第23回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

日時

令和3年7月29日(木) 10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議事

議事内容
○医政局治験推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第23回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Webで開催いたします。
会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステムの機能から「参加者リスト」を表示していただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに、「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。
会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしたWeb会議マニュアルに記載されている連絡先に御連絡ください。
本日は、部会の定数14名に対しまして、14名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、本日は、議題2に関しまして、厚生労働科学特別研究班、東京医科歯科大学の吉田先生に御参加いただいております。
続きまして、本日の会議資料についてですが、事前に送付しております資料あるいはWeb上で資料を投影いたしますので、御覧ください。
資料1-1、1-2、資料2、参考資料1-1~7、参考資料2、3となっております。
円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
議題1「臨床研究部会長の選出等について」です。
前回まで楠岡委員に部会長をお願いしてございましたが、今回、任期が切れますことから、改めて部会長と会長代理の選出の手続が必要となります。
部会長の選出については、厚生科学審議会令第6条第3項に「委員の互選により選任する」とされております。この委員というのは厚生科学審議会の委員でございますので、委員名簿において二重丸のついております、川上委員、楠岡委員の2名の互選により部会長を選任することとなっております。
お二方から、よろしければ、御発言をお願いしたいと存じます。
川上先生、よろしくお願いいたします。
○川上委員 川上です。
この臨床研究部会としましては、これまで議論してきた経緯もございますし、引き続き楠岡委員に部会長をお務めいただくのがよろしいかと私は思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 川上委員、どうもありがとうございます。
いかがでしょうか。
それでは、楠岡部会長には、改めて以後の議事運営をお願いしたいと考えてございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 楠岡でございます。引き続き、部会長を担当させていただくことになりました。今後とも審議等に御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
まず、部会長代理の指名を行いたいと思います。審議会令第6条第5項に「部会長があらかじめ指名する者」とされており、部会長が部会長代理を指名することになっております。この部会長代理につきましては、引き続き藤原委員にお願いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
藤原委員、一言、よろしくお願いいたします。
○藤原委員 謹んでお引き受けして、楠岡先生を支えてまいりたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
議題2は「臨床研究方法に関する検討について」であります。
それでは、事務局より、説明をお願いいたします。
○医政局治験推進室長 それでは、資料1-1「臨床研究法の見直しに係る各論点について」の御説明をさせていただきます。
全体の5ページに目次がございますけれども、今回は、認定臨床研究審査委員会、CRBと呼ばせていただきますが、この認定要件等について、研究全体の責任主体(Sponsor)概念について、御審議をお願いしたいと思います。これは一つずつ御議論いただきたいと思いますので、順次、御説明をさせていただきます。
まず、CRBの認定要件について、6ページを御覧ください。現状と課題についてまとめたものがございます。CRBの認定、更新に係る現行の制度について、簡単に御紹介させていただきます。臨床研究審査委員会でございますが、業務規程を備えること、委員構成などについて規定がございまして、こういった体制を整備することによって認定を受けることができます。また、認定の有効期間が3年間とされておりますので、3年経つと更新の手続がございますけれども、更新に当たっての要件は、今申し上げた業務規程あるいは委員構成といった認定の際の要件に加えまして、毎年11回以上の開催が必要になっております。ただ、更新の要件として加わるものは年11回以上のみということになっております。少し小さい字で書いておりますけれども、この年11回が決まりました経緯につきましては、平成26年度に、医療技術実用化総合研究事業において、特定臨床研究の法ができる前でございますので、指針などに基づく倫理審査委員会ですが、認定制度と要件に関する検討ということで、楠岡先生に研究班での御検討をお願いいたしました。この研究班の議論の中で、委員会が質を保って審査を継続するために、ある程度経験を蓄積するあるいは定常的に審査の経験を積んでいただくことが必要ということで、その目安がおおむね月1回程度開催とされたことから、年11回という規定を法律を制定した当時に決めたものでございます。現在のCRBの状況は、後ほど取組と含めて少し資料で御紹介させていただきたいと考えておりますし、吉田先生からもアンケートの結果の御紹介をお願いしたいと考えておりますが、かいつまんで申し上げますと、CRBの設置機関の特定臨床研究については、自施設の研究を自施設のCRBが審査をしている事例が多くなっているということで、結果的に日本全体の実施数に対して多数のCRBが設置されているということで、年11回の開催が困難になっているところが出てきております。また、認定の要件としてはどうしても外形的なものになってしまいますので、審査基準・能力・手数料などにばらつきがある中で必ずしも適切な審査ができていない場合もあるのではないかといった御指摘もいただいております。一方、私どもの取組として、模擬審査事業、そのほか、審査の視点等の掲載など、あるいは、アンケートといった対応をしてまいりましたので、後ほど御紹介させていただきます。先に、本日御議論いただきたい論点について御説明させていただきます。まず、1つ目、CRBの更新の要件でございます。引き続き、年間開催件数を要件とするのかどうか。また、仮に年間の開催回数を要件とするにしても、現在、厳密に年11回以上、3年間、毎年11回以上となっている部分について、その規定をそのまま残すのかどうか。2つ目になりますけれども、審査能力の向上あるいは均質化に向けて、様々な取組によって審査の質の向上を図れないか。3つ目になりますが、審査の質の維持や向上を考えたときに、1つ当たりのCRBについて適切な審査件数の範囲が考えられるのか。少な過ぎても経験が積めませんし、多過ぎると一つ一つの案件に十分な時間がかけられないといった辺りをどう考えるのか。現状については質にばらつきがあるという御指摘を踏まえて、数の観点から集約化に向けてどのようなことを考えていったらいいのか。最後になりますけれども、仮に集約化を考えた場合、現行の規定あるいは今後の規定の中で更新が困難になってきたCRBに対する対応として、円滑に業務を終了させるために、特にその段階で審査中の臨床研究をどのように取り扱うのか。適切にほかのCRBに審議案件を移行していただくために、猶予期間などを設ける必要がないかどうか。本日はこのような点について御議論いただきたいと考えておりますが、まずは先ほど申し上げました幾つかの私どもの取組あるいはアンケートの結果などについて御紹介させていただきたいと思います。
7ページでございますが、こちらは、今申し上げた、認定、更新に関する規定の、法律、施行規則における記載の状況でございますので、省略させていただきます。
次に、8ページを御覧ください。ここからがCRBの実態に関する御紹介になりますが、まず、最初に、各CRBの開催回数についてアンケートを実施しました。昨年度の中ほどに実施しているものになりますけれども、各CRBに対して、それぞれ設置をしてから1年目と2年目の1年間の開催回数をお伺いしました。CRBごとに設置の時期が違いますので、それぞれが設置をしてから1年目と2年目ということで伺っております。また、回答を任意としているために必ずしもその段階で設置をしている全てのCRBから回答いただいたわけではございませんが、回答数としては92となっておりますので、9割以上のCRBから御協力いただけたものと考えております。青が11回以上、いわゆる更新要件を満たしているところが、1年目だと56.5%、2年目だと58.7%で6割弱ぐらいが満たしていることになります。ただ、その回数を下回っているところもございまして、特に3回以下というところも、1年目は13.0%、2年目は17.4%ということで、それなりの割合で入っていることになります。先ほど申し上げたように、今の規定ですと厳密に年11回以上ということですが、そうすると4割近くのCRBがそこを満たせないという状況の中で、更新をどう考えていくのかということについて、本日、御議論いただければと思います。
続きまして、9ページを御覧ください。私ども厚労省のホームページで様々なCRBに関する情報を掲載させていただいているものについて御紹介させていただきます。上から、手数料の設定などを含めてCRBに対するお知らせ、通知などについて掲載させていただいていますが、赤枠で囲ったところ、模擬審査は、後ほど取組として御紹介させていただきます。もう一つ、右に赤枠で囲っております業務規定モデルは、本日は詳しく御紹介はしませんが、参考資料1-2に添付させていただいておりますので、後ほど適宜御覧ください。こちらはCRBの認定要件として備えるべき業務規定について、モデルというか、ひな形を御提示させていただいているものです。これを御参考いただきながら、それぞれのCRBの特徴に沿った規定をつくっていただこうという趣旨です。最後、右下の赤枠、審査の視点というものがございます。こちらも1-3ということで参考資料に入れておりますが、また追って御覧いただければと思います。こちらにつきましては、新しい計画を審査する際にどういう観点に着目をして審査をしたらいいのかといったチェックリストというか、手引きのような形で御参考に掲載させていただいております。そのほか、CRBの一覧とか、その次に御紹介する手数料一覧など、ホームページで御紹介させていただいている状況でございます。
