2021年8月31日 第2回これからの労働時間制度に関する検討会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和3年8月31日(火) 14:00~16:00

場所

厚生労働省省議室

議題

(1)裁量労働制に関する現状について
(2)その他

議事

 
○荒木座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「これからの労働時間制度に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。
また、本日は委員の皆様に加えて、東京大学大学院経済学研究科教授・東京大学政策評価研究教育センターセンター長の川口大司先生に御参加いただいております。
川口先生は、裁量労働制実態調査のデータを用いて、裁量労働制の適用が労働環境に与える影響について計量経済学的に分析研究されましたので、本検討会における議論の参考とするため、分析結果について御報告をお願いしたところでございます。
なお、本日の検討会につきましても、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、会場参加とオンライン参加の双方によって開催することといたしております。
オンラインで御参加いただいている委員の皆様、川口先生、こちらの音声・画像は届いておりますでしょうか。もし問題があれば、チャットでお知らせください。
それでは、議題に入りたいと思いますので、カメラ撮りはここまでということでお願いします。
(カメラ退室)
○荒木座長 前回初回におきましては、委員の皆様に本検討会について一言ずつコメントをいただいたところでございます。前回欠席されました島貫先生は今回初めての参加ということになりますので、もしよろしければ本検討会について一言コメントをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○島貫構成員 承知いたしました。島貫でございます。前回は欠席してしまいまして申し訳ございませんでした。
先生方の御意見も拝見しまして、私の専門である人事管理論の立場から3点ほどコメントをさせていただきます。
1点目は、自由度の高い柔軟な働き方の導入過程についてでして、導入過程をうまく進めないと、そのあとで柔軟な働き方を現場で実践するのは難しいと思っています。裁量労働制に関しても、経営にとっては生産性が向上する、労働者にとってはワーク・ライフ・バランスが実現するといった双方にとってのメリットは指摘されますけれども、そもそも裁量労働制は何のために導入するのかというところが、労使の間できちんと合意できていないといけないのではないかということです。例えば付加価値の高い仕事をしていくとか、職場を活性化していくとか、あるいは一人一人の働きがいにつなげていくとか、裁量労働制の目的を労使で共有していることが必要ではないかと思います。
2点目ですけれども、人事管理という立場から考えますと、労働時間管理の重要なところは職場での運用段階であると思っています。職場でどういうふうに労働時間が管理されていくのか、あるいはその裁量が発揮されているのかというところが、個々の職場によって、上司によって大きく変わるという点があると思います。上司が部下に対してどういう仕事を割り振っていくのか、こういった事前の対応も重要だと思うのですが、実際に仕事を始めてから、仕事を割り当ててからいろいろな変化が起こってくるわけで、そこにどう対応していくかということも併せて考えていく必要があるだろうと思っています。
実際に職場も変わるでしょうし、取引先も変わる、仕事の内容も変わっていくという中で、事前の想定とは違った状態になったときにそれをチェックできる、それに気づいて是正していく仕組みが必要なのではないかと思っています。例えば当初想定されているような裁量が実現できていないとか、あるいは労働時間を超えているとか、いろいろあると思うのですけれども、そういったことを把握したら放置しておかないで、その後に適用対象から除外するとか、問題を解決したらまた戻すとか、運用段階でのチェックとその改善策が必要だと思っています。
3点目ですけれども、裁量労働制の位置づけを考えていく必要があると思っていまして、労働法上の位置づけや整理とは別に、企業の立場からすると、裁量労働制は様々な労働時間管理の中の一つのオプションであると思っています。既にフレックスタイム制度とか、コアタイムを外したスーパーフレックスとか、そういったフレックス制度の範囲の中でも時間と場所を含めた柔軟性を十分実現できている企業があるわけですから、それに対して裁量労働制というのはどういう意義、意味を持っているのかを明確に示してあげる必要があると思っています。どういう人にこの裁量労働制を使ってほしいのか。フレックスタイム制度よりもさらに仕事の裁量が大きい働き方であるとか、労使に対して裁量労働制の位置づけを分かりやすく示してあげる必要があると思っております。
以上でございます。
○荒木座長 貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、続きまして、裁量労働制実態調査の結果について、事務局で資料を用意していただいておりますので、説明をお願いしたいと思います。
○労働条件政策課課長補佐 事務局より御説明いたします。
資料1「裁量労働制実態調査の結果について(概要②)」について御説明いたします。こちらの裁量労働制実態調査の集計結果は、先般6月25日に公表したところでございますが、その際、併せて公表した結果の概要、及びこれを基にした本検討会の第1回での御説明資料、本日の参考資料1にもつけさせていただいておりますが、こちらでは企業規模や対象業務、適用期間といった属性別でなく、全て合計したデータをお示ししたものでしたが、本日御説明させていただく資料1は、企業規模、対象業務、適用期間別等の属性別のデータですとか、現在の仕事や制度適用に係る満足度とのクロスデータ等、より細分化したデータでございます。なお、本日お示しするデータも、目次の7と8の基本属性の一部のデータを除きまして、6月25日に政府統計の総合窓口、いわゆるe-Statにおいて公表済みのデータでございます。
まず、1ページの目次を御覧ください。構成は第1回の資料と同様でございますが、最後に御参考として事業場及び労働者の基本属性に係るデータを掲載しておりますので、適宜御参照ください。
なお、ページ番号を今後とも申し上げますけれども、今回2アップにさせていただいておりますので、ちょっと分かりにくいのですが、各ページの右下に番号を振ってございますので、こちらのページ番号を御参照ください。
おめくりいただきまして、2ページ目に参照上の留意点を記載しておりますので、併せて御参照ください。
なお、本日も時間の都合上、以下記載の各データにつきましては、最も割合が高いものなど特徴的な部分を中心とした御説明とさせていただきます。
まず、3ページから31ページまでが労働時間に係る調査結果でございます。なお、労働時間に係るデータにつきましては、基本的に外れ値を含まないもの、含むもの、また、階級での回答を除いたもの、含んだもの双方を掲載しておりますが、時間の都合上、それぞれ外れ値を含まないもの、階級での回答を除いたものにつきまして御説明をさせていただきます。
4ページ、事業場調査における1日の平均労働時間数を対象業務別に適用と非適用で比較したデータでございますが、非適用より適用のほうが1時間近く労働時間が長い業務としては、新聞・出版の事業における記事又は放送番組の制作のための取材・編集の業務、大学における教授研究の業務、税理士の業務でございます。
5ページ、労働者調査における1日の平均労働時間数の対象業務別のデータでございますが、非適用より適用のほうが1時間程度労働時間が長い業務としては、デザイナーの業務、金融派生商品等の開発の業務、公認会計士の業務、建築士の業務、不動産鑑定士の業務、税理士の業務でございます。
6ページは、階級での回答を含むデータですので、御参考でございます。
7ページは、適用事業場調査における1日の平均労働時間数と1日の平均みなし労働時間を対象業務別に比較したデータですが、みなし労働時間より実労働時間のほうが1時間程度長い業務といたしましては、放送番組・映画等の制作の事業におけるプロデューサー・ディレクターの業務、金融派生商品等の開発の業務、一番下のピンク色、企画型の業務でございます。
8ページは、労働者調査における同様のデータでございますけれども、みなし労働時間より実労働時間のほうが1時間以上長い業務といたしましては、コピーライターの業務、証券アナリストの業務、金融派生商品等の開発の業務、大学における教授研究の業務、建築士の業務、一番下の企画型の業務でございます。
なお、この表の中央に記載している「認知度」の列は、このページの下の注3のとおり、労働者自身に適用されているみなし労働時間を具体的に回答した調査票の割合でございますが、これが低い業務といたしましては、大学における教授研究の業務、金融派生商品等の開発の業務でございます。
9ページは、階級での回答を含むデータでございますので、御参考です。
10ページは、事業場調査における1日の平均労働時間の企業規模別のデータですが、左側の青い列が専門型・企画型の計、中央が専門型、右側が企画型で、それぞれ適用と非適用を並べております。まず、適用だけを見ますと、計と専門型では規模の大小にかかわらず差は見られず、企画型では100人以上の規模のほうが99人までの規模と比べて30分程度労働時間が長くなっています。他方、非適用におきましては、計、専門型、企画型いずれにおきましても規模が大きくなるにつれて長くなる傾向にあります。
11ページは、事業場調査における1日の平均みなし労働時間の企業規模別のデータでございますけれども、計、専門型は、規模が小さくなるにつれて長くなる傾向にあり、企画型は100~299人の規模で最も長くなっております。
12ページは、事業場規模別の1日の平均労働時間のデータでございますが、適用については規模による違いはあまり見られません。
13ページは、同じく事業場規模別の平均みなし労働時間のデータでございますが、計、専門型は、規模が小さくなるにつれて長くなり、企画型は規模により違いはあまり見られません。
