薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和3年度第3回運営委員会議事録

日時

令和3年12月8日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子



事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 菅原 高志   (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾   (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.各調査会の審議結果について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 


○佐野血液対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、血液事業部会令和3年度第3回運営委員会のWeb会議を開始いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席についてですが、委員6名全員に御出席いただいていることを御報告いたします。本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部より水上拓郎第1室室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所所長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
続きまして、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。
続きまして、本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員につきましては、チャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて委員長より発言者を御指名いただきます。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者において、マスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。
それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。これまでの御説明に御質問、御意見等がございますでしょうか。よろしければ、議事に入りたいと思います。
議題1「感染症定期報告について」、事務局より資料の御説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 宜しくお願いいたします。まず、資料1-1を御覧ください。感染症定期報告(研究報告概要一覧表)です。こちらは、令和3年7月から8月までに受理した分となっています。1ページ目、今回、この期間において、こちらに示している5報の研究報告がなされております。それぞれ、順番に番号を振っております。1番から順に御説明させていただきます。
まず、1番、ダニ媒介ウイルス脳炎の報告です。概要としましては、ダニ曝露歴のない米国の腎移植患者が、移植3週後に脳炎を発症したという報告となっています。当該症例では、移植に備えて入院中に無症状の供血者からの輸血を受けましたが、その血液はポワッサンウイルスに感染していたことが後日、判明いたしました。本報告では、輸血感染した可能性のあるポワッサンウイルス感染例を記載しています。
続きまして2報目、ヒトT細胞リンパ親和性ウイルス感染の報告です。概要としましては、日本の献血者におけるスクリーニング検査でのヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)-1/2抗体陽転者を対象とした遡及調査により、7種類のHTLV-1/2検査法のウインドウ期を推定したという報告となっています。
続きまして3番目の報告、ヒトT細胞リンパ親和性ウイルスのうちの2型の報告です。概要としましては、日本の妊婦検診による一次検査の後、ラインイムノアッセイ法とPCR法によりHTLV-2と診断された日本人妊婦についての報告となっています。
続きまして4番目の報告、鳥インフルエンザについての報告です。概要としましては、2021年6月2日、中国東部江蘇省の41歳男性が鳥インフルエンザA型のH10N3型ウイルスに感染したことが、遺伝解析によって初めて確認されたとの報告となっています。
続きまして5番目、クロイツフェルト・ヤコブ病についての報告です。概要ですが、血液製剤の輸血によるプリオン感染のリスクと白血球除去の感染防止効果を明らかにするため、BSE感染ヒツジをモデルとした実験的分析を行いました。その結果、輸血はプリオン病の極めて感染しやすい経路となり得ることが確認され、感染者から採取した血液製剤は、白血球除去後でも感染の可能性があることが示されたとの報告となっています。
続きまして、感染症定期報告の外国症例報告一覧について御説明いたします。こちらも、令和3年7月から令和3年8月までに受理した分となっており、3、4ページ目ですが、今回はKMバイオロジクス社から1件、CSLベーリング株式会社から1件、それぞれ報告がなされています。症例の詳細についてですが、詳しい経過は分からない状況です。資料1-2については研究報告の詳しい内容となっていますので、また御覧いただければと思います。
資料1-1及び資料1-2についての説明は以上です。田野﨑先生、宜しくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。2か月間ということで5報の報告ですが、ただいまの説明について、水上参考人から追加で御発言があれば、宜しくお願いいたします。
○水上参考人 宜しくお願いいたします。国立感染症研究所血液・安全性研究部第1室の水上です。聞こえておりますでしょうか。
○田野﨑委員長 はい、大丈夫です。
