第24回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

日時

令和3年9月15日(水) 10:00~13:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議事

議事内容

○医政局研究開発振興課室長補佐 おはようございます。それでは、ただいまから、第24回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Webで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステム機能から参加者リストを表示いただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに、「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りいたしましたWeb会議マニュアルにあります連絡先に御連絡をお願いいたします。本日は、部会の定数14名に対し、13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。

 まず、事務局より、事務局について人事異動がありましたため、御紹介させていただきます。本日は欠席となりますが、医政局長の伊伊原、大臣官房審議官の大坪です。

 続いて、本日の会議資料についてですが、会議参加の委員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。Webで参加されている先生方におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので御覧ください。資料は、資料1から参考資料12となっています。お手元で不足等がありましたら事務局に御連絡ください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 以降の進行については、楠岡部会長にお願いいたします。

○楠岡部会長 おはようございます。楠岡です。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは、早速議事に入らせていただきます。議題1は、「臨床研究法に関する検討について」です。事務局より、資料1の説明をお願いいたします。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料1「臨床研究法の見直しに係る各論点について」の御説明をさせていただきます。資料の5ページを御覧ください。今回、4つほど論点を挙げていますが、論点ごとに御議論をお願いしたいと思っておりますので、順に御説明させていただきます。まず最初に、適応外医薬品等に関する特定臨床研究の適用範囲について御説明いたします。資料の6ページからです。この議題については、以前、一度広く御議論いただいたことがありますが、少し時間が開いてしまいましたので、改めて現状・課題、これまで頂戴した御意見等について順に御説明いたします。

 まず、現状と課題についてです。臨床研究法においては、研究対象者(いわゆる被験者)に当たられる方の安全性を確保する観点から、特にこういった方々への生命・身体へのリスクが高い臨床研究を「特定臨床研究」ということで位置付けて、実施基準の遵守、それから実施計画の提出等の規制を課してます。この法律の運用の中では、臨床研究における医薬品等の使用が、承認された用法、用量、効能、効果、いわゆる薬機法での承認事項と少しでも異なる場合については、全て特定臨床研究に該当するという運用がされております。一方で、臨床の現場では、学会の診療ガイドライン等に掲載されている使用法、それから、保険診療等で一定の使用経験があるということで償還されている使い方、承認されたものよりも少量(減量プロトコル)など、安全性の観点からは、必ずしも既承認のものよりもリスクが高いと言えないものもありますが、今の運用では一律に特定臨床研究の対象となっているところです。

 特定臨床研究に該当するということになると、届出、CRBの審議等が義務付けられることになり、種々のリソースが課されるという形になりますが、想定されるリスクと比べて、経済的、事務的な負担が大きいのではないかという御意見を頂戴しております。特に治療法の期待が大きいがんや小児領域で、このような研究が多いという御指摘も頂いております。この点については、以前も御議論をお願いいたしましたが、これまで頂戴した主な意見をまとめて提示させていただいております。1点目ですが、保険診療に係る審査提供事例等で償還が認められているにもかかわらず、薬機法に引きずられて適応外の範囲が広くなっているので、研究を行う上での障害となっているという御意見。それから、仮に適応外の部分を特定臨床研究から取扱いとして外すというようなことがあったとしても根本的な解決にはならず、むしろ、こういった適応外の研究により根拠のある成績が出た場合には、添付文書の改訂に生かすべきといった御意見も頂きました。

 また、適応外の取扱いにおいては、実施を支援する実施することに対して何らかの支援を行うというようなこと。一方で、特定臨床研究から外す、こういった2つの選択肢が考えられるものの、いずれにせよ貴重な研究仮説に対する研究が後退しないようにすることが必要といった御意見を頂戴いたしました。

 7ページを御覧ください。現行の法律でどのように特定臨床研究が規定されるかというところを、御参考までに提示しております。法律そのものの記載において、「特定臨床研究」とは、臨床研究のうち、次のいずれかに該当するものをいうということで、次に掲げる医薬品等を用いる研究、イとしては、承認を受けていないものということで未承認の医薬品です。ロが今、御議論いただく適応外ということですが、承認を受けているものとは異なる用法等で用いる場合に限るということで、この部分については規則で用法・用量、効能・効果というように規定しているものです。仮にこの定義を変えていくということになると、法律そのものを改正しないといけないかと考えております。

 8ページを御覧ください。こちらについては、以前、令和2年度の特別研究班、堀田先生の研究班がまとめたものを、国立がんセンターの中村先生から御発表いただいたときの資料をそのまま抜粋させていただいたものでして、適応外医薬品に関する特定臨床研究の適用範囲ということで、この論点に関しての議論の経過を御提示いただいたものです。多少、今の説明の繰り返しにはなりますが、「何が問題か」という所で、「適応外」の適用範囲が非常に厳密に解釈されているということで、古くから使われている薬剤で日常診療で用いられているものについても「適応外」になること。また、小児領域では、どうしても適応追加が積極的に行われていないので、基本的に用法・用量「外」になってしまうようなことが多い、こういったものも厳密に取り扱われると。一般的に「診療」では問題なく使えるものが、「研究」になると特段の規制が掛かってくるというところに問題点があるという御指摘でした。

 続いて、9ページにどうすべきかということで、この対応に対する幾つかの考えを示していただいております。1つは、特定臨床研究の範囲の適正化という御指摘を頂いております。例えば、副作用再審査期間が終了したもので、かつ効能・効果が同じものとか、あるいは実質上、55年通知に該当するようなものについては、特定研究と取り扱わないこととしてはどうか。次に、こういった判断が難しい部分については、中央機関を設置して、判断をしてはどうかという御意見を頂きました。また、患者さん・一般の立場からの御意見として、こういった研究を診療ガイドラインを根拠にする、あるいは添付文書にこういったものが書いていないからこそ適応外が出てくるといった御指摘も頂いたところです。

 10ページを御覧ください。今まで御議論いただいた点を踏まえて、論点、それから検討の方向性ということで御提示させていただければと思います。論点ですが、適応外医薬品の中でも、一般的に診療で使用されている医薬品があるということがあります。このような適応外の使用については、実質上、使用経験あるいはエビデンス等もあって、安全性に係る情報が蓄積されて、生命・身体へのリスクが高いとまでは言えないものもあります。こういったものについては、必ずしも特定臨床研究として位置付ける必要はないのではないか。一方で、こういった適応外の使用については、非常に様々なケースがあります。例えば、同じ使用法であっても使用対象側の要件、成人に使うのか小児に使うのか等によってそのリスクが変わりうるということがあり、一律に特定臨床研究の範囲から除外するようなものを規定するのはなかなか困難ではないか、いろいろなケースを想定しないといけないのではないかといったところもあります。

 検討の方向性ですが、法律において、適応外医薬品の使使用であっても、各種の情報根拠に基づいてその使用に係るリスクが承認を受けた用法、用量、効能、効果と大きく変わらないということが判断できるようなものについては、特定臨床研究の範囲から除外するというようなことを示してはどうかと提示させていただきました。ただし、先ほど論点でも申し上げたとおり、そういった使用について一律に包括的な文言で除外するというのはなかなか困難なこともあるので、法令の取扱いにはなりますが、除外されるものを個別に指定できるような形にしてはどうかと考えております。大くくりで、あるものを除外するというようにして、その除外するものを個別に指定するというようなイメージになるかと思います。除外する個々の事例については、当該使用に係るリスクが承認を受けたものと変わらないかどうかといった点については、根拠となる情報を提示いただいた上で、厚生労働省で専門家の意見を聞きながら定めていくといった方式ではどうかということで、提案させていただきました。

 御議論をよろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 適応外の使用に関する点について、今の事務局からの説明について御議論いただければと思います。いかがでしょうか。渡辺先生、どうぞお願いいたします。

○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。恐らく臨床医の先生は、今回の委員には余り多くないので、あくまで臨床医という形でお話しさせていただきます。今おっしゃられた55年通知の在り方というのがちょっと気になるところでして、これは、基本的には国に科学的な評価がなされなくても、広く臨床で実践されていると認められると保険適用という概念になっていると思うのです。ただ、これはあくまで医師の裁量権に基づいたものというような考え方もあって、先ほどの論点にもありましたように、適応外といっても僅かな用量の違いというのと、全く異なる疾患に用いるというのはまた違うところがあるのではないかなと思います。保険で認められているから科学的検証は不要というように一方的にいくのは、確かに問題があるのではないかと考えます。

 臨床医の立場としては、まず保険と薬事の齟齬を解消して、できるだけ例外的な55年通知は減らすという形で臨床研究の活性化につなげていただきたいなという希望があります。適応外に関しては、臨床研究によって科学的エビデンスを示して適応を広げていくこと、それが今、事務局がおっしゃられた個々の対応ということでも構わないと思うのです。そのように進めていただければよろしいかなと思います。また、これも論点の所にありましたように、リスクに関しての基準というのがなかなか難しいと思うのですが、生命・身体へのリスクというものをどのように考えていくか。それから、特定臨床研究の適用範囲ということも、ある程度判断の基準を示しておかないと、個々に対応するといっても判断が難しくなるのではないかなと思います。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局からよろしいですか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 大変貴重な御指摘をありがとうございます。まず、55年通知と薬事法の乖離の部分をどうするかというお話に関連して、以前、附帯決議に係る宿題について論点の提示をさせていただいたことがあります。特定臨床研究の試験成績を薬事承認の資料に使えるようにできないかという宿題を頂戴しており、現在この点については省内で調整をしていて、整理し次第提示させていただきたいと考えております。御指摘のように、単に適応外の部分を外すということだけではなく、必要な研究については承認事項の改訂にた向けた一助として使っていくということも並行して考えていく必要があると考えております。この辺りは、運用においてその辺をどうバランスを取っていくのかというところが問われてくるかと思います。

 また、御指摘のとおり一つ一つの判断に当たっては、単なる使用経験というよりは、やはり安全性に根ざしてどのような情報が蓄積されているのか、そういったところが重要かと考えておりますが、あらかじめどういう視点で判断していくのかという辺りについては、また引き続き整理の上、部会でも御確認いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 では、続いて山口委員、その後、花井委員、それから北大の佐藤委員でお願いいたします。

○山口委員 山口です。8ページで、添付文書の内容と実際の日常診療で使われている量が違っているとあります。これは、一般的にはほとんど知られていません。例えば、この間も私が入っているCRBで、こういうことがあるので、実際に一般的には使われているということを詳しく説明文書に書かれていました。詳しく書けば書くほど混乱してしまって、CRBの中でも多くの意見が出てきたところです。ですので、このような日常診療で当たり前になっているようなものについて、あるいは小児のこともそうですが、今回の検討の方向性の3番目のポツにあるように、日常的に使われているから自動的にいいではなくて、ある程度根拠となる情報に基づいた上で適応外から外していくということをしないことには、非常に混乱するのではないかと思います。

 それから、今、室長から附帯決議のお話がありましたけれども、以前にも発言しましたが、研究である程度成果が出たものは、薬機法との連携をして添付文書の改訂につなげていくということが大事ではないかなと思っております。以上、私の意見です。

