第3回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会(議事録)

日時

令和6年3月18日(月)15:30~17:30

場所

東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 3階 第1会議室

出席者

会場出席委員
オンライン出席委員

議題

1.関係団体からのヒアリング2
・一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会
・日本チェーンストア協会
・一般社団法人日本惣菜協会
・UAゼンセン

議事

議事内容

○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第3回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中で御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まず、構成員の出欠状況を報告いたします。
 池田構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。また、五十嵐構成員、酒向構成員、嵩構成員、松原構成員はオンラインでの御参加です。
 御欠席の池田構成員の代理として、国民健康保険中央会の井上様に御出席をいただいております。井上様の御出席につきまして、懇談会の御承認をいただければと思いますがいかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 ありがとうございます。
 なお、事務局につきましても御報告いたします。
 保険局審議官の日原、年金局審議官の泉につきましては、公務の関係で到着が遅れております。また、年金局総務課長の小野は別の公務により欠席となっております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、ヒアリングに御対応いただく各団体より御提出いただいた資料を用意しております。傍聴の方におかれましては、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
 最後に、オンライン会議における発言方法につきまして、オンラインで参加されている構成員におかれましては、御発言の際は手を挙げるボタンをクリックし、座長の指名を受けてから御発言いただくよう、よろしくお願いいたします。また、御発言の終了後はマイクをミュートにしていただくよう、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
 以降の進行は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 皆様、本日も大変お忙しい中、御参集賜りまして、どうもありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。本日は関係団体様からのヒアリングの2回目でございます。本日ヒアリングをお願いいたしましたのは、日本チェーンストア協会、日本惣菜協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、UAゼンセン、以上の4団体様でございます。
 それでは、各団体から御出席いただいた皆様を御紹介いたします。
 日本チェーンストア協会様より、井上様、牧野様、長友様、津田様。
 日本惣菜協会様より清水様。
 全国ハイヤー・タクシー連合会様より武居様。
 UAゼンセン様より松井様。
 以上の皆様にお越しいただいております。
 本日は、大変お忙しい中、ヒアリングに御出席いただきまして、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 これより御出席いただいた皆様から、労働者の就労の実態、被用者保険の適用拡大の影響や課題、働き方の多様化が進展することに伴う課題、今後の制度見直しに関する御意見や御要望といった内容につきまして、一団体様20分程度でお話しいただければ幸いでございます。その後、お話しいただいた内容につきまして質疑応答の時間を一団体で10分程度取りたいと考えております。
 限られた時間ではございますが、御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、日本チェーンストア協会様からのヒアリングを行いたいと思います。
 井上様、牧野様、長友様、津田様、どうぞよろしくお願いいたします。
○牧野専務理事 日本チェーンストア協会でございます。日頃から大変お世話になっておりまして、また、今日はこのような機会を頂戴して、大変ありがたく思っております。よろしくお願いいたします。
 私どもの協会の概要でございます。チェーンストアという言葉は一応世の中に知れ渡ってはいるものの、一体どういう概念なのかということについて、必ずしも皆さんははっきりしたものをお持ちではないかもしれません。私どもの有する定義的なものといたしまして、ここにありますとおり、チェーンストアとは同一の資本の下で11店舗以上の店舗を直接に管理・運営する小売業・飲食業の経営形態をいい、大規模な小売業者のほとんどはチェーンストア形態で経営されていると承知をしております。
 チェーンストアは多々ある中で、私ども日本チェーンストア協会、これは国内の食品スーパー、総合スーパー、生協、ホームセンター、100円ショップなどなど、いろいろな業態においてチェーン展開を図る小売企業によって組織されておりまして、協会の活動としては、チェーンストアのよりよい事業環境づくりと豊かで潤いのある国民生活の実現ということを目指しているわけでございます。
 設立は1967年、昭和42年で、協会設立の目的としては繰り返しの部分もございますが、チェーンストアの健全な発展と普及を図ることにより、小売業の経営の改善を通じて我が国流通機構の合理化・近代化を促進するとともに、国民生活の向上に寄与することとしてございます。
 会員の資格は3つありまして、通常会員、特別賛助会員、賛助会員としてございます。
 通常会員は小売業のチェーンストア企業の会員でございます。その資格として私どもが定款で定めておりますのが、チェーンストアを営む小売業法人であって11店舗以上、または年商10億円以上の事業会社、チェーンストア事業を営む小売業法人を直接の子会社に持つ持株会社、こういう方々に通常会員として入っていただいております。
 現在の会員の状況は、通常会員が53社、特別賛助会員、賛助会員が合わせて400社弱ということでございます。
 通常会員53社の規模は、売上高全体で、これは2022年度ですが、13兆3000億円弱、そのうち食料品が9兆円超、約7割を占めてございます。それから、衣料品が6%弱、住関連品が2割弱、サービス部門とその他のものが売上げとなっており、全国で1万845の店舗がございます。
 その中で、店舗数とこれから申し上げる従業員数は今年1月の数字でございますが、従業員数は52万6000人、うち正社員が11万人、パートさんは8時間換算で41万4472人ということでございまして、正社員よりパートさんのほうが圧倒的に多いという業態でございます。
 続いて、事前にお示しいただいたヒアリング事項に対しての状況、それから、考え方についてお話をさせていただきます。
 1、短時間労働者の就労の実態でございます。チェーンストア業界にとって短時間労働者は重要な経営資源であり、従業員の8割超を短時間労働者が占めているところでございます。主婦層を中心に、先ほど8時間換算で41万人強と申し上げましたが、推計で66万人強がチェーンストア業界に就労しているのではないかと考えてございます。この方々は自由な期間・時間に柔軟に働くことができるということを求めておられるわけでして、私どもの業界がそうした多様な就労機会を提供して、短時間労働者の活躍の機会の確保に努めております。ところが、コロナ禍を経て人材確保は困難な状況になってございます。
 こうした中、これまで社会保険の適用拡大が進めてこられたわけですが、その影響や課題について申し上げますと、2016年10月、この社会保険適用拡大によって、短時間労働者は長時間化する層と20時間未満に抑制する層に分かれました。その結果として、抑制する層の不足分を充足しきれずに人手不足が加速したという認識でございます。
 現行の社会保険の適用要件、それから、まず、税制や社会保険制度などなどが非常に複雑であるということがございますし、最近の賃上げ、最低賃金の急激な上昇は、むしろ短時間労働者の労働時間の抑制、いわゆる就労調整・就業調整といわれている状況を発生させてございまして、私どもの業界では人手不足がさらに深刻化しているという実態でございます。
 これまでの適用拡大による負担の発生によって、柔軟に働くことができる20~25時間程度の短時間労働層、この方々はお子さんの教育なりいろいろな家事を考えると、せいぜい週二十数時間という感じで働いてこられたわけですが、20時間にすることによって、柔軟かつ多様に働きたいのだけれども、そこに切り込まれて短時間労働の利便が毀損されてしまっていると考えてございます。
 なお、社会保険の適用要件について、会員企業それぞれにいろいろな意見がございまして、人手不足の深刻さを背景として、一つは壁を意識し得ないほどの引き下げを望む意見もありますし、一方で、上述の適用拡大前の水準まで引き上げを望む意見の両方向が存在いたします。短時間労働者側から見ても、本人の年代とか世帯の構成、それから、実際に自由に働くことができる時間の在り方などなど、個々人が抱える事情や地域の状況に応じて、新たに社会保険に加入するメリット・デメリットはまちまちでして、特にチェーンストア業界で多くを占めている50歳代、60歳代の短時間労働者の方々にとっては、ほとんどメリットは見出せないものではないかと考えてございます。
 続いて、働き方の多様化の進展に伴う課題についてです。チェーンストア業界において複数の事業所での勤務については、自営業との兼業や家計収入を支えるための兼業を行っているという例は聞いたことがございます。複数事業所での勤務によって労働時間が適正に把握されず、不公平ではないかという声はございます。
