第166回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年7月27日(火)17:15~19:15

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階公園側)
厚生労働省 職業安定局第二会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
 
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第166回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですけれども、使用者代表の小阪委員、田原口委員が御欠席と伺っております。
本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となりますので、発言方法等につきましては、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作いただきますようによろしくお願いいたします。
カメラ撮りはよろしいですね。
では、議事に入ります。
議題1「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」及び議題2「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」。この2つを一括で議題としております。
そのうち、議題1につきましては、本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。議題2につきましては、7月21日付で厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、持ち回り開催で行われました雇用保険部会において、あらかじめ御意見を伺っております。
まず、議題1のうち「産業雇用安定助成金制度の改正」につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○労働移動支援室長 労働移動支援室の小林と申します。議題1につきまして、資料No.1-1が省令案要綱、資料No.1-2が省令案概要となっておりますが、説明に資料No.1-2を使用させていただきたいと思います。
まず、資料No.1-2の2ページをお開きいただきたいと思います。産業雇用安定助成金の制度改正でございます。
資料の説明の前に、簡単でございますが、この検討に至った経緯を説明させていただきますと、産業雇用安定助成金につきましては、コロナ禍において在籍型出向を活用した雇用維持支援策として出向元と出向先、双方への助成を行うことなどを内容としまして本年2月5日に創設して、制度開始から半年ぐらい運用してきました。
ここまで産業雇用安定助成金の活用の実績ですけれども、7月9日までの集計ですが、出向労働者が5,827人、出向元が553事業所、出向先が832事業所から計画届を全国の労働局で受理しているところでございます。
ここまで制度開始から半年間、様々な御意見、御要望を頂戴する中で、一点は現行の産業雇用安定助成金では対象としていない、出資比率50%を超えるグループ企業間の出向について助成対象とすべきではないかということに関しまして、我々、グループを形成する企業の労使からヒアリングを実施して、雇用調整の実態等をお伺いしながら支援の必要性について検討してまいったもので、今回、この一定の措置を講ずるべきということで今回の議題にのせていただいております。
2ページで、内容としましてはマル1、マル2と大きく2点の改正になりますが、1点目がグループ企業の関係でございます。
ここに書いてあるのは(ア)と(イ)で、省令改正に係る事項を2点記載させていただいておりますが、これは現行のグループ関係ではない企業間の助成と助成内容が異なる点ということで御理解いただければと思います。
(ア)は助成率の話です。グループ内出向については出向運営経費助成を大企業2分の1、中小企業3分の2、出向元が解雇しない等の上乗せを行わないというふうにしております。現行では助成率が、大企業3分の2、中小企業5分の4で、上乗せがそれぞれ4分の3、10分の9となっておりますが、現行は関係会社ではない企業間において、特に出向先企業の理解を促して、休業から在籍型出向での雇用維持に強力にシフトを促すということで高率に設定してございますが、グループ内出向につきましては同一グループ内で雇用調整が行われ、実際、労働者が稼働して、グループ一体としては利益が出ている状態への助成金ということから、通常時の雇用調整助成金やその他の雇用関係助成金で通常用いている助成率を設定したいと考えております。
2点目が(イ)の出向初期経費でございますが、現行では、下の箱に書いてありますように、各10万円と加算が各5万円ということで、出向の準備に関する経費を助成対象として定額助成としているものでございます。これは準備に要する負担の軽減を目的としておりまして、例えば就業規則の改定であったり、会社間で出向の調整をするといったことを想定しての考えておりますが、グループ内ではもともと関係性があるということでございますので、ここは初期経費の助成はグループ内では無しと考えております。
