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- 令和3年度第31回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
令和3年度第31回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
日時
令和3年3月22日(火) 10:00~12:00
場所
厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)
(オンライン会議場)
議事
○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、「令和3年度第31回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございます。
今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。議事録につきましては、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ちまして、審議の進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問を賜る際には、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
御発言のタイミングが重なったりした場合には、調査会長から順に発言者を指名していただきます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
御不便等をおかけすることもあるかもしれませんが、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここからの議事進行につきましては、恐縮ですが、岡先生にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様も円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がございましたけれども、これまでの御説明に御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 本日の委員の出欠状況でございますが、6名全ての委員に御出席賜っております。薬事・食品衛生審議会の規定によりまして、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として御参加いただく先生を紹介いたします。
議題1「ソマトロピン(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の関係で、日本内分泌学会より、奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座教授の高橋裕先生に御参加いただいております。また、日本糖尿病学会より、東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学分野主任教授の鈴木亮先生に御参加を賜っているところでございます。
また、これに加えまして、議題2「インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の関係で、日本神経学会より、東京女子医科大学脳神経内科・特命担当教授の清水優子先生に御出席を賜っているところでございます。
以上でございます。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1と議題2の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受け取り状況を報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業につきましては、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところでございます。
その結果でございますが、石井委員より、ノボ ノルディスクファーマ株式会社、ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、田辺三菱製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
岡委員より、JCRファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
柿崎委員より、日本イーライリリー株式会社、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
舟越委員より、日本イーライリリー株式会社、ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、田辺三菱製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
高橋参考人より、日本イーライリリー株式会社より50万円以下のお受け取り、JCRファーマ株式会社、ノボ ノルディスクファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り。
鈴木参考人より、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り、日本イーライリリー株式会社、ノボ ノルディスクファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り。
清水参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、バイオジェン・ジャパン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、と御申告を賜っているところでございます。
よって、全ての委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも参加が可能でございます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告につきましては、追ってホームページに公開させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上でございます。
○岡座長 それでは、ただいま事務局から御説明がありましたけれども、審議参加に関する遵守事項についてはよろしいでしょうか。特に御意見、御質問等はございませんでしょうか。
特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含め、御了解いただいたものといたします。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、あらかじめお送りさせていただいております。
議題1に関しまして資料1-1から1-4まで、また、議題2に関しまして資料2-1から2-3までがございます。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人一覧、及び競合品目・競合企業リストをお送りしております。
お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせくださいますようお願いいたします。
また、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方におかれましては、そちらを御参照ください。
以上でございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「ソマトロピン(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。
それでは、議題1「ソマトロピンの『使用上の注意』の改訂について」御説明いたします。
資料1-1を御覧ください。
遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤であるソマトロピンは、複数の製品が承認されております。適応としては資料1-2の21ページ、別添1に記載しておりますが、骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症や成人成長ホルモン分泌不全症など様々な適応を持っております。
資料1-1に戻りまして、「1.品目概要」に記載したいずれのソマトロピン製剤も成長ホルモンが抗インスリン作用を要することから、初回承認時から糖尿病の患者に対する投与が禁忌とされております。
令和3年3月に、日本内分泌学会及び日本小児内分泌学会から、ソマトロピン製剤の「使用上の注意」において糖尿病の患者を「禁忌」から「慎重投与」に変更するよう求める要望書が提出されました。
1ページ後段より、学会からの主な要望理由を列挙しているので、御覧いただければと思いますが、血糖コントロールが不十分な2型糖尿病を合併した患者へのソマトロピン治療は、長期的にインスリン抵抗性を改善する可能性が指摘されていることなどが要望理由として挙げられております。
2ページ目の調査結果を御覧ください。
学会からの要望を基に、国内外のガイドラインの記載状況、海外添付文書の記載状況、副作用報告の状況、関連する公表文献、製造販売後調査結果などを調査いたしました。
