第171回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年12月8日(水)17:00~19:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館17階国会側)
厚生労働省 仮設第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)
 

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第171回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の太田委員が御欠席と伺っております。
 なお、公益代表の小畑委員、労働者代表の西尾委員が遅れて御参加の予定です。
 カメラ撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
〇山川分科会長 本日の分科会はZoomによるオンラインでの開催になります。発言方法につきましては、事前に事務局からお送りしております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に従って操作いただきますようお願いいたします。
 では、早速、議事に入らせていただきます。
 最初の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。こちらは本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
〇雇用開発企画課長 雇用開発企画課長でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先般お諮り申し上げて一度御議論いただきました雇用調整助成金の3月までの形につきまして、本日、省令の改正案の要綱を諮問させていただいております。資料は1-1と1-2でございます。いつもどおり概要の資料1-2で御説明させていただければと存じます。
 まず、2ページの表を御覧いただけますでしょうか。左側の青い部分が雇調金でございます。原則的な措置につきましては、中小・大企業とも3月まで助成率は現行維持、上限額につきまして1、2月に11,000円、3月に9,000円と段階的に見直していく案でございます。現行の内容は本年5月1日から12月31日までの8か月間継続してきたところでございました。
 黒枠になっております地域特例・業況特例につきましては、3月まで現行の水準を維持する案といたしております。
 下の※2を御覧くださいませ。業況特例の注釈でございますが、この中のなお書きにありますとおり、来年1月1日以降に新たに判定基礎期間の初日を迎える件につきましては、業況が30%落ちていることの確認を再度行わせていただいて、手厚い制度が必要な企業に適用されるように、これは審議会での指摘も踏まえまして見直しを行います。この再確認につきましては省令の改正事項ではないので、今回諮問した要綱には記載がございませんが、職業安定局長の通達で着実に実施をいたします。
 ※3は、解雇がない場合の助成率に関する注釈でございますけれども、原則的特例ではこれまで解雇なしの判断期間を令和2年1月24日以降としておりまして、現時点では2年弱の間解雇がないことが要件となっております。これを来年1月以降につきましては、判断期間を見直しまして、地域・業況特例と同じように令和3年1月8日以降を判断期間とする改正をう案としております。
 1ページに戻っていただきまして、縦置きの概要紙を御覧くださいませ。➀が先ほどの原則特例、➁が業況・地域特例でございますが、➂と➃につきましては、その他の特例でございます。
 ➂は、代表例としては、継続して雇用された期間が6か月未満の被保険者についても助成するなどの特例措置の適用対象を、対象期間の初日が令和2年1月24日から令和4年3月31日までの間にある場合に期限を変更する案でございます。
 ➃につきましては、休業等について支給上限日数に加えて、この期間中は追加で受給可能という期間につきまして、令和4年3月31日まで延ばすという案でございます。
 先般閣議決定されました経済対策の中で、成長分野に今後、人が円滑に移動できるように、人手不足の産業への在籍出向などの支援も行っていくことが盛り込まれました。来年以降は雇調金をだんだんに見直していく案として今般諮問させていただいておりますが、単に切り下げるだけではなく、例えば、産業雇用安定助成金への移行に向けて丁寧に周知を行ったり、具体的な支援を行ったりということも強化しながら併せて行ってまいりたいと存じます。
 次に、4ページに雇用調整助成金の支給状況の一覧表がございます。赤枠で囲った金額の右下に11月27日から12月3日までの最近の数が出ておりますけれども、雇調金の特例が始まってからこの期間までにおよそ5兆円の支出が雇調金で行われております。これは週に大体500億のペースで変わっておりません。前回の分科会におきまして御質問いただいた件が1つございました。来年年明けからも特例措置を延長することによる財政負担がどのくらいあって、どういうところが財政負担をするのかという御質問をいただいておりました。その折には、まだ補正予算の概要が明らかになっておりませんでしたので、積算はなかなか難しいとお答え申し上げましたが、その後11月26日に補正予算案が閣議決定されたところでございます。そこに盛り込んだ案といたしましては、現行の500億円前後の支出が仮に今と同じ水準の助成条件の中で継続した場合でも、年度末まで賄える規模の措置をお願いし、それが盛り込まれたものでございます。一般会計で約8,000億円を措置する案となっておりますので、御報告申し上げます。
 最後、5ページに雇用情勢のデータをおつけしております。少し御説明申し上げます。有効求人倍率につきましては、リーマン・ショック時には0.42倍まで落ち込みましたが、今般の一つの特徴として1.04で底打ちしたということもございました。直近の足元では1.15倍となっております。
 ➂の完全失業者数につきましては、直近の10月の182万人、前月より7万人減でございまして、だんだんとコロナ前の水準に戻りつつある状況でございます。
 ➃の休業者数は、労調から役員を除く雇用者だけで抽出しておりますけれども、ここ数か月間続けて減少トレンドにございます。役員も含めた、雇用者でない方も含めた全数では、実数として164万人の休業者がいらっしゃいますが、これもコロナ前の水準と同じレベルまで戻ってまいりました。
 また、➄の正規雇用労働者数につきましては、足元の10月で前年同月差でプラス31万人。これは日銀の短観を見ましても、今回の特徴として多くの業種において一貫して人手不足が続いていた業種も多かった。一時期製造業が「過剰」のほうに振れていましたのと、今もって宿泊・飲食サービスにつきましては「過剰」になっておりますけれども、表のように正規雇用の労働者についても増えている状況にございます。
 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして御意見・御質問がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃっていただいて、御発言いただくようお願いいたします。
 では、新田委員、お願いします。
〇新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。
 御説明を聞く限り、雇調金の特例措置については今年度末まで延長するということ、具体的には1月、2月については上限額を引き下げ、3月でさらにもう一段引き下げる内容と理解し、承知いたしました。その上で、先ほど中村課長から業況特例の適用に際して、業況の再確認を行うと御説明いただきました。この点は以前にも申し上げたとおり非常に大事な点だと思いますので、ぜひ、周知を徹底し、適切な運営に努めていただきたいと思います。
 加えて、財政に関しては、これも中村課長から補正予算案で2.2兆円が計上され、具体的には来年度末までの財源は確保できたと御説明いただきました。その点は非常にいいことと思う反面、一般財源が投入されるのは主に積立金であり、安定資金は積立金からの借入金が増えていくことが想定されますので、どう返済していくかについてはさらに気になるところです。この点については今後の検討が必要だという問題提起を改めて最後に申し上げ、私からの発言は以上といたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 続きまして、大下委員、お願いします。
