2022年2月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年2月4日(金)18:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議における委員の出席状況ですが、亀田委員、小崎委員、山口委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、松下委員、川上委員から遅れて御参加との御連絡を頂くとともに、現在、大曲先生が少し遅れておられますが、後ほど御参加いただけると承知しております。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員がこのWeb会議に出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 次に、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただき御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の議題1については会議を公開で行い、議題2以降については、医療用医薬品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれますので非公開といたします。
 それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮り等がありましたらここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 審議事項議題1は 資料No.1を用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。なお、システムの動作不良等がありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。それでは、今の事務局からの御説明に、特段の御意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは審議事項議題1に入ります。議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題1、生物学的製剤基準の一部改正について、事務局より御説明いたします。資料No.1の2ページです。この度の生物学的製剤基準の一部変更ですが、医薬品各条のインフルエンザHAワクチンは通常のインフルエンザワクチンですが、これに規定されているマウス白血球数減少試験とマウス体重減少試験を削除するとともに、原液の発熱試験の試験方法と小分け製品の試験にエンドトキシン試験を加えるものとなります。
 改正理由ですが、マウス白血球数減少試験とマウス体重減少試験、こちらを削除する理由は、2ページの2)、3)の所に記載されております。これらの試験は、もともと現在のHAワクチンが開発される前に、全粒子のインフルエンザワクチンが使われていた時代に設定されていた試験でして、その試験をそのままインフルエンザHAワクチンにも準用して設定していたものです。インフルエンザHAワクチンが実用化されてから数十年がたちますが、この間、こういった試験で問題が発生したことは全くないことを評価いたしまして、この度、いわゆる3Rの観点から不要な試験は削除するということで、この2試験を削除することといたしました。
 原液の発熱試験ですが、これまでウサギを用いた発熱試験を実施しておりました。こちらも3Rの観点から動物試験の削減が求められているわけですが、その観点から、今回、エンドトキシン試験を追加し、エンドトキシン試験で代わりに実施することも可能となるように変更するものです。
 実際の試験の流れですが、ウサギの発熱試験に比べてエンドトキシン試験の方が感度が非常に良いということがありますので、まずはエンドトキシン試験を実施して、その結果が規定の値をクリアしていれば合格と。仮に規定の値を超えていた場合でも、従来どおりウサギの発熱試験を実施して、その結果をもって合格判定をすることができるようにしています。こういう形でやりますので、エンドトキシン試験を追加して、エンドトキシン試験の結果が不合格あるいは規定に達しない場合でも、ウサギの発熱試験を実施することで、従来よりも品質の劣るロットが出ることは恐らくありません。
 また、今回、原液エンドトキシン試験を追加するのに併せて、現在、4種類の抗原を混合してインフルエンザワクチンを作っていますが、この製剤に関してもエンドトキシン試験を追加することを検討しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。今の件について、委員の先生方から御質問はございますでしょうか。ないようです。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を開始いたします。
── 傍聴者退席 ──
○清田部会長 準備が整いましたので、医薬品第二部会を再開いたします。事務局から、資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いします。
○事務局 本日の非公開案件に係る資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.2~14と製剤写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか資料15として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料16として「専門委員リスト」、資料17として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良等がありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議に係る審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料17の1ページです。「ジーラスタ皮下注」です。本品目は、同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、「キイトルーダ点滴静注100mg」です。本品目は、がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 続いて3ページ、「レットヴィモカプセル」です。本品目は、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌及びRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、「Marstacimab」です。本品目は、インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子又は第IX因子欠乏患者の出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、「デュルバルマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は、切除不能な胆道癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を頂いたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。