調査結果より、糖尿病の患者を「禁忌」の項から削除することが可能と考える理由を2ページ目後段の4ポツでお示ししていますが、成人成長ホルモン分泌不全症などの適応症に対しては、ヒト成長ホルモン以外に治療選択肢がありません。
また、海外の添付文書などでは、糖尿病患者は禁忌とされておらず、慎重に投与することとされています。
また、国内副作用症例において、糖代謝関連の重篤な副作用が認められてはいますが、適切な処置で血糖コントロールができておりますことなどから、糖尿病患者の禁忌解除は可能と考えられます。
しかしながら、3ページ目上段の3ポツにお示ししているように、ソマトロピン製剤の薬理作用により、糖尿病の病状を悪化させる可能性があることから、海外の診療ガイドラインなどでは、コントロール不良の糖尿病合併症にはソマトロピン製剤を投与しないことが推奨されていることを踏まえると、糖尿病患者に対して、血糖値などの定期的な測定や糖尿病用薬との併用に関する注意喚起を行うなどの注意喚起は必要であると判断しております。
また、ソマトロピン製剤の適応のうち、プラダーウィリー症候群及びターナー症候群については、耐糖能低下を招くことがあり、糖尿病を合併する頻度がほかの対象疾患より高いため、こちらの2つの適応に対して、ソマトロピン製剤を用いる際には、特に経過を注意深く観察する旨、注意喚起する必要があると考えられます。
さらには、糖尿病合併症である糖尿病網膜症について、海外の一部の国でソマトロピン製剤投与は禁忌となっていることから、糖尿病網膜症に関する注意喚起の内容について検討いたしました。こちらについては、禁忌とされていない国もあり、統一的な見解が得られていないこと、糖尿病網膜症の発症及び進展には、インスリン様成長因子-1、いわゆるIGF-1が関与している報告がある一方で、網膜の状態に影響を与えないとの報告もあることや、糖尿病網膜症に最も強く影響する因子はVEGFであるとの報告があることを踏まえると、糖尿病網膜症を合併する患者について禁忌とする必要はないものの、糖尿病網膜症の病状を悪化させる可能性があるため、糖尿病網膜症を含む糖尿病合併症について注意喚起をする必要があると考えています。
以上を踏まえて、4ページ目の「4.対応方針」を御覧ください。
糖尿病の患者を「禁忌」の項から削除する。
糖尿病の患者に対して、血糖値などの定期的な測定や糖尿病用薬との併用に関する注意喚起を追記する。
プラダーウィリー症候群及びターナー症候群は耐糖能の低下を合併することがあり、特に経過を注意深く観察する旨の注意喚起を追記する。
糖尿病網膜症を含む糖尿病合併症に関する注意喚起を追記するといった使用上の注意の改訂を行ってはどうかと考えております。
具体的な改訂案は、資料1-2の40ページから67ページにお示ししております。
御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
本日はお二人の御専門の参考人に御出席いただいております。
まず、日本内分泌学会の高橋参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○高橋参考人 御紹介ありがとうございます。御紹介いただきました奈良県立医科大学の高橋と申します。
私は内分泌、特に成長ホルモンを専門にしておりまして、これまで成長ホルモン治療、診療に関わってまいりましたので、内分泌学会を代表して御説明申し上げたいと思います。
ただいま、資料1-1で御説明いただいた内容は非常に的確に内容として捉えられておりまして、私としても全く異存はないところでありますけれども、若干追加で御説明させていただきますと、先ほどのお話にありましたように、まず成長ホルモンというのはそもそも体にもともと存在しているホルモンで、小児期、成人期、いずれも必須のホルモンであります。小児の場合は、分泌不全がございますと低身長、身長が伸びなくなってしまいますし、成人の場合は身長には影響を与えませんが、体組成や代謝の調節、それから、QOLに悪影響を及ぼします。さらに気力、体力の維持等に必須のホルモンであるということが分かっております。
それから、先ほどの御説明にもございましたように、成長ホルモンがない状態に対して成長ホルモン以外で治療をすることは、小児においても成人においても困難であるということであります。そして、成長ホルモンの補充療法というのは、あくまで欠落した患者さんに対して正常のレベルに戻すということが主として行われているという状況であります。ただ、もちろん、例えばターナー症候群とかプラダーウィリー症候群の場合は、分泌不全が合併している方もおられるのですが、生理的作用プラス少し薬理的な効果も期待して投与されているという病態もあるところであります。
もともと2006年に、それから、小児の場合はそれ以前からありますけれども、成人に成長ホルモン治療が保険承認されました。その際に、糖尿病合併例が禁忌ということになったのです。その経緯に関しては、今回作成していただいた報告書で詳しく調べていただいているのですが、実際のところ、なぜ禁忌になったのか、十分な根拠があったとは思えないという状況。これは、単純に申し上げますと、先ほど説明があったように、成長ホルモン自身がインスリン抵抗性を惹起する作用があるがために、そして、ごく一部の患者さんで糖尿病が悪化する患者がいるという理由だったと推測できるわけですが、そのことで禁忌になってしまったということで、資料1-3に我々詳しく書かせていただいているのですが、日本内分泌学会及び小児内分泌学会の評議員、主に専門医の先生方ですが、先ほど申し上げたように、本当に成長ホルモンが必要な患者さんであっても、禁忌になっているために糖尿病合併例では使えないという患者さんにとって大きな不利益が継続してきたという状況がございまして、今回、日本内分泌学会及び小児内分泌学会からこのような要望書を提出させていただいたということでございます。
そして、これに対する対応として、成長ホルモンを投与しますと、数%から10%ぐらいで耐糖能が悪化する、あるいは糖尿病が発症する方はおられますので、注意喚起は必要だということで、慎重投与で注意喚起をしていただくこと。一方で、糖尿病が発症しても、適切な糖尿病治療でほとんどの症例の場合は十分対応できるということがございますので、今回御提案いただいた内容は非常に妥当な内容ではないかと考えております。
そして、糖尿病網膜症に関しても、御説明いただいたとおりなのですけれども、成長ホルモン、そして、成長ホルモンによって産生されるIGF-1が網膜症を悪化させるかもしれないという可能性の根拠は動物実験でありまして、ヒトで明らかに証明されたものではないというところから、しかし、一方でやはり悪化する可能性は否定できないというところから、十分注意をしていただくことと、それから、これはあらゆる薬でそうだと思うのですが、使うメリットがリスク、デメリットを上回るという慎重な判断をしていただいた上で適切に使っていただくことが必要だと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
続きまして、日本糖尿病学会の鈴木参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○鈴木参考人 東京医科大学の鈴木です。日本糖尿病学会に所属しております。
先ほど高橋先生からお話があったとおりでございまして、糖尿病が禁忌になっている必然性といいますか、その理由がやはりはっきりしないというのが実情ではないかと思います。
資料も非常に詳細な調査がなされておりまして、拝見いたしましたけれども、変更の内容に関しては非常に妥当な方針が示されていると思いました。
私からは以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生から、本件につきまして御意見、御質問等はございますか。いかがでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生に2点お伺いしたいのですけれども、この薬剤は、内分泌もしくは小児内分泌、あるいは一部の脳外科の先生など専門家の先生の処方、もしくはその管理下で処方されることがほとんどという理解でいいかということが一点。
2点目なのですけれども、資料1-2の44ページの用法・用量のところなのですが、ターナー症候群における低身長において経口ブドウ糖負荷試験等の定期的な検査により、耐糖能の観察を十分に行うことということが今回の改訂で削除されているのですけれども、これに関しても専門家の先生が処方されるということで問題ない、むしろ臨床的には使いやすくなるといった理解でよろしいのでしょうか。
○岡座長 高橋先生あるいは鈴木先生のほうからいかがでしょうか・
高橋先生、よろしいですか。
○高橋参考人 高橋です。
御質問ありがとうございます。
まず1点目ですけれども、言っていただいたとおり、基本的には成長ホルモンというのは専門医でないと処方できないというわけではありませんけれども、やはり専門性の高い治療ですので、小児内分泌学会、内分泌学会、脳外科学会の先生方の専門医による処方、治療がほとんどだと思いますし、ほとんどの症例で適切に治療されていると考えております。
それから、2点目のターナー症候群に関してですけれども、これは私自身も経験がありまして、ターナー症候群の患者さんはやはり耐糖能異常が生じやすいということがあるので注意が必要ですが、ここでのポイントは、経口ブドウ糖負荷試験です。経口ブドウ糖負荷試験は、例えば軽度の耐糖能異常等を拾い上げるのには非常に有用ですが、日常診療でたびたび行うようなものではございません。それをしなくても、通常の検査で例えば空腹時血糖あるいは食後の血糖とヘモグロビンA1cを定期的に採血することで、耐糖能悪化を十分拾い上げることができるということで、それが削除されたのではないかと私は理解しております。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
