第24回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

日時

令和3年10月29日(金)13:00~15:00

場所

オンライン会議会場及び傍聴会場 中央労働委員会 講堂
(港区芝公園1-5-32 中央労働委員会7階)

議事

議事内容
○山本分科会長 皆さん、こんにちは。若干早いかもしれませんけれども、皆さんそろっていただいておりますので、ただいまから第24回「労働政策審議会勤労者生活分科会」を開催いたします。
本日は、労働者代表委員の石塚委員、小山委員が御欠席でございます。全委員の3分の2以上または公労使委員の各3分の1以上の御出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしております。
前回の分科会より、冨田珠代委員が辞任されて、日本労働組合総連合会総合政策推進局総合局長の仁平章委員に御就任いただいております。
また、本年9月に事務局に異動がございましたので、事務局から御説明をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 本年9月に着任いたしました勤労者生活課長の岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は都合によりオンラインでの出席とさせていただきます。
続けて、私から紹介をいたします。雇用環境・均等局長に山田が着任しております。
○山田雇用環境・均等局長 私のほうから第24回の労働政策審議会勤労者生活分科会の開会に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。このたび雇用環境・均等局長に就任いたしました山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、昨年12月に公布されました労働者協同組合法の政令・省令の骨子案と同法の指針案についての御説明、及び労働者協同組合法に関係する4団体にお越しいただいてヒアリングを予定しております。
今後、労働者協同組合法につきましては、施行日に向けて、本分科会において政省令等の内容について、年度内に数回程度御審議をいただく予定でございます。委員の皆様には御協力を賜りますようよろしくお願いします。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
本日の分科会はオンライン形式での開催になります。開催に当たりまして、事務局から御説明がございますので、よろしくお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 本日はZoomによるオンライン会議ということで、簡単に操作方法について御説明いたします。
事前にお送りしております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照ください。画面を御覧ください。現在、皆様の画面には我々と委員の皆様の映像が映っているかと思います。その下か上にありますマイクのアイコンに赤い斜線が入り、マイクがオフになっていることを御確認ください。分科会の進行中は皆様のマイクをオフにしていただきますようによろしくお願いいたします。御発言される場合には「手を挙げる」ボタンを押していただきまして、分科会長から指名があった後にマイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただいた上で御発言をお願いいたします。今、皆さんのお手元にオフになっているマイクのアイコンから赤い斜線がなくなればオンになったということになります。御発言が終わりましたら、またオフに戻していただくようにお願いいたします。
なお、会議進行中に音声が途切れるなど通信トラブルが生じた場合には、事前にお知らせしております電話番号までお電話いただくか、あるいはZoomのチャット機能を利用いたしまして事務局まで御連絡をいただければと思います。
それでは、本日はよろしくお願いいたします。
○山本分科会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
では、まず議題1「労働者協同組合法の施行について」に入ります。
まず、事務局から説明をお願いし、その後、委員の皆様から御意見等をいただければと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○岡勤労者生活課長 それでは、資料1「政令・省令の骨子(案)について」に沿って御説明いたします。表紙をめくっていただきまして、1ページ目は政令案についてでございます。2つ政令案がございまして、1つは労働者協同組合法施行令の案についてでございます。もう一つは企業組合及び特定非営利活動法人の組織変更の登記に関する政令案の関係でございます。まず、1つ目の施行令関係でございます。主な項目としてはここにある1から4までになります。
1つ目は、法律の第7条に書いてございます「組合が行うことが適当でない事業」ということで、法律にも記載してあります労働者派遣事業をここに挙げてございます。
2つ目といたしまして「組合員等以外の者からの監事の選任を要する組合の範囲」ということで、規模の大きい組合について社外監事を選任する必要があるということですけれども、その範囲についての規定ということになります。
3番目は「書面に記載すべき事項等の電磁的方法による提供の承諾等」ということで、これは具体的には役員の改選の請求が組合員からなされる場合に、書面ではなく、電磁的方法による場合には、相手方である組合からの承諾、それから組合から該当する役員に対して請求理由を伝えることになっておりますけれども、その場合、電磁的方法による場合に相手方の承諾を得る。そういう規定についてでございます。
4番目は「準用する会社法の規定の技術的読替え」ということで、法律の中でも機関について会社法の読替え規定がございますけれども、詳細については政令でということになっておりますので、そういった技術的な読替えについての規定になります。
2番目の組織変更の登記に関する政令案についてでございます。こちらについては、全く新規に労働者協同組合を設立する場合については、既に存在しております組合等登記令という法令に基づいて登記をしていただくことになりますけれども、今回法律の附則で企業組合やNPOから簡単に組織変更ができるという経過措置の規定がございまして、それに基づいて組織変更する場合の登記に関する政令案ということになります。内容としては、(1)にございますように、企業組合から労働者協同組合に組織変更する際の登記の手続、また、その期限、その際の必要となる書面等についての規定の整備ということになります。(2)として、NPOの組織変更についてもそれを準用することになるというものでございます。
以上が政令案でございます。
続きまして、2ページ目以降は省令案についてでございます。いずれも技術的な内容、手続的な内容が続きます。まず、第1章は「組合員名簿における電磁的記録等」ということで、組合員名簿やその他の定款ですとか理事会の議事録もそうですが、書面ではなくて、電磁的記録で策定する場合の規定の整備。(2)として電磁的記録で記録された事項を表示する方法についての規定の整備ということになります。
第2章が「設立」に関する規定ということで、(1)で創立総会の議事録に記載すべき事項についての規定の整備。(2)で組合の成立届の規定の整備ということになります。
第3章が「管理」でございます。まず、第1節は「電磁的記録の備置きに関する特則」についての規定の整備になります。組合の書類が電磁的記録をもって作成されている場合に、当該書類の閲覧請求に従たる事務所において応じることを可能とするための措置などについて規定を整備するものでございます。
続きまして、3ページでございます。第2節で「役員」に関する規定の整備ということで、役員の変更があった場合の届出、あるいは心身の故障のために職務を適正に執行することができない者についての規定の整備でございます。
第3節は「決算関係書類」の規定の整備ということで、(1)が総則でございます。(2)から(5)までは個別の決算書類の規定の整備ということで、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案、これらの附属明細書、それぞれについて必要な記載事項等について規定を整備するというものでございます。
次のページは今の続きでございますけれども、第4節が「事業報告書」の記載事項についての規定。第5節は「決算関係書類及び事業報告書の監査」についての規定の整備でございます。第6節は、今まで申し上げたような決算関係書類や事業報告書、あるいは監査報告について、組合員に対して提供する際の規定の整備ということになります。
第7節は「会計帳簿」の関係の規定の整備。第8節は「総会の招集手続等」に関する規定の整備ということになります。
5ページでございます。組合が解散する場合の「解散及び清算並びに合併」に関する規定の整備になります。
第5章は連合会の成立届、あるいは解散のときの届出に関する規定の整備でございます。
第6章は「雑則」ということで、関係書類の行政庁への提出に関する規定の整備ということになります。
省令案については以上でございます。
続きまして、労働者協同組合の適正な運営を図るための指針案についてでございます。こちらについては資料2で指針案をお示ししております。また、参考3のほうで指針案と、それから指針案をつくるに当たって参考にいたしました国会での審議の審議録の抜粋を対照にしてございます。
それでは、今、資料共有を行っている画面に参考3がありますので、こちらに沿って御説明いたします。まず、第1の「趣旨」は、法律の第130条にありますように、労働者協同組合の適正な運営を図るためにこの指針を定めるという趣旨が書いてございます。
第2として「組合の性質」でございます。これも法律に書いてあります、組合員が出資すること、組合員の意見が反映されること、組合員が自ら事業に従事すること、この3つを基本原理とする組織であって、剰余金について出資額に応じた配当、いわゆる出資配当を認めない非営利の法人であり、地域における多様な需要に応じた事業を通じて地域社会に貢献し地域社会の課題を解決することで、持続可能な地域社会の実現を目指すと。組合というのはそういうものだという性質をここに示してございます。
その続きにありますけれども、先ほど申し上げた地域社会の課題の解決というのは、必ずしも労働者協同組合に限らず、NPO法人、企業組合といった形で活動することも考えられますので、労働者協同組合というのは、こういった既存の法人制度と共存するものでありまして、活動を行おうとする人の選択肢を広げるものだということを書いてございます。
第3として「組合に関する事項」でございます。まず、基本原理でございますが、先ほど申し上げたような基本原理に従って事業を行わなければならないということで、組合はほかの組合員とともに意見を出し合いながら就労の場をつくるものであるために、組合員が意見を出すことができる仕組みを設けていること。あるいは組合の事業に必要な財産的基礎についても組合員自らによって確保されるべきということで、出資を義務づけているという法律の趣旨をここで記載してございます。
3ページでございます。事業に関する事項で、(1)は「組合が行うことができない事業等」ということで、先ほど政令案のところでも申し上げましたように、法律の7条の規定によりまして、労働者協同組合は労働者派遣事業を行うことができないということになってございます。これは組合員自らが組合の事業に従事するという法の理念と相反するためということになってございます。
下部の「また」のところですが、これは国会の審議に基づくものでございますけれども、組合自身が労働者派遣事業を行わないにしても、労働者派遣事業を行う者を子会社にすることは、その法律の規定の趣旨に反する脱法的な運用でありますので、厳に避けるべきであるということを記載してございます。
4ページでございます。組合が行おうとする事業が行政庁の認可等を必要とするものである場合は、当該認可等を受けることが必要であるということを念のために記載してございます。
(2)は「組合員による組合の事業への従事」でございます。基本原理を踏まえますと、本来であれば、全ての組合員が組合の事業に従事することが適当であるわけでございますが、これが難しい場合もございますので、そうでない場合は以下の点に留意することということでございます。
①は「総組合員の5分の4以上の組合員が組合の事業に従事すること」。これは法第8条第1項にそういった規定がございます。逆に言いますと、5分の1未満の方は、組合の事業に従事しないことが許容されるということになりますけれども、その趣旨としては、育児や介護等の家庭等の事業により一時的に組合の事業に従事できない方もいると思いますので、そういった方の組合員の資格を剥奪するのではなくて、資格を継続することを認める、そういった趣旨でこういった規定を設けているということでございます。
5ページ目の②でございます。組合の事業に従事する者の4分の3以上が組合員であること。これも法律の第8条第2項に規定してございます。これも逆に申し上げると、4分の1未満の方は組合員以外の方でもいいということになるわけですが、その趣旨としては、業務の繁忙期における人手不足に対応するために、一時的に組合員以外の方がアルバイトといった形で事業に従事すること、あるいは出資金を分割して払い込んでいる方については、払込みが完了するまでは正式な組合員ということにはならないわけですけれども、そういった方についても組合の事業に従事することができるようにといったことで、組合の事業活動に柔軟性を持たせるといった趣旨でこういった規定を設けているということを記載してございます。
下部の「なお」というところでございます。そういった臨時的に組合の事業に従事する者があってもいいわけですが、そういった方に対して組合員の資格を与えずに、永続的に臨時雇用ということで事業に従事させることは想定していないということを念のために記載してございます。