続いて、10ページを御覧ください。今申し上げましたCRBの手数料の状況について御紹介させていただきたいと思います。こちらも原資料となるホームページの掲載内容は本日の参考資料1-1ということで御用意はさせていただいておりますが、ここでは集計をした結果について御覧いただければと思います。4つのグラフがございますけれども、左の2つが新規のプロトコールを審査する際の審査手数料になっております。上が、自施設、内部の研究を審査する際、下が、外部、自分の施設以外の研究を審査する際の手数料ということとさせていただいております。右側が、継続となっております。年1回の定期報告を審査いただく際の手数料ということで、複数年度にわたって研究をする際には法律の規定で年に1回CRBに報告をいただくことになっておりますので、その報告を審査する際の手数料になります。御覧いただきますと、まず、新規につきましては、最頻値は、内部、外部、いずれも40万円から50万円ということで一緒なのですけれども、最低値、最高値などを御覧いただくと、どうしても外部のほうがやや手数料が高いほうに偏っているのが御覧いただけると思います。継続についても同じような形で、最頻値がここはずれている。内部ですと5万円から10万円、外部ですと10万円から15万円ということで、右に11ということで下の目盛りが「-」になっているものがございますが、これは継続の審査手数料を設けずに、新規の手数料で包含しているCRBもございます。そういった意味で、そのまま直に安い・高いという議論になるものではございませんが、御参考までに示させていただきました。なお、手続のところでいろいろ御指摘いただいた変更に関する手数料なのですが、ざっくり申し上げますと、施設追加についてはほとんどが費用を設定なさっていました。ただ、そのほかの変更については無料としているところが多いのですが、一部、施設追加以外の変更あるいは疾病等報告について料金を設定している事例もございました。これも、詳しくは1-1を御覧いただければと思います。
続きまして、11ページを御覧ください。先ほど御紹介いたしました私どものCRBの質の向上に向けた取組の一つとして、模擬審査事業について御紹介させていただければと思います。今、申し上げたとおり、目的としては、CRBの能力の向上と均質化を目指したものになりますが、概要をまずは御覧ください。模擬ですので、架空の研究計画書を作成して、参加の意思を表明してくださったCRBに、この計画書についていつもの審議と同じような形で審議をしていただくということになります。この概要の3つ目になりますけれども、御参加いただいたCRBは、お互いにそれぞれがなさっている審査業務を傍聴する機会も設けさせていただきました。また、4つ目になりますけれども、同じ計画書を審査したCRB同士でグループ討論を実施いただきまして、それぞれが同じ計画についてどのような指摘をしたのか、御自身のところではなかったような視点の指摘などもこういった場で情報収集ができるということで、実績といたしまして、平成30年度から継続しておりますけれども、複数の計画書をつくって実施してまいりました。この中で、2つ目、3つ目にございますけれども、事務局がかなり事前の整理をされているという意味で、そういった事務局の能力も重要であるという指摘もいただいたところでございます。
続きまして、12ページを御覧ください。先ほどCRBの数についてお話しさせていただいたところなのですが、御参考までに、法律を制定した当時、どのような考え方をしていたのか、この点について紹介させていただければということで、当時の国会の議事録から抜粋を持ってまいりました。下の○を御覧いただければと思いますけれども、当時、CRBの数を算出する想定といたしまして、下線のところにございますように、特定臨床研究が年間800件程度実施されることを見込んでおりました。年11回、変更なども含めて審議をしていただくことを考えると、赤字で記載のありごますとおり、まずは施行までに全国で50程度の委員会の認定を目指したいということで、800に対して50程度の委員会があればいいのではないかと考えていたところです。
資料が飛ぶのですが、現状の状況について御確認いただきたいと思います。全体のページでいうと75ページ、参考資料2ということで本日お示ししておりまして、定期的に実施状況をお示ししているものになりますけれども、現行のCRBの数がございまして、現在、101のCRBが認定設置をされている状況でございます。
76ページです。jRCT登録データということで、特定臨床研究を全て登録していただくことになっていますので、その数がございます。法律施行当時は法律の移行時期ということがございましたが、平成31年度、令和2年度、それぞれ1年間に、423、430ということで、おおむね当初考えていた半分ぐらいということで、400を超える程度の特定臨床研究を実施していることになります。
再度12ページを御覧いただければと思います。必ずしも800に対して厳密に50ということではございませんけれども、当初の想定からすると想定外にたくさんのCRBが設置されている状況になっているかと思います。
続きまして、13ページを御覧ください。昨年度、堀田先生に臨床研究法の見直しに関する厚生労働科学研究の特別研究班をお願いしておりましたが、その報告書の中から、CRBについて、制度に加えて取組で質の均質化や数の収れんを図っていくための取組みとしてお考えいただいたものを抜粋させていただいてきております。まず、1つ目の□でございますけれども、集約化や質の向上を目指すために、認定要件、更新要件の精緻化が必要であるという御指摘がございまして、定量的な指標を盛り込むなど精緻化したチェックリストを作成して、それに基づき認定をすることや、専門委員会による調査や模擬審査、CRB間でお互いに評価をし合うピアレビューなど、そういった仕組みを構築することも考えられるという御指摘をいただいております。また、その次の□でございますけれども、今の話は認定で厳しく対応することになりますが、一方で、良質なというか、望ましい倫理審査委員会に対して公的な支援を実施してはどうかという御提案もいただいております。矢印にございますとおり、質の高い審査業務を行っているCRBに対して、例えば、運営費用に使える形での支援を行うということを考えてはどうかということで、選定基準として、例になろうかと思いますけれども、例えば、集約化や地域的な配置、委員会としての専門性、審査案件の多様性、申請する実施医療機関が一定の期間に限定されないこと、低コストで効率よく実施する、専門性といったところで、こういった幾つかの視点をつくって望ましいと考えるCRBに対して支援をしてはどうかということで、こういった形で、例えば、CRBの審査手数料が低減できれば研究者側の負担も軽減できるという御指摘をいただいております。
まず、私からの説明は以上とさせていただきまして、続いて、吉田先生から今回実施いただいた調査の結果について御紹介をお願いできればと思います。
○吉田参考人 それでは、東京医科歯科大学の吉田から「臨床研究法改正に資するCRBの現状調査」について、今年度の厚生労働省特別研究班で実施したアンケート結果を御紹介したいと思います。
19ページをお願いいたします。この調査は、今年の5月12日から27日まで、メールで当時のjRCTで確認した全国97の委員会に配付しまして、83の委員会から回答を得ております。回収率は85.6%でございます。
20ページをお願いいたします。こちらが新規審査件数の分布を年度別にまとめたものでございます。各年度2018から2021年度まで年度ごとに、件数が多いものから降順に委員会を並べておりますので、必ずしも横軸の数字1位が同じ委員会を指しているわけではございません。また横軸の委員会総数は83機関ですが、このExcelシートから起こしたグラフの作成上、79で数字がましか振られていいませんのでご了解ください。初年度、2018年度は認定を受けていないCRBも、多く新規審査案件数の最大が8件で最小がゼロとなっています。2019年度になりますと最大審査件数が21、2020年度になりますと23となっています。2021年度はまだ年度途中のため、件数が少なくなっています。各年度において新規案件数の中央値を記していですまが、初年度は83CRBの全てが認定されていません。大体66機関ぐらいがこの時点で認定を受けているということを加味して、中央値の再計算を試みたのですが、実際にはあまり変わりませんでした。プラス1ぐらいの変動で、実数でいうと2018年度の中央値が1から2程度、2019年度、2020年度につきましても、1件程度の変動があるかということですが、あまり大きな変動はございませんでした。こちらが新規審査件数の分布になります。
21ページをお願いいたします。累積でこれまでの新規案件数の全てをまとめたものですが、2018年度からの3年間強のあいだに多いところでは新規審査を50件行っており、最小は新規審査が0件であり、非常にばらつきが大きい。くなっています累積新規審査件数の中央値は9件ぐらいとなります。
22ページをお願いいたします。こちらは、新規審査案件1課題当たりにどれぐらいの審査日数を要しているのかという審査日数の分布を見たものでございます。申請があった期日から最初の委員会判断(承認・不承認等の最初の委員会判断)が出るまでの日数を見たもので、こちらは中央値ベースですが、2018年度、2019年度、2020年度と徐々に中央値では短くなってきているということを示しています。また、最短日数として1,2日という非常に短い値が、ありこれについて幾つかの委員会に確認したところ、審査日を申請日として入力してしまったという事例があることが分かりました。従って、正確な審査日数を反映していないものが含まれていることをご了解ください。
23ページをお願いいたします。こちらはどこから申請課題が出ているかを調べたもので、それぞれCRBの設置されている機関自からの申請が7割ということでございます。また、右の円グラフでは申請された研究の疾患領域分布を見ましたが、こちらは、悪性新生物、がん関係が一番多いということで、続いて、消化器疾患、精神神経疾患、循環器疾患、内分泌疾患が続くという疾患分布になっていることが分かりました。
24ページをお願いいたします。事務局体制について、事務局員の構成、専従・非専従の割合を聞きましたところ、非専従の方が7割程度で、専従の方が3割弱という委員会構成であるということと、この事務局員の方の背景、をお尋ねしたところ、事務職の方が75%、何らかの医療職の方が21%で、残りは研究職の方が4%という分布でございました。また、事務局の経験年数は、3年以上が一番多いということで、恐らくCRB設置以来ずっと従事されている方が多いということが分かりました。
25ページをお願いいたします。また、左側のグラフでは、事務局の方の有する関連資格をお聞きしました。CRePといいますのは、AMEDの事業で行っていする認定の倫理審査専門職という資格ですが、これを持っている方がおられる委員会事務局が23%、また、GCPパスポートを持っているスタッフがいる委員会事務局も同じぐらいで、両方の資格保持者がいる委員会事務局が27%ぐらいでした。何らかの関連資格保持者のいる委員会事務局が7割ぐらいあったということでございます。右側のグラフはCRBの委員構成ということで、こちらはほぼ法律の規定どおりの構成になっているかと思います。