14ページは、事業場調査における労働組合の有無別に平均労働時間とみなし労働時間をそれぞれ適用、非適用で比較したデータでございます。上の横の棒グラフにて前提データとして組合の有無を専門、企画それぞれお示しし、その下の左側の平均労働時間については、専門、企画共に組合があるほうが長く、右側のみなし労働時間については、専門、企画共に組合がないほうが長くなっております。
15ページ、労働者調査における制度の適用期間が1年未満の労働者における労働時間の変化の認識については、専門、企画共に半数近くが「変わらない」と回答しております。
16ページから23ページまでが労働者調査における仕事の満足度、「満足」から「不満」の各カテゴリーにおける労働時間の分布を示したデータです。19ページまでが適用労働者、20ページ以降が非適用労働者のデータであり、いずれのページにおきましても、一番上の長い棒グラフにおいて前提データとして仕事の満足度のデータを示した上で、その下の左側に専門型、右側に企画型、それぞれ満足度別に労働時間のデータをお示ししております。
まず、16ページは適用労働者に係るデータでございますが、上の棒グラフ、専門、企画共に「満足」「やや満足」を合わせた割合は7割近くありまして、「不満」「やや不満」を合わせた割合は1割程度となっております。
各カテゴリーにおける労働時間の分布を見ると、特に左側の専門型では、週当たり60時間以上、グラフ右寄りの濃いピンク以降の割合が「満足」から「不満」になるにつれて大きくなっております。
17ページは、前のページと同様の、労働時間について外れ値を含んだデータ、続く18、19ページは、同種のデータについて、労働時間について階級での回答を含むものでありまして、それぞれ外れ値を含まないもの、含んだものであり、いずれも傾向は同様ですので、御参考とさせていただきます。
20ページから23ページまでが非適用労働者に係るデータでございますが、20ページのとおり、傾向として適用労働者と同様でございます。
21ページから23ページは、適用労働者調査と同じく御参考とさせていただきます。
24ページは、労働者調査における1日の平均労働時間の勤続年数別のデータですが、適用では特に企画型で勤続年数10~14年の部分で労働時間が長くなっておりますが、専門、企画を合わせた総数、専門、企画いずれも5~14年辺りで一番長く、ここを山にして、そこから勤続年数が短くなるにつれて、また、長くなるにつれて労働時間が短くなっていく傾向にあります。
25ページは同種のデータで、階級での回答を含んだものですので、御参考とさせていただきます。
26ページは、業務従事年数別で、これは以前の勤め先での従事年数も含めたものでございますが、その平均労働時間のデータです。総数、専門は、5~10年辺りを山にして一番長く、上下で徐々に短くなっており、企画は20年未満まで長く、その後、短くなっております。
27ページは同種のデータで、階級での回答を含んだものですので、御参考です。
28ページは、現在の勤め先での業務従事年数別ですが、これまでの同種のデータと大きな傾向は同様でございます。
29ページも同種のデータで、階級での回答を含んだものですので、御参考とさせていただきます。
30ページは制度の適用期間別でございます。専門型は、適用当初から15年頃までずっと9時間程度で、その後、徐々に短くなっておりますが、企画型は適用3年以上5年未満で一番長く、その上下で短くなっています。
31ページは同種のデータで、階級での回答を含んだものですので、御参考です。
32ページから45ページまでが労働者の健康状態に係る調査結果です。
まず、33ページは、適用労働者における仕事の満足度の各カテゴリーごとに健康状態の認識の分布を示したデータです。一番上の長い棒グラフにおいて前提データとして仕事の満足度のデータを示した上で、その下の左側に専門型、右側に企画型、それぞれ満足度別に健康状態の認識を掲載しております。
上の棒グラフ、専門、企画共に「満足」「やや満足」を合わせた割合は7割近く、「不満」「やや不満」を合わせた割合は1割程度でございます。
健康状態の認識は、専門、企画共に「満足」から「不満」になるにつれて「あまりよくない」「よくない」の割合が大きくなっています。
34ページは非適用労働者における同種のデータでございまして、傾向は適用と同様でございます。
35ページは適用労働者調査ですが、制度の適用が1年未満の労働者における前年からの健康状態の変化のデータでございます。専門、企画共に8割近くが「変わらない」と回答しています。
36ページは適用事業場調査で、事業場に設けられている健康・福祉確保措置の企業規模別のデータですが、上の専門型、下の企画型共に、中堅規模以上だと、紺色の「産業医等による面接指導」や緑色の「心と体の健康相談窓口の設置」、また、小規模だと薄ピンク色の「健康診断の実施」や濃いピンク色の「休暇取得促進措置を講じる」の割合が高くなっています。
37ページは事業場規模別のデータですが、上の専門型については、傾向は企業規模別と同様ですが、下の企画型については、規模にかかわらず紺色の「産業医等による面接指導」や緑色の「心と体の健康相談窓口」の割合が高くなっています。
38ページは、労働者の勤め先に現在設けられている適用労働者に対する健康・福祉確保措置の労働者における認識状況についての企業規模別のデータでございます。専門、企画共に、規模にかかわらずグラフの左から2番目の濃いピンク色「休暇取得促進措置を講じる」の割合が比較的高い傾向にあります。
39ページは事業場規模別のデータで、傾向は企業規模別と同様です。
40ページは、適用労働者調査における健康・福祉確保措置に対する満足度の企業規模別のデータでございますが、専門、企画共に500人以上の規模において若干「満足」の割合が高くなっております。
41ページは、事業場規模別のデータでございますが、専門、企画共に300人以上の規模において若干「満足」の割合が高くなっております。
42、43ページは、適用労働者調査における健康・福祉確保措置の希望について、制度の適用期間別のデータでございますが、42ページは専門型、43ページは企画型のデータでございます。42ページの専門型では、適用期間の長短にかかわらずグラフの左2つ「代償休日又は特別な休暇」「休暇取得促進措置」が高い割合を示しておりますが、43ページの企画型では、どの適用期間でも「休暇取得促進措置」が高いほか、適用期間10年未満において「一定期間当たりの労働時間に上限を設ける」の割合が比較的高くなっています。
44、45ページは、同じく健康・福祉確保措置の希望について、今度は仕事の満足度別のデータで、44ページが専門型、45ページが企画型でございます。それぞれ左上の横の棒グラフにて前提データとして仕事の満足度のデータを示した上で、その下の縦の棒グラフにて満足度別に健康・福祉確保措置の希望を掲載しています。専門、企画共に傾向は同様で、満足度にかかわらず左2つの「代償休日等の付与」や「休暇取得促進措置」の割合が高いほか、「不満」「やや不満」においては、茶色の「一定期間当たりの労働時間に上限を設ける」、赤色の「勤務間インターバル」、黄色の「現在設けられている健康・福祉確保措置の運用改善」の割合が比較的高くなっております。
46ページから68ページまでが裁量労働制の運用状況に係る調査結果でございます。
47、48ページは、左側に適用事業場における制度の導入理由を、右側に適用労働者における働き方の認識を掲載しております。47ページの専門型では、左側の適用事業場における制度の導入理由については、「労働者の柔軟な働き方を後押しするため」の割合が最も高く、右側の適用労働者における働き方の認識については、「時間にとらわれず、柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」のほか、「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」「効率的に働くことで、労働時間を減らすことができる」の割合が比較的高く、続く48ページの企画型でも専門型と同様の傾向にあるほか、制度の導入理由につきましては、「柔軟な働き方の後押し」に次いで、その右隣の「労働者の能力発揮を促す」「効率的に仕事を進めるよう労働者の意識改革を促すため」も同程度の高い割合を示しています。
49、50ページは、同じく制度の導入理由と働き方の認識のデータですが、今度は企業規模別に分けて示したもので、上が制度の導入理由、下が働き方の認識です。49ページの専門型、50ページの企画型共に規模により大きな傾向は変わりません。
51ページから57ページまでが適用事業場における制度の導入理由とその評価、いわゆる効果の有無を企業規模別に示したデータです。
まず、それぞれのページの見方ですけれども、上側の縦の棒グラフにて制度の導入理由の割合をそれぞれ表示しておりますが、そのうち赤の丸囲いした導入理由について、効果があったかどうか、いわゆる評価の割合を、下の左側に専門型、右側に企画型、それぞれ企業規模別に示しています。評価については、ほとんどの導入理由において規模により多少のばらつきが見られるものの、おおむね8割前後で「効果があった」としておりますが、ただ、52ページの「残業代を削減するため」においては、「効果があった」のは全体的に6割程度で、ほかの導入理由よりも低い結果となっております。
58ページ、適用事業場調査における本人同意の手続について、企業規模別に示したデータでございます。上側の専門型においては、法令上、本人同意は必要ありませんが、当該事業場において独自に制度の適用要件としている事業場の割合を左上の表に示しております。そして、この事業場を母数として、同意の各手続の割合を右に棒グラフで示しています。専門、企画共にどの規模においてもおおむね青の「書面で行う」割合が突出して最も高いですが、企画型の1,000人以上の規模のみピンクの「メールなどの電磁的方法で行うこととしている」の割合が最も高く、また、専門型においてはどの規模でも「口頭で行う」割合が企画型に比べて高くなっています。
59ページは事業場規模別のデータで、専門については企業規模別と同様ですが、企画については規模にかかわらず「メールなどの電磁的方法」の割合が書面と同程度またはそれ以上に高くなっています。
