第80回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会

日時

令和3年10月29日(金)10:00~12:00

場所

オンライン会議会場及び傍聴会場 厚生労働省省議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)

議事

議事内容
○岡勤労者生活課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第80回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
本年9月に着任いたしました勤労者生活課長の岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は都合によりオンラインでの出席とさせていただきます。
本日は、委員の皆様の改選後、初めての部会ですので、部会長が選任されるまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきます。
まず、事務局を代表いたしまして、雇用環境・均等局長の山田より御挨拶を申し上げます。
○山田雇用環境・均等局長 第80回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
このたび雇用環境・均等局長に就任いたしました山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
当部会は、中小企業退職金共済制度について御審議をいただいておりまして、この制度は、独力では退職金制度を設けることができない中小企業のための相互扶助の仕組みとして昭和34年に国が法律で設けた制度でございます。以来、時々の社会経済情勢を踏まえた制度改正を経つつ、中小企業の従業員の福祉の増進、さらにはそれを通じた中小企業の振興に寄与してまいりました。
本日の議事次第の議題どおり、中小企業退職金共済制度の現況と、令和2事業年度の決算等の御報告を申し上げ、御議論いただければと思います。
中小企業で働く方々が安心して働くことができるように、引き続き中小企業退職金共済制度が安定的に運営され、従業員の方の福祉の増進と中小企業の振興にしっかり寄与していけるように努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 本日はZoomによるオンライン会議ということでございますので、簡単に操作方法について御説明いたします。
事前にお送りしております会議の開催・参加方法についても併せて御参照ください。
画面を御覧ください。現在、皆様の画面には我々と委員の皆様の映像が映っていると思います。その下か上にありますマイクのアイコンに赤い斜線が入り、マイクがオフになっていることを御確認ください。分科会の進行中は、皆様のマイクをオフにしていただくようお願いいたします。御発言される場合は「手を挙げる」のボタンを押していただき、分科会長から指名があった後にマイクをオンにしていただき、お名前を名のっていただいた上で御発言ください。今、皆様のお手元にオフになっているマイクのアイコンから赤い斜線がなくなればオンになったということでございます。御発言が終わりましたら、またオフに戻してください。
なお、会議進行中に音声が途切れる等の通信トラブルが生じた場合は、事前にお知らせしております電話番号までお電話をいただくか、Zoomのチャット機能を御利用いただき事務局まで御連絡ください。
では、本日はよろしくお願いいたします。
それでは、今回は委員改選後、初の部会になりますので、委員の方々全員を御紹介いたします。資料1として、中小企業退職金共済部会の委員名簿を準備しておりますので、この名簿順に御紹介いたします。
まず、公益委員代表として、
みずほ信託銀行株式会社フィデューシャリーマネジメント部主席年金研究員、小野正昭委員。
学習院大学経済学部教授、清水順子委員。
敬愛大学経済学部教授、高木朋代委員。
銀座新明和法律事務所弁護士、山本眞弓委員。
名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、山本陽子委員。
続きまして、労働者代表委員として、
JAM副書記長、川野英樹委員。
日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長、佐藤順一委員。
労働者福祉中央協議会事務局長、南部美智代委員。
全国建設労働組合総連合賃金対策部長、長谷部康幸委員。
日本労働組合総連合会総合政策推進局労働条件局長、森田義之委員。
続きまして、使用者代表委員として、
日本商工会議所産業政策第二部労働担当課長、清田素弘委員。
株式会社淺沼組安全品質環境本部安全部長、久保久典委員。
税理士法人丸の内ビジネスコンサルティング代表社員、須永明美委員。
一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部上席主幹、原田豪委員。
株式会社フジワラテクノアート代表取締役副社長、藤原加奈委員。
以上、委員の御紹介でございます。よろしくお願いいたします。
