令和3年度第27回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和4年1月24日(月) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 医薬・生活衛生局 局議室
(オンライン会議会場) 

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、令和3年度第27回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開会いたします。
本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございます。
今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解と御協力のほど、お願いいたします。
議事録につきましては、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。また、今回もウェブ開催としておりますので、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ちまして、審議の進行方法等について、事務局より説明させていただきます。
○事務局 それでは、事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問を賜る際には、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした場合には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
その他、システムの動作不良等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールにて連絡する場合がございますので、その際は御確認をお願いいたします。御不便等をおかけする場合もあるかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
事務局からは、以上でございます。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、皆様、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
ウェブ開催ということで、事務局から御説明がありましたけれども、これまでの御説明に何か御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、まず、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明申し上げます。
本日の委員の出欠状況でございますが、佐藤委員より御欠席との連絡をいただいているところでございます。6名中5名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定によりまして、本日の会議は成立することを報告申し上げます。
続きまして、本日参考人として参加していただく先生を御紹介申し上げます。
議題1 レボノルゲストレル(緊急避妊の効能・効果を有するもの)の「使用上の注意」の改訂について、日本産婦人科医会より、母子愛育会総合母子保健センター愛育病院病院長の安達知子先生、日本産科婦人科学会より、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野教授の加藤聖子先生に御出席を賜っております。
以上でございます。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について、御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目・競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業につきましては、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところでございます。
その結果でございますが、石井委員より、バイエル薬品株式会社より50万円以下のお受け取り、柿崎委員より、あすか製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、舟越委員より、バイエル薬品株式会社より50万円以下のお受け取り、安達参考人より、あすか製薬株式会社及び科研製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、加藤参考人より、あすか製薬株式会社、科研製薬株式会社、バイエル薬品株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、との御申告を賜っているところでございます。
よって、全ての委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも参加が可能でございます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告につきましては、追ってホームページにて公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして、報告をさせていただきます。
薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されているところでございます。今回、全ての委員の皆様より、当該規定に適合している旨を御申告賜っておりますことを報告申し上げます。
報告は以上でございます。
○岡座長 ただいま、事務局から御説明のありました審議参加に関する遵守事項については、よろしいでしょうか。
