第170回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年11月22日(火)17:00~19:00

場所

厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館9階国会側)
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第170回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
本日の委員の御出欠ですが、公益代表の中窪委員、橋本委員、使用者代表の小阪委員が御欠席とのことです。
なお、使用者代表の新田委員におかれましては、出席後、所用のため、17時30分から50分ぐらいまで御退席とのことであります。
カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○山川分科会長 本日の分科会は、Zoomによるオンライン開催になります。発言方法につきましては、事前に事務局からお送りしております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
では、議事に入ります。
最初の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」であります。
こちらは、本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
では、事務局から説明をお願いします。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。
雇用開発企画課長の中村でございます。
雇調金につきまして、資料1-1と資料1-2が、今般の制度改正でお諮りする資料でございます。
資料1-2の概要のほうで御説明させていただきます。
今般お諮りする内容は、本年11月30日まで講じられております雇調金の特例措置を12月末までそのとおりの水準で延長する省令案でございます。
改正の概要のページを資料1-2で御覧いただきますと「2.改正の概要」でございますが、➀が原則的な措置、➁が地域特例・業況特例でございます。
その次のページの表で御説明申し上げますので、2ページ目の表を御覧いただけますでしょうか。
左側の雇調金のところを御覧くださいませ。
原則的な措置につきましては、今年12月いっぱいまで1日当たりの支給上限額を1万3500円とし、助成率を中小は5分の4、大企業は3分の2。ただし、令和2年1月24日以降で解雇を行っていない事業主につきましては、それぞれ10分の9と4分の3とする特例措置を12月31日まで延長したいという案でございます。
それから、地域特例につきましては、宣言措置区域と重点措置区域で知事の時短要請等に応じた事業主について講じられている措置でございます。
また、業況特例につきましては、生産指標が最近3か月の月平均で前年または2年前の同期比で3割以上減少している事業主について講じられている措置でございます。
いずれもこちらの表にございますとおり、上限額を1万5000円として、助成率は企業規模にかかわらず5分の4。ただし、今年1月8日以降、解雇等を行っていない場合につきましては、10分の10の助成率を維持する特例を12月31日まで延長したいという内容でございます。
それから、この表の基の縦置きのワードの概要紙にお戻りいただけますでしょうか。
「2.改正の概要」の中の➂と➃につきましては、その他の特例でございます。
まず、➂でございますが、6か月未満の被保険者も対象とするなど、特例としましては、令和2年1月24日から本年11月末まで講じられております諸般の特例措置について、休業等の初日が12月31日までの間にある場合に、1か月間延長したいという案でございます。
➃にまとめております特例は、開始期が令和2年4月1日だったものでございますが、代表例としては、支給上限日数に加えて支給を受け続けることができるとするなどの措置について、令和2年4月1日から講じております諸般の特例措置につきまして、終期を本年11月末から12月31日までに変更したい内容でございます。
省令案は以上の内容でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで示させていただいた後に、お名前をおっしゃっていただいて、御発言いただければと思います。
御質問、御意見等はございますでしょうか。
特段ございませんでしたら。
大下委員、どうぞ。失礼しました。
○大下委員 御説明ありがとうございました。
12月までの延長については、現下の状況を踏まえれば適切な判断かと思います。
1点申し添えますと、既に相当長い期間の雇用調整助成金特例措置が継続する形になっています。特例を受け続けている事業者の方も多くいらっしゃるかと思いますが、果たして適切な対象となり続けているのか、今も受けるに足る状況にある事業者であるのかの確認については、雇用調整助成金の財源が枯渇している状況でもあるため、しっかりとした検証・確認はぜひお願いしたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、次に、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
