第174回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和4年1月21日(金)18:15~19:15

場所

厚生労働省仮設第4会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)
厚生労働省仮設第3会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第174回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の委員の御出欠でありますけれども、公益代表の太田委員が御欠席です。それから、酒井委員は少し遅れて御参加の予定です。
事務局では、富田審議官が公務のため、欠席となっております。
カメラ撮影はよろしいですね。
(報道関係者退室)
○山川分科会長 本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。発言方法につきましては、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
では、議事に入ります。議題は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。20日付で厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、同日行われた労働力需給制度部会においてあらかじめ議論をいただいております。
それでは、資料と部会での議論につきまして、事務局から説明をお願いします。
○需給調整事業課長 事務局の需給調整事業課長の篠崎でございます。
資料につきましては、資料1-1、資料1-2が省令の諮問関係でございます。参考資料が2種類ございます。こちらの参考資料のほうが、今回の背景となる資料や対応案をまとめたものでございます。また、今、分科会長から御説明がありましたように、省令の諮問につきましては、分科会に先立ちまして労働力需給制度部会で御説明し、御議論いただきましたので、そちらでも使用した参考資料の2つのほうから説明させていただきたいと考えております。
なお、資料の説明の前に口頭ですが、労働者派遣事業における業務の範囲について御説明をさせていただきます。
労働者派遣事業はいわゆるネガティブリスト化ということで、法令に規定する禁止業務以外については実施できるという構成になっております。現在派遣法で定める禁止業務は港湾運送業務、建設業務、警備業務、そして政令で定める禁止業務が医療関連業務となっており、医療関連業務につきましては、政令や省令で具体的な禁止の範囲が定められており、今回は省令の範囲の変更を御議論いただくものとなります。
また、医療関連業務につきましては、労働者派遣を原則禁止している考え方を申し上げたいと思います。病院等において行われる医療は、医師や看護師等の専門職がチームを形成し、チームの構成員が十分な意思疎通の下に業務を遂行することが不可欠であり、労働者派遣の場合、チーム医療に支障が生じるおそれがあり、また、医療の適正実施が人の身体、生命に関わるものであることで、原則、労働者派遣の適用除外の業務としているものであります。
一方、例えば、看護師についていえば、従来より一定の社会福祉施設については派遣可能となっております。また、令和3年4月より、僻地の医療機関につきましては、地域医療を確保するための人材確保の必要性の観点等を踏まえ、労働者派遣を可能としたところであります。また、暫定的対応としては、最近では新型コロナのワクチン接種会場での人材確保の観点から、期間を区切った形で労働者派遣を可能にするといった対応をしているところであります。
前提の説明が長くなりましたが、今、御説明したように、医療政策上の観点が重要になっているものでありまして、医療分野の労働者派遣の範囲につきましては、通常、労働政策審議会の議論に先立って、社会保障審議会医療部会でも議論を行っております。今回、緊急的な対応という中で医療部会における議論を行えなかったので、事前に医療部会の関係者の御意見につきましては、事務的にお聞きする形になっており、正式な医療部会の場では事後となりますが説明する予定であります。本日は、事務局から医療政策上の必要性なども含めてまとめて御説明いたしますが、質疑対応で厚労省のコロナ本部の医療班、医政局の職員も本日の分科会に出席しておりますので、適宜質疑対応や補足説明をさせていただければと考えております。
では、具体的な資料の説明をさせていただきます。若干口頭で補足する部分もございますが、まず、参考資料1を御覧ください。
2ページ、新型コロナ感染症の全国の感染状況であります。上の箱の中にありますように、新規感染者が急速に増加し、医療提供体制が逼迫する可能性があります。オミクロン株は症例数が2倍になるまでの日数が海外の事例では1.5~3日程度と極めて短いと言われております。また、重症度は低いと言われておりますが、伝播性が高く、感染すると一定の入院が必要となる人も増える可能性があると指摘されているところでございます。
新規感染者数はグラフの左にあるとおりでございますが、急速に増加しておりまして、1月8日の週ベースでは8万5000人程度と急増し、1月19日には4万人規模となっております。また、右側の病床使用率も直近では25%程度まで上がってきておるところでございます。
3ページは沖縄の状況です。全国よりも先に急速な拡大をしております。左側の新規感染者数も1月8日の週では1万人弱に増えております。また、右の病床使用率もグラフ上は20%程度となっておりますが、足元では50%を超える動きであります。また、枠の中にありますように、感染や濃厚接触により出勤できない医療従事者数が1月12日現在で628人になるなどの状況もあるところでございます。