また、本日は全委員の3分の2以上、または公労使委員の各3分の1以上の御出席を賜りまして、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
それでは、マスコミの方、頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
続きまして、事務局の紹介を行います。冒頭に御挨拶を申し上げた雇用環境・均等局長の山田でございます。
続きまして、大臣官房審議官の富田でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、本日は部会委員改選後初めての部会となりますので、部会長を選任する必要がございます。部会長については、労働政策審議会令第7条第4項の規定により、部会に属する公益を代表する本審の委員から当該部会に所属する本審の委員が選挙されることとされております。当部会におきまして、公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは山本眞弓委員お一人でございますので、審議会令の規定によって山本眞弓委員に部会長をお願いしたいと思いますが、御異論ございますでしょうか。
それでは、特に御異論なしということで、山本部会長にお願いしたいと思います。
以後の議事進行につきましては、山本部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ただいま、中小企業退職金共済部会長に御指名いただきました山本でございます。よろしくお願いいたします。
では次に、部会長代理の指名を行います。
部会長代理の選出につきましては、労働政策審議会令第7条第6項により、部会長代理は部会長が指名することになっておりますので、私から指名させていただきます。
部会長代理は小野委員にお願いしたいと思いますが、小野委員、よろしいでしょうか。
○小野委員 ありがとうございます。小野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 それでは、小野部会長代理に一言御挨拶いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。引き続き、部会長代理ということですけれども、部会長をお支えして運営に貢献したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、議題に入らせていただきます。
今日は2件とも報告事項となります。議題1は「中小企業退職金共済制度の現況及び令和2事業年度決算について」です。議題2の「その他」として、機構の資産運用委員会の議事要旨等の報告をしていただきます。まず事務局から議題1及び2の説明を併せてお願いし、その後、委員の皆様から御質問や御意見をいただく形で進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 それでは、議題1の中小企業退職金共済制度の現況と令和2事業年度の決算について御報告いたします。
資料2の1ページ目を御覧いただきたいと思います。中小企業退職金共済制度の現況をお示ししております。
まず、上段の「1 新規加入状況」について御説明いたします。一番下の段が令和2年度の実績でございますが、左側の共済契約者数、つまり加入事業主の数で見ますと、新規加入は合計で1万9,845件となっており、また、右側の被共済者数、つまり従業員の新規加入者数は合計で48万5,809人となっております。前年度と比較しますと共済契約者数・被共済者数ともに一般中退の減少により、全体としては減少となっております。
次に、下段の「2 在籍状況」についてでございます。令和2年度末現在、左側の共済契約者数は合計で55万1,908件となっており、また、右側の被共済者数については合計で573万2,493人となっております。いずれも前年度より少し増加をしてございます。
以前の部会でも御説明したかと思いますけれども、平成28年度以降、建設業の被共済者数が大きく減少しておりますのは、表の下部の注3に書いてありますとおり、平成28年度から、被共済者数について、制度加入の実態との乖離が生じないよう、退職金の受給資格がない掛金納付月数12月未満の被共済者のうち、加入後10年間退職金共済手帳が未更新となっている人について、統計から除外したため数が減少してございます。
同様に、平成30年度以降に清酒製造業の被共済者数が大きく減少しておりますが、これも注4にありますとおり、平成30年度から、退職金の受給資格がない掛金納付月数24月未満の被共済者のうち、加入後10年間退職金共済手帳が未更新となっている方について、統計から除外したためでございます。
同じく、令和2年度に林業の被共済者数が大きく減少しておりますけれども、これも注5にありますとおり、令和2年度において、受給資格がない掛金納付月数24月未満の被共済者のうち、加入後10年間退職金共済手帳の更新がない方について、統計から除外したためとなってございます。