26ページをお願いいたします。以上の発表をまとめますと、今回のアンケートで全体の83のCRBから回答を得ました。新規の審査件数は非常にばらつきが多く、おおむね年間3、4件程度が中央値でございました。また、1課題当たりの審査日数は、徐々に短縮化の傾向がございまして、直近では40日ぐらい、でした。CRBの設置されている自機関からの申請が7割を占めていました。事務局スタッフは、非専従の方が7割程度、また、事務職の方が7割程度で、CRB関連の有資格スタッフが在籍する委員会事務局が7割程度でした。今後のの議論の参考にしていただければと思います。
私からは、以上でございます。
○楠岡部会長 吉田先生、ありがとうございました。
まず、最初に、今の吉田先生からの御発表に関しまして、何か質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。
1つ、アンケートのことでお聞きしたいのが、24ページのところで、事務局体制のことを御説明いただいたのですけれども、事務局は複数いる場合が結構多いと思うのですが、専従や非専従、事務職、医療職、経験年数など、複数の事務局員がいる場合はどのように回答することになってこの結果が出てきたのでしょうか。
○吉田参考人 ありがとうございます。
これは全ての事務局員をA、B、C、Dという形で上げていただいて、それぞれの方の属性を聞くという形で集計してございます。
○山口委員 全てが反映されているわけですね。
○吉田参考人 はい。
○山口委員 ありがとうございます。
もう一つが、審査件数ですけれども、ばらつきが大きくて、おおむね年間3、4件とまとめの中でございましたけれども、これは少ないところが多いことに引きずられてこういう結果になっているのではないかという印象を受けたのです。例えば、年11回以上やっているようなところにスポットを当てて考えると、もう少し妥当な件数になるのかどうか、印象として教えていただければと思います。
○吉田参考人 ありがとうございます。
今回、新規の審査件数に絞って尋ねております。審査回数は、新規審査を全くやらない、継続審議だけでも成立いたします。必ずしも開催回数と新規の案件数が比例していない。事実があるため、年11回以上やっているところが新規案件が多いとは一概に言えないと思います。継続審議だけで取りあえず開催回数を稼ぐということも現実的には起こっているのかなと思われ、開催回数だけで認定を更新するということの見直しが必要ではないかと思われます。
○山口委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○楠岡部会長 ほかにございますでしょうか。
渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。
21ページでお聞きしたいのですけれども、2018年度から2021年度までの累積の新規審査件数で最小値が0件というのは、3年間で新規を一度も審査しなかったと解釈していいのですか。
○吉田参考人 そのとおりです。
○渡辺委員 一度はどこかでやらないとという気もするのですけれども、これは設置をして審査をしていないという形になるのでしょうか。
○吉田参考人 恐らく、経過措置期間の継続研究のみを審査し、新規研究の審査は実施していなかったのではないかと思っています。更に調査をすすめると他の理由があるのかもしれませんが、個別の事象にまだ深く検討できておりません。
ありがとうございました。
○渡辺委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 掛江委員、どうぞ。
○掛江委員 ありがとうございます。
24ページ、事務局体制のところなのですけれども、先ほど山口委員からも御質問がありましたけれども、分母の人数がよく分からなくて、記載されていないので当然なのですけれども、結局、事務局の体制は何人規模ぐらいなのかということとか、その中で、専従の方がどのくらい必要で、非専従がどのくらい必要なのかとか、事務職の方と専門職の方とどういう感じで必要なのかとか、そういう辺りのデータはお持ちになっているのかというのが一つ。もしそういうデータがあれば、開催頻度の高い委員会だとどういう傾向なのかとか、アクティビティーと相関があるのかという辺りが見られるのかなというのが1つ、気になっているというか、関心があります。
2点目が、質の評価をできるCRBに、国からの費用の補助等を考えるといった意見がたしかあったと思うのですけれども、事務局の維持費としてどのくらいが今の相場なのかというか、どのくらい必要なものかというところが、私自身、全く分からなかったので、今回の調査の中でもしそういったものが見られる質問項目等があれば、そういう集計は出せないのかなというのが2つ目です。
3つ目は、22ページの審査日数の件なのですけれども、先生のほうで、御報告のときに、訂正というか、お話のあった最短1日や2日というものが、回答方法の間違い、誤りであること確認されていたということだったのですけれども、その辺りのデータをクリーニングして、正しい形での実態が示せないのかなというところを、もし可能であればというところでお願いできればと思いました。
以上です。
○吉田参考人 ありがとうございました。
3点、お尋ねいただきました。
まず、1点目の事務局のスタッフの構成について、それぞれの委員会が、何人いて、それぞれどういう職を持っているのかということがございますので、今のところ、集計はしていないのですが、集計すれば出てくるか数字だと思います。
2つ目の事務局の費用については質問項目に入っていないため、今回のアンケートでは検討が難しいと思います。
審査日数についても、御指摘のように、個々に当たっていかないと実際にどういう間違いなのかは分からないので、できる範囲で調べたいと思います。
以上になります。ありがとうございました。
○掛江委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 楠岡です。
今の点ですけれども、24ページの経験年数の棒グラフは回答者数だと思うので、これを合計すると約600人とになりまして、左側で見ると専従は約3分の1なので、そうすると専従者が200で、残り400の方が非専従。そうしますと、回答しているところは約80ですから、平均しますと、専従が2名強で、非専従の人が何%関与しているか分かりませんが、仮に50%程度関与していると、エフォートで見ると2名程度ぐらいになるので、そうすると各事務局、専従で2名、合計4名が法律の求めですので、ぎりぎりか、大きいところではもうちょっと多めでやっていくのではないかという気がしますので、また追加の解析をよろしくお願いいたします。
○吉田参考人 はい。ありがとうございました。
○楠岡部会長 東大の渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 19ページの調査対象についてお伺いしたいのですけれども、現在のCRB数は101件ということですが、この97委員会は当時の委員会数であったかということがまず1つ。
回答されているのが83委員会ということで、十数施設の委員会が回答されていないのですけれども、先生の感覚として、その回答されていない施設の審査の状況はどんなものであったのか、もしお分かりでしたら教えていただければと思います。実績がなくて回答していないのかとか、そういうところが気になりましたので。
○吉田参考人 ありがとうございます。
最初の御質問ですが、これは5月12日現在のjRCTの登録委員会ということです。
未回答のCRBについては、数回督促は出していますが、結果的に、未回答となっています。これらのCRBはアクティビティーの低い委員会も含まれているようには思いますが、詳細は不明です。
○渡部委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。
質問し損ねたので、1点、教えていただきたいのですけれども、事務局が準備している参考資料2の2ページ目に、地域性と大学における審査委員会の設置状況が書いてあるのです。複数の大学で2つ委員会を設置しているところがあるのですが、今回の調査は、例えば、奈良県立医大や香川大などは2つあるのですけれども、これは各々が独立したCRBと考えて集計しておられるということでよろしいのですか。
○吉田参考人 今御指摘いただいたCRBは、今回の認定更新の際に更新要件を満たすことができず、新しいCRBを設置して、承認された研究の管理を移譲する手続を取った委員会だと思われます。このようなCRBが昨年度内に多数存在していますが、同一CRBとして考えております。
○渡辺委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 吉田先生、ありがとうございました。
また引き続きの議論で質問がでましたら、お答えいただきたいと思います。
それでは、ただいま事務局からの説明と吉田先生からの説明を受けまして、論点の1つ目について御議論いただければと思います。
6ページの下半分のところにあります「論点」で5つございますが、順番にということもなくランダムでも結構ですが、まず、どの論点に関しての御意見なのかをお示しいただいて、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
まず、日本医師会の渡辺先生、引き続いて山口委員からお願いいたします。
○渡辺委員 一番上のところ、つまり、回数を厳密に年11回以上とする必要があるかという論点から入らせていただきたいと思います。今御報告された調査資料を見ても、年11回以上はとてもカバーできないような申請がたくさんあるように思うのですね。年3回とか、年5回とかというのは、申請する段階でとても無理だろうと恐らく思っておられるのではないかと思うところが申請されて、さっき吉田先生がおっしゃったように、複数があるところは、認定されなかったので、また再度行った。そのような申請の仕方を受けることに対して、問題があるのではないかと思うのです。自施設が70%以上あるというのも、安易に設定をして、設定しやすい条件をつくって、駄目だったら新たにもう一度申請しようというCRBの存在は意味があるのかと、一般的には思われてしまうのではないかと思います。厳密にというのは、できる限り当初からそれが想定されるという条件をつけるか、せっかく最初の倫理委員会で11回の意味づけがあるのに、それを満たしていないこと自体に問題があるのではないかと思います。だから、厳密に11回がいいかどうか別にしまして、5、6回の始めから開けそうもないようなCRBの認定をするという制度は改めるべきではないか、そうしないと質はある程度担保できないのではないかと思います。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。設置するときには、我々国立病院機構も最初は5つつくって、それぞれが年11回をクリアできる程度の新規案件があると予想してというか、それまでのいろいろな経験から可能であろうと思っていたわけでありますが、3年間の更新時期に来ますと、実際上、要件通りに審査したものが1つしかなくて、残り4つは案件が思ったほどなかったということで、更新を機会に4つを廃止して1つに集中化させるようなことをいたしました。
