第2回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会(議事録)

日時

令和6年3月7日(火)14:00~16:00

場所

東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 3階 第2会議室

出席者

会場出席委員
オンライン出席委員

議題

1.関係団体からのヒアリング1

  • 一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会
  • 特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ
  • 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

議事

議事内容

○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中で御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まず、構成員の出欠状況を御報告いたします。
 酒向構成員、佐保構成員、永井構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、嵩構成員、松原構成員はオンラインでの御参加となっております。
 御欠席の酒向構成員の代理として日本経済団体連合会の清家様、佐保構成員の代理として日本労働組合総連合会の本多様に御出席をいただいております。
 清家様、本多様の御出席につきまして、懇談会の御承認をいただければと思いますが、皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 ありがとうございます。
 なお、清家様につきましてはオンラインでの御参加となっております。
 続きまして、資料の確認です。
 本日の資料は、ヒアリングに御対応いただく各団体より御提出をいただいた資料を御用意しております。傍聴の皆様におかれましては、厚労省のホームページから資料を御覧ください。
 最後に、オンラインで参加されている構成員の皆様におかれましては、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。また、御発言の終了後はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
 以降の進行は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 皆さん、こんにちは。大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 カメラの方はおられないですね。よろしいですね。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日は関係団体様からのヒアリングの第1回目でございます。
 本日、ヒアリングをお願いいたしましたのは『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、以上の3団体様でございます。
 それでは、各団体から御出席いただいております皆様を御紹介申し上げます。
 全国介護事業者協議会より、田尻様、板井様、山越様。
 しんぐるまざあず・ふぉーらむより、赤石様。
 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会より、平田様。
 以上の皆様にお越しいただいております。本日は大変お忙しい中、ヒアリングに御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 これより、御出席いただいた皆様から、労働者の就労の実態、被用者保険の適用拡大の影響や課題、働き方の多様化が進展することに伴う課題、今後の制度見直しに関する御意見、御要望といった内容につきまして、1団体様につき20分程度お話しいただければ幸いでございます。その後、お話しいただいた内容につきまして質疑応答の時間をやはり1団体様につき10分程度取りたいと考えております。限られた時間で恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず全国介護事業者協議会様からのヒアリングを行いたいと思います。
 田尻様、板井様、山越様、どうぞよろしくお願いいたします。
○山越理事・事務局長 私、全国介護事業者協議会事務局長の山越と申します。よろしくお願いいたします。
 まず私のほうから、介護業界の労働者の就労の実態についてというお話。ごめんなさい、その前に、まず当協議会の概要、資料にはないのですけれども、説明させていただければと思うのですが、まず我々、名前にあるとおり、民間事業者の質を高めるとあるとおり、基本的には民間の介護事業者の業界団体でございます。ですので、社福さん等の介護の会員さんというのはちょっと少ないというのが現状でございますので、今回のヒアリングについては、まず民間企業が主となるというような御認識でいただければと思いますので、また、社福の場合はちょっと事情が異なるかなというところがございますので、そちらのほうだけ御了承いただければと思います。
 当協議会が全国に約650社程度の会員がおります。そちらのほぼが民間の事業者でございます。主に施設系というよりも在宅系の会員さんが非常に多い団体でございますので、また介護、かなり業種がいろいろあるのですけれども、民間でさらに在宅系に強い団体というような認識でいただければと思いますので、本日の内容も在宅に寄った内容になると思いますので、そちらも含めて御承知おきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、まず最初に、介護労働者の就労の実態についてということで、こちら、公益財団法人の介護労働安定センターというものが毎年、介護労働実態調査というものを行っておりますので、こちらを基に実態のほうのお話をさせていただきます。
 まず、従業員数についてなのですけれども、全体で19名以下が27.8%、20名以上49名以下が18%と約45.8%の法人が50名未満の法人となっております。
 さらに、その中でも訪問系、施設系、居宅介護支援では、19名以下がそれぞれ36.6%、29.1%、64.5%で最も高くなっておりまして、施設系は100名以下、居住系は500名以上が最も高く、それぞれ42.0%、25.4%になっているとなっております。
 法人種別で見ると、民間の企業の66.3%が50名以下の法人となっているとなっております。
 こちら、見方の補足をしますと、前段にある訪問系、施設系、居宅介護支援というのがほぼ民間で運営しているような会社になります。施設系が社会福祉法人が運営するような事業になっておりますので、民間の本当に中小企業の割合が非常に多いというようなデータとなっております。
 続きまして、1週間の所定労働時間自体が35時間以上が60%、20時間以上35時間未満が14.2%、20時間未満が15.5%となっています。
 職種別で見ると訪問介護職員は35時間以上が37.1%、20時間未満が33.8%。介護職員は35時間以上が64%、20時間未満が10.8%となっております。
 こちらの細かい補足をしますと、訪問介護は、まさに読んで字のごとくヘルパーさんですね。こちら、20時間以上が多いというようになっております原因というか要因としましては、家政婦紹介とかからの流れで訪問介護事業所をやっている事業所さんが非常にまだ多く残っておりまして、なので、登録ヘルパーといった形で非常勤ですよね。働いているヘルパーさんというものがまだまだ多いというようなところで、そちらが正規雇用に至ってないというケースがやはり多いので、訪問介護はどうしても短時間労働者が多いというのが現状でございます。こちらの介護職員というのは施設で働いていたりする職員ですので、当然、人員配置基準等ございますので、35時間以上働いているという職員が多いというようなイメージですね。
 続きまして、短時間労働者の雇用・就労を取り巻く環境変化ということで、まず介護業界はニュースでも取り沙汰された求人倍率が16%と非常に高いところで、人材不足が16倍というのが訪問介護なのですけれども、ただ、全体として非常に高い水準で求人倍率、推移しております。こちら、データとして特に訪問介護においては83.5%の事業所が人材が足りないと回答しております。実際、私、渋谷区でも事業をやっておりますけれども、ヘルパーが見つけられないので、ほかのサービスでちょっとどうにかできないかというような相談をケアマネさんからいただくケース、非常に多いです。
 あと給与については、業界としてもデータで出ています全体の平均賃金との格差がまだ依然として残っております。今年の改定でも処遇改善のほうを実施していただいておりますが、それでもまだ周辺の平均賃金には追いつかず、やはり介護の人材が他の業種のほうに流出してしまっているという現状が続いております。
 また、都内では最低賃金というようなところはなかなか少ないかもしれないですけれども、地方部ではいまだに最低賃金で人員を雇っているというのは求人が少なくございません。ですので、やはり求人が来ないというのも現状、来ております。あと訪問介護事業所も倒産件数、過去最多を更新しておりますので、やはり非常に厳しいというのが現状、人材も含めて業界として厳しいというようなところでございます。今年の報酬改定も訪問介護はマイナス改定を受けており、他の業種に比べてもかなり厳しい状況が続いていると言わざるを得ないという状況でございます。なので、そのような状態ですので、お給料が出せないのでどんどん人が集まらないという悪循環が今、続いているような状況ですので、そういった状況が雇用の法人であったりとか働いている方を取り巻く環境となっております。
 私からは以上でございます。
○板井理事 では、続きまして、2番目、被用者保険の適用拡大の影響・課題についてという点につきまして、私、板井のほうからお話をさせていただきたいと思います。
 私、東京の品川を中心に現状、個社で申し上げますと大体70名ぐらいが保険対象になっているということでございまして、先般の100人というところにおいてはその影響という点ではなくスルーしていたところでございますが、次回、今年、50人というところにおきましては影響というか、その対象になるものが一定数、出てくるということだと思います。
 なので、個社としての過去の適用拡大の影響というのはないのですが、一般論的なお話としては、東京に関して申し上げますと、最賃が1,113円ですから、週20時間というのは即8万8000円になるという状況だということで、手取り重視されている方というのは勤務時間の調整をすることになるということになります。
 企業としては、それに伴った労働時間の抑制を求められますので、労働量の減少に加えて、そもそも在宅介護ですとサービスの調整というところの手間を要することになる。代わりに人で成り立っているところですから、効率性とかというわけにはいきませんので代替が利かない場合はもう純粋にサービスを停止せざるを得ないということで売上げの減少につながるという状況でございます。
 在宅の場合は資格というものがサービスする上で必須となっておりますので、迅速な補充はもちろんなのですが、そもそも先ほどもお話があったように有効求人倍率の状況においては、採用自体がうまくいくこともなかなか容易ではないので、業容の縮小につながっていくというような循環に陥るのかなというように考えています。