この点について、鈴木参考人のほうから何か御意見はございますでしょうか。
○鈴木参考人 全く同意見でありまして、注射薬でありますので、基本的には専門家の治療がほとんどだろうと思います。
それと、経口ブドウ糖負荷試験の削除に関しましては、ターナー症候群自体、確かにインスリン作用不足、肥満といったこと以外にも、インスリン分泌の低下ということが恐らく起きるケースがあるので、この経口ブドウ糖負荷試験という項目がもともと含まれていたのではないかと推測いたしますけれども、実臨床としてその発症を非常に軽度の状態から見つけるというのが経口ブドウ糖負荷試験を必須とするものかというと、恐らくそうではないというのがコンセンサスではないかと思います。
○岡座長 柿崎委員、よろしいでしょうか。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、続いて石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
このソマトロピンなのですけれども、ソマトロピンが必要な患者さんで糖尿病を併発しているというか、糖尿病の治療が必要な患者さんというのは一定割合いらっしゃるのでしょうか。
もう一つは、これは事務局かもしれませんが、今回資料に挙がっているのは全て先行品でございますが、BS製剤についても同じ処置がなされるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
1点目は、よろしければ高橋参考人、御意見をいただけますでしょうか。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
成長ホルモンがあろうがなかろうが、糖尿病患者さんというのは一定の割合でおられまして、それと基本的にはほぼ同じぐらいの割合で成長ホルモン分泌不全症に糖尿病を合併されている患者さんはおられます。そして、本疾患の特殊性を考えると、間脳下垂体疾患、脳の視床下部と下垂体の病気で成長ホルモン分泌不全症になっている方が多いのですが、そういう患者さんの一部には視床下部の問題で非常に肥満を呈する方がおられます。その肥満によって2型糖尿病、問題のNASHというものもあるのですけれども、そういうものを合併している方が一部おられます。ただ、特別多いというわけではなくて、印象としては恐らく患者さんの中の1割ぐらいの方に合併している方がおられる。ただ、そういう方は、これまでは2型糖尿病を合併していたので治療ができなかったけれども、非常にQOLが低下したり、NASHが悪化したりという深刻な問題が生じていたというのが実情かと思います。
2点目に関しては、私のほうでは分かりませんので、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
2点目に関して、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。よろしくお願いいたします。
御質問ありがとうございます。
今回は先行品だけではなく、バイオシミラー製剤も対象としております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○石井委員 ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
私も参考人の先生方に教えていただきたいことがございます。
1つ目が、先ほどこういった患者さんにソマトロピンを使うと10%ぐらいコントロール不良な患者さんたちがいるという部分で、今回、添付文書の改訂案でも投与直前と投与中の定期的なHbA1cや血糖値をモニタリングという部分ですが、こちらは3歳以上の子供に使う部分で、このソマプシタンやソマトロピンを使うに当たって、実際にSMBGやそういった回数、成人と同じように行うものなのでしょうか。
まずその1点を教えていただきたいと思います。
○岡座長 これはいかがでしょうか。
高橋参考人、何か御意見等ございますか。いかがでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
1点確認なのですが、それはもともと糖尿病でSMBGをされている患者さんにおいてということですか。
○舟越委員 そこが、私、薬剤師なのですけれども、実臨床でこういった方に服薬指導等をした経験が私自身はないので、普通に糖尿病を合併していれば、1日3回か4回子供でもやるものなのか、1日1回程度やっていて、それが実際にはこういったものを使う場合にはSMBGとかを3回か4回とか頻度を上げるものなのかという部分が、今回、添付文書で直前から投与中に慎重にモニタリングすることということが追記されますので、その点、臨床感覚が分からないので教えていただきたいと思いました。
○高橋参考人 ありがとうございます。
まず、一般的に申し上げますと、糖尿病患者さんで、例えば小児でSMBGを行うというのは、1型糖尿病の患者さんがほとんどだと思うのです。そういう患者さんで成長ホルモンが必要なときというのは、SMBCも通常1日4回とか、さらに多くやっている場合も多いので、それで十分対応できるケースも多いと思うのですが、それは病態に応じて主治医、担当医が判断する必要がある場合があるかもしれません。ただ、そういうケースは非常にまれです。1型糖尿病で成長ホルモンが必要となる方は非常にまれということであります。
それから、成人の場合も、一般的に成長ホルモンが必要になる患者さんで、SMBGが必要になるような患者さんというのは非常に少ない状態で、もしされている場合には基本的には小児と同じ考え方で、ただ、それでもSMBCの頻度を増やす必要が出てくるような、悪化するような症例はまれだと理解しております。
ただ、いずれにせよ、この添付文章にありますように、それぞれの患者さんにおいてリスクは異なりますので、例えば肥満とか家族歴のあるような患者さんの場合はリスクが高いですから、それらも含めて担当医が適切に判断していただく必要あるかと思います。
これについては鈴木先生の御意見もぜひいただけたらと思います。
○岡座長 鈴木先生も糖尿病の観点でお答えいただけますでしょうか。
○鈴木参考人 実際にSMBCの回数をどのぐらい行うかというのは、どんな注射薬治療を行っているかにかなり依存している部分があるのではないかと思います。強化インスリン療法を行っている場合には、かなり頻回に、1日に何回も血糖値を測定するのに対して、1日1回のインスリン治療であったり、あるいは週に1回のGLP-1受容体作動薬の注射を行っているような場合には、そこまでの頻回の自己血糖測定を行うことはあまり一般的ではないだろうと思われます。
ソマトロピンを投与する際に、もともとそういった糖尿病の治療薬を使っておられる方が使えるようになったことによって、SMBCの回数が増えるべきかどうかというのは、恐らくインスリン治療の回数が増えることになるのか、そういった注射の回数が増えることになるのかどうかということでかなり密接に関わってくるところだろうと思います。
実際に頻回に測って上がっているようだったら、そこに合わせてインスリンを使わなければならないのであれば、先ほど高橋先生がおっしゃったように、それは主治医の判断ということになるのではないかと思います。
○舟越委員 ありがとうございます。よく分かりました。
もう一つは、こちらの参考人の先生といいますか、学会の立場としてお伺いしたいのですが、今後、ガイドラインが禁忌が書かれているのが解除されてから、先ほどのように、こういった耐糖能異常関係は特定されたリスクとして丁寧にコントロールすれば、患者、患児にとっては恩恵を受けるような解除となると思いますけれども、先ほどの網膜症のように潜在的な薬理作用から想定できるリスクについては、禁忌解除後、例えば学会としてレジストリ登録ではないですが、症例を集積するようなことは今後検討されるのでしょうか。よく原則禁忌や併用禁忌を解除後の患者さんのそういった状況、日本での症例集積というものが各学会で行われるかと思うのですけれども、今回の件についても方向とかお考えをお聞かせいただければと思います。
○岡座長 高橋参考人、いかがでしょうか。
○高橋参考人 重要な点の御指摘をありがとうございます。
実は私が今属している間脳下垂体機能障害の班会議がございまして、そこで現在ガイドラインの改訂、それから、レジストリについても進行しているところです。
ガイドラインの改訂に関しましては、今回の御審議を踏まえてもし承認されれば、次の改訂版で改訂しようと考えております。
そして、今、レジストリに関して非常に重要な点を御指摘いただいたかと思います。実際のところ、患者さんで例えば糖尿性網膜症があるときに、成長ホルモンを使ってそれが進行するのかどうかと言う点は未解決の問題ですので、そういう点をレジストリの調査項目に加えることによって、実際の要素、ただ、網膜症というのはそもそも糖尿病のコントロールの状態とか、それこそ遺伝的背景とか様々なものに影響されるので、それを科学的にクリニカルクエスチョンとして答えようとすると、相当な数の患者さんでの詳細な解析が必要になるかと思いますが、やはりそういうことを地道にきちんと押さえていくことは非常に重要かと思いますので、今後検討させていただきたいと考えております。
ありがとうございます。