○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、引き続き花井委員、お願いいたします。

○花井委員 渡辺委員の指摘がとても重要だと思っています。いわゆる保険療養と薬機の統制の整合性というところなのですけれども、薬機法の改正において添付文書の位置付けは、公文書にはならなかったのですが、最新の科学的知見に基づいてアップデートすべきということになっています。今、事務局から特定臨床研究のアウトカムを添付文書改訂にということがありました。それがなければ、小児領域とかせっかく研究契約したものが薬事上、安全性とか有効性についてエビデンスとして添付文書に反映しないという問題があるので、それは御検討いただきたいと思うのですが、逆に今回のやり方、特定臨床研究から外すということを考えるときに、外れているから添付文書に反映できないということになってしまうと、薬機法上の最新の知見に基づいた添付文書の改訂というところとの整合が問題になってきます。

 これは恐らく現状でも、必ずしも臨床試験とか特定臨床研究ではなくても、海外のエビデンスとかのメタアナリシスとかで改訂することはあるのですが、メーカーの体力とかその他によっていろいろ、特に特許が切れたものとかに関して言えば、後発メーカーがそういうことをやるというのはなかなか難しいことで、最新の情報を基にというところが徹底されていない部分があるのです。そこは、やはり今回の法との整合性も含めて薬事のほうでその辺のことを検討していただくということを言っていただければ助かります。それを前提とするならば、今回の事務局案は極めてリーズナブルではないかなと思いました。以上です。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 貴重な御指摘、ありがとうございます。御指摘のとおり、薬機法は申請主義ということで、企業からの申請が出ないと変更が行われないというところに対して、未承認適応外検討会で開発を要請するような取組もありますが、いずれにしても最新の情報ができるだけ盛り込まれるようにということで、担当部局にもお伝えさせていただきたいと思います。また、こちらのデータが活用できるということについても引き続き検討を進めて、部会でも御紹介できればと考えております。よろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 それでは、北大の佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤()委員 ありがとうございます。先ほど来の議論で、55年通知というか、保険と薬事を近づける方向に行くということは、全く異論はございませんので、是非是非そうするべきだと考えております。ただ、そこに至るまでには若干、簡単ではないところもありますでしょうし、時間も掛かるでしょうし、まずは今すぐ臨床のエビデンスをしっかり作らなくてはならないような標準治療を作り上げていったりとか、患者さんのQOLを高めるような臨床研究をどうするかと考えたときに、今回、事務局が提案された方向で進めていくことが重要かなと思っています。ただ、今出ている方向性の中で、個別に指定できるようにという所の個別のイメージがまだはっきり分からなくて、個別というのは一個一個の薬剤について言っているのか、どのようにしていくのかというのがちょっと分からないので、もしイメージがあったら御説明いただければと思います。

 あと、日々臨床研究をやっている者の立場からいたしますと、日常使っている薬を添付文書のとおりではないからということで特定臨床研究を外してくれという要望ですが、そういった薬を幾つか組み合わせたりとか、放射線その他別なモダリティを加えて安全性が十分確保、適応内というか日常に使っているものであっても安全性が十分確保できないというものに関しては、一定の制限が掛かるというのは当然だと思います。例えば、そういった治療法を評価するのではなくても、こういった標準的な治療法、Aという治療とBという治療の患者さんのQOLをどうしたいかとか、どういうところをどうしたらいいだとか、どこを正確に診ておこうとか、そういった日常診療とほぼ近いような臨床研究であっても、今のやり方でいくと全部特定臨床研究という形になってしまいます。

 結局、こういうエビデンスを作ったほうが患者さんのためになるのではないかという臨床研究が実際行われていないということも十分よく理解していただいて、添付文書にはないから全てが危険だというか、かなり日常と近いような研究もたくさんあるということを理解していただいた上で、ここのところを広げていっていただければ臨床研究がよく進み、診療にも反映されていくのではないかなと考えています。以上です。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 御意見ありがとうございました。今、根拠になる情報に基づいて、こういったものを個別に指定していくところのイメージということで御質問を頂きました。まだ骨格が固まっているわけではないのですが、例えば各学会等がお出しになっている診療ガイドラインの中で、一定のエビデンスをもって使い方が指定されているようなものもあると思いますし、55年通知も、ものによっては背後にガイドラインの根拠をもって申請されているものがありますので、まずはそういうものを集中的に集めて確認していくようなことがあるかなとは思っております。いずれにしても、この辺りも少し内容が詰まった段階で、制度の詳細についてはお示ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤()委員 ありがとうございます。ある程度理解できましたので、個別のところをなるべく早く出していただけると、よくある話で、総論でOKだったけれども各論を見たらちょっとびっくりというようなことにならないように、できれば早めに御提示いただけるというか、もう少し例示的に出していただけると有り難いかなと思います。以上です。ありがとうございました。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 承知いたしました。ありがとうございました。

○楠岡部会長 佐藤(典)委員からのお話の中で、1点重要な点として、例えば放射線治療と薬剤の組合せというときに、その薬剤が放射線療法と併用することで効果が増すというように、薬に注目すると特定臨床研究になるのですが、放射線療法と薬剤の組合せで全体の生存率等が向上するという形になるとアウトカムの話になって、特定臨床研究ではなくて指針でやる話になります。そうすると、プルーフオブコンセプトをどこに置くかということによって扱いも変わってしまうという問題があるかと思います。この辺りのところも単体モダリティの中での話と、複数のモダリティに関わった場合の話は、今後整理していく必要があるのではないかと思います。

 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。藤原委員、どうぞ。

○藤原委員 今回の検討の方向性は、今後もまだ議論が続くと思いますので、詳細なコメントは避けますが、今日、議論されていないというか論点に挙がっていない医療機器は、非常に適応内と適応外の範囲の決定が難しいと従前から思っています。改良医療機器といって医療機器というのはどんどん改良されていく中で、それが添付文書から外れているとして適応外と判定してしまうと、医療機器の開発というのは非常に雁字搦めになっているような気がいたしますが、医療機器の適応外問題というのは別の機会に議論されるということでしょうか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 御指摘ありがとうございます。医療機器については、今お話いただいたように、非常に多様なものがあって、また同じものでも使い方が必ずしも承認を得たものではなく、ほかに転用するような使い方の広がりというものもありますし、常に改良を加えていくというところで一律に適応の範囲、範囲外、あるいはエビデンスがあるないという話がしづらいところがあります。この点については、以前も医療機器ということで論点を1つ挙げて御議論いただいたところでして、また別の機会に是非御議論いただきたいと思っております。

 現状なのですが、医療機器については、非常に多岐にわたって、事務局としてもなかなか把握が難しいところがあって、学会と業界団体の御協力を得て、特別研究ということで現場でお困りになられたような事例を集めさせていただいて、そういったところからいろいろ話ができないかと考えております。余り概念的なところだけお話ししても、実態がどう伴ってくるかというところもあると思いますので、事務局内の検討に時間を頂戴しておりますが、そこはまた別途の議論としてお願いできればと考えております。

○藤原委員 ありがとうございます。あと、将来的に適応外などの議論をされる際に、先ほど北大の佐藤委員もおっしゃっていましたが、日常の医療のレベルをいろいろ変革する比較試験等については非常に大事な位置付けですけれども、例えば臨床研究法の対象でない場合には、当然、倫理指針の対応として実施されるわけですよね。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 法律の規制からは外れるということがありますが、一方で法律の中で努力義務というものも掛かっており、一応そういった取扱いの中でどのように動かしていくかというところがあると思います。

○藤原委員 臨床研究法の対象範囲から外れたからといって、闇雲にとんでもない臨床試験が世の中で行われるような状況には、今の日本はないのではないかと思っています。指針等が様々あって、3040年前の状況とは全然違う現状で、きっちりとしたCRBではなくてもIRBでの審査とか、同意説明文書の文書にとるとか、副作用報告についても倫理指針にも詳細な規定があるでしょうし、臨床研究法の対象から外れるからといって、とんでもなく質の悪い臨床試験、臨床研究が行われるわけではないということは、どこかで整理しておいていただければと思います。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 承知いたしました。つい先日、改訂した指針を施行したところがありますので、御指摘の点を整理して、またお示ししたいと思います。ありがとうございました。

○楠岡部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日、適応外に関しては、検討の方向性を踏まえてこれからも進めていって、随時御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の説明に移っていただきます。2番目のほうをお願いいたします。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、観察研究の取扱いについて御説明をさせていただきます。11ページから御覧ください。まず、現状と課題についてです。法の対象ですが、今度は特定臨床研究ではなく、臨床研究そのものの定義ということになります。臨床研究の定義から、いわゆる観察研究ということで、ちょっと分かりにくい文言ですが、

「研究の目的で検査、投薬その他の診断又は治療のための医療行為の有無及び程度を制御することなく、患者のために最も適切な医療を提供した結果としての診療情報又は試料を利用する研究」を除外するという形になっております。ただし、ここの文言がなかなか明確ではないというところもあり、研究者が観察研究とお考えのものが、必ずしも実際のCRBの審査では除外されないというケースがあります。

 具体的にはこれまでにも示している、この下の表を御覧いただければと思います。まず左側のカラムが、医薬品等の使用にどのような介入研究目的の行為が掛かってくるか、そして医療行為をした後の結果を測定する検査に対する侵襲度が書いてあります。1番目は、あらかじめ作成した計画に沿って患者さんに対して医薬品を投与する、いわゆる介入研究ということになりますので、正にこれは臨床試験ということで、法の対象になっております。また、3番目の患者さんの個々の病状に応じて適切な医療を実施するということと、検査においても一般の診療で行われている欣査をする、いわゆる一連の一般的な医療行為の結果を使うものについては、臨床研究法の対象外とさせていただいております。

 、扱いが揺れているのが2番目です。医薬品の使用などについては3番と同様に、一般的な医療として実施されるものですけれども、この下のほうの、患者さんへの検査などで障害・負担が小さいものについては、そういったものが多少追加されても対象外です。それなりに負担があるものについては対象とするという運用としております。しかし、この判断の大きい小さいといった辺りも含めてなかなか難しいということで、実際には負担が少しでも増えると臨床研究になるということがあります。

 12ページを御覧ください。これまでこの点について御議論を頂いた主な御意見を提示させていただいております。まず1番目です。同じような医薬品の使用・処置をしても、研究をどこからスタートさせるか、そのタイミングによって介入研究も観察研究になり得るということで、研究をどの時点で意図したかというところが1つのポイントとなってくるという御指摘がありました。

 また、現行の運用では侵襲の大小という点について、なかなか判断の根拠がはっきりしてないこともあり、CRBによって判断が変わってくるという御指摘もありました。

 また、この研究のそもそもの適用範囲は介入研究であるべきという御意見も幾つかいただいております。3つ目、4つ目、5つ目の御議論がそういった点だと思います。

 特に介入研究に限定するのであれば、試験の名称や法律の名称そのものも変えていく必要があるということや、国際共同研究などを実施する上では、やはり臨床研究に限るべきではないかといった御意見がありました。

 一方で下から4つ目にありますように、侵襲が大きい観察研究については、先ほど藤原委員からも御指摘がありましたが、指針において一定の監視、モニタリングなども実施されている中で、一定の安全性あるいは適切な試験の担保がされているという御意見がありました。

