検出は認められておらず、感染性のあるウイルスの混入もないと考えられております。一方、7月末から8月にかけて、日本も含めデルタ株の感染拡大を含め、様々な新規変異ウイルスが検出、同定されている現状となっております。病原性の変化もあり得ますので、引き続きCOVID-19に関しては注視が必要であると考えております。また、文献2の中で、韓国ではSARS-COV-2ウイルスの感染者リストが献血者へと照合されていて、献血血液の回収対象とされているという報告がありました。現時点でも同様の対応がなされているかは不明です。
COVID-19回復者は3か月の献血延期期間が適用されており、遡及調査に関しても10年間の保管期間を設定しているということもこの論文の中で報告されております。日本では、回復者の献血のリエントリーは血液の安全性の観点から2週間と、献血者の安全性の観点から2週間で合計4週間を設定されており、妥当であると考えられております。
文献3及び4は、AABB、米国血液銀行協会のCOVID-19対策の概要でして、COVID-19ワクチン接種後の献血の延期は不要、回復期血漿輸血後は3か月間の献血を延期することとなっております。加えて、FDAの対策概要では、回復者は14日の献血延期期間を設定しております。日本では、ワクチン接種後の副反応の発生状況調査にかんがみ、48時間の延期期間を設定しております。これは、供血者の安全性の確保の観点から取られている措置であり、妥当であると考えられております。また、文献6で、COVID-19患者由来の各種検体の中で、耳垢から検出された初めての報告となりますが、これ自体が直ちに対策に影響を与える問題ではないと考えております。
文献7は、HIVに関する論文ですが、本文献では液体クロマトグラフィーを用いて献血血液中の抗ウイルス治療薬の成分の検出に関する極めて重要な論文であると考えております。HIV陽性供血者299名中46名においてARTの成分が検出され、そのうち43名は初回献血者で、34名が男性でした。2017年のCDCの全国HIV行動調査で、男性同性愛者調査ではHIV陰性の565名中27名が献血前にARTの予防投与としてばく露前投与、PrEPが実施されておりました。本研究により、特にARTの予防投与の実施の有無について、問診の改善が必要であることが示唆されております。本邦ではARTのPrEPは承認されていないものの、現在の問診の妥当性、改善も含め情報収集が必要であると考えられます。
文献11は梅毒に関する論文ですが、本文献では米国における梅毒スクリーニングに関する勧告の改正に関する報告で、梅毒及び淋病治療後の献血延期期間を12か月から3か月に短縮する一方で、スクリーニング偽陽性だが過去に梅毒診断がされていないドナーのリエントリー推奨の追加、その際に治療の完了証明書の提出推奨が勧告されております。本邦でも梅毒は治療されているものの、献血に当たり完治証明書の提出等は求めておりません。今後のガイドライン改正における重要な情報であると考えられます。
最後は、プリオンに関する文献13から14ですが、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は種類によって感染性が異なり、脳、脊髄、網膜などに異常型プリオン蛋白質が蓄積される孤発性CJD、sCJDにおいては、変異型CJDと異なり血液を介した感染の報告はなされておりません。ただし、潜在的な可能性があり、引き続き情報収集が必要であると我々も考えております。本文献13では、孤発性CJD患者由来の嗅粘膜検体の感染性の有無についての報告であり、TJ66トランスジェニックマウスを用いた場合、嗅粘膜ブラッシング検体投与群において感染性が認められたというものです。当該部位の外科的介入時には、適切な感染予防が必要であると考えられます。また、vCJDとsCJDの献血での取扱いに関し、問診等で差があるのかを含め、本邦においても検討が必要であると考えております。
文献14は、カナダ、ニューブラウンズウィック州での原因不明の神経疾患についての報道です。計42例の神経疾患報告中5名が死亡で、初報告は2015年、2019年に11例、2020年に24例が報告され、増加しております。CJDとの多くの類似点がありますが、既知のプリオン病からは除外されており、感染性に関しても不明です。引き続き発生動向、原因解明、病原体の関与に関し注視が必要であると考えられます。感染症定期報告からのコメントは以上です。
○田野﨑委員長 水上先生、どうもありがとうございました。大変詳細な御説明でした。委員の先生方からほかに御意見、御質問などありましたらお願いいたします。
○松下委員 水上先生、文献3に関連してなのですが、ロナリーブ投与後の献血休止期間は、今後どれぐらいに設定されるのがいいとか、そういう議論はありますか。
○水上参考人 このガイドラインの中では、特にそこまでのコメントはなかったかと思います。基本は医師の範ちゅうで対応するということになっているかと思います。
○松下委員 そうですよね。AABBは勝手に決めてくれという感じで書いているのですが、献血は回復後4週間とかというようになっているのですけれども、今、抗体薬による治療が今後の中心になってきて、在宅投与するとかという話もあるようですので、そうすると抗体が消えるまで待っていたほうがいいのか、抗体が残っていても献血してもいいのかということはどうなのでしょうか。
○水上参考人 そこに関しては、今後、委員会等でまた議論していく話かなと考えております。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。実は、松下先生が御指摘の米国血液銀行からのガイドラインなのですが、4月14日にアップデートされていて、そちらではモノクローナル抗体による治療を受けたCCPドナーについては、少なくとも3か月の延期をするという形に改訂されています。
○松下委員 分かりました。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。多少まだエビデンスなり考え方がまとまっていないところがあるのかなとも思いますが、ほかの委員の先生方からも御質問、コメントなどがあればお願いいたします。
○武田委員 文献番号7についてです。HIVに関してのばく露前予防内服PrEPの件が出てきていますけれども、日本においてはまだPrEPは制度としては行われていませんが、一部研究で行われていたり、個人輸入という形でPrEPを使われている方もいると聞いております。現在PrEP等の使用については、献血をするときに事前に聞かれていますか。
○田野﨑委員長 日本赤十字社の方から何かコメントはございますか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日本赤十字社の佐竹です。
○田野﨑委員長 お願いいたします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 HIVに関連することについては、幾つか質問していますが、特にPrEPというように、そこを聞いているということはありません。ただ、治療中とか事前の内服について、問診のマニュアルには、そういうことについては確か記載されています。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。そうしましたら、ほかの委員の先生方、ありましたらお願いいたします。よろしければ、いろいろあるかもしれませんが、次に進ませていただきたいと思います。事務局においては、今後とも感染症定期報告をお願いいたします。
そうしましたら、議題2、血液製剤に関する感染症報告事例等についてに移ります。事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 資料2-1及び2-2について説明いたします。まず資料2-1をお手元に御用意ください。こちらは感染症報告事例のまとめ及び一覧となっております。期間は令和3年3月~令和3年6月となっております。1ページを説明いたします。令和3年3月~令和3年6月に報告がありました感染症報告は、輸血用血液製剤が11件、血漿分画製剤が8件となっております。うち輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告はありませんでしたが、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告は2件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳ですが、HBV感染が2件、HCV感染が2件、その他が7件。内訳としては、HEV感染が1件、サイトメガロウイルス感染が1件、細菌等が5件となっております。