私も、先週末に同じようなことを繰り返し述べているところでございますが、現下の状況やこれらの特例措置によって、雇用が守られているのだという声を踏まえれば、我々としては、コロナ禍による雇用への影響を特に大きく受ける労働者のほうは不可欠と考えておりますので、まずは現行措置を12月まで継続する省令案要綱については妥当と考えているところでございます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますか。
特にございませんでしたら、今、御意見をいただきましたが、当分科会としては、今回の厚生労働省案を「おおむね妥当」と認めて、その旨を私から御報告いたしたいと思います。
今の点につきまして、御意見等はございますでしょうか。
では、ございませんでしたら、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 今表示されております報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
御異議はございませんので、そのように報告させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○雇用開発企画課長 ありがとうございました。
○山川分科会長 では、次の議題に移ります。「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。
こちらは、11月10日付で厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、同日行われた雇用保険部会、19日に行われた雇用保険部会におきまして、あらかじめ議論を行っていただいております。
では、資料及び部会での議論につきまして、事務局から説明をお願いします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。よろしくお願いします。
資料2-1が省令案要綱、資料2-2が概要でございます。
資料2-2を御覧ください。
1枚めくっていただきまして、省令案の概要でございます。
「2.改正の概要」にございますように、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の対象となる休業の期限を12月31日まで延長するという中身になってございます。
(参考)に具体的な水準を書いてございますが、原則の措置は助成率8割、上限が9,900円、地域特例という形で上限を1万1000円に引き上げてございます。この措置を1か月延長するという内容でございました。
雇用保険部会のほうで、11月10日に議論を行っていただきました。その際には、財源面に関する懸念などの御意見があった関係で、その日には答申、御報告はいただけず、19日に再度雇用保険部会が開催されましたが、その際に、事務局からその日に公表される経済対策の内容につきまして、財源措置がなされる旨の説明をさせていただいた上で、おおむね妥当との御報告をいただいたところでございます。
説明は以上でございます。
よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、こちらの件について、御質問、御意見がありましたら、同様に「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、御発言をお願いいたします。ございませんでしょうか。
特にございませんでしたら、当分科会として、厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。
このようなことで、御意見等はございますでしょうか。
では、ございませんでしたら、こちらの報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 今表示されております報告文案は、記ということで、雇用保険部会からの御報告を引用してという形になっておりますが、このような報告文案で、労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
御異議はございませんでしたので、そのように報告させていただきます。
ありがとうございました。
では、次の議題は「その他」でありますが、雇用保険部会におけるこれまでの議論につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
資料3は「雇用保険部会におけるこれまでの議論について」で、参考資料で各種の制度を載せてございます。
9月8日に雇用保険部会で制度の見直しに関する議論が始まったところでございますが、現時点で、まずは給付の議論で幾つか給付に関する暫定措置などがございますので、その議論を中心に行っていただいたのと、もう一つは、雇用調整助成金の臨時特例法の財政スキームなどが今年度末までの期限となっていることもございまして、雇調金、休業支援金などにつきましても議論されてきたということでございます。
本日お出ししている資料は、それらについて、基本的には制度の概要、今の状況、これまで雇用保険部会で出された御意見のまとめ、最後に論点という形で、それぞれの項目につき、資料構成をしているところでございます。