 現在の短時間労働者の適用に関する課題としてですが、そもそも社会保険の適用自体というのは従事者、従業員の将来の話のために決して悪いものではないはずであります。経営者にとっても、本来、これは従業員の安心を考えるというのは本分であります。従業員にとっても折半で出し合うという中では、その半分を法人が拠出するということに対して感謝をしながら共に将来の安心というものを考えていくということが重要だろうというそもそものところ。しかしながら、現状、それが何かネガティブなように捉まえてしまう風潮というのが経営者、従事者ともにあるのかなというように思っていまして、やはりそこのマインドセットを変えることが非常に重要なのではないかなというように考えております。
 いわゆる社会保険料を負担という言葉で表現されることが多いですが、負担という言葉自体というよりは、その負担ということの意味合いがネガティブな意味として使われているということですね。先般も介護報酬が改定になるに当たり1.59%プラスということなのですが、これを負担という捉まえ方をされてしまう場合があって、本来、それはちょっと違うなと思ったりします。
 本来、「負担」という言葉は「背負わされるもの」ではなく、言い換えたら「責任」という言葉になるのだと。すなわち、お互いさまに支え合う責任というのを個人並びに法人ともに担っているという解釈に至るということを本当にしていかなければ、いろいろな施策を打っても小手先なやり方の議論になってしまうと、なかなかイメージをポジティブなものとして捉え直すことに至れないのではないかなということを大変危惧しているところです。
 さらなる適用拡大が行われる場合の見込みは、先ほど申し上げたことと同様でございまして、手取り重視の方は勤務調整、それから、労働量が減って調整の手間はもちろん増える。代替が利かない売上げ減少ということですね。採用も必要になりますので、採用コストが増大するというようなことだと思います。
 今回、今年は50人ということになりますから小企業体に影響することになるのですが、まさに在宅サービスはそんな大所帯でないところがほとんどでございますので、恐らく対象になるところが弊社も含め、前回の100人よりは当然出てくるのだろうと思いますが、小企業体がゆえに、今、申し上げたようなフローを実務として確実に回すことすらなかなか難しいというところが予想されるので、適切な事務処理が、そもそも法律にのっとった手続をちゃんとできるのかどうかですね。完遂できなければ時に違法な状態になるでしょうし、場合によってはもうやっていられませんということで閉業していくということは現状においてはあり得るのかなというように考えております。
 その上での支援というところなのですけれども、本当に簡単な話ではないのは重々承知ですが、やはりシンプルな仕組みにするというのが何より特に中小企業体においては支援だというように思っています。複雑な仕組みであればあるほど、やはり考えなければいけませんし、専門家に頼るということで、そこにさらにコストがかかってきますので、結果的には中小企業体がより難しくなるということなのだと思います。
 例えばいわゆる100万とか130万、「●●の壁」というようなことができない、出てこないように、労働時間とか企業規模を問わず、もう全ての就労者に対して一律に課す。もう働く者、雇用する者、全てが責任、自分たちでみんなでちゃんとつくっていくのだということにもう一回立ち返らないといけないのではないかな。それが実はシンプルで一番余計なことを考えなくて済むというように思いますので、それが手間や何やら減らす支援ではないかなというように感じております。
 あわせて、税制も働く必要性がないという書き方は語弊があるかもしれませんが、各種優遇措置なんかもいろいろな仕組みが複雑化しますから廃し、分かりやすい体系にしていただきたいなというように思っております。
 また、昨今言われているDX等において、事務コストの削減。もう申請とかそういうのも必要ないような状況、そういうことが本当にありがたいな。補助金なんかもそういったものに対する支援補助金というよりは、そもそもそういう補助金を出さなくてもいいような状況こそ手間がかからなくていいと思いますし、それこそ、介護保険であれば国保連等々のやり取りをしている中で情報が集約されて自動的にそういったことがデータ化され、適用する、しないみたいなところにまで行くような形になれば、中小企業体も安心して従事、事業を継続していけるのではないかなというように考えています。
 結果としては、面倒な手間を省くことでコスト削減。例えば士業さんへの事務手続の料金なんかをお支払いする必要はない。これは実際、私も弊社の顧問の労務士さんとお話しした際に、決して事務手続で稼ぎたいという思いではなくて、本来、コンサルティングな前を向いた仕事をもっと本当はしたいと。ひたすらに手続を代行するだけで稼ごうとは思ってないというようなことをおっしゃってもいましたので、別にそういったところがなくなることで士業として困るのかというと、士業は士業で人不足もあるらしいので、決してマイナスではないのかなというのはお話しして感じました。
 なお、在宅介護につきましては、公定価格でございますので、今般、ちょうど報酬改定がこの4月にありますけれども、先ほどもあったように訪問介護は基本報酬がマイナスということになっておりまして、今後の例えば10月に被用者拡大された際に社会保険の拠出が増えるは増えるのですが、果たしてそういったことまで鑑みて介護報酬というものが設定されているのだろうかというのが今回、私が考えさせていただく上でちょっと疑問になったところでございます。
 ですので、そういったことをもし加味されていればいいのですけれども、そうではないのであれば、そういった面も踏まえて、全て我々は報酬の中で分配してやりくりをする立場でございますので、勝手にどこかからお金を持ってくるというわけにいかないものですから、ぜひそういったことも総合的に踏まえた報酬の設定というようなことで連動させていただけるとありがたいというように考えているところでございます。
 私から以上です。
○田尻理事 最後に、3番の働き方の多様化が進展することに伴う課題について、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 介護業界でも複数の事業者で業務委託あるいは副業という働き方を選択する方は非常に増えてきております。また、単発でのマッチングサービスを利用するという働き方も結構増えてきている実感がございます。若い方を中心に増えてきているなというように思います。マッチングサービスについては施設での働き方が多いということで、在宅ではまだそこまで活用が進んでいないというように考えられます。依然として在宅分野での人手は足りない状態が続いています。
 また、そちらのお手元の資料には書いていないのですけれども、介護というサービスは利用者との信頼関係の構築が欠かせないサービスになっております。質の高いサービスを提供するためには、ケアスタッフと利用者の関係性、なじみの関係、ケアの連続性というものが必要となるので、必ずしもこのマッチングサービスなどがなじまないことも現場では多々ございます。
 そして、働き方が多様化することで生じる被用者保険の適用に関する課題なのですけれども、複数の事業者での勤怠時間について、本人から特段の申告もなく、さらに中小・零細企業が多い民間の介護事業者においては、その副業、様々な働き方を管理していくというのは非常に困難な状況でございます。
 保険料の負担についても労使折半ではございますが、どこの会社がとかどこの所属先が保険料を負担するのかなど、納得感のある分かりやすい仕組みがないと法人としてはなかなかネガティブなイメージが先行して適用が難しいと考えられます。
 また、社会保険の仕組みや、あるいはこういった働き方のリスクを理解しないままに業務委託契約やフリーランスとして働いている方も散見されます。そういった多様な働き方をしてみて最終的には1つの会社に落ち着くみたいなケースも結構あります。そういったことからも、やはり社会保険の仕組みであったりとかそういった情報がしっかりと届いた上で働く方が働き方を選択できるようにしていかなければいけないのではないかというように考えております。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容に関して、構成員の皆様から御意見、御質問などございましたらお願いいたします。挙手で合図をお願いいたします。
 それでは、海老原構成員、その次に伊奈川構成員にお願いします。
○海老原構成員 一つは団体の方に、もう一つは事務局の方にあるのですけれども、非常にすばらしいお話だったと思うのですよ。普通、団体の方は自分の団体の業界のこと、権利のことを主張するという中で、フラットに負担という言葉がいけないから全員でもっと考えるべきだとか、それから、シームレスな仕組み、つくるべきだととても前向きな話ですばらしいと思うのです。さすが社会のことを考えているような事業体なのだろうと私は感心しました。
 1つだけ聞きたいのですけれども、確かに補助金や助成金なんかで年収の壁をしのぐというのは一時的で、これはあまりいびつな形だとは思うのですが、すぐにフラットな仕組みなんか、シームレスな仕組みなんかつくれるわけないのだから、それまでの間、例えばこれから5年とか10年の間は企業者負担が増える部分を助成金や補助金でカバーしながら5年つなぐ、こういうような考えで受け入れるという方向はいかがなのかなと思ったのですが、それはいかがですか。
 事務局にもう一つ、あと別にあるのですけれども、これとは別に、マッチングサービスの話が出たのですが、マッチングサービスで働く人たちが今、ブラックボックスになっていると思うのです。マッチングサービスを使って働くとどこで誰が幾ら働いているかというのが非常に分かるから、これは管理監督を強くして、ここにも網を張るべきではないかなと思っています。これは別の話です。
 まず最初の話からいかがですか。
○菊池座長 それでは、まずお答えのほうをお願いします。
○山越理事・事務局長 まず補助金でというような話。まずそもそも、処遇改善加算という加算自体が今、補正で入ったり等で、事務負担の手間がかなり介護業界としては多いというのが現状でして、当然、補助金で一定期間、補正予算なり何なりでやっていただくというようなところは、やるというのも一つだと思う。やはりそちらの事務負担をもう少し簡素化していただくというようなところ。やはり介護はかなり加算を取るためにこの書類を出す、ほかに指定を取るためにこの書類を出すという、国からの指定、自治体からの指定の様式の書類をこれを出してあれを出してというのが非常に多いですので、そこの部分で、では、そこにプラスで補助金をというような話になるとやはり非常な事務負担がありますので、それをもっと簡単にしていただきたいというようなところは補助金でやるのであれば要望するところではありますかね。
 何かありますか。
○田尻理事 あともう一点申し上げるならば、そういった補助金とかが処遇改善加算というそれもそうなのですけれども、ぽんぽんといろいろこちら側に飛んでくるような感じで、会社としてもいろいろ社員のキャリア形成であったりとか人事評価制度というものを構築しているにもかかわらず、一生懸命ベースアップを考えていたのに処遇改善でぽんと何万円とか飛んできたりとかして、人事評価制度の意味がなくなってしまうというか、非常に自社で頑張ってつくったキャリアアップの仕組みがおざなりになってしまう、社員にとっても非常に分かりにくくなってしまうという現状がございます。なので、やはりそういう会社に裁量を持たせていただいた形での内容で補助金とかも組み立てていただけると、整合性が取れないのです。従業員に対しての一貫性がないといいますか。というところが今、非常に苦しんでいるところかなと思います。