○大下委員 御説明ありがとうございます。私から3点申し上げます。
 1点目ですが、雇用調整助成金特例措置の延長に関する改正の省令案に関しては、業況特例・地域特例について3月まで現行の水準で継続し、その他日額上限は段階的に見直しするとのことで、これまでも意見を述べていますが、今の状況を考えれば適切な判断かと思っています。
 2点目、併せて成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備、在籍型出向等あるいは職業訓練と再就職支援の組み合わせ等の取組で労働者のスキルアップや労働移動を図る事業の強化を行っていくことを中村課長から説明いただきましたが、非常に重要であると思っています。ただ、円滑な労働移動あるいはこれまで経験がない分野での職業訓練は、なかなか容易ではないという声を聞いています。ポリテクセンター関東を視察した際、全く経験がない方が、半年で住宅のリフォーム、基礎的なIoTのプログラミング、金型加工等の技術を習得されて、9割の方が再就職につながっているという御報告がありました。これまで経験していない分野でも職業訓練によって仕事ができるかもしれない可能性があるということを周知することで受講者を掘り起こしていくことが非常に大事になってくると思っています。丁寧な周知と利用促進についてのしっかりとした取組をお願いしたいと思います。
 3点目、財源確保について、当面の財源は確保できたとのことですが、これからどうするのかという議論は依然として残っています。何らかの形で国・事業主・働く人が負担していかざるを得ない状況にあるのは間違いないと思いますが、その際には、それぞれが納得できる割合で負担をしていく方向性をしっかり御議論いただきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では続きまして、馬渡委員どうぞ。
○馬渡委員 中央会の馬渡でございます。
 特例措置の延長、給付金額が漸次縮小される、これは財源も絡んだことですので、ある程度やむを得ないと思う反面、我々の仲間の中小企業の中では、新たにコロナが長引いたことによって影響を受ける方まで出てきたということもございますので、特に業況特例や地域特例をあまり厳しく精査されるとどうなのかなという部分もあります。ただ、3月末まで延長するということですので、また厳しくなれば多分、来年に入ってでも議論があるのかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思いますし、財源に関しては今、日商の方も言われましたけれども、国と労使の分担をどう図っていくかという部分はしっかり議論させていただきたいと思いますし、ある程度こういう料率でいくんだみたいなものが先に出てきてしまうと、我々としても無力感を感じるものですから、そういうことがないように、フリーでいろいろな議論を尽くしたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 本日、雇用保険部会でも申し上げているところでございますけれども、今後の感染状況の不透明性や、それによる経済回復への影響、また業績回復、業況が回復していない産業地域からの切実な声を踏まえれば、引き続き雇調金の特例措置や休業支援金によるコロナ禍の影響を受け続けている産業、地域の労働者を保護していくことは必要不可欠であると考えておりますし、今回示されている原則的な措置の取扱いについても、今後、雇用情勢が悪化した場合には、それに応じて措置内容を機動的に変更できるようにすることは、まず大前提だと申し上げておきたいと思っております。
 また、休業支援金及び雇調金の特例措置について、先ほど単純に引き下げるわけではないという御説明もございましたけれども、仮に原則的な措置を引き下げたとしても、助成率や上限額の違いもあるということで、それだけで産業雇用安定助成金の活用を通じた在籍型出向による雇用維持が促進されるわけではないと考えております。雇用調整助成金から産業雇用安定助成金、これは労働者の移行があることが前提でございますけれども、この移行を進めるためには更なるインセンティブが必要であって、移行促進に向けた追加的な措置や支援が必要ではないかと考えているところでございます。
 財政運営につきましても、従来申し上げているように、きちんと政府としての雇用責任に対する責任を明確にすることが重要だと思っておりますので、その点については申し述べておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問・御意見等ございますか。
 特にございませんようでしたら、今回に併せてとられる措置あるいは今後の課題について御発言がございましたけれども、今回の提案については特段御異存がなかったと思われますので、分科会としては厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨私から御報告するということにしたいと思いますが、御意見ございますか。
 特にございませんでしたら、報告文案の表示をお願いいたします。
 今、表示されておりますとおり、おおむね妥当と認めるという報告文案でございます。これで労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、このように報告をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移ります。次の議題は「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。こちらは本日付で厚生労働大臣から諮問がありまして、今日の午前中に行われた雇用保険部会であらかじめ御議論を行っていただいております。
 では、資料、本日の部会での議論につきまして、事務局から説明をお願いします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。よろしくお願いします。
 資料2-1は、省令案要綱の内容でございます。資料2-2が、概要の御説明でございまして、資料2-2を御覧いただければと思います。
 2ページに雇調金と併せまして助成内容の表がございます。先ほど雇調金の関係でお諮りさせていただいたところではございますが、令和4年1月から3月までの助成水準を定める内容となってございます。雇調金につきましては、原則的な措置として段階的に上限額を引き下げていく一方で、地域・業況特例などにつきましては、現行の助成水準を維持するという内容でございまして、休業支援金に関しましてもそういった方向性を考慮いたしまして、1月から3月までの助成水準を定めることとしたいと思っております。
 なお、休業支援金につきましては、いわゆる業況特例に該当する部分がございませんので、原則的な措置の部分につきましての変更となろうかと思います。原則的な措置は1月から3月まで8割を維持するところでございますが、こちらは雇用調整助成金におきまして業況特例部分について最大10分の10とされているところのバランスなどを考慮した形でございます。
 上限額に関しましては、9,900円から8,265円という形にさせていただければと思います。段階的な引き下げを考慮しつつも、※6にありますように、雇用保険の基本手当の日額上限が8,265円でございますが、こちらとの均衡を考慮して定めたいということで考えてございます。
 省令の改正内容は以上でございますけれども、本日午前中に雇用保険部会で議論が行われまして、部会といたしましてはおおむね妥当であるという形での御報告をいただいているところでございます。
 省令案要綱そのものの議題ではございませんが、雇用保険部会におきましての議論の状況を若干補足で御報告させていただきたいと思います。参考資料1を御覧いただければと思います。
 11月19日の職業安定分科会雇用保険部会合同会議の場でも御説明申し上げましたが、経済対策が同日に閣議決定がなされまして、当面の雇用調整助成金等の財源確保、雇用保険財政の安定を図るため、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入れを行うという内容が閣議決定されたところでございます。これを受けまして、11月26日に補正予算案が閣議決定されまして、約2.2兆円の繰入れを計上したところでございます。