2点目のマル2で、現行の要件である一事業所当たり助成金を受給できる上限人数。これは今、500人としておりますが、これの別枠を設けるという趣旨になります。
何かと申しますと、公益の目的のために、大量の被保険者を出向させる必要があると職業安定局長が認めた場合というものを追加して、これを1,000人までを対象として、助成期間3か月助成していきたいということでございます。
どういった場合が対象となるかと申しますと、コロナ関連でワクチンの集団接種とか大規模接種とかの事業のような、公益性が高い、かつ一時的に大量の人員を要するようなものについて、本助成金を活用して人員を確保できるようにしたいと考えております。現時点で具体的に確定している事業があるわけではないのですが、今後発生した際に備えて機動的に対応できるようにするために、この機会で要件改正をお願いするものでございます。
内容につきまして、やや詳細に御説明いたしますが、7ページをお開きいただきたいと思います。
冒頭でグループ企業の関係で、我々、ヒアリングを行ってまいったと申しましたけれども、ヒアリングから支援の必要性を検討した内容が「1.新たな支援策の必要性」になります。
出向について、コロナ前については、親会社の管理職がキャリアパスのために子会社を回って最終的にマネジメント職を担うといったような事例がいわゆる通常のグループ企業内の出向でありますが、今回のコロナ禍においては、子会社の現業職が親会社に行ったり、それから、子会社間同士で雇用調整のための出向を行っている実例がありました。これはグループ内出向のコロナ禍における新しい動きではないかと思っております。
2点目、親会社は、出資比率が50%を超えるということで、いわゆるグループ企業と呼ばれますが、これにより子会社の取締役の人事権を有します。他方、今回の雇用調整の出向を行っている際の実例を聞いてみますと、子会社の社員の人事管理が一部の管理職を除いては行われておらず、原則として子会社間で調整をしながら雇用調整のグループ内出向を行っている実態がございました。
3点目、労働者目線として見てみますと、これはグループ外出向と同等の環境変化があるということで、受入先での訓練のコストであるとか、職場環境も変わりますので、メンタルケア等の必要があるという御意見をいただいております。
これを踏まえまして、4点目ですが、コロナの感染が拡大する中、雇用調整助成金による休業支援と当初の在籍型出向の雇用維持支援に加えて、グループ内企業における雇用調整の出向にも対応が必要ではないかと考えました。
グループ内出向の助成をする際の考え方が2点目に書いておりまして、出資比率50%を超えるグループ内企業間で出向させる場合は「コロナ下における特例として」と書いておりますが、これは現行のグループ外の要件はそのまま維持した上で、特例としてグループ内の助成コースを設けるといった趣旨でございます。グループ内出向を助成対象とする定義として、マル1としてコロナ禍の雇用維持のために行われていること、かつマル2として、コロナ前の通常の人事異動とは異なる類型の出向であることを確認して、これについてはグループ外出向と実態的に類似している面があって「通常の配置転換の一環として行われる出向と同等ではない出向である」と定義しまして、その上で助成金の対象とするという考え方としております。
具体的に、グループ外と内で助成内容に差を設けた点が3点目に書いてございます。
まず、上の3行、出向運営経費と出向初期経費の点で、助成率が中小3分の2、中小以外2分の1で、これは冒頭に申したように、通常の雇用調整助成金と同じ率を用いています。3点目が、出向初期経費も、冒頭に申したように、調整コストが低いという点から助成をしないという判断をしております。
ただし、2つ目の上限額、一人一日当たり1万2000円に関しては、これは現行のグループ外への助成と同様の水準としたいと考えております。上限額を例えばここも通常時と同様に低く、例えば賃金日額の8,370円としてしまいますと、現行で雇用調整助成金の休業の特例措置もある中で、この助成金を活用してグループ内でも出向を検討しようということに至らないで、結果、休業による雇用調整が選択されてしまうことも踏まえ、上限額を現行のままとすることで、助成額自体の水準を一定程度維持するという考え方です。
4点目は、一事業所当たり上限人数で、グループ内外合計で500名とさせていただいておりますが、これはグループ外でも500人となっているのですけれども、悪用防止であるとか濫給の際の歯止めという意味も含まれておりまして、グループ内を含めても意味合いは変わりませんので、500人をキープしたいと思っております。
この右の欄ですが、公益の必要上、大量の出向を行うものとして安定局長が認めた場合について、3か月まで助成する。そこは500人とは別枠で、1,000人までとするという設計としております。
それから、表の一番下の申請手続のところですけれども、2.のところで申しましたように、グループ内出向について、通常の人事異動と異なることを具体的にどのように確認していくかという点でございます。
