第164回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年5月20日(木)18:00~19:00

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館12階公園側)
厚生労働省 仮設第2会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階)

議事

議事内容
○総務課長 では、定刻を若干過ぎましたが、皆様おそろいですので、ただいまから第164回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、今日はちょっと時間も遅いですけれども、御出席をいただきありがとうございます。
まず、初めに職業安定分科会長の選出について御報告させていただきます。職業安定分科会長は、労働政策審議会令第6条第4項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。事前に山川委員が選出されておりますので、御報告を申し上げます。
以降の進行は山川分科会長にお願いいたします。
○山川分科会長 御紹介いただきました山川でございます。職業安定分科会に関わりますのは初めての経験で、不慣れなところもあるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、労働政策審議会令第6条第6項によりまして、分科会長代理を公益委員の中から分科会長が指名することになっております。こちらは玄田委員に事前にお願いしております。
それから、議事に先立ちまして、新たに委員に就任された方を御紹介させていただきます。一言御挨拶をお願いいたします。
まず、当分科会の公益代表委員として、法政大学経済学部教授の酒井委員が就任されておられますが、本日は御欠席でございます。
次に、学習院大学法学部教授の橋本委員が就任されておられます。
○橋本委員 学習院大学で労働法を担当している橋本陽子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
では、続きまして、労働者代表委員として、日本基幹産業労働組合連合会事務局長の津村委員が就任されております。
○津村委員 今、御紹介いただきました基幹労連の津村と申します。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
続きまして、JAM中央執行委員の平山委員が就任されておられます。
○平山委員 JAM中央執行委員の平山純子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、日本郵政グループ労働組合中央執行委員の山田委員が就任されておられます。
○山田委員 日本郵政グループ労働組合の山田と申します。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
次に、使用者代表委員になりますが、日本商工会議所産業政策第二部長の大下委員が就任されておられます。
○大下委員 日本商工会議所で労働政策を担当しております大下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
続きまして、東北電力株式会社常務執行役員、ビジネスサポート本部副本部長、原子力本部副本部長の砂子田委員が就任されておられます。
○砂子田委員 東北電力の砂子田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
続きまして、佐賀県中小企業団体中央会副会長、松浦通運株式会社代表取締役の馬渡委員が就任されておられます。
○馬渡委員 松浦通運の馬渡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、ANAホールディングス株式会社執行役員、グループ法務・グループ総務・サステナビリティ推進副担当、サステナビリティ推進部長の宮田委員が就任されておられます。
○宮田委員 ANAホールディングスの宮田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
また、当分科会の下に置かれております各部会に所属する本審の委員、その他の委員であられます臨時委員、専門委員については労働政策審議会令第7条第2項の規定によりまして、分科会長であります私が指名することになっております。配付しております名簿のとおり、事前に指名させていただいております。新しい名簿について配付しております。
本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の玄田委員と酒井委員が御欠席となっております。
それでは、カメラ撮影がもしありましたら、ここまでとさせていただきます。
本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。発言方法等につきましては、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
最初の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」になります。こちらは、本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
では、事務局から説明をお願いいたします。
○雇用開発企画課長 雇用開発企画課でございます。よろしくお願いいたします。