特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたものといたします。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、あらかじめお送りさせていただいております。議題1に関しまして、資料1-1から1-7まで。また、当日配付資料といたしまして、安達参考人提出資料がございます。このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人一覧及び競合品目・競合企業リストをお送りしているところでございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせくださいますようお願いいたします。
なお、本日はオンラインでの傍聴になります。資料につきましては、厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、傍聴の方はそちらを御覧ください。
以上でございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、進めさせていただきます。
議題1「レボノルゲストレル(緊急避妊の効能・効果を有するもの)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明させていただきます。
資料1-1から1-7がございますが、主に資料1-1に基づきまして御説明をさせていただきます。「レボノルゲストレル(緊急避妊の効能・効果を有するもの)の『使用上の注意』の改訂について」でございます。
「1.品目概要」ですけれども、一般名は「レボノルゲストレル」です。販売名は「ノルレボ錠1.5mg 他」ということで、「他」には後発医薬品が含まれております。
承認取得者としまして、「あすか製薬株式会社 他」。
効能・効果は、「緊急避妊」になります。
「2.経緯」ですけれども、令和3年7月、あすか製薬株式会社から医薬品医療機器総合機構に対し、ノルレボ錠1.5mgの「使用上の注意」について改訂を行いたい旨の相談が申し込まれました。
相談内容といたしましては2つございまして、1つ目としまして「9.4 生殖能を有する者」の項におきまして、「本剤の投与に際しては、内診、免疫学的妊娠診断等により妊娠していないことを十分に確認すること」との記載について、妊娠していないことの確認方法として「内診」が必要であるという誤解を招くおそれがあるため、例示から「内診」の記載を削除するというもの。
2つ目としまして、「9.5 妊婦」の項におきまして、「妊娠初期・中期に投与した場合には、女性胎児の外性器の男性化又は男性胎児の女性化が起こることがある」との記載について、「本剤服用による出生児への影響の疫学的報告はない」こと等を踏まえて、当該記載を削除し、また、既に成立した妊娠には本剤の効果は期待できない旨を追記するというものになります。
「3.調査結果及び対応方針」についてご説明します。
まず、1つ目としまして、相談内容の2つ目に対応するものといたしまして、(1)妊娠中に緊急避妊を目的として本剤を単回使用した場合の児への影響についてになります。
調査結果といたしまして、1つ目、国内外の診療ガイドライン等において、本剤を使用した場合に児への影響はない旨の記載は認められましたが、児への影響があるとする記載は認められませんでした。
2つ目、海外添付文書、米、英、独、仏、カナダ及びオーストラリアの6か国の記載状況を確認した結果、いずれの添付文書においても、本剤の使用が児に影響することは示唆されていない旨及び既に妊娠が成立している場合には有効性が期待できない旨が記載されております。一方、海外添付文書の中には、児に対して悪影響を及ぼす可能性を排除するには、データが十分ではない旨及び非臨床試験において高用量を投与した場合に雌胎仔の雄性化が認められた旨の記載も認められました。
3つ目としまして、本剤を使用したにも関わらず妊娠に至った場合の児への影響に関する公表文献を検索した結果ですが、関連する文献が9報、内訳として、レビュー文献が5報、観察研究が3報、症例報告が1報、認められました。レビュー文献及び観察研究ではいずれも児への影響は認められなかった旨が記載されていました。症例報告では、子宮内胎児死亡が認められたとの記載内容でございました。
なお、症例報告において認められた事象は、薬剤以外の原因による偶発的な先天異常の可能性が否定できないことから、本症例報告における本剤の影響を薬剤性であると結論づけることは困難と考えられます。
本項目の最後ですが、現行の本剤の「使用上の注意」、「9.5 妊婦」の項における「妊娠初期・中期に投与した場合には、女性胎児の外性器の男性化又は男性胎児の女性化が起こることがある」との記載については、本剤の製造販売承認申請当時の申請資料概要によりますと、申請当時に承認されていた緊急避妊の効能・効果を有しない他の黄体ホルモン製剤の添付文書を参考に設定した旨が記載されております。
対応方針になります。
ただいま御説明しました調査結果から、本剤の「使用上の注意」、「9.5 妊婦」の項については、以下の改訂を行ってはどうかということになります。
1つ目、国内外の診療ガイドライン等において、本剤を使用した場合に児への影響はない旨が記載されていること、いずれも海外で実施されました観察研究におきましては、本剤の使用による児への影響が示唆されていないことを踏まえまして、「9.5 妊婦」の項には、「海外で実施された観察研究において、レボノルゲストレルを緊急避妊に使用したにもかかわらず妊娠に至った場合の児の奇形、流産等の発現割合は、非投与の場合と比較して差は認められなかったとの報告がある」を追記する。また、同項に、「既に成立した妊娠には、本剤の有効性は期待できない」という記載を追記する。
