第22回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和4年6月2日(木) 13:00~15:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター  ホール15E
(東京都千代田区内幸町1-3-1)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、戎野淑子委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
冨髙裕子委員、永田一郎委員、八野正一委員
使用者代表委員
大下英和委員、佐久間一浩委員、鈴木重也委員、山鼻恵子委員

議題

  1. (1)過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について

議事

議事内容
○中窪会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第22回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、御都合により北野委員が御欠席でございます。
本日は感染症対策として、座席の間隔を空けさせていただいております。また、一部の委員についてはオンラインで御参加いただいております。オンラインで御参加されている委員の皆様は、何かありましたらチャット機能で事務局にお伝えいただければと思います。
本日は、会場にお越しの委員についてはタブレット、オンライン参加の委員につきましては事前にお送りした資料により御議論いただくことにしております。タブレットの操作が分からない等の問題がありましたら、随時職員をお呼びください。
佐久間委員におかれましては、所用により14時45分で御退席予定と伺っております。
それでは、最初に事務局に異動があったとのことですので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○企画官 企画官の角南でございます。
前回の協議会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
労働基準局補償課長の西岡でございます。
○補償課長 西岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○企画官 労働基準局安全衛生部労働衛生課長の石川でございます。
○労働衛生課長 石川でございます。よろしくお願いいたします。
○企画官 事務局の紹介は以上でございます。
○中窪会長 それでは、カメラ撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。本日の議事は「過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について」であります。
これにつきまして、厚生労働省から10分程度で御説明いただいた後に、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順で、それぞれ4点程度で御説明いただき、その後で一括して質問等の時間を設けたいと思います。委員からの発言をできるだけ多くいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いします。
○企画官 私から資料1、資料6、資料7について御説明します。
タブレットを左にスクロールしていただきましてページ2でございます。資料1、厚生労働省における令和3年度の主な取組等について、まず御説明します。
次の3ページは、過労死大綱数値目標のうち、労働時間等の現状についてです。左のグラフ、上の実線でございますが、週40時間以上、つまり、フルタイム者のうち週60時間以上の雇用者割合は、令和3年において前年より減少して8.8%となりました。
右上、年次有給休暇の取得率では、令和2年、56.6%へと僅かに上昇しております。
右下、勤務間インターバル制度についてです。1の制度の認知度につきましては、令和2年に比べ低下しています。令和3年1月時点でこのようになっている要因について明確ではございませんが、今後しっかり周知の取組を進めていかなければならないと考えております。
2の導入企業割合ですが、令和3年、4.6%へと僅かに上昇してございます。
4ページは、大綱目標のうち、メンタルヘルス対策についてです。これらは前回協議会時点から新しい調査結果が出ておりませんので、既にお示ししたものと同じでございます。メンタルヘルスの取組事業所の割合は、令和2年に61.4%へ、左下のストレス等の相談先の有無については、コロナ禍で前回調査より若干の減少などとなっております。なお、これらの数値目標につきましては、令和5年度からの次期災害防止計画に沿って見直し等が見込まれております。
5ページは、公務員の年次休暇取得の状況です。左が国家公務員ですが、令和2年には赤線の本府省の取得日数が減少しています。これは新型コロナウイルス感染症の影響からと分析されています。
右が地方公務員ですが、赤線の都道府県に若干の減少傾向が見られます。
6ページは、大綱に基づき委託により行っている事業の御紹介です。1は、11月開催の過労死シンポジウムと今回冬開催となった過労死遺児交流会です。※印に本年令和4年度の状況を参考に記載しておりますが、大綱に新たに定められた遺児等の相談室の運営を開始する予定としております。
2は、11月の月間における周知・啓発の関係です。
3は、中学、高校への講師派遣事業ですが、前回協議会での御指摘を踏まえ、下のパンフレットにありますように、文部科学省とも連携して、より多くの学生を対象とできるよう取り組んでいるところでございます。
7ページからは調査研究の関係です。1の過労死等事案の分析では、新しく認定された事案も追加して解析を進めるとともに、※印記載のとおり、令和4年度においては、下の労働・社会調査と併せ、メディア、教職員を対象とする予定としております。
2の労働・社会調査につきましては、これはアンケート調査でございますが、※印にありますように、本年度は全業種のほか、メディア、教職員の重点業種等と大綱で追加された芸術・芸能(実演家)を対象とする予定としております。
8ページでございます。疫学研究等につきましては、職域コホート研究などを引き続き進めております。これらも白書報告となる予定でございます。
その下の4、大綱に追加された過労死防止支援ツールの開発についても引き続き進めてまいります。
9ページからは啓発の関係でございます。まず、上の箱ですが、いわゆる長時間労働につながるGtoBの関係で経団連様から要請をいただきましたので、当省から各府省等に協力依頼を出していますので、御紹介しております。
その下の自動車運送関係ですが、国土交通省と連携して協議会や荷主対策等を進めているほか、令和6年4月の上限規制適用に向け、改善基準告示の見直しの検討を進めています。
10ページは、建設業についてですが、これも国土交通省と連携して記載の各取組を進めております。
下のIT業界ですが、セミナーやモデル事業などを実施しております。
11ページは、医師でございますが、昨年5月に改正医療法が成立しまして、令和4年1月に政省令、告示を公布しております。
次に医療従事者ですが、こちらにつきましては、勤務環境の改善に向け、下の箱にありますような各種取組を進めているところでございます。
12ページは、相談窓口の御紹介についてでございます。「労働条件相談ほっとライン」「こころの耳」を引き続き運営するとともに、ハラスメントの相談でありますとか、フリーランストラブル相談に応じる各窓口も設置しております。
13ページです。毎年実施しているところですが、職場のメンタルヘルスシンポジウムについて御紹介しております。3年度におきましては職場復帰支援をテーマに実施しています。
14ページは、総合的ハラスメント対策としてまとめているものでございます。事業概要にありますように、ハラスメント撲滅集中キャンペーン、マニュアルの作成、中小企業におけるハラスメント防止措置の導入支援、こういったものを行っています。
15ページ、16ページのところですが、働き方改革推進事業としましては、全国の支援センターの運営や、16ページにあります働き方改革推進支援助成金を活用した中小企業支援、こういったものに引き続き取り組んでいるところでございます。
それから、33ページが資料6になります。資料6は法及び大綱に基づく施策の実施状況について、大綱の項目に沿いまして、平成27年度から令和3年度までの進捗状況等を取りまとめています。一部集計中の数値もございますが、過労死防止対策の状況として御覧いただけたらと思います。こちらの説明はこの場では割愛させていただきたいと思います。
それから、83ページが資料7で、過労死等防止対策推進予算でございます。前回協議会では概算要求額として御提示したものでございます。これにつきましても説明は割愛させていただきたいと思います。
以上で厚生労働省からの御説明は終わりでございます。よろしくお願いいたします。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 引き続きまして、人事院職員福祉局でございます。
17ページ、資料2を御覧ください。人事院の取組について御説明申し上げます。取組の1つ目、長時間労働の是正についてです。国家公務員につきましても超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で定めております。各府省に対しては、上限を超えて超過勤務を命じうる特例業務の範囲や、上限が緩くなる他律的業務の比重が高い部署の指定の適正化、医師による面接指導の徹底、人員配置・業務分担の見直し等について指導を行っていくこととしております。
また、超過勤務の縮減に当たっては、職員の勤務時間を適正に管理することが重要です。人事院は3月に、客観的な記録を基礎として在庁の状況を把握している部署においては、それに基づく勤務時間管理を原則とする旨の通知の改正を行いました。
昨年の人事院勧告の際の報告においては、過労死等防止対策大綱において、公務員についても数値目標の趣旨を踏まえて必要な取組を推進することとされた点に言及するとともに、各府省において業務の合理化等を行った上で、業務量に応じた要員が確保される必要があることを改めて指摘しております。
また、この協議会でも御意見をいただいております国会対応業務につきましては、人事院として国会対応業務の改善を通じた国家公務員の超過勤務の縮減について、従来より踏み込みまして国会を名指しする形で国会等の一層の御理解と御協力をお願いしたいと述べております。
本年4月1日に私が課長を務めております勤務時間制度の担当課に長時間労働の是正に向けた指導を徹底するための新たな組織として、勤務時間調査・指導室を設置いたしました。この組織においては、霞が関のみならず各府省の出先の機関にも調査に入りまして、超過勤務の実情を把握し、超過勤務の上限規制が適切に運用されるよう指導・助言を行います。6月下旬から順次調査に着手する予定でございます。
2つ目は、テレワーク等の柔軟な働き方への対応です。前回の協議会におきましても御意見をいただきましたが、本年1月にテレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討を行うため、有識者による研究会を設置し、これまで4回開催しております。検討課題としましては、現行のフレックスタイム制の柔軟化やテレワークを行う職員の作業環境の整備、健康状態の把握等の方策などを挙げております。また、過労死等防止対策大綱において民間における勤務間インターバル制度の導入企業割合等について、数値目標が設けられていることも踏まえまして、公務における勤務間インターバル制の確保の方策についても検討を行うこととしております。
3つ目は、ハラスメントの防止、心の健康づくりの推進等についてです。人事院は令和2年4月、パワーハラスメントの防止等の措置を講ずるための人事院規則を制定し、同年6月に施行いたしました。ただ、パワーハラスメントを理由とする苦情・相談が多いといった状況もございますので、各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握し、セミナーの開催や研修教材の改訂等を行うなど必要な支援・指導を行ってまいります。
心の健康づくり対策については、人事院が設けている相談窓口について、相談を希望する職員がより相談しやすい体制となるよう、オンライン相談を令和4年度から導入し、実際に利用して頂いております。また、ストレスチェック制度について、制度導入から5年が経過したことなども踏まえ、有識者の意見を聴取して、ストレスチェックシートの実施状況の課題や分析結果に基づく職場環境改善方策等について検討を進めてきました。ストレスチェックを活用した職場環境改善の取組について報告書を取りまとめ、令和4年3月に報告書の趣旨を参考にして更なる取組を進めるよう、各府省に通知しております。
さらに、脳・心臓疾患及び精神疾患等に係る公務災害認定事案の分析に基づき、過重な業務に従事している職員に対する勤務時間管理の徹底や、体制面での配慮、日頃からの心身の健康管理や適切なケア等について、過労死等防止の観点から各府省に対して指導・助言を行ってきております。