該当する資料は資料1-1と資料1-2でございますけれども、資料1-2のほうで御説明させていただきたいと思います。
まず、改選後の初回でございますので、少し全般的なお話からさせていただきたいと思いますが、資料1-2の4ページをお開きいただきますと雇用調整助成金の概要がついてございます。
最初にございますように、景気の変動などの経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練または出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、それにかかった費用を助成する制度でございます。
次に5ページで、現在、コロナ禍ということで、コロナの影響を受けておられる事業主さんに関しましては様々な特例を講じているということでございます。
表になっておりますけれども、一番左の列が通常時で、その右のほうに特例を書いてございますが、例えば4つ目にございますような形で休業の助成率なり一日の助成額の上限額といったところにつきましても特例で、右肩を見ていただきますとかなり拡大して、前例がない規模で実施してきている状況でございます。
これにつきましては、この表の欄外の右下に(参考)というところがございますけれども、リーマンショック時の特例措置の主な内容といったところが書いてございます。リーマンショックのときには、現在はございますところの助成率が、解雇等がない場合、最大10分の10というものにつきましてはリーマンショックのときはなかったということになりますし、また、上限額につきましても今は最大1万5000円になっておりますが、リーマンショックのときにつきましては雇用保険の基本手当日額の最高額までだったということでございますので、現在の数字で言うと8,370円に相当する額までであったということでございます。
それから、その他、例えば1万5000円等の助成の上限値等の下辺りでクーリング期間ですとか、被保険者期間で6か月以上必要と、一定の様々な要件が通常時にございますけれども、いずれも右にございますように様々の緩和をされてきて実施してきておるということでございます。
支給実績につきましても、この紙で4月23日までの数値ということで欄外に書いてあるところでございますが、昨年度1年間で基本的に3.2兆円ほど支出がされているということで、これは実は、これとはちょっと形式的には別制度でございますけれども、雇用保険被保険者以外の方に対しては緊急雇用安定助成金ということで休業手当の支援を行っておりますが、それは一般会計で行っておるわけで、それへの支出を含めまして3.2兆円ほど出ているということでございます。
リーマンショックのときと比べますと、平成21年度におきましては6500億円、平成22年度につきましては3200億円ということでございますので、リーマンショックのときと比べましてもかなり破格の支出額となっている。そういう状況でございます。
一方、雇用の状況で、主要な指標を7ページでまとめさせていただいておるところでございます。
有効求人倍率が一番谷になっておりますのが、これで見ていただきますと2020年9月と10月は1.04ということでございます。完全失業率につきましては、2020年10月は3.1ということでございます。リーマンショックのときにつきましては、有効求人倍率が一番下がったときに0.42で、完全失業率が一番上がったときに5.5ということでございます。
このデータでいきますと、マル4の休業者数のところで前年同月差の休業者数を並べさせていただいておりまして、2020年4月・5月あたりはとりわけ休業者数が前年と比べて多い状態があったわけでございますけれども、これら以外は雇用情勢につきましては比較的落ち着いた動きで推移してきていることが言えるのではないかと考えているところでございます。
それで、ちょっと戻っていただきまして、2ページでございます。前回、この職業安定分科会につきましては4月16日に開催させていただいておりまして、その中で言わば5月・6月の措置の内容につきまして諮問させていただいて答申をいただいたところでございます。
一言で申しますと、4月末までの姿と比較した表がこのページの左肩に載っておるところでございますが、言わば中小企業にしましても大企業にいたしましても原則的な措置につきましてはこれまでよりも一段、助成率につきましては10分の10がない姿、10分の9が最高という姿になっておりますし、助成額の日額上限につきましても1万3500円ということにしつつ、やはり特に地域特例、業況特例ということで厳しいところについては対応していこう。そういう姿になっておるところでございます。特例部分につきましては従前と同様の水準ということで、助成率も最大10分の10で、日額につきましても1万5000円までという整理にさせていただいておったところでございます。
これをお諮りしました4月16日以降、4月23日に緊急事態宣言がなされたところで、今回諮問いたしますのは、この4月23日に緊急事態宣言が出されて、緊急事態措置を実施することになった区域についての手当てについて今回お諮りするということでございます。
具体的には、この表の下で色が変わったところ、青字になっているところがあろうかと思いますけれども、今般の緊急事態宣言を受けまして、緊急事態措置を実施すべき区域とされたところにおきまして、知事による基本的対処方針に沿った要請を受けまして飲食店等のインフル特措法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主。こちらにつきましては地域特例の対象にしたいというのが今回お諮りをする中身でございます。
