第29回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

日時

令和4年3月24日(木) 10:00~12:00

場所

AP虎ノ門11階

議事

議事内容

○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第29回「厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、ウェブで開催いたします。
会議全体でのお願いとなりますが、ウェブで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステムの機能から「参加者リスト」を表示していただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は再度マイクをミュートにするとともに、「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしたウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡ください。
本日は、部会の定数14名に対しまして、14名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、本日の会議資料についてですが、会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。ウェブで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはウェブ上で資料を投影いたしますので、御覧ください。
資料は、資料1、参考資料1-1、1-2、1-3、2となっております。
お手元で不足等ございましたら、事務局宛てにお申しつけください。
円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 楠岡です。おはようございます。年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
早速議事に入りたいと思います。議題1は「臨床研究法に関する検討」でございます。
事務局より資料1の説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料1「臨床研究法の見直しに係る各論点」の御説明をさせていただきます。
資料のトータルのページで5ページ目を御覧ください。本日、3つの論点について御議論いただくということになりますけれども、事務局の都合で大変恐縮ですが、先に3の「研究資金等の提供に関する情報公表の範囲について」を御説明させていただきたいと思います。
本件につきましては、経済課の安藤課長から御説明させていただきます。
○医政局経済課長 経済課長の安藤でございます。
本日、議事の順番を変えさせていただきまして大変恐縮でございます。私のほうから資料1の13ページの「3.研究資金等の提供に関する情報公表の範囲について」の御説明をさせていただきたいと思います。13ページは、昨年の年末に取りまとめていただきました中間とりまとめにおける問題、課題の記載ぶりについて書かれたところでございます。この中の「3.今後の対応の方向性」にございますように、特定臨床研究に関与している企業における業界自主ガイドラインの普及を促進するとともに、情報提供関連費及び接遇費を情報公表範囲に追加すべきかにつきましては、当該費用提供が臨床研究の不正につながる蓋然性やさらなる法規制を行う必要性について引き続き検討を行うべきという形になったところでございます。
14ページを御覧ください。この中間とりまとめも踏まえまして、今後の対応の方向性(案)として事務局でまとめたものが14ページでございます。まず、最初の○のところでそもそもとしての法制定当初の考え方について記載をさせていただいておりますけれども、この情報提供関連費あるいは接遇費というのは、既に公表になっております研究資金あるいは寄附金等とは異なりまして、医師あるいは医療機関等に対して直接的に支払われるものではなくて、臨床研究の費用として充てられることは通常想定されないということが考えられましたので、臨床研究の不正につながる蓋然性は低いということで、情報公表の対象としないという整理になっていたところでございます。
これに対しまして、この法制定当時の国会審議においては、これらの費用を公表対象外とすることによるいわゆる費目の付け替えの可能性というものが指摘されまして、その当時の附帯決議の中で、学問の自由に配慮しつつ、臨床研究の一層の信頼確保を図るため、研究資金等の提供に関する情報等の公表制度の実施状況を踏まえながら、この法律の公表の対象外とされておりますこの2つの費目について、公表の対象とすることについて検討することが求められているという状況でございます。
今般5年後の見直しの検討をするにあたりまして、まずは製薬協会員企業の透明性ガイドラインに基づく資金提供の公開状況を拝見しましたところ、法施行後にこれらの2つの費用の割合が急増するといった状況は見られておりませんが、ただ、一方で、これはガイドラインに基づく自主的な公開であるということもあって、特定臨床研究に関与している全ての企業が公開を行っているものではないということでございましたので、国会の附帯決議で求められております費目の付け替えが行われている可能性の有無については、完全に確認できる状態にはない企業が存在するということでございます。
このため、今後の方向性でございますけれども、今般の附帯決議における問題意識を踏まえまして、特定臨床研究に関与する企業につきましては、さらなる透明性の確保を図るという観点から、この2つの費目について公表して、費目の付け替えが行われている可能性の有無を確認できる状態とするよう、今般法令で義務づけることとしてはどうかと考えております。
その際、公表する範囲ということにつきましては、もともと費用の性質上、それ自体が臨床研究の不正につながる蓋然性は低いということが考えられる中でございますので、企業の実務負担も考慮いたしまして、企業における年間総額のみを公表対象とすることとしてはどうかと事務局としては考えているところでございます。
15ページは既に個別に公表対象となっておりますA、B、C、研究資金とか寄附金、原稿執筆料等々についての具体例について御参考までに書かせていただいておりますのと、今般まさに課題になっておりますD、E、情報提供関連費、接遇費の部分についての具体例ということで書かせていただいているところでございます。先ほども申し上げましたように、今般D、Eについては公表対象に加えることを考えているところでございますけれども、ただ、年間の総額を公表するという形にしてはどうかという御提案でございます。
簡単でございますが、御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
時間の関係等がありまして、「研究資金等の提供に関する情報公表の範囲について」をまず御議論いただきたいと思っております。
ただいまの御説明につきまして御質問等ございましたら、お願いしたいと思います。日本医師会、渡辺委員、それから増田委員、山口委員でお願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。
今の事務局の提案に対して賛成いたします。品目の付け替えということもあるかもしれませんし、接遇された場合、結果にバイアスがかかるということは否めないと思います。だから、どの程度の情報提供関連費が出たかということと接遇費がどの程度支出されたかということは公表されるべきだと思います。
また、できれば法令で義務づけられるということも賛同いたします。
それから、総額のみというのでも構わないのですが、できれば支出した回数は記載していただきたいなと思います。1回でも非常に高額なのか、それともそうでないのかということぐらいは分かったほうがいいのではないかなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、増田委員、お願いいたします。
○増田委員 医機連の増田です。
この資金の提供に関して医機連のほうからお話をさせていただきます。まず、企業の資金提供に関する透明性を確保するという方向性については賛同いたします。一方で、法令で義務づけるということになると、十分な確認が必要だと考えております。まず、付け替えにつきましては、企業の立場では、企業会計の適正な運用に基づくと、通常想定できない事項と理解しております。なぜなら、資料にも書かれていますように、DとEの部分に関しては医療機関以外に支払う項目となっております。ですので、臨床研究には直接ひもづかない費用になるためです。こういう付け替えの会計基準、そういうもので運用しているものに関して、臨床研究法で規制するという方向性が果たして適切なのかどうかという点に関しては、再確認も必要ではないかと考えております。
その上で、今回の案では臨床研究法の第33条で規定する特定臨床研究に資金提供した企業だけが対応する義務を負うことになると理解しておりますが、医療機器については資金提供した年と提供しない年というのがある。こういう企業も非常にたくさんあります。このような場合、特定臨床研究に資金提供した年だけについて情報公開の義務が発生するという理解でよろしいのでしょうか。