次に2ページを御覧ください。「3 退職金等支給状況」でございます。令和2年度の支給件数は合計で31万9,360件、支給総額は合計4,209億5,900万円となっております。これも以前の部会で御説明しておりますけれども、平成29年度において、清酒製造業の1件当たりの支給金額が大幅に減少しております。これは同年度において、3年以上手帳の更新がない被共済者に対して現況調査を実施いたしまして、退職金の受給資格がある方に対して退職金の請求を促した結果、退職金支給件数が前年度比で大幅に増加しました。ただ、この方たちの多くが短期間の加入者だったということもありまして、受給者の平均掛金納付月数が前年度に比べ大幅に減少したことが要因と考えられます。
それから、建設業の支給件数が、平成28年度以降大幅に増加しております。これは同年度から、退職金の不支給期間を掛金納付月数24月未満から12月未満に緩和されたことが要因であると考えております。
以上が退職金の支給状況でございます。
次に3ページを御覧ください。左上が「4 一般中退の平均掛金月額の状況」になります。掛金月額の設定は5,000円以上3万円以下の中から選択できることとなっております。また、短時間労働者の方は2,000円、3,000円、4,000円となっていますけれども、短時間労働者の掛金も含めた令和2年度の平均掛金月額は9,517円となっておりまして、近年一貫して増加傾向にございます。
それから、右上の表は「5 特定業種の掛金日額の状況」でございます。それぞれ表のように決まっておりまして、林業の掛金日額につきましては、平成26年度に行われた特定業種退職金共済制度の財政検証の結果を踏まえて、表にありますように470円に変更されております。また、建設業の掛金日額につきましては、令和2年度の財政検証の結果を踏まえまして、本年10月から320円に変更されております。
続きまして、下の表の「6 運用資産高状況」でございます。令和2年度の運用資産高は合計で6兆3,117億円となっておりまして、そのうち一般中退が約5兆2,298億円、建退共は約1兆622億円、清退共は約41億円、林退共は約157億円となってございます。
資産運用状況につきましては、4ページ以降に詳しい内容を載せておりますので、1枚おめくりいただきたいと思います。
まず、一般中退における資産運用状況でございます。一番右側が令和2年度末の数字となってございます。自家運用につきましては、国債等の満期保有を行っておりますけれども、令和2年度の自家運用の利回りはプラス0.44%でして、網かけがあるところでございます。これは国債の低金利傾向を反映して、利回りが低下傾向にあったということが影響しているかと思います。一方で、信託銀行等への委託運用につきましては、国内株式及び外国株式の大幅な上昇を主因といたしまして、プラス11.28%でした。そのため、全体といたしましてもプラス5.25%となってございます。
次に5ページでございますけれども、建退共における資産運用状況でございます。建退共では、中小企業に対する事業を給付経理、附帯的な事業として実施している中小企業以外の企業に対する事業を特別給付経理と区分しておりますけれども、このうちの上段が給付経理になってございます。その給付経理についてですけれども、表の右側の網かけにありますように、自家運用の利回りはプラス0.58%であったのに対して、委託運用の利回りはプラス10.28%、全体としてもプラス3.99%となってございます。
次に6ページは清退共の運用状況でございます。こちらについても、先ほどの一般中退あるいは建退共と同じように網かけのところを御覧いただきたいと思いますけれども、自家運用の利回りはプラス0.22%に対して、委託運用の利回りはプラス12.17%ということで、全体の運用利回りではプラス2.59%となってございます。
次に7ページは林退共でございます。こちらにつきましても、先ほどと同様に、自家運用についてはプラス0.37%であるのに対しまして、委託運用はプラス12.17%、全体でも4.70%のプラスということになってございます。
以上が中小企業退職金共済制度の現況でございます。
続きまして、資料3を御覧いただきたいと思います。資料3は勤退機構の令和2事業年度決算の概要になります。こちらでは、勤退機構の貸借対照表と損益計算書の要旨をお示ししております。なお、各事業の給付経理及び業務経理の内訳を分かりやすくするため、参考資料1として貸借対照表及び損益計算書を御用意しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
それでは、資料3の1ページ目、まず勤退機構全体の決算ですけれども、下段の損益計算書を御覧いただきますと、下のほうに網かけがございますが、機構全体で1,784億の当期純利益を計上いたしました。
個々の事業については2ページ以降に記載してございます。まず、2ページでございますけれども、一般中退の勘定についてでございます。下段の損益計算書を御覧いただきたいと思いますが、令和2年度におきましては、金銭信託の運用益により運用収入等が2,592億と、前年と比べまして2,436億円の増となりました。その結果として、下のほうにありますが、1,576億円の当期純利益が発生いたしました。また、上段の貸借対照表にあります利益剰余金でございますけれども、そちらが5,317億円となりまして、前年と比べますと1,576億円の増となったところでございます。