 議題2「ジーラスタ」。退室委員、松下委員。議決に参加しない委員、濱委員、南委員、山本委員、渡辺委員です。
 議題3「キイトルーダ」。退室委員、松下委員、山本委員。議決に参加しない委員、濱委員、南委員、横幕委員、渡辺委員です。
 議題4「レットヴィモ」。退室委員、南委員、山本委員。議決に参加しない委員、川上委員、中野委員、松下委員です。
 議題5「Marstacimab」。退室委員、松下委員。議決に参加しない委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、渡辺委員です。
 議題6「デュルバルマブ」。退室委員、議決に参加しない委員共になしです。
 また、議題7についても各委員より寄付金や契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日の非公開案件は審議事項6議題、報告事項5議題、その他事項2議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。議題2、松下委員におかれましては、利益相反の申出に基づいて議題2及び議題3の審議の間、会議から御退出いただいて、御待機いただくことといたします。松下委員は御退出をお願いいたします。
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料番号2、医薬品ジーラスタ皮下注3.6mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より説明します。以後の審査報告書のページ数は、各ページの24分の幾つで記載している数字を使用します。本剤の有効成分であるぺグフィルグラスチム(遺伝子組換え)は、顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)製剤であり、「造血幹細胞の末梢血中への動員」等の効能・効果で承認されているフィルグラスチムにポリエチレングリコールを結合させた製剤で、本剤はフィルグラスチムと比較して持続的な体内動態を示すため、投与頻度の低減が期待されております。現在、本剤はがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は「同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員」を効能・効果として承認申請されました。令和3年10月時点において、本剤が同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血への動員に係る効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にありますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第II相試験である125-101試験が提出されました。有効性については、審査報告書8ページを御覧ください。健康成人を対象とした125-101試験のEvaluationパートにおいて、主要評価項目とされたベースラインから第7日目までにおいて、末梢血中のCD34陽性細胞数が20/μL超を達成した被験者の割合は100%であり、事前に設定された閾値を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書9ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、既承認の効能・効果と同様であると判断しました。その上で、本剤の使用に当たっては、当該事象の発現に注意すべきではありますが、健康成人ドナー及びその家族に対して本剤の有害事象について十分な説明及び理解を得た上で同意が得られるとともに、造血器悪性腫瘍の治療及び造血幹細胞移植に十分な知識・経験を持つ医師によって有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、本剤の投与は許容可能であると判断しました。ただし、同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を目的として、本剤を投与した際の安全性情報は限られていることから、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年間とすることが適当であると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、渡辺委員から事前にコメントを頂いております。「本剤の安全性について、機構は、既承認の効能・効果と同様の事象、例えばショックやアナフィラキシー、間質性肺疾患等に注意が必要と判断しておりますが、本剤の既承認の効能・効果での使用経験からすると、当該事象の発現は、ほとんどがごく稀であって、一方で、その中では特に骨痛等がしばしば発現するものと思われます。よって、注意すべき副作用に強弱をつけることがよいのではないでしょうか」とのコメントを頂いております。この御指摘の点については、次のとおり考えます。
 特に注意すべき有害事象の判断に際しては、事象の発現頻度に加えて、その事象の重篤性等も考慮しております。機構が特に注意が必要と判断した事象のうち、御指摘いただいた骨痛等の痛みに関する事象以外の事象については、発現頻度は稀ではありますけれども、発現が認められた場合には、より慎重な対応が必要と考えられることから、既承認時から特に注意が必要と判断されております。本申請で提出された臨床試験では、当該事象の発現は認められていないものの、検討例数が限られていることから、健康成人ドナーでも発現する可能性は完全には否定できないと考え、既承認時と同様の判断をしました。一方、御指摘いただいた骨痛等の痛みに関する事象については、今回の臨床試験では重篤な事象は認められなかったものの、発現頻度が高かったことから、特に注意が必要と判断しました。御指摘いただいたように、特に注意が必要な事象の中でも、発現頻度等が異なっておりますので、添付文書や資材等を活用し、これらの事象の発現状況について適切に情報提供させていただく予定です。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問ございましたら。まず、渡辺先生、いかがでしょうか。
