第26回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

日時

令和3年12月22日(水)9:30~11:30

場所

オンライン会議会場及び傍聴会場 厚生労働省議室
(千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館9階)
 

議事

議事内容

○山本分科会長 おはようございます。定刻ちょっと前ですけれども、皆さんおそろいいただいたようですので、ただいまから、第26回「労働政策審議会勤労者生活分科会」を開催いたします。
本日は公益代表の小原委員、労働者代表委員の杉原委員が御欠席でございます。全員の3分の2以上の御出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしております。
本日の分科会はオンライン形式での開催になります。
開催に当たりまして、事務局からまず御説明がございますので、よろしくお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 おはようございます。勤労者生活課長の岡でございます。よろしくお願いいたします。
本日も前回同様にZoomによるオンライン会議ということで、繰り返しになりますが、簡単に操作方法について御説明いたします。事前にお送りしております会議の開催、参加方法についても併せて併せて御参照ください。
分科会の進行中は皆様のマイクをオフにしていただくようにお願いいたします。
御発言される場合には、手を挙げるボタンを押して、分科会長から指名があった後にマイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、オフに戻してください。
それでは、よろしくお願いいたします。
○山本分科会長 ありがとうございます。
それでは議事に入らせていただきます。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
それでは、議題1「労働者協同組合法の施行について」に入ります。
まず事務局から説明をお願いし、その後、委員の皆様から御意見等いただければと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 それでは、資料に沿って御説明申し上げます。
まず、資料1-1の「労働者協同組合法施行令案について」でございます。
表紙をめくっていただきまして、2ページ目以降に概要がございます。
内容は、前回提出した資料と基本的には変わってございません。
前回の会議で連合会の規定がどれに当たるのかがよく分からないという御意見をいただきましたので、今回、連合会については、法に準用規定ありと赤字で記載してございます。記載がない規定については単独の組合だけの規定ということになります。
資料1-1は以上でございます。
それから、資料1-2は「企業組合及び特定非営利活動法人の組織変更の登記に関する政令案について」でございます。
これについては前回から変更はございませんので、説明は割愛させていただきます。
次に、資料1-3「労働者協同組合法施行規則案について」でございます。
これも基本的には内容の変更はないのですけれども、表紙をめくっていただきまして、2ページ以降、連合会の適用がある規定については赤字で「連合会」と記載してございます。
それから、4ページ目以降に青い字で記載されているものは、決算関係書類の記載事項でございます。前回までは各書類について必要な項目等を定めるとのみ記載しておりまして、この青字の部分については参考資料のほうに落としておりましたけれども、分かりにくいと思いますので、こちらに移した次第でございます。
非常に長いですけれども、例えば24ページを御覧いただきますと、事業報告書の記載内容ということで、⑧、これまでもいろいろ議論がございました子会社の関係です。子会社の状況に関する事項について定めるとしてございます。
資料1-3については以上でございます。
次に資料1-4でございますが、これも前回の会議で中小企業等協同組合法施行令、それから、同施行規則との違いについて御質問がございました。
前回、口頭でお答えいたしましたけれども、資料として今回提出させていただきます。
まず1については中小企業等協同組合法施行令との違いということで、中小企業等協同組合法には組合員監査会の規定がないですけれども、労働者協同組合法には組合員監査会の規定がございます。これに関する規定について、労働者協同組合法施行令のオリジナルの規定ということで今回設けることになります。
2が省令の違いでございますけれども、3つ目の附属明細書については、中小企業等協同組合法のほうは規定がなく、労働者協同組合法のみ規定があるということで、ここは労働者協同組合法施行規則のオリジナルの規定になります。
逆に1つ目、2つ目、4つ目については、中小企業等協同組合法には規定がございますけれども、労働者協同組合法のほうには規定がないということで、これに関する省令の規定は設けないということになります。
以上が両者の違いということになります。
次に、資料1-5と1-6が指針の関係でございます。
1-5の赤字で書いてある部分が、前回いただいた御意見とそれに対する対応方針となります。
1-6は、指針に修正を加えたものになります。
それでは、1-5のほうに沿って御説明申し上げます。
まず「第1 趣旨」のところでございますけれども、前回、指針には基本的なことを書くという趣旨であれば、基本的な事項などと記載したらどうかという御意見をいただきましたので、御指摘を踏まえて、「必要な基本的事項」と修正したいと考えております。
次に、「第2 組合の性質」の2つ目の○ですけれども、組合の性質について、剰余金が出た場合に必ず配当するわけではないということで、「できる」と表現したほうがよいのではないかという御意見をいただきましたので、御指摘を踏まえて、「剰余金の配当について、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うことができるものとされ」と修正したいと考えております。
2ページ目でございますけれども、2つ目、3つ目の○で、営利企業を子会社とする場合に、内部留保を厚くして子会社を増やしていくということはいかがなものかという御意見、それから、仮に子会社を持つ場合は、事業報告書等できちんと把握すべきだという御意見をいただきました。
これについては、組合が子会社を保有することについては、法の基本原理を踏まえると一般的にはあまり想定されないものでございますけれども、法律のほうに子会社の保有を禁止する規定がありませんので、指針においても一律に子会社の保有を制限する記載というのは想定していないところでございます。
ただ、仮に子会社を保有する場合には、先ほどの施行規則案に基づきまして、事業報告書において子会社の状況に関する事項を記載することとしておりまして、これを行政庁に提出していただくことになります。また、これについてもう少し分かりやすく通知のほうでも記載をしたいと考えてございます。
次に、少しページが飛びまして、7ページを御覧いただきたいと思います。
「2 剰余金の配当」の賃金と剰余金の関係のところでございます。
これは、併せて資料1-6の6ページを御覧いただきながら、こちらの1-5も御覧いただくと分かりやすいと思います。1-6の6ページの2(1)の最後の段落です。「賃金を低く抑えることで剰余金を多くすることがないよう」という記述についての御意見でございまして、ここについて、剰余金と賃金というのは別なので、横並びに記載するのはいかがなものかという御意見、それから、剰余金の扱いをどのように決定するかというのは組合で決めるものであり、組合自治の尊重という観点からもこの段落の記載は削除してほしいという御意見をいただきました。
これにつきましては、この直前の段落の最後のところに「賃金の支払いと剰余金の配当は全く別のものであることに留意すること」と記載してございますので、御指摘のような剰余金と賃金が横並びになる、あるいは混同するというような懸念は生じないものと考えております。むしろ国会のほうで賃金を低く抑えても剰余金を配当するということがないようにという御議論もございましたので、この記載は残したいと考えております。
一方で、剰余金の処分についても組合自治に委ねられているということが分かるように、資料1-6の6ページの(2)の冒頭に赤字で加筆してございますけれども、修正を加えたいと考えております。具体的には、剰余金の処分は、法第29条第1項第8号の規定により定款に記載する事項として組合に委ねられており、剰余金の配当を行うこととなった場合には、その配当は従事分量配当をしなければならないと修正をしたいと考えてございます。
それから、資料1-5に戻りまして、次の8ページを御覧いただきたいと思います。
ここからは指針の記載以外の御意見でございまして、3つ目の○でございますけれども、法施行後に、既存の団体が組織変更して労働者協同組合になる場合に様々なパターンがあると想定されますので、そういったパターンあるいは具体的事例を収集して情報提供すべきだという御意見をいただきました。これについては、今後、周知用のリーフレットを作成するなどして、そういった事例が分かるように工夫していきたいと考えております。