 その内訳が3ページに示されてございます。今般、補正予算案として計上した一般会計の繰入れの内容でございますけれども、一般会計の繰入れに関しましては二通りのルートがございます。1つ目は、マル2という形で雇用安定資金に直接入れる。これは、いわゆる雇用調整助成金の上限額、日額上限8,265円を超える部分に該当する部分でございまして、こちらは約0.4兆円と見積もっているところでございます。加えまして、今般マル1という形で約1.7兆円、こちらは失業給付に任意繰入れという制度がございますけれども、こちらで1.7兆円を措置したところでございまして、両方合わせまして雇調金の財源確保などに充当する方向で考えているところでございます。
 その結果、4ページに収支、5ページに二事業の収支をそれぞれつけてございます。
 4ページの失業等給付の収支状況でございますけれども、令和3年度末までの収支のイメージという形でお示しさせていただいているところでございます。収入の欄、保険料収入は1,000分の2でございますので0.4兆円でございますが、国庫負担金が先ほど申し上げたいわゆる任意繰入れの増によりまして約1.8兆円ということで、収入合計が約2.1兆円ということになろうかと思います。
 支出に関しまして、失業等給付をおおむね前年度並みと仮定すると、1.6兆円ほどが見込まれるところでございますが、この収入・支出の差し引き0.6兆円ということになるわけでございます。ただ、加えまして雇用安定事業費、いわゆる雇調金の貸出し部分が令和3年度の累計で1.2兆円ほど見込まれるということでございまして、これを前提といたしますと、積立金の残高が1.3兆円ほどになるのではないかと考えているところでございます。
 5ページの雇用保険二事業の収支でございますが、令和3年度の収支のイメージといたしましては、保険料収入に加えまして、先ほどの一般会計より雇調金への直接の受入れの収入の増を見込みまして、これが0.8兆円に達するということで考えてございます。
 加えまして、先ほどの失業等給付からの借入れ1.2兆円を加えまして収入を確保いたしまして、特に雇用調整助成金の支出に充てるという措置を講じていく予定でございます。
 雇用調整助成金の令和3年度の支出は2.6兆円ほどに上るのではないかと見込んでございますけれども、こちらは月当たりに換算いたしますと2,000億円ということで、これは先ほども御説明があったと思いますが、それが大体年度単位で続いたと仮定いたしました数字となってございます。
 結果といたしましては、何とか収入・支出を3年度賄って、雇調金の財源も確保できるという見積もりを立てておりますが、結果といたしまして安定資金の残高は引き続きゼロで、積立金からの借入れの累計が2.6兆円に上るという状況になろうかと思っております。
 この点を中心といたしまして、雇用保険部会でも現在、雇用保険の財政の在り方を中心に御議論をいただいているところでございます。
 前回、11月22日の分科会で一定の状況の御報告をさせていただいておりました。このときは給付の議論が中心でございましたけれども、財政に関しましては11月29日、12月8日の午前中に2回開催いたしているところでございます。給付に関しましては、暫定措置が中心でございまして、基本的には暫定措置に関しまして一定の延長を行う方向性を事務局から提示いたしまして、それに関連する御議論をいただいている状況でございます。ただ、給付の問題は当然、財政運営の在り方とセットで議論するということでございますので、給付の議論についてもある意味、財政と引き続いて議論が行われている状況でございます。
 2番目の財政運営に関しましては、今し方資料で申し上げたような状況を踏まえた上で、令和4年度以降の財政、すなわち保険料、国庫負担、特にこの資料で出てまいります積立金からの借入れの累積のあたりを中心として御議論を行う必要があるところでございます。
 全て令和4年度の予算編成に絡むものでございますので、年末までに何らかの形で取りまとめを行いたいと考えているところでございますけれども、現在引き続き議論を行っているところでございまして、今後とも雇用保険部会で御議論をいただければと考えているところでございます。
 長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、本件につきましても御質問・御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。
 馬渡委員どうぞ。
○馬渡委員 説明をいただいたのですけれども、私は雇用保険部会に出ていないので中身がよく分からなかったのですが、ここにある収支状況を見させていただくと、安定資金の残高がゼロのまま推移するのは問題があるというのはずっと前からのお話ですので、その辺はしっかり議論していただきたいという部分もありますし、特に先般、報道で先行して労使の保険料率だけが〇・幾らだという話があたかも決まったように出ていたのは非常に気分が悪いですよね。私も経営者のはしくれですので、その話はなかったのに、もうどこかで決まったのかしらみたいなことを周りの方から聞かれることもあるものですから、そういったことがないような形で、本則もあると思うのですけれども、国庫負担がきちんと担保されて、なおかつ労働者、使用者側、コロナで毀損しているのは同じですから、本当にどんどん上げていっていいのかという議論もきちんとしていただきたいなと。上げるほうだけ早くジャブを打たれると、非常に困るなというのが私の感想です。2番の議題、延長に関しては適当だと思うのですけれども、同じように財源の問題がどうしても絡みますし、令和4年度の財政をどうされるのか、予算をきちんと確保していただきたいなと思いつつ、早急に料率を上げていくという話は国庫負担の問題も含めて、どういうふうにやっていくかという議論にしていただきたいと思っています。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。先ほど課長からも御説明がありましたように、言うまでもなく雇用保険部会でしっかり議論をしていただくことになると思います。
 ほかに御質問・御意見等ございますか。
 特段ございませんでしたら、本件につきましては、当分科会としては厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。そういうことで御意見等ございますか。
 ございませんでしたら、報告文案の表示をお願いいたします。
 こちらは雇用保険部会がおおむね妥当と認めるということで、それを職業安定分科会として別紙記のとおりということで報告する形になってございます。これで労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんか。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、先ほど表示された報告文案によって労働政策審議会会長宛てに報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 では、次の議題に移ります。次の議題は「雇用保険法施行規則及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。こらちは11月30日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
 では、こちらについても事務局から説明をお願いします。
○労働移動支援室長 労働移動支援室の小林と申します。今日はよろしくお願いいたします。私から、議題3につきまして資料3を用いまして御説明させていただきます。資料3-1が省令案要綱となっておりまして、資料3-2が省令案の概要となっておりますので、概要を用いて説明します。
 1ページの「1.概要」の中ほどの下線部分が本分科会での議題になります。Iの3と4、IIの2になりますが、私からはIの3のトライアル雇用助成金につきまして御説明させていただきます。
 4ページと5ページを使用させていただきます。逆になって恐縮ですけれども、5ページを御覧いただけますでしょうか。
 まず、現行の一般トライアルコースの御説明を簡単にさせていただきます。これはコロナではなく現行から今も継続して行っている制度でございますが、職業経験の不足などから、安定した職業に就くことが困難な求職者を対象として常用雇用への移行を目的として一定期間、原則3か月としておりますが、試行雇用する期間を設けていただいた事業主に対して、その3か月間の賃金見合いとして月額4万円を助成するという制度でございます。試行雇用期間というのは、労働者と事業主の間で仕事に対する適性などの見極めを行う期間で、この期間を経て常用雇用への移行を促進することを目的としています。
