第17回社会保障審議会年金部会(議事録)

日時

令和6年7月30日(火)14:00~16:00

場所

東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 3階 第2会議室

出席者

会場出席委員
オンライン出席委員

議題

  1. (1)次期年金制度改正の方向性について
  2. (2)障害年金制度について
  3. (3)遺族年金制度について
  4. (4)その他

議事

議事内容

○総務課長 ただいまより第17回「社会保障審議会年金部会」を開催します。皆様、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。
 初めに、委員の出欠状況を報告します。出口委員、権丈委員、深尾委員は御欠席です。
 御欠席の出口委員の代理として日本経済団体連合会の井上様に御出席いただいております。井上様の御出席について部会の御承認をいただければと思います。いかがでしょうか。
(委員首肯)
○総務課長 ありがとうございます。
 駒村委員、嵩委員、原委員、平田委員、堀委員、井上様はオンラインでの御参加です。
 出席委員が3分の1を超えていますので、本日の会議は成立しております。
 次に、事務方の異動がありましたので報告します。7月5日付で年金局長に着任した間です。
○間局長 年金局長を拝命いたしました間でございます。
 菊池部会長はじめ、委員の皆様の御議論を踏まえて、年末に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○総務課長 続いて、資料の確認をします。
 本日の部会はペーパーレスで開催しております。傍聴者の方は厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
 時間の都合により、資料番号のみ読み上げます。
 本日の資料は、議題1について、資料1。議題2について、資料2、資料3。議題3について、資料4。議題4について、資料5を事務局で用意しております。
 事務局からは以上です。以降の進行は菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。大変お暑い中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、カメラの方はここで御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○菊池部会長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。本日は「次期年金制度改正の方向性について」「障害年金制度について」「遺族年金制度等について」「その他」。以上、4つを議題といたします。
 では、まず、議題の1つ目から3つ目まで、事務局から御説明をお願いいたします。
○年金課長 資料1から資料4まで御説明します。
 まず資料1を御覧ください。今回の部会の趣旨についてですが、財政検証の結果を踏まえまして、昨年一通りご議論いただいた各検討事項について、今回からいわゆる2巡目の議論を開始することで考えています。資料1は、議論の開始に当たって財政検証の結果を踏まえた今後の年金制度改正の議論について事務局として整理したものです。
 左上は、年金制度を取り巻く社会経済の変化で、平均寿命や健康寿命の延伸、単身世帯・共働き世帯の増加といった家族やライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業の拡大、最低賃金の上昇等の変化がございます。
 それから、右上は財政検証結果で前回報告したものですが、全般的に5年前と比べて将来の給付水準が上昇し、所得代替率50%の確保が確認されております。他方で、基礎年金の調整期間は長期化し、それに対応するものとして、今回のオプション試算では、適用拡大あるいはマクロ経済スライドの調整期間の一致にプラスの効果があることも確認されています。加えて、今回初めて行った分布推計では、特に若年世代ほど労働参加の進展あるいは適用拡大で厚生年金の期間が延びて、年金額が増えることも確認されました。
 この2つを踏まえて、改正の方向性として基本的な考え方を2点整理しています。まずは、働き方に中立的な制度を目指すとともに、ライフスタイル等の多様化を年金制度に反映すること。これは主に社会経済の変化にキャッチアップするものになります。加えて2点目は、高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化を図ることです。こちらは主に財政検証の結果を踏まえています。
 この2点を基本的な考え方として、対応の方向性がその下にあります。働き方に中立的な制度の構築、ライフスタイル等の多様化への対応、高齢期の経済基盤の安定と所得保障・再分配機能の強化でして、それぞれの方向性について対応する論点を記載しています。この資料は具体的な改正内容について触れたものではなく、そこは今後の議論になりますが、その出発点として委員の皆様に御議論いただきたいと考えて今回用意しました。資料1については以上です。
 続いて、議題2と3に入りまして、2巡目の議論の項目のうち、今回は障害年金と遺族年金を取り上げたいと考えています。資料2は「障害年金制度の見直しについて」です。
 まず2ページでは、これまでの検討の経緯を振り返りつつ、本日お願いする議論を整理しています。
 障害年金については、昨年6月の第5回年金部会で有識者の先生からヒアリングを行い、「現時点で議論が求められる課題」と「中長期的な課題」に整理しました。
 このうち本年5月の年金部会では、次の改正を見据えて「現時点で議論が求められる課題」について議論をお願いしました。これは資料の下に5点ございます。この論点について議論した際、委員から、実務上の課題が様々にあって慎重な検討が求められることもあるので、専門家の意見を聞くことが重要であり、この課題を整理して提示するようお求めがありました。
 これを踏まえて、事務局の方で専門家の先生方にご意見をお伺いして、ご指摘いただいた課題や今後の方向性を資料で整理しましたので、これを踏まえて本日の御議論をお願いしたいと考えております。
 以下、5つの課題がそれぞれ出てまいります。最初が3ページ目の初診日要件です。障害厚生年金に関わるもので、保険事故の発生時点となっている初診日について、被保険者資格を喪失した後に一定の期間内か、あるいは保険料納付済の期間が長ければ、障害厚生年金の給付対象にしてはどうかということです。これを「延長保護」あるいは「長期要件」という言葉を使っています。
 その下は、現行制度あるいは見直しを行った場合の影響で、一番下が今回のヒアリングの結果になります。様々ありますが、いくつか紹介すると、現在の支給要件では保険事故の発生時に被保険者であることという被保険者要件が求められています。これを延長したり拡大する場合には、ほかの老齢年金あるいは障害年金等の保険原理とのバランスを検討する必要があるという指摘がありました。それから事務処理体制を考える必要という指摘もありました。
 4ページは、延長保護と長期要件に関するそれぞれの指摘で、2番目のポツ辺りですが、どのように延長期間を定めたとしても境目が生じることについてどう考えるか、あるいは延長期間についての合理的な理由の説明が必要であること、初診日の特定は難しい例が増えるのではないか等の御指摘がありました。
 それから、長期要件についても被保険者要件との関係をどう考えるか、定め方として加入者資格や加入期間をどう考えるかという御指摘がありました。
 続いて、5ページは事後重症についての論点です。事後重症は、事後的に障害等級に該当する場合に障害年金が支給されるもので、今は請求日から受給権が発生しますが、その前に障害の状態が確定できるのであれば遡って支給を認めるべきではないかという論点です。
 これについては5ページの下がヒアリングの結果ですが、保険原理の観点では問題ない一方で、障害等級に該当した状態について過去に上って認定できるのかという実務上の問題があるのではないか。遡及して認定することについては、医学的に可能なものとしてどのような特定の障害があるのか、例外的に認めるのかといった点を検討する必要があるというものです。
 6ページも引き続き事後重症についてで、遡及する場合の期間に関する時効やカルテの保存期間をどう考えるか、それから遡及して認定する場合には、様々な障害がある中で、客観的な基準で公平に適用することが重要であるという指摘がありました。また、医療の進歩等によって、症状が固定したと思われる障害も改善することがある点に留意が必要ということです。それから実務上の課題も幾つか挙げられています。
 続いて、「直近1年要件」と呼ばれる特例が7ページです。これは障害年金あるいは遺族年金を受給するための保険料納付要件についてで、原則は保険料納付に必要な3分の2以上の期間を納めていただく要件ですが、この3分の2要件を満たさない場合でも、障害年金の場合は初診日のある月の前々月までの1年間に保険料未納期間がなければ、特例措置として納付要件を満たした扱いにするものです。これは10年の時限措置として昭和60年改正法で導入され、これまで延長されています。現在の期限は令和8年3月31日になっており、これを延長するかどうかという論点です。
 続いて8ページを御覧ください。障害年金受給者の国民年金保険料の免除の扱いという論点です。現在の障害年金受給者の方は、国民年金の保険料については法定免除になっており保険料納付を要しません。この免除期間については、保険料納付済期間ではないことから国庫負担相当の2分の1が老齢基礎年金に算定される仕組みです。この点について、障害年金受給者がその後障害状態で無くなった場合には、老齢基礎年金の給付は国庫負担2分の1相当分だけになることから、納付済期間として扱えないかという論点です。
 8ページの一番下がヒアリング結果ですが、この法定免除については障害年金の受給権者以外の方も対象になっており、そことの公平性をどう考えるか。それから現行では、法定免除を受けられながら保険料を納付して、国庫負担部分の2分の1ではなく、2分の2の給付を受給することも可能になっており、実際、保険料を納付している方々もいることにも留意が必要であるというものです。
 9ページは障害年金と就労の関係をどう考えるのかという論点です。障害年金については、現行では就労して収入があった場合でも、そのことによって障害年金が支給停止になる、あるいは減額されることはございません。一方で、障害の種別によっては、就労状況によって等級の変更が行われたり、あるいはその結果として減額や失権する可能性があります。これについて、老齢年金の場合は在職老齢年金という仕組みがありますが、障害年金はそのような仕組みはないことについてどう考えるのかというものです。
 その下、ヒアリング結果のところでは、拠出制の年金に所得制限を入れることになれば、社会保険の理論との相反があるのではないか。制限などを入れる場合にも、どういう金額を設定するのか、あるいは他の施策とのバランスをどう考えるのか。それから、障害の種別あるいは様々な障害によっても事情は異なっており、例えば精神障害では、日常生活能力等を判断する際には、どういう雇用形態で就労しているかが重要な要素になっているとのことでした。そういう意味では、医療の進歩によって、同じ種別の障害で同じ等級の障害年金であっても、日常生活への影響の程度に差が生じていることもあり、この点は整理する必要があるのではないかということです。
 以上、5つの論点についてヒアリングで様々な御指摘をいただいたところでして、これを踏まえた今後の検討の方向性が10ページになります。
 障害年金については、近時の制度改正ではあまり議論されてこなかったところで、久しぶりに議題として取り上げました。今回の年金部会では、様々な論点が問題提起されており、部会では特に先ほど御紹介した「現時点で議論が求められる課題」を優先して議論したところです。
またヒアリングでは、以下の3点についての整理が必要という指摘をいただきました。1.から3ですが、拠出性年金における社会保険の原理との関係。あるいは様々な障害がある中で、障害の認定判断に客観性を担保し、画一的で公平なものとする必要性。障害年金の目的、あるいは認定基準の在り方や他の障害者施策との関連の整理についてです。こういった点の整理が5つの課題の中で共通して必要という指摘を頂いたと受け止めております。 
障害年金の見直しについては、今回5つの論点についての議論いただいた他にも、中長期的な課題として様々な課題が提起されています。またヒアリングでは、今回ご紹介したような課題の整理が必要という指摘もいただいています。これらを踏まえて、今後の社会経済状況あるいは医療技術の進歩等を踏まえながら、引き続き、様々な課題について検討してはどうかと考えております。