6ページでございます。(3)で「公正な競争」ということで、組合は組合員に対し、不当に低い賃金を支払うこと等により事業を実施することで、公正な競争を阻害することがないこと。
7ページに行きます。第4で「組合員に関する事項」。1つ目が組合員の性質でございます。法律の規定で「組合員自らが事業に従事する」とありますけれども、これは組合員が事業者であることを意味するものではなく、あくまで組合が事業者であって、個々の組合員は、組合と労働契約を結んで組合の事業に従事する者であるという趣旨であることに留意することということでございます。
2番目として組合への加入でございます。組合への加入の自由というのは協同組合原則の一つでございますが、法第12条において、組合が正当な理由がないのに加入を拒んではならないとしてございます。正当な理由の判断に当たっては、加入の自由が不当に害されることがないように留意するということです。
正当な理由については、例えば加入しようとする者側の事情として、加入しようとする者が法律に規定する除名事由に該当する行為を現にしている、あるいはすることが客観的に明らかである場合ですとか、あるいは組合の活動を妨害している者である場合が考えられること。また、組合側の事情として、組合員の数が組合の事業を行うのに必要な数を大幅に超過しているなど、加入を認めると組合の円滑な事業活動や組織運営に支障を及ぼすような場合が考えられることということで、そういった限定的な場合にしてくださいということを規定してございます。
3番目が組合員の除名でございます。除名は組合員の資格を喪失させる重大な効果をもたらすものでありますので、除名を行うに当たっては、法律に定める除名事由に該当するかを十分に確認していただいた上で、法律に定める手続をきちんと踏んで、その上で除名を行っていただくことということを記載してございます。
4番目が労働契約の締結等でございます。法第20条第1項の規定によりまして、組合は、組合員と労働契約を締結しなければならないとされております。組合が組合員を募集する際には、職業安定法の規定に基づいて労働条件を明示しなければならないこととか、あるいは組合員になろうとする方が労働契約を締結するということの認識がない場合もございますので、労働契約を締結するということについても併せて明示すべきであるということを記載してございます。
その上で、9ページ、(1)は労働契約の締結に係る趣旨ということで、こういった規定を設けた趣旨は、組合員を労働者として保護する観点で労働契約を締結しなければならないといたしまして、その結果として、組合員には労働基準法などの労働関係法令が基本的には適用されるということでございます。
(2)で組合員の脱退でございます。法第20条第2項によりまして、組合員の脱退は、労働契約を終了させるものと解してはならないとされております。その趣旨としては、労働契約を終了させる目的で恣意的に特定の組合員を脱退させるようなことがないようにということを記載してございます。
(3)いわゆる「名ばかり理事」でございます。理事の職務のみを行うこととして組合との間で労働契約を締結していない理事について、事業に従事させるような場合は法第20条の違反になりますので、そういった理事については労働契約を締結することが必要であるということを記載してございます。
5番目が「組合員の意見を反映させる方策」ということで、これを担保するために、定款の必要的記載事項としてございます。どのような方策にするかということについては、各組合の状況を踏まえて定款に定めることを想定しておりますけれども、例えば、開催方法、開催時期または頻度、それから最終的な意思統一の方法などが明らかにされている会議によって意見を集約する方法。あるいは意見箱を設置するなど日常的な意見の集約の方策、そういったことが考えられるということで例示を示してございます。
その続きでございますけれども、意見を集約するのはいいのですが、反映させることも重要でございますので、どのように反映したかということで、当該方策の実施の状況とその結果を通常総会への報告事項としているということでございます。
第5が「設立等に関する事項」でございます。労働者協同組合については、法定の要件を満たせば組合の設立が可能となる準則主義を採用してございます。成立した後は、法律の規定に沿って必要な届出をしていただくことが必要だということでございます。また、いろいろ変更があった場合などについても、ここに記載があるような届出をすることということを記載してございます。
12ページに行きまして、第6「管理に関する事項」でございます。1が役員の数でございます。法律上、理事は3人以上、監事は1人以上選任しなければならないとされておりますけれども、具体的に何人にするかということは、定款の必要的記載事項でありまして、各組合においてそれぞれ判断していただくこととなります。ただし、組合の事業に全く従事しない専任理事が組合員の半数を占めるなど、極端に多くの役員がいる場合は、先ほど申し上げたような法第20条の違反につながるおそれもございますので、小規模な組合を除いて、役員の数が総組合員数の1割を超えることがないようにすることが望ましいとしてございます。
次の13ページ、「剰余金の配当」でございます。(1)は賃金と剰余金の関係ということで、賃金は、労働契約に基づく労働の対価であるのに対して、剰余金は、組合が賃金等の経費を支払い、損失を補填し、準備金、雇用創出等積立金、教育繰越金などを積み立てて、それを控除した後に残ったものについて、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて分配されるものでありますので、賃金の支払いと剰余金の配当というのは別物であるということに留意することということでございます。
剰余金を多くすることで賃金を低く抑えることがないように、組合員の意見が適切に反映される方策を通じまして、各組合において、組合員が安心して生活できるような水準の賃金が定められることが望ましいということを記載してございます。
(2)は剰余金の配当に関する考え方ということで、先ほどもありました剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じてしなければならないというふうに法律上なってございますけれども、その具体的な方法については、各組合において組合員の意見を反映して決定していただくものと考えてございます。そのため定款に記載する事項とされてございます。剰余金の配当が公平に行われるようにするために、組合の事業に従事した程度の具体的な評価に当たっては、組合の事業に従事した日数、時間数等が主な考慮要素になると思いますが、そのほかに業務の質や責任の軽重等も考慮されるものであることでございます。
3、組合員監査会についてでございます。組合員監査会は、組合の基本原理を踏まえ、全ての組合員が組合の活動に従事したいというニーズがある小規模の組合において、理事や使用人を兼職することができない監事に代えまして、理事の活動を理事以外の全ての組合員が監査することで、組合の適切な運営を確保するというものでございます。
ただ、組合員監査会による監査がなれ合い的なものになることを防止するために、法律のほうで監査報告を一定期間事務所に備え置き、外部の方の閲覧に供するということにしているということを記載してございます。
指針の内容は以上でございまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、右側にあるような国会の審議で議論になったことを中心に記載してございます。資料2の御説明は以上でございます。
次に資料3を御覧いただきたいと思います。労働者協同組合法に関する今後の予定についてでございます。まず、政令・省令・指針案について、本日は第1回目の御議論ということでございますけれども、本日を含めまして年度内に数回程度御議論いただきたいと思っております。その上で、来年の春頃に政省令・指針案の諮問・答申、そして公布ということを考えてございます。そして、10月1日からは労働者協同組合法の施行という予定になってございます。
長くなりましたけれども、私からは以上でございます。
○山本分科会長 ただいま事務局から議題1の中で、政令・省令の骨子案とか指針案、今後の予定について御説明がありましたが、御質問や御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンを押していただきたく思います。こちらから指名をさせていただきますので、指名がありましたら、マイクをオンにしていただいて、お名前を名乗ってから御発言をお願いいたします。それでは、仁平章委員、お願いいたします。
○仁平委員 本日参加させていただきます仁平です。どうぞよろしくお願いいたします。
この法律でよりよい地域社会をつくって、同時に協同組合で働く人たちの権利が守られて、やりがいを持って働けるようにしていく、その意義は大きなものだと思っておりまして、その上で、施行後、どれぐらいの組織が労働者協同組合に移行したり、新たに設立されるのか、まだ分からないと思うのですが、全国で数百という規模になる可能性もあるのだろうと思っています。それらの組織から事業報告を受けたり、定款を保管したり、運用の実態を把握して見ていくのは、法律によると、主たる事業所のある都道府県になると思うのですが、そうであれば、全国でばらつきが出たり、曖昧な運用にならないように、必要なことは指針で明確にしておくということなのかなと思っております。
そういうスタンスで幾つか質問と意見を申し上げたいと思っております。御説明いただいた参考資料3でいきますと、1つ目が1ページ目、第2のところで「余剰金について出資額に応じた配当を認めない」と書いてございますが、法律の文言どおりに「組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行う」と記載しない理由についてお伺いしたいと思っています。
2つ目は3ページ目「(1)組合が行うことができない事業等」のところです。右側に参議院の厚労委員会の抜粋がありますが、これは石橋先生と篠原先生のやり取りだと思うのですが、そのやり取りはその後も続いておりまして、本来組合がやるべきことを子会社にやらせるというのは立法の趣旨にそぐわないですね、その担保もしてねというやり取りもあったかと思いますが、その辺の趣旨は左側の案のどこに反映されているのか。これも質問であります。
3つ目は9ページ目「労働契約の締結に係る趣旨」のところです。これも参議院で政府からこんな答弁がありましたので、読み上げさせていただきます。「組合員は、組合と労働契約を結ぶ事業の従事者であり、基本的には一部の企業組合のような事業者性を有するものではない。法案が成立した場合には、国会における議論等を踏まえて、指針等の具体的内容についてしっかり検討してまいりたい」。こういう政府からの発言があったわけでありますが、企業組合との違いとか、それと今の右側の最後の行に、労働契約の締結が義務づけられていることを勘案するというふうに書いてありますけれども、こういった趣旨について、指針のどこに反映されているのかということで、質問であります。
長くなって恐縮ですが、4つ目であります。14ページから15ページにかけての「剰余金の配当」のところでございます。「剰余金を多くすることで賃金を低く抑えることがないよう、組合員が安心して生活ができる水準の賃金が定められることが望ましい」。まさにそのとおりだと思うのですが、さらに付け加えさせていただくならば、税金や社会保険料を減らすために賃金を抑制して、配当と合わせて手取りを増やすと。仮にそういうことがあるとすれば、それもいかがなものかと思っている次第です。
それと、配当は組合員が組合の事業に従事した程度に応じてというのが原則だと思うのですが、組合員と事業に従事していない理事長との配当について、あまりにもバランスを欠いたものでは、法の3条の規定にも反するのではないかという思いがしております。これも参議院の中のやり取りの中で、行政のいろんなチェックもあるので、そういったところで伝えていかなければならないですよねというやり取りもあったと思いますが、質問なのですけれども、都道府県への事業報告とか決算報告でそこまで見ることが可能なのかどうか伺いたいと思いますし、可能だとした場合、指針にそうした根拠となるような記載がないと、都道府県から組合に対して助言もできないのではないかと思うのですが、その辺りはいかがかということです。
最後の意見になりますけれども、来年法律が施行されれば、全国で様々な団体が移行、新設されることになると思っています。法の趣旨を踏まえ、実態の運用がどうなっているのか。法施行1年ぐらいしたら実態調査をぜひやっていただきたいなという思いでおりまして、検討いただけないかと思っております。法律上、移行期間が3年で、見直し規定5年だということも承知しているわけですが、新しい組織ですので、見直しの前段、直前に調査すればよいということでは不十分ではないかなと思いますので、意見として申し上げます。
以上です。
○山本分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、事務局のほうから回答をお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 仁平委員、貴重な御意見をありがとうございます。勤労者生活課の曽我と申します。いろいろと御意見を賜りまして、個々に御回答できているかどうかというのはちょっと自信がないのですが、まずお答えさせていただいて、また何かあればおっしゃっていただければ大変ありがたいと思います。
まず、この指針の位置づけですけれども、先ほど課長のほうからも申し上げましたが、国会審議で議論になったことを中心に規定をさせていただくということでございまして、法律上も組合の適正な運営について資するものを書くということになっております。この法律を施行していくに当たりまして、指針ですとか、それ以外にも都道府県とやり取りしますので、施行通知みたいなものも出すということは、多くの制度ではそういうやり方が通っておりますので、そういう施行通知というのがございますし、よく聞かれる質問については、FAQみたいな形でホームページに掲載するとか、運用に関しては幾つかの手法を使って自治体とか関係団体、その他の皆様方に周知して御理解をいただくように努めてまいりたいと思っておりますので、いろいろと御意見のところを全て指針に盛り込めるのかというと、そうでもないのかなとも思っているところでございます。