したがいまして、最初の申請時には十分クリアできると思っていたのだけれども、いざ蓋を開けてみるとそうはいかないというような事例も結構あるかと思いますので、これは後の議論になると思いますが、更新要件のところでどういうふうに整理していくかということにつながっていくのではないかと思います。
御意見をありがとうございました。
引き続き、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。
まず、今の認定要件のところですけれども、私もこの臨床研究法が初めにできたときに、CRBはどれぐらいの数を目指しているのかということをお聞きしたら、たしかそのときに全国で50か所ぐらいと伺ったと記憶しています。想定として、全国の申請総数が800件ぐらいあって50CRB数ということが想定されていて、実際の申請総数は半分の400件なのにCRBはその倍の100あるということ自体も、先ほどのアンケートの結果ではないですけれども、見合わない数ができているのではないかなという気がいたします。
先程からお聞きしていると、継続のみで回数を稼いでいるようなところがあるというところ、認定要件が初めから11回以上ということを定められているにもかかわらず、それでも6割ぐらいしか満たせていないことからすると、数を6割にしたら50~60件ぐらいになるわけですから、数としてはちょうどいい数になるのではないかと思うのですけれども、急にそこで切ってしまうと、継続案件とかもありますので、私は、この11回はそのまま置いておいて、もし更新できない場合は一定の期間の猶予を置いて集約していく必要があるのではないかと思います。
それに加えて、また客観性や地域差なく一定の認定要件ということからすると、11回以上の中で、一定の新規申請をある程度の回数でやっているということも入れる必要があるのかなということと、13ページに研究班の報告がございますけれども、この中で質の高い審査業務を行っているという選定基準が6つほど書かれています。この中で、客観性を持った基準にできるようなものがあるのであれば、質の高いということですけれども、本来CRBが目指さないといけないのはこの6つを満たしていることではないかという気がしますので、ここの中から、客観性、地域差なしにできるような要件をもし考えていくことができるのであれば、それも加えるということで更新の要件としてはどうかと思います。
それ以外の2つ目に、制度による対応のほかにどのような取組が考えられるかということですけれども、ここについては、客観的な評価をすることがかなり難しい部分もあると思いますので、私は、取組として、研修内容、特に就任するとき、一般委員も含めてきちんとした研修をやっているかどうかということと、その内容、方法とか、その研修の成果の確認ができているかどうか。
CRBは、委員長によって、かなり内容が変わってたり、一般委員が発言しやすいかったりしにくかったりということも含めて、雰囲気づくりがとても委員長に左右されるところだと思うのですいます。しかし、恐らくそれぞれ委員長はこれでいいのだと思ってやっていらっしゃると思いますので、研修の中に委員長の研修という実務的な研修も取組としてしていく必要があるのではないかと思います。
先ほどものアンケート結果で専従の方が3割程度ということですけれども、事務局をやっている仕事の業務の範囲や内容、そういったことを見ていくことと、議事録も、逐語になっていなくて、1人の人がほとんど発言しているようなことも分からないような議事録の内容もありますので、そういった議事録のチェックが必要ではないかと思います。
先ほどの選定基準の中にもありますけれども、実際に審査している内容にばらつきがないかどうかということ。
ピアレビューは、私は年1回ぐらいはやったほうがいいと思っているのですけれども、ピアレビューだけで近隣で済ませてしまうと、どうしても顔の見える範囲だと遠慮し過ぎて緩くなってしまうこともありますので、模擬審査も中には入れていきながら、さらなる質の向上に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
1つだけ、質問として、11回未満のところですけれども、事務局にお聞きしたいのですが、これはなぜ開催できていないのかという理由まで確認はできているのでしょうか。
○医政局治験推進室長 申し訳ございません。
理由までは確認をしておりませんので、単に開催回数のみを聞いております。
○山口委員 分かりました。
それ以外は、全部意見です。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
次、北大の佐藤委員、その後、藤原委員、掛江委員でお願いいたします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。よろしくお願いいたします。
論点の中で、先ほどから開催件数について、一番上に書いてあるせいもあるかもしれませんけれども、議論が多いかと思いますけれども、11回の開催につきましては、先ほど吉田先生から話がありましたけれども、継続で数を稼ぐ、稼ぐという言葉が正しいかどうか分かりませんけれども、実際に新規の案件がなくても、プロトコールの修正であったり、疾病等の報告であったり、その他いろいろ報告類について審査をしなくてはなりませんから、言葉は悪いですけれども、1つの審査案件があると何回も開けるということがございます。ですから、この年11回というものをなくす必要があるとまでは言いませんけれども、これをもって質の担保ができるとは、私も自分自身でCRBを北大で運営しておりますけれども、なかなかこの開催回数だけでは言えないのかなと思っています。
恐らく根拠となった楠岡先生の研究班の時代は、倫理指針の時代ですから、格段に審査件数が多かったわけですから、月1件ぐらいは自動的に開かないと、数もこなせないでしょうし、申請も進まないでしょうということで、当たり前のように月一遍という形で開催されたと思いますけれども、認定審査委員会に関しましては、吉田先生のデータにもありましたとおり、年間3ないし4件ぐらいの新規案件しかございませんので、それで11回開いても質の担保になるというところは言えないと思いますので、なくしてもいいのではないかと思いますけれども、ぜひなくすべきとは思いません。
逆に、質の担保をするのであれば、継続の審査ですとか、疾病等報告の審査も悪くはないのですけれども、複数の案件を年間に一定数で審査するということがなければ、CRB自体あるいは委員自体の経験値が上がりませんから、これからの議論になると思いますけれども、数値目標をつくるのであれば、私は新規審査案件何件以上というものが一番経験値をはかる目安になるのではないかと考えているところです。
そのほかの質の向上に関しましては、先ほど山口委員にたくさん御意見を言っていただきましたので、ほぼそれに同意するものでございますけれども。模擬審査にしろ、ピアレビューにしろ、やったかやらないかだけでなかなか質の担保がどうなのかというのは難しいですので、そこのところをどう評価するかということをきちんと議論していないと、また単に開いただけとなりかねないのではないかということもございますので、難しいところはあるかと思いますけれども、項目を立てるだけではなくて、それをどう評価するかという議論も必要ではないかと考えます。
私からは、以上です。
○楠岡部会長 次、藤原先生、お願いいたします。その後、掛江先生、花井先生、お願いいたします。
○藤原委員 まず、この論点に関連するところですけれども、資料1-1で事務局側から今回提示していただいたCRBにおける審査手数料についても、今後、臨床研究法の改定などに従ってまた問題になってくると思うので、整理をお願いしておきたいというのが1点ございます。
臨床研究法が始まったときも、その当時、私はがんセンターにいましたけれども、1回の手数料が100万円は高いのではないかという批判ありましたを受けが、今回の参考資料1-1を見させていただくと、新規申請の時には安くして、その後、手間はそんなに大きくない、年1回の定期報告などでがっつり稼ぎますという機関が多くて、トータルで見ると100万円にすぐなるところがたくさんあるように見受けられましたので、集計の際には、1つの課題が始まって終わるまでの間、通常は、臨床試験ですから、3、4年はかかると思いますけれども、それで幾らぐらいかかるかという手数料の見せ方にしていただかないと、議論が将来的に混乱すると思いますので、事務局には御配慮をお願いいたします。
引き続きまして、論点について意見を述べさせていただきます。
まず、CRBの更新要件のところは、皆様方も既におっしゃっていらっしゃると思いますけれども、私は都道府県に1つは最低限要るとして、47、それで臨床研究法の審議のときに当時の神田医政局長が50ぐらいとしまったされのだと思いますけれども、最低限はそこれくらい必要。それに加えて、今回の集計にないのは、都道府県ごとに新規件数がどのぐらい分布しているのかというデータが欲しいところです。最低都道府県に1個CRBがあって、東京、大阪、仙台、札幌、福岡、名古屋もそうかもしれませんが、新規の件数が多いところは複数のCRBを置いておかないと回らなくなりますので、そこをちゃんと押さえた上で妥当なCRBの数を設定していけばいいかと思います。
今の年11回以上という要件は、変える必要は全くなくて、私は年に12回でもいいかなと思いますが、大きく変えるのは大変なので、11回は維持した上で、この3ポツ目にあるようなCRBの質の維持や向上のための適切な審査件数で、今回の吉田先生のアンケート調査を見ても、新規は年間の中央値で2020年は4件、今回のこの資料を見させていただいてくと、3回以下のCRB開催のところもありまですが、新規は3、4件をマストにして、今回、3回以下しかこの3年間で開催していないところは全て自動的に切る、適正な数にCRBの数を持っていくということをされてはどうかと思います。
2ポツ目のCRBの審査能力の向上ですけれども、制度による対応のほかで必要なところは、これは臨床研究法をつくる段階の特別研究で海外調査をさせていただきましたけれども、欧米各国はこの審査の質の維持のために結構お金を国費として出していました。イギリスしかり、アメリカしかりですけれども、イギリスやフランスは各ローカルのエシックスコミッティーの質の向上のために、中央審査機関がしっかり予算を元に審査をやったり、サイトビジットをやったりされていましたので、今後、研発やAMEDにしっかり予算をつけて、このCRBをチェックする体制、今の地方厚生局やAMEDの研究班の事業としてチェックをするような体制ではなく、ちゃんと責任の所在がはっきりしたところでチェックする恒常的な予算措置が必要ではないかと思いました。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