次に3ページは建退共の勘定についてでございます。まず、下段の損益計算書を御覧いただきたいと思いますが、こちらも運用収入等が410億円となりまして、前年比362億円の増となりました。その結果、下のほうにあります198億円の当期純利益が発生いたしました。また、上段の貸借対照表にありますように、利益剰余金は966億円ということで、前年と比べまして198億円の増となったところでございます。
次に4ページは清退共の勘定でございます。こちらも下段の損益計算書を御覧いただきますと、運用収入等が9,800万円ということで、前年と比べまして9,100万円の増ということで、下のほうにあります600万円の当期純利益が発生いたしました。また、上段の貸借対照表にありますように、利益剰余金が27億5,100万円ということで、前年よりも600万円の増となってございます。
それから、5ページは林退共の勘定についてでございます。この林退共については、これまでのほかの勘定と異なりまして、累積欠損金の解消を目指しているところでございます。下段の損益計算書を御覧いただきますと、まず、運用収入等が7億300万円ということで、前年と比べますと6億5,700万円の増となりました。その結果、下のほうにあります5億2,100万円の当期純利益が発生いたしました。これによりまして、上のほうの貸借対照表の繰越欠損金の合計が前年度7億1,300万円あったわけですけれども、令和2年度においては1億9,200万円まで改善をいたしました。
次に6ページは決算決定までの流れを示したものでございます。令和2事業年度の決算につきましては、法律の規定に基づきまして、本年6月30日に機構から厚生労働大臣に財務諸表が提出されまして、同年7月14日に厚生労働大臣が承認をいたしました。
以上、簡単ではございますが、中小企業退職金共済制度の現況と令和2事業年度の決算の御報告でございます。
次に、参考資料3でございますけれども、こちらは機構の資産運用委員会の議事要旨でございます。前回の部会では令和2年度の第7回までの議事要旨をお配りしておったかと思います。今回は令和2年度の第8回から第10回まで、それから、令和3年度の第1回から第5回まで並びに中退共の基本ポートフォリオ見直しに係る議事要旨と中退共の基本ポートフォリオ見直しの概要1枚紙をお配りしてございます。
このうち、まず議事要旨につきましては、毎回参考資料としてお配りしておりまして、これは機構の資産運用委員会の議論が中退部会にも関係しており、連携を図るためでございます。非常に大部になりますので、概要について簡単に御説明したいと思います。
まず、建退共関係でございますけれども、前回の第79回の中退部会でも御説明いたしましたが、建退共につきましては、予定運用利回りを3.0%から1.3%に引き下げることに伴いまして、建退共の基本ポートフォリオの見直しについて議論がなされておりますが、令和2年度の第10回、令和3年度の第1回の議事要旨にございますとおり、中退共との合同運用の方向で進めることとなってございます。
次に、中退共関係でございますが、詳しくは86ページにございますけれども、中退共の基本ポートフォリオの見直しの概要の1枚紙を御覧いただきたいと思います。今年の10月に機構において中退共の基本ポートフォリオの見直しを行ったところでございます。表にありますように、見直し前の基本ポートフォリオと同様に、予定運用利回り1%の水準を、具体的には予定運用利回り1%に業務経費率0.1%を加えた1.1%を目標にしたものとしてございます。見直し前の基本ポートフォリオについては平成29年2月に策定されたものでございまして、その策定から5年経過していること、それから、国内金利の低下により、先ほどもありましたけれども、自家運用の収益が悪化しておりまして、逆ザヤ、本来は1.1%稼がなければならないところであるのですけれども、実際にはこの表にございますように0.93%しか稼げていなかったということになっておりまして、これを解消することを理由に、今回見直しを行ったものでございます。その結果、若干リスクが上昇してございます。
資産構成の変化を見ますと、国内債券の割合が若干低下しております。また、国内株式より外国株式のほうが期待収益率が高くなっております一方で、リスクは国内株式と外国株式とであまり変わらないということで、外国株式の割合が上昇し、国内株式の割合が低下しておるところでございます。
なお、中退共の基本ポートフォリオの見直しの議論の状況につきましては、議事要旨を御覧いただければと思います。
最後に、付加退職金関係についてでございます。これも詳しくは令和3年度の第2回と第3回の議事要旨にございますけれども、資産運用の観点から御指摘をいただいてございます。
簡単に指摘内容を御紹介いたしますと、基本ポートフォリオは予定運用利回りの水準を目標としておりますけれども、付加退職金が支払われている以上、長期的には予定運用利回りの水準を目標にしていますと財産が目減りすることになりますので、こうはならないようにするためには予定運用利回りの水準に付加退職金相当分を加味することが考えられますが、これについては資産運用の観点でさらにリスクを取ることとなりますので、どうするかというのは関係者で御議論いただく必要があるという御指摘がございました。
