第165回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年6月22日(火)13:00~15:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階公園側)
厚生労働省 職業安定局第二会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階公園側)

議事

議事内容
 
○山川分科会長 それでは、ほぼ定刻ですので、ただいまから第165回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でありますけれども、公益代表の玄田委員、橋本委員、それから労働者代表の勝野委員、津村委員が御欠席とお伺いしております。
それから、事務局の志村審議官が御欠席です。
本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。発言方法等につきましては、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
最初の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(高年齢被保険者の特例)(諮問)」であります。こちらは、6月21日付で厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、同日行われた雇用保険部会におきまして、あらかじめ議論を行っていただいております。
それでは、資料と雇用保険部会での議論につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。よろしくお願いします。
資料1-1、1-2に沿って御説明いたします。
資料1-2を御覧ください。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要」という資料の2枚目をお繰りいただければと思います。概要の次のページでございます。横置きのパワーポイントの資料でございます。
副業・兼業に係る雇用保険での対応ということで、令和2年3月に雇用保険法改正が行われました。その内容についてでございますが、副業・兼業の場合の雇用保険での対応ということで、現行制度を上に書いてございます。1事業所で週所定労働時間が20時間以上の方は適用する。複数の事業所で就労する場合は、それぞれの事業所ごとに適用要件を判断するということで、労働時間を合算しないというのが基本的なルールでございました。
さきの法改正の概要でございますが、この副業・兼業の場合の雇用保険での主な議論といたしまして、合算して労働時間が20時間を超える場合に雇用保険を適用することについて、どう考えるかということでございます。
これに関しましては、この次の次のページに雇用保険部会報告がございます。令和元年雇用保険部会報告ということで、マルチジョブホルダーについての雇用保険制度の見直しの方向性がこのときに示されているところでございます。
3つ目の○でございますけれども、検討会の報告書、この雇用保険部会に先立ちまして「雇用保険の適用に関する検討会」というものが行われまして、そのときに提言がされている内容でございます。
雇用保険の趣旨(自らの労働により生計を得て生計を維持する労働者が失業した場合の生活の安定等を図る制度)ということ。あるいは、適用により生じる事務的コスト等に照らして、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の必要性は直ちに高いとは評価できず、マルチジョブホルダー全体を雇用保険の適用拡大によって保護するよりも、むしろ、求職者支援制度をはじめとする各種の施策を活用した支援が適当である。
次のポツですが、現状、実行可能性があるのは、本人からの申出を起点に合算方式で適用し、一時金方式で給付することとなるが、逆選択やモラルハザードが懸念される。今後、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用を検討、推進していくならば、一定の対象層を抽出し、試行的に制度導入を図ることが考えられるということで、こういった提言を踏まえまして、雇用保険部会のほうで整理が行われているところでございます。
その内容についてでございますが、次のページの真ん中の段の○でございます。65歳以上の労働者については、近年、マルチジョブホルダーとしての働き方が相対的に高い割合で増加している一方で、新規求職者数の伸びに比して求職者訓練及び公共職業訓練の受講割合は、むしろ65歳未満の年齢層よりも低下しているなど、これまでの職業人生で得られたスキルを生かして多様な就労を目指している層と考えられる。
そのため、まずは、65歳以上の労働者を対象に、本人の申出を起点に2つの事業所の労働時間を合算して「週の所定労働時間が20時間以上である」ことを基準として適用する制度を試行することとし、その効果等を施行後5年を目途として検証するという形で取りまとめが行われているところでございます。
この内容を踏まえまして、この雇用保険部会報告の前のページになりますけれども、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱というものがございまして、こちらで高年齢被保険者の特例という制度を設けたところでございます。高年齢被保険者というのは、65歳以上の方の被保険者のカテゴリーでございまして、給付は高年齢求職者給付金という一時金方式でございます。
この高年齢被保険者に関しましては、三の1にありますように、次に掲げる要件のいずれにも該当する者が、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるということでございます。
その要件が(一)から(三)まででございまして、1の事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満。(二)2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者。(三)2の事業主の適用事業(申出を行う労働者の1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数以上であるものに限る。)における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であることということで、こういった形で法律上の枠組みを設けたところでございます。
以上を踏まえたものが、戻っていただきまして、また横置きのパワーポイントの資料に戻ります。今、申し上げたのが主な改正内容でございまして、この骨格が、まず1つ、65歳以上の方を対象とすること。2つ目、本人の申出を起点とすること。3つ目、2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行するという枠組みとなっているところでございます。試行でございますので、先ほどの雇用保険部会報告に提起されておりましたとおり、逆選択やモラルハザードなどを施行後5年を目途に検証するという枠組みとなっているところでございます。
具体例がこちらの絵に描いてあるとおりでございますが、事業所が2つございます。A・Bということで、Aが週所定14時間、Bが週所定10時間。AとBを合算して20時間以上であるため、労働者の申出を起点として雇用保険を適用するという枠組みでございます。