○海老原構成員 非常に勉強になりました。ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 後段の御質問ですが、年金局、保険局で回答できますか。老健局、今日来ていませんよね。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 御質問のところ、もう一度よろしいですか。
○海老原構成員 マッチングサービスは途中で働きたいという人、働かない人をうまくやっている日々紹介みたいなものなわけですよ。免許も日々紹介、紹介免許でやっているわけなのですよね。だけれども、ここで単発過ぎてどこで誰がどれだけ働いたかというのは事業者側も、それから、働いている例えば大学生とかフリーターの人たちも全く把握してないのですよ。ここのところがつまり、給与が発生しているなら、本当なら税金も払わなければいけないはずだし、社会保険料も払わなければいけないのですけれども、完全ブラックボックスになっているから、ここはそういうような業務をやるときはちゃんと届け出て、誰が何時間どこで働いていたなんてひもづけるという義務化をすべきではないかなとか思っているわけなのですよね。これはいかがですか。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 難しい課題かとは思うのですけれども、御意見として受け止めさせていただきたいと思います。
○菊池座長 分かりました。前段部分の事業者さんからの御意見ということで、貴重な御意見だと思いますので、老健局のほうにもお伝えいただければと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
 それでは、伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 東洋大学の伊奈川です。
 ふだん、社会福祉とか社会保障を教えていまして、そちらから見るのとこの問題で見る介護の姿がまたちょっと違うのですごく参考になりました。ありがとうございます。
 そういうこととも関係しまして、まず、これは山越様からのお話だったでしょうか、訪問介護の世界というのは以前の家政婦紹介の流れがあるということで、それは私も承知はしていたのですけれども、今日の話だと登録ヘルパーで非常勤が多いというお話だったと思うのですが、身分上は労働者性といいましょうか、労基法の適用などのところがどうなっているのだろうかというところが1点目であります。そのことによって、また被用者というところも変わってくるものですから、ちょっと確認させていただければと思いました。
 2点目は、今の海老原構成員のところともちょっと関係するのですけれども、田尻様のほうからお話がありましたマッチングサービスということでありまして、今の労働者性とも関係しますが、労働者であれば当然労働基準法の適用があり、そして、複数事業所で働いている場合の労働時間管理の問題も出てくると思うのですが、その辺り、勤怠管理といいましょうか、労働時間管理あるいはいろいろな多様な勤務形態がある中でいろいろな変形労働時間制とかあるわけですが、こういった方たちというのは実態としてどういう形になっているのだろうかというところが分かれば教えていただきたいと思います。
 以上、2点であります。ありがとうございます。
○菊池座長 よろしくお願いします。
○板井理事 では、1つ目のほう、板井のほうからお返しします。
 基本的に登録ヘルパーは雇用形態として雇用になります。パートタイムの形になりますので、例えば身体介助のサービス、60分につき千何百円とか2,000円みたいな設定はしておりますけれども、それが最低賃金を確実に下回らないような設定ということで雇用関係であり、実際、有給等も付与しているところでございます。
 以上です。
○山越理事・事務局長 すみません、マッチングサービスの件なのですけれども、多分業態によって大分変わってくるかなと思っていまして、まず私、訪問看護の事業をしているのですが、訪問看護自体は派遣等での訪問は不可能ですので、基本的には業務委託というような形で契約を結んで訪問してもらうというような形で働いております。ちょっと施設のほうがどのような形態でやっているのか私も把握し切れてないのですけれども、多分パートか業務委託なのですかね。多分様々、御本人の意向もあると思いますので、そのような働き方になっていると思います。
 勤怠時間の管理もちょっと変な話、この業界としてのやはりリテラシーがそんなに高くないので、先ほども田尻理事からの話もあったとおり、本人からどこで何時間働いたなんていう話、全く聞かないのですよね。申告が全くないような状況ですので、こちらとしても多くの複数の事業所で働いている方の勤務時間が全体でどれくらいになっていてとかというものの把握ができていないというのが多分どこの事業所、中小は特に状況が続いているかなと思います。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、本多参考人、どうぞ。
○本多参考人 ありがとうございます。
 令和2年法改正前の懇談会でもヒアリングとして御参加いただき、そのときに、「社会保険に加入して収入を増やす労働者と、長い時間働いていたが社会保険に加入しないように労働時間を短くする労働者が二極化している」「女性が多い業界であり、出入りが激しく、定着率が低い」とのコメントをいただいていたと認識しています。今回、企業規模要件が仮に撤廃されれば、多くの事業所が特定適用事業所になりますが、どれくらいの労働者が勤務時間を減らすのか、あるいは社会保険に加入して逆に労働時間を延ばすのか、想定があれば教えていただきたい、また労働者の定着率について、どの程度影響が出てくるのか、もし見込み等あれば教えていただきたいと思います。
 また、企業規模要件を現在満たしておらず、例えば労使合意によって特定適用事業所となっている事業所はあるのか、事例があれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○菊池座長 いかがでしょうか。
○山越理事・事務局長 ちょっと今の内容、お答えできないです。そこまで想定がまずできていない。正直、我々も600法人という法人ですけれども、全国、もっと法人はありまして、そこに対する見込みというものの計算というのは現状したことがないというようなところで、イメージでどうですかね。
○板井理事 従前のイメージで言えば、やはり単純にサービス時間を抑制して抑えるみたいな話になるのかなというように思っています。それは要は逆に言うと経営サイドも説明が確実にうまく上手にし切れないということもあると思います。要はただ単に保険料が変わったら大変なことになってしまうみたいなだけの感覚ですね。それを将来に向けた話をしっかり説明がつけば中にはそれはそれでという者もおるかもしれませんが、なかなか制度が簡単ではないところで、確実にそれを深く把握し切っている者が経営しているとも限らないというところが特に中小におきましてはありますので、そこは毎回心配になるところですね。
 定着は、ですので、それによって離職ということは逆に言うとどこへ行っても同じですので、それが理由で離職ということは多分あまりないかなというようには思いますけれども、時間を減らすことにすごく例えば何でみたいな雰囲気が強くなると、その職場にいたくないなみたいなことでほかの職場を探すということはもしかしたらあり得るのかなというように思っているところでございます。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 ほかには、あとお一方ぐらい。
 それでは、五十嵐構成員、お願いします。
○五十嵐構成員 資料の8ページ、影響の見込みのところに書いてある小規模な事業者における大変な問題、これは当然出てくると思います。人手は不足しているけれども、社会保険料も払うのは大変だと。そこで、例えば業務の共同化だとか小企業同士の連携のようなことは、この業界としてあり得ることでしょうか、あるいは既に進めておられるでしょうか。また、政府のほうに何か要望されているようなことがあるかどうか、その辺りを、教えていただければと思います。
○田尻理事 まさにそれしか生き残る道はないのではないかと思って、今、自分自身も周囲でもそういった動きが少しずつ見えてきているように思います。この業界においては、社会福祉法人が先立って連携推進法人という制度があってそういう連携事業というのは進んでいるのですけれども、それを民間の地域の地域介護事業所等でも実施をしていかなければ、私たちにとって本当にもう大手にM&Aで吸収されるか廃業するか、本当に細々とやっていくかしか道がないのではないかというように今、感じているところです。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 それでは、大変ありがとうございました。ここで全国介護事業者協議会様からのヒアリングを終了させていただきます。田尻様、板井様、山越様、本日はお忙しい中、お時間を取ってお越しいただきましてどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、しんぐるまざあず・ふぉーらむからのヒアリングを行いたいと思います。赤石様、どうぞよろしくお願いいたします。
○赤石理事長 このたびは、このような機会を与えてくださり、ありがとうございます。特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事長をしております赤石でございます。
 私ども、今、大変団体の状況でばたばたしておりまして、団体の概要やひとり親の状況の資料を加えるスライドがなくて申し訳ございません。ちょっと口頭で御説明させていただきます。
 まず、団体の概要でございますが、今、会員数がメールマガジンの会員が1万1000人弱になっております。事業としては就労支援事業、相談支援事業、生活支援事業、情報提供、セミナー事業、他団体支援事業の5つの柱で行っております。私どもも委託事業もございますので、契約職員の人数がフルタイマーが20人ほどおりまして、2019年から任意適用で社会保険は適用しております。余談でした。
 ひとり親家庭の状況ですけれども、シングルマザー、母子世帯が大体令和3年の全国調査では120万世帯弱、シングルファーザー、父子世帯が14万世帯ぐらいでございます。母子世帯の平均就労年収が238万円という低い数字ですが、徐々には上がっているというようなところで本編に入らせていただきます。
 もう2ページ、3ページから行きます。
 私は第3号被保険者問題など、社会保険の制度そのものあるいは税制がその人の仕事、生き方に多大な影響を与えており、男性片働き世帯を優遇する制度が日本で長年続いてきたことにより、ジェンダー平等の観点から是正すべきであるというようにずっと思っております。こうしたジェンダー不平等がひとり親、特に母子世帯に過重な困難を、男女の賃金格差がそのまま続いている中で1人で働いて子供を育てていくというところに非常に困難を加えていると思っておりましたので、基本的には是正すべきであるという考えを長年持っております。しかし、それとともに、働くということはその人の社会保障についての責任を雇用主が持つということでもあるかと思っております。