○水上参考人 大丈夫でしょうか。今回は5件の論文について御報告いただきました。その中で、文献2と3のHTLV-1に関する文献、それから文献5のクロイツフェルト・ヤコブ病について補足したいと思います。
文献2、3のHTLV-1に関する論文です。HTLV-1は、ヒトT細胞に感染し、成人ヒトT細胞白血病や脊髄関連症(HAM)などを引き起こすウイルスであります。主に母乳によって感染すると考えられまして、母乳感染予防を中心に対策が実施されてきました。近年、献血血液を用いた研究等により、高齢者における水平感染の実態が明らかになりつつあり、注目されている感染症です。その一方で、感染動態については不明な点も少なくありません。
1980年代に、大河内先生らは輸血感染におけるウインドウ・ピリオドを調べ、約60日といたしました。今回、相良先生らは、水平感染のウインドウ・ピリオドを明らかにする目的で、献血者におけるHTLV-1陽性者のうち、前回、献血時に陰性だった献血者を、陽転化例として6か月以内に陽転化した例に絞り、大規模調査を行いました。その結果、HTLV-1の水平感染のウインドウ・ピリオドは、PA法で2.2±0.6か月、CLEIA法で2.6±1.7か月と推定されました。日本赤十字社において実施されている、現行法であるCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)とLIA法(ラインイムノアッセイ法)では2.2±0.6か月と、短いウインドウ・ピリオドでした。これらのデータから、現行のスクリーニング法が最適であるということが再確認され、また、今回の調査により、水平感染のウインドウ・ピリオドが初めて明らかとなりました。
続きまして、文献3では、倉光先生らが妊婦検診で見いだされたHTLV-2感染を報告しております。HTLV-2はアメリカ大陸、欧州、中央アフリカで多く、これまで、日本では1名の男性の陽性例のみで、全く検出されてきませんでした。今回、妊婦検診中にラインイムノアッセイ法で特異抗体が検出され、HTLV-2と診断された日本人妊婦について報告されております。今回確認されたHTLV-2は、サブタイプCが多いブラジルなどを起源としていると考えられております。また、陽性者には輸血歴はなく、家族に外国人がいないことから、輸血以外の感染が考えられるとのことです。今回は、妊婦検診による一次検査とLIA法とPCR法により感染が確定された、日本人妊婦初の例となります。現行のスクリーニングではHTLV-1、2ともに検出、識別可能でありますので、現時点でHTLV-2が感染、混入する可能性は極めて低いと考えられます。引き続き注意深くモニターする必要があるかと考えております。
最後に、文献5のクロイツフェルト・ヤコブ病になります。御存じのとおり、クロイツフェルト・ヤコブ病は、脳に異常なプリオンが蓄積し、脳神経系の機能が障害されるプリオン病の1つです。文献5は、血液製剤の輸血によるプリオン感染のリスクと白血球除去の感染防止効果を明らかにすることを目的とし、牛海綿状脳症(BSE)感染ヒツジモデルを用いて大規模検証実験を行ったものとなります。
今回の結果、発症前の感染ドナーから得られた血液製剤のどの分画もプリオン病を感染させ、特に全血とバフィーコートの感染率が高く、血漿の感染率は最も低いことが分かりました。また、白血球除去により感染率は低下しましたが、完全には防げないということも明らかとなりました。本研究により、輸血はプリオン病における感染経路になり得る可能性が確認され、感染者から採取した血液製剤は、白血球除去後でも感染し得る可能性があるということが示されました。現在、無症候性vCJDのキャリアの存在が不確かであることを考えますと、血液製剤による感染リスクを低減するための現行の対策を再検証する必要があるかもしれないとも言えます。引き続き、情報収集を含め注視する必要があると考えます。補足は以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見などがございましたら、宜しくお願いいたします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい。宜しくお願いします。
○岡田委員 文献5ですが、このヒツジのモデルを使った実験というのは、実は10年以上前に全く同じ方法で実施されていて、この論文はそれを追試したような結果になっておりますが、全く結果がその10年前の論文と同じですので、血液を介する感染はしやすいというのは確かだと考えます。その一方で、1999年でしょうか、英国で白血球除去フィルターを導入してから、ヒトでのvCJDの感染が1例も報告されておりませんので、この白血球除去フィルターの効果というのは、完全ではありませんが、かなり除去には貢献しているのだろうということが、実験的にも示されました。
それで、現在、献血者に関しては欧州の滞在歴が制限されている国もあるのですが、既に7、8年の間、vCJDのヒトからの感染例は報告されておりません、かなり数は減っています。米国のFDAでは、イギリスとアイルランドともう1か所の3か国以外は、もう献血制限等をなくしております。日本においては、いまだに滞在歴が加算されている国もありますので、全く1例もvCJDが発生していない国でも加算されている例がありますので、この辺で一度再評価をして、加算を止めるとか、あとは制限をなくすとか、そういうことを評価したほうが良いかと思います。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に委員の先生方から御意見、コメントなどはございますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、事務局におかれましては、今後とも感染症定期報告をお願いいたします。