 職業経験の不足などから安定した職業に就くことが困難な求職者というのは、※にありますように2年以内に2回以上離転職を繰り返す、離職期間が1年を超える、育児等で安定した職業に就いていない、フリーター・ニート等となってございます。
 この現行のトライアル雇用の制度を活用しまして、コロナによって離職を余儀なくされた方への早期再就職支援を強化する観点から、令和2年度の3次補正予算におきまして、コロナ対応のコースを創設しました。
 具体的には、対象労働者として令和2年1月24日以降に離職した者であること。1月24日というのは、雇調金の特例措置を適用した最初の日でございます。離職期間が3か月を超える者であること。就労経験のない職業に就くことを希望する者、この3つの要件を満たす者を対象として、一般トライアイルと同様の所定労働時間週30時間以上のコースに加えて、コロナ離職者の状況等を踏まえまして、新たに週20~30時間といった短時間労働の区分も設けまして、令和3年2月5日に施行して、今時点でおよそ10か月程度の運用をしてきたところでございます。
 4ページに戻っていただけますでしょうか。今回、11月19日に経済対策が閣議決定してございますけれども、コロナからの回復期におきまして非正規雇用労働者等の異なる分野への労働移動を一層推進するとされていることを踏まえまして、本助成金の拡充を図っていきたいと考えてございます。
 コロナによる産業構造の変化に伴いまして、労働需要の減退する分野と新たに労働需要が創出される分野が生じることが見込まれていますことから、非正規雇用を中心としたコロナ対応のトライアル雇用助成金の対象者層において、当該分野間で円滑な労働移動が一層推進されることを目的としております。
 具体的な拡充の内容でございますが、対象労働者の範囲の拡充を考えております。
 「3.改正内容」のとおり、令和2年1月24日以降のコロナによる離職であるか、離職期間が3か月を超えているかといった離職の時期・理由・期間に関する2つの要件について、職業紹介の日において新型コロナウイルス感染症の影響を受けている離職者と改めた上で、3つ目の要件であります就労経験のない職業に就くことを希望する者は存置したいと考えております。
 「4.改正理由」で、1月24日以降のコロナによる離職を外すことにつきましては、現行では求職者個々の属性、昨年度の創設時はそういう整理で行っておりましたが、コロナの期間が長くなってきたこともありますけれども、現下で求職活動を行っている者全般について、今現在、労働市場自体がコロナの影響を受けていると考えられますので、求職活動自体も等しくコロナの影響を受けているという考え方の転換によることと、離職期間3か月を超えるという点につきましては、離職者が新たな労働需要に就職していただくといった労働移動の促進の観点に加えまして、特に非正規雇用の労働者でコロナ禍で仕事がなくなっていた方等については、様々な生活支援を利用していたことも想定されますけれども、今後経済活動の再開とともに、例えば、貸付け制度では返済が始まってくるといった生活の維持に向けて、就職の緊要度が非常に高くなる方が多いと思われますので、こういった方々の失業期間の長期化の防止に対応するためといった趣旨もございます。いずれにしましても、本助成金の使いやすさを向上しながら、周知・啓発にも一層取り組んでいきつつ、非正規雇用労働者等の再就職を促進していきたいと考えております。
 「5.施行日」ですが、補正予算の追加を考えてございますので、成立後速やかに施行したいと思っております。なお、補正予算追加額につきましては約50億円で、対象人員が4.9万人を見込んでおります。
 私からは以上でございます。
○訓練受講者支援室長 訓練受講者支援室長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、引き続き資料3-2に従って御説明させていただきます。
 1ページを御覧ください。私からは、Iの雇用保険法施行規則の改正の「4.就職転職支援のためのリカレント教育推進事業」の関係と、IIの職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則、いわゆる求職者支援法施行規則の改正の「2.職業訓練受講給付金」の関係について御説明をさせていただきます。
 6ページを御覧ください。転職・就職支援のためのリカレント教育推進事業の概要となります。こちらの事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方に対して、大学・専門学校を拠点として就職・転職につながるプログラムを提供し、受講生のキャリアアップを図ることを目的としております。
 こちらの事業は、文部科学省が大学に委託して行うこととしておりまして、右の図のとおり、大学がハローワークを含む労働行政関係機関や各地域の企業・団体の皆様と連携してプログラムの開発・実施を行うことにしています。
 こちらのプログラムの受講者のうち要件を満たす方に対しましては、求職者支援制度の月10万円の給付金を支給することにしております。
 令和3年度は40大学で63プログラムを実施しておりまして、令和4年度以降も継続して実施することとしております。令和4年度の事業は、事業概要の「1.就業者等に対するDX人材の育成プログラムの開発」と「2.令和3年度に構築したプログラムの改良・展開」を行うことにしています。1の事業は「*実施対象」に記載しておりますとおり、大学・専修学校で行うことにしています。2の事業は大学で行うことにしています。
 省令には、この事業は大学で実施するものとすると規定しておりましたので、そこに専修学校を加える改正を行うことにしています。
 また、本事業は令和3年度末まで行うと省令に規定しておりますので、それを令和4年度末まで延長する改正を行うことにしております。
 この事業に関しましては、以上となります。
 次の7ページを御覧ください。こちらは経済対策で拡充する求職者支援制度の取組の概要となります。省令改正に関係する部分は、中段の「求職者支援制度の活用を促進する特例措置」の部分となります。こちらは令和4年3月末までの措置として、まず職業訓練受講給付金の出席要件の緩和を行うこととしています。具体的には、やむを得ない欠席以外の欠席を訓練実施日の2割まで認め、欠席日の給付金を日割りで減額する特例を導入することにしております。現在、病気などのやむを得ない理由なく1日でも訓練を欠席・遅刻・早退すると、給付金を受給できない取扱いとしておりますけれども、それを緩和することにしています。
 次に、職業訓練受講給付金の世帯収入要件の緩和として、現在月25万円以下としております月の上限額を月40万円以下に引き上げることにしています。こちらは親や配偶者と同居している場合でありましても、世帯の生活が苦しく給付金がなければ受講が難しいといった意見が現場のハローワークに多く寄せられていることを踏まえまして、要件を緩和することにしております。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、今説明をしていただきましたけれども、本件につきまして御質問・御意見等がありましたら、先ほど同様の方法で手を挙げるボタンをクリックしていただければと思います。
 冨高委員どうぞ。
○冨高委員 まず、トライアル雇用助成金でございますけれども、改正理由・内容ともに適切であると考えております。
 次に、就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業でございますけれども、これは文科省との連携だと思いますが、本事業は二事業の財源から支援しておりますけれども、予算面でも文部科学省と連携して取り組むべきかと考えているところでございます。
 実施対象に専修学校を追加することについては、本来であれば事業趣旨に記載されている就職・転職やキャリアアップが大学・専門学校を拠点としたプログラム提供を通じてどの程度達成されていて、専修学校の追加によってどの程度の向上が見込まれるのかが示されるべきではないかと考えております。
 職業訓練受講給付金については、新たな特例を検討する際には、受講対象者がどのような業界で、どのような労働条件で就職することを希望しているのかを明らかにした上で、現行の要件が本制度の目的達成のボトルネックになっていることの根拠であったり、また、導入後の効果検証の時期と方法が示されるべきであるかと考えておりますけれども、雇用保険部会において議論されている本人収入要件、出席要件の緩和の導入議論においても、そういった提示はなされていない中で議論がされているという中で、更なる特例としての出席要件や世帯収入要件の緩和などについて今回提案がされているわけですけれども、最低でも導入後の効果検証の時期が示されるべきではないかと考えておりますし、当然効果検証の方法についても、今後示していただきたいと考えているところでございます。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、大下委員、お願いします。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