また、その他の御指摘としては、付加退職金は基本退職金に上乗せされてお得だということだけではなくて、付加退職金というのは将来の労働者の利益を先食いする性格もありますので、付加退職金の存在が長期的には資産運用の観点ではリスクを取ることになることも伝えることが重要であるといった御指摘もございました。
これらも含めまして、来年度に中退共の財政検証を控えておりますので、付加退職金の在り方としてはまた来年度の財政検証を踏まえて御議論いただきたいと考えてございます。
私からは以上でございます。
○山本(眞)部会長 今、事務局から議題1及び2について説明をしていただきました。これらについて御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。「手を挙げる」というボタンを押していただいて、指名をされましたら、マイクをオンにしていただき、お名前を名のってから御発言をお願いいたします。
それでは、長谷部委員、お願いいたします。
○長谷部委員 長谷部でございます。
2点ほど発言をさせていただきたいと思います。1点目は、建退共の退職金金額に係る予定運用利回りの見直しについてです。2019年12月16日に開催されました第73回労政審中退金部会の資料4の3-1、「建退共における対策について」で示された令和5年度までの将来推計及び財政シミュレーションの累積剰余金は、令和2年度では約650億円との推測が示されておりましたが、本日の参考資料1の5ページ、建退共勘定給付経理の貸借対照表では、利益剰余金合計が約810億円と、以前の推計より剰余金が回復傾向にあります。当初、第73回の部会では建退共の予定運用利回りの見直し案として1.6%以上1.8%以下との案が示され、論議が進められておりましたけれども、新型コロナの影響で結果的に1.3%の大幅な引下げとなりました。こうした経過や令和2年8月26日付で出されました部会のとりまとめ文書「特定業種退職金共済制度における退職金額に係る予定運用利回りの見直し等について」の文章中に、1.建退共制度(2)「建退共制度の魅力を維持し、退職金水準を確保する必要がある」との部分、また、4.その他(2)で、「今後、金融情勢の急激な変化により大幅な利益または損失が発生した場合には、必要に応じ、再度検討することが適当である」との部分等の意見に基づきまして、現場従事者の担い手確保、雇用安定、福祉の増進等のために建退共の予定運用利回りの見直し、引上げに向けた検討を部会で諮っていただき、論議を行うことについて強く要望、意見をさせていただきます。
2点目は、金融機関での建退共証紙の取扱いについてですが、建退共事業の一部を委託している金融機関数は建退共の事業年報によりますと2020年度末は436機関、21年度末は432機関と微減をしております。証紙方式を選択している任意組合、事務組合、事業者等が従来どおりの円滑な事務手続が行えるように、証紙の取扱金融機関を減少させない対策、配慮等をお願いしたいと思います。
以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局から回答等をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 御意見ありがとうございます。まず、御指摘のとおり建退共の運用実績が非常によかったということで、予定運用利回りの検討という御意見をいただきました。これにつきましては、確かに昨年度は委託運用が非常に好調だったということで、累積剰余金も非常に増加をしたところでございます。しかしながら、景気は変動するということもございますので、例えば累積剰余金も平成29年度は937億円あったものが30年度は844億円に減り、また、令和元年度は630億円に減ったということも過去ございましたので、昨年度が非常によかったのは喜ばしいことであるわけですけれども、もう少し今後の状況を注視していきたいと考えてございます。
それから、証紙の取扱機関が減少しているということで、非常に御不便を感じていることも多いかと思いますけれども、これにつきましては金融機関の統廃合などが背景にあろうかと思っておりますので、その点は御理解いただければと思っております。
なお、統廃合によって金融機関の体制が変更になった場合におきましても、証紙の取扱いを継続していただきますように、機構から金融機関に依頼を行うことによりまして、取扱金融機関が大幅に減少することがないように努めているところでございます。引き続き、金融機関への協力依頼を行っていきたいと考えております。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 長谷部委員、よろしいでしょうか。
○長谷部委員 ありがとうございます。今、建設業では働き方改革関連法が2024年4月から全面適用されるということで、現場従事者の賃金・労働条件の改善が取り組まれておりますけれども、この建退共制度が、特に若い現場従事者の入職確保、定着にとって非常に魅力のある制度であり、しっかりとした退職金制度があることで建設業界に長く働いて頂ける状況もありますので、引き続き、建退共制度の改善、退職金水準の向上、予定運用利回りの引き上げ等に向けて御議論等を頂きたいので、よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
