第98回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第98回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和3年6月18日(金)10:00~11:39
 
2.場所 AP虎ノ門 会議室Bルーム(一部オンライン会議会場)
     (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○慶應義塾大学医学部・大学院健康マネジメント研究科教授 武林 亨
○明治大学法学部教授 小西 康之
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○UAゼンセン労働条件局部長 髙橋 義和
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子

(使用者代表委員)
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎

4.議題
 (1)第97回労災保険部会 特別加入制度に係る主なご意見
 (2)労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱等について(諮問)
 (3)その他



5.議 事
○守島部会長 皆様方、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第98回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたしたいと思います。本日の部会は、オンラインで開催させていただきます。
委員の出欠状況ですが、宮智委員、中野委員、黒島委員、山内委員、二宮委員が御欠席と伺っております。また、水島委員は少し遅れて出席されるということでございます。出席者は現在13名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表のそれぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数は満たされていることを御報告させていただきたいと思います。
それでは、カメラ等はここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、早速開始させていただきたいと思います。第1の議題は、第97回労災保険部会特別加入制度に係る主な御意見でございます。資料1は、前回の部会において、特別加入制度の対象拡大について労使の委員の方々から頂いた主な御意見をまとめたものでございます。なお、本日は、前回ヒアリングを実施した団体から、日本フードデリバリーサービス協会の西村様、フリーランス協会の平田代表理事、ITフリーランス支援機構の高山代表理事の3名の方々にも御出席いただいております。
まず、事務局から御説明を伺った後、団体の皆様からも補足的な御意見、コメントを頂き、質疑応答への御対応もお願いしたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長の山田でございます。本日御審議いただくための資料として、資料1と資料2をまず御用意させていただいております。資料1ですが、これは前回の御議論の中で頂いた御意見を、簡単にダイジェストさせていただいたものでございます。これらにつきまして、主に各団体から改めて説明をということでお願いしたいと思っておりますが、その前に事務局から、制度的なところも含めて御説明をしたいというふうに考えております。
資料1ですが、まず最初のマルです。災害防止措置は本来企業が行うということですが、特別加入制度では特別加入団体が行うことになり、これはどのように維持していくかということでございます。御承知のとおり、特別加入制度におきましては特別加入団体が災害防止措置を行うということが前提とされております。この点について、後ほど各団体から、具体的にどのようなことを計画しているのかということについて御説明いただくということを考えております。
それから、2番目、自転車配達員について、保険料負担は請負契約の中で安全経費として上乗せして、配達員が実質的に負担しなくてもよい仕組みにする考えもあるのではないかといった御指摘でございます。労災保険法上は、保険料については特別加入団体が支払うということで、それをどのような形で収集するのかということについては、労災保険法上は特段の決まりはございません。それぞれの運用の中でやられているわけですが、これは現在、業界でどのような形で行われているのか、それを踏まえて今後どのように考えていくかということについて、後ほど団体のほうから御説明いただくということになっております。
それから、その下の2つですが、これはいずれも、自転車配達員、ITフリーランスについて、各団体、会員企業以外の所と契約している者も特別加入できるのかというふうな御意見です。これは当然、制度上はそういうことを前提に、団体を承認させていただいたということになりますので、当然そういうお答えになるかと思いますが、これも後ほど団体から御説明いただきます。
その下の御意見ですが、これは団体と事務局の両方に対する質問と理解しております。自転車配達員が事故に遭ったとき、特別加入団体を通じてプラットフォームがその事実を把握することになるのか。それから、事故に遭って保険を適用すると、警告が出てアカウントが停止されることもあると聞く。労災を申請することで、配達員に不利益が生じる仕組みがあると申請しなくなる。セーフティネットの在り方としていかがか。こういった趣旨の御指摘を頂いております。
まず、これについては、事務局から制度的な観点から御説明をさせていただきます。制度上、特別加入をするためには、特別加入団体を通じて加入手続を行い、この特別加入団体に労働災害の防止措置を講ずるということが求められているわけですので、当然その前提として、団体が災害の実態を把握するという必要がございます。