 ただ、その次にありますように、侵襲の程度によっては患者さんに及ぼすリスクが異なってくるので、その点を慎重に考えるべきではないかという御意見もいただきました。特に患者さんからの立場からすれば、いずれもヒトに対して行う研究なので、安全性や情報公開に差があってはならないということで、法律の範囲から外すことでなおざりになってしまうのではないかという懸念も頂戴しております。

 また、観察研究について、薬物血中濃度測定のために入院をするとか被爆検査など、あるいは追加通院を求めるといった、ある程度侵襲というか負担の大きい観察は、法の対象としてもよいのではないかという御意見を頂戴しております。幾つか様々な観点、様々な立場からの御意見を頂戴しているという状況です。

 13ページを御覧ください。こちらも先ほどと同様に、法律の中の定義についてお示ししているところです。法律の中で臨床研究とはということで、医薬品等をヒトに対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究としております。この中で一部、薬機法の治験あるいは製販後臨床試験を除いておりますが、それと併せてこの施行規則第21項で、先ほど申し上げた医療を提供した結果としての診療情報や資料を利用する研究は除くという形にしております。しかし、ここの解釈が少しぶれているというか、いろいろな解釈がされてしまっているというところがあるかと思います。

 続いて14ページを御覧ください。こちらも先ほど御紹介した、堀田先生の研究班に基づくプレゼンテーションの資料を抜き出しました。今、論点として申し上げたように、法律や施行規則の定義がありますけれども、3点目として何が問題かというところがあります。この施行規則の中に、「患者のために最も適切な医療を提供した結果」という文言がありますので、どうしても少量の採血などを行っても、その患者のことを考えると必ずしも最も適切な医療にはなってないという懸念があり、臨床研究の定義の中に入ってくるのではないかという御指摘がありました。

 その次が15ページです。先ほど御覧いただいたものと同様の資料です。負担の大きい小さいということで分けてはいますけれども、省令で一度除くという形にしておきつつ、Q&Aで負担の大きい検査が出てくるところについては、少しずつこの範囲がずれているというか、異なっているということで、こちらの提示の仕方のぶれが、現場に混乱を引き起きしているのではないかという御指摘を頂戴しております。

 この点に対する研究班での御検討の内容が、16ページにあります。研究班としては、医薬品等を用いる介入研究を対象範囲とすべきではないかということで、この省令の定義を変更してはどうかという御提案を頂きました。一方で患者さんや一般の立場の方々からは、多様な意見がありました。やはり患者に負担の大きな検査がある場合には、法の対象とすべきではないか、一方で国際的整合性を考えて介入研究に限定するとか、法の対象から外れても医学系指針は適用されるので、実態に即した形にすべきということて、部会での議論と同様の御意見が寄せられたものと理解しております。

 その上で17ページで、改めて論点と検討の方向性についてお示しいたします。まず、論点についてです。改めて「観察研究というものは」というようなことになりますが、研究目的での医療行為を行わず、患者の病状の推移などを調査研究するという観察研究は、治療段階で介入を行う臨床試験とは、やはり明らかに異なるものです。そうは言っても、一定の御意見のあった追加の患者の経過を観察するような検査の中では、侵襲が大きいなどの身体・精神に負担が大きい研究をどういうように取り扱っていくといいのか。この身体あるいは精神に影響が大きいというところを、どのように判断していけばいいのかという辺りが論点になるかと考えております。

 次に、検討の方向性です。法令において観察研究の位置付けを、今一度きちんと明確にすることが必要ではないかと考えております。今回の段階では、まだ文言をお示しできておりませんが、今は少し明確ではない施行規則あるいは法律の中で、どういう位置付けをするとはっきりするのかというところについて、更に整理をさせていただけないかという提案です。この際に考える方向性ということになりますが、観察研究の中でも研究の目的で検査が行われる、研究の意図を持ってというところがあります。そういう意図で行われた検査について、特に侵襲が大きいなどの身体・精神に負担が大きいもの以外は、臨床研究の定義から除外する。

 ちょっと分かりにくい表現になって大変申し訳ございませんが、その次にありますように侵襲の大きい、身体・精神に負担が大きいものについては、法律でも一応臨床研究の中に入れるという形にする。まず観察研究は、一般的なものは除外するということになります。その中で身体・精神に負担が大きい、研究の目的で行われた検査が大きいものについては、臨床研究の定義に入れてはどうかという提案です。

 その上で、どういうものが身体・精神に負担が大きいのかというところについては、先ほどと同様になりますけれども、私どものほうで少し具体的に例示させていただいて、該当性の判断をするときに、そういったものを御活用いただいてはどうかと考えております。この辺りも本日は、まだ具体的な例示の部分をお示しすることができておりませんが、できれば分かりやすい形で例示することで、現場の判断の御参考としていただいてはどうかと考えております。御審議、よろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 観察研究に関する議論ですが、いかがでしょうか。日本医師会の渡辺委員、お願いいたします。

○渡辺委員 観察研究に関して、最後の事務局の検討の方向性に対しては、おおむね賛成いたします。けれども、今、事務局もおっしゃったように、検査の侵襲が大きいなど、患者の精神的・身体的負担が大きいという判断は、非常に難しいところがあるかと思うのです。それをCRBが判断するということになった場合には、以前にもちょっとお話したこどかあると思うのですけれども、CRBの判断が異なることに関して、CRBの質の担保が必要になってくるのではないかと思います。

 前回、決して批判的に述べたわけではないのですけれども、客観性に乏しいという言い方をしたときに、ちゃんとやっているぞという御意見を頂きました。けれども、透明性若しくは客観性を担保しているかという評価は、御本人たちではなく、本来は第三者が評価するものです。ですからCRBというものがきちんと標準的に動いているかというところを、まず評価するシステムがないと、担保なさっているとは思うのですが、外から見たときに、やはり評価が大きく異なると、患者の信頼性に関わってくるのではないかと思います。まずはその点を明確にしないと、事務局の案はうまく動かないのではないかと考えます。以上です。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 貴重な御意見をありがとうございます。御指摘のとおり、実際に現場で判断を頂くCRBの質については、前回も様々な御議論を頂戴したところです。特に今お話のあった、第三者が評価するような仕組みととして、は模擬審査といった取組、ピアレビューといった提案、CRBを支援して、質を高めていくような取組を御提案させていただきました。引き続きそういったところも並行して、また御意見を頂きながら進めていきたいと思います。

○楠岡部会長 それでは次に山口委員、北大の佐藤委員、花井委員の順番でお願いいたします。山口委員、どうぞ。

○山口委員 観察研究の問題については、これまでの意見にもあるように、研究をスタートするタイミングにより介入研究にもなれば観察研究にもなるというところが、非常に悩ましいのではないかと思っています。それから侵襲の大小が、CRBによって判断が変わるというような辺りも、なかなか難しいかなと思っておりました。私はこの適用範囲を、医薬品等を用いる介入研究というように明確にすべきではないかと思っております。もし法の対象から外れたとしても、先ほど藤原委員がおっしゃっていたように、きちんと指針で適用されていくので、そんなに無茶なことにはならないのではないかと思っています。

 その上で今回の検討の方向性の中で、この際ということで2つ目のポツにあるように、CRBが判断をするときに、例えば厚生労働省からの具体的な例示があれば、それに照らし合わせて複数の委員で、これはどうなのだろうと、具体的に話し合えるのではないかと思って、おおむね賛成の方向です。ただ、その具体例というのがどういうものになるのかということが見えてこないと、これで判断できるかどうかということが、了解するのがなかなか難しいと思っています。

 そこで質問です。大まかでもいいのですが、大体このような例示になると想定されているものはあるのでしょうか。もし、あるとすればどこかの段階で具体的に見せていただけると、私たちも判断材料になるのかなと思っていますから、その辺りをお聞かせいただきたいと思います。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 先ほど御説明したとおり、イメージも含めて、今回はまだ御提示できるだけの準備ができておりません。御指摘のとおり、この方向性を判断する上で非常に大事な要素であることは理解しておりますので、出来次第、また御議論をお願いできればと考えております。私どもも準備を進めてまいります。よろしくお願いいたします。

○山口委員 是非よろしくお願いいたします。

○佐藤()委員 北大の佐藤です。観察研究に関する私の考え方は、以前も申し上げたことがあると思いますし、先ほどの資料の中で、過去の意見の中にも書かれています。基本的な考え方は山口委員と同じで、臨床研究法は介入研究というのをしっかり定義する中で、そこを適用範囲にするのがよろしいと思います。普段、臨床研究を行っている立場からしますと、日本の指針なり法体系なりというのは、自分がやろうとする臨床研究がどのレギュレーションに関わるかというのが、常に悩まされているということがあります。国際整合性という問題もありますけれども、指針なのか法令なのかという悩みどころを、常に抱えながらやっているということがあります。私としては、10年来の研究者の悩みであるその辺りをしっかり解決するという意味も含めて、せっかくの機会ですから、この中で法律に関しては介入研究、非介入研究、「観察研究」という言葉でも結構ですが、指針その中で患者の安全性やデータの信頼性をどう確保するかという方向に向かっていくのが、将来の臨床研究の在り方を見ても望ましいのではないかと考えています。

 そうは言っても侵襲のあるものは、やはり法律のほうがよろしいのではないかという議論があるのも理解できるところです。しかし先ほど来出ているとおり、日本にはしっかりとした指針があります。読んでいただきますと、実は指針の中には介入とか侵襲とか、侵襲の中でも軽微なものとそうでないものの定義が、かなり詳しく書かれています。もちろん書かれていても悩ましい部分はたくさんあるのですけれども、そういった形で運用されているという実態も、よく整理していただきたいと思います。

 先ほど、計らずも私の発言の後で楠岡委員がおっしゃったとおり、今はモダリティが違うということも含めて、法の対象にならない指針の中の研究としても、患者に一定のリスクが掛かるものもありますし、そもそもこれを言っては仕様がないかもしれませんけれども、手術や手技といった一番侵襲の高い研究に関しては、指針の中でしっかり対応しています。表に出ていないだけかもしれませんが、こういったものについても指針対応の中で大きな問題が発生したというのは、今のところ私の耳には聞こえてきておりませんので、指針でも十分対応可能です。不足であれば、指針の中でしっかりしたものを作り込んでいくという方向性にして、基本的には介入と非介入で法と指針とで分けるということを、私としてはしていただきたいと考えております。以上です。

○花井委員 指針なのか法なのか、若しくは介入なのか観察なのかというコンセプトの部分で、国際的に照らし合わせても、そういう整理が本来良いのでしょうという各委員の先生方のコンセプチュアルなことについては、私も賛同します。ただ、先ほどのオフラベル問題もそうですが、例えば普通の診療だけれども、新薬が出たときにチャレンジングな場合があるわけですよね。適応で新しい薬にしたほうがいいかどうか、微妙なチャレンジングな新薬を適応内で使うので、患者にそれを勧めて使うという、いわゆる一般の患者のためのベストな診療というのも、先生によってかなり幅のある領域があるわけです。