この方が、右側に行きますと、A事業所を離職するという形になっています。A事業所を離職いたしますと、B事業所で週所定10時間ございますけれども、20時間を下回るということになりますので、雇用保険の資格は喪失いたしまして、離職扱いということでございます。離職して給付が受けられることになりますが、その給付に当たっては、Aで支払われていた賃金額を基礎として給付する。また、被保険者ではなくなりますので、以後保険料を徴収しないという制度的な枠組みになるわけでございます。
下の段の参考と書いてありますマルチジョブホルダーの資格取得・喪失の流れでございます。これは、現行の雇用保険の適用の実務と若干異なってくるものでございますので、後の要綱にお示しする内容の一番メインとなる部分をまとめたものでございます。
まず、左から2番目でございますが、これは申出を行う方、御本人ということになります。この御本人がA社・B社、両社から取得または喪失に係る必要書類をもらってハローワークに申し出ることになります。必要書類に関しましては、現行の雇用保険の資格取得届に該当するような情報が必要となってまいります。特に、A社・B社の週所定労働時間の情報が必要となってまいりますので、その必要書類については、本人に加えて事業主が記入するという形を取るわけでございます。
A社、B社から書類を集めまして、真ん中、これはハローワークを絵で描いてございますけれども、ハローワークのほうにこれを申し出る。申出の内容をハローワークのほうが確認いたしまして、右側でございますが、ハローワークから本人、それからA社・B社に対して通知をするという手続の流れとなってまいります。
ハローワークにおきましては、申出の内容を確認するわけでございますが、肝心なのは、資格を取得した日と喪失した日がいつになるかということでございます。いわゆる副業・兼業の雇用保険の適用は、本人の申出ということで任意加入の形式を取りますので、資格取得という形を取るのは申出の日ということになります。申出の日に被保険者の資格を取得する。一方で、資格を喪失する場合、こちらに関しましては、要件を満たさなくなった。例えば、上の例で言いますと、A事業所を離職した日ということになります。この日に資格を喪失するという流れとなるということでございます。
以上を踏まえまして、今般の省令は、この法律の施行のための省令でございまして、主に高年齢被保険者の特例に当たっての手続を中心に規定しているものでございます。
資料1-1を御覧ください。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」でございます。
こちらの第一の一でございます。まず、特例高年齢被保険者、これは今し方、申し上げた、申出により雇用保険に加入できる65歳以上の被保険者の類型を法律上定義した用語でございますが、特例高年齢被保険者の事務の管轄ということでございます。こちらに関しましては、申出をして高年齢被保険者となった方に関して行う雇用保険する事務は、その者の住・居所を管轄するハローワークが行うことを原則とすることを内容とするものでございます。
第一の二 特例高年齢被保険者となるための申出でございます。こちらは、先ほどの絵で御説明したとおりでございますが、具体的には、二の1にありますように、特例高年齢被保険者となるための申出に関しましては、次のページに掲げる事項を記載した届出書に労働契約に係る契約書などの当該事項を証明することができる書類を添えて、マイナンバーの登録届と併せて管轄公共職業安定所の長に提出することによって行うことを規定するものでございます。
この届出書の内容が次のページの(一)から(四)まででございますが、(一)は、当該者の氏名、性別、住所、居所、生年月日。(二)は、事業所の名称及び所在地。(三)が一番肝心でございますが、申出に係る適用事業における1週間の所定労働時間というものを記載した届書ということになるわけでございます。
大きな2番でございますが、1の申出を行う方のうち、事業主が同居の親族など、特に確認を要する方に関しましては、追加して書類を添えなければならないという特例の規定でございます。
一方で、3番でございますが、申出を行う方は、これらの規定に定める書類を添えないことができるという特例を設ける予定でございます。こちらは、今、申し上げたものの中で、特に1週間の所定労働時間を証明する書類というものを添付して提出することを想定してございますけれども、そういった書類が整わないようなケースが出てくる可能性を想定してございます。こういった場合には、その書類を添えないで申出を行うことができるということでございます。
なお、4番にありますように、事業主は、申出を行おうとする方から申出を行うために必要な証明を求められたときは、速やかに証明しなければならないという形で、事業主に関しての協力を求める規定も設けているところでございます。実際に、こうした書類がなくて申出が行われた場合は、ハローワークのほうから事業所に対して事実確認を行っていただくということを想定しているものでございます。
5番でございますけれども、ハローワークの所長は、届書の提出があった場合で被保険者となった事実がないと認めるときは、御本人、それから事業主に通知をするという内容でございます。
それから、大きな三番でございますが、一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間の下限でございます。こちらは、この制度、2つの事業所の週所定労働時間を合算して20時間以上であるということを適用要件とするものでございますけれども、一方の事業所の所定労働時間の下限を、先ほど御紹介いたしました法律の中で省令に規定することを想定しておりましたが、この一方の事業所の所定労働時間の下限を5時間とするものでございます。
大きな四番が、いわゆる資格の喪失、特例高年齢被保険者でなくなったことの申出に関する手続規定でございます。
特例高年齢被保険者でなくなったことの申出に関しましては、要件を満たさなくなったときに、その事実のあった日の翌日から起算して十日以内。これは、通常の資格喪失届と並んで整理しているものでございますけれども、十日以内に、次に掲げる事項を記載した届書というものを提出してもらいます。それに契約書など、事実を証明することができる書類を添えてハローワークの長に提出するというものでございます。
この被保険者でなくなったことの申出に関する届書の記載内容は、資格取得と同様に、氏名、性別、住所、居所、生年月日。それから、事業所の名称、所在地に加えまして、次のページでございますけれども、要件を満たさなくなった理由。典型的な例で言いますと、先ほどの例で言うとA事業所を離職するようなケースが想定されますが、そういったものの記載を求めるものでございます。
2番でございますが、1の申出を行う方は、この要件を満たさなくなった理由が離職であるときに関しましては、離職証明書などの書類を添付するということでございます。これは、通常の雇用保険の資格喪失の流れと同じでございまして、離職証明書を事業主に記載いただいて、ハローワークのほうから御本人に離職票を交付して給付の手続に入るという流れでございます。
それから、大きな3番でございます。資格取得と同様に、書類が整わないようなケースを想定いたしまして、例外的に添付書類を添えずに申出を行うことを許容するという規定でございます。