○渡辺委員 今、御説明いただいたとおりですが、冒頭の説明のところで、対象者及び家族にも説明するという話と、それから、担当する医師、あるいは医療者が把握しておくべき有害事象はおのずから異なるわけで、患者さん、被験者、ボランティアの方に、こんな危険もある、あんな危険もあると何でも言う必要があるのかどうかということを常々感じるわけです。ですから、末梢血幹細胞の動員を行う医療者が、きちんと把握していればよい有害事象というところにとどめておけばいいのではないかと感じたわけです。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構から何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃるコメントも理解できるのですけれども、本剤は、ボランティアの健康成人ドナーの方に投与することになりますので、インフォームドコンセントはきちんとやる必要があるだろうと考えております。もちろん過度にドナーの方を恐れさせるような言い方をする必要はないと思いますが、客観的事実に基づき、今回の臨床試験ではそのような重篤な事象は起きていないこと、そういった状況も含めて適切に説明がされるように、資材等を活用して行うことを、企業の方にも申し伝えたいと思います。以上です。
○清田部会長 渡辺委員、よろしいですか。
○渡辺委員 適切ということが最初の説明では頻度まで、こういうことはほとんど起きていない、頻度は極めて稀だからということも含めてきちんと伝わるのならいいですけれども、何となく責任逃れ的に全部垂れ流しで言っておけばいいというような風潮が感じられるので、そこは十分配慮していただかないと困ると思ったわけです。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構の方、よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。御指摘の意図は理解しました。そのように対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかの委員の先生方から御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。濱委員、南委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。山本委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題3及び議題4の審議の間、会議から御退出して、待機いただくことといたします。山本委員は、退出をお願いいたします。
── 山本委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題3について機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料番号3、医薬品キイトルーダ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの39分の幾つで記載している数字を使用いたします。本剤は、programmed cell death-1(PD-1)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるぺムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、本剤は悪性黒色腫、非小細胞肺癌等に係る効能・効果で承認されております。
 今般、本剤は「がん化学療法後に増悪した進行・再発の腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として承認申請されました。令和3年10月時点において、本剤はがん化学療法後に増悪したTMB-Highを有する進行・再発の固形癌に係る効能・効果で、18の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にありますとおり5名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験である158試験が提出されました。有効性については、審査報告書9ページの表2を御覧ください。化学療法歴のある進行・再発の固形癌患者を対象とした158試験が実施され、本試験に組み入れられたTMB-Highを有する進行・再発の固形癌患者において、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく独立評価委員会判定による奏効率は29.4%であり、TMB-Highを有しない固形癌患者における奏効率は6.2%でした。また、遺伝子変異量とがん抗原特異的なT細胞の標的となるネオアンチゲンの産生量との間に相関が認められる旨、及び遺伝子変異量と細胞傷害性T細胞の活性化との間に相関が認められる旨の報告に基づき、TMB-Highを有する固形癌では、ネオアンチゲンが多く産生され、活性化された細胞傷害性T細胞に富む微小環境が形成されている可能性が高いと考えられています。したがって、TMB-Highを有する固形癌では、本剤の投与により腫瘍免疫に対する抑制的なシグナルが解除されることで、がん抗原特異的な細胞傷害性T細胞による腫瘍縮小効果が期待できると考えられています。以上の腫瘍生物学的な背景も考慮すると、158試験の結果に基づき、本剤について、がん種を問わず、標準的な治療が困難であるTMB-Highを有する固形癌患者に対し、一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書16ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象と同様であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていること、臨床試験に組み入れられていないがん種が存在すること等から、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は新効能医薬品としての申請であることから、本申請の効能・効果に係る再審査期間は4年間とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、南委員、渡辺委員から事前に御質問等を頂いております。南委員からは2点頂いております。1点目は、「CDxとして使用される承認された体外診断薬は、FoundationOne CDxのみになるのでしょうか。がんゲノムパネル検査の選択に大きく影響しますので御教示ください。本来であればNCCオンコパネルなど、FoundationOne CDx以外の検査も利用できるようにすべきと思います」と頂いております。