60ページ、適用事業場調査における労使委員会の労働者側委員の指名方法について、企業規模別に示したデータです。上側の専門型においては、法令上、労使委員会の設置は必要ございませんけれども、当該事業場において自主的に労使委員会を設置している事業場の割合を左上の表に示しております。そして、この事業場を母数として、労働者側委員の指名方法の割合を右に棒グラフで示しています。専門、企画共に規模が大きいと青の「労働組合による指名」が、また、規模が小さくなるにつれて赤の「労働者の過半数代表者による指名」の割合が高くなっています。
61ページは、同様に今度は事業場規模別のデータで、企画型ではどの規模でも青の「労働組合による指名」が半数超を占めております。
62ページ、事業場に設けられている苦情処理措置に関する適用労働者の認知状況について、左が企業規模別、右が事業場規模別のデータです。専門については、企業規模、事業場規模共に規模の大小で差は見られませんが、企画の企業規模別では、規模が小さくなるにつれて「苦情処理措置を知らない」割合が若干高くなっております。
63、64ページは、適用労働者の苦情の内容の企業規模別のデータです。63ページが専門、64ページが企画です。まず、ページ右下の参考にありますとおり、適用労働者において「苦情処理措置を知っている」割合は50%前後。その知っている労働者において、平成30年度に実際に苦情を申し出たことがあるのは、専門では2.1%、企画では1.3%とごく僅かとなっております。
これを企業規模別に示したデータが中央の横長の表で、このようにごく少数ではございますが、申し出た苦情の具体的内容を規模別にそれぞれ棒グラフで示しています。63ページの専門型では、どの規模でも左から3番目の「業務量が過大」、右から4番目の「賃金などの処遇が悪い」の割合が比較的高くなっています。
なお、64ページの企画型では、1,000人以上の規模を除き、標本数が少ない等のため表章ができません。
65ページ、66ページは同種のデータですが、今度は事業場規模別のデータです。65ページの専門型は、おおむね企業規模別と同様の傾向にあり、66ページの企画型については、一部の規模を除き企業規模別と同様、標本数が少ない等のため表章ができません。
67ページは、左側は企画型の適用労働者において労使委員会が十分に機能していると思うかどうかの認識を企業規模別に示したもので、規模が大きくなるにつれ緑系の「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の割合が増えますが、赤囲みされたピンク系の「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」の割合は、規模にかかわらず15%前後で、大きな差は見られません。
赤囲みされた「そう思わない」等と回答した労働者を母数といたしまして、右側の縦の棒グラフにて、労使委員会に対する具体的な改善希望の割合を企業規模別に示しておりまして、どの規模でもピンクの「その他」を除くと、緑の「労使委員会で、今よりも幅広い議題を扱うべき」の割合が高くなっております。
68ページは事業場規模別のデータでして、企業規模別とおおむね同様の傾向でございます。
69ページから74ページまでが裁量労働制の適用労働者に対する特別な手当に係る調査結果でございます。
70ページは、特別手当の有無の企業規模別のデータです。専門、企画共に規模が大きくなると手当の支給割合が大きくなる傾向にあります。
71ページ、特別手当の支払頻度の企業規模別のデータです。専門、企画共に水色の「1か月ごとに支払われている」の割合が圧倒的に高くなっております。
72、73ページは、先ほどの「1か月ごとに支払われている」と回答した事業場を母数として、特別手当の1か月の支払金額の分布の企業規模別のデータです。
72ページの専門型では、どの規模においても最も割合が高いのが紺色の「5万円以上6万円未満」またはその前後に固まっておりますが、73ページの企画型では、最も高い割合を示す箇所は規模によりばらつきがございますが、どの規模においてもおおむね専門型より金額が高めの分布となっております。
74ページは、特別手当を「1か月ごとに支払われている」と回答した事業場を母数として、その名目を調査した結果の企業規模別のデータでございますが、専門、企画共に規模にかかわらず「通常の所定労働時間を超える残業代として」の割合が最も高くなっております。
75ページから82ページまでが労働者の働き方の認識、裁量の程度に係る調査結果でございます。
76、77ページは、適用労働者における働き方に対する認識についての制度適用の満足度別のデータで、76ページが専門型、77ページが企画型です。
ページ上の横の棒グラフにて前提データとして制度適用の満足度を示した上で、下側に満足度別にそれぞれ縦の棒グラフにて働き方の認識のデータを掲載しております。76ページの専門型、77ページの企画型共に、上の棒グラフ「満足」「やや満足」を合わせた割合は8割程度でございまして、この「満足」等における働き方の認識を見ると、濃いピンク色の「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」が高い割合を示しております。
「不満」「やや不満」を合わせた割合は、専門、企画共に2割以下でございますが、この「不満」等における働き方の認識は、グラフ中央から右寄りの割合が高い傾向にあり、特に茶色の「業務量が過大」が高いほか、専門の「不満」では「賃金などの処遇が悪い」、企画の「不満」では赤の「みなし労働時間の設定が不適切である」の割合が高くなっております。
78ページから80ページまでが業務遂行における労働者の裁量の程度のうち、具体的な仕事の内容・量に係る裁量の程度についての調査結果で、グラフのピンク色系が「上司が決めている」、緑色系が「自分が決めている」ものでございます。
78ページは役職別データであり、上が適用、下が非適用です。専門、企画共に、また適用、非適用共に、役職が上がるにつれて緑系の「自分が決めている」割合が高まっていますが、専門、企画共にどの役職においても非適用より適用のほうが「自分が決めている」割合が高くなっています。
79ページが業務従事年数別のデータです。こちらも全体的に業務従事年数が長くなるにつれて「自分が決めている」割合が高まっているほか、専門については、業務従事年数が短くても、適用は非適用に比べ「自分が決めている」割合が高めの傾向にあります。
80ページは制度の適用期間別のデータです。こちらも大きな傾向としては、適用期間が長くなるにつれて「自分が決めている」割合が若干高くなっていますが、役職別や業務従事年数別ほどの大きな差は見られません。
81、82ページは、制度の適用の満足度の年収階級別のデータで、81ページが専門、82ページが企画でございます。ページ上側の横の棒グラフにて前提データとして年収階級の分布を示した上で、下側に年収階級別にそれぞれ制度適用の満足度のデータを掲載してございます。81ページの専門、82ページの企画共に年収が上がるにつれて満足度も上がる傾向にあります。
83ページから99ページまでが制度に対する意見に係る調査結果です。
84、85ページが適用事業場における制度に対する意見の産業別のデータで、84ページが専門、85ページが企画でございます。グラフ赤色の部分が「制度を見直すべき」の割合でございますが、特に85ページの企画型において、全体的に赤の部分が専門型より多く、特に金融業、保険業でその割合が高くなっております。
86、87ページは同じく産業別ですが、今度は非適用事業場のデータでございます。こちらは専門、企画共に全体的に黄色の「特に意見はない」の割合が適用に比べて高くなっています。
88ページが適用事業場における企業規模別のデータです。上が適用、下が非適用です。適用においては、赤の「制度を見直すべき」の割合については、企画型の1,000人以上の規模が5割を超えているほかは、専門、企画共にどの規模もおおむね2割前後を推移しています。
89ページは事業場規模別のデータで、上が適用、下が非適用です。右上の適用の企画型においては、どの規模も赤の「制度を見直すべき」の割合が4割前後で、最も高い割合となっています。
90ページは労働者調査ですが、業務従事年数別の制度に対する意見のデータです。同じく上が適用、下が非適用ですが、こちらについては、非適用の企画型を除きまして、年数の長短により大きな差は見られません。
91ページは労働者調査における制度の適用期間別のデータで、こちらについては適用期間が長いところで「今のままでよい」の割合が高くなっております。
92ページ以降が制度に対する意見のうち、手続負担軽減に対する意見に係るデータです。92、93ページが企業規模別のデータ。92ページが適用事業場、93ページが非適用事業場です。各ページの見方ですが、左上の棒グラフにて前提データとして制度に対する意見の割合を示し、そのうち赤の「制度を見直すべき」とした事業場を母数とし、更問として具体的な制度の見直しに対する御意見を伺いましたが、その具体的意見として「手続負担を軽減すべき」と回答した割合を右上のグラフに示し、これは企業規模別のデータでございます。下側に「手続負担を軽減すべき」割合の企業規模別データを掲載しています。
92ページの適用事業場においては、「手続負担を軽減すべき」は、専門型はどの規模も2割前後でございますが、企画型においては1,000人以上の大規模のところで特に割合が高くなっております。
93ページの非適用事業場においては、特に企画型で規模によりばらつきが見られます。
94、95ページは、同じく手続負担軽減に対する意見の企業規模別のデータですが、今度は具体的に「負担と感じている手続」についてのデータです。94ページが専門、95ページが企画でございます。ページ上の2つのグラフは、先ほどのページと同様のグラフでして、その下に具体的に「負担と感じている手続」の企業規模別のデータを掲載しております。94ページの専門では、どの規模でも赤の「労使協定の労働基準監督署長への届出」が最も割合が高く、95ページの企画では、どの規模でも赤の「報告の作成や労働基準監督署長への届出」の割合が最も高いほか、中堅以下の規模では薄緑の「労使委員会の設置」、茶色の「個別労働者からの同意」も比較的高い割合を示しているところもございます。