次に議題2に移ります。「血液製剤に関する感染症報告事例等について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。まずは資料2-1をお手元に御用意ください。こちらは、令和3年7月から令和3年8月までの血液製剤に関する医療機関からの感染報告事例等となっております。1ページ目、感染症報告事例のまとめについて御説明いたします。令和3年7月から令和3年8月に報告がございました感染症報告は、輸血用血液製剤が7件で、血漿分画製剤はございませんでした。うち、輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は0件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳になりますが、HBVが1件、HCVが1件、その他が5件となっており、その内訳としては、サイトメガロウイルス感染が1件、細菌等が4件となっておりました。HBV感染報告事例とHCV感染報告事例の内訳ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は1件でした。そのうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例はともにございませんでした。また、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は、HBV、HCVともにございませんでした。HIVの感染報告事例は、先程も述べましたが、なかった形になっております。
その他の感染症報告事例について、まず、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルス感染報告事例はございませんでした。細菌等感染報告事例におきまして、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性となった事例はございませんでした。また、細菌等感染報告事例において、死亡したとの報告を受けた事例はございませんでした。感染症報告事例の一覧につきましては、次の2~3ページに概要が記載されておりますので、また御覧いただければと思います。
続きまして、資料2-2の御説明に移ります。こちらは、供血者からの遡及調査の進捗状況等についてという資料になっております。1ページ目の説明に移る前に、今年の9月と6月に実施しました運営委員会の資料と今回の資料で、令和2年度の数に誤記があった所がございますので、まずそちらについて御説明させていただきます。令和3年6月と9月に実施しました第1回、第2回の運営委員会におきましては、令和2年度の報告のうちの(1)遡及調査実施内容のマル3の所の数字になりますが、少し異なった数が報告されておりまして、総数が2,089本、内訳としましては、HBVが1,859本、HCVが212本、HIVが18本と報告されておりました。今回の資料におきましては、総数が2,632本、個別本数としましては、HBVが2,288本、HCVが323本、HIVが21本となっております。総数としましては550本ほど少なく、前回、前々回と報告されていた形になるのですが、このような差が生まれた原因としましては、日本赤十字社から、本来回収した分とか医療機関で破棄した分もこちらの方に含めて報告しなければならなかったものが漏れていたという報告を受けております。
続きまして、今回の令和3年4月1日から令和3年9月30日までの速報値について御説明いたします。まず、(1)遡及調査実施内容につきましては、マル1調査の対象とした献血件数としまして、総数1,085件、うち、個別件数としてHBVが992件、HCVが81件、HIVが12件となっております。上記マル1のうち、調査の対象とした輸血用血液製剤の本数としましては、総数が1,158本となっており、個別本数としてはHBVの1,047本、HCVの97本、HIVの14本となっております。それらのうち、医療機関に情報提供を行った本数は、(1)のマル3になるのですが、総数が885本となっており、個別本数としてはHBVが774本、HCVが97本、HIVが14本となっております。
続きまして、(2)個別NAT関連情報の御説明に移ります。当該期間において、遡及調査実施対象とうち個別NATが陽性となった献血件数は1件で、現在医療機関で調査中という形になっております。
続きまして、3ページ目に移ります。こちらは、医薬品医療機器等法第68条の11に基づきます回収報告状況となっております。今回、令和3年7月から令和3年8月の間で回収されました輸血用血液製剤は、下記に記載しております24本となっております。
資料2-1及び資料2-2の説明については以上となっております。事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 資料2-1、資料2-2に関しまして、委員の先生方から御質問、御意見などはございますでしょうか。今回は、明らかに感染症が確認された事例はないということでよろしいですか。
○佐野血液対策課長補佐 はい、明らかに感染症と輸血用血液製剤が関連ありと判断された事例はございませんでした。
○田野﨑委員長 委員の先生方、何かございましたらと思いますが、よろしいでしょうか。今回は大きな事例はないということで、引き続き感染症の症例や遡及調査結果の報告をお願いいたします。
次に、議題3「各調査会の審議結果について」に移りたいと思います。まずは資料3-1について事務局より資料の説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。資料3-1を御用意ください。こちらは、令和3年度第4回安全技術調査会の審議結果についてとなっております。令和3年10月26日15時~17時の間に、令和3年度第4回安全技術調査会が実施されました。出席者としまして、安全技術調査会委員の下記10名の方々に御出席していただき、その他参考人として、日本赤十字社から下記の3名の先生、あとは参考人としまして、国立感染症研究所から2名の先生に御出席いただいております。