引き続き、掛江委員、お願いいたします。
○掛江委員 ありがとうございます。
既にいろいろな委員から御意見が出ていますけれども、論点の1つ目の開催回数を要件にしている件については、私も佐藤委員と同じ意見で、新規案件の件数で評価したほうがいいのではないかと考えています。例えば、定期の報告であったり、恐らくもろもろ時期的に重なることは多く、そういう時期に月2回やるという形を取っている委員会もあるようですけれども、基本的に11回にするためにわざわざいろいろな議題をばらすというのもおかしな話なので、真に内容で考えるのであれば、新規案件の数のほうが要件としては適切かと思っています。
ただ、1つ思いますのが、論点の3つ目にございます、適切な審査の件数をまずは検討していただいて、そこから割り出した1CRBあたりの新規の審査件数の要件を設定する必要があるのかなと。さらに、適切なCRBの数、集約化の議論、あるべき姿というか、そういったところをまずは考えていただいて、そこから適切なそれぞれの委員会で担当すべき新規案件の件数を算出していただく必要があるかと考えています。
もう一点、論点にあげられたものと直接関わっていないかもしれないのですけれども、今でも申請者が通りやすいIRBを選んでいる現状はあるような印象を受けているので、そういった意味では、藤原委員がおっしゃった、その地域ごとにCRBがあるべきというところに私も賛成で、かつ、地域のバランスを考えたCRBの設置をしていただいた上で、申請者がCRBショッピングをするというようなことではなくて、決まったところに申請をする、同じような質で、きちんとした質で審査をされるという体制が、将来的にできることを念頭に置いた検討を是非していただければと考えております。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
花井委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。
今、複数の委員から御発言があったように、何となく最終形の理想像は皆さんも共有されているのかなと思います。今回の論点について、11回を残すか残さないのかとかいうところはあるのですが、掛江先生もおっしゃったように、案件数は基本的には大事だとは思います。
別の考えとして、例えば、特定機能病院は多分90弱ぐらいあるのかなと。そのうち臨中が14ぐらいで、基本的に、病院の研究する主体としての機能と、CRCさんがいるような研究支援機能と、こういう審査をみんな持って一人前のいい病院みたいな、そういうブランドみたいなところがちょっとあって、うちぐらいだったらそれは持っておかないとというところでつくろうというところは、傾向として、あるかと思います。
今、50ぐらいとすると、特定機能病院の数だけで90ぐらいできるわけですけれども、そうならないように、意識というか、そういうことを変えていくことも結構大事かなという気がします。
今、専従といわゆる非専従というデータが出ていました。楠岡先生が解説したように、大体4人ぐらい、2人・2人で、エフォート率も大体似たような感じで中央値は出ていると思うのですけれども、質の向上は、まず、その量的な人の数も結構重要ですし、もちろん、研修、能力的にはそんなに差がないと思うのですね。経験値が重要になってくるので、集約化をしないで今のまま広がっていくと、いつまでたっても質が上がらないということはそうだと思います。
事務局から説明があった、いいところに公費を入れてそこでというのは、とても政策としては一番よくて、さっきの審査料の話もありますけれども、審査料が高いことによっていろいろな問題が既に生じています。そこだけ企業から出してほしいという話が出てくると、また利益相反がどうかとか、そういう話も出てくるので、これは公的インフラなのだから、公営というのが一番あれなのでしょうけれども、そうではなくて、例えば、臨中を中心にまずはやるとか、広げて、50か所までいくか分かりませんけれども、国が公的支援をして、審査料も押しなべて大体同じぐらいのコストでできる、基本的なインフラ化をするということに関しては、国が主導してちゃんとコストを投入していかないと、自由競争みたいな話でやる問題ではないと思いますので、そこはぜひやっていただきたいと思いました。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。
藤原委員にお伺いしたいのですが、先ほど御発言の中で各都道府県に1つというお話があったわけですけれども、申請者が審査に出席を求められている場合、非常に遠距離となるとかつては問題だったわけですが、今は結構リモートでの参加もかなり可能になってきているので、必ずしも近距離である必要もない。そうすると、先ほどの御意見の中で、ある一定数の新規件数を確保しようとすると、実際に各都道府県1つに1つ要るのかどうかという議論もあると思うのですが、先生から各都道府県に1つとおっしゃったところで、その根拠といいますか、御意見の根拠になっているものは何かございますでしょうか。
○藤原委員 花井委員もおっしゃっていましたけれども、各都道府県のアイデンティティーは尊重してあげないと、ある県にはなくてほかの県にあるということは、なかなか自分たちのアイデンティティーを喪失する感を与えてはいけないので、最低1つはあってもいいだろうと。その中で、各都道府県に医大は必ずありますから、それが最低限で、それにプラスでたくさんやっているところには手厚くCRBを配置していくという、現状の新規の特定臨床研究の件数に応じた配置がいいのではないかというのが私の考えです。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤です。
先ほど公的支援のところが出ていたかと思うのですけれども、資料の審査手数料のところで、CRBを内部で持っているところと外部で持っているところの審査手数料にもし差があるようでしたら、外部の特定臨床研究を推進することも価値あることかと思いますので、そういうところに積極的に取り組んでいるところに公的支援とか、そういうことにも配慮することも必要かと感じました。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ただいまの御意見とも関連するのですが、今回設置主体と同じところ、内部での審査が7割5分で、外部が2割5分ということですけれども、この2割5分も、自施設にないので、やむを得ず他施設のCRBに依頼しているというのが現状ではないかと。そうすると、その自施設のCRBはCRBとしては独立しているわけですし、また、CRBの委員は申請者の顔が分かっているほうが研究の質もある程度推定がつくというメリットはある反面、逆に、なかなか厳しい意見が言いにくいというところもあるかと思います。そうすると、今、自施設でほとんどなされているということについて、要するに、外部の目を通すという意味で制約をつけるとか、そのようなことに関しましては、何か御意見はございますでしょうか。
日本医師会の渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今座長おっしゃったことは、私のような者から考えても、妥当な考え方だと思うのです。全然分野が違う話なのですが、医療事故調査制度というものがございますけれども、あれも、医療機関で事故があったときに、自らが律して自らが調査を行って報告書を書くというものですから、非常に医療者の自律性を強調しているわけですけれども、設置するときに第三者性を担保することに非常に配慮しているわけです。
今回のものは、今、おっしゃられたように、75%が自院で行っていることに関して、全然違う視点から見ていくと、ちゃんと審査していただいているのかという疑問を抱かざるを得ないような状況かと思います。それがきちんとできているということが分かるようにしていただく制度でない限りは、75%が自院でやっているというのは、研究者の顔が見えるというメリットがあるのかというのは僕には疑問で、むしろ客観的に評価するということから考えるとあまり顔が見えないほうがいいのではないかという気がいたします。
そういう意味では、75%の自院でやって自分のところで審査をするという制度のCRBの在り方は、少し考えるべきではないかと思います。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
北大の佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 ただいまの件ですけれども、外部の評価を入れることに関しては反対するものではございませんし、先ほど言い忘れたのですけれども、質を担保するのに何らかの公的な評価委員会的なものも、スクールとか、そういったところにお金をかけるのもあってもいいかと思っています。それに、付け加えさせていただきます。
ほかに、確かに自施設の審査委員会はなかなか客観的に見られないという話はあるかもしれませんけれども、臨床研究法の審査委員会は、外部委員に対する規定が非常に強くなっています。倫理指針から比べると、構成比率は外にしなくてはならない比率が高まっていますし、多くのCRBでかなりの外部委員の議論をされているところもございますので、自施設のもの、イコール、自施設の委員が先導してやっているとか、そこをイコールに持っていくのは、そういうふうに思われがちかもしれませんけれども、中身をしっかり評価した上で考えていただいたほうがいいかと思います。
本当に臨床研究法が外部委員の比率を高めてそこら辺をできるだけ客観的にできるようにという制度設計でつくられていますので、そういうちゃんとした規定もあるということを踏まえた上で議論していただければよろしいかと思います。
私からは、以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかに、この論点に関しまして、御意見はございますでしょうか。
花井委員、渡部委員、山口委員でお願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。
今の論点は、言いにくいこと言っていただいたと。確かにそうなのですね。だから、その75%の自施設というところの一つの考え方は、今日は確信を持っていないので申し上げなかったのですけれども、一定程度、自施設の件数は抑えるという考え方と、先ほど申したとおり、自施設よりも公的支援を受けたほかのところのほうが早くて安いという誘導でそれをばらけさせられるのかなと考えて、公的というところに期待があったのですね。
ただ、これもすごく言いにくいので迷う意見なのですけれども、研究者の意識が欧米と違って、経験的なので怒られるかもしれませんが、大学に対する忠誠心が日本の研究者は欧米に比べて結構高いというところがあって、それはいいことでもあるのかもしれないですけれども、仲間というコミュニティーを構成していて、それが審査をゆがめるのではないかという懸念が、欧米の研究者の、大学は自分の出世のための入れ物ぐらいにしか思っていないみたいな、本当にドライな感覚とは相当違う感じがあって、そういう日本の現状からすると、なるべくその他の客観的な審査があるという形が、いわゆる国民、僕らみたいな感覚からいえば、何となく公平にちゃんとしているように見えることは確かだということは申し上げたいと思います。