96、97ページが「手続負担を経験すべき」の事業場規模別のデータです。96ページの適用事業場では規模の大小で大きな差は見られませんが、97ページの非適用事業場では、専門、企画共に1,000人以上の規模において高い割合を示しております。
98、99ページは、同じく手続負担軽減に対する意見の事業場規模別のデータで、今度は具体的に「負担と感じている手続」についてのデータです。98ページの専門型、99ページの企画型共に、どの規模でも赤の「労使協定の労働基準監督署長への届出」「企画業務型裁量労働制に関する報告の作成および労働基準監督署長への届出」の割合が最も高い割合を示しています。
なお、100ページ以降は参考資料として事業場と労働者の基本属性のデータをつけておりますので、適宜御参照ください。
長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
○荒木座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明についてのコメントあるいは質疑等については、後ほどまとめて伺いたいと思います。
引き続いて、東京大学の川口大司先生より裁量労働制実態調査の結果を用いた、裁量労働制の適用が労働環境に与える影響の分析結果について、御報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○川口氏 東京大学の川口と申します。本日は発表の機会をいただきありがとうございました。
今日の発表では、裁量労働制の適用が労働時間などの労働環境に与える影響、それが労働者の健康に与える影響についてお話をしたいと思います。今回の裁量労働制実態調査の集計は、東京大学政策評価研究教育センターが厚生労働省からの委託を受けて行ったものという形になっております。ポイントとなりますのは、裁量労働制が適用される労働者とそうでない労働者の比較という観点です。この比較を行うために、今回の調査では様々な工夫が調査設計の段階からなされているということがございます。
今日の話は、データの話をいたしまして、その後に計量経済学的な推計の結果についてお話をしまして、裁量労働制の適用が労働時間等にどういう影響を与えるかというのは、労働者の属性あるいは事業所によって異なる可能性がありますので、異質性についての分析も御紹介したいと思います。最後に自由記述の部分に関して、テキスト分析の結果を御報告申し上げたいと思います。
今、少しお話ししたのですけれども、データの設計の段階から比較ができるように工夫がなされた調査になっておりますが、データは大きく分けて2つの種類がございます。1つは「労働者票」と呼ばれるもので、もう一つは「事業場票」と呼ばれるものでございます。裁量労働制が適用されている労働者とそうでない労働者、あるいは適用されている事業場とそうでない事業場で調査票が異なっているのですけれども、共通する質問項目に関しては全く同じワーディングで質問するという形で質問がされておりますので、比較可能なものに関しては全て比較可能な形で質問がされているというのが重要な特徴かなと思います。
そのように裁量労働制が適用されている労働者と適用されていない労働者、あるいは適用されている事業場とそうでない事業場が比較できるようなデータを用いて何をしたいのかということを申し上げると、我々の分析の中では、裁量労働制の適用が労働時間や睡眠時間、あるいは健康状態にどういう影響を与えているのか。因果推論というところまではなかなか行かないのですが、少なくとも相関関係としてどういう傾向が見られるかということをお話し申し上げたいと思います。
まず、労働者票を使った分析なのですけれども、やや専門用語になってしまって恐縮ですが、何が説明されるのかという変数に関して申し上げると、週当たりの労働時間ですとか1日当たりの睡眠時間といったものが説明される変数という形になります。労働時間や睡眠時間というのは、ある種水準を聞いたものなのですけれども、それの変化について被説明変数としての分析も行いましたので、後ほど御紹介申し上げたいと思います。
いわゆる処置が行われる、行われないという処置変数に関しては、裁量労働制の適用の有無というのを処置変数とした分析を行いました。裁量労働制が適用されている労働者と適用されていない労働者の比較ということを単純にしてしまいますと、そもそも適用されている労働者は、例えば学歴が高いとかそういった様々な労働者の属性が、適用されていない労働者と違っていて、その属性の違い自体が労働時間の違いなどをもたらしている可能性がありますので、属性をそろえる必要があります。そういった多変量分析を行ったというのが、我々のセンターがこの研究を受諾した理由だと考えておりまして、どのような属性をそろえたのかと申しますと、労働時間管理の方法ですとか性別、年齢、学歴といったいわゆるデモグラフィック変数と呼ばれるようなものを整えるということを行いました。また、家族の状況ですとか、勤続年数、役職、職種といった職場での立場といったものの違いも制御変数として用いて分析を行いました。
事務局のほうから記述統計量についての御説明をいただいたのですけれども、我々の分析は多変量解析をしている関係で、全ての変数がそろっていないと分析の中に乗らないということがございますので、分析の標本が若干オリジナルの標本と異なっているという点について御留意いただければと思います。サンプル構成のところは恣意的なものではないということをお示しするために、6ページのスライドのほうでは、どういった基準でサンプルを構築したのかといったことを御説明申し上げておりますので、御覧いただければと思います。
労働者票ですが、大体どれぐらい観測値数があるかということですが、非適用の労働者に関して言うと3万4000ほど、適用の労働者に関して言うと3万9000ほどありますという形になっておりまして、適用、非適用問わず専門型の労働者は85%、企画型の労働者は15%という構成比率になっております。
役職のほうで見てみますと、非適用の労働者票の中で課長クラス未満は77%、一方で、適用の労働者では82%ということでございますので、課長以上のほうが適用労働者が多いといった傾向は必ずしも見られないということでございます。
その一方、家族構成に関して、未就学児の子供がいる・いないで分けてみますと、非適用の労働者の中の8割は未就学児の子供がいないということになっておりまして、一方で、適用されている労働者の中では、未就学児の子供がいないと答えられた方は75%ということで、適用労働者のほうが子供がいらっしゃるとお答えになる労働者の方が多いという傾向が見てとれました。
まず、実際に裁量労働制が適用されている労働者と適用されていない労働者で実質的に労働者としての裁量の程度がどの程度違うのかということを分析したのですが、業務の基本的事項に関しての裁量の程度に関しては、適用されている労働者のほうが「自分で決めている」とお答えになる可能性や確率が高いということで、実質的な意味での裁量の程度が強いという傾向が見てとれました。
具体的な仕事の内容・量に関する裁量の程度というところを見ますと、「上司に相談せず、自分が決めている」というかなり踏み込んだ選択肢を選ぶ可能性は、適用労働者のほうが高いということになっております。
進捗報告の頻度に関する裁量の程度に関しては、「上司に相談せず、自分が決めている」とお答えになる方は、裁量労働制が適用されている労働者のほうが確率が高いということが分かります。
業務の遂行方法、時間配分に関する裁量の程度に関しましては、「上司に相談せず、自分が決めている」とお答えになる方は、適用労働者のほうが多いという形になっております。
出退勤に関する裁量の程度は、「自分が決めている」とお答えになる方は、「上司の相談の上」と「上司に相談せず」という限定をつけるかつけないかというのでちょっと変わってくる部分はあるのですけれども、「上司に相談せず、自分が決めている」とお答えになる方は、適用労働者の中にも多いという傾向が見てとれました。
単純に週当たりの労働時間について、非適用労働者と適用労働者の平均値を比べてみるということを行いました。非適用の方に関しては、週当たりの労働時間は約44時間。適用労働者に関して言うと46時間ということで、およそ2時間適用労働者のほうが労働時間が長いということが分かりました。
ただ、もともとの非適用労働者の労働時間の平均値が44時間ということですので、2時間というのは5%未満の差ということで、数量的なインパクトはある種限定的だということも同時に申し述べたいと思います。
睡眠時間に関しては目立った差異は見られないということであろうかと思います。
一方で、年収について階級値で聞いているのですけれども、その中間値を用いまして、それを対数変換したものを比べますと、適用労働者のほうが約20%年収が高いという傾向が見てとれます。
今は平均値だけの比較をしたのですが、平均値というのは、一部の異常値によって大きく引っ張られることが知られているので、分布全体を見てみるということを行いました。赤いほうが適用労働者の分布でございますが、緑の非適用労働者の分布に比べると、全般的に右側に寄っている。労働時間が適用労働者のほうが長いという傾向は、一部の異常値によって引っ張られているというよりも、全体的な傾向としてそのようなことが見られるということが分かりました。
睡眠時間に関して見ると、赤と緑で目立った差異があるかというと、必ずしもそういうことではないだろうということで、睡眠時間に関しては顕著な差異は見られないというふうにまとめられるかなと思います。
仕事のある日とない日で見てみると、適用労働者のほうは、仕事のある日の睡眠時間は若干短いのです。ですけれども、仕事のない日の睡眠時間は若干長い。バランスして差異が見られないということになります。
年収に関して言うと、傾向は非常に明確でございまして、赤で示されている裁量労働制が適用されている労働者の年収の自然対数値は右に寄っているということが見てとれる。これが平均値の高さにつながっているということになります。