それから、少し飛びまして、10ページを御覧いただきたいと思います。
2つ目の○でございますけれども、剰余金の関係でございまして、組合に加入しようと考えている方が事前に定款を見ることができないので、剰余金の配当がどうなるかというのが分からないということで、加入する前に定款を読んでもらうことを義務づけるようなことを書いてはどうかという御意見をいただきました。
これにつきましては、定款の閲覧・請求ができるのは、法律の規定に基づきまして、組合員と債権者だけとなってございますので、指針のほうでも組合の加入希望の方に対して定款を示すことを義務づけるということを記載することは難しいと考えております。
もっとも、組合員への加入を検討している方が事前に組合の状況を把握できるというのは重要でございますので、通知において、組合に加入することを希望する人に対して、組合は必要な情報提供することが望ましいといった趣旨のことを記載する方向で検討したいと考えております。
次に、11ページでございます。2つ目、3つ目の○でございますが、法施行後に実態把握をきちんとすべきだという御意見をいただきました。
施行後の実態把握でございますけれども、この制度の所管行政庁が都道府県ということもございますので、実態把握の仕方について都道府県との調整も必要でございますので、現時点でどのように行うかというのはなかなか明言しづらいところではありますけれども、今後、NPO法人における実態把握の例なども参考にして、丁寧に検討を進めていきたいと考えてございます。
それから、12ページを御覧いただきたいと思います。
実は、前回、佐藤委員からメールで御意見を賜っておったのですけれども、事務局の手違いもございまして、御紹介することができませんでした。ですので、この場で御紹介しつつ、その対応方針についてお答えしたいと思います。
御意見でございますけれども、労働者協同組合は運営と労働、そして出資の当事者が自分自身、そういう人で構成される組織であることを鑑みると、今までの概念にない法人であると言える。本来は雇用や賃金、労使関係など、通常ある労働上の考え方を有しない規定できない存在である。ただし、労働法規の遵守という価値観の中では労働契約は避けられない。したがって、指針において具体的なことを書き過ぎると、労働者協同組合の本来の基本原理を縛りかねない。指針は大きな観点での考え方の方向性にとどめ、具体的な対応は各組合の指導・連絡・調整機能を有する労働者協同組合連合会が行うこととし、厚生労働省が改めてチェックをするということが現時点ではベストであると考えるという御意見をいただきました。
これについては、冒頭申し上げましたように、指針は、組合あるいは連合会の適正な運営に資するための基本的な事項について記載しているものということで、「第1 趣旨」に「必要な基本的事項」と加筆する方向で修正したいと考えてございます。
また、委員の御指摘のとおり、連合会は会員である組合の指導・連絡、調整に関する事業を行うこととなっておりますので、連合会を通じて適切な運営がなされるものと考えてございます。
次に、13ページでございます。企業組合やNPO法人から組織変更して労働者協同組合になる場合についてでございますけれども、これまでに事業の実績のある団体が労働者協同組合に組織変更することとなりますので、その場合には組織変更を簡素化してスムーズに移行できるようにしてほしいという御意見をいただきました。
これにつきましては、組織変更に当たっては一定の確認が必要でございますので、規則等にのっとって必要な手続を行っていただく必要がございますけれども、前回御説明いたしましたように、登記について、組織変更する場合については添付書類を省略できるなど、スムーズな移行に資する仕組みとなっていると考えてございます。今後も、委員の御指摘も踏まえまして、組織変更時のマニュアルを作成するなどして、スムーズな移行が行われるように適切に対応してまいりたいと考えてございます。
それから、資料1-7は、先ほど組織変更の関係の御意見もございましたので、参考といたしまして、NPOから労働者協同組合に組織変更する場合の手続を簡単に記載してございます。
NPO時代の事業財産を確定して、その財産というのはNPOの事業の赤字の補填にしか使えない。区分経理をしてしっかり管理をしないといけないということで、厳しい規制になってございます。
簡単でございますけれども、私からは以上でございます。
○山本分科会長 それでは、委員の皆様から御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンを押してください。指名させていただきますので、そうしたらマイクをオンにしていただいて、お名前を名乗ってから御発言をお願いいたします。
それでは、佐久間委員、お願いします。
10時に一度退席される御予定があるということですので、本日も前回同様幾つか御質問、意見をいただいて、まとめて回答いただくという形を取りたいと思いますが、佐久間委員の御質問、御意見についての事務局の回答だけは先にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 本日は申し訳ございません。10時からもう一つ厚生労働省が主催する部会がございまして、途中、中座させていただいて、また戻らせていただきたいと考えています。
事務局の御説明等、また、新たに資料を作成いただきまして、本当にありがとうございました。短時間で、例えば参考の関係、読み替え規定とか、非常に分かりやすい資料になってきたのではないかなと思っています。
指針の案につきましても、何回か意見交換をしながら皆さん方とこの分科会でも議論したので、大筋はよろしいのではないかと考えます。
その中で、まず資料1-3にあります施行規則案について教えていただきたいのですけれども、今回、赤字で、例えば18ページにつきまして、労働者協同組合法の施行規則に記載する決算関係書類の科目等が載っております。労働者協同組合連合会についても基本的に単位の労働者協同組合とともに、同様の科目が使えるような規定されているのですが、そもそも労働者協同組合連合会というのは、法律により「会員の指導・連絡及び調整に関する事業」を行うとなっています。中小企業等協同組合法に基づく協同組合連合会には、連合会は入れませんが、労働者協同組合法では労働者協同組合連合会に連合会が加入できるということもあると思います。「会員の指導・連絡及び調整に関する事業」になっているのに、どうして、経済事業に当たる科目が労働者協同組合法の施行規則では連合会用としても使用するということで、例えば「売上」という科目を使用する必要があるのか少し違和感があります。
ですから、科目を単位の組合と連合会で準用するところと、連合会と単位の組合が使うところと分けるというのも一つの方策なのではないかなと思いますので、その辺の考え方を教えていただきたいと思っております。
あともう一点あります。長くなってしまいましてすみません。
NPO法人に関わる組織変更のイメージなのですけれども、これは資料1-7で分かりやすくお示しいただいているのですが、NPO法人がずっと引き継いできた会計区分というか、事業区分と、労働者協同組合がこれから行おうとする事業区分、例えば人の経費上の問題とか、そんなに事務局の人数がたくさんいるわけではないので、NPO法人として事業を実施している部分と本体の労働者協同組合の分を配分するとか、比率等は変わってくるのではないかと思います。そういう人の配分や事業に対する配賦の関係など、その辺の考え方についても教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
では、事務局より回答をお願いします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございました。
まず、1つ目の御意見でございます。御指摘のように、連合会は会員の指導を行う組織ということで、おっしゃるとおり、売上げというのはあまり想定されないのかもしれません。
この施行規則案では売上高の項目もあるわけですけれども、ただ、各項目につきましては必要なものだけを記載すればよく、例えば売上高がゼロという場合には計上されないと思っております。
また、中小企業等協同組合法施行規則を参考にしておりますけれども、そちらと同様に会計慣行の斟酌の規定というものを省令にも置く予定でございますので、各組合においても決算関係書類について適正に取り扱われるものと考えてございます。
○曽我勤労者福祉事業室長 引き続きまして、2つ目の御質問に回答させていただきます。
これまでやってきたNPOの事業とその他の労働者協同組合としてやる事業につきましては、損益計算書について区分をしなさいという規定が法律上ございます。委員の御指摘のように、人件費もその点から区分されるということでございまして、先ほど回答させていただいたみたいに会計慣行の斟酌などもございますので、人件費は案分して計上するなどの処理がなされるものと考えております。