また、公開のタイミングですけれども、施行規則の91条で、今、別途我々のほうでは透明性ガイドラインというのを持っていまして、特定臨床研究に資金提供した事業年度終了後1年以内、A、B、Cと同じタイミングで公開するという理解でよろしいのでしょうか。
こういうことがありますので、いろいろな企業活動の実態を踏まえた上で規制の在り方を決めていくことが非常に重要だと思っています。基本的に資金提供に関して透明性を確保していくということについては、我々のほうも賛同はしていますが、方法論についてはいろいろ議論、検討する必要があるのかなとは思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。COMLの山口でございます。
私も方向性については賛成ですけれども、1点確認させていただきたいのが、資料の「今後の対応の方向性(案)」の5つ○がある中の3つ目のところで、業界のガイドラインに基づく自主的な公開をされていて、それが全てではないので、付け替えが行われている可能性の有無を確認できる状態にない企業が存在すると書いてあるのですが、業界のガイドラインに基づく自主的な公開の場合は付け替えがないということの確認ができると解釈していいのかどうか、確認させていただきたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、質問3件に対しまして、事務局のほうからお願いいたします。
○医政局経済課長 経済課長でございます。御指摘ありがとうございます。
まず、渡辺委員のほうから御指摘がございました回数もというところについては、企業側のほうからもございましたけれども、実際どういった形で企業側のほうで計上されているかという実態も踏まえまして、具体的にどういう形で公表するかということにつきましては、これは省令事項でございますが、よくよく企業のほうとも相談しながらきちんと決めていきたいと考えております。大きな方向性としてまず総額で公表するということについては、本日御提案させていただいたとおりでございますけれども、増田委員からの御質問とも関係するところでございますが、具体的にどういった形でとか、どういった範囲についてというところは、さらに企業側の実態も踏まえまして、よくよくそこは見極めていきたいと考えているところでございます。
それから、増田委員のお話についてでございますが、これは臨床研究法に基づく公表義務ということでございますので、そういう意味でいくと、当然のことながら特定臨床研究に対しまして資金提供しているその年とか企業についてのみ今回対象になってくるであろうと考えているというのが1点目でございます。
その上で、先ほどの発言の繰り返しになりますが、具体的にどういった形でというところにつきましては、引き続き具体的な実態を踏まえまして、企業のほうとも相談しながら考えていきたいと思っているところでございます。
最後に山口委員のほうからございました、我々の資料の中の3つ目のところで、実際に自主的なガイドラインで公表がされている企業については、いわゆる費目の付け替えということが行われていることが確認できるのかどうか、そういう御質問であったと理解しております。
まず、1年限りの公開だけでは付け替えが行われているかどうかというところについて確認することは難しいのではないかというのが正直なところでございます。いずれにしても100%付け替えが行われているかどうかと確認するのは絶対無理だと思っているのですけれども、ただ、経年で見ていったときに、明らかにこれまでとは違う傾向で費用が大きくなっているといったような、言ってみれば完全に付け替えが行われているかどうかということではありませんが、その可能性の端緒を一定程度つかむことはできるのではないかと思ってございまして、もちろん100%ではないところであると思いますけれども、まずはそういった端緒をつかむという観点から、今回総額について公表してはどうかと考えているというものでございます。御質問に対する御回答としては以上でございます。
○楠岡部会長 ただいまの御回答に関しまして、何か追加の御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、藤原委員、引き続きまして近藤委員から御質問をお願いいたします。
○藤原委員 ありがとうございます。藤原です。
18ページの表の中で原稿執筆とか情報提供関連費の具体例のところで、どういうふうに経済課さんあるいは業界さんが思われているのかなというのをお聞きしたいのですが、昔よく経験したのは、商業系の学術雑誌がたくさんありますけれども、その全体を企業さんが買い取る形で、執筆料等は出版社から出ますが、何月号の雑誌を見ると、実際は表も裏も中も全部ある製品の広告ばかりで、中に書いてある総説原稿等も割とその商品を宣伝するきらいがある特集がよく組まれていたと思うのですけれども、原稿執筆料・講演料のところに「自社製品のリーフレット等の作成における原稿執筆料」とかが書いてあるのですが、そういう商業雑誌の特集号にたくさん書いた原稿についてはどう考えているのか。情報提供関連費も「医学・薬学図書」と書いてありますけれども、これは雑誌が入っていないのですが、こういう学術雑誌。多分マネーロンダリングをしているのだと思うのですけれども、こういう出版社に対してお金を支払っている企業のお金はどういうふうに把握されているのか、それを今後どういうふうに考えていくのかというのを教えていただきたいのですが。
○楠岡部会長 近藤委員、先に御質問いただいて、まとめて回答させていただきたいと思います。近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。
今の藤原委員の御質問にも若干関与するところかと思うのですが、資料の中で製薬協の情報について触れられておりましたので、共有させていただければと思います。2014年度から製薬協のほうではガイドラインに基づいて公表を進めさせていただいているのですけれども、D項目はその当時は全体の34.3%。それが2020年度では28.3%まで総額の割合としては減少しております。また、E項目に関しましては、2014年度では1.4%だったものが0.4%。額としましても減少しているのですが、割合としても減少しているということで、付け替えが行われているというところは考えられない。また、企業会計上、付け替えというのは通常あり得ないと考えております。
また、藤原委員のほうからもありましたけれども、雑誌等原稿執筆料というのは、当然ながらC項目に入りますので、個別開示という形になりますし、また、購入するというところは、総額で考えますと非常に減っているというのが現実としてございます。
また、先ほど渡辺委員のほうから回数という形で御提案があったかと思うのですけれども、例えばD項目で講演会を実施するという形になりますと、規模とか回数を入れることによってミスリードする可能性があると私どもとしては考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、御回答をお願いします。
○医政局経済課長 ありがとうございます。
今、近藤委員のほうから実態についてのお話もございましたが、まず藤原委員のほうから御指摘がございました、主としてC項目、執筆料等々について、直接的にお支払いをされるものについては当然公表の対象になっているということでございますが、藤原委員の問題意識は、そもそもとして学術雑誌そのものを買い取る形で、間接的な形かもしれませんが、実際にそこの出版社に対する費用の中に含まれているものがあるのではないかという御指摘だったと思います。
これにつきましては、私どものほうでも具体的にどういった実態があるのかというところについて、きちんと把握ができていないというところがございますので、先ほど近藤委員のほうから御発言がございましたが、実態がどうなのかということについては、まさに御懸念のようなことが起こっていないのかどうか、その蓋然性について我々行政のほうとしても1回きちんと把握をさせていただきたいと考えてございます。
それから、近藤委員のほうからございましたお話は御質問というよりは御指摘だったと思いますけれども、経年で実際に情報提供関連費とか接遇費等について、実際それがどういう金額なり割合で推移しているかという点について御説明がございましたが、確かに御指摘があったところは事実であると我々も認識してございますが、1点留意しなければいけないなと思っておりますのは、特にこの1~2年間はコロナの影響もあって結果的にこの金額なり割合が減っているということもあるのではないかと思っておりますので、ここについてはコロナが実際収まった後の状況もきちんと見ていく必要があるのではないかと思っているところでございます。
その点につきましても、今般、法律に基づきまして公表対象として、さらに自主的ガイドラインでは公表していなかった企業も含めて公表していただくことで、全体としてどういった傾向にあるのかということについては、よくよく我々のほうでも見ていきたいと思ってございますし、さらにその結果として、個々の企業ごとに何らかのイレギュラーな動きが見えた場合には、それはもう少し深掘りをした上で、詳細についてまさに国会で指摘されている付け替えみたいなことは、確かに企業会計上はなかなか難しいということについてはそのとおりだと思うのですけれども、実際本当に起こっていないのかどうかということについては、透明性を高める観点から我々としてもしっかりと見ていく端緒にはさせていただきたいと考えているところでございます。以上でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