 ただ「検討課題のうち」の直近1年要件は、令和8年3月末が期限になっています。この特例によって障害年金の受給につながるケースが存在していること、これまで複数回延長されており、本制度を前提として考えている被保険者も少なからず想定されること、取扱いの検討に当たっては丁寧な実態把握が必要であること等を踏まえまして、引き続き、10年延長してはどうかと考えております。また、その他の検討事項についても、本日の議論で終わりでなく、次期改正までまだ時間がありますので、整理がつくものについては対応してはどうかと考えています。
 以上、障害年金に関する資料の本体の説明で、11ページから14ページはこれまでの部会でいただいた御意見をまとめたもの、15ページ以降は、制度や基礎的なデータになりますが、説明は省略いたします。
 資料3に移って、こちらは昨年に1巡目の議論をした際に「委員からお求めのあった資料」でして、2点ございました。
 一つは障害年金の税制上の取扱いで、非課税となっていますがその経緯の説明についていくつかの解説本から取っております。
 2ページ目は、20歳前の障害基礎年金の所得制限についてで、全額停止だと課税所得で472万円、収入ベースで700万円を超える程度となっていますが、この所得の分布についてお求めがあり資料を用意しました。
 次に資料4の「遺族年金制度等の見直しについて」です。
 遺族年金については、昨年7月と本年3月の2回にわたって当部会で議論いただき、そこでは遺族厚生年金に残る男女差の見直しが議論の中心になりました。2回の議論を踏まえ、部会の御意見としてまとまってきた点を素材として本日の見直し案の資料を用意しております。
 まず2ページを御覧ください。今回の見直しの対象ですが、タイトルにあるように「20代から50代で死別されたお子さんのいない配偶者の遺族厚生年金」になります。
 現行制度は、夫を主として生計を維持する者、妻は被扶養者という想定の下、死別した妻が就労して生計を立てることが難しいという社会経済状況、これは昔の社会状況になりますが、その当時の状況を前提につくられています。具体的には、妻については、30歳未満で死別した場合は有期給付、30歳以上の場合は期限の定めのない終身給付が行われています。一方、夫は就労して生計を立てることが可能という考え方の下、55歳未満の夫は受給権が発生せず、その後も支給停止されるので、実際上は60歳未満の方は遺族厚生年金が出ない仕組みになっています。ほかにも、死別した妻のみを対象にした中高齢寡婦加算など制度上の男女差が存在している状況です。
 今回の見直しの意義に移りますが、当時の遺族年金が想定していたような社会経済状況は変化しています。女性の就業の進展、あるいは共働き世帯の増加、それから男女差の解消の観点から見直すことで考えています。一部で、年金財政が厳しいために財政対策として見直すのかと聞かれていますが、今回見直しを行う厚生年金の財政は財政検証の結果で示されたとおり、被保険者数の増加など堅調な状態にあります。そういう意味で、今回の見直しは厚生年金の財政が厳しいから行うものではありません。あくまでも制度創設時に遺族年金が想定していたような社会経済状況が変化しており、年金制度もこの変化に対応するのが趣旨となります。
 その際には、資料の※に書いているとおりで、これは見直しの大前提になりますが、既に死別されて遺族厚生年金を受給されている方については現行のままで、例えば給付の期間が短くなる、あるいは打ち切りになることはございません。心配される方がいると聞いていますが、そこは変更がないことはまず申し上げたいと思います。
 見直しの方向性がその下です。現行ではお子さんがいない妻について30歳未満で死別した場合は、5年間の有期給付となっていますが、今回見直す遺族厚生年金については、男女を問わず、配偶者の死亡による生活状況の激変に際して生活再建を目的とした給付と位置づけて、年齢に係る男女差を解消することを考えています。これによって、今は55歳あるいは60歳未満は全く遺族厚生年金がない夫に対して新たに支給が始まります。それから妻については、現に存在する男女の就労環境の違い、あるいは現行制度を前提に生活設計をしている方への配慮から、今後20年以上という非常に長い時間をかけて有期給付の対象範囲を拡大することを考えています。
 さらに、後ほど説明しますが、この有期給付については、現行で30歳未満の妻の方が受給されている有期給付よりは受給しやすくしたり、あるいは額を上乗せする措置を講じてはどうかと考えています。
 繰り返しになりますが、今回の対象は、お子様がいらっしゃらない場合の妻であり、お子さんがいらっしゃるご家庭については、お子さんを養育する間の世帯としての仕組み・給付は今と変わりません。それから人数的に一番多いのは、御高齢で死別された配偶者の遺族年金です。約560万人いらっしゃいますが、こちらの制度についても何ら変わりはございません。
 それから、既に受給されている場合も変わりません。そういった意味で、今回も見直しの対象となる方はどれぐらいなのかということで、年齢別の遺族厚生年金の新規受給者のデータを下に載せています。お子さんのいない女性・令和5年度の数字で、そこにある人数がいらっしゃいます。
 続いて3ページは、今申し上げたような見直しの内容についてのイメージ図です。
 下から説明すると、一番下は高齢期に死別した配偶者が受給されるもので、人数が一番多いと申し上げましたが、この遺族厚生年金は現行どおりで変わりはございません。それから、これも先ほど申し上げた、お子さんがいらっしゃる場合の遺族厚生年金についても、子を養育する間の世帯としての給付内容は変わりません。見直しの対象は一番上のケースに限られます。
 左側が現行制度の考え方で、夫が働いて妻を扶養する片働き世帯が中心であったこと、それから死別後の女性の就労が困難であることを背景にして、性別による固定的役割分担を念頭に置いた設計になっています。その下の赤枠部分が妻と夫で男女の差が存在する部分になります。
 右側が今回の見直しの方向性で、背景としては、男女とも働く共働き世帯が中心になってきていること、それから就労継続が可能な環境になってきていることです。その結果、性別による固定的役割分担を前提としない設計にすることを考えており、下にあるとおり、夫と妻のいずれの死亡であっても、残された配偶者は遺族厚生年金を支給することになります。こちらについては5年間の有期給付となり、妻については段階的に時間をかけて移行することで考えています。
 現行では妻が死亡した場合、夫が55歳未満なら年金は出なかったところですが、現行の設計を改めることで、施行後に死別した場合には直ちに夫が受給できることになります。一方で5年間の有期給付に揃うのはあくまでも将来的な姿であり、後の資料にもありますが、しっかりと20年以上かけてこの見直しの方向性へ移行していくことで考えています。
 続いて、4ページと5ページは今回の見直しを行う背景です。先ほど見直しの背景として就業構造あるいは社会の変化を申し上げてまいりましたが、その辺りのデータです。
 まず左下は年齢階層別の女性の就業率で、2012年、2023年、2040年と3つ比べています。一番上の2040年を御覧いただきますと、黒い点線が現在の男性ですけれども、2040年については現在の男性と遜色ない水準まで上がると見込まれています。
 それから、右下はコホート別、つまり生まれた世代ごとの各年齢層における就業率を見ています。一番左上が一番若い世代で、1986年から1990年生まれの方ですが、8割近い就業率となっており、世代ごとに見ると若い世代ほど各年齢における就業率が高くなっています。
 5ページは、賃金格差についてです。
 現在の30歳未満のお子さんがいらっしゃらない妻の5年間の有期給付は平成16年改正で導入されたもので、その際には平成14年の男女の賃金格差を参考にしています。これは左上になりますが、同じデータについて令和5年のものが真ん中です。赤枠ですが、40歳未満については概ね約8割の範囲で、20代では9割以上に差が縮まってきています。
 その改善度を平成14年と令和5年を比較したのが一番右で、青枠内ですが、各年代で改善してきており、30代から50代についてはその前後の年代と比べても改善度が大きいということです。
 世帯構成の変化はその下で、いわゆる専業主婦世帯から共働き世帯へ世帯構成がシフトしていることが見てとれます。
 これらの状況を見ると、制度の創設期から長い期間が経過して、男性が主たる生計者であることを前提とした社会経済状況から変化しており、さらに将来的にもこの流れが続くことが予想されます。今回の見直しは、20年以上という長い時間をかけて段階的に行うことで、今の20代あるいは30代の方々から徐々に将来の変化へ対応するものとして考えています。
 続いて6ページは、遺族厚生年金の男女差の解消と有期給付の拡大について整理したものです。
 繰り返しになりますが、現行制度で5年間の有期給付は、左下の部分の30歳未満でお子さんがいらっしゃらない状態で死別した妻が対象となっており、現在約0.1万人の受給者がいらっしゃります。
 右側が目指す姿で、これも繰り返しになりますが、新たに施行日時点で夫が有期給付の支給対象となり、夫のところをご覧頂くと右から左に矢印が伸びています。それから、妻の有期給付の対象年齢については、現行30歳であるところ時間をかけて引き上げることとしています。この対象年齢の引上げについては、現に男女の就労環境が違うこと、あるいは現行制度を前提に生活設計されている方への配慮として20年以上の時間をかけて段階的に行う予定です。
 段階的に移行する結果、今回お示ししている見直し案を前提すると、現在、40歳以上の方は見直しの対象には入らず、現行の仕組みが維持されます。例えば現在40代あるいは50代の方で死別された場合、その方々にお子さんがいらっしゃらなくても今回議論している有期給付の対象にはならず、これまでと同じ期限の定めない給付が支給されます。これは現行の無期給付を前提に生活設計されている方がいらっしゃることに対応するもので、こういった形で将来に向けて段階的に実施することを考えています。
 続いて7ページになります。将来的に有期給付を拡大していくところについては、現行制度の期限の定めのない遺族厚生年金と比べれば受給期間が短くなります。そのためこの資料にある3点の配慮措置を講じることとしたいと考えています。
1つ目が死亡時分割、2つ目は収入要件の見直し、3つ目は有期給付加算の創設というものです。
 先週来、遺族年金の改正について先行して報道が出ていますが、正式に資料としてお示しするのは本日の部会が最初です。そういう意味では、先行する報道では、これから御説明する事項について紙面の都合などで詳細に触れられていないことがあります。それによって有期給付化について不十分な説明になっている例も散見されており、重要な点ですので今回は丁寧に説明致します。
 1つ目は、死亡時分割の導入で左下になります。この資料上は、夫が死亡して妻が遺族になる場合で作成していますが、夫と妻が逆であっても同じ仕組みになります。この仕組みでは、死亡した夫の婚姻期間中の厚生年金の加入記録、この加入記録は報酬の額と被保険者期間になりますが、この情報を分割して妻の老齢厚生年金の記録に移すことで、妻自身が65歳になったときの老齢厚生年金を増額するもの、これが死亡時分割の仕組みです。
 離婚時には既に同様の仕組みがありますが、死亡も離別の一つと考えることもできることから導入することを考えています。例えば夫が収入30万円、妻が第3号被保険者で収入がないというケースで夫が死亡した場合、夫の収入30万円のうち半分を分割して15万円を妻自身の記録にする。これは婚姻期間に限りますが、この仕組みによって妻自身の老齢厚生年金が増えることになります。
 現行制度では、離婚時に同様の仕組みがあっても死亡時にはありませんので、死別しても妻自身の老齢厚生年金は変わらないわけですが、この仕組みが入ることで妻自身の将来の老齢厚生年金が増えることになります。これが1つ目の死亡時分割の導入です。
 それから、死亡時分割の効果についてもう一つ説明を加えると、遺族年金は再婚すれば、その時点で失権となって権利を失います。他方で、死亡時分割の効果は再婚しても失われません。そういう意味では、死別後の様々な変化に対して中立的であり、残された遺族自身の老齢厚生年金が増えることで老後の生活保障の強化にもつながると考えています。
 2つ目は真ん中の収入要件の見直しです。現行制度では、残された遺族の収入が年収850万円を超えていると受給権が発生しない仕組みになっています。今回有期給付の性格を、配偶者の死亡という生活環境の激変に対して生活を再建する給付という趣旨に見直すこととしていますが、仮に年収が高い御夫婦であっても、配偶者との死別によって収入が半分に減少して生活が激変する影響を受けることに変わりはありません。
 そういう意味では、収入要件を廃止して有期給付をより受給しやすくすることによって対象者が拡大する効果があると考えています。特に今回、新たに男性が有期給付の支給対象になるので、ここに影響して受給者を拡大する効果があると考えています。