以上です。
○山本分科会長 どうぞ。
○佐久間委員 御説明ありがとうございました。
この後の議論にもNPO法人からの移行について、税の関係などが出てくると思いますけれども、その辺の案分や処理の方法については、厳密に行政庁のほうでしっかり指導、監督していただけるのかどうか、その点のご教示もお願いします。
以上でございます。
○山本分科会長 事務局、もし今の御意見について何かコメントがあれば言ってください。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
行政庁のほうでもその辺が見られるように、やり方については検討してみたいと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 佐久間委員、よろしいでしょうか。
○佐久間委員 オーケーです。ありがとうございました。
○山本分科会長 続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
前回メールで質問を出させていただきまして、御回答をありがとうございました。
指針については、私もこれでおおむねよろしいのではないかと思うのですが、少し発言をさせていただきたいと思います。
今後、様々な規模、様々な業務等の組織が参入してくることを想定しますと、やはり連合会の指導・連絡・調整の役割は非常に大きいと考えます。したがって、あまり制限をせずに、運用の中で対応していくということが最適と思っております。
私、二十数年前に機会がありまして、ある労働者協同組合にお邪魔したことがあります。その際に感じたことは、出資者イコール労働者イコール経営者ということで、当時は経営者ということをおっしゃっていましたけれども、それであるがゆえに、そこで働く方々は本当にやらされ感なく、自ら地域の役に立つということを意識されて、懸命に議論や仕事をしている姿を見ることができました。こういう組織であり続ければ、本当に安定した運営、どこにも負けない競争力、そして、そこで働く人の幸福感などがずっと維持されると思いました。私は労金協会の所属ですが、金融機関の立場としても本当に信頼のできる組織だなという思った次第でございます。
したがって労働者協同組合は、まさに昨今言われていますサステナブルな組織形態だと思います。そういう面でも、ぜひ労働者協同組合さんの本来の基本原理を大切にしていただきたいと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。
何か事務局でコメントはございますでしょうか。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
今、御指摘がありましたように、労働者協同組合は自ら意見を反映させて自ら働くという基本原理で事業をしていく組合ということで、今おっしゃったような地域で信頼されるような組織、それから、活動をすることが期待されると思いますので、こちらとしては、先ほど資料の中でもありましたけれども、いろいろな事例なども紹介していきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○山本分科会長 私がまとめて御意見をお伺いすると言ったのに、事務局に振ってしまいました。すみません。次から少しまとめさせていただきます。
仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。仁平です。
御説明もありがとうございました。
政省令と指針で書ける範囲ということで、全体として理解したいと思っております。
ただ、今後の通達とかQ&Aを組み立てていく折には、改めてそれぞれの各団体の意見をぜひとも事務局のほうで丁寧に聴取して調整していっていただきたいなというのを改めてお願いしたいということが一つです。
それと、規模も運営の仕方もいろいろな組織が入ってくるのだろうと思っておりますので、重ねての要望になるのですけれども、施行後の実態調査についてもぜひ速やかに行えるように準備、調整いただきたいなと思っております。
2点要望です。以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。
続いて、鹿住委員、お願いいたします。
○鹿住委員 ありがとうございます。
この間、何度も子会社が労働者派遣事業をやってはいけないというのが出てくるのですが、その子会社の定義なのですが、これは会社法上の子会社ということでよろしいのでしょうか。子会社についての定義が、保有する株式の額や議決権の割合とどこかに書かれていたのですが、実は会社法上の子会社というのは、単に株式、議決権を50%超保有しているということだけではなく、40%超でも、例えば労働者協同組合の役員が子会社というか出資している企業の役員を兼務しているとか、実質的に経営をコントロールできる状態にあると、子会社に含められるのです。ですので、明確に報告を求める子会社というのはどういう範囲であるということを定義し、報告事項もそれに合わせて役員の派遣状況といったものも含めるべきではないかと思います。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。
続いて、戎野委員、お願いいたします。
○戎野委員 これまで、丁寧な指針の作成、本当にありがとうございました。
非常に明確になったと思うのですけれども、私からは要望が2点です。
一つは、組織の特異性が、まさに組合員が自ら出資し、働き、そして、運営にも携わっていくということですが、これが具体的にどのようなものなのか、分かりやすく伝えていただきたいというものです。これから非常に期待される組織かと思うのですけれども、他方で、いろいろな業界がこの組織に入ってくる中で、既に同じような業界がNPOにあったり、企業組合であったりしますことから、一般の人から見たときに、どこが異なるのか分かりにくい面もあると思います。例えばこれから組織を形成しようと思った人が、どの組織体が最も自分たちの目的に適しているのかということがぱっと分かるような周知の仕方を今後工夫していただけたらなと思います。せっかくこのようなものがあっても、分かりにくいということにならないようにということをぜひお願いしたいなと思います。
先ほどNPOからの転換のイメージが示されてましたけれども、新規に組織を作るに当たっても、それぞれの組織はどういう違いがあるということがぱっと分かり、適切な組織を選択しやすいように今後工夫していただけたらというのが一点でございます。
それから、もう一つは、これまでの議論の中でもたくさんありましたように、今後注視して見守っていく必要があるということから、これまで懸念される点というのがこの会で幾つも指摘されてきましたので、その辺りを今後整理して、運用の段においてはチェックをしていくようにしていただきたいということでございます。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。
それでは、この段階で事務局からまとめて回答等お願いいたします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございました。
まず、仁平委員から、今後、通知等施行に向けて団体、関係者の意見も聞いてしっかり調整をしてほしいという御意見をいただきました。御指摘を踏まえて、丁寧に調整をして進めていきたいと考えてございます。
実態調査につきましても、先ほど説明で申し上げましたとおり、今の段階ではいつどのようにというのはまだ明言はできないのですけれども、しっかりと実態把握をできるように準備を進めていきたいと考えてございます。
鹿住委員から、子会社の定義について御意見がございました。これにつきましては、労働者協同組合法の第32条第5項第2号に定義が書いてございまして、具体的には、組合が総株主の議決権の過半数を有する会社をいうと記載されてございます。これは中小企業等協同組合法上も同じように規定されてございます。ですので、会社法では、先ほど御指摘がありましたように、50%以上でない場合でも、40%以上でも実質的に事業等の決定権があるといった場合も含まれるのですが、この労働者協同組合法については法律のほうで定義が明確になっておるということでございます。
それから、戎野委員から2つ御指摘がございました。
まず一つは、他の法人などとの違いが分かるように周知を工夫してほしいという御意見、それから、今まで議論の中であった懸念点なども運用の中でチェックするように工夫をしてほしいという御意見をいただきましたので、周知あるいは運用について工夫をしていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 今の回答でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、辻委員、お願いいたします。
○辻委員 ありがとうございます。