人事院からの御説明は以上です。
○内閣官房内閣参事官(福利厚生、ハラスメント防止等担当) 内閣人事局でございます。
資料3、18ページを御覧ください。令和3年度における内閣人事局の取組状況について御説明いたします。まず、働き方改革の推進につきましては、1つ目として働き方改革を強力に推進するため、令和3年1月に「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」を改正し、「業務効率化・デジタル化の推進」と「マネジメント改革」等に取り組む旨、決定いたしました。令和3年4月には各府省等において本指針を踏まえたワークライフバランス取組計画を策定し、働き方改革の取組を推進しております。また、改正後の取組指針等に基づく各府省等の取組状況の実態及び職員の意識等を横断的に把握・検証するため、令和3年11月から12月にかけて職員アンケート調査を実施いたしました。
2つ目に業務効率化・デジタル化の推進でございますが、業務見直しの更なる推進のため、幹部職・管理職及び実務担当者を対象に業務見直しに関する研修を実施いたしました。
3つ目は長時間労働等対策の強化でございます。令和3年度人事運営管理方針等に基づき、本府省は、原則昨年8月からパソコンのログ等による在庁時間の客観的把握を開始しております。今後はさらに勤務時間管理のシステム化を通じまして勤務時間の見える化を進めてまいりたいと考えております。また、地方機関におきましても、業務に応じた勤務形態の多様性に配慮しつつ、遅滞なく措置するよう進めることとしており、今後実態把握を行いながら推進に向けて働きかけてまいりたいと考えております。
4つ目はワークライフバランス推進のためのマネジメントの向上でございます。ア、マネジメント研修でございますが、新任の管理職全員を対象とし、マネジメント能力の向上を図るための研修を新たに実施いたしました。また、管理職のマネジメント能力向上に資する具体的なスキルやツールを紹介する「マネジメントテキスト」の作成・公表を行っております。
イの管理職向けe-ラーニングも平成29年度から実施しており、令和3年度においても全管理職を対象として実施いたしております。さらに、ウのマネジメントセミナーを本府省及び全国の地方機関等の管理職を対象として計4回開催し、管理職として求められる行動・役割について講義のほか、グループ討議などを盛り込んだ研修を実施いたしました。
19ページに入りまして、心身の健康の保持増進でございます。まず、国家公務員に対する周知・啓発の具体的な取組として4点。1つ目は、管理監督者がメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーを開催しており、令和3年度はオンラインで全4回実施いたしております。
2つ目は健康管理に対する意識啓発講演会として、昨年10月1日から7日の国家公務員健康週間中に、コロナ禍の下のテレワークが進む中でのメンタルヘルスケアにつきまして講演をいただいております。
3つ目としましては、新任の幹部職員、課長、課長補佐などを対象としまして、メンタルヘルスやパワーハラスメント防止等の知識や、部下からの相談への対応方法、また、幹部職員等の役割・責任の理解習得のために、e-ラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習を実施しております。
4つ目として、過労死等の原因となる脳血管疾患等を予防する観点から、健康診断において要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診の指導などを推進しております。また、国家公務員に対する相談体制の整備に関する取組として、カウンセリング能力向上のための講習会を全3回実施しております。
内閣人事局の取組は以上となります。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室室長 続きまして、総務省より資料4、20ページ、総務省における過労死等の防止対策の実施状況につきまして御説明いたします。総務省におきましては、地方公務員の過労死防止対策を担っております都道府県、市町村に対しまして助言、情報提供、要請や調査研究などを行っております。
21ページには地方公共団体におけます時間外勤務縮減の取組を取りまとめております。上段にあります勤務時間の適正な把握、勤務外時間の縮減につきましては、昨年末に公表しました令和2年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果に基づきまして、本年1月14日に総務省の関係課室長連名によりまして、地方公共団体に取組を要請する通知を発出しております。
また、3点目のとおり、勤務条件等調査時に実施しておるのですが、ヒアリングとか関係する各種会議におきまして、勤務時間の適正な把握の要請、時間外勤務縮減の要請などを行っております。
22ページには地方公務員の過労死などをめぐる調査・分析をまとめております。令和3年度におきましても、これまでと同様に過労死等防止調査研究センターに委託いたしまして、平成22年1月から令和2年3月の間の公務災害と認定されました事案468件の分析を行っております。表でお示ししましたとおり、地方公共団体におけますメンタルヘルス対策の実施状況ですが、総務省では労働安全衛生法上義務づけされていない50人未満の事業場を含めて、全ての職員にストレスチェックを実施するよう、地方公共団体に要請しています。令和2年度は前年度より若干増加し、b/a欄にありますとおり、全事業場のうち約98%でメンタルヘルスチェックが実施されておりまして、また、メンタルヘルス対策の取組状況の合計欄のとおり、約96%の地方公共団体で何らかのメンタルヘルス対策の取組を実施していることが確認できております。
一番下の黒ポツにありますように、昨年度実施しました地方公務員のメンタルヘルスに関するアンケート調査、そして総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会を開催しまして、この報告書を踏まえて、本年3月29日付の通知を発出しまして、首長が先頭に立って全庁的な体制で総合的に取り組むことなどを要請しております。
23ページには地方公務員に対します研修、相談窓口などの状況をまとめております。地方公務員の研修機関として総務省に設置しております自治大学校では、幹部職員などを対象としました研修課程がございまして、特に表でお示ししています研修では、管理職候補の職員に対しましてメンタルヘルスにおけるリーダーシップなどの講義を行っています。また、総務省の関係団体でもあります地方公務員安全衛生推進協会におきましては、東京、大阪のほか、全国の10の会場でメンタルヘルス・マネジメント等の安全衛生研修会を実施しておりまして、そのうち東京会場、大阪会場には総務省から我々も参加しまして、地方公共団体の労働安全衛生の取組の現状、さらなる取組を促進するよう要請しております。
下段の地方公務員に対します相談窓口につきましては、各地方公共団体の人事委員会などに苦情・相談窓口が設置されておりますが、これに加えまして、メンタルヘルス相談として地方公務員共済組合における相談窓口の設置、地方公務員災害補償基金になどにおける相談窓口として、無料の電話(Eメール)によります相談を実施しておりますほか、消防庁におきましては、消防職員の惨事ストレスに対応する必要な支援を行う「緊急時メンタルサポートチーム」の派遣などを行っております。
総務省からは以上となります。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 続きまして、文部科学省でございます。
文部科学省における対策の実施状況につきまして、最近の状況を簡潔に御説明させていただきます。資料5、24ページからとなります。
まず、25ページを御覧ください。公立学校における働き方改革の推進について一覧としたものでございます。これまで本協議会で御紹介させていただいたものを時点更新したものとなっております。この資料を中心に説明させていただきます。
まず、冒頭に記載しておりますように、学校における働き方改革は特効薬のない総力戦であるため、国、教育委員会、学校のそれぞれの立場で取組を進め、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境整備を行ってまいりたいと考えております。
令和元年の給特法改正により公立学校の教師の勤務時間の上限などについて指針を策定しております。この指針の中には、上限時間のことだけではなく、資料の下段の左側「教育委員会」と書いてある箇所にも記載がありますように、勤務時間の客観的な把握の徹底を求めることなども内容に含めておりまして、こうしたことも含め、指針の趣旨の周知や取組の徹底を求めているところでございます。
次に、学校や教育委員会からの国への要望を踏まえた各取組についての進捗でございます。上段の教職員定数の改善、小学校高学年における教科担任制の推進、支援スタッフの配置支援につきましては、前回の協議会で御説明させていただいており、基本的に同様の内容となりますので、説明は省かせていただきます。必要がございましたら、29ページ以降に参考の資料をつけさせていただいておりますので、御確認いただければと思います。
部活動改革について御説明いたします。前回の協議会で御報告しましたとおり、部活動改革といたしまして、令和5年度以降、休日の部活動を段階的に地域に移行していく方向性を打ち出しておりますが、運動部活動、文化部活動共に、そのための実践研究を進めているところでございます。
また、運動部活動の地域移行に関する検討会議について資料に記載しております。今週報道もありましたので御案内の方もいらっしゃるかもしれませんが、5月31日に会議が開催されまして、地域移行の具体的な方策について大筋提言の了承を得たという状況にございます。本協議会のスケジュールの関係で資料が入っておりませんので、口頭の説明となり恐縮でございますが、その提言案の中では、主に公立中学生などを対象といたしまして、少子化の中でも将来にわたり子供たちがスポーツに親しむことができる機会を確保することや、教師の働き方改革を推進することといたしまして、持続可能な地域のスポーツ環境を一体的に整備するということとしております。また、休日の運動部活動について、令和5年度からの3年間を目途に地域移行を図ることとしておりまして、これを改革集中期間として、さらに必要な取組を進めていくこととしております。
次に、教員免許更新制の発展的解消の箇所でございます。こちらも資料に記載がなくて恐縮でございますが、5月11日に教育職員免許法等の一部改正法が成立いたしました。この法律では教師の研修環境が大きく変化したことなども踏まえまして、教師の学びの質を一層高めるため、現職研修の充実などを内容としております。これに伴いまして、本年の7月1日より教員免許更新制は発展的に解消されることとなります。
そのほか、ICT環境整備の支援や学校向け調査の削減などに加えまして、引き続き全国の各教育委員会の取組状況の調査など、様々取組を進めていくこととしております。
最後に、一番下段になります。今年度は教員の勤務実態調査を行うこととしておりますので、御紹介をさせていただきます。
文部科学省からの説明は以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
ただいまの各府省からの御説明につきまして御質問や御意見等をいただきたいと思います。事務局には、複数の委員からの御質問・御意見等についてまとめて御回答いただくことにしたいと思います。
それでは、挙手の上、要点を簡潔に御発言をお願いいたします。それでは、黒田委員、お願いします。
○黒田委員 冒頭から申し訳ありません。黒田です。
本日の協議会の議論のメインテーマが、これまでの取組と今後の対策に関してですので、今後の取組に関する要望を含めた質問などを発言したいと思います。3点です。
1つ目は、冒頭、厚労省からありましたインターバルの認知度、知らないというところが前回よりも5%増えたということについてですが、その分析はこれからでしょうけれども、これについては何らかのコメントが欲しいところです。いかがでしょうか。
それとの関連で、10ページにIT業界の説明がありまして、御存じのように、この業界は非常に千差万別で、それだけにいわゆるブラック企業と呼ばれているところも非常に多いかと認識しております。そこにもこれまでの取組を若干書かれていますが、かなりいろいろ行われているようにも思うのですけれども、現在、国を挙げてDXが叫ばれている状況ですので、IT業界に関しては、勤務間インターバルの問題も含めて、啓発セミナーの関連などもう少し取組や対策を強めていく必要があるのではないかと思うのです。この点について何かありましたらコメントをいただきたいと思います。