 最後のページの4ポツ、短時間労働者に対する今後の社会保険適用に対する意見です。年代・世帯の構成、働くことができる時間の自由度などなどの個々人の事情、それから、地域の状況、これらによって社会保険に加入するメリット・デメリットは、先ほど申し上げましたがまちまちであることに加え、大変複雑な現行制度の下で、賃金要件や時間要件に着目して画一的に適用拡大を図ることでは、個々人の生活や企業の事業活動にとって短期かつ中長期的に大きな影響を及ぼし、負担感も大きなものとなります。拙速に適用拡大を進めても持続可能であるか否か疑問が大きく、慎重に検討すべきであると考えます。
 現行制度の下での賃金・時間要件に着目した適用拡大のメリット・デメリットをきめ細かく検証する必要がある一方で、短時間労働層や若年層のみならず、国民各層にとってあまりに複雑な制度であるということから、分かりやすい制度、かつ加入のモチベーション向上につながる制度に抜本的に改正する必要があると考えてございます。その点を横に置いて制度維持のために給付年齢の引き上げ等が議論されると、こういうたびに新たに加入するインセンティブが失われ、制度不信が増大していると考えてございます。
 加えて、社会保険制度の抜本改正のみならず、女性の就労や活躍が促進されるような保育・介護施設サービスなどのさらなる拡充を同時に実現していく必要もあると考えてございます。
 資料の説明は以上ですが、もう少し実態を踏まえた補足説明をいたします。
○津田労働委員会委員 労働委員の津田と申します。よろしくお願いいたします。
 私ども小売業の現場のパートタイマーさんの声を伺いますと、2016年の適用拡大の際に社会保険に加入できる方は、ほとんどの方が加入のほうを選ばれておりました。ある会員社の場合ですと、約8割の方が社会保険に加入しないという働き方、いわゆる20時間未満の働き方を選択されておりました。または20時間ぎりぎりで雇用保険に入りながら、ぎりぎり社会保険に入らないという働き方を選択された方が約8割でございました。
 そういう方は先ほどお話がありましたように、子育てや家庭を抱えながら1日5時間から6時間弱ぐらい、または週4日から5日間ということで35時間とか40時間ではなくて、二十数時間というちょうどいい本人のライフスタイルに合った働き方を選択されていたのですが、ここ数年の最低賃金の上昇の中で、その枠の中で社会保険に入るか入らないかという選択を今迫られている方、特に2年ほど前に東京、神奈川、一昨年、千葉、埼玉、そして、今回は関西や中京地区が大体8万8000円のラインに最低賃金が上がったときに、現在は約9割以上の方が加入しない。契約時間を見直して短い働き方を選択されています。
 社会保険に入る働き方が選択できる家庭環境、御自身の働き方の価値観がある方は、ほとんどの方が社会保険加入を選ばれているのですが、結果、そういう働き方を選ばない方がチェーンストアの小売業で働いていらっしゃる。そういう選択肢として我々の業界を選んでいただいていますので、この働き方が選べなくなると我々のインセンティブもなくなってきますので、全ての方が社会保険に加入して長く働きたい、正社員のように働きたいという方だけではないということを説明させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○牧野専務理事 以上でございます。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいた内容に関しまして、構成員の皆様から御質問がございましたらお願いいたします。
 海老原構成員、お願いします。
○海老原構成員 2つ聞かせてください。
 私の持っているデータなどによると、適用拡大によって社会保険料を納めなくてはいけなくなるので、労働時間調整をしているのは、労働者よりも経営者側の声が大きかったのですけれども、それはどうですか。つまり、本人は働きたいけれども、企業側が働いてくれるなと言っている。こういう話が結構出ているのですけれども、これはどうか。これが1個目の質問です。
 2つ目の話は、大規模、特に御会の会員さんは規模がかなり大きいからもう適用拡大されていると思うのです。非加入の中小のスーパーのほうが現状は不適用であり、人を採るときに社会保険負担を負わなくてよいので、いろいろな不公平が出ていないか。これが2つ目の話です。
 この2つをお聞かせください。
○菊池座長 お願いいたします。
○井上副会長 最初のほうの御質問、もちろんいろいろなタイプがありますけれども、本当にざっくり申し上げますと、企業のほうは人手不足が今も深刻になっておりまして、確かに負担はもちろん大きいのですけれども、むしろ働き手を求めている。それに対して、今、説明をさしあげましたけれども、パートさんのほうが自分の御家庭の事情、各々の事情、年代によっても、我々の働いている方は割と50代、60代の方々が多いのですが、ある意味で今さら入るインセンティブはないという方も含めて、むしろパートさんたちのほうが社会保険に入るのを嫌がる。一律ではありませんけれども、ざっくり言うとそういう感じです。
 2番目の御質問、それを前提にしますと、適用拡大で我々がここで申し上げたのは、むしろ時間要件、それから、収入要件でして、規模要件については同じ制度であれば、そこで区切りというか、差をつけるのは不公平だろうと思っています。それは企業側のほうもそうなのですけれども、最初に申し上げましたように、パートさんのほうが社会保険に入るくらいだったら選ばない、言葉は乱暴ですけれども、そういう形になります。
 企業のほうとして言うと、例えば今、私の会社が51人、隣のスーパーさんが49人、こうしたときに49人のほうに流れていくわけです。したがって、そういうことになりますと、最初に人手不足と申し上げましたけれども、企業のほうとしてもパートさんの採用により苦しくなるということで、もちろんここはいろいろなバランスの問題があるでしょうけれども、制度としては規模要件にかかわらず同じにしていただいて、その上で、特に零細のところ、負担感が多いということであれば、ここに対しては助成みたいな形で、そこを補う形のほうがフェア、あるいは競争条件をゆがめないのではないかなと思っています。
○海老原構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、佐保構成員、お願いします。
○佐保構成員 丁寧な御説明をありがとうございました。2点ほどお聞かせ願いたいです。
 いわゆる就労調整をする方は、何を意識して調整をしているのか。例えば103万円の壁、社会保険の月額賃金8.8万円の壁、130万円の壁、150万円の壁など、どのあたりを意識しているかを把握していたら教えていただきたいです。また、企業の配偶者手当を意識して働き方を調整している方はどの程度いるのか、お聞かせ願いたいのが1点です。
 それから、資料の3ページ目の4ポツの2つ目の○に、分かりやすい制度、かつ加入のモチベーション向上につながる制度に抜本的に改正する必要があるとありますが、具体的にどういったことを考えていらっしゃるのか、もしお考えがあれば教えてください。
 以上です。
○菊池座長 よろしくお願いいたします。
○津田労働委員会委員 1つ目の御質問で、どのような課題があるか。パートタイマーさんの雇用の窓口として、声として大きいのは雇用保険の壁です。今まででしたら20時間で雇用保険に入りながら社会保険に入らない働きが選択できたのですけれども、今、最低賃金の上昇によってそれが選べなくて、雇用保険に入れなくなる。それであれば社会保険に入ればいいということで選択肢を設けているのです。おおよそ9割の方が雇用保険を諦めて、でも、社会保険にも入らないという選び方をされております。
 もう一つお話がありました配偶者等の扶養の手当は問い合わせが結構多くあります。会社としては壁を越えてらっしゃるのだけれども、本人の調整をしたいという声が出てくると、これはどうしてですかとお問い合わせをすると、多くの方が主人の会社の扶養手当が外れてしまうので就労調整をしたいと、小売業は12月が一番繁忙期なのですが、12月に雇用調整をしたいという声があるので、我々としては人手不足が一番繁忙期に直撃しているという課題を抱えております。
 以上でございます。
○牧野専務理事 2つ目の御質問についてですが、壁といわれるものがいろいろあって、企業側ももちろん仕事に就いてくださるときには社会保障制度について説明はしっかりいたします。ただ、いろいろな壁があると、何かよく分からないと結局なってしまう。それ自体でもうよく分からないから、皆さんそう言っているしとか、そういう結果が壁となって就労調整を招いてしまう面はあろうかと思っております。これがまさに分かりやすい制度にしてほしいというお願いでございます。
 もう一つの加入のモチベーション向上というのは、まさに説明の中で申し上げたように50代、60代の短時間労働者の方々にとっては何らモチベーションがないわけでございます。社会保障制度に加入しましょうというのであれば、どんな年代のどんな働き方をする人にどういうメリットがあるのか、どういうモチベーションを与えられるのか、具体的なイメージがあるわけではございませんが、現状、果たしてモチベーションのある制度になっているのかということについては、きちんと問い直していただければと存じます。
 以上でございます。
○佐保構成員 分かりました。ありがとうございます。
○菊池座長 それでは、秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 健康保険組合連合会の秋山と申します。
 短時間労働者の方々の働き方、御要望、実態、あるいはそれを企業の側でどのように見ておられるかということをお話しいただきまして、大変参考になりました。