一方、発注元の企業、プラットフォームに対して、その事実を知らせることまで求められているというわけではございません。ただ、実態として、アプリなどを使用して業務を行うという事業の特殊性があるというふうに我々は認識しておりますので、そうしますと、実際に災害が発生した場合には、労働局、労働基準監督署が調査を行います。その際、発注元に対する調査ということも当然やっていく必要がありますので、その災害調査においては、事業者に対して、業務上外、業務上かそうでないのかということの認定に当たって、必要な調査に御協力いただくということは出てくることになります。その上で、これは特別加入制度の範疇ではなく制度上の話ですが、事故に遭って働けなくなるというふうなことになったときに、仮に形の上では請負契約になっていたとしても、配達員が実態としては雇用された労働者であるという形で認定されるというような場合には、業務上災害に遭ったことをもって解雇するということに相応する不当な取扱いになるだろうという、これは先ほどのアカウント停止の話ですが、そういう評価がなされる場合があり得るというふうに考えております。これは、実際には個別の判断になり、それぞれの状況に応じて調査した結果ということになりますので、あくまで一般論でありますが、そうなれば当然、労基法上の縛りと罰則もございます。
また、フリーランスガイドラインですが、各省庁で今年3月に出しましたガイドラインにも指摘されておりますが、プラットフォームを含む仲介業者が、フリーランスとの取引上優越した地位に立って、フリーランスに対してその地位を利用して正常な商慣行に照らして不当に不利益を与えるという、いわゆる独禁法上の優越的地位の濫用として問題となるということで、これも個別の事案によるということになりますので、当然そういうこともあり得るということです。そして、当然そんなことがあってはならないということではないかと思っております。現在の運用、その他今後の考え方については、団体のほうから後ほど御説明いただくということになるかと思います。
それから、資料1の下の2つですが、特別加入を広げることで社員が個人事業主化しないようにするということが必要であるということ、その上で、団体もそうですが、行政もしっかりと労働者性の確認をするということ、パンフレットなども使って周知をしていくべきだと、こういった御指摘を頂いております。これについて、行政側としては、先ほどもお話をいたしましたフリーランスのガイドラインの中で、フリーランスとして請負契約などにより仕事をする場合でも、契約の形式や名称にかかわらず、働き方の実態に照らして労働者に該当するという場合には、労働関係法令の対象になるということを既にお示しをしているということになります。
これまでも、労働基準関係法令の適用に当たりましては、労働基準監督署などにおいて契約の形式や名称にかかわらず、働き方の実態を確認して、労働者に該当するという場合には必要な保護を与えるということで、今後も当然そういうふうにやっていくということになります。ですので、フリーランスの方から、そういった労働関連法令に関する相談があった場合には、そういった方針で対応していきたいと考えております。
また、特別加入については、これまでも順次追加をしてきております。これまで、この審議会におきまして、芸能従事者、アニメーション制作従事者、柔道整復師、それから創業支援等措置といった類型について、特別加入をお認めいただいたところです。これらについても、契約形態にかかわらず労働者と同様の働き方をする場合には、労働者として保護されるのだということもございますので、契約、類型ごとに、あるいはそういった注意喚起も含めて、パンフレットを作成して周知をしておるということです。この自転車配達員、それからITフリーランスについても、同様に対応をしっかり進めていきたいと思っております。
それから併せまして、この機会にフリーランストラブル110番と、これはちょっとお配りしておりませんが、これは第二東京弁護士会が関係省庁、厚生労働省だけでなく、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁と連携をして、ここに委託をする形で、様々なトラブルがあった場合に直接電話をして相談ができるという、弁護士さんに無料で相談ができるといった窓口が開設されております。これも1つの機会と捉えて、特別加入団体を通じて、加入者に対してこういう相談窓口があるのだということを周知していくことも重要かなと思っておりますので、こういったことも進めていきたいと考えております。
それから、もう1点ですが、特別加入団体を経由して特別加入する場合には、当然申請書を出していただくということになるわけですが、保険料率制度、保険料率について、審議会ではこれまで3年に1度見直しのタイミングというものがあり、その中でいろいろ議論いただいているところでございます。労災保険部会では3年に1回ということでやっておりますので、次期の改定につきましては、直近でいけば令和6年度ということになろうかと思います。そうしますと、その前の令和5年の秋というところが1つのタイミングになろうかと思いますので、実際の加入状況や災害の実態、あるいは災害防止措置、実施状況について、後ほど特別加入団体からこういうことをやっていくんだということを表明していただきますが、実際の状況について、きちんとこの労災保険部会に報告してもらうことをお願いしたいというふうに考えております。
また、事務局としても、同じタイミングで、今回のこの2つの特別加入類型について、実施状況について報告させていただき、必要な御審議の材料として御提供させていただきたいというふうに考えております。
それから、資料1に戻っていただき、2ページ目です。使用者側代表意見ということで、御紹介させていただきます。自転車の配達員について、アプリに連絡が入ったら請負契約が始まって、配達が終了したら請負契約が終わるのでは、通勤というのは存在しないのではないかであるとか、あるいは、請負の間の休憩時間やタクシーの場合の客待ちとか、その辺りとの関係はどのようになるのかといった御指摘を頂いております。
まず、特別加入で入っていただいている個人タクシー、個人貨物運送業について、住居と就業の場所の間の往復の実態というのは正直なところ明確ではございません。ですので、通勤災害の保護の対象とはなっていません。ですから、これは業務に当たるかどうかという観点で見ておりますので、この自転車配達員についても同じように、そういった考え方で判断していくのかなというふうに思っております。