それでは、次に、高木朋代委員、よろしくお願いいたします。
○高木委員 よろしくお願いいたします。私からは2つ、質問も含めたコメントをお出ししたいと思います。私はこの分野の専門家ではございませんので、質問の趣旨が少しふさわしくないこともあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
まず、資料2の1ページですが、被共済者数の減少について御説明いただいた箇所でございます。納付状況の更新がされていないということも含めて、退職金の請求可能性がないということで在籍者数から除外されて人数が減っているとの御説明でございました。注釈には「脱退推定者」と記されているのですが、これは単純に考えて、この業種での従事から離れている、つまり、退職されていると見てよろしいのでしょうか。退職した場合でも、例えば建設業であれば、建設業からまたほかの建設業に転職するということもあると思うのですが、こういった場合はまた新たな数字として積み増されているのかということについて、その状況を教えていただきたいと思います。
続けて、2つ目のコメントも含めた質問なのですけれども、参考資料3の最後の86ページに、基本ポートフォリオの見直しが行われたということでその比率が示されてございました。当然こちらのほうにも書かれていますけれども、これだけ市場が世界規模になってきているところを考えますと、リスクというのは国内だろうと国外だろうと、市場の良いところも悪いところもすぐに駆け巡ってきますので、リスクは国内外とも同じ状況であろうと私も理解するところです。そこで、外国株式に関しては、見直し後の基本ポートフォリオではその比率を高めたということで、当然それは正しい選択であると思います。ただ、例えば利益剰余金の状況というのが、外国の市場の状況に強く左右されて、それと並行して変化することになるので、その辺りで心配はあるのですけれども、当然やむを得ないことであろうかと思っております。
質問は、外国債券のほうの基本ポートフォリオの比率を少し下げられているのですけれども、これは例えば10%を超えないぐらいに分散するということかもしれないのですが、この比率、9.5%にしたという考え方の基準と申しますか、そういったものがもしもございましたら教えていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
事務局のほうで回答等をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 まず1点目でございますけれども、脱退推定者として減らしたという点の御質問がございました。基本的には、まず受給資格がない、本当に短期間だけ掛金を納付しているということと、あと10年以上も更新がないということで、この業界から出られた、あるいはほかの業種に転職された、あるいは期間雇用ではなくなった、いろいろなパターンがあるかと思いますけれども、いずれにしてもこれだけの期間退職金共済手帳の更新がなかったということで、少なくとも期間雇用として建設業界で働いているとはあまり考えられないのではないかということで、被共済者数から減らしておるところでございます。
それから、外国債券の割合についてですけれども、これは機構の資産運用委員会において専門家の方の意見を聞いて決めておるところでございますので、詳しくは専門家の判断ということになるかと思いますけれども、国内外の金利があまり高くない状況を踏まえてこのような割合になったのだと考えられます。
以上でございます。
○高木委員 少しよろしいでしょうか。1点目の質問の趣旨なのですけれども、例えば建設業でございますと、なかなか安定性が保たれない業種だったりします。そうしますと、本当にそういった業種から離れたり、退職しているのか、あるいは掛金の納付状況が更新されずに手続がきちんとなされないといったような状況が、不安定雇用であるがゆえにあるのかもしれないと思いまして、その辺りを質問させていただきたかったというところでございます。
大丈夫です。ありがとうございます。
○山本(眞)部会長 事務局で何か付け加えることはありますか。大丈夫ですか。
では、今の高木委員の御発言について若干補足をさせていただきますので、ちょっとお待ちください。
○大羽賀勤労者生活課長補佐 課長補佐をしております大羽賀と申します。
1問目の件ですが、建設業界から離れた人を除外しているということになるかと思います。
○山本(眞)部会長 高木委員、そういう趣旨のようです。よろしいでしょうか。
○高木委員 分かりました。大丈夫です。ありがとうございました。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
それでは、次に、清水順子委員、お願いいたします。
○清水委員 御説明ありがとうございました。
昨年度、市場が非常によかったということで、運用成績、委託運用がうまくいき、累積欠損金が非常に問題となっていた林退共でかなり累積の欠損が改善されたということで、喜ばしいことだと思いました。
また、先ほど長谷部委員よりも御意見ございましたけれども、非常に状態がよくなった建退共については、私も長谷部委員の御意見と同様に、特に建設業でこういういいときに組合員を増やすべく、若干でも何かプラスの方向で示すことができればいいのではないかと思います。