それでは、まず「雇用調整助成金・休業支援金等」から御説明いたします。
助成水準などにつきましては、何度もこの場で諮問させていただいているところでございますので、詳細は省略いたしますが、2ページにございますように、雇用調整助成金の上限の特例部分に関しまして、一般財源を繰り入れる仕組みを新たに設けるなどのいろいろな特例措置を現在、雇調金で実施しております。
その際に、休業手当を受け取っていない労働者への直接給付の形で休業支援金という仕組みを設けまして、同様の財政構造を取ったところでございます。
こちらの絵自体は、従来から御説明申し上げているとおりでございますが、一般財源の確保などのスキームが令和3年度までの措置ということになっていることもございまして、コロナ禍における雇調金の特例措置、休業支援金につきまして、財政のスキームを前提とした制度の状況につきまして御説明さしあげるとともに、種々御議論いただいてきた状況でございます。
資料は続きますが、恐縮ですが、省略いたしまして、10ページ以降が、これまで雇用保険部会で出された意見のまとめでございます。
雇調金、休業支援金がございますが、大部分が雇調金の特例措置に関する御意見でございまして、一部「その他」という形で12ページにございますように、在籍型出向などの御意見もございました。
意見自体は非常に多いのですが、非常にまとめた形で13ページに論点という形で事務局として整理しております。
雇調金、休業支援金等につきまして、以下のような議論があったことを踏まえて、今後の制度の在り方についてどのように考えるかということで、1点目は、雇調金は、これまでコロナ禍における雇用維持に大きな役割を果たした。その上で、業種によっては当面の特例措置の継続が必要であるとの意見があった一方で、産業の新陳代謝を遅らせている可能性は否めず、人手不足感が強まっていることから、経済回復のブレーキにならないよう、エビデンスに基づいて縮小を議論する段階に来ているとの意見もあった。
2点目は、申請書類の簡素化など、各種の支給要件の緩和が効果的であったとの意見があった一方で、足元の状況が悪化傾向にあるわけでは必ずしもない中で、雇調金の業況特例が支給決定総額に占める割合が高いことをどう見るべきかとの意見があった。
3点目は、財政構造とも絡みますが、雇用保険二事業として事業主の共同連帯により実施すべき範囲と、感染症対策としての社会経済活動の抑制下における雇用維持支援策として実施すべき範囲について議論が必要であり、感染症対策としての側面が強いため、一般財源で実施すべきとの意見があったという形でまとめているところでございます。
次のページ以降が「基本手当」でございます。
こちらは、今回、特に議論をお願いしている内容を15ページに書いてございます。
基本手当と令和3年度末までの暫定措置でございますが、基本手当につきましては、制度自体は非常に枚数を割く必要がございますが、一言で申し上げると、失業した場合、一定の条件の下で失業認定を行った上で支給される給付でございまして、日額、日数それぞれについて一定の範囲で定められている。
特に日数に関しましては、特定受給資格者は最大330日の手当給付、特定受給資格者以外の方は最大150日という形で、離職理由によって差がついている構造になってございます。
これが原則でございますが、令和3年度末までの暫定措置といたしまして、まず、雇い止めなどにより離職した方への所定給付日数の拡充ということで、通常は一般の離職者と同じ最大150日であるところを暫定的に330日まで、特定受給資格者と同じ給付日数に拡充するという内容でございます。こちらに関しては、令和2年度の影響が推計値になりますが、約120億程度の財政影響があると見込んでおります。
地域延長給付でございます。これはハローワーク単位で指定する枠組みになってございますが、雇用情勢が悪い地域に対する特定受給資格者などに関しまして、給付日数を60日延長する枠組みでございます。これは、リーマンショックに並ぶ雇用情勢を比較しているものでございまして、現状では実績が極めて少ない状況でございます。
コロナ特例延長給付は、雇用保険臨時特例法によりまして、昨年立ち上げたものでございまして、新型コロナウイルス感染症の影響などにより離職した方に対して、給付日数を60日延長するものです。こちらは、実績としては、令和2年度に1167億円とかなりの額が出ているところでございます。
以下、資料、雇用保険部会で出された委員の御意見をまとめているところでございますが、21ページに、こうした御意見を踏まえて、論点という形で事務局として提示しております。
基本手当につきましては、受給者の再就職状況などの指標について大きな変化が見られないことなどから、現時点で見直しの必要性は乏しいのではないか。あるいは、過去の制度改正などと併せて、今後評価検証する必要があるのではないかとの意見があったが、どう考えるかというのが1点目の論点でございます。
もう一つは、その下にマル1からマル4までそれぞれつけてございますが、基本手当に係る暫定措置について、財源確保策とセットで検討するべきといった意見、現下の雇用情勢や支給の状況に鑑み、一定の期間延長することはやむを得ないといった意見、類似の他制度に再整理することも考えられるのではないかといった意見があった。