 そういうときに普通の医薬品だけれども、ちょっと違うとか、指針で対応している部分については、おおむね問題ない部分というのは、皆さんのような方々の見えている範囲ではそうかもしれません。私の所に聞こえてくる話では、結構「これはね」というのもままあるのです。先ほど30年前とは違うと言いましたけれども、性悪説とか性善説というのは、今は大幅に改善されたということは認めます。しかし現状の過渡期の中で観察と介入というコンセプトでは、一応その方向性を目指しつつも、今回、観察についてこういう形で重くしたり軽くしたりするのが必ずしも正しいかどうかは分かりません。

 普通に病院に通って先生に同意書を書いたら、今度は「入院してください」と言われたとか、やけに採血量があり、いつもは7本ぐらいのスピッツが20本あって、そこはどうかとか、患者側からしたら負担感がすごく増えて何だろうというのがよく分からないとか。しかし本来、それはインフォームドコンセント、同意書の中で整理される話であるはずなのが、現状を見ると同意書も法やいろいろな形でやって、ちゃんとしている所は完璧な同意書の場合と、「これでやってるんですか」という場合もあります。見るのです。なので今回の事務局の対応は、かなり侵襲が多くて負担感の大きいものだけは法で書きましょうというのは、結構御都合主義と言うと怒られますが、アドホックな過渡期の対応としては、やはり必要なことかなと思いました。以上です。

○楠岡部会長 それでは藤原委員、お願いいたします。

○藤原委員 花井委員は総論賛成とおっしゃいましたけれども、私も皆さん方がこれまでおっしゃっている、観察研究の対象を侵襲うんぬんには余りこだわらずに、介入の有無ということでしっかりシンプルに定義したほうが、かえって現場の混乱や法令遵守につながるのではないかと思っています。今のように細かいことをいろいろ規定していると、机上の空論というか、規定したとしてもその解釈がばらばらになって、現場が非常に混乱するだけで、かえってそれが被験者、患者のリスクを発生させる要因にもなると思うのです。この際、観察研究の定義というのは、介入だけで定義していくという流れがよいのではないかと思います。

 ただ、最初に医師会の渡辺委員がおっしゃったけれども、前回も私が言ったように、今のCRBのクオリティーは玉石混淆です。年間3回もやってないようなCRBはバッサリ切ってしまって、ちゃんと第三者評価もしながらクオリティーの高いところで、観察研究も含めて臨床研究一般もコントロールできるような体制にしていかないと、いつまでも患者はリスクに晒されますから、そこはCRBのクオリティーチェック、クオリティーコントロールと心一心同体で進めていただければと思います。

 それから、論点をいろいろ議論する際には、私はいつも国際整合性というのが非常に気になっています。特定臨床研究法を英語で訳したらどうなるかと、いつも北大の佐藤委員がおっしゃっていますけれども、今回のコロナ騒ぎでも私は実感するのです。日本だけが浮いているという感じにはしたくないのです。世界のどこの人の目から見ても、日本は正常なことをやっているように見えるためには、国際整合性というものを常に意識していただきたいと思っております。観察研究についても例えば米国の国会図書館、NLMがやっているClinical Trials.govのオブザベーショナルスタディの定義がどうなのか、あるいはEUのクリニカルトライアルレギュレーションの中では、どういうような定義付けがされているかというのが常に手元にあって、国内のいろいろな方向性が世界の方向性とちゃんと一致しているのかというのを、委員が常に確認できるような資料立てにしていただきたいと思います。以上です。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 御指摘、ありがとうございます。確かに各国の状況がどうなっているか、今回はお示しできずに申し訳ございませんでした。今後はそういったものも整備して、御確認いただけるようにしたいと思います。何より、まず研究の意図がいつ発生しているのか、それから今まで私どもは、治療の部分と検査の部分を厳密に分けていろいろ申し上げておりましたけれども、介入をどういうように捉えていくのか、その辺も整理をしながら御確認をお願いできればと思いますので、またよろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 それでは次に山口委員、その後に新谷委員からお願いいたします。

○山口委員 先ほどの花井委員の御懸念に関してです。私も電話相談ということで、一般の方から御相談を受けている中で、「こんな研究があっていいの」と思うようなことを経験していますので、御懸念はとても分かります。だからこそ集約も含めて、CRBの質を高めていかないといけないのではないかと。そちらのほうに重点置いて改善することで、そういったことが淘汰されていくのではないかと思いました。CRBの質について、今回のこの検討会でしっかり考えていく必要があるということを改めて思いましたので、そのことを一言だけお伝えしました。以上です。

○新谷委員 国際整合性の話で、藤原委員の御意見に私も賛同いたします。特に米国NIHのほうでも、介入の定義は長年難しいところがあったということで、数年前にはっきりと定義された中に、「割り付けていること」という言葉が入っています。それがあるかないかで、現場の人間としてかなり判断がしやすくなったところがあります。日本の指針上の介入の定義というのは、必ずしも割り付けているかどうかというところは、はっきり記載されておりません。介入の定義というところも含めて、国際基準に合わせる方向で御検討いただければと考えます。

 もう1点は、先ほどからCRBの質の担保というところで、それは非常に大事なポイントだとは思うのです。一方、努力義務の研究に関しては、指針のほうの委員会で審査されている場合もあります。その場合、指針のIRBのほうに来てしまって、特定臨床研究になるべきものが努力義務で、指針の委員会で通ってしまうということが現に起こっているのです。ですので、CRBの質の担保も非常に大事ですけれども、それ以外の指針上の委員会のIRBの質の担保も大事ではないかと思います。ただ、IRBというのは日本にたくさんありますので、そこのクオリティを担保するというのは、かなり難しいことだと思うのです。そうすると、一案としては努力義務のほうからCRBでも見るというように決めていただければ、CRBの質の担保をするというところで、何が特定なのか特定でないのか、観察なのかそうでないのかというところも、CRBの判断に掛かってくると思います。その辺は厚労省として、どのようにお考えでしょうか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 御指摘、ありがとうございます。確かにIRBは非常に数があって、これをどういうようにしていくのか、非常に大きな問題かと思います。特定臨床研究なのかどうかという判断については、CRBが手数料を取らずに判断していただけるという制度にしております。こういったものを最大限御活用いただいて、まずは研究で悩ましいものというか、明確に判断できないようなものは、よりきちんとCRBで見ていただけるような形に持っていくというか、皆さんが信頼して安心してCRBに懸けていただけるように。今、CRBの質や集約化に関する御指摘もたくさんいただいておりますので、まずはその辺りをしっかり進めていきたいと思います。

○新谷委員 実際にCRBに聞いていただければいいのですけれども、IRBのほうに掛かってくる案件でIRBの質が担保されていないことから、特定になるべきものが努力義務でIRBに行って、そこで承認される場合があるのです。そうすると、CRBに伺う機会すらない研究もあることは確かです。特定になるはずのものが特定でないというところで通ってしまっている研究も、実際に目にしたことがあります。その辺を取り締まるのは難しいということは理解しているのですが、今後考えていただければと思います。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。恐らく定義がはっきりしないというところもあって、混乱を招いている部分もあるかと思います。いきなり一律に制度をガラッというのは難しいかと思いますけれども、こちらの定義の整備と、そういったものの研究者への周知なども含めて、様々な対応を考えながら引き続き状況をお伺いして、打てる手を順次打っていくという形になるかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 今、新谷委員からも御指摘の臨床研究法上のCRBと、指針に基づくIRBの間の住み分けあるいは連携は、やはり大きな問題になってくるかと思います。ただ、指針の改定で多施設共同研究は原則1IRBになってきますと、IRBの業務量も増えてきます。今はCRBはお金が掛かるけれども、IRBはただのようなところがありますし、書類の手間暇もCRBはすごいけれども、IRBはそれほどでもないという業務量の違いがあります。あるいは経済的な側面で、IRBがお得と言うと言葉が悪いのですけれども、いいというメリット、研究者側からすると使いやすいというイメージがあると思うのです。

 この辺りは多施設共同研究に関する体制が変わってくると、当然IRBもただというわけにはいかなくなってくる可能性も出てきます。その中で少し両者の間の連携、住み分けのようなものが、今後出てくるのではないかと思います。これは臨床研究部会として見ていかなければならない項目の1つだと思いますので、引き続きいろいろ御検討をお願いしたいと思います。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。観察研究も非常に幅の広い話で、藤原委員からも指摘された国際的整合性の問題もありますから、引き続き整理し、御議論いただきたいと思います。それでは3番目、利益相反に関してお願いいたします。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、3番の利益相反申告手続の適正化について御説明いたします。18ページからを御覧ください。まず現状と課題です。COIの取扱いについては、臨床研究の透明性・信頼性の向上を図る観点から非常に重要ではありますけれども、現行の手続については煩雑な上に一部事実確認が不十分であるというような御指摘をいただいています。

 具体的な内容についてについて、スキームをご覧ください。まず真ん中の研究責任医師が管理基準を策定して、その基準に照らしてCOIの状況を自己申告をしたものを、実施医療機関が事実確認をする。左のほうに赤線を引いてある部分になりますが、こういった手順がありますけれども、この所属医療機関などにおける事実確認について、必ずしも所属医師などの全ての収入を把握しているわけではないので、場合によっては責任医師の自己申告によらざるを得ない場合があるということで、客観的な確認が困難になるということで、医療機関ごとに事実確認の程度が異なるというような御指摘もありますし、確認の意義があるのかといった御指摘もいただいています。

 後ほど研究班によるアンケートの結果を御紹介したいと思いますけれども、様々なCOIの項目のうち、その項目によっては事実確認が困難であるなものがあるというようなことも認められました。アンケートについては後ほど御紹介いたしますので、先にこれまでに頂いた主な御意見について御紹介します。

 データを含めた信頼性の問題と被験者保護が重要になるので、こういったことを損なわないということを前提に簡略化を行うというのが基本的姿勢であるべき、という御意見。それから本人確認以上の客観的確認の手立てがないということであれば、虚偽申告の場合個人の責任を重くするべきである。また製薬企業が公表されている情報の活用についても言及がありました。こういったものが活用できれば、医療機関の確認が不要になるのではないか、ということもありましたけれども、業界団体への加入がないというようなことも含めて、必ずしも全てのケースで使えるわけではないということがあります。

 補足になりますが、製薬企業が公表するものは会計年度を締め切った後、確認をしてからということですので、実際の提供が行われた翌年度というところもあって、これを逐次研究のたびに確認をするものとのスケジュール上の困難ということもあります。

 それから国とかあるいは学会などでの一元管理を考えるべきである。またデータベースのようなものを置いてはどうか。そういったものあるいは企業の開示をもう少し分かりやすいところにして、統一フォームをするなど確認をしやすい形にしてはどうか、というような御意見を頂戴していました。

 続いて19ページですけれども、こちらは先ほど概略図でお示しをした利益相反管理の手続ということになりますけれども、改めて御説明を簡単にさせていただくと、まず様式Aということで管理をするための基準を代表医師が作成をした上で、様式Bで関係する企業の特定をします。それで様式Cで自己申告、定めました基準それから様式Bで規定しました企業に関しての自己申告をしてもらったものを事実確認ということで、所属医療機関のほうで確認をして様式Dというもので確認をしましたという結果を、もう一度研究者のほうに戻しまして、CRBで御確認をいただくという手順になっています。