1つ目に求職者支援制度に関するトライアル雇用の幾つかの要件の緩和をお示しいただいています。確かに条件を変えていくことによってどれだけの効果が出るのかを見ていくことは大事かと思いますが、今はコロナの影響で大きな雇用の変革期にあると思います。まずは今回のように適用要件をなるべく幅広く設定し門戸を開いていくこと、緩和した事業をしっかり周知してこれらの施策をきちんと行き届かせること、利用を増やしていくことに大きな意義があると思います。引き続きハローワーク等の現場ともしっかりと連携していただいて利用につなげ、その利用が転職・再就職によるキャリアアップ、非正規から正規への転換、賃金の向上等につながるように取組を進めていただくことが非常に大事であると思います。
 そういう意味では、制度の周知、訓練と再就職までのシームレスな連携・取組、特にハローワークだけではなく、取組を進めている民間企業や団体との連携もしっかり推進していただきたいと思います。
 2つ目にデジタル人材のリカレント教育について、今回、文部科学省との連携についてお話がありました。いい取組であると思いますが、商工会議所では中小企業のデジタル化がなかなか進まない理由をこれまでずっと見てきています。理由の1つは、個社によっていろいろ事情が違い、どういったデジタル化が必要かは100社100様であることです。したがって、一様の教育を受けた人が全ての企業に役に立つかはなかなか難しい部分があるので、各社の事情がどういう状況なのか、教育と各社での活躍をどうつないでいくのかもしっかりと考えていただきたいと思います。
 さらに言うと、人材が育っても中小企業でその能力を発揮する場がなければ、残念ながら宝の持ち腐れになってしまいます。これは経済産業省、中小企業庁の仕事かと思いますが、雇用の7割を占める中小企業がデジタル化に踏み切れないことに対して、経営者や労働者が今のままでいいではないか、DX化など特に取り組まなくていいではないかと思っている以上、せっかくリカレント教育を受けた人材が世の中に出ても、活躍できる場がまだまだ少ない状況もあるのではないかと思います。ぜひ経済産業省や中小企業庁の企業におけるデジタル化に関する取組ともうまく連携をしていただいて、リカレント教育を受けた方が活躍できる場でしっかりと学んだ知識を生かしていただき、日本全体のデジタル化を進めていくことにつながるようにお願いしたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、玄田委員どうぞ。
○玄田委員 玄田でございます。一言、資料3-2の7ページの求職者支援制度に伴う要件緩和の件について申し上げたいと思います。
 もともと求職者支援制度自体は2011年以来、どちらかといいますと、かなり慎重に制度設計をされてきたと理解しております。その前身である基金訓練を初め、非常に大きな効果がある反面、不正支給と言われるような状況を生み出しやすい非常に難しい制度であると。そのために、もし不正支給のほうばかりが強調されますと、制度そのものが立ち行かなくなるおそれがあって、この制度はかつてイエローカード、レッドカードという言葉を使いながら慎重に対処してきたと理解しております。
 一方で、今回要件緩和を進めていくことについては、もちろんコロナ感染という状況の中で考えられる策だということはよく理解できますが、要件緩和はある種の性善説に基づいているところもあるようにも思います。非常に緊急事態の中においては、こういう要件緩和に基づく対応というのはよく理解できるのですが、冒頭の議題でもあったとおり、少なくとも雇用情勢については全般的には改善に向かっていて、緊急事態からはやや抜け出しつつある中で要件緩和をするとなりますと、非常に気になるのは、その中で本来支払うべき状況ではないものが生まれてくるということが出てくる。具体的には、やむを得ない理由でというところをどう線引きするのかというのは、実際問題大変難しい問題になるだろうと想像しております。現場で混乱して、あるところでは認められて、別のところでは認められないといったことも懸念されますし、これは大変難しい注文であるということは理解しながらも、何をもってやむを得ない理由としてイエローカードではないのか、逆に、こういう理由に関してはやむを得ない理由としては認められないといった、そのあたりは現場をさらに御苦労をおかけして申し訳ないのですが、慎重に制度設計をする、運用していくことは改めてお願いしておきたいと思っております。
 一方で、要件緩和の中で在職者に対して対象者を拡大することについては、別の意味で非常に注目していきたいと思っております。状況がだんだん変わる中で、多くの求職者支援制度に限らず離転職者を中心にいろいろな制度設計をされていったものに対して、今、在職中にある程度訓練を受けたいというニーズは、かつてよりも高まっているような感覚・印象なども持っております。ですので、今回の緩和の中で在職者に対象を拡大することによって、先ほどの御意見でもないですが、非常にニーズに合致して、よりよい状況の改善、より安定した雇用職業生活につながるのであれば、もしかしたら、この件に限らず様々な面で在職者に対する訓練拡大といったことも考えるきっかけになると思いますので、不正とはまた別の意味で在職者に対する対象拡大については、特に注目して緩和の状況をフォローしていただき、適宜分科会でも協議いただければと感じる次第です。
 私からは以上になります。
○山川分科会長 ありがとうございます。そのほか御意見・御質問等ございますか。よろしいでしょうか。非常に有益な御発言をいただきました。改正される制度の活用及び周知に関わる御意見、検証の必要に関わる御意見、それから一部雇用調整助成金のお話とも共通する点がありますけれども、運用に当たって要件の確認等をしっかりする件というような御発言があって、いずれも非常に有益なものであったと思います。この制度改正それ自体については、特段御異議があるということではなかったかと受け止めておりますけれども、示されました御意見はその旨受け止めていただくとして、分科会としては厚生労働省案を妥当と認めるということで報告を私からしたいということではいかがでしょうか。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、報告文の表示をお願いいたします。
 今、画面に出ておりますけれども、このような報告文案で労働政策審議会会長宛てに報告することで御異議ございませんか。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、報告としてはこのような形とさせていただければと思います。いただいた御意見は今後、それぞれのところで受け止めていただければと思います。ありがとうございました。
 では、次の議題に移ります。議題4ですけれども「雇用仲介事業に関する制度の改正について」です。本件につきましては、本日の午後、先ほど開催されました労働力需給制度部会において報告が取りまとめられております。
 では、この点につきまして、事務局から報告をお願いします。
○需給調整事業課長 需給調整事業課長でございます。事務局から御報告申し上げます。
雇用仲介事業に関する制度の見直しにつきましては、平成29年改正職業安定法の検討規定に基づきまして、本年8月30日から労働力需給制度部会におきまして御議論いただきました。その上で本日12月8日、報告書を取りまとめていただいたところでございます。内容は、募集情報等提供事業を法的に位置づけることや、雇用仲介事業者の依拠すべきルールの整備などでございます。
 報告書の説明の前に、参考資料2を御覧ください。3ページに、雇用仲介機能のイメージ図を示しております。ハローワーク、職業紹介事業者のほかに、求人誌や求人サイトが存在しますが、近年求人誌のネット化や、おまとめサイトなどの登場がみられております。例えば、掲載依頼を受けた募集情報だけではなく、インターネット上で公表されている募集情報を自ら収集し、求職者が検索できるようにするサービスなど、多種多様なサービスが登場している状況です。
 そういった中で4ページですが、求人メディア・広告のうち、職業安定法では一定のものを募集情報等提供事業者と定義づけておりますが、入職経路で見ますとこういった求人メディア・広告の利用が多い状況でございます。この分野の位置づけやルール整備が必要であると考えております。