だから、公的なところへ誘導して、自施設でやるよりもこっちのほうがいいとなるのがいいかなとは思うのですが、もしも意識の問題で相変わらず自分のところでということになるのであれば、何らかの基準をつくる必要があるのかもしれないというところです。
ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、東大の渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 各県に1つが妥当なのではないかという流れだったと思うのですけれども、管轄別の設置状況を拝見すると、例えば、青森とか、香川とか、あとは、奈良ですかね。1回廃止してまた再設置しているようなところも見受けられるので、新規3、4件はマストという話もあったと思うのですけれども、そことのバランスも慎重に検討したほうがいいのかなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
山口委員、その後、掛江委員、お願いいたします。
○山口委員 先ほどの自施設で75%という件なのですけれども、先ほど吉田参考人がおっしゃったように、CRBの委員は外部から入っている人も結構いますので、自施設意識を持っている委員ばかりではないように私は思っています。
ですので、それよりは、CRB自体の取組、質を高める取組に力を入れたほうが、私もCRBに入っていますけれども、結構外部の委員は自施設という感覚ではなく意見を言っていることが多いと思いますので、そちらにこだわるよりは質を高める取組に力を入れるべきかと思いました。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
先ほど山口委員から委員長のことを少しおっしゃられたと思うのですけれども、委員長が外部委員あるいは一般の立場の発言をどれだけ引き出すかという点も重要です。CRBになって今はどうかという具体的な数値はありませんけれども、かつては、外部委員が非常に発言しにくいということがあって、それでIRBの委員研修がスタートをした経緯もありますので、その辺りの発言を引き出すことと参加された方が活発に発言するという両輪を進めていくのも、1つ、必要なところではないかと私も考えております。どうもありがとうございました。
○山口委員 委員長については、誰もフィードバックをする方がいらっしゃらないようにお見受けしますので、その機能が必要かと思っております。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、掛江委員、お願いいたします。
○掛江委員 ありがとうございます。
1点だけ、少し論点がずれてしまうかもしれないのですけれども、CRBの更新要件、開催件数といったことを検討する中で少し気になっておりますのが、今のCRBが審査依頼、依頼者を集めると言うと変なのですけれども、CRBが自由競争の中で依頼を集めるような現状の形だと、現状申請者はどこのCRBに出してもいいわけですから、どこのCRBに出そうかと考えたときに、安いとか、早いとか、審査が通りやすいといったことで選んでしまう可能性があるかと。そうすると、今度は逆にそのことが質の低下を招くのではないかという点を危惧しています。もちろん申請者が選べる制度がいけないと言うつもりはなくて、質を高めてどこに出しても問題がないようにするという方法も一つかと思うのですけれども、ある程度その地域でここに出さなければいけないといった方法も検討して良いのではないかと考えます。CRBが審査件数を増やすように努力をしなければいけないみたいな形にCRBの要件が働いてしまうのは逆効果の面もあるのではないかと勘ぐってしまいましたので、そのことだけ発言させていただきました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ただいまいただきました意見をまた整理して、今後、この場で議論を進めさせていただきたいと思います。
それでは、議題2の研究全体の責任主体の概念につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局治験推進室長 それでは、資料1-1にお戻りいただきまして、全体の14ページを御覧ください。研究全体の責任主体(Sponsor)の概念につきましても、まず、現状・課題、先に論点を御説明させていただいた後、周辺の状況について御紹介したいと思います。まず、現状・課題について、特定臨床研究の中でも、特に多施設、複数の施設で実施をされる研究に着目したところがございます。こういった多施設で行われる研究については、現状では参加される医療機関ごとに研究責任医師が設置されています。そういった方々が、各医療機関ごとに、監査、モニタリング、疾病等報告、例えば、因果関係の判定や報告の要否といった判断をして実施しているということがございまして、1つは、それぞれがやっていることで煩雑であったり、あるいは、同じ研究にもかかわらず施設ごとにこれらの手続に差異が認められるという指摘がございます。また、複数の施設で実施をする場合、研究代表医師という形の方が位置づけとしてありますけれども、この方は研究責任医師の中から選任されて設置するものの、法制度上はあくまで手続を取りまとめるということで、試験の責任はそれぞれの医療機関の研究責任医師に担っていただくという体制でございます。一方、ICH-GCPは、後ほど国際的な比較も御紹介したいと思いますけれども、海外では日本のような治験とそれ以外の特定臨床研究が分かれていないので、一般的に、臨床試験を実施する場合、おおむねICH-GCPに準拠しているとなっております。この中では、試験全体の計画運営責任を負うSponsorと各施設でそれぞれの研究実施に責任を負うInvestigatorが分かれて存在しているということがございまして、例えば、国際共同研究を実施する観点で言いますと、特定臨床研究でも同様の形の体制を取るべきではないかといった指摘もいただいております。また、3つ目の柱になりますけれども、現在指摘をされている問題として、臨床研究を実施する責任の主体は、今、研究責任医師ということで医師のみが想定されていますけれども、例えば、法人としても実施できるようにすべきではないかということや、あるいは、医薬品などの製造販売業者が行う試験になりますが、例えば、医薬品ですと再審査期間中のそういった試験については製造販売後臨床試験になりますが、再審査期間が終わってしまうと、この製造販売後臨床試験からも外れてきてしまう。また、一方で、臨床研究法では医師のみが特定臨床研究ができるという形になっているので、企業によるこういったエビデンスの取得が困難ではないかということで、これは後ほどアンケートの結果などを御紹介させていただきたいと思います。また、医療機器についても、発案は工学部の研究者の方がいろいろ実施を考えても、実際には実施をしていただく医師に主体を担っていただく必要があるということで、ここについて、工学部の先生方がもちろん専門家としての医師の方を用意してのSponsorということになろうかと思いますが、そういった概念を導入した場合に試験が円滑に進められるのではないかという御指摘をいただいております。今日御議論いただきたい論点としては、まず、今申し上げたような形で、ICH-GCPについては、試験の責任を負うべき者と実施する者が分けられた上で、それぞれの義務、役割が規定されていますが、臨床試験においては、今、それをまとめて研究責任医師が持っているという中で、この研究の計画の運営の責任を負うべき者を臨床研究法に位置づけることについてどう考えたらいいのか、仮に位置づける場合、どのような主体となるのか、また、仮にそういった方を置いた場合に、従来、研究責任医師あるいは研究代表医師という方々が担っていた責任・業務をどのように整理して研究の実施体制を構築していくのか、少し細かくなりますけれども、仮にSponsorなどを位置づけて研究の体制を変える場合、従来から実施しているものについては、経過措置などの対応も必要ではないかという論点を挙げさせていただきました。
次から、背景となる情報について少し御説明をさせていただきたいと思います。15ページを御覧ください。今申し上げたものと多少繰り返しになりますけれども、ICH-GCPと臨床研究法の体制について、これも令和2年度の堀田先生の班の資料から引用させていただいております。ICH-GCPにつきましては、ここにございますように、Sponsorという方が試験の立案、運営、資金などについて責任を負っていただくということで、その主体は、個人、会社、研究機関、または団体とされています。また、各施設にはInvestigatorということで、実際に各医療機関において実施の責任を負う先生方をInvestigatorと呼んでおります。一方、臨床研究法では、ここの右下にありますように、各施設ごとに、SponsorかつInvestigatorということで、実施のみならず試験そのものに責任を持つという形になっています。ただし、先ほど申し上げましたように、多施設の場合、研究責任医師の中から研究代表医師を選任いたしますけれども、制度的にいうと、この方は、責任を持つのではなく、いろいろな手続の取りまとめをしてくださる、例えば、CRBの意見聴取などについて一元的に対応されるといった役割となっています。
続きまして、16ページを御覧ください。これは仮にそういったSponsorの概念が組み込まれた場合に、今までの体制とどう変わるのか、イメージということで、少し雑駁なものになっておりますけれども、御理解いただく助けということです。まず、現状、先からほどからの繰り返しになりますけれども、各施設ごとに責任医師がSponsorかつInvestigatorの役割を持っていくことと、多施設の場合に、研究代表医師がおられますけれども、CRBの意見聴取などの手続を一元的に対応しているものの、あくまでも試験実施の責任は各研究責任医師にあって、代表医師は取りまとめということで、例えば、疾病等報告などについても、発生した施設ごとの研究責任医師が因果関係や報告の要否を判断するという形になっております。仮にSponsor概念を導入した場合にこれがどうなってくるかということですが、1つの研究についてSponsorが1人だったり、1つの組織・団体だったりということで定められて、ICH-GCPに沿って言えば、Sponsorになり得るのは、個人、会社、研究機関、団体ということで、様々になります。また、Sponsorが研究実施の責任を負うことになりますので、例えば、疾病等報告についても、各施設からSponsorに、有害事象、因果関係を判断する前の情報を集約していただきまして、Sponsorが因果関係の判断や報告の要否を行うという形になっております。