4ページは省略させていただきまして、5ページは今回の議題に関する臨時の医療施設に関する資料でございます。新型インフル特措法に基づく臨時の医療施設の設置については、自治体に対して整備を依頼しております。現状では、31都道府県57施設に設置しているところですが、今後もさらなる整備を依頼しているところであり、その際には、看護師等の人材確保が大きな課題となります。沖縄県からも看護師の確保が課題といった要望が来ているところでございます。
6ページは、「全国知事会からの要望について」という資料でございます。全国知事会からも具体的な要望が出されております。下のほうの太字の下線部のところでございます。補足しますと、現状でも宿泊療養施設への看護師の労働者派遣は可能であり、その旨を改めて周知しているところでありますが、臨時の医療施設への労働者派遣の特例的な対応が求められていると受け止めており、これが今回の措置に該当することになるものでございます。
続きまして、参考資料2と書いてあるものの2ページでございます。現状と今後の対応案に分けて書いておりますが、制度の現状につきましては、看護師の労働者派遣は原則禁止ですが、僻地の医療機関については令和3年4月から可能としております。一方、僻地以外に存在する臨時の医療施設では、看護師の労働者派遣が禁止された状態であります。
今後の対応案の部分であります。全国知事会の要望や急速な感染の増加に対応するための選択肢の一つとして、新型コロナウイルス感染症に係るものに限定した上で、令和4年度末までの期間を限り、僻地以外の地域にある臨時の医療施設についても看護師等の労働者派遣を可能とするという省令改正であります。
なお、省令事項ではありませんが、医療の適切な確保の観点から、事前研修を求めること、直接雇用をしている医師や看護師等との意思疎通が十分になされるよう必要な措置を求めることとしたいと考えております。
以上が内容の説明でございます。
次に、関係者の意見を御紹介いたします。口頭で恐縮ですが、御説明させていただきます。
まず、社会保障審議会医療部会関係者の主な意見を御紹介します。昨日の労働力需給制度部会では医政局より御報告した内容でございます。今回の特例措置については、緊急時における対応とすることで理解できるという意見、あくまで臨時的な措置であり、今回の改正案のように時限措置として実施する必要があるという意見、現場において、特例措置であることを踏まえて運用なされるべきであり、また、直接雇用される者との意思疎通が十分なされるべきという意見が出されたところであります。
次に、昨日の労働政策審議会労働力需給制度部会の議論を報告いたします。まず、御意見でございます。急速な感染拡大、自治体の要望を踏まえ、今回の措置は妥当と考える。医療関係業務が適用除外ということを認識しつつ、必要に応じて、今後医療部会等で議論していくことが望まれる。本来、医療部会での議論が先にあるべき。看護師の確保は医療政策上の課題であり、労働者派遣に頼らずとも人材確保できるように医療政策として対応をしっかり検討すべき。あくまで期間を区切った特例という前提でやむを得ない。その際、特例措置の実態把握と部会への報告を求める等の要望をいただきました。
以上が労働力需給制度部会の御意見の御紹介となります。全体として対応案について御理解をいただきましたが、運用上の御意見や審議会の手続面などの御意見をいただきました。その上で、結論として省令案要綱についてはおおむね妥当との意見をいただいております。厚生労働省としては、了解いただきましたら、施行、運用等に当たり、審議会でいただいた御意見も踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。
以上、部会の御議論の報告となります。
説明の最後になりますが、諮問の資料の省令改正の概要について御説明いたします。概要は資料1-2でございます。今、御説明した内容をまとめたものでございますが、臨時の医療施設に対する看護師及び准看護師の労働者派遣について、令和4年度末までの期間に限り認めるという内容でございます。施行日は公布日施行ということで、速やかな施行を予定しております。
労働者派遣法の施行規則の改正の要綱は、資料1-1の最後のところでございますが、これが省令改正の要綱でございます。今、申し上げた内容を記載しているものでございまして、労働者派遣法の施行規則の一部改正をするという内容でございます。
御審議のほどよろしくお願いいたします。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明をしていただきました本件につきまして、御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックして、こちらで指名をさせていただいた後に、お名前をおっしゃっていただいて御発言していただければと思います。御質問、御意見等はございますか。
冨高委員、お願いします。
○冨高委員 昨日の労働力需給制度部会でも申し上げましたけれどもが、改めて本分科会でも御意見を申し上げたいと思います。この間、ワクチン接種会場の看護師派遣の特例を含め、度重なる特例によって本来禁止されている労働者派遣が実質的に拡大していることについては、強い懸念を持っていおりまするところでございます。先ほど、事務局から医療政策上の観点が重要になったということで御説明がございましたけれども、まさにそのとおりでございまして、この間申し上げ続けているとおり、本来、この問題は医療政策上の課題であって、医療政策において検討し、解決すべきものだと考えております。であり、医療部会でまず議論すべき内容だと考えておりますいるところでございます。