 続いて20ページ、こちらが先ほどと同様、堀田先生の研究班による御検討の結果です。利益相反の仕組みは今申し上げたところですが、何が問題かというところで、やはり医療機関が確認をするというところについて、自己申告で自己申告を確認するということで客観的な他の事実状況からの確認ができないということで、この部分が非常に問題であるという御指摘を頂いています。

 続いて21ページにどうすべきかということで、解決に対する幾つかのオプションを示していただいています。まず1つの案として、事実確認の仕組みを廃止して、その正確性の担保は研究者御本人の責務としてはどうか。不正確なものについては「不適合」あるいは「重大な不適合」ということで取り扱う。また企業のウエブサイトで公表されているものを例えば1か所に集約して、そういったものを活用してはどうか。またオプション2として、実際にCOIがないという場合に、原理的にないことの証明は困難なので、企業の確認は求めないこととしてはどうか。

 一方で患者さんそれから一般の立場の方々からの御意見として、利益相反を客観的かつ容易に確認できるようなシステムが必要である。あと今後議論をまたお願いするSponsorinvestigatorではその重みが違うのではないかといった御指摘をいただいていました。

 続いて22ページですが、先ほど触れました利益相反に関するアンケートの結果について御紹介します。これは今年度の厚生科学特別研究においてCOICRBの質向上に関する検討の班を設けておりまして、アンケートを取っていただいたものです。目的としては利益相反の手続について運用の実態を把握して、効率的な仕組みを検討するという目的で実施していただいたものです。実施期間が6月末から7月に掛けて、webアンケートの形式で研究者それから研究機関へのアンケートがありますけれども、今回は研究機関(2)のほうのアンケートの結果の一部を取りまとめいただきましたので、この結果について紹介したいと思います。

 23ページを御覧ください。研究機関への調査ということで、先ほど申し上げましたように研究機関では自己申告の様式Cというものの事実確認を実施して、様式Dというものを作成するということになっていまして、この実施医療機関が作成するDについてどのように作成ができているか。それから情報源としては何を使っているかというところについて、お伺いしました。

 まず作成状況ということで、COIの対象となる各項目ごとにお伺いをしていますけれども、寄付金それから寄付口座、大学を経由して研究者あるいは研究室に資金が提供されるようなものについては、多くが迅速に入力あるいは少し調べればできるという回答が多くを占めていますけれども、そのあと御本人の個人的利益、役人就任、それから株式の出資、配偶者・親族の状況ということになってきますと、だんだん調べること自体が非常に困難といった回答が増えてくるという状況があります。

 またこれと相関する形で情報源ですけれども、寄付金・寄付口座については多くが管理をしている大学の担当部署、あるいは大学そのもので管理をしている情報から把握が可能であるとなっていますが、下にいくにつれてそういった管理している情報の割合が減ってくるということも見て取れます。

 こういった中で24ページを御覧ください。研究班でこのアンケートに併せて挙げられた御意見の抜粋と考察をいただいています。挙げられた意見としては、兼業申請などもあるのだけれども、総額になっているために確認ができない。それから配偶者・親族については大学にそもそも情報がない。それから実際に申告をされた情報と照合しているという言葉もありました。個人的利益など大学として把握ができないことがほとんどなのに、事実確認を求められて負担であるといった御意見をいただいています。

 研究班側の分析ということで下にありますけれども、特に配偶者・親族を含めたCOIについて調べることが不可能であるということもありますし、御本人のCOIについても株式それから出資などについては7割以上の回答機関が調べることが不可能ということで、所属機関が持っている情報というのが非常に限られていて、兼業申請を実施している医療機関もありますし、そうではないというところがありまして、やはり医療機関での確認が困難ということが改めて確認されたという結果になろうかと思います。

 その上で25ページを御覧ください。論点と検討の方向性を示しています。今これまで御覧いただいたように、医療機関の確認手順については非常に煩雑な作業をお願いする一方で、確認する根拠の資料が手元にないというようなことがありますので、そういった研究者からの申告の確認を確実に行うという観点から、実施していただく主体、方法をどのように考えていったらいいのか。

 それから確認手順の位置付けによっては、御意見にもありましたけれども本人申告の重要性が増すということが考えられますが、申告の誤り、虚偽の報告を防止するためにどういうことが考えられるか。

 それから幾つかデータベースで一元的に何か管理をする仕組みを置いたらよいのではないかという御意見がありました。仮にこういうものを置くということを考えた場合になりますけれども、どういった形の運用というか、どういうデータベースを置いてどういうふうに使うとこういった目的を果たせるようなものになるのか。その辺りが3つ目4つ目の観点ということになります。

 仮にそういったものを作ったときに考えられる幾つかの論点ということで、例えば内容・範囲・管理、それから活用あるいはこういったものの利用を推進していくような方策。それから登録内容に誤りがあった場合。種々考えられることを挙げてみていますけれども、仮にこういうものを置くとしたときにどんなコンセプトのものを置くとどういうふうに役に役に立つのかというようなこと。

 ここでは仮の話ということになって大変申し訳ないのですけれども、検討の方向性も含めて医療機関の確認に代わる手立てとしてどういうことが考えられるのか。仮にそういうものについてデータベースに何か役割を負わせるということを想定したときに、どんなことが考えられるのかというところについて、ここは何か今日決めるということではないのですけれども、いろいろな御意見を賜ればと思いますのでよろしくお願いします。

○楠岡部会長 利益相反の管理等に関する論点でありますが、御意見をお願いしたいと思います。それではまず渡辺委員、次いで山口委員、それから近藤委員の順番でお願いいたします。渡辺委員まずお願いします。

○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。1点質問なのですけれども、結局このCOIに関しまして、自己申告なのですけれどもちゃんとやっているというのは、様々な学会報告の際に話をされますけれども、結局その後例えば企業のほうからの、1年ぐらい遅れて情報が入って来て、この方のCOIに問題があったのではないかというのを行政が把握しているというということはあるのですか。どの程度COIに関して、本人が自己申告をやったけれども、実際はそうではなかったというのをどの程度存在するかという情報があるのかというのが1点。

 もう1つはデータベースを作って本人が申告して管理をするというシステムとしては、考え方としては私はいいと思うのですけれども、例えば株式とか出資が把握が困難と言っておられることに対して、データベースを作ることが解決に結びつくのか。全てのCOIがそこで管理できるかということが、若干疑問があるのですけれど、その辺りをデータベースを作ってしまえばオーケーだと行政は考えておられるのか。それとも入力する項目に関しての解決策をどのようにお考えかという、その2点を教えていただきたいです。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 御質問ありがとうございます。まずCOIの個別の状況に係る行政の把握ということになりますけれども、19ページを御覧ください。COIの今の法律上での確認の手順となっていますが、これは事実確認を医療機関で実施した後は、CRBにお諮りするという形になっていまして、いずれもCRBも守秘義務を持つ組織になりますが、個別のCOIについてルーチンに行政に御報告をいただくという形にはなっていません。

 よほど何かの不正があったということがあれば、研究の不適合ということで報告を頂戴することになる可能性がありますけれども、今のところそういう報告もありませんし、基本的にはこの研究のCRBを含めた組織の中で御確認をいただくという体制になっています。1点目については以上です。 

 2点目ですけれども、御指摘のように仮にデータベースを置くとしても、少し詳しい設計というか、そういうことをいろいろ想定をしないと、データベースさえ置けば何か解決するというものでもないと思いますし、それをどういうふうに活用していくのかという活用の仕方もありますので、是非幅広く今のような御指摘を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 では山口委員、その後近藤委員お願いします。山口委員どうぞ。

○山口委員 ありがとうございます。私はこのような委員会に入っていることも関係していると思いますが、研究者の方からともかくこのCOIのことについての負担を何とかしてほしいと数多く聞かされます。ですのでできるだけ現実的なものにする必要があるのではないかと思っている中で、アンケートにあったようにそもそも事実確認が不可能なことを確認するように求められているということ自体、意味がないのではないかと感じています。

 以前製薬企業の申告を一元管理するようなシステムが必要ではないかということを発言したこともあるのですけれども、先ほどの室長のお話にあったように、リアルタイムにならない、翌年度になるとそれを使うことが余り現実的ではないのかなという気がしました。

 今回出ている検討の方向性の中で、私は国が一元管理するということがやはり現実的というか、一番いいのかなと思っています。そうすることで、適時必要なときに申告内容が変更になったりすると、研究者がそこに加えていって、申告する側の負担が少なくなることと、先ほどの渡辺委員からの御指摘があったように、どうすればチェック機能を働かせることができるかということが課題だと思うのです。この申告漏れがあるのではないかと外から見えるようになることで、きちんと申告しないといけないというチェック機能があれば、そういうことにつながるのかなと思いますので、できれば国が一元的に管理するようなデータベースという方向性が望ましいと私も思っています。以上です。

○楠岡部会長 それでは近藤委員お願いいたします。その後藤原委員でお願いします。 

○近藤委員 ありがとうございます、近藤でございます。利益相反管理については、本来研究者の責務であるということを大前提で、手続の効率化ですとか抜け・漏れなどをなくすということで、一元的にデータベース等で管理するということは方向性としては非常に良いことではないかと考えるのですけれども、その場合網羅性ですとか実効性というのを注視していかないといけないと考えています。

 これは渡辺委員と山口委員も発言されていましたけれども、1点目の網羅性というのを考えますと、例えば株式ですとか家族の情報といったように、調べるのが困難な情報というのがあると思うのですけれども、そういうところをどうするか。また一部の団体等で対応するとなりますと、加盟していないところをどうするかということが問題として生じてくるのではないか。そうしますとまとめる所は公的な所でやっていただいたほうがいいのではないかという考えが出てくると思います。

 また実効性というところで考えますと、当然ながら利益相反管理というのが適切にかつ負担が少ないような形で管理できるようにしていかないといけないわけですけれども、そうしますと調査が難しい、不可能だという項目についてどう取り扱うかという、項目についても精査しておく必要性があるのではないかと考えています。以上です。 

○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは次に藤原委員、その後がん研究センター佐藤委員でお願いします。藤原委員どうぞ。

○藤原委員 COI管理は、皆様方が一番興味があるのが経済的なCOI管理のところだと思いますけれども、面倒くさいと言われている先生方も確定申告は多分しているわけですから、こちらを面倒くさいと言うのはちょっと変かなと思います。

 先ほど山口委員がおっしゃったように、これを本気でやるのであれば、マイナンバーと紐付けて税務署からのデータもちゃんと入れて、国がちゃんと管理していくところまで本当にやるんですかというところを考えないと、網羅性と正確性は絶対に担保できないと思います。

 国がやるとなるとその予算はどうするのか、あるいはアメリカのようにサンシャインサンシャインアクトをちゃんと作って法律上そういう情報開示を義務付けて登録することまでやるのかとなると、かなり大変なところがあると思います。