一点は、先ほどほかの委員が心配していた子会社の件です。確かに法律を見ると議決権だけになっているので、これは今の段階では仕方がないと思うのですが、先ほどお話が出たように、やはり今後は実質支配力の考え方に基づいて子会社というものを見ていったほうがいいのではないかと思います。それは法律の改正が必要になるのかもしれませんが、そうでないと、まさに役員間の人間関係だとか、そういったもので子会社もできてしまう可能性がありますので、そこは注意点かと思いました。
あと、外部監査に関しての質問です。幹事や監査会というものはあるのですが、外部監査はどういう位置づけになっているのでしょうか。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
今のところ、ほかに手を挙げられている方はいらっしゃらないので、事務局のほうから回答をお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 御指摘いただいてありがとうございます。
外部監査ということでお話しいただいた点について、回答させていただきたいと思います。
基本的には、法律上、労働者協同組合には1人以上監事を置くという規定になっておりますので、監事がガバナンスのチェックをするという仕組みが基本でございます。組合員が1,000人を超える大きな組合ですと、なかなか内部でガバナンスが利きにくいということで員外監事を置くということが労働者協同組合法の仕組みになってございます。
お答えになっているか分かりませんけれども、以上でございます。
○辻委員 1,000人以下の場合、外部の監事はいらっしゃらないという理解でよろしいのでしょうか。
○曽我勤労者福祉事業室長 任意に置くことも可能です。
○辻委員 そういう意味では、NPOと近い考え方ですね。分かりました。
○山本分科会長 そのほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、労働者協同組合法の政省令、指針については、本日を合わせて3回の分科会で審議を行って、ある程度方向性は固まったものと思われます。
委員の皆様におかれては、活発な御議論をいただき、本当にありがとうございました。
事務局としては、これまでの議論を踏まえて、条文の作成等をお願いいたします。また、要綱の諮問の前には、委員の皆様に丁寧な説明をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移ります。
議題1との関連で、先に議題3「その他」について事務局から御報告があるようなので、お願いいたします。
○岡勤労者生活課長 それでは、議題3について御説明いたします。
資料3を御覧いただきたいと思います。
与党の税制改正大綱が12月10日にまとまりましたので、それについての御報告でございます。
表紙をめくっていただきまして、まず1ページ目でございますけれども、与党の大綱が取りまとめられる背景について、まず御説明したいと思います。
労働者協同組合の関係では、協同労働推進議員連盟という超党派の議員連盟がございまして、そこで労働者協同組合の制度の推進を図っているということでございますけれども、その議連の中で、既存の労働者協同組合とは別に、以下の規制等を及ぼす新しい類型の協同組合の類型を設けるための法改正をしていこうという決議がなされたところでございます。
具体的には、剰余金の配当を行わないこと。それから、組合員への残余財産の分配は出資額を限度とするとともに、最終的に処分されない場合は国庫に帰属するといった内容の法改正をしていこうということでございます。
この背景といたしましては、現在、労働者協同組合法がまだ施行されていないということで、便宜上、NPO等の別の法人形態で事業をやっている団体があるわけですけれども、労働者協同組合については、企業組合と類型が似ているということで、税法上は普通法人ということで課税をされるわけですが、そういたしますと、現在NPO等として活動している法人が労働者協同組合になった場合に税負担が増えてしまうということとなり、結果的に、せっかく制度ができてもなかなか制度の利用が進まないのではないかという議論が議連のほうでなされました。今までと同じように公益法人等として扱われるためには何が問題かということで挙がったのがこの2点ということで、この2点をクリアするような新しい類型を別途設けるような法改正を今後していこうという議決がされたということでございます。
2ページ目もそれと関連で、政府のほうにもそれを踏まえて必要な税制を講ずることということが議決されたところでございます。
それを踏まえまして、3ページ目でございますけれども、12月10日に取りまとめられました与党の税制改正大綱でございます。この中で、労働者協同組合法の改正を前提に、剰余金の配当が行われないこと、解散時の残余財産について組合員からの出資額を超える金額が国等または同種の法人へ帰属すること等が担保された労働者協同組合、ここでは特定組合と呼ばれていますけれども、それが創設される場合には、特定組合について各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得について非課税とするほか、公益法人等に係る取扱いを適用するということが取りまとめられたところでございます。
この改正については議員立法ということになりますので、厚生労働省といたしましては、今後の議連の議論あるいは国会の状況を注視して、また動きがございましたら御報告させていただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 それでは、今の報告について御質問等ございましたら、手を挙げるボタンを押していただければと思います。よろしくお願いします。
鹿住委員、お願いいたします。
○鹿住委員 ありがとうございます。
趣旨は分かるのですが、ただ、実際に労働者協同組合の運用が始まる前にこういうものをつくってしまうと、本当にどういうふうにこの制度が使われるかというのが分からない状態でアドバンテージを与えてしまうというのは、公益性ということでちょっとリスクがあるのではないかなと思います。
というのは、例えば剰余金の配当を行わないというのは、聞こえはいいですが、結局、収益が出ても組合員である労働者に分配しませんということですよね。逆に言うと、社内留保をやったほうが公益性があるのだと認められるということですから、そうすると、税金も全部ではないですけれども、非営利事業に関しては非課税となりますと、税金上もちょっと得をして、しかも、分配しないで内部留保したことに対してアドバンテージが与えられるというのは、変な言い方をすると、悪用しようと思えばこちらのほうが得かなと思われてしまう方もいらっしゃるのではないかなと。
だから、本当に労働者協同組合というものが趣旨のとおり運用されていて、さらに非常に公益性の高い、正直に言うとあまり収益が上がらないけれども、地域のためになるような事業をやるときに適用されるみたいな、NPO法人がかなり特定非営利活動というものを例示して限定していますね。今、15でしたか。もうちょっと増えて20でしたか。それはどうしてかというと、やたらめったらこれは役に立つのです、これは公益性があるのですと言って、非営利活動ですと認められないようにかなり限定している訳です。法律をつくるときにそういう趣旨だったように記憶しているのですが、何が公益事業なのかというのをあまり明示せずに、ただアドバンテージを与えてしまうと、悪用する例が出ないとも限らないなと思ってしまって、もうちょっと慎重に実際の制度が運用されてから検討してもいいのではないかなと思います。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
続いて、辻委員、お願いいたします。
○辻委員 今御説明いただいた資料3の最後の国税のページに関してです。
9の(3)で「国等又は同種の法人へ帰属すること等が担保されたという労働者協同組合」と書いてあるので、これを考えると、先ほどのこの資料の2枚目に協同労働推進議員連盟総会にて了承というものがあると思うのですが、ここには財産は国庫に帰属すると書いてあります。先ほどのところですと同種の法人でもいいと書いてあるので、例えば地方公共団体でも構わないのではないかと思ったのですが、この点はいかがでしょうか。一例として、私どものような一般社団法人の場合は、国もしくは地方公共団体に贈与するとなっているものですから、その点の質問であります。
○山本分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局のほうから回答等お願いします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
まず鹿住委員からの御指摘でございますけれども、内部留保をためたほうがいいのではないかということになりかねないというお話ですが、恐らくあまりにもため込むと課税されると思います。それは企業組合等も同じだと思いますけれども、そこはあまりやり過ぎるとそういうペナルティが生ずるのではないかなと思います。