 3つ目は一番右、有期給付加算の創設です。現行の遺族厚生年金の額は、死亡した方の加入記録に基づいて計算しており、死亡した方の老齢厚生年金の4分の3の額になります。これは有期給付の計算時も同じです。今回の有期給付加算は、先ほどから御説明している死別直後の生活再建支援という観点から、元々の4分の3の給付に、4分の1相当の給付を上乗せして合わせて4分の4とする提案です。下の※に書いていますが、ドイツに似たような仕組みがあり、ドイツは3か月ですが今回の加算については有期給付が出ている5年間継続することで考えています。
 以上の3点の措置を講じてはどうかと考えています。
 続いて8ページですが、これまで説明してきた遺族厚生年金の他に男女差がある制度として、中高齢寡婦加算と寡婦年金という2つの制度があります。これは名前のとおり、死別した妻のみが対象となっている制度です。こちらも制度創設期の夫が家計の担い手で死別後の妻の就労は困難という社会状況を背景に設計されています。
 こちらも遺族厚生年金の見直しと同様に、女性の就業の進展等を踏まえ、また年金制度上の男女差の解消という観点から、将来に向かって時間をかけて段階的に廃止を検討してはどうかと考えています。
 左下が中高齢寡婦加算の見直しのイメージで、徐々にということになります。寡婦年金については右下のとおりです。その際には当然ながらですが、現に受給権が発生している方、受給中の方については現行給付が保障されます。またこちらも激変緩和の観点から、十分な経過措置を設けて進めたいと考えています。
 続いて9ページは、お子さんに対する遺族基礎年金の見直しです。
 これは昨年の年金部会でも議論したもので、現行制度では、子供に対する遺族基礎年金について、子供が父母と生計を同じくする場合に支給が停止される仕組みとなっています。これはそのお子様が父母によって養育されていることから、子供自身の遺族基礎年金を支給する必要はないのではないかということで導入されているものです。
 事例としては資料の一番下で4つのケースを置いています。これは父が死亡したケースで作成していますが、妻と夫が入れ替わっても同じです。この4つの全てのケースについて、先ほどの父母と生計を同じくする場合の支給停止要件が関わっていて、全てのケースにおいてお子様自身の遺族基礎年金は支給停止になっています。またいずれのケースも、離婚や再婚、養子縁組などにより、母自身の遺族基礎年金の受給権も発生していませんので、結果的に4つケースでは母と子のいずれも遺族基礎年金が受給していない状況になっています。
 しかしながら、お子様を取り巻く環境は変化しており、この4つのケースで挙げた離婚、再婚、あるいは養子といった状況はどのお子さんにも起き得る状況です。そういう意味では、お子さん自身で選択できないような事情や、お子様が置かれている環境の違いによって遺族基礎年金の支給が停止になることは、子供の生活の安定を図る観点から望ましくないと考えています。そこで、今回の見直しの方向としては、現行の支給停止規定を廃止して、4つの全てのケースについてお子さんが遺族基礎年金を受給できるようにすることで考えています。
 なお、遺族厚生年金については、このような支給停止規定は現在でもございません。したがって、いずれのケースでも既にお子様自身の遺族厚生年金を受給できており、今回の見直しによって遺族基礎年金、遺族厚生年金の平仄が合うことになります。
 続いて、10ページと11ページは続きの資料です。ここまで遺族厚生年金あるいは中高齢寡婦加算の見直しについて長い時間をかけて段階的に行うと説明しましたが、資料上は見直し後の将来の姿を示していることから、直ちに見直されると誤解される可能性があります。そこで全体のスケジュール感をイメージしやすくするためこの資料を作成しました。
 10ページの一番上で「現行制度」と書いてあるのが現行の状況で、夫と妻で遺族厚生年金を受給できる年齢が異なっています。
 このイメージ図でその下の「N年度~」というところが、今回の改正の施行日になります。ここを御覧いただくと、まず夫については現行で60歳未満の給付はありませんが、施行後に死別した場合は、新たに夫の年齢を問わず、5年の有期給付と有期給付加算が支給されることになります。妻については、現行で30歳未満の有期給付の対象年齢を例えば40歳に引き上げることで作成しています。有期給付の対象年齢を10歳引き上げることによって影響を受ける人数は、先ほど御紹介した資料2ページの数字になります。
見直しの施行時点では、40歳以下については遺族厚生年金の男女差がなくなっている状態になります。一方で、この時点で40歳以上の方は死別されても現行制度のまま無期給付となり、今回の見直しの対象外であることについて御留意いただければと思います。
 以後、5年ごとに妻の有期給付の対象年齢を5歳ずつ引き上げるイメージで資料は作成しており、10ページから11ページをご覧頂くと、妻の有期給付の年齢が40歳、45歳、50歳、55歳と徐々に上がっていき、最終的に20年後には60歳まで男女とも同じ条件になっています。また、中高齢寡婦加算についても、新たにもらい始める方から段階的に加算額を低減していき、一番下の25年後には今回の見直しが完了して、男女の差がなくなっている状態になります。こういった形で長い時間をかけて、現在の皆様にも配慮しつつ、最終的な見直しの姿に向けて見直していってはどうか、というものです。
 以上が本体の資料で、以下の参考資料の中で少し御紹介させていただきます。基本的には現行制度の仕組みや人数などのデータの資料で、昨年7月の年金部会の資料を再掲しています。
 後ろに飛んで31ページを御覧ください。31ページから34ページまでの諸外国の状況について紹介します。
 31ページは、諸外国の遺族年金制度について調べたものです。今回、見直しの議論の対象となっている、お子さんを養育しない遺族配偶者に対する給付について、これは下から2つ目の箱の部分ですが、各国の中では有期給付としている国が見られます。
 32ページは、遺族年金の位置づけについてです。一番上にあるとおり、現役期の遺族を対象にする場合には、死別に伴う生活環境の変化に対する一時的支援と位置づけている国がございます。今回の有期給付化についても同じような形での整理ができないかということです。
 33ページも諸外国における遺族年金の見直しの状況で、一番上にあるとおり先進諸国では一時的な支援として有期給付を重視する傾向があり、就労意欲を促進する観点、あるいはお子様のいない遺族配偶者には給付を有期化する観点から見直しが行われている状況です。
 続いて、34ページは今回の見直しの背景にある男女差の解消です。遺族年金における男女差については諸外国でも昔は存在したということですが、男女平等の理念という観点から男女差の解消を実現したということです。ここで挙げた全ての国では、既に20年以上前に男女差の解消が実現しているということです。
 それから、これまで部会の先生方からいただいた意見を35ページ以降に掲載しています。基本的にこれまでいただいた御意見を形にすることで今回のような提案をさせていただいております。
 この35ページの真ん中の辺りに、経過措置の必要性についてのご意見がありますが、現行制度で生活をしている方への配慮が必要。遺族年金については、20年ぐらいかければ現在の受給者に影響を与えることなく、将来の受給者に最適な制度に移行することができる。そういう時間軸の視点をもって改革を実現してほしいという意見を頂いています。またその下に、経過措置を考える際には、就労状況を出生コホート別、世代別に見ることが必要という御指摘もいただきました。こういった段階的に移行する、あるいは現在の受給者に影響を与えることなくというところを踏まえて今回提案させていただいたものとなります。
 本日このあと議論を頂くので変わる要素はありますが、仮にこの資料のとおりに見直した場合には、繰り返しになりますが、既に遺族年金を受給されている方にとっては何も変わらず、変わるのは施行後に新たに死別される方になります。
 また、こちらも先ほど10ページと11ページのスケジュールのイメージで御覧いただいたとおり、20年以上かけて段階的に行うこととしており、現在20代あるいは30代といった若い世代の皆様から段階的に時間をかけた形で男女差を解消していく形で考えています。
 以上の点を含めて、現行制度を前提に生活設計を立てていらっしゃるような方々に不安が生じないよう、私どもとしても丁寧に説明を尽くしてまいりたいと思っております。本日、先生方に御議論いただいて、その方向性を踏まえて更に具体的な案を検討してまいりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明のございました議題1~3、資料1~4までにつきまして、皆様から御意見・御質問などをお願いできればと思います。いつものように、できましたら、まず会場から、そしてオンラインの皆様と移ってまいりたいと思います。
 まず、会場からいかがでしょうか。
 それでは、是枝委員からお願いいたします。
○是枝委員 私からは、今後の議論の進め方として、動画のアーカイブ配信についてと、遺族年金、障害年金について、3点意見を申し上げます。
 まず1点目、動画のアーカイブ配信です。以前にも私は、この年金部会の動画について、ライブ配信だけでなく、一定期間のアーカイブ配信も行うようお願いさせていただきましたが、再度御検討をお願いいたします。本日審議される遺族年金の改正案は、インターネットのX上で非常に多くの国民の関心や懸念が寄せられております。その中には、例えばあたかも今の40代以上の世代に支給される遺族年金がなくなるとか、5年の有期年金の支給が終わった後は配偶者の年金拠出実績が全く自分の年金に反映されなくなるといった誤解に基づく批判も多く見られるところです。先ほど若林年金課長が丁寧に説明しており、この説明をぜひ国民の目で直接見ることができる形にすぐしていただければと思います。
 前回の年金部会で橋本前年金局長は、基礎年金45年化について、年金局としてはあくまでも基礎年金の給付水準を確保するための施策であり、給付増と負担増はセットであるという形で説明してきたものの、切り取った報道とかネット上の批判が絶えず行われてしまったこともあり、その批判を払拭することができなかったという後悔の念を述べられました。そうであるならば、やはり我々の改正案の意図をしっかりと国民に説明し、国民が自分の目で確かめられるように、ぜひアーカイブ配信を行うことでより国民に理解しやすくする必要があるのではないかなと思います。
 先日、7月26日の武見厚生労働大臣の記者会見においても、個々の審議会の都度、判断し、アーカイブ配信を検討し得るという答弁がございましたので、ぜひともアーカイブ配信の再度の御検討をお願いいたします。
 2点目、遺族年金について申し上げます。事務局案は、これまで私が年金部会で主張していたことをほぼ全て取り込んでいただいており、申し分ない内容でございます。子がない配偶者の期間につき5年有期とすることで男女差をなくすこと、中高齢寡婦加算をなくすこと、コホートで区切って新制度に移行すること、死亡時分割の仕組みを設けること、有期給付遺族年金の収入要件を撤廃すること、再婚や遺族本人の就労を阻害しない仕組みと中立な仕組みとすること、全てを取り込んでいただいている申し分ない内容だと思います。
 1点追加でお願いしたいことは、事務局案をベースとしますと、有期の遺族年金は親のうち一方が亡くなった場合の子への給付と、配偶者死亡後の生活再建のための給付という、2つに整理されることとなります。このうち、両者のどちらの優先順位が高いかというと、これは文句なしに、親の一方が亡くなった未成年の子に対する給付のはずです。
 そうであるならば、現在、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権者の優先順位は、まず、子のある配偶者、そして次に、子の順となっておりますが、これを逆にしてはいかがでしょうか。まず、子を優先し、子のある配偶者を次に置くことで、子に第1に受給権が発生し、親が親権者として子の遺族年金を正しく管理することにするほうが子の最善の利益につながるのではないかと私は考えております。
 最後に、障害年金についてです。今回の改正では、延長保護や長期要件などの導入はまだ難しく、引き続き、論点整理が必要である状況につき理解いたしました。ただし今回、資料3の2ページにお示しいただいた20歳前障害基礎年金受給権者の所得状況を見ますと、やはり20歳前障害基礎年金の所得制限については今回の改正で撤廃してはどうかと考えております。
 資料3の2ページにあるとおり、20歳前障害基礎年金受給権者のうち、半額支給停止となっている人はわずか1%ほどの7,000人程度、全額支給停止となっているのは0.5%ぐらいの3,000人程度というわずかな人数であることが明らかになりました。このわずか1%ほどの方の年金を支給停止するために所得確認の事務を行っております。給付費の減少分よりも所得確認の行政コストのほうが上回っているのではないでしょうか。