それと関連ですが、中小企業の問題で、資料の15ページ、16ページ等に書かれているところですけれども、今のIT業界の関係からすると、零細企業、小規模企業が非常に多い中で、この過労死防止対策についてどこまで周知されているのかと大変不安な面もあります。この中小・零細企業への周知、特に勤務間インターバルの問題も含めて少し対策等を強めていく必要があるのではないかと思うのです。そのための方法の1つは、恐らくこれは厚労省管轄になるのかもしれませんが、社会保険労務士の活用、社労士の仕事の一つとして零細企業に対する過労死等防止対策の指導や助言などを行うなど、社労士の活用あるいは協力ということが必要なのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
2点目の問題です。これは21ページから23ページ辺りに書かれている、先ほど総務省からの御説明がありました資料4です。特に地方公務員についてですが、一昨日も新聞報道で奈良県の男性職員の過労自殺の問題、記事が出ておりました。県に多額の賠償命令がなされたという内容でした。
22ページを見ると、メンタルヘルス問題について懸命に努力されていることは分かりますが、恐らくコロナ禍で地方自治体職員の働き過ぎが多く、負担が強くなっているのではないかと想像できます。いろいろ取組がなされていますが、取組の中身が一体どういうものであったのかという調査も必要ではないかと思います。その観点から総務省から何かコメントがあればお聞きしたいところです。
もう一つ、これは職員目線からの対策も必要なのではないかと思われますが、労働組合からの働きかけなども期待したいところです。本日ご参加の自治労の永田委員、もしも組合からのコメントがあれば、ちょっとお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
3点目ですが、本日、7ページに芸能関係、芸能従事者について、今年はアンケート調査をするという方針が書かれております。大変重要なことです。その方向でぜひやっていただきたいと思うのですが、昨日、芸能従事者協会というところが記者会見をして、このところのタレント等の自殺やハラスメント問題に関連してでしょうが、この協会が芸能人用の「こころの119」というものを開設して取り組もうとしていると報道されていました。この業界に向けて周知・啓発、指導をどのようにしていくのか。なかなか難しい面もあると思いますし、この分野ではフリーランスという働き方も大変多いように思います。その点、調査、啓発も含めて困難な面も多いと思うのですが、この辺り、どういう方向で調査、あるいは指導をしていくのでしょうか。今後さらに強めていく必要があると思うのですが、予算措置を含めて可能であるのかどうか、この辺はぜひ力を注いでいただきたいと思っております。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかの委員からはいかがでしょうか。それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 御指名ありがとうございます。過労死を考える家族の会の渡辺と申します。
私からは3点お願いしたいと思います。まず、1点目は過労死等防止対策推進法の効果についてです。2014年にこの法律が制定されて、今年で8年になります。今日の資料を見せていただいて、週の労働時間60時間以上の雇用者の割合が下がっていたり、年次有給休暇の取得率が高くなっていたりして、裾野のほうでは効果が出てきているということが分かります。でも、私たち、労災とか裁判とかをやっている方が会員さんなのですが、2015年から2019年までの脳・心臓疾患の労災請求件数は減っていませんし、精神疾患の労災請求件数は増加し続けております。認定件数も減っているとは言いがたい状態です。
同じような社会問題を受けた法律として自殺対策基本法というのがあると思うのですが、年間自殺者が3万人というのを14年連続しているという中で、平成18年にこの法律ができましたが、法律ができて3年後、平成21年から自殺者が減り始めているのです。そしてコロナ感染が起こる令和元年まで自殺者は減少し続けております。これは法律の効果があったと考えてもよいのではないでしょうか。
それに対して、この過労死等防止対策推進法はできてから8年たちましたが、過労死や過労自死の被災者さんは減っていないというのが私たち家族の会の実感です。むしろ過労自死の御遺族の会員さんは増えています。せっかくこのような法律ができているのに過労死が減らないということがとても残念です。
その理由の一つとして、社会全体で過労死とかハラスメントは許さないという意識が行き渡っていないのではないかなと考えております。過労死防止の広報検討委員会にも関わらせていただいているのです。過労死防止のポスターとかリーフレットをより効果的に使うためにはどうしたらいいかというのを毎回検討させてもらっていて、かなり広範囲にお配りしているはずなのです。ですが、実際に過労死防止月間前とかに地域の公共施設とかへ行っても、このリーフレットとかを目にすることはほとんどないです。現場の方にお聞きすると、労働関係の部署に置いてあるとおっしゃることが多いです。
もともと労働関係の部署は、こういう過労死とか働き過ぎ、ハラスメントの情報が集まるところです。情報がたくさん集まるところに同じような情報を置いてもなかなか広く一般の人の目に留まるということは難しいと思います。広く知ってもらうために、このような情報が届いていないところにも配布する必要があると思っています。例えば人が多く集まる市役所のロビーとかコミュニティーセンターで各種のパンフレットがたくさん並べて取りそろえてあるようなところに、この過労死の防止のリーフレットとかも置かせていただいたらなと思っています。私は毎年こういうところに持参してお願いしているのですけれども、役所の決まりがあってなかなか置いていただいていません。上から言われたらと担当者に言われるので、今年度はぜひパンフレットを置かせていただくように厚労省さんから働きかけていただけたらなと思います。
同じようにインターネットを使った広報もたくさん取り入れていただいて、興味・関心のある人はより詳しい情報を得られるような仕組みもできています。でも、これも関心のある人にしか目に触れる機会はないのです。過労死とか過労自殺は、防ぐこと、なくすことができる死です。働く人やその御家族一人一人が過重労働や職場環境のことを考えるきっかけとなり、過労死は許されないこと、問題を抱えている人は相談・解決ができるように、幅広い年齢層や様々な立場の人が視聴するテレビ等のメディアも利用して、耳からも音声で情報が入ってくるようにしてこの法律をもっと広く周知していただきたいと思います。
私は啓発授業のほうにも関わらせていただいているのですが、過労死の話を聞いた生徒さんの感想として、自分の親の働き方を心配する声を毎回たくさん耳にします。保護者が霞が関で働いているという生徒さんの感想も聞いたことがあります。深夜まで親が帰宅しないとか、ニュースとかで何か出来事が報道されると家に帰ってこなくなるという働き方を子供なりに本当に心配していました。このように子供が心配している声を働いている人たちに伝える取組はできないでしょうか。働く親を気遣う声を聞いて、子供がこんなに心配しているのだということで、自ら働き方を考えることが過重労働を減らす一因になったらなと思っております。啓発授業をやらせていただいてそういう広がりとか効果がいろんなところに浸透していけばいいなと思っています。
2点目として、介護従事者の確保・定着に向けた取組についてお願いしたいと思います。11ページに医療従事者の勤務環境に向けた改善の記載がありますが、同じように、介護従事者も確保したり、定着が難しい業種です。私たちの家族の会の会員さんの中にも、介護業界で仕事をしていたが、体とか心を壊して働けなくなってしまった人たちがいます。人材不足や有資格者不足の中で夜勤も含めて限界まで仕事をして、病気になると解雇されたり、自主退職を迫られたりしています。最近は通常業務に加えて利用者さんを増やす営業ノルマとか、コロナ感染者の対策も加わって、長時間労働を余儀なくされて、自死された方もいます。後には小さい子供が残されました。
介護業界では新規参入の業者も多いところなので、利用者確保とかノルマを重視している業者さんもあります。そういう中で、厚労省さんが介護人材確保の取組の中で、人材育成等に取り組む介護事業者の認定評価制度などをやっているということを知りました。こういう評価制度は、事業者にも意識を持ってもらいたいし、働く人にも事業者の情報が伝わって、より人に優しいような職場を選んでいただけるということで、ぜひ周知していただきたいと思います。
2040年にはさらに介護職員が必要になる。こういう業界で使い捨てのように働かされていたら、人はどんどん足りなくなっていって、行き詰まることは目に見えています。ぜひ働きやすく、長く続けられる職場環境改善に向けた取組をお願いしたいと思います。
3点目として、子供の相談体制についてです。77ページに「過労死遺児のための相談対応」とあるように、今年度から遺児のための相談に取り組んでいただけることになって、本当に感謝しております。現在は遺児のために年に一度の交流会に取り組んでいただいており、昨年度も12月に琵琶湖の箱館山というところでスキーの取組をしていただいて、大変好評でした。参加した子供たち、保護者に代わってお礼を申し上げたいと思います。国として過労死遺児を御支援くださっていて、本当にありがとうございます。
昨年度は交流会で思春期になった遺児たちの取組を企画しました。この時期は子供の体とか心が大きく変化するために、このとき改めて親の過労死が課題となってくる子供もいます。ただ、この年齢の子供は遊びとか関係性の中で自分のことを話すということが多いです。今年度の取組としてオンライン相談とかを考えていただいておりますが、電話相談など大人と同じような仕組みに参加できる子供もいますが、抵抗のある子供もいると感じています。
思春期の不安定な子供を育てる親への支援も重要になってきます。私たち遺族は、父親や母親の過労死という体験が子供にどのような影響を与えるか、いつも心配しながら子育てをしています。過労死は子供にとって親の死というだけでなく、その後の生活の混乱なども、影響を与えています。過労死と認められるまでにはとてもハードルが高いということは、多くの人が既に御存じのことだと思います。その間、遺族は経済的にも心理的にも苦しい立場に置かれます。この家庭の不安定さや混乱に子供は巻き込まれていきます。これも過労死遺児の特徴です。
子供たちの心の支援は単純なオンラインの相談件数だけでは測れませんし、効果が分かるのは何年もたってからということも多いです。それが子供の支援です。子供の健全な発育をサポートするために、せっかくの取組なので、その辺りも考慮した複合的な仕組みの検討をお願いしたいと思います。併せて、子供たちのためにも申請者に対しては労災認定していただきたいです。子供を含めた遺族救済をお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかの委員。では、川人委員、お願いします。
○川人委員 川人でございます。
3点発言いたします。まず、第1点はハラスメント対策についてです。14ページあるいは17ページなどでハラスメント対策についてのお話がありました。率直なところを申しますと、今回の報告全体を通じて、労働時間等の問題についてかなり詳しい報告があったと思うのですが、ハラスメント対策の問題については、具体的な発生事例に基づいた分析という観点が弱いと感じております。実際発生した事例から教訓を学んで再発防止に取り組んでいくということがとても大事なわけです。この間も大手企業を含めて誠にひどいハラスメントによって多くの若い人々が病気になり、さらには亡くなった事例が相次ぎ、私どもに相談が寄せられております。殴る蹴るの暴行までいまだに続き、さらに暴言は後を絶ちません。「個の侵害」と言われる行為も発生しています。こうした中での具体的な事例を通じて何を改めるべきか。個人の問題と組織の問題について、ぜひハラスメント対策を強化してもらいたいと思います。
労災認定事例の分析の中では、ハラスメントについては事例があるのですけれども、労働時間のみで労災認定に至る場合は、ハラスメントについては事実上調査しないというのが今の実務の慣例になっております。したがいまして、労災認定事例の分析を通じた検討については、必要に応じて当該事件の御遺族からのヒアリングなども含めた検討を調査センターにおいてはお願いしたいと考えます。
2番目は業種に関する問題です。今日は運転手の問題についてかなり詳しい報告がございましたが、労働環境の問題について述べられていましたので、指摘しておきます。運転手の事案については、車中泊、つまり、ビジネスホテルなどに泊まらないで、車の中で泊まるという形態が多い。さらに休憩も車の中で取るという形態が多い。そして、今、地球環境保護の観点からエンジンを必ず止めるようにという指示、アイドリングをしてはいけないという指示が徹底され、条例もつくられています。その結果、夏は酷暑の中で、冬は寒冷の中で泊まり、寝て、あるいは休憩を取らざるを得ない。この結果、極度な労働環境の中で体調を悪化させて死亡したと。このように具体的に労災認定理由に書いてある事例も発生しています。
ですので、業種ごとの特殊なそれぞれの労働環境についても、より踏み込んだ防止対策が必要であると考えます。今後1年間、メディアに関する対策の分析を行っていただけるということですので、ぜひメディア特有の様々な問題にメスを入れた調査・分析を期待しております。