 日本チェーンストア協会の概要を見ますと、大規模チェーンの方も結構いらっしゃるということですから、中には健康保険組合を現在お持ちである、あるいは加入されている企業の方もいらっしゃると思います。短時間労働者の適用拡大が進んできたのですけれども、短時間労働者の方が入られると、どうしても保険料収入はフルタイムの方に比べるとそれほどではない中で、保険給付のところ、出ていくところはあまり変わらないということですから、その部分が非常にマイナスになる状況も発生するのではないかというのが、一般的な見方かと思います。
 今までの適用拡大で、日本チェーンストア協会の会員の皆様の中で健康保険組合をお持ちのところがどういう状況になっているか、どういう影響を受けたか、もしも御存じであればお教えいただければ、参考とさせていきたいと思います。
○菊池座長 いかがでしょうか。
○津田労働委員会委員 ある会員社の場合、自営のグループ健康保険組合を持っているのですけれども、もはや事実上赤字の状態でございまして、この方たちが加入する以前に、高齢者の65歳以上の方の拠出金の課題もありまして、経営環境としては非常に厳しくて、協会けんぽよりも保険料率が高い状況でございます。
 一方で、我々がやれる自助努力としましては本当に健康経営ということで、まず、病院にかからないような健康診断の結果を基に、歩きましょうという歩Fes.とか、禁煙外来の補助とか、そういうことをやっている状況でして、もう人数であるとか、加入者の数が高齢化していくことはもう仕方ないということで、病気にかからない健康な生活をやりましょうというと自助努力しかできていないような状況でございます。このままいくと、あと数年で相当厳しくなってしまうというのがある会員社の場合の現状でございます。お答えになっているかどうか分かりませんが、よろしくお願いいたします。
○秋山構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 佐久間構成員、お願いします。
○佐久間構成員 御説明、本当にありがとうございました。
 貴協会は、チェーンストアを構成する非常に大きい業界ですし、短時間の労働者も多人数がいらっしゃると思います。昨年の10月から11月に発表された「年収の壁・強化支援パッケージ」の関係ですけれども、この制度を会員の皆さん方へ、周知はされていると思います。導入率まではまだ分からないと思いますけれども、制度の印象とか導入意向、労働者の方たちはどのように受け取っているかどうか、感覚的なものでかまいませんので教えていただければと思います。
○牧野専務理事 承知しております限りでは、どうするか、使うかどうか検討中という企業が非常に多いようでございます。一部に使うことを決めたところもございますが、多くはいまだ検討中というところでございます。
 使う場合に、その方向性として、労働時間延長コースを選択しようとしている企業が多いというのが現状と承知しております。
 もし補足があれば。
○津田労働委員会委員 ある会員社も今検討中でございまして、労働時間延長パッケージであれば公平性がある程度保てるのですが、先ほど申しましたように、ここ数年で特に首都圏の方たちが社会保険に既に入ることを選ばれた方がいらっしゃって、今回のパッケージでいうと去年入った方、一昨年入った方が対象にならないので、その方たちとの整合性が会社としての大きな課題となっております。その方たちも含めて全員賃上げのパッケージを使えればいいのですが、なかなか企業的な環境も厳しくて、全員を上げるというのは非常に厳しいものですから、今回入る方だけ賃金を上げて、その壁を超えるという補助をするのは非常に難しくて、公平性・公正性の観点から、どうしても延長パッケージのほうの選択肢になっているのが現状かなと思っております。
 以上です。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 それでは、伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 伊奈川です。今日の話で全世代型社会保障の中立性がどのように作用するかというのがよく分かりました。ありがとうございました。
 基本的に、今日お話を聞いたのは短時間労働の関係だと思うのですけれども、この懇談会のもう一つのテーマとしては、プラットフォーム就労であるとか、あるいはギグワークとか、あるいはフリーランスというような働き方もテーマのわけです。チェーンストア協会の場合は、この辺りは何か関係とか、あるいは動きはありますでしょうか。
○牧野専務理事 私どもをヒアリングに呼んでいただいた観点が短時間労働者という認識で参っておりまして、実際、ギグワークかフリーランスで何か動きなり課題となっていることがあるかというと、承知しておりません。
○伊奈川構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 それでは、五十嵐構成員、お願いします。
○五十嵐構成員 働く側は壁を意識するかどうかという働き方になっていますが、働く側ではなく、事業者側は人手不足であり、長く働いていただきたいと考えているのであれば、壁を意識しないで働ける(事業者側からの時間調整は求めていない)のですよ、という提示をしている事業者が多いのか少ないのか。例えば大きな会社ですと106万、101人以上だったら130万のところに壁がありますが、それを大きく超えるような形で働いてもらいたいという提示をされているかどうか、お分かりになる範囲で教えていただけますでしょうか。
○菊池座長 いかがでしょうか。
○津田労働委員会委員 募集に関しては短い時間から長い時間まで、あまねく広く募集をしている企業がほとんどだと思います。新しく働く方は、恐らく長い働き方ができる方は、そういう形で応募されていると思いますし、今の課題としては今いらっしゃる方です。今、働いてらっしゃる方で、あえて働く時間を伸ばして社会保険に加入したいと思う方が少ないというのが課題かと考えております。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、酒向構成員、お願いします。
○酒向構成員 先ほど、「50~60歳代の短時間労働者にとって、ほとんどメリットは見出せない」というような御説明があったと思います。従業員の方が雇用主の方に社会保険適用について御相談されたときに、雇用主の方が、「いや、あなたが入ってもあまりメリットはないのだよ」というような説明をされておられるのかどうか、どういうやり取りをされておられるのか、現場の様子が分かれば中身を少し教えていただきたいというのが1点です。
 もう1点、資料の2ページ目の最後のところに、「複数事業所での勤務によって、労働時間が適正に把握されず、不公平ではないかとの声がある」と書いてあります。これは不公平だからトータルを合算してほしいということなのか。ここを教えていただければと思います。
 以上でございます。
○津田労働委員会委員 1つ目の御質問ですけれども、働く方は会社としては先ほど来申し上げているように、社会保険のメリットもちゃんと説明した上で話はするのですけれども、多くの方が、特に50代、60代手前の方は今さら入ってもということで、今まで払ってなかった社会保険料を払うことに対して非常に抵抗を感じていらっしゃるので、私は入りたくない、では、短くしますということで、もっと長く働いてほしいという話をしても、いや、今さら入ってもという声が多いのが、私の実務上の実感でございます。
○牧野専務理事 2つ目の御質問については、そもそもチェーンストア業界で兼業という例、必ずしも把握できる話でもございませんし、ここに書いたのは、不公平だから合算してほしいというほど強い声が届いているというわけではない。ただ、そういう声があるという程度だと御理解ください。
 以上です。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、これにて日本チェーンストア協会様からのヒアリングを終了させていただきます。
 井上様、牧野様、長友様、津田様、本日は大変お忙しい中、お時間を取りいただきまして、どうもありがとうございました。
 続きまして、日本惣菜協会様からのヒアリングを行いたいと思います。
 清水様、どうぞよろしくお願いいたします。
○清水専務理事 私は一般社団法人日本惣菜協会の清水と申します。平素は中食産業に関しまして、行政の皆様方には大変お力添えをいただいておりますことを御礼申し上げたいと思います。
 私どもの資料はアンケートしかございませんので、これからしゃべる内容が記載されているわけではございませんので、御了承いただきたいと思っております。
 現在の惣菜協会の会員数は702社でございまして、この数年毎年増加しておりまして、中食産業に対する注目は極めて高まってございます。おかげさまでコロナの一時期を除きまして女性の社会進出、また、世帯数の変化、少子高齢化の影響を受けまして、食品の消費の中では外部化比率がどんどん上がってきておりまして、家庭内食も外食もシュリンクしている中では、中食・惣菜が極めて毎年伸張しているということで、2022年は前年比3.5%増の10兆4000億ということで、昨年も順調に伸びておりまして、多分10兆円の後半の数字が出るのではないかと見ております。
 しかしながら、業界課題を非常に大きくて、なかんずく人手不足というのはほかの業界さんも同じだと思いますけれども、つまり中小零細も多い惣菜製造業は多いということでございます。食品製造業は約110~130万人の就労者がいると推測されますが、私どもの業界ではお弁当・惣菜の盛りつけ作業がございまして、その作業従事者が30万とか40万と言われております。その貴重な労働力は、高齢者、また、主婦の方々、そして、外国人労働者、外国人労働者は特に技能実習生、最近では特定技能という方々に本当に力を発揮していただいております。その多くは短時間労働者ということでございます。
 そのため、惣菜業界としましては生産性向上ということで、盛りつけをするというロボットは極めて難しいことでございますが、これも経済産業省の補助事業をいただきまして、今、盛りつけロボットの開発をしておりまして、ポテトサラダなどを盛りつける機械がいよいよ導入されてきております。大きな企業ですと1000万、2000万、3000万という機械やロボットが導入できるのですけれども、惣菜産業ではできないので、何とか500万円以下のロボットを開発しようということで相当努力をしております。