それで、色が変わって黒に戻ったところで「各区域における」と書いたところがあろうかと思いますが、各区域における緊急事態措置または重点措置の実施期間の末日の属する月の翌月末まで適用ということでございますので、例えば緊急事態措置を実施すべきとされた期間の末日が5月にあるということであれば6月末までの適用になるということでございます。また、緊急事態措置の実施区域につきましては基本的には当該都道府県域全体を対象にしていくことにしたいと考えてございます。
もう一つ、ちょっと細かな点で、3ページの下のほうで、緊急事態宣言が出されたときに政府の基本的対処方針も改定されております。
それで「(3)まん延防止」というものがありまして、3)の下部分、線を引いたところ辺りでございますが、酒類またはカラオケ設備を提供する飲食店等に対しては休業要請を行うということが定めてございます。これまで少なくとも1月の緊急事態宣言におきましては休業要請につきましては想定されていなかったところでございますけれども、基本的対処方針の中に休業要請を行うことがしっかり位置づけられたということでございます。
1ページに戻っていただきまして恐縮でございますが「2.改正の概要」で、6行目ぐらいから施行令第11条第1項に規定する施設におけるということで、それ以降で対象とする要請の中身が列挙されておるわけで、そこに「営業時間の変更」の前に「休業」を加えるということを今回措置したいと考えているところでございます。
「4.施行期日等」で、公布日施行で、今般の緊急事態宣言が出まして、それに基づく緊急事態措置を実施すべき期間が4月25日からスタートしているということでございますので、4月25日以降に開始した休業等について適用することにしたいと考えておるところでございます。
御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして御質問、御意見がありましたら、Zoomの「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃっていただいて発言をしていただければと思います。御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
それでは、山田委員、お願いいたします。
○山田委員 山田です。よろしくお願いします。
私から今回、5月・6月の措置として提示をいただいている助成率と助成額上限の引下げについてでございます。
今年1月から3月、2回目の緊急事態宣言が発出された際に、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月からの2か月間の措置とされていたということで、それまでの特例措置の水準が4月まで維持された。こんな経緯にあると思います。要するに、当時の特例措置が維持された背景には緊急事態宣言の発出があった。こういうことなので、今回のより厳しい内容である3回目の緊急事態宣言が発出され、現在もその期間中にあることを踏まえますと、前回同様、全国での解除月の翌月までは現行の水準を維持することとなると考えるわけですが、前回と異なる対応となるのはどのような理由からなのか、お示しいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、御質問でございますので、お願いします。
○雇用開発企画課長 この原則的な措置を一段下げまして、地域特例、業況特例ということで対応していくことについては、このフレーム自体につきましては4月16日の分科会で諮問させていただきまして、答申もいただいたということなのでございますけれども、少し改めて経過を、ちょっと長くなりますが、御説明させていただきます。
助成率は最大10分の10、日額上限1万5000円ということでコロナ特例をずっとやってきておったところでございましたけれども、やはり昨年、4月・5月といったところでかなり休業等を広範に求めるような中身で緊急事態措置を実施する中で、より集中的に対応していくといいますか、その期間中の事業主さんの負担を軽減していくということ。そういった理由から実施した助成内容でございますが、当時はより短期でのコロナ禍の収束というものが想定されていたところ、これだけ長期化していく中でこの特例についても長期化し、さらに執行額につきましても先ほど申し上げたような形で3兆円を超えるという形になってきているということでございます。
1月の宣言のときにつきましては、雇調金の特例につきましては従前と同様の中身ということを継続しながら、新型コロナウイルス感染症の雇用に与える影響を慎重に見極めるということにしたところでございます。
2回目の宣言時には1回目の宣言時のような、先ほど数字も御紹介いたしましたが、休業者数の大幅な増加も見られず、コロナ禍の下でのここ1年余りの雇用指標の趨勢を見ましても、1回目の宣言の期間中の休業者数の大幅な増加を除きましては、雇用情勢は感染状況とともに大きく変動することはなく、落ち着いた動きとなっていたところでございます。
このため、5月・6月につきましては、まん延防止等重点措置実施地域を念頭にいたしまして、当該地域で知事による営業時間短縮等の要請に協力する事業主、または業況の厳しい事業主について特に手厚い措置を講じながら、これに該当しない事業主についても従前よりも日額上限等、抑える幅は小幅にとどめまして、1段下がったところについても、なおリーマンショック時を超える助成水準を確保して雇用情勢を見極めながら制度を段階的に、慎重に戻していくフェーズに入ることとしていたところでございます。
