第103回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第103回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和4年2月1日(火)13:29~14:29
 
2.場所 厚生労働省専用第15会議室(一部オンライン会議)
    (東京都千代田区霞が関1-2-2 本館12階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○明治大学法学部教授 小西 康之
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○UAゼンセン労働条件局部長 髙橋 義和
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
○日本科学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子

(使用者代表委員)
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 山内 幸治

4.議題
(1)特別加入制度の見直しに係る関係団体からのヒアリング
(2)労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱等について(諮問)
(3)その他

5.議 事
○守島部会長 それでは、少し時間は早いのですが、開始させていただきたいと思います。ただいまから、第103回労災保険部会を開催したいと思います。本日の部会は会場及びオンラインの両方で実施いたします。出欠状況ですが、武林委員、水島委員、平川委員が御欠席と伺っております。現在、出席者は15名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。それでは、カメラ撮影等はここまでとさせていただきます。
それでは、第1の議題に入りたいと思います。第1の議題は「特別加入制度の見直しに係る関係団体からのヒアリング」です。本日は公益社団法人日本歯科技工士会から杉岡会長、大西常務理事、夏目専務理事、壁谷事務局長にお越しいただいております。
それでは、代表の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○杉岡会長 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました公益社団法人日本歯科技工士会の会長を務めております杉岡範明と申します。本日は貴重なお時間を頂きまして、このような席で歯科技工士を労災保険の特別加入の対象にするべきかどうかという御審議を頂くということ、全国の歯科技工士を代表して、心から感謝と御礼を申し上げます。
近年、口の中の良好な環境が全身の健康を維持するために大きな役割を果たしていることが指摘されております。その歯科保健医療に関わる専門職は、歯科医師、歯科衛生士、そして私たち歯科技工士の3職種のみです。その歯科技工士の主な仕事は、義歯や被せ物を製作することが主な仕事で、全国に約3万4,000人が就労しております。その主な就業場所は病院や診療所の歯科技工室、それともう一つは、独立した施設である歯科技工所です。先ほど申し上げた全国で約3万4,000人就労している者の73%が歯科技工所で業務を行っております。一方、その歯科技工所は全国に約2万1,000件あります。そのうち77%が、いわゆる労働者以外で労働者を雇用しないで業務に従事する一人親方です。
また、その歯科技工所に関係する業務環境の中で、業務上、けがや病気に掛かった者があるかという質問に対して、約17%ほどが掛かったことがあるという報告があります。実は、私たち歯科技工士の法整備は、昭和30年にその根拠法である歯科技工士法が制定されましたので、今年で67年目ということになります。私たちのこの度の公的セーフティーネットの希求は正に67年にわたる悲願であったと言っても過言ではありません。どうか第83回労災保険部会の建議に基づき、対象範囲の拡大に歯科技工士も追加していただき、今申し上げた国民の健康増進に寄与する歯科技工士が安心して業務に従事できるように、慎重なる御審議を頂きますよう、よろしくお願いいたします。
なお、具体的な必要性については、担当者から話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大西常務理事 私、公益社団法人日本歯科技工士会常務理事の大西と申し上げます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。今、画面に映っているプレゼンに関して、40枚ほどございますが、約20分ぐらいで説明させていただきたいと思っておりますので、御理解いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、1ページが表紙で「歯科技工士について」ということです。2ページ目が目次ですが、大きく11項目に分類されております。