それから、5ページの4番でございますが、こちらは、ただいま申し上げてきた手続の中で、例外的に事業主が提出するようなケースを規定しているものでございます。典型的には高年齢被保険者が亡くなられた場合でございまして、その場合には事業主に届出書の提出を求めるものでございます。
5番でございますけれども、これも資格取得と同様でございまして、事業主に必要な証明の協力を求める規定でございます。
6番も資格取得と同様の規定でございまして、特例高年齢被保険者でなくなったことの事実がないと認めるときは、御本人あるいは事業主に通知するという規定でございます。
7番でございますが、離職票の交付に関しましては、通常の資格喪失届の提出の場合の交付の流れの規定を準用するというものでございます。
大きな五番でございます。確認の通知というものがございまして、ハローワークの所長は、被保険者となったこと、あるいはなくなったことの確認をするわけでございますが、この確認を行ったときには、それぞれ御本人、それから事業主に通知するという規定でございます。
六番でございます。転勤届の特例。転勤と言いますのは、事業主の一の事業所から他の事業所に行くことになるわけでございまして、その場合、転勤届というものを通常求めているわけでございますけれども、こちらに関しましても、御本人が必要な情報を記載してハローワークの長に提出するという規定を設けているところでございます。
7ページ、七 個人番号変更届の特例でございます。これも個人番号、いわゆるマイナンバーを変更されるケースに関しましては、御本人がハローワークの長に提出するという規定でございます。
八 休業開始時賃金証明書の特例。これは、育児休業給付・介護休業給付の手続に関する規定でございますけれども、休業を開始したときに、育児休業給付も介護休業給付も休業前賃金というものを計算するために、通常であれば事業主のほうから休業開始時の賃金の額を証明する書類の提出を求めているところでございます。今般の特例高年齢被保険者に関しましても、育児休業給付・介護休業給付の支給は受けられるという整理でございますけれども、この要件といたしましては、両方の事業所の休業が必要になってくるわけでございます。
両方の事業所の休業開始前の賃金を提出していただくということでございまして、その提出をするのは特例高年齢被保険者御本人ということになるわけでございまして、その御本人が、2つの事業所の賃金証明の関係書類を添えてハローワークに提出するという手続の流れを取るところでございます。
2番に関しましては、資格の取得または喪失と同様の規定でございます。
3番、休業開始時賃金証明書の提出を受けたときに関しましては、御本人に賃金証明書というものを交付して、そこから給付の受給手続に入るものでございます。
4番は、資格の取得・喪失と同様の規定でございます。
大きな九、大きな十に関しましては、これは特例高年齢被保険者に関しての通常の規定の特例的な位置づけを省令において規定するものでございます。
大きな九番は、雇用安定事業等の特例でございます。典型的には助成金でございますが、雇入助成などの一定の助成金に関しましては、雇用の安定あるいは就職の離職を防止するための一つのメルクマールといたしまして、雇用保険の被保険者として雇用することを要件としているような給付がございます。この被保険者に特例高年齢被保険者を入れるかどうかということでございますけれども、今し方、申し上げました助成金の趣旨に照らし合わせると、原則といたしましては、この特例高年齢被保険者は通常の被保険者とは少し性質が違うものであるということで、別段の定めがある場合を除き、被保険者でないものとみなすという形で整理するものでございます。
別段の定めは、個別の助成金の性質に応じまして、特例高年齢被保険者を通常の被保険者と同様に取扱うケースというものがあり得る可能性を考慮した規定でございます。
十 特例高年齢被保険者に対する専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の特例でございます。この特例高年齢被保険者に関しましても教育訓練給付金の受給はできるわけでございます。専門実践教育訓練給付というものがございまして、こちらは業務独占資格など、一定の長期間の訓練を受ける場合に、実費の最大7割給付するという制度でございますけれども、まず、訓練期間中に5割を給付いたしまして、その後、いわゆる雇用保険被保険者といたしまして、再就職なり就職をしていることを条件に、残り2割を給付するという制度になっているわけでございます。
この専門実践教育訓練給付の対象者に関しましては、高年齢被保険者に関しては、残る2割の給付の対象にもなっているわけでございますが、特例高年齢被保険者に関しましては、被保険者としての性質に鑑みまして、この教育訓練給付の残る2割の給付の対象から除くという整理をさせていただこうと考えているものでございます。
以上が省令案の中身でございまして、施行期日は法律の施行と同様で、次のページにございますように、来年の1月1日からを考えているところでございます。
以上が省令案の概要でございます。こちらに関しましては、昨日、厚生労働大臣から諮問を受けて、雇用保険部会のほうで御議論が行われまして、おおむね妥当という結論をいただいているところでございます。
説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、指名の後にお名前をおっしゃっていただいて御発言をいただければと思います。
では、馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 5ページの4番、事業主の規定だと思うのですけれども、マルチジョブの方だと、例えば2つの場所で働いておられて、2週間ごとに切り替えられるという場合もあるかもしれないと思っているのです。死亡したり、その他やむを得ない理由で被保険者でなくなったときは、事実のあった日の翌日から起算して十日以内と書いてあるのですけれども、例えば2週間後に出てこないのを基にして、そういう事実を知るということも当然考えられますので、十日以内じゃなくて、もっと長くしていただくか、もしくは事業主が当該事実を知った日の翌日から起算してと変えていただくか、そこはちょっと考えていただかないと、罰則があるのかどうか分かりませんが、十日以内に事実を知ることが難しい場合もあるなと思って、御質問と意見ですけれども、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○雇用保険課長 今の要綱の5ページの4番でございますけれども、おっしゃられたように事業主が手続をする特例としては、死亡その他やむを得ないということで、基本的に御本人が物理的に届出できない事由に限るものでございます。こうした届出につきましては、実は今のいわゆるマルチでない形であっても想定されるわけでございまして、その場合は資格の喪失の規定と並びでございまして、十日以内という形でルール上は設定しているところでございます。
当然、いろいろな事情がある関係で、十日以内に提出できない場合であっても、これはあくまでも省令の手続規定でございますので、受理するということでございますし、これによって罰則が生ずるという性質のものではございませんが、規定の手続上のルールとしては、いわゆるシングルの被保険者と同様の形で設定させていただければと考えております。もちろん、先ほどおっしゃられたようなケースに関しての配慮というのは、現場においても当然行われるものだと思っております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