 同時に、自動蓋閉めであるとか、また、量子コンピューターによる工場のシフトの計算であるとか、デジタルツインによる工場の合理的な生産配置というようなことをしながら、生産性向上に取り組んでおります。さらにそれの普及拡大で農林水産省の支援を頂いております。例えばお醤油とかマヨネーズとか、大量生産型はロボット導入を行いやすいのですが、少量多品種のお惣菜は難しいです。何とかそれをやろうということで、一生懸命取り組んでいるのが実情でございます。
 その中で、年金適用拡大のさらなる拡大要件でございますけれども、ちょうど2019年に101名が対象になるということで、そのときに私がお話をさせていただいたのと同様でございます。このアンケートの中にありますように、つまり年金適用拡大は年金をもらえる人を増やすのだという思いが、この制度の改革だと思います。実際は、先ほどチェーンストア協会さんからもありましたように、つまり適用拡大をすることによって、それだったら、それ以下の就労時間でさせてくださいという方々が多くあったということで、16年と同様に22年も減少したという状況でございます。ですから、さらに人手不足に拍車がかかるということでございます。そういう中で、一時的に負担が増加するというようなことでございまして、従業員のほうも比較的評判がよくないというようなことでございます。
 今回のアンケートを見ていただきますと、4ページ、実際、今度適用拡大になるところが51~100名ということでございますので、約25%の企業さんが対象になるのではないかというようなことでございます。
 7ページ、働いておられる方が主婦、そして、定年された方々が非常に多いということでございます。ですから、主婦の方々というのは、どうしても年収の壁が非常に多いもので、それによって就労時間が短くなるということでございます。
 10ページ、扶養内に抑えるために勤務時間を減らすパートが増えて、人手不足のさらなる加速になりますということでございます。
 12ページ、さらなる適用拡大が大きくなる場合、影響はどうですかというと、悪い影響というのは37%あるということでございます。
 そういうことでございまして、つまり19年の従業員101名への適用拡大のときと同様という意見ではございます。実際は、最後にお配りしたHRソリューションズさんの資料をいただいてきたわけでございますけれども、つまり時給が毎年上がっているわけでございます。つまり年収は壁があることによって一定、そうすると、月間の労働時間は減少するということでございまして、そういう面では本当に年金の適用拡大というよりも、年収の壁への課題のほうが大きいのではないかいう感じがいたしますので、この辺りをどのようにしていくかというところです。ですから、企業も今は例えば社会保険料というようなことが適用になったとしても、一時的に負担が増えても、今はどちらかというと労働力が欲しいというのが実態ではないかなと思っております。
 そういうことで、前回は反対意見を述べさせていただきましたけれども、今回は反対意見というか、年収の壁を含めた辺りの議論が必要ではないかと考えております。
 簡単でございますが、以上でございます。
○菊池座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいた内容に関しまして、皆様から御質問をお願いしたいと思います。
 松浦構成員、お願いします。
○松浦構成員 お忙しい中御来場いただいて、貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 最後に御紹介いただいた資料について確認というか、御意見をいただきたいと思います。これだけを見ると、時給が上がると労働時間が下がって年収は変わらないという結果に見えないこともないのですけれども、例えば2008年のリーマンショックですとか、2020年だとコロナ禍ですとか、安倍政権下での最賃引き上げの影響ですとか、社保適用拡大や年収の壁以外にもいろいろな背景があるのではないかと思いました。
 今申し上げた幾つかの背景の中で、労働時間の減少に特に大きな影響を及ぼしているものは何なのか、感触で結構なのですけれども、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
○清水専務理事 全体的に、生産人口の減少が一番大きいのではないかなという感じがいたします。この表からすると、まさしく年収の壁によって、つまり私は103万円しか働きませんから、当然時給が上がれば就労時間が短くなるということでございます。その分の影響は極めて大きいのではないかなと見ております。
○松浦構成員 御意見として承ります。私は違う意見を持っているのですけれども、ありがとうございます。
○菊池座長 海老原構成員、お願いします。
○海老原構成員 もっと壁の時間を短くしてしまえば、逆に諦めもついて働くようになるという話が出ましたけれども、そういうような声もあるわけなのですか。
○清水専務理事 壁の時間を短くとはどういうことですか。
○海老原構成員 106万ではなく、例えば30万まで下げてしまうとか、20万まで下げてしまうという話になれば、みんな入るから、これは入るからしようがないという話だと思うのですが、そういう解決の仕方もあるわけなのですか。
○清水専務理事 今は賃金もどんどん上がっておりますので、つまり一時的なコスト負担よりも労働力を確保したいという声のほうが大きいということでございます。つまり30万にするという意味合いが全くないです。年収の壁自体が少し問題ではないかなという感じです。
○海老原構成員 逆に言うと、例えば働き始めて、労働時間が0時間から1時間になった瞬間に、もう社会保険料がかかるのだよというシームレスな仕組みができたら、これは非常に合理的に働けるということにもなります。
○清水専務理事 この時間までしか、この年収までしか働かないという選択をされる方が多いというようなことでございます。
○海老原構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 土井構成員、お願いします。
○土井構成員 御説明ありがとうございました。
 御提出いただいている資料の内容に関連する質問をさせていただきます。
 資料の6~7ページの部分でございます。こちらに、今、適用拡大の議論をしている20時間以内、それ以上の部分、次のページにパート・アルバイトの方の属性といったところを書いていただいているのですが、世間一般的には就業調整をされる方というのはいわゆる主婦パートの方が多いと思います。
 惣菜協会さんは非常に多様なというか、先ほど御説明でもあったように、いろいろな属性の方が短時間労働者として働かれている点と、業務内容でも、例えば先ほどのチェーンストアさんですと、かなり長時間営業されているので、長時間一定数の人数の確保が必要になろうかと思うのですが、惣菜ですとお昼の時間とか、繁忙期がある程度限られているということで、具体的には、例えばどういう方が就業調整をされているのかといった点、あるいは事業者側からある程度時間を限定して提示し働いていただいているのかとか、その辺の現状を分かる範囲で結構ですので、教えていただけますでしょうか。
○清水専務理事 惣菜の場合は例えば炊飯ですと、夜中から炊飯の準備をしていただく方のお時間であるとか、盛りつけですと、その時間に集中的に盛りつけをしていく時間であるとか、調理の時間ですと調理をして午前中までに出荷というようなことで、割とそうやって区分されることがございます。
 しかしながら、あなたはこの時間にしてくださいというようなことは、多分、私も事業者ではないもので直接は分かりませんけれども、そういうお話し方はしていないと思います。本当でしたら8時間働いていただきたいというところを、皆様方が私は4時間ですとか、私は3時間だけさせてくださいという方々を組み合わせながら、苦労してやっているというのが実態でございます。
○土井構成員 ありがとうございます。
 そうすると、就業調整に対するトーンとしては、先ほどのチェーンストア協会さんのように、できる限り長く働いていただきたい。その中では、場合によると複数の業務とかをやっていただきながら、長い時間を働いていただきたいということでよろしいでしょうか。
○清水専務理事 そのとおりでございます。
○土井構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 永井構成員、お願いします
○永井構成員 永井と申します。今日はありがとうございました。私から2点お伺いしたいと思います。
 一つは9~10ページで、過去の適用拡大が与えた影響の回答結果がありますが、10ページにある「悪い影響を選択された方の意見」のところの2つ目に、「所得制限によって働く時間を短くしたため、会社の経費負担が増加」とあります。「会社の経費負担が増加」というのはどのような意味か、単純にお伺いしたいと思います。
 もう一つは、14ページの「適用拡大への対応で有効な支援」についてです。私は労働組合の者ですが、現場で適用拡大などについて説明することに非常に苦労しています。ここにも「分かりやすい説明資料」との記載がありますが、特に惣菜協会さんの現場では、社会保険制度などがどれぐらい理解されているのか、理解してもらうのが難しいのか、その辺をお伺いできればと思います。
 以上です。
○清水専務理事 10ページの所得制限によって働く時間を短くしたということになると、私も正確ではないのですけれども、多分細切れになっていくことによってコストがかかるというのが明確になるのではないかなと思います。
 次ですけれども、分かりやすい説明といいますと、基本的にはしっかり理解して説明をしなくてはいけないというのが会社の責任だと思います。中小になると、そこまでしっかりとした知識を持った人がいない可能性はあるかなと思ったりしております。
 あと、今回、年金の追加で余分なことをしゃべりますと、年金の適用拡大の例の支援対策パッケージ、あれは物すごく複雑な書類を出さなくてはいけないということで、大変評判が悪いです。