HBV感染報告事例についてですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は2件となっております。HCVの感染事例ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は2件となっております。HIV感染事例は報告がありませんでした。その他の感染症報告事例については、B型肝炎及びC型肝炎の肝炎ウイルス感染報告事例以外の肝炎ウイルス感染報告事例は、先ほども説明させていただきましたように、HEV感染の1件。細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液製剤の使用済みバッグを用いた培養検査が陽性となった事例はありませんでした。これらの報告の症例一覧については、次の2~4ページにまとめております。
続いて、資料2-2の説明をいたします。1ページは、供血者からの遡及調査の進捗状況についてです。こちらは、それぞれ左から令和元年度、令和2年度、令和3年度と、HBV、HCV、HIVの感染症ごとに遡及調査の件数等を記載しております。本日は一番右端の令和3年4月1日~令和3年6月30日までの四半期の速報値について説明いたします。
まず遡及調査の対象とした献血件数は522件です。上記1の遡及調査の対象となったうち、調査の対象とした輸血用血液製剤の本数としては、586本となっております。うち医療機関に情報提供を行った本数は344件となっております。今回の四半期において、個別NATが陽性となった事例はありませんでした。
続いて2ページを御覧ください。こちらは、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収状況となっております。こちらも、令和3年3月~令和3年6月までの回収状況を記載しておりますが、この期間で今回は48件の血液製剤が回収されております。資料2-1及び2-2についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。資料2-1、2-2について、委員より御質問、御意見などお願いできればと思います。今回は、確定した感染例はなしということでよろしいでしょうか。
○佐野血液対策課長補佐 はい、輸血用血液製剤についてはありませんでした。血漿分画製剤については1件ありましたが、こちらはもうかなり昔の血液製剤による感染ということが分かっている事例になっております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。よろしければ、今回は特別問題になるような事例はなかったのかなと思います。そうしましたら、引き続きこちらに関しても報告をお願いしたいと思います。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい、お願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 話が戻って申し訳ないのですが、先ほどHIVの文献報告についてちょっと不確実な答え方をしましたが、抗HIV薬の投薬については、日本赤十字社では治療でも抗HIV薬を服用した場合は永久に献血不適になっております。ただし、先ほどありましたように予防的に服用した場合には、4か月の延期ということで運用しております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。先ほどの文献7についての御説明であったと思います。そうしましたら、議題3、日本赤十字社の令和2年度血液事業報告についてに移ります。日本赤十字社より資料の御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社前野副本部長 日本赤十字社の前野です。令和2年度血液事業への取組について説明いたします。資料3です。初めに、令和2年度の事業概要を説明いたします。令和2年度は約504万人の方に献血の御協力を頂き、1,713万本の輸血用血液製剤を医療機関に供給しました。
こちらは、輸血用血液製剤の需要動向です。医療技術の向上や適正使用の推進などにより、スライド右の棒グラフにありますように、この数年間は漸減傾向にあり、令和2年度は前年度から率にして2%、本数にして35万本減少しています。
次のページは、製剤別の供給状況です。前年度と比べ、赤血球製剤は0.6%の減少、血漿製剤は2%の減少、血小板製剤は2.9%の減少と、全製剤において供給量は減少いたしました。
続いて、血漿分画製剤用原料血漿の確保状況及び送付状況です。原料血漿の必要量の増加に伴い、令和2年度は前年度から2万L増加の122万Lの原料血漿を国内製薬メーカーに送付しています。
続いて献血協力の状況です。令和2年度もスライド右の円グラフにありますように、400mL献血や成分献血を中心に献血に御協力いただきました。また、血漿分画製剤用原料血漿の必要量増加にも対応したことで、スライド左の棒グラフにありますように、前年度から率にして2%、献血者数にして11万人の増加となりました。こちらは、献血種別ごとの献血協力状況です。スライド左下のグラフにあります血漿成分献血者が血漿分画製剤用原料血漿の必要量増加に対応したため、前年度に比べ約18万人増加いたしました。
次に、令和2年度における主な施策の取組状況について説明いたします。初めに、コロナ禍における必要血液量の確保対策です。この施策の背景としては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務など新しい生活様式が定着し、企業献血をはじめとする団体献血の在り方が大きく変容したことが挙げられます。参考となりますが、スライドのグラフは企業や学校への移動採血車の配車状況を示しております。コロナ禍において、企業や学校を中心に移動採血車の受入れ辞退の申し出が増加いたしました。
施策の概要としては、初めに全国いずれの献血会場においても、統一的に感染対策を実施することを目的として、新しい生活様式に基づく献血受入れ及び医療機関訪問時等の対応ガイドラインを策定いたしました。このガイドラインに基づき感染予防を徹底し、ホームページや献血Web会員サービス「ラブラッド」を通じた献血協力の呼び掛けを行い、年間を通して、全体としては必要血液量を着実に確保することができました。これもひとえに、外出自粛などにより御自身の行動が制限される状況下でも、血液事業を御理解いただき支えていただいた国民の皆様あっての結果であり、この場をお借りして心から感謝申し上げます。
続いて、事業環境の変化に対応した献血推進方策の確立です。在宅勤務やオンライン授業を前提とした献血受入計画の策定や、都市部の献血ルームを中心とした献血受入体制の充実のほか、企業からの献血協力の新たな形態の確立に努めました。
次に、若年層を中心とした献血の普及・啓発です。昨年度に引き続き、献血つながりプロジェクト「みんなの献血」を実施いたしました。また、献血の大切さを訴える献血セミナーを高等学校を中心にオンライン形式で開催いたしました。
続いて、献血予約制の推進です。献血Web会員サービス「ラブラッド」の活用を一層進めるとともに、献血者に応じた協力依頼方法を確立し、予約制の定着を目指しました。このラブラッドについては、予約により献血協力の集中を回避できることから、コロナ対策としても非常に有効ではありますが、若年層へのアプローチとしても大変有効であることから、今後も献血推進の手段の中心的な位置付けとして、更なる推進を図っていきたいと考えております。
さらに、献血の社会的重要性の認知度向上に向けた広報活動として、輸血を受けた方やその御家族の方の声を閲覧できるシステムの拡充や、献血血液が血漿分画製剤の原料としても使用されていることの周知を進めてまいりました。
次に、主な施策の取組状況の2つ目として、供給部門における体制・業務の見直しです。血液事業においては、365日24時間体制で血液製剤を医療機関に供給しているため、供給体制の合理化を図ることは事業の効率化を進める上で重要な課題であると考えております。施策の概要としては、まず、新たな血液製剤発注システムの導入と推進を図りました。従来においては、医療機関からの発注の多くがファックスや電話となっておりますので、聞き間違いのリスクもあり、また受注入力や確認行為に時間を要しております。これらを解消するために、医療機関の意見を反映させた新たな発注システムを令和2年11月に導入し、Webによる発注を推進いたしました。
続いて、定時配送体制の確立です。現在血液製剤の医療機関への配送は、定時配送、随時配送、緊急配送の3形態がありますが、配送体制の効率化を図る上では不定期な随時配送を減少させ、定時配送の割合を増加させることが必要となります。血液センターにおける配送体制の見直しや医療機関に対する定時配送への協力依頼を進めた結果、スライド下段の表のとおり、定時配送の割合が向上いたしました。
次に、令和2年度血液事業特別会計歳入歳出決算の概要です。まず収益的収入ですが、輸血用血液製剤の供給数の減少等の結果、1,646億円となり、前年度に対して8億円の減少となりました。次に収益的支出ですが、給与制度の変更による退職給付債務の減少といった資金の動かない会計処理があり人件費が大きく減少した結果、合計は1,504億円となり、前年度に対して30億円の減少となりました。これらの結果、収支差引額は142億円となり、前年度比で22億円の増加となりました。ただし先ほど触れましたとおり、142億円の黒字のうち、およそ半分は制度の変更といったことに基づいた利益となります。また資本的支出として、血液センターの施設整備や借入金等の償還に59億円を支出しており、その財源は自己資金と補助金等です。