その上で、業務上なのか、そうでないのかという判断については、案件に応じた個別の判断ということになりますが、現行の旅客貨物運送事業においてはバイク便事業者も入ってきますけども、事業の範囲内で、例えば自転車の場合も自転車を運転する作業、あるいは貨物の積み下ろし作業、それからそれに直接付帯する行為を行う場合には、業務の遂行性が認められるということになると考えられますので、契約、登録の内容に照らして判断をしていくということになろうかと思います。
それから、特に自転車配達員の場合に想定されるものとして、注文された商品を受け取るために待っている間の事故ということもあり得るかと思っておりますが、これも業務遂行性の範囲として認められてくる範囲の中に入るのかなと思っております。また、ほかにも、例えば注文を受けるために注文の多い地区に移動している間の事故や、そこで待機をしている間ということも、中には出てこようかと思います。これは個別の判断にはなってまいりますが、契約の内容や登録、実際の就労の形態の慣行などを確認した上で、直接付帯行為とする行為として業務遂行性が認められるかどうかということを、個別に判断していきたいというふうに考えております。
最後に、旅客貨物の運送業と自転車との違いということで、もともと事業として安全対策が求められているというものと比較したときに、この自転車配達員について安全対策についてどうなのかという、将来的に災害の実態を踏まえて、旅客貨物運送業と自転車配達員について料率を別にするということも検討する必要があるのではないかといった御指摘を前回頂いています。
こちらですが、自転車配達員につきましては、既にあります自動車を運転して行う旅客貨物の運送の事業の業種に追加をするということで提案させていただいています。これは前回の繰り返しにもなりますが、現段階で確認できる調査結果の範囲で、自転車の事故それから原付自転車の事故とけがの対応が似ているということが示されていること、あるいは、団体からの実態調査の中で、同じ配達員が自転車を使う場合と、原動機付自転車を使う場合と両方があるというふうな実態もあるということもございましたので、自転車かそれ以外かということで分けるのではなく、別にしないということが適当かというふうに考えています。
今後、特別加入制度の利用の状況や、あるいは加入団体、もちろん業界団体も含むと思いますが、災害の実態の把握によって、自転車配達に従事する方の就労の実態や災害の発生状況といった情報が蓄積されていきますし、行政としてもその辺りをしっかり区分けして把握したいと考えております。その辺りの実態を整理した上で、次回、直近でいきますと保険料率の改定が令和6年4月ということになりますので、その改定に向けた検討が、恐らくその前の年の令和5年の秋ということになるかと思いますが、それに合わせて検討していただくための材料を事務局として提供させていただき、今後の検討につなげていくための準備をしてまいりたいと考えております。まず、事務局からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、続きまして日本フードデリバリーサービス協会の西村様からコメントを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 日本フードデリバリーサービス協会で共同事務局を務めておりますウーバージャパンの西村と申します。よろしくお願いいたします。本日は、前回に続きまして、こういったお話をさせていただく機会を頂けたことを非常に有り難く思っております。我々のほうからも、業務実態に即してお答えさせていただきますので、よく御審議いただけたらと思っております。冒頭、私のほうから、前回いろいろと御質問などありましたことについて御説明させていただこうと思っております。
最初ですが、特別加入制度へのニーズという点でお伝えいたします。フードデリバリーなどで活動いただいている自転車の配達員の方々ですが、常に交通事故のリスクと隣り合わせに活動しております。また、複数の事業者に登録している配達員も多く見られます。事業者では、そのリスクへの補償を図るべく民間保険を用意しておりますが、事業者ごとに事業モデルが異なることから、民間保険でカバーしている範囲が異なっております。
各事業者において、あるいは当協会としても、民間保険の給付内容の充実を図るために努力をしてまいりますが、民間保険がカバーしている内容とは異なるニーズも配達員にあるものと考えます。例えば、労災保険のほうが療養の給付が手厚かったり、あるいは遺族年金が付与されたりすることが、民間の保険と違っているところかと思っております。配達員の方々が安心して働くことができるためには、配達員それぞれのニーズに即した保険の選択肢が必要であり、今回、特別加入制度への適用を要望させていただいたものになります。もちろん、セーフティネットが整備されるだけでは十分ではないと考えております。セーフティネットの整備と災害防止に向けた取組が、車の両輪として進められる必要があるものと考えております。当協会としても、セーフティネットの整備とともに、災害防止に向けた対策を徹底し、業界を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
次に、特別加入団体における災害防止措置について説明します。当協会としては、バイク配達の特別加入団体などの既存の労災保険組合に依頼して、自転車配達員の特別加入団体の構成員になっていただく予定でおります。特別加入団体となる労災保険組合においては、災害防止規程を定めて、当協会も連携しながら配達員向けの安全講習の実施、これは遠隔の加入者にはオンラインで実施することも考えておりますが、こうしたことですとか、あるいはチェックリストへのクリックを求めるような双方向性を確保した研修、単なる座学で聞き流しするだけではなく、ある程度お互いインタラクティブにやり取りするような教育効果の高い講習、そういった研修を実施して、交通安全の啓発活動を進めて、加入者の災害防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、保険料負担の在り方についてお話させていただきます。保険料負担は、請負契約の中で安全経費として上乗せしてはどうかという御指摘がありました。このような御指摘があるということは、前回直接伺っておりますので理解しているところです。例えば、現時点で事業者においても、配達員として登録する際に、民間の保険に加入していることを申告した上で登録する仕組みになっている所もあります。こういった事業者では、配達員が保険料を負担しているという前提で配達料金を設定されていて、かつ、その配達員の方も、自分たちの負担も踏まえた上で、提示されている配達料金を受け入れる形で配達されているものと見ております。