3番目に、これは労災補償課のほうに質問です。昨年の3月30日に労働時間に関する認定の方法についての通知が出されました。これについては有識者から批判もあり、その内容について異論もあり、世論としても批判があるところがあります。したがいまして、既に出された通達ではありますが、今後様々な有識者の意見あるいは世論を聞き、改善すべきところは改善していただきたい。そのように考えておりますが、いかがでしょうか。
そして、現在行われている精神疾患の改正作業についてですが、特に非公開で行われた協議会について、どのような議論がなされてまとめられているのか。これについて可能な限り詳しく非公開直後の検討会議等で公開をするということがとても大事だと思いますので、これについてもどのような予定になっているかお聞きしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、岩城委員がオンラインで手を挙げられていますので、お願いいたします。
○岩城委員 私のほうからは短く3点申し上げます。まず、資料の16ページに、様々なコースを設けて、例えば労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、労働時間適正管理推進コース等に対して支援助成金を給付するという形で促進を図っているということが出てきております。ここでは、助成金の金額は出ているのですが、具体的な成果、例えばどのくらいの会社が参加したのか、その改善結果が具体的にどうだったのかといったことについて、データがあれば教えていただきたいというのが1点目です。
2点目が、時間外労働の適用が猶予されている事業についてお尋ねしたい。2020年4月から中小企業を含めた全企業に時間外労働の上限規制が適用されていますが、自動車運転業務、建設業、医師については5年間適用が猶予された上、5年後も運転業務については年間960時間、医師については年間最大1,860時間という形で差を設けるということになっております。
過労死の防止の観点からは、日常的に過労死ライン、月80時間の時間外労働を超えるような恒常的な時間外労働を法律で認めてよいのかという点については疑問があり、過労死が多数発生するのではないかと懸念しておりますが、法律として成立している以上は、その枠の中でどのようにして過労死を防止し、健康で働き続けることができるように手当てをしていくのかということが求められていると思います。
このうち、自動車運転業務については9ページにも資料がありますけれども、960時間というのは単純に考えて過労死ラインそのものになっております。過労や睡眠不足による事故は、当該運転労働者のみならず、一般の市民を巻き添えにすることも多いということで、特に慎重かつ周到な手当てが必要ではないかと。これからまたインバウンドが増えていくことが想定され、また高齢者の運転者が増えてくる中で、特にこの点は懸念をされるところだと思います。
現在改善基準告示の改正作業が行われていると聞いておりますが、少なくとも大綱が求めている勤務間インターバル11時間を確保するものになっているのかどうか。この点について進行状況をお尋ねしたい。
医師につきましては、年間の時間外労働の上限が1,860時間という過労死ラインのさらに2倍近い数字になっておりまして、今でも多く発生している医師の過労死がなくならないのではないかと強く懸念をしておりますけれども、現在行われている移行措置の状況や猶予期間終了後の健康確保措置の準備ということについてお伺いしたいと思います。
最後に、脳・心臓疾患の認定基準の改正に伴う対応についてお尋ねしたいと思います。認定基準は、これに該当すれば労災と認められるということで、過労死防止や働き方改善の基準にもなっております。その運用や実情は非常に重要だと思っておりますが、昨年9月14日付で認定基準の改正がなされて、発症前1か月に100時間、または2か月ないし6か月間で平均80時間という基準は維持しつつ、これに至らない場合でも、一定の労働時間以外の負荷があるときは関連性が強いと評価されるということになり、労働時間以外の負荷要因として勤務間インターバルが短い業務、休日のない連続業務といったものが新たに追加され、心理的負荷に伴う業務については詳細な別表がつけられたりしております。
この点について、同じ日に発出された「認定基準に係る運用上の留意点について」と題する通達において、認定基準施行日において調査中の事案及び審査請求中の事案については、認定基準に基づいて決定すること-この「認定基準」というのは新しい認定基準のことだと思いますけれども-とされておりますが、再審査請求中の事案についても同様の取扱いがされるということでよろしいでしょうか。
また、審査請求や再審査請求中の事案で労働時間以外の負荷要因について調査が十分でなかった場合、これまで労働時間だけで簡単に業務外としていたような事案で、審査官や審査会において新たに必要な調査を行って判断するということはなされているでしょうか。
さらに、行政訴訟になっている場合、運用通達では認定基準施行日において係争中の訴訟事案のうち、認定基準に基づいて判断した場合に、訴訟追行上の問題が生じる可能性がある事件については、当課労災保険審理室に協議することとなっておりますけれども、既に行政訴訟になっている事案についても新しい認定基準を適用するといいますか、それに基づいて主張・立証を行うということでよろしいかということをお伝えしたいと思います。
最後に、既に行政訴訟になっている事案でも改めて新認定基準に基づいて独自にチェックをし、新しい基準によれば、業務上と判断されるべき事案については、自庁取消とか再認定といったものがこれまでなされてきていると思うのですが、今回の認定基準の改正によって自庁取消というのが行われているのでしょうか。ほとんど耳にすることがありません。前回の2001年の脳・心の認定基準の改正の際は相当数自庁取消があったと認識しているのですけれども、前回は何件くらい自庁取消があり、今回がどの程度出ているのか、そういうデータがあれば教えていただきたい。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、八野委員、お願いします。
○八野委員 ありがとうございます。
まず、スライド14の総合的ハラスメント対策についてです。過労死等は、川人先生からもありましたように、過重労働とハラスメントが特定の方に集中することによって発生していると捉えており、その対策が非常に重要だと考えていますが、今年4月に発表された職場のハラスメントに関する実態調査を見てみますと、予防・解決のための取組を進める上での課題として、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」が65.5%で、続いて「発生状況を把握することが困難」「ハラスメントに対応する際のプライバシーの確保が難しい」「管理職の意識が低い、理解不足」の順となっています。労働組合としても労働者への職場のハラスメント対策の周知・啓発は今まで以上に取り組んできており、労使共に取組を進めているのですが、社会的な課題になってきましたカスタマーハラスメントは労使だけでは解決ができません。本年2月には厚労省で「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成・公表いただき、周知に努めていただいておりますが、引き続き取組が必要です。さらには、就活生へのハラスメントをも含めた総合的なハラスメント対策について、事業主等に対してさらなる周知・啓発を進めていただきたいと思います。
また、今年4月からパワハラ防止対策が義務化された中小企業における取組状況もしっかりと注視していただき、実効性を高めるためのフォローアップいただきたいと思います。
スライド82は政府における自殺総合対策大綱ですが、自殺総合対策大綱の見直しに向けて、自殺総合対策の推進に関する有識者会議が報告書を取りまとめました。その中で「勤務問題による自殺を根絶するため、過労死等防止対策と十分連携していく必要がある」と記載されております。自殺者の10人のうち1人は勤務問題が原因・動機であることを踏まえ、省内、省庁間はもとより、私たち労働組合、関係団体を含め、様々な体制を取る必要があるのではないか。これらについて、今後具体的にどのように進めていこうと考えられているのか。これからの取組にあたっては、SNS等の多様な相談手段の確保や、若者へのアウトリーチの取組など、自殺対策と具体的な連携をお願いしたいということです。 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 髙橋幸美でございます。私から4点についてお話ししたいと思います。
1点目は勤務間インターバル制度についてです。令和2年、インターバル制度導入マニュアルでは、繁忙期でも十分に休息を取ることの重要性が記載されました。全職種で引き続き導入を進めていただけることと期待しております。
先日の労働時間制度に関する検討会でも議題に上がり、一昨日、「新しい資本主義」実行計画にも制度の普及を図ると記載されました。一部経済界ではインターバル制度の賛同企業を増やそうという動きがあります。しかし、3ページの報告では導入は進んでおらず、制度を知らない企業が増加になっています。
ある経済団体からスタートアップ企業は時間外労働の上限規制から除外するべきと提言がありました。人の命を軽視するものであると大変危惧しております。目先の発展のために命を犠牲にすることはあってはなりません。健康に働ける企業が増えることが持続可能な日本経済の発展につながると気づく必要があると思います。導入していない企業の半数が、長時間労働がないからと回答しています。そういう会社はインターバル制度をなんの問題なく導入できるはずです。一番危険なのが導入しない企業の20%が、人手不足で業務が多く、夜間も顧客対応が必要なので導入しないと回答していることです。このような職場で過労死の危険があるので、ここにこそ導入が必要だと思います。
16ページの中小企業の助成金制度のインターバル導入コースの支給条件には、「過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること」というものがありますが、この制限を外して、長時間労働がない企業はどんどん導入してもらい、大企業や中小企業でもインターバル制度を義務化して、労働者の健康を守る。そうなれば、多くの企業が導入できるのではないでしょうか。導入割合も増えると思います。
この導入状況を公表し、導入していない企業や業界は長時間労働をさせたい企業や業界で、ブラック企業であると見える化することで経済界全体の意識を変えていく。さらに投資家、取引先、消費者、労働者、求職者、若者が企業を選択していけば、社会全体の意識を変えることができると考えます。立場の弱い労働者、若年労働者から高齢労働者までがインターバルがないために長時間労働や隠れ残業を強いられ、病気になって亡くなっています。人は生命を維持するために睡眠が必要であり、命を脅かす権利は誰にもありません。一度失った命や健康は二度と取り戻すことはできません。かけがえのない命を守るために、十分な睡眠を確保する、最低限11時間以上のインターバルの義務化をしていただきたいと願っております。
2つ目は、74ページの産業医についてです。産業医に対する講習を拡充してほしいと思います。多くの職場でストレスチェックが行われるようになりました。高ストレス者は希望すると産業医面談を受けることができます。労働者は本当に高ストレスで困っていて、産業医に面談すれば何とかなるのではないかと頼る思いで産業医面談に臨みます。産業医から心療内科を紹介しようか、休職や配置転換を希望するかと問われ、職場を改善してもらえることなく、心療内科に丸投げするような対応をされ、相談者はさらに傷つけられることがあります。地域の病院や開業医が産業医として委託されている場合もあると思います。産業医が相談者に寄り添った対応ができるよう、研修制度を拡充していただけるようお願いしたいと思います。
また、産業医から職場に環境の改善を助言するとされていますが、過重労働が業界全体の問題であったり、社風であると、どの部署に異動しても人手不足や業務が多く、残業隠しが行われていて、転職してもまた次の職場で過重労働やハラスメントがある。これでは産業医の力では救うことができません。産業医を置いたら対策はおしまいではなく、職場の改善に国が介入できるような制度を整備していただきたいと思います。
3つ目は6ページの啓発事業についてです。私は娘の過労自殺について毎回お話ししています。受講した学生から「自分たちには知る権利があるのではないか」「義務教育の段階から啓発授業を受けるべきであると思う」という意見があります。学生たちは自分のこととして考え、質疑応答では多くの意見を受けることがあります。社会科の授業でも学びを深めることができるという教科書の改訂の報告もありますが、また、保健体育でも働くこと、健康の項目で働き方や過労死について学ぶようにできると周知しております。
啓発事業では、若者が入社して間もなく亡くなることがないように、できるだけ多くの学生が過労死の危険について知り、自分の命を守るために教育が受けられるような機会をお願いしたいと思います。