もう一点ですけれども、前回までも鹿住委員から、NPO法人の非営利活動であっても収益事業として課税されるという御指摘がございましたが、この労働者協同組合についても、今回の新しい類型になったから直ちに全ての事業が収益事業ではないと判断されるわけではなくて、法人税法施行令に規定されているような事業を行えば当然収益事業として課税されますので、労働者協同組合の新しい制度をつくったから特にアドバンテージを与えるというものではないと考えてございます。
いずれにいたしましても、政府の検討というよりは議連の議論ということもございますので、今後、その動きを注視していきたいと考えてございます。
それから、辻委員から財産の帰属先について御質問がありまして、御指摘のとおり、地方公共団体も対象になり得ると思います。国等ということで地方公共団体も対象になるのではないかなと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○辻委員 先ほどの御説明で収益事業と非収益事業の話が出ましたが、今回の労働者協同組合においても、課税されるのはあくまでも収益を出した部分であって、非収益の部分は課税されない。従って、両事業合わせて根本から課税されるわけではないという理解でよろしいでしょうか。
○山本分科会長 回答をお願いします。
○曽我勤労者福祉事業室長 まず、特定組合と書いてある法改正を前提にというお話は、今回初めて御報告させていただいていますけれども、詳細は今後というお話になってございます。仮にこういう法改正があった場合には公益法人等に係る取扱いをということで、収益事業に課税されるということになるのだと我々も受け止めているということでございます。
それとは別に、現在公布されている法律に基づく法人、労働者協同組合もございますので、そちらのほうは特に税制措置をやらないということで法律をつくるのだということで始まっていますので、そちらは普通法人と同じで全所得に課税されるのだろうということで私どもは受け止めております。
現段階ではまだ確定できていないところもあるのですけれども、そういう受け止めでございます。
以上です。
○辻委員 まだ確定ではないということで、分かりました。
○山本分科会長 それでは、佐久間委員、お戻りになられたようですので、御質問等あればどうぞ。
○佐久間委員 申し訳ありません。よろしくお願いします。
法律の施行前なのですけれども、新しい動きが出て、ちょっとびっくりしているところでございます。まず規模の大きいNPO法人や任意組織が労働者協同組合に移行等をしたいというときに、任意組織については事業協同組合に法人化する場合も、その財産をいかに取り扱っていく場合にも出てくるということは結構あるのです。ただ、このNPO法人が労働者協同組合として移行し、法人化がなされた場合に、税制の関係で恩恵は受けるということになれば、限定することなく、他の協同組合組織についても同様なものとして改正していくことをお願いしたいと考えます。
○山本分科会長 佐久間委員、申し訳ないです。外というか周りの音をマイクが拾ってしまっていて、声がダブってしまっているのです。ほかの音が聞こえているのですが、佐久間委員のところで何か拾っていますか。大丈夫ですか。
○佐久間委員 では、一回切ってみますので、後にしていただいていいでしょうか。ごめんなさい。
○山本分科会長 分かりました。
では、ほかに御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
高木委員、お願いいたします。
○高木委員 ありがとうございます。
今回ご説明頂いたところによると、労働者協同組合法が施行される段階では、後に行われるかもしれない法改正というものがまだ分からない状況であろうかと思うのですが、これまでの議論を通じて思いましたのは、我々が想定している以上の組織が組織変更をしたり、あるいは今回の労働者協同組合という組織形態を選択する可能性があるのではないかということです。このときに、例えば今回の労働者協同組合の趣旨を考えると、むしろ税制優遇措置がないほうが不自然であると私も考えています。であるがゆえに、この協同労働推進議員連盟の御主張というのはごもっともだと考えるわけです。しかし、設立を考えて申請する方々が、後の改正というものをあまりきちんと把握していない中で行う場合には、むしろ想定していた従事分量配当がなくなるということに関して、敏感に反応する方々もいらっしゃるのではないかと思うのです。
結局、何を申し上げたいのかというと、企業組合もそうですし、NPO法人、そして恐らく社会福祉法人の、特に第二種社会福祉事業を行っている社会福祉法人、この辺りを含め、今回の労働者協同組合法の下で設立するのか、組織変更をするのかということを検討するかと思いますので、きちんとそれぞれの違いが視覚的にも分かるような、分かりやすい資料を公開するということが求められているのではないかと思います。例えば、今回の法改正の可能性のことなど、そういった情報にアクセスできなかったがゆえに、検討の材料というものが少なくなってしまって、見当違いな形で設立してしまうということがあってはならないので、万人が分かるような、それぞれの組織について比較可能な情報も国民に発信していく必要があるのではないかと考えています。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
事務局のほうでコメントをお願いします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
ほかの法人との違いなど、分かりやすく情報発信していく。どういった方法があるかも含めて検討したいと考えております。
○山本分科会長 高木委員、よろしいでしょうか。
○高木委員 分かりました。
○山本分科会長 佐久間委員、大丈夫になりましたか。よろしくお願いいたします。
○佐久間委員 失礼いたしました。申し訳ございませんでした。ありがとうございます。
今、各委員からも税制というか措置について出てきたと思うのですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、この法律の施行前に、新たにまた同じようなというか、NPO法人組織からの移行だと思うのですけれども、これを引き続いて実施する場合の新たな組合の種類が出てくるようなことがあるのだなと感じたところです。
任意組織というか、労働者協同組合への法人化はもちろんよいのですけれども、移行をするときに、この税制の点を議論する場合は、やはり今回規模の大きい組織を念頭に考えているのではないかと思いますが、例えば、5億円や10億円など、ある程度の事業規模があるところについて、一回だけ適用するとかを考えてみたらいいのではないかなと思っております。
あとは、会社を移行するときはよろしいのですけれども、その後もずっと引き続いて税制の恩恵が受けられるということになると、そのまま引き継いだ財産を扱うNPO法人と同じような形でやるのであれば、本来のNPO法人(特定非営利活動法人)という組織があるわけなのに、また一方では企業組合という組織もあって、NPO法人と企業組合の両方を持ってこられたような制度になってしまっているというのが、分かりにくいし、必要性があるのか疑問を感じます。
どちらにしても、イコールフィッティングというか、労働者協同組合だけに偏ったものではなく、やはり各組織も使えるようなものを考えていただくということが必要なのではないかなと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。
事務局のほうで何かコメントがあればお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 いろいろ貴重な御意見をありがとうございます。御意見として受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○山本分科会長 ほかにどなたか御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今回の法改正は、先ほどの御説明ですと議員立法によるということですので、事務局では必要な情報収集を行っていただいて、分科会に適切に御報告していただくようにお願いいたします。
では、次の議題は、議題2「財形制度をめぐる現状とこれまでの対応」について御報告をいただくということになります。
事務局、よろしくお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 それでは、資料2、財形制度の実施状況について御説明いたします。
表紙をめくっていただきまして、1ページ目を御覧いただきたいと思います。
こちらは各財形貯蓄の契約件数と貯蓄残高をまとめたものでございます。令和2年度の契約件数は一般、年金、住宅、いずれも対前年度比で減少しております。また、貯蓄残高についても、一般財形では対前年比で増加をしておりますが、全体では減少してございます。
続いて、2ページでございますが、財形持家融資の実施状況でございます。新規貸付件数については、平成30年度、令和元年度と2年続けて増加してきたところでありますけれども、令和2年度は対前年度で減少してございます。