 現時点において、CDxとして承認されている製品は、御理解のとおり、FoundationOne CDxがんゲノムプロファイルのみとなります。TMB検査については、遺伝子パネル検査間での解析領域での違い、カウントする変異の種類、フィルタリングの違いが適応患者を特定する上での性能に対し、どのように影響するかは不明であることから、米国では産官学によるコンソーシアムによるTMB検査のハーモナイゼーションプロジェクトが進んでいます。FoundationOne CDxについても、このプロジェクトで検討されたパネルの一つであり、今回設定されたカットオフ値は、審査報告書8ページの脚注に記載のとおり、当該コンソーシアムでの合意を経て決定されています。今後、今申し上げた状況も考慮した上で、FoundationOne CDx以外の遺伝子パネル検査を利用可能とするための方策について、関連する診断薬会社と協議するよう、申請者に伝達させていただきます。
 2点目は、「158試験のレトロスペクティブな解析に基づいての承認となるのだと思いますが、閾値奏効割合、期待奏効割合等は解析の前に決められていたのでしょうか」と頂いております。
 本一変申請の158試験の解析は、試験の開始時点で計画された解析ではないものの、試験途中の時点で外部における検討結果に基づいて解析対象が設定され、その後、当該対象における有効性が評価されたものになります。ただし、閾値奏効割合、期待奏効割合等は解析の前に決められていませんでした。このように、事前に閾値等が設定された解析計画に基づくものではありませんが、TMBスコアごとの奏効率の解析が最初に実施された中間解析以降に、特段の解析計画の変更は行われていないなど、過大評価を招くような計画変更は行われていません。また、TMB-High集団において、Non TMB-High集団と比較して、高い奏効率が認められたこと、当該奏効率は臨床的に意義のあるものと考えられたこと、TMB-Highの腫瘍生物学的な背景より、がん種横断的に本剤の効果は期待できることなどを考慮し、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 次に、渡辺委員からも大きく2点頂いております。1点目は、「審査報告書2ページに記載されている「切除不能な進行・再発の○○癌」という表現ですが、そもそも進行・再発癌であることは、すなわち切除不能であるので、単に「進行・再発○○癌」の表現でいいと思います。また、俺がやれば切除できると理不尽に息巻いている外科医がいまだにいるので、客観性に欠ける「切除不能な」という表現を排除すべきです。審査報告書の5ページ、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」についても、「進行又は転移性の腎細胞癌」とするのがはるかに客観性のある表記であり、「根治切除不能」という表現は排除すべきであると考えます」と頂いております。
 効能・効果ではより客観性の高い表現を使うべき、との御趣旨と理解いたしました。効能・効果における記載については、基本的に関連する診療ガイドライン等を参考に、化学療法の適応となる患者を表す表現として、専門家の間で共通して使用されていると考えられる表現を選択するようにしております。御指摘頂いた「切除不能」という文言の必要性ですが、一般論としまして、がん種によって、また、再発の部位によっては再発後にも切除術が選択肢とされていると理解しておりますので、進行・再発であることが、すなわち切除不能であることとならない状況もあると考えております。今回御指摘頂いた腎細胞癌における「根治切除不能」という表現については、診療ガイドラインにおける表現を参考として、同じ患者集団を対象として開発された既承認の医薬品の効能・効果として既に用いられている表現であることから、現案どおり進めさせていただきたいと考えております。御指摘いただいた部分に対する考え方は以上のとおりとなりますが、効能・効果では、より客観性の高い表現を使うべきとの御指摘については、今後引き続き留意した上で検討させていただきます。
 2点目は、「審査報告書4ページ、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の腫瘍遺伝子変異量高スコアを有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」についても、「がん化学療法後に増悪した」と「標準的な治療が困難な場合に限る」は、内容的に同義であるので、「標準的な治療が困難な場合に限る」は削除すべきです」と頂いております。
 「がん化学療法後に増悪した」については、一次治療として使用されないようにするための文言である一方で、「標準的な治療が困難な場合に限る」については、他の治療選択肢がないような最終ラインでの使用に限定するために用いている文言となっています。したがいまして、両者は異なる意味を持ちますので、現案どおり進めさせていただきたいと考えております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 まずは南先生、機構からの御回答についていかがでしょうか。
○南委員 はい、ありがとうございます。予想していたとおりの御回答でどうしようもないことは分かってはおりました。治験の段階で使用されていなければ承認しようがないというお立場もよく分かるのですが、現場では今は非常に混乱していますので、この状況を打破すべく是非臨床試験の計画の段階から御指導を頂ければ有り難いと考えて、あえてコメントさせていただきました。それからTMB-Highのカットオフの件に関しては、通常の考え方で言えばちょっといかがなものかという気はします。ただ、カットオフ値は別データを用いて設定し、今回のデータで有効性を検討したということで、本来であれば仮説を立てて、ヒストリカルコントロールと比べるべきセッティングではないかと考えてはいます。ただ、現場ではもう既に効果を実感しているところですし、バイオロジカルにも十分説明可能ですので、理解いたしました。
○清田部会長 ありがとうございます。御了解いただいたと理解いたしました。渡辺先生、先ほどの機構の御回答についていかがでしょうか。
○渡辺委員 はい、非常にリーズナブルな御回答を頂きましたし、今回のこの最初の御説明がかなり論理的な判断に基づく適応というようなことを踏まえて御解説いただいたので、いいのではないかと思います。しかしながら、やはり理不尽に息巻いている外科医というのが患者さんに迷惑を掛けている場合がありますので、そこはガイドライン作成に携わる先生方、特に南先生などが中心に、妥当な表現をなるべく使うようにしていただければよろしいかなと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。南先生、そのこともよろしくお願いいたします。
○南委員 ここで振られるとは思いませんでしたけれど、恐らく渡辺先生の所では特にそういう患者さんがバイアスが掛かって集まっていらっしゃるのではないかなというように思っています。