○馬渡委員 1つの会社でしか働いておられなかったら、何となくお知らせが来たりとか、そういうのは分かるのですけれども、マルチになると、例えば2つだけじゃなくて、三つ四つ以上働いておられて、実際に自分のところの職場に来られないというのが分かる日が遅くなるなという感覚があるものですから、そうなると「しなければならない」とわざわざ書かなければいけないのか、それとも「あった日」と書かなければいけないのか、それとも書きぶりを変えていただくのか。罰則規定がないということですから、知った日からになるのでしょうけれども、その辺は全然構わないのでしょうか。
○山川分科会長 運用に係る問題かと思いますが。
○雇用保険課長 運用において、もちろん事実があった日というのが亡くなられた日などを想定するわけでございますので、その事実に関して、当然知る余地がなかったようなケースに関して、こういったことを機械的に何か適用するという性質のものではございません。
ただ、一方で、いわゆるシングルの離職の場合についても、実は同様の規定がございまして、さらに、この場合は資格の喪失事由ということになるわけでございます。資格の喪失事由に関しましては、事業主に関しまして給付の事由が発生するケースというのが想定されるわけでございまして、その意味で十日というルールを設定しているところでございまして、この手続の一連の一つのルールとして、こういった形で設定させていただければと思っているところでございます。もちろん、シングル、マルチに限らず、いろいろな事情を現場において考慮することは、当然あり得るものだと思ってございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
馬渡委員、いかがでしょうか。
○馬渡委員 その辺のところが今のやり取り同様、事業主が叱責されるようなことがないように運用していただければ構わないと思いますけれどもね。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
受理は、現在似たような状況でもしておりますし、また、今回の制度は試行ということで、現場でいろいろ状況を把握して配慮がなされるようなことはあるのではないかと推察しております。
よろしければほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
では、新田委員、お願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。
御説明があった省令案の改正自体については、特に異論はございません。今後、特例高年齢被保険者本人が行う諸手続の詳細や、事業主に求められる実務対応などについて具体的な検討がなされて、業務取扱要領等にまとめられると承知しています。その際には、諸手続が、被保険者本人と事業主の方々、双方にとって過度な負担とならないように、効率的な方法をぜひとも御検討いただきたいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
では、太田委員、どうぞ。
○太田委員 ありがとうございます。
趣旨として、マルチジョブホルダーの方々の、特に高齢者の方々のセーフティーネットが確定される形になるということで、結構だと思います。方向性として非常にいいのではないかと思うのですが、1つ質問させていただきたいのは、採用する側、事業主の側にとっては、シングルとマルチの場合に、マルチを採用すると保険料負担のリスクが発生するという懸念とかによって、確認して、どちらかというとシングルの方を採用したいという、ある種事業主さんの選考が発生して、ややマルチの方にとって不利な状況が発生しないかということが若干心配なのですけれども、その辺りは厚生労働省のほうではどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
○山川分科会長 では、事務局からお願いします。
○雇用保険課長 今おっしゃられたマルチの方に関しての事業主の行動について、雇用保険部会でも若干御議論がございまして、資料1-2の横置きの絵の次のページ、法律案要綱でございますが、このときに、第一の三の2というものがございます。事業主は、労働者が1の申出をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないという形でございまして、言ってみれば、雇用保険の被保険者となるという意思表示が行われたことを理由とした不利益取扱いは許されませんよということを、制度的には歯どめを設けているものでございます。
今後運用の中で、事業主さんの協力をかなり求めるということでございますので、その運用を見ながら、どういったことが問題になってくるのかということは、またつぶさに検証の中で考えていきたいと思ってございます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
太田委員、よろしいでしょうか。
○太田委員 結構です。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見ありましたら、お願いいたします。
それでは、特段ございませんようですので、スムーズな運用あるいは配慮についての御要望、御意見は受け止めさせていただくことといたしまして、本件の諮問につきましては、当分科会として厚生労働省案を「おおむね妥当」と認めて、私からその旨、御報告申し上げたいと考えております。御意見等ございますでしょうか。
それでは、御意見は特段ございませんようですので、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 それでは、「おおむね妥当」ということで、報告文案によって労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、御異議ございませんでしたので、そのように報告させていただきます。
では、次の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(育児休業給付におけるみなし被保険者期間の計算方法の特例)(諮問)」、同じく「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(有期雇用労働者の育児休業給付・介護休業給付の支給要件の緩和)(諮問)」でございます。
これらにつきましても、6月21日付で厚生労働大臣から諮問がありまして、同日の雇用保険部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。
では、2つありますけれども、各要綱に関しまして、資料、それから部会での議論について説明をお願いします。
○雇用保険課長 引き続き、雇用保険課から御説明いたします。
資料2、資料3、省令案要綱でございますが、こちらはさきの通常国会で成立いたしました育児・介護休業法の改正に伴う雇用保険の育児休業給付などの見直しに伴うものでございます。改正の施行が順次施行していく関係で、資料2の育児休業給付のみなし被保険者期間の計算方法の特例に関しましては、9月1日の施行。それから、資料3の有期雇用労働者に関連する規定は、来年の4月1日の施行を予定しているものでございまして、省令案としては別々に諮問させていただければというものでございます。