3ページ目を開いてください。「歯科技工士とは」ということですが、歯科技工士は歯科医療の一翼を担う医療専門職であるということが大前提です。その参考として、歯科技工士法第2条に「歯科技工」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成し、修理し、又は加工するということを指しております。それと、「歯科技工士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科技工を業とする者をいう。また、「歯科技工所」とは、歯科医師又は歯科技工士が業として歯科技工を行う場所を指しております。この3項目を第2条で定義しております。
4ページです。歯科技工士の業務ということですが、主な製作物として8項目を挙げました。皆さん御存じのように、クラウン(被せ物)、ブリッジ、これは歯が抜けた所に橋を渡してブリッジというものを作ります。総義歯(総入れ歯)、部分義歯(部分入れ歯)、昨今のインプラント、矯正装置、マウスガード、エピテーゼという主に8項目の製作をさせてもらっています。
5ページです。これは図式化した写真ですが、左の上下2枚は、いわゆるクラウン(被せ物)です。虫歯になった所に、このように金属で被せ物を作る。真ん中の6本の白い歯はブリッジ、前歯6本のブリッジです。一番右端が上下の総義歯(総入れ歯)です。このようなものを主に作っているということです。
6ページ、ちょっと話は飛びますが、集配、いわゆる歯科技工所で実際にこのような作業を行うわけですが、歯科医療機関に我々が出向いてお届けする。なおかつ、そこでまた新たな仕事を請け負うというような形をする作業があります。実際、ただ行って届けて、行って預かってくるだけではなくて、歯科医師の先生方から特定の指示を受けたり、我々が作ったものに対して、ここをこういうようにして作ったとかというような説明をする作業があります。これは実際の歯科技工以外の部分ですが、大切なところです。そのことに関して、歯科技工士A、B、C、Dは、特定の歯科技工士のことを指しますが、やはり集配時間として、それぞれ1日1時間~3時間は掛かるというようなことを述べております。
7ページです。いわゆる歯科技工所というのは、どういう場所なのだろうということなのですが、これは私どもの会員のデータから抽出したものですが、東京や大阪などの都会と地方とを比べてみると、やはり都会では、そういうテナントとかという所に、別途歯科技工所を構えられて自宅から通勤されている割合が多く、その通勤に関しては公共交通機関や自動車を使用していることがよくあるということが会員のデータから分かります。
8ページです。歯科技工士の現状ということですが、出典は厚労省の衛生行政報告例から引用しておりますが、一番右下の赤の破線で囲った所ですが、50%が50歳以上ですよというようなことで、ここでも歯科技工士の高齢化が如実にあらわれているというようなことです。
9ページです。「就業場所別就業歯科技工士数の推移」ということですが、これは、横軸が平成8年から平成30年、下の段に、どこで就業をしているかということが書かれていて、一番下が歯科技工所、次が病院・診療所、歯科技工士学校又は養成所、事業所、その他ということですが、一番右の一番下の所に赤の破線で囲ってあるように、約2万5,000余りの歯科技工士が歯科技工所で就業しているところです。
次の10ページですが、その2万5,000の歯科技工所の状況ですが、先ほど申し上げたように横軸が平成8年~平成30年、縦軸は、一番下が一人でやってますよ、その次が2人、3人、4人という人数の割合を表しております。一番右下の赤の囲みを見ると1万6,102人という数字がありますが、この方々が独りで、ワンマン歯科技工所を営んでいるということです。よって、この1万6,000余りの方が、加入が叶うのであれば、加入できる可能性のある方々の数字ということになります。
11ページです。これは公益社団法人日本歯科技工士会、通称「日技」と呼んでおりますが、代表理事は先ほど挨拶をした杉岡範明です。創立は1955年9月24日で、今年は67周年を迎えます。会員数は約7,200名です。歯科技工士会は、歯科技工に関する知識や技術の進歩発達を図るとともに、歯科技工の質の確保・向上に係る事業等を推進することによって、歯科医療及び口腔保健等の増進に寄与しており、全国で国家資格を持つ歯科技工士による唯一の全国組織です。行政や関係団体とも連携しながら、学術事業、歯科技工の質の確保と向上に係る事業、歯科補てつ物等の安全確保のための各種調査・研究など、歯科医療及び口腔保健等の維持向上に寄与するための様々な事業を展開しています。次の12ページにあるように、我々は47都道府県全ての都道府県に、傘下の歯科技工士会組織を有しております。