議事概要に移ります。まず、議題1として、感染症安全対策体制整備事業について、国立感染症研究所の水上参考人より、2020年度の成果を御報告していただきました。2020年度の成果としまして、新型コロナウイルスに対する高感度核酸検査法を開発したこと、臨床血液検体を用いた高感度核酸検査体制を構築したこと、COVID-19回復者血漿療法の臨床研究におけるCOVID-19回復者の血液検体を用いたSARS-CoV-2核酸検査の結果、全ての検体からSARS-CoV-2のRNAは検出されなかったことが報告されました。また、COVID-19核酸検査のための国内参照品の作製と値付けを行ったこと等も報告されております。2021年度は、SARS-CoV-2変異対策としての高感度multiplex RT-PCR法の構築等に取り組む予定であることが報告されました。
委員の先生からの主な御意見としましては、高感度核酸検査法の開発においてPrimerセットのスクリーニングで用いたPCR primerの配列を公開してほしいとの御意見がございました。
続きまして、議題2のNATコントロールサーベイ事業に移ります。国立感染症研究所の松岡参考人より、2020年度の成果としまして、WHO HIV-1 CRF国際参照パネルを用いましたNATコントロールサーベイを、輸血用血液製剤のNAT実施施設8施設及び血漿分画製剤の原料血漿プールNAT実施施設5施設を対象に実施した結果が報告されています。結果としましては、全施設においてHIV-1 NATの精度管理が適切に実施されていることが確認されたと報告されました。2021年度につきましては、輸血用血液のNAT実施施設を対象に、2020年8月より更新されましたHEVの検出を加えましたマルチプレックス法におけるHBV、HCV、HIV-1、HEVの4ウイルスNATの精度管理の実情把握を目的としたNATコントロールサーベイを実施する予定であることが報告されております。
続きまして、議題3の日本赤十字社のヘモビジランスについてに移ります。日本赤十字社より、医療機関から報告されました輸血感染症、遡及調査、輸血副作用等について報告がなされました。2014年の個別NAT導入以降、輸血後の感染疑い例の年間報告数は100例以下が続いているという状況が報告されております。2020年に発生しました輸血による感染症の内訳につきましては、HBV感染が2例、細菌感染が2例、HEV感染が6例の計10例であった報告がなされております。また、輸血によるHEV感染については、3例が医療機関からの報告、3例が遡及調査からの報告であった旨も同時に報告されました。なお、2020年8月5日採血分よりスクリーニングHEV-NATが開始されており、HEV-NAT導入後の製剤においてHEV感染症例は認められていない旨も報告されました。また、2020年に報告されました輸血副作用につきましては約2,600件であり、非溶血性副作用が大半を占めており、非溶血性副作用の4分の1が重篤で、重症アレルギーや呼吸困難が主な症状であった旨が報告されております。また同時に、残りの4分の3は軽微なアレルギーや発熱が主な症状であった旨も報告されました。
委員からの主な御意見としましては、HEV-NAT導入後の遡及調査について、保管検体を用いて実施したHEV-NATが陽性となった献血血液から製造されたFFP1本と原料血漿13本を供給停止した旨又は提供しなかった旨を、資料に明記すべきではないかとの指摘がございました。また、TRALI防止のため、2011年から、400mLの全血採血から作られる血漿製剤であるFFPは、男性の血液を優先的に使用し製造されているはずなので、TRALI症例の原因製剤を示すグラフにおきましても、2004年から2020年までをまとめるのではなく、2011年の前後に分けて示した方が、取組の効果がより分かりやすくなるのではないかという御意見がございました。また、輸血によるHEV感染が成立する最低ウイルス量について情報収集を行い、場合によっては今後のウイルス低減化指標を見直す必要性があるのではないかとの御意見もいただいております。
続きまして、議題4のHEV-NATスクリーニングの導入についてに移ります。日本赤十字社より、HBV、HCV、HIVに加え、HEVを同時に検出する試薬を用いたHEV-NATの全数スクリーニングを令和2年8月5日採血分から導入し、約1年が経過したことから、導入後の状況について報告がなされております。年代・性別別のHEV-NAT陽性数と陽性率が示され、HEV-NAT陽性率については、男性が0.060%、女性が0.043%であった旨が報告されております。地域別のHEV-NAT陽性率においては、最も高い関東甲信越と最も低い九州で3.6倍の差が見られた旨が報告されております。また、HEV陽性検体におけるHEV RNA濃度が示され、約半数が定量限界以下だった旨も報告されました。HEV陽性検体において遺伝子型の解析を行った結果、98.6%がGenotype 3、1.4%がGenotype 4であった旨も報告されております。また、HEVの遡及調査の結果が示されました。委員からの主な御意見につきましては、議題3の1番目の意見と同様に、資料の修正についての意見が出された形になっております。
資料3-1の説明については以上となります。宜しくお願いいたします。
○田野﨑委員長 以上につきまして、委員の先生方から御意見、御質問などはございますでしょうか。E型感染症例は認めなかったということで、何かございますか。
よろしければ、資料3-2について、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。資料3-2を御覧ください。令和3年度第2回献血推進調査会の審議結果です。本調査会については、10月29日に開催されました。議題としては、主に献血推進に関する計画についての御審議、需給推計や民間企業等の好事例、その他でした。
1ページを御覧ください。議題1として、令和4年度献血推進に関する計画について、当日、御審議いただきました。先週金曜日、12月3日の御審議いただいた部会にて、計画については御了承いただいたところですので、説明は割愛させていただきます。