○清田部会長 ほかの委員の先生方、御質問はございますか。よろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。濱委員、南委員、横幕委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。事務局から引き続き御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題3、キイトルーダ点滴静注100mgについて、最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので御説明いたします。資料13-1を御覧ください。なお、資料13-1には、審議事項議題3に関連するTMB-Highに関する固形癌に係る部分と、報告事項議題2に関連する腎細胞癌に係る部分が併せてありますが、ここでは前者の部分のみ御説明いたします。以降の説明において、各ページ最下部の通し番号で御説明いたします。対象となる効能・効果は3ページの枠内のとおりです。記載の形式は、これまでに作成している最適使用推進ガイドラインと同様で、5ページ以降に今回審査された臨床試験の成績を、11ページには先ほどの審査における内容を踏まえた本剤の投与対象となる患者に関する内容を記載しております。13ページの投与に際して留意すべき事項については、これまでに作成しているキイトルーダのガイドラインと同様の内容です。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がありましたら 承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、本議題については御確認いただいたものといたします。それでは、ロビーで待機されています松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 続きまして、議題4に移ります。南委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題4の審議の間、会議から御退出して、御待機いただくことといたします。南委員は御退出をお願いいたします。
── 南委員退室 ──
○清田部会長 議題4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いたします。議題4、資料4、医薬品レットヴィモカプセル40mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以降の審査報告書のページは、各ページの46分の幾つで記載している数字を使用いたします。rearranged during transfection、以下「RET」と略しますが、RET融合遺伝子陽性の甲状腺癌においてはRET融合遺伝子が、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌においてはRET遺伝子変異が、それぞれ発がんに重要な役割を果たしていると考えられております。
 本剤の有効成分であるセルペルカチニブは、RET等のキナーゼを阻害する低分子化合物であり、RETのキナーゼ活性を阻害し、RETを介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤は、RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は、「RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌」及び「RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌」を効能・効果として承認申請されました。
 なお、本剤は、令和2年10月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年10月時点において、今般の申請に係る効能・効果で、35か国で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にありますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第I/II相試験である17001試験が提出されました。有効性については、審査報告書13ページの表3を御覧ください。17001試験のコホート1に組み入れられた化学療法歴のあるRET融合遺伝子陽性の甲状腺癌患者、コホート2に組み入れられた化学療法歴のないRET融合遺伝子陽性の甲状腺癌患者、コホート3に組み入れられた化学療法歴のあるRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌患者及びコホート4に組み入れられた化学療法歴のない甲状腺髄様癌患者において、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく独立評価委員会判定による奏効率は、それぞれ50.0、100、68.0及び63.3%でした。当該成績に加えて、RET融合遺伝子及びRET遺伝子変異が癌のドライバーと考えられること等を考慮すると、これらの患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書17ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象として、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象に加え、間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人患者における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌及びRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に渡辺委員より御意見を頂いておりますので、機構より回答いたします。御意見は、「審査報告書1ページ、効能又は効果、既承認の非小細胞肺癌での表現と新規承認予定の甲状腺癌、甲状腺髄様癌とで、前者が切除不能、後者が根治切除不能と表現が異なります。また、議題3と同様に、極めて恣意的・主観的な表現である根治切除可能・不能は削除し、客観的に規定し得る進行・再発の○○癌という表現に全て統一できないでしょうか。今回の審議項目だけでなく、より客観性の高い表現を使うことで、治療現場の混乱を低減することができるのではないでしょうか」というものでした。
 甲状腺癌では、腫瘍による症状の緩和を目的とした手術が行われることから、根治切除不能としております。なお、手術の可否が恣意的・主観的な表現であり避けるべきとの御指摘については、先ほどの審議事項、議題3において御回答いたしましたとおりです。事前に頂いた御意見に対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 はい、渡辺先生、いかがでしょう。