続いて、令和元年度収支との比較です。まず収益についてです。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、輸血用血液製剤の供給数が減少し、それに伴い収益も減少しました。なお赤血球製剤の供給数が減少しているにもかかわらず収益が増加しているのは、消費税率の変更によるものです。一方で原料血漿については送付量が増加したため収益も増加しましたが、事業収益全体としては令和元年度に比べて4億円の減少となりました。次に費用ですが、材料費及び経費は、令和元年度に比べ増加した一方で、人件費については先ほど説明を申し上げました給与制度の変更に伴う退職給付債務の減少及び年金資算運用費の増加に伴い減少することとなり、事業費用全体としては令和元年度に比べ14億9,000万円の減少となりました。
こちらは、近年の収支状況の推移です。緑色の折れ線が収支差引額となります。平成24年度から4年間は広域地域事業運営体制などの導入に伴うブロック血液センターの整備や、血液事業情報システムの導入などの大型の投資の結果、赤字の状況が続きました。その後、事業効率化の強力な推進や、施設整備の凍結等の結果、平成28年度からは黒字に転じております。
次に、血液事業における今後の取組予定及びシステム等の投資予定です。今後は、新型コロナウイルス感染予防対策をはじめとして、血液製剤の安全性及び品質の更なる向上に向けた取組や、次期基幹システムの構築等に投資を行ってまいります。そのため、引き続き安定した財政運営のため、効率的な事業運営に努めてまいります。
最後に、今後の方向性と課題です。新型コロナウイルス感染症への対応は大きな課題となりますので、献血受入れを中心に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。また、血液製剤の安全性、品質向上など、スライドにあります6つの項目に重点的に取り組んでいくこととしております。私からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の方々から御質問、コメントなどお願いいたします。まず田野﨑からなのですが、このコロナ禍で11万人の献血の方が増えているということで大変すばらしいように思えるのですが、これは延べ人数ということで、実質の献血者の方は増えているのでしょうか。
○日本赤十字社前野副本部長 日本赤十字社の前野です。延べ人数と実献血者数ですけれども、延べ献血者については令和2年度は503万7,000人です。そのうち、実献血者数は253万1,000人余で、前年度の実献血者数267万8,000人余から約14万6,000人の減少です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。リピーターが多くなったということで理解いたしました。ほかの委員から御質問があればお願いします。
○松本委員 13枚目のスライドですけれども、ラブラッドは非常に予約が進んできているということで、コロナ禍において非常に好ましいことかと思います。血小板と血漿成分献血は非常に高い予約率なのですけれども、全血が低い予約率というのは、これは恐らく献血バスが全血のみなのでこのような低い値になっています。ですから全血と血小板、血漿とを比べるのではなくて、血液センターあるいは献血ルームで採血したものと、それからバスで献血したもの、これはもうゼロだと思うのですけれども、献血ルームと血液センターで採血したものを集計すべきではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○田野﨑委員長 こちらに関しては、日本赤十字社からはいかがでしょうか。
○日本赤十字社前野副本部長 日本赤十字社の前野です。全血献血における予約率ですが、これは今年度に入りまして4~8月までの状況ですが、移動採血で8.3%、固定施設、いわゆる献血ルーム等では30.4%で、両方の数字を併せますと、全体で17.3%の全血献血の予約率となっております。
○松本委員 ということは、移動採血、バスであっても予約もできるということになっているのですね。
○日本赤十字社前野副本部長 はい、予約は可能になっています。
○松本委員 なるほど。ただ、企業や団体に行く分に関しては、多分あまりされないのだろうとは思われるのですけれども、そうですよね。全血というといろいろなシチュエーションが考えられるので、もう少しうまく集計を考えていただければ、伸びがはっきりしてくるかなと感じたもので質問させていただきました。
○日本赤十字社前野副本部長 ありがとうございます。数字の取り方については、今の御意見を参考に取っていきたいと思います。
○松本委員 もう1点だけよろしいでしょうか。21枚目のPAS血小板、置換血小板についてです。私は随分前から導入の方向を聞いていると思うのですが、例えばいつ頃といった目標の期日とか日程が具体的にあるのでしたら教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日本赤十字社の佐竹です。PAS-PCについては細菌スクリーニングの導入が前提と考えておりますので、まずは細菌スクリーニング、培養スクリーニングの導入が決まったところでPAS-PCの…………。
○松本委員 音声がよくなくて聞き取りづらかったのですけれども、うーん。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 すみません、日赤の佐竹です。
○松本委員 今は聞こえています。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 PAS-PCについては、細菌スクリーニングの、培養スクリーニングの、全品スクリーニングの導入が前提になりますので、細菌スクリーニングが導入されてからPCの導入となります。細菌スクリーニングの導入については、クリアにいつと申し上げることができませんけれども、数年の後に可能になるように、現在、内部で作業を進めているところです。以上です。
○松本委員 ありがとうございます。早急にお願いしたいなと思います。副作用予防にも非常に有効だと思いますので、是非早急にお願いしたいと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいようでしたら、まだ議題がたくさんありますので次に進みます。ディスカッションありがとうございました。事務局におかれましても、今後とも献血血液等の使用状況に関して報告をお願いいたします。
次に議題4、各調査会の審議結果についてに移ります。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 資料4-1と資料4-3について御説明します。まず資料4-1をお手元に御用意ください。こちらは令和3年度第2回安全技術調査会の審議結果についてとなっております。1ページ、令和3年7月27日15時から17時にかけて、令和3年度第2回安全技術調査会が実施されました。出席者の委員の皆様及び参考人の皆様は以下の方々となっております。議事概要については、第2回安全技術調査会では2つの議題について議論させていただきました。議題1、新型コロナウイルス既感染者の採血制限についてです。こちらは事務局より、新型コロナウイルス既感染者の採血制限について、献血者及び血液製剤の安全性確保の観点並びに採血者における感染拡大防止の観点を総合的に勘案して、症状消失、無症候の場合は陽性となった検査の検体採取日から4週間とすること、また、採血を実施するに当たり、献血者の安全性の観点から、問題があると考えられる後遺症の有無に関わる問診を行うことで、献血を実施する者を適切に選定すること、併せて、必要時には動脈血酸素飽和度の測定を実施することを提案しました。以上のことを提案した後に、水上参考人より、上記の内容に係る研究班の検討結果について報告がなされております。日本赤十字社より上記の方針等について遂行可能である旨の意見が提示され、委員の先生方より事務局提示案が了承されました。
議題2については、令和3年度第1回運営委員会でも議論となったHBV感染症の事例と対応について議論が行われております。当該内容については、資料4-3、第3回安全技術調査会の審議結果にも関わるところですので、簡単に説明させていただきます。
前回の運営委員会でも御報告がありました遡及調査ガイドラインでB型肝炎ウイルスのHBc抗体検査陰性、HBV NAT陽性の献血者を対象に遡及調査を行う必要性があると規定されている、70日以上を超えた過去に採血された輸血用血液製剤からHBV感染が成立した症例に関する事例の概要等々が報告されました。それを踏まえて、遡及調査ガイドラインの改訂等を含めて議論を行ったところ、引き続き安全技術調査会で議論して遡及調査ガイドラインを改訂する必要があるだろうという結論になっております。