藤原委員、近藤委員、よろしいでしょうか。
○藤原委員 はい。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかに御質問はございますか。
もしないようでしたら、この情報公表の範囲につきましては、事務局からの提案のように、情報提供関連費・接遇費を公表し、これは企業における年間総額という形での公表ということで、詳細、細かい点に関しましては、先ほど増田委員から御質問がありましたように、この辺りは詰めていただいて最終的なものにしていただくということで、部会としても了承ということでよろしゅうございますか。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、このような形で進めていただくようお願いいたします。最初に戻りまして、お願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料の中央下のページで6ページから御覧ください。「いわゆる観察研究に関する臨床研究法の適用範囲について」の論点でございます。まず、6ページは中間とりまとめの内容を抜粋して記載しています。
「3.今後の対応の方向性」について御説明をさせていただきますが、1つ目の○として「国際整合性にも配慮しつつ、観察研究の定義と取扱いについて引き続き検討を進めるべきである」。2つ目の○として「侵襲が大きい等、研究対象者の身体又は精神に負担が大きい研究以外は、臨床研究の定義から除外することとすべきである」。3つ目の○として「『侵襲が大きい等』の検査の内容については、具体的に例示することで、法への該当性に係る判断の基準やその根拠を明確に示すべきである」という方向性の御意見をいただいておりました。
これを踏まえて、事務局のほうで取扱いの案を作成いたしましたので、7ページを御覧いただければと思います。まず、従来と見直し後の対象範囲に関しての概念図でございます。従来の図は、何回かお示ししてきたところでございますけれども、左の1番、あらかじめ作成した計画に沿って医薬品等を使用する、いわゆる厳密な意味での介入研究については、明確に法の対象である。一方で、3番の個々の患者の病状に応じて適切な医療を実施した上で、通常の診療に必要な検査のみを行っている。これも狭義での観察研究ということになるかと思いますが、これについては明確に対象外ということで、この間にある2番、治療そのものは患者にとっての適切な医療を実施したものの、研究の目的で追加の検査が行われる、そういったものの取扱いが問題になっておりました。
現行は、ピンクで着色しているところにございますように、患者への傷害・負担が小さい研究目的の検査を行う場合については対象外ということで、これはQ&A、事務連絡の形でお示ししておりましたが、不明確、またQ&Aということで分かりにくいということもございました。
これまでの御議論を踏まえまして、矢印下、見直し後になりますけれども、2番の部分について、言い方の逆転ということになるかもしれませんが、通常の医療に比べて患者の傷害・負担が大きい研究目的の検査を追加して行う場合は対象である。それ以外は対象外としてはどうかと考えております。
続きまして、8ページを御覧ください。こちらにつきましては国際整合性に関する御指摘をいただいておりましたところ、今年度、臨床研究法の見直しに関係する特別研究班を設定しておりまして、そちらのほうで海外における観察研究の取扱いについて調査いただきましたので、その結果の概要について少しお示しをさせていただきたいと思います。
まず、アメリカでございますけれども、日常診療どおりに医薬品が用いられる非介入研究は、臨床試験の法律の対象外とされております。
一方、EUにおける規則になりますが、非介入研究には適用されないとなっていますが、ただし、この介入の定義には、医薬品の投与の段階だけではなくて、日常診療を超える診断あるいはモニタリングの上乗せといった点も含まれるということになりますので、その部分が日本で言うところの投与後の観察に相当するところかと思います。
ただし、こうした診断やモニタリングの部分の介入については、多くは低介入ということで、患者さんの負担が少ないものということになるかと思いますが、これは法律の中でモニタリングや管理、必要文書の内容などを含めて規制が大幅に緩和されるとなっております。
また、イギリスについてもEUと同じような形となっているということで、EUの2014年に発効された規則ということになりますけれども、日本で考えているものとかなり近い取扱いになっていると考えております。
その上で、9ページを御覧ください。先ほど表でお示ししたものの概念をベン図の形で整理をさせていただきました。今後の整理の案ということになりますが、被験者保護、あるいはEU、英国との整合性なども踏まえながら、診療目的による医薬品の使用等であっても、検査等の段階で介入を行う研究のうち、通常の医療と大きく乖離して、侵襲性が高い検査を行うなど研究対象者への負担が大きい研究は、法の対象に含むことを明確化してはどうかという御提案をさせていただきます。
このベン図で申し上げると、全体が医薬品などの有効性・安全性を明らかにする目的で医薬品の投与などが行われるものになりますけれども、左側の緑色の楕円が「治療等の段階で介入を行う研究」ということで、いわゆる狭義の介入研究となると思います。それと少し交わる形で「検査の段階で介入を行う研究」と書かせていただきました。それ以外の部分は、先ほど表で示した3の部分、純粋な通常の医療を行い、通常の検査をする観察研究とお考えいただければいいと思います。
大きな楕円の中の少し濃い青の「検査等の段階で介入を行う研究」というのも幾つかグレーディングがあって、その検査の中身が負担の大きさ等でグレーディングが変わってくるということになります。
濃い緑色で枠囲いをしておりますように、この検査の段階で介入を行う研究の中でも、「通常の医療と乖離し、かつ侵襲性が高い検査を行うなど研究対象者への負担が大きい研究」の部分を法律の対象にしてはどうかということになります。
ここでポイントとなりますのは、これまで事務局の説明としては、単に侵襲が大きいか小さいかということだけを申し上げてきましたが、実際は様々な治療の内容によって、それぞれ対応する通常の検査が変わってきます。必要があれば負担の高い検査でも通常の診療の中で行われるということがありますから、その治療を行ったときに通常実施される検査というものを考えて、それに対して乖離をしている、かつ侵襲が大きいなど負担が大きい。この2つの視点で考えていくことが必要ではないかと考えております。
その上で、10ページを御覧ください。今後の見直しの中では具体的にどういうものが、侵襲が大きい、あるいは通常の医療と乖離すると。先ほどの三日月の部分になりますが、そういった検査になるのかということで、これはあくまで例示ということで、これで全てということではないのですけれども、これも今年度CRBなどの対応に係る特別研究班を設定いたしましたので、そこで調査していただいたものを一部加えた形で事案の整理をさせていただきました。
この事案については、観察研究について負担の大きい検査があったものという形でアンケートを取っておりますので、実際には臨床研究法のみならず、指針の研究も入っておりまして、CRBのみならず、IRBからも回答を頂戴しているというものになります。これに一部事務局のほうで想定されるものを付け加えた形で整理をさせていただきました。
この全体になりますけれども、研究目的の検査が通常の医療で実施される検査に比べて乖離をしないということであれば、これは通常の観察研究ということで範囲外になりますし、乖離をする場合、このグレーディングが問題になると考えております。先ほど申し上げましたように、研究班からいただいた例を少し整理してここに並べさせていただきました。事例になりますが、事務局の気持ちとしては、上から比較的侵襲が少ないもの、あるいは侵襲のないものから侵襲の大きいものと並べているつもりではありますけれども、厳密にどちらが上、下というというところがなかなか決めがたいところもありますので、あえてその点は書いておりません。
そういった中で、例えば全く侵襲がないという形のもので言うと、見守りシステム。これは医薬品医療機器に該当するかどうかというところもあるのかもしれませんが、その人が生きて動いているという辺りを外からのセンサー、体につけることのないセンサーのようなもので見るといった観察。それから嗅覚検査や超音波検査。それから少し侵襲が出てくるものとして採血。採血については頻度、採血量など、一言「採血」と言っても様々な議論があろうかと思います。また、ここに出てくる検査、新しく検査をする場合もあれば、通常実施している検査の頻度なり強度、回数などが増えてくる、そういった視点があると思いますので、その辺りも踏まえながら基準を作成していく必要があると思います。
次に内視鏡検査。その後は実際に負荷をかける部分があって、心筋シンチグラム。それから入院を伴う検査。これは例えば1日かけて心電図の観察をするとか、そういったものも含まれるかと思います。それから放射線被曝のあるPET、CT検査。造影剤を投与しての画像検査。骨生検、骨穿刺、内視鏡による粘膜生検ということで、これは実際に組織を取ってくるというものかと思います。この中で今後どういう形で侵襲の高い検査として例示をしていくのか。あくまでそれは通常の医療では行わない検査として行う場合ということになりますが、この辺りについては本日御議論をお願いするとともに、引き続き例示の追加などについては部会にお諮りをしていきたいと考えております。