4つ目はシンポジウムについてです。昨年大綱に盛り込んでいただいた過労死が起きた企業の経営幹部・現場の責任者がシンポジウムや研修に参加して再発防止に努めるということについて、具体的にどのように参加を指導していただいているのでしょうか。どの程度参加を確認していただけているのか。労災認定が下りているのに、職場は会社の責任を認めず裁判で争っている会社や経営者がいて、遺族をさらに苦しめています。これでは原因を追及するどころか、再発を防ぐことも不可能です。労働局や経営団体からも呼びかけを行っていただけているのでしょうか。
また、オンライン会場が今回設けられると伺いました。私たち遺族は数か月前から準備に取りかかり、自分自身のつらい体験を次の世代に繰り返さないように、語り部として会場の人の反応を肌で感じながら必死で話しております。オンライン開催を今回どのように開催されるおつもりなのか、十分議論されたのか、お聞きしたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
あともう一人ぐらい委員にお話しいただいた後で、事務局から回答いただくことにします。それでは、永田委員、お願いします。
○永田委員 ありがとうございます。自治労の永田と申します。
先ほど黒田先生から組合側の取組について質問いただきましたので、まずはその点について、併せて地方公務員の現状についても発言させていただきたいと思います。
先ほど総務省から上限規制等の取組の話がありました。私たち組合としては、それらを受け、まずは労働安全衛生委員会を活用して、しっかりとチェックしております。労働安全衛生委員会は法律で毎月開催することが決められていますが、この中では、一定の時間外労働を行っている職員のリストを出させ、なぜ多くの時間外労働が発生しているのかをチェックします。その上で、必要な場合には産業医による面談を行いますし、最終的に人員不足が生じているという判断になった場合には、労使交渉において、必要な人員を要求するなど、必要な対応を行っております。
ただ、自治労の場合は、自治体にある組合はそれぞれ独立した組合となりますので、取組の程度が異なります。自治労の調査でも、毎月安全衛生委員会を開いてしっかり議論をしているところは、少ないのが現状です。具体的な長時間労働を是正するためのリストの提出と具体的な対応まで至っていないところが相当数あるので、組合としても今後努力をしていきたいと思っております。
また、地方公務員の現状ですけれども、令和2年度の地方公共団体の勤務状況調査を見ますと、月100時間以上の超過勤務をした職員が前年よりも一万人も増えているというデータが出ております。恐らくコロナ禍で、地方自治体の現場がいろんな形で対応せざるを得ない中、このような現状になったのではないかと思っております。
現場から寄せられる意見としては、総務省からの様々な働きかけがあり、現場は人手不足で非常に厳しい状況であることを必ず指摘されます。この間、大規模災害が全国で多発しておりますし、ここ2年間はコロナ禍における対応ということもあって、求められる業務に対応できる人員が不足しており、自治労の調査でも保健所等を中心に上限を超えて働くことが常態化している現状がございます。業務に見合った人員を配置するために、特に地方の場合は、総務省にもこの何年か努力していただいて、地方財政計画等で人員を増やしていただいておりますが、国も含めた一層の取組をお願いしたいと思っております。
大綱でも数値目標について、「公務員についても、目標の趣旨を踏まえ、必要な取組を推進する」となっております。先ほど人事院からもあったとおり、必要な人員を必要なところに配置するということが大変重要と思っております。公務員は減らせばいい、ということでなく、ぜひ国も含めて人員配置について御尽力いただきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、まだまだ御意見、御質問があると思いますけれども、ここで一旦、事務局のほうから可能な限りで御回答をお願いいたします。
○補償課長 労働基準局の補償課でございます。
幾つか御質問をいただきましたので、お答えしたいと思います。まず、川人委員から大きく2点の御質問だったかと思いますけれども、お答えしたいと思います。
1点目は、先般私どもから現場のほうに出しております「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について」ということで、改善すべき箇所は改善して、改正していくべきではないかという御質問であったかと思います。この事例集につきましては、従前からの取扱いを裁判例とともに示したもので、これまでの運用を変更したものではございませんで、過労死等の労災認定につきましては、労働時間を適切に把握して認定するということが重要ですので、認定の参考とするため、都道府県労働局に示したものでございます。これは事例集でありますが、現場の参考となる重要な資料ということですので、参考とすべき新たな裁判例が出た場合ですとか、引き続き集積された裁判例とか事例などを基に、より適切な認定に資する資料となるよう、適時事例集を改訂していくことを考えていきたいと思っております。
川人委員からもう一点、精神障害の検討会の非公開の関係について御質問をいただいたところでございます。現在開催しております精神障害の認定基準に関する専門検討会につきましては、原則公開としておりまして、議事録も私ども厚生労働省のホームページに掲載しているところでございますが、決定事例を踏まえて検討する際には、検討事項に個人情報を含んでいる場合もありまして、これを保護する必要がある場合については非公開とさせていただいているところであります。
実際に一昨日開催した第4回の検討会におきましては、こういった理由で非公開とさせていただいたところでございますが、次回第5回以降は原則公開として開催する予定でございます。また、非公開であっても、これまで脳・心臓疾患の検討会の際もそうでありましたけれども、議事の内容によっては、個人情報に該当する部分を除いて、できるだけ概要については公開としていきたいと思っております。
なお、検討会につきましては、様々な団体の方からいろんな御意見もいただいているところもございますので、こうした御意見を検討会に出させていただきまして、これらも参考としながら各委員に検討をしていただいているという状況でございます。
それから、川人委員からハラスメントの調査の関係、労災関係の分が1点ございましたので、お答えしたいと思います。精神障害などの調査の際にハラスメントの場合の調査をどのようにするかというところでございますが、労働時間等で「強」となる事例というところで、これが明らかな場合については、その調査のみで対応するということがございます。これは労災補償の目的が迅速・公正な補償によって被災労働者の救済を図ることにあるということで、迅速な認定のために、こういうケースについては、原則としてほかの出来事について調査を行う必要はないという方針を示しているというところでございます。労災補償でやれる範囲内というところはございますが、現状このような状況にございますので、早期救済の観点からの対応ということについては御理解をいただきたいと思います。
岩城委員から1点、認定基準改正後の審査請求事案等の取扱いについての御質問があったかと思います。大きく3点の御質問だと思いますが、1点は、審査請求や再審査請求中の事案についてどのような取扱いになるのかという御質問であったかと思います。審査官におきましては、改正認定基準に基づきまして、新たな事実の発見等、原処分庁の判断に影響を及ぼす場合につきましては、医証等を収集するなどの必要な対応、調査を行いまして決定するということになります。
また、審査会につきましては、本省から都道府県労働局に対する行政通達には拘束されないということになるかと思いますが、御質問の件につきましても、審査会の判断に基づきまして個別の事案について適切に行われているものと承知しております。これらについても、今後とも迅速・適正な決定等に努めていきたいと思います。
2点目は、行政訴訟の方についての取扱いという御質問であったかと思いますが、係争中の訴訟事案につきましても改正認定基準で評価し直した結果、支給すべきと判断された事案については、改めて支給決定を行うということにしているというところでございます。
3点目といたしまして、自庁取消がどのような状況なのかという御質問であったかと思います。平成13年の改正の際については、統計を取るということは行っていないということで、状況については把握できていないという状況でございます。直近、昨年の認定基準改正後の状況につきましては、審査請求、再審査請求時における自庁取消の件数。これも現時点では把握していないというところでございますが、行政訴訟事案につきましては、1件自庁取消を行っているという状況でございます。
私からは以上でございます。
○総務課長 厚生労働省労働基準局の総務課でございます。
過労死等防止対策の関係で幾つか御質問などをいただきました。お時間もありますので、まとめて簡潔にお答えさせていただきます。黒田委員や髙橋委員からインターバルの認知度が下がったことについてお話をいただきました。インターバルの認知度が下がったことについては、私どももよくない状況だと思っておりますので、しっかりと対策を講じていかないといけないと考えております。具体的にどのように取り組んでいくのかというのは、これからのことになりますけれども、統計データを見てみますと、令和元年、令和2年、令和3年と見ますと、令和元年が全体で15%程度。令和2年が10.7%になったのですが、令和3年度に15.4%になっているという状況で、令和元年のレベルに戻っているというところですが、従業員1,000人以上の企業や300人以上の企業というのは、令和2年に下がって、3年もほぼそのレベルになっている。ただ、それ以下の企業の数値が令和元年のレベルに戻っているような状況です。この間、コロナの影響など様々な要因がありますので、なかなか難しいところですが、よく分析をしながら、中小企業の方々にも制度の認知が進むように取り組んでまいりたいと思っております。
黒田委員と川人委員から、芸能関係の調査について、メディア対策特有の問題をよく関係者からも話を聞いてということであったかと思います。芸能関係の従事者というのは、普通の労働者の方と比べると特殊な部分があると思っておりますので、関係者の方、先ほど言及いただいた芸能従事者協会の方々などにも御協力いただいてアンケート調査の設計をすることを考えております。実際にヒアリングなどが必要になってくる部分もあろうかと思いますので、そういうものも含めてよく分析を深めてまいりたいと思っております。
渡辺委員から過労死防止対策を8年やっているけれども、効果が自殺対策と比べて出ていないではないか、と非常に厳しい御意見をいただいたと思っております。よりしっかり取り組んでいかなければいけないと思っております。その中で、例えば周知などがよく行き渡っていない、公共施設に行ってもあまり見かけないということですが、私どもとしても駅とか公共施設などにポスターやリーフレットなどを置いていただくように取組はしておりますが、そういう観点でまだ十分でないところがあると思います。このため、関係省庁などにも御協力をお願いしたりしながら、どういうところに周知していくと効果的なのかということは、音声での周知ということも含めて検討してまいりたいと思います。
介護の分野の人手不足の件でお話をいただきました。介護分野も人手不足が厳しいというのは、おっしゃるとおりだと思っております。私ども省内で、その業務に関係する部署において、処遇改善をしたり、人材確保の取組をしたり、御言及いただいた認定評価制度も運営しておりますので、今日直接の担当の部署は参っておりませんけれども、そういったお話もいただいたということを申し伝えまして、しっかりと勤務環境がよくなるように、また人手が確保されるように取り組んでまいりたいと思っております。
同じく渡辺委員からオンラインの相談事業を今年から始めるものについて、もっと複合的な仕組みの検討をというお話をいただきました。これも今年度初めての取組みですので、遠隔地の方もまずは幅広く相談を使えるように、ということで考えていますが、実施していく中で、今日いただいた御意見も含めてどのように取り組んでいくのかというのは、その結果をよく見て速やかに考えていきたいと思っております。
髙橋委員からシンポジウムの開催に関連して、オンライン会場の開催をどうするのかということをいただいております。その点から言いますと、遠隔地にお住まいでなかなかシンポジウムの会場に来られない方もいらっしゃいますので、そういう方もぜひこのシンポジウムを見ていただけるように考え、オンラインの取組もしております。なので、普通の会場の開催に加えて、オンラインでより幅広く聞いていただけるような、接していただけるような取組ということで考えております。具体的にどのような提供をすればいいのかというところは、例年そうですが、委員の皆様のお知恵もお借りしながら、開催の仕方についてはこれから検討してまいりたいと考えております。