第2回安全技術調査会で出た委員の先生方からの主な御意見としては、資料の2~3ページのポツに記載されております。こちらは割愛させていただきます。
資料4-3については、第2回安全技術調査会の審議結果を受けて、第3回安全技術調査会が行われました。1ページ、令和3年9月14日の10時から12時にかけて、当該安全技術調査会が実施されております。出席者の先生方は以下の10名の先生方となっております。参考人としては、日本赤十字社から2名と水上先生が参加されました。議事概要としては、議題は1項目です。血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの一部改正について議論が行われました。内容については、事務局より令和3年度第1回運営委員会で報告されたHBVの事例を踏まえた血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの改訂案を提示しました。改正案の主な内容としては、次の○の2つです。個別NATが陽性になった場合に、当該献血者由来の製剤について供給停止及び回収を行うこと。また、HBV GenotypeAのウィンドウ期に合わせて、遡及調査期間を94日間に変更することという変更内容となっております。また、研究班での議論を踏まえて、HBV持続感染症例を想定した遡及調査期間の設定、HBs抗体検査の運用方法、医療機関から感染事例が報告された場合の対応については引き続き検討することと提案しております。
水上参考人より、上記の内容に関わる研究班の検討結果について報告がなされ、また日本赤十字社より上記の方針について、特に異論はない旨の意見が出されております。その結果、委員の先生方より事務局が提示した血液製剤等に関わる遡及調査ガイドラインの改正案が了承されたということです。
ただし、今回の改正案とは別に検討すべき事項として、以下の点が意見としてなされております。基本的には先ほど御説明した引き続き検討する内容とはなっておりますが、まず1ポツ目、HBV既感染者を鑑別する上で、HBs抗体は有用な検査であると考えられますが、ワクチン接種者との鑑別が困難となるということです。やはり、問診だけで鑑別を行うことは難しいことから、問診以外にワクチン接種者の鑑別を可能とする方法が開発された際には、当該方法を活用することを検討してほしいということです。
続きまして、コア関連抗原検査はHBVが肝細胞の中に存在していることを示すマーカーでありまして、HBV感染既往者の鑑別に有用ではないのかという意見がありました。それに伴って、現在感度が十分でない当該検査ですが、感度が改善された際には活用していくことは非常に良いことではないかという意見が出ております。安全技術調査会については以上です。
○菅原血液対策課長補佐 続いて資料4-2、令和3年度第1回献血推進調査会の審議結果について御報告します。1ページ、概要です。当日の主な議題は2つあります。令和2年度献血の取組と実績についての報告と、昨年度までの中期目標であった献血推進2020の結果総括についての報告です。昨年度の献血の取組と実績について、2ページにある日本赤十字社からの資料と、32ページにある厚生労働省の取組、それぞれについて報告させていただきました。併せて、35ページにあるとおり、来年度、令和4年度の献血推進計画の策定方針を御説明しました。委員の皆様からは、昨年度はコロナ禍の影響があったことから、10代が減少したことを踏まえ、若い世代の取組として、学校献血にアプローチを今後考えていく必要があることや、当日は栃木県の取組のお話がありましたが、自治体の好事例を横展開する必要性について御意見がありました。
もう1つの主な議題について、中期目標、献血推進2020についての総括を行いました。資料は37ページです。結論から申しますと、中期目標のうち、若年層の献血者数及び複数回献血者の増については、残念ながら目標は達成できませんでした。そういった反省点を踏まえつつ、今年度からの中期目標、献血推進2025をいかに達成していくか、それを踏まえて実施していきたいと考えております。委員の皆様からも、目標達成のための評価を行うことについて、その必要性が重要であるとの意見を頂いております。
最後に、その他として、中期目標2025の実施に当たり、調査会でモニタリングすべき項目として、半期ごとの血液の供給や献血の状況、実献血者数のラブラッド会員の比率などについて設定しておりますが、7月の調査会では、昨年度の下半期分について資料の39、40ページのとおり御報告させていただきました。41ページからですが、厚生労働行政モニター制度により献血についてアンケートを行いました。その結果について当日御報告いたしました。委員の皆様からは、ラブラッドは非常に効果的で、今後とも推進していくべきとの意見がありました。また、行政モニター制度によるアンケートを行いましたが、献血推進に関するアンケートがあれば適宜報告してほしいとの意見がありました。報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○田野﨑委員長 令和3年度の第2回並びに第3回の安全技術調査会の審議結果と、第1回の献血推進調査会の結果について御説明いただきました。これに関して、委員の方々から御意見、御質問をお願いします。
○武田委員 資料4-1の安全技術調査会の審議結果で、2ページ、献血血液のスクリーニングにおいて、HBV NATのみ陽転した場合、遡及調査期間を超えた過去に採血された同一献血者由来の血液のうち、180日間の貯留保管期間中のFFPを輸血用血液製剤として使用せず、分画製剤の原料血漿に転用する対応を行っていると報告されておりますが、率直に、血漿分画製剤を使っている患者の立場としては懸念を抱いております。2点、日赤に御質問です。こうした血液、FFPがどのくらいの量が年間に発生すると予測されるのか。それを使わないと安定供給に支障が出るとか、そういう量なのか、それとも、それほど量はないというところなのか、その辺りを1点お聞きしたいと思います。
もう1点は、当該ロットのFFP等が血漿分画製剤メーカーに行ったときに、このロットがそういうものであるということの情報提供等がされているのか。その2点について伺いたいと思います。
○田野﨑委員長 以上の2点について、日本赤十字社、いかがですか。
○日本赤十字社後藤安全管理課長 日赤の後藤からお答えします。貯留保管中で分画原料に転用するものについては、年間数本から十数本ぐらいの数になるかと試算しております。今回のような事例の情報提供についてはどうなっていますかという御質問については、遡及調査ガイドラインにあるように、個別NATが陽性となった場合に御連絡することになっておりますので、個別NAT陰性の血漿については、特に情報提供等は行っておりません。以上です。
○武田委員 ありがとうございます。血漿分画製剤ユーザーとしては、もちろんリスクをゼロにできないという前提の上ではあるのですが、ただゼロにはできないからこそ、それぞれの段階において安全対策をしっかりやっているということを示していくことが大事ではないかと思っています。今回、遡及調査ガイドラインが変わるような事態があったということで、是非、血漿分画製剤に関してはどのように扱っていくのかということについても、もう一度議論をしていただきたいと思いますが、これについてはいかがですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 これについては、国からの血漿分画製剤の不活化のログ数が9以上であることを踏まえてということがガイドラインに書いてありまして、それがきちんと保証された上で個別NAT陰性のものはそのまま使われる形になっております。これは国からの通知となっております。そこのところももっと厳しくということであれば、それは国と一緒に現在の制度を考えていかなければならないのではないかと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 もしよろしければ、岡田先生に一言、今の件についてお願いします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。この件については、確かにウイルスが入っている可能性はもちろん否定はできないのですが、現在のNATの技術を使っても検出感度以下、少量ということで、現状での血漿分画製剤の製造工程での安全性は確保されていると考えられています。そうは言っても、ユーザーからすれば少しでもリスクがあるとということは当然思いますので、その辺については今後検討する必要があるかと思います。というのは、新規のB型肝炎に感染する場合と、OBIと言って以前から感染していた感染者との区別が、もちろんOBIの方は非常に少ないのですが、その辺の鑑別が難しいため、どの辺まで遡及したらいいかどうかというのが、今後リスクとしてはその辺が少し残っているので、その辺については鑑別ができるのかどうかということを調査をすることによって、安全な血液は分画のほうに使っていただいて、リスクがあるものは、今後は使用しないということになるかと思います。その辺のことについては検討を続けたほうがいいと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 武田委員、よろしいですか。