○渡辺委員 何かくだを巻いているようで申し訳ないのですが、なるべく客観的な表現で統一し、ガイドラインできっちり表現していただければいいかと思います。腫瘍内科医の立場で外科医と対立することが非常に多いものですから、時に感情的になることもあって申し訳ありませんでした。
○清田部会長 了解しました。機構はそれでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○清田部会長 渡辺先生の御意見をある程度酌んで、今後進めていただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 これまでも診療ガイドライン等を参考に客観的な記載に努めてまいりましたので、引き続き対応していきたいと思います。
○渡辺委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、これもコンパニオン診断薬の形が入ってくるのでしょうが、一つ前のことと同じように、適切な表現ができているかどうかということで確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 コンパニオン診断薬についての記載ですね。
○宮川委員 記載というか、そういうものは一つ前の審議の中にもありましたが、これは別のものですが、記載がしっかりとされているのかどうかということでお聞きしたいと思います。
○清田部会長 機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問について、確認をさせていただきたいのですが、コンパニオン診断薬等を使う旨を添付文書等で記載しているかということでしょうか。
○宮川委員 それが一つの審議対象ですが、その保険適用はまだいろいろなものがあるわけです。それはきちんと適用されているのかどうかということも含めてですが、前項と同じように取り扱えばよろしいのかということで、一応確認のためにお聞きしました。
○医薬品医療機器総合機構 投与に際し、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を使用して診断を行う旨については、効能・効果に関連する注意の項に従来の品目と同様の形で記載をさせていただいております。今般は、医療機器が用いられることとなる予定ですが、当該機器については、現在、並行して審査が進められており、また追って保険適用に係る手続に移っていくものと承知をしております。
○宮川委員 了解しました。それが使われるときには、それが適用になっているかどうかも重要なことなので、前項と同じように進行の中でしっかりと適切に、両方が並行していかないとうまくいかないので、しっかりと書き込みをしていただければと思います。以上です。
○清田部会長 審査報告書についてですね。
○宮川委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。御指摘ありがとうございます。体外診断用医薬品又は医療機器の審査部と連携して、保険適用が同時期になされるよう、対応を行っております。今後もそういった対応を引き続き行っていきたいと思います。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 明解な表現でお願いしたいということですよね。これは是非お願いしたいと思います。毎回これが質問事項になってしまいますので、何が使えて何が使えないか、何が将来的に認められそうだとか、そこまでは書かなくていいかもしれませんが、明解な表現で是非お願いしたいと思います。
○宮川委員 今、部会長がおっしゃったように、それが一応私が言いたかったことですが、いつも表現が不明確になったりとか、説明なしに毎回それが出てくるものですから、そのことについては説明のときにしっかりとされないと、非常に表現が不明確になってしまうので、そこだけお願いします。
○清田部会長 では、それでよろしいですね。
○宮川委員 大丈夫です。
○清田部会長 では、機構も是非よろしくお願いします。ほかに御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで御待機されている南委員、山本委員をお呼びください。
── 南委員、山本委員入室 ──
○清田部会長 それでは、続いて議題5に移ります。松下委員においては、利益相反の規定に基づき、議題5の審議の間、会議から退出していただくこととします。松下委員は、御退出をお願いします。
── 松下委員退出 ──
○清田部会長 議題5について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題5、資料5、Marstacimabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明をいたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルを開いてください。こちらの報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者はファイザー株式会社。予定される効能・効果は「インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子又は第IX因子欠乏患者の出血傾向の抑制」となっております。
 まず、1ページの対象患者数についてですが、先天性血液凝固第VIII因子又は第IX因子欠乏症患者、すなわち先天性の血友病A又は血友病Bの患者ですが、そのうちインヒビターを保有する患者数は、公益財団法人エイズ予防財団の調査によると、血友病Aの患者で95人、血友病Bの患者で18人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に2ページです。医療上の必要性について、血友病A及び血友病Bは、血液凝固第VIII因子及び第IX因子の欠乏又は活性低下によって、出血傾向、出血症状を呈する疾患であり、重篤・致死的な出血を来すこともあります。その中でも、インヒビターを保有する血友病患者では、血液凝固因子補充療法が無効であることもあり、止血管理のためにバイパス製剤が使用されておりますが、既存のバイパス製剤に対する効果不十分例も存在するという状況です。血漿由来製剤のバイパス製剤が使われておりますが、これによる潜在的な感染症のリスク等も存在しております。