次の3ページ目でございますけれども、過去5年間の財形持家融資の実績内訳でございます。
このうち、右の図は転貸融資の内訳となりまして、黒い部分が子育て勤労者向け金利優遇措置で、一般よりも0.2%利率を下げておるわけですけれども、これの割合が非常に高いということで、子育て世代のニーズが高いということが見てとれるかと思います。
それから、4ページ目でございますけれども、勤退機構の現在の中期目標と、それに基づく今年度の取組でございます。
囲みの中で幾つか取組が書いてございますけれども、3点目の普及広報活動については、若年者を念頭に広報を展開しておるところでございます。それから、広告媒体でございますけれども、新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えている可能性があるということで、昨年度に引き続き、テレビCMあるいは動画配信等を用いた広報を実施しておるところでございます。
次に5ページでございますけれども、中期目標の数値目標と昨年度の実績についてでございます。
まず1つ目の融資業務の着実な実施ということで、審査期間については目標を達成してございます。
それから、2の利用促進対策の効果的実施ということで、幾つか挙げてございますけれども、特に2つ目の新規借入申込件数を5年間で2,080件以上とするという目標に対しまして、2,292件ということで目標を上回っておるところでございます。
それ以外の項目についても、目標達成あるいはほぼ達成しているところでございます。
一番下の3の退職金共済事業との連携については、コロナの影響などもありまして、説明会等の開催が思うようにいかなかったということがございます。
次の6ページでございます。先ほどの広報のところにもありましたけれども、ファイナンシャルプランナー向けのセミナーでございます。これについては、当初、対面での実施を検討しておったわけですけれども、コロナの影響もありまして動画配信による実施となりました。まだ開始して2か月ぐらいということで、今のところ再生回数も440件ということでございますけれども、視聴していただいた方からは役に立ったといった回答をいただいております。また、様々な感想をいただいておりますので、いただいた御意見を参考に今後の周知あるいは運用に生かしていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
今の報告について、まず本日御欠席の小原委員から事前に質問をいただいておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
他の方々の御質問はその後にお受けいたしますので、よろしくお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 小原委員から御質問をいただいておりますので、御紹介いたします。
財形制度及び中小企業退職金共済制度に関して、「集合形式のセミナー開催を試みたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、セミナー動画を会員向けに配信した」とあるが、コロナウイルス感染症拡大の心配がなくなった後も、集合形式ではなく、むしろ動画配信やオンライン開催を積極的に行うほうがよいのではないか。オンラインでの情報拡散のほうが人を集めやすいし、全国に向けて同時に拡散できる。受信者が学びやすいというメリットもある。
さらに、オンラインやオンデマンドで受けた質問や要望について重要なものがあれば、分科会で紹介してはどうか。融資を受けたいと考えている人の声を直接受けることができる立場の人たちからの質問や要望は、今後の政策を考えるためにも役に立つと思うといった御意見をいただきました。
これにつきまして、まずセミナーを視聴したファイナンシャルプランナーの方から寄せられているアンケートを見ますと、セミナーの開催方法につきまして、御指摘のあったようなリアルタイムで質疑応答が視聴できるライブ配信がいいという御意見のほかに、今やっておりますような時間の都合に合わせて視聴できるオンデマンド配信がいいという御意見など、様々な御意見が寄せられたところでございます。
委員からの御指摘、あるいはアンケートで寄せられた御意見などを参考に、今後の周知広報や制度改善について検討してまいりたいと考えております。
それから、このアンケートでは、若い世代に親和性のあるメディアを活用した広報といった感想や御意見も寄せられましたので、そういったことも参考にしながら今後の制度改善などにも努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○山本分科会長 続いて、御質問をお受けいたします。また幾つかまとめさせていただいて回答していただく方式を取りたいと思います。
では、辻委員、お願いいたします。
○辻委員 財形持家融資制度に関してです。今、例えばコロナの影響でかなり収入が減ってしまっただとか、会社を辞めなければいけないというようなことがあって、返済できないといった事情の場合は、リスケをするあるいは債務免除をしてあげるという方法があると思うのですけれども、そういった状況は生じているのでしょうか。
○山本分科会長 続いて、須永委員、お願いします。
○須永委員 御説明ありがとうございます。
私からは質問ではなく要望としてお話ししますが、今年度も財形貯蓄の契約件数、残高とも引き続き減少傾向であり、長期にわたる低金利の状況では財形貯蓄の金融商品としての魅力を感じることができず、加入増加につながらない状況が続いているものと思います。
一方で、安定的な財産形成を支援するという視点に立てば、魅力があり、重要な制度であることから、引き続き普及促進に努めていただきたくお願いいたします。
金融商品として利回りのメリットがない中で普及していくためには、企業と従業員双方にとって利便性の高い制度であることが不可欠と思います。昨年も申し上げましたが、企業及び利用者の事務手続の簡素化あるいはオンライン化などで、事務負担の軽減を検討していただきたくお願いいたします。
また、普及広報活動についても、広告の掲載、ホームページの改定などに取り組んでいただき、アクセス件数などは昨年の報告に比べて増加していますが、加入増加にいま一つつながっていない要因についても、引き続き検証いただくことが重要と思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。
続いて、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 どうもありがとうございます。
ほかの委員とかぶる部分もあるのですけれども、財形の制度は、労働者の視点から見ますと、将来の安心に資するためにも普及促進に努めていくことは引き続き大事なのだと思っているのですが、2点ほど質問というかお伺いしたいことがあって、一つは、普及促進のための周知活動にこの間も力を入れているという御説明もありましたが、一方で利用者と貯蓄残高が減少しているわけでありまして、その理由とか背景についてどのように分析しているのかというのはお伺いしたいなと思っております。周知不足の問題なのか、コロナ禍という特殊な足元の要因もあるのか。そもそも利用者のニーズが減っているということなのか、コメントをいただけたらと思ったのが一つです。
2点目は、昨年の分科会でポータビリティーの向上を求める意見が複数出されたと伺っているのですけれども、有期とか短時間とか契約で働く人たち、必ずしも処遇が高くない労働者にとっては、長期で安定的に資産形成ができるということは将来設計にとって重要だと考えているわけなのですけれども、課題も含めて、この間の検討状況は進んでいるのかどうかなどについて教えていただければと思っております。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
では、この段階で事務局のほうから回答、コメントをお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
まず、辻委員からコロナの影響でいろいろ債務免除などの相談を受けていることがないかという御質問ですけれども、そういった事案は生じていないと聞いております。
それから、須永委員から、事務の簡素化、普及広報活動について御意見をいただきました。
まず、事務手続の簡素化でございますけれども、昨年度の分科会で御議論いただきましたが、電磁的方法による書類の提出ができるようにしたところでございまして、これによって財形制度を広く利用いただけるように今後も努力していきたいと考えております。
それから、ホームページのアクセス件数は増えているけれども、契約件数は伸びていない、減っているのではないかという御指摘をいただきました。仁平委員からも同様の御意見、御質問をいただきました。これにつきましては、まず一つは低金利が続いておるということで、財形の利回りが低い、一方で、多様な金融商品や制度の充実もありまして、結果的に財形貯蓄の金融商品としての魅力は落ちているということが一つ。それから、職場内での財形貯蓄を先輩から新入社員に勧めるといった場面が少なくなってきているということで、若年労働者の方が財形を知る機会が減っているといったことが主な原因ではないかと考えられるところでございます。