○武田委員 今回新しい知見が出てきたということだと思いますので、是非、今後検討いただければと思います。
○田野﨑委員長 私からもこの件に関して、例えば、FFPの研究目的での提供、あるいは再生医療等製品の原料や何かに提供が行くようなものに混ざるということがもしありますと、十分な認識のないままそういうものに使われるということがあり得ないか少し懸念されるところです。こういうことに関しては、日本赤十字社の方、問題がないということでよろしかったですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日本赤十字社から血漿を外部に出す場合に、我々のほうでは血漿分画製剤の企業以外には全く出しておりませんので、ほかの再生医療とか、そういった所で使われることは、現在のところはないというふうに認識しております。ですので、今話に出ました更なる安全性ということについては、血漿分画製剤についてだけこれから考えていっていいのではないかとは考えております。以上です。
○田野﨑委員長 ほかのことについてもいかがですか。委員の先生方、コメント、御質問がありましたらお願いします。今回は献血推進についてというのがありましたが、献血推進2020は目的を十分達成できていなかったというところで、2025に関してはより積極的にということですが、こちらに関してもコメント、御質問はありますか。
○濵口委員 感染研の濵口です。安全技術調査会では、今回のガイドラインの改訂が最終形というわけではなくて、当座はリスクをできるだけ低減するためにまず取れる方法として、今回の改訂に短期間のうちに合意できたと考えています。引き続き、幾つかの課題がまだ残ったままになっていますので、先ほど御提案のあった分画製剤の件も、必要に応じて少し議論をしながら、日赤の状況を含めて安全技術調査会で引き続きこの件については考えていきたいと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 引き続き、よろしくお願いします。議題5に移りたいと思います。今後の血液事業の在り方について、資料5-1~資料5-4までがそれぞれ関連しますので、まとめて説明をお聞きになった上で、質疑を行いたいと思います。事務局より資料の御説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。まず資料5-1を御覧ください。今後の血液事業の在り方についてですが、昨今の血液事業をめぐる環境、例えば人口構成の変化、いわゆる少子高齢化の影響を受けた献血者の減少及び世代の変化、若年層の献血者が減少する一方、その献血への主体が40代から50代にシフトしていること、グロブリンをはじめとする血漿分画製剤、血液製剤の需要増加など従前の変化、課題がある一方で、いわゆる新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内においては、学校や企業における集団献血の減少によってなかなか献血が厳しい状況であること、海外でもやはり新型コロナウイルス感染症の影響を受け、原料血漿の確保が厳しいという話を聞いているところです。
今回、以上の申し上げた状況を踏まえ、委員の皆様には、主な検討項目として血液製剤の需要の将来見通しや、献血血液の確保対策などの項目などに加え、これからお示しします資料5-2、5-3についても御説明差し上げて、今後の血液事業の在り方について御意見を頂ければと存じます。今後、この後の委員会においても、令和5年度に策定予定の基本方針の改訂を踏まえつつ、今後の血液事業の方向性についても引き続いて御議論いただく予定です。資料5-1は以上です。
続いて資料5-2の新型コロナにおける献血確保の状況です。日赤が、コロナ禍において献血についてどういう取組を行ってきたかを、先ほど御説明いたしました7月の献血推進調査会の資料から抜粋して示したものです。内容については、先ほど日本赤十字社から御説明のありましたこととほとんど同じですが、献血会場における感染症対策、安全技術調査会で御議論いただきました新型コロナウイルスワクチン接種者への対応、緊急事態宣言への行政としての対応を踏まえ、日赤としてどういう対応をしたか、あるいは商業施設の停止に向けてどういう形で献血を進めていったかをお示ししているとともに、参考として、昨年2月15日から5月末までの実施予定分であった献血実施の中止件数の推移を示しております。こういったものを踏まえ、コロナ禍の影響というのは今後も引き続き続くことが想定されますので、そういった中でいかに献血を進めていくかについて、皆様から御意見を頂きたいと思っております。資料5-1、5-2の説明は以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。続いて資料5-3の説明をと思いますが、血漿分画製剤の安定供給の推進のための業務提携の在り方検討会ということで、国内3社の検討会の概要の報告をしていただきたいと思います。参考人の日本血液製剤機構から、資料の御説明をお願いいたします。
○星山参考人 日本血液製剤機構の星山と申します。それでは、私から血漿分画製剤の安定供給の推進のための業務提携の在り方検討会の概要について御報告を申し上げます。2ページ目を御覧ください。まず、本検討会の設立背景についてです。2016年10月に厚生労働省から発出されたワクチン・血液製剤タスクフォース顧問からの提言を受け、血漿分画事業が抱える課題を抽出し、これらのうち国内分画事業者3社の連携により改善が期待できる課題について検討することを目的とし、2017年8月に本検討会が設置されました。
本検討会では安定供給、国内自給、国内企業の経営基盤の強化、そして献血血液の有効利用の4つの基本的コンセプトに基づき検討すべき項目を取りまとめ、日本の血漿分画事業のあるべき姿を描きながら、3社による業務提携の実現を目指しているところです。2019年6月に令和元年度第1回血液事業部会運営委員会において、その取り組みの概況を報告し、以降も免疫グロブリン製剤の需要増加を背景とした将来の需要予測の実施、当該予測に伴う日本赤十字社との原料血漿必要量に係る協議等の活動を続けております。本日は、2019年6月に御報告して以降の取組を中心に、お話をさせていただきます。
次のページをお願いいたします。検討の概要についてです。大きく3つの項目を中心に検討させていただいております。1つは安定供給についてです。以下の4点について検討しております。まずは免疫グロブリン製剤の国内需要予測、そして原料血漿確保に向けた日本赤十字社との連携、こちらは献血推進の協力という観点で行っております。もう1つは、海外血漿に依存している製剤の安定供給、そしてウイルス安全性に関する技術交流です。
2つ目として、国内自給、献血血液の有効利用についてですが、こちらはアルブミン製剤の自給率向上に向けた取組を中心に検討しております。3つ目として、国内企業の経営基盤の強化ということで、以下の2点を中心に検討しております。基礎的医薬品認定に向けた取組、そして原料血漿価格に関します日本赤十字社との意見交換です。なお、これらの検討項目に関し、この検討会発足当時から継続して検討を行ってきました項目に加え、近年、新たな課題として対応が必要と考えるものも、新たな検討項目として加えていることも申し沿えさせていただきます。
次、お願いいたします。個々の具体的な内容について、お話をさせていただきます。まず免疫グロブリン製剤の国内需要予測についてです。国内の免疫グロブリン製剤の需要は、自己免疫疾患への効能追加等に伴い増加傾向にあります。一方でアルブミン製剤の使用量は、30年以上にわたる適正使用の取組により大きく減少し、人口当たりの使用量による比較では、欧米諸国と同等以下になっております。そして、国内需要を満たすために必要となる原料血漿量は2017年度以降、それまでのアルブミン製剤ではなく、免疫グロブリン製剤に依存するというように変わってきております。
次、お願いいたします。具体的に、2020年度に予測した内容についてお示ししております。国内外におけるこれまでの免疫グロブリン製剤の需要動向、適応疾患ごとの患者数及び治療実態、年代別人口動態を基に、2026年度までの国内需要を予測しております。欧米主要国における需要は、日本以上の増加傾向を示しておりますが、国内においても過去10年の年平均成長率は、4%以上を維持しているという状況です。近年の傾向として、国内の人口動態により、患者数の減少が想定される疾患がある一方で、治療法の変化に伴い、製剤需要が増加している疾患が存在しております。また2020年度については、新型コロナウイルス感染症の影響と推察される一部の疾患において需要の減少が認められております。
上記、各要因を総括すると、新型コロナウイルス感染症の影響期間は不明確であるものの、免疫グロブリン製剤の全体需要が今後も増加傾向にあると推察され、その需要は2026年度には、2.5g換算で300万程度にまで拡大すると試算しております。需要予測については、今後の代替治療薬の影響ですとか、新型コロナウイルスの感染症の疾患ごとの影響等を踏まえ、今年度、改めて見直しを図っているところです。