2つ目、現行の「妊娠初期・中期に投与した場合には、女性胎児の外性器の男性化又は男性胎児の女性化が起こることがある」との記載につきましては、緊急避妊を効能・効果とする医薬品ではない他の黄体ホルモン製剤における報告であることを明確化した上で、「15.その他の注意」の項での情報提供とするというものになります。
次に3ページ目に行っていただきまして、こちらは相談内容の1つ目に対応するものですけれども、(2)妊娠していないことの確認方法について、御説明させていただきます。
調査結果になります。
国内外の診療ガイドライン等を確認した結果、いずれの資料においても、内診が必要との記載は認められませんでした。なお、国内外の診療ガイドライン等では、免疫学的妊娠診断が必要との記載も認められておりません。
2つ目、海外添付文書の記載状況を確認した結果、米、英、独、仏の4か国の添付文書においては、妊娠していないことの確認が必要との記載は認められませんでした。カナダ及びオーストラリアの添付文書においては、妊娠が疑われる場合にはそれぞれ「妊娠検査(a pregnancy test)」及び「妊娠検査又は骨盤内診察(pregnancy testing or pelvic examination)」の実施を推奨する旨の記載は認められましたが、本剤を投与する患者に対して一律に実施すべき検査等に関する記載はございませんでした。
対応方針になります。
ただいま御説明しました調査結果及び次の理由を踏まえまして、本剤の「使用上の注意」、「9.4 生殖能を有する者」の項において「本剤の投与に際しては、内診、免疫学的妊娠診断等により妊娠していないことを十分に確認すること」の記載について、妊娠していないことの確認方法の例示(内診、免疫学的妊娠診断等)という記載を削除してはどうかというものになります。
理由としましては、(1)のとおり、妊娠中に緊急避妊を目的として本剤を単回使用した場合の児への影響は示唆されていないこと。
2つ目として、本剤は性交後72時間以内に使用する薬剤であり、妊娠していないことの確認に際して特定の検査が一律に必要であるとした場合、本剤を服用する機会を逸するおそれがあること。
3ポツ目として、ただし、(1)のとおり「既に成立した妊娠には、本剤の有効性は期待できない」ことから、妊娠していないことの確認は引き続き必要と考えたこと。
こちらが(2)の説明になります。
最後に(3)その他記載整備といたしまして、(1)、(2)で御説明しましたもののほか、現行の「使用上の注意」では妊娠に関する注意喚起の記載が幾つかの項に散在していること等を踏まえまして、本改訂に伴い、「9.4 生殖能を有する者」の項の記載を全て「8.重要な基本的注意」の項目に記載する整備を行うとしております。
御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、引き続きまして、今日御出席いただいております日本産婦人科医会の安達参考人より、御意見をいただけますでしょうか。
○安達参考人 それでは、安達より意見を述べさせていただきます。
皆様に資料をお渡ししておりますので、そちらを参考にしていただくと、私が述べる要旨がお分かりになると思います。
今お話がありましたように、妊娠を否定する方法と妊娠中の薬剤投与に関する懸念事項について2つの問題点が挙げられていたのですけれども、結論から申し上げますと、本剤の投与に際して、妊娠していないことを確認することは必要だと思っておりますが、「内診、免疫学的妊娠診断等」の文言を添付文書にわざわざ明記する必要はないと思います。
また、妊娠初期・中期に投与した場合に児への催奇形性を懸念する必要はないということでございますので、ここは削除でよろしいかと思います。
続けて意見を述べさせていただいてよろしいでしょうか。
○岡座長 どうぞ。
○安達参考人 ありがとうございます。
まず、緊急避妊薬というのは、もともと性行為を持った、その妊娠を回避したいということが目的でございますので、妊娠している女性にレボノルゲストレル製剤を処方しても、妊娠を回避・中断する効果はありません。ですから、妊娠していない女性に投与するということですので、妊娠していないことの確認は必要ということになります。これがまず1点です。
もう一つ、とても重要なこととしまして、妊娠していることに気づかずに服薬した場合、少なくとも今お話があったような児への催奇形性の問題はないと思います。けれども、もしそのまま経過した場合、御本人は緊急避妊薬を服用してもそのまま妊娠が継続していってしまいます。そうしますと、妊娠週数が進んでいくリスクがあるわけです。当然、この妊娠に対しては、本人は望んでいないわけですから、人工妊娠中絶を選択することになるかと思うのですが、その場合に、妊娠週数がずっと進んでまいりますと、いわゆる中期中絶というような、体に負担のかかる手術をしなければいけない。あるいは、法律に定められているように妊娠22週未満でしか人工妊娠中絶は適用されませんので、これを越えますと望まない状態でも中絶はできない、出産に至るということもあり得るわけです。
そして、もう一点は、異常妊娠が継続していく可能性はどうしてもあります。緊急避妊薬の服用とは全く関係なく、妊娠には一定の割合で異常妊娠が発生します。その頻度は、流産が10~15%くらい、異所性妊娠、これは子宮の適切な場所での妊娠ではなく非常に生命の予後に関わるような妊娠になるわけですけれども、この頻度が約1%、それから、胞状奇胎が0.5~0.6%程度あるのです。この3つが代表的な異常妊娠です。
もし、流産が起きているときは、妊娠がうまくいっていないので、どこかの時点で出血が増量してきて、腹痛とか、ひどい場合には大量出血になりますので貧血になる。あるいは必ずしも完全な流産になるわけではなくて不全流産といって、胎児に附属する胎盤を作るような成分が子宮の中に残ってしまったりすることがありますが、この場合は感染を起こす可能性があって、女性に健康障害をきたすということが起こり得るわけです。