次に、議題2として、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた需給推計についてということで、日本赤十字社より輸血用血液製剤の検証について、27ページ以降、免疫グロブリンの使用実態の解析結果について、37ページからですが、広島大学の田中純子参考人から御紹介いただきました。輸血用血液製剤については、32ページを御覧になっていただくと、令和元年度、2年度、3年度それぞれの供給実績が記載されております。これを見ますと、令和2年度の4、5月の供給状況については、例年よりも減少しているところですが、それ以降については、例年度と遜色ない供給実績が示されているところです。
こちらを踏まえて36ページのまとめですが、実績としては、令和2年度の4、5月については、手術待機、手術の延期等で手術件数が減少した関係で供給量も減少したものの、それ以降については、例年と比べ大きな減少はない状況でした。これについては、令和3年度もコロナ患者は増加しているものの、8月時点の供給実績は、令和元年度と比べると99.7%で推移している、例年どおりということでした。そういうことを踏まえまして、日赤としては、感染拡大時においても供給実績自体には大きな変化は見られなかったとしているものの、今後の感染拡大の状況等もありますから、供給への影響を今後とも注意していくこととしたいとのことでした。
次に、免疫グロブリンの需給状況です。こちらについては、先程御案内しました37ページからですが、この56ページを御覧ください。こちらは、傷病別の患者数ですが、こちらで特徴的なのは、子供さんがよくかかる川崎病の患者数が減少している、その関係で、グロブリン製剤もその分減少しているという状況がありました。その一方で、30代以上の方が若干増加しているのではないかということでした。また、全体的な傾向を見ますと、処方される患者数自体は減っているものの、処方本数自体はそれほど減っていないというか増えている状況がありまして、これについては、やはり1人当たりの投与数が増えているという解析がありました。
それを踏まえて、66ページのまとめにありますとおり、処方状況では、患者数は減少傾向にあるものの処方本数は増加傾向にあると。その傾向は今後どのようになるかと言いますと、処方する患者数は減っていくものの1人当たりの処方本数は増えていく傾向が見られるという結果でした。これらについては、委員から、川崎病の疾患が減った要因が不明など、今後検討される必要があるものの、引き続き動向については注意していく必要があるとの御意見がありました。
次に、議題3、今後の広報のあり方についてです。日本血液製剤機構から、国内の血漿分画メーカー3社が共同しての広報について御紹介いただきました。その中では、3社が共同で作成した献血の普及・啓発についての動画の紹介がありました。こちらについては、委員から、そういった啓発動画については、献血をされたことのない方に普及・啓発していくことが必要ではないかとの御意見がございました。
次に、議題4として、自治体・企業における献血への取組の紹介ということで、献血推進委員のお一人である廣島委員が、北海道の技監でありますので、北海道の取組について御紹介されました。廣島委員からは、北海道の特徴的な取組として、学校現場における普及・啓発の1つとして、教職員への普及・啓発ということで、様々な研究授業を行った、そういったことに取り組んでいる御紹介がありました。また、民間企業の取組として、献血推進に積極的だということで、株式会社ブリヂストン様から社内献血の促進についての取組を御紹介いただきました。委員からは、こういった好事例は非常に参考になるので、広く共有する必要があるということがありました。こちらについては、都道府県に周知を行っております。
最後に、議題5として、中期目標で定めた上半期におけるモニタリング結果を御紹介いたしました。また、前回の運営委員会でも御議論いただいた地方分権改革についても、献血推進調査会で御説明いたしております。委員からは、地方分権改革について、2ページにありますとおり、原料血漿の確保について横ばいでは心許ない、置換血小板の導入を進めてほしい、あるいは、都道府県に献血推進計画の策定をしてもらって事業を進めていくのが重要であるというように、推進計画については重要であるという認識だという御意見が多数でした。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。今の資料3-2について、委員の皆さんから御意見、御質問などをお願いします。献血の供給自体は、令和2年の4、5月に一時的に減少はしたものの、それ以外は問題なく供給ができたということですが、いかがでしょうか。特別な御意見等がないようであれば、次の議題に進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
最後に、議題4「その他」に移りたいと思います。日本赤十字社より、HEVに対する現状の安全性対策と今後の方針についての御説明をお願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 それでは、HEVのスクリーニングに関して、日本赤十字社から現状について御紹介いたします。HEVのスクリーニングが、昨年8月から開始されました。その1年間の内容については、先程安全技術調査会での発表内容が紹介されたところです。その経緯について、もちろん先生方はもう十分御存じのことかと思いますが、簡単にもう一度御紹介させていただきます。
もともとE型肝炎は糞口感染症で、これまで年間10万人ぐらいの方が日本では感染しているだろうと考えられてきました。ほとんどは不顕性感染で、ごく一部だけが国へ報告されている、それが400~500例ぐらいということで、毎年、報告されております。そうしている中で、輸血感染が毎年4、5例報告されるようになりました。これは全世界的なことですが、世界の中ではスクリーニングを導入した国はイギリス、オランダ等に限られており、現在、導入すべきかどうかということも、まだ議論が続いているところです。日本では、慢性化例が報告されるようになりましたことから、導入すべきであるとの結論が国の答申の回答で決められたところです。それから3年ぐらいにわたる技術開発の結果、昨年8月にようやく、感度としては3.6IU/mLと非常に高感度ですが、それを導入しました。これまで発表、報告されてきた輸血感染はほとんどなくなるのではないかという期待で、これを導入したところです。