続けて、医療機器のほうの論点についても御説明をさせていただきます。12ページを御覧ください。「医療機器に関する臨床研究の対象範囲について」ということで、これまで御議論をいただいておりました。少し間が空きましたので、現状と課題のほうから御説明をさせていただきます。医療機器は非常に多種多様なものがあって、一部非侵襲・低侵襲なものも存在して、これまで法律で規制をするのは過剰ではないか。2つ目の丸にありますように、薬機法側ではそのリスクに応じたクラス分類に基づく規制がありますので、そういったものと整合を取った形での規制をするべきではないかという御意見がありました。
一方、3つ目の○にあるとおり、薬機法上のリスク分類については、あくまで承認をされた目的、使用法の範囲で私用された元でのリスク分類ということになりますので、これが同じ機器であっても異なる目的で異なる使い方をしたときに、必ずしも同じリスク分類に分類されるとは言えないという指摘もありました。
4つ目の○になりますが、既存の製品の改善・改良ということがよく行われているものなので、その辺りを全部未承認又は適応外医療機器とするのは過大ではないか。また、工学系研究者への周知が不十分ではないかという指摘がございました。
また、国際整合性についても御議論があったところです。
今後の対応の方向性ということで、2つ目の○になりますが、実際に現場でどのような課題があるのかを具体的に調査した上で、それを基に御議論をお願いしてはどうかと提案をさせていただいておりました。
13ページを御覧ください。現在継続中のものですが、令和3年度の厚生労働科学特別研究として、日本生体医工学会の黒田先生にお願いしまして、生体医工学会、それを含む関連学会、それから医機連にアンケート調査を実施させていただきました。
四角の研究内容のところにある工学系研究者1,300人程度、企業4,000社程度というのは、それぞれの組織の構成人数を示しておりますので、実際には広く薄くアンケートの存在について周知はしましたけれども、あくまでインターネットで入力をしていただくという形で、調査票をそれぞれに送ったりはしていませんので、そういった意味ではどれぐらい認知をしたのかというところについては未知なものがございますが、再打数としては、こういったところを対象にアンケートをお願いしたということになります。
調査方法としてはインターネットによるアンケート調査ということで、調査期間としては11月の1か月間としました。
調査項目でございますが、研究や取組の中で臨床研究への該当性に迷ったものについて、そのタイトル、機器の名前、実際どういう効果を目的としていたのか、想定されるクラス分類とか研究の内容、それから実際に下した判断とか、あるいは外に相談をした場合の結果などを調査しました。
14ページに結果の概要をまとめております。回答件数としては45件ございましたが、実際には臨床研究法一般へのコメントなども含まれておりまして、個別の事例をお示しいただいたのは35件ということでした。企業、大学、研究機関、医療機関からお答えをいただいているということで、クラス分類も分散しておりましたけれども、必ずしも医療機器に該当しないような事例も回答例として挙がってきました。
個別の事例につきましては、それぞれの研究の秘密もございますので、概要を御紹介させていただきたいと思います。まず、結果の概要の1つ目の○にございますとおり、臨床研究法の対象外の研究の報告を多くいただきました。例えば介護や心理学など、医療機器に該当しないようなものを試すことについても該当性に迷われているということが分かりました。
2つ目にあるように、臨床研究法の対象外であるということが外のコンサルテーションでも明確な判断が得られずに、その点に非常に時間がかかったり、あるいは研究法に当たるおそれがあるということで研究自体を諦めたという事例もございました。
3つ目については、先ほど申し上げたとおり、クラス分類は様々でございました。
4つ目にございますように、IRBとかCRBに相談した例も幾つかあったのですけれども、該当性判断にばらつきがあって、判断が正確につかないまま慎重に判断をされた結果、法律に該当しますという結論になった例もありました。
5つ目ですが、これは医療機器にかかわらずということになりますけれども、事務的・金銭的負担が大きい。特定臨床研究に当たってしまうと負担が大きいという御意見を頂戴しております。
先ほど申し上げましたように、研究班は、継続しておりますので、詳細のヒアリングを含めて今後提案が出てくると思いますが、現時点における議論ということで、まず1つはIRBやCRBが医療機器に精通していないことが多い。医療機器と一口に言ってもいろいろなものがありますので、全てのIRB、CRBがそれぞれの医療機器に精通する専門員がおられて、的確な判断ができるという状態にはとてもなっていないということで、そういった結果、臨床研究法への該当・非該当を含めて適切な判断がなされていないことがあるという点が問題とされました。
また、外から見ると該当しないということが明らかであっても、その判断がつかないということで研究を諦めてしまったという例が比較的多く寄せられたということがありまして、研究班としては、そういったものの中から該当しないことをうまく取り出した事例集をつくれないかということで、今、検討を進めていただいております。
本来であれば、IRB、CRBが判断をできればいいのですけれども、日本に数多くあるIRB、CRB全てが多種多様な医療機器に対して該当性を判断できるような体制を整えるというのは、あまり現実的ではありませんので、そういった該当性に係る公的な関与のある相談窓口の設置をしてはどうかという御提案をいただきました。
15ページを御覧ください。このような状況の中で、今後の対応の方向性に関する事務局からの御提案となります。最初に、中間とりまとめの段階で様々御検討いただいた内容のうち、医療機器にも適用ができる、あるいは今、来ている医療機器の課題に一部対応が可能な事項について御紹介をさせていただきます。
まず、適応外使用に関する特定臨床研究の対象範囲についてです。医薬品を主に念頭に置きながら制度としては考えてきたところがあったかもしれませんけれども、医療機器についても、目的外、承認をされた以外の使い方で使ってみるといった研究について、各種の情報に基づき承認とリスクが変わらないものについては、審議会の下に委員会を設けて、根拠に基づいて判断することとします
また、アンケートにおける研究デザインを拝見すると、かなり観察研究に近いようなものが数多くありました。これについては、観察研究について、法律から除外されるもの、入るものの定義を明確化することによってより判断がしやすくなると考えております。
更に、認定臨床研究審査委員会の質の向上に関して、特に優良CRBへの国からの支援という点についても御提案をいただいたところですが、医療機器に特化して必要な専門員を集めて適切に実施する。全国の医療機器の審査を一手に担っていただけるようなCRBがもしあるとすれば、それは必要性の高いものとして例えば支援するということも考えられるのではないかと考えております。
医療機器特有の取組ということになりますが、1つは、今、研究班のほうで該当しないものの事例集を作成していただいております。今後定期的にそういったものを公表していってはどうかということがございます。
2つ目、特に工学部を中心に、そういった法律があるのだけれども、どういう部分が当たるのかということについての情報が届いていないということが明らかになってまいりました。今回特別研究をお願いした関係学会の御協力を得て、工学部に限らないと思いますが、関係する研究をされる先生方にQ&Aやとか事例集を含めて臨床研究法の内容について周知するような取組を進めてまいりたいと思います。
それから、先ほどもあった該当性に関する相談窓口、公的な支援をしての設置ということについても検討させていただいてはどうかと考えております。
医療機器については多種多様なものがあって、クリアカットな解決にはなっていないのですが、状況を踏まえて、まずはこういったところから手をつけさせていただければと考えております。事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、まず観察研究の部分に関しまして御議論いただきたいと思います。御意見等ありましたら手挙げをお願いいたします。それでは、花井委員、北海道大学の佐藤委員、そしてがん東の佐藤委員の順でお願いいたします。
花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
この対象になるか否かは今度のポジティブリストというか、具体的にこういうものが対象になるということが明確になることはよろしいのではないかと思います。
問題なのは、結局、ネガティブだろうがポジティブだろうが、グレーゾーンというのが存在していて、そこをどう考えるかというところで難しさがあったのかなと思いますけれども、今回具体的にスライドの7番で例示して、「乖離する場合」ということで書いていただいているのですが、具体的な項目としては、造影剤を使わないMRIとかはどうなのかなと。侵襲性というところにこだわると、MRIというのはうるさいとか、患者にとって負担感が大きい検査だと思うのですけれども、造影剤を使わなかったら、身体的に後から何かあるかということはないけれども、あの検査を受けるということはかなり負担感があるわけです。それをどう考えるのかというのが1つ疑問としてありました。