○永井構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 アンケート調査がすごく参考になりまして、いろいろと聞きたいのですけれども、時間の関係もあるので1点だけ。
 7ページのところを拝見しますと、これまでの議論はどちらかというと主婦のパートの議論が多いと思ったのですけれども、これは一見すると、それなりに定年退職された方、あるいは留学生、フリーランスとか副業といった方たちもいるものですから、主婦と違う受け止めがあるのかどうか。例えば定年退職された方の場合は、年齢的に言うと、年金との関係ではいろいろなパターンがあったりすると思いますし、また、医療保険の関係でもどの制度の適用になるのかといったところもあったりするので、いろいろな考え方があるのではないかと思うのですけれども、その辺りで何か情報があれば、教えていただけますでしょうか。
○清水専務理事 惣菜製造業はそんな人気がある業種ではないと思っておりまして、正社員も例えば新卒もなかなか難しいというようなこともございます。ですから、そういう面では非常に多様な方々を採用しないとやっていけないのが今の状況かなと思ったりしております。このように外国人材も相当数いらっしゃいますし、技能実習生も3万数千人働いておられて、この方々がいないと本当に製造できないというような悲痛な叫びが、今回の在留資格変更などは注目して見ているわけでございますけれども、そんな感じでございます。ですから、本当に多様な方々にお世話にならないといけないというのが、今の実態かなと思ったりしております。ただ、マーケットは拡大しております。
○伊奈川構成員 そういう方から見たときの年金とか医療保険の適用というのは、どのように映るのだろうかというところが分かれば教えていただけますでしょうか。
○清水専務理事 私も正確な答えを持っているわけではございません。主婦の方々は明確でございます。年収の壁だと思っておりますし、定年退職されれば年金の受給という辺りも影響があるのだろうなと思ったりしております。あと、学生とか留学生は当然本業が違いますので、短時間を選ぶというようなことだと思っております。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。
 佐藤構成員、お願いします。
○佐藤構成員 御説明いただきましてありがとうございました。私からは2点質問がありまして、資料の14ページの上の2つです。
 適用拡大への対応で有効な支援というところで、手続のさらなる簡素化というのがあると思います。私は社会保険労務士なのですが、今後適用の拡大が進んでいくと、労務管理や労働契約の負担というのは非常に大きくなると思っています。今、シフトのお話をされていたときに、契約上は20時間ないけれども、実際は30時間など労働時間が20時間以上になってしまったときには、3か月目から適用などのルールがあると思うのですが、そういったところまで今後対応できそうなのか、実態としてお伺いしたいと思っています。
 2点目は、その下のシミュレーションシステムというのが個人の要件を考慮できるとありますが、保険料についてのシミュレーション、あと、年金受給に関しては公的年金シミュレーターなどのシミュレーションシステムもありますが、そういったものを活用したことがあるのか。もしなければ、どういうシミュレーションシステムをイメージされているのかというところをよろしくお願いいたします。
○清水専務理事 例えば20時間を30時間ということによって手続が云々ということは、逆に、業界としては20時間で制限して短く働くよりも、時間を延ばしてくれたほうがありがたいというのが今の業界の実態かなと思っておりますので、手続云々というのは、この一企業さんの御意見なのかなと思ったりしております。増やしていただくことは歓迎ということでございます。答えになっていますでしょうか。
○佐藤構成員 増やしていけば、手続も簡便になると思うので、手続が煩雑であれば増やしていく方向でということですね。
○清水専務理事 そのほうがありがたいと思っております。
 もう一つのシミュレーションの件でございますけれども、これも知識があまりないような事業者さんの御意見ではないかなと思ったりしておりますので、この辺は協会からも少し啓蒙活動といいますか、そういうことが必要かなと思っております。先日も理事会で年収の壁の勉強会をしっかりして、また、それを機関誌でしっかり伝えていこうかなと予定しております。
○佐藤構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 ほかに会場からはいかがですか。
 それでは、オンラインで五十嵐構成員、お願いします。
○五十嵐構成員 アンケートの9ページでは過去の拡大により悪い影響があったという回答が7社、12ページではさらなる拡大で悪影響が出るとの回答が12社ということです。感覚も含めてで結構ですが、この12と7の差は、どういう規模の会社さんの違いなのか、ということが分かれば教えてください。というのは(影響が出ると答えた企業が多くなったということは)、今回対象となる51人以上の会社がそう答えたのか、あるいは先を見て、もっと規模の小さいところが懸念を持っていると感じているのか、アンケート以外にも肌で感じておられるところでも良いので教えてください。
○清水専務理事 感覚的な物言いでございますが、前回、過去の適用拡大は501名から101名となったということで、21%は比較的少ないなという印象を持ちました。前回、そういう面では対象として101名の企業さんは今回のアンケートでは41%あったのです。今回の適用拡大になるのではないかという企業さんが25%でございますので、ここの辺りが全て悪影響が出るとお答えになったのではないかなという気がいたします。答えになりますでしょうか。
○五十嵐構成員 9ページのほうは対象企業が違うのですか。
○清水専務理事 アンケートを取った企業は同じだったのですけれども、過去の適用拡大が企業に与えた影響はどうでしたかというようなことでございまして、4ページに企業規模が書いてございますので、この企業さんにお答えいただいたということでございます。
○五十嵐構成員 分かりました。ありがとうございました。
○菊池座長 ほかにはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、これで日本惣菜協会様からのヒアリングを終了させていただきます。
 清水様、本日はお時間をお取りいただきまして、誠にありがとうございました。
 続きまして、全国ハイヤー・タクシー連合会様からのヒアリングを行いたいと思います。
 武居様、どうぞよろしくお願いいたします。
○武居副会長兼労務委員長 ただいま御紹介いただきました全国ハイヤー・タクシー連合会の労務委員長・副会長を仰せつかっております武居でございます。簡単に御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、資料でございます。ここにありますTAXI TODAYというのをコピーさせていただいていますが、これが2023年度の私どもの業界の概要図でございます。私ども全国タクシー連合会は全事業者の約92%が加盟している協会でございまして、北海道から沖縄まで、ほとんどの法人タクシー会社が全国ハイヤー・タクシー連合会の協会員と御理解をいただいてよろしいかなと思っております。
 皆さんに説明する中で、今、業界で大変大きな問題として労働者不足ということが社会問題化されています。2024年の御存じのとおり残業規制の中で、社会問題で自動車運送業のドライバー、トラック、バス、タクシー、この3団体につきましては、大変大きな労働者不足ということで、今、トラックについては3年後には3割の品物が運べないというようなことも言われております。バスについても御存じのとおり、ほとんどのエリアで路線が減便ということの中で、大変大きな公共輸送機関としての労働者不足が、逆に申し上げると、タクシーにその分ちゃんとしろという地方自治体の首長さんからの御要望もありまして、今、大変大きな形の中でタクシーに期待をされているわけでございます。
 その実態の中で、このTAXI TODAYという資料をまず見ていただきたいと思っております。これは説明しますと、皆さんに覚えていただきたいのは、今、全国で101の運賃ブロックの地域があるというのを頭に入れていただいて、現状として、101か所のうち100か所が運賃申請を行いまして、96か所が運賃認可になっているという状況の中で、何とか労働条件を上げて労働者を集めているというのが我々業界の実態でございます。
 ただ、社会保険の適用拡大について、先般の厚労省の説明でも御説明させていただいたのですが、今、大きく問題になっているのは御存じのとおり、このコロナの状態で、高齢者と言われているドライバーを中心に約2割のドライバーが離職したということです。平均年齢、地方に行きますと約64歳でございます。東京は現状として54歳でございます。皆さんが東京でアプリでタクシーを呼んでも大変若い運転士さんが増えてきたと感じていると思いますし、女性のドライバーも増えたということで、今、東京の都市部を中心に高齢者から若い人に移行しているのが実態なのですが、コロナといわれている現状の中で、高齢者ということで、とてもではないけれども、怖くて運転ができないということで、19ページから、私どもでアンケートを取りました実態について御説明をさせていただきたいと思っております。
 19ページを見ていただきたいのですが、定時制乗務員数と新卒者乗務員採用状況ということで、令和5年の3月にアンケートを取った実態調査がございます。これについて少し説明をさせていただきたいと思っております。
 定時制乗務員というのは、私どもでいう短時間労働者のことでございまして、20時間未満の者でも、私どものドライバーというのは、現状として二種免という免許が必要でございます。御存じのとおり、道路交通法の改正により、免許を取って1年、19歳から二種免を取れるのですけれども、少なくても定時制といわれている乗務員は、私の業界では普通のアルバイトという感覚ではございません。二種免が必要でございますから、当然元タクシーのドライバー、もしくは正社員から年金をもらうことによって、年金をもらいながら20時間未満に抑えるというドライバーのことを私どもでは定時制乗務員と言わせていただいております。