ただ、特別加入の保険料負担の在り方については、事業者ごとに事業モデルがかなり異なっております。会員企業を見ても、配達料金の設定状況ですとか、保険付保の仕組み、これを会社で保険を付けている所や、登録する際に配達員自ら保険に入っておくというような仕組み、幾つかそういった仕組みの違いがあります。それから、配達員の希望などもあります。フルタイムに近い形で配達されている方もいらっしゃれば、本当に隙間時間に2、3時間、1日のうち少し稼働するという方もいらっしゃいます。そういった配達員の方々の希望なども踏まえて、個別にしっかりと検討していくものと考えております。先ほど申し上げたように、事業者ごとに事業モデルが異なっておりますし、また、最近特に増えているというか、この業界特有のものと思うのですけれども、複数の事業者、プラットホームに登録している配達員もかなり多く見られます。ですので、実現に当たっては、検討すべき課題はかなり多くあるものかと思っておりますけれども、こういった御指摘があったことについては、JaFDAの会員企業にしっかりと伝えてまいりたいと思っております。
いずれにしても、配達員の方々が安心して働くことができる環境を構築すること、これは必要不可欠なことだと認識しておりますので、業界を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
次に、特別加入団体の加入手続についてお話します。こちらですが、当協会が特別加入団体として設立する労災保険組合、あるいは既存の労災保険組合がそうした特別加入団体を担っていただいて、自転車配達員の加入を受け付けていただくような形で、こちらを軸に考えております。この労災保険組合では、加入する配達員の方は、特にJaFDAの会員企業の配達員ということには限定せずに、ほかの企業と契約されている方であっても、この労災保険組合を通じて加入手続ができるようにしていくべきだと考えておりますし、そのようになる予定です。
次に、ペナルティの問題についての御指摘がありました。事故に遭って保険を適用するとアカウントが停止されるのではないかというものでした。御指摘については、特別にどういったものがそれに該当しているのかということまでは、詳しく把握はできていないのですけれども、一般論として申し上げるとすれば、労災を申請することで何かしら配達員の方に不利益が生じるというものは望ましくないと我々のほうでも考えております。かつ、怪我をしたことをもって、一方的にアカウントが停止されるといったことはないと認識しております。
事業者の運用としては、例えば法令に反して他者に損害を与えたり、あるいは迷惑をかけるような行為が明らかにあった場合には、しかるべき対応を取っていると認識しております。これは、事業者が定める契約の規約や、あるいは配達パートナーに対するガイドラインにおいて、こういった観点から法令遵守ですとか、周りの方々に迷惑をかけないというような規定なりガイドラインが設けられております。当協会の会員企業では、配達員をアルバイトとして直接雇用したり、業務委託をしたり、マッチングサービスのみを提供したりするなど、様々な形態で事業を行っております。当協会としては、こういった多様な業務形態を尊重した上で、業界横断的な施策を推進する立場にありますけれども、いずれの会員企業においても、法令を遵守するとともに、先ほど山田課長からもありましたけれども、省庁で定めていただいておりますフリーランスガイドラインに沿った形で事業を行う必要があると考えております。こういったことを会員企業に対して周知を徹底していきたいと、我々のほうでは考えております。
次に、正社員の個人事業主化への対策といった話がありました。本来、雇用契約を結べるべきものが個人事業主化しないように何か取組があるのかといった質問がありました。このフードデリバリーサービス業界ですけれども、特に近年急成長しておりまして、社会的な認知度も高まっていることから、我々としても、法令を遵守して健全に発展していくことが重要であると考えております。こういった中で、当協会の取組課題の1つとして、配達員との適切な関係性の構築を掲げて活動しているところです。このようなテーマで座組みを講じて、より活動を活発化していこうと考えております。
御指摘があった個人事業主化といったような、こうしたトラブルを避けるためにも、会員企業に対して、今一度厚生労働省などから示されているフリーランスガイドラインに沿う形で事業を行うようにということを周知徹底して、業界全体での信頼を高める努力をしていきたいと考えております。
最後に、事務局から御提案がありました次回の、数年先になりますけれども、審議会への報告について、我々のスタンスとしてもお伝えしたいと思います。こちらの特別加入制度の加入状況等についての審議会の報告ということについては、今後特別加入団体となる労災保険組合にも、こういったことがあるということは確実に伝えてまいりたいと思っております。数年後に審議会への報告をするといった場合には、当協会としても労災保険組合と一緒になってしっかりと対応していきたいと思っております。冒頭の説明は以上となります。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。続きまして、フリーランス協会代表理事の平田様よりお願いをいたします。
○フリーランス協会平田代表理事 よろしくお願いいたします。ただいま御紹介いただきましたフリーランス協会の平田です。本日もこういった議論の場にお招きいただきましてありがとうございます。当協会からは、自転車配達で働いている方々の特別加入へのニーズについて補足させていただきたいと思います。