ここまでが労働者票で分析した労働時間に関しての分析ですけれども、事業場票で同じような分析をすることができます。ここでの被説明変数は、労働者1人当たり・1日当たりの平均労働時間という形になります。労働者票とやや異なりますのは、業種ごとにこれも比較ができるということでございまして、労働時間合計・労働日数合計から休憩時間を引いた形で労働時間を定義しています。労働時間とは何かというと、事業場がタイムカード、PCのログイン、自己申告などの様々な方法によって把握している労働時間という形になります。把握の方法についても後ほど御説明申し上げたいと思います。
適用されている事業場と適用されていない事業場というのは、企業規模とか産業とか労働組合の有無とか、こういったほかの属性が異なるということがございますので、この属性をそろえた比較ということをやっていきます。ここに説明変数として挙げたものがそろえた属性という形になります。
サンプルに関して、これはオリジナルのサンプルからやや削るような形になっておりますので、どういうふうに削ったのかというのが21ページに説明してあります。
労働時間の把握の方法ですが、非適用事業場に関して言うと、タイムカードとかICカードで管理しているというところが過半数という形になっております。裁量労働制が適用されている事業場に関して言うと、自己申告の割合が非適用事業場に比べて5ポイントほど高いという形で、一つの特徴となっているということかと思います。
労働時間の分布について見てみますと、適用事業場のほうが赤、非適用事業場が緑という形になっておりますが、差異は職種によっても異なるのですけれども、全般的に申し上げて、赤い分布のほうがやや右側に位置しているという形で、労働者票の結果と整合的な形で、裁量労働制が適用されている事業場のほうが労働時間が長いような傾向が見てとれるということかと思います。
こちらはほかの職種に関しての分布ですけれども、傾向は変わらないということでございます。
ここまでが生のデータを使った適用労働者と非適用労働者の比較という形になりますが、労働者の属性とか事業場の属性を整えると、分析結果は一体どういうふうに変わるのだろうかという問題意識で分析結果を御紹介したいと思います。
26ページの表の1列目は、先ほどの分析結果と全く同じものを参考値として報告しております。裁量労働制が適用されている労働者のほうが週当たり2時間労働時間が長い。下のところに「非適用の平均」と書いてありますが、これは適用されない労働者についての平均労働時間が約44時間であるということを示しています。ですので、44時間に占める2時間ということですので、5%未満のインパクトだという形になります。
2列目に報告されている1.276という数字は、労働者の属性を制御した結果という形になっておりまして、インパクトが半分程度に減ります。労働時間の差が1.3時間程度に減少したということになりまして、この変化は何を意味しているかというと、裁量労働制が適用されるタイプの労働者の属性は、そもそも労働時間が長いタイプの労働者だろうと。なので、単純に非適用労働者と適用労働者を比較してしまうと、随分と適用労働者のほうが労働時間が長いように見えるのだけれども、もとより労働者の属性的に労働時間が長いタイプの人のほうが適用労働者になっている可能性が高いので、結果として属性をそろえると、適用、非適用の労働者の労働時間の差異というのは縮まるという形になっております。
44時間に対して1.3時間という話ですので、計算すると3%ぐらいなのです。ですので、これは統計的に有意なのですけれども、裁量労働制の労働者のほうが労働時間が長いという形で新聞等では見出しが出るわけですが、その程度というのも重要で、3%労働時間が長いという程度も含めて議論していく必要があるのかなと思います。
最後の列は、裁量労働制が適用されている労働者のほうがむしろ労働時間が短いという結果で、統計的な有意性はないので、0ということですが、これはどういう推定かと申しますと、同じ企業に勤めているのだけれども、勤めている先の事業場が異なっていて、1つの事業場では裁量労働制が適用されている、もう一つの事業場では裁量労働制が適用されていないというパターンがあったときに、同じ企業に勤めている労働者で、勤め先の事業場が異なるがゆえに、裁量労働制が適用されているか、されていないか、異なっているような労働者についての比較を行った。そういう例があまりないので、最後の数字はあくまでも参考値ということで御覧いただければと思います。
今度は職種型、専門型と企画型で労働時間が長くなる効果というのはどれぐらい違うのかというのを見てみますと、企画型のほうがインパクトは大きいということが分かりました。今度は課長クラス未満と課長クラス以上で見てみると、課長クラス未満のほうが裁量労働制が適用されると労働時間が長くなるような傾向があるということが分かりました。未就学児の子供の有無別には目立った差異は認められないという形になっております。
次に、労働時間から離れて睡眠時間の話をしたいのですが、睡眠時間に関して言うと、もとより睡眠時間に目立った差異はないという結果を申し上げたところですが、その結果が1列目に報告されております。労働者の属性をコントロールすると、その結果、2列目に出ているのですけれども、裁量労働制が適用されている労働者のほうが睡眠時間が若干長い。ただ、0.04時間ということでございますので、非常に小さな差異しかない。
平均的な睡眠時間が6.52時間ですので、裁量労働制で働いている人のほうが0.04時間睡眠時間が長いといったところで、数量的なインパクトは極めて限定的ということで、睡眠時間については裁量労働制の適用の有無による有意な差はないと結論づけることができるかなと思います。
最後の列は企業内での比較ということですけれども、これはあくまでも参考値ということで御覧いただければと思います。
仕事のある日とない日の差異ということで分けて見たのですけれども、トータルして睡眠時間に関してはそれほど大きな差異がないという結論でございますので、それがここでも引き続き発見されている。仕事がある・ないにかかわらず裁量労働制の適用されている労働者のほうが睡眠時間が若干長いような傾向が、労働者の属性を制御すると見てとれるのですけれども、数量的なインパクトは限定的ということでございます。
年収に関しての影響を議論したいのですが、1列目は先ほどと同じように属性をコントロールしない結果ですけれども、2割年収が高いという結果が出てきます。ただ、裁量労働制が適用されるようなタイプの労働者は、もとより年収が高いタイプの労働者の方が多いわけです。労働者の属性を制御して比較してみると、裁量労働制が適用されている労働者のほうが13%ほど年収が高い傾向があるということが分かります。
最後は、同じ企業の中で裁量労働制の適用の有無でその比較をしたということをやっても、同じ企業に勤めていても裁量労働制が適用されている事業場で働いている労働者のほうが7.4%ほど年収が高いという結果が出てきております。これもあくまでも参考値ということで御覧いただければと思います。
労働者票についての分析の結果をまとめますと、労働者全体に見たときには裁量労働制の適用が労働時間の増加に影響を及ぼすという事項が見てとれました。ただ、数量的なインパクトは限定的ということかなと思います。
その影響は、企画型で働いていらっしゃる方と課長クラス未満の場合に比較的大きい。
睡眠時間に関しては、ほとんど影響がないということが分かりました。
年収に関して言うと、労働者の属性を制御した場合でも、適用労働者のほうが13%ほど賃金が高いといった傾向が見てとれました。
最後に、同一事業所に勤める適用労働者。すみません。これは「同一企業」です。同一企業に勤める適用労働者と非適用労働者を比較する企業固定効果を入れた推定では精確な推定を行うことができませんでした。ここは誤植なので、最後の中黒点に関しては「同一企業に勤める」というふうに御修正いただければと思います。
次に、健康状態についての分析結果を御紹介申し上げたいと思います。これは5段階で労働者票のほうでは健康状態をお答えいただいているのですが、裁量労働制が適用されている労働者の方のほうが、健康状態が「よい」とお答えになる確率が2.3ポイントほど高い。この選択肢を選ばれる方は、非適用労働者の中では大体3割ぐらいですので、10%ぐらい「よい」という選択肢を選ぶ確率が高い。どこかで打ち消さないといけないわけですけれども、「ふつう」と答える確率が低いというところからこの差異は来ているということが分かります。
メンタルヘルスに関しても、仕事後の疲労感について質問をしているのですが、裁量労働制が適用されている労働者のほうが、「ほとんどない」とお答えになる確率が3%ほど高いという形になります。「ほとんどない」とお答えになる確率は、非適用の労働者の中では37%ほどですので、むしろ適用されている労働者のほうが疲労感がないとお答えになる可能性が高いという傾向があるということが分かります。
時間に関して、時間に追われているような感覚がありますかという質問に関して言うと、統計的に有意な差はないということでございます。
仕事の結果として、家族や自分の用事に集中できないとお答えになる可能性が高いか低いかというのを見てみますと、「全くない」の部分に関して言うと、選択の可能性というのが2.7パーセントポイント下がっているということが統計的には有意だということが言えます。ですので、適用労働者のほうが仕事で家族や自分の用事に集中できないことが「全くない」と答える確率が低いということになります。
仕事の悩みでよく眠れないという選択肢なのですけれども、統計的に有意な差異というものが認められないという形になっております。
仕事についての不安感について、適用労働者のほうが「ほとんどない」と答える確率が高いということが分かりました。
今のメンタルヘルスの状態を質問したものを、これはやや恣意的なのですけれども、合計スコアというものをつくりまして、その合計スコアを被説明変数にした分析をしました。これは特定の傾向が認められるかというと、必ずしもそうではない。合計値そのものを被説明変数にした分析もしてみたのですが、特定の傾向が認められるわけではないということです。
これまでの健康状態についての分析をまとめますと、適用労働者のほうが非適用労働者に比べて健康状態がよいと答える傾向はあります。ただ、これは適用労働者になったから健康状態がよくなったのか、あるいは健康状態がいいので適用してもらっているというような、逆因果の可能性もありまして、それについてはこのデータからは何か言えるわけではないということであります。