そういうこともございますので、また引き続き周知を行っていくということと、それから、いただいた意見、その中でいろいろ把握した情報を参考に、今後とも努力をしてまいりたいと考えてございます。
それから、仁平委員からポータビリティーの検討がどうなっているかということでございますけれども、転職をされた場合に、新たな勤務先においても財形制度が導入されていれば、所定の手続を行うことで財形を継続することができるわけでございますが、制度が転職先にない場合には現状ではなかなか継続できないということになります。したがって、できるだけ多くの事業所、企業で財形を活用していただくようになることでポータビリティーも向上していくかと思いますので、今後とも制度の周知に取り組んでいきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本分科会長 続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
令和3年の税制改正では、先ほど触れられました電子化の関係や出向・転籍の場合の扱いなど、その他それぞれ改善がされているのですけれども、最近の環境あるいは動向を鑑みまして、3点ほど要望をさせていただきたいと思っております。
1つ目は、非課税の年金住宅の契約年齢の引上げでございます。公的年金の支給開始が65歳となっておりますことや、努力義務ではありますけれども、再雇用の扱いが来年の4月から70歳までとなります。したがって、企業によっては定年を延長する企業がますます増えてくると思われます。また、iDeCoの加入年齢の引上げがされると聞いておりまして、年金財形と住宅財形の非課税だけが55歳ということで、この引上げについて検討いただきたいと思います。これが1点目です。
2点目は、これも非課税の年金、住宅財形の関係でございますけれども、限度額の引上げについてでございます。限度額を超えますと全部課税という形になってしまっていますけれども、昨今、人生100年時代と言われている中で、金利は低いですが、老後への資金の配慮をしなければならないのではないかなと思っております。また、住宅についても、最近非常に値上がりしているということで、これについても、こういったことを踏まえた御検討をお願いしたいと思います。
最後は、先ほど触れられておりましたけれども、広報の関係です。セミナーの受講者の感想にもありましたが、制度全般について若年層への周知ということが出ていましたけれども、YouTubeに限らず様々なウェブ広告についても御検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
続いて、佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
今、佐藤委員から御発言を賜りました内容と私もかぶってしまいます。すみません。
まず、ホームページのアクセス件数についてですが、資料3-2で目標件数、2年度の実績などが記載されているのですけれども、単にホームページのアクセス件数を目標とする時代ではないのではないかと思います。これによって実際にどういうふうに閲覧者が行動し、どのような意識の変化、行動パターンにより契約に至る実績を上げているかということを指標としてさらえていくよう、少しずつシフトしていく必要があるのではないかなと思います。特に下のほうにありますホームページとかパンフレットの閲覧者の満足度については、よい数字が出てきているわけです。ですから、もう少し実績に結びつくような指標に変えていく必要があると考えます。
もう一点は、対象年齢の引上げについてです。中小企業にとって、福利厚生の充実に費用負担が限られている中で、この財形制度は非常に福利厚生の充実という観点からも有効な方策だと考えます。大企業に比べて低い中で、有効な人材確保策になるのは確実だと思います。今後も高齢者雇用を図っていく中で、定年の延長、また、70歳までの雇用継続措置等の努力義務ということを考慮しながら、コロナの影響もあったりしてなるべく地方のほうに出ていく、家を持ちたい、あるいは資産を形成したいときに、この年齢の引上げというのがどこまでできるか。その問題点をもう一度教えていただきたいと考えます。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。
では、辻委員、お願いいたします。
○辻委員 先ほど御回答いただきましたが、今のところ、リスケや債務免除といった事例、ニーズはないというお話でした。制度としてはそれができると考えてよろしいのでしょうか。
○山本分科会長 それでは、ここでまとめて事務局のほうから回答をお願いします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
まず、佐藤委員、佐久間委員から、年齢の引上げ、限度額の引上げについて御意見をいただきました。昨年度の分科会でも同様の御意見をいただいておるところでございますけれども、年齢制限や限度額でございますが、制度の見直しにつきましては、政府の税制調査会の経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制の在り方という中で、財形、NISAなど様々な制度が並立する中で、関連する税制を整理していく必要があるとされておりまして、今、議論はまだ進んでいないわけですけれども、今後そういった議論を進めていかれると思いますので、まずはそちらのほうの動きを注視していきたいと考えてございます。
それから、周知の際に、YouTubeに限らずいろいろな手法を活用すべきではないかという御意見をいただきましたので、いただいた御意見を参考にしながら、今後の周知の在り方について検討していきたいと考えてございます。
佐久間委員から、中期目標の目標値について御指摘がございました。これについては、どういった指標が考えられるかということも含めて、いただいた御意見も参考にしながら今後検討していきたいと考えてございます。
○池田勤労者生活課長補佐 私、財形業務を担当しております池田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
辻委員から債務免除の関係で御質問がありました。コロナで収入が減少した場合に、返済期間の延長や元金の据え置き期間の設定、遅延損害金の免除等の措置は用意してございます。
以上でございます。
○山本分科会長 皆さん、よろしいでしょうか。
辻委員、何か。
○辻委員 先ほど金融所得の話が出ましたが、問題になっているのは、むしろ1億円以上所得がある人も実は税率が低くなっているというようなお話であり、iDeCo、NISAや財形で一生懸命資産形成をしている方たちは守られるべきと思っております。私どもも、税制改正の動向を注視してまいりたいと思っております。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
続いて、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 御回答ありがとうございました。
年齢と限度額の見直しの関係の回答は税制調査会の中でということだったのですが、ということは、別の機会で私どもとして上げる機会はあるのだろうと思うのですけれども、こういった場では幾ら言っても反映しようがないということで受け止めればよろしいでしょうか。
○岡勤労者生活課長 今直ちに制度改正というのはなかなか難しいのですけれども、いろいろな税調の動きなども見ながら、方向性が見えてきた後に、いただいた御意見も踏まえながら、必要があれば検討ということになるかと考えております。
○山本分科会長 それでは、八野委員、お願いいたします。
○八野委員 八野でございます。
この財形制度の御報告は毎回やっていただきまして、毎回各委員の先生もそうですし、私どももそうですが、同じような意見が出ていると思われます。
そういう中で、前回、去年のときに私も申し上げたのですが、整理として、3つの側面がある。商品としての魅力といいますかメリットにつきましては、非課税の部分などいろいろな部分があるのですが、これは非常に制度としては大きな話でして、法律の問題、財務当局との関係などいろいろなことがございますので、そう簡単には動かないだろう。ただ、今回の資料にも明らかに出ておりますが、子育て勤労世帯への金利優遇につきましては、制度を取っていただいて、わずかですが、やはり転貸融資の部分で増えているというのが見てとられると思うのです。ですから、まずこの金融商品の魅力というものは今後も引き続き努力していっていただきたいなと思います。
2つ目の側面は、制度の利用しやすさといいますか、運用の面だと思うのです。これにつきましては、先ほどの年齢制限の問題、また、ほかの先生がおっしゃっていましたように、手続面、書類の問題など、これは企業側、事業者側も、また、お客様個人のほうもいろいろな複雑な面がまだある。少しずつ改善はしていただいておると思うのですが、そこにつきましても今後とも努力をしていただきたい。