また、採血を挙げていただいていて、採血ぐらいはいいのかなと思っている。もちろん、動脈血とかいったら話が違いますけれども、いわゆる静脈採血であれば、よっぽど大量でなければいいかなというところで、「考慮が必要」と書いていただいているところも一応論点としていただいているところで、賛同いたします。
ただ、申し上げておきたいのは、結局、この法ができた経緯です。大分議論があったと思うのですが、患者もいい臨床研究には参加したい、もしくは参加する権利というか、したいわけです。ところが、この法ができる前に、多くの患者が協力してまでするような研究でない研究に動員されると。患者はよく分からないけれども同意してしまったということがないようにというので、これは法によって統制するしかないということが経緯としてあったと思うのです。だから、その意味において、国際基準というか、アメリカ型で、これは観察が全部要らないのだったら、侵襲性とか患者のダメージという点に着目すればそういう整理になると思うのですけれども、そうでなくて、臨床研究に参加する患者の主体性とかデシジョンメークについてちゃんとできる体制が求められるので、一定程度のものは法で統制する必要があると理解しています。特に観察研究だよねというところにガイドラインをきっちりと遵守しないということが起きやすいところでもあるので、そこはそういう観点から御理解いただきたいなと思っています。
追加ですけれども、特定臨床研究か否か、あるいは法の対象になるか否かという議論のときにいつも出るのは、法の対象あるいは特定になることによって研究自体を断念することになると。一般のクリニカルドクターがせっかく臨床の中でいいリサーチクエスチョンを研究したいと思って、患者のためを考えたものが足を引っ張るということがないようにというのが皆さんの共通した見解だと思うのです。その点について、そういう研究を支援するということを国は言っているのですが、やはりそういうのが足りないのではないか。その支援がちゃんとできれば、法に規制された体制でそういう研究もどんどんできる。そこと両輪というところもありますので、事務局におかれましては、そういう素朴なというか、現場に即したクリニカルドクターたちが構想するリサーチクエスチョンをやりやすいようにする支援を、これを機にもう一度考えていただきたいということです。以上です。
○楠岡部会長 それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 北大の佐藤です。よろしくお願いします。
検査のことですけれども、従来からそうですが、侵襲度に応じて取扱いが変わるということに関しては全く問題ないといいますか、当然のことと考えております。
今回、このベン図ですけれども、分かりやすくしようと思っていろいろ工夫されたのだと思うのですが、逆に少し分かりにくくなったりするところがありまして、言葉の定義、意味するところを一つ一つ確認していく。最終的には例示になるかもしれませんけれども、そこら辺をちょっと確認したいなと思っています。
1つは、今回通常の医療との乖離という言葉が出てきまして、「乖離」という言葉は、工夫されたのかもしれませんが、またちょっと分かりにくいところがあります。先ほど事務局の説明では、当該臨床研究を行うような治療において、行わないようなことを乖離というふうに説明されていたように聞こえたのですけれども、私の聞き違いかもしれませんが、本当にそうなのかどうかということです。例えばがんの治療をやっていればCTとか画像を撮るわけですけれども、回数が増えることは乖離に入らないのかどうかです。日常の診療と違うということ、回数が増えるということは当然含まれていたと今まで考えていたのですが、改めて今回「乖離」というものを出してきて、先ほどの事務局の説明では、あれ、そこはどうなのかなと思ったので、通常の診療でするけれども、検査目的で増えることを「乖離」と言うのかどうかということも教えていただきたいというのが1点目です。
2点目は、「介入」という言葉は、法では定義されておりませんけれども、今回の議論の中では出てきて、分かりやすさも含めて出していただいたのかもしれませんが、今回検査等の日常で行わないことも「介入」と言うのだと。そういう定義だという理解でよろしいでしょうか。臨床研究の業界、臨床試験の業界ではこの辺の「介入」の定義というのは議論のあるところだと思うのですけれども、例えば日常診療にやらないものを全部「介入」と言うのかどうか、そういうことを事務局さんのほうで定義しているのかということを確認させていただきたいということが2点目です。
全体の構成としては、EUの制度を日本風にアレンジして導入しようとされているのだと理解したのですが、それはそれでよろしいかなという気持ちもありますけれども、EUのほうでは低介入臨床試験というのはしっかり定義をして、これは介入に入るけれども、リスクの低いものは手続が違いますのでもちろん書いていますが、このベン図で言うところのEUで言う低介入臨床試験というのが「検査等の段階で介入を行う研究」のところに入り、その中でリスクが低いものは少し濃い青になったところに含まれるという理解でよろしいのかということです。
あと、言葉のことついていつも文句ばかりで恐縮ですけれども、緑が臨床研究だったら、それ以外は観察研究ですね。法上、観察研究は臨床研究でないとなってしまっているのですが、青い濃いところは臨床研究でもない、観察研究でもない。これは何と呼ぶのですかという素朴な疑問です。我々がふだん使っていて取り寄せるとき、これこれこういう研究はという名前で呼ばないと、いろいろそごが生じたりしてくるのですが、いろいろ工夫されているのは分かるのですけれども、言葉が余計分からなくなってしまうというところがございまして、確認の意味で質問させていただきました。私からは以上です。
○楠岡部会長 それでは、がん東の佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤(暁)委員 東病院の佐藤です。
私のほうからもここの適用の範囲のことについて御質問をさせていただければと思います。一番外側に「医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする目的で医薬品等を投与又は使用する研究」が対象で、その中で検査の段階で介入を行う研究と理解しました。なぜかというと、バイオマーカーを取って調べるところに介入が入る研究は、これには従来どおり含まれないという理解でいいのかどうかといったところを確認させていただきたいと思います。
あとは、バイオマーカーの場合、有効性又は安全性を明らかにする目的で医薬品を投与又は使用する研究となると、どこまでをそういうふうに含まれていると判断するのかというのを教えていただきたい。例えば何かプロトコルで通常診療をやって、その後にバイオマーカーを調べる。それが侵襲に当たるというのであれば、対象というのは理解できるのですけれども、そういった場合、例えばプロトコルにはその介入の研究は含まないで、そういった人を対象にして、後でそういうバイオマーカーを取るといった研究。やっていることは一緒なのですけれども、そうすると、範囲外になるという理解になるのかどうかというところが、どこで医薬品等を投与又は使用する研究という区分がプロトコルに含まれているか、定義されているか、定義されていないかというところで切ることになるのかどうかといったところを明確にしていただきたい。
ほかの委員からも御質問がありましたけれども、「通常の医療と乖離し」というところがかなり難しい判断になるかなと思いますので、例示、もしくはそういうのもしていただくことになるのかとは思うのですが、最終的にどこがどういうふうに基準を定めて、どこが判断するのかというところを明確というか、体制としてはしていただいたほうがいいのかなと。我々もすごく迷うところでして、例えば生検検体を3つ取るところを4つ取って、1個を検査に回したらそれは侵襲なのかとか、逆に回数が増えなくても大きく取ったら侵襲なのかとか、迷うところがすごくいっぱいあるので、そこに関してはどこで判断して基準を。できればどこのCRBでも同じように判断できるようにしていただければなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、藤原委員、山口委員、日本医師会の渡辺委員、順番にお願いします。
まずは藤原委員からお願いいたします。
○藤原委員 今回このベン図を苦労してつくられたと思うのですけれども、将来的にこのベン図がどういうふうに使われるのか。ひとり歩きして、またこれでこの解釈になるのか。私もこれをぱっと見て頭にすっと入ってこないので、どう使うのかというのが非常に難しいなと思っています。むしろ7ページの下にある「見直し後の臨床研究法の対象範囲」の表のほうが腹落ちしやすくて。今回、真ん中の「検査等」については「傷害・負担が大きい」と。これまでは小さい研究をネガティブリストにしていますけれども、大きい研究を対象としますと書いたほうが分かりやすいなと思って。これに入っていなかったらネガティブなので、分かりやすいなと思って、これを活用していったほうが法律改正後はいいのかなという感じはしています。さらに、この表で言えば左側の「医薬品等の使用」の欄の2番目と3番目。これは全く同じタイトルになっているのですが、改正研究臨床法とか施行規則の改正時にはまたこれが出てくると思うので、例えば2番のほうは括弧して「研究計画があるもの」とか、3番のほうは括弧して「研究計画はなくて、診療として行われるもの」とか、こういうふうに付記していただくと、倫理審査委員会とか厚生局とか、いろんな人たちにこれからこれを説明していくときに説明しやすいのかなと思いました。