 現状、20歳前の傷病による障害を持ちながら平均レベルの所得を得ることはとても困難であり、本人の努力や周囲のサポートにより平均レベルの所得を得ている人であったとしても、障害によって不自由な生活を送っていることは何ら変わりません。障害基礎年金を支給しない理由はないと思います。本人拠出のない福祉的な年金だから所得制限があって妥当なのだという説明も分からなくはないのですが、はっきり言って、今の20歳前障害基礎年金の所得制限の仕組みは誰も幸せにしていないのではないかと思います。財政的にも助かっていないし、余計な事務負担を生じさせているし、何よりも障害を持つ当事者を苦しめていると思います。この所得制限については今回の改正で廃止すべきだと思います。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見として承りますが、事務局においてもアーカイブ配信についての御意見とさせていただくということでよろしいですね。
○総務課長 アーカイブ配信につきましては以前も御指摘がありまして、正式な議事録との関係の整理など、いろいろ難しいところもございますけれども、また部会長とも御相談して、事務局でも考えたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 今のお言葉のとおりですけれども、ライブ配信という形で国民の皆様に、議論の状況、審議会の状況をお伝えする。そして、正式な発言については議事録という形で残る。それ以外にアーカイブ配信という形での発信をすることについては両面あると思いますので、その点も勘案しながらということになると思います。
 つまり、議論をより広く、多くの皆様にお聞きいただく機会を広げるというメリットと、委員の皆さんの発言が委員会の場での発言以降にも確認できてしまうという。私自身はよくありますけれども、後で振り返ってあの一言の自分の発言はどうだったのだろうみたいな部分なども勘案しながら、それぞれメリット・デメリットはあると思いますので、事務局とも相談しながら真剣に考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、いかがでしょう。
 百瀬委員から挙がっていましたね。
○百瀬委員 私からは、遺族年金と障害年金について意見を述べたいと思います。
 まず、遺族年金についてです。本日、遺族年金の見直しの方向性について御説明いただきました。是枝委員と同様、私もこの方向性に賛成いたします。これまでの年金部会での意見も十分に踏まえられた内容だと思います。
 年金部会では、多くの委員が経過措置の重要性を指摘してきました。女性の働き方は確かに変わってきていますが、今の20代の方と今の40代・50代の方では状況が大きく異なります。また、今、40代・50代の方は現在の制度内容を前提として、例えば民間保険の設定をするなど、様々な生活設計をされているわけです。その意味で、既に受給している方だけではなくて、これから受給する可能性のある方についても経過措置を設ける必要があることは私も強調してきました。
 今回の御説明によれば、改正が実施された場合でも、施行日時点で40歳以上の女性については何も変化がありません。仮に施行日後に夫を亡くしたとしても無期給付が行われます。一方で男性については、経過措置を設けずに、施行日から直ちに有期給付が導入されます。施行日後に妻を亡くした場合、現行制度では、遺族厚生年金が支給されなかったケースであったとしても、直ちに5年の有期給付が支給されます。いずれも妥当な措置だと思います。
 その後は徐々に時間をかけて男女差を解消していくわけですが、この男女差の解消は単純に条件の悪いほうに合わせるというものではありません。社会経済状況の変化に合わせて、遺族年金の性格を再度整理して、現在の男性の支給要件と女性の支給要件の中間点で男女差を解消しています。収入要件の見直しもその流れの一環として位置づけられます。
 そして、男女差の解消と有期給付の拡大は、欧米諸国では1980年代から1990年代にかけて実施された見直しです。確かに日本は、先進諸国の中でも労働市場の男女間格差が大きい国であることは間違いありません。ただし、今の日本の労働市場の男女間格差は当時の欧米諸国の労働市場と同程度には縮小しています。
 もう一つ、年金部会では、有期給付を拡大するのであれば現役期に配偶者を亡くした方の老後の所得保障については別途検討してほしいというお願いをしておりました。今回の説明では死亡時年金分割という案が提案されています。例えば50代で子供のいない夫婦で夫が死亡した場合、経過措置が終了すると妻に対する遺族厚生年金は有期になりますが、妻の収入が低かった場合は婚姻期間中の夫の保険料拠出記録が分割されます。この分割の仕組みによって老後に支給される老齢厚生年金額は増額します。また、遺族に子供がいる場合については現行制度と大きな変化はありません。むしろ、遺族基礎年金の支給停止規定の見直しがあるため、改正が実現すれば遺族基礎年金は支給されやすくなります。この見直しにも賛同したいと思います。
 そして、最後に強調したいのが、今回の改正内容は一つのパッケージになっていることです。どこかだけ切り出して論じるのは適切ではありません。このパッケージであれば、私は今回の見直しの方向性に賛成します。
 併せて、第13回の部会でも発言しましたが、遺族年金の男女差解消に合わせて労働政策にもより一層力を入れてほしいと思います。その一方で、5年有期の対象となった遺族の方に障害がある場合など、一定の配慮が必要なケースもあるかもしれません。こうした点については必要に応じて御検討いただきたいと思います。
 次に、障害年金について意見を述べたいと思います。まず、直近1年要件の延長については賛成いたします。
 それ以外の論点も多いのですが、1点だけ、初診日に関わる延長保護について意見を述べさせてください。今回のヒアリング結果を見ますと、延長保護については大きく言うと、保険原理の観点からの問題点と、延長保護を認める期間に関する問題点の指摘がございました。
 確かに、保険原理という観点から言えば、保険事故発生時に被保険者であることが求められるのはそのとおりだと思います。ただし、実際には、障害厚生年金以外の障害年金や遺族年金では被保険者要件が厳格には求められていません。例えば障害基礎年金ですが、20歳前や60歳以上65歳未満に初診日がある場合は国民年金の被保険者ではなくても障害基礎年金が支給されます。
 遺族厚生年金もそうです。保険事故発生時点で厚生年金の被保険者でなかった方にも遺族厚生年金が支給される要件は複数あります。社会保険という仕組みは保険原理を基本としながらも、例外的にそれを超えることができる点に特徴があります。もちろん、大幅な逸脱は制度の根幹を揺るがしますが、短期間の延長保護を行うことは保険原理からの最小限の逸脱として許容されるのではないかと考えております。
 また、延長保護を認める期間について、この期間を長くすればするほど実務上の問題点が大きくなるのもそのとおりだと思います。さらに、厚生年金の被保険者資格喪失後、何年間も経過した後の保険事故については、厚生年金との結びつきも希薄になっています。諸外国の制度で延長保護を認めている場合も、被保険者資格喪失から1年程度です。仮に日本で導入するとしても、長期間の延長保護を認めることは難しいと思います。しかし、1年程度の延長保護であれば実務上の問題も最小限に抑えられるのではないかと考えております。
 そのほか、どのように延長期間を定めても境目が生じるという批判もそのとおりです。ただし、何らかの救済策を講じるときに、制度上、どこかで期限を区切るのはやむを得ないことだと思います。
 以上、延長保護に対する問題点の指摘について若干の反論をさせていただきました。社会保険労務士の方々からは、厚生年金の被保険者資格喪失後に初診日があり、障害厚生年金が受給できなかった事例を聞いております。資格喪失日の翌日に初診日があって、障害厚生年金が受けられなかったという事例もありました。こうした実態の分析も含めて、延長保護については引き続き、御検討いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 たかまつ委員、お願いします。
○たかまつ委員 先ほども議論にあったのですけれども、年金部会について、私もより多くの方が見られるように、生配信だけではなくて、アーカイブを残すことを御検討いただきたいなと思っています。
 それは、日中にこの部会がやっているので、働いている方や学校に通われている方などが見ることができない点や、あとは、資料だけ見ると分からない方もたくさんいらっしゃると思うので、議論の部分だけではなくて、説明部分も動画で見られるようにしていただきたいと思っています。これから年金部会の注目がますます高まる中で、いま一度御検討いただけるとうれしいです。
 私から、あとは障害年金と遺族年金についてお話ししたいと思います。
 まず、障害年金についてです。近年、若者の精神疾患者数も増えています。一人でも多くの人が障害年金の対象になる道筋をつけるということで、既に障害をお持ちの方だけではなく、障害が発するリスクへの不安を解消して、安心して働ける制度を整えていく必要があると思いますので、本日、資料にあった、障害年金の課題がまとめられていましたが、そちらを早急に解決していってほしいなと考えております。
 なので、次期改正に整理がつかないものについてもしっかりと検討して、できる限り、5年後にこれらの課題が先送りにならないようにしていってほしいと考えています。特に初診日要件について、初診日によって受給できないのはとても不安なことですし、そこまで制度的な理解が追いついていないと思います。現場での混乱や運用の難しさはもちろんあるとは思いますが、一人でも多くの方が受給できるように緩和していくことが必要だと思います。
 一方で、整理や議論する論点も、本日お示しいただいたとおり、たくさんあると思いますので、例えば精神科医などの医療従事者とか、事務手続について理解のある方、障害者や当事者など、当事者の声が反映され、現場の声がより分かるメンバーで構成される懇談会や審議会などの会議体でこれらの課題を話し合って具体的な方向性を見いだす場があるといいなと思っているので、もしよろしければそういう場をつくっていただきたいです。
 続いて、遺族年金についてです。遺族年金の改正について、報道によって不安を感じている人や反対の声が多く出ていると思います。現役世代で子供のいない人の受給期間は性別にかかわらず5年間にすることについて、男女の賃金格差や働き方、格差の是正、遺族の就労支援も併せて行わないと、不安に思う方が多く、理解を得ることが難しいのではないかと考えています。これらの支援が十分に行われ、男女の格差がなくなれば、性別による固定的役割に基づかない制度設計にすることについて、私は賛成です。
 その上で、厚労省には、遺族の就労支援をどのように考えているのか。現在、どのような仕組みがあって、これに例えば何割ぐらいの人が何年以内で就労できているかなど、そういうデータやお考えがあれば示していただきたいです。
 このように、改正については、男女の格差をどうやってなくしていくのか、遺族の就労支援をどのように行っているのか、セットで周知していただき、不安を解消していく必要があると思います。
 また、子供の権利の観点で遺族年金を見直すべきではないかと以前の部会で申し上げましたが、この点、今回反映してくださりありがとうございます。
 親の再婚や養子縁組など、子供たち自身が決められないもので遺族年金をもらえる権利がなくなってしまう可能性がある。それにより、進学などに影響の出る現行制度は私はおかしいと考えています。
 加えて、再婚すると遺族年金が停止されることは再婚の阻害要因にもなっていると思うので、見直しする方向で賛成です。
 さらにお願いしたいのは、子供の最善の利益実現の観点から、遺族年金の受給者権につきまして、こちらは配偶者よりも子供を優先させるということです。子供の名義で振り込むことによって、その子供のために使われるように意識を向けることができるのではないかと考えています。
 以上となります。
○菊池部会長 では、一部質問がございますので、お願いします。
○年金課長 遺族年金のところのご発言の御趣旨としては、就労の支援という点を丁寧に説明して不安の解消に努めるべきということだと思っております。
 本日の議論の後、まだ年金部会の取りまとめ自体には時間もありますので、私どもとしても、見直しを説明する資料として様々なデータや支援策についてしっかりと見ていきたいと思っております。ありがとうございます。
○たかまつ委員 ありがとうございます。
 恐らく、そこのどのくらいの方、自分が将来、そういう可能性になる割合がどのくらいの確率であるのかとか、だったら、自分はそこに該当しないかもしれないとか、そういう何かデータがあると目安になると思うので、安心材料にもなると思うので、もしよろしければそれもお示しいただけるとうれしいです。ありがとうございます。
○菊池部会長 貴重な御指摘ありがとうございます。