 5ページを御覧ください。職業安定法の義務の内容等を整理したものでございます。赤枠の部分でございますが、求人メディア等の募集情報等提供事業につきましては、平成29年の職業安定法改正で定義を設けるとともに、法律に基づく指針で遵守していただきたいことを規定する形になりました。ただ、指針事項ですので、法律上の義務ではないという状況です。
 以上、今般の報告書の前提となる状況を説明させていただきました。
 資料4を御覧ください。ページ番号の1ページから報告書の御説明をさせていただきます。
 「第1 基本的考え方」。
 1においては、IT技術等の進展に伴い、多種多様なサービスを提供している雇用仲介事業者の役割を積極的に評価し、需給調整機能の一翼を担うものとして位置づける必要がある旨を記載しております。
 2におきましては、職業安定機関が実効的な雇用対策を講じるに当たり、こうした多様な雇用仲介事業者との情報共有や連携の必要性を記載しております。
 3においては、利用者が安心してサービスを利用できる環境とするために、依拠すべきルールの必要性を記載しております。その際の留意事項として、公正・適正かつ効率的なマッチングにつながり、労働者になろうとする者にとっても有益なイノベーションを阻害することがないようにとも記載しております。
 4、こうした考え方に基づき、第2以降に具体的な措置を記載しております。4のなお書きに、今後の引き続きの検討事項として、AI等の使用に係る留意点や労働条件明示、その他の論点を記載しております。
 2ページ、「第2 具体的措置」です。「1 雇用仲介事業者が依拠すべきルール」。
 (1)募集情報等の的確性。ア、職業紹介事業を行う者、求人者、労働者の募集を行う者、募集情報等提供事業を行う者及び労働者供給事業者は、募集情報等の提供に当たって虚偽または誤解を生じさせる表示はしてはならないとする記載でございます。
 イ、雇用仲介事業者が募集情報等を的確に表示することができるよう、求人者・労働者の募集を行う者は募集情報等について正確かつ最新の内容に保たなければならない旨の記載です。
 ウ、職業紹介事業を行う者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者は募集情報等について正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならない旨の記載でございます。こちらは保つための措置、いわば措置義務と言えると思います。
 (2)個人情報の保護。ア、募集情報等提供事業を行う者を含め、雇用仲介事業者に関し、業務の目的に必要な範囲で当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、当該収集の目的の範囲内で求職者等の個人情報を適切に使用しなければならない旨記載しております。既に、職業安定法上に個人情報の保護に関する規定は存在しておりますが、そこに「当該目的を明らかにして」という要素を追加するとともに、募集情報等提供事業者を対象に含めるという趣旨でございます。
 イ、ウ、募集情報等提供事業を行う者を含め雇用仲介事業者に関し、業務上知り得た他人の秘密を漏らしてはならない。業務に関して知り得た個人情報等について、みだりに他人に知らせてはならない旨の記載です。現行、職業安定法上存在している秘密保持に関する規定の対象に、募集情報等提供事業者を含める趣旨です。
 エ、個人情報の取扱いに関し、本人同意を得る場合の望ましい方法等について、指針において明確化することが適当との旨の記載です。
 「2 労働力需給調整の円滑化」
 (1)官民の連携。現行の職業安定法等に規定されている職業安定機関との相互協力の対象として、職業紹介事業者に加え募集情報等提供事業者も含める趣旨です。ここで言う職業安定機関とは、職業安定局長、都道府県労働局長、公共職業安定所長を指すものと考えております。
 (2)国による労働市場に関する情報の収集、提供。ア、イ、国が把握した情報について、人材サービス総合サイト等を活用しながら公表していくことについて記載しております。
 ウ、優良事業者認定制度の検討を通じ、優良事業者を分かりやすくし、優良事業者の利用を促進していくことについて記載しております。
 (3)事業者団体等との協力。職業紹介事業者と募集情報等提供事業者の適正な事業運営のための事業者団体の役割と、国と事業者団体との協力について記載しております。
 「3 募集情報等提供」。
 (1)定義。まず、これまでの職業安定法における募集情報等提供の定義で、捉え切れなかったものについて整理をしております。
 1つ目、労働者となろうとする者以外に対して情報を提供する場合。2つ目、労働者となろうとする者等の依頼を受けないで情報提供する場合。これにつきましては、募集情報等提供の定義に含まれておりませんでした。その上で、アからエの4点について募集情報等提供の定義に含めることとしております。
 ア、職業紹介事業者や募集情報等提供事業者から依頼を受けて募集情報等を提供する場合。
 イ、職業紹介事業者や募集情報等提供事業を行う者に対して募集情報等を提供する場合。
 ウ、労働者となろうとする者の職業の選択を容易とすることを目的として労働者の募集に関する情報を収集し、労働者になろうとする者等に提供する場合、求人情報をいわゆるクローリングする場合を指しております。
 エ、必要な労働力の確保を容易とすることを目的として、労働者になろうとする者の情報を収集、労働者の募集を行う者等に提供する場合。求職者情報をいわゆるクローリングする場合を指しております。
 この4類型を分かりやすく理解していただくために、参考資料2の8ページ以降に資料をつけております。今、口頭ではなかなか分かりにくい部分があったかもしれませんが、参考資料2の8ページ以降を適宜御参照いただければ幸いです。
 続きまして、(2)募集情報等提供事業者の把握でございます。
 ア、募集情報等提供事業者に関する届出制の導入について記載しております。届出を求める範囲としては、労働者になろうとする者に関する情報を収集して事業を行う者としております。これは労働者になろうとする者と接点を持って事業を行っていることから、より適切な事業運営の確保が必要であるためだと整理しております。
 イ、届出の対象となった事業者からは定期的に事業の概要を報告していただくことを念頭に、求人情報や求職者情報の規模、提供しているサービスの内容、適正な事業運営のために取り組んでいる事項を記載しています。
 ウ、ア・イの届出等については、具体的な届出事項等は省令等の下位法令で定める予定ですが、事業者の過大な負担にならないよう簡素なものとする旨を記載しております。
 エ、現在指針に定められている職業紹介事業と募集情報等提供の区分の明確化について記載しております。
 (3)苦情処理。募集情報等提供事業者について、適切かつ迅速な苦情処理に必要な体制を整備しなければならない旨を記載しております。
 (4)求職者等からの報酬受領の禁止。募集情報等提供事業者について、現在は指針に、募集に応じた労働者からその募集に関して報酬を受領してはならないという規定が存在しております。その内容を法令に規定することが適当との記載です。
 (5)事業情報の公開。利用者が納得して事業者を選択できるよう、募集情報等提供事業者は情報の的確性や個人情報保護のために取り組んでいる事項等について、積極的に公表するよう努めるものとする旨を記載しております。
 (6)違反への対応等。ア、募集情報等提供事業について、ルール違反に対する改善命令等の履行確保について記載しております。
 イ、募集情報等提供事業者の届出義務違反等に対する罰則について記載しております。
 ウ、有害業務に就かせることを目的とする募集情報等提供や虚偽の広告による募集情報等提供に対する罰則について記載しております。
 「4 関係法制度の必要な整備」。この報告書に記載されている事項に伴う関係法制度について、必要な整備を行うことを記載しております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、続きまして、大下委員どうぞ。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
御説明いただいた報告書の大きな方向性は妥当であると思います。社会的なニーズがあるマーケットや分野において、ITの新しい技術を活用した企業や業態が生まれてくること自体は、経済の活性化あるいはビジネスによる社会的な課題の解決という意味で非常に有益であるため、制限するよりはむしろ促進していくべきことと思います。