13ページです。事業内容は大きく分けて4つです。1つは教育研修、2つ目は国際交流、3つ目は歯科技工に関する普及啓発事業、その他事業という構成で行っているところです。
14ページです。我々は3年サイクルで歯科技工士の実態調査を行っております。これは2018年の資料ですが、健康診断、就業時間中のケガ等について質問しております。健康診断に関しては、ほとんど68%の方が受けているということが分かっています。
15ページです。その問いの中で、就労時間中(勤務時間を含む)のケガや病気の経験について直近の1年間というのは、これが2018年のときの調査ですので2017年の1年間の間に、ケガや病気があったかどうかということを問うていますが、全体としては赤の破線で囲ってあるように、17%が「あります」という報告がありました。
16ページですが、その17%の方々に問いました。就労時間中のケガや病気のタイミングは、どういう状況だったかということを見ると、全体では歯科技工作業中が70.6%、通勤時間中が12.4%、営業(外交)中が5.2%ということが分かりました。一応、こういう結果でありました。
17ページです。その状況の中で、「通院した」という方が47.7%、「病院には行っていない」が38.6%、「入院した」という人が17.6%というような結果が出ております。
18ページに、ケガの内容として想定されるケースを(その1)(その2)(その3)として挙げています。一番左は、トリマーといって、砥石で石膏模型を削るという作業があります。これは、やはり手を巻き込んだり、爪を削ってしまったりということがあり得ます。真ん中は、ジスクという小さな円盤のジスクで鋳造体(金属)をカットするという作業があります。やはりこのときに手指を削ってしまうということがあります。一番右に関しては、高速レーズで研磨するという、磨く作業をするわけなのですが、ここでも、やはり巻き込んでしまったりということもあり得ますので、ケガをする可能性のある工程です。
19ページです。(その2)ですが、4つありまして、いわゆる鋳型に金属を鋳造する作業です。一番左は、高温の電気炉(850℃以上の高温に熱せられた電気炉)から鋳型を取り出します。2つ目は、取り出した鋳型を鋳造機にセットするところです。3番目は、鋳造が終わったところで、ここまでが鋳造の一連の作業ですが、やはりここで間違って触ってしまったり、溶かした金属がちょっと飛んでしまうとかということもあり得るということです。一番右ですが、これはワックスアップという作業で、蝋を歯の形に形成していく作業ですが、火を使うことなので、やけどの可能性もあり得るということです。
20ページです。(その3)は4つの写真があります。歯科医院に行くと型を取るという作業がありますが、一番左は、型を取ったものなのです。実は、型を取ることにより、唾液や血が付くことがあります。我々がそこに石膏を流すという作業になるのですが、それがそのまま歯科技工士の手に渡されて、このときに感染ということがあり得ます。2つ目は、そこに石膏を流したときに、おのずと血や唾液が石膏の表面に付くということがありますので、やはり、感染のおそれがあるということです。3つ目は、石膏模型を削るという作業です。これはよく見ると、小さな煙みたいなものがありますが、掃除機というかセントラルバキュームでバキュームしながら石膏を削る形になっているのですが、この白い煙みたいなものが石膏の削りかすなのです。セントラルバキュームで吸ってはいるのですが、やはりそれで吸い切れないものは空気中に舞い上がって、それを粉じんとして吸ってしまうということがあり得ます。一番右に関しては、先ほど申し上げたワックスアップという作業ですが、やはり細かな溝や、いろいろな形を作り上げなければいけないので、かなり細かな道具でやることが多いのですが、そのときに指を刺してしまったりということがあります。これはミスプリです。「針刺し事後」と書いてありますが、「針刺し事故」のミスです。失礼いたしました。
21ページです。感染予防歯科技工士講習会の実施ということで、やはり先ほどから申し上げているように、そういう間接的な感染もあり得るので、これは厚労省の委託事業として、平成14年の2002年より講習会を開いていて、今のところ、全国で36都道府県で開催し、現在は二巡目に入っています。もう1つ、下段にあるように、歯科技工士法施行規則による規定がありますが、平成25年に改正されました。その第13条の2に、赤字で書いているように「歯科技工所の構造設備基準」が追記されました。これは「歯科技工に伴って生じるじんあい(ちり、ほこり)又は微生物による汚染を防止するために必要な構造や設備を有すること」ということで、法制度の中で、歯科技工士の安全や対策をここで担保しているということです。