すみません。総論的にはそういったものでございまして、具体的な書きぶりについては、従事分量のところも、なぜこの書きぶりなのかというところをもう少し御教示いただければ、具体的に検討していきたいというところはございます。
剰余金のところで申し上げられることとしましては、賃金というのは労働の対価としてお支払いするものですと。剰余金というものは、賃金を払って、それ以外に、負債が出たときの準備金を積み立てて、さらに法定積立金も積み立てて、あと、法定で繰越金というのもありますが、それも繰り越して、いろいろ必要なお金を除いた上で剰余金を配るということなので、人件費を浮かせた分が剰余金に回りますという形にはなっていないので、賃金の代わりに剰余金という実態までは生じないのかなとも思っているところなのですけれども、その上で、剰余金を配るに当たって、どういったことを留意すべきかというのは、指針案に原案としては盛り込ませていただいているので、それについてもさらに委員の皆様方から御意見があれば御教示いただきたいと思っているところでございます。
実態調査につきまして、どういうものを実態調査としてイメージされているかもぜひ教えていただきたいと思いますし、もちろん実態を知るということは重要だと思いますので、御意見等を賜りながら今後検討していきたいと考えております。
すみません。いろいろ貴重な御意見をおっしゃっていただいて、必ずしも全部受け止められていないのかもしれませんが、まずはこれで回答にさせていただきたいと思います。
以上です。
○山本分科会長 仁平委員、よろしいですか。というか、この指針の検討は今日で終わりではございませんので、どんどん御意見をいただいてブラッシュアップしていただくようにしたいと思いますので。
○仁平委員 ありがとうございます。
その趣旨で私も申し上げておりまして、この1回で終わるという話ではないので、こういう観点で意見がありますというのを具体的に今日は申し上げたということでございます。言われるように、ほかの法律でも同じですけれども、指針でどこまで書くかという話と、その後の通達、QAに何を落とすかということは、いろいろ御相談もあるのかなと思うので、そういうつもりでおりますが、何せ新しい組織なものですから、そこら辺は丁寧にやり取りも含めてやっていただきたいなという思いでおりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 承知しました。御意見ありがとうございます。
○山本分科会長 どうもありがとうございます。引き続き検討していくということで、御了解ください。
では、続きまして、杉原委員、お願いいたします。
○杉原委員 私は、日本基幹産業労働組合連合会で中央執行委員をしております杉原と申します。よろしくお願いします。
私からは参考の3、A4横の対比表で3点質問と御意見をさせていただきたいのですけれども、まず対比表の9ページの「労働契約の締結に係る趣旨」の部分です。この労働契約には有期労働契約も含まれているのかということです。仮に労働契約が更新されなかった場合に、それは法律違反となるのでしょうかというのがまず1つ目です。
2つ目は対比表の12ページの第6、管理に関する事項の1番の「役員の数」の部分です。向かって左側の下から3行目以降に「小規模な組合を除き、役員の数は総組合員数の1割を超えることがないように」との記載があるのですが、「小規模」の基準を明確化する必要があるのではなかろうかと考えております。国会審議の中におきましては、「小規模」について言及があった際に、「20名」といった具体的な数字も例示されていたようですけれども、20人の是非も含めて検討が必要ではなかろうかというのが2点目になります。
3点目になりますが、来年この法が施行された後に、組合員とか組合員になりたいと思っている方からの相談はどこで受け付けていくのでしょうか。例えば常態的に4分の1近い非組合員が事業に従事しており、その人たちが組合員になりたいと言ってもなれない場合などかなと考えますが、県の労働局に相談をすればいいのか、県のどこの窓口に相談すればいいのか、そういったことをあらかじめ明確にしておくべきではなかろうかと考えるところです。
以上3点、私からの質問と意見とさせていただきます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
では、事務局から回答をお願いします。
○曽我勤労者福祉事業室長 御意見ありがとうございます。事務局で回答させていただきます。
1点目、労働契約に関する御質問でございます。有期契約も含まれるかという御質問ですけれども、特に無期、有期とかと区別してあるものでもございませんので、有期契約も含まれると考えられると思います。
契約の更新などにつきましては、御案内かもしれませんけれども、組合員と組合の関係というのが通常の労働契約と同じ扱いでございますので、労働関係法令に基づいて対応がなされるということでございます。特に特別なルールがあるわけではなく、組合員と組合の関係が労働契約になっているということでございます。
12ページ目「役員の数」のところで、小規模な組合について具体的に人数を明確化したほうがいいのではないかという御意見でございますが、組合に関しましては、今後設立されるということで、必ずしも明らかでないところもあるのですが、事業形態とか組織運営などの実情によって様々なものが生じるのではないかと考えておりまして、特定の何人と決めるのは難しいのではないかと考えてございます。
3点目の御質問に関してでございます。今後労働者協同組合が設立されて、運営がなされていく上での相談事項について、どこに相談したらいいかという御質問に関しましては、今の段階で明確にお答えすることができないのですが、予算事業など、どうなるかというのは今の段階では明確になっていませんけれども、貴重な御意見を承って、どういうチャンネルでどういう相談を受け付けられるのかというのは検討させていただきたいと思っております。
以上でございます。
○山本分科会長 杉原委員、よろしいでしょうか。
○杉原委員 承知しました。どうもありがとうございます。
○山本分科会長 今の意見も引き続き検討いただくということにしたいと思います。
○杉原委員 はい。よろしくお願いします。
○山本分科会長 続いて、高木委員、お願いいたします。
○高木委員 ありがとうございます。
私からは2つほどコメントと質問がございます。まず、ハードな枠組みに関しては、私から申し上げることは特段ございません。意見を申し上げたいのは、指針案のほうに関連する事項になります。この指針案ですけれども、ここに示されていますように、この組織体が適正な運営を図るための指針ということなのですが、それと同時にこの組織体が一体何であるのかを示す文書でもあると捉えた場合に、今、ここに記されていないのですが、所得分配については指針が示されていましたけれども、例えば税制、税務上の優遇措置であるとかそういったことに全く触れなくてよろしいのかどうか。もう一つは保険の問題です。健康保険であるとか年金保険、この辺りのことについて全く記す必要がないのかということです。
そういったものを指針案に組み込むことが適正なのかどうかは存じ上げないのですが、何らかの形で労働者協同組合というものが何であるのかということを示すためにも、それらを周知できるような形にしておく必要があるのではないかと考えています。
それとともに、この税制とか保険の問題は、我々委員が議論するときにも恐らく必要な資料になってくるのではないかと思います。企業組合とNPO法人と労働者協同組合の違いについては、かねてより資料を出していただいておりまして、今回でいう参考資料1となります。しかし、ここには趣旨とか設立についての違いが記されてはおりますが、この三者の違いをもう少し明確に分かりやすく示すような更なる情報が、この会議の席に示されておくことが必要なのではないかと考えております。
また、例えば今回の労働者協同組合は、地域への貢献であるとか、あるいは地域における課題の解決、そしてまた就労の場をつくるということが大きな目的となっていると思います。そうしますと、私が考えますのは、企業組合、NPO法人だけではなくて、社会福祉法人、例えば就労継続支援A型、B型を備えている社会福祉法人も役割として重なる部分があると思っております。これから新しく組織を設立する団体が、どういう形態がふさわしいのかということを検討するときに、社会福祉法人も比較対象に入ってくる可能性があるのではないかと考えます。もしかしたら議論のために資料が必要になってくるのではないかと少し考えたところでございます。
次が質問になるのですが、参考資料3の指針案、10ページの3番「いわゆる『名ばかり理事』」の箇所ですけれども、私どもは、「名ばかり理事」と言うと、理事として名前は連ねているけれども、そして仕事を全然していないのだけれども何となく手当を頂いている、そういった方たちのことを「名ばかり理事」と見なしがちです。しかしこの指針案の文言では、理事がそれなりに何らかの働きをしているけれども、労働契約を結んでいないがために、不当に何か働かされているような、そういった問題が起きてくるのではないかということを想定していらっしゃるように見受けられます。
私が思いますのは、この度の労働者協同組合という組織が、地域の問題を解決するために柔軟な活動をしたり、あるいは継続的な解決を図っていくために持続的な運営を行っていく必要があるということです。しかし、それほど強い力を持っているわけではないことを考えますと、例えば理事になってくださった方の人的ネットワークとか、そういった見えない資源に頼らせていただいてこの組織の運営をしていくということが大いにあり得るのだろうと思うわけです。そうしますと、労働契約を締結することによって賃金というものをお支払いするということを敢えて指針案に書き添える必要があるのだろうかという疑問を持ちます。むしろ、ボランティア的な働きをしていただくということも大いに想定できるのではないかと思ったのですが、この辺りとどのような兼ね合いがあるのかということで、少し質問をさせていただければと思った次第です。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
では、事務局、回答を簡単にお願いします。
○曽我勤労者福祉事業室長 御意見ありがとうございます。簡単に御回答させていただきます。御意見の部分でございます。税とか社会保険について、どういった形で世の中の方々に知っていただくかというのは、指針や施行通知であったり、またFAQだったり、ホームページ上の掲載であったり、方法を考えさせていただきたいと思います。
社会福祉法人とかその他の法人との違いの資料については、検討させていただきたいと思います。
名ばかり理事についての御質問でございます。国会でもともと想定して御議論になっていたのは、理事は労働者性がなくて、委任契約を組合と結ぶということで、労働関係法令の適用がないと。最低賃金法とかと労働関係法令の適用がないので、それを奇貨として、理事だという扱いをしながら、実際は管理者側に指揮命令を受けて、実際は被用者として働いているのだけれども、報酬の面で労働関係法令の適用を外されてしまっているような、そういう実態が生じたら困るねということで書いているところでございます。
以上です。
○山本分科会長 今の回答で十分かどうか分かりませんが、引き続き検討することになると。
だんだん時間が迫ってまいりまして、この後のヒアリングも時間を結構要すると思うので、誠に申し訳ございません。今、手を挙げていただいているうち、戎野委員から御意見と御質問を受け取った後で議題2のほうに移らせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
先ほども申し上げましたように、今日で終わりというわけではございませんので、御質問とか御意見について、もしも事前に寄せていただけるようでありましたら、メールとか電話とか、何らかの形で事務局のほうまで寄せていただいて、また次回の会につなげたいと思います。
ということで、取りあえず戎野委員、お願いします。
○戎野委員 ありがとうございます。では、簡単に申し上げます。質問だけにします。1つは今の名ばかり理事について、私もここは気になったのですが、今、御質問がありましたので、省きます。もう一つは、これにも関連していますが、同じく組合員のほうも、実態の運用において、適切に本来の趣旨に即してこの組織が運用されるか、そのチェックはどのようになるのかということです。例えば、人数についての規定はあるのですけれども、場合によっては労働時間などについて危惧しました。人数は確かに4分の3以上は組合員であるけれども、実態の稼働時間を見ると、本当に組合としての活動になっているのかどうか。4分の1の人がアルバイト等でフルに活動していてというような目的と実態との乖離について、大丈夫なのかなど、認可による設立ではありませんし、どうチェックしていくのかというのが2つ目の疑問でした。
三つめは、労働契約について、同じ組合員の中で有期もいれば、無期もいれば、様々な労働環境になるわけで、この辺りの周知であったり、相談、対応だったりというのは、どこが行うのかというのが質問です。
よろしくお願いします。
○山本分科会長 回答をお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 労働時間等に関しましては、組合と組合員の間の労働関係というのは、通常の労働関係と同じでございまして、労働関係法令、労働基準法とかその他の法令の適用がありますし、それについて違反とか相談があれば、監督署とか労働局で対応するというのがまず考えられるところでございます。
不十分かもしれませんが、一旦これで回答とさせていただきます。