 他方、新しい企業や業態が生まれてくると、その利用者、今回でいえば求人企業や求職者との間で、いろいろなトラブルが生じてくることも、ある程度やむを得ないことかと思っています。大事なのは、トラブルがあった際に適切に対応できる仕組みがあること、なおかつ、トラブル事例の周知を通じて、他の事業者に対しての教育的な効果が生まれることだと思います。今回の措置はそこに重点を置いて、なるべくそれ以外のところで事業者に負荷にならないようにすべきであると考えます。したがって、「基本的な考え方」において「有益なイノベーションを阻害することのないように留意するべきである」という記載は非常に的確であると思います。
今後、具体的な内容が検討されていくにあたっては、「具体的な措置」の中の「正確かつ最新に」という記載は、具体的にどういうことなのかをなるべく分かりやすく明示する必要がありますし、募集情報等提供事業者の把握について、届出等の手続もできる限り簡素にしていただきたいと思っています。
 また、違反への対応の中で、届出義務違反への罰則に関しては、届け出ることの意味との相対で考えて、過大な罰則にならないように慎重に御検討いただきたいと思っています。
 いずれにしても、今回の報告書の中身を拝見する限りでは、上記のような仔細な部分がまだ分かりませんので、引き続き需給制度部会あるいは当分科会でも議論が必要かと思います。部会等での検討が進む段階で、また御報告をいただき、意見を申し上げる機会をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、次に宮田委員どうぞ。
○宮田委員 御説明ありがとうございました。
 多分、皆さんとも同じ内容になってしまうのですけれども、今回、利用者にとっては便利になるということと、それが就職につながるということで大きな意味はあると思っています。
 ただ、便利になる反面のリスクというものは必ず生じると思っておりますので、個人情報の問題等を含めて、便利になる反面のリスクをある程度事前に考えておくことと、こういう新しい仕組みに関しては、想定していたもの以外のリスクも発生する可能性がございますので、苦情処理等も仕組みとして入っておりますし、どのような運用状況になっているのか、こういうものを使うことによって想定していなかったリスクがどう出てくるのかを、プラスとマイナスの両面で見ていく必要があると思ってお伺いしておりました。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、津村委員、お願いします。
○津村委員 先ほど来、各委員からも発言がある内容と同じ部分もございますけれども、発言をさせていただければと思います。
 言われているとおりITの進展に伴いまして、現在では非常に多くの労働者がインターネット上の雇用仲介事業者を通じての就職・転職をされているという状況。こうしたことを踏まえれば、今回報告がありました雇用仲介事業者に関しまして、募集情報等提供事業者も含めて一定の法整備が図られることについては、望ましい方向性・内容だと受け止めをしております。
 その上で、今後の引き続き検討を進めていくことが適当とされました論点や、雇用類似就業者の観点での対応も含めまして、実態把握を踏まえた実効性のある取組をこれからもぜひお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、次に馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 御報告いただいた中身については、これから始まることだと理解しておりますので妥当だと思うのですけれども、1つ気になるのは、IT技術の進展が早くて、これから国を挙げてDXを進めていこうという話になったときに、BtoCダイレクトにいろいろな個人個人と雇用関係もしくは仕事を仲介してやってしまう部分が出てくると、DXが進まない中小企業にとっては、一定のルールが担保されないと非常に厳しい話になるのかなと感じました。
 今現在起こっているいろいろな部分についても、ギグワーカーさんたちを集めて1時間幾らという形なのか、1回幾らという形で、もう既にそういう募集が行われていると認識しておりますけれども、実際にやった人たちの話を聞くと、1時間の最低賃金にも満たないような形で使われてしまっていると。御本人さんたちは外形上、個人事業主だという話でしょうけれども、実際には募集情報等提供事業者さんが雇用の仲介をしていく、ダイレクトにやっていくという話になるのであれば、一番肝心な労働者を守るという部分については、個人事業主であろうと一般の労働者、雇用関係にある者であろうと、最低賃金ぐらいは守ってほしいなという感想を持っているものですから、これから議論されると思いますので、そういった点も含めて御議論いただければと思いますし、需給部会のいろいろな議論を聞きながら、我々としてもそういったチェックもさせていただければと思っております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、勝野委員どうぞ。
○勝野委員 1点質問と、もう一点意見を申し上げたいと思います。
 質問に関しては資料4の2ページですけれども、(1)募集情報等の的確性の中で、募集情報等提供事業を行う者という規定があるのですが、アとウでは「及び労働者供給事業者」という記述が加えられているのですが、ほかのところでは「労働者供給事業者」という文言が出てきていないのですけれども、(1)で労働者供給事業者が「及び」という形で出てきているのは、何か特別な理由があるのかというのが質問です。
 もう一つ意見に関して言えば、皆さんおっしゃっているとおり、現行ITによる雇用仲介が広がっている実態に対して、一定の規制なりルールを設けていくことについては適切なことだと理解しております。ただ、その際に、現在さまざまなマッチングアプリやいろいろなマッチングサイトがあるわけですけれども、特に建設業界の中でも同様の状況です。こうしたマッチングアプリ、マッチングサイトの状況からしますと、単に雇用仲介ではなくて、実態からすると請負の仲介がかなり広がっている状況があります。建設業の中ではそういうことが偽装請負みたいな広がりにつながっているという問題点も指摘されているところですので、しっかりと雇用仲介と請負仲介の区分けが明確になるような措置が必要ではないかと思っております。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御質問が1点ありまして、1つは、アとウに労働者供給事業が入っていて、イに入っていない点についての御質問がありました。
 それから、先ほど来、馬渡委員、津村委員から、雇用類似に関する御意見があったところです。この点は需給制度部会でも御議論がありましたので、この点も含めて事務局からお願いいたします。
○需給調整事業課長 需給調整事業課長でございます。
 2ページの(1)募集情報等の的確性のア、イ、ウに関する御質問です。
 まず、構造でございますが、アで虚偽または誤解を生じさせる表示について触れております。イとウがセットでございまして、こちらを合わせて正確かつ最新な内容を保つことについて規定しようと思っております。基本的には、雇用仲介事業に関する関係者全ての方に責務を課すということでございまして、アは全体を1つに書いておりますので、虚偽または誤解についてということで労働者供給事業者も含めたプレーヤーを記載しております。
 イとウは若干構成が違いまして、イとウ合わせて正確かつ最新の内容について記載しようと思っておりますが、自分自身で発信する人のことはイで記載しております。ウでは、仲介するということなので、発信された情報を基に事業を行う方ということで紹介事業者等を書いているということでございまして、イから労働者供給事業者が抜かれているというよりは、イとウの中で書きわけているという構成です。
 御意見がありました中で請負の御議論がございました。2ページでそういう御議論の問題意識を反映している部分があります。(1)のアの4行目ですが、「雇用形態等の労働条件が実際と異なることがないよう」ということで記載しています。この趣旨は「雇用形態等」と書いておりますが、例えば、雇用ではない先ほど議論がありました請負、業務委託のものを混在して表示しているサイトもあろうかと思います。問題意識としては、請負だけや業務委託だけのサイトもあるということでございましたが、職業安定法の中では少なくとも一緒に表示している部分については、雇用と業務委託、請負が混在している、それが虚偽や誤解を生じさせるということであれば、こういったものは適正化する必要があるであろうという問題意識を、この「雇用形態等の労働条件が実際と異なることがないよう」ということで表現しております。部会でも御議論がありましたので、そういった問題意識をどう反映させるかは今後の課題になろうかと思っております。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 勝野委員、先ほどの御質問に関して何かございますか。