次、お願いいたします。具体的に今の話をグラフで表しています。国内の需要動向、適応を有する疾患ごとの患者数及び治療実態、国内における年代別人口動態等を基に、2026年度まで国内需要を予測しております。2020年度の実績は233万本ですが、免疫グロブリン製剤の需要は、2026年度には300万程度まで拡大するものと推察しております。
次、お願いいたします。続いて、原料血漿確保に向けた日本赤十字社との連携ということで、献血推進の協力についてお話をさせていただきます。免疫グロブリン製剤の需要像を踏まえた原料血漿確保への対応ということで、今後も免疫グロブリン製剤の需要増加が想定されることから、原料血漿確保量の予見性向上を目的に、日本赤十字社との意見交換を実施しております。日本赤十字社へ当該製剤の需要予測及び国内分画事業者3社の製造可能量をお示しした上で、各社の製造量に見合う原料血漿の確保を要請しているところです。併せて3社は安定供給並びに国内自給の維持に向け、製造収率の改善による原料血漿必要量の抑制等による生産性向上に取り組むことを合意しております。日本赤十字社からは3社に対し、必要原料血漿の確保に向けた献血推進活動への積極的な取組が求められております。私どもの具体的な対応として、献血血液から血漿分画製剤が作られていること、分画製剤の投与を受けた患者さんの声を伝えるといった動画を本検討会にて制作したところです。また、企業献血推進の強化という観点から、3社による献血サポーター企業への登録等を済ませて、献血に協力をさせていただいているところです。
次、お願いいたします。今、申し上げた動画についてです。「献血の先にある感動を知っていますか」というテーマで制作をさせていただきました。現在、献血ルームにて配信をしているところです。内容としては、献血の仕組み、血漿分画製剤の成り立ちに加え、過去に川崎病になり、実際に免疫グロブリン製剤の投与を受けたお子さんとそのお母様の経験を基に、献血への感謝が語られるという構成になっております。
次、お願いいたします。続いて海外血漿に依存している製剤の安定供給についてです。特殊免疫グロブリン製剤については、抗HBs人免疫グロブリン製剤を除き、海外から血漿を輸入して製造を行っているところです。海外においても採血対象者は限られていること、また海外の採血事業者から今後の供給継続が困難である旨の連絡を受けるといった例も発生していることから、供給ルートの複数化等、当該製剤の安定供給に向けた原料血漿の安定確保策等を協議しているところです。
ウイルスの安全性に関する技術交流についてです。ウイルス安全性に関し、各社有識者による分科会を設置し、以下について協議を実施いたしました。国内分画事業者3社の共通見解をまとめております。血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドラインの改正を見据えた要望・意見をまとめております。またウイルスクリアランス試験実施方法に関します見解、ウイルスの除去、不活化工程におけます試験系の構築、ワーストケース設定の考え方等をまとめております。また、エマージングウイルスに対する血漿分画製剤の安全性に係る資料なども作成しております。
次、お願いいたします。アルブミン製剤の国内自給率向上に向けた取組についてです。まずプロモーション資材の制作で、国内自給や安定供給への理解を深めていただくための医療関係者、患者さん向けのパンフレットを制作いたしました。献血血液による国内自給の原則、安定供給の確保は血液法により定められていること、国内分画事業者3社は国内市場を満たす製剤の製造能力を有しており、理論的には国内自給が達成可能であることを提示しています。また、国内献血由来製剤の付加価値向上に向けた協議も進めています。国内自給率の向上並びに献血血液の有効利用、医療需要への貢献を目的に、エビデンスに基づいた上での効能追加の可能性がないかを協議しています。国内外における需要等の情報収集をしながら、国内データの取得も含めて3社が合意できる効能追加候補を引き続き検討しているところです。
次、お願いいたします。基礎的医薬品認定に向けた取組です。2018年2月に医療機関、卸売販売業者、製造販売業者等に対し、血漿分画製剤の取引の適正化に関します厚生労働省医薬・生活衛生局長通知が発出されております。本通知では、多くの血漿分画製剤が薬価収載されて以降、30年を超えて医療現場へ安定的に供給され、我が国の医療に貢献している一方で、薬価が下落し続けている状況であり、採算性の悪化に伴って、その供給に支障を来さないよう、製剤の価値に見合った単品単価による取引により、十分な協議を行い、適切な納入価の決定を行う旨の要請がなされております。各社は将来にわたる安定供給に向け、取引卸業者に対し本通知の十分な理解とともに、さらなる分画事業への理解を深めてもらうように努め、要件を満たした医薬品の薬価が維持される基礎的医薬品制度における認定を目指しているところです。
次、お願いいたします。原料血漿価格に関します日本赤十字社との意見交換についてです。免疫グロブリン製剤の需要増加に伴い、必要となる原料血漿確保量の増加が見込まれている中、新たな確保策とともに原料血漿価格の維持、低減に向けた方策について、意見交換を実施しています。原料血漿必要量増加に伴う血漿成分採血の比率が上昇していることにより、原料血漿の確保コストは上昇傾向にあると考えております。当該コストの原料血漿価格への反映は事業継続に影響を与えるほど、国内分画事業者への負担が大きいという状況になります。一方で当該コストを日本赤十字社が負担し続けることは、採血事業への影響が懸念されております。さらなる確保量の増加の対応においては、日本赤十字社による採血施設の増設等の設備投資の可能性も含め、増加するコストの負担者が課題となってまいります。必要原料血漿量の確保とともに、血漿価格の維持、低減に向け、日本赤十字社、関係行政とともに、引き続きこの点については協議していきたいと考えております。
最後に次のページ、今後の検討会についてです。国内分画事業者3社は、国内献血血液を有効利用し、安全な血漿分画製剤を必要とする患者さんへ安定的かつ適切に供給する使命を遂行するため、引き続き鋭意検討を続け、各種課題について各社で尽力するべきこと、又は3社で協力するべきことをしっかりと精査した上で、3社で一致を見た連携方策等を具現化していきたいと考えております。私からは以上です。
○田野﨑委員長 引き続きまして、資料5-4の血漿分画製剤の輸出を検討する際の確認事項について、事務局より御説明をお願いします。
○若林需給専門官 資料5-4を御覧ください。血漿分画製剤の輸出を検討する際の確認事項(案)について御説明いたします。資料の構成については、1枚目と2枚目が確認事項(案)、3ページと4ページは、血液法と血液法に定める基本方針の中で、輸出に関する部分を抜粋したものです。
国内血漿由来の血漿分画製剤の輸出については、血液法に基づく基本方針で、国内の血液製剤の国内自給と安定供給の確保に支障が生じない範囲内で行うものとする。また、翌年度に輸出すると見込まれる血漿分画製剤の種類及び量を厚生労働大臣に届け出ることとするとなっております。今回、国内自給と安定供給の確保の観点から、国が確認すべき事項をまとめ、今後、事業者が輸出を検討する際は、少なくとも本資料に掲げる項目について確認することとしてはどうかと考えています。
資料の1ページを御覧ください。1番、2番、3番が、少なくともこの項目を確認してはどうかと考えているものです。1番目が、検討対象となる製剤の国内自給について。(1)過去3年程度の需給計画別表の血液製剤の種類ごとの国内自給率の状況、(2)国内自給率100%を満たさなくなった場合等の対応方針。
2番目として、安定供給の確保について。(1)原則として他社代替製剤、国内血漿由来が供給されていること、(2)国内で安定供給できるための十分な在庫を保有していること、(3)輸出する製剤と同一事業者が製造する他の血漿分画製剤の供給に支障を来さないこと。
3点目、その他として、(1)輸出計画、輸出対象国1年当たりの輸出見込量等を明らかにすること、(2)災害等で血液確保や他社製品を含め、血液製剤の国内安定供給に支障が生じる可能性等の際、できる限り国内供給を優先する旨を輸出に当たって相手先事業者等と確認していること。
4番目として、この手続ですが、今後、国内血漿由来の血漿分画製剤の輸出を検討する事業者から、厚生労働省に対して今の1~3番の各項目に関する資料の提出と説明を求めることとする。事業者から確認した内容は、適宜運営委員会に報告する。このようにさせていただきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 今後の血液事業の在り方についてということで、非常に広い範囲にわたってのお話です。少し時間を取ってありますので、委員の先生方から、何かあればお願いいたします。