 つまり、ほとんどの私どもの短時間労働者というのは、タクシーの経験のあるドライバーと理解をしていただきたいと思っております。というのは、地方では営業区域も大変狭いのですけれども、二種免というのは大変大きなお金がかかります。当然、ほとんどの会社は会社負担で免許を取らせますから、免許を取らせて登録をして、社員教育をして、その間給料を払う、そして、短時間労働者として雇うということになると、とても合わないということで、ほとんどの定時制乗務員は正社員が年金をもらうようになって短時間労働者に切り換えていくと理解をしていただきたいということでございます。
 現状として、コロナで約20%の定時制を含めたドライバーがいなくなりました。30万人いたドライバーが今は24万人しか全国でおりません。その中で、4月1日から私ども自動車運送業としての残業の上限規制が適用になりますので、そこで今、大きな公共輸送機関としての社会問題が国会でもいろいろ議論されているわけでございます。
 その中で、今私どもは新しい労働者の確保として、正社員として外国人労働者を採用しようということで、特定技能1号ということを私ども運輸業としては希望をしております。
 現状の中で、私どもは今申し上げたとおり、101の運賃ブロックのうち96のブロックで運賃の値上げが認可になりまして、現状とすると、タクシーのドライバーが2割いなくて運賃が上がったわけですから、1人のドライバーの生産性は大変大きく、賃金の増加になっております。東京では、正直に申し上げて60万以下の運転手さんはほとんど正社員ではいないぐらいの運賃になっております。これが今の実態でございます。
 残念ながら今申し上げたとおり、二種免を持って労働者を確保するという状態にはなっていない中で、高齢者に残念ながら辞めないでいただいて、何とか会社は車を動かしているという実態がある中で、今、タクシー不足という大きな問題が出てきた中で、ライドシェアという問題があり、国土交通省は自家用車の活用事業ということで新しい制度を運用しようということで、3月9日にパブコメが終わりました。現行の法律の下に、自家用自動車活用事業として、自家用有償運送、簡単に申し上げますと、一般の人が自家用を持ち込んでいただいて、一種免で、流し営業はしなく、事前確定運賃の下で料金を収受しながら新しい運送をする制度が、私どもは4月の上旬からスタートする予定になっております。
 今回指定されましたのは、東京、横浜、横須賀、京都、名古屋、この4地区でございまして、これが4月の上旬から自家用活用事業ということで、一種免で流しはしないで、発地から目的地まできちんと決まった形のお客様のみ、事業者の責任において主に20時間未満の短期労働者を活用した採用における一般の自家用自動車を活用した事業、もしくはタクシーの遊休車両、余っているタクシーを変化させた自家用有償運送として登録した車、これを新しい制度の中で、雇用をきちんとした中で安心安全を担保して、20時間未満の中でタクシー不足を解消しようということで、いよいよ4月の初めからスタートいたします。
 これをあえて皆さんの前でお話しさせていただいたのは、私どもは全国タクシー連合会として、雇用をしなければ安心安全は担保できない。少なくともギグワーカーをして我々ドライバーがせっかく何とか今賃金が上がってきて、タクシードライバーも少しずつ集まってきた中でワーキングプア化するわけにいかないのだという一つの議論の下で、採用を基に20時間未満の社会保険をかけない短時間労働者を自家用有償運送のドライバーとして採用していうことです。
 現状としては、この部分の中で社会保険が適用拡大になってしまうと、この制度すらも今後、危うくなる。初めは2年許可でございますが、タクシー不足というものが続いている限り、タクシーが足りない地域を指定した中で、一種免における一般の自家用自動車を利用した新しい事業が続くということでございます。
 その中には、20時間というのが今後大きな問題として、ある意味では我々事業にとってはタクシー不足を解消するための大きな手段でございます。当然タクシーのドライバーがいっぱい入ってくるようになってくれればよいのですが、コロナ前に比較してまだ残念ながら80%しか集まっておりません。これが100%集まるには少し時間がかかるのかなという流れの中で、新しい事業をスタートさせてもらうわけでございます。
 この社会保険の拡大というのは、前回のときには、まだこの制度が決定していませんでしたから、一切この話はしませんでした。しかし、これはもう決定し、4月の上旬からスタートするわけでございますので、あと10日ぐらいで、新しい車で、ある意味ではライトシェアといわれる、日本版といわれる部分をスタートすると御理解いただきたい。それは雇用における20時間未満を適用したドライバーを一種免で適用すると御理解をいただきたいということでございます。
 そういう意味において、私どもは一般の部分においても二種免における採用、つまり流し、駅待ちを含めた二種免のドライバーにおける部分については、いまだに地方では年金をもらいながらやっている定時制といわれているドライバーに委託している部分が一向に減っていないという実態と、都心部においては、そういった自家用有償運送事業といわれている新しい制度で、タクシー不足といわれている部分について、お客様の不満を解消していこうという二本立て、なおかつインバウンドといわれる京都を中心にした観光における部分についての新しい部分においては、今後いろいろな部分で国土交通省と制度についての緩和という部分については話し合っていくのではないかなと考えている次第でございます。
 実態の中で、資料に基づいて話したわけではないのですが、私どもにおいては社会保険の拡大というのは、これだけ今後大きく影響してくるということを、ぜひ皆さんに御理解をいただくためにお話をさせていただきました。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいた内容に関しまして、皆様から御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 佐保構成員、お願いします。
○佐保構成員 御説明ありがとうございました。
 1点お伺いしたいのですが、私も立場上この質問をするのはどうなのかと思いましたが、今言われたいわゆるライドシェアについてです。ライドシェアを行う事業所で働く短期労働者の労働時間について、20時間未満と限られているのか、という質問です。
○武居副会長兼労務委員長 20時間未満というのは、今回の日本版ライドシェアでの話です。というのは、あくまでも国土交通省の作られる制度の中で、今、アプリといわれる配車は御存じのとおり、東京都内を含めて全国では主に4つのアプリ、GO、S.RIDE、UBER、DiDiというアプリでございます。全国のアプリの95%以上はこの4つのアプリでございます。これで皆さんは地方に行ってもアプリ配車をこの4つのどこかから適用して、車を呼んだりしているはずでございます。もちろんアプリができない地域はございます。田舎の過疎地といわれている部分はありません。
 しかし、ほとんどの部分の中でそのアプリデータでもって、今申し上げたとおり、タクシーが不足した部分で運用されるわけございますから、現状のドライバーに影響のある部分、つまり、正社員であれば当然のことながら、正社員ならば別に短時間労働者ではありませんから二種免を取っていただくという形になるので、あくまでも一種免の部分で、タクシーの不足した部分のエリアだけ、時間帯だけということになります。
 例えば東京でいいますと、朝の7時から10時まで、東京23区全部、それと金曜日の昼間4時間、そして、夜の4時間というのは、1回のパートで4時間というのは国土交通省のほうで指定をされております。つまり、4時間をやっていただいた中でということになりますと、私どもとすると本社員の部分に影響が出ない短時間労働者を雇用することになると、当然のことながら、自家用の持ち込みという方はほとんどの企業、例えば自営業をやっている方、もしくは一流企業に勤めている方が自分の車を持って、その時間帯でアルバイトをするということになりますと、当然20時間未満の社会保険の適用外にしておかないと、一般の仕事で当然社会保険をかけているわけでございますので、そういう概念で20時間未満という形を採ると考えています。
 これはまだ4地域でしか指定されていないものですから、これから多分いろいろな地域で、北海道から沖縄まで全地域で指定をされていくと思いますので、そういう部分の中で全国ハイヤー・タクシー連合会としては雇用という部分をきちんと確保した中でやっていきたいと考えていますので、ぜひ御理解いただきたいということです。
○菊池座長 佐保構成員、どうぞ。
○佐保構成員 お話としては承っておきつつ、個人的にそのような時間制限を聞いてなかったため、あくまでもそういうお考えということで伺っておきたいと思います。
○武居副会長兼労務委員長 もちろん各事業者によって、4時間、4時間、4時間、4時間で全部やっても、どう考えても全部アルバイトでやっても20時間を超えるという時間帯は指定されていないので、指定されている時間しか営業できませんから、それを足しても、ある意味では20時間を超えないという理論の下にやっているというのが私どもの今の考え方でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 五十嵐構成員、お願いします。
○五十嵐構成員 大変基本的なところなのですけれども、タクシーの運転手さんの給料の決め方というのは固定給なのでしょうか。それとも、それにプラスして出来高払いみたいなものもあるのでしょうか。それによって月幾らという契約ができるものなのでしょうか。