今般、3回目の緊急事態宣言が行われたわけでございますけれども、2回目の宣言下における雇用の状況も勘案しながら、緊急事態措置実施地域につきましても、まん延防止等重点措置実施区域と同様に地域特例で対応することにいたしまして、当該地域以外の地域においても、特に業況が厳しい事業所につきましては業況特例で対応することにしたところでございます。これがこれまでの対応の経過でございます。
以上です。
○山川分科会長 山田委員、何かございますか。
○山田委員 リーマンショックと比較しても破格の対応ということですし、非常に長期化しているということで十分、財源の問題などもあるのも承知しているのですが、長く続いているということで、やはり生活・雇用への影響も大きいということもしっかり御認識いただいていると思いますので、財源の問題なども御検討いただければと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、西尾委員、お手が挙がっておられますので、お願いいたします。
○西尾委員 UAゼンセンの西尾です。ありがとうございます。
地域特例のことについてということなのですが、今回、この特例措置のおかげで労働組合としても労使の中で話し合いながら、ここを足がかりに休業補償を100%確保する等々の取組をしながら雇用の維持をしてきているというところです。今回もそうだったのですが、この地域特例が出されたときに、事業者がそれに当たるかどうかということ、対象地域と業種がきちんと受け止められているかどうかというところがなかなか分かりづらいところではないかというところだったと思います。リーフレット等々におきましても、都道府県知事による要請の対象となる施設ということでありますので、この辺の対象施設の具体的な判定基準みたいなものを簡単に分かるように示していただくという、あるいはそれをちゃんと周知していただくことが、これは意見ということでありますが、大事かなと思っております。それが一点。
また、この休業自体が要請に応じて行われたものなのかということが判断の基準になると思うのですけれども、その要請されていることを確認するのは、都道府県の労働局がケースごとに行っているのかどうかということです。その際に、先ほど3ページの下のところにありました生活必需物資みたいなところについて、それに該当するかどうかということについて、なかなか分かりづらいところもあるのかなと。今回、都道府県の判断によって、百貨店や大規模商業施設などについては対象となる、ならないということの判断が分かれたようなところもありましたので、これは自治体が決めることだと思いますが、このあたりのところはどう確認されているのかというところがちょっと知っておきたいということであります。
例えば、さらに言えば、同じショッピングセンターなりの中に生活必需物資で商売している事業主がいた場合に、施設全体が休業したときに、そこも対象になると思うのですけれども、そういったことが曖昧なところもありますし、そこをちゃんと分かるようにしておくべきではないかと思いますし、そういったことが受け止められるのであれば、そういった施設が休業になっているときはそういった業種も対象になるのだというふうに線引きをしていただくことがいいのではないかと思っております。いろいろなケースを想定していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
ちょっと長くなりまして申し訳ありません。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
対象の明確化に関する御要望として受け止めさせていただきますけれども、事務局から何かありますか。
○雇用開発企画課長 すみません。基本的に要請の中身につきましては都道府県知事から要請されるということでございまして、基本的に要請の外延といいますものは各県の御判断によることにはなるのではないかと思います。
各県でもどういったところに要請しているということについてはホームページ等でも公開されていると思いますし、私どもといたしましてはそういった要請に基づいて休業されていることを事業主の方々から申請書を出していただくときに疎明をしていただきまして、それに基づいて現在、判断しているということでございます。したがって、疑義が生じるという場合には都道府県のほうと照会いたしまして確認する手はずになろうかと思います。
また、地域につきましても、まん延防止にいたしましても、緊急事態措置実施地域につきましても、かなり逐次更新をされているところでございまして、カバレッジがなかなか分かりづらいというところはあろうかと思っております。そうした地域的なカバレッジにつきましては、私どものほうでもホームページで整理して発信するといったことを取り組んでおるところでございますけれども、きちんと分かりやすくお示しができるよう、引き続き工夫をしていきたいと考えております。
以上です。
○山川分科会長 西尾委員、何かございますか。
○西尾委員 自治体によるところが大きいということだと思いますが、その地域がどこなのかということと対象施設がどこなのだということ、それから、やはりちゃんと申請をするのだということを周知することも国のほうからも自治体に発信していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
次は、久松委員、お願いいたします。