以上でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
私も同じように7ページのところは割と分かったのですが、その後、ページを重ねるごとにちょっと難しくなっていって、判断が難しいなと思いながら拝見していました。
まず、先ほど佐藤委員からも「乖離」という言葉が指摘されていましたけれども、一般的に「乖離する」と言うと、かなり外れたイメージがあって、でも、今、御説明をお聞きしていると、研究目的の検査が通常の診療に加えて行われる場合ぐらいのレベルなのかと思いました。そのため、「乖離する」という言葉を使うことで非常にグレーゾーンに入っているところがCRBによって判断が異なってくるのではないかと感じます。あるいは研究者がこれは観察研究なのか、介入なのかということを判断するときに結構違いが出てきてしまうのをどうするのかなということを感じながらお聞きしていました。
もう一つは、研究対象者によって負担感の違うものがあると思うのです。先ほど花井委員が造影のないMRIの話をされたのですが、確かに一般的には被曝もないし、負担がないということですけれども、閉所恐怖症の人にとっては物すごく大きな負担です。こういった個人差があるものについてはどこで判断するのか。採血一つとっても、なかなか血管が出ない方というのは採血が非常に負担になることもありますし、その辺りの個人差についてどのように考えていらっしゃるのかということを事務局にお伺いしたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 今までの委員のお二方と同じようなことですけれども、まず7ページに関しましては、私側から見ると、そう変わらないような気がするのです。花井先生がおっしゃったようにグレーゾーンが残ってしまうということなのですが、実際に研究をされる方がポジティブリストのほうが分かりやすいということであれば、それがいいかなと思っていたら、藤原委員がこちらのほうが分かりやすいとおっしゃったので、研究者の方が見直しのリストを希望されるのであれば、こちらでいいかなと思います。ただ、ふっと見て意味があまり変わらないのではないかという印象です。
10ページにあります「負担が大きい」というところで、負担というのは何に対してか。先ほどの山口委員のお話もそうですけれども、精神的なものなのか、肉体的なものなのかということの意味づけがちょっと分かりにくい。臨床的にインベーシブ、ノンインベーシブで分けると、超音波はノンインベーシブで、採血はインベーシブな検査と普通は分けます。だから、この場合に「負担」という意味は何に対してどういうものを負担とするか。「負担」の定義を明確にしないと、下の項目というのが定まりにくくなるのではないかなと思います。以上でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、新谷委員、お願いいたします。
○新谷委員 先ほど多くの委員から指摘があった点と重なるかと思いますけれども、6ページのベン図のところは、私も非常に混乱するような印象を受けました。特に「介入」という言葉。これは北大の佐藤委員からも御指摘がございましたが、「介入」という言葉自体、かなり混乱を来している。定義をどうするのかということで国際的にも議論になった点ですので、できれば「介入」という言葉を使わないで御説明していただいたほうがよろしいのではないか。例えばこれは「医行為」という意味なのではないかなと個人的には思ったのですけれども、もう1度熟考していただいて、できるだけ定義の曖昧な言葉は使わないで説明していただきたいと思います。
特にアカデミックな分類では介入を目的としない研究が観察研究だと。両者相入れないものと考えたりもしますので、そうすると、このベン図を見ると、観察研究のくくりの中に介入研究があるようなイメージで、その段階ですごく混乱するイメージを持っております。ですので、ここは「介入」という言葉を外していただいて、別の言葉で説明をしていただきたいと思いました。
もう1点は10ページの侵襲の定義のところで、これも多くの方々が意見をされましたけれども、精神疾患を伴う患者様に対して、心的な圧迫を伴うアンケート調査等も侵襲性があるとみなされる場合がありますので、その辺も御考慮いただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、まとめて回答をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。
1つずつお答えをさせていただければと思います。
花井委員から御指摘をいただいた点、MRIがどうなるかという点になりますけれども、この点に関連しては、10ページの例示がどういうものなのかという御指摘をいただいたものと理解しています。今、事務局でどこから線を引くのだということを明示的に決めているわけではありません。そして、様々御指摘をいただいたように、実際には同じ検査であっても通常行う治療の中で、その治療の結果を判定するために様々な検査が行われていると思いますが、それと比べてどうなのか、このプロトコルに参加する患者さんに対してどうなのかというところがあるので、あまり乱暴にこの検査から下は入るのだというのは、よっぽど極端な例は書けると思いますけれども、例示が全てのことをきれいにクリアカットに整理できるのかというと、そこはなかなか難しいものがあるのかなと思っております。
採血も「頻度、採血量等」とありましたが、それはほかもおおむね同じことになりますし、極端に言うと、例えば生まれたばかりのお子さんにやらなくていい採血をするみたいな話はやはり侵襲になりましょうし、通常健康な成人の方に血液を採る、そのスピッツが1本増えるみたいなことまで対象にするのか。それは細かいけれども、確かに負担としては上乗せになっているのだけれども、その負担感について、どこから線を引くのか。先ほど申し上げたように、極端なものは明示的にできるし、それぞれ迷われないと思うのですが、できるだけいろんな事例を集めて具体的な例示をしていきたいと考えておりますし、あるいは考え方の視点が整理できるようであれば、そういったものも含めてお示ししながら、ここは並行して丁寧に進めていかないといけないのではないかと考えております。
それから、非常に大事な御指摘として、本来臨床研究法に基づく研究、あるいは特定臨床研究に該当した途端、負担を考慮してあきらめるという流れではなくて、本来十分な支援があって、必要な負担が生じても研究が進められるような体制にすべきであるということは、法律を施行する際にも審議会で御指摘をいただき、私どもとしても事務局のほうから支援を頑張ってまいりますという説明をしてきた中で、まだまだ力不足である点については、御指摘のとおりと考えております。引き続き対応してまいりたいと思います。
続いて、北大、佐藤先生からこのベン図のところが分かりにくいということで、これはほかの先生方からも御指摘をいただいたところであります。7ページの図と同じことを申し上げているのですけれども、見た目も違いますし、ベン図の包含関係が必ずしも正確でないというのは、御指摘を受けて確かにそうかなと思いました。
1つ「乖離」という言葉の使い方について御質問があったと思います。ここの部分で申し上げたかったのは、7ページを見ながら聞いていただければと思うのですが、ここは「傷害・負担が小さい研究」、負担が大きいもので整理をされているのですけれども、先ほど申し上げたとおり、手術をした後に、その結果を必要に応じて造影剤で見るというのは、そういう手術、造影剤を使った検査も日常でやるということであれば、別に造影剤を使った検査そのものが研究目的でなければ、それは特定臨床研究に入るということではない。むしろふだんやらないそういった検査を実施することについて、「乖離」と申し上げております。
この中に回数や増量が含まれるのかということになりますが、私どもとしては、これは含まれると考えております。同じ造影剤を用いた検査でも、1回やればいいところを、例えば半年置いてもう1回やることが研究目的であるのだ、そこが負担として非常に大きいのだということになれば、同じ検査であっても回数あるいは頻度が増えたものとなると思います。ここで「乖離」と申し上げたかったのは、負担が通常とどれぐらい違うのか。あまり変わらないものまで全て、少しでも負担が増えたものを臨床研究法に入れるとすれば、それは元のとおりに戻ってしまうと思いますので、負担の大きく、日常診療で行う検査とは異なるものということでお考えいただければと思います。
それから、EUの規制に合わせてというのは御指摘のとおりですが、EUのほうもまだいろいろ迷っているところがあるというか、もちろん向こうの状況を参考にしながらということになりますが、向こうでもクリアカットに低介入のものがきれいに整理できているとは聞いておりません。また、2014年にできた規則ではありますが、導入をされたのは比較的最近と聞いておりますので、EUの状況も見てまいりたいと思います。