○武居副会長兼労務委員長 タクシーは御存じのとおり出来高払い給といわれている賃金でございます。基本的には今、各事業者で当然のことながら賃金は労働契約になると思います。私どもは賃金については、はっきり申し上げて、全タク連としてはどうしよう、こうしようというのは言いませんが、少なくとも基本的には歩合になると思っております。もしくは最低賃金プラスアルファ歩合給という形でやる事業者も増えるのではないかなと考えています。少なくとも雇用契約ですので、最低賃金は最低でも歩合給に関係なくお支払いすることになると思います。
○五十嵐構成員 その場合、いわゆる106万の壁といわれている部分は、月8.8万円以下の契約であれば該当しないのですけれども、ひと月いくらという契約はできないような気がするのです。もし、契約がそのような形でないならば、今後、適用拡大によって制度が変わっても関係あるのか、ないのかというところはどうなのでしょうか。
○武居副会長兼労務委員長 現状として、今の乗務員構成というのは約15~20%、エリアによって違うのですけれども、現状として二種免においても20時間未満という形で定時制乗務員として雇用契約を結んでいます。簡単に申し上げると、シフトを組んで、20時間未満にして、出番表を交付しなくてはいけませんから、やっております。
 今回の日本版ライドシェアといわれる自家用有償運送は、指定した時間の曜日を指定ではなくて、好きな曜日に出ていただくということになりますので、少なくとも1日幾らという形になると、普通の雇用契約であって、なおかつ20時間未満の形で雇用契約を結んで、曜日の指定の中で好きな時間帯に出るような形になるのかなと思っています。
 当然年収なり社会保険なりというのを超えてしまいますと、会社としては社会保険の適用ということになりますので、法律にのっとってお互いが払っていくということになると思います。ただ、あまりメリットがないので、多分、今回の日本版ライドシェアのドライバーとして雇用される方は、変な話ですけれども、先ほど言ったパートの方の面接が今非常に増えてきているのです。それはなぜかというと、産業が違うと労働時間の合算にならないという部分が、もしかすると出てきてしまうかもしれません。きちんと申告をさせるのですけれども、例えば私はアルバイトで何時間やっています、あと何時間分だけドライバーをやらせてくださいという面接の方は1人もいらっしゃらないので、そこまできちんと管理ができないという欠点は若干あるのかなと思っています。正直なところです。
○五十嵐構成員 分かりました。ありがとうございました。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、これで全国ハイヤー・タクシー連合会様からのヒアリングを終了させていただきます。
 武居様、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
 最後に、UAゼンセン様からのヒアリングを行いたいと思います。
 松井様、どうぞよろしくお願いいたします。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 UAゼンセンの松井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の2ページ、UAゼンセンの現在の組合員数が出ています。UAゼンセンは製造産業部門、流通部門、総合サービス部門と、名前のとおり産業ということなのですが、多様な産業に組合員がおり、一番右、計の数字が全体の人数ですが、185万人の組合員が現在いまして、うち111万人がいわゆる短時間組合員と言っていますが、フルタイムではない方になります。
 3ページに短時間組合員の属性が出ております。多様な方がいらっしゃるのですが、平均を取るとこのような形でございます。平均勤続年数は10年弱になりますので、長く勤めていらっしゃる方が多いということでございます。労働時間についても記載のとおりですが、こちらも平均の数字になります。ただ、全体としては週35時間以上働いている方が半数以上を占めているということなので、長い時間働いている方が多いということでございます。
 4ページ、UAゼンセンが2022年に行った意識調査です。短時間組合員として働く理由は記載のように、短時間で働くことのメリットを感じて勤めていらっしゃる方が多いということでございます。それから、既婚女性で夫が正社員の場合は年収調整しているという方が36.7%いるということになります。
 2023年6月に調査したものがございまして、サンプル数が少ないので今日は載せていないのですが、参考までに、UAゼンセンの組合員でいうと多くは既に第2号被保険者になっているということでございます。それは、より短時間の方は組合に組織されていない場合もあるからということなのですが、この間の適用拡大が進んだということも多くあるかと思います。
 それで、先ほど来の議論を聞いていて、少し参考になればですが、111万人の短時間組合員の一番大きなボリュームを占めているのは、女性の既婚者ということになるのですが、女性の既婚者でいうと第3号の方が3割弱いて、就業調整されている方も3割ぐらいになるということです。
 一方で、それ以外の属性の方、女性で独身の方とか、一人親の方、それから、パートの男性の方というのは第2号被保険者が8割ぐらいになりますので非常に多いですし、就業調整をしている方は1割未満になります。そういう方に聞くと、第2号になりたいと言っている方が半数以上います。当たり前のことですが、属性によって随分意識は違うということになります。ちなみにパートタイマーの既婚者の方で第3号が多いわけですが、パートの既婚者の方の世帯収入は600万ぐらいありますので、そういう実態を踏まえて、自らの働き方を決めていらっしゃるのだろうと思っております。
 5ページ、適用拡大は2016年から始まったわけですが、労働組合としてもきちんと法律にもとづき適用されるよう、また、なるべく望む働き方ができるよう啓発活動を行っています。先ほど申し述べたように、短時間組合員の特に既婚女性の方は、第3号被保険者のままでよく、就業調整するという方もいるのですが、就業調整をした結果、特に20時間未満に調整した場合、雇用保険の適用外にもなってしまいますので、そのことの影響はあまり知らなかったみたいなことも声としては出ています。
 6ページ、要件に関する課題です。1つ目は他の方もおっしゃっていましたが、制度が複雑ということもあって、特に月額8.8万は年収換算106万円ぐらいになりますが、その場合、税金の103万や住民税など、その辺りに金額が接近していますので、そこの理解が難しいということがあると思います。
 それから、企業規模により社会保険の適用が変わることについて、転職により年金の適用が変わることは労働者から見ると非常に不合理なことではないかと思っております。年金制度の趣旨を考えますと、労働者本人の要件ではなく、企業規模要件をいつまでも設けていることは、憲法14条の法の下の平等の観点からも問題であると認識しております。
 また、企業に対して社会保険料の負担をしないで雇用したいというインセンティブを与えてしまっています。ここ最近は人手不足なので、企業側からこういった声は聞かれないのですが、今後、雇用管理のソフトみたいなものがさらに進化し、細切れの短時間労働が進んでしまう恐れもありますので、こういったことは対応していく必要があると考えております。
 7ページ、ヒアリングの項目にあった現在の個人事業所の適用範囲に関する課題に関しては、先ほど述べたとおり、ある意味で大昔の制度をそのまま引きずっていて、働いている労働者からすれば、雇用主が個人事業主であろうが法人であろうが関係ないことだと思いますので、この問題は早く解消する必要があると思います。いわゆる事務処理能力等が過去に問題になったとは思いますが、現代では、もはやそういったことは考慮要素にはならないと思いますので、速やかな適用が必要だと思っております。
 それから、さらなる適用拡大が行われる場合の影響見込みということですが、企業規模の要件の拡大については、これまで二度にわたって行ってきましたので、そのときと同じような影響ではないかと思っております。
 それから、法定最賃が引き上がってきており、時給1,100円を超えれば週20時間で月額8.8万円になりますので、その時点で労働時間要件を週20時間のままにしておけば、今度は106万円の壁から、週20時間の壁が生じてくるのではないかと思っております。法定最賃が時給1,350円を超えれば、今度は週20時間で年収130万円を超えますので、それ以降は、週20時間未満に就業調整する方が一定出てくるのではないかと思っております。
 それから、賃金要件については先ほども少し御意見が出ていましたが、週10時間程度で賃金要件を超えるような水準になれば、就業調整は大幅に減少するのではないかと思われます。その際、第1号被保険者の保険料と給付とのバランスの問題は考えなくてはならないと思っております。
 8ページ、有効と考えられる取組・支援です。これは組合員、組合役員、労使双方から非常に大きな声が出ているのですが、働き方に中立な制度となるように将来ビジョンを早く示してほしいということをよく言われます。それから、適用拡大のスケジュールを早期に示すことが重要だと思っております。計画的に対応を進めていくことが必要かと思います。例えば法定最賃の引き上げに合わせて労働時間要件を拡大していくことは考えられると思いますが、政府が今目標とする時給1,500円を2030年代の早期に実現したいと先週に首相もおっしゃっていましたが、そうなれば週15時間で賃金要件を超えますので、その辺を見定めたスケジュールを早く示していたいただくことが有効かと考えられます。
 そのうえで、法定最賃の引き上げ、これをさらにスピード感を持って行っていくということだと思います。
 そして、厚生年金保険と健康保険それぞれの必要性と合理性を区分けして組合員に説明をしていかないとなかなか理解が進まないため、厚生年金保険を適用拡大した場合と健康保険を適用拡大した場合、それぞれの必要性・合理性をしっかりと明示していただきたいと思います。