22ページは、そのときのテキストです。右にあるような内容で講演をしていただいているということです。
23ページ、23ページ、24ページです。これは、我々の会報「日本歯技」という会報が月に一度発行されますが、そこに掲載しました。これは日本歯科技工士会のホームページにもアップしておりますが、「歯科技工領域での感染症の基本知識と対策のQ&A」ということで周知しております。特に、25ページのQ21において、コロナの感染の可能性はあるのかというようなことで、Q&Aを周知しております。
なおかつ、26ページですが、これも『日本歯技』という広報誌の令和2年7月号に掲載し、ホームページにもアップしております。「新型コロナウイルス感染防止対策について」ということで、目次にあるような形で周知しております。かなり細かい所ですので飛ばしますが、26~36ページまでがコロナウイルス対策の資料になっております。
37ページは、新型コロナウイルスの感染防止対策動画ということです。これは動画にはなっていませんが、このような形でホームページで手洗いについて周知しております。
38ページです。先ほど21ページの6番でも言及しましたが、歯科技工所の構造設備基準ということで、特に災害防止に関することを網羅されているということで黄色のマークの所に書いております。ちなみに、余りお聞きにならないような専門用語があります。「防じん」というのは、ちりやほこりが入るのを防ぐということであるとか、「防湿」は湿気を防ぐこと。「防そ」というのはねずみを防ぐこと、「じんあい」というのは、ちりやほこりということですが、専門用語的に書かれています。
39ページです。歯科技工所の構造と作業風景ということで、5枚の写真がありますが、左上のものは、最近のコンピューターによって歯科技工を行うというのがトレンドというか、そのようなことまでもできるようになってきています。各歯科技工所において、かなり細かな道具や材料が繁雑的に並んでおりますが、こういう所で歯科技工が行われているということです。
最後に、40ページです。特別加入の対象にすることへの要望書ということで書いております。先ほど冒頭に会長から御挨拶いただいたとおりで、この際に是非とも労災保険特別加入制度の特定業種に歯科技工士を加えていただくことを要望したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関して御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。会場から参加の委員は挙手を、オンラインから参加の委員はチャットのメッセージから「発言希望」と記入していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。安原委員、お願いいたします。
○安原委員 御説明どうもありがとうございました。少し確認したいのですが、頂いた資料と先ほどのお話では、歯科技工士数が約35,000人で、一人で技工所を開設している方が1万6,102名ということで、歯科技工士の半数弱ぐらいの方が一人親方として、1人で技工所を開設して働いていらっしゃる形となっているようですが、質問ですが、協会の会員数が7,200人ということで、会員の構成についても教えていただければと思います。会員のうち、雇用の方、一人親方の方はどれくらいの割合でいらっしゃるのでしょうか。
○杉岡会長 今、先生にお話いただいたように、全国の歯科技工士の割合と、協会のこの割合はほとんど同じです。相似関係にあります。
○安原委員 また追加で確認したいのですが、そういったお1人で働いていらっしゃる方の環境について、先ほどのお話では歯科技工所を開設する場合に、いろいろな構造設備基準を満たす必要があるとのことですが、一人親方の方も、この法で定められた設備はきちんと設置しているという理解でよろしいでしょうか。
また、歯科技工にはいろいろな化学物質が扱われているかと思いますが、一人親方の作業環境について、例えば、いわゆる企業ですと大気中の粉じんが何%といった作業環境測定などありますが、そういった作業環境測定やリスクアセスメントについては、お1人の場合でも行われるのか、その辺りを教えていただければと思います。
○夏目専務理事 ありがとうございます。粉じんの量を測る等は、恐らく一般の歯科技工所ではやっていない所が多いかと思います。ただ、やはり足りないところを補うように、会としては今後も研修会等をすべきだと思い、計画しております。
○安原委員 ありがとうございました。
○杉岡会長 追加ですが、厚労省からも危険な化学物質の使用については、リスクアセスメントの情報が毎月流れてきますので、それを会員に周知徹底する方法で、勧めております。