まず、資料2-2の概要の次のページが法律の概要になってございます。育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律でございまして、6月9日に公布されているものでございますが、改正の中で6番のところに赤い枠で囲っている部分がございます。これが雇用保険法の改正の内容でございまして、この具体的な説明が次のページにございます。育児休業給付の被保険者期間要件の運用の合理化ということでございまして、これは法律上措置したものでございます。
まず、右上の現行制度を御覧いただければと思います。育児休業給付の支給要件といたしまして、育児休業開始前2年間に12か月以上の被保険者期間を必要としておりますが、この被保険者期間のカウントに当たっては、1か月ごとに判断いたします。その1か月に11日以上の就労日数が必要となってくるというものでございます。これで12か月以上の被保険者期間をカウントしているわけでございますけれども、限界事例に近いのですが、就職から産前休業まで1年少しの方々が、ケースによっては育児休業給付を受けられないケースが出てくるというもので、そこを救済するための規定の見直しというものでございます。
具体的には、ケース1の方は、就職してから産前休業の後、出産日が若干早い。ケース2の場合は若干遅い。出産日の違いによって、被保険者期間12か月を満たす、満たさないというケースが出てくるというものでございます。こちらを救済するために、右下にございますように、産前休業開始日から起算すると被保険者期間12か月を満たすということでございまして、こういった内容の法改正を行ったところでございます。
その内容がこの次のページでございまして、法律案要綱でございます。育児休業給付の支給に係るみなし被保険者期間の計算方法の特例でございます。今、申し上げた12か月の被保険者期間が必要になってくるわけでございますが、一の4行目、「十二箇月に満たない場合は」の次でございます。労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を開始した日から起算して計算するという形で法律上措置しているものでございます。
この例外といたしまして、厚生労働省令で定める理由により当該日によることが適当でないと認められる場合においては、当該理由に応じて厚生労働省令で定める日から計算するということで、労働基準法のいわゆる産前休業の日に特定した場合、これで計算することが適当でないと認められるケースというのが、また例外として出てくるわけでございまして、これを省令において措置しようというものでございます。
その省令の内容については、この法律案要綱の注6に書いてあるとおり、産前休業を開始する前に出産した場合に関しましてと、産前休業前から休業していた場合に関しまして、それぞれ例外を省令で設けるというものでございます。
今の1ページ目の省令案の概要に戻っていただければと思います。雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案の概要と書いた1枚紙の2番、改正の概要の○の4つ目でございます。今、申し上げた産前休業を開始した日のさらに例外といたしまして、2点ございまして、その理由としては、産前休業を開始する日前に子が生まれた。あるいは、産前休業を開始する日前にその休業に先行する母性保護のための休業をしたというケースについては、それぞれ右側にありますように、子を出生した日の翌日、あるいは母性保護のための休業を開始した日という形で省令上整理するというものでございます。
以上が1点目の省令案の内容でございます。
2点目、有期雇用労働者の関係でございますが、資料3-2の概要の次のページに法律の概要の資料がございますけれども、こちらを御覧いただければと思います。
改正の概要の5番のところでございます。有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和ということで、これまで有期雇用労働者のみに設けられていた、いわゆる前要件と呼んでおりますが、引き続き事業主に雇用された期間が1年以上であるという要件を廃止するというものでございます。ただし、労使協定を締結した場合に関しましては、無期と同様に、1年未満である労働者を対象から除外することが可能となるわけでございますけれども、有期のみを一律として要件を設定されていたものは廃止するというものでございます。
育児・介護休業法に関しましては、この要件が法律に書いているものでございますけれども、育児休業給付・介護休業給付におきましては、これが省令で規定されているものでございます。したがいまして、今般の省令案は、こちらの雇用保険法施行規則の中にありました無期と同様とするということで、今、申し上げたような、引き続き雇用されて1年以上であるという要件を削除するという内容となっているものでございます。
以上が資料3の御説明でございます。
以上2点の省令案につきましては、これも昨日、雇用保険部会で審議が行われまして、妥当であるという御結論をいただいているところでございます。
説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
2件御説明いただきましたけれども、御質問、御意見ありましたら、お願いいたします。2件、どちらでも結構ですので、まとめて質疑をさせていただければと思います。
馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 全般的なものについては、境目のところもきちんと拾っていただけるような形なので、いいと思っているのですけれども、大まかな部分で言うと、経営者のほうなので、財源をどうやっていくのか。コロナでいろいろな面でどんどんお金が出ていっている状況なので、このことも含めて財源に関する議論をきちんとしていただければ。特に、政府のほうの国庫負担の話もきちんと整理していただきたいなと思います。労働者の側については、こうやって除外されるような項目がどんどん埋まっていくのはいいことだと思いますので、財源の問題はしっかり考えながらやっていただきたい。そこだけです。
○山川分科会長 ありがとうございます。
この点は、もう2件あります個別の諮問事項にも関わることかと思います。
○馬渡委員 一緒でしょうけれどもね。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。ありがとうございます。
特にほかにございませんようでしたら、当分科会としましては、これから後は2つに分けて取り扱います。
まず、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(育児休業給付におけるみなし被保険者期間の計算方法の特例)(諮問)」についてです。こちらの厚生労働省案につきましては、「妥当」と認めて、その旨、私から御報告ということにさせていただきたいと思っておりますけれども、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 ありがとうございます。
こちらは、諮問事項そのものについては、特段御異議等ありませんでしたので、厚生労働省案は「妥当」と認めるということになっております。この文案で報告するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、もう一件になりますけれども、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(有期雇用労働者の育児休業給付・介護休業給付の支給要件の緩和)(諮問)」につきまして、こちらも同様に厚生労働省案を「妥当」と認めて、その旨、私から御報告させていただきたいと思います。この点につきまして御意見等ございますでしょうか。ありがとうございます。