異所性妊娠に関しましては、どこかの時点で大量出血、それも腹腔内出血のような状態になりまして、手術になる。最悪の事態は命を落とす。毎年、母体死亡の統計がありますが、その中の理由の一つに異所性妊娠というのは必ず入ってきております。異所性妊娠に気づかなければ、そういうことも起こり得る。
いずれにせよ、そのような理由から、妊娠していないことは確認する必要があると考えております。
もう少し述べてもよろしいでしょうか。
○岡座長 関係することであれば大丈夫です。
○安達参考人 妊娠の確認方法は、問診でいろいろなことを丁寧に聞いていくということで、かなり妊娠の可能性を否定できるかとは思うのですけれども、ただ、問診だけでは妊娠していないと言い切れない場合があるわけです。この場合には、躊躇なく尿による妊娠検査とか、妊娠検査で仮に陽性が出ますと、今度はそれが正常妊娠かどうかを見なくてはいけない。あるいは、初めからこれはすでに子宮の中に胎児がみえるのではないかと思えば、内診、経腟超音波検査を行うということです。
大切なことは、妊娠の確認方法は何段階かあり得る。妊娠しているということをいろいろな方法を使っても否定することが難しいときもあるのですが、段階的にいろいろな検査ができる。通常の産婦人科医が行っている確認方法なのですけれども、そのような形でいろいろな方法があります。
しかしながら、今回は、添付文書の中にはわざわざ妊娠の確認方法まで書き込む必要はないのではないかと思っているわけです。実際に昨年、日本産婦人科医会は8~9月に産婦人科医約5,000名に対しての緊急避妊薬に関する調査を行いました。そのときに、処方時に既に妊娠していたとか、もう既に妊娠中期に至っていたとか、妊娠30週だったとか。妊娠30週ということは、もちろん人工妊娠中絶は適用されませんけれども、そのような事例の記載もございました。異所性妊娠、その方は緊急手術をして命を取りとめたというような事例などについても記載がありました。そのため、私たちは妊娠していないことをきちんと確認することは必要だと思っていますし、その方法はいろいろな段階があることから、逆に今回は添付文書に記載する必要はないのではないかと思っています。
これは処方時よりも先のことになりますが、緊急避妊薬の処方時点で妊娠していないことを確認したとしましても、緊急避妊薬は100%妊娠を回避する薬剤ではございません。従って服薬してから3週間後ぐらいには、妊娠していないことを確認するということも大切だと思っておりますので、併せてその点についても述べさせていただきました。
ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
続きまして、日本産科婦人科学会の加藤参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○加藤参考人 今、安達先生が詳しく述べられましたので、その意見には全く同意します。付け加えるとすると、この緊急避妊薬の一番の目的というか今、改善すべきことはアクセスをよくすることだと思います。最初の文言に「内診」という言葉が入っていると、それはイコール婦人科を受診してからということになってしまいます。今、オンラインなどの新しいシステムも広まっておりますので、「内診」という言葉を省くことに関しては、特に問題はないと思います。
ただ、やはり重要なのは、その後のフォローをちゃんとしていくということですので、この改訂案の中の8番に「重要な基本的注意」をまとめていただいておりまして、ここは非常に重要だと思っておりまして、ここの部分を少し強調するような記載、太字にするとか、下線をそのまま引くとかということをしていただいたらいいかなと思っております。
そして、「8.重要な基本的注意」の中に、8.3、妊娠していないことというのを加えていただくというのは、その後のフォローにもつながっていきますので重要かなと思っております。
あと、男性化、女性化、催奇形性のところは、科学的エビデンスに基づいた記載に改訂されておりますので、特に異議はございません。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明といただいた御意見に基づいて、委員の先生から御意見、御質問等はございますでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生方の意見を拝聴しまして、適切に産婦人科で診断なり結果のフォローがされていれば、内診や免疫学的妊娠診断の文言は要らないということは、非常によく理解できました。
先ほども、アクセスをよくするというお話があったのですが、産婦人科で適切に処方されればいいかと思うのですけれども、アクセスをよくするという意味で、この文言を外すことによって、例えば保険外診療でやっているようなクリニックで、産婦人科の知識の乏しいような先生あるいは一般内科等でこういった薬剤が処方される可能性はないのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがですか。
○事務局 事務局でございます。
柿崎先生、御質問ありがとうございます。
我々の理解では、緊急避妊は現時点でも保険適用はなく、自由診療として行われているものと認識しております。
この文言を外したときにどうなるのかにつきましては我々も想像がつかないところがございますので、もし可能であれば、参考人の先生方から御意見を賜れるとありがたいと思います。いかがでしょうか。
○岡座長 産婦人科の実臨床ということで、参考人の先生方から御意見をいただければと思います。
まず、安達参考人、いかがでしょうか。