○戎野委員 私が質問したかったのは、例えばどちらかというとアルバイトが主体の組織運営になるということはないのかということです。人数には規定はあるけれども。つまり、実態についてのチェックという意味です。
○曽我勤労者福祉事業室長 すみません。実際の労働組合の運営に関する相談をどうするのかというのは、今後検討させていただきたいと思います。できれば連合会が助言・指導みたいなものをして、組合の運営をよりよきように高めていくみたいなことも考えられるのではないかと思っていますけれども、その他検討させていただきたいと思っております。
以上です。
○戎野委員 ありがとうございます。
○山本分科会長 それでは、鹿住委員、南部委員、佐久間委員、手を挙げていただいているのですが、誠に申し訳ありません。ヒアリングの部に移らせていただきます。御了解ください。
○南部委員 すみません。座長。南部です。前回も、十分な議論を取っていただきたいということも御要望しております。本日発言できなかった場合は、次回の12月ということになります。それの際は本日と同じような内容の議論があるのでしょうか。
○山本分科会長 引き続いて今日のようなことで、今度は時間をきちっと。今日はヒアリングを入れてしまったので。
○曽我勤労者福祉事業室長 先生。
○山本分科会長 ごめんなさい。事務局が答えます。私が答えてはいけなかったみたいです。すみません。
○曽我勤労者福祉事業室長 次回についても政省令・指針ということで御議論を賜れればと思っております。
次回は、政省令は今回骨子だったのですけれども、準備が整えば、概要的なもの、もう少し肉づけしたものを資料としてお示しさせていただく予定ですが、同じような議論を賜れればと思います。
以上です。
○南部委員 分かりました。次回も引き続き、基本的なことも御質問、意見をさせていただいてよいということですね。
○曽我勤労者福祉事業室長 結構です。
○山本分科会長 もちろん、2回目だから駄目ということは、私は絶対いたしませんので、そこは。
○南部委員 もう既に議論したから、ここまで来たから駄目だと言われるようなことにならなければ次でも構わないと思います。
○山本分科会長 もちろんだと思います。
○南部委員 十分な配慮をお願いしたいと思います。最初に十分にということを何度も言ったつもりですので、よろしくお願いいたします。
○曽我勤労者福祉事業室長 承知しました。
以上でございます。
○鹿住委員 一言だけ。すみません。会議以外の事前説明などの場で御質問をさせていただくということも時間短縮のために必要かと思うのですが、会議以外の場で申し上げたことも議事録に載せるような形で挙げていただかないと、会議の場の発言しか記載されないとか記録されないということですと、これは抜けが発生したり、違う観点の御意見も出てくるかと思いますので、時間短縮のためにということであれば、そういった方式も取っていただきたいのですが。
○曽我勤労者福祉事業室長 御意見、拝聴しました。どういった形でやらせていただくかも検討させてください。すみません。
○佐久間委員 すみません。私からもお願いいたします。
○山本分科会長 佐久間さん、どうぞ。
○佐久間委員 指針だけでもこれだけのものが御意見として出てきているのですね。次回、政省令案の審議が行うとなると、文章量として多分、省令については、かなり分厚いものが出てくると思うのです。今回の審議で、この指針も固まらないうちに議論を先に進めてしまうというのは、ちょっと危険なのではないかなと思います。今、御意見を伺っていますと、私も御指摘させていただきたい箇所については、ご意見を賜りました委員の先生方と共通のところが多々あるのです。そこが検討で持ち帰ってということだけだと、どういうふうに審議していくのか分からない。次回には、この指針だけでももう一回やっていただくことを工夫していただきたいと思います。
以上です。
○曽我勤労者福祉事業室長 御意見ありがとうございます。すみません。ヒアリングを先にということで、当事者の方がいらっしゃっているのでお願いしたいのですけれども、それが終わった後に、もし皆様方がお時間、許していただけるならば、御意見を賜りたいと思いますので。申し訳ないのですけれども、まずヒアリングを先にさせていただいた上で、ヒアリングを聞き終わった後に御意見を拝聴できればと思っております。そちらでよろしいですか。申し訳ないのですが。
○山本分科会長 私の議事のやり方がスムーズではなく申し訳ないですが、この場にヒアリングの関係団体の方がいらしていただいているので、まずヒアリングを先行させていただき、その後、次回どういうふうに議論するかとか、今日の御意見をどこまでお伺いできるかを事務局のほうで検討しておいてもらおうと思います。
それでは、ヒアリングの進め方について、まず事務局のほうから説明をお願いします。
○岡勤労者生活課長 では、手短に御説明申し上げます。本日は4団体の方にお越しいただいております。日本労働者協同組合連合会専務理事、田嶋様、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン代表、藤井様、特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局長、吉田様、ムサシ綜合メンテナンス企業組合理事長、立堀様でございます。
現に今、協同労働の働き方をしております日本労働者協同組合連合会、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン、それから今後労働者協同組合に移行することも考えられますNPO法人からお話を伺いたいと思います。
お時間もございますので、各団体からは最長で10分間で御説明をいただきまして、4団体全ての御説明が終わった後に、委員の皆様方から御質問・御意見をいただくという形で進めたいと思っております。各団体におかれましては、大変恐縮ですけれども説明時間10分という時間を守っていただければ幸いでございます。
事務局からは以上でございます。
○山本分科会長 それでは、早速日本労働者協同組合連合会の田嶋様から御報告をよろしくお願いいたします。
○日本労働者協同組合連合会 私は、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会専務理事の田嶋康利と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。
資料の3ページを見ていただきたいと思います。日本労働者協同組合連合会の歴史と概要ということで、「労働者協同組合とその働き方―協働労働とは」という記述をしております。私たち日本労働者協同組合連合会は、働く者や市民が出資して事業・経営を主体的に担い、話し合いを深め、生活と地域に必要とされる仕事を協同でおこし、よい仕事へと高める―この協同労働という働き方に到達するまでに、戦後の失業対策事業の後処理的な仕事―前史的な取組を含めて、約40年にわたって試行錯誤と格闘を重ねてきました。現在、就労者は全国で1万5600人、事業規模は350億に至っております。
右のイラストに私たちの事業の中身をイメージとして記載していますので、見てもらえればと思います。1979年に全国の中高年事業団が集まり、母体となる協議会、現連合会を結成し、1980年代半ばに労働者協同組合への転換を図り、90年代の後半に、私たちの働き方、協同労働という考え方に到達するに至りました。
私たちの原則の中に協同労働という働き方を「市民が協同・連帯して、人と地域に必要な仕事をおこし、よい仕事をし、地域社会の主体者になる働き方」というふうに位置づけております。
4ページに行っていただきまして、現在労協連合会には31団体、正会員が19、準会員が12入っております。各地の労働者協同組合や日本高齢者生活協同組合連合会、各種団体が加盟し、法人格は企業組合法人、NPO法人、生協法人、社会福祉法人、株式会社等の法人格を活用しています。現時点では労協法人への移行については11組織が検討、新規設立が2、移行なしが9、未定9ということで、移行なしについては、こちらにある生協法人、社会福祉法人、株式会社等が含まれております。
労協連合会が直轄のモデルでつくりましたワーカーズコープ・センター事業団におきましては、連合会の事業規模の全体の3分の2、就労者も同様に3分の2を占め、全国単一の労働者協同組合として、北海道から九州・沖縄までの400ある事業所で様々な活動を展開しており、企業組合、NPO法人を活用しています。
連携組織としては、国際協同組合同盟(ICA)という組織に92年に加盟し、2018年に結成した日本協同組合連携機構、また労働者福祉中央協議会、東京商工会議所等に加盟しております。
5ページに行っていただきまして、全体の事業規模の内訳はこのとおりになっています。とりわけ介護・福祉、子育ての事業が全体の3分の2を占めています。子育てや公共施設の関連、若者・困窮者支援と言われている自治体・公共の仕事を今、全国518か所ぐらいで運営をしております。社会的に困難にある人たちとともに働く取組を今、全国を挙げて取り組んでいるところであります。
6ページに行きまして、それらの取組を推進するに当たりまして、全国会議や研修や各種プロジェクトなどを毎年のように開催しています。11月13日・14日に協同労働実践交流集会や、協同労働よい仕事集会というのを20年にわたって開催し、厚生労働省の地域福祉課の皆さんにもコメントに参加をいただくという取組をしております。
7ページへ行っていただきまして、労働者協同組合法の施行に当たってです。
8ページにそのような取組を書いてあります。私たちは、この法施行を受けて、協同労働という働き方をフォーラムや学習会等を通じて、それらを推進するネットワークを今、各県につくり出そうとしています。労働者協同組合法が目的に掲げている「多様な就労機会の創出」と「地域の多様な需要に応じた事業の推進」を通して、「持続可能で活力ある地域社会の実現」に寄与していきたいと考えております。
既に法施行を前にして、全国から100近い設立の相談が寄せられています。詳細は38ページにありますので、そちらを御覧いただければと思います。障害のある当事者や家族からの相談、様々に困難のある人を利用者としてではなく、共に働く仲間として迎え入れたい。そのための就労創出に取り組んでいきたい。過疎地域などでの困り事を仕事にしたい。コロナ禍で仕事を失った若者や外国人からの就労創出の相談、倒産や自主廃業を見据えての継業。そして製造業やジャーナリスト、IT技術者、歯科医師や精神保健福祉士など、ワーカーズコープで対等、平等の関係をつくりながら仕事をつくり出していきたいという相談。最近では、特にコロナの中で広がっている子ども食堂や、都市や農村を結んだマルシェの取組、地域の活動を仕事にしていきたいという相談も寄せられています。
8ページに戻っていただきまして、これら設立の相談に応えるとともに、労協法の水準にあるようなワーカーズコープへの転換を図っていくということと、私たちはこれらを社会に呼びかけて、社会の中に市民的な公共の財産である「コモン」という形で、「みんなのおうち」という取組を全国に広げていきたいということで、9ページにそのような構想をイメージ図として載せてあります。
そのために、10ページにあります労協法の制定のフォーラムや、まちづくり講座や仕事おこし講座に自治体の委託や様々な助成も受けながら、現在取り組んでいるところであります。
そして、それらを運動的に進めるために、11ページにありますが、今、各県で協同労働を推進するネットワークを立ち上げております。協同組合や地域の労福協、NPO、市民団体、研究者、地域議員、自治体の職員等に参加いただいて、自治体への働きかけをはじめとして、協同労働や法推進の学習会やフォーラムを開催して、市民に対して呼びかけをしているところであります。
12ページに行きまして、それらを後押しする形で、2月に行われました予算委員会の中で菅首相と加藤官房長官から労働者協同組合について御発言をいただいています。「厚生労働省のみならず政府全体、そして地方自治体とも連携しながら取り組んでまいりたい」との発言です。
それを受けて、13ページにありますように、私たちは都道府県・基礎自治体に以下3点、①から③までを要請しております。今、埼玉県の北本市や桶川市では超党派の議員の方たちがこの研究会を立ち上げて後押しする施策に取り組もうとしています。鳥取県や京丹後市や徳島県では、周知に関わる形での学習や研修についての予算化を図っていただいており、特に鳥取県では行政書士会に相談窓口の事業委託をし、取り組んでいます。京丹後市では10月24日に第1回目の研修会が開催され、市民70人が参加し、そのうち15人が何らかの形でこの協同労働で仕事起こしをしたいという形での新しいネットワークづくりが進もうとしております。
14ページへ行っていただいて、実は法律の施行の7年前、2014年になるのですが、広島市は独自に協同労働プラットフォームという事業を推進していただきました。60歳以上の高齢期の方が半数近く含まれるということも含めて、それらの方が地域課題を解決するために自らが起業して事業を立ち上げるという取組に今、取り組んでいるところであります。
15ページでありますが、それらの取組の特集を組んでいただいたのが「地域づくり」という地域活性化センターが発行している雑誌で、全国の事例と併せて、京都大学の広井良典先生、そして私どもワーカーズコープ連合会の理事長の論文が載っております。本日の資料に入っておりますので、ぜひ御覧いただければなと思います。
19ページを見てください。今、都市と農村を結んだカフェの取組ですとか、20ページにありますソーシャルファームなかがわという形で、若者や障害のある人たちが共に働く地域づくりを目指そうということで、法人格はまだ取っていない、もしくは一般社団法人という形でありますが、法律が施行される段階でワーカーズコープへの転換を図るという動きになっております。