では、こちらも報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 この報告文案によりまして「妥当」と認めるということで、労政審会長宛てに私のほうから報告するということでよろしいでしょうか。
では、御異議ございませんようですので、この2つの要綱について、そのように御報告させていただきます。
それでは、次の議題に移ります。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(雇用調整助成金の特例)(諮問)」でございます。こちらは、本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
では、事務局から説明をお願いします。
○雇用開発企画課長 雇用開発企画課でございます。よろしくお願いいたします。
資料は、4-1と4-2でございますけれども、資料4-2のほうで御説明させていただければと思います。
4-2の表紙をめくっていただいて、1ページ目に概要ということで書いてございます。新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由によって、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方々への特例措置というものをこれまで講じてきたところでございますけれども、今回お諮りいたしますのは、主に5月、6月の特例措置につきまして7月まで継続するという内容のものでございます。
2番に改正の概要というのがございます。マル1が次のページに表が載っておりまして、2ページの左側が雇調金の表になっておりますけれども、この表でいきますと原則的な措置に当たる部分でございます。新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等につきまして、1日当たりの支給上限額1万3500円。それから、助成率はこちらに書いておるような助成率を適用する。そうした特例措置の対象となる期間を令和3年7月31日まで継続するというのが1番目でございます。
それから、その下、マル2でございますが、これが2ページの表でいきますと、地域特例、業況特例に当たる部分ということでございます。こちらにつきましては、1日当たりの支給上限額が1万5000円、助成率が5分の4。それから、解雇等を行っていない場合の助成率が10分の10ということでございますけれども、こちらの対象となる期間も令和3年7月31日まで継続するというのがマル2でございます。
なお、こちらの地域特例についてでございますが、※1に書いてございますように、緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域において、知事による基本的対処方針に沿った要請を受けて、飲食店等のインフル特措法施行令の11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主を対象にするということでございますけれども、こちらの緊急事態措置の根拠となる緊急事態宣言につきましては、令和3年4月23日にされたものに限らないということにしたいと考えております。
それから、その下、マル3とマル4でございます。今ほど申し上げたような日額の上限ですとか助成率以外のコロナに関わる特例ということでございますけれども、これらにつきましても7月31日まで継続するという中身でございます。マル3とマル4、パターンが2つあるものですから、2つに分けて書かせていただいております。
マル3のパターンが、今の決め方で申し上げますと、雇調金の対象期間の初日が令和2年1月24日から令和3年、今ですと6月30日までの間にある場合に適用するというものでございまして、マル4が、令和2年4月1日から令和3年、今の規定で言うと6月30日までの休業等について適用するというパターンのものでございますけれども、今ほど申し上げた6月30日というのをそれぞれ7月31日までに変更し、継続するというのがマル3とマル4でございます。
それから、マル5でございます。これは、雇調金の対象期間に係るものでございまして、雇用調整助成金につきましては、この助成金による支援を受けられる期間を対象期間と呼んでおりますけれども、これは通例、1年ということになっておるところでございます。ただ、令和2年1月24日を初日とする休業からコロナ特例ということで対応してきておりますので、12月のこの分科会におきまして、令和2年1月24日から6月30日までの間にある場合につきましては、雇調金の対象期間は令和3年6月30日までとするということをお諮りして、答申いただいて施行しているという状況でございます。今般、今、申し上げた6月30日というものを12月31日に変更するということにしたいというのがマル5の中身でございます。
それで、この資料の後に参考資料等を若干つけてございますけれども、4ページを見ていただきますと、支給状況をまとめた紙をつけさせていただいておるところでございます。先週6月18日までの分を計算したものということでございますけれども、支給決定額につきましては、枠で囲った部分の2段目、雇用保険被保険者を対象とするところの狭い意味での雇用調整助成金ということで申し上げますと、もう3兆5000億円以上、支給決定をしているという状況でございまして、緊急雇用安定助成金も加えますと、3兆8000億円近くまで支給決定額が来ている状況にございます。
それから、今年の4月以降につきましても、月2000億円を超えるようなペースで支給決定がなされてきている状況ということでございます。
それから、5ページ目に雇用情勢の最近のデータを書かせていただいておりまして、雇用指標につきましては、引き続き落ち着いた推移となっているということかと思ってございます。7月以降につきましては、これまで申し上げていたのは、通常制度に向けて、さらに一段の見直しを予定していたところでございますけれども、東京都を含めた緊急事態宣言が6月20日まで継続していたという状況等も踏まえまして、5月、6月の措置の継続が適当という考えに至ったということでございます。
それから、6ページ以降でございますけれども、幾つかデータをつけさせていただいておりますが、これは支給決定額につきまして、産業分類別、都道府県別、規模別に整理したデータを御参考までにつけさせていただいているものでございます。
6ページを見ていただきますと表があって、その下に小さい細かい注があると思いますけれども、※1、※2辺りにつきましては、申請日が令和2年1月24日以降の申請につきまして、今年の5月末までの支給決定分について集計したというものでございます。
この支給決定額の中には、一部ではございますけれども、コロナ特例以外のもの、例えば昨夏の災害の特例が適用されたもの等も混じっておるところでございますけれども、額の大宗につきましては、コロナ特例に係るものと考えて見ていただいて結構かと考えております。これは御参考ということで、つけさせていただいているところでございます。
それから、最後に2点申し上げたいと存じますが、まず第1点でございます。本日は、7月の特例措置につきましてお諮り申し上げているところでございますけれども、6月17日に、沖縄県において緊急事態措置を実施すべき期間が延長され、また、東京都、愛知県、大阪府等の都道府県において、まん延防止等重点措置を実施すべきとされたこと等を踏まえまして、現在の助成内容につきまして8月末まで継続するという方針を公表させていただいておるところでございます。