○舟越委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。御意見についてはよろしいでしょうか。
そうしましたら、議決に移りたいと思います。
ただいまの御意見を総合しますと、事務局の提案どおりにソマトロピン(遺伝子組換え)の使用上注意を改訂するということでの議決をいただきたいと思います。
それでは、御承認いただける委員の先生方は挙手していただけますでしょうか。
(賛成者挙手)
○岡座長 ありがとうございます。全委員の御承認がいただけたかと思います。
それでは、御異議なしということで進めさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について事務局から御説明お願いします。
○事務局 御議論いただきありがとうございます。
ソマトロピンの製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。
また、本調査会での検討結果につきましては、安全対策部会に報告いたします。
以上です。
○岡座長 事務局からの御説明に何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○高橋参考人 高橋です。
御審議ありがとうございました。また、御承認ありがとうございます。
確認なのですけれども、今後、実際に添付文書が改訂されて使えるようになるタイミングといいますか、時期というのはどれぐらいと考えておいたらよろしいのでしょうか。目安でも結構ですので、教えていただければありがたいです。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
この後、我々から製造販売業者に対しまして通知という形で改訂をお願いすることになります。恐らく数週間から1か月程度でそちらの通知を出せるかと思います。
その後、企業のほうで改訂が行われますので、具体的に企業のほうでいつ頃というのはなかなか申し上げられないですが、あまり先になることはなく、速やかに改訂していただけるものと考えております。
よろしいでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございました。
○岡座長 そのほか、よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、本議題は終了したいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題2「インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。
それでは、議題2「インターフェロン ベータ-1a及びインターフェロン ベータ-1bの『使用上の注意』の改訂について」御説明いたします。
資料2-1を御覧ください。
多発性硬化症の再発予防等を効能・効果とするインターフェロン ベータ-1a及び1bにつきましては、サルの試験で、高用量投与で流産が認められたことから、承認当初より妊婦または妊娠している可能性のある女性の投与は禁忌として設定されております。
今般、インターフェロン ベータ-1aまたは1bが投与された多発性硬化症合併妊婦を対象とした海外のレジストリ調査の結果を主な根拠として、製造販売承認取得者より当該禁忌を削除したい等との改訂相談が医薬品医療機器総合機構になされたことから、当該注意喚起の見直しについて検討しました。
調査結果を御覧ください。
海外添付文書の記載状況、海外レジストリ調査結果、国内外のガイドライン等の記載状況、公表文献、副作用報告等を調査いたしました。
その結果、海外レジストリ調査やほかの疫学調査及び文献報告では、自然流産及び先天異常のリスクが増加する可能性は必ずしも示唆されていません。
また、オーストラリアのインターフェロン ベータ-1aの添付文書では、妊婦の投与は禁忌となっているものの、米国添付文書では禁忌ではなく、EU添付文書も承認当初は禁忌でしたが、海外レジストリ調査の結果を踏まえ、2019年に禁忌が解除されております。
さらに、国内ガイドラインにおいて、妊娠初期まで治療が続けられた患者では、妊娠中及び出産後早期の多発性硬化症の再発率が低下した報告がある旨が記載されており、今回、禁忌を解除することにより、多発性硬化症の再発を防ぐための治療選択肢が増え、医療上一定の意義があると考えられます。
また、臨床用量を大きく超える高用量を投与した非臨床試験での毒性所見結果も踏まえると、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与に対する禁忌を維持する必要性は高くないと判断いたしました。
調査結果を踏まえまして、対応方針を御覧ください。
インターフェロン ベータ-1aや及び1bの使用上の注意の「禁忌」の項に記載されている妊婦または妊娠している可能性のある女性に関する記載を削除し、妊婦の項における記載を、妊婦または妊娠している可能性のある女性への使用を治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与する旨に変更する改訂を行ってはどうかと考えています。
御審議のほど、よろしくお願いします。
○岡座長 ありがとうございます。
続きまして、本日御出席いただいております日本神経学会の清水参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○清水委員 東京女子医科大学、日本神経学会の学会員の清水と申します。
おまとめいただき、ありがとうございました。
今、プレゼンテーションしていただきましたとおり、インターフェロン ベータ-1a、インターフェロン ベータ-1bにつきましては、日本での添付文書は妊婦への投与は禁忌となっております。
本邦の2017年のガイドラインでは、添付文書を踏まえた上で、海外のスタディーの結果を踏まえて書いております。それを基にすると、妊娠初期のインターフェロン ベータのばく露により、新生児への先天異常とか流産が高くなるというデータは出ていないと踏まえています。
実際の実臨床では、添付文書で禁忌と書いてあるがために、投与している妊産婦さんが妊娠前にあえて中止にしてしまい再発してしまうという事例が出ておりまして、今、海外のスウェーデンと欧州のほうで大きな疫学調査が出ていまして、それを見ると、妊産婦、母体への有害事象が高くなるということは全くないというデータが出ています。
その結果を踏まえて、今、海外でのガイドライン、マネジメントのほうでは、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン ベータについては、妊娠期も継続して特に有害事象が高くなることはないので、妊産婦に割と安心して使っていいお薬の候補として挙げられております。
ですので、多発性硬化症は非常に妊娠する可能性のある年代に好発する疾患ですので、今回の添付文書改訂は患者さんにとって非常に大きな福音になると感じております。
よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきまして委員の先生から御意見、御質問等いただけますでしょうか。
伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
臨床試験のほうで問題がないということで、問題ないのだと思いますけれども、動物実験のところで、この資料の2ページの真ん中あたりで、臨床での使用時と比べて非常に高い用量あるいはばく露量で流産が認められたという情報だけでは少しどうなのかなと思ったのですけれども、それより低い用量で流産が認められなかったという情報もあって、その用量でもばく露量は臨床でのばく露量より数倍くらい高いということが推定できそうですので、そのようなデータも併せて考えますと、問題ないと言えるのではないかと思いました。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、ほかの委員の先生方、いかがですか。よろしいでしょうか。
特に御意見がなければ、議決に移りたいと思います。
今の御意見を基にしますと、事務局の提案どおり、インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の「使用上の注意」を改訂するということでよろしいでしょうか。
よろしいという委員の先生方、恐縮ですけれども、挙手をいただけますか。
(賛成者挙手)
○岡座長 全員の委員の先生方の御承認をいただけたと思います。御異議なしとさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。
インターフェロン ベータ-1a及びインターフェロン ベータ-1bの製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。
また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告いたします。
○岡座長 事務局からの御説明について御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本議題は終了したいと思います。ありがとうございました。
予定した議題は以上となります。
事務局から何かございますか。
○事務局 本日は非常に活発な御議論をありがとうございました。
また、参考人の先生方からもたくさんの貴重な意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