メンタルヘルスに関して言うと、適用労働者と非適用労働者で統計的に有意な差があるかというと、必ずしもそうではないということでございます。
今度は、事業場について労働時間の分析を行いましたが、全般的に適用されている事業場の平均的な労働者の労働時間のほうが長いという傾向がございまして、事業場属性を制御した場合と制御していない場合の結果の変化の仕方ですが、一言で言い表せるような形のシステマチックな差というのは出てきていないということで、事業場に関しての分析に関しては、まとめると、ほとんどの業務で適用事業場のほうが平均労働時間が長くなったということが言えております。
業務の種類によってはサンプルサイズが非常に小さいですので、何か確定的なことが言えるわけではないという部分もあることは留意すべきかなと思います。
今までの分析というのは、労働時間ですとか健康状態というある種水準の分析ですが、同じ個人の中での変化というものに着目した分析も行ってみました。こうすることによって、同じ個人の中で去年は非適用だったのだけれども、今年は適用になりましたと。労働時間がどのように変化しましたか、あるいは健康状態はどういうふうに変化しましたかということを調べることによって、個人間の比較よりも個人内の比較になりますので、これのほうがより異質性を考慮した分析になっているだろうということを考えました。
やってみると、これはサンプルをさらに削らないといけないので、サンプル変更の影響を見てみたのですけれども、ほとんどその影響はないということが分かりました。それが47ページ、48ページの説明です。
49ページは、去年非適用だったけれども適用になりました、この人の労働時間の変化はどうですかということを見てみた結果です。2列目を御覧いただきたいのですが、これはいろいろ属性を制御した上で、どういうふうに労働時間が変化しているかというと、非適用から適用になると、若干労働時間が長くなるような傾向は見てとれる。ただ、統計的な有意性はないということが言えます。
去年適用されていて今年も適用されている人の労働時間の変化を見てみると、減っているような傾向がある。ただ、これも統計的に有意な結果が出ていないということで、裁量労働制の状況が変化したことを使って労働時間の変化を分析しようとすると、そういう変化が起こっている労働者数が限定的だということもあって、精確な推定が難しいということが分かっています。
今度は主観的なものですが、労働時間がどういうふうに変化していますかとお伺いして、それにお答えいただいた結果ですけれども、非適用から適用に移ると「増えた」とお答えになる方が増えるという形になっておりまして、これについてはレベルの分析と同じで、適用されると労働時間が長くなるという傾向が見てとれるということです。
専門型、企画型で見てみますと、企画型のほうが面白いと思うのですが、非適用から適用になると「減った」という人の確率も増えますし、「増えた」という人も増えるのです。なので、バラエティーが増えるというか、より労働時間が多様になるという傾向が見てとれる。
課長クラス未満、以上という形で分析をしてみますと、非適用か適用で労働時間が増加する傾向がある一方で、適用から適用では労働時間が増加する確率が減るという形で、連続で適用されていると労働時間が減っていくような傾向が見られます。
未就学児の有無別の分析も面白くて、非適用から適用になると、未就学児の子供がいらっしゃらない方に関して言うと、「増えた」と答える方が増えるのです。一方で、未就学児の子供がいらっしゃる方に関して言うと、非適用から適用になると「減った」とお答えになる方がいらっしゃって、増える・減るというのは、労働者の属性によって違う方向に動いていることがあるので、これがちょっと分析が難しい部分かなと。単なる平均値の比較だけだと見えてこない部分があるのだなということが分かりました。
健康状態の変化に関して言うと、非適用から適用になると、「良くなった」とお答えになる方が増える。一方で、「悪くなった」とお答えになる方が減るという形の結果が出てきました。これはレベルの結果と同じです。
労働時間の変化についての分析の結果をまとめますと、平均としては確かに適用されると労働時間が増えるという傾向があります。ただ、適用されている状態が継続すると、労働時間は実際上も認識上もやや減少するような傾向がある。
労働者の属性次第で労働時間が増える場合もあれば、減る場合もある。なので、平均的に言ったときに、裁量労働制の適用だけをもって労働時間が増加するというのは言いにくい。
企画か専門かという業務の性質ですとか、社内の役職、未就学児の子供がいるかいないかといった労働者の状況ごとに、適用されることによってどういうふうに労働時間が変化するかというのは変わってくるので、このことから、恐らくその状況に合わせたような形での労働時間のアジャストメントというのが、裁量労働制が適用されることによって起こっているのではないかということが言えるのかなと思います。
健康状態の変化に関しては、何か特定のことが言えるかというと、必ずしもそういう傾向は見られなかったという形でございます。
ほとんど時間が過ぎているので簡単にやりたいのですけれども、では、裁量労働がどれぐらいの期間にわたって適用されているのかということによって、結果がどういうふうに変わるのかというのを見てみました。裁量労働がどれぐらいの期間にわたって適用されているかというものの分布が56ページの表になっております。裁量労働が適用されることによって、2列目と4列目を御覧いただきたいのですが、労働者の属性を制御した上で適用されると、大体1~2時間ぐらい労働時間が増えるという傾向が見えてきます。これは適用の年数によって単純に増えていくとか減っていくという話ではなくて、統計的にあまり精確な推定はできていない部分もあって、数字が跳ねるということがあります。
年収に関して申し上げますと、1年目、2年目、3年目まで増えていきますけれども、4年目になると、また増え方が減るという形になっていって、なかなか年別に分析をするということが難しい部分があります。
睡眠時間に関しても同じような分析をやっているのですけれども、もとより睡眠時間へのインパクトは小さいという話ですので、その傾向がそのまま引き継がれるという形になっております。
こちらはそのまとめという形になっています。
今までのところで労働者の属性による異質性が重要だという話をしました。例えば未就学児がいらっしゃる労働者に関して言うと、裁量労働制が適用されるようになると労働時間が減る。未就学児がいらっしゃらない方に関して言うと、適用されると労働時間が増える。そういう異質性があるのですという話をしました。異質性を事前に研究者が、この水準、この角度で切るといいだろうというふうに分析するのが一般的なのですけれども、機械学習の手法を使うと、そのサンプル分けをどういうふうにやると、その効果の異質性が一番出てくるかということが分かるということがありまして、そのような分析手法も若干適用してみました。
専門型と企画型に関してはかなり種類が違うということで、あらかじめ分けて分析をしたのですが、何を基準に分けると一番異質性が出てくるかというと、年齢だと。39歳未満か以上かによって効果の異質性の出方が違う。39歳未満の方に関して言うと、効果が大きいのです。裁量労働制が適用されていると労働時間が長くなるような傾向が39歳未満の若い方に出てくる。
企画型に関しても異質性を分ける最初の関門は年齢になっていまして、これは年齢が高いですけれども、44歳のところで分けるのが一番異質性が出てきやすい。若い人のほうが裁量労働制が適用されると労働時間が長くなるという効果が大きいというところは変わりません。
今のような形で機械学習でサンプル分けをした結果、サンプル分けを伝統的な計量経済学の手法のところに戻した分析結果が63ページという形になります。
異質性分析の結論としましては、年齢という要素がかなり大きくて、若い方に関して言うと、裁量労働制が適用されている人のほうが労働時間が長いような傾向が強く見られるということが分かった。
最後に、自由記述のテキスト分析についても御紹介したいと思います。テキスト分析は非常に難しくて、単語をいろいろ抜き出してやってみたのですが、時間の関係で資料は御覧いただきたいと思うのですが、適用されている事業場と非適用の事業場で出てくる単語にシステマチックな違いがあるかというと、必ずしもそうでもないのかなと。適用されている事業場ですと、「研究」とか「業務」とか「科学」とか「教授」とか「大学」というワードが出てきて、教授、研究職に就いていらっしゃる方は自由記入をしやすいのかなと。そういったことが分かるような感じかなというところで、その他、特に非常に大きな政策的なインプリケーションが得られるようなことが分かったかというと、必ずしもそうでもないのかなと。ちょっと粗いまとめなのですけれども、関心をお持ちいただけるようでしたら資料を御覧いただいて、後ほど質疑応答の時間にお答えさせていただければと思います。
最後のまとめですが、裁量労働制が適用されていると労働時間が長くなるような傾向はやはりあるということだと思います。ただ、数量的なインパクトというのは限定的であるというのも事実だということかと思います。健康状態に関しては、睡眠時間も含めて明確な差が見られるかというと、見られなかったということかなと思います。
最後に重要なのは、裁量労働制が適用されることによる効果というものが、労働者の属性によって異質でありまして、労働時間の多様化といったものにつながっている可能性を示唆するような結果が得られているということで、その点を注目していく必要があるのかなと思います。
最後に、最も重要なことですけれども、我々のこの研究を5人のメンバーでやっておりまして、こちらに御参加いただいていらっしゃる早稲田大学の黒田先生、東大社研の川田先生、政策研究大学院大学の泉先生、我々の大学院の学生の坪田さんに御協力いただきまして、この結果を取りまとめさせていただきました。
どうもありがとうございます。長い時間かかって申し訳ございませんでした。
以上です。
○荒木座長 川口先生、大変詳細な御説明ありがとうございました。