17ページは、参考になりますけれども、先ほど既存の体制からの役割、責任の切り分けがあるのではないかという御紹介をさせていただきましたが、現行の臨床研究法におきましては、研究責任医師をはじめとして、研究を実施する様々なステークホルダーについて、対象行為を特定して、違反をした場合に罰則を設定するなどということがございます。仮にこの責任主体についてもしもそういうことを入れるとすると、恐らく、法律の改正、罰則などを含めた検討、様々な手続や義務などについて整理が必要ということで、この辺りにつきまして、本日は、まず、どういう方針でいくのかということを御審議いただいた上で、その方針に沿って、今後、仮にSponsorを入れることになれば、様々な手続について引き続き御相談していくことになろうかと思います。
続きまして、少しページが飛びますけれども、参考資料で補足の御説明をさせていただければと思います。
参考資料1-5、全体の56ページを御覧ください。
先ほど製薬企業が計画する研究がしづらいという話を紹介いたしましたけれども、本年度も引き続き堀田先生に研究班をお願いしておりまして、そこで企業が計画をされる特定臨床研究の実態について調査をいただきました。
58ページを御覧ください。具体的な調査内容です。製薬協の医薬品評価委員会の加盟各社に御協力をお願いいたしまして、56社の回答をいただいております。調査期間は6月2日から8日ということで、調査の概略ですけれども、1社1回答で以下の調査をしております。まず、企業が立案をされた特定臨床研究について検討したことがあるかどうか、そういった研究について断念をした経験があるかどうか、資金提供の関与の経験があるかどうか、そのほか、実施上の課題についてお伺いしております。
次の59ページを御覧いただきますと、今申し上げた設問内容ですけれども、順にお答えいただく格好になっていて、最初に、計画をしたことがあるかどうかで「ある」と答えられた方については、中ほどの設問2にございますけれども、断念をした経験がありますかということで「ある」と答えられた方には2つの設問をお願いして、「ある」と答えられた方については、断念した臨床研究の件数や理由についてお伺いしました。もう一つ、設問4ということで、資金提供を行ったことがあるかどうか、1社1回となりますので、1社の中で複数の御経験をされているということで、こういう形のお伺いをしております。断念した経験のない方については、特定臨床研究に資金提供を行った経験をお伺いいたしました。
60ページを御覧ください。こちらが結果になります。立案をした経験があるところが28社ございましたが、このうち、断念の経験をしたところが9社、断念した試験は22試験ということで、後ほど理由を御紹介したいと思います。また、そういった会社でも、特定臨床研究を実施した経験があるということで、7社、50試験以上について経験があるということでありました。また、断念の経験がなく実施ができたというところは、17社、72件となっております。
61ページに断念の理由がございます。幾つか御紹介したいと思いますけれども、1つ目の矢羽根にありますように、試験企画は企業が実施をしているのに、制度上は医師に責任を負っていただく、負荷される責任が多大なためということがございました。中ほどの4つ目、5つ目になりますけれども、国際共同臨床試験をやる場合に、日本だけ医師が研究の実施責任を負うことが現実的ではないということで、その後、実際に業務分担が困難とか、実施がねじれた体制になってしまうということで、主体を限っているところについて実施上の課題が出てきていることが明らかになっております。
少し飛びまして、資料1-6を御覧ください。
少し字が細かくて恐縮なのですけれども、今年度の研究班で各国比較をお願いしました。恐らく藤原先生が法制定時におつくりいただいたもののアップデートをさせていただいたものになろうかと思いますけれども、医薬品に係る臨床試験をめぐる各国の制度比較ということで、アメリカ、欧州、日本を比べております。まず、大きく申し上げて、規制の対象範囲、1番になりますけれども、米国、欧州については、薬事申請目的以外のものも同じ法律で規制をしているというか、管理をしていることになりますが、日本は、治験、臨床研究は臨床研究法、それ以外の観察研究などについては指針ということで、それぞれ該当する制度が分かれていることになります。中ほど、Sponsorの定義というものがございまして、まさに今回お話ししている部分でございますけれども、アメリカ、欧州については、それぞれ試験の開始や管理あるいは実施をすることについて責任を持つ人ということで、それぞれ、単一の個人、製薬企業、政府機関、学術機関、民間団体、その他ということで入っております。また、その下を見ていただくと、研究者が主導する試験でのSponsorの位置づけということで、もちろん海外でも小規模に発案をされた先生が実施をするという試験がございますけれども、そういったものについても、通常、いずれにしても試験1つに対してSponsorが一義的に定まるという形で、単施設であれば、日本のように、SponsorとInvestigatorを兼ねる方が出てくる。ただ、そういった複数の方がやるものについて、いずれにしても1つの研究に1つのSponsorがあるという形になっております。中ほど、日本の治験でございますけれども、企業治験については、今、申し上げたような、米国、欧州と同じような形で、開発をされる製薬企業などが基本的には治験の依頼をする者としてSponsorとなっておりますが、医師主導治験については、Sponsor、Investigatorの両方を担う方が出てくるという形になっております。臨床研究は先ほど申し上げたとおりということで、先ほどの企業からのアンケートもございましたけれども、日本は医師がそれぞれの施設ごとに責任を持つという体制になっているところについて、少々実施の不都合が出ているという状況が明らかになってきたかと思います。
私からの説明は、以上とさせていただきます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの件に関しまして、御意見をお願いいたします。
花井委員。
○花井委員 ありがとうございます。
欧米のSponsorの概念の話は十分理解するところなのですが、私どもが懸念するのは、試験の内容がちゃんとその患者の利益と安全を守った形で実行されるかというところがこの臨床研究法ができた経緯なのですね。機能だけで考えれば、今、研究責任医師の業務の一部を代表医師が定められるのですけれども、そこの機能面だけで統一的なところやる実務部隊を、法人なり、そういうところに依頼すれば、兼ねている代表医師、つまり、Sponsorと研究者を兼ねている代表医師の業務の体制を、1つの法人とか、そういう形に置き換えることもあり得ると思うのですね。それでも対応できるところはあると思います。
ただし、一方で、企業知見で、いわゆる適用拡大とか、そういうものではない、企業発案のいわゆる日本でいうところの特定臨床研究のようなものをどう考えるのかみたいなところなのですが、リサーチクエスチョン自体がどうなのかというところを、被験者側からすると、治験であれば、要するに、新商品開発のために協力してくださいというプロトコールなので、それは十分理解できるのですね。新商品が患者の利益になる画期的な新薬らしいとか、そういうところで評価しているので、何となく治験参加の動機づけとか、いろいろなことは分かりやすいのですが、臨床研究になると、ある意味、2種類があって、クリニカルドクターが、自分らの臨床の長い経験の中で、もっと患者を救える方法があるとか、こういう使い方があるみたいなところで、もちろんこういう問題点があるというところで発案してやっていくという話と、企業が主体になってやる限りにおいては、企業はコマーシャルカンパニーなので、一義的には株主に忠誠を誓っているわけだから、その大きな機能において企業が何か研究したいということなので、僕らの感覚からいえば、それは薬機でやってほしいと。PMDAが薬機法の中でやってほしいかなと。
臨床研究というところが、医師主導治験という中間的な制度があるのが日本固有のややこしいところなのですけれども。Sponsorというところに製薬企業がどんどん入ってくるというのは、今の感覚では理解が難しいと。米国、ヨーロッパの制度的実態というか、概念は私も理解しているつもりなのですが、実際、運用上どうなっているのかとか、どういう研究がどうやられているのかというのはもうちょっと知らないと、ここでSponsorは民間でもいいよということは言いにくいかなという気がしています。
制度設計の問題でもあるので、今、確かな腹案があるわけでありませんが、この臨床研究法ができた理由は、1つの大きな事件、言ってしまえばディオバン事件ですね。結局、臨床研究なのだけれども、企業がこの結果が出てきたらプロモーションに役立つと思ったという動機づけの不純さ、その不純さの先に不正という問題があったのであって、そこに対する国民の信頼感が損なわれてこの法律ができているという経緯からしても、そこのところの論点はしっかり議論して新しい制度設計を考えていただきたいと思います。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。
掛江委員、その後、佐藤委員、お願いいたします。
○掛江委員 ありがとうございます。
花井委員の御意見は非常によく理解できたと思うのですけれども、結論としては、私は逆の立場で、薬事承認を目指す手前の臨床研究を企業さんがされたいことは当然あるとは思いますし、その際に、企業さんが名前を出さずに先生方のお名前を借りて臨床研究をすることになるほうが、被験者保護の観点からというか、あまり望ましくないのではないかと。企業さんがやるのであれば、ちゃんと企業さんが名前を出して責任をもち、公正にきちんと被験者が守られるような形で実施するのが筋ではないかと考えています。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
北大の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 今の企業の問題は、そう簡単に結論といいますか、浅い議論ではいけないと思いますので、きっとこれからもう少し議論したほうがよろしいかと思いますけれども、それとは違う視点で申し訳ありませんけれども、述べさせてください。
基本的には今の臨床研究法は、各施設の実施する者が、有害事象といいますか、疾病等の判断をしつつということで、本当に試験全体の整合性がない状況になっていますので、とにかくSponsorという言葉を使うかどうかは別にして、これは改めなくてはならないと思っています。ですから、これがSponsorの概念ということであれば、ぜひ導入すべきだと考えます。
一方、日本で、例えば、病院長とか、組織、法人が責任を負うという概念がまだなかなか理解されないのではないかと思いますので、ここのところは、私も含めて、中途半端な形で理解していくと、なかなか進まないことになりますから、厚労省さん、事務局の方には、こういったケースは、ここがInvestigatorで、ここがSponsorで、こういう責任はここだというところの事例をたくさん出していただいて、分かりやすくしていただけると、もうちょっと議論が見える形になるかと思います。