次回の開催についてでございますが、また議題が固まり次第改めて御連絡申し上げたいと思います。
事務局からは以上でございます。
○岡座長 それでは、委員の先生方、参考人の先生方、ありがとうございました。
本日の調査会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございます。
今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。議事録につきましては、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ちまして、審議の進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問を賜る際には、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
御発言のタイミングが重なったりした場合には、調査会長から順に発言者を指名していただきます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
御不便等をおかけすることもあるかもしれませんが、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここからの議事進行につきましては、恐縮ですが、岡先生にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様も円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がございましたけれども、これまでの御説明に御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 本日の委員の出欠状況でございますが、6名全ての委員に御出席賜っております。薬事・食品衛生審議会の規定によりまして、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として御参加いただく先生を紹介いたします。
議題1「ソマトロピン(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の関係で、日本内分泌学会より、奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座教授の高橋裕先生に御参加いただいております。また、日本糖尿病学会より、東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学分野主任教授の鈴木亮先生に御参加を賜っているところでございます。
また、これに加えまして、議題2「インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の関係で、日本神経学会より、東京女子医科大学脳神経内科・特命担当教授の清水優子先生に御出席を賜っているところでございます。
以上でございます。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1と議題2の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受け取り状況を報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業につきましては、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところでございます。
その結果でございますが、石井委員より、ノボ ノルディスクファーマ株式会社、ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、田辺三菱製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
岡委員より、JCRファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
柿崎委員より、日本イーライリリー株式会社、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
舟越委員より、日本イーライリリー株式会社、ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、田辺三菱製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
高橋参考人より、日本イーライリリー株式会社より50万円以下のお受け取り、JCRファーマ株式会社、ノボ ノルディスクファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り。
鈴木参考人より、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り、日本イーライリリー株式会社、ノボ ノルディスクファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り。
清水参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、バイオジェン・ジャパン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、と御申告を賜っているところでございます。
よって、全ての委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも参加が可能でございます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告につきましては、追ってホームページに公開させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上でございます。
○岡座長 それでは、ただいま事務局から御説明がありましたけれども、審議参加に関する遵守事項についてはよろしいでしょうか。特に御意見、御質問等はございませんでしょうか。
特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含め、御了解いただいたものといたします。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、あらかじめお送りさせていただいております。
議題1に関しまして資料1-1から1-4まで、また、議題2に関しまして資料2-1から2-3までがございます。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人一覧、及び競合品目・競合企業リストをお送りしております。
お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせくださいますようお願いいたします。
また、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方におかれましては、そちらを御参照ください。
以上でございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「ソマトロピン(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。
それでは、議題1「ソマトロピンの『使用上の注意』の改訂について」御説明いたします。
資料1-1を御覧ください。
遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤であるソマトロピンは、複数の製品が承認されております。適応としては資料1-2の21ページ、別添1に記載しておりますが、骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症や成人成長ホルモン分泌不全症など様々な適応を持っております。
資料1-1に戻りまして、「1.品目概要」に記載したいずれのソマトロピン製剤も成長ホルモンが抗インスリン作用を要することから、初回承認時から糖尿病の患者に対する投与が禁忌とされております。
令和3年3月に、日本内分泌学会及び日本小児内分泌学会から、ソマトロピン製剤の「使用上の注意」において糖尿病の患者を「禁忌」から「慎重投与」に変更するよう求める要望書が提出されました。
1ページ後段より、学会からの主な要望理由を列挙しているので、御覧いただければと思いますが、血糖コントロールが不十分な2型糖尿病を合併した患者へのソマトロピン治療は、長期的にインスリン抵抗性を改善する可能性が指摘されていることなどが要望理由として挙げられております。
2ページ目の調査結果を御覧ください。
学会からの要望を基に、国内外のガイドラインの記載状況、海外添付文書の記載状況、副作用報告の状況、関連する公表文献、製造販売後調査結果などを調査いたしました。
調査結果より、糖尿病の患者を「禁忌」の項から削除することが可能と考える理由を2ページ目後段の4ポツでお示ししていますが、成人成長ホルモン分泌不全症などの適応症に対しては、ヒト成長ホルモン以外に治療選択肢がありません。
また、海外の添付文書などでは、糖尿病患者は禁忌とされておらず、慎重に投与することとされています。
また、国内副作用症例において、糖代謝関連の重篤な副作用が認められてはいますが、適切な処置で血糖コントロールができておりますことなどから、糖尿病患者の禁忌解除は可能と考えられます。