21ページを見てもらえればと思います。現在この労働者協同組合法の制定が国際機関から高い評価を受けております。とりわけ国連、ILOからもこのような形で期待を述べていただいておりますので、ぜひ御覧いただければと思います。この12月には特にアジアの地域で労働者協同組合の連携する組織を立ち上げようということで、今、準備に入っているところであります。このような形で日本の中で、私たちワーカーズコープ40年の歴史の中で事業を展開してまいりました。労働者協同組合法として社会の制度に位置づけられたことによって、私たちもそれをさらに大きく広げていきたいと思います。併せて、この法律だけ読んでもなかなか分からないということもありますので、委員の皆さん、大変お忙しいところと思いますが、現地視察等を含めて交流をぜひお願いできればと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
時間となりましたので、これにて終わりたいと思います。ありがとうございました。
○山本分科会長 ありがとうございました。
それでは、続いてワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンの藤井様、お願いいたします。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン よろしくお願いします。まずは前半の皆さんの熱心な御議論に感謝申し上げて、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンの説明に入りたいと思います。今、ホストになっていませんので、資料をそちらのほうで共有していただいてもいいですか。
(資料を画面共有)
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン ありがとうございます。
では、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンですけれども、私が今、所属して、代表として参加しているところの説明は下に「ワーカーズ・コレクティブの全国組織として」ということで、1995年に設立されました。ワーカーズ・コレクティブの設立支援や事業支援、社会的認知を広げようということで運動を広げてきまして、規模はここに書いてありますとおり、1号会員としては各都道府県にある連合組織が会員になっております。全てが単体のワーカーズ・コレクティブの事業所になりますので、単体の事業所の数は340団体で、そこで働いている人たちは約7,000人。年間事業高は340団体合わせて135億円の規模になっております。そのうちの6割が法人格を取得しておりまして、その割合はここに書いてあるとおりでございます。
2ページをお願いします。私たちワーカーズ・コレクティブというのは生活クラブ生協。生活協同組合の組合員活動から生まれた協同労働の組織であります。協同組合の活動の中で組合の成長とともに活動が広がって、生協の組合員の中だけのメンバーシップにおける共益やサービスや物の提供だけではなく、組合員活動で培った社会関係性資本であったり、ネットワークであったり、手法であったりとかをもっと地域社会に向けて活用していこうよということで、生活クラブの中ではさまざまな運動が広がっております。環境問題であったり、食の安全であったり、平和とか福祉とか、様々な中でワーカーズ・コレクティブという運動も1982年に生活クラブ神奈川、神奈川でまず第1号ができております。
それ以降、私たちが何者なのかという法人格がなかったために、私たちの協同労働というものが社会的に広がるようにということで、ワーカーズコープさんと同様、40年の実績と、それ以降の法制化運動を進めてきました。
生協活動から生まれたということで、男女の比率は、現在女性が9割を占めております。
3ページ目をお願いします。「ワーカーズ・コレクティブって何」というところですが、労働者協同組合の目的そのものだと思っていただいていいと思います。出資をして、私たちはみんなで労働して、みんなで運営するのだということで、口も出すけれども責任も負うよ、お金も出すよということで、全員が主体的に関わる協同組合型の働き方。この法律の趣旨にもありますけれども、一人一票の平等な権利、そして行う事業は地域社会への貢献ということで、40年実績を積み上げてきました。
法人格がないときは、「働く人の協同組合」という言い方で、そこに働く人たちは性別や年齢やライフスタイルや国籍、様々な違いを認め合って、多様な人々と多様な事業を展開していくという形で、事業所の中でも配慮し合って働いているというのが現状です。
4ページ目をお願いします。「多様なワーカーズ・コレクティブ」ということで、先ほど340団体が今あると御説明しましたが、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンに所属しているワーカーズ・コレクティブは340団体。所属していない、賛助会員であるというワーカーズ・コレクティブもありますので、そこを全て合わせると、全国約500のワーカーズ・コレクティブの組織があると推察しております。これは一つの財布で活動しておりませんので、一つずつが全て単体、個別の事業体になり、1事業所当たりメンバーは3~300人と多様であります。事業高は30万~6億となっております。30万の組織は当然労働者協同組合という法人格は取得できるような規模ではありませんが、居場所事業であったり、いわゆる社会貢献度が高く、その代わり事業性が低い、だけど地域に必要な事業だということで、そこに集まった人たちのやりがいや生きがい。80代のワーカーもおりますので、そういう人たちの居場所にもなっているという働き方もワーカーズ・コレクティブの団体の中にはありますので、事業規模はこの振り幅になっております。
事業の種類は約30事業と数えております。ここに一部表していますけれども、福祉の事業所が多く、介護保険事業が始まる前からワーカーズ・コレクティブ運動がありましたので、基本的には生活支援実施事業ということで、制度外の事業を中心として、制度ができた段階でその制度にも参入しているという後発的な制度参入のワーカーズ・コレクティブが多いです。
次をお願いします。ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンとしては、労働者協同組合の取組というのは、組織変更や新規取得を推進していくという立場を表明しております。ワーカーズ・コレクティブの中には変更しない理由がないという言葉も出ているように、9月末に全団体を対象に意識調査をしておりまして、中間集計ですけれども、10月3日に中間集計を出して、197団体から回答が来ておりますが、労働者協同組合法の認知度は97%。約50団体が新規取得、組織変更をしていくというふうに答えています。今、御検討していただいている政省令・指針など詳細が出てくれば、さらにこの数は進むのではないかと私たちは考えていて、最終的には10月を最終集計日としておりますので、これよりも増えると見込んでおります。
次をお願いします。これは組織変更を表明しているワーカーズ・コレクティブの事例ということで、先ほど言いました6億の規模があります神奈川の生協の配送事業を受託している運送業ですが、ワーカーズ・コレクティブが、とにかく神奈川で1番に労働者協同組合になりたいということで、こういった形で表明をしています。出資と意見反映と従事ということが明確に表せる法人格ということで、自分たちに一番合った法人格なのではないかということで、既に今年の総会で組織変更していこう、その準備に取りかかろうという決定をこの組織ではしています。
次をお願いします。私たちの今の活動ですけれども、とにかく労働者協同組合法を知らせる活動を集中的に行っております。各地で学習会を開催して、成立から約50回を開催しております。各連合組織、先ほど都道府県別に連合組織がありますとお伝えしましたが、そこでの学習会。理事会向けであったり、今、言った340、単体のワーカーズに向けての学習会であったり、全体でくくった学習会。あとは生協向けや、生活者ネットワーク、政治に自分たちの声を届けようということで、政治活動しているグループもありますので、そこに向けての学習会。あとはほかの団体からの依頼による学習会。大学、先ほど説明されましたワーカーズコープ、共同連、様々なこういった協同労働をしている団体とネットワークや実行委員会を組みまして、各地で労働者協同組合法、協同労働を知らせる活動を行っております。
また、ガイドブックを作成して5,000部発行しているのと、それからワーカーズ・コレクティブを労働者協同組合の成立とともに知らせていこうということで、冊子を発行しております。8月22日にはWNJ主催でフォーラムも開催しておりますし、22年、年が明けて2月19日・20日では全国会議も開催を予定しております。
こういった運動を続けながらワーカーズ・コレクティブを進めております。
以上です。ありがとうございます。
○山本分科会長 藤井様、ありがとうございました。
それでは、次に日本NPOセンターの吉田様、お願いいたします。
○日本NPOセンター 日本NPOセンターの吉田と申します。本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。着座のまま失礼いたします。
当センターは、「特定非営利活動法人日本NPOセンター」というのが正式名称です。労働者協同組合については、それ自体が専門ではなく、特定非営利活動法人制度との接点のところで少しお話ができればと思っております。
1つめくっていただいて、2ページ目が当センターの組織概要です。1996年に設立されておりまして、民間非営利セクターの基盤をつくるということ。具体的にはNPO法税制とか、全国にNPO支援センターと呼ばれる相談機関がありまして、そういったところでネットワーク、研修等々、支援者の育成。また、企業とNPOとのパートナーシップの推進等々を進めております。
理事が19名、有給職員16名、正会員683名ということで、この辺りがNPO法人的な組織の形なのかなと思っておりますけれども、こういう組織です。
3ページ目が日本NPOセンターのNPOの部分をどういうふうに捉えているかという定義です。医療・福祉、環境等々、あらゆる分野の市民活動団体等の民間非営利組織で、民間の立場で活動するものであれば、法人格の有無や種類を問わないと我々は定義づけております。ですので、当センターの支援の対象はいわゆるNPO法人だけではなくて、広く民間非営利活動を推進するという立場を取っております。「NPO」と「NPO法人」という表現は微妙にあるのですが、我々の中では使い分けをしておりまして、民間の非営利の組織自体を「NPO」と広く捉えて活動しております。ただ、その中でもNPO法と呼ばれるもの、正式名称は「特定非営利活動促進法」ですが、こちらが活動の軸、柱であることは変わらないというところです。
4ページ目が、この2つの法人格の間で想定される接点。既に議論が出ておりますけれども、1つ目は組織変更。これも法律でも位置づけられていますが、多分2つパターンがあるだろう。1つは便宜的にこれまで特定非営利活動法人格を取得していたけれども、実態としては労働者協同組合として運営を本当はしたいという団体が、先ほど御報告があったとおり存在します。こういったところが法人変更するということが1つ目。
もう一つは、これを機会にそのほかの特定非営利活動法人が検討するということが考えられるかなと思います。ただ、これはまだ統計が取れていないのですけれども、私どもが先ほどの各地のNPO支援センターに幾つか聞いてみたところ、新設についての御相談、問合せ等は幾つかいただくのだけれども、法人変更についてはまだあまり反応がないということでした。我々の肌感覚からすると、恐らく法人変更されるほとんどは、既に先に御説明されたお二つのところで捕捉されているようなところがメインかなと感じています。
2点目は新設です。これまで特定非営利活動法人を選択していたような任意のボランティアグループ、法人格を取るに当たって労働者協同組合を選択肢に含めて検討するということが考えられるなと思っております。後ほど詳しくお話しさせていただきます。
特定非営利活動法人制度の概要。既に御案内のところもあるかもしれませんけれども、想定としては任意でボランティア活動をされていたようなグループが法人格を取るときを主に想定したような法人格になっていまして、小規模の団体が取りやすいということを重視されたものです。
根拠法は特定非営利活動促進法でして、これに基づいて所轄庁の認証を受けて「NPO法人」と呼ばれるものです。特定非営利活動法人。長いので「NPO法人」と訳されることが多いですけれども、NPO法人になることができます。
都道府県もしくは政令市が所轄庁として認証審査を行いますけれども、認証ですので、形式的なものになっているということです。認証を受けたNPO法人の中でさらに一定の要件を満たしたものについては認定というものがありまして、認定NPO法人ですと、寄附金税制がつくということになっております。認証法人は総数で5万ほどあります。そのうち認定資格を持っておるのが1,200という概要でございます。
次が特定非営利活動促進法の第一条の抜き出しです。特徴としてこの法人制度の公益概念がここに見えるということです。赤字の部分です。「ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与する」という考え方になっております。「市民が自由な社会貢献活動を行う」、これを広げていこうという法律になっているということです。
7ページに少し詳しく抜き出しをさせていただいております。1つは、特徴としてあるのはその公益概念。「市民が行う自由な社会貢献活動」ということと、第二条「不特定かつ多数のものの利益」というのを、ここで言う「公益」だと位置づけられています。
この考え方から、所轄庁はあるものの、行政の関与というのは最小限にして、活動の多様性を重視しましょうということになっております。所轄庁がありますけれども、法人運営だったり、法的なところは監督権限がありますが、活動の内容については所轄庁は基本、監督権限がないということになっております。民間発の多様な活動を促進していこうということと、もう一点、法人自治を重視するというたてつけになっております。