先ほど国がん東の佐藤先生のほうからこの図の外側にあるバイオマーカーが含まれるかどうか。これは今までもいろいろ御指摘をいただいていた、研究のタイミングがいつになるかによって該当するかどうかが違ってくるという問題意識と認識しました。投薬をして、投薬は終わったのだけれども、その後にバイオマーカーを取る研究かと思いました。もともとCRBにおいてプロトコルを御確認いただくという観点で、一体それがどこからが起点になるのか、どこから想起されたのかという点を見ていただきたいと思いますし、そこで医薬品の有効性・安全性評価が目的で、例えば投薬を継続的にされているということであれば、そこからがスタートになるのかなと思います。そういった意味で、藤原委員のほうからお話があった、表のほうになりますけれども、計画があるかないか、いつの段階できちんと目的意識を持ってその計画を立案したのかというところについて、CRBでもしっかり御確認をいただく必要があると考えております。
その次に乖離の例示というお話があったかと思います。御指摘のように、採血も一律にいいとか悪いとか言えないところがあり、なおかつこれは患者さんの状況によっても異なってくるところがあるというのは、先ほど申し上げたとおりになると思います。ただ、その部分について負担というか、侵襲が大きいということであればそれは入ってくるというところで、例示をしながら考え方も含めて提示していく必要があると考えております。いずれにしても、10ページのところ、先ほど申し上げたように、あえて今の段階でここから上、下とは引いておりませんけれども、この中でこういうケースについてはこういう部分が該当しますよというところを引き続き御相談しながら明確にしてまいりたいと考えております。
山口委員からも「乖離」に関する御指摘をいただきました。先ほど申し上げたとおり、追加の部分が大きくないものについては外したいという気持ちで「乖離」という言葉を使っておりますし、乖離の中には大幅な量の追加とか頻度の追加も含まれると考えております。なお、人によっての感受性の部分は難しいと思います。研究全体としてそういった点への気配慮が必要というところも踏まえつつ、一般的にその研究の対象となる方々全体にとって負担が大きい、あるいは侵襲が大きいということであれば、その部分は対応すべきということになると思います。
医師会渡辺先生からは負担というところについて定義をしっかりすべきということで、これはほかからも御指摘としていただいたと思います。
新谷先生からも「介入」という言葉が非常に不明確であるという御指摘をいただきました。 例としては、物理的に体にいろいろな負担がかかる、例えば薬剤が入るとか、あるいは針を刺されるということが書いてありますが、御指摘のあった精神的な負担のあるアンケートは、精神的なものも含めた侵襲あるいは負担ということについて対象になると考えております。
「介入」について、これは医行為ではないかというご指摘がありました。「医行為」という言葉が、臨床研究法の運用通知にも出ているのですけれども、実は「医行為」の定義というのが混乱しているところであります。「医行為」の定義を引くと、例えば看護師や救急救命士がどこまでできるのかいった通知を引かざるを得ない形になっていますが、専門知識に基づき実施する行為に限られるということと考えております。
一部残したところがあれば、再度御指摘を賜れれば幸いです。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
追加の御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
渡部委員、佐藤委員、どうぞ。まず、渡部委員から。
○渡部委員 ありがとうございます。
この議論は、そもそも臨床研究法の対象外にしているのだけれども、本来は法の対象で実施すべきものを適切に持ってくるというところから始まってくるかと思うのですが、一方で、いろいろなスケールとかそういうことをつくることで、その議論外のものがどれだけ法のほうに移行しなければいけない、影響を受けてしまうのかというのもすごく気になっているところです。研究班のほうでいろいろ調査等が行われているということですけれども、いろいろスケールをつくることで現行動いている観察研究がどのくらい影響を受けるのかという数字的なものも今後示していただけると、いろいろ判断するのに役立つのかなと思いました。なかなか難しいと思うのですが、そういったものも出していただけるとありがたいなと思いました。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 先ほどいろいろ細かいところの回答、ありがとうございました。個別のことでいろいろ議論しないといけないのかなと思って聞いておりました。
ちょっと視点を広くしてしまう話になるかもしれないのですが、該当性の問題で、根本的なところは臨床研究法と言いながら、中身は臨床試験で、クリニカルトライアルでという話も何回かしたことがあると思うのですけれども、今回堀田班で出していただいた参考資料も随分読ませていただいて勉強させていただいたのですが、通算の47ページを開けていただくことはできますか。
EUのやっていることが全て正しいというわけではなくて、議論があると思うのですけれども、ここはEUのところの堀田班の調査の原文と日本語訳で、右の日本語訳はいいと思うのですが、要するに、その定義です。第1条の「適用範囲」のところで臨床試験ですよとはっきり書いてあるのです。第2条のところには言葉の定義とあって、広い範囲である臨床研究というのはこういうものなのですよと。その臨床研究の中で、過去に臨床試験というものの定義はこうですよと。一個一個の定義は議論があっていいと思うのですけれども。この臨床試験というものがこのEUの規制の適用範囲ですよと。その下、臨床試験のcに該当するところで今回検査云々というところが入っていますけれども、その中でいわゆる適用内の薬の使い方をして、そのちょっと下ですが、検査の侵襲が少ないものは「低介入臨床試験」として手続を簡略できますよ。日本で言ったら、これは指針でいいですよという言い方になるかもしれませんけれども、こういうきちんとした枠組みにすると、我々がふだん使っている「臨床研究」という言葉とか「臨床試験」という言葉と混乱がないという形になってきて、細かいところはしようがないかもしれませんけれども、大枠の理解ができてくる。国際的にも日本の臨床研究法というのは、「臨床研究法」という言葉はもう変えられないかもしれないけれども、臨床試験法であって、臨床試験の定義はこうであってみたいな感じの、こういうのにならないのかなと思ってこの資料を読ませていただきました。
今回、その法律そのものにどこまで触れて直すかということは承知していないのですが、将来の日本の臨床研究、臨床試験のことを考えたら、これそのものがすばらしいとかと決めつけるわけではないのですけれども、こういう感じの整理をしていくと、研究するほうも国際的なことも含めてお互いに分かりやすくていいのではないかなと思ったのです。私、この資料を見て改めてそういうふうに思った次第なので、すぐには難しいのかもしれませんけれども、こういったことも考えていただきたいなと思った次第です。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。
まず、渡部先生から実際の影響について。これもどれぐらい調査できるかというのはありますが、現状は、負担の小さくないものが全て入っていますが、今後、そういったものが一部抜けてくる。そこの判断を分かりやすくしたいと考えております。
それから、北大、佐藤先生のご指摘について、内容は同じことを説明しているのですが、順を追って整理すると分かりやすいというところはあろうかと思います。現行の法律がございますので、それに手を加えたときにどういう書き方になるかは、限界があるかもしれませんけれども、解釈については、EUのドキュメントについても参考にしながら、整理してまいりたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
ほかに追加の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、この部分に関しましては、7ページの下の表のほうは、藤原委員から御指摘があったような点に関して手直し、あるいは花井委員から御指摘のように、多少ボーダーライン的なところが残るところはございますが、一応これを一つの基本認識としてそれぞれ進めていくということ。
9ページの図に関しましては、検査における「介入」という言葉とか、あるいは「乖離」という言葉が新たに追加されているので、その表と1対1対応になっているのかどうかが見極めにくいところもあるというので、そこはしっかり修正をいただくという点。
それから、新谷委員からも指摘がありましたように、臨床研究が観察研究に包含されるというちょっと矛盾したような図にもなってしまっていますので、その辺りは別途注釈が必要。あるいは「観察研究」というのは、実は法律の中には出てこない言葉ですので、その辺りの定義もしっかりしておかないと、この図が何を意味するか訳が分からなくなってしまうという点。
緑の部分は「臨床研究」と書かれているのですが、正確には緑部分は臨床研究法の対象であるということ。その辺りを図としても少し手直しをする必要があるかと思いますので、この辺の手直しをするということで御了承いただけるかと思いますが、よろしゅうございますか。
それから、この図は極めて重要で、今後ヒト指針等において研究の種類を考えるときに、これが一つの判断基準になる可能性がありますので、この図に関しましては、先ほどの表との対応をしっかりしていただくこととか、いろんな言葉の定義をしっかりしていただかないと、他の研究に誤った判断が及んでしまうということがありますので、ぜひその辺の修正もお願いしたいと思います。