○安原委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、どなたか御質問はございますか。
では髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 御説明どうもありがとうございました。作業の工程や、作業中における危険性など、非常に理解を深めることができました。確認したいことがあるのですが、作業風景ということで写真が出されておりました。これを拝見すると、複数名で働いていらっしゃる作業風景もあるのですが、最初の御説明では、今回対象になるのは一人親方の方ということですので、ここの写真で複数名働いている方は、いわゆる一人親方ではなく、雇用されている方という認識でいいのかをお聞きしたいのが1点です。
それから、これは御存じであれば教えていただきたいのですが、こういった歯科技工士の方は、一人親方の方はご自身の技工所で働いているということですが、例えばどこかの技工所に請負という形で作業に行って、そこにおられる雇用者の方と一緒になって働くということがあるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○大西常務理事 39ページの写真の話ですが、5枚あるうち上の真ん中が2人写っております。これは複数人数の歯科技工所の写真で、今回のプレゼンにはふさわしくないという思いがありました。あとの4枚に関しては、1人で作業をしていて、1人で開業されている歯科技工所の写真です。
それと請負に関しては、場合によりますが、基本的には1人の歯科技工所、1人の人が歯科技工所を開設しており、そこで請け負った仕事をしておりますので、またどこかに出張して仕事をすることは余り考えられないのかなと思います。
○夏目専務理事 追加ですが、この歯科技工士の設備ですが、これは1人のラボも複数のラボも構造設備基準で細かく決められておりますので、ほとんど変わりのない設備が整っているという意味で、手元にある写真を使いましたので誤解を与えましたが申し訳ございません。
それから請負に関しては、基本的には、1人のラボは自分の歯科技工所で働くのが基準なのですが、午前中はそこでやって、午後から別の所に働きに行くケースもなくはないという話は聞きます。統計では、主たる所さえ届ければいいので、実際にその方が何箇所で働いているのかは分かりませんが、可能性としては、別の所や、複数の所に働きに行くこともないとは言えない状況だと思います。
○守島部会長 では髙橋委員、続けてください。
○髙橋委員 ありがとうございます。複数の所に行っていらっしゃる方がいるかもしれないとのことですが、ご自身の技工所ではない所に行って働かれているというのは、雇用関係にあるということですか。
○夏目専務理事 その形態を、取られる場合もある可能性はあります。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、どなたか。では冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。今後、特別加入団体になった場合に、現在の会員7,200名以外にも特別加入の希望者はかなり広がっていくと思います。その際、いかに全国的にカバーしていくかが重要になると思いますが、特別加入団体について、今イメージされているところがあれば教えていただきたいと思います。特に、安全教育の方法や頻度について、今時点での想定を教えていただけますでしょうか。
○大西常務理事 この数字で言うと、対象者は約1万6,000人ぐらいにみえることでありながら、私どもの会員が7,200人ですので、これは今後の課題ですが、その未加入者の方までも我々日本歯科技工士会が特別加入団体として行った場合、その方たちも入っていただけるような方策を取っていきたいと思っております。
それと安全教育に関しても、先ほど事業のところで申し上げましたように、生涯研修があります。生涯研修の中で、その安全教育を組み立てていくことで考えており、その中では歯科技工作業中における感染予防対策や粉塵対策を講じることをテーマにしながら、災害に関しての防止に特化したものを構築していけたらなと思っております。
○冨髙委員 ありがとうございます。今日御説明いただいた資料の中でも、就業中に起きた災害や、けがの内容として想定されるケースなど、既に様々な情報を集約されており、恐らく労働災害防止のための分析ができるのではないかと思います。先の話にはなると思いますが、もし特別加入団体になった場合には、そういった分析等も踏まえた、きめ細やかな安全教育が必要だろうと思っております。また先ほどの御紹介の中で50代以上の比較的高齢の方が多い話がありました。年齢によって労災や起こり得る事故も異なることが考えられることから、高齢者向けの安全教育についても重視していただく必要があると思いましたので、意見として申し上げておきます。以上です。