3点目が広報活動部分です。前回、ここを強調したつもりでございましたが、そうは言うものの、メリットもあるし、手続は非常に複雑な部分もありますが、天引き制度で非常に有効な計画的貯蓄の制度なので、やはり広報活動が足らないのではないか。以前のようにろうきんさんを中心としました金融機関さんが各事業者に制度を説明して従業員の方に紹介していただいたということが、今はほとんどなくなってきておりますので、そういう意味では、前回、日本FP協会との連携ということを提案させていただいて、少しは進んだと思いますが、まだ2か月ということなので、今後に期待したいと思います。
ただ、この広報活動は非常に重要だと思いますので、コマーシャルを打たれるにしても、ポスターとかいろいろなことをやられるにしても、また、FP協会との連携につきましても、やはり効率的かつ集中的にやるべきではないか。そういう意味で、前回も申しましたが、財形貯蓄推進の集中月間のようなものを打ち出してやられたほうがいいのではないか。ばらばらとやられても、なかなか目に留まらないというようなこともありますので、ぜひそういうことを考えていただいて、集中的、効率的な広報活動。今、こういう社会情勢の中ですので、制度を変えていくとかというよりも、当面は広報活動にもっと重点を置かれたほうがいいのではないか。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。
続いて、高木委員、お願いいたします。
○高木委員 ありがとうございます。
私も広報活動に関する意見なのですけれども、この分科会でも何度も議論に上がっているのですが、我々の主要なターゲットとする若年層への認知が、いろいろな広報活動を通じてもなかなか上がらないというのが実態なのではないかと思うわけです。
各企業においても、財形に若年層が触れる機会というのが、最初の新入社員の説明会のときだけであって、その後何か機会があるかというとなかなか見当たらないということで、今回やっていただいているファイナンシャルプランナーの方を通じて広報活動をしようということは正解であると思うのですが、今回もコロナの影響でセミナーが開催できなかったということで、動画配信ということだったのですが、再生回数を見ますと440回となっていて、この数字をどう見るかということだと思うのですが、感触として考えますのは、なかなか少ないなと思ってしまうのです。FP協会に所属していらっしゃる方がどのくらいの規模いらっしゃるのかは存じ上げないのですけれども、ファイナンシャルプランナーの方々に触れていただく機会をどうにかしてもっと増やしていく必要があるのかもしれないと思っています。
我々のターゲットとする若年層の方たちが、どういうときにファイナンシャルプランナーの方に面会することになるのかということなのですけれども、それぞれのライフコースの中で資産形成を具体的に考えていかなければいけないという時期が幾つかあると思うのです。一つには、住宅購入といった大きなお金が動く機会にファイナンシャルプランナーに様々な相談を持ちかけるということがあると思うのですけれども、今回ではなくて、たしか前回か前々回の資料に若年層の持家比率が上昇しているという資料があったように記憶しています。こういったそれぞれの資産形成について考える機会が、住宅を持つということ以外に、例えば家族を持って保険に加入するといったときなど様々あると思いますので、そういった時期を掴むかたちで何らかの広報活動を行っていくということも考えられるのではないかと思っています。
広報活動として、今やってらっしゃるテレビCMやSNSを通じた広告などがあるのですけれども、あと、動画配信ということで、現在、YouTubeなどもやってらっしゃるか存じ上げないのですが、実際、若年層はもはやテレビを見ないのです。学生などに聞いてもその様子が分かるのですけれども、若者が一体どういうところにアクセスしているのかというマーケティングをきちんとしたほうがよろしいかと思っています。
広報活動でテレビCMを全くやめてしまうということは極端なので、残すとしても、限られた資金をどこに割り振るのかということをもう一度検討する必要はもしかしたらあるのかもしれないと考えています。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。
では、辻委員、お願いいたします。
○辻委員 何度も申し訳ないです。
先ほど非課税枠の拡大の話があったのですけれども、状況としては、むしろこの枠を守るというほうが重要ではないかと思っています。先ほどお話が出ましたけれども、来年度、金融所得課税全般の見直しをするというような話が出ている中、ましてやこの財形の非課税措置は法人税の本法に書いてあるのではなくて、租税特別措置法に書かれているわけです。そうすると、最近よく租税特別措置法について国税庁さんが見直しをするというようなことが行われておりますので、むしろ私は今の枠を守るほうに力を入れたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
それでは、まとめて事務局のほうからお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 ありがとうございます。
まず、八野委員から金融商品の魅力の向上について御意見をいただきました。先ほど御指摘がありましたように、子育て世帯の特例の活用が割合としては非常に高いということもありますので、今後ともそういったニーズを捉えた金融商品の提供を考えていきたいと考えております。
あと、手続面の簡素化などということで、先ほど申し上げましたように、電磁的な方法の手続を可能にしたわけですけれども、それ以外にも何かできることがないかというのは引き続き考えていきたいと考えております。
それから、広報について、ほかの委員の方からも御意見をいただきましたけれども、八野委員からは月間と銘打って集中的に広報をやるべきではないかという御意見をいただきました。そういった月間とまでは現時点ではやっておりませんけれども、昨年度もそういった御意見をいただきましたので、特に効果的な時期に集中的に広報をしようということで取り組んでいこうと考えております。
具体的には、財形に新しく入られるのは、新入社員の人が会社に入って最初の時期ということもありますので、新年度の準備が動き出す今月の後半から集中的にテレビCM、動画配信、バナー広告などの広報を行っていく予定でございます。
それから、高木委員から、ライフコースで家を持つ、あるいは家族が増える、いろいろな節目でファイナンシャルプランナーに相談する機会は多いのではないかということで、そういった機会をとらえて広報をしていくべきだという御意見をいただきました。
また、若者はテレビを見ないということで、動画ですとかネットのほうをよく見るということもあるので、若者がどういったものにアクセスするかというのを一度マーケティングしたほうがいいのではないかという御意見をいただきましたので、いただいた御意見も参考にしながら、今後の効果的な周知の方法も検討していきたいと考えております。
それから、辻委員から、非課税枠の拡大もいいけれども、それ以前にまず現在の枠を守っていくことも大事ではないかという御意見をいただきました。今後の税調の議論も注視しながら、こちらのほうも適切に対応していきたいと考えております。
以上でございます。
○山本分科会長 ほかに御質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特にないようでしたら、本日の議題については以上になります。
このほか、全体を通して何か御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
事務局から一言発言があるようです。
○岡勤労者生活課長 申し訳ございません。議題1のところで申し上げるべきだったのですけれども、失念しておりまして失礼いたしました。
議題1で、政省令、指針について御議論いただきまして、ある程度方向性がまとまってきたということでありますけれども、政省令、指針につきましては、今後、内閣法制局あるいは省内の法令担当の審査を受ける必要がございますので、基本的な方向はもちろん変わりませんが、法制的な観点からの修正が入る可能性はあるところでございます。
また、そういった審査を受ける必要がございますので、政省令、指針の諮問については来年の春頃を予定しておるということでございます。
以上でございます。
○山本分科会長 それでは、議題は終了いたしましたので、続いて事務局から今後の予定等について連絡事項があります。
○岡勤労者生活課長 本日はありがとうございました。
先ほど申し上げましたように、諮問については春頃を予定してございます。
次回の分科会の開催の詳細につきましては、また改めて御連絡をいたします。よろしくお願いいたします。
○山本分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただき、これにて散会といたします。本日はどうもありがとうございました