○安達参考人 先ほど加藤参考人からもお話があったと思いますけれども、今、緊急避妊薬は、産婦人科医が処方するだけでなく、内科で処方されたり、ほかの診療科でも処方されることがあります。そして、オンラインでの診療というのもあります。オンラインの診療はかなりしっかりとした講習を受けていただいて行うもので、基本的な知識とか、どういうところに問題があるとか、処方、調剤した後にどのようなことを指導するとか、そのようなことまで含めたかなり詳しい内容になっております。
本来、緊急避妊薬についてのいろいろな要件や懸念事項なども全て理解した方に処方していただきたいというものですが、今、心配なさっていたように、あまりきちんとした指導がなく処方されているようなことが、産婦人科以外の先生ですとあるかもしれないと思っております。そのあたりのところで最も重要な点として強調していただきたいことが、服薬した後のフォローアップをしっかりしていただくということと、処方をなさる方には、オンライン診療をなさる方たちにしている講習をしっかり受けていただきたいと思っております。
○柿崎委員 ありがとうございます。
処方される方には、適切な講習を受けて、適切な処方をしていただくように、製薬企業のほうからも啓発等をしていただければと思います。
以上です。
○岡座長 今の点、加藤参考人のほうから追加の御意見、御発言はございますか。
○加藤参考人 いえ、特に大きい追加はないのですけれど、安達先生が言われたように、今はだんだん時代が変わってきていまして、オンライン、そして、ちょっと今日の会議とは外れますけれどOTC化の会議なども行われておりますので、時代に即した変更は必要かと思っております。先ほども言いましたように、重要なのはその後のフォローですので、ここをしっかりやっていただきたい。
そして、処方する際にも、オンラインは必至になりますし、OTC化が進んでいくと今度は薬剤師さんということにもなりますので、その辺の研修システムはもう既にいろいろ立ち上がっているところではありますが、そこのところをどこかで厚労省の方々にも啓発していただけたらと思っております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
制度のことについても教えていただいたかと思います。注意点について、幾つか貴重な御意見をいただけたかと思います。
それでは、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
添付文書の改訂の必要性とその意義について、理解いたしました。
1つ、形式上のことなのですけれども、今、資料1-5の添付文書の改訂案で、「8.重要な基本的注意」の8.3、本剤の投与に際しては以下の点を確認することということで、2つ並べられることになるわけですけれども、今のお話ですと、妊娠していないことも問診が中心になるというか、問診で確認するということが最初に行われるということですので、2つ目に「問診等による、肝機能異常、心疾患、腎疾患及びその既往歴の有無」とあるのですけれども、例えば問診等により以下の点を確認することとして2つ並べるというのはいかがなのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがですか。
○事務局 事務局より回答させていただきます。
まず、妊娠していないことの確認につきましては、国内ガイドライン及び緊急避妊薬の適正使用に関する指針におきまして、緊急避妊薬の処方前には問診を行うという記載がございますことから、「妊娠していないこと」という確認の記載のみであっても、まずはガイドラインや指針に従って先生方に御判断いただいて、問診等を行いまして、さらに必要に応じて追加の検査を行うということがなされるものと考えております。
一方で、肝機能異常、心疾患、腎疾患及びその既往歴の有無の確認につきましては、「問診等による」という記載がないと、検査が必要であると解釈される可能性が高いのではないかということから当該記載を行っております。
○伊藤委員 もちろんそれは「問診等による」を削除してほしいということではなくて、両方とも問診等であれば、「問診等により」みたいなことを最初に持ってきたらどうかなと。両方に共通のこととして、「問診等により、以下の点を確認すること」でもいいのかなと思ったのです。バランス的にそのほうがいいのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○岡座長 これは問診だけでということではなくて、妊娠の否定は、その診た先生の判断で尿の検査をしたりとか、そういうことかなと思うのです。
安達委員、手を挙げていただきましたか。もしよろしければ教えてください。
○安達参考人 まさに今、座長がおっしゃったことを申し上げようと思いました。
問診は最初のところで絶対必須なのですけれども、先ほども申し上げましたが、どうしても妊娠の可能性があるかもしれないと思ったときは次の検査に入っていきますので、問診だけということではないということから、そこだけで共通して書くのは難しいかなと思いました。
○伊藤委員 「問診等により」とかでも、やはり書かないほうが無難なのでしょうか。
○安達参考人 手段を1つ書くというよりは、もし書けるのであれば、どこか別のところの記載で書いていただければということで、その1つの方法をわざわざ書く必要はないと私は思っております。
産婦人科医の中には、全例やはり妊娠反応を必ず見てから処方するという医師もいらっしゃいますし、いろいろな考え方がありますので、妊娠をしていないことを確認するということでよろしいのかと思いました。
○伊藤委員 承知いたしました。ありがとうございます。
○安達参考人 ありがとうございます。
○岡座長 それでは、石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
産婦人科医の皆さんが非常に慎重に対応くださっていることは理解いたしました。