 それでは、小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
 まず、資料1ですけれども、方向性につきましてはおおむね了解しましたが、「マクロ経済スライドの調整期間の一致」に関して、議論の際には「マクロ経済スライドの名目下限措置の撤廃」も併せて議論していただきたいと思っております。
 次に、遺族年金に関して2点ほどコメントさせていただきます。基本的には事務局の御提案を高く評価しておりまして、方向性について賛成させていただきまして、私のコメントはやや本筋から外れるかもしれません。
 第1点は、同性パートナーに関する遺族給付の受給権の件ですが、私は法律の専門家ではないのですけれども、前回の議論後の事案で関心を持ったのは、同性の犯罪被害者と共同生活関係にあった者が、犯罪被害者等給付金法の「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当しないとされた名古屋地裁と高裁の判決を最高裁が「同性という理由だけで遺族給付金の支給を受けられる遺族に該当しないのは相当ではない」と指摘した判決でございます。
 この判決は差戻しを命じるものですので、確定ではありませんし、裁判長が他の法令における類似の文言について判断したものではないと指摘していますので、年金法における配偶者に関する取扱いの正当性が直ちに問われるものでないと思います。しかしながら、状況は少しずつ変わっていると思いますし、この件について主張される委員の方は少ないと思っていますので今回のアジェンダではないかもしれませんが、将来的な課題として認識すべきだと思っております。
 それから、第2点は、遺族厚生年金の受給権者は本人の老齢厚生年金の繰下げ受給ができないケースがあることです。私は、保険料水準固定方式の下で運営されている制度において、給付の十分性を確保するために最も重要なのはワークロンガーであり、その結果としての繰下げ受給の推進だと考えております。
 これが順調に進まないと、近年のスウェーデンのように、国庫負担による追加的な給付を行うなど、当初の設計思想とは異なる政策を採用せざるを得なくなる懸念があります。設計上難しいのかもしれませんけれども、繰下げ受給に関してはあらゆる障壁をなくしていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。私からはまず、障害年金制度について発言したいと思います。
 直近1年要件について、特例措置によって受給につながるケースが実際に発生していることから10年延長すること、それから、障害年金制度の見直しは、実務上の課題の整理やヒアリングで挙げられた公平性などに鑑み、引き続き、様々な課題について検討する方向性につきましては賛同いたします。
 なお、以前の部会で発言しましたが、基礎年金の等級を厚生年金と同じ3級からとすることについても今後の検討課題としていただきたいと考えております。
 続いて、遺族年金制度の見直しについて、4点の意見と1点質問を述べます。
 1点目は、遺族厚生年金制度の男女差を解消し、男性にのみ設けられた年齢要件について女性にそろえていく方向性には賛同いたします。
 しかし、男女ともに5年の有期給付とすることについては、年金財政全体への影響も少なく、必ずしも次期改正で優先して実現すべき課題ではないと考えております。まずは次期改正で、男性のみに設けられた年齢要件を撤廃した上で、遺族となった後の就業状況や生活実態に照らし、5年の有期給付とすることについて、今後丁寧に検討すべきと考えております。
 2点目は、遺族基礎年金について、資料4の9ページのとおり、子に対する支給停止規定を見直すことには賛同いたします。
 一方で、参考資料にある遺族基礎年金の年金額の加算額については本提案では触れられておりません。現行制度を見直し、第3子以降についても同額の加算となる制度への見直しについて、今後の論点としていただきたいと考えております。
 3点目は、今回の提案で直接示された論点ではありませんが、高齢期の就業率が上昇する中で、現行制度では、遺族厚生年金の受給権が発生した場合に自身の老齢厚生年金の繰下げができないことは課題であると考えます。仮に、男女ともに5年間の有期給付とした場合でも同様の課題は発生し得ると考えており、今後の論点としていただきたいと考えております。
 4点目は、先ほど小野委員からも発言がございました点です。今回の論点と直接関係するものではありませんが、本年3月に最高裁にて同性パートナーに関する犯罪被害者遺族給付金不支給裁定の取消請求を認めた判決が出されております。同性パートナーシップも事実婚相当であると明言されたことは非常に大きな意義があると考えます。そのような動向を踏まえ、遺族年金の受給対象に関するさらなる検討が必要であることについて課題提起をさせていただければと思います。
 最後に質問ですが、資料4の7ページのとおり、配慮措置として遺族厚生年金の収入要件を廃止するとありますが、遺族基礎年金の生計維持要件との整合性をどのように考えているのか、教えていただければと思います。
 私からは以上です。
○菊池部会長 御質問です。よろしくお願いします。
○年金課長 最後の点で収入要件の見直しについてですが、これは有期給付の拡大に伴って見直すことを考えており、そういう意味で、それ以外の遺族基礎年金やお子さんへの無期給付については現行のとおり、生計同一要件プラス収入要件を合わせた生計維持要件を維持することで考えています。あくまでも今回の5年の有期給付化に伴う部分だけ収入要件を廃止することで考えています。
○佐保委員 御回答ありがとうございます。
 遺族厚生年金の生計維持要件に関わる850万円未満の収入要件を廃止することで、遺族厚生年金制度においては中立的な制度となり、850万円前後の収入の人の不公平性は是正できると理解いたします。
 ただし、遺族基礎年金との整合性を踏まえれば、次期改正で撤廃するのではなく、将来的な撤廃に向けて、段階的に要件を引き下げていくか、一定水準以上の収入から段階的に年金額を調整する仕組みに見直すことも検討すべきだと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 小林委員、お願いします。
○小林委員 御説明ありがとうございました。まず、障害年金制度について申し上げます。
 期限が到来する「直近1年要件」の再延長、及び、その他の課題については、引き続き、実態把握を踏まえて検討を深めていく方針について異論はございません。
 政府は、共生社会実現の理念の下、障害者雇用を後押ししております。障害のある方は御自身の能力に応じ職場で活躍されており、企業としても、障害のある人が働きやすくなるよう、環境づくりに努めております。今後の制度改正の検討に当たっては、そうした方々の働く意欲を削ぐことなく、社会に出て活躍することをサポートする視点で施策や制度を整えていくことが重要だと考えております。
 次に、遺族年金制度について申し上げます。
 女性の就業率の上昇や共働き世帯の増加など、ライフスタイルが大きく変容する中、男女に差がある制度については、時代に対応した制度となるようアップデートしていく必要があると考えますので、今回御提示いただいた見直しの方向性について異論はございません。
 先ほど申し上げたことと同じですけれども、働く意欲のある人や、働ける環境にある人が、何らかの制約を感じないで働きやすくなるよう、就業を後押しする施策等を検討していただきたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、島村委員、お願いします。
○島村委員 丁寧な御説明ありがとうございます。私からも障害年金と遺族年金について発言させていただければと思います。
 障害年金については、社会保険原理との関係や保険料拠出の意味など、慎重に検討しないといけないテーマが多いように思います。また、御説明のとおり、障害者に対する雇用政策や社会保障政策との整合性も見据えた上で障害年金をどう位置づけるかを考える必要があり、今回の改正については、時間も限られているので、直近1年要件の延長だけにして、継続的な審議にする案に賛成いたします。
 せっかくヒアリングもしていただいて論点が明確化されたところですので、より議論を深めて、次々回の法改正にて実現するように進めていただくことを期待いたします。
 遺族年金については、死別後の激変緩和や生活再建に焦点を合わせて、男女差の解消や年収要件、生計維持要件の撤廃などを御提案いただきました。私も基本的に賛成しております。
 これまでは性別役割分業の思想の下、男性が亡くなった後も死ぬまで女性、妻を養う制度でした。しかし、時代は変わり、女性の社会進出や共働きが増える中で、また、男女平等の流れもある中で、男女差のある制度は時代に合わず、解消していくことが必要かと思います。
 ただ、労働市場を見てみると、女性の活躍が進んでいるとはいえ、L字カーブの問題があり、男女間の就業条件の違いは今なお色濃く残るようにも思います。そうすると、労働市場における男女間の不均衡を年金制度で受け止めて反映させるために、死亡時分割の制度は必要であると考えます。
 仮に死亡時分割を入れないとすると、離婚時との平仄が取れないのではないかと危惧いたします。離婚した場合には老齢年金に向けた記録が分割されるからです。死亡時分割を入れないと、男女間の就業条件の違いを死亡時に年金制度でフォローする余地がなくなってしまうように思え、離別と死別で不公平が生じるのではないかと思っています。
 これまでの終身給付での遺族年金は、本来であれば老齢年金が果たすべき役割まで果たしてくれていたのでよかったのですが、遺族年金を有期にするのであれば死亡時分割も入れる必要があると思います。1つの死亡をダブルカウントしているようにも見えますが、離別と死別という点から整理すれば整合的な説明ができるのではないかと考えております。
 最後に、就業状況にも配慮して、20年以上の時間をかけてゆっくりに、段階的に施行する点についても大事であることを改めて強調させていただければと思います。
 ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、永井委員、どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。私からは遺族年金について述べさせていただきます。
 先ほど佐保委員からもありましたとおり、遺族厚生年金制度の男女差を解消し、男性にのみ設けられた年齢要件について女性にそろえる方向には賛同いたしますが、5年の有期給付とすることについては慎重な検討が必要であると考えております。
 その上で、資料4の7ページ目の死亡時分割について質問と意見を述べさせていただきます。
 まず、7ページの左下になりますが、資料の記載の内容は、婚姻期間の標準報酬を夫婦共同で得たものと捉えて、その分の報酬比例部分を将来受け取れる制度を提案していただいていると理解いたします。
 離婚時分割をイメージしながら、3パターンほど、確認も含めた質問をさせていただきたいと思っております。
 1つ目は、分割の在り方ですが、例えば死亡した夫が40万円、残された妻が20万円の標準報酬を得ていた場合、妻が65歳以降に老齢基礎年金に加えて受け取れるのは、自分の20万円の報酬比例部分と、40万円と20万円の世帯合計60万円の半分である標準報酬30万円と自分の20万円の差額である10万円分、つまり、20万円と10万円の報酬比例部分を受給できるとの理解でよいか、また、仮に共働きで標準報酬が同額だった場合は報酬比例部分への分割分の上乗せはないとの理解でよいか、確認したいと思います。
 2つ目は、お示しいただいている左下の図は夫婦ともに厚生年金被保険者であることを想定していると理解しますが、仮に、夫が死亡時に第2号被保険者、妻が要件を満たさない個人事業所への勤務や、あるいはフリーランスなどで第1号被保険者の場合でも、妻は65歳以降、第3号被保険者と同様に、自身の老齢基礎年金に加えて、婚姻期間に係る分割分の報酬比例部分を受給できるとの理解でよいか、確認したいと思います。
 3つ目は、死亡した夫が妻より標準報酬が低い場合、婚姻期間に係る分割分の上乗せはない、また、妻自身の標準報酬に基づく報酬比例部分は減額されないとの理解でよいか、今の時点で検討が進んでいれば教えていただきたいと思っております。
 続いて、意見でございます。資料4の2ページ目の遺族厚生年金の見直しの意義には、女性の就業の進展、共働き世帯の増加などの社会経済状況の変化を踏まえての見直しと記載されておりますが、これは遺族厚生年金だけでなく、第3号被保険者制度をはじめとするほかの年金制度の見直しの必要性にも通じるものであると考えております。特に今回提示の遺族厚生年金の死亡時分割の考え方については、以前の部会においても御説明いただいた「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」報告における第3号被保険者制度の見直し案における賃金分割に関わるものと理解しております。