また、委託運用に関して、全部中退共と合同運用が始まるということで、そちらについてもコストがかからずにうまく運用ができる体制になるということで、こちらも今後期待できることかと思います。
その点で、中退共は来年度に財政検証があるということですが、先ほど高木委員も御指摘されておりましたが、基本ポートフォリオの見直しにつきまして、私はたまたまGPIFの基本ポートフォリオの見直しのときに運用委員をしていた経験から申し上げますと、お示しいただきました参考資料の中退共の基本ポートフォリオと申しますのは、GPIFの国内債券・国内株式・外国債券・外国株式、今、2020年4月からは全て25%、4分の1ずつ運用になっているというのに比較しますと、相変わらずかなり保守的なポートフォリオになっております。それぞれ目指す期待収益率が異なりますので、何もGPIFを目指せとは全然申しませんが、それにしましても、こういった市場環境の中で財政検証が行われた後に中退共の基本ポートフォリオの見直しをされるのであれば、その点も考慮して委託運用でより収益が上がるような形の運用というのもぜひ御検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
事務局のほうで今の御意見等について回答をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 御意見ありがとうございました。
おっしゃるとおり、GPIFでは4資産の割合がそれぞれ4分の1ずつの運用に対して、勤退機構では株式の割合が非常に低いということで、ちょっと安全運転なところがあるのは確かでございます。そういったところも含めて、来年度また御議論いただければと思っております。
○山本(眞)部会長 清水委員、よろしいでしょうか。
○清水委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
それでは、次に小野委員、お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。小野でございます。
質問というかアドバイスという観点からお話を申し上げたいと思います。まず、資料2と資料3の件なのですけれども、資料2で、例えば一般中退の運用利回りが5.25%だったと示されておりますが、資料3の2ページに一般中退の損益計算書と貸借対照表が載っておりますけれども、ここに運用収入等というのが下のほうにありまして、これが約2,600億となっております。ですから、大ざっぱに言えば、5.25%が2,591億8,700万に相当すると想定できます。一般中退の予定利率は1%ですから、5.25%のうちの1%部分が運用収入で必要だということになるかと思います。逆に言えば、それ以外の部分は剰余の要素だということなのですけれども、例えば大ざっぱに8掛けだとして見ても、最終的な当期純利益1,600億弱は剰余の要素と比べると少なくなっています。人件費とか運用費用とか若干の費用はかかるにしても、この辺りの理解が正しいのかどうかということと、もしここに乖離があるとすれば、恐らく負債側等々、運用以外の要因があるのではないかと考えております。
例えば、先ほど御指摘いただいていた林業ですけれども、林業も大幅な剰余金が出たということですが、令和2年度に被共済者の整理を行っていて、大幅に人数が減っているというのがありますね。そういうことも含めて、過去も含めてになると思いますけれども、こういった過去の決算の結果がどういった要因で剰余、不足が発生したかということを把握しておいた方が、次回の中退共等々の見直しの際に材料になるのではないかなという点が1点目です。これはどちらかというとアドバイスということになろうかと思います。
2点目は参考資料3の部分ですけれども、ここにつきましては、今年の3月辺りから資産運用委員会の議事が大分活発になっていて、制度運営を心配する発言も結構あるので、この辺りはどう解釈すべきかと思いました私が気になっているのは一般中退との合同運用ということなのですけれども、例えば一般中退と同じファンドの中に入れて持ち分を決めるということになりますと、運用戦略が、基本ポートフォリオ等々が全く一緒になってしまうということになろうかと思うのです。それは逆に言えば、一般中退と建設業とは制度の設計なり要求される利率がそれぞれ異なってくる、制度設計が異なっているわけですけれども、設計が異なる制度を同じような運用戦略で運用することについてどのように考えていらっしゃるのか、これは質問でございます。
それから、先ほどの建設業の予定運用利回りの引上げにつきまして、いろいろ御議論がありましたけれども、私は前回発言させていただいたとおり、やはり1.3%というのは、そうはいっても市場と比べるとまだ相当高めだということが言えるかと思います。10年の国債利回りがマイナスになっているというのが現況ですので、それから比べると大分高いと思います。どうしても私は1980年代後半のブラックマンデーの時期から金融機関にいたものですから、その辺りの経緯を肌身で感じておりまして、1回状況が好転したからといって、そこで見直すということには、慎重にならざるを得ないというところでございます。