 過渡期としてやるのであれば今国内の経済的COIの管理はほとんどが会医学会連合の利益相反の管理指針に従って、各学会が運用している。学会の理事とか各委員会の委員長とかになるときにも、非常に厳密にCOI管理はされていますし、学会発表のときにも様々なCOIを皆さん登録されていると思うのですけれども、それを毎回毎回いろいろなところでやっていく手間を考えると、日本医学界連合さんとかと交渉していただいて、そういう所にデータベースを一元管理していただいて、研究者としてはそこに入れておけばいろいろな学会にも、あるいは厚労省のこういう委員会にも使える。

 製薬企業もそれで把握できるとか、そのデータベースが製薬企業にアクセスして、製薬企業の支払がリアルタイムに反映されるとか、そういう仕組みも考えられるのではないかと思います。

 いずれにしても現状では性善説に頼るのがCOIの原則です。最近医学会連合が例えばアカデミックCOIですか、自分の所属している診療科とか講座の全体のCOIまでいろいろな委員就任のときにチェックを求めたりする規定が確かあったと思うのですけれども、個人のCOIよりも更に広がったCOIの管理を今学会等で求められているところもあって、そこにも医学会連合などとコミュニケーションを取っていただいて、日本全国としてシンプルな統一化した運用をしていただければと思います。

○楠岡部会長 ありがとうございました。次、がんセンターの佐藤委員お願いします。 

○佐藤()委員 ありがとうございます。私もCOI管理についてはかなり煩雑で大変だと思うので、一元管理していただけるのがいいのかなとは思うのですけれども、個人情報でもあることなので、もちろん開示することは大事だと思うのですけれども、公開の範囲とかどういった形で公開するかは御検討いただければと思います。

 ちょっと観点が違ってもう1つだけお聞きしたいのですけれども、21ページのところに「不適合」と「重大な不適合」という言葉があって、臨床研究法の中で確かQAだったか通知だったか忘れましたけれども、不適合の内容がプロトコルとかSOPの逸脱と、捏造改ざんとかより重大なものも同じように「不適合」とされていて、臨床研究法の中では「重大な不適合」かどうかという定義がされていなくて、指針のほうには定義があるのでそちらを準用されているのかと思うのですけれども、臨床研究法で不適合が発生した場合にどこまで施設として公表しなければならなかの基準が、ちょっと分かりにくいので、別の観点で申し訳ないですけれども、今回でなくてもいいのですけれども、考え方を整理していただけるといいと思っています。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。部会長が少しかき混ぜるのは問題なのですが、部会長としてではなく1委員の立場として申し上げます。まず今回のCIO管理のスキームというのは法律ができてそれを省令に落とし込むところで初めてこういう形で管理したらどうかという案がでてきました。そのときは非常に時間が限られた中で省令を固めていかなければならないということなので、そのときの議論として余り細かいところまでは議論せずまずこの形でスタートしましょう。実際やっている中で問題点が判ってきたら、その時点で改善していくしかないですねというような合意の下で、今のスキームがスタートしたと思っています。

 今の状況としては、暫定的にスタートしたスキームでいろいろ問題点が出て来ているので、それをどう改正するかというところで、例えば研究機関の側で確認ができないようなものを求めること自身もうナンセンスではないかというような、今の御意見が出てきたと思います。

 ただそもそもCOIを考えますと、藤原委員がおっしゃったようにこれは個人の責任であって、第三者が確認してそれが正しいかどうかまで求めるのかというのが1つの点です。すなわち申告しているCOIは性善説に立って、もちろん本人が勘違いしているという点もあるかもしれませんが、少なくとも重大なCOIに関して忘れているとか勘違いはないだろうという前提の下で出していただく。

 それから2番目はCOIがないことの確認がほとんど不可能であり、またなければそれが問題になることはなくて、むしろCOIがある場合にそれをどう管理するか、研究の中でどう管理するかが非常に重要で、そこは研究の責任者あるいは代表医師に求められるところであり、もし今後Sponsorというようなものが出てくると、それはSponsorの責務というふうになってくる。

 またCRBからすると、非常に利益相反の強い方が研究の代表をしているというのはいかがなものかということで、代表者をできればCOIのない方に代わったほうがいいのではないかとか、あるいは研究の計画書がCOIと絡まった内容であれば、そこは修正すべきであるというような意見を出す。

 本来COIがないのは問題なくて、あった場合にそれをどう管理するかというところが一番の問題で、そうしますと今までの議論はないことの確認とか保護に重点があって、あった場合の取扱いということが余りまだ議論されていない。でもこれは実例が出てくればおのずから議論しないといけない点になりますが、もしその前提に立つならば、もちろんデータベース等に登録していただいて、研究者の負担を軽くするとかそういうことは必要だと思うのですけれども、本来のCOIを出していただく目的からするとCOIは最終的に公開するものであり、もし意図的にそれを隠していることがあれば、「不適合」として処罰の対象にするというような、歯止めを掛けることが必要と思います。一般的にはCOIを何がなんでも全面的に公開する必要があるのかどうかというところが1つ論点になるかと思います。

 もちろん公開しなければいけないわけですけれども、その公開の手順としてデータベースとして世間に全部さらすという形の公開なのか、CRBのレベルで把握していて、問題があればそれを公開するという形になるのか、その辺りに関してはもう少し詰めた議論が必要になってくるかもしれないと思います。

 ただ藤原委員がおっしゃるように、学会とかではCOIを全部出すのがもう当然になっている状況ですので、その現状を考えあるいは世界的な状況を考えると、データベース等に全部入れてしまって、一般に完全に公開するというのも、それは当然1つの結論ではないかと思います。この辺りを今のスキームの中での話と、それから最終的にそのスキームの目的とするところをもう一度議論する必要があるのではないかと、これは私個人の考えです。以上です。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。もともとこの法律が制定された経緯、それからその中で確認の手順をあえて入れたというところの経緯も含めて、どういう議論があったのか。それから現行で様々な学会などで取組が進んでいる中で、どのようにこのものを考えていくのか。

 本来COIというのは別に医学研究のみならず、全ての研究の中で実施される、取り扱うべきものとして、総合科学技術会議などでも議論があったところかと思いますけれども、特に人が対象となる研究を対象に特出されている中で、他の取扱いとの整合性をどういうふうに考えていくのか。その上でツールとしてのデータベースという一例を挙げて議論をお願いしますけれども、この点についても様々な論点があったと思います。

 もともとこういったものを自己責任の中でするのか、あるいはどの範囲での開示をすることで透明性が保たれたと考えているのか。その辺を今日の賜った御意見を含めて一度また整理をして、提示ができればと思いますので、引き続き御議論をよろしくお願いします。

○楠岡部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら結構これは難しい問題ですので、また事務局のほうでいろいろ検討いただいて、また引き続き御議論いただければと思います。それでは次の4番目の議題に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○医政局研究開発振興課試験推進室長 それでは、疾病等報告の取扱いについて説明いたします。26ページからを御覧ください。現状の課題について、以前も御議論いただいたところですが、大きく2つの論点があります。まず疾病等報告の主体についてです。現状ではこの疾病等報告の対象は、臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等とされております。多施設共同研究の場合でも、各研究機関ごとの責任医師により起因するかどうかを判断されるということで、施設ごとにばらつきが生じている可能性があるとの御指摘がありました。

 一方でICH-GCPでは、スポンサーが因果関係を問わず有害事象を把握した上で、因果関係があり予測できないと判断をした有害事象を、規制当局に報告をするということです。因果関係の判断などが集約をされているということがあり、特に臨床研究の中でも多施設で共同で実施をする試験のときに、どのように考えるべきかという論点がありました。

 報告期日に関しては、下線にありますとおり「既知でかつ重篤な有害事象」をCRBに報告をする期日について、未承認・適応外の医薬品は定期、1年に1度まとめて報告を頂くと。既承認医薬品などについては、発生をしてから30日以内にCRBに報告をするとなっております。2点目にありますとおり、想定されるリスクと報告期日が相反しているのではないかといった御指摘を頂いたところです。

 続いて27ページに、これまで御議論いただいた御意見をまとめております。非常に多岐にわたる御意見を頂いております。まず報告期日について、既知かつ既承認で重篤な報告は、薬機法上でPMDAにも報告されているというようなことがありますので、既存の仕組みの活用もあります。一方で、多施設共同試験においては、効果、安全性評価委員会が設置されている状況で、既承認かつ既知の症例について30日というのは実効性が薄いのではないか。臨床研究法と薬機法との並びを考えたときに、臨床研究法のほうだけが厳しくするというのは違和感があるのではないか。また、今いろいろな法律や指針がありますが、なるべく統一的に動かすことが望ましいということで、治験を参照してはどうかという御意見もありました。また、今は未承認・適応外と既承認で分類をしていましたけれども、治験と市販後といった観点を参照してはどうか。特に臨床研究法については、治験と同様の枠組みと考えるべきではないか。一方でCRBが被験者保護に責任をもっているということからすると、年に1度ではなくて30日のほうがよいのではないか。また共同研究者の間で情報が共有されているとしても、やはりCRBの評価が必要なので、未承認のものについて30日を支持するという御意見もありました。

 次も、未承認について30日のほうがよいのではないか。ここの文言についても御指摘がありました。「疾病等」と「有害事象」ということで、因果関係の判断がどうなっているのか。スポンサー概念を入れるかどうかというところも併せて考えるべきではないかという御指摘も頂きました。治験では、実施医療機関からIRBにただちに報告をされているというところを考えるべきということと、発生段階でCRBに報告をして、共同研究者の間で情報提供、共有をする仕組みをしないと、被験者保護に結び付かない。臨床研究について多施設で実施する場合に、研究中にシェアをすべき情報が発生した場合に、委員会に情報が届いて全ての施設がきちんと安全確保に利用できるような形になっているのが大事である。多施設の場合にはプロトコールで規定があって、試験の内容とリスクにおいて具体的に取扱いの規定があって、重篤な副作用が比較的高い頻度で発言する場合には、効果安全性評価委員会なども設定して、一定の手当がなされているのではないかという御意見がありました。

 また、現状、副作用の報告の機能がワークしているかどうかといった実態を把握して評価をしないといけないのではないか。それから、疾病等報告という名前が非常に不自然であって、そこを変えるべきではないかという御意見を頂きました。

 続いて28ページを御覧ください。これも研究班に係る検討の結果です。何が問題かという所で、先ほど申し上げたことと同様になりますが、1つ目は因果関係の判断の主体です。これを一元化すべきではないかということで、ここでは研究代表者を挙げています。もう一つは、今申し上げた未承認・適応外の報告について、どのようにするか。研究班としては既承認であっても、既知重篤は定期報告でよいのではないかという御意見を頂いております。

 続いて29ページです。1つ目と2つ目の論点については、それぞれ独立をしているので個別に検討してはどうかということです。先に参考として、31ページを御覧ください。薬機法を参照しつつという形になりますが、主に臨床研究法のほうを御覧ください。今回は2つ論点があり、ここでは課題①②としております。因果関係、判断の主体ということで、これは研究の体制内で複数の医療機関が入ってきたときに、誰がその判断をすべきかです。個々の医療機関内の研究責任医師がするのか、研究実施体制の中でそれを各施設の情報を取りまとめているような代表医師、あるいは今後検討いただくスポンサーといった方々がするのか。この青の枠内でどういった体制をとるのかが、1つ目の課題と理解しております。