 賃金分割については、その報告の中でも、その手法が我が国の税制や労働法制などに組み込まれていない中で年金に組み込むことの合理性、事業主が雇用関係のない第3号に係る事業主負担を負うことの整合性などをはじめとする課題が指摘されていますが、遺族年金における死亡時分割の議論をきっかけとして、第3号被保険者制度の見直しに向けた今後の議論もお願いしたいと重ねて申し上げたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 御質問がございましたので、お願いします。
○年金課長 遺族年金の死亡時分割については、本日提案させていただいた後、先生方の御意見を踏まえてさらに具体的な制度設計をすることを考えており、まだ多々詰めていく点はあります。今の時点で事務局の考えを申し上げますと、例えばお話があった夫が40万円、妻が20万円という場合では、足して2分の1を上限にしてはどうかと考えています。つまり夫の40万円と妻の20万円を足して60万円ですので、その半分の30万円を上限として分割することになります。夫が亡くなった場合は、妻は本来20万円の記録であったところが、死亡時分割で10万円分の記録が上乗せされて30万円の記録になり、逆に20万円の妻が亡くなって40万円の夫が遺族になった場合は、上限30万円を超えて分割されないことになります。そういう意味では、分割した方が有利になるかどうかになります。
 それから今回の例では、第2号被保険者同士の夫婦で紹介していますが、これは第2号被保険者と第1号被保険者の組み合わせで、第1号被保険者に第2号被保険者としての記録が全くない場合についても、新たに分割された第2号被保険者としての記録が置かれるものと考えています。
○永井委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 質問が分からないのではなくて、検討するということですか。もう一回、質問を確認して。
○年金課長 すみません。3点目についてもう一回、お願いしてもよろしいでしょうか。失礼しました。
○永井委員 1つ目の回答に包含いただいたと思いますが、夫が妻よりも標準報酬が低い場合は、妻は減額されないということでよろしいですか。
○年金課長 はい。そこは選択できるような仕組みで考えています。分割を利用したほうが増える場合には利用できますが、そうでない場合もあると思っております。
○永井委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 武田委員、お願いします。
○武田委員 本日は大変丁寧に御説明いただきありがとうございました。3点、意見を申し上げます。
 1点目、今後の年金制度改正に関してです。簡潔に整理いただきありがとうございます。こちらに沿って検討を深めていければと思いますが、経済を見る立場として、非常に危機感を抱くのは、働き方に中立な制度の構築が急がれると感じることです。
 足元の日本経済を見ますと、供給制約が経済成長の制約になりつつあります。例えば分かりやすい例で申し上げると、現在、インバウンド需要は非常に強いです。しかし、人手不足で、キャパシティーが追いつかず、稼働率を抑制して迎え入れています。供給があればより需要を受け入れられるところ、その点が制約になっているという声をよく聞くようになっております。
 制度の存在で就労を抑制している方がいらっしゃるのであれば、そうした制度を見直していかなければ、制度自体が経済成長の阻害要因になります。この部会でもしっかり議論していく必要があると考えます。
 そして、最大の広報効果は制度改革にあると思います。制度改革を行うことにより、その内容が幅広く知られ、人々が行動を変えていくことが必要ではないかと思います。まずは見直しについての結論・方向性を出していければと思います。
 2点目、障害年金制度は、御提案いただきましたとおり、1年要件を延長するとともに、実態を丁寧に把握し、丁寧に検討していくことについて賛成いたします。
 3点目、遺族年金制度については、性別による固定的役割分担を前提としない設計とすることに賛成です。
 しかし、女性を取り巻く環境は、資料4の5ページで数字も丁寧に出していただいたように、40代はまだ7割、50代は6割という段階で、確かに改善していますが、本来は100でなければいけない話であり、改善しているから、6割、7割、8割で大丈夫ということでは決してありません。
 だからこそ経過措置を設けるということですが、本来あるべきは、経過措置を十分設ける議論より、経過措置がなるべく不要になるようにすること。社会において男女の賃金格差を縮小する方向にスピードを早めていくことが本質的に重要です。現実として経過措置が必要という御意見には賛成ですが、だからといって、ゆっくりでいいかというと、ここはスピードを上げていくために、年金部会として何をすべきかを考えるべきと思います。
 先ほど永井委員からもございましたように、制度間で矛盾が生じないように、冒頭で申し上げた働き方に中立的な制度の構築はこの点においても重要な意味を持ちますので、一貫した制度改革、首尾一貫した社会の変化に応じた改革の方向性を打ち出せればと思います。その上で、具体的にどう進めるのかは、時間軸も含め、現実的な解を求めていくべきと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 今の関連ですか。
○是枝委員 はい。途中で、小林委員の質問の中で、年金局の回答で何か矛盾があるように感じたところがあるので、1点質問させていただいてよいでしょうか。
○菊池部会長 ちょっと待ってください。本来であれば。
○是枝委員 すみません。1巡目が終わってからにします。
○菊池部会長 そうなのですが、では、いいですよ。
○是枝委員 ごめんなさい。収入要件の撤廃について、先ほど年金課長が5年有期の年金だけ遺族の収入要件を撤廃するという回答があったように思うのですが、資料4の9ページに遺族配偶者が収入850万円以上の場合の支給停止を解くということもおっしゃっていたように思いますが、それは解かないのですか。
○年金課長 このままです。
○是枝委員 これは解かないということですか。
○年金課長 はい。9ページは遺族基礎年金の例です。遺族基礎年金については現行の生計維持要件の850万円を含めた要件で考えております。
○是枝委員 では、この図の4番目は支給されないままを維持するということですか。
○年金課長 はい。この例ですと母の収入は850万円以上ですから、現行でも母には支給されませんし、見直し後も支給されないことになります。
○総務課長 すみません。今、右側の図では親に出なくて子供にも出ないものを、子供には出るようにするということです。
○是枝委員 それは、ごめんなさい。受給権はもともと発生しているけれども、今は支給停止している。それで、支給停止を解くということですか。
○年金課長 お子さんはそうです。この例ですと、母親は収入が850万円以上ですから、母自身の遺族基礎年金の受給権が発生していない状態です。
○是枝委員 分かりました。つまり結局、世帯で見たときに、収入850万円以上の残された親がいる状態で、子が18歳未満ですという状態のとき、子の遺族基礎年金は現状出ない場合があるが、これが出るように改正される理解で正しいでしょうか。
○年金課長 正しいです。
○是枝委員 ただし、親の遺族厚生年金については、850万円要件は維持されるということですね。
○年金課長 ただ、親の場合は有期給付ですから、お子さんがいない前提になります。
○是枝委員 分かりました。要するに、この4つ目の図は子に対して出るということですね。
○年金課長 はい。この4ケース全てについて、今回の見直しではお子様の遺族基礎年金が支給されることになり、今は出ていないものが出ることになります。
○是枝委員 分かりました。ありがとうございます。
○菊池部会長 本来、この場で議論がなされるのは審議会での議論の在るべき姿と言えますので、御発言いただいて大丈夫ですから。
 それでは、お待たせしました。オンラインで御参加の井上様、お願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。私からは、議題1の次期年金制度改正の方向性について意見を申し上げたいと思います。
 今回の財政検証結果では、経済成長、労働参画、積立金の運用などを前提として、年金財政の持続可能性が確認されたところでございますが、報酬比例部分に比べると、将来の基礎年金の給付水準をいかに確保するかが課題であることが改めて明らかになったと考えております。資料1の中段に「見直しの基本的な考え方」が示されていますが、やはり将来の基礎年金の給付水準の確保は大きな課題として認識する必要があるのではないかなと考えております。
 その上で、「対応の方向性」でございますけれども、まず1つ目の○につきまして、記載のとおり、働き方が多様化する中で中立的な制度の構築が重要ですが、ここは一歩進んで、さらに労働参加推進型の制度構築を検討していくべきだと思います。したがいまして、ここに掲げられておりますように、被用者保険のさらなる適用拡大や、私どもといたしましても在老の見直しにつきまして検討を進めていくべきだと考えております。
 3つ目の○の「将来の基礎年金の給付水準の確保」について、ここでの対応策として、「マクロ経済スライドの調整期間の一致」が掲げられておりますが、同時に、名目下限を外すことにつきましても検討していただきたいと思います。
 また、調整期間の一致につきましては、基礎年金をめぐる厚生年金・国民年金の財政関係の見直しが焦点となると思います。その際、財政力だけでなく、お金の流れの透明性の向上、公正・公平の視点も踏まえて、具体的な手法を御提案いただきたいと思います。
 さらに、「平均寿命の延伸」を背景とした対応の方向性について。今回、基礎年金の拠出期間45年化につきましては見送りとなりましたが、これは次々回改正での対応事項として提起しておくことが必要と考えております。
 最後に、「高齢期の経済基盤の安定」には、公的年金を通じた所得保障や再分配のみならず、高齢期の就労促進や自助努力も合わせて対応することが重要だと考えております。当部会の議論とは別になるとは思いますけれども、私的年金等の拡充につきましても具体的に検討すべきだと考えます。
 以上でございます。
○菊池部会長 駒村委員、お願いします。
 
○駒村委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。私は障害年金と遺族年金についてコメントしたいと思います。
 障害年金の直近1年要件の継続は賛成で、結構かと思います。
 遺族年金については、かなり今回の改革は遺族年金の性格が変わっていくということでありまして、今も議論がありましたけれども、子供への遺族年金は子供の権利としての性格が強くなっていきましたが、より明確に子供の権利という色彩を強めていただきたいと思います。
 それから、20~50代の有期5年は、配偶者に対する遺族年金がこういう形で有期になるのは、女性の社会進出やジェンダーギャップの見直しという社会変化の対応という意味でのリスクの見直しということで賛成です。その際に、死亡時年金分割で老齢年金の水準を確保するところも適切だろうと思います。
 経過措置についても、適切な措置だと思っています。
 一方で、支援については、5年後の自立支援についてなのですけれども、資料4の4ページ、5ページはもう少し就業形態、特に非正規の割合が高い点を少し考慮していかないと正しい認識にはならないのではないかと思います。生計立て直しに関するサポートについてはかなり雇用政策と連携した工夫が必要であり、受給期間中から自立支援のサポートを様々工夫する必要があるのではないかと思います。これは雇用政策との連携を求めたいと思います。
 質問が2つあります。
 有期の5年の根拠はどういう根拠だったのでしょうかということを確認させてください。年齢によって差をつけることができるのかどうかという問題意識であります。雇用保険も、就労困難度を考慮して、年齢で受給期間に差をつけている。これはそもそも短い期間でありますけれども、差があることを考えると、年齢によって差をつけることが可能なのかどうか。逆に言うと、5年の根拠は一体何なのでしょうかということでございます。
 2つ目は、先ほど小野委員から御質問があったと思います。類似のことですけれども、繰下げ時期を選んだときの遺族年金の給付水準が繰下げ前の金額で計算されることの、これはどういうロジックなのか、一応、説明いただきたいなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○年金課長 1つ目の5年の根拠ですが、これは平成16年改正で導入された、30歳未満でお子様がいらっしゃらない妻への有期給付の期間である5年から持ってきています。平成16年改正当時に5年にした根拠は、30歳未満で死別されてから生活を再建して、仕事をされていない場合は新たに仕事をするといったことの準備期間として、学校に通う期間であるとか当時の状況を勘案して5年あれば、ということで定めたものと当時の資料で確認しています。そこから今回も5年としていますが、これが5年なのか、あるいは7年なのか、もし御議論があるようなら私どもとしても考えたいと思います。