○勝野委員 最初の労働者供給事業のところで、(1)の中での取扱いについては分かりました。
 (2)以降で労働者供給事業者の名前が出てこないことは、同じように考えてよろしいのでしょうか。
○山川分科会長 では、事務局からお願いします。
○需給調整事業課長 職業安定法上、雇用仲介事業者を定義しているわけではないので、場所によって分かりにくい部分があるということだと思います。既に義務がかかっているものについては、わざわざ書いていない部分もございます。それから、後段は募集情報等提供事業者に関する規定ですので、そこはわざわざ出していないということでございますし、(1)(2)の個人情報保護等につきましては、既存の事業者については今までどおりかかっている部分はございますし、それを今回、募集情報等提供事業者にも拡大するという内容です。
○勝野委員 ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、よろしければ玄田委員どうぞ。
○玄田委員 私は、やや超越的な大きな話を少しだけ申し上げたいのですけれども、内容的には大賛成で、ぜひ今般の改正の目的として、そろそろ日本の転職市場・就職市場という労働市場が未整備であるという言われなき汚名を払拭することを、もっと大々的にアピールするような内容にしていただけると大変ありがたいなと。私自身も、20年ぐらい前までは、日本は転職市場が不整備であるみたいなことをいろいろなところで書いたような記憶もあり、それは日本の新卒市場が非常に充実した内容であったために、相対的に転職市場が未整備に見えたことと、20年以上前だと長期雇用の慣行がまだ強く残っていたので、その中で転職に対する社会的ニーズが必ずしも強くない中で、結果的に生まれた未整備的な状況だったのが、日本的雇用システムが大きく変わる中で変化してきていると思うんです。人材ビジネスがだんだん民間で出てきたりしながら、私が拝見する中でも、労働政策を職業安定事業の中でも転職市場を整備することは行われてきているわけで、何をもって整備されているのか、また未整備なのかは多分物すごく難しい観点で、これまで皆さんから御意見をいただいたように、当然マッチング等に非常に便利な市場であると同時に、不正などを引き起こさない、安心して利用できる市場であるといういろいろ難しい観点から考えると、そもそも日本が未整備だったかどうかもやや疑わしい気もするし、少なくとも今回の改正を見ても、効率性と同時に安全性みたいなことに対して非常に気を配ってやっている。単純な国際比較はできないと思うのですけれども、こういう情報提供事業まで含めて届け出も含めて、きめ細かく対応しているというのは日本の特性であると言えるのではないかという印象も持つわけです。
 日本の転職市場が未整備であるということが報道等で当たり前のように言われていたり、一部の学者の方々が、特に根拠もなく常套句のように日本の転職市場は未整備であると書かれる状況が早く終えんするように、こういう制度改正が日本の転職市場の整備をより強固にするものなのだということをちゃんと示していくことも利用者の安心につながると思うので、ぜひ、そういう大きな目的もつけていただきたいと思います。今回の改正の背景もよく分かりますけれども、決して日本がそういう意味で問題のある整備市場であるからというわけではなくて、より丁寧にきめ細かく転職市場を整備する一環が今回も行われているのだということは、ぜひ、これから詳細な議論をする際にも大前提として据えて取り組んでいただきたいという期待を申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 中窪委員どうぞ。
○中窪委員 ちょっと違うことですけれども、職業安定法の中に「雇用仲介事業」という言葉はなくて、幾つかのものを総称したものになっているわけです。その言葉は今回、別に法律に定義するわけでもないと理解しておりますが、そういうとき「雇用仲介事業」という言葉を使うことがいいのかどうか、やや違和感もあるのですけれども、この言葉についてどういう定義で、どういう位置づけで使われているのかについて教えていただければと思います。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、事務局、お願いします。
○需給調整事業課長 需給調整事業課長です。
 御指摘のとおり、雇用仲介事業というものが職業安定法に定義があるわけではございませんし、今般新しく定義を設けようとしているものではございません。そういう意味では、いわゆる雇用仲介事業という中で議論をしております。例えば、広く言えば労働者派遣事業もそれに入るのかという場合もあります。今回は、労働者派遣事業以外の職業紹介、労働者募集、募集情報等提供を中心に議論してきて、いわゆる雇用仲介事業というところでスタートして広く見ようという中で、今回改正するのが職業紹介と募集情報等提供ということです。御指摘のとおり定義がないものですので、どこを議論しているのか、今回どこの説明をしようしているのかというのは注意しながらやりたいと考えております。
 以上です。
 
 以上です。
○中窪委員 分かりました。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 先ほどの玄田委員の御発言について私の個人的なコメントですけれども、基本的に同感で、この報告書の基本的な考え方の4番にも少し書いてありますが、労働市場が的確かつ効率的に機能するための基盤を整備するための措置を講ずるという問題意識でございます。技術革新でいろいろなものが進展しているということ、あるいは成長分野への労働移動、自発的な労働移動の促進という点からも、労働市場の機能が的確かつ効率的であるということは非常に重要であるという問題意識が、全体として需給制度部会の委員の皆様方の中でもあったものと考えております。これは個人的なコメントになります。
 ほかにございますか。
 ほかに御質問・御意見等ございませんでしたら、報告文案の表示をお願いします。
 こちらも先ほどの雇用保険部会の報告と同様の取扱いでありまして、職業安定分科会としては別紙記のとおりで、需給制度部会で別添のとおり厚生労働大臣に建議すべきであるということで報告書をつけるという扱いになっております。
 この報告文案のように、労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんか。
(異議なし)
○山川分科会長 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。
 先ほど申しましたように、これをもって厚生労働大臣に対する建議と扱われることになります。
 では、事務局から今後の手続について、説明をお願いします。
○需給調整事業課長 需給調整事業課長でございます。
 先ほど建議をいただくこととなりました雇用仲介事業に関する制度の改正につきましては、今後、事務局で法律案要綱を作成いたしまして、本分科会で御議論をお願いする予定としております。段取りにつきましては、あらかじめ労働力需給制度部会において法律案要綱について御意見を頂戴いたしまして、その意見を踏まえて、職業安定分科会に御議論いただくようお願いできればと考えております。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 先ほど複数の委員から御指摘・御発言がありましたけれども、省令事項あるいは告示事項、下位法令に定めるべき事項については、もし法律が通りましたら、さらに労働力需給制度部会で具体的な御議論をいただくことになります。それは職業安定分科会にも適時、御報告することにいたしたいと思います。
 本議題につきましては以上となります。
 本日予定されておりました議題は以上ですけれども、この際、委員の皆様方から何か御発言等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日はいろいろ議題がございましたけれども、大変ありがとうございました。
 本日の分科会はこれで終了いたします。お疲れさまでした。