 2つ目の報告期日については、これは研究の体制内での情報共有はそれぞれ速やかに行うこととされているのですが、これを厚労省又はCRBといった研究体制の外、第3者にどのようなタイミングで報告をして、客観性をもって評価を頂くのか、その期日をどう考えるかというように整理ができるかと思いました。

 29ページに戻ります。そういった観点から、この論点2つは独立をして検討させていただければと思います。その上で課題①の検討については、先ほど申し上げましたとおり、報告主体については、こうして御相談をしているスポンサー、試験の責任主体の議論と深く関連することから、スポンサーの検討のときに併せてもう一度この論点について御議論を頂いてはどうかと考えています。課題②の報告期日については、先ほど御紹介をしたとおり、それぞれ定期のほうに合わせるべきではないか、あるいは30日に合わせるべきではないかといった大きく2つの御意見を頂戴してきたところです。臨床研究法における疾病等報告の対象期日については、被験者保護というもともとの制度趣旨に立ち返って、改めて薬機法は薬機法としてあるのですけれども、そこから1度離れてそもそもの成り立ちを含めて確認をしてはどうかということで、検討の方向性を提示させていただければと思います。

 まず未承認・適応外の医薬品の臨床研究になります。これは、既承認の使用に比べると、もともと使用に係る情報が少ない状態で研究が始められているという背景があります。既に分かっているとはいえ、重篤な疾病が発生しており、これは重大事ということになりますので、合理的な期間内に研究体制の外にあるCRBに情報を提供することで研究の継続の可否、あるいは計画変更の可否などについて判断を仰いだほうがいいのではないかという御提案です。

 一方で、既承認の医薬品の臨床研究で発生する既知の副作用は、これは使い方も含めて承認の範囲内で行われている検討ということになりますので、重篤なものも含めて通常の診療においても起こり得る事象ということになると、むしろこちらは定期報告としてよろしいのではないかということです。30ページを御覧ください。極簡単に、現行と改正案を示しております。繰り返しになりますけれども、それぞれの研究についてそもそも備わっている情報量であるとか、通常診療との違いなどを考えたときに、現行定期としている未承認・適応外の既知重篤については30日以内、既承認の重篤を今は30日以内としているものは定期にしてよいのではないかということで、御提案として提示させていただくものです。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○楠岡部会長 疾病等報告に関しての議論ですが、御意見をお願いいたします。がんセンターの佐藤先生お願いいたします。

○佐藤()委員 30ページの改正案の未承認・適応外の所の既知を、もう少し頻度を上げるということなのですが、薬機法の整合性とは離れてということで、がんの分野で臨床研究をやっている身からすると、がんの場合は例えば既知の重篤はかなり数が起こるものです。11件を検討しても余り意味がなく、CRBでも判断は難しいかなと。もし、それがすごく多くなって頻度が従来よりも多くなれば、それは未知として取り扱われるので、上の未知のほうに分類されます。そのため、既知の重篤な有害事象を11CRBに報告していくということが、かなり研究者の負担が増えるわりには、それほど被験者保護につながらないのかなというのは、感覚としてあるというところはお伝えしたいと思います。私は、この既知重篤であっても、今までどおり定期の報告で特に問題も起こっていないかなと思いますので、定期のままでいいのかなと思います。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにありますか。まず論点の12を分けて、1に関してはスポンサーの概念と合わせて検討するという点に関しては、よろしいですか。花井委員どうぞ。

○花井委員 がんの領域では、おっしゃるとおりかなという印象はあります。問題は、既知のときに発生頻度がすごく多くなれば未知になるということなのですけれども、添付文書でもしばしば問題になって、きちんと重篤の所に書いてある。これはゲフィチニブゲフィチニブのときも裁判所でも議論になった話ですけれども、では全部赤枠にするのかという議論がかなりあったわけです。ですから、がんの領域を考えるとおっしゃるとおりかもしれませんが、他の領域も全部考えると、既知であっても重篤なものは、やはりCRBに一応報告していただくことが望ましいのではないかと、私は思います。

 それから、疾病等報告を有害事象という形で地引き網的に捕捉してでいっておいて、因果関係を否定できないか否かの判断については、一元化するという方向性は正しいのかなと。藤原委員に詳しく聞きたいのですけれども、治験の場合は有害事象で拾って全部一元的にやるということだと思うのですけれども、一般の副作用報告の場合は今は多分ワクチンは副作用因果関係というよりも、有害事象が上がってきている場合も結構あると思うのです。それをPMDAで一元化して、検討会に一定程度クラス分けをしてやっているということだと思うのです。ですから、この有害事象報告と因果関係が完全に否定できるかできないかというのは、意外に現場ではいろいろ解釈があるところなので、やはり一元的にクライテリアを定めるという方向性はいいのではないかと。イコール、スポンサーがいいとは言っていないのですけれども、これに関してはそのように考えます。以上です。

○楠岡部会長 藤原委員、コメントをお願いできますか。その後、山口委員の御質問に移ります。

○藤原委員 ワクチンの難しいところは、現行では医療機関からの報告は本当は電子化もできるのですけれども、ファックスでくるのが9割ぐらいなのです。汚い字でいろいろと書いてあるやつを全部判読し直して、データベースに入れ直しているところです。得られる情報が非常に少ない、ラナラティブな記載で限られたスペース、限られた時間の中で書いてある臨床情報、それと発生している有害事象とワクチンとの因果関係を判定するというのは非常に困難で、最近マスコミ等でも話題になっている因果関係不明が多いということになっているのは、得られる情報量が限られている中での判断で、限界があってそれを全部個別的に何十ページにわたってカルテを取り寄せて、医者のヒアリングまでして、11例について対応するのかというと、そこは現実的ではないなということもあって、現行の運用になっています。花井委員、これで回答になっていますか。

○花井委員 ありがとうございます。この前、ファックスが7割とおっしゃっていましたが、9割に増えていて大変だなと思います。コロナのワクチンについては、今は緊急事態というか、通常とかなり違う負荷が掛かっていると思うのです。やはり臨床研究においては、ある程度被験者が定まって管理された領域でやっているので、そういう意味では手間かもしれませんが、有害事象は一応把握した上で、既知であっても重篤なものはCRBに報告するというシステムを作っていただけたらと思います。ですので、現状は各医療機関で判断することになって、ばらばらになっているので、そこはやはり一元化は絶対必要かなと思います。判断の一元化です。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございます。山口委員どうぞ。

○山口委員 私も花井委員とほぼ同じなのですが、未承認・適応外については既知のものであっても重篤なものは30日にと思っていたのです。しかし、先ほど佐藤委員の発言を聞いて、確かに研究領域でがんが多いということからすると、また負担になるのかなと一旦は思ったのです。しかし、やはり研究全般ということを考えたときに、CRBが適切に判断するという機会を失ってしまうことは余りよくないことではないかと思いますので、未承認・適応外の既知であったとしても、重篤は30日かなと思います。

 それから疾病等報告は、私も有害事象にすべきだと思っております。有害事象の中から因果関係は責任医師が判断するということが妥当なのかなと思っています。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございます。北大の佐藤委員お願いします。

○佐藤()委員 まず①のほうですけれども、とにかく一元管理でお願いしたいということは、皆さんおっしゃっているとおりで、私もそう思います。そのときは、とにかく因果関係のないもので全部拾い上げた上で、一括でお願いしたいと思います。書かれている方向性がスポンサーの件と一緒になっていて具体性がないです。スポンサーの件は、またいろいろな概念で難しい議論をしてくると思うので、そこでこの話をしてしまうと、この話が軽くなったら困るので、もう少し方向性をきちんと書いておいていただいたほうが良かったのではないかと思います。

 それから期日の件ですけれども、がんセンターの佐藤委員が、がんの立場からということでおっしゃったので、一応私も総合大学でがん以外も診ている立場で申し上げます。余り強く言いたいわけではないのですけれども、CRBをやっていますと、既知のもので重篤を1例報告されても、分かっているし、こういうこともあるよねということで終わるのが、ほぼ全てになってしまいます。がんとそれほど極端に変わるわけではないので、頻度がどうなるかとか統計的にというところまではいかないかもしれませんけれども、その辺りのところのほうが重要なので、1個来てそれを深く議論するということは、既知の場合はほぼないだろうということは分かっておいていただければと思います。

 その上でどうするかというのは、まだ議論があっていいかと思います。研究自体が今はがんの特定臨床研究が圧倒的に多いですから、がんの先生方の負担になるかもしれません。理屈で言うと、がんでなくても分かっているものを報告されても、それは起こりますよね、分かりましたで終わるのが、CRBの一般的な立場にならざるを得ないということは、現場のこととして御理解いただければと思います。以上です。

○楠岡部会長 はい、ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。よろしいですか。どうぞ、花井委員。

○花井委員 今、既知の場合そんなにという意見が出ているんです。ちょっとお伺いしたいのですけど、その辺で、その添付文書できちんと「既知のもの」とたくさん書いてあって。で、「頻度不明」というものが結構ありますよね。これあるよねというのは治験、例えばRCT1000人コントロールぐらいの、いわゆる治験で大体分かってて出てくるものと、それから1000人程度では全然上がってこないのだけど、頻度不明という形で上がってくるとか、いろいろ薬機上はあると思うのですね。もし承認時はコントロールでは出てこなかったけども、その後使われたら今度あるかもしれないとか。例えば添付文書に反映するかどうかと、そこのグレーのところがあって。一概に既知を言ってもちょっとグラデーションがある気がするのですが、その辺は専門のお立場からどういう感じなのか教えていただきたいということなのですが、いかがでしょうか。

 すみません、私のはちょっと偏見というか、古い話ですが、ゲフィチニブの記憶が結構やはり私たちのグループではあるので。あのとき間質性肺炎自体はその治験ではそんなに上がってこなくて。PMDAも、あのときは添付文書に製販側が書きたくないと言ったのだけど、いや、これは入れておいたらぐらいの感じだったのですね、あの承認時は。ところが、急速に症例がダーっと出たときに、製販側はすぐやらずに、法律ぎりぎりぎりで報告されて言ってきて。結構もっと早くこんなのだったら別に法律関係なく早く言ったらいいじゃないかみたいな経緯が、当時あったわけですよ。だから、その既知ということの重み付けというのは、やはり全然違ったねというのが、かなりあれは論点になった話で。なので、その観点からお伺いしているということです。以上です。

○楠岡部会長 北大の佐藤委員お願いいたします。

○佐藤()委員 佐藤ですけれども、私が答えていいかどうかちょっと微妙で。国がんの佐藤委員とか、藤原委員のほうがお詳しいような気もしないでもないですけど。今花井委員のおっしゃったこと、確かにごもっともなのですが、先ほど私申し上げたのは、とにかく既知であるという状況で1例というのは、「はい、分かりました」になります。あとは、だから研究者側で安全性委員会なり構成をして対応する。既知だけどまた出てきた、これ頻度の問題ですし。事象としては既知だけども、より症状が強いというのはこれは既知ではなくなるということなので。本来ならば者研究者側で、事例が2例、2例が3例となったとき判断すべきことなのだと思います。ですから、そのところを、研究者側に判断してもらうのが十分ではないからということで、全てCRBに報告してもらって。CRBで、この間1例あったからその時はOKかもしれないけど、また次の月にまた出てきたら、これはどうなのかCRBで考えてくれということを重視するのであれば、30日報告ということもあり得ると思いますが、一元的には者研究者側の責務だと考えてはいます。それを不十分と捉えて、よろしくないとなるかどうかはまた皆さんのこれ議論になるかなと思っていますが、私の現場の感覚としては以上ですけど、もし国がんの佐藤委員、藤原委員、御追加いただければ有り難いなと思います。