2点目、関連するところですけれども、市民参加を前提とした運営となっておりまして、今回の組合員も同じ運用がありますが、こちらでは社員、総会で議決権を持つ正会員の資格の得喪に不当な条件を付さないということ。また、役員のうち役員報酬を受けられるものは3分の1以下となっておりまして、3分の2はボランタリーに参加するというところが、今回の法人格とは大きな違いかなと思っております。
ただ、実態としては、使用人兼務役員という用語で表されますけれども、役員の中でも雇用契約をする者もいらっしゃるということでありますが、役員報酬は3分の1以下ということになっております。
参加を重視するというのがこの辺りからありまして、多様な参加、多くの方のボランタリーな参加を得ながら活動するということを前提とされています。
先ほどの税制優遇の基準も寄附者の数が基準になっていたりしまして、いろいろな方から支えられているという、開かれた組織であるという特徴があります。
同じ観点から3点目、情報開示を非常に重視している。事業報告書、会計書類等、事務所備え置きというのは同じように規定されておるのですけれども、それを所轄庁に提出するというものがありまして、所轄庁はこれを市民の閲覧に供するということになっております。一般的には今はインターネットを通じて、ほとんどの法人の事業報告書、会計書類等を所轄庁のサイト等で閲覧することができるということです。この辺りは参加もしくは自治を適正に運営するための裏づけとして情報開示が重視されているということです。
ここからが論点です。特定非営利活動法人から労働者協同組合に移行するときに、確認事業というのがございます。行政庁が確認したものについて、特定非営利活動と同じような活動であるという確認が得られると実施して、そこに赤字が出た場合に、これまでの財産で補填ができるということですけれども、法人の中では一部の事業になってくると思うのですが、その中でもともと認証されていた時代の公益概念を引き継げるのかどうか。もっと言うと、市民参加を前提とした開かれた組織運営を維持するのか、しないのかといったところは論点としてあるかなと。
同じく組織変更時財産です。こちらは不勉強ではございますけれども、読む限り、赤字にならないと取り崩せないという規定になっているかなと思います。ここの処理をどういうふうにするのか。
3点目、これが一番大きいかなと思いますが、情報開示です。拝見したところ、こちらの規定があまり明確になっていないということで、法人の備え置きはありますが、多様な方、一般の方が見られるような部分は自主的な情報開示に委ねられているというところ。時代からすると、ここは非常に重要なポイントかなと考えております。
会員、役員の扱いの違い。NPO法人と今回の法人はかなり考え方が違いますので、そこをどういうふうにスムーズに移行させるのか。
税制。収益事業課税という仕組みがNPO法人の場合、取られていまして、さらに認定資格がある場合、寄附金税制などが認められています。同じような運営をされた場合に同じような税制になるのかどうかというところが今後の議論かなと。
最後、ボランティアグループの新たな法人化についてです。こちらについては選択肢が増えるということで、我々としてはこの制度を非常に歓迎しています。ボランティアグループが法人化するに当たって、多様な法人格から選べるということは非常に重要なことだろうということで、私どもも期待をしているところです。
団体として目指す方向との兼ね合いで、団体ごとに選ばれることだと思いますけれども、恐らく特定非営利活動法人の最近の伸び率を見ますと、一般社団法人との比較検討がされることが非常に多くて、そこからすると、先ほど社福という話もありましたが、一般社団と特定非営利活動法人とこちらを比較して検討するということが出てくるのかなと考えております。
最後に、その辺りをNPO支援センター等、相談できる人材育成というのが非常に重要だろうということで、情報提供、研修機会提供等々、我々も行いますけれども、皆様にも協力いただければと思っております。
社会課題解決の市場化とか、それによってサービスの提供と受け手が分かれがちかなと最近思いますが、市民が自ら、自分たちで助け合いながら地域を豊かにしていく、そういう取組を共に推進していければと考えております。
以上です。
○山本分科会長 吉田様、ありがとうございました。
最後に、ムサシ綜合メンテナンス企業組合の立堀様、よろしくお願いいたします。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 勤労者生活分科会に参加させていただきありがとうございます。私はムサシ綜合メンテナンス企業組合の理事長を務めております立堀と申します。本日は、まずムサシ綜合メンテナンス企業組合の事業の概要を紹介させていただき、その上で、私たちの企業組合から見た労働者協同組合について意見を述べさせていただきます。
私の前の3団体と大きな違いは、私どもは一企業組合であるということです。連合とかその辺の全国展開ではなくて、私どもは調布を中心にいろいろな事業をやっているという一企業であります。
私どもがいつ設立したか、どういう理由で設立をしたのか、この辺を御説明いたします。私たちの設立時の組合員は、調布に調布基地という米軍基地があったわけですが、そこの従業員でした。ところが、昭和48年に東京都に返還されます。そこで私どもの先輩たちは全て解雇ということになりまして、40代、50代前半の方ばかりでした。不況でしたので、就職できないだろうということで、東京都に返還された土地がちょう行政境になっていまして、調布市、三鷹市、府中市、3市にまたがっていましたので、各市に要請をして、運動場をつくってくれということで、いろんな力を借りながら野球場、サッカー場、ラグビー場とか運動場をつくっていただき、つくってもらったら、今度は3市から、一失対事業の一環だったのでしょうけれども、私どもに年間管理をやらせてくれと。そして職を得たというのがスタートでした。
調布基地時代に剪定をしたり、芝生を刈ったり、そうした仕事をしていた人間がその仕事に就きました。そして、調布基地の警備をやった人間は、今の警備員になりました。営繕・修繕をやっていた人間は、この企業組合で止水事業とか防水事業とか、そういう建築関係の仕事をやっていました。私どもは48年に解雇されて、50年3月にムサシ綜合メンテナンス企業組合を設立いたしました。
現在の事業概要についてです。ほぼ一緒なのですけれども、売上げの約半分は警備保障事業部。3~4割ぐらいが先ほどお話ししたグラウンド管理事業部。残りの10~20%が営繕、建築関係、治水工事、防水工事、この辺をやっています。大きな工事が入ると売上げがどんと上がるのですが、大体3億5000万~5億円の間を行ったり来たりしている。大きい工事が入ると5億ぐらいになりますけれども、大きい工事が全く入らないと3億5000万。このぐらいの事業規模です。
組合員数が現在23名います。私どもはほとんど就労の義務を課していますので、企業組合を辞めるとなったときには、出資金はお戻しして、出資証は返してもらうという形態を取っていますので、ほとんど就労しております。
企業組合と勤労者協同組合は非常に似ていると思います。私の頭の中では95%は同じだと感じております。その理由等をお話ししますと、まず企業組合は、組合員全員が失業者等や労働者、女性、学生であっても設立できます。労働者や市民一般にも活用されている制度です。2番目、企業組合と労働者協同組合はどちらも組合員が出資し、運営し、従事する組織であり、1つ目、介入・脱退の自由もあります。議決権及び選挙権の平等は、一票は一票ということなのです。剰余金の従事割合配当など多くの面で企業組合と同じです。3つ目、組合員は同様に個人です。「労働者協同組合」という名称ですが、労働者協同組合は、組合員を労働者に限定することなく、事業者であっても個人であれば設立できるというたてつけとなっております。つまり、労働者協同組合は構成員を労働者に限定しない規定になっていることから見ても、私たちから見ると、企業組合と重複した制度であると受け止めています。従事組合員の比率や剰余金配当の方法については、制度上違うように見えますが、実際は定款自治の原則により、企業組合でも定款で規定すれば同様な運用が可能です。私は、企業組合の現行制度を活用することで十分にカバーできると考えていますが、今後はお互いが共に成長、発展していけばよいと思っております。
今後法律が施行されますと、企業組合から労働者協同組合への組織変更をする措置が実施されます。現場が混乱することのないよう、施行後の状況を注視していただきますことをお願い申し上げます。
最後に、労働者協同組合の事業運営を行っていく上で、厚生労働省などの事業や助成案、税制措置等が用意される機会があるかと存じます。その場合にも同様な組織体である企業組合についても、その機会を平等に与えていただくことが組合組織の有効利用となり、地域社会の発展のためにも必要だと考えます。ぜひともこの点は御検討いただけるようお願い申し上げます。
以上です。
○山本分科会長 立堀様、どうもありがとうございました。
ただいま4団体からお話をしていただきました。委員の皆様からの御質問、御意見を受けたいと思います。なお、団体への御質問の場合は、どの団体への質問かを明らかにしてください。全ての団体にということであれば、そのように言っていただければと思います。なお、時間がだんだん押してきておりますので、なるべく手短にお願いできますとありがたいです。
○曽我勤労者福祉事業室長 分科会長、1点だけ補足させていただきたい。
○山本分科会長 補足が事務局からあるそうです。
○曽我勤労者福祉事業室長 ワーカーズ・コレクティブネットワーク、藤井様とムサシ綜合メンテナンス、立堀様は15時までで御退室ということですので、お二方への御質問がおありになる方は早めにお願いいたします。よろしくお願いします。
○山本分科会長 佐久間さん、よろしくお願いいたします。
○佐久間委員 佐久間でございます。本日は、本当にお忙しいところ御説明を賜りましてありがとうございました。
私は、日本労働者協同組合連合会の田嶋専務理事様にまずお伺いをしたいのですけれども、現在、田島専務理事様等が組織された(任意組織としての)日本労働者協同組合連合会、この名称について、労働者協同組合法が施行されて、法律に「労働者協同組合」、そして連合会は「労働者協同組合連合会」まで入れるということになっていますが、今、「日本労働者協同組合連合会」と名乗られていますけれども、皆さんの団体は、法律にのっとって設立されているときには、どういう名称とするのかというのを教えていただきたいと思います。
もう一つ、皆さん方は本当に大きな組織であり、また従前から活動されていると思うのですが、今までの労働者協同組合連合会という組織から法人化に移行するとなると、今までの財産は法人化された組織とは別ですから、寄附に当たったりして、課税対象にならない税制の優遇措置は多分ないのではないか思うのですけれども、組織の在り方についてのお考えを教えていただきたいと思います。
あと、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン様も本日は、ご説明、本当にありがとうございました。こちらは、労働者協同組合法が施行されて、労働者協同組合連合会になった場合、今のワーカーズコープさんの連合会とワーカーズ・コレクティブさんは独立した「労働者協同組合連合会」ということになるのか、それとも新しい法律では労働者協同組合連合会が労働者協同組合連合会に加入することも出来ると思いますので、労働者協同組合業界の一本化がなされることになるのか、その辺を教えていただきたいと思います。
以上です。
○山本分科会長 それでは、最初の質問は日本労働者協同組合連合会さん、お願いします。
○日本労働者協同組合連合会 この法律によりますと、新しい連合会は2つ以上の協同組合または連合会が発起人となって設立をするということになっておりますので、現行の私ども労協連合会は任意団体でありますので、その財産の移行については、簡便に移行できるという形でぜひ御検討をお願いできればなと考えておりますので、お願いをしていきたいと思っています。また、名称等については、これから新しく連合会をつくる団体が名称を検討するということになりますので、私たちが特にこういう名称だということについては今のところ考えておりません。
以上です。
○山本分科会長 続いて、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンさん、お願いします。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン ワーカーズ・コレクティブの連合会の考え方ですけれども、連合会は、この法律で言いますと、労働者協同組合という法人格を持っている単体もしくは2つ以上でつくった連合組織が会員となって連合会をつくるということになっていますので、ワーカーズ・コレクティブは340団体全て単体の事業所ですので、どの法人格を使うかというのは、340の考えがあるわけです。だけど、ワーカーズ・コレクティブの今の連合組織は、この運動を広げていこうと。事業を一貫するのではなくて、協同労働の運動や、社会貢献の事業を広げていくという運動を広げていく連合組織ですので、これを労働者協同組合法を持っているワーカーズ・コレクティブに限った連合組織にしてしまうと、運動も縮小という形になりますので、今、WNJとしては、この法人格に基づいた連合会とするという考え方はありません。
ただ、ワーカーズ・コレクティブの中には、連合組織をつくりたいと表明している単体のワーカーズがいて、例えば事業ごとで労働者協同組合を取ったところが集まって連合会をつくるとか、都道府県別に集まって連合会をつくっていこうかという話も今、少しずつ出てきているのは事実です。
以上です。
○山本分科会長 佐久間さん、よろしいでしょうか。
○佐久間委員 はい。どうもありがとうございました。
○山本分科会長 では、続いて小原委員、お願いします。
○小原委員 大阪大学の小原です。
私からはワーカーズコープさんとワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンの2団体に質問があります。とても分かりやすい説明で、積極的にいろいろな活動をされていること、されてきたことが分かったのですが、以前と違って変わってきた、今、直近抱えている問題とか難しさみたいなものを感じているところがあったら教えてほしいです。