 以上から、こういった制度を変えることには私自身は基本的には賛成ではございます。社会保険適用の拡大という、そういう在り方で年金の制度等を徐々に変えてきた流れについては一つのやり方かなというように思っております。
 とはいえ、私どもは困難を抱えるひとり親世帯の声を日々聞いて食料支援、それから、4月など新入学のときにも制服代も払えないようなひとり親世帯に現金給付を1,000人以上のこどもたちにしておりますので、困難というのはよく知っております。ですので、やはり理念だけでは皆さんの状況というのは分からないということがありますので、今回、お話をいただいたので改めて簡単な調査をさせていただいたのが4ページ以降でございます。
 社会保険適用拡大についてのひとり親向けの簡易調査の結果を御報告いたします。2024年2月22日から3月1日、メールマガジン会員約1万1000人に対して行い、ウェブ調査を行いました。回答数127人で有効回答も127人です。実は就労生活調査などを同じ対象にしますとこれの20~30倍の回答があるので、この問題にあまり関心がないということがはっきり分かります。
 回答者のプロフィールですが、シングルファーザーさん1人で、あとはシングルマザーさんでした。平均年齢は44.2歳で、末子の年齢はほぼ満遍なく学齢前、3歳未満から高校生以上の方もいらっしゃいました。同居する子供の数は1.54人。大体これも全国平均と同じでございます。平均月収と年収を見ると、年収が103万円から130万円のところが一番大きいので、多分全国平均よりやや低い回答者であるかなというように思っております。これはなぜかというと、私どもが食料支援をしており、毎月大体2,600とか2,700世帯にパッケージをお送りしているというようなことがございまして、比較的貧困、困窮している方たちがお申込みになる可能性が高いということが影響していると思われます。
 続いて、6ページ、行きます。
 社会保険の適用拡大の経験があるかということをまずお聞きしております。そうすると、35%の方が経験されたというように答えているので、適用拡大の経験はあなたにとってよかったですかというのを直接聞いてみました。よかったという回答が41%、よくなかったが26%で、よかったが少し多いかなというように思います。
 よかった経験、中には、手取りは減ったが、会社が半分支払いをしてもらえるし、保険証を持つことができて、何かあったのではないかなと思うのですが、この方は社会保険の保険証を持つことができてちゃんと働いているあかしのような自己肯定感が上がりました。また、けがをして就労できない期間、傷病手当金を頂けて助かりました。また、きっと老後ですね。年金の足しになる安心がありましたと、このような回答を寄せてくださっている方があります。そのほか、御覧ください。
 一方、よくなかったという体験は、収入が中途半端だったので保険料を引かれると手取りが少ないので、ひとり親としての生活が苦しかったと。次も、年金、社保に入ったのはよかったが、もともとの給料より2万円以上減ってしまった。そのため、生活費で精いっぱいで食費まで回らなくなってしまい、生活困難になって家賃滞納に「おしいってしまった」は多分陥ってしまったの間違いでおられるかなというように思います。本当にぎりぎりの方にとっては、こういった状況であるということをお伝えしたいと思います。
 続いて、今の就労形態について7ページでお聞きした結果をお伝えします。
 パートタイムで働く人は70%で、パートで働く理由のトップは、育児・介護の事情があるからということでした。こちらも全国平均のひとり親世帯等調査から比べると、パートタイムはもう少し、50%弱だったかと思いますので、この集団のパートタイム労働者の割合はちょっと高く出ているということになります。
 ここの理由は、ちょっと忘れてしまったのですけれども、政府関係の調査の社会保険の適用に関する10年ぐらい前の調査の選択肢の中のパートで働く理由をコピーし、そこによく聞く融通が利くからというのがすごく多く出るのですが、それを加えて聞いております。やはり育児・介護の事情があるから、自分の都合のよい時間帯とか曜日に働きたいから、こういったことが多く出てくるということになります。
 続いて、8ページになります。
 今、どんな加入をしているかということを年金と健康保険について聞いてみました。この聞き方が正しいのか分からないのですが、被用者保険に本人が被保険者として加入している59%、それから、免除手続をしているという方が若干いるのが25%。そして、第1号被保険者になって国民健康保険に加入しているが13%で、ここは私が作ったので若干誤理解で重複とか間違えた回答があるかもしれません。
 このような中で、国民健康保険に加入している方と免除手続をしている方などに向けて、あなたは社会保険の加入を希望しますかということを聞いております。9ページです。そうしますと、希望するは59%、希望しないは41%となりました。
 この希望するほうの理由というのは、将来の年金額を増やしたいから。現在加入している年金保険料、健康保険料の負担が軽くなるから。傷病手当金などもらえる権利ができるから。これは選択肢として入れたと思いますが、このような回答が多かったです。
 一方で、希望しない理由は、手取り収入が減少する。できるだけ負担を減らしたい。年金制度をあまり信頼していないというような回答がございました。
 続いて、副業についても聞いてみました。副業をしていると回答した、仕事の掛け持ちをしていない方が78%で、副業している中でパートタイムの方あるいはそのほかの就労の形態の方がいらっしゃるということです。この副業でやっている方がどんな意図でやっているのかというと、転職を考えて次の仕事をちょっとやってみるみたいな方とか、もともと仕事がない、あるいは子供の送迎が必須で頼れる人もいないため、本業だけでは生活できないと思ったから。あるいはお子さんの療育、つまり、お子さんが障害、発達障害をお持ちだと思うのですね。子供のことを考えると昼の仕事がないので泣く泣く夜働いていますですとか、保育園を利用できる条件を満たすためなど、いろいろな回答がございました。
 続いて、11ページ。
 社会保険適用拡大の際、必要な施策でございますが、国民年金同様に収入の低いひとり親は免除してほしいという声が結構あったかと思います。そのほかはやはりひとり親は児童扶養手当を所得が低い方は受けていらっしゃるのでこういった御希望もあったのですけれども、一方では、すごく積極的に15時間以上くらいで社会保険に加入したいというような副業でも取りやすいようにしてほしいというような声もあったかと思います。一方で、働き損に感じられる制度設計はやめてほしいというのはやはり手取り収入が減るのが非常に抵抗感があるというようなことだったかと思います。
 まとめを12ページにいたしました。
 パートタイムで働く方の社会保険の適用拡大に関しては、私自身は理念としてはよいと思ってはおりますけれども、独り親の意見は様々でございます。賛否は分かれます。ただ、思ったよりも賛成の方が6割ということで多いというのは、それなりに老後のことやいろいろな保障のことを考えておられるのだろうというように思っております。
 やはり収入が低い層、これはクロス集計していないし、ちょっと母数が少ないのでクロス集計して正しいかどうかは分かりませんが、手取り収入の低下から消極的な意見になるという方がいらっしゃるということでございます。6割はいろいろな理由で賛成理由になる。
 総合的には、やはりひとり親の方の可処分所得を上げていけるような総合的な制度が必要なのかなと思っております。ちょっと壁対策でやっておられるような臨時的な施策というのがあるのであれば、1人で世帯主の方たちに対して何らの減免措置というのは可能なのかどうなのか、私は制度設計、なかなか分からないので、一応お伝えしておきたいというように思っております。
 それから、これもまたここの委員会とは直接は関係ないとは思いますけれども、ひとり親にはひとり親のいろいろな就労の壁がございます。児童扶養手当の満額支給のラインは160万円です。その次が住民税非課税ラインで、高等教育の修学支援新制度の一番有利な満額のところは204万円ですので、ここで皆さん、就労調整される方がいらっしゃいます。こういったことから言うと、やはりそういう壁のところを最低賃金の上昇に見合って上げていくということが制度全体で求められているかと思います。
 以上となります。
○菊池座長 ありがとうございました。
 このヒアリングのためにアンケートを実施していただき、そのデータを提供してくださいまして、大変貴重な資料をありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容に関しまして、皆様から御意見、御質問などございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 佐藤構成員、お願いします。
○佐藤構成員 御説明いただきましてありがとうございます。
 私は多様なライフプランに応じた職場づくりというのをテーマに中小企業の支援をしている社会保険労務士なのですが、シングルマザーというところで、今、社会保険にもし加入していらっしゃらない方でしたら、例えば国民年金とか国民健康保険に加入していらっしゃる方もいるとあったのですが、こういったところでは減免措置、免除とか受けられますけれども、社保にはそういったものが今のところない、免除というのは現実、難しいのかなというように感じました。
 先ほども非課税ラインですとか母子扶養手当のラインのお話がありましたけれども、もしそういった減免などができなくて、例えば資料にありましたように1月の月収平均が12万円という水準の中で、社保に入ると手取りが2万円減るという声があるのは厳しいので、例えばそういったほかの支援措置のラインがどのぐらい上がったらいいのか、この適用の拡大が進んだときにこのぐらいだったらいいというものはもしイメージとして示すことというのはされたことなどはあるのでしょうか。
○菊池座長 お願いいたします。
○赤石理事長 御質問ありがとうございます。
 私ども、毎年、こども家庭庁になりましたけれども、ひとり親の施策の要望のときには児童扶養手当の全部支給。今、所得制限が160万円のものをせめて200万円に上げていただけるように要望しております。今回来年度からこの所得制限が190万円に上がる改訂がなされると聞いております。
 住民税非課税ラインをもっと上がっていくことが望ましいです。私ども、就労支援もしておりますので、パソコンをお教えしてタイピングができるようになった方はこれまでの接客から、タイプができると次はコールセンターでタイピングしながらお仕事ができるので若干時給が上がるようなお仕事を御紹介できるわけですけれども、すごく時給が上がることを喜んでおられたのに、結果的には204万円で抑えたいのですと言われてみんなでとてもがっかりするというようなことはよくございます。提供しているお仕事、300万にいけそうなお仕事を御紹介しているつもりなのですけれども、諸般の事情、あと困窮層がコロナで大変な思いをされたので、緊急小口資金の特例貸付けの免除の枠が204万円、住民税非課税ラインのところで止まっておりますので、それのために就労調整をいまだにしている方がいらっしゃるというような状況でございます。
○佐藤構成員 ありがとうございます。