 こういった状況に対して、本剤は組織因子経路インヒビターいわゆるTFPIを阻害するモノクローナル抗体です。インヒビターを保有する血友病A及び血友病Bのいずれに対しても、血液凝固第VIII因子又は第IX因子の有無にかかわらず、外因系の凝固経路を活性化するという新しい作用機序により止血を誘導するものです。また、本剤は適切に管理されたチャイニーズハムスター由来の株化細胞以外のヒト又は動物由来原材料を用いずに製造される遺伝子組換えのモノクローナル抗体です。これにより、ヒト血漿等の原材料由来の感染症の伝播リスクも低減されているということから、これらを考えて本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に開発の可能性ですが、現在、日本人の血友病A患者及び血友病B患者を含む国際共同第III相臨床試験を実施中です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで御待機されている松下委員をお呼びください。
 少々お待ちください。今、松下先生を呼びしているのですが、まだ入ってこられないのですが、定足数には達しているので、議題6に移りたいと思います。松下先生がお戻りのときには、また御報告します。議題6について、事務局からの概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料6、デュルバルマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルを開いてください。報告書の1ページ中段を御覧ください。申請者はアストラゼネカ株式会社。予定される効能・効果は「切除不能な胆道癌」です。まず、1ページの対象者数について、本邦における胆道癌患者数は約3万2,500人程度と推測されることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、切除不能な胆道癌に対して、ゲムシタビン塩酸塩やシスプラチンの併用投与等が行われておりますが、多くの場合は病勢進行が認められており、予後不良な疾患であることから、新たな治療が望まれており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に開発の可能性について、化学療法歴のない切除不能な胆道癌患者を対象に、シスプラチンとゲムシタビンの併用投与に本剤を上乗せした際の有効性及び安全性を検討する国際共同第III相試験が実施され、本剤の上乗せにより全生存期間の有意な延長が認められたことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。御質問はないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題7に移ります。議題7について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題7、放射性医薬品基準の一部改正について、事務局より御説明いたします。資料7の1ページを御覧ください。この度の放射性医薬品基準の一部改正は、既承認の放射性医薬品である過テクネチウム酸ナトリウム注射液の試験法の一部変更に伴うものです。
 2ページ以降の別紙を御覧ください。具体的な改正内容ですが、告示第4の医薬品各条において、過テクネチウム酸ナトリウム注射液の純度試験に関する記載の変更を検討しております。より安全な試験方法への変更の要望があり改正するものになります。以上、審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、報告事項に移ります。それでは、報告事項議題1~5及びその他事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、報告事項の議題1、資料No.8、医薬品レンビマカプセル4mgの製造販売承認事項一部変更承認について及び議題2、資料No.9、医薬品キイトルーダ点滴静注の製造販売承認事項一部変更承認について、両品目は併用して投与されることから、併せて報告させていただきます。
 まずレンビマカプセルですが、血管内皮増殖因子受容体等、種々のキナーゼを阻害する低分子化合物であるレンバチニブメシル酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、キイトルーダ点滴静注については、PD-1に対するモノクローナル抗体であるぺムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。レンビマ、キイトルーダ共に複数のがん種に対して承認されているほか、レンビマとキイトルーダの併用投与は、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌を効能・効果として承認されています。今般、エーザイ株式会社からレンビマの「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 また、レンビマと併用するキイトルーダについては、MSD株式会社から既承認の適応である「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」において、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与に係る用法・用量を追加する承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、以上の2品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして報告事項の議題3、資料No.10、医薬品トレアキシン点滴静注液の製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。本剤はアルキル化作用とプリン代謝拮抗作用を期待して創製されたベンゾイミタゾール誘導体であるベンダムスチン塩酸塩水和物を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫」「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」及び「慢性リンパ性白血病」に対して1時間かけて投与する用法・用量が承認されております。今般、シンバイオ製薬株式会社から10分間投与の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて報告事項の議題4、資料No.11-1~11-2までの医療用医薬品の再審査の結果について御報告いたします。今回、御報告する品目は、トレアキシン点滴静注用及びケアラム錠です。これらの品目について、製造販売業者から製造販売後調査等の結果に基づいて再審査の申請が行われ、機構における審査の結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要のないカテゴリー1と判断いたしました。