以上です。
○山本分科会長 それでは、田嶋さんと藤井さん、続けてお答えいただいてよろしいですか。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン ワーカーズ・コレクティブとしては、今に始まった課題ではないのですけれども、生協組合員がつくってきたという歴史があって、メンバーの高齢化が進んでいるのです。運動を継続するためには次の世代に渡していかなければいけないという大きな大きな課題がありまして、労働者協同組合は、労働契約を結んで、ディーセント・ワークを実現していくというところにも目的がありますので、それぞれのワーカーズ・コレクティブが努力をしながら次の世代に渡していくツールとしては、使えるツールだという認識はどんどん広がっています。ただ、片方で、これはまだ執行されていませんし、この成果がどういう形で出てくるかというのは、これからやりながら見ていかなければいけない課題だということと、先ほども言いましたすごく小さな、事業未満といいますか、地域貢献型のワーカーズ・コレクティブというのもありますので、労働者協同組合法だけでは私たちの運動が全て包摂される仕組みではありませんので、さらなるこういう仕組みづくりというのは、労働者協同組合法ができたということをゴールとせず、さらにイノベーション、法律の5年後の見直しもありますけれども、この法律だけではなく、さらなる制度化も求めていくのは継続していこうねという話し合いはしているところです。
以上です。
○山本分科会長 田嶋さん、お願いします。
○日本労働者協同組合連合会 私どもが考えている今、直近の最大の課題は、現在、企業組合法人、NPO法人等を活用している団体が簡便な手続で労働者協同組合法人に移行がスムーズにできるのかということです。今、私ども内部でもプロジェクトチームをつくって検討を始めておりますので、その手続をぜひ簡便にしてほしいということです。
あと、この場で申し上げるのはどうかと思いますが、移行に当たって必要以上に税制の問題が過度にならないように、適正な税制の確立をお願いしたい。この2つが大きな課題だと考えております。
以上です。
○山本分科会長 では、小原さん、よろしいでしょうか。
では、鹿住委員、お願いいたします。
○鹿住委員 ムサシ綜合メンテナンス、立堀様と日本NPOセンターさんに質問があります。ムサシ綜合メンテナンス企業組合さんは、先ほど企業組合と労働者協同組合はほとんど一緒とおっしゃったのですが、基本的に組合員の方はそれぞれ個人事業主ということですね。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 もともとはそれからスタートですね。
○鹿住委員 今は組合員の方は組合と雇用契約を結んでいらっしゃるということですか。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 結んでいます。
○鹿住委員 そうすると、組合員ではあるけれども、基本的には被雇用者として企業組合に雇用されているということでよろしいのでしょうか。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 そういうことです。
○鹿住委員 そうすると、社会保障費等は組合のほうで半分負担されていると。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 そうです。
○鹿住委員 税制も確定申告ではなくて源泉徴収ということですね。
○ムサシ綜合メンテナンス企業組合 そうです。
○鹿住委員 分かりました。ありがとうございます。
日本NPOセンターさんに伺いたいのですが、私もNPOの設立と、それから今も監事をしているのですが、いずれも東京都なのですけれども、認証を受けるときに公益性について非常に厳しく確認をされたということと、その他事業、つまり、特定非営利活動事業以外の事業で、収益を得て非営利活動のほうにお金を回すための「その他事業」についてもかなり厳しく内容を確認されて、そんなに簡単にはつくれるものではないと思ったのですけれども、現在もそういう公益性とかその他事業については厳しいチェックが行われているのでしょうか。
○日本NPOセンター 具体の事例を承知していないところもございますけれども、法の趣旨としては、所轄庁が口出しをするような部分ではないと。すみません。表現、うまく言っていないのですが、そういう趣旨にはなっています。ただ、これは自治事務ですので、所轄庁ごとに詳細、どういう基準でどういう運用をしていくかというのは、指針とか条例で決まっているところがありまして、その辺りでどこまで見るのかというのは、所轄庁に委ねられているところもあるというのは事実です。
○鹿住委員 もう一点、情報公開なのですけれども、確かに事業報告とか会計の書類について、認証を受けた自治体あるいは所管庁に提出をしなければいけないのですが、私も監事をやっていまして、自治体向けの会計報告、特定非営利活動事業に関する会計報告とその他事業の会計報告等をつくりますね。別途、法人なので法人税が課されますので、税務署のほうにも決算報告を出すわけです。税金を納めるために。そちらは税法上の課税事業と非課税事業で別々につくらなければいけないということで、都合4種類決算書類をつくらなければいけないのですけれども、NPO法人はその辺を結構厳しくされていると思うのですが、実際現場でそれだけやるというのは大変なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○日本NPOセンター この場でお答えしていいのかどうか分からないですけれども、収益事業をやっているかどうかといったところにも絡んでくるのかなと思います。基本的にはそこまでたくさんつくる。税務申告上の書類というのは、法人ですので、かかってくるということはあります。あとはその他事業をやっている、やっていないというところで非常に大きく分かれ道があるのかなと思います。
○鹿住委員 ありがとうございます。分かりました。労働者協同組合をつくるとき、そういった情報公開とか会計書類の形式についても検討しなければいけないのではないかなと思っておりますので、質問させていただきました。ありがとうございました。
○山本分科会長 ありがとうございました。
終了予定時刻の3時を過ぎてしまったのですが、ヒアリングは大変貴重な機会ですので、質疑の状況を見ながら、あと30分ぐらい、15時半ぐらいまでは延長したいと思いますので、よろしくお願いします。
ここでワーカーズ・コレクティブネットワークジャパンの藤井様とムサシ綜合メンテナンス企業組合の立堀様、先ほど事務局からもありましたように、御予定があるので、適宜御退室いただければ。ぎりぎりまで残っていただければありがたいですけれども、適宜御退室ください。また、ほかに御予定がある委員の方はもちろん退室いただいても構いません。ただ、事務局のほうが先ほどの前段の質疑について一言あるようですので、今、事務局に回します。
どうぞ。
○辻委員 全銀協の辻です。ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン様ご退席の前に、簡単な質問があるのですがよろしいでしょうか。
○山本分科会長 藤井さんはあとちょっと大丈夫そうですので、急いで質問していただけますか。
○辻委員 先ほど藤井様から、その他政治活動もやっているというふうにお聞きしましたが、どのようなことをされているのでしょうか。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン ワーカーズ・コレクティブで政治活動をしているわけではなくて、ワーカーズ・コレクティブが生まれてきた経緯として生協の組合員活動からということで、生協の組合員が生協から飛び出して、生活者の声を政治に伝えようということで、自分たちの仲間から県議とか市議という議員を出すという運動が生活者ネットワーク運動ということ。漢字で言うと「代理人運動」。要は、自分たちの代理人を政治に出すという運動を生協組合員の成長過程として、運動としてありますということで、ワーカーズ・コレクティブでやっているという形ではないです。
○辻委員 分かりました。
○山本分科会長 辻委員、これが御質問ということでよろしいですか。それ以外は。
○辻委員 結構です。ありがとうございました。
○山本分科会長 取りあえず続けます。まだヒアリングは続いておりますが、御質問のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。高木委員、お願いします。
○高木委員 ありがとうございます。敬愛大学の高木と申します。
退室されてしまう御説明者の方もいらっしゃるかもしれないのですが、お伺いしたいのは、例えば連合組織のメンバーになっている事業所が、自由意思で今の組織形態を今回の労働者協同組合に変更するとか、あるいは今回新たに労働者協同組合に申請するということがあるかと思うのですが、変更する場合のメリットはどういうものであるのか、あるいは労働者協同組合を選ぶメリットが何であるのか、それを端的に、正直なところを具体性を持って一言ずついただければと思っております。
○山本分科会長 藤井さん、時間が迫っていますけれども、一言お願いできればありがたいです。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン では、ワーカーズ・コレクティブから答えさせていただきます。多くはNPO法人、その次に続くのが企業組合で、一般社団法人となっています。変更する一番大きな理由は、今回出てきた労働者協同組合法の目的というのが、先ほどワーカーズ・コレクティブのこれまで40年積み重ねてきたのではないかというのが一番大きな理由です。その目的はもちろんそうなのですけれども、例えばNPOで言いますと、今回の出資と意見反映と従事という意味では、意見反映と従事というのはNPOでもできているのですが、出資ができないということがありますので、そういう意味では、我々協同労働という実践を積んできた者にとっては、NPOからの移行の大きな理由になっています。
企業組合に関しては、先ほど言った組織運営の部分では大きな違いはないかと思われるのですけれども、ただ、企業組合はどうしてもそこに所属する組合員の利益や向上というところが目的になっていまして、企業組合から移行するところで一番大きな違いは法の目的だと感じているところがほとんどです。
○山本分科会長 ぎりぎりまでありがとうございました。
では、田嶋さん、お願いします。
○日本労働者協同組合連合会 私たち労働者協同組合と名乗ってきた団体がいよいよ社会的な制度として認知をされるということが、最大のメリットだと捉えています。また、法律の第1条に、先ほどWNJの藤井様が言われていますけれども、出資と意見反映と事業従事という基本原理がしっかりと位置づけられたと。まさに労働者協同組合とは一体何なのかということがこの法の第1条に位置づけられたということを、私たちは40年にわたる運動の一つの到達段階として最大限評価もしておりますし、それを喜んでいるということであります。
以上です。
○山本分科会長 では、続いて、吉田さん、お願いできますか。
○日本NPOセンター ほぼ重なるところです。大きな違いとしてあるのは出資と、あとは責任がありますけれども、配当というところかなと。そこで資金調達の多様性とか選択肢が増えるというのが一つ。もう一つ、どれぐらい実際生じるかどうか分からないというのと、メリットかどうかというのはあれですが、大規模な場合、総代会が開けるという仕組みのガバナンスというのもNPO法人にはない仕組みですので、それは団体によってはメリットかなというふうに思います。
○山本分科会長 ありがとうございました。
高木委員、よろしいでしょうか。
○高木委員 はい。ありがとうございました。
○山本分科会長 ほかに御質問等ございますか。よろしいですか。
では、皆さん、ありがとうございました。改めて関係団体の皆様には感謝申し上げます。時間もちょっとオーバーして大変失礼いたしましたが、ありがとうございました。藤井さんもぎりぎりまでありがとうございました。
○ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン ありがとうございました。退室させていただきます。
(ヒアリング団体退室)
○山本分科会長 それでは、事務局から改めてお知らせがあります。
○曽我勤労者福祉事業室長 先ほど指針などについて御意見をいただけなくて、ヒアリングが始まったので、もし委員の皆様方がよろしければ、これから御意見を賜りたいと思います。分科会長は15時半で所用により退席されますけれども、その後も私ども事務局は御意見を全てお聞かせいただきたいと思っておりますので、お時間を許す委員の方は、ぜひ御意見を賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山本分科会長 取りあえず私は3時半までおりますので、このまま続けさせていただきたいと思います。次にお当てしようと思っていたのは鹿住委員です。よろしくお願いします。
○鹿住委員 ありがとうございます。
先ほど申し上げたかったのは2点。それから、今、お話を伺って、あ、これもと思ったのがあるのですけれども、1点が、役員の労働契約を結ぶか結ばないかという規定はあるのですが、同族かどうかという縛りは今ないのです。NPO法では家族とか親族とか同族の人は役員の3分の1以下と決まっているのです。なぜこんなことを申し上げるかというと、地域のための仕事をしている小規模の中小企業さんというのは山ほどいらっしゃるのですよ。その方たちはほとんど同族経営です。つまり、家族と親族しか出資していない。それから働いているのもほぼ家族、親族です。そういう個人事業なり株式会社なり、今、株式会社は1人でも設立できますので、そういう小規模事業者はたくさんいらっしゃるのです。その方たちに対しては、税法上で同族会社の留保金課税というのがなされているのです。資本金1億円以下の会社は免除なので、実際適用されているところは少ないかと思うのですが、ただ、同族会社は法人税法上、上位の株主3人以上で過半の株式を所有している場合というふうに規定されます。