以上です。
○山本(眞)部会長 アドバイスもいただきまして、ありがとうございます。
これらについて、事務局のほうで回答をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 御意見、それからアドバイスをいただきまして、ありがとうございました。
最後に御質問で、建退共と中退共の合同運用に関する考え方ということでございますけれども、従前は予定運用利回りが建退共は3.0%、中退共が1.0%ということで非常に乖離が大きかったものですから、なかなか合同運用というのは難しかったわけですけれども、この10月から1.3%に建退共のほうが下がったということで、予定運用利回りが中退共と近づいてきたということもあって、そこはポートフォリオの配分で微調整できる範囲になってきたのかなということで、合同運用をやっていこうということになったかと思います。
ただ、そうはいっても両者で制度が違うのではないかということで、それは御指摘のとおりでございます。ただ、ここで合同運用するのはあくまで委託運用の部分でございまして、先ほどポートフォリオでありましたように、あるいは現況でもありましたように、自家運用の比率が非常に高いものですから、そこは別々に運用していくところでございますので、それぞれの制度にあった運用が引き続きできるのではないかと考えてございます。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 小野委員、いかがでしょうか。
○小野委員 そうしますと、それぞれの制度の違いによる運用戦略というのは、どちらかというと共通で運用する合同運用部分ではなくて、自家運用と合同運用との比率をそれぞれの制度に合ったような形でセットすることで対応するというような調整の仕方はあり得ると思うのですけれども、そんな理解でよろしいでしょうか。
○山本(眞)部会長 事務局、いかがですか。
○堀勤労者生活課長補佐 事務局、課長補佐をしております堀です。
御指摘のとおり、合同運用と自家運用の比率で調整していくということでございます。
○小野委員 承知しました。ありがとうございます。
○山本(眞)部会長 今のところ手が挙がっている方はいらっしゃらないようなのですが、ほかに御意見等がおありの委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
森田委員が御意見あるようです。お願いいたします。
○森田委員 今回から初めて参加をさせていただきました、連合の森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
意見といいますか、質問ということではないのですけれども、今回の報告につきまして、なかなか勉強不足で申し訳ないのですが、少し感じたことをお伝えだけしたいなと思いますので、よろしいですか。
○山本(眞)部会長 もちろん構いません。
○森田委員 すみません。ありがとうございます。
それでは、今の資料を全般的に見させていただきまして、制度の現状と事業決算については、全体的には健全に運営されているなということを承知いたしました。また、この中退共の制度については、昭和34年から国の中小企業対策の一環として行われているというふうに認識をしていまして、中小企業の従業員の皆さんの福祉の増進ですとか雇用の安定といったことで、冒頭でも説明があったと思います。全体的にこの制度が中小企業の振興と発展に寄与する重要な制度だということも改めて認識をさせていただきました。
こういった運用面については、今日御指摘いただいたことですとか御意見等、様々あろうかと思いますけれども、いわゆる被共済者の立場に立って、安心安全を第一に、支給率についても加入者の皆さんの納得性の高いところを目指していくべきなのではないかなと感じました。ありがとうございます。
少し感想めいたことになりましたけれども、そのようなことを感じましたので、一言申し添えさせていただきました。ありがとうございました。
○山本(眞)部会長 森田委員、ありがとうございました。
今の御意見について、事務局で何かコメントすることはありますか。
○岡勤労者生活課長 御意見ありがとうございます。中小企業の方の魅力ある職場づくり、労働条件のためにこの制度というのがあるかと思いますので、先ほどおっしゃられたように、加入者の方の納得のいくような制度にしつつ、とはいえ、制度として安定的な運営というのも大事だと思いますので、総合的にいろいろな御意見をいただきながら、今後ともこの制度について運用していきたいと考えてございます。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 それでは、手が挙がっていないようですので、議題1及び2の各報告については御了解いただいたということにさせていただきたいと思います。
それでは、本日の議題につきましては以上でございます。このほか、全体を通して何か御意見等ございましたら、手を挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の部会はこれにて終了とさせていただいて、これにて散会といたします。本日はいろいろありがとうございました。