○守島部会長 では、杉岡会長お願いいたします。
○杉岡会長 ありがとうございます。おっしゃるとおり、しっかりそのように対応していきたいと思いますし、先ほど御説明しました生涯研修につきましては、今このコロナの状況で開催が少し減っていますが、コロナ以前は、年間に120か所ぐらいで開催しておりますので、こと細かにやっていけると思いますので、引き続きそのように対応したいと思っています。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。田久委員、お願いいたします。
○田久委員 私からも、先ほど他の委員からもあったように、まず安全衛生対策に関しては、やはりきちんとしていただくことが大前提であると思っています。特に聞きたいのは、今回の特別加入をすすめる際、地域要件を外れた全国1つで行っていくのかを聞きたいです。
けがの割合も含めたところで、主に多いけがは何なのか、今現状としては、けがをした際にはどのように対応しているのかをお聞きしたいです。なぜ、このことを言うかと言いますと、労災保険自体は、特別加入としても、決して安いものではないと思っておりますので、そういった意味では民間の圧迫もしないようにしなければいけない部分も含めると、なぜ労災特別加入のところが重要視することを考えたのかを教えていただきたいなと思います。
○杉岡会長 ありがとうございます。安全教育につきましては、先ほど言いましたように生涯研修は120か所で開催しているのですが、これは中央が指導してやる基本研修と、先ほど言いました47都道府県が中心にやる自由研修に分かれております。中央だけの開催ではなくて地域でも開催ができることと、それと中央でも、この課題だけをメインにやるという特別研修もありますので、そのトライアングルの中でしっかりと研修をしていきたいと思っております。
それと、労災保険に加入することにつきましては、今まで長い間、我々は希望していたわけですが、かなわなかったので、先生が御指摘のように民間の保険でカバーしていたのが実態だと思っております。ですが、やはりその中でも補いきれない部分が多々あるので、長い間、会員や全国の歯科技工士から求められていたということであります。
○守島部会長 ありがとうございました。田久委員、よろしいですか。
○田久委員 再度、よろしいですか。今度、特別加入団体を作ることになると、全国規模での考え方でよろしいのでしょうか。そうなると、先程来言ったように、中央と、今報告いただいたような地方での開催も含めてやっていると。それは研修事業というよりも、より細かな危険な関係での安全対策をしてほしいと、先ほど他の委員からもあったように、地方も含めて、やはり同じように、そういった細かなところを数多く開催していくことは是非、望みたいと思っています。
やはり、特別加入団体の加入を増やしていっている段階でも、なかなか加入自体を認められた期間で安全対策のアの字もないような宣伝をしているのが目立ってきていますので、私自身は、これは事務局への要望も含めてなのですが、その辺が安全対策を行うことで特別加入が認められているのに、安全対策が置き去りにされている感じが非常に強いです、ホームページ上で。特に全国規模になりますと、ホームページ以外ではなかなかできないのです。ほとんど対面では難しいのです。建設の場合は、私たちは465の事務組合を各地に持っていて、団体を持っているわけなので、対面でしっかりと話をしながら、安全教育も含め年度講習のときには、できる体制づくりを心がけていますが、全国規模になればなるほど、そこが難しくなるのです。やはり、今広げてきてもいいですが、それが薄れてきていると、なかなか安全対策が置き去りにされての特別加入を広げるというのは、私自身は余りよろしいと考えていないので、そういった点で是非しっかりと取組をしていただきたいということがあります。是非、その辺も考慮していただければなと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、どなたか。御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、日本歯科技工士会の皆様、本日はお忙しい中御説明に来ていただき、どうもありがとうございました。
(日本歯科技工士会 退室)
○守島部会長 ありがとうございました。本日のヒアリングを踏まえて省令案の要綱について、次回の部会に諮問していただくことを考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