先生にまとめていただいた御示唆でございますが、非適用と適用を比べた場合、適用のほうが労働時間が長いけれども、属性をコントロールするとその差は小さくなる。それから、非適用から適用に移った場合の労働時間の変化というものも、労働者の属性によって増える人もいれば、減る人もいる。また、適用が続いた人の場合は減るという傾向も見られるということがありました。裁量労働制の適用が労働者の健康状態にどう影響を及ぼすかというのは、明確なことは言いがたいということだったと思います。裁量労働制適用労働者のほうが賃金面では13%程度よい処遇を受けているということも御報告いただきました。
それでは、先ほどの事務局からの説明、それからただいまの川口先生の御説明、併せて皆様から質問ないし御意見を伺いたいと思います。以下はフリーディスカッションとなりますので、御自由に御発言ください。なお、オンライン参加の先生方はチャットのほうに発言希望と出していただけると分かりやすいので、よろしくお願いします。藤村先生、お願いします。
○藤村構成員 法政大学の藤村です。
川口さん、どうもありがとうございました。今日の分析はとてもよく分かったのですが、私の興味・関心から言うと、今回の調査で裁量労働制の下で働いていて、不満だという人が1割ぐらいいらっしゃって、なぜ不満だと感じているのか。そこを丁寧に見ていくと、恐らく裁量労働制を適用している企業における現実の問題というのが見えてきそうに思うのですけれども、川口さん、今回のデータを御覧になっていて、その辺の感触というのはおありでしょうか。お願いします。
○川口氏 非常に重要な御指摘だと思います。満足度についても質問票の中に入っているので、本来は分析の対象にすべきだったと思うのですが、今回はあらかじめこの研究を始める時点で労働時間と健康状態に注目して分析をするという形で分析を進めさせていただきましたので、満足度についての分析というのは、今回の分析対象から外れておりまして、それについては私のほうで知見を持っているわけではないので、発言は控えたいと思います。
○藤村構成員 分かりました。
○荒木座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。川田委員、お願いします。
○川田構成員 筑波大学の川田でございます。
川口先生になのですが、今日はどうもありがとうございました。ただ、私は統計的なデータの分析にあまり詳しくないので、やや的外れになってしまうかなとは思うのですが、最後のほうで述べておられましたテキスト分析に関してご質問させていただきたいと思います。私自身そもそもよく分かっていないところがありますが、図の左と右で分けたときに自由記述の中で出てくる言葉の頻度に違いがあるということなのかなと思いました。
今、あまり中心的な分析の対象とはしなかったという満足度の話になってしまうのですが、例えば70ページのデータなどを見ますと、満足度の高い人も低い人も「労働」とか「時間」とか「裁量」という言葉に注目するような回答が多くて、もちろんそれらをどう評価しているのかというのは、多分正反対なのだろうけれども、例えば満足度を見るときに、高いと評価する場合も低いと評価する場合もこういうところに注目している可能性が高いという読み方ができるのかというのをちょっと考えたりしまして、このテキスト分析について、その辺りをもう少し補足していただければと思います。
以上です。
○川口氏 どうもありがとうございます。
川田先生が御指摘になられたようなことをやりたかったのですね。どういうことをやりたかったかというと、このテキスト分析をやって単語をピックアップしますと。どういう単語を自由記述欄にお書きになられた方の満足度が高い、どういう方は低い。先ほどの藤村先生の御質問にも部分的に回答することになるのかなと思うのですけれども、どういう単語を書かれている方が満足度が上がって、どういう単語を書かれている方が満足度が下がるのか、こういった分析が理屈としてはできるはずでございまして、特定の単語を書かれている方のほうが満足度が低いという回答の傾向が見られるということであると、藤村先生の先ほどの御質問、あるいは今の川田先生の御質問の問題意識に答えているといいなと思うのですが、どういうところを対処していくと不満というものを減らすことができるのかということにつながっていくのかなと思うのです。
なので、テキスト分析は可能性がある分析手法だと思うのですけれども、そもそも自由記述をしてくださる方というのが全体を代表しているのかどうかという問題とか、あとはテキスト分析を使われるときというのは、もっとサンプルサイズが大きい大量のテキストを読み込ませて分析していくということで使われる分析手法でございまして、今回もかなり大きなサンプルサイズにはなっているのですが、ややサンプルサイズが足りなかったなという部分がございまして、テキスト分析の部分で満足度について深掘りしていくことはちょっと厳しいのかなという感触を持っております。
先ほどの藤村先生の御質問に返りたいのですけれども、満足度を恐らく被説明変数にした分析をして、テキスト分析ではないのだけれども、どういう属性の労働者、あるいはどういう事業所で働いている方が不満を持ちやすいか。特に労働組合の有無別とか、こういったところに踏み込んで分析していくということが、今後このデータを利活用していくという観点からはやるべきことなのだろうなというようにも感じます。
ありがとうございます。
○川田構成員 ありがとうございました。
○荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。オンライン参加の堤先生、お願いいたします。
○堤構成員 北里大学の堤です。川口先生、大変詳細な解析をありがとうございました。大変勉強になりました。
私はデータ分布を正確に把握していないのかもしれないのですけれども、先生の今回の解析は基本的な線形の解析を行っていただいたということでよろしいでしょうか。
○川口氏 そうです。
○堤構成員 興味としては、長時間労働というのを一応念頭には置いているのですが、一定以上の労働時間をカテゴリーにして、それと健康なり睡眠時間等の関係とかいうことを今、お持ちのデータセットで可能なのかどうか、そういうところを確認させていただければと思っております。お願いします。
○川口氏 どうもありがとうございます。
堤先生の御指摘は非常に大切な御指摘で、分布全体を属性コンディションしない状態というのはお見せしたとおりなのですが、コンディションしたときにどういう分布になっているかという話は、我々はやっていないので、堤先生御指摘のカテゴリーにして特定の、例えばすごい長い時間のカテゴリーに落ちる可能性が裁量労働だとすごい上がりますみたいな話だと思うのです。それはちょっと見方を変えると、分位点回帰というふうにも解釈できると思うのですけれども、例えば5パーセンタイルのところがどういうふうに影響を受けているか、あるいはボトムの5%がどういうふうに影響を受けているかという分析です。これも非常にやるべき分析かなと思います。ですので、今回我々のほうではそこまで踏み込めていないのですが、非常に重要な御指摘であろうかと思います。
お答えになっていなくて申し訳ないですけれども、問題意識は共有しております。ありがとうございます。
○堤構成員 ありがとうございます。
先生の解析で全体の傾向が非常によく分かりましたので、またそういうところでも教えていただくと、本当に属性ベースというか、就業ベースでいろいろなことが分かるかなと思って、大変興味深く伺いました。
ありがとうございます。
○川口氏 ありがとうございます。
私が今、ここで申し上げることではないかもしれないですけれども、これは統計法に基づいて二次解析ができるような制度的な環境は整っていると理解しておりますので、多くの研究者の方が様々な角度からこのマイクロデータを分析して理解が深まっていくといいなと思っております。ありがとうございます。
○荒木座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
私から事務局の御説明について御質問させていただいてよろしいですか。資料1の72ページ辺りで特別手当の1か月の平均支払い額が示され、そして74ページなどでは手当の名目が書いてあります。一番左側の青は「通常の所定労働時間を超える残業代として」払う。その次は「業務の成果として」払う。「業務遂行の能力が高いことへの見合いとして」払うとあります。この特別手当というものがどういう手当なのかというのが重要かと思います。このデータの冒頭に平均実労働時間とみなし時間の差というのが出てきています。この差に対しての手当と見ますと、差があるので、それを十分カバーしている手当なのかという話になっていきますが、この手当というのはそういうものではなくて、業務の成果とか能力への見合い、様々なものが入っているとすると、そこも含めて考えないといけないということだと思うのですけれども、実働時間とみなしの差とこの特別手当が連動しているかとか、その辺の分析、データ、そういうものはあるのでしょうか。
事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
今の荒木委員の御指摘でありますけれども、御指摘いただいたような直接のデータはここからは出ませんので、そういったこと、あるいは同様の趣旨のデータの読み取り方ができるかどうかというのは、今後検討をさせていただきたいと思います。
○荒木座長 労働者の不満の内容がみなし時間と実働で乖離があって、その分の割増賃金をもらっていないということなのか、そうでないのかという辺りの分析において重要な事項かと思いますので、もし今後検討できればお願いしたいと思います。
○労働条件政策課長 はい。
○荒木座長 ほかに御意見等ございますでしょうか。藤村委員、どうぞ。
○藤村構成員 今の点なのですが、実際労働組合が会社側と交渉する際に、この仕事、あるいはこの人たちを裁量労働の対象にしましょうと。その場合、実際に何時間ぐらい働いているかというデータがありますので、いわゆる残業見合いで30時間分の残業手当として月に幾ら、あるいは25時間なのかとか、そういう交渉をしているようなのです。ですから、これは企業によって決め方が相当違うなという気がしています。だから、通常労働組合がある会社では、労働実態に合わせた形で裁量労働手当ということを決めて裁量労働に入るというやり方をしているのではないかなと思います。