申請手続として3点書いておりますが、コロナによる雇用維持を目的とする出向であること、それから、通常の人事異動とは異なる理由を事業主からの個別具体的な疎明をいただいて、労働局で確認したいと思っております。具体的には、様式に記載欄を設けさせていただきます。
2点目が、労使で締結する「出向協定書」に、出向の類型がコロナによる雇用維持を目的とする出向であって、通常の人事とは異なるということを明記していただくことによって、企業側と組合側で会社組織としての雇用維持・雇用調整であることを明示していただくことも事前に確保したいと考えております。
それから、3点目は、グループ内でも押しつけ出向のような、本人が不同意のものの出向への助成金の支払いを防止するために、出向の事前に「本人同意書」を必ず提出いただくといったことの3点が主な手続になります。
最後「4.施行日」でございますが、本日、御了承いただきますと、諸手続を経て、最速で8月1日の施行としたいと考えております。
説明は以上になります。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件、産業雇用安定助成金の件につきまして、御質問・御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックして、指名させていただいた後に、御発言をお願いしたいと思います。
では、新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田です。御説明ありがとうございました。
コロナ禍が想像以上に長引くなか、やはり雇用を維持するのは非常に大事と考えておりますので、今回の産業雇用安定助成金の拡充についてはやむなしと考えております。
ただ、今し方、御説明にもありましたが、申請手続において、例えば事業主からの個別具体的な疎明や出向協定書の提出、あるいは本人同意書の提出をきちんと担保していただいて、不正受給が起こらないようにしっかりとしたチェックをぜひお願いしたいと思います。創設後、間もない助成金ですので、せっかくの制度が変な形で批判されないよう、くれぐれもチェック体制の強化等をお願いします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、大下委員、どうぞ。
○大下委員 大下です。よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。
一点目は新田委員と同じ意見です。依然としてコロナの感染拡大が続いていますので、「産業雇用安定助成金制度」を今あるニーズに基づいて、グループ内出向等に適用拡大を図る改正については妥当と考えます。併せて、これも新田委員のお話にありましたが、不正受給の防止についても努めていただきたいと思っています。
他方で今後、感染がどのタイミングで収束を迎えていくのか分かりませんが、感染収束の際に、この助成金の扱いをどうしていくのかということもそろそろ考えておく必要があると思います。
また、雇用安定政策全般に関わりますが、コロナ禍で今、今回の制度を使って臨時的な出向を行っている人や、休業・失業を強いられている人たちについて、コロナ禍がある程度収束を迎えていく段階で、いろいろな企業で雇用ニーズが生まれてくる分野や、コロナ禍とは別に、慢性的な人手不足の業界や成長が見込まれる業界への円滑な労働移動という、雇用の大きな問題があります。
今後、コロナが収束していく中で、今、仕事に就けていない、あるいは本来の仕事ではないところに就いている方々を元の職に戻すと同時に、何らかの良い方法で、今申し上げたような、本来求められている円滑な労働移動に結びつけていくことが何かできないのかということも少し考え始めておく必要があると併せて思っています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますでしょうか。
では、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
今、グループ内出向ができるようになったというのは中小企業にとっても非常に喜ばしいと考えておりますけれども、財源の話とか後で出てくるかもしれませんが、いずれにしても中小企業は今から厳しいところが多いような気がしておりますので、グループ内出向先が少ない中で必死に雇用を維持しようと思って一生懸命にやるところに、必要な企業に助成金が行き渡るように制度の適正運用はお願いしたいと思っています。
大企業の方が500人、1,000人という形で出向される場合も当然あるのでしょうけれども、中小企業の場合、例えば10人単位で出向させて雇用を維持しようと必死でやっておりますので、そこら辺にも目配りをいただければと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、次に、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 どうもありがとうございます。