○数理課長 繰下げした場合の遺族年金が繰下げ前の金額で計算されるということですけれども、繰下げの増額率は老齢年金で財政中立になるように設定されているものであります。遺族年金につきましては、繰下げをしたとしても、遺族年金の受給期間は変わらないということで増額されない。そういう考え方になっております。
○菊池部会長 駒村委員、よろしいですか。
○駒村委員 ロジックは分かりました。ありがとうございます。
 5年のほうはまた新しい状態ですし、年齢によってももしかしたら状況は違う可能性もあるので、少し幅がある議論もまだ余地があるのではないかと思いますが、いずれにしても、今のお答えで大体分かりましたが、今後の議題、議論するポイントもあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、嵩委員、お願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。私からは障害年金について若干のコメントと、あと、遺族年金について、特に死亡時分割について意見をさせていただきます。
 まず、障害年金については、直近1年要件についてですけれども、きっと多くのケースでは、障害の保険事故は突発的なもので、被保険者自身でコントロールし難いものだと思いますので、直近1年要件ということで拠出要件を緩和したとして、今は緩和されていますが、それを継続することでモラルハザードは起きにくいと思います。他方で、特例措置によって受給に至っているケースもあるというふうに書いてありましたので、そう考えますと、今回も継続することが妥当であると思っております。
 他方で、その他の障害年金についての論点は、社会保険の本質や、あとは、他の類型のものとの公平性の問題をはらむものが多いので、もう少し時間をかけて議論する必要があるという御提案に賛成いたします。
 次に、遺族年金ですけれども、遺族厚生年金の男女差の解消と、そのために、それに合わせて有期給付化する点ですが、女性については、既に現在導入されている、子のない妻についての有期給付の対象年齢を拡大していくことになりますけれども、現在、そして、将来の女性の就労の進展の傾向を考慮に入れますと、遺族が現役期における遺族厚生年金の役割も見直して、有期の激変緩和措置に転換していくのは妥当な方向性だと思っております。
 ただ、先ほど来、御指摘というか、御説明もありましたけれども、現在の受給者については既に受給している財産権なので、そこについては不利益変更とならないように今回の改正から除外する必要がありますし、あと、現在の制度を前提に生活設計している人に対する影響をなるべくなくすために経過措置を設ける原案に賛成いたします。
 また、いろいろと有期化についての不安の声も上がっておりますので、本日も大変丁寧に資料をつくっていただき、また、口頭でも丁寧に説明していただきましたけれども、今後も経過措置も含めて、丁寧な説明が必要だと思われます。
 その上で、有期化に伴う配慮措置としての死亡時分割について、検討を要すると思われる点を指摘させていただきます。
 一つは、有期給付の支給と、他方で記録の分割との関係についてです。一つは、死亡時分割によって死亡した被保険者の記録は恐らく、どういう制度にするかですけれども、婚姻期間中についての記録が遡及的に減らされて、一方、配偶者のほうが増えるという操作を多分すると思うのですが、他方で、有期給付を支給する局面では、元の年金記録の状態で給付額が計算されていくことになっていくのかということで、その分割のタイミングにもよると思いますが、分割したものの記録と、あと、元の記録をそれぞれどのように使っているのかについて、整合的な仕組みとなるのかというところを検討する必要はあるかなと思っております。
 また、死亡時の年金分割は、もともとは死亡した被保険者が持っていた記録を、何らかの法的操作というか、何らかの規定で配偶者に切り分けていくことになるのだと思いますけれども、法的な規定の実質的な根拠をどのように捉えるかが問題になると思います。
 離婚時年金分割においては、まず、第3号分割だと保険料の共同負担を擬制した規定を設けていますし、合意分割だと、一応、当事者間の合意という形で分割の法的根拠を定めているわけですけれども、この死亡時分割の根拠について、離婚時年金分割と整合性を保ちつつ、どのようなものとして捉えて法律に書き込んでいくのかが問題だと思っております。
 特に現在の夫婦別産制を前提とすると、当然に配偶者が死亡した被保険者の記録について、持ち分を持っているというふうに観念することができないと思いますので、やはり何かしらの分割のための根拠を別途規定していく必要があると思うのですが、それが例えば合意を擬制するとか、そういうことかもしれませんけれども、いずれにしても、分割の根拠をどのように組み込むのか、どのように捉えていくのかが課題になってくるのではないかなと思っております。
 さらには、それと関係しますけれども、今回は有期化に伴う配慮措置として死亡時分割がセットとして提示されております。他方で、有期化しないケースというか、例えばお子さんがいるケースでの無期の、今までどおりの遺族年金を支給する場合には、今までどおりの遺族厚生年金は支給されるのですが、その場合には、先ほどの死亡時分割は妥当しないのだと思うのですけれども、なぜ分割されないのかという、先ほどの合意の分割の根拠がなぜそっちには当てはまらないのかについても整理しておく必要はあるように思っております。
 配慮措置として特別に入れるということかもしれませんけれども、ある程度、ほかの似た制度というか、離婚時年金分割との整合性とか、あるいはやはり記録分割は大きな話なので、それについてどういう根拠があるのか、実質的な根拠はどういうものなのかを詰めて検討する必要があるかなと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。私からは障害年金、そして、遺族年金について、それぞれ申し上げたいと思います。
 まず、障害年金の直近1年要件の10年延長は賛成です。まだ議論を深められていないので、今後、しっかり検討して、着実に改善につなげることが重要だと改めて思っております。
 その今後についてなのですが、障害厚生年金に比べて、障害基礎年金そのものが弱いことは課題ではないかと思っています。私は多様な働き方をする人の声をたくさん聞く立場にあるわけなのですけれども、今の第1号被保険者の中に、雇用されて働いていない、つまり第2号ではない、本当に多様な人が含まれていることがあります。誰が含まれているかが、それが以前とは大分変わってきているということです。ここに弱者が多く含まれている可能性は高いと思っております。
 年金は、誰にでも起こり得る万が一への対応を国民全体で支え合う、まさに安全網の仕組みであることに鑑み、財政検証の結果を見ても、障害基礎年金のみならず、基礎年金そのものを充実させていく必要を改めて強く思っております。
 続きまして、遺族年金についてです。今回の見直し案の方向性は、社会情勢の変化に対応した必要な措置であり、激変緩和措置を取りながら、進めたほうがいいと思っております。
 駒村先生もおっしゃっていましたけれども、子のない30歳以上の妻に終身の給付がなされ続けることがどのような影響を与え得るのか、就労を阻害していないか。第3号被保険者の制度が就労を阻害してきた側面があることが、人数的なインパクトも大きかったこともあって、今の女性活躍、いろいろな課題が出ておりますが、それを生んでいる。ジェンダー・ギャップ指数146か国中118位というものはこういう大きな仕組みがもたらした部分もあるのではないのかということです。その意味からも、これは必要な措置であると考えております。
 一方で、これも出てきたことですけれども、人は現行の仕組みの中で働き方を変えています。これも非常に強く私の立場で感ずるところです。年金という大きな枠組みは、生きていく前提としての仕組みですので、その枠組みの変更について20年以上の時間をかけて徐々に変更していくことにはとても賛成しています。
 その際に、お示しいただいた有期給付化の具体的な施行イメージのシミュレーションで、これはどんな方が本当に困り得るのか。現場の個々人の声をむしろヒアリングするぐらいの感覚で解像度高く把握していくと、誰を支援すべきかが見えてくるのではないかなと思いました。
 最後に1点だけ、先ほどの資料4の5ページについて、遺族厚生年金について女性を取り巻く環境の変化の部分です。これも武田委員からも御指摘があったところなのですけれども、平成14年と令和5年を比較して、30代、50代で男女格差が縮まっているのは、とても好ましいことが見える化されたなと思っております。
 とはいえ、30代半ば以上では、男女の間の賃金に、まだ20%、30%の開きがあります。そして、その世代の女性の賃金が今後も伸びるのかというのは、まさに今後の社会の在り方によると思っています。出産・子育てがこの格差を生んでいるのは間違いない。そうしたなか、今後女性がどのように働けるようになるのか。ここは注視していくべきだと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 原委員、お願いします。
○原委員 ありがとうございます。私からも、障害年金、遺族年金についてコメントさせていただきます。
 丁寧に御説明していただきましてありがとうございました。障害年金につきましては、先ほどからもありますが、直近1年要件は10年延長ということで、今回の改正で進めていただければと思います。
 その他の論点につきましては、様々なケースが考えられると思いますので、きちんと整理しながら継続的な審議とすることでいいのではないかと思っております。
 次に、遺族年金なのですが、これは本当にいろいろな声もあると思いますが、何回も確認になりますけれども、やはり既に受給権が発生している人は対象外であることとか、あと、高齢期の夫婦で一方の方が死亡した場合に発生する遺族厚生年金、つまり、老齢厚生年金を受給している方が亡くなった場合の部分については現行のままであるということなど、そういったことはしっかりと発信していくことがまずは重要かと思います。
 あとは、子供を養育する間は、世帯としてみた場合の給付内容は変わらないことも丁寧に説明することが必要かと思います。さらには、変えるとしても、相当な時間をかけて段階的にやっていくわけで、つまりは、今の20代、30代に向けた改正であって、今、40歳以上の方は現行のままであるというご説明もありましたが、そういったことも誤解のないように十分に情報を発信していっていただければと思います。
 内容については、子のない配偶者の遺族厚生年金ということで、これまでも何度かいろいろと議論してきましたけれども、今回の案でこの給付の目的を再確認して、それに対する配慮措置もありますので、また、長い時間をかけて少しずつ変更していくことをお示しいただきましたので、そういった経過措置も十分あることもやはり伝えていっていただきたいと思います。
 私も少しだけ気になるのは、中高齢で遺族となった配偶者、妻についてです。これは現在の状況ですと就業の難しさ等もあるかもしれませんが、将来のことですので、女性の社会進出をさらに進めていき、労働環境も整えていかないと、このとおりにやっていく場合においていろいろな声が出てくるかもしれないと思います。
 そういった意味では、長い時間をかけて見直しを、制度の部分から先にしていくということですので、20年以上先の就業環境がどうなっているかにもよりますけれども、その判断は難しいですし、まだ分からないところはあると思います。今、お示しいただいている案は、有期と無期の最終的な男女同一の区切りの年齢が60歳になっていますので、これはおそらく、現在の、子のいない夫の支給年齢が60歳だからだと思うのですが、ここをちょうど男女が折り合う年齢としてみていくということだと思います。この点は今後の労働環境とか女性の就業環境、あるいは再就職といった場合でも、働き続けていくときのキャリアアップとか、そういったものも含めて考えていかなければいけないと思います。
 いずれにしても、長い時間をかけて制度を変えていくとなると、20年以上先の社会を見据えてということになりますので、現在の視点とは違う視点で考えなければならないということもあるかもしれません。そういうことも含めて、そういった20年以上先の社会の姿、女性の就業環境などについても十分考慮して、あるべき姿を考えて制度設計していくことが重要なのではないかと思います。特に遺族年金など、昔ながらの制度が残っているものについては、そういったことが必要なのではないかと思っておりますので、そのように進めていただければと思います。