自転車配達員の方々は、その就業実態から、常に交通事故のリスクと隣り合わせでして、労災保険のニーズはほかの職種よりも高いと考えています。実際、私たちが全国中央会から御提供いただいている団体保険について、自転車配達員の方からの問合せ件数やSNSなどでの口コミが、ほかの職種と比べて格段に多く、そのニーズの高さを感じております。当該団体保険は当協会の加入者の加入率が高いということで、全国中央会様からも最もよい割引率を御提供いただいておりまして、当協会としてもその加入を推奨しています。
自転車配達員の方向けの傷害保険プランですと、具体的な補償内容として、年会費1万円の中で、賠償責任保険やほかの福利厚生に加えて、傷害時に入院で日額1,100円、通院で日額500円の給付となっており、2週間入院した場合の給付が1万5,400円という形になっています。また、オプションで追加の保険料を払うことで、収入、けが、介護の保険にも加入することができます。ただ、実際に問合せを頂いていても、年会費見合いで給付内容が十分ではないという理由で加入されない方もいらっしゃいますし、現時点において傷害保険プランに加入している自転車配達員の方で、保険料を上乗せして認意加入の収入、けが、介護の保険に加入している方はいらっしゃいません。民間保険の給付内容の充実を図るために、当協会としてもできることを努力していきたいと思っているのですが、やはり民間保険でカバーできる範囲には自ずと限界があるとも感じております。
自転車配達員の方々の事故リスクというのは、交通事故によるけが、傷害、死亡などでありまして、本業を抱えながら隙間時間で働いている方にとってもそうですし、生活に困窮して仕事を求めて、主たる収入源として自転車配達員の仕事をされている方にとっても、両方にとって療養の給付はもちろんですが、休業補償、傷害補償、遺族補償まで手厚くカバーされる労災保険の特別加入制度のニーズは極めて高いと感じております。
今回、事務局のほうで御提案されている保険料率ですけれども、1,000分の12で給付基礎日額5,000円を選択した場合の年間保険料が2万1,900円になると思います。この金額で必要な治療が無料で受けられるだけではなく、仮に20日間休業した場合に、6万8,000円の休業補償給付が受けられ、万が一障害が残った場合には、障害等級第1級で、少なくとも年額498万5,000円の障害補償給付が受けられます。
また、万が一事故に遭ってお亡くなりになってしまって、遺族が4人いらっしゃる場合には、年額422万5,000円の遺族補償給付も受けられます。こうしたことから、年間2万1,900円の保険料負担からすれば、かなり手厚い給付が受けられると思いますので、特別加入制度へのニーズはあるのではないかなと思います。私からは以上です。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。最後になりますが、ITフリーランス支援機構代表理事の高山様からコメントを頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 ITフリーランス支援機構の代表理事の高山です。本日はこのような場を頂きまして誠にありがとうございます。それでは、早速お話申し上げたいと思います。
まずは、お尋ねの件にお答えする前に、特別加入制度のニーズという観点で少しお話をさせていただきます。IT人材が様々な国での奪い合いとなっていく中で、高度な技術を身に付けて、幅広い業種、業界を渡り歩いて、経験を積みながらキャリア形成しているITフリーランスという方々が近年急速に増えてきております。フリーランスとして働いているIT人材も、雇用等されているIT人材も、災害の実態という意味では、過度なストレスとか、過重な労働に起因する精神疾患、脳・心臓疾患の事例が中心になっているのかなというように考えております。
一方で、ITフリーランスは雇用されているIT人材と異なって、孤立しがちで、問題を抱えてもどこに相談すればいいのか分からないといったような状況に置かれているのを事実確認しています。また、高度な技術を身に付けたITフリーランスが、問題を抱えてもどこにも相談できずに、精神疾患、脳・心臓疾患にかかってしまって働けなくなるという由々しき事態になり、看過はできないのではないかと考えています。
ITフリーランスの受け皿となるような相談窓口を設けまして、災害防止に向けて取り組むことが必要であると同時に、万が一の災害に備えたセーフティネットの整備というのが必要と考えています。現に、当機構の会員企業の共済には、稼働しているITフリーランス2,000人の3割に相当する600人強が加入しているという実態ですとか、あるいは当機構の会員企業によるITフリーランスを対象とした労災特別加入制度に関する意識調査において、86.3%の方が特別加入に加入したい、若しくは検討したいと回答していることもありますので、ITフリーランスの労災保険へのニーズは高いと考えています。
続きまして、お尋ねいただいた特別加入団体における災害防止措置をどうするかという論議がありますが、当機構としましては、セーフティネットの整備とともに、災害防止に向けた対策を徹底して取り組んでいきます。加入者に対しまして、当機構の作成したパンフレットの配布、厚生労働省が提供する災害防止セミナーやパンフレット等による情報提供、あとはメンタルヘルスの窓口の案内を行うとともに、双方向でのやり取りに重点を置いた講習や研修の実施に力を入れて取り組んでまいりたいと考えています。
特に、メンタルヘルス対策については専門的な知識が求められると思っておりまして、当機構だけではなく、民間を含むメンタルヘルス対策の関係機関、施設と協力して、窓口の案内や必要な情報の提供などに取り組んでいきたいと考えております。また、窓口では単にオペレーターを配置するということだけではなく、専門的に相談に対応できるような人を配置するということも目指して検討を進めているところでございまして、いずれにしましても、実効性のある災害防止措置が講じられるように取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、特別加入団体の加入手続に対するお尋ねですが、今回、当機構が特別加入団体となる予定でして、当機構の法人会員企業以外の企業と契約をしているITフリーランスの方々であっても加入手続ができるようにする予定です。