大事な点で最後に1つですが、過労死シンポジウムに過労死等が発生した事業所の事業者を参加させるべきではないか、そういう周知を考えていないのか、というお話をいただいたところでございます。私どもは、そういう企業も含めて幅広く御参加いただくことが大事だと思っておりまして、労務管理などに問題があるような企業があれば、シンポジウムに参加していただくことが再発防止に効果的だと考えております。なので、これまで監督署などで、この会社には、シンポジウムを聞いていただくのが必要だという事業場に対しては、少し幅広めに開催の案内を直接送らせていただき、参加を促すという取組を今年度から実施しようと考えております。そういったことで参加を促して、よく御理解を深めていただきたいと考えております。
長くなりましたが、以上でございます。
○労働条件政策課長 続きまして、労働条件政策課でございます。
まず、黒田先生から御質問がありましたIT業界の関係でございます。本事業につきましては今年度も継続をさせていただいております。御指摘いただきましたように、SEなどで働き方として長時間になっているという御指摘もございますし、一方で、この事業におきましては、実際に事業を行っている業界の方は、逆に長時間だと人が来なくなるということで、一生懸命是正をしたいという御意見もいただいておりますので、そのようなよい取組を含めまして周知・啓発、もしくは働き方改革推進支援センターでのサポートを通じて是正を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
同じく黒田先生からお話が出ました社労士の利用ということで、働き方改革推進支援センターにおきまして個別企業でのアウトリーチの支援を行っております。令和2年度で約2万8000件。令和3年度は途中経過でございますが、これも同じぐらいの数字で、2月で2万6000件出ております。これは社労士の先生方にお願いをしてやらせていただいておりますので、引き続き、御協力いただきながら進めてまいりたいと考えております。
岩城先生からお話がございました働き方改革推進支援助成金の関係でございます。数値を申し上げますと、令和2年度におきまして、先ほどおっしゃられた3つのコースをまとめますと4,000件ぐらいの支給をしておりまして、令和3年度におきましても、集計中でございますが、プラス2,000件で、6,000件ぐらいの支給ということになろうかと思っております。
効果ということで申し上げますと、初めに申請があった段階で必ず認めるわけではなくて、実際に36協定もしくは就業規則を改定したという実績、これを伴う段階におきまして支給を行うということで確認を取っておりますので、そういう意味におきましては、支給段階で確実にそのような措置が取られているということを確認しているという状況でございます。
私のほうからは以上でございます。

○監督課長 監督課長です。
自動車の関係で川人委員と岩城委員から御指摘がございました。岩城委員からは、自動車運転者の労働時間等の改善基準について、勤務間インターバルを踏まえた見直しになっているかどうかというお尋ねがございました。御指摘があったとおり、自動車運転者につきましては、長時間労働の問題に加えまして、交通事故が起こりますと市民も巻き添えになりかねないという問題もございましたことから、他の産業に先んじて自動車運転者の改善基準というもので指導を行ってまいりました。中身といたしましては、運転時間、拘束時間、そして御指摘の休息期間、すなわち勤務間インターバルというもので規制を行い、現在この勤務間インターバル、すなわち休息期間については、ILO条約等も踏まえまして、8時間以上という基準になっております。この改善基準につきまして、過労死等の防止の観点から現在見直しを行っていただいておりますが、休息期間については、昨年改定いたしました労災認定基準で勤務間インターバルも踏まえた評価ということが盛り込まれたことや、EUなど諸外国におきましても、原則11時間、ただし週3回まで9時間短縮可という例があるといったことも参照しつつ、公労使で御議論いただいた結果、今年の3月にタクシー、バスにつきましては、勤務終了後11時間の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないという内容で取りまとめをいただきました。この趣旨は、単に下限を8時間から9時間にするということにとどまらず、11時間以上の休息期間が確保されるように自主的な改善を促すというものでございますので、私どももそういった趣旨がしっかりと伝わるよう、周知・運用に当たっては留意してまいりたいと思っております。
また、残るトラックにつきましては、現在議論がまだ継続しておりますが、これにつきましても全体として過労死等の防止に資する基準となるように取り組むとともに、関係省庁とも連携しまして自動車運転者の労働条件改善に向けた環境整備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○労働衛生課長 労働衛生課長でございます。
髙橋委員から高ストレス者への対応につきまして、産業医に対する研修の充実、地域の産業医の質向上、また、事業者、社会に対しての意識を高めることの必要性についての御指摘、御意見をいただきました。メンタルヘルス関係の研修につきましては、主に産業保健総合支援センターにおきまして、産業医、保健師、衛生管理者等の産業保健スタッフのみならず、事業者の管理監督者向け、また、事業者向けにもメンタルヘルスのセミナーや教育研修等をこれまでも実施しております。いただきました御意見も含めまして引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
また、産業保健総合支援センターにつきましては、直接の相談とか個別の訪問支援等も行っておりますので、そうしたものも御活用いただけるようにしっかりと周知してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○医政局医事課室長補佐 続きまして、医政局医事課でございます。
岩城委員より、医師に係る上限規制の準備状況についての御質問をいただきました。医師の時間外・休日労働につきましては、医師であれば自動的に1,860時間が上限となるものではなく、960時間を超えて1,860時間を上限とするためには、まず各医療機関において医師労働時間短縮計画というものを作成しまして、その次に第三者機関である医療機関勤務環境評価センター、こちらは本年度日本医師会を指定したところでございますが、そちらにおいて勤務間インターバルの確保や面接指導の実施に係る医療機関の体制・取組等の88項目の評価を受けて、その結果に基づき、さらに都道府県からの指定を受けないといけないこととなります。
評価センターによる評価というのは本年度より開始する予定であり、現在各医療機関において、まず960時間以内に抑える取組であったり、やむを得ず960時間を超えることとなりそうな場合には、健康確保措置の体制等についての取組を進めているものと承知しております。厚生労働省としても財政支援等を通じて各医療機関の取組が進むよう支援してまいりたいと思います。
以上です。
○雇用環境・均等局職業生活両立課課長補佐 雇用環境・均等局職業生活両立課でございます。
勤務間インターバルにつきまして、先ほど労働基準局の総務課長のほうからもお話をさせていただきましたが、中小規模の事業場の制度認知が進んでいないというところで、「制度を知らない」と回答する企業が上がっているという状況について、しっかり対策をしていかなければいけないと考えております。現在厚生労働省では「働き方・休み方改善ポータルサイト」という働き方改革に関する総合サイトを立ち上げ、厚労省のホームページで発信して勤務間インターバル制度の周知を図っているほか、勤務間インターバル制度に関するセミナー等を開催いたしまして周知を図っているところでございます。
令和4年度につきましても、こういったポータルサイトの内容、周知の仕方、セミナーの内容について検討、改善といったものを始めているところでございます。具体的に少し申し上げますと、勤務間インターバル導入をした企業の事例とか導入の背景、マニュアルといったものを作成したりしているわけでございますが、そういったものを分かりやすく解説した動画コンテンツなどをポータルサイトに掲載して、中小企業の方に分かりやすく解説するような形を取るとか、あとはそういった導入事例の掲載数を増やしていくとか、引き続き中小企業の方々を含めて勤務間インターバル制度を分かりやすく発信するというところで改善を図るなど、工夫、検討をしてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室長 続きまして、厚生労働省のハラスメント防止対策室でございます。
八野委員から総合的なハラスメント対策について貴重な御意見を頂戴いたしました。パワーハラスメントが発生する職場は残業が多いとか休暇が取りづらいという問題があるというのが調査結果からも明らかになっておりまして、パワーハラスメントの防止には長時間労働の是正など、職場環境の改善のための取組が非常に重要であると認識しております。こういった問題の改善も含めてハラスメント対策に取り組んでいくこととしております。
併せて、いわゆるカスタマーハラスメント、お客様などからの著しい迷惑行為の防止に向けて、対策マニュアルについて作成をさせていただきました。また、就活生の就活の現場におけるセクシュアルハラスメントの防止につきましても併せて取り組んでまいることとしております。
また、本年4月から中小企業にパワーハラスメント防止対策が全面義務化されましたので、こちらの施行についても取り組んでまいりたいと思っております。
引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○中窪会長 佐久間委員がここで退室されますので、その前に御発言いただければと思います。
○佐久間委員 ありがとうございます。大変申し訳ございません。先に私から発言をさせていただきます。
先ほどからの審議の中にもありましたように、「勤務間インターバル制度」は、仕事をしない時間を強制的に取る、仕事から離れることは、本当に重要なことだと思います。大綱の目標で、今、中小企業の認知度というのがちょっと滞っているのではないかという御意見もありました。認知度のパーセンテージがやや悪くなってきているのではないかと思います。
また、普及率についても、令和3年度で4.6%。これは「0.4しか」、「しか」と言っては申し訳ないのですけれども、現実に増えていない状況です。令和7年度までにこれを15%にするということは、年平均2.6ぐらいずつ上げていかないと達成できる数値ではなく、結構大変な数字だと思うのです。当初から目標が高いということもあるのかもしれませんけれども。
中小企業はコロナ禍の影響で、時間外労働の時間が私たちの調査でも減ってきているのです。一昨年、それ以前までは10時間は超えていたのが、昨年は、9.95ぐらいになっていて、10時間を下回り、超過勤務時間が少なくなっています。このような超過勤務時間が減少している時だからこそ、インターバル制度を就業規則の中に入れていく、制度を普及させるためにはよい時期なのではないでしょうか。今がよりインターバル制度を普及していくには、チャンスではないかなと思っています。
しかしながら、私ども中小企業支援機関では「インターバル制度を設けましょう」と言っても、今のところ普及していない状況です。そのため、ここは年1回とか、お忙しい中で大変なのですが、各地の労働局や、ハローワークの職員の方々から、実際に企業と接する場において、各所の制度等で周知しなくてはならない事項がたくさんあるのは十分存じておりますが、「ぜひインターバル制度をここで就業規則に入れてみたらどうか。助成金活用の可能性もある。」とか、そういう声をかけていただきたいと考えます。
もう一点、資料1の5ページ、公務員の年次有給休暇の平均取得日数についてです。この表を見ると、本府省の日数11.7、本府省以外は15.4ということで、ちょっと開きがあるのではないかと思います。本省の方々は特に忙しい思いをされているのですが、これは全体になっていますが、例えば厚生労働省がどのぐらいになっているのか、個別で分かれば教えていただきたい。厚生労働省は非常にお忙しいので、数字が平均よりかなりもっと悪いのではないかなと思うのですけれども。
地方公務員のほうでも、給与の水準なども、ほかの公務員に比べて政令指定都市がやや高い傾向にあり、その状況において有給休暇の取得日数も増えていて、それなりに公務活動の生産性も上がっているのではないかと思います。給与水準と有給休暇取得を取りながら、生産性を向上させる公務上の分析というか、考え方があれば、教えていただきたいと思い発言をさせていただきました。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
冨髙委員もお時間の関係で今、御発言いただければと思います。
○冨髙委員 ありがとうございます。
先ほど黒田委員、髙橋委員からもございました勤務間インターバル制度について意見申し上げます。コロナ禍という特殊な環境の中で、なかなか取組が難しいところもあるという答弁がありましたが、少なくとも周知はどのような状況でもできると考えておりますので、さらなる取組をお願いしたいと思います。また、勤務間インターバル制度を知らないという割合が多くなったということは、労働組合としての反省もございますが、行政の立場でも、是非取組の徹底をお願いしたいと考えております。