以上です。
○荒木座長 これは裁量労働制の理解の仕方がいろいろと違っておりまして、時間外手当の簡便な払い方を可能とする制度だと理解している場合は、今おっしゃったように、実働の時間外労働は幾らかというのをざっくりと決めていい、そういう制度と受け取る向きもあるのです。けれども、もともと裁量労働制を導入したときにはそういうものでは全くない制度として、時間の縛りを取り払ったほうが労使双方にとってよい制度となるのではないかという議論もあって、その辺りが今日御指摘もありましたが、裁量労働というのはどういう目的の制度なのかということを改めて確認しないといけないということかというふうに承った次第でした。
ほかにはいかがでしょうか。
黒田先生、川口先生の分析に参加していただいておりましたが、何か補足的なコメント等ございましょうか。
○黒田構成員 いえ。川口先生がお話ししてくださったとおりです。川口先生、ありがとうございます。
○荒木座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。ごめんなさい。島貫先生から質問が挙がっておりました。失礼いたしました。お願いいたします。
○島貫構成員 島貫です。川口先生、どうもありがとうございました。
御発表の前半部分で非常に興味深い点がありまして、裁量労働制の適用者のところでどのくらいの裁量の程度があるのかを4段階に分けて御説明されていたと思います。川口先生の御説明だと、自分で決めているかどうかではなくて、上司に相談しているのかいないのかというところをかなり強調して違いがあるとおっしゃっていたと記憶しています。
私の質問は、裁量労働制が機能するというときの裁量の程度というのは、自分が決めているかどうかということでなくて、上司に相談しない、かなり高い自由度が求められるというふうに解釈していいのかどうかを教えていただけると幸いです。
○川口氏 ありがとうございます。
4段階で聞いているのです。「どちらとも言えない」というのを入れると5段階ですけれども、「自分に相談なく、上司が決めている」というパターンから始まって、「上司に相談せず、自分が決めている」というパターンまでで、質問によって、「上司に相談の上、自分が決めている」と「上司に相談せず、自分が決めている」、この2つのカテゴリーを1個にしてしまっても問題がないところと、あと、上司に相談の上、自分が決めているか、相談せず、自分が決めているかという重要な質問項目がございますね。
これは業務のどういう内容についての裁量かということで回答のパターンが異なっているので、そこをちょっと深掘りして考えていないのですけれども、我々の分析の範囲の中で、どういう内容に関しては上司の関与が重要で、どういう内容に関しては上司の関与は重要でないというふうになるのか、回答パターンの分かれ方が何によって決まっているのかというのは、何について質問しているかということでどういう傾向があるのか、もう少し一般化して考える必要があるのかなと今の島貫先生の御質問を伺いながら思いました。
すみません。十分な回答になっていなくて申し訳ないのですけれども、重要な点だと思います。
○島貫構成員 ありがとうございます。
○荒木座長 続いて、小畑先生からも質問が出ております。お願いします。
○小畑構成員 川口先生、詳細な御説明、誠にありがとうございました。大変多くのことを学ばせていただきました。いろいろと新しい発見があったのですが、特に状況に応じたアジャストメントが起こっているのではないか。裁量を適用された方々がそれをどのように活用されているかというところが大変興味深く存じました。
御質問させていただきたいのは、川口先生がこの御研究をする前と完成された後で予想外だったなと強くお感じになったことは何でしょうか。よろしくお願いいたします。
○川口氏 どうもありがとうございます。
ほかのメンバーと相談しているわけではないので、これはあくまでも私の個人的な感想になってしまうのですけれども、裁量労働制のほうがもっと労働時間が長いのかなと思っていたのです。なのですけれども、確かに長いのだけれども、数量的な効果が限定的だったというのが、思っていたよりも効果が小さいのかなと主観的に思いました。
もう一つは、まさに小畑先生が御指摘になったことですが、異質性です。これはメンバーの中で議論しているときにも出てきたことですけれども、状況に応じてアジャストしていくということが出てきたというのはとても面白い傾向で、その部分に関しては、恐らく裁量労働制の趣旨に合ったことが見つかったのかなというふうにも思っておりまして、先ほど堤先生のほうから御指摘があったような話とも関係すると思うのですが、いろんな労働者をがちゃっと一塊にして平均値だけで議論していくというところだと、制度の本来の趣旨からしても見えてこない部分があるのだと思うのです。その辺を統計的にも回答ができたという部分は面白い発見だろうなと思います。
これから論文を書かせていただくのですけれども、どこかハイライトしないといけないと思うのですが、ハイライトするとするとその辺かなと思っています。どうもありがとうございます。
○小畑構成員 楽しみにしております。どうもありがとうございました。
○荒木座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。堤先生、お願いします。
○堤構成員 ありがとうございます。北里の堤です。
私のほうからは、前半の事務局の調査結果の御説明で、質問というよりは確認のような形になるのですけれども、例を挙げさせていただくと、36ページに事業所に設けられている健康・福祉確保措置という形で一連の情報がございまして、すごく興味深かったのは、この中で一番落ちている数字、少ない数字の中で、「労働者の勤務状況及び健康状態により、裁量労働制が適用されない部署など適切な部署に配置転換する」という項目が一番低頻度で上がっておりまして、確認点は、これを制度として事業場で取り上げられていないのか、もしくはあまり使われていないことなのか、どういう形で御回答されたかというのは、今日のテーマではないかもしれませんけれども、例えば後ほどのヒアリング等で確認ができるといいかなという感じで見ていたものです。一番最初に島貫先生がコメントされたようにも思いますが、具合が悪ければ変えられるという部分が機能するのかどうかというのも大切なことだと思いましたので、このデータを見て気になったところで、御質問というか、確認をさせていただきました。
以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
事務局からはよろしゅうございますか。お願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
この健康確保措置は、それぞれの事業場の労使で御選択をいただくということになりますので、もちろん働いていらっしゃる労働者側のほうで希望されるものが導入されることもあるでしょうし、あるいはそこの働き方、働かせ方に合って使いやすい健康確保措置という選ばれ方もしているのかもしれません。今のところ、特にここの選択肢に関して私どもも明確な知見があるところでもございませんので、今後企業ヒアリングなども考えてございますので、そういった中でもこの辺りの実際の考え方なども聞ければいいかなとも思っております。
○荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今日の冒頭、島貫先生が、裁量労働制においては、働いている中での変化への対応が重要だという大変重要な御指摘がありまして、川口先生の御報告も今の堤先生の御質問もいずれも同趣旨の重要な御指摘かと思います。裁量労働制を導入するときの要件はかなり議論しているのですが、導入した後、実際どういう形で働きがなされているのかということをよく確認して、適正な運用の確保が必要だということにつながる論点と伺ったところでした。
それでは、大分時間もたちましたので、ディスカッションについては以上といたしまして、特にほかになければ、次の議題もございますので、先に参ります。
次回以降の検討会で実施予定のヒアリングについて、事務局で資料を用意しておりますので、説明をお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 資料3「今後のヒアリングの進め方について(案)」を御覧ください。今後のヒアリングの進め方といたしましては、対象者は1にありますとおり、企業の人事担当者及び労働組合の担当者を、また、2、主なヒアリング事項といたしましては、企業・団体の概要及び労働組合の運用状況・企業における工夫・労働組合における対応等を予定しております。
最後に、3の留意事項でございますが、(1)ヒアリングは対象者からの御説明とその後に質疑を予定しておりますが、その際、(2)のとおり、ヒアリングは非公開で行うことが適当と考えております。
なお、非公開の理由でございますが、第1回検討会におきまして御了承いただきました「検討会の公開の取扱いについて」という資料がございましたが、今、画面に投影させていただきます。こちらは前回の検討会の「資料2」に当たるものでございます。こちらの②及び④に該当することから、非公開で行うこととしたいと考えております。
以上でございます。
○荒木座長 ありがとうございました。
ただいま資料3について御説明がありました。ヒアリングについては、事務局からの説明のとおり、非公開で行うのが適当ではないかと考えますけれども、御了承いただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒木座長 ありがとうございました。
それでは、そのように扱うことといたします。
本日予定した議題は以上ということになります。
最後に、事務局より次回の日程について御説明をお願いします。
○労働条件政策課課長補佐 次回の日程・開催場所につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○荒木座長 本日は、川口先生から詳細な御報告をいただきまして、大変参考になりました。どうもありがとうございました。
それでは、第2回の検討会は以上といたします。御参集いただきまして誠にありがとうございました。