ちなみに、北海道では10年以上前から試行的に実行してまいりまして、その感度は現在の個別NATの感度の300分の1ぐらいですが、北海道ではこの10年来、輸血感染は起きておりません。
そのような状況ですが、今回、遡及調査等について検討の項目がありますので、次にそのことについて御紹介したいと思います。
○日本赤十字社技術部後藤安全管理課長 HEVの遡及調査について、遡及調査ガイドラインにおける取扱いと、日赤で実施している遡及調査の内容を、スクリーニングの導入の前後を含めて、御説明いたします。本日配布した資料を御覧ください。
初めに、HEVの遡及調査ガイドラインにおける扱いについてです。2ページ目を御覧ください。遡及調査ガイドラインの対象病原体は、HBV、HCV及びHIVとされています。梅毒は除外されており、HEVなど、「その他の病原体については、遡及調査の必要性が確立しているとは言えず、今後の実情にあわせて検討を加えることとする」というように書かれております。
3ページ目を御覧ください。HEVについては、遡及調査ガイドラインでは「本ガイドライン対象以外の病原体の取扱い」の中に記載されており、血液を介したHEV感染症例が報告されていることから、HEVに対するスクリーニング検査としてNATを実施し、NAT陽性供血者の血液を除外している。その上で、供血者発の遡及調査を実施する。供血者発の遡及調査を実施するに当たっては、通常、E型肝炎は慢性化しないことやHEV-RNA持続陽性期間(約3か月間)を考慮して、遡及調査期間を6か月間とすると。このようにされております。
日本赤十字社では、HEVの陽転から過去6か月間の遡及調査期間に該当する献血について、マル1献血血液の個別HEV-NATを実施、又はHEVのスクリーニング結果を確認し、マル2HEV-NAT陽性となった血液の受血者について感染状況を調査しております。また、HEV-NAT陽転から6か月間、その先6か月間は、製造停止及び献血延期の措置を講じております。
4ページ目を御覧ください。遡及調査における情報提供については、遡及調査ガイドラインのHBV、HCV及びHIVの対応に準じて実施しております。供血者発の遡及調査における医療機関への情報提供については、別紙2に示す情報提供を行うこととされております。別紙2は、この資料の下に示したとおりで、危惧される具体的な健康被害に関する情報を、対象製剤について当該製造業者等がリスク評価を行った結果を提供することとされております。
5ページ目を御覧ください。遡及調査における感染リスクの評価については、こちらはHBV、HCV、HIVについて示されたものですが、リスクは3つに分類されております。まず、ウイルス等の混入が確認された血液由来、つまり、個別NATで陽性となった血液から製造された血液製剤等です。次に、ウインドウ期の可能性が高い血液由来、すなわち、個別NATは陰性で、ウインドウ期間内に採血された可能性が高い血液から製造されたものです。そして、ウインドウ期の可能性が低い血液由来、つまり、個別NATは陰性で、ウインドウ期間内に採血された可能性が低い血液から製造されたものです。HEVのウインドウ期は不明であり、ウインドウ期のリスク評価というものができないことから、日本赤十字社では、リスクが明確となっている「ウイルス等の混入が確認された血液由来」であるHEV-NAT陽性の血液について情報提供を行い、受血者の感染状況を調査しております。
6ページ目を御覧ください。HEV-NATスクリーニング導入前のHEVの遡及調査について、御説明いたします。全国でのスクリーニングは、この時期は未実施でしたので、HEVの個別NAT陽性が判明するきっかけというのは、真ん中に示した3つが主なものになります。マル1医療機関からの輸血によるHEV感染疑い事例の調査で、保管検体のHEV-NATが陽性と判明したもの、マル2北海道で実施していた試行的HEV-NAT陽性で、その前後に北海道以外の採血があって、保管検体のHEV-NATが陽性だったもの、マル3血漿分画製剤の製造販売業者から入手した原料血漿のHEV-NAT陽性の情報、このようなものになります。遡及調査の実施内容は下に示したとおりです。陽転の前後6か月間の献血を遡及調査対象として、個別HEV-NATを実施、又はスクリーニングのHEV-NATの結果を参照します。個別HEV-NAT陽性の血液の受血者については感染状況を調査し、個別NAT陰性の血液の受血者については調査しておりません。マル1の医療機関発の事例について、出庫停止とした同時製造品のFFPや原料血漿については、HEV-NAT陽性の場合は調査に利用し、陰性の場合は廃棄をしておりました。
7ページ目を御覧ください。HEV-NATスクリーニング導入後の遡及調査について御説明いたします。スクリーニングNAT陽転が遡及調査のトリガーとなります。ですので、調査の概要としては、献血血液について陽転の前6か月を遡及調査対象とし、個別のHEV-NATを実施、又はスクリーニングNATの結果を参照します。個別HEV-NAT陽性の血液の受血者について感染状況を調査し、個別HEV-NAT陰性の血液の受血者については調査はしておりません。スクリーニング陽転により出庫停止とした同時製造品のFFPや原料血漿については、HEV-NAT陽性の場合は調査に利用し、陰性の場合は原料血漿としております。下の枠囲いの中にお示ししましたとおり、2021年2月4日以降というのは、過去6か月以内の血液が全てHEV-NAT済みということになりますので、対象の献血血液がNAT陰性であれば、遡及調査期間内の製剤に対してのアクションは発生しないというように考えてきました。