また、延長する場合には、1年程度の短期間とすることが適当といった意見があった一方で、短期間であるとすぐに期限が来てしまうことを懸念する意見もございました。
これらを踏まえ、また、現下の雇用情勢や暫定措置の効果及び終了した場合の影響などを踏まえ、それぞれの制度の在り方について、どう考えるかとまとめてございます。
続きまして「教育訓練給付」でございます。
制度の概要は23ページについてございますが、主に議論の対象としていただきたいという形でお願いしたいのが、24ページの専門実践教育訓練給付でございます。
こちらは、いわゆる指定講座に関しまして、業務独占、名称独占などの取得を訓練目標とする養成課程、あるいは専修学校の専門課程、専門職学位課程など、中長期的なキャリア形成、キャリアアップを支援するということで、訓練期間が長く、また訓練費用も比較して高い傾向にございまして、こうしたものに対して、従来の教育訓練給付と別枠で制度を設けて、給付率、支給要件などをそれぞれ別制度として設けたものでございます。
専門実践教育訓練給付を受講し、修了する見込みのある45歳未満の離職者を対象といたしまして、訓練期間中の受講支援として、基本手当日額の80%を支給する枠組みがございます。これが令和3年度末までの暫定措置となっているところでございまして、専門実践教育訓練給付等を中心に御議論をお願いしてきたところでございます。
以下、資料とこれまでの委員の御意見をまとめているところでございまして、29ページに論点という形で整理してございます。
1点目は、教育訓練給付の全体の議論でございますが、指定講座の内容を市場ニーズに沿って見直すとともに、制度利用が進むよう周知を強化すべきとの意見があった。
講座内容に加えまして、キャリアコンサルティングあるいはジョブカードも含めて制度の効果検証を行うべきとの意見がございました。
給付水準につきまして、適切なインセンティブ付与あるいは成長産業への誘導の観点から見直すことも考えられるのではないかとの御意見。
指定講座には、政府方針との関係もあり、財源については一般会計でも負担すべきとの意見がございました。
続いて、専門実践教育訓練給付及び教育訓練支援給付金に関する論点でございます。
これらについて、以下のような議論があったことを踏まえつつ、現下の雇用情勢や財政状況、並びに暫定措置の効果及び終了した場合の影響などを踏まえ、それぞれの制度の在り方についてどのように考えるかということで、以下に議論をまとめてございます。
1点目は、偏りをなくす、社会的要請がある分野や人材不足分野に重点化するなど、指定講座の内容のバランスをよくすべきとの御意見がありました。
2点目は、長期間の給付であり、賃金上昇効果も含め、費用対効果の観点から効果検証が必要との御意見がございました。
3点目は、教育訓練支援給付金は、雇用保険財政が厳しい中で恒久化すべきではなく、効果検証の上で延長の是非を議論すべきではないかとの御意見。
4点目は、教育訓練支援給付金は、基本手当類似の制度であり、一般会計負担が必要ではないかという御意見がございました。
続きまして、30ページ以降は「求職者支援制度」でございます。
31ページに求職者支援制度の概要がございます。
こちらは、雇用保険を受給できない求職者が、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら無料の職業訓練を受講し、再就職や転職を目指す制度ということで、雇用保険と生活保護の間をつなぐ第二のセーフティーネットとしての位置づけなどがございます。
それぞれ制度活用の要件、対象者などが定められているところでございますが、33ページを御覧いただければと思います。
本年に入って講じた求職者支援制度の特例措置でございますが、シフトの減少により厳しい立場に置かれている方などが、在職中に給付金を受給しながら訓練を受講し、ステップアップとなる仕事への転職を目指せるよう、収入要件と出席要件を緩和する特例措置を令和4年3月末まで設けているところでございます。
具体的には、収入要件は月8万円以下のところが、シフトで働く方などは12万円以下とする。あるいは出席要件に関しては、仕事で訓練を欠席せざるを得ない日をやむを得ない欠席として扱うといったことをやっているところでございます。
同時に、働きながら受講しやすい短い期間の訓練コースの設定を可能とするために、訓練基準を例えば2週間以上の訓練から認める、月60時間以上の訓練から認める、あるいはオンライン訓練の設定を促進することをやっているところでございます。
こうした特例措置を中心に、求職者支援制度につきましては御議論をお願いしてきたところでございますが、36ページが御意見、37ページが論点という形で整理しております。
37ページの論点でございますが、求職者支援制度につきまして、以下のような議論があったことを踏まえ、当面、次のような課題を解消するための取組を検討することについて、どう考えるか。
給付金の支給要件(世帯収入要件、出席要件など)の見直し。
制度利用対象者の裾野の拡大(在職求職者の取扱いなど)という形で、まず整理してございます。
これまで特例措置を幾つか講じてきたところでございますが、さらにそうした取組を強化していく方向性について整理しておるところが1点でございます。
もう一つは、また、求職者支援制度の今後の在り方について、どのように考えるかということで、制度全般、特例措置に関して、それぞれ御意見を整理しております。