最後に、正社員が個人事業主化しないようにするための取組に関しての御質問ですが、特別加入団体として加入を希望する方が申請に来られた際に、フリーランスの方が形式上は請負ですとか委任の契約形態になっていても、実態として労働者と同様の働き方をする場合には、労働者性の観点から労働者として保護される可能性があるということを、しっかりと説明するように徹底してまいりたいと考えております。併せて、会員企業に対しましても、厚労省から示されておりますフリーランスガイドラインを活用しまして、労働者性の観点から、労働者として保護される可能性があることを周知していきたいというふうにも考えております。
それから、事務局のほうから御提案のありました特別加入制度の加入状況等についての審議会への御報告の件につきましては、しっかりと対応させていただきたいと思っております。以上になります。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明、御発言について、御意見それから御要望、御質問等がありましたら、チャットのメッセージから発言希望と記入されて、私が指名したら発言をお願いいたしたいと思います。では、田久委員、お願いいたします。
○田久委員 皆さん、新たに再度説明していただきましてありがとうございました。幾つか気になるというか、自転車配達の関係でいきますと、セーフティネットの確立という部分では保険料がかなりのネックになるのではないかというのは感じています。
私が所属する団体、建設に関係しますと、やはり掛け金の高さというのは加入を抑えてしまうし、金額を低いところに抑えてしまうということになると、本来の意味をなさないような気もしますので、できれば業界の中でそういった統一的に請負金額の中に込みにするのではなく、安全経費などを確立できるような体制作りにしていただきたいところです。そうしないと、込みであると、どれが安全経費として支払われているかというのが確認できなければ、実際問題として労働者としての部分では、込みであればそこを削る、本当の意味でのセーフティネットにはならないのではないかと感じています。その辺の部分というのは、今後そういう検討がされるかどうかも含めたことについて聞きたいなということがあります。
もう1つ、ITの部分で、先ほど言ったように、正社員が個人事業主化をさせないようなことは、きっちりその部分では、いわゆる適正な請負いであるかどうかを確認するようなことだというふうに認識はしますが、仮にそういう部分というのはどういったところでチェックができるのかというのは少しお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○守島部会長 ありがとうございます。団体のほうからどなたか、では西村さん、お願いします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 フードデリバリーサービス協会の西村です。頂いた質問ですけれども、まず今回の保険の料率が高いのではないかといった点と、あとはその料率を踏まえて保険料の負担というのを、込みというよりは、安全経費として上積みしていくべきではないかといような御指摘と理解しております。
保険料率の設定についてですが、今回は自転車の配達ということですけれども、バイクの配達と同じ料率を準用するという形で設定したものとなっております。ただ、御指摘のとおり、保険料の負担というのはなるべく低いほうがよろしいわけで、当協会としてもなるべく低くしていくという、つまりはリスクを下げていって事故率を下げていくということが必要だと思いますので、特別加入団体に今後なる労災保険組合とも連携して、災害防止措置を徹底して取り組んでいこうと思っております。また、会員企業とも連携して、こういった災害防止措置というのに取り組んでいきたいと思っております。
もう1つの論点であります安全経費として保険料を組み込むべきではないかといったお話です。こちらの保険料負担の在り方については、先ほども冒頭で申し上げたとおりですが、事業者ごとに事業モデルが異なっておりますので、各社の料金設定の仕方ですとか、あるいは保険付保の仕組みも異なっております。そういったところも個別に勘案しながら検討していくべきものと思っております。
いずれにしても、各事業モデルが異なった事業者が集まった団体ではありますし、かつ、違う事業モデルが組み合わさった中で、複数の事業者に登録しているような配達員も数多くおります。こういったことで、幾つか整理をしていかなければいけない部分がありますので、今回こういった御指摘があったことは、JaFDAの中でも会員企業にしっかりと伝えていきたいと思っております。
我々はこういった仕組みを利用して、配達員の方が安心して働けるような環境を構築していくことが、この業界が発展していく上で非常に重要なことと認識しておりますので、業界を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 では、ITフリーランス支援機構から、お尋ねの正社員の方をいたずらに個人化させないためのチェック機能ということで、これは繰り返しにはなりますが、加入を希望されるIT人材の方々に対しては、しっかりと個人事業主が働くという部分の全体像を説明した上で、単純に特別加入できるからという理由だけで個人化しないというところは、まずきちんとお話させていただくということです。繰り返しですけれども、実態として労働者であれば労働者の観点で保護されるということは、しっかりとまず理解していただくことが重要かと思っています。
企業に対しても、フリーランスのほうも両方ともそうなのですけれども、こういった考え方を啓発していくような取組が必要でして、支援機構として必要な限りセミナーとか講習会などを開催して、きちんとこの辺りをしっかり伝えていくというのが重要かと思っています。あとは、チェック機能を働かせていくためにどういった有効な手段があるかというのは、是非検討会を立ち上げて、その検討会の中で業界全体でチェック機能を話していくような施策などを考えていきたいと、本日の御指摘で考えた次第です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、安原委員に発言をお願いしたいと思います。