 社会保険の適用拡大はその分、所得を上げるような動きにもつながっていくと思うので、その辺りを具体的に引き上げて、働いても大丈夫ですよとなったら積極的にキャリアアップするシングルマザーの方が増えるのではないかなと思って、私もこれが適用されると同時にこども・子育て支援金なども並行して始まるので、そういったところにこの分のフォローがうまく連携できるような仕組みができたらなと思いました。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインから松原委員、お願いします。
○松原構成員 ありがとうございます。
 この会のためにわざわざ調査もしていただいたということで、本当にありがとうございます。お話を伺って改めて思いましたのは、社会保障制度全体が非常に複雑なので1つを変えると物すごく影響があるため、同時並行的に見なければいけない、対処しなければいけないということです。先進国の中でシングルマザー世帯の貧困率が最も高いのは、皆さん御存じのとおり日本であり、一方で、シングルマザーの就業率が最も高いのも日本だということで、ワーキングプアの状況にあります。
 また、社会保障による再分配後でも貧困率が他国と比べてあまり改善されないというデータもあります。社会保障の再分配の機能がうまく働いていないと考えられるので、働く人が皆、長期的により豊かになるために適用拡大というのはもうやらなければいけないと思いますが、それによってシングルマザーをはじめ支援を必要とする方々がさらに貧困になってしまうような仕組みにならないように、また、少子高齢化の課題解決が求められているこの日本で子供を持つということがリスクと捉えられないように、支援を必要とする方の状態が改善する子育ての支援、特に片親世帯の支援の充実が必要だという点に、適用拡大の実施にあたり留意すべきだと改めて思いました。
 以上、感想です。
○菊池座長 今のは御意見ということで承ります。御質問は特にございませんか。
○松原構成員 大丈夫です。
○菊池座長 松浦構成員、お願いします。
○松浦構成員 貴重なお話をありがとうございました。
 1点、御質問させていただきます。社会保険の適用拡大の経験について、肯定的に評価する意見があった一方で、手取りが減ってしまって生活が苦しくなったという意見もあったと伺いました。貴法人は就労支援と生活支援の双方の事業を展開されているとのことですが、生活が苦しい、とりわけ食費に困窮するような状況では、本来生活保護の申請も、支援の選択肢として視野に入ってくるのではないかと思います。貴法人では、このような状況において、生活保護の申請についてどのような支援、働きかけをされているのでしょうか。支援対象の方々が生活保護の申請をどのように見ていらっしゃるのかという辺りについても、御存じの範囲で教えていただけるとありがたいです。
○菊池座長 お願いいたします。
○赤石理事長 御質問ありがとうございます。
 生活保護の基準以下で生活保護を受けていらっしゃらない方は日本にはたくさんいらっしゃるというのはまず共通の認識かと思います。生活保護の捕捉率というのは日本では測定していないというように言われておりますが、大体2、3割というように言われているかと思います。ひとり親の方もこの例に漏れず、まず自分で頑張らなければいけない。この世の中に多く流布している自己責任論にもう内面化されておりますので、幾ら生活保護を受けられるような基準以下で収入であっても、なかなか生活保護を受けるという決心がつかない方が大変多くいらっしゃいます。
 私ども、御相談支援の中で特にコロナで就業を失ってしまったような方には、とても恐る恐る生活保護を受けてみたらいいかなと思ったことはあるかしらみたいなところから聞くわけでございますが、そういうことを言うならもう結構ですと言ってがちゃんと切られるようなこともございましたので、本当に慎重な御提案をしないといけない。それでも聞いてくださらないので緊急小口資金の貸付けのほうに膨大な方が流れたというのが起こったことでございました。
 もう一つが、やはり生活保護を受けるに当たっての幾つかのハードルがございます。今、言った自己責任論の内面化、それから、非常に水際作戦がまだあるということ。それから、地方で自動車を使わないと、公共交通が充実してない地域では自動車を持っているだけで資産扱いとされますので、これを手放さないと生活保護が受けられないという運用をかなりの地域がこのまましております。
 もう一つ、4つ目は親族の扶養照会を受けることに抵抗感がある、ということです。
 こういったことの理由として、生活保護をお受けになる方が少ないというのが現状でございます。そこに乗っかって政府も生活保護をあまりお勧めにならない。でも、コロナで少し変わったとは思いますけれども、そういう現状なので、本当に受けてらっしゃる方は何もかも手放して、ぎりぎりのこれから就労に向かっていくような余力がもう剝脱されたされたところでお受けになるのでその次がなくなるというようなことになっておられるかと思います。
○松浦構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。あとお一方ぐらい、どなたかいらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。これにてしんぐるまざあず・ふぉーらむ様からのヒアリングを終了させていただきます。赤石様、本日はお忙しい中、お時間を取ってくださり、また、アンケートまで実施してくださり、本当にありがとうございました。
 続きまして、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会様からのヒアリングを行いたいと思います。平田様、どうぞよろしくお願いいたします。
○平田代表理事 よろしくお願いいたします。フリーランス協会の平田です。
 今日は貴重な機会を頂戴しまして誠にありがとうございます。
 私からは「フリーランス・ギグワーカーの社会保険の適用の在り方について」ということでお話しさせていただきます。
 まず冒頭、前回のこちらの懇談会の資料を抜粋させていただいておりますけれども、その前に当協会についても簡単にお話し申し上げますと、フリーランスとか副業で働く方々の支援とか実態調査をしている団体でして、今、フリーランスの会員・フォロワー総数が10万6000人ほどいらっしゃいます。このうちの1万7000人が有料会員で、このフリーランスの会員の皆様の会費で運営している非営利団体です。
 協会の概要については後半、別添資料でつけておりますので、もしよろしければ後ほど御覧ください。
 今回のテーマについては、全世代型社会保障構築会議やその前段の会議でも、フリーランスを含めた働き方に中立な社会保障制度が必要だということをアジェンダに入れていただいておりました。直近では被用者性が認められる方に対してしっかり適用していくというところが第一義ということですが、行く行くは、3ページ目の下に記載がありますけれども、2040年頃を見据えてフリーランス・ギグワーカーの社会保険適用の在り方も含めた勤労者皆保険の構築など、働き方に中立な社会保険制度の在り方を検討されるということで、この先15年、16年ぐらいかけて、被用者性がない方の仕組みも検討いただけるというように解釈しております。
 今日はその後半について、厚めにお話ししていきたいなと思っております。
まず、フリーランス・ギグワーカーの定義についてです。
 4ページ目を御覧ください。
 こちらは、この秋に施行予定でありますフリーランス新法から引用していただいているものと思いますけれども、実店舗がなく、雇い人もいない事業主や1人社長で御自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者。そして、業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しない者という定義がされています。これはフリーランス新法でいう特定受託事業者の定義ですけれども、いわゆるフリーランス当事者の認識としては、必ずしも業務委託で仕事をしている方のみならず、例えば翻訳の方とかですと出版契約という形になっていたりですとか、文化芸術業界だとマネジメント契約というような形の契約になっている方もいらっしゃいます。
 あとギグワーカーについても言及いただいていますけれども、こちらも詳細は別紙でつけておりますが、当協会の調査ですと、ギグワークをメインの収入源にしている方はフリーランス全体の約5%程度というように認識しております。
 続いて、5ページ目。
 もともと当協会で定義している広義のフリーランスということですと、特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る方を指しています。特定受託事業者の定義ともかなり近いわけですけれども、いわゆる雇用ではなく業務委託・自営で働いている方全般ですね。大きく分けて左に独立系フリーランスと記載しております個人事業主や1人社長の方もいれば、開業届を出していない方もいます。右に書いてある副業系フリーランスのように、日中はどこかの企業と雇用関係を結びながら就業時間外に業務委託でお仕事をされている方も、総称してフリーランスと呼んでおります。いわゆる雇用での副業、二重雇用については労働者になりますのでフリーランスの定義には入ってこないということになります。
 続きまして、6ページ目。フリーランスが増加している社会的背景としていろいろな要因がありますが、一つは、ノートパソコンとかスマートフォン一つあればどこでも仕事ができる、マッチングサービスもできてきて、無料のSaaSのサービスも出てきて開業のためのイニシャルコストがかからないというようなところで、独立・副業の敷居が低下しております。
 一方、課題としても、労働人材不足とか、特に地方における経済縮小というのがある中で、一つの会社で1人の人材を終身、囲い込むのではなく、複数社でシェアしていかなければいけないという考えの下、1億総活躍とか人生100年時代とか言われて久しいですけれども、多様な働き方が可能かつ求められる時代になっているということで、昨年、初めて総務省が就業構造基本調査の中でフリーランス人口の数字を出しましたが、基幹統計として257万人いると言われており、派遣社員の人数を超えたということでした。また、2020年の内閣官房の調査は推計ですけれども462万人ということで、この差分は本業の数はそんなに大きく変わらないので、隠れ副業というか統計に表れてこないが実際副業をやっている方というのがこの差分になっているのではないかなというように見ております。
 70歳以降の就業機会確保でも、雇用延長でなくて業務委託化でもいいというお墨つきも出ているわけですけれども、誰もが、いつかフリーランスになるかもしれない時代になっているというように考えられるかなと思います。そうした前提の中で、この社会保障、社会保険の在り方というのも考えていかなければいけないかなと思っているのですけれども、8ページ目に御覧いただくとおり、フリーランスと一口に言っても非常に多様でして、職種とか働き方、年収とかも様々です。
 なので、まず多様であるということをぜひ御理解いただきたいのですけれども、多様でありながらもフリーランスに何が共通しているかというと、9ページ目にあるとおり、私たちは事業者なのですね。働き方の裁量と経済的自立性を前提に事業リスクを負う責任と覚悟を持った自律的な働き方ということで、当協会もキャリア自律を設立以来、ビジョンとして掲げているわけですが、この自律して雇われずに働きたいという思いの方が非常に増えているということなのです。