連合では、春季生活闘争においてインターバル制度導入を要求するなどの取組を進めており、その調査結果を見ても徐々に取組の裾野も広がっております。しかしながら、先ほどの「制度を知らない」割合が増えている実態や、業種ごとに取り組みやすさ、取り組みにくさなどについて、分析いただきながら、その業種ごとの好事例の横展開や導入を後押しするような取組の強化をお願いしたいと考えております。
つぎに、スライド4で職場におけるメンタルヘルス対策の状況について、職場に相談先がある労働者の割合が減少しているとの記載があります。相談先として職場の上司や同僚が含まれていることも踏まえると、テレワーク促進によるコミュニケーション機会の減少が原因となっていることも要因として考えられるのではないかと考えております。
実際、連合のテレワーク調査でも孤独感が増しているという結果が出ております。相談先があることを理解してもらうのは非常に重要であり、職場コミュニケーションの活性化も含め、労働組合としてもしっかり取り組んでまいりたいと思いますが、政府におかれましても、相談先を増やしていく方策について積極的に御検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
時間との関係で戎野委員もここで御発言があるということですので、よろしくお願いいたします。
○戎野委員 ありがとうございます。
私のほうから1つです。これまでの取組、様々な制度がより効果を上げていくには、やはり周知・啓蒙活動というのが大きなキーになってきているということを改めて感じました。必要なところに必要な情報が届いているのかということを再度確認することが大切だと思います。問題が起きてから知るというのではなく、未然に防ぐということの重要性を改めて感じるところであります。そして、今、情報の発信方法、入手方法、非常に多様化が進んでいると思うのです。世代によってもかなり違いますので、例えば企業の経営者で年長の方がどのような発信方法、入手方法を持っているのか。あるいは働いている若い方がどういったところで情報を入手しているのか。かなり様々な形があるのではないかと思います。
そういった中で、13ページのところに取組が紹介されました。厚労省のセミナーです。Zoom、YouTubeという手法で有益な取組方の一つではないかと思います。どこにいる人でもいつでもアクセスできるということで、忙しい方でも入手可能です。もし分かれば教えていただきたいのですが、今後こういった発信方法というのは広がっていくと思うのですが、アクセス者というのがいわゆる狙っていた対象に的確に当たったのかどうかということです。職場復帰ということなので、ある程度照準があったのではないかと思うのですが、アクセス数もそうですが、年齢であったり、企業の方ですと中小企業なども御覧いただけたのかとか、いわゆる必要な人に届いているのかということはいかがでしょうか。
それから、それに関連して、こういった必要な情報をどのように入手していたのかというところの検証はなされているのかということです。下手な鉄砲ではなくて、どういったルートなのか、企業からなのか、あるいはこの場合、病院ということも考えられますし、あるいは組合かもしれませんし、そのほか、自治体からかもしれないのですが、どういったルートでこういう情報を入手したのかというところの検証なりがありましたら、教えていただきたいと思います。効果を上げていくには、必要なところに必要な情報が届いているのか、また、その必要な情報をどのようなルートで入手したのかという検証が一層必要になってくるのではないかなと思った次第です。よろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございました。
先ほど事務局からの御回答が途中になってしまいましたが、もう時間も迫っておりますので、皆様の御発言をいただいて、最後にまとめてお答えいただくことにしたいと思いますので、ほかの委員の皆さん。それでは、工藤委員、お願いいたします。
○工藤委員 ありがとうございます。神奈川家族の会の工藤でございます。
私から2点述べさせていただきます。まず1点目が、22ページの総務省さんの調査で、地方公務員の調査・分析の取組に対しての質問ですけれども、調査が平成22年1月からとなっておりますが、これ以前の調査・分析というのがあるのかないのかということを教えていただきたいということです。この分析の結果を次に過労死等防止にどのように役立てる対策を立てているかということを教えていただけたらと思います。
2点目ですが、文科省さんの学校における働き方改革の推進についてお尋ねいたします。これを見ていると、本当に大変な御努力をされていることを感じました。現在報道でも教師の働き方の過酷さについて多くなされていまして、依然として長時間、過重・過密労働が変わらないという現状が伝えられています。出退勤調査なども進んでいることは分かるのですが、反面退勤時間を過小に報告するということも起きているということで、すごく矛盾があるなと感じております。今年度に入って私は多くの先生方と話したのですが、例えば現場で校長先生が何の迷いもなく2時間以上職員会議をして退勤時間が遅くなったりとか、ある地方ではこの2か月で3人もの先生が脳疾患で亡くなられたそうです。また、別の地方でも自死があったり、新任の先生が倒れて来られなくなった例が幾つかあります。実際にお伺いした話です。
また、学校の労働安全委員会は、例えば50人以下の学校でも開催されるところもあれば、50人以上の学校で設置されていないようなところもあるという話を聞いて、ちぐはぐさを感じたり、この状況には心が痛みます。
過労死等防止対策推進法ができまして8年。教員は2回目の調査が今年行われますけれども、例えば1回目の調査研究の結果は文科省の中でどのように活用したかということをお伺いしたいということ。人を増やすというのは大変かと思いますが、毎年5,000人もの高止まりした年間の休職者を減らすという視点とか、あと、今回この場でも話されています勤務間インターバルなど、過労死防止法から検討されたり、進められたりできる対策が学校現場の働き方改革でたくさんあるのではないかと思います。
人事院さんが17ページで公務災害認定事案等の分析に基づいて各省庁に指導・助言ということは、これはまさにそういうものを活用したものかなと思うのですけれども、例えばこういう大綱目標を学校の働き方にどう当てはめるかとか、この白書の調査・分析をどういうふうに活用するかというような、過労死等防止対策法から考える学校の働き方改革プロジェクトのようなものができるのではないかなと思っていますし、そのための過労死等防止法であったり、重点業種の調査研究であるかと思いますので、そういう新たな観点としてこういう防止法から考える働き方というのも入れていただけたらと思いますし、もしそれでやっている対策があったら教えていただけたらと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 時間が迫っておりますので、2点だけお話をさせていただきます。
1点目は過労死等防止対策推進シンポジウムについてです。シンポジウムは経営者の意識改革を図る上で大変意義あるものだと思っています。経団連といたしましても、会員企業に参加を呼びかけるだけでなく、地方別経済団体を通じ全国の企業にも周知しています。少しでも多くの方々に参加してもらえるよう、引き続き呼びかけてまいる所存です。
もう1点は産業医についてです。職場における労働者の健康管理を担う要として企業、労働者が産業医に期待する役割は極めて大きいと感じています。企業からは、自社の産業保健活動を進めていく上で必ずしも十分な数の産業医を選任できていないという声や、自社の産業医に対して、メンタルヘルス対策という新しい課題への対応を期待する声が大変多く寄せられています。その中で、産業医を育成する唯一の大学である産業医科大学に期待するところも大きく、例えば専門医認定における地域枠医師の取り扱いなども参考にしながら、産業医育成に向けた取組の強化をぜひ御検討いただければと思います。
私からは以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、寺西委員、お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。過労死家族の会の寺西でございます。
私から周知・啓発について4点意見・要望を述べます。先ほどの髙橋委員とちょっと重複したところがありますが、意見としてお聞きいただければ幸いいたします。
1点目は、前回の協議会において労働問題・労働条件に関する啓発授業について、公立学校の実施が少ないことで文部科学省へ要望しましたところ、このたび御対応いただきましたので、簡単に共有させていただきたいと思います。今年度の高校1年生から新しい学習指導要領になって、通常の学習でワークライフバランス、また雇用と労働、違法が疑われる観点で適切な行動と相談窓口を教える解説などが盛り込まれたようです。教育委員会の指導主事会において厚生労働省の啓発授業のチラシを配布するとの御回答をいただきました。文部科学省と連携していただくことで、各県の指導主事の皆さんの働きかけで今後公立学校の啓発授業を展開されることを期待したいと思います。
2点目は、令和3年度版の白書の310ページに掲載されています「経営幹部等の取組」の文言で、最後の3行に書かれている「事業場において過労死等が発生した場合には、経営幹部や現場の長が自ら、必要な全社研修の実施、シンポジウムや各種研修会への参加」と明記いただいておりますので、ぜひとも実施をしていただきたいです。
対象になっている事業場は、11月過労死等防止月間に行う啓発シンポジウムについて参加されて、過労死等に関する講演と遺族発言をぜひ聞いていただき、二度と同じ過ちを繰り返さない決意を胸に刻み込んでいただきたいです。そして、講演等で職場改善、再発防止を学ぶ機会にしていただくことを願っています。なぜなら、企業にとって従業員は歯車の一つかもわかりませんが、家族にとってはよき夫であり、よき妻であり、愛する息子や娘なのです。私たちのようなかけがえのない大切な家族の命を奪われた者の胸のうちを感じ取ってほしいと思います。
3点目は、この2年間、啓発シンポジウムはコロナ感染対策を取りながらの開催で、会場の座席数や間隔を空けたり、また、勤務先から他県への移動は制限があって、思うように会場参加の人がかないませんでした。今年度はそうした人に対して初めてオンライン開催が予定されています。確かに一つのきっかけになると思いますが、私ども発言する立場としましては、やはり会場へ来られた人に向けてお話しする、そうした違いを感じます。例えば過労死遺族の発言においても、会場ですと、会場で聞いていらっしゃる皆さんが小さくうなずかれたり、また、ため息や目頭を押さえられたり、目の動きやお顔の表情などで共感していただいていることが伝わってきます。話をしても力が入るところです。やはり会場の雰囲気は会場の皆さんとともにつくり出すものなので、オンラインにはないリアルな熱気がつくり出されます。今回オンラインシンポジウム開催について、移動困難な人にとっては有効と思いますが、今後についても集会形式のシンポジウムはこれまでどおり47都道府県48か所開催でぜひとも維持していただきますようお願いいたします。
最後に、資料9ページに載せていただいていますが、重点業種の一つ、自動車運転者労働時間等専門委員会が労政審にてまとまるようですが、かなり長時間の数字になっていることが大変気になります。インターバル導入についても9時間が努力義務のようになっているところもあり、実効性が乏しい内容です。特にタクシー、ハイヤー、バスは、人の命を預かる業務として安全な労働環境が必要です。それに加えてタクシー運転手さんの高齢化が進んでいることはすごく感じるところであります。このような労働環境では過労死等の不安と過労運転事故が発生するのではないかと懸念します。そのためには、過労死等防止対策推進法の大綱が取り組む数値目標の週60時間以下、また、インターバル11時間以上の確保、年次有給休暇の取得など6項目全ての取組を専門委員会へ資料提出いただいて、過労死等防止対策の大綱と取組の連携をぜひお示しいただきたいということを要望いたします。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、山鼻委員、お願いします。
○山鼻委員 ありがとうございます。
今回の資料を拝見いたしまして、過労死防止対策には中小企業の底上げということが非常に重要ではないかと思っております。先ほど鈴木委員のほうからもありましたように、ただいま産業医のほうを契約するのが非常に厳しく、財政的にも余裕のない中小企業には、産業医をお願いするというのはかなりハードルが高くなっております。また、そういうところで産業保健総合支援センターが非常に有効な方策だと思っているのですけれども、こちらのほうを使用するに当たっては、1企業当たりの回数や人数の制限があったり、提出書類が多く、手続が煩雑と聞いています。また、企業の方にお話をすると、「さんぽセンター」を知っているとか、聞いたことはあるんだけど、それは私たちが使っていいのというようなお話もありますので、ぜひここのところを活用される仕組みを今後また。今もいろいろやっていただいているのは重々承知しておりますが、なおより広く活用されるような方策をお互いにいろいろ協力しながら探っていきたいと思っております。