それでは、医療機器のほうに入りたいと思いますが、御質問がございましたらお願いいたします。山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。
医療機器に関して迷ったときにどこに相談していたのですかということを事前にお聞きしたら、実は相談できるところが全くなかったと伺いしました。これはきちんと同じ基準で判断できる相談窓口が不可欠だと思いますので、早急に相談窓口の設置ということをしていただくことが、医療機器に関する研究をしている方たちにとってもとても大きな安心になるのではないかと思いますので、ぜひそれは進めていただきたいと思います。
ただ、そうなったときに、どこが設置することになるのか。提案の中に入れられていますので、今の時点でお考えがあれば、教えていただきたいと思います。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 御指摘ありがとうございました。どこがというところですが、今、まだ決めかねているというか、私どもが直接それを担当するわけにもいきませんので、どういう形での取組にするのかといった課題があると思います。ある程度公的なところで公平にそういったものが判断できる。それから、医療機器に関して、ベースとなる知識がありつつ、さらに必要に応じて特殊な機械についてコンサルテーションできる、利益相反を整理しながら意見が聞けるという体制も取っていただく必要があると思っておりまして、その辺りを満たせるような組織を考えております。
○楠岡部会長 藤原委員、どうぞ。
○藤原理事 まず、14ページの調査結果ですけれども、対象が工学研究者1,300人で、企業が4,000社あるのに、たった45件の回答というのは、代表性というか、医療機器をめぐる研究をやっている方々が臨床研究法に実は興味が全然ないのではないのかなというのがあって、知らないだけかもしれないですけれども、この調査結果に基づいていろんな判断をするのはちょっと危険かなと感じました。
そもそも臨床研究法自体が医療機器を包含していることも非常に無理があると思っていて、欧州、ヨーロッパなどは医療機器の臨床研究にそんなに厳しい規制を引いているわけではなくて、日本だけがこれだけ厳しい規制をしているので、そういう中で研究の自由度の阻害とか、工学研究者が知らなくてどんどんやっているとか、そういう中からいいものが生まれてくる可能性も非常に高いというのが気になるところです。
今後の議論。これは法律なので対象範囲を変えることは難しいですけれども、先ほどから出ているEU Clinical Trial Regulationというのは、あくまでも医薬品を対象にしているもので、機器は関係ないので、機器の規制の在り方というのは、今後もしっかり幅広の意見。4,000社あるいは会員1,300人。それ以外にもたくさん機器の研究をやっている方々がいらっしゃると思うのですが、その方々をもう少し巻き込む方策はないものかと考えますが、事務局として何かありますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。
まず、今回、限界としては1か月という短い期間での調査だったとは思います。工学部という非常に大きな組織の中で、医療機器などを御研究されているところは各大学の中でもかなり少数なところになるということで、これは工学における医療機器の研究者を探してくる難しさというところがあるかと考えております。
そういった意味で、御指摘のようにこの結果だけをもって全ての制度を決めるというのは難しいと考えており、今回は制度ではなく、運用や事業による改善策を提案させていただきました。
今後、特にアカデミアで研究をされている先生方については、数少ない事例と言いながら、例えば学位の研究を諦められたりといった、深刻な事例も頂戴しておりますので、生体医工学会や関連学会にも丁寧に説明をしていきたいと思っております。
業界団体については、増田委員から何かあれば、補足をお願いできればと思います。
○楠岡部会長 増田委員、どうぞ。
○増田委員 増田です。
藤原先生から御指摘がありました黒田班のアンケートに対しての回答ですが、製販業を持った企業さんが4,000社あると言いましても、全てが自社で研究開発をしているわけではなく、海外の製品を輸入する場合にも製販業が必要になりますので、そういうところはこういう臨床研究にほとんど関与していないというところが非常にたくさんあります。
また、日本の中で製品をつくっている企業様の中で製販業を持たれているところもありますけれども、その企業様でも実際臨床研究を実施されている企業さんはそんなに多くないと判断しております。ですので、30数件、40件ぐらい。企業のほうでは16件来ているというのは、アンケートをすると毎回そのぐらいしか出てこない。あとは詳細を記載しようとすると、秘密事項になってなおなか開示できないという部分があります。ですので、このぐらいの件数になるというのは、大体適切な数字ではないかなと。興味がないという企業さんもたくさんあります。実際にされていないので回答しないというところはたくさんあるとは思います。
医療機器のほうに関しては、まず特定臨床研究に該当する場合という、非該当に関してです。医療機器に該当する、該当しない部分に関しては、我々のほうは都道府県の薬務課様のほうに医療機器の該当性は確認をすると。プログラムに関しては監麻課さんのほうに確認をして、それで医療機器に該当するかという判断をする。その場合でも使用目的とかそういうところをある程度細かく御説明しないと、使用目的が少し変わるだけで医療機器になる、ならない場合というのがあるということは御承知おきください。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺でございます。
先ほど事務局がおっしゃられたことですけれども、CRBの現存しているもので医療機器に精通しているところが少ないという御指摘があったと思うのです。藤原委員は、日本は諸外国と比べて医療機器に関して少し厳しいのではないかということですが、現存している法がある以上は何らかの形でこれを審査しなければいけないということになりますと、医療機器を審査できるような人は恐らく限られていると思うので、そういう方がおられるような施設に対して補償して、国のほうが設置をすることはできないでしょうから、そこに設置をお願いするという形で医療機器を審査できるCRBをつくっていくということは、事務的には不可能なのかということをお聞きしたいです。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。
直接国のほうからその設置が依頼できるかというと、施設の御事情もありますけれども、まずは公的な支援をしてまいりたいということを取組ということで書かせていただいたところがあります。
15ページの認定審査委員会のところは、非常によくやっていてお手本となるところ、医療上の必要性が高い、小児や医療機器も該当すると思いますが、専門知識が必要で、施設の設置・維持に負担がかかるような分野については、公的な支援をして、適切な価格で審査を引き受けてられるような支援をさせていただければと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。よろしいでしょうか。
機器に関しましては、まだまだいろいろ解決しなければならない問題がありますが、まずは相談窓口のようなところをつくるということと、もう一つは、臨床研究法に関して工学畑の方々にも広く知っていただく。治療機器の開発の方はさすがによく分かっておられるのですが、計測面に関して御関心のある方は、場合によってはこの臨床研究法の適用になるようなレベルのものもあり得るとは思うのですけれども、あまりそこまで御存じないような可能性もありますので、この辺りのところは学会とタイアップしながらPRに務めていくと。
ただ、難しくなった、難しくなったでは研究が萎縮してしまいますので、相談事があれば、どこに相談に行けばいいかという体制もつくりながら進めていくということになるかと思います。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
○楠岡部会長 本日、3つの課題で、情報公開に関しましては、担当者がもういらっしゃらないのですが、ほかの2点に関しては、改めて全体を通じまして御意見等ございますでしょうか。あるいは本日の議題以外で何か御要望等ございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、事務局で本日いただいた御意見を整理して、また次回にということになるかと思います。
今回までの審議をもって一通りの論点を御議論いただいた形となりますので、次回に取りまとめとして方向性を示すようにしていきたいと思いますが、御了承のほどよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、議題2は「その他」ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 今回は特にございません。
次回の開催につきましては、改めて御連絡申し上げます。
事務局からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、本日の部会はこれで閉会といたします。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。