 事業者は労働法の対象外になりますので、基本的には競争法の保護ということで独禁法、下請法とか、また、今回新しくできるフリーランス新法等が関わってくるわけですけれども、一部、特定の企業に対する従属性が高く、業務実態が労働者に近い方々もいらっしゃいます。こうした方々、準従属労働者という言い方があったり、当協会では偽装フリーランスという言い方で2020年から啓発をしておりますけれども、こういった偽装フリーランスについては本来はしっかりと雇用契約に切り替えるとか、しっかり再就職支援をするといったことが必要で、実態が労働者であれば労働法で保護するという整理もなされております。
 10ページ目は、適用法の整理ということで、これはもともと2021年に出された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」をベースに、新しくフリーランス新法のことも加えて当協会で作成した図です。こちらにあるとおり、業務委託契約を締結していても実態が労働者で、労働者性が認められると判断されれば労働関連法令が適用されるということで、今回の被用者保険の適用拡大でも被用者性をしっかり確認して着実に適用するというのが直近の方向性になっており、ここでしっかりとまず労働者性を確認して社保の対象にしていくということが第1ステップなのかなというように思っています。
 ただ、この労働者性というのが非常に曖昧で判断基準が分かりづらいというところがありまして、専門の先生方には釈迦に説法だと思うのですけれども、労基署によって判断が違ったりということもありますので、なかなか難しいのかなと思っております。偽装請負ならぬ、偽装フリーランスになってはいけないということで、当協会でも「偽装フリーランス防止のための手引き」というのを先月、発表しました。
 具体的に文化芸術や軽貨物、あとは放送・出版業界ですとか、エステ、リラクゼーション業界といった業界はこの偽装フリーランスがよく指摘されがちな業界ですので、そういったところはしっかりとまず被用者性、労働者性を見ていただいて適用していくことが大事かなと思っています。
 他方で、11ページ目に移っていただきたいのですけれども、中には労働者保護に反発する当事者というのもいらっしゃいます。
 例えばよくメディアの注目を集めるフードデリバリー配達員は、ユニオンが労組法上の労働者認定を争っているわけですが、これに対して当事者の中からの反発の声もかなり出ています。こういった声も散見されるのでマジョリティーの意識はどういうことなのだろうと思いまして、当協会でも2022年に大規模調査を行いました。
 フードデリバリー配達員、約1万4000人に御回答いただいて確認したところ、満足度も6割ということですが、直近1か月でも2つ以上のプラットフォームを使っているという方が45%ぐらいいらっしゃって、グループインタビューも私も全て参加したのですけれども、特に労働者保護を求めてない、むしろ労務管理されてシフトで働くことが難しかったり体調を壊したり、介護・育児との両立とか様々な理由でようやく働ける働き方を見つけたのに、Uber Eatsに雇用主面をされるのは困るというような御意見もあったりしました。なので、そういった多様な意見があるということを踏まえて考えていかなければいけないなというように思っております。
 12ページ目、グラデーション化する働き方とお示ししておりますけれども、個人の意識も多様ですし、働き方というところでもテレワーク、リモートワークが広がっていることによって、会社員の雇用のほうの、いわゆる労働者性の一つの判断要素でもある時間・場所の拘束も非常に分かりづらくなってきているので、労働者の概念そのものも時代にそぐわなくなってきているのではないかというような指摘もなされておりまして、厚労省の労働基準関係法制研究会等でも2026年に向けて見直しを進めていくというようなことが言われていたりもします。
 なので、シンプルに被用者性が認められる人に適用拡大すれば解決するということでは全くなく、被用者性を認め得ないその他大勢のフリーランスの人たちを、どのようにセーフティネットの対象にしていくのかというのが非常に大事だなと思っております。
 13ページ目に進んでいただきますと、フリーランスの環境整備の進捗をお示ししています。今秋に施行されるフリーランス新法で、真ん中の黄色い囲みの業務トラブル対策はおおむね環境整備がなされるかなと期待しております。一方で、右側のライフリスク対策、出産・育児・介護のセーフティーネットですとか健康保険、厚生年金といったところは会社員との格差が大きい部分で、ライフリスクに関しては働き方問わず全ての人が背負っているリスクですので、働き方に中立な制度が必要だと思います。
 実際、当事者のニーズとしても14ページ目、御覧いただきますと、最もニーズが大きいのがライフリスク対策ということでピンク色で囲っているもの、全て社会保険ですとかセーフティーネットに関連する部分かなと思います。
 具体的にどう違うのかといったところは釈迦に説法だと思いますけれども、15ページ目にまとめておりますので、また御興味あれば見ていただければと思います。
 フリーランス当事者がどういうように考えているかということです。フリーランス白書2021で公表しているデータを16ページ目以降、御紹介したいと思います。
 まず働き方に中立な社会保障のニーズということで、働き方の違いにかかわらず社会保障が提供される必要を感じている方が95.7%いらっしゃいます。ほとんど皆さん、必要だと思っていらっしゃるということなのですが、他方で、実際に今でも個人事業主の方が法人成りすれば協会けんぽ、厚生年金に入れるわけですので、17ページでは、法人成りして協会けんぽと厚生年金、加入することについてどう思うかというのを実際の保険料の支払いシミュレーションをお見せした上でどう思いますかというのを聞いています。
 これは、当時の年金課の御担当者にも御確認いただいたシミュレーションを使って調査をしたのですけれども、そうすると、加入意向が5割以下に減ります。先ほど働き方に中立な社会保障が欲しいという方が、96%いたのにここで減ってしまう背景として、労使折半がない中で保険料負担が厳しいというような声が自由回答から見てとれます。あと世代によっても少し傾向が違いまして、50代の方はこの先の積み立て期間が比較的短く割に合わないといった理由で、こういった結果になっていました。
 保険料シミュレーションは御参考ということで飛ばしていただいて、21ページをご覧ください。
 自由回答の抜粋、載せておりますけれども、加入したいと言っている方の意見としては、フリーランスになって一番どうにかしてほしいと思っているのは国民健康保険ですとか、傷病手当金とか出産手当金が私たちはないので、その安心感が大きいですとか、職種によって国保組合の有無で格差があることを問題提起している方、あとは御自身のお父様がフリーランスで老後を見て不安になっているという方もいらっしゃいました。あと年金のほうでも遺族年金、障害年金で会社員と差があるということも意見として挙がっています。
 一方、22ページ目の右の囲みで加入したいと思わない方の御意見も聞いています。労使折半がない中での支払額が高過ぎる、今の収入から考えて支払いが難しいというような御意見が入っておりました。
 続いて、23ページ目から雇用保険への加入意向も同じ調査で聴取したものを載せておりますけれども、今日は主に健康保険と年金の話だと思いますので、こちらは割愛いたします。
 26ページ目、これはフリーランス白書2023の調査結果ですけれども、私たちがこのフリーランスのセーフティーネットが必要だということをメディア等で発信すると、必ずSNSやメディアのコメント欄で発注者に負担させるなんてとんでもないとたたかれます。某新聞の社説でも、全世代型社会保障構築会議の開催中に、フリーランスの保険料まで発注者に負担させるなどとんでもない、というような社説が出ていたこともありました。
 ただ、フリーランスの誰しもが発注者へ保険負担を求めているわけではないのです。私の話も、決して労使折半してほしいということを申し上げているわけではないです。もちろん、一部の準従属労働者や偽装フリーランスはしっかり発注者が労使折半で負担していただくのが筋だと思いますけれども、多くのフリーランスはこのデータを御覧になると分かるとおり、非連続的に不特定多数の事業者と取引をしておりますので、特定の発注者に社保を負担してもらうような関係性ではないと感じます。また、冒頭申し上げたとおり、自律して働くということを志向してフリーランスになっている方も多いので、社保を負担してもらうというパターナリスティックな関係性が、取引の関係性に影響を及ぼすのではないかと懸念する声もあったりします。
 そういうことを考えてどうすればいいのかというところで27ページ目、御覧いただきたいのですけれども、この問題を何年間も考え、様々な方と意見交換させて頂いてきた中で、企業と個人の関係性が変わってきているのに合わせて、もしかしたら社会保険料納付の仕組みもアップデートを求められているのかもしれないなということを考えたりします。
 あくまで思考実験ということでお聞きいただきたいのですけれども、左側にあるのが現状の図ですね。基本的には会社で雇用されて働いている方々は給与天引きという形で労使折半された保険料を会社と個人でそれぞれ納めて、フリーランスや自営業者は直接確定申告して納付しています。ここで下のほうに記載しております個人間の不公平があるというのは今、申し上げたところですが、実は企業間の不公平というのも出てきてしまっています。
 今、短時間労働者への適用拡大がどんどん進んでいる中で、どうしてもスタッフを雇用で雇わなければいけない業種、要は指揮監督を伴う働かせ方をしている業種はどんどんどんどん社保負担が増えていくのですけれども、IT業界のように必ずしも雇用でなくても人材が活躍できる業界は業務委託での人材活用が増えてきております。急成長して、売上も利益も大きく伸びているようなスタートアップやメガベンチャーなどで、エンジニアは半分以上業務委託ですというようなケースも往々にしてございます。
 これは別に社保逃れをするためにそうしているわけではなくて、採用したくても雇用だと採用できないから業務委託で人材確保するしかないということで、地方の企業に副業の業務委託で首都圏のプロ人材に入ってもらうというようなことも政府は推奨しているわけですけれども、そうすると、副次的に社保逃れができてしまう会社と、どうしても業態上、指揮監督が必要で社保支払い負担が増えていく業界との不公平というのがどんどん広がって、全体的に見て企業からの社会保険料徴収も減っていってしまうのではないかということも気になっているところです。
 なので、例えばということで右に書いているのが、この会社と個人をひもづけず、それぞれが支払うというようなことはあり得るのかというようなことを考えています。個人はもともとは所得の捕捉が難しく、支払いを個人に任せたら未納になるのではないかという懸念もあって、労使折半というのはすごくうまくできた仕組みだったと思います。他方で、今、マイナンバー導入が進んでいる中で、しっかり個人の所得を捕捉して社会保険料も納付してもらう仕組みができるのであれば、必ずしも企業を通じて徴収しなくても、個人は個人で納めて、一方、企業の側も雇っている従業員の数ではなく、売上や利益等に応じてしっかり税納付をして、その中で社保財源化していくというようなことも考え得るものでしょうか。