○久松委員 久松です。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうからは7月以降の措置の判断要素について2点申し上げさせていただきたいと思います。
1点目は雇用情勢についてです。過去には厚生労働省から、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置、地域特例、業況特例をさらに縮減するという発信がなされておりました。雇用助成金を特例措置によってこれまで雇用情勢の大幅な悪化が回避されてきたことから、今後も特例措置が果たすべき役割は大きいということをまず申し上げておきたいと思います。
雇用情勢に関連してお聞きします。完全失業率の数字として把握できない労働力の非労働力化が進んでいる可能性を否定できないと思いますが、その点をどのように受け止められておられるのか、お聞きしたいと思います。また、仮に雇用保険に加入していない労働者を雇用調整助成金の対象から外すようなことがあった場合、その影響について事務局としてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
続いて2点目なのですが、雇用情勢以外についてです。4月に開催された財務省の財政制度審議会の資料には、新型コロナの感染状況を踏まえつつ、雇用情勢が大きく悪化しない限りと記載されています。そのため、財務省は特例措置の見直しの判断要素に新型コロナの感染状況を含めていると解釈できると思っています。
その点に関連して、感染状況が想定どおり改善せず、現在発出されている緊急事態宣言が6月まで延長された場合には、今回示された5月・6月の措置が7月にも継続されるということでよいのか、現時点での厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
2点御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○雇用政策課長 雇用政策課長でございます。
1問目の前段の雇用情勢における非労働力人口の動向の部分で、昨年の4月・5月、緊急事態宣言がありまして、そこで休業者も急激に増加したのですけれども、併せて非労動力人口化も進んでいたところでございます。それ以降、感染状況によって波が生じているものの、だんだんと非労動力人口化は解消されてきている中にありました。
ただ、足元の3月の雇用失業情勢を見ますと、また非労動力人口化が進んでいるといったふうに見ておりまして、非労動力人口から感染状況次第によってはまた求職活動を再開する方も今後出てくるだろうと考えておりますので、雇用維持と併せて再就職支援にも取り組んでいく必要があるのだろうと考えております。
○雇用開発企画課長 では続きまして、ほかの部分で、まず雇用保険被保険者以外の制度ということでございますので、恐らく緊急雇用安定助成金のことでお尋ねいただいたということかと思っております。
緊急雇用安定助成金につきましては雇用保険二事業ではございませんで、今回諮問している、言わば狭い意味での雇調金とは区別されるものということかと思ってございますけれども、こちらにつきましては言わば、確かに特例としてやっておるものでございますが、その在り方につきましては、今後、雇用情勢等を見ながら判断させていただくことになろうかと思ってございます。やはり特例でございますので、いつまでも続くというわけにはなかなかまいらないかと思っておりますけれども、いずれにしても雇用情勢を見ながら判断していくことになろうかと思ってございます。
それから、感染状況の扱いというものがもう一つの御質問であったかと思ってございます。例えば今回御説明しております地域特例につきましては、感染状況などを踏まえて設定されるところの緊急事態措置区域ですとか、まん延防止等区域。そういったものに着目したものとなっておりまして、こういう地域で知事の要請等に応じて負担を負う飲食店を支援しているということでございます。
また、感染状況が雇用にどういう影響を及ぼすかといったこともできるだけ見極めながら判断していくということかと思ってございまして、あまり感染状況も言わばストレートに考慮するよりは、雇用への影響という観点から評価するのが基本になろうかと思ってございます。いずれにしましても、7月以降につきましては、また諸情勢、足元の情勢をよく見極めながら対応について検討していきたいと思ってございます。
以上です。
○山川分科会長 久松委員、何かございますか。
○久松委員 いずれにしましても、コロナ禍の収束がまだまだ見通せないどころか、緊急事態宣言の地域が拡大しているような状況であります。各企業にも予見・予測が求められるかとも思いますので、7月以降も全ての特例措置等が当面維持されることが必要であること、そして、早い判断が必要であると思っておりますので、最後に意見とさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、仁平委員、どうぞ。お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。仁平です。
ほかの委員からの発言とも重なる部分がございますが、御容赦いただきたいと思っております。