○楠岡部会長 藤原委員、佐藤委員、いかがでしょうか。

○藤原委員 藤原ですけども。花井委員のおっしゃるとおり、既知へのレベルというのは様々あるのは、これ、私は事実だと思います。添付文書が必ずしも診療実態にリアルタイムについていけるかというのは、これ全世界の規制当局が努力をしていますが、悩ましいところでありますので、ここの扱いというのは非常に難しいなと思います。もし改正案で、その既知重篤を30日でやるのであれば、適応外については薬機法上、公衆衛生上の危害が発生する前には国に報告する義務が医師、歯科医師等にはありますので、未承認についてはこのように厳しく運用して、患者さん守ってあげると。既承認の品目で、適応外使用なんかの場合については既存の添付文書がありますから、そういう中で運用してもいいのかなというふうには、ぼやっと思いますけども。この辺りはやはり花井委員、山口委員という、その立場の方々がどういうふうに受け止られるかが非常に大事なので、私は余り何がいいとは言えません。

○楠岡部会長 ありがとうございます。

○佐藤()委員 国がんの佐藤ですけども。

○楠岡部会長 はい、お願いいたします。

○佐藤()委員 花井委員がおっしゃることもよく理解できて、本当に未承認で新薬というのであれば、そういったこともあるのかなと思うのですけど。多分臨床研究法でこの未承認適用外って、ほとんど適用外なのではないのかなと思います。用量が違うとか、違う疾患に使って。かなりもう一般で使われているものを適用外で使っている場合が多い状況下で、やはり先ほど佐藤典宏委員がおっしゃったように、1例来られてもその情報のみでの審査は、なかなか実際難しいのかなと思います。、特にがんの分野は既知の重篤な有害事象はやはりかなり数が多いので、これを30日以内でCRBに出さなきゃならないとか、、代表者が一括でやるとなると、意見の集約にも結構時間が掛かったりとかするので、30日というのが結構負担があるなというのは、現場の感覚としてあるところです。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございます。花井委員、山口委員、何か御意見ございますか。山口委員、どうぞ。

○山口委員 今の御意見を伺っていて事務局にちょっとお尋ねしたいのですけれども、未承認、適用外はこれ、一緒にまとめないといけないのでしょうか。例えば、適用外は定期で送って、未承認は既知で重篤でも30日にするとか、そういった分け方というのは可能なのでしょうか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい、お答えいたします。ちょっとどこまで法律まで行くのか、規則の改正で済むのかはありますけれども、そこは書き分けるということは可能ではあると思います。分けることは、できます。

○山口委員 はい。現場の方の話を伺っていると、やはりチェックしないといけないのは未承認と既知なのかなという気がしますので、適用外は定期にして、未承認は既知の重篤であれば30日というふうにするのが、現実としては妥当なのかなという気が、先ほど来の話を伺っていて感じました。

○楠岡部会長 ありがとうございます。花井委員、御意見ありますか。

○花井委員 なるほどなという感じで、佐藤委員のお話は聞いたのですけど。これ、ドーズはどうですかね。つまり、ほかの部位を使ってもドーズが変わると、やはり有害事象は増える可能性があるのですけど、ドーズが一緒であれば別にほかの部位に使っても副作用自体というか、有害事象自体はそんなに同じでしょうという感じはよく分かるので。

 今山口委員がおっしゃられたように、未承認と適用外を分けるとか、そういうのはあり得ると思いますし。あと、ドーズの関係でそういう使用量が一緒であったら、確かに佐藤委員の意見がなかなかそのとおりだなと思いましたが、その辺は切り分けは可能なのでしょうか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい。未承認か、承認のあるものを用法・用量、効能・効果を変えて使うという辺りについては、先ほど適用外のお話もありましたが、規定上割とすっきりと書けると思います。ただ、先ほど御議論いただいたように、実際使用が一般的なものかどうかみたいなことになると、ここは相当なリソースがかかることを覚悟しつつ、専門家の意見を聞きながら、役所のほうで規定をしていただくというようなお話をさせていただいたところです。恐らくその適用外のドーズ、それから適用がどれくらいの範囲を類似しているものと言うのか。今ドラックリポジショニングで全く異なる疾患に使ったりというようなこともあるところについては、今後も含めて使用が様々になってきますし、対象患者の状況によってそのリスクが違うというようなことを想定すると、余りその部分について大体同じものを何か法律で規定を分けるというのは、実質上なかなか困難なのかなというのが正直なところでございます。

○医政局研究開発振興課長 研究開発振興課長でございます。今いろいろ御議論いただきまして、ありがとうございます。未承認と適用外を分けるというところについては、今室長からお答えしたとおりだと思います。一方で、既承認にもいろいろあるよね。既承認の、失礼しました、適用外にもいろいろあるよねというお話終わったと思いますが、これは先ほどの適用外のところで、要は効能効果に大きく差がないものと、一定のエビデンスを持って言えるものについては、そもそも対象から外すということを今検討しております。したがって、そこをそういった先ほど花井委員がおっしゃったほとんどドーズが変わらないようなものというのは、恐らくそもそもの対象外になると思います。その上で、それで残った適用外をどうするかというところは別途議論あると思いますが、複雑になってもどうかなとは思いますので、その辺も含めて御議論、そういったところも含めて決めていくということが重要かなと思います。以上です。

○楠岡部会長 いかがでしょうか。ほかに御意見は。

○花井委員 ということは、今の御説明だと、一応その適用外重篤を、30日にするとしても、その佐藤暁洋委員が御懸念の部分は、そもそも対象としてしないということは技術的に可能という理解でよければ、それが理想的かなと思いますが。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 今課長から御説明をしたのは、ちょっと話が元に戻りますけれども、適用外の特定臨床研究にするかどうかというところで、一定の情報があるものはそもそも特定臨床研究の適用から個別に除いてはどうかというところについて議論いただいたので、仮に、そこで抜けるものがあるとすると承認されたものと使用法が似かよっていて、情報が多いものというのは実質に特定臨床研究から外れていくということになりますが、逆に残ったものについてはそれなりに情報がない、あるいは適用外といっても比較的新規性の高いようなものが残るのではないか。もちろんそういうものの中にドーズとしては同じようなものというのは出てくるかと思いますので、その辺りをどうするかというところについて御相談をしたいという趣旨になろうかと思います。

○花井委員 そういうことで。つまり、リポジショニングの中でも、特定臨床研究の定義から外れる可能性も結構あるだろうという議論だと、理解したらよろしいのですよね。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 要するに、一定の情報があるものを除くという話が先ほどございましたので。

○花井委員 なるほど。いや、分かりましたけど。

○藤原委員 楠岡先生、いいですか。

○楠岡部会長 はい、どうぞ。

○藤原委員 藤原ですけれども、花井委員の御懸念のところも非常に大枠が掛かります。例えば、抗がん剤であれば用法・用量の変更によっては31回投与が1週間1回投与になったりとか。用量に関しては、1.2倍とか、20%ぐらいの増量であればそんなには違わないでしょう。1.5倍とか、2倍になれば明らかに副作用プロファイルは変わってくるのですけれども。適応外の既知重篤についての扱いはこの定期報告でいいか、あるいは30日にしたほうがいいかというのは、正にCRBの目利きというか、専門家の集まりで審査しているわけですので、その使い方が公衆衛生上の危害を導きやすいというふうに判定されれば、30日以内にちゃんと報告してくださいねというのが本来のCRBの審査のような気はしますが。その面ではCRBのクオリティチェック、医師会の渡辺委員がずっとおっしゃっているところとのセットにはなりますけども、原則既知重篤は定期だけど、ちゃんとCRBの中でリスクは高い、この試験のリスクは高いと判定されれば、30日に変更するとかというのが、対応としては考えられるかなと思いました。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。今の御指摘はプロトコールごとにCRBが、プロトコールが出された段階で何か判断をするというような。

○藤原委員 その辺、多分倫理指針のほうだとモニタリングとか、監査というのはケースバイケースでその必要性を判断したりしているわけですから、臨床研究法上の場合もそういうのをやっていけばいいかなと思いますが、その際にはCRBのクオリティチェックは非常に大事になると思います。素通しでは困るので、そこはできればの話ですけど。この辺りは、今日は結論を出すのは非常に難しいと思いますが。

○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。今課長のほうから、特定臨床研究の範囲が変わった場合において、その外れた研究の行先は当然倫理指針のところになるかと思いますけども。その倫理指針のレベルの問題と、それからこの臨床研究法の問題、それからGCPでの薬機法上の縛りというのがすごくちぐはぐになってしまうとそれも現場の混乱の問題になるかと思いますので、その辺りもう一度事務局のほうで整理していただいて、改めてこれに関してはもう少ししっかり検討できるようにさせていただきたいと思います。その中には、今藤原委員から御指摘のありました、きつく定めておいてCRB判断で緩めるのか、あるいは逆に緩めておいてCRB判断できつくするのかというような、そういうところの具体的なテクニック的な問題も出てくるかもしれませんので、そういうものも含めて次回また以降で検討させていただきたいと思います。症例等報告に関してはほかに何か御意見等ございますか。よろしいでしょうか。

○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。先ほど、がんの臨床研究においてなかなか数が多くて手間であるというお話がありました。実際にどういう手順で情報が共有され、報告されるのか。ちょっとその辺り、私ども余り目配りがなかったところもございますので、その辺もよくお伺いしながら、今御指摘をいただいた点を踏まえて、再度御議論をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、これまでの議論を事務局でまとめていただきまして、次回以降にまた御議論いただこうと思います。本日の各論点全体を通じまして、何か御意見ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 すみません。さっきのCOIの中央データーベース化の議論なのですけども、まあ難しい。どうもその中央デジタル庁が出来るとか言ってる中で、例えば研究者番号は皆登録しているでしょうとか。もっと行けば、先ほど藤原委員が発言されたような、いわゆる個人番号とどうなのかとかということがあるので、縦割りの中でいろいろ難しいと思いますけど。そのデジタル庁辺りがどう考えているのかとちょっと気になったので、1回縦割りで作ったシステムが、またデジタル庁辺りが、これは統合するのだとか言って、ガチャガチャやったりしたら、文科省と経産省と厚労省と集まって、それ統一の議論するみたいなことになりかねないと思うのですけど。そういったところは、事務局的には他省庁の動向も見ておいていただきたいと思いました。以上です。

○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、議題1に関しましては以上とさせていただきます。

 次、その他に関しまして、事務局から何かございますか。

○医政局研究開発振興課室長補佐 はい、今回は特にございません。次回の開催については、改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上となります。

○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは本日いろいろ御議論いただきまして、ありがとうございます。また、次回以降新たな論点に関しましても御審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の臨床研究部会はこれで閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。