8ページ目を御覧ください。最後に、医療機関発のHEV感染疑い報告の対応について御説明いたします。HEV感染の原因と疑われる被疑薬の輸血用血液、これは複数本あることが多いのですが、これらの同時製造品で、貯留保管中又は未出庫の製剤、主にFFPと原料血漿になりますが、これらについては出庫や送付の停止を行います。被疑薬がHEV-NATスクリーニング未実施の場合は、保管検体で個別HEV-NATを実施いたします。NATが陽性の場合は、患者から検出されたウイルスと製剤から検出されたウイルスの相同性を調査します。また、同時製造品が医療機関へ供給済みの場合は情報提供し、使用済みであれば受血者の感染状況の調査を行います。出庫停止とした同時製造品の血液については、調査に利用いたします。この当該献血者については、HEV陽性となったときから先6か月間を製造停止とする措置を講じております。そして、HEV陽性献血を起点とした過去及び未来それぞれ6か月間の献血血液に係る遡及調査を実施しております。NAT陰性の場合は、出庫停止としたFFPを原料血漿とし、原料血漿の送付を再開いたしております。御説明については以上となります。
○田野﨑委員長 委員の先生方から、御質問、コメントなどを宜しくお願いいたします。
○濵口委員 濵口です。記載について教えていただきたいのですが、遡及調査ガイドラインには、個別NAT陽性の場合、過去6か月に遡って遡及調査を行うということは書いてあるということだったのですが、その6か月間の検体については、出庫されたものについて、医療機関の方の受血者の状況を隈なく調べているという理解でよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社技術部後藤安全管理課長 日本赤十字社の後藤です。個別NATが陽性となった血液の供給先の医療機関には情報提供を行い、受血者の方の調査を行っております。個別NAT陰性の血液については、情報提供は行っていないという状況です。
○濵口委員 今おっしゃったのは、個別NATが陽性となった方の血液を6か月遡って調べているということなのでしょうか。
○日本赤十字社技術部後藤安全管理課長 個別NAT陽性となった血液の前後6か月の血液があるかどうかを調査して、それらの血液のうち、個別NAT陽性が分かったものについては、医療機関に情報提供をしています。その調査の結果、個別NAT陰性だったものについては、情報提供は行っておりません。
○濵口委員 遡及調査の考え方というところで、陽性になった方が6か月以内については非常にリスクが高いということで、それらのものについて、他の病原体については、その期間を設定したところで全てをチェックするという話だったかなと思っているのですが、これは日赤の方で、陰性のものはもう問題ないという認識ということなのでしょうか。何かデータが既にあるのですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 佐竹です。今の説明で、BCIのときに、ある献血者が陽転したときに、前の血液が非常にリスクが高いというのは、リスクが高いのは、タイミングとして陽転したときがウインドウ期に含まれていた場合、それがリスクが高いということです。HEVの場合、陽転したときに、前の献血がウインドウ期にあったかどうかということは分からないわけです。
○濵口委員 私も、このウインドウ期をどこまで調べるべきかというところの詳しいデータを持ち合わせているわけではないので、正に、日本はこのスクリーニングを導入して、安全性を高めるという状況の中においては、そういったデータの積重ねの中で、その6か月というのが妥当かどうかということも含めて、検討をしておく必要があるかなというように考えます。そうしたときに、現状において、ここは大丈夫だということを決めて良いのかというのが疑問なのですが、そこはいかがお考えでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 6か月ということに関しては、全くおっしゃるとおりです。全世界からのデータを集めてきますと、論文などでも、6か月で良いかどうか疑問と思われるデータが、少しずつ出てきております。ですので、本当に6か月で良いかどうかは、確かにデータが積み重なると変えていかなければならないということになります。
我々の方で最初に6か月で始めましたのは、北海道でのバイレミアの持続期間が最長で3か月ぐらいで終わっている、ほとんどの例がそうです、ですので、それを2倍して、まず6か月で始めたわけです。全国のスクリーニングを始めた場合にも、その辺りをそのまま利用しています。ですので、これからウイルス血症が長い例が出てまいりましたら、それについては適宜変えていかなければならないかと思います。
あまり長くなりますと、我々が把握していますのは、一旦陽性になって、それから陰性になって、また1年ぐらいたって、また陽性になると、そういう例が今度は出てまいりました。ということは、これはウイルスがずっと持続しているのではなくて、そのようなドナーの方は、頻回に、何度もIgGがあっても感染しますので、そういう可能性を考えながらやらないと、幾らでもウイルスの持続期間が長くなってしまいます。ですので、そういった例は排除しつつ、連続してウイルス血症が続く例というものをピックアップして、その長さを決めていく必要があると思います。6か月は、そこでまず始めたということになります。
○濵口委員 当座はこの6か月ということを守っていただくということと、それから、その期間の検体については詳しく調べるということは、NAT陰性、陽性にかかわらず、是非やっていただいて、その報告をしていただきたいと思いました。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。7ページで、スクリーニングを、個別のE型のNATを現在やっているのですが、スクリーニングが陽転になった場合に、過去の6か月以内のものに関しては、個別のNATは陰性だからということで、特にアクションは発生しないと書いてあるのですが、バイレミアの期間が3か月ぐらいあるということが3ページに記載されているのです。そう考えると、過去の製剤も、陰性であっても、ウインドウ期の可能性、検出感度以下の低濃度のウイルスが混入している可能性があるので、陽転になった場合に、最低でも過去に3か月以内とか、できれば半年ぐらいの間に献血例があった場合は、受血者の調査をやった方が良いかと思いますが、いかがでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 理論的に全くおっしゃるとおりかと思います。6か月以内で、前回が個別NAT陰性であっても、さらにそれがウインドウ期にあった可能性というのが理論的にはございますので、その部分を我々が考慮していないのは確かにおっしゃるとおりですので、そこは我々も考えなければならないと思っております。ウインドウ期がどのぐらいの長さかというのは、我々の試算ですと、まだデータとしてはどこにもプレゼン等はしていませんが、2、3日から5日ぐらいではないかなと現在は考えております。これは現在の概算でありますが、そのような期間にあったという可能性は確かにあると思います。