出向初期経費の助成がない点や上限人数が拡大されなかった点など、必ずしも十分とは言えませんが、労使のニーズの精査と熟慮をしていただいた結果であると受け止めております。在籍型出向を活用した雇用維持を前進させるものであり、妥当と判断しますので、ぜひ御提案どおり、早期に実施していただきたいと思っております。
また、今回の制度拡充によって、この産業雇用安定助成金がさらに活用されるように、厚生労働省においても、これまで以上の周知・広報をお願いしたいと思っております。労働組合としても周知に努めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問・御意見等はございますでしょうか。
それでは、次に議題1のうち「雇用調整助成金制度の改正」と議題2の「休業支援金制度の改正」につきまして、雇用保険部会での御意見も含めて、事務局から順次、説明をお願いいたします。
○雇用開発企画課長 雇用開発企画課でございます。よろしくお願い申し上げます。
まず、雇調金のほうからの御説明を申し上げます。資料で申しますと資料No.1-2でございます。
1ページ、概要を見ていただきますと、新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由によって急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方々への特例ということで、5月から7月まで実施することにしておりました特例措置につきまして、9月まで継続するというのが今回お諮りする中身にざっくり言うとなっておるところでございます。
本件につきましては、分科会における取扱い等につきまして、委員の皆様方を度々煩わせることになりまして、まずはおわびを申し上げたいと思います。
その上で「2.改正の概要」で(1)が雇調金でございます。
マル1とマル2の部分で、これが3ページにつけております表で申し上げると、マル1が原則的な措置に対応し、マル2が地域特例、業況特例に対応するということでございます。
これらのマル1、マル2ということで、3ページの表で見ていただきますと、左側が雇用調整助成金の表になってございますけれども、4月末までという列がありまして、その横に列がございますが、現在は5~7月、こちらに書いてございますような助成内容で支援することにしておりますけれども、この7月31日までの休業等を対象とする措置につきまして9月30日まで継続するというのがマル1とマル2の中身でございます。
それから、1ページにお戻りいただき「2.改正の概要」のマル3とマル4で、こちらは今ほど申し上げました日額上限、それから、助成率以外のコロナに係る特例措置につきましてでございますが、こちらにつきましてもそれぞれ7月31日までとなっておりますところを9月30日まで継続するというふうに見直す、変更する中身になってございます。
それで、5ページを御覧いただきまして、直近の支給状況だけ簡単に御紹介させていただきたいと思います。
緊急雇用安定助成金を除きました雇用保険被保険者を対象といたします雇調金の実績ということで申し上げますと、支給決定件数が308万件余りに直近で達しておりまして、額がこの5ページ、ちょっとページ番号が見づらくて恐縮なのですけれども、右下のほうの下から2つ目の数字を見ていただきますと、額的には3兆7264億円となっておるところでございます。
以上が本日の改正省令案の概要についての御説明であり、どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、これに加えまして、雇調金に関わりまして1点、最近の動きについて付け加えをさせていただければと思っております。
最低賃金の引上げに関わりまして、与党のほうから中小企業等への支援策の強化について政府に対する提言をいただいておりまして、提言には中小企業庁の所管施策、それから、労働基準局が所管する業務改善助成金に関わるもの等に加えまして、当面の対応として、雇調金に関わるものが2点含まれているところでございます。
1点目は、年末まで特に業況の厳しい企業への配慮を継続するとともに、助成率につきまして、リーマンショック時、これは中小企業で最大10分の9でございますが、そのリーマンショック時以上を確保していくというものでございます。
もう一点、これは一般会計で緊急雇用安定助成金の枠組みで行うこととしたいと思いますが、業況特例等の対象となる中小企業が事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げる場合の休業につきまして、10月から年末まで休業規模要件を問わず支給するものでございます。
これらにつきまして対応の具体化を進めていきたいと考えております。
雇調金についての御説明は以上でございます。
○雇用保険課長 続きまして、議題2は雇用保険課から御説明いたします。
資料No.2-2を御覧いただければと思います。「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要」でございます。
本法律に基づきまして、いわゆる休業支援金が設けられておりまして、この休業支援金に関する細則を省令で定めておりますが、この休業支援金の対象となる休業の期限を、これまで本年7月31日までという形で省令上位置づけられていたものを9月30日まで延長することを内容とした省令でございます。