しかしながら、3ページ目上段の3ポツにお示ししているように、ソマトロピン製剤の薬理作用により、糖尿病の病状を悪化させる可能性があることから、海外の診療ガイドラインなどでは、コントロール不良の糖尿病合併症にはソマトロピン製剤を投与しないことが推奨されていることを踏まえると、糖尿病患者に対して、血糖値などの定期的な測定や糖尿病用薬との併用に関する注意喚起を行うなどの注意喚起は必要であると判断しております。
また、ソマトロピン製剤の適応のうち、プラダーウィリー症候群及びターナー症候群については、耐糖能低下を招くことがあり、糖尿病を合併する頻度がほかの対象疾患より高いため、こちらの2つの適応に対して、ソマトロピン製剤を用いる際には、特に経過を注意深く観察する旨、注意喚起する必要があると考えられます。
さらには、糖尿病合併症である糖尿病網膜症について、海外の一部の国でソマトロピン製剤投与は禁忌となっていることから、糖尿病網膜症に関する注意喚起の内容について検討いたしました。こちらについては、禁忌とされていない国もあり、統一的な見解が得られていないこと、糖尿病網膜症の発症及び進展には、インスリン様成長因子-1、いわゆるIGF-1が関与している報告がある一方で、網膜の状態に影響を与えないとの報告もあることや、糖尿病網膜症に最も強く影響する因子はVEGFであるとの報告があることを踏まえると、糖尿病網膜症を合併する患者について禁忌とする必要はないものの、糖尿病網膜症の病状を悪化させる可能性があるため、糖尿病網膜症を含む糖尿病合併症について注意喚起をする必要があると考えています。
以上を踏まえて、4ページ目の「4.対応方針」を御覧ください。
糖尿病の患者を「禁忌」の項から削除する。
糖尿病の患者に対して、血糖値などの定期的な測定や糖尿病用薬との併用に関する注意喚起を追記する。
プラダーウィリー症候群及びターナー症候群は耐糖能の低下を合併することがあり、特に経過を注意深く観察する旨の注意喚起を追記する。
糖尿病網膜症を含む糖尿病合併症に関する注意喚起を追記するといった使用上の注意の改訂を行ってはどうかと考えております。
具体的な改訂案は、資料1-2の40ページから67ページにお示ししております。
御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
本日はお二人の御専門の参考人に御出席いただいております。
まず、日本内分泌学会の高橋参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○高橋参考人 御紹介ありがとうございます。御紹介いただきました奈良県立医科大学の高橋と申します。
私は内分泌、特に成長ホルモンを専門にしておりまして、これまで成長ホルモン治療、診療に関わってまいりましたので、内分泌学会を代表して御説明申し上げたいと思います。
ただいま、資料1-1で御説明いただいた内容は非常に的確に内容として捉えられておりまして、私としても全く異存はないところでありますけれども、若干追加で御説明させていただきますと、先ほどのお話にありましたように、まず成長ホルモンというのはそもそも体にもともと存在しているホルモンで、小児期、成人期、いずれも必須のホルモンであります。小児の場合は、分泌不全がございますと低身長、身長が伸びなくなってしまいますし、成人の場合は身長には影響を与えませんが、体組成や代謝の調節、それから、QOLに悪影響を及ぼします。さらに気力、体力の維持等に必須のホルモンであるということが分かっております。
それから、先ほどの御説明にもございましたように、成長ホルモンがない状態に対して成長ホルモン以外で治療をすることは、小児においても成人においても困難であるということであります。そして、成長ホルモンの補充療法というのは、あくまで欠落した患者さんに対して正常のレベルに戻すということが主として行われているという状況であります。ただ、もちろん、例えばターナー症候群とかプラダーウィリー症候群の場合は、分泌不全が合併している方もおられるのですが、生理的作用プラス少し薬理的な効果も期待して投与されているという病態もあるところであります。
もともと2006年に、それから、小児の場合はそれ以前からありますけれども、成人に成長ホルモン治療が保険承認されました。その際に、糖尿病合併例が禁忌ということになったのです。その経緯に関しては、今回作成していただいた報告書で詳しく調べていただいているのですが、実際のところ、なぜ禁忌になったのか、十分な根拠があったとは思えないという状況。これは、単純に申し上げますと、先ほど説明があったように、成長ホルモン自身がインスリン抵抗性を惹起する作用があるがために、そして、ごく一部の患者さんで糖尿病が悪化する患者がいるという理由だったと推測できるわけですが、そのことで禁忌になってしまったということで、資料1-3に我々詳しく書かせていただいているのですが、日本内分泌学会及び小児内分泌学会の評議員、主に専門医の先生方ですが、先ほど申し上げたように、本当に成長ホルモンが必要な患者さんであっても、禁忌になっているために糖尿病合併例では使えないという患者さんにとって大きな不利益が継続してきたという状況がございまして、今回、日本内分泌学会及び小児内分泌学会からこのような要望書を提出させていただいたということでございます。
そして、これに対する対応として、成長ホルモンを投与しますと、数%から10%ぐらいで耐糖能が悪化する、あるいは糖尿病が発症する方はおられますので、注意喚起は必要だということで、慎重投与で注意喚起をしていただくこと。一方で、糖尿病が発症しても、適切な糖尿病治療でほとんどの症例の場合は十分対応できるということがございますので、今回御提案いただいた内容は非常に妥当な内容ではないかと考えております。
そして、糖尿病網膜症に関しても、御説明いただいたとおりなのですけれども、成長ホルモン、そして、成長ホルモンによって産生されるIGF-1が網膜症を悪化させるかもしれないという可能性の根拠は動物実験でありまして、ヒトで明らかに証明されたものではないというところから、しかし、一方でやはり悪化する可能性は否定できないというところから、十分注意をしていただくことと、それから、これはあらゆる薬でそうだと思うのですが、使うメリットがリスク、デメリットを上回るという慎重な判断をしていただいた上で適切に使っていただくことが必要だと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
続きまして、日本糖尿病学会の鈴木参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○鈴木参考人 東京医科大学の鈴木です。日本糖尿病学会に所属しております。
先ほど高橋先生からお話があったとおりでございまして、糖尿病が禁忌になっている必然性といいますか、その理由がやはりはっきりしないというのが実情ではないかと思います。
資料も非常に詳細な調査がなされておりまして、拝見いたしましたけれども、変更の内容に関しては非常に妥当な方針が示されていると思いました。
私からは以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生から、本件につきまして御意見、御質問等はございますか。いかがでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生に2点お伺いしたいのですけれども、この薬剤は、内分泌もしくは小児内分泌、あるいは一部の脳外科の先生など専門家の先生の処方、もしくはその管理下で処方されることがほとんどという理解でいいかということが一点。
2点目なのですけれども、資料1-2の44ページの用法・用量のところなのですが、ターナー症候群における低身長において経口ブドウ糖負荷試験等の定期的な検査により、耐糖能の観察を十分に行うことということが今回の改訂で削除されているのですけれども、これに関しても専門家の先生が処方されるということで問題ない、むしろ臨床的には使いやすくなるといった理解でよろしいのでしょうか。
○岡座長 高橋先生あるいは鈴木先生のほうからいかがでしょうか・
高橋先生、よろしいですか。
○高橋参考人 高橋です。
御質問ありがとうございます。
まず1点目ですけれども、言っていただいたとおり、基本的には成長ホルモンというのは専門医でないと処方できないというわけではありませんけれども、やはり専門性の高い治療ですので、小児内分泌学会、内分泌学会、脳外科学会の先生方の専門医による処方、治療がほとんどだと思いますし、ほとんどの症例で適切に治療されていると考えております。
それから、2点目のターナー症候群に関してですけれども、これは私自身も経験がありまして、ターナー症候群の患者さんはやはり耐糖能異常が生じやすいということがあるので注意が必要ですが、ここでのポイントは、経口ブドウ糖負荷試験です。経口ブドウ糖負荷試験は、例えば軽度の耐糖能異常等を拾い上げるのには非常に有用ですが、日常診療でたびたび行うようなものではございません。それをしなくても、通常の検査で例えば空腹時血糖あるいは食後の血糖とヘモグロビンA1cを定期的に採血することで、耐糖能悪化を十分拾い上げることができるということで、それが削除されたのではないかと私は理解しております。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
この点について、鈴木参考人のほうから何か御意見はございますでしょうか。
○鈴木参考人 全く同意見でありまして、注射薬でありますので、基本的には専門家の治療がほとんどだろうと思います。