それから、第2点でございますけれども、今、申し上げた、6月17日に公表した8月分の措置についてでございますけれども、これにつきましては、7月に開催いたします分科会等におきましてお諮りする旨、委員の皆様にはお知らせしていたところでございますけれども、昨日行われました雇用保険部会におきまして、同様の内容の休業支援金に関する省令改正をお諮りした際に、委員の方から、審議会の効率的な運営の観点から、8月分の措置もまとめて処理してはどうか。一方で、行政手続として瑕疵のない内容とする必要があるといった御意見をいただきまして、まずは7月分について答申をいただいた上で、追って部会長と事務局で調整するということとなっているところでございます。
御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。 本件、雇用調整助成金の特例について、7月分についての諮問があったところですけれども、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
新田委員、まずお願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。
御説明があった内容については、緊急事態宣言の延長を受けて、雇調金の5月、6月の助成内容を7月末まで適用する改正と理解しました。
加えて、厚労省の事務局から、昨日の雇用保険部会における御報告がございました。その際にも発言があったとのことですが、8月の特例措置の取扱いについては、既に厚生労働省からプレスリリースもなされているということや、以前、この分科会の効率的な運営を考えていく方向で意見が纏まったことからいたしますと、今回、7月末までの延長の改正だけでなく、8月末までの延長を盛り込んで今回の改正をしてもよいのではないかと御提案申し上げたいと思います。
なお、9月以降の特例措置の取扱いにつきましては、以前も申し上げておりますし、先ほど馬渡委員からも御発言があったとおり、コロナ禍の長期化と影響の甚大さにより、雇調金財政はすでに枯渇化しているところです。制度の持続可能性が大いに懸念される状況にあることから、先ほど資料でもいろいろなデータの御紹介がございましたが、今後、雇用保険財政に関するデータに基づいて議論が行われるように、引き続きデータの御提示をお願いします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
続きまして、大下委員、お願いします。
○大下委員 日商、大下でございます。
御説明いただいた雇調金の特例措置の延長について、まず7月末までの延長は大変妥当な判断であると思っております。6月20日で1段階、経済活動の制限が緩和されましたが、依然として沖縄には緊急事態宣言、東京等にはまん延防止等重点措置が発出されています。さらに言えば、今回大きく影響を受けている宿泊・飲食業の方々が、以前のような営業状況に戻れるわけでは全然ないと思っています。感染防止のために、店の中の定員を減らすなど制限された営業になり、雇っていらっしゃる方々をきちんと以前のように現場に戻していくには、恐らく相当時間がかかるだろうと思っておりますので、まず7月末までの延長は大変賛成ですし、また、6月17日に公表された8月末までの延長予定についても大いに歓迎します。
一方で、新田委員からもお話のありました財源の問題もございます。9月以降については、雇用情勢、感染状況、特に影響を受けている宿泊・飲食業を中心とした中小企業の経営実態、加えて財政の問題についてそれぞれしっかりデータをそろえていただいて、それらを踏まえた上で適切な判断・対応が必要だと思っております。
また、これは少し長期的な話というか、コロナ後、さらに言えば、再びこのような状況が起こった場合を見据えた話ですが、こういう非常時に相当の企業が雇用を確保できない状況が起こったときに、どういう財源で雇用の維持を手当てしていくのか、いま一度しっかり検討しておく必要があると思っています。我々は、いろいろな要望等の中で、今回は国家の非常事態なので、基本的に雇調金の財源ではなく、一般財源で手当てすべきだと申し上げ続けていますが、そろそろ、9月以降のことを考えると同時に、そもそもこういう非常時に、どこのお金で手当てすべきなのかを考えておく必要もあると思っております。
私のほうからは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。
ワクチン接種は進み始めているものの、コロナ禍の収束が見通せる段階にはないと思っております。今回は7月の特例措置についての諮問ですが、8月以降についても、当面の間は全ての特例措置を維持して、水準の引下げは見合わせるべきだと考えております。
事務局と委員からの御発言がございました、分科会・部会の機動的な開催という趣旨には、我々も賛成します。この間、特例措置の延長の判断が1か月単位で行われてきましたが、金融機関から融資を受ける際など、特例措置を踏まえて資金計画を作成することが難しいことなど、苦労しているという現場の声も多々ありまして、先が見通せるようなスパンで措置内容を示していただけるよう、今後検討をお願いしたいと思っております。
一方で、雇用保険財政について、毎回発言させていただいていますが、改めて意見を申し上げます。まず、本年の雇調金の財源が逼迫することのないように、一般会計からのさらなる繰入れについて政府内で早急に調整いただきたいと思っております。また、国庫負担割合の本則25%へ戻すことと、失業等給付に係る積立金を一定水準以上の保つため、一般会計からの繰入れが不可欠なことも併せて要望させていただきます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
続きまして、宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 宮田でございます。
まず、7月の特例措置に関しましては、コロナの影響という意味では、まだまだ大きく状況が変わると思えないところから賛同いたしたいと思いますし、併せて、新田委員からもありましたように、8月までの状況を鑑みましたら、この分科会の効率的な運営という観点からも判断していくことはできるのではないかと思っています。
併せて、財源の話も出ておりましたけれども、私ども企業にとってもそうですけれども、今回のようなコロナの影響というのは、今まで経験したことがないような状況になっておりまして、その意味では、影響が及ぶ期間や範囲を考えたときに、今までの発想の中ではなかなか対応が難しいということと。
また、願わくは、このようなことが起きないということを前提にしたいと思いますけれども、このようなパンデミックも含めて、どちらかというとリスクヘッジの観点からは、今後も起こるということを前提に物を考えていったほうがいいかと思っておりますので、今回、この財源の話も含めて、コロナのような対応に資する抜本的な考え方というのは、この段階で整理していくことが非常に重要じゃないかと思っております。
私のほうからは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 馬渡です。