その上で、妊娠後そのままのこの薬を服用しても妊娠が継続してしまうケースもあると思うのですが、その後は、服用された方のフォローとかバックアップ体制など、かなり御協力いただかなければいけない。そうでないと、適切なその後の対応ができないと思います。そのあたりは何か資材とか、バックアップするようなパンフレットといったものは実際にうまく利活用されているのでしょうか。
○岡座長 これも事務局というよりは、もし産婦人科の先生方のほうで何か実情を御存じでしたら、教えていただけるとありがたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
安達委員、よろしいですか。
○安達参考人 これについても、もちろんこれで妊娠を100%回避できるわけではないというお話をしっかりしております。緊急避妊薬処方時にどのような指導をするかという指針がありますので、その中で、今言いましたように、妊娠継続する可能性があるのだということと、それを確認する必要があることが示されています。
確認の方法としては、3週間ぐらいまでに月経が来るということもありますが、これらについて基本的には口頭で説明しているところが多いようです。ただ、もちろん文書で作っているところもあります。
今、薬剤師会のほうで、調剤したときにダブルでいろいろな注意をするという形を取ろうという動きになっておりますので、確認するチェックリストのようなものを作ったりという形にはしています。
ただ、処方した医師あるいは処方した医療機関と、その後妊娠継続の有無等を確認するところが違うことがあるのです。同じところに来てくだされば全然問題ないのですけれども、例えば先ほど言いましたように、オンラインですとどこかの医療機関で処方してもらって、確認は自分が行きやすい産婦人科になったりとか、あるいは、自分で妊娠反応を確認するという方もいらっしゃるかもしれません。その点は大きな問題だと思います。
というのは、御本人は月経が来たと思っていても、それは月経ではなくて不正出血で、実は妊娠継続していたという方もいらっしゃるはずですので、そういうことも含めて、いろいろな慎重な扱いは必要です。そのような方向を入れて、私たちも啓発するようないろいろな資材を作っております。
ただし、患者さん向けではなくて、医師向け、医療者向けにいろいろな資材を作っておりますので、患者さんにはその施設がいろいろなことの考え方に沿ってなさっている形になります。
○岡座長 ありがとうございます。
舟越委員、先ほど手を挙げておられたでしょうか。
○舟越委員 ありがとうございます。
先ほどの委員の先生方と同じように、問診のところはどのように記載を反映していけばいいのかというところは、議論は一緒でしたので、特にそこに関してはございません。
○岡座長 ありがとうございます。
あと、加藤参考人のほうから、8番の記載をもう少し強調できるといいのではないかという御意見は、特に「妊娠していないこと」というところでしょうか。
○加藤参考人 それだけではなく、その上に書いてある文章も重要だと思っていまして、これはあくまでもそのときの性交後の避妊薬であって、計画的な避妊薬ではないということを、使う人も処方する側も分かっていてほしいと思いますので、8番は割と全て重要かと思っております。
○岡座長 ありがとうございます。
私のほうから事務局に質問です。強調するときというのは、何か方法があるのですか。
○事務局 事務局でございます。
添付文書の書き方につきましては、記載要領という形で定めてございます。文字のフォントや色などに関しましても細かいルールを決めておりまして、例えば禁忌とか警告とか特に重要なものに関してのみ赤ということなのですが、重要な基本的注意という項目に関しましては、基本的には太線にしたり、下線を引いたりということで目立たせるというのは難しいと考えておるところでございます。
ただ、あくまで重要な基本的注意ということで、特にこの項目につきましてはよくよく御理解いただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○岡座長 分かりました。確かに禁忌とかとはまた違いますね。そういう意味で、この項目自体に上げることで強調しているという御説明だったかと思います。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、事務局提案の大きな修正点はなかったかと思いますので、レボノルゲストレル(緊急避妊の効能・効果を有するもの)の注意事項等情報については、事務局の御提案のとおりの「使用上の注意」の改訂ということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 委員の先生全員に首肯していただいたかと思いますので、御異議なしということで、御承認いただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。
レボノルゲストレル(緊急避妊の効能・効果を有するもの)の製造販売業者に対しまして、本日の審議結果のとおり「使用上の注意」を改訂するよう指示いたします。
また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告をいたします。
以上になります。
○岡座長 事務局からの御説明について、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本議題については終了したいと思います。ありがとうございました。
予定した議題は以上ですけれども、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 次回の開催につきましては、改めて御連絡申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○岡座長 それでは、活発な御議論、御討論をありがとうございました。
本日の調査会を閉会とさせていただきます。