それと、経口ブドウ糖負荷試験の削除に関しましては、ターナー症候群自体、確かにインスリン作用不足、肥満といったこと以外にも、インスリン分泌の低下ということが恐らく起きるケースがあるので、この経口ブドウ糖負荷試験という項目がもともと含まれていたのではないかと推測いたしますけれども、実臨床としてその発症を非常に軽度の状態から見つけるというのが経口ブドウ糖負荷試験を必須とするものかというと、恐らくそうではないというのがコンセンサスではないかと思います。
○岡座長 柿崎委員、よろしいでしょうか。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、続いて石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
このソマトロピンなのですけれども、ソマトロピンが必要な患者さんで糖尿病を併発しているというか、糖尿病の治療が必要な患者さんというのは一定割合いらっしゃるのでしょうか。
もう一つは、これは事務局かもしれませんが、今回資料に挙がっているのは全て先行品でございますが、BS製剤についても同じ処置がなされるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
1点目は、よろしければ高橋参考人、御意見をいただけますでしょうか。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
成長ホルモンがあろうがなかろうが、糖尿病患者さんというのは一定の割合でおられまして、それと基本的にはほぼ同じぐらいの割合で成長ホルモン分泌不全症に糖尿病を合併されている患者さんはおられます。そして、本疾患の特殊性を考えると、間脳下垂体疾患、脳の視床下部と下垂体の病気で成長ホルモン分泌不全症になっている方が多いのですが、そういう患者さんの一部には視床下部の問題で非常に肥満を呈する方がおられます。その肥満によって2型糖尿病、問題のNASHというものもあるのですけれども、そういうものを合併している方が一部おられます。ただ、特別多いというわけではなくて、印象としては恐らく患者さんの中の1割ぐらいの方に合併している方がおられる。ただ、そういう方は、これまでは2型糖尿病を合併していたので治療ができなかったけれども、非常にQOLが低下したり、NASHが悪化したりという深刻な問題が生じていたというのが実情かと思います。
2点目に関しては、私のほうでは分かりませんので、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
2点目に関して、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。よろしくお願いいたします。
御質問ありがとうございます。
今回は先行品だけではなく、バイオシミラー製剤も対象としております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○石井委員 ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
私も参考人の先生方に教えていただきたいことがございます。
1つ目が、先ほどこういった患者さんにソマトロピンを使うと10%ぐらいコントロール不良な患者さんたちがいるという部分で、今回、添付文書の改訂案でも投与直前と投与中の定期的なHbA1cや血糖値をモニタリングという部分ですが、こちらは3歳以上の子供に使う部分で、このソマプシタンやソマトロピンを使うに当たって、実際にSMBGやそういった回数、成人と同じように行うものなのでしょうか。
まずその1点を教えていただきたいと思います。
○岡座長 これはいかがでしょうか。
高橋参考人、何か御意見等ございますか。いかがでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
1点確認なのですが、それはもともと糖尿病でSMBGをされている患者さんにおいてということですか。
○舟越委員 そこが、私、薬剤師なのですけれども、実臨床でこういった方に服薬指導等をした経験が私自身はないので、普通に糖尿病を合併していれば、1日3回か4回子供でもやるものなのか、1日1回程度やっていて、それが実際にはこういったものを使う場合にはSMBGとかを3回か4回とか頻度を上げるものなのかという部分が、今回、添付文書で直前から投与中に慎重にモニタリングすることということが追記されますので、その点、臨床感覚が分からないので教えていただきたいと思いました。
○高橋参考人 ありがとうございます。
まず、一般的に申し上げますと、糖尿病患者さんで、例えば小児でSMBGを行うというのは、1型糖尿病の患者さんがほとんどだと思うのです。そういう患者さんで成長ホルモンが必要なときというのは、SMBCも通常1日4回とか、さらに多くやっている場合も多いので、それで十分対応できるケースも多いと思うのですが、それは病態に応じて主治医、担当医が判断する必要がある場合があるかもしれません。ただ、そういうケースは非常にまれです。1型糖尿病で成長ホルモンが必要となる方は非常にまれということであります。
それから、成人の場合も、一般的に成長ホルモンが必要になる患者さんで、SMBGが必要になるような患者さんというのは非常に少ない状態で、もしされている場合には基本的には小児と同じ考え方で、ただ、それでもSMBCの頻度を増やす必要が出てくるような、悪化するような症例はまれだと理解しております。
ただ、いずれにせよ、この添付文章にありますように、それぞれの患者さんにおいてリスクは異なりますので、例えば肥満とか家族歴のあるような患者さんの場合はリスクが高いですから、それらも含めて担当医が適切に判断していただく必要あるかと思います。
これについては鈴木先生の御意見もぜひいただけたらと思います。
○岡座長 鈴木先生も糖尿病の観点でお答えいただけますでしょうか。
○鈴木参考人 実際にSMBCの回数をどのぐらい行うかというのは、どんな注射薬治療を行っているかにかなり依存している部分があるのではないかと思います。強化インスリン療法を行っている場合には、かなり頻回に、1日に何回も血糖値を測定するのに対して、1日1回のインスリン治療であったり、あるいは週に1回のGLP-1受容体作動薬の注射を行っているような場合には、そこまでの頻回の自己血糖測定を行うことはあまり一般的ではないだろうと思われます。
ソマトロピンを投与する際に、もともとそういった糖尿病の治療薬を使っておられる方が使えるようになったことによって、SMBCの回数が増えるべきかどうかというのは、恐らくインスリン治療の回数が増えることになるのか、そういった注射の回数が増えることになるのかどうかということでかなり密接に関わってくるところだろうと思います。
実際に頻回に測って上がっているようだったら、そこに合わせてインスリンを使わなければならないのであれば、先ほど高橋先生がおっしゃったように、それは主治医の判断ということになるのではないかと思います。
○舟越委員 ありがとうございます。よく分かりました。
もう一つは、こちらの参考人の先生といいますか、学会の立場としてお伺いしたいのですが、今後、ガイドラインが禁忌が書かれているのが解除されてから、先ほどのように、こういった耐糖能異常関係は特定されたリスクとして丁寧にコントロールすれば、患者、患児にとっては恩恵を受けるような解除となると思いますけれども、先ほどの網膜症のように潜在的な薬理作用から想定できるリスクについては、禁忌解除後、例えば学会としてレジストリ登録ではないですが、症例を集積するようなことは今後検討されるのでしょうか。よく原則禁忌や併用禁忌を解除後の患者さんのそういった状況、日本での症例集積というものが各学会で行われるかと思うのですけれども、今回の件についても方向とかお考えをお聞かせいただければと思います。
○岡座長 高橋参考人、いかがでしょうか。
○高橋参考人 重要な点の御指摘をありがとうございます。
実は私が今属している間脳下垂体機能障害の班会議がございまして、そこで現在ガイドラインの改訂、それから、レジストリについても進行しているところです。
ガイドラインの改訂に関しましては、今回の御審議を踏まえてもし承認されれば、次の改訂版で改訂しようと考えております。
そして、今、レジストリに関して非常に重要な点を御指摘いただいたかと思います。実際のところ、患者さんで例えば糖尿性網膜症があるときに、成長ホルモンを使ってそれが進行するのかどうかと言う点は未解決の問題ですので、そういう点をレジストリの調査項目に加えることによって、実際の要素、ただ、網膜症というのはそもそも糖尿病のコントロールの状態とか、それこそ遺伝的背景とか様々なものに影響されるので、それを科学的にクリニカルクエスチョンとして答えようとすると、相当な数の患者さんでの詳細な解析が必要になるかと思いますが、やはりそういうことを地道にきちんと押さえていくことは非常に重要かと思いますので、今後検討させていただきたいと考えております。
ありがとうございます。
○舟越委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。御意見についてはよろしいでしょうか。
そうしましたら、議決に移りたいと思います。
ただいまの御意見を総合しますと、事務局の提案どおりにソマトロピン(遺伝子組換え)の使用上注意を改訂するということでの議決をいただきたいと思います。
それでは、御承認いただける委員の先生方は挙手していただけますでしょうか。
(賛成者挙手)