コロナ禍の収束が見通せない中で、まさにこの雇調金で雇用を守っているところでございます。緊急事態宣言については、地方から新たに適用を求める声も上がっており、現在5月末とされている期間の延長についても取り沙汰されているところであります。雇用対策においては、このような感染拡大の状況も最大限考慮するべきだと思っております。今回、5月・6月の措置として4月までの特例を1段階縮減するということを諮問されているわけでございますが、こうした状況を考えますと、7月以降も少なくとも当面、5月・6月の措置を維持してリーマンショック並みの特例の水準へ引き下げることは見合わせるべきではないかということを意見として申し上げておきます。
また、水準だけでなく、資料1-2の5ページなどに記載されている水準以外の特例措置も重要です。記載されている内容以外にも、生産指標等の比較対象月の要件緩和や雇用の要件の緩和なども含めて、当面、こうした全ての特例措置を維持していくことが必要だと思っております。
一方で、これまでも度々発言してきましたが、雇用保険の財源についても一言申し上げます。まず、2021年度の雇調金の財源が枯渇することのないように、一般会計からのさらなる繰入れについて、政府内で調整いただくことを改めて要望します。また、今後、もし新たな雇用危機に今後見舞われた際にも、機動的な雇用対策が講じられるように、国庫負担率を本則の25%に戻すことは当然として、失業等給付に係る積立金についても一般会計からの繰入れによって一定水準以上に保っていくことが必要であると思っております。
 
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。今後の議論にも関わることになりますけれども、御意見として受け止めさせていただきたいと思います。
それでは、新田委員、お願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。私からは本日の諮問内容を中心に、手短にコメントさせていただければと思います。
今回の省令案については、緊急事態宣言が発令されたことを受けて、4月に1回諮問された内容について改めて特例の再整理を行ったと理解しています。したがって、改正の内容について異論はないことをまず申し上げておきたいと思います。
その上で、7月以降の扱いについては、雇用情勢を慎重に見極めつつ、財源、財政についてもしっかりとケアをしながら、どう対応していくのがよいのか、慎重に検討すべきだと考えています。
私からは、以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御意見として同様に受け止めさせていただきたいと思います。
ほかにございますでしょうか。
それでは、特段ございませんようでしたら、これまで様々な御質問、御意見をいただきまして、当分科会としては厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告申し上げたいと考えております。そのような方向で御意見等がございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
馬渡委員、お願いいたします。
○馬渡委員 すみません。初めてだったので、ちょっとピントが外れると申し訳ないのですけれども、皆さんおっしゃっておられたように、今はこの緊急事態に対応するというのが大事なのだなと思いますので、中小企業を抱えている中央会としては妥当なのかなと思います。
反面、やはり徐々にこういうふうに1万5000円、1万3500円、幾らというふうに減らされていって、一般会計から繰り入れられている財源をどんどん減らしていこうというふうに見えないように、政府としては全面的に支えるという形にしておられるので、我々もこの委員になるまでは雇用保険二事業を食い潰してからの話になるというのは存じ上げませんで、全面的に総理が頑張っておられるなというふうに受け止めていたのですけれども、やはりそういうことではなくて、これからリカバリーをしていくに当たって、経営者、使用者側だけにしわ寄せがないような手だてはきちんと取っていただきたいと思っております。
これはもちろん、労働組合の皆さんも同じだと思うのですが、じっくり議論をするのはやはりワクチンも行き渡って、これから収まってからだと思いますので、その間はあまり水準を早く下げようとかという話ではなくて、手当てをすべきは手当てをして、後のリカバリーを考えるというふうに考えていただけると幸いです。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。やはり今後への御意見、御要望として受け止めさせていただきたいと思います。
それでは、この答申は、おおむね妥当という答申については特に御異議ございませんでしょうか。
御異議ございませんようですので、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示、配付)
○山川分科会長 御覧いただいておりますとおり、おおむね妥当ということで、そういうふうに表示した報告文案を今、お示ししております。こちらを労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。御異議ございませんでしょうか。
馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 賛成しますというふうに思っただけです。
○山川分科会長 どうもありがとうございます。
ありがとうございました。それでは、このように報告させていただきます。
それでは、次の議題に移ります。「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。
こちらは、5月17日付で厚生労働大臣から諮問を受けておりまして、17日に行われた雇用保険部会におきまして、あらかじめ議論を行っていただいております。