ちょっとうがった見方をすると、法定の積み立て以外に剰余金がありましたと。それを将来のために配分しないで組合に留保しましょうと。これをやると、言ってみれば、留保金課税逃れにもなりかねないのです。なので、役員は同族の人は何割までとかという規定を設けなくていいのかなとちょっと疑問に思っています。
もう一つ、剰余金の配分について一体どこで決めるのか。法定の積立金はありますけれども、それ以上に剰余が出た場合、それをどういうふうに処分するか。つまり、株式会社なら利益処分案というのを株主総会で議決するわけです。ですが、総会の規定の中に総会で決めることはこうこうこういうことだという規定がないので、今の規定ですと、言ってみれば、役員の間で、では、剰余金は全部会社に留保しましょうねということを決めても決められてしまうわけです。ですので、一般の会社とかで会社法上どうなっているかということとの齟齬が生じる部分、違う部分というのを少し詳しく検討したほうがいいのではないかなと思っております。
以上です。
○山本分科会長 事務局からの回答等の前に、まず皆さんの御意見を伺うようにいたします。次は南部委員、お願いいたします。
○南部委員 御配慮いただきましてありがとうございます。何点かございます。よろしくお願いいたします。
指針3ページの(1)で「組合員自らが組合の事業に従事する」ということが、法の第3条第1項で書かれていますが、第3条第1項には1号から3号までありまして、ここに書かれているのは3号だけということになります。全てのことを網羅するのでしたら全て書かなければいけないし、1つだけ書くというのはよろしくないかと思いますので、削除を含めた検討が必要かと思っております。
2つ目につきましては、参考資料3の指針5ページ、②についてです。②と78条との整合性の確認です。78条では、出資金を分割して払い込んでいる最中の者も組合員としてみなされるというように読み取れると考えております。ただ、ここには払い込んでいる最中の方は組合員でないということになりますので、この整合性を整理する必要があるのではないかと考えております。
3つ目は指針の8ページの「労働契約の締結等」についてです。「労働契約の締結をしなければならないこと」ということが4の4行目のところにございます。とありながらも、「なお」の下に「その際、組合は、組合員との間で労働契約を締結しなければならないことについても」ということで、重複した記載があります。これについては、重複を避けてすっきりとしたほうがわかりよいのではないかと考えております。
4つ目は12ページです。12ページにつきましては、先ほどの杉原委員からの御質問と同じところでございますが、小規模組合ということで、これは何人を想定しているのかという検討が必要かと思うのですけれども、15ページの「組合員監査会」では、小規模組合を「20人を超えない組合」と既に記載されておりますので、これとの整合性、そして20人が妥当かどうかの検討が必要かと考えております。
また、役員の数でございますが、「総組合員数の1割を超えることがないよう」という記載がございますが、例えば21人の組合とすれば、2人と考えるのですか。そしてまた100人だと10人ということになるのであれば、実態の把握が必要かと思っております。運営するに当たって、それが妥当かどうかの実態把握をし、現場の混乱を来さないためにもここは丁寧なご対応をお願いしたいと思っております。
5つ目につきましては、13ページの第6の管理に関する事項の「剰余金の配当」のところの文言です。「雇用創出等積立金」となっておりますが、これは「就労創出等積立金」ではないかと考えておりますので、ここの確認をお願いしたいと思います。
6つ目、14ページの第6の管理に関する事項でございます。「剰余金を多くすることで賃金を低く抑えることがないよう」ということで、先ほど仁平委員からも意見があったところでございますが、それについて事務局より余剰金の説明がございました。その説明とおりだと私は思っております。余剰金は人件費や必要経費を除いた後、さらに税金を除いて残ったもので、法で決まっている余剰金処分は約20%以上(準備金10%、教育のための繰り越し5%、就労創出5%)のものを除いた後の残りを話し合いで決めていく仕組みという理解をしておりますので、「賃金を低く抑えることがないよう」という文言はそぐわないのではないかと考えておりますので、ここの削除も含めた検討をお願いしたいと思っております。
最後に、指針はこれから運用するに当たってとても重要なものです。できる限り分かりやすく、現場の実態に合ったものを作成していくようにしていかなければならないと思っておりますので、ぜひその趣旨をお酌み取りいただけたらと思います。また、そのためには組合自治を尊重するという観点で作成も必要かと思いますし、実態の把握を十分して議論を進めていただきたいということでございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山本分科会長 続いて、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 それでは、私のほうからも何点か質問をさせていただきたいと思います。労働者協同組合制度、法の中身については、法律の制定と施行がすでに決まっておりますので、本当は何点か疑義もあるのですが、そこは述べないことにしておきます。
指針のほうで分かりにくい点があるので、本分科会の審議により、次回以降、変更していただけるものか分かりませんけれども、御質問させていただきます。私は資料ナンバー2のほうで見てしまったのですが、まず最初に2ページですが、仁平委員からもご発言がありました「労働者派遣業を行う者を子会社にすること」の関係です。ここで書かれていることは分かるのですけれども、組合が子会社化をする。あとは、労働者派遣事業をやっている組合員として、事業者でなく個人として入ってきた場合、その扱いというのは子会社的に見られるので、この辺の扱いをどうするか。留意事項のほうに書く必要があるのか。それを御判断いただきたいと思います。
2つ目は、2ページの「(2)組合員による組合の事業への従事」の②のところです。こちらも委員の先生方から御指摘があったと思うのですけれども、最後の2行「臨時的に組合の事業に従事する者に対しては組合員の資格を与えず、永続的に事業に従事させることは想定していないこと」というのがあります。組合員さん、有期の職員に対してどうするかということもありましたが、これは同一労働同一賃金の関係とか、「臨時的」というのはアルバイトという有期の関係ですが、その期間的なものがちょっと不明瞭ではないかと思います。例えば3か月とか6か月。社会保険、労働保険関係を結ばなければ臨時的と見るのかとか、この辺がよく分かりません。せっかく組合員にもなりたいなと思っている方を逆に排除してしまうのではないか。協同組合原則の1つである加入・脱退の自由に反するのではないかなという観点です。
あと2点ほどです。4ページのところ。こちらは高木先生にも御指摘いただいたところです。いわゆる「名ばかり理事」の関係です。小規模な組合にはこれは例外となるのではないかということが言われていたのですが、組合というのはそんなに大きな組合ばかり、設立されるものではないと思うのです。実際に今、ワーカーズさんは生協の組合員の皆様などで組合員が多くなっているというのもあると思うのですけれども、労働者協同組合と同様の組織であります企業組合はそんなに多くの組合員数で組織された組合はありません。総代会を設けられる規模として組合員数200人とあります。200人というのはかなり大きい組合だと思うのですが、指針案の後ろの頁にも記載されています「小規模な組合」「小規模の組合」という2種類の言葉を使われているのが、役員の数とかそういうのもあるのですけれども、小さい組合、小規模な組合に対して、理事の職務以外に事業を従事させるというのがあるのですが、役員3人以上で、組合員が少ないと、みんな組合の事業や業務を分担し、あるいは兼務しているわけです。その場合に、理事の職務以外、例えば会計担当の理事ですよ。そのほかのことをやったら組合との契約を結ぶというと、労働者協同組合が登記をして法人になれば、使用者というか、指揮命令する側と指揮命令される労働者。でも、労働者協同組合というのは、労働者としてはあまりやりたくなかった方が組織をされるのではないかと思うのですけれども、そこをあえて「労働者協同組合」としているのでありますから、いわゆる「名ばかり理事」とは何か、実態に合うのか。意味がちょっと分かりにくいなと思います。
最後に、あと、5ページと6ページのところに出てきています、先ほど申し上げました「小規模な組合」のところです。ここは明確にしたほうがよろしいのかなと思います。6ページに出ている「小規模の組合(組合員の総数が20人)」。小規模企業基本法の小規模事業者の定義から「20人」というのが出てきた。先生方の回答がありますけれども、これが労働者協同組合の組合員としての人数と実態が本当に合うのか。20人規模というと、企業組合では、それほど多い人数の組合員で組織されているわけではありませんから、小規模に合致するのか、労働者協同組合も設立が進んでくると、同じような規模感の組合が設立されてくるのではないかと思います。この辺が曖昧ですので、小規模の組合、小規模な組合を分かりやすく定義していったほうがいいのではないかなと思います。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございました。
では、続いて八野委員、お願いします。
○八野委員 八野でございます。
先ほどの各委員の先生方の御意見はごもっともだと思いますし、私も同じように思っておりました。これは意見だけですので御回答は結構ですが、特に今回定款の記載事項、つまり、法律29条に基づく定款の記載事項の中に剰余金の処分及び損失の処理、組合員の意見を反映させる方策、こういうものを明記しろとなっておるのですが、この指針を読みます限りは、精神論といいますか、抽象論が多くて、なかなか具体的なイメージ。これは各組合の自主性に任せるということは分かるのですが、もう少し突っ込んだ記述が必要ではないかと思いました。
ただ、今日ほかの先生方の意見を聞いていまして、この指針だけをぽっと出されて、それについての議論となりましたので、本来指針に書くべきことなのか。その指針を補足するものとして行政庁に対する通達で書くべきものか。また、一般的にはこういう法、政令をつくれば、厚労省さんのほうで解説書といいますか、考え方みたいなのも出していかれると思うのですが、そういうものの記述というか、今、全容が見えないので、全部指針に書くべきではないと思うので、先ほどの20人がどうかとか、何分の1かというのを指針に書くべきなのか、それともその考え方を通達とかほかの解説である程度自由を与えながら目標を見せるのか。こういうところをもう少し整理していただければ、議論がもう少し集約するのではないかなと。
これはお願いですので御回答は結構ですが、次回の12月のときは、この指針を補足する通達なのか何なのか、どういう出し方をされるのか分かりませんが、厚労省さんとしての考え方をいただくということをしていただければ、かなり意見が集約されるのではないかなということで、意見だけ申し上げます。
○山本分科会長 どうもありがとうございました。
手を挙げていただいた委員からは御意見をいただけたと思いますので。
○山田雇用環境・均等局長 私から最後に締め。
○山本分科会長 どうぞ。
○山田雇用環境・均等局長 局長の山田です。
今日、1回の会合にヒアリングとか指針の議論とか詰め込み過ぎて、十分御意見を賜る時間が取れなくて申し訳なかったと思っております。
今回議員立法としてこの法律が出たということもあって、通常のいわゆる閣法、内閣提出法案のように、労働政策審議会が早い段階、準備段階から議論に入っていただいていれば、内容について委員の方同士での意見の相違とかがあったとしても、基本的な理解みたいなものが議論を通じてできているということが早くからできるのですが、議員立法ということで、今回ステップが法律ができた後に一気に進むという形になったということもあるのかなと。何人かの先生が言われていたとおり、新しい制度であるということを我々もちゃんと意識して対応しなければいけないなと思っております。
今、追加でいただいた意見については、ここで逐一答えるよりは、前半部分でいただいた意見とともに、それぞれの論点についてこんな意見があったということを整理した上で、次回お答えしたほうが。ここで慌てていろいろ答えてしまうと、かえって中途半端になるかなと思っておりますので、そういう扱いにさせていただければなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○山本分科会長 今のような方向で、次回、今日の議論をまとめて。どうぞ。
○辻委員 全銀協の辻です。今日は時間の関係もありますので、後日、必要に応じてメール等で追加のご質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。
○曽我勤労者福祉事業室長 結構です。
○山本分科会長 それは結構だそうです。
○辻委員 分かりました。
○山本分科会長 それでは、そのような進め方で事務方のほうには次回に向けて準備をしていただくということにさせていただきたいと思います。
今日の議論、御意見いただいたものとかヒアリングの結果を踏まえて、さらに議論を続けるということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、ちょうど3時半になってまいりましたので、次回の分科会は12月3日の金曜日、午前10時からを予定しております。詳細についてはまた事務方から御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。盛り込み過ぎてばたばたしてしまって大変申し訳ございませんでした。本日はありがとうございました。