2点目は勤務間インターバルについてですが、中小企業の方が知っている率が下がっているというところがあります。こちらは就業規則に1回入れてしまうと、メンテナンスをするのがなかなか難しいということもありますので、うちの会社はこれに該当しないよという企業さんが結構いるので、これを就業規則にあえて入れていないという企業さんもたくさんいらっしゃることをご報告いたします。今後過労死を防ぐための一つの有効な方策である勤務間インターバルの制度周知について、私どもはこの低い数字を反省して、これから一層努めたいと思っております。
先ほどカスタマーハラスメントのお話が出ておりましたが、実は私どもでカスタマーハラスメントを受けると従業員はメンタル的にもかなりやられているということがよく分かっておりますが、未然防止というのは、企業側としてはなかなか取りにくいものです。こちらに関しては組織的に従業員を守るという方向で何とかできないかということで、実は本日の午前中、カスタマーハラスメントに関してのセミナーをやっておりまして、企業のほうにも周知をしているということを御紹介させていただきました。
ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、大下委員、お待たせしました。お願いします。
○大下委員 ありがとうございます。
資料3ページの様々なデータから、目標数値に向けた取組や改善が少し鈍ってきている部分もあると感じております。何人かの委員の方から中小企業についてのお話がございました。中小企業は一生懸命働き方改革を進めていこうとしていると思いますが、まだまだ道半ばかと思っております。政府には、勤務間インターバル制度を含め、働き方改革関連法や制度の周知徹底、長時間労働につながる商慣行の見直しを特にしっかり進めていただきたいと思っております。
また、この分野に限らず、国の支援策等は一生懸命周知してもなかなか伝わり切らないことがございます。多様なメディア、ツール、手法、機会を通じて、「中小企業にも分かりやすい形での周知」を引き続き続けていただきたいと思っております。
また、企業における働き方の課題は必ずしも一様ではなく、業種や規模によって様々でございます。資料15ページに記載の働き方改革推進支援センターによる業種別団体への専門家チームによる支援など、現場の実態を踏まえた取組の推進をお願いしたいと思います。商工会議所としても引き続き働き方改革の推進、過労死防止に向けて取組を進めてまいります。
他方で、過労死・過重労働を生み出す背景の一つとして、人手不足があると思っております。日商が2月に調査したアンケート調査でも、人手不足の状態にある中小企業が2年ぶりに6割を超え、コロナ前の状況に戻りつつあります。特に運輸・建設・情報・介護等の業種では深刻な状況になってきています。政府におかれては、今回御説明をいただいた過労死防止関連施策とともに、根本的な人手不足の解消に向けた取組についてもしっかり進めていただきたいと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか。木下委員、お願いします。
○木下委員 委員の木下でございます。短くお話をさせていただきます。
過労死防止については、過労死防止等対策支援ツールということで、未然予防を個別の企業が取り入れやすいようなツールを開発しようと今、研究をされているのですが、ぜひそういう研究開発の中にジェンダーの視点を取り入れていただきたいと思います。今、女性活躍推進ということで、女性の職場での活躍を求める。むしろ女性もそれを望んでいるとしても、まだまだ我が国では性別の役割意識、社会の意識などジェンダーギャップがあります。その中で、女性は家庭での家事、育児、介護などの無償ケアと言われる労働も担いつつ、職場での労働もということになると、労働の重さ、影響が実は男性と女性で違うのではないか。特に今回のコロナによるテレワークの結果、女性にとってはテレワークをすることが非常に負担であるということも報告されております。
そういうことで、今後、将来に向けた研究あるいはこういうツールを開発するときには、人として共通な部分はもちろんありますが、男性と女性というものが今、担っている社会の中での役割などから、その違いにも着目した視点を持っていただきたいと思います。それが幅広く男性にとっても女性にとっても安全で健康で働き続けられるワークライフバランスが整うような社会につながるのではないかと思います。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
○中窪会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。では、宮本委員、お願いします。
○宮本委員 宮本でございます。お時間もないので、2点ほどです。
先ほど工藤委員も言われましたけれども、タイムカードを文科省のほうでもすごくやっていただいて、いいと思いますが、押した後に仕事に戻ってしまうということがないようにということで、これは文科省のほうにも書いてありましたが、民間企業や医療機関も含め、そういった抜け道がないようにしていただきたい。抜け道を通らざるを得ない人が不幸な目に遭うというのは悲しいことなので、そこを防げればなと思っています。
もう一点、自己研鑽と労働の境目というのがかなり問題になってきて、例えば医師のほうだと自己申告で自己研鑽と言っていいようなことになっていますが、一般労働者のほうですと、使用者による黙示の指示の有無が問題になるということは、指針では出されています。こういった自己研鑽は労働ではないとするための手続ぐらいは教員や医療機関も含めて各事業場、職場等で定めておく、くらいの縛りはあってもいいのかもしれないなと思っております。その辺についての御検討などがあるかどうかも教えていただければと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
あとはよろしいでしょうか。
それでは、事務局のほうから簡単にお願いします。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。
工藤委員から御質問いただきました点につきまして御説明させていただきます。教師の働き方は依然として変わらないというお話もございましたが、文部科学省の調査結果では、時間外勤務について、平成30年度以降は一定程度改善傾向にあるという状況もございます。ですので、働き方改革の取組の成果は着実に出つつあるというものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き取組を加速させていく必要があるということを考えております。
勤務時間の過少申告を求められたような例があるというような一部報道もございます。これは非常に遺憾でございまして、文部科学省としては、先ほど御紹介いたしました給特法に基づきます指針の中でも、まずICTの活用、タイムカード等による客観的な勤務時間の把握を求めた上で、虚偽の記録を残すようなことがあってはならないということを示しているところです。加えまして、この指針のQ&Aの中では、万が一校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、信用失墜行為として懲戒処分等の対象ともなり得るということも明示いたしまして、各教育委員会に周知をしております。
上限時間を下回ることが目的ではなくて、客観的に把握した時間に基づいてしっかりと業務の削減や業務の見直しにつなげていくということ、そちらの方こそ大切なのだということを今、改めて伝えているところでございます。
過労死の調査研究につきまして、取組・活用状況でございますが、その内容を私どもも読ませていただきまして、大綱であるとか関係するものは各教育委員会にも通知であったり、情報提供しているところでございますが、特にその調査研究の中で分かっているようなことは私どもも参考にさせていただきまして、教育委員会の人事管理、労務管理をしている管理主事という職員がおりますが、毎年、全国の管理主事を集めた研修会の中で、過労死に当たるような事案について、ケーススタディーというか、対応についても情報共有であるとか検討するような研修も行っておりますので、そういった中で活かさせていただいております。
大綱であるとか、法もそうですけれども、過労死防止、メンタルヘルスの話もそうですし、働き方全般のことについても課題がたくさんございます。こういったものについては、しっかりと教育委員会、現場と情報共有しながら、改善できるように引き続き取り組んでいきたいと思っております。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室室長 続きまして、総務省公務員部の安全厚生推進室から簡単に御説明いたします。
まず、黒田委員よりメンタルヘルスの取組ということのご照会があったと思います。こちらも毎年の勤務条件調査の中でどういったものをやっているかというのを具体的に取っております。これは総務省ホームページにも細かいデータを載せておりますので、お時間があれば御覧いただきたいと思うのですが、先ほど永田委員からも御紹介いただきました安全衛生委員会で取組をしっかりやっているとか、あとは相談体制をしっかり行うとか、各自治体ごとに工夫してやっているという実態を把握しております。
永田委員より地方財政対策について御評価いただきましたが、やはり人員体制の問題もあろうと思うのですが、こちらは各自治体が工夫して人員配置を行っていると思いますし、その上で、我々としましては職員の健康確保のための措置、面接指導、ストレスチェック、こういったものがしっかりなされますように引き続き助言してまいりたいと考えております。
佐久間委員より指定都市の有給休暇の取得が高いので、要因はというお話もありましたが、具体になぜこうなっているかというのは承知しておりませんが、指定都市の中でも取得率は様々でありまして、ただ、総務省からは取得に当たっては例えば休暇の取得の計画表をつくって、皆さんが取りやすいような工夫をしてほしいと、そういった助言もしておりますので、そういった効果が働いている部分もあるのではないかなと推測しております。
工藤委員からの過労死の分析についてですが、平成22年以前のデータ、これは厚労省さんからもお話があるかもしれませんが、当時厚労省さんとも連動しまして、地方公務員のほうでも22年からデータを取ろうということになりましたので、それ以降の調査をしておりまして、実はそれ以前のデータにつきましては、文書の保存年限もありますので、実際今はもう現存しておりませんので、データはないという結果になろうと思います。
その活用方法ですが、こちらも分析をした結果は毎年ホームページのほうにデータをアップして、それを広く公開しております。また、我々が先ほど御紹介しました各種研修会の場でもこの過労死の分析をしたものを御紹介しまして、いわゆる長時間労働といった問題についてはしっかり取り組む必要があるといったことの研修にも生かさせてもらっております。
以上です。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 人事院でございます。
佐久間委員から国家公務員の年次休暇の平均取得日数につきまして、厚生労働省の数字のお尋ねがございました。省庁別の数字を積極的には公表しておりませんけれども、令和2年度の厚生労働省の本省の数字というのは、全体平均11.7を少し上回るという状況でございまして、著しく低いということではないということを補足させていただきます。
以上でございます。
○総務課長 厚生労働省労働基準局総務課でございます。
先ほど、途中までで厚生労働省関係についてお答えをさせていただきました後にもいろいろと御意見を頂戴しました。それについては、お時間などもありますので、この後また各担当課長からお答えするのはちょっと難しいと思います。一方で、御意見のところは大変重要な御指摘をいただいていると思いますので、今日の御意見をよく踏まえまして取り組んでまいりたいと思います。
データ的なところについては整理をいたしまして、お答えできるものについては後日回答させていただければと思います。
大変恐縮ですが、以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
申し訳ありません。時間がもう過ぎておりますので、本日はここまでとさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
各府省におかれましては、委員より出されました意見を踏まえ、今後さらに対策をしっかり行っていただきたいと思います。
最後になりますが、次回の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
○企画官 事務局でございます。
次回は、今年の過労死等防止対策白書の公表後、その御報告等について、10月あるいは11月頃に開催をしたいと考えておりますが、具体的な日程等につきましては、追って調整の上、事務局より御連絡させていただきます。
○中窪会長 それでは、これで第22回「過労死等防止対策推進協議会」を閉会といたします。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。