 28ページ目、この思考実験をした場合の気になる論点を挙げております。やはりまずはフリーランスの納税・社会保険料支払いをどう担保するかということで、ここが一番皆さん、御不安に思われるところかなと思うのですが、マイナンバーに加えて、源泉徴収に似たような仕組みで、所得の捕捉と納付漏れの防止ができないかと思ったりしています。また、企業間の不公平をどう解決するかということで、被用者の人数によらない公平な社保(税)徴収の仕組み、どうあるべきなのかということも考えなければいけないかなと思います。
 あとは、労使折半だとフィフティ・フィフティなわけですけれども、企業と個人をひもづけず、それぞれ集めるという場合に、企業と個人はそれぞれどのくらいの負担割合が適切なのかということも、財源確保するためのシミュレーションなどをしながら設計して、労使双方の納得感を醸成する必要があるかなと思います。
 あと、現在も法人成りすれば被用者保険に入れるわけですけれども、厳密には法人経営者は被用者ではないので、もしそれが可能なのであれば、個人事業主でも被用者として入れるようにするという選択肢もあるのか、ないのかといったところも考えたりします。ただ、この場合、先ほどの調査結果にあるとおり、労使折半がない中で保険料を払うのはきついという方もいらっしゃいますので、それが一番いい方法なのかどうかはちょっと分からないというところです。保険料支払い負担が経済的に苦しいという方がいらっしゃることを前提に考えた場合、例えば年金も今、2階建てですけれども、強制加入と任意加入を組み合わせるというようなことはありなのか、なしなのか。その任意加入のほうも行動経済学の知見等を使いながらうまく誘導していくようなことが果たしてできるのか、というようなことも考えたりしております。かなり散漫な論点出しになっておりますけれども、企業と個人の働き方や関係性がどんどん変わっていく中で、一旦ゼロベースで考えてみることも思考実験としてはありなのかなと思ったりしております。
 その先は御参考資料ということでつけておりますので、御興味あれば御覧いただければと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、御質問いただきたいと思います。海老原構成員、お願いします。
○海老原構成員 ちょっといろいろ考えさせられてしまいますけれども、私はリクルートという会社を辞めた後、すぐに独立して合同会社設立して自分で会社をやっている個人事業者なのですよ。私みたいに独立した場合、どうなるかというと、先ほどおっしゃっていたとおりですけれども、年金料も保険料も事業者負担分と倍払わなければいけなくて、倍払うから倍もらえて、倍払うから倍、すごくいい待遇がいろいろ得られる。これは当たり前のことだと思っておるのですよね。
 こうやってやっている独立事業者と法人成りしてない事業者がいて、法人成りしていない人たちは新たな、つまり、会社側が負担する、会社というか、これは単なる取引先ですよね。使用者ではなくて、被用性があるような業務委託なら僕は確かに会社が払う必要はあると思うのですけれども、そうではなくて単なる取引先に対してまで負担金を出さなければいけない仕組みになっていくのは不思議だと思うのですよ。第一、相手先がこれはギグワーカーといって、いわゆる法人成りしているのか、してないのかによって選別されるというのも不思議なことだと思うのです。この辺、まず不思議だと思わないのかが1つ目。
 事業者に法人成りしないということに関して、これは単に税金逃れ、社会保障逃れ、社会保険逃れでないのか、この点が2点目です。
 それから、3点目はまたこれは事務局の話ですけれども、先ほどあったマッチングアプリに関しては、これは日々紹介の話だったのです。今回のはそうではなくてアプリワーカーと言われる業務委託の話なのですね。これはデリバリーもありますし、欧米で言えばこれからはドライバー、運転手さんも入ってくる可能性が多大にあると思うのです。こういうものに関して例えばマイナンバーとかインボイスとか必ず義務づけるという仕組みにどんどんしていかなければいけないのではないかと思っているのです。
 この2点、こちら側には2つ質問で、事務局には1つ質問です。どう思っているかというお話です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 平田様、お願いいたします。
○平田代表理事 ありがとうございます。
 1点目の御質問についてですけれども、我々が発注者に社会保険料を負担してほしいと思っているわけではないということをお伝えしたつもりでしたが、ちょっと伝わっていなかったかもしれないです。
○海老原構成員 伝わっていました。伝わっていましたけれども、これは広く薄くみんなから取るというので僕らはさらに倍払っているということで、同じことでないかなと思っています。
○平田代表理事 今は雇用という形でひもづいている方だけが労使折半になっていて…
○海老原構成員 いやいや、ちょっと待ってください。法人成りしている事業者は折半になっていますけれども、折半分まで自分で払っているという意味ですね。
○平田代表理事 そうですね。というと、御質問の意図がちゃんと酌み取れてないかもしれないです。ごめんなさい。
○海老原構成員 つまり、僕らは2倍払っているけれども、そちら側は払わなくて済むという。つまり、今、言っている案だと払わなくて済むという話になるから、そこに違和感は感じないかという話なのです。
○平田代表理事 フリーランスの中にも、もちろん法人成りしている方もいらっしゃいますし、私自身も法人成りしております。
○海老原構成員 そういう人は倍払わなければいけなくて、そうでない人たちは本人分だけで済むという、ここに違和感は感じないかということなのです。
○平田代表理事 そこにも不公平があると言われたらそうかもしれないですね。ただ、独立したいのであればみんな法人成りして倍払うべきとも言い切れないのかなと。
○海老原構成員 いやいや、事業者なのではないですか。事業者負担は自分が事業者なのだからすべきだと、こう考えるわけなのです。それで言うと、逆に言うと、ギグワーカーの人は同じ事業者なのに事業者負担がないのはずるいなという話になってしまうと思うのです。
○平田代表理事 ギグワーカーの方も基本的には事業者で、現状被用者性を認められる方はほぼいらっしゃらないと思うので、御自身でお支払いになると思います。
○海老原構成員 それと本人分プラス事業者負担分で両方払わなければいけないことになる、倍払わなければ。
○平田代表理事 法人成りしている場合はそうですね。ただ、個人事業主…
○海老原構成員 法人してないとずるいなと。
○平田代表理事 個人事業主がずるいというのはごめんなさい、一度も考えたことはなかったです。
○海老原構成員 いやいや、ずるいとは違います。今はずるい制度になっていませんが、もしこれを払わなくてその分もらえるようになるとこれはずるい制度になってしまうから、その改革案に対してずるいと言っているわけなのです。
○菊池座長 構成員の御知見をここで述べられるというよりは。
○海老原構成員 いや、知見でないです。これは明らかに今、言っていることに対してどうか、それに対してちょっと問題を感じないかどうかというので聞いております。
○菊池座長 簡潔にお願いします。
○海老原構成員 いや、簡潔に簡単です。これから先はおっしゃるとおり、ギグワーカーに対しては何かしらの不公平にならない仕組みがあるのではないかとおっしゃっていますけれども、そうすると、法人負担がない形になるからギグワーカーの法人成りしてない人だけが得する形に見えるというのです。
○平田代表理事 そうはならないかなと思っています。なぜかというと、まず前提として、ギグワーカーはフリーランス人口の5%ぐらいですので、今、申し上げているのはギグワーカーの話というよりフリーランス全般の話というように考えていただきたいのと、フリーランスも非常に多様でいろいろな方がいらっしゃいますけれども、法人成りしている、していないとか、そもそも会社員である、フリーランスとか関係なく、全ての個人がご自身の所得に応じて適切な社会保険料を納付するという公平な制度のほうがいいのかなという話でして。なぜ倍払うとか半額で済むとかいう話が出てくるかというと、前提に労使折半という仕組みがあるからです。もう個人と企業が終身1対1で結びつくような関係性の時代でもないので、労使折半という企業と個人をセットで考える考え方をそもそも見直して、新たな仕組みに向けて抜本的な議論を開始してはどうだろうというのがこちらの意見の趣旨です。なので、御指摘のような個人事業主の人だけが得をするというようなことは一切考えてないです。
○海老原構成員 分かりました。
○菊池座長 よろしいですか。2点目についてはよろしいですか。
○平田代表理事 そうですね。法人成りしない個人事業主が税金逃れ、社保逃れをしているという認識は持っていないですし、税金逃れか社保逃れのために個人事業主になろうなどと考えている方もそんなにいらっしゃらないのではないかなと思います。
○海老原構成員 ただ、先ほどのアンケートを見る限り、社会保険料が高くなるから嫌だという人たちが非常に多かったわけではないですか。法人成りする理由に対して。
○菊池座長 すみません、そこでもう抑えてください。ほかにも質問、手が挙がっていますので。平田様の御知見はいただいたと思いますので、この辺にさせてください。
 それでは、事務局のほうからいかがですか。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 事務局に対する点につきまして、こちらについてもまず問題提起、御意見として受け止めたいと思います。
○菊池座長 よろしくお願いします。
 それでは、嵩構成員、お願いします。オンラインから。
○嵩構成員 御説明ありがとうございました。
 最後の点の保険料負担を求めているわけではないというところは、なるほど、そうなのかというように驚きとともに認識させていただきました。
 私からの質問というのは、先ほどの御意見の中にも少し関係してきますけれども、フリーランスの方々は実に多様だというお話をいただきましたが、現在の社会保険だと適用事業所に使用される者というのが被保険者になっていて、そこを見直すとかということもあり得るのかもしれませんが、一応現在の仕組みだとそのようになっております。
 使用されている者かというところの論点が注目されがちなのですけれども、契約の相手方、先ほど取引先という話でしたが、そこが事業者性というか事業性を持っているのかというところもちょっと気になるところでして、現在のフリーランスの方には、実にいろいろな方がいらっしゃると思いますが、取引先が法人とか事業者性を持っているところが多いのか、あるいは人によって違うと思いますが、先ほどマッチングというお話ががありましたが、そういう個人からの発注を受けるという方も結構いらっしゃるのかとか、その辺の取引の相手方の態様についてどのような状況になっているのかをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○平田代表理事 ありがとうございます。
 いただいた御質問について参考に8ページ目の図を御参照いただければと思うのですけれども、今、おっしゃっていただいたようにフリーランス全般をみた場合、toBだけでなくtoCでお仕事をされている方も結構いらっしゃいます。割合は統計とか推計によって違うので一概には言えないのですけれども、例えば昔から分かりやすい例ですと、ピアノの先生とか書道の先生のように御自宅で個人を相手に習い事の先生をやっている方ですとか、あとは個人タクシーもお客さんは普通の一般の利用者ということもあると思います。最近ですと、シェアリングエコノミーと言われるプラットフォームサービスを使ってハウスキーパーとかスポーツトレーナーとか美容師さんとか、これまではどこかの事務所や派遣所みたいなところに登録してお仕事されていたような業態も、オンラインで簡単にお客さんを見つけられるようになってきておりますので、toCで働いているフリーランスも増えているというように認識しております。