○安原委員 両団体の皆さん、御説明ありがとうございました。私からは、主にフードデリバリーの関連で質問させていただきます。本日の御説明で、会員企業以外の企業と契約している自転車配達員であっても、この特別加入団体を経由して特別加入するということを可能にするという御説明がありました。これに少し関連しますが、特別加入をどういう業種で追加していくかという論点からすると、今回は「自転車を使用して行う貨物の運送事業」という形での追加といった考え方だと理解しています。
その場合、食品以外の貨物、貨物の中身が何かによらず、食品以外の配達であって、請負契約によって自転車を使って貨物を配達する者についても、この新たな特別加入団体を通じて加入ができて、防災のための安全衛生教育等も実施されるという理解でよろしいのでしょうか。どこまでの範囲を想定した特別加入制度をお考えかということを確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、西村さんになりますか。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 事務局のほうからもお話いただくほうがいいと思うのですけれども、我々の事業者の実態のほうから申し上げますと、事業の実態として、もともとフードデリバリーを中心に発展してきたこの業界ですけれども、各社とも食品以外のものにも配達対象を広げております。例えば、コンビニからの配達であるとか、あるいはドラッグストアからの配達であるとか、あるいは電化製品ですとか、最近は靴下屋さんからの配達といったものもスタートさせています。この場合、使用するものによって外形的に何を運んでいるかというのは、非常に判断というのは難しいですし、あるいはそのオーダーというのも、他の食品配達と同じようなタイミングで入ってくるわけですので、この辺りを明確に区分していくというのは事業上なかなか難しいと思っています。
あるいは、配達するものの内容によって事故のリスクが大幅に変わるとか、そういったことがあるわけではないですし、一連の活動の中で配達の活動の中で行っているものなので、特に何を配達しているかということに区分なく、この保険は適用いただきたいと思います。この辺りは制度的に、そういった考え方でよろしいのでしょうか
○労災管理課長 では、私から補足をさせていただきます。今回の御提案は、食品を自転車で配達するということに限っているわけではありません。ですので、それ以外の物品も当然入るということを前提にしています。もともとフードデリバリーサービス協会さんといろいろ相談する中で、協会の目的としてはフードデリバリーになっているので、実態はどうしますかということを何度か確認いたしましたけれども、実際のモデル、事業内容も多角化しているというお話も頂いていますし、今回特別加入に入れるということであれば、それは分けてやるべきではないと考えています。かつ、その辺りは分けるということではなく、加入を促進していくと頂いていますので、そこは特に問題ないかなと思っています。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。
○安原委員 ありがとうございました。
○守島部会長 では、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 前回に引き続き、御説明いただきましてありがとうございます。説明をお伺いしておりますと、配達途中に負傷などして保険を申請したことでアカウントが停止されることはなく、法令違反とか各社のガイドライン違反、規約違反があった場合にしかるべき対応を取っているのだと、こういうことかと思うのですが、これから設立される特別加入団体については、そうした法令や各社のガイドライン、規約が無理なく守れるような安全教育を行っていくことが不可欠だろうと思っています。
その上で、西村様への質問が何点かございます。このガイドライン、規約というのは、加盟している各社で作っているものということで理解してよいのでしょうか。また、業界としてのガイドラインがないとすれば、今後整備する予定はあるのかというのをお伺いしたいのが1つです。
2つ目は、そのガイドラインや規約については、配達員にきちんと周知されているものなのか教えていただきたいということです。
それと、ガイドライン規約は一方的に、いつの間にかそこで働く人たちの知らないままに、変更されていたということはない、という理解でよいのかというのが3つ目です。この3つ目の質問については、西村さんと法的な面について厚労省の事務局へも質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。では、西村さんから、まずお答えいただけますか。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 ありがとうございます。1つ目の質問で、ガイドラインについて各社で作っているのか、あるいは業界全体として業界横断的に何かガイドラインを作るような動きがあるのかといった御質問でした。
こちらですけれども、アカウントの運用というのは各社ベースで行っておりますので、運用というのは、各社ベースで行っていますので、ベースとしては個社ベースでこういったガイドラインは策定していると認識しています。私が所属しているウーバーにおいても、配達パートナーに対するコミュニティガイドラインという形で、法令遵守は当然ですけれども、回りの方々に迷惑をかけないような活動をしていくということで、具体的な内容が記載されています。ほかの会社のおいても同じように、それぞれの規約なりガイドラインというものがあって、配達パートナーの方々と一緒にそういったマッチングの活動なり、あるいは業務委託といった形で活動をしているものと認識しております。
これを業界横断的なガイドラインといったものを作るのかといったことですけれども、個別の配達パートナーがどういうふうに活動すべきなのかといったところを業界団体として作るといった動きは、今のところはありません。何か標準約款みたいなものを作るといったところまでは、まだ中では議論はしていません。