 それから、キャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースについて、私たちUAゼンセンとしても力を入れて取り組んでいるところですが、既に小売業の最大手、それから、外食産業の最大手の企業もこれを導入して加入促進に取り組んでいるところでございますので、その取組をさらに広げていきたいと思っております。現在、厚生労働省のホームページでも事例等を載せていただいておりますが、ぜひ幅広く事例を収集していただいて、これらの事例を活用していただきたいということでございます。
 今回の助成金を活用するに当たって、改めて企業と従業員が面談をすることになりますが、組合員本人も、なぜ就業調整しているのか、しっかりと理解したうえでそういう行動を取っていない場合も多いので、きちんと会社が説明すれば、「であれば、労働時間を伸ばしましょう」とおっしゃっていただける方もそれなりの数がいらっしゃると聞いています。ぜひそういったことを参考にしていったらいいのではないかと思います。
 9ページ、多様な働き方を行う労働者の問題です。こちらは兼業・副業の問題ですが、UAゼンセンの短時間組合員には一定数、実態については数字がないのですが、複数の会社で働いている方がいらっしゃるという声はよく聞きます。UAゼンセンには1万2000人以上の外国籍の組合員の方がいらっしゃるのですが、そのうち外食産業で働く方に聞いたところでは、3割程度の方が複数の勤務先で働いているという回答をしておりました。これは外国籍の様々な在留資格の問題等があって、それが影響しているのですが、一定程度の方がいらっしゃるということでございます。
 それから、働き方の多様化による、いわゆるフリーランス等の問題です。
 複数の事業所それぞれでの社会保険の適用状況により、労働者本人の社会保険適用や保険料が異なるというのは課題ではないかと思います。
 それから、フリーランスの一部などでも、フリーランス新法が今年施行されますけれども、あの法律に該当するような方は被用者保険の適用を考えたほうがいいのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、皆様から御質問がございましたらお願いいたします。
 海老原構成員、お願いします。
○海老原構成員 非常にスマートなお話をありがとうございました。
 1点聞きたいのは、年収調整している人でも時給を上げてほしいという人が過半数、それから、ボーナスが欲しいという人が3割、これは後ほどのシミュレーションと同じ話になるのですけれども、上げた場合、その分短時間で帰ることになるのですか。それともこれだけもらうのだったら長く働いてもいいとなるのですか。こちらはどちらなのですか。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 賃金や一時金だけに関して言えば、あまり就業調整には影響がないと思います。上げたことによって短くする方は短くするでしょうし、上げたから延ばすということには一概につながらないのではないかと思います。
 ただ、これはよく誤解されて私も質問を受けることがあるのですが、時間単価が上がること自体は労働者本人にとっては非常にメリットのあることですので、賃金を上げてほしいと思っていますし、それは働きに見合った仕事という意味で、例えばいわゆる正社員の方との賃金格差があることも影響しているのだと思います。特に一時金は、正社員は一時金があるのにパートタイマーにはないということになると、年収調整云々の問題以外に、そもそもどうしてという疑問が組合員にはあるということだと思います。
○海老原構成員 ありがとうございます。
 1つだけつけ加えさせてください。年収の壁を超えて130万で1度手取りが下がり、百四十数万円で抜くではないですか。つまり、一気に賃上げや助成で百四十数万まで上げてしまえば、それは働き損にならないわけではないですか。そこまで飛び越えて年収アップしてしまうならば、労働時間調整をしない人が多いか、多くないか、その辺を聞きたいです。労働側にとっては、働いている時間は変わらないのに実質手取りが増えるということになると思うのです。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 現状でいうと、労働時間要件のほうがあるので、どうなのでしょう。シミュレーションがすぐにできず、申し訳ございません。
○海老原構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 ほかにいかがでしょうか。
 嵩構成員、お願いします。
○嵩構成員 御説明と課題の御指摘、どうもありがとうございました。私からは2点質問です。
 まず、106万円と130万円の基準というか、壁の問題がありますけれども、先ほどから制度が複雑だとかいう話があります。この2つの年収の要件について、判断する収入の範囲が違うということについて、組合員の方々はどのくらい認識されていらっしゃるのかという実態をお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目は8ページに御指摘がありまして、厚生年金保険と健康保険それぞれについて、その必要性と合理性を整理して対象者に丁寧に説明していくことが必要だということで、そのとおりだなと思っています。年齢などの属性かによって大きく違うのかもしれないのですけれども、組合員の方々は厚生年金と健康保険でそれぞれどういったメリットを感じられているのか、あるいは感じていないのかとか、その辺の実態を御存じだったら教えていただきたく存じます。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 恐縮ですが、1点目の御質問をもう一度お願いできますか。
○嵩構成員 1点目は、106万円と130万円の年収をカウントする範囲の違いについてです。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 年収の幅というか、どこまで含めるかということが違うということについてと思うのですが、根拠はないのですが、ほぼ全く理解されていないのではないかと思っております。
 2つ目の厚生年金保険と健康保険で申しますと、健康保険については正直、本人が被保険者であっても被扶養者であっても窓口で払う割合は全く変わらないので、傷病手当金や出産時の給付があるといっても、組合員にはほとんどメリットとして感じられないと思います。
 一方、年金は終身ですので、少しでもかけてそれが増えれば、これからますます長寿化が進んでいく中で終身年金としてもらえる金額が非常に大事になりますので、そのことをしっかり説明すれば組合員の方も分かるでしょうし、いわゆる熟年離婚みたいなことも非常に多いので、そういうことを説明すれば、皆さんにそうかと感じていただけるかと思います。我々としては、両方一緒くたに御説明してメリットがありますという説明だと、本人にはなかなか響かないのではないのかと感じているところです。
 以上でございます。
○嵩構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。
 松浦構成員、お願いします。
○松浦構成員 貴重なお話をありがとうございました。
 1点だけ、資料の5ページに、2016年の適用拡大の際に、適用となったら短時間組合員が増えたという記述がございます。UAゼンセンさんの組合員について、2016年に適用拡大の対象になった方々を分母としたときに、どれぐらいの人たちが社保適用を選択し、どれぐらいの人たちが就業調整を選択したのか、大体でも結構なのですけれども、実態を把握されている範囲で教えていただければと思います。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 その点に関しては把握できていません。申し訳ありません。
○松浦構成員 分かりました。ありがとうございます。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。
 酒向構成員、お願いします。
○酒向構成員 7ページ目の最後の矢じりの「第1号被保険者とのバランスの問題が生じる」という下りのところです。この問題提起について、生じるから例えばどうすべきであるというような何かお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。いかがでしょうか。
○松井労働条件局長兼政策サポートセンター長 具体的には考えが思いつかないのですが、週10時間程度で賃金要件を超えるところまでいけば、恐らく現在第1号被保険者の方も週10時間ぐらいは雇用されて働こうという方向に向かうのではないかと思います。それがいいことなのか、悪いことなのかも分かりませんが、そういうことも含めて検討する必要があるということでございます。
○酒向構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、これでUAゼンセン様からのヒアリングを終了させていただきます。
 松井様、本日はありがとうございました。
 以上をもちまして、本日のヒアリングは全て終了いたしました。
 全体を通して何か追加で御質問がおありの方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 それでは、本日の議事は以上で終了とさせていただきます。
 本日のヒアリングに御出席いただいた皆様におかれましては貴重な御意見を賜り、重ねて御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
 それでは、今後の予定につきまして、事務局からお願いします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 次回も引き続き関係団体の皆様方からのヒアリングを行う予定です。日程につきましては追って御連絡さしあげます。
 本日は、誠にありがとうございました。
○菊池座長 これをもちまして、第3回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を終了いたします。
 本日は、御多忙の折お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。