○岡田委員 現在、アルブミンの国内の製造能力からすると、国内自給は可能な量になっているけれども、実際は6割ぐらいしか自給できていないという件なのですが、これは1つの原因として、作っても売れないメーカーと、よく売れているメーカーというのが、国内メーカーに存在するということですので、アルブミンの原分画を販売能力のある会社に提供するという話も以前に出たかと思います。ただ、分画のペーストというのは各社で特徴があるので、そういうペーストでのやり取りというと、その後の製造工程を変更しなくてはいけないので、かなり手間がかることが考えられるので、手っ取り早い方法として、製造能力はあるけれども製剤が売れないために作らないという所に、売れる会社から委託製造ということで作っていただければ、たちまち6割どころか9割ぐらいはいくのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○田野﨑委員長 何か御意見はありますでしょうか。
○津田参考人 確かに、3社で検討会をしていた当初は、アルブミンの中間原料の企業間でのやり取りという話が出てきたのは確かですが、そのときは、生産能力が使用量を超えられるのか超えられないのかというのがはっきりしていない時期でして、その後、3社でどのぐらい製造できるのだということを打ち明け合った結果、作れるということが分かりました。現在、3社ともに、免疫グロブリンが必要とする量の原料血漿を頂いているということですので、どこがアルブミンを作れないとか、作れるというレベルではありませんでしたので、一旦、この話は中断している次第です。
○中谷血液対策課長 資料5-1の本日御提示した今後の血液事業の在り方について、議論のたたき台について補足説明させていただければと思います。本日、この資料を御提示した目的は、来年度まで継続して運営委員会で議論していきたいという方向性について、お諮りをするものです。さらに、この資料5-1、主な検討項目で掲げた項目で漏れがないかということについても、御意見を頂ければと思っております。本日御了承いただければ、次回以降の運営委員会で、この項目に関する資料を御提示しながら、それぞれの項目について御意見を伺っていきたいと考えておりますので、それに関して、本日は御意見をよろしくお願いします。
○田野﨑委員長 今、課長から御説明がありましたとおりですが、資料5-1について、不足していることなどがございましたら、お願いしたいと思います。現在のアルブミンなどの中間原料の相互での利用に関しては、安定供給などに関わってくると思いますが、かねてより原料血漿についての話はずっとあるわけなのですが。何かこれで不足点などがあればと思いますが。
例えば今回、COVID-19のパンデミック下において、回復者血漿なども含めたところに関しては、危機管理の観点を踏まえた供給体制の整備の所に含まれるのかなと思いますが、同時に、逆に回復者血漿をどのように確保するかという体制が、海外と違い日本では大変集めにくいということも分かってきたかなと、あるいは同時にこれを投与しづらいというところも分かってきたように思います。これは検討項目の危機管理の観点を踏まえた所に入れていただければいいかなと思います。御意見があればお願いいたします。
○松下委員 資料5-3の終わりのほうにある基礎的医薬品認定の件で、多分これは、これ以上薬価を下げてもらったら利益が出ないので、ある程度維持してくださいという国の仕組みなのですが、これを目指すということが書いてあるのですが、これを目指したら薬価は下がっていかないわけなので、アルブミンの話が出ましたけれども、競争にさらされている医薬品の場合には、逆の方向ということになってしまうと思うのです。この辺りは、今後はどうされるのでしょうか。血液製剤は、ある程度基礎的医薬品に入っているものもあるのですが、日赤の血液製剤はみんな入っていますし、それは競争相手がないので、ある程度薬価が下がったら困るということになっていると思うのですが、会社としてはこれを目指すのか、目指して、ある程度薬価をキープしたいのか。
○星山参考人 先生に御指摘いただきましたように、経営的な観点から薬価を維持するというのは、私どもにとっても非常に重要なことで、こちらを目指していくというところには変わりはございません。そういった意味においては、先ほどもお話しましたように、この厚労省の医薬・生活衛生局長通知も活用しまして、血漿分画製剤は他の薬剤と少し位置付けが違うというところを、しっかりと卸様、医療機関様に御説明をして、いわゆる価値に見合った、値引きを大きく求めてこないでいただきたいというようなお話はさせていただくと、こういった活動を地道にやりながら、何とか取引価格を平均かい離率の中に納めて、基礎的医薬品に入れることを目指していくという活動は継続していきたいと考えております。
○田野﨑委員長 こちらに関しては、確かに卸売業者と医療機関との間で、どんどん値崩れしてしまうような形になると、将来的に難しいということで、こういうようなことがあったと思います。これについては、どの辺を落としどころとするかということを検討していってもいいのかもしれませんが、これ自体は重要なところではないかなという議論を以前、この委員会でもしたかと思います。また、こちらについては引き続きと思います。岡田委員、お願いします。
○岡田委員 国内自給率の向上ということに含まれるかもしれませんが、例えば第13因子のように、原料としては分画の中に必ずできてくるのですが、全て海外からの輸入製剤として賄われているものの国産化を図ることが必要ではないでしょうか。当然、需要は結構あるのですが、その需要を上回る、原料はあるわけですので製造ができますので、その余った分は海外に輸出ということで、従来、国内で作っていなかった製剤に関して作るということは入れたほうがいいかと思います。これが1点です。
2点目です。特殊免疫グロブリンの国内自給はHBS抗体が少し作られているだけで、あとは全て海外の血漿に依存しているのです。将来的に、海外から原料血漿が供給されるかどうかは分からないので、ここに研究開発の推進ということで、特殊免疫グロブリン製剤に代わるようなモノクローナル製剤の開発も、血液製剤の事業のためには必要ですので、特殊免疫グロブリンの開発ということも入れたほうがいいかと思います。
特に、RHマイナスの母親に使う抗D抗体は国内で自給することは絶対に無理で、世界的にもRHマイナスの人が抗体陽転した人にブースターをかけて採血するということで、倫理的にも、将来的にそういう原料血漿が確保できるかどうかは分かりませんので、モノクローナル抗体で、それに代わるような製剤を開発するということを今から推進しておいたほうがいいと思います。
○星山参考人 貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。一番最初の、例えば13因子製剤のように、海外からの輸入にのみ頼っている製剤、しかし一方で国内でも作ることはできるのではないか。こういった、いわゆる輸入に頼っているシングルサプライ品に関しては、3社の検討会でも、これに対する対応ということを考えてきましたが、こちらに関しては、各社の様々な経戦略、方向性がありますので、各社それぞれが対応を考えていこうという形で、一旦結論を出しております。
弊機構も、今、先生から御指摘のあった、こういった製剤の開発をどうしていくのかということは鋭意検討しているところですので、また今後そういったところに関しては何らかの報告ができる時期がくるかもしれませんが、一応、私どもの考え方のスタンスとしては、こうした輸入に頼っているシングルサプライ品に関しては何らかの対応をしていきたいとは考えている次第です。
一方、特殊免疫グロブリンに関しましては、HBは将来的には何とか献血で対応できるという状況になるのではないかと考えています。また、破傷風に関しても、ワクチネーションの意義を考えれば献血化の可能性もあるかと思うのですが、やはり問題は先生に御指摘いただいたように、抗Dに関してです。もともとDの抗体がある方に対して、その原料血漿を得るためだけにD抗原の血球を打つということが、果たして倫理的にいいのかどうなのかといった問題がございますので、先生が言われたモノクローナル抗体の開発も含めまして、この辺は私どもとしては、国ともいろいろ協議をさせていただきながら、こういったところの対応を今後考えていく必要があるのではないかというところです。
○岡田委員 どうもありがとうございました。
○田野﨑委員長 ほかにいかがでしょうか。
○松本委員 いろいろなところに関連すると思うのですが、まず、先ほどもお話がありましたが、中間原料のやり取りというのは、各社で分画の仕方の違いもあってということで、やり取りしてもほかのメーカーでは使えないということをおっしゃっており、統一は非常にハードルが高いのだと思います。そちらのほうを、そういうことも含めてきちんとやっていかないと、輸出だとか、いろいろな製剤の開発促進はかなり遠いと思います。血漿分画の方法などを標準化と言うか、規格化をするのがいいのかなと思います。
引いては、国外に輸出するとか、例えば余剰分画を輸出することも考えていかないといけないと思いますので、国際ルールにのっとったような形の分画の方法を採用していくことを検討していただければいいかなと思っているところです。その辺りはどうでしょうか、そのような方向性は検討されることはあるのでしょうか。