ただ、今般の感染の急拡大、またそれを踏まえた知事会からの要望などもございましたので、臨時の医療施設の看護師派遣につきましては、あくまで期間を区切った特例であることを前提として、やむを得ないと考えます。しかし、るところでございますけれども、派遣は最後の手段であって、まず直接雇用にて人材確保手段を尽くしていただくこと、また、医療の安全性確保の観点からも事前研修を含めて必要な措置をしっかり実施していただくこと、また、派遣法の趣旨については自治体にしっかり周知・徹底していただき、助言していただきたいと思います。
本日、また昨日の意見も含めて、方向をしっかり御対応いただければと考えているところでございます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
大下委員、どうぞ。
○大下委員 ありがとうございます。
オミクロン株の急速な感染拡大に当たっての臨時的・時限的措置として、改正案の内容に基本的には異論ございません。臨時医療施設に必要な看護師等が円滑に派遣されて、有効に機能することを期待しています。その際には、現場でチーム医療がしっかりと機能して、派遣された看護師の方々ができる限り過重労働にならないよう、派遣に当たっては事前研修の徹底等をよろしくお願いします。
既に東京商工会議所では地元医師会と協力して職域接種の準備を進めるなど、医療逼迫回避のために各地商工会議所としても感染拡大の防止には最大限協力してまいります。厚生労働省におかれましては、今回の改正について、本来医療部会で議論すべきとの意見もございました。感染症に対する医療資源の機動的かつ効果的な活用に向けて必要な措置があれば速やかに関係者の意見をしっかり聞いた上で遅滞なく講じていただくよう、引き続き取組をよろしくお願いします。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
砂子田委員から先ほどお手が挙がったと思います。砂子田委員、お願いします。
○砂子田委員 東北電力の砂子田でございます。御指名いただきましてありがとうございます。
今般の急速な感染拡大を踏まえまして、自治体による臨時の医療施設の整備の加速が見込まれる中で、看護師等の人員対処を整備して、医療提供体制を確保することは極めて重要なことだと考えます。コロナという国難に対応するために、全国知事会からの要請に応じる形で臨時の医療施設への看護師等の労働者派遣を可能とする対応案につきましては妥当と考えます。
今後も時々の状況や要請等に対応しまして、派遣先のニーズに適切に応えていくことは非常に重要だと考えますし、東日本大震災を経験した者として、例えばですが、有事における機動的な医療提供体制の確保という観点からは、広域的な災害等が発生した場合にも労働者派遣制度の活用は有効ではないかと考えます。いろいろ御説明のあったとおり、医療関係業務が適用除外とされている理由については十分に認識しながら、必要に応じて医療部会等で御議論いただくことが望まれるのではないかと考えます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 中央会の馬渡でございます。
全般的な趣旨は皆さんおっしゃったように妥当だと思っておりますけれども、今まで僻地以外は派遣がないということであれば、今回、来年3月まで収まらなければ派遣をすることになるのでしょうから、集め方が問題になるのかなと。派遣の業者さんがSNSとかいろいろなネットでお集めになる場合に、通常の場合の縛りがありますから、緊急だから何でもできますということにならないように目配りはしていただきたいと考えております。その辺のところは、緊急で急に集めなければいけないという部分でどたばたはすると思いますけれども、その辺もきちんと厚労省さんのほうで目配りをしていただければ幸いかなと。ふだんの場合と違うという部分も踏まえて考えていただければと思っています。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
いろいろ御意見をいただきました。派遣制度に沿った適切な運用を行ってほしい、先ほどありました研修指導等を含めた適切な運用を行ってほしい、あるいは、医療部会との連携等についての御意見もいただいたところです。そうした御意見を踏まえた上でということですけれども、当分科会としては厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から報告することにいたしたいと思います。そういうことでいかがでしょうか。御意見、御異議等はございますでしょうか。
(「賛成です」と声あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかは特段御異議ございませんでしょうか。
では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 こちらの報告文案は、昨日の労働力需給制度部会のおおむね妥当と認めるという報告を受けて下記のとおり、すなわちおおむね妥当という報告を労働政策審議会会長宛てに行うという形になっております。この表示された報告文案で労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。御異議ございませんでしょうか。
(「はい」と声あり)
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、このように報告をさせていただきます。
本日予定されておりました議題は以上ですけれども、この際、委員の皆様から何か御発言はございますでしょうか。ございませんでしょうか。
それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。皆様、お忙しいところ、大変ありがとうございました。