今、皆さんがおっしゃったように、特例措置が7月まで、それから8月末まで延長されるのは歓迎いたします。ただ、先ほども申し上げましたけれども、財源の問題も考えなければいけないというのは根本的な問題ではあるのですけれども、我々、地方にいますと、職域のワクチンにしても、大企業の方は6月21日から始まるというやり方で始まって、だんだん安心になっていくと思うのですけれども、我々が中小企業で職域でやろうとすると、7月10日以降ぐらいを目途に始めてくださいと今、言われています。ですから、20日間ぐらい遅れるという感覚ですかね。
ですから、こういうふうに徐々にノーマルに戻っていくのは分かるのですけれども、中小企業にとっては、ワクチンの接種が全部終わって、やっと安心が来るという観点からすると、財源の問題はありつつも、雇調金の支援という形は、中小企業に少し配慮していただければなと感じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等ございますか。
今回の諮問事項のほかに、8月分につきましても、また、さらにその後のより基本的な問題につきましても、種々御意見をいただきました。本分科会の運営との関係では、8月分の措置内容について御意見があった点ですけれども、この点は事務局としてはいかがでしょうか。
○雇用開発企画課長 昨日の雇用保険部会と同様になりますけれども、7月分の取扱いにつきましては、既に諮問させていただいた案で進めないと間に合わないという状況でございますので、本日につきましては、7月分の措置内容について答申をいただければと考えてございます。
その上で、8月分の措置内容の取扱いにつきましては、審議会の効率的な運営の観点、それから、委員の皆様方の御負担を踏まえながら、分科会長と御相談させていただきたいと存じます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特にございませんでしたら、今回の諮問事項であります7月分の取扱いにつきまして、当分科会として厚生労働省案を「おおむね妥当」と認めて、その旨、私から御報告をさせていただくということにさせていただければと思います。8月分につきましては、今、事務局から御説明のあったような方向で、また後で支援金についても話題になるかと思いますので、まとめて改めて申し上げますけれども、7月分の取扱いと諮問事項については、「おおむね妥当」ということで御報告させていただくということでいかがでしょうか。御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 この表示された報告文案のとおり、「おおむね妥当」という報告を労政審会長宛てに行うということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。
それから、新田委員及びほかの委員からも御発言がありました8月分の措置内容の取扱いについては、次の議題であります休業支援金について、昨日の雇用保険部会でも同様の御意見をいただいたと承知しております。休業支援金も含めて対応を事務局と検討させていただきまして、審議会の効率的な運営、それから委員の皆様方の御負担を踏まえて、追って方針を事務局から委員の皆様に連絡させていただきたいと思います。ありがとうございます。
では、もう一件ございます。次の議題は「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」、いわゆる休業支援金についての諮問でございます。
こちらは、6月21日付で厚生労働大臣から諮問がありまして、同日の雇用保険部会であらかじめ議論を行っていただいております。
では、資料と雇用保険部会での議論について事務局から説明をお願いします。
○雇用保険課長 それでは、資料5-2を御覧いただければと思います。概要の次のページに、雇調金と併せまして取扱いをまとめた資料がございます。雇用調整助成金と同じように、5月、6月の取扱いを7月も継続するという内容でございますが、具体的には、右側の休業支援金の欄にございますように、中小企業・大企業ともに、原則の措置は8割、上限額9900円としつつも、地域特例という形で、地域のメルクマールに関しましては雇調金と同様の内容でございますけれども、一定の地域に関しましては、この上限額を1万1000円とするという内容となっているわけでございます。こちらに関しましては、昨日、雇用保険部会で議論が行われまして、おおむね妥当であるという形でのおまとめをいただいているところでございます。
なお、併せまして、先ほど分科会長からもお話ございましたように、昨日、雇用保険部会で、この休業支援金の8月分の取扱いに関しましても御意見がございました。これに関しましても、雇調金と同様に取扱いを部会長と御相談していきたいと思っております。
以上でございます。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、本件につきまして御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
では、久松委員。
○久松委員 久松です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の省令案改正の内容については依存ありません。
ただ、1つお願いがあります。この休業支援金について、現場のほうからはまだ周知が不足しているという声を多くお聞きしていますので、いま一度、周知の徹底をお願いしたいと思います。具体的には、家族の件について組合員を通じてよくある問合せというのが、昼間学生は対象とならないと事業主に言われたとか、扶養家族に入っていると支給されないということを言われているがどうかということでありますとか、そもそも雇用保険の被保険者でないと駄目だということで、事業主のほうからそう言って断られるというケースです。
今年3月26日に厚生労働省から、経済的理由により就学困難な学生等に対する支援策の周知等についてという、学校等に対する周知はされているということは承知しているのですが、本日、使用者側の委員の皆様もおられますが、学生のアルバイトなどが多く働いています小売業でありましたり、飲食業でありましたり、そういった事業主の方に対する周知の再度の徹底をお願いしたいと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等ありますでしょうか。
それでは、特にございませんようでしたら、先ほど御要望のありました点は受け止めさせていただくこととさせていただければと思いますけれども、今回の7月分に関する諮問事項につきましては、当分科会としては厚生労働省案を「おおむね妥当」と認めて、その旨を私から御報告させていただきたいと思っております。御意見等ございますでしょうか。
では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 現在表示されております報告文案によりまして、労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。
また、8月分の取扱いにつきましては、雇調金と同様に、事務局と相談した上で、また委員の皆様方に御連絡させていただきたいと思います。
それでは、本日予定されておりました議題は以上で終了いたしました。
ほかに委員の皆様方から何か御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
本日は、多岐にわたる諮問がございましたけれども、大変ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了いたします。