具体的に、私も責任の在り方がどこに来るかということで、先ほど17ページ、罰則の規定が出されたと思うのですけれども、例えば、今やられている臨床研究法の特定臨床研究、39条ですけれども、厚労大臣による緊急命令に違反したという場合、多施設共同研究の場合、この罰則対象者は誰になるのかということなのですね。例えば、20人の施設でやっていて、研究代表者と言われる先生がいて、これは20人の施設の医師に全部いくのか、41条もしかりですけれども、今の法体系でいうと、多施設共同は全員にいくことになるのか、その辺のところが私も分かっていない。
要するに、それを進めていくと、このSponsorの概念を入れたときに誰がどの部分の責任を取るのかとか、そういったところがもうちょっと分かりやすくなるのかなと思いまして、1つ、質問ですけれども、例えば、39条で20施設でやっていたら誰が罰せられるのでしょうかという質問で、もし分かったら教えていただけますか。
○医政局治験推進室長 事務局でございます。ありがとうございます。
各々の施設が、仮に同じ命令が、1つの試験ですので、同様に20の施設で出されたということになると思いますけれども、基本的にそれぞれ施設がそれぞれの命令にきちんと答えたかどうかということを個々に見ていきますので、例えば、全ての施設に応じていただければいいなと思いますけれども、仮に、一番難しい問題として、応じた施設、応じなかった施設があったときには、これはまたよく確認をしつつとは思いますが、原則としては、個々の施設が責任を持ってどう対応したのかで判断をさせていただくようになると思います。なので、誰かがまとめてということではなく、各施設がそれぞれの命令に対してどういうふうに対応したか、個別にそれぞれの罰則の適用を考えさせていただくことになります。
お答えになっているでしょうか。
○佐藤(典)委員 ありがとうございます。
分かりますけれども、Sponsorの概念を入れること自体は私もいいと思っているのですけれども、今の多施設共同研究の研究代表医師といいますか、かなりの部分で、今のSponsor概念に入っていると思ってはいるのですね。ですから、そこのところが、今は、法律の建前上は全部みたいな感じでお話しされていますけれども、多分実態としては研究グループをしっかり運営しているところがほとんどですから、研究代表医師を中心にしてしっかり機能しているのだとは思っています。
ですから、今の法体系だったら、20施設なら20施設に全部行って、罰則とか、そういったことにいくというのはおかしいなという気もしますから、実態としては、今、かなり研究代表医師はSponsorに近いのだと思うのですけれども、今回、しっかりそういうSponsorの概念を入れて、研究全体で責任を取るということ、各医療機関ごとに、対被験者さんを中心に責任を取ることをしっかり分けることが、今回の業務の中でうまくいけばよろしいのではないかとは考えます。
ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
山口委員、藤原委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。
花井委員が御懸念されていることは、この法律ができた経緯を考えて、非常に理解はできるわけですけれども、掛江委員がおっしゃったように、実態より形を整えるという状態になっていることには私も疑問を感じています。ですので、Sponsorという概念を取り入れて、責任の主体ははっきり明確にしたほうがいいのかなと思います。
ただ、このSponsorという言葉自体は、日本人の持っているイメージが、実際に欧米で使われている概念とちょっと違っているような気もしますので、その辺りがきちんと研究者や被験者にも伝わるような形で説明していかないと、違った解釈になりそうな気がしますので、そこは気をつける必要があるかと思いました。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
それでは、藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 Sponsorの問題は非常に難しい話なので、今日だけでは難しいかなとは皆さんの話を聞いて思いましたけれども、ICH-GCPでSponsorという概念は導入されていますけれども、ICH-GCPは日本の省令GCPに取り入れられているわけなので、日本の省令GCP、薬機法傘下の治験では、Sponsorの概念は今後どういうふうになっていくのかなということが気になります。海外のICH-GCPに特定臨床研究だけを合わせて、薬機法の省令GCPはまた別に発展していくと、さらに臨床試験のいろいろな管理が複雑になってきて分かりにくくなるので、これはもう一度頭で整理しておきたいなと思うとともに、班の人たちにどういう相違があるのかということを示していただきたいと思います。
先程の参考資料1-6で、私が昔つくったものがアップデートをされていましたけれども、これはあくまでも医薬品の話で、日本の臨床研究法は、海外に類を見ない、医療機器とかの領域では厳しい法律になっていて、海外ではそんな厳しい法律を医療機器の臨床研究には課していませんので、医療機器の多施設共同研究とかをやった場合に、ICH-GCPのSponsor概念はどうなるのだろうかと。EUの臨床試験指令も、別に医療機器は対象にしてなくて、医薬品が対象ですし、ここに出ているFDAの規則も医薬品を主に念頭に置いていますので、医療機器はそうではなくても適応外使用とかの解釈が難しくて、医療機器の臨床研究がどんどんシュリンクしている日本において、医療機器の方々にこのSponsor概念が同じように当てはめられているのかどうかというのも班の方に確認したいと思います。
花井さんもおっしゃっていましたけれども、臨床試験のお金を出す部門が、日本は、公的資金の臨床試験への割合が非常に少ないので、多くは企業に依存しているところがあります。海外だと、アメリカではNIHが非常に大きな金を出していますし、ヨーロッパでも公的資金は結構臨床試験に対して出している部分が多いので、この辺り、企業依存の日本の臨床試験の体制と海外の公的資金が割と充実している環境下での臨床試験の中でのSponsorの概念の違いも今後は考えて、この議論をしたほうがいいと思いました。
以上でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
今藤原委員が御指摘された既存薬の比較のような臨床試験に関しては、現在、公的資金の出どころとしては、文部科学省系の科学研究費はあるのですが、厚労省ではAMEDに行くのは先進開発の話で、本省に残るのは政策立案の話になってきて、そういうものに関する研究費に該当するものがないという現状になっております。これにつきましては、私も科学技術部会等でも再三申し上げていて、検討していただくようにお願いしております。また、この研究費の出どころに関して、公的な部分をどうするかということも大きな問題になってくるのではないかと思っております。
ほかに御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
Sponsorに関しましては、また引き続き検討を続けていく必要があるかと思いますので、事務局でまたまとめていただきまして、いろいろお諮りしたいと思っております。
どうぞ。
○花井委員 1つだけ、いいですか。時間のないところ、すみません。
前にも発言したのですけれども、先ほど山口委員や掛江委員が考えられた理論は僕も非常に考えたところなのですけれども、いつも頭を悩ましているのは、研究の現場が常に患者にとっては治療の現場と同じだと。病院、医療行為に対する信頼や機能が混ざっているというところですね。
職能集団として、医師、薬剤師という人がいて、さっきのSponsorの概要のところでも、結局、医師という人たちは誰に忠誠を誓っているかと。医師法では公衆衛生と書いていますけれども、そういうところになっていて、医薬品の使用でも処方権を医師が持っている理由は、まさにメーカーをうのみにしないというところで、医師、薬剤師の職能によって患者を守るという制度設計になっています。
その医師がやっていることとメーカーやっていることは、そもそも、制度設計上、違っているのですね。海外において、例えば、医師は、治療だけではなくて臨床研究とかに携わるわけですよね。薬剤師もそうですけれども。そうすると、こういう外形的法律だけではなくて、職能集団の役割と罰則とかがあるのか、例えば、臨床研究などをやったら、海外の医師法的なもので何か罰則があるとか、そういうのがあるのかないのかとか、そういうところも比較してもらわないと、単にこの外形的な研究を統制する法律だけを比較しても、いつも分からないのですね。
職能集団との関わりも、何か資料があれば、今後の議論のために事務局で用意していただけたらと思います。
以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、次、議題3、疾病等報告の説明をお願いいたします。
○医政局治験推進室長 資料2、全体の27ページを御覧ください。
定期的なものでございますけれども、臨床研究法第15条1項の規定に基づきまして、昨年度後半、令和2年10月から令和3年3月末までの疾病等報告の状況について御紹介をさせていただきます。未承認の医療機器の報告が1件ございました。
また、30ページは適応外の医薬品の状況ということで、12件、これ以外、例えば、未承認の医薬品、適応外の医療機器等については、特段報告がなかったということで、この期間については13件の報告がございました。これらでございますけれども、CRBなどから特に試験を中止をすべきなどという意見はございませんでした。また、楠岡部会長、藤原副部会長に個別の症例についてはすぐに御確認いただきまして、CRBの判断と同様に、特にすぐに研究の中止などを必要とするものではなかったという点を御確認いただいております。
疾病等報告については、以上でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
ただいまの報告に関しまして、御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
この疾病等報告に関しましても臨床研究部会で承認したということで、御了解いただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、「その他」、事務局から連絡事項等はございますでしょうか。
○医政局治験推進室長補佐 次回の開催につきましては、改めて御連絡申し上げます。
事務局からは、以上となります。
○楠岡部会長 本日は、非常に熱心な御討論をいただき、また、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
今後とも、これらの件に関しましては、引き続き取りまとめていき、またいろいろ御意見を賜りたいと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
どうもありがとうございました。