 続きまして報告事項の議題5、医療用医薬品の承認条件について御報告いたします。資料の12を御覧いただければと思います。資料12、10分の2ページを御覧ください。テセントリク点滴静注1,200mgですが、平成30年1月19日、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の効能・効果で承認されており、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。今般、中外製薬株式会社から承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、収集された患者背景、安全性及び有効性に関する情報から、現時点で新たな懸念は生じておらず、本剤の適正使用に必要な措置は講じられていることから、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続きまして、先ほどのキイトルーダとレンビマの腎細胞癌に係る最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、そちらについても御紹介させていただければと思います。その他事項の資料No.13-1の後半部分を御覧いただけますでしょうか。まず、31分の15ページを御覧ください。31分の15ページから、キイトルーダの腎細胞癌に係る最適使用推進ガイドラインの案を付けております。なお、キイトルーダの腎細胞癌に係る最適使用推進ガイドラインは既に作成されており、本議題に関する一部変更承認に伴い、一部改正を行うもので、主な変更箇所にグレーのハイライトが付されております。対象となる効能・効果は、31分の17ページの枠内のとおりです。
 また、記載の形式は、これまでに作成しているガイドラインと同様で、31分の21ページ以降に、今回審査された臨床試験の成績を記載しております。また31分の30ページには、先ほどの審査における内容を踏まえた本剤の投与対象となる患者に関する内容を記載しております。最後の31ページ、投与に関して留意すべき事項については、これまで作成しているガイドラインと同様の内容となっております。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議題1~5及びその他事項議題1については、御確認いただけたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他事項議題1の残りの議題について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 その他事項の議題1の残りの議題といたしまして、資料No.13-2を御覧いただけますでしょうか。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定について説明させていただきます。品目は、キイトルーダ点滴静注100mgで、今般、MSD株式会社より子宮頸癌に関する効能・効果の追加に係る一部変更承認申請がなされており、最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定をしております。今後、関係学会にガイドライン(案)の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会において改めてガイドライン(案)を御説明することとなります。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から、御質問がありましたら承ります。よろしいでしょうか。ないようですので、その他事項議題1の残りの議題についても、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項議題2に移ります。その他事項議題2について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題2について御説明いたします。資料No.14を御覧ください。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明させていただきます。今回、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断されたものは、4品目あります。
 まず3ページを御覧ください。ベバシズマブ(遺伝子組換え)の「卵巣癌」適応ですが、これは既承認ですが、用法・用量に関する要望書が提出されました。これは海外第III相試験の結果に基づき、また国内の使用実態も認められることから、標準的な治療と位置付けられました。具体的な用法・用量は、28ページ~29ページに記載しております。なお、本品目と併用するリポソーマルドキソルビシンは用法・用量に関連する使用上の注意に「本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した場合の有効性及び安全性は確立していない。」とあるため、その部分については併せて手当がなされる予定です。
 31ページを御覧ください。続きまして、フルダラビンリン酸エステルの「急性骨髄性白血病」に関する要望書が、日本血液学会、日本小児血液・がん学会から提出されました。こちらについても海外のガイドラインを含め、エビデンスも十分あり、国内の使用実態も認められていることから、標準的な治療と位置付けられました。具体的な効能・効果及び用法・用量は、49ページ~50ページに記載をしています。
 続いて53ページを御覧ください。レノグラスチム、フィルグラスチムの「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」に関する要望書が日本血液学会、日本小児血液・がん学会から提出されております。本品目は、先ほど御説明したフルダラビンと併用して用いるものです。73ページを御覧ください。本剤は再発又は難治性のAML患者において、抗悪性腫瘍剤との併用下であっても、芽球の増加を促進させる可能性があると考えられることから、当該患者に対して禁忌となっておりましたが、今回、議論されました内容を踏まえて、適切な注意喚起をするために、除外規定を禁忌内に設けることが妥当と判断されました。具体的な効能・効果及び用法・用量は、72ページ~74ページに記載をしております。
 以上の品目について、検討会議において、要望された効能・効果に関する有効性、安全性は医学薬学上公知であると判断しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、その他事項、議題2については、御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが2月10日、木曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 皆様、本当にお疲れさまでした。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。また木曜日お会いいたします。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)