○岡田委員 そういうことを明らかにすることによって、より的確な遡及調査ができると思いますので、宜しくお願いします。
○田野﨑委員長 武田委員、どうぞ。
○武田委員 今、岡田委員が言われたところと私も同様の意見なのですが、前回、HBVについても遡及期間を超えるようなところで陽性になるというところもありました。血液の安全というものを考えたときに、今きちんとリスクが定まっていないところについては、きちんと安全側に振っておくということがとても大事なことだと思っています。陽転化したものだけというようなお話もありましたが、それ以前のものについても、きちんと調査をしていただきたいというのが私からの意見です。そして、今後、安全技術調査会や様々な場で、どのぐらいのリスクがあるのかも議論されていくのだと思いますが、まず、分からない間については、できる限り安全側ということで遡及調査をしていただきたいと思います。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか。
私からですが、患者の状況を拝見していると、免疫不全の患者では、E型肝炎の慢性化とか肝硬変など、色々と報告もされているようです。実際に輸血を受ける患者としては、造血幹細胞移植後であるとか、例えばGVHDで肝臓が悪い、あるいは肝不全の患者で輸血を受ける方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方々は、たくさんの輸血を受けていると、輸血で肝臓が悪くなったかどうか分からないというところがあって、今なお臨床現場で、E型肝炎のPCRなどがそんなに普及していないように思いますので、患者側からの肝炎の報告が出にくい可能性もあるのではないかということも考えられると思います。日赤におかれましては、慎重な立場での御検討をしていただければなと思っております。それに関してはよろしいでしょうか。
○松下委員 松下です。名古屋大学のネットワークが突然落ちてしまったのですが、先程復旧したので参加しております。
資料4の2ページに書いてある遡及調査ガイドラインの対象としては、HEVは対象としないということを、ここで決めるということですか。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。松下先生、本日は現状について報告していただきまして、今後の対応については、今回の委員の先生の意見を聞きながら、どのようにしていきたいかというように考えている所存です。
○松下委員 この後の資料を見ると、念入りな対策をお願いできるということはよく理解できるのですが、対象とするか対象としないかということを、ここから外すということは、かなり重い意味を持つと思うので。
○佐野血液対策課長補佐 先生がおっしゃるとおりだと思います。そちらの方につきましても、我々としては全体的に考え直す必要性があるのかなと考えているところです。今の議論を踏まえますと、先生が御指摘の点を踏まえまして、E型肝炎の遡及調査の期間を含めて、安全技術調査会で議論をしていく形にさせていただきたいなと考えているところです。ただ、科学的な結論が出るまでは、6か月をしていただく必要があるというのが、現在の運営委員会の先生の御意見だったと思います。その形でいかがでしょうか。
○松下委員 ある程度医学的な根拠があるということなので、それについては理解しております。
○佐野血液対策課長補佐 ありがとうございます。安全技術調査会の委員長であられます濵口先生、今の方針でいかがでしょうか。
○濵口委員 了解しました。委員の先生方の御意見を参考にさせていただきながら、安全技術調査会の方でも検討させていただいて、またこちらで検討していただくように案を作りたいと思います。宜しくお願いします。
○田野﨑委員長 松下先生、何か御意見、追加などはございませんでしょうか。
○松下委員 医学が進歩してきて、現在の遡及調査ガイドラインが色々合わなくなってきていると日赤がお考えなのであれば、それはそれで建設的に受け止めるべきだと考えますが、その説明がなく、HEVは入れないとされるのは多少違和感を感じる次第です。
○佐野血液対策課長補佐 現行の話で、今後のお話だと思いますし、我々としては、その他の所に記載されているというところもありますので、その辺りの今後の記載ぶりについては、引き続き我々としても考えていきたいと考えております。
○松下委員 今後、実施指針の書きぶりにも影響してまいりますので。
○佐野血液対策課長補佐 承知いたしました。
○田野﨑委員長 他には御意見はよろしいでしょうか。本件に関しましては、より詳細な議論が必要と考えられるために次回以降の安全技術調査会において審議することということで、お願いしたいと思います。
そうしましたら、本日の議題は以上となります。他に何か御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。宜しくお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。
次回の運営委員会の日程については、別途、御連絡を差し上げます。これにて、血液事業部会令和3年度第3回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。

 


(了)