○嵩構成員 ありがとうございました。
 そういった方々が、少しずついろいろなプラットフォームの発展などで増えてきているというところもあるというところですね。
○平田代表理事 おっしゃるとおりですね。なので、そこも含めてやはり、被用者性の定義を考えてそこを広げるというだけだと適用対象にならない方が非常にたくさんいらっしゃるということかなと思います。
○嵩構成員 ありがとうございました。
○平田代表理事 ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 本多参考人、お願いします。
○本多参考人 御説明ありがとうございます。
 勤労者皆保険の構築に向けた課題意識について、会社と個人をひもづけずにフリーランスは所得に応じて社会保険料を納付するという案を提案いただいています。提案いただいている仕組みを実現するには正確な所得捕捉はもちろんだと思いますが、例えば現在の社会保険料の算定の方法、これは労働者で言うと報酬、つまり収入で計算しますが、フリーランスの場合、提案いただいた内容では所得に応じての社会保険料になっています。フリーランスは所得に応じた社会保険料、労働者は収入による社会保険料の算定となれば、公平性も課題になってくると思いますが、そういった点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○平田代表理事 ありがとうございます。
 もしこうした仕組み、個人と会社をひもづけずにそれぞれ社会保険の財源をつくっていく仕組みにする場合には、そこももちろん揃えていくことになるかなと思います。会社員の方も給与所得ということで、この図で見ますと黒い人たちが会社員、緑の人たちがフリーランスということで、会社員もフリーランスも同じように所得を捕捉して、同じ方法で社会保険料も算定する。全て公平にやっていくというようなことを前提に考えております。
○菊池座長 よろしいですか。
 それでは、伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 ありがとうございます。
 盛りだくさんな貴重な資料と、あとすごく柔軟なアイデアを含めて御提示いただきましてありがとうございました。それに比べると私の質問はすごく初歩的なことで申し訳ないのですけれども、資料に即して言いますと8ページとか12ページのところを見ますと、フリーランスも多様であるというお話が先ほど来、出ているわけですが、それと被用者保険、協会けんぽとか厚年に入りたいかどうかというところをクロスして見た場合、どうなのだろうと。先ほどちょっと意外だったのは、年齢の高い人はあまり厚年に入るインセンティブがないというお話だったのですけれども、やはり年齢もありますが、どういう分野かによっても考え方とか思いが違うのではないかと思いまして、その辺りをクロスさせたらどんなことなのだろうかというのが分かれば教えていただきたいというのが一点であります。
 もう一つは、この検討会の検討範囲ではないかもしれませんけれども、雇用保険とあといわゆる社保を比べると、雇用保険のほうは入りたいという人が多いのに対して、いわゆる社保のほうはちょっと少ないという辺りですね。雇用保険の理由のところを見ると、やはり失業の関係もありますけれども、育休であるとか、あるいはいろいろな訓練給付とかそういうところには魅力といいましょうか必要性を感じておられる方もいて、そしてまた医療保険のほうを見ますと意外と傷病手当金、先ほどの赤石様のお話にもありましたが、その辺りが一つ入りたいというところにも関わっているかと思うのですが、その辺りの理解の仕方がそれで正しいかどうか、教えていただければと思います。
 以上、2点になります。
○菊池座長 お願いいたします。
○平田代表理事 ありがとうございます。
 まず1つ目、おっしゃるとおり、非常に多様という前提の中で、この職種別でクロスをかけたときにどういう結果になるのかというのはすぐにお答えできず申し訳ないのですけれども、恐らくは多少差が出てくると思いますので、少し私のほうで持ち帰って見てみたいなというように思います。
 雇用保険のほうが入りたい人が多いというところについては、恐らく理由は非常にシンプルで、調査の際に前提として示していた保険料シミュレーションの金額ではないかなと思います。雇用保険のほうもシミュレーションしていますけれども、大体年間で4万円弱、3万6000円ぐらいということで、それぐらいであれば払いたい、払ってもいいから保険に入れてほしいと思う方が7割いらっしゃるということです。
 一方、協会けんぽ、厚生年金のほうは、扶養の有無や年齢といった前提条件によって少し変わりますよということを見せているわけですけれども、年額では結構大きな金額になってしまいますので、今の個人事業主としての支払額との差分を見たときに、ちょっとそれだと払えないという方と、実際それでもいいから入りたいという方、それぞれいらっしゃるというところです。先ほどしんぐるまざあず・ふぉーらむさんの御発表の中でも、社保拡大について歓迎の方もいれば手取りが減るので困るという方、両方いらっしゃるという御意見がありましたが、フリーランスも同じで、いろいろな考え方の方がいらっしゃるのかなというようには思います。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、大体時間が来ています。では、最後に、佐久間構成員からお願いします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。全国中央会の佐久間と申します。
 資料の28ページに記載されている「気になる論点」について、先ほど海老沢先生が、おっしゃっていましたけれども、私も前回(令和元年)の適用拡大の会議からこの問題というのは大変興味を持っていました。特に法人成りをしている事業者と、それから、個人事業者、フリーランスと言っていいと思うのですけれども、事業者の方たちは、保険料の二重払いという言い方はおかしいのですが、事業者負担と個人負担、その二重に払うというのがやはり負担になるのだろう。ただ、労働者性がないフリーランスの方々が本来事業者及び個人分を負担しなければならないのに、いずれか一方の分でいいとか、それというのは、いいところ取りになってしまうのだろうなという感想を持っていたところです。本懇談会においては、これからまたこのような動きをどういうようにやっていくか協議していくこととなり、注目されるところです。フリーランス協会 様のアンケート調査を拝見させていただくと、やはりこの保険料の支払い金額が課題になっていて、「払い切れない」という意見が多くあるのに、フリーランスの中でも労働者性を有している就業形態のところの方々をどういうように組み込んでいくかとか、そういうのがこれからまた問題になるのかなと。
 もう一点は、適用拡大とは違う観点かもしれませんけれども、フリーランス協会は、一般社団法人で、フリーランス、ギグワーカー等の形態が注目されている中で、今、平田様をはじめ、皆さん、すごいいろいろな活動を行っています。例えば、対事業者に向けては、公正取引委員会が労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針をつくって、それで「価格交渉申し込み様式」により価格転嫁等の交渉を行うことが推奨されています。例えば一般社団法人の中に事業協同組合を組織化し団体交渉を行っていく。団体協約というのをつくって、この取引条件、労働条件とか社会保障の在り方とか、そういうのも対外的に交渉していくとか、何かお考えというか可能性があるかどうか、お伺いしたいのです。
○平田代表理事 ありがとうございます。
 まず1点目のほうが、ごめんなさい、私の説明の仕方がちょっとよくなかったのかなと大変反省しているのですけれども、個人事業主の方も労使折半がないのは嫌だから半分負担してほしいというようなことを言っているわけではなくて、むしろ保険料を払いたくても払えない、仕組みに参加できず払う資格がないということに問題意識を持っております。1人の人間と1人の会社の関係性の中で折半するということではなく、個人のグループと企業のグループで一緒に財源をつくっていくという見直しができないかというのが先ほどの思考実験の趣旨でしたので、繰り返しになりますが、発注者に半分負担してほしいというような話ではないということを御理解いただければと思います。
 後半の御質問について、少し御質問の趣旨と逸れるかもしれませんが、最近新しくできました労働者協同組合の仕組みに関する説明会をやったときに大変反響がありました。これはフリーランスのような働き方をしている方も複数人で労働者協同組合をつくることで社保に入れるかもしれないということで、そんな仕組みができたのか、よかった、やってみようかなというような声は聞いていたりします。当協会でもそういったどうしても社保に入りたいのだという方向けの一つの在り方として御案内をしたりはしているのですけれども、ただ、やはり事業者として個人で事業を営んでいきたいのだという方もいらっしゃいますので。今、いろいろ多様な働き方を志向する方がいらっしゃる中で、ライフリスクのセーフティーネットはみんなが背負っているリスクになりますので、しっかり中立な制度があったほうがいいのではないかなというようには思っております。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
 それでは、申し訳ございません。そろそろお時間、大分経過してございますので、これにてプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会様からのヒアリングを終了させていただきます。平田様、本日はお忙しい中、お時間をお取りいただきましてどうもありがとうございました。
○平田代表理事 ありがとうございました。
○菊池座長 以上をもちまして、本日のヒアリングは全て終了いたしました。
 全体を通した何か御意見などおありの方はいらっしゃいますでしょうか。特によろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議事、以上で終了とさせていただきます。
 本日、ヒアリングに御出席賜りました皆様におかれましては、貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございました。今後のここでの議論に生かせていただきたいと思ってございます。
 それでは、今後の懇談会の予定につきまして、事務局からお願いします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 次回は引き続き関係団体からのヒアリングを行う予定となっております。3月18日月曜日15時半から同じ全国都市会館で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
○菊池座長 それでは、これをもちまして、第2回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を終了いたします。
 本日、御多忙の折、お集まりいただき、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。