制度全般に関しましては、1点目は、制度の周知状況や使い勝手、支給水準など、制度の利用が進まない原因や就職率・定着率を検証する必要があるのではないかという御意見。
2点目は、同業種でステップアップするためにも活用する余地があるのではないかとの御意見がございました。
3点目は、幅広く対象者に訓練効果が伝わる周知や、きめ細やかな伴走型支援が必要ではないかとの御意見がありました。
4点目は、本来は全額一般会計で実施するべきであり、少なくとも原則の2分の1に戻すべきではないかとの御意見もございました。
特例措置に関しましては、何らかの困難を抱えている方には、訓練基準の特例など、使い勝手をよくする仕組みが重要ではないかとの意見もありました。
効果検証を前提として、コロナが収束するまで例えば1年程度延長することも考えられるのではないかとの御意見がございました。
以上が、資料3の御説明でございます。
詳細は、参考資料につけております。
今後でございますが、先週金曜日の雇用保険部会におきまして、今回の資料の中では触れられていない財政の問題についての議論を始めたところでございます。
以降、この給付の議論と財政の議論を併せまして、年内に向けてさらに議論を進めてまいりたいと考えておるところでございます。現時点では、中間報告的な形で本分科会に御報告させていただいたところでございます。
よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
雇用保険部会における議論について、御報告をいただきました。
本件につきまして御質問、御意見がありましたら、同様の方法でお願いいたします。
馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
全般的にお話しいただいた分は、今から財源の問題も含めて考えるという御趣旨だと思います。
中身の部分で、最後の求職者支援の部分ですが、再々申し上げておりますが、各地のハローワークでは、その地において必要な、それから人手が特に足りないところを中心に、求職数が多い業種は分かっておられると思います。
そういったところもきちんと加味されて、途中では成長分野に向けて移動を促すみたいな話も書いてありますが、エッセンシャルワーカーについては、コロナ禍でいろいろな業種・業態でエッセンシャルワーカーが存在していることがあぶり出されてきておりますので、そういったものをハローワークにおける求職数の多さとか人手不足感を検証しながら、そこに向けて教育訓練を行っていく。そういったきめ細かなこともやっていただければと思っております。
特定のものは、いろいろと差し障りはあるのかもしれませんが、いろいろな分野でエッセンシャルワーカーは存在していると思われますので、各地のハローワークでエビデンスを取りながら、人手が足りない部分については、特に求職者を導いていっていただきたいと思っております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
大下委員、どうぞ。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
馬渡委員の意見とも重なりますが、コロナ禍がある程度落ち着いてきている中で、エッセンシャルワーカーの方々、特に介護業において、人手不足がずっと続いています。また建設業なども人手不足の状況がずっと解消されていません。
こうした人手不足産業・成長が期待される産業への労働移動をいかに円滑に促していくのかというのが、コロナ後の成長につながる雇用の大きな政策上のテーマかと思います。
職業訓練のメニューや使い勝手とともに、最終的に訓練を経た方々が円滑に移動していくための就職先のあっせん・マッチングがシームレスでつながっていくための取組が必要かと思います。
訓練から採用まで、ハローワークが教育・訓練の場としっかりと連携して、人手不足産業・成長産業にフォーカスし、限られた人員で重点を絞った取組をしていただくこと、なおかつ、一連のシームレスでの取組をしていただくことが非常に大事かと思っています。
あと、繰り返し申し上げています通り、雇用調整助成金で多くの事業者の方々の雇用を維持する形で支援して、何とかコロナ禍を乗り切ってきましたが、同じような事態が次に起こったときの財源のありように関してはしっかりと議論し、何らかの方針の合意を得ておくことが非常に大事かと思います。こちらについても、議論を引き続きお願いしたいと思います。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
酒井委員、どうぞ。
○酒井委員 事務局から論点を整理していただいたので、私から少し感想めいた大きなコメントをさせていただきたいと思います。
2点ほどあるのですが、1点目は、昨今、雇調金をめぐる論調に関してです。この分科会ということではなくて、世の中一般に労働移動の促進のために雇調金を縮小すべきなのだという論調が高まっているのではないかと感じております。
労働移動は非常に重要なことだと思います。先ほどの御意見にもありましたように、人手不足産業といったところに労働移動がなされることが、今後の成長につながっていくものだと思っております。