資料につきましては、概要の次のページに措置内容が表でまとめられておりまして、基本的には雇用調整助成金とパラレルな形での対応として考えているところでございます。
右側が休業支援金で、原則、現在は助成率8割、それから、上限額9,900円のところ、地域に関しましては特例が設けられておりまして、上限額が1万1000円という形で整理しているものなど、措置内容を9月末まで延長するという内容でございます。
本省令案に関しましては、7月21日付で大臣から諮問させていただいておりますけれども、雇用保険部会は持ち回り開催で行われまして、おおむね妥当との御意見を頂戴しているところでございます。
ただ、併せまして、この雇用保険部会におきまして、労働者代表、それから、使用者代表、それぞれから御意見をいただいているところでございます。少しかいつまんで紹介いたします。
先ほど申し上げましたように、措置につきましては基本的には異論はございませんでしたが、特に今般の省令改正によりまして雇用調整助成金、休業支援金ともに9月末までの延長ということになります。特に雇用調整助成金に関しまして、本年度の半分はこの特例措置の対象期間となっていくわけでございます。
先ほど雇用開発企画課から御説明がございましたように、雇用調整助成金の支出に関しましては本年度もハイペースで維持されておりまして、現在のペースでこういった支出が続きますと年度内に確保された予算が枯渇しかねないのではないかという御意見がございまして、こうした状況下で収入、いわゆる財源の確保策を抜きにして特例の延長のみ議論するのは本来的には妥当な姿とは言えないのではないか。
そういう観点からは、早急に財源確保の具体策の検討に着手すべきであり、それに際しましては、いわゆる今回のコロナ禍が通常の、本来の失業の予防の枠を超えた対応が求められておりまして、特に今般、雇調金の対象につきましては感染症の拡大防止策となっているのではないかという観点を踏まえますと、事業主のみが負担している雇用保険二事業ではなくて、一般財源による措置などが必要になってくるのではないかという御意見がございましたので、併せてこの場で御紹介させていただければと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件について御質問・御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックして御発言をお願いいたします。
では、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。御説明ありがとうございました。
先ほども申したとおり、コロナ禍が予想外に長引いているなか、この特例措置を8月・9月にも適用することはやむを得ないと判断しています。
ただ、今し方、事務局から御紹介があったように、雇用保険部会の中でも意見が付されたようですが、コロナ禍の長期化によって既に二事業財源は枯渇していると考えております。2021年度についていえば、特例措置が半年にも及んでいるという状況です。こうした状況下で財源確保策についてきちんと議論しない中で特例の延長が行われていることはプロセスとしては適切ではないと考えています。本来であれば、早急に財源確保の具体策を検討した上で延長の議論をすべきです。
したがいまして、先ほど御紹介にありましたけれども、雇用保険部会で出された意見について、本分科会での取りまとめの文章の中にもきちんと使用者側代表委員、労働者側代表委員からの意見を明記していただきたいと考えております。ぜひ御検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、大下委員、どうぞ。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
今、新田委員が御指摘いただいた内容に重ねて申し上げますが、最初の緊急事態宣言の発出から1年3か月が経ち、足元では第5波の感染拡大により、私ども商工会議所会員についても、宿泊・飲食業を中心に、中小企業の方々は依然として大変厳しい状況で、いつ業況が回復するのか、見通せない状況が続いています。
また、先ほど御説明の中でも触れられていましたが、こうした中で10月から最低賃金が大幅に引き上がることも、今後、休業させている従業員を戻していく際に一定の負担になることは間違いないと思っています。
そうした中で、今回御提案がありました雇調金の特例措置並びに休業支援金の9月末までの延長は妥当だと思いますし、10月以降についても、その時々の雇用情勢、感染状況、あるいは中小企業の経営実態等をしっかりと踏まえて適切に判断していただきたいと思っています。
他方で、財源の問題は非常に重要です。二事業会計の枯渇化は必至の状況であり、今般のコロナ禍のような非常時における雇用安定に係る一連の財源措置については一般会計で対応すべきというのが従前からの我々の主張です。この点については検討・議論をしっかりしておく必要があると思っています。