○岡座長 ありがとうございます。全委員の御承認がいただけたかと思います。
それでは、御異議なしということで進めさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について事務局から御説明お願いします。
○事務局 御議論いただきありがとうございます。
ソマトロピンの製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。
また、本調査会での検討結果につきましては、安全対策部会に報告いたします。
以上です。
○岡座長 事務局からの御説明に何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○高橋参考人 高橋です。
御審議ありがとうございました。また、御承認ありがとうございます。
確認なのですけれども、今後、実際に添付文書が改訂されて使えるようになるタイミングといいますか、時期というのはどれぐらいと考えておいたらよろしいのでしょうか。目安でも結構ですので、教えていただければありがたいです。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
この後、我々から製造販売業者に対しまして通知という形で改訂をお願いすることになります。恐らく数週間から1か月程度でそちらの通知を出せるかと思います。
その後、企業のほうで改訂が行われますので、具体的に企業のほうでいつ頃というのはなかなか申し上げられないですが、あまり先になることはなく、速やかに改訂していただけるものと考えております。
よろしいでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございました。
○岡座長 そのほか、よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、本議題は終了したいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題2「インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。
それでは、議題2「インターフェロン ベータ-1a及びインターフェロン ベータ-1bの『使用上の注意』の改訂について」御説明いたします。
資料2-1を御覧ください。
多発性硬化症の再発予防等を効能・効果とするインターフェロン ベータ-1a及び1bにつきましては、サルの試験で、高用量投与で流産が認められたことから、承認当初より妊婦または妊娠している可能性のある女性の投与は禁忌として設定されております。
今般、インターフェロン ベータ-1aまたは1bが投与された多発性硬化症合併妊婦を対象とした海外のレジストリ調査の結果を主な根拠として、製造販売承認取得者より当該禁忌を削除したい等との改訂相談が医薬品医療機器総合機構になされたことから、当該注意喚起の見直しについて検討しました。
調査結果を御覧ください。
海外添付文書の記載状況、海外レジストリ調査結果、国内外のガイドライン等の記載状況、公表文献、副作用報告等を調査いたしました。
その結果、海外レジストリ調査やほかの疫学調査及び文献報告では、自然流産及び先天異常のリスクが増加する可能性は必ずしも示唆されていません。
また、オーストラリアのインターフェロン ベータ-1aの添付文書では、妊婦の投与は禁忌となっているものの、米国添付文書では禁忌ではなく、EU添付文書も承認当初は禁忌でしたが、海外レジストリ調査の結果を踏まえ、2019年に禁忌が解除されております。
さらに、国内ガイドラインにおいて、妊娠初期まで治療が続けられた患者では、妊娠中及び出産後早期の多発性硬化症の再発率が低下した報告がある旨が記載されており、今回、禁忌を解除することにより、多発性硬化症の再発を防ぐための治療選択肢が増え、医療上一定の意義があると考えられます。
また、臨床用量を大きく超える高用量を投与した非臨床試験での毒性所見結果も踏まえると、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与に対する禁忌を維持する必要性は高くないと判断いたしました。
調査結果を踏まえまして、対応方針を御覧ください。
インターフェロン ベータ-1aや及び1bの使用上の注意の「禁忌」の項に記載されている妊婦または妊娠している可能性のある女性に関する記載を削除し、妊婦の項における記載を、妊婦または妊娠している可能性のある女性への使用を治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与する旨に変更する改訂を行ってはどうかと考えています。
御審議のほど、よろしくお願いします。
○岡座長 ありがとうございます。
続きまして、本日御出席いただいております日本神経学会の清水参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○清水委員 東京女子医科大学、日本神経学会の学会員の清水と申します。
おまとめいただき、ありがとうございました。
今、プレゼンテーションしていただきましたとおり、インターフェロン ベータ-1a、インターフェロン ベータ-1bにつきましては、日本での添付文書は妊婦への投与は禁忌となっております。
本邦の2017年のガイドラインでは、添付文書を踏まえた上で、海外のスタディーの結果を踏まえて書いております。それを基にすると、妊娠初期のインターフェロン ベータのばく露により、新生児への先天異常とか流産が高くなるというデータは出ていないと踏まえています。
実際の実臨床では、添付文書で禁忌と書いてあるがために、投与している妊産婦さんが妊娠前にあえて中止にしてしまい再発してしまうという事例が出ておりまして、今、海外のスウェーデンと欧州のほうで大きな疫学調査が出ていまして、それを見ると、妊産婦、母体への有害事象が高くなるということは全くないというデータが出ています。
その結果を踏まえて、今、海外でのガイドライン、マネジメントのほうでは、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン ベータについては、妊娠期も継続して特に有害事象が高くなることはないので、妊産婦に割と安心して使っていいお薬の候補として挙げられております。
ですので、多発性硬化症は非常に妊娠する可能性のある年代に好発する疾患ですので、今回の添付文書改訂は患者さんにとって非常に大きな福音になると感じております。
よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきまして委員の先生から御意見、御質問等いただけますでしょうか。
伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
臨床試験のほうで問題がないということで、問題ないのだと思いますけれども、動物実験のところで、この資料の2ページの真ん中あたりで、臨床での使用時と比べて非常に高い用量あるいはばく露量で流産が認められたという情報だけでは少しどうなのかなと思ったのですけれども、それより低い用量で流産が認められなかったという情報もあって、その用量でもばく露量は臨床でのばく露量より数倍くらい高いということが推定できそうですので、そのようなデータも併せて考えますと、問題ないと言えるのではないかと思いました。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、ほかの委員の先生方、いかがですか。よろしいでしょうか。
特に御意見がなければ、議決に移りたいと思います。
今の御意見を基にしますと、事務局の提案どおり、インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)及びインターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)の「使用上の注意」を改訂するということでよろしいでしょうか。
よろしいという委員の先生方、恐縮ですけれども、挙手をいただけますか。
(賛成者挙手)
○岡座長 全員の委員の先生方の御承認をいただけたと思います。御異議なしとさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。
インターフェロン ベータ-1a及びインターフェロン ベータ-1bの製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。
また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告いたします。
○岡座長 事務局からの御説明について御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本議題は終了したいと思います。ありがとうございました。
予定した議題は以上となります。
事務局から何かございますか。
○事務局 本日は非常に活発な御議論をありがとうございました。
また、参考人の先生方からもたくさんの貴重な意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
次回の開催についてでございますが、また議題が固まり次第改めて御連絡申し上げたいと思います。
事務局からは以上でございます。
○岡座長 それでは、委員の先生方、参考人の先生方、ありがとうございました。
本日の調査会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。