 以上になります。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。私からも2点申し上げたいと思います。
 1点目、障害年金につきまして、事務局におかれましては精力的なヒアリングを誠にありがとうございました。多岐にわたる論点が示され、大変有益だと感じております直近1年要件につきましては継続に賛成でございます。
 それとともに、次々回以降、障害年金については継続的に議論されていくということだと思いますので、十分な調査研究を踏まえた上でぜひ御検討いただければと思っております。
 次に、遺族年金ですけれども、今回の見直しは、よくよく御説明を聞くと、大変シンプルで、非常に分かりやすくて、とてもいいと思いますし、20年以上かけて段階的に移行していく点にも賛成でございます。
 ただ、社会的なメッセージとして相当大きなインパクトがあるようでありますので、今回のような丁寧な御説明とともに、何か別の手段、SNS等を使いまして国民に伝えていくことも御検討いただければと思っております。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、玉木部会長代理からお願いいたします。
○玉木部会長代理 本日、何人かの委員の方からアーカイブ配信とか広報に関する御指摘がありました。私も広報を拡大することについては全く賛成でございますが、このアーカイブ配信にせよ、審議会の審議の姿をお見せするのは、昔は審議会が公表されていなかった、公開されていなかった、記録もあまり出てこなかった。これでは密室での審議ではないかという批判があって、公開するという思想の下で行われていたのではないかと思います。
 ただ、今、特に年金制度等に関して必要なことは、よりアグレッシブな広報ではないかという気もいたします。ここでやっていることをお見せするというふうに、見てくださいということで済む場合はそれでいいかと思いますけれども、それではうまくいかないものもあり得ると思います。
 どなたかから御指摘がありましたけれども、45年加入の件について、うまく説明が通らなかったというお話がございましたが、あれなども45年加入という施策そのものは大変、国民にとっても、本来だったら耳に入りやすいはずのものであったわけですけれども、そうでないことがあるわけでございますので、この辺を含めて、アグレッシブな広報をぜひお願いしたいと思います。
 その際、例えば今回の遺族年金の場合、これは遺族の方の年齢によって持つ意味が全然違ってくるわけでございますので、場合によってはコホートごとに説明するコンテンツを変えてしまってもいいぐらいの話ではないかと思いますので、ぜひ、その辺は年金局の皆さん、柔軟にお考えになって行動していただければと思うところでございます。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかに、この点、言い残したとか追加でという御発言のお求めはございますでしょうか。特によろしいですか。
 ありがとうございます。
 さすがに2巡目の議論、具体的な改正案を前に御議論いただく段階になりましたので、皆様から様々な御意見をいただくことができたと思います。ありがとうございます。
 全体といたしまして、事務局からの御提案に正面から反対という御意見は特になかったと思います。それを踏まえて、さらなる改善とか御提案はかなり多く出していただきましたが、基本的な方向性についてはおおむね御了承いただいたということでよろしいかと。会場の皆様もそういう反応をいただいておりますので、さらに事務局で詰めていただきたいと思います。
 あと、私から3つばかり発言をお許しいただきたいのですが、一つは、多くの皆様から御発言がありました障害年金の1年要件ですけれども、これは改正法の付則ですか。
○年金課長 附則になります。
○菊池部会長 60年改正法の付則に書いてある。本則ではないわけです。本来、付則は、本則とはやはり置き方が違うので、同列の法的な安定性があるものとしては想定されていないはずで、だからこそ、10年間という期間が切られているわけです。
 今回、皆様からさらなる延長については異論なくお認めいただきましたけれども、仮に受けられている方がおられるのであるから延長するのを続けるのであれば、これは百瀬委員のご専門なので、御意見を伺えばよかったのですが、そもそも、例外ではなくて、別に本則に入れてもいいではないかということにもなり得るわけです。
 ただ、何人もの委員の皆様、小林委員、武田委員、平田委員、堀委員、その他、委員の皆様から、今回の資料2の10ページにございますように「今後の取扱いを検討するに当たっては丁寧に実態を把握する必要があること等を踏まえ」ということで、この丁寧な実態把握を行うといったお求めが多くの委員からございましたので、そういったものが条件になってくると思いますので、取りまとめに向けても、そういった議論も十分踏まえながら、作業をお願いしたいと思います。
 それから、2つ目に、死亡時分割に関して、私も引っかかる部分がありまして、考え方は嵩委員とほぼ同じなのですけれども、社会保険の基本的な考え方からすると、よく言われるのは拠出と給付の牽連性とか、あるいは年金記録に対する給付の1対1対応といった言い方もしてきたのですが、今回の死亡時分割は、ある意味で同じ人が2回、同じ年金記録から給付を受けることになって、多分、同じ方が複数回、同じ年金記録から給付を受けることになるのはこれまで例がなかった給付の在り方だと思います。
 そういった意味で、別に反対だという趣旨ではないのですが、そのためにはやはり、嵩委員がおっしゃるように法的根拠づけを、今日の説明では配慮措置という説明がかなり出ていましたようにも思いましたが、それは実態としてはそうなのですけれども、これを制度化する、法制化するに当たって、配慮措置ということでは済まされないので、それ自体のしっかりした根拠づけを詰めていただきたいと思います。つまり、それは多分、具体的な条文を書いて、具体的に魂を法律に落とし込んでいく作業をする中で見えてくるものでもあると思うので、そこをしっかりやった上で、次回までの間にお示しいただきたいということでもあります。
 そういう中で、島村委員から御示唆があったかと思うのは、やはり離婚時分割と死亡時分割を整合的に捉えていくというか、その筋で考えていくのもあり得るのではないかという趣旨の御発言だったように思います。嵩委員からもそういった、そこをどう考えるのかという、肯定的かどうかは別として、そこにも言及されていましたので、そういったヒントも示していただいたかなと思いますので、いずれにしても、これはかなり本質的な改正になると思うので、ここはしっかり詰めていただきたいと私からもお願いしておきます。
 あとは、最後に簡単に、同性パートナーの最高裁判決に言及いただいた委員も複数おられました。非常にインパクトのある判決であります。もちろん、年金とも無関係ではあり得ないものであるのですが、小野委員がまさにおっしゃられたように、判決の中でも言及されておりますけれども、法的な意味での最高裁判決の射程は、法的な解釈としては公的年金に当然に及ぶものではないという理解になるのだと思います。
 ただ、そうはいっても、やはり社会的な大きな流れとして、最高裁判決が同性パートナーに給付金を認めたというものが出た事実はございますので、ここはしっかり注視していく必要があるだろうと思う次第でございます。
 すみません。時間が来ているのに、長々とお話しさせていただいて申し訳ありませんでした。
 それでは、すみません。時間が来ておりますが、もう一つ、議題4「その他」につきまして、事務局から御報告をお願いいたします。
○総務課長 時間が過ぎておりますので、手短に説明いたします。資料5を御覧ください。年金広報・年金教育の取組について報告いたします。
 まず、3ページが取組の全体像となっております。このうち、黄色っぽい吹き出しでお示ししているところが本日紹介する最近の取組となっております。
 4ページを御覧ください。こちらは中高生向けに学校などでお使いいただける新しい教材となっております。本年5月に公開いたしまして、既に年金対話集会などで利用を始めております。
 次の5ページは年金教育動画です。本年3月の終わりに4作目の動画を公開したところです。私的年金なども含めまして、働き方によって加入する年金が変わっていくことなどを解説したものとなっております。
 6ページです。こちらは本年10月の被用者保険の適用拡大に向けまして、人事担当者向けの手引きや従業員向けのチラシ、動画を作成しております。これらにつきましては、日本年金機構から事業所に周知を行うとともに、関係団体などと協力した広報を行っております。
 続いて、7ページです。こちらは、今般の財政検証の結果の公表に合わせまして、年金財政に関する1分程度の解説動画をつくっております。一つが、7ページの年金財政の基本的な仕組み。もう一つが、8ページにございますマクロ経済スライドの説明動画となっております。
 また、その後の9ページ、10ページにございますように、年金財政に関する分かりやすい説明資料も新たに作成して、同時に公開しているところでございます。
 続きまして、11ページ以降は年金対話集会の取組になります。
 年金部会におきましても、若者の意見を聞くべきであるという御意見をいただきましたことから、12ページにございますとおり、年金対話集会の機能を強化いたしまして、若者の意見を聞く取組を行っております。
 実施状況は13ページのとおりです。真ん中の枠囲いにございますように、従来の年金制度の仕組みや意義、年金財政などの説明に加えまして、学生の問題意識などに応じまして、適用拡大、第3号被保険者、遺族年金など、個別のテーマも取り上げて講義を行いまして、意見を聴取しております。実施した学校は右側のとおりでして、大学・大学院、高校、合わせて延べ31回、前期に実施しております。
 これらの対話集会の中には、年金部会の委員に御参加いただいた回もございます。また、部会の委員のゼミで開かせていただいたものもございます。改めてお礼を申し上げます。
 実際に学生から出てきた意見につきましては、14ページ以降で紹介しておりますが、時間の都合により、個別の説明は省略いたしますので、後ほど御一読ください。
 なお、これらの意見につきまして御留意いただきたい点がございます。
 一つは、まず、対話集会を実施した学校につきましては、できる限り地域バランスなどに配慮したり、あるいは多様な学校が入るようにという工夫はしたところでございますけれども、それでも限られた学校の限られたクラス・ゼミであり、これで全国の学生の意見を偏りなく拾えているかというと、そういうふうには必ずしも言い切れないこと。
 それから、もう一つは、今回紹介している意見は対話集会の後で行ったアンケートで出てきた意見になっております。実際には対話の中でも様々な御意見が出てきたところではございますけれども、全て拾い切れているわけではございません。そういう様々な制約がある中で実施しておりますので、今回いただいた御意見につきましては参考意見という扱いで受け止めていただければと思っております。
 若者の意見をどのように聞いていくかにつきましては、今後とも工夫していきたいと考えております。
 説明は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 実際に対話集会に参加してくださった委員もおられるということで、せっかくなので皆様からの御感想をいただきたいところであるのですが、時間が超過してしまいまして、全員の皆様というわけにはいかない状況でございますが、せっかくなので、玉木部会長代理から簡単に感想などをいただけると。
○玉木部会長代理 この対話集会につきましては、私の授業でやっていただいたこともございますし、また先般、ある定時制高校で行われたときに私も傍聴に参りました。その際には、武藤審議官以下、年金局の皆さんが真剣な対応をされていましたし、また、学校の先生あるいは生徒さんたちは大変いい反応を示してくださったと思いますので、こういった試みは、行われていることを含めて、広く周知を図っていただければと思いますし、また、委員の皆様、それぞれの場においてこういったことが行われていますといったことは我々委員として世の中に伝えていってもいいのかなと思うところでございます。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 すみません。時間がなくて、皆様にお伺いできなくて申し訳ございません。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 本日予定しております議事は、以上で終了とさせていただきます。
 それでは、今後の予定について、事務局からお願いします。
○総務課長 次回の議題や日程につきましては追って連絡いたします。
○菊池部会長 それでは、本日の審議は終了いたします。お忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。