では、資料及び雇用保険部会での議論について事務局から説明をお願いいたします。
○雇用保険課長 雇用保険課でございます。よろしくお願いします。
資料2-1が省令案の要綱で、その概要が資料2-2でございます。
資料2-2のほうを御覧いただければと思うのですが、1枚めくっていただきまして、省令案の概要でございます。
冒頭に、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律というものがございますが、これは昨年6月に特例法が制定されまして、これも長い名前なのですが、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という制度を創設いたしました。これはコロナの影響によって休業させられた労働者のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった方を対象とした個人の給付制度でございますが、基本的には、休業に関しましては休業手当を事業主さんがお支払いする部分を雇用調整助成金において支えるというものがこれまでの基本的な枠組みでございますが、休業手当の支払いを受けることができなかった方ということで個人からの申請を特例的に認めるという制度の設計をしているところでございます。すなわち、この制度自体が雇用調整助成金の特例としての位置づけがあるということでございます。
改正の趣旨で、次のページを御覧いただければと思います。
今、申し上げましたように、雇用調整助成金と休業支援金はおおむねパラレルな対応として制度をつくっているところで、4月末と5月・6月の対応につきましてそれぞれ整理をしているわけでございますが、4月末までというものが休業支援金制度においてもいわゆる、今、上限の措置という形を取っておりまして、給付は休業前賃金の8割。それから、上限額は日額の1万1000円を上限にしているところでございます。
5月・6月に関しましては、いわゆる原則的な措置に関しましては徐々に縮減していくという方向性の中で地域の特例を設けまして、縮減の部分を上乗せするような形、特例的な位置づけということで従前の措置を維持しているというものでございます。この地域特例は、基本的な枠組みは雇用調整助成金における地域の特例と同じでございます。
今回の改正内容は前回、このような枠組みを措置したわけでございますけれども、緊急事態宣言が出たということで、緊急事態措置の実施区域に関しまして、この地域特例の対象に加えるという内容になっているところでございます。
なお、休業支援金に関しましては、この業況特例という制度はございません。これは、業況に関しましては、いわゆる売上げの30%以上の減少といった要件がございますけれども、これは個人申請の場合、そこを労働者が事業主に教えてもらった上で申請をするのがなかなか実務上難しいであろうということを勘案いたしまして業況特例は設けておりません。
なお、5月・6月に関しましても、原則的な措置の部分の給付率に関しましては全国的に8割を維持しているという形で、ここは少し雇用調整助成金とは異なる制度設計を考えているところでございます。
以上が省令案の概要でございます。よろしくお願いいたします。
なお、この省令案につきまして、5月17日に雇用保険部会において議論をお願いいたしまして、おおむね妥当である旨の御報告をいただいているところでございます。
御説明は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、こちらのほうにつきまして御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。もし御質問、御意見がありましたら、同様に「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃっていただいて御発言をしていただくようにお願いいたします。
それでは、新田委員、お願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。
今ご説明された省令案については、先ほどの雇調金の省令改正と同様の内容であり、かつ趣旨と理解したところでございますので、妥当と申し上げたいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
特段ございませんようでしたら、当分科会として、先ほどと同様に、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに報告をしたいと思っております。いかがでしょうか。御意見等はございますか。
ありがとうございます。
それでは、特段御異議がございませんようでしたら、また報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示、配付)
○山川分科会長 現在、先ほど申し上げましたような、おおむね妥当という報告文案を示しておりますが、これで労働政策審議会会長宛てに報告するということでよろしいでしょうか。御異議ございませんでしょうか。
ありがとうございます。特段御異議がございませんようですので、そのように報告をさせていただきます。
それでは、本日予定されておりました議題はこれで終了いたしました。この際、委員の方々から何か御発言等はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。大変ありがとうございました。