では、次の議題に行きたいと思います。次の議題は「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱等」です。こちらは、諮問案件となっておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○労災管理課長 それでは資料2に沿って御説明いたします。資料2-1は大臣から労働政策審議会会長宛の諮問のかがみでございます。それから資料2-2が省令案の要綱、資料2-3がその概要になりますが、御説明は、横置きの資料2-4でさせていただきたいと思います。案件は3つあります。まず1つ目は、介護等給付・介護料の最低保障額の改定についてです。これは毎年行っているものですが、介護等給付・介護料の最低保障額については、最低賃金の全国過重平均に基づいて改定をしております。今回、令和3年度に改定された過重平均が902円から930円になりましたので、それを計算式に当てはめまして、左下の例で、労災補償保険法の介護等給付は、常時介護を要する方の場合、従来73,090円だったものを75,290円、それから随時介護を要する方の場合は半額ですので、36,500円を37,600円に改定するということです。右側は炭坑災害による一酸化炭素中毒症に関するものですが、この改定をさせていただきたいと思っております。
それから2つ目ですが、遺族等年金の年金証書等の返納の廃止についてです。昨年、政府全体で行政手続きにおける書面主議の見直しということで、各省が行っている様々な事務の中で、書面主議を見直せないかという検討を行ってまいりました。この中で労災関係で1つありましたのが、年金証書を失くした方について再交付をしておりますが、再交付後に元の証書が見つかった場合には監督署に返納してくださいというルールになっておりました。今回の見直しの内容は、再交付後に見つかった場合であっても監督署に足を運んでいただいて返納するという手間は省略するということで、これを遅滞なく廃棄していただければそれでいいということで、この対象となる方の手間を省くという改正を行いたいと思っております。これが2つ目です。
3つ目は、労災就学援護費です。これは労働災害で亡くなられた方の子女等の学資等を支援する制度です。従来の対象は、学校教育法上の学校、又は公共職業能力開発施設で学ぶ場合ということになっておりましたが、今回、海上技術学校、海上技術短期大学校、海技大学校、水産大学校の在学者についても、この対象にするようにという要望をいただいております。これについて検討しましたところ、こうした学校は公共職業訓練に準じた性質を持つというように考えまして、左下にありますように、職業の教育訓練等を行っている施設であること、また設置主体が国又は地方公共団体であるということを満たす施設であれば、この対象にしてもよいのではないかと。具体的には、高校相当の課程であれば月額17,000円。大学相当の課程であれば月額39,000円ということで、従来の対象となっている施設と同様の支援、援護を行っていいのではないかと考えております。もしお認めいただければ、右の下にあるように、国立であればこういう学校、公立であれば農業、林業、水産等の学校、あるいは一部の自治体では例えば陶芸とか、その自治体で必要とする施設を設けている場合もありますが、先ほど申し上げた要件に当てはまるものであればこの対象にしたいと考えております。以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。それではただいま諮問のあった件につきまして御意見、御質問等がございましたらお願いしたいと思います。
では楠委員、お願いいたします。
○楠委員 ありがとうございます。3点目の労災就学援護費の対象の拡大について意見を申し上げたいと思います。今回の拡大対象になります施設の例が何校か挙げられていますが、この水産大学校につきましては、高校を卒業して4年間就学し、卒業すると学士号が授与されます。また、海上技術学校については、中学校を卒業してから3年間通学し、卒業しますと高等学校卒業と同等の資格が与えられるということで、少なくともこの2つについては学校教育法上の学校と、教育過程及び内容は、ほぼ同等であると承知をしております。さらに、その他の海上技術短期大学校、海技大学校についても職業の教育訓練を行っている施設であることは間違いないと思います。これらの対象拡大によって、就学の機会が増えるというケースは出てくると思いますし、また、学業を途中で断念せざるを得ない方にとっても救いにもなるのではないかと思います。したがいまして、今回の対象者拡大は大変意義のある改正だと思います。意見です。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。特にありませんか。坂下委員、お願いいたします。