ただ、私も以前、雇調金が産業の新陳代謝を遅らせているのではないかということについて言及させていただいたわけですが、何か先に労働移動ありきみたいな議論になってきていることは、多少違和感があるところです。労働者が望んでいるかどうか分からないにもかかわらず、マクロ的に必要だから、労働移動させるために措置を講ずるべきということになると、結局はうまくいかないことも出てくるのではないかと少し感じている次第です。
これは以前と重複になるのですが、大事なことは、労働者のニーズに即したセーフティーネットを提供していくことだと思っております。その意味では、雇用関係の存在を前提としたセーフティーネットだけ、あるいは雇用関係が解消した際のセーフティーネットのどちらかだけということではなくて、両者の補完関係を前提とした上で、最適なバランスを議論していく必要があるのではないかと。
とかく、雇調金というトピックをめぐって話し合うと、雇調金を縮小すべきか、継続すべきかという話になりがちかなと感じているのですが、雇用保険本体とセットで、その関係性を踏まえた上で議論していくこと。もちろん、これまでも様々な給付について目配りしてきたわけですが、それらの関係性を踏まえた議論が必要なのかなという気がしております。それが一番労働者のためになるのではないかと思っております。
それから、長くなるのですが、2点目です。
これまで感染症対策というキーワードがずっと出てきているわけです。今回のコロナの経済への影響の背景にあるものは、まさに感染症対策という名目で、言わば強制的に供給が制限された事実であることは間違いないと思っています。それこそがコロナ不況の特徴ではないかと私自身考えておりまして、そういう考え方には強く共感するところです。
ただ、当然ながら、もし営業自粛要請といったものがなかったならば、経済はもっとがたがたになっていたかもしれません。それから、自粛要請に起因する業績の悪化も、業種とか事業所によって大分濃淡があるのではないかとも感じているところです。
そうすると、感染症対策に協力したのだから、財源は一般財源からという主張になると、そのような側面があるのはすごくよく分かるのですが、どこの部分までが自粛要請に起因するものなのか、あるいは自粛要請がほぼ解除されている現在は、一般財源ではなくてよいのかという、言ってみれば突っ込みを招きかねないかなという気がしております。
ですので、そういった論理もよく分かるのですが、それよりは、とにかく想定外のことが起きたので、本当に企業も労働者も大変になっているのだ、だから、国民の税金である一般財源を必要としているという主張のほうが、多くの人々の理解を得られやすいのではないかというのが私が持っている感想です。
いろいろな考えがあろうかと思いますが、私の考えをお伝えさせていただきました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、続きまして、宮田委員、お願いします。
○宮田委員 宮田でございます。
御丁寧な説明をありがとうございました。
まず、雇調金の件に関しましては、大分コロナの影響も収まっている中ではありますが、これにより多くの企業を助けられているところもあり、回復状況も事業体によって違うということなので、ここは細かく対応を見てやっていくことが必要かと思っています。
あと、財源の問題は、まさに先ほどの御意見と一緒なのですが、今回のコロナの影響は、今までに経験したことがないような大きな影響力があり、しかも期間も長くということを考えれば、こういう感染症に限らず、これだけの大きな影響があるものに対してどのように考えるのかという観点でも考えていく必要があるのではないかと思っております。
また、給付の話と教育訓練はセットだと思っておりまして、限りある財源の中で、いかに教育訓練などにきちんと対応し、先ほどの御説明にもありましたが、どれだけの効果があったのかをきちんと検証した上で対応していくことが、効率的な財源の運用に関しても重要かと思っておりますので、提供している教育訓練の効果を見ながら、もし効果が出ていないところがあれば、そこを改善していくというやり方は特に見ていく必要があるのかなと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますか。ございませんでしょうか。
先ほどは非常に有益な御意見をいただいたところでございます。
この件は、雇用保険部会での議論の中間報告的なものをしていただきましたが、今後、また議論がなされていくと思いますので、職業安定分科会で出された今日のような御意見について、雇用保険部会にも適宜御紹介していただいて、さらに御議論いただいて、またこちらにフィードバックする方向でお願いしたいと考えております。
既に御指摘がありましたが、コロナ禍への対応の問題と、さらにそれとは独立に考える問題と種々論点が入っておりますので、先ほど申しましたようなことで進めていただければと思っております。
ほかに何か御議論、御意見、御質問等はございますでしょうか。
特段ございませんでしたら、こちらの議題は「その他」でありましたが、この議題に関する議論は以上とさせていただきたいと思います。
本日予定されておりました議題は、以上で終了いたしましたが、その他につきまして、この際、委員の皆様方から御発言等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。
大変ありがとうございました。