○星山参考人 なかなかハードルの高い面が多々あるのかとは思うのですが、今後の検討課題の1つだろうと、先生の貴重な御意見は承っておきたいと思います。今後、どういった課題があるのかをもう一度整理することも必要なのかなと感じているところです。今後、何らかの対応が必要になってくる可能性はあるかなと、私どももその辺は認識しておりますので、今後、その辺りも含めて、また御意見を頂きながら考えていくことになるのかなと考えている次第でございます。
○松本委員 是非、御検討をお願いいたします。
○田野﨑委員長 ほかにはいかがでしょうか。私からですが、以前、実際に原料血漿は今後どのぐらい必要であるか、これが2026年には300万本ということは、そこまで伸びるのかなというところもございましたが、恐らく日本赤十字社の推定と差が出てきているのではないかと。実際には、採漿や何かの、もう少しそこに力を入れていかないと、実際の原料血漿が確保できないのではないかということ。それから、原料血漿が手に入ったら、今度は連産品としていろいろなものが出てくる可能性がありますので、輸出などのことも考えていかなければいけないかもしれません。これに関して、各企業それぞれの事情があるとは思うのですが、せっかくこうやって3社が連携して委員会などを立ち上げてきているので、是非とも、この中で一緒に何か立ち上げて、それで輸出あるいは、もしかしたら採漿のところにもしっかりと組み込んでということも必要なのかもしれないと。
実際に、成分献血のところは、今回日赤のほうでもかなり実績として伸びていますので、費用の問題を考えなければ、実際にはどんどん伸びる可能性もあるのかなということが推測されるものと、日赤も今までの中でかなり利潤が増えてきていることも今回お示しいただきましたので、国内でうまく安定できるように、相互に連携していただいたらいいのではないかと私は思いました。この中には含まれている項目なのかもしれませんが、3社での、企業間での連携、日赤との連携、以前によく大平委員がグランドデザインをと言われていましたが、そういうようなものを共有していただいたらいいのかなと思いました。ほかに御意見、コメントはございますか。
○岡田委員 原料血漿の確保と言うと、PAS処理した血小板の開発が結構大きいのではないかと思います。ですので、日本赤十字社としては、PASの血小板が実用化可能なのかどうか、若しくは、可能であればそれを早く実現してほしいと思います。
○田野﨑委員長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、議題6の「その他」に移ります。事務局より、献血ベニロン-I静注用1,000mgの供給停止についての御説明をお願いいたします。
○若林需給専門官 献血ベニロン-I静注用1,000mgの供給停止について、資料6-1及び参考資料6を御覧ください。説明は資料6-1でさせていただきます。
献血ベニロン-I静注用1,000mgについては、低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病の急性期、ギランバレー症候群、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善、視神経炎の急性期を効能・効果とする静注用免疫グロブリン製剤です。4つ規格を持っておりまして、500、1,000、2,500、5,000mgの規格です。今回、KMバイオロジクス株式会社より、この製剤について、供給を停止したいという相談がございました。
1,000mg規格については、販売シェアの低迷により、昨年度の販売数量は996本、納入件数は41件となっており、製造ロットスケールの関係で、直近で生産した製品の約6割が廃棄処理となっている状況です。また、500mg規格も同様の傾向で、製造ロットスケールの関係で直近で生産した製品の約4~5割が廃棄処理となっている状況です。以上のことから、貴重な献血血液の有効利用を図るため、1,000mg規格を供給停止し、500mg規格に集約を図り、生産した製品の廃棄量削減を図りたいということです。
なお、国内で販売している免疫グロブリン製剤のうち、この献血ベニロン-Iだけが効能・効果を持つ、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善や視神経炎については、主に5,000mgの規格を使用しているということで、1,000mg規格を供給停止しても、特に問題はないということでした。
今後の予定ですが、供給停止に向けた手続を進めさせていただきたいと考えております。資料の説明は以上です。
○田野﨑委員長 ただいまの御説明について、何か御意見、御質問はございますか。だんだん規格が増えていく感じですね。続いて事務局より、地方分権改革についての御説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 地方分権改革についての御説明です。資料6-2を御覧ください。地方分権改革は、内閣府において、地方公共団体への事務や権限の移譲、地方に対する義務付けや枠付けの見直し等を行っているものです。その中の取組の1つとして、地方の発意に根差した取組の推進をするということから、個々の地方公共団体等から地方分権改革に関する提案を広く募集し、その提案の実現に向けて検討を行う提案募集というものを行っているところです。今回、その提案の中に、血液法第10条第5項に規定している、都道府県において献血推進計画を策定することとしているのですが、その策定の義務付けを廃止してほしいという要望がございました。
2ページに概要がございます。提案県は和歌山県他です。提案県としては、国あるいは日本赤十字社で献血受入計画を策定していることから、県計画は必要ないのではないか、あるいはいろいろとキャンペーンを行う場合であっても、国などが通知をしているので、改めて県で計画を策定する必要はないのではないか、また、たとえ計画がなくても、県で献血推進協議会などが実施して、関係団体と協議をして連携して行うので、普及や啓発に問題はないのではないかとの意見があることから、今回の提案を行ったということです。
5ページを御覧ください。これについて私どもとしては、基本的に県計画の策定は必要であると考えています。これは血液事業の特殊性をかんがみて、安定供給体制を維持・確保するためには、計画的な献血が必要であると考えているところです。そうした形で、都道府県が主体的に計画を策定して明示することで、採血業者、医療機関、ボランティア団体、住民などの協力が得やすくなり、献血の推進、血液の安定供給につながると考えております。また、献血推進施策の進捗状況の確認、評価、見直しを行うことによって、血液行政の透明性を確保し、適正な運用につながるものと考えていることから、国計画を具体化する県計画は必要であると考えている次第です。
ちなみに、都道府県の献血推進計画の策定義務ですが、15年に施行された血液法の際の審議において、国会でこの条項が追記されたものです。そういった経緯もあることから、私どもとしては、県計画は必要であると考えている次第です。
しかしながら、私どもとしても今後、都道府県の事務負担も検討すべきものと考えておりまして、今回の提案を踏まえて、例えば県計画とは別の計画策定指針など、いわゆるほかの計画を策定している場合、当該計画が県計画を包括する内容であれば、それを県計画として添付することを可能にするとか、あるいは計画の内容を中長期的な活動方針に関する事項と毎年度確認すべき事項、例えば必要な献血量など、そういった事項に区別して、毎年度提出する計画の手続を簡素化することを令和3年度末、今年度末までに軽減措置を検討するということで、現在検討中です。これをもって、現在、内閣府と協議しているところです。
○田野﨑委員長 委員の皆さん、いかがでしょうか。厚生労働省の対応案について、それは違うという御意見等がございましたら。特にないようでしたら、この方向性で進めていただければと思います。最後になりますが、事務局より、新たに薬事・食品衛生審議会において公知申請に関する事前評価を受けた後天性低フィブリノゲン血症における乾燥人フィブリノゲン製剤の使用に当たっての留意事項について、御説明をお願いいたします。
○若林需給専門官 資料6-3を御覧ください。今月の6日付けで新たに薬事・食品衛生審議会において、公知申請に関する事前評価を受けた後天性低フィブリノゲン血症における乾燥人フィブリノゲン製剤の使用に当たっての留意事項について関係者に周知しましたので、御報告いたします。当課としましても、今後も乾燥人フィブリノゲン製剤の適正使用の徹底や安定供給の確保に努めてまいります。
○田野﨑委員長 本日の議題は以上となりますが、ほかに何か御意見等はございますか。特にないようでしたら、事務局に議事進行をお戻しいたします。
○佐野血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は別途御連絡差し上げます。これにて、血液事業部会令和3年度第2回運営委員会を終了いたします。

(了)