○坂下委員 経団連の坂下でございます。本日はオンラインで参加しております。音声は聞こえますでしょうか。私からは意見を申し上げます。3つある諮問事項の2つ目、年金証書の返納の廃止に関してです。経団連は、労災保険に限らず労働基準法や労働契約承継法等の手続きについて、すべからく電子化を進めていくべきと主張しております。労災につきましても請求手続の電子申請が可能になっていることを踏まえると、未だに証書が紙で交付されるのはいかがなものかと思います。
労災保険に関する一連の手続の電子化、少なくとも電子申請によって請求手続を行った方には、何らかシステム的な対応が進められてもよいのではないかと感じております。ご案内のとおり、政府はマイナンバーカードを活用した各種免許や国家資格のデジタル化を積極的に進めております。来年度末には、ほぼ全国民にマイナンバーカードが行きわたるという目標を掲げていることも考えますと、将来的には、マイナンバーカードを使って労災の年金受給資格を確認できるような仕組みも考えるべきではないかと思っております。この点に関する厚労省のお考えを教えていただければと思います。以上です。
○労災管理課長 ありがとうございます。この証書自体をデジタル化するなど、一層の取組が必要ではないかという御意見と承りました。この年金証書につきましては、多分おっしゃるとおり、大部分のケースではデジタルで対応することができると思いますが、私どもが承知している事例では、例えば銀行口座を作れないような方が年金給付を受けるときに郵便局の窓口でこれを示して受給されたり、障害者マル優ですが、それを始めるときに、こういう証書を示して開設の利用を始めるというような事例もあると聞いております。ただ、おっしゃるとおり全体の他制度でこの年金制度と関連して接続している他の制度の状況とか、利用者の方の様々な状況を踏まえながら、こういうデジタル化の取組については不断に進めていきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。大丈夫ですか。
(意見なし)
○守島部会長 ありがとうございました。特段の御意見がこれ以上ないようでしたら、諮問のあった件につきまして当部会といたしましては「妥当」と認め、労働条件分科会会長宛てに報告することといたしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それではそのように進めさせていただきたいと思います。
労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決をすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決をすることとなっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがって当部会の議決が審議会の議決となります。
それでは、事務局に答申案を用意してもらっておりますので読み上げていただきたいと思います。
○労災管理課長 1枚目が労働政策審議会の会長から大臣宛ての答申。2枚目が分科会長から審議会長宛ての答申となっておりますが、申し訳ありません、このうち、日付が間違っているため、今は参考配布とさせていただきたいと思いますが、読み上げさせていただきます。
令和4年2月1日付け、厚生労働省発基0201第9号をもって労働政策審議会に諮問のあった表記について、本分科会は、下記のとおり報告する。別紙の記のとおりということです。それから3枚目の労災保険部会長から労働条件分科会長宛てのものになりますが、これの本文も同じように、令和4年2月1日付け、厚生労働省発基0201第9号をもって労働政策審議会に諮問のあった表記について、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。「記」の厚生労働省案は「妥当」と認めるということで、読み替えて御了承いただければと思います。よろしくお願いします。失礼しました。
○守島部会長 ありがとうございます。ただいま読み上げられた内容というか、修正した内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働省大臣宛てに答申を行うことといたしたいと思います。なお、オンラインでの参加の委員には、答申案を後ほど送付させていただきます。よろしいですか。ほかに何かあればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、本日予定した議題は以上ということになりますので、部会は終了させていただきたいと思います。次回の日程につきましては、事務局より、追って連絡させていただきます。本日は以上といたします。皆様方、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。