また、これを機に、今後、同様の非常事態が起こった際に、雇用安定に係る様々な施策を打っていく上での財源の在り方について考え方を整理しておくことも必要だと思っています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。
まず、財源について、新田委員の発言に賛同したいと思います。労働者側としても、答申文に「雇用保険財源が枯渇しないよう早急に一般会計からのさらなる繰り入れをすべき」との旨を明確に記載していただきたいと思っております。
さらに意見として、国庫負担割合を本則の25%に戻すことは当然として、失業等給付に係る積立金についても一般会計からの繰り入れにより一定以上の水準に保つべきだと思っております。
最後に、9月の雇用安定助成金の特例措置については了承したいと思っておりますが、10月以降についても当面の間は現行の措置を維持すべきだと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 中央会の馬渡です。
先ほどから皆さんがおっしゃっているように、この後、まだまだ続く。それから、コロナ自体にしても、今のデルタ株なのか、ガンマ株なのか、また引き続き罹患者が増えそうな感じもしておりますので、最低賃金も上がることでもきついのに、これからまだまだきつい状況が続くことになると、やはり中小企業としては耐えられない部分が出てくるのかなと。雇用調整助成金を頼りにしてやってきて、でも、財源が足りなくて、だんだん支給額も元どおりに戻しましょうという話になるのは今、一番怖いことでもありますので、ぜひ財源も含めて議論を進めていただきたいと思っております。
また、こういうコロナ禍の緊急事態の中で将来にわたって料率が上がっていくということがないようにぜひお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、まず、議題1についてですけれども、当分科会として厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨、私から御報告を申し上げたいと思いますが、併せて、今、委員の方々から御意見がありまして、議題1の中の雇用調整助成金制度の改正に関して使用者側代表委員、労働者側代表委員からそれぞれ御意見を伺いました。そこで報告文案については、それらの意見を踏まえた記載にしていただければと思いますので、その意見を反映したような報告文案の準備をお願いしたいと思います。
では、委員の皆様方、そのままで少しお待ちください。今、報告文案の準備をお願いしたいと思います。
(報告文案準備)
○山川分科会長 お待たせしました。それでは、報告文案の記載内容も含めて委員の皆様方に御確認をいただきたいと思いますので、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 玄田委員、どうぞ。
○玄田委員 念のために読み上げをしていただくのはいかがでしょうか。
○山川分科会長 分かりました。
では、お願いします。
○雇用保険課長 それでは「記」以下を読み上げさせていただきます。
1 厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。
2 労働者代表委員及び使用者代表委員から、新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置について、現在のペースが9月末まで続けば今年度までに確保された予算を使い切るおそれもあるところ、こうした状況においては、本来、収入確保策と同時に特例措置の取扱いを議論するべきである、その際、本特例措置は感染症対策としての性格が強いものであることから、一般財源の投入を強化すべきである、との意見があった。
以上でございます。
○山川分科会長 御提案も含め、ありがとうございました。
それでは、この表示され、また、読み上げていただいた報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、御異議ございませんでしたので、そのように報告させていただきます。
また、産業雇用安定助成金についても運用等につきまして御意見をいただきましたので、御意見として踏まえていただければと思います。
続きまして、議題2につきまして、こちらは当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。この議題2につきましては、以上のような方向で御意見等はございますでしょうか。
それでは、ございませんようでしたら、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 こちらは、おおむね妥当と認めるという報告文案になっております。
では、こちらの報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、議題2につきまして、そのように報告させていただきます。
本日予定されている議題は以上でございますけれども、この際、委員から何か御発言等はございますでしょうか。
それでは、ございませんでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。大変ありがとうございました。