ただ、各事業者が取り組むべき交通安全のガイドラインということについては、業界の中で考えていくべきだという話をしていますので、こちらのほうは検討しています。ですので、間接的に事業者が守るべき業界ガイドラインといったものがあって、それに基づいて各社が配達パートナーの方々に対して、どういうふうなガイドラインなり規約を設定していくのかという形で、これは業界として間接的ではありますけれども、安全教育の徹底や交通安全の向上といったものが図れるのかと思っています。
2つ目の御質問で、こういった規約やガイドラインをしっかりと周知すべきではないか、配達パートナーの方にしっかりと周知していくべきではないかといった御指摘がございました。こちらについては、当然そのようなことをやっていまして、各社によってやり方はそれぞれ違ってくると思うのですけれども、まず、規約や交通ルールといったものは、繰り返し配達員の方に意識してもらうように活動しています。
例えば、登録をしていただいたときにそういった規約に同意いただくといった形で、まず入口でそういったものを認識していただいています。あるいは、アプリを立ち上げるたびに、例えばチェックリストみたいなものが出て、こちらにチェックしたりというような形もありますし、メールやアプリ内でのメッセージ配信によって安全対策というのも、これも配達パートナーへのガイドラインに沿った形で配信している場合もあります。そういった形で、配達パートナーの方、配達員の方々にも、このガイドラインというのはいろいろなタイミングで御理解いただけるような対応をしていると認識しています。
3つ目の御質問で、このガイドラインなり規約が改定された場合、しっかりと周知すべきではないかといったお話がありました。こちらについても、我々もそのとおりと認識していまして、当然配達パートナーガイドが改定されたときは、そういったものが把握いただけるように対応しているところですし、あるいはその内容がだんだん変っていくにつれて、例えばチェックリストの内容も見直しをしていったりとか、メール配信するリマインドの内容というのも、配達パートナーのガイドブックなりガイドラインなりに即した形で、どんどんアップデートしていくといった対応になっています。そういった形で、各会社においても、しっかりとその辺りは、配達パートナーの方に誤解がないような対応をしているのではないかなと認識しています。
○守島部会長 事務局から補足をお願いします。
○労災管理課長 最後の点について補足をいたします。仮にの話で、実際の契約を見たときに、これが労働法の適用だという話になれば、これは言うまでもなく労働基準法あるいは労働契約法の適用ということになりますので、その観点からの規制ということになってきます。
そうではないと、いわゆるフリーランスの世界でということになった場合も、これは既に4省庁でお示ししているガイドラインの中に、フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項として縷々掲げられています。簡単に読み上げますと、フリーランスが自由で自主的に判断し得ない場合、これは交渉面の格差ということが前段に書かれているのですが、発注事業者との取引において、取引条件が一方的に不利になりやすいということを述べた上で、発注時の取引条件を明確にする書面の交付に係る基本的な考え方などが示されています。
具体的な提供については個別の判断ということになりますし、ちょっと私のほうから申し上げるのは非常に難しいのですけれども、下請法あるいは独占禁止法といったところの適用の中で、この中にも事例によっては、独占禁止法上不適切であるとか、あるいは先ほど申し上げましたけれども、優越的地位の乱用といったケースも多分あり得ると思います。
そういったことで、法令を、労働法の世界も当然ですけれども、そういった下請法あるいは独占禁止法といったものもあるわけですので、そういったこともきちんと意識していただきながら運営していただくものと考えています。これは特別加入制度そのものということではありませんけれども、そういった観点からやっていただくべきものと考えています。
○守島部会長 ありがとうございます。
○仁平委員 御回答ありがとうございました。1点コメントよろしいでしょうか。
○守島部会長 どうぞ。
○仁平委員 業界の健全な発展ということのためにも、このガイドライン及び各社の規定について、そこで働く人たちが納得できて、それが社会的に見ても妥当なものとなるように、引き続き整備を図っていただきたいと思いますし、是非トラブルが起きないような運用をしていただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。では続いて、楠委員、お願いします。
○楠委員 先ほどフードデリバリー協会の西村様から御説明がありましたように、労災申請をすることによって不利益が生じることは望ましくないと、これは当然だろうと思います。ただ、労災申請をすることで、何らかの制裁といいますか、不利益が怖くて、結果的に配達員自らが「労災隠し」を行ってしまいかねないという、そのような業界構造があるとすれば好ましくないと考えます。そうした事態に陥らないためにも、労災申請をすることが配達員の報酬や契約上のデメリットとならないように、業界としてどのような対策を講じることができるのか、フードデリバリー協会としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
さらに、厚生労働省には、こうした労災隠しが起こらないように、引き続き必要な対策をお願いしたいと思います。以上です。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。では、西村様、いかがでしょう。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 御指摘ありがとうございます。労災保険を申請することで不利益になることは望ましくないということで、そういったことにならないように、業界としても構造的にしっかりと労災隠しが起こらないような形に持っていくべきではないかといった御指摘と理解しています。
こちらの御指摘ですけれども、正におっしゃるとおりでして、我々としても労災保険について、せっかく特別加入を認めていただいたにもかかわらず、労災隠しみたいな形で使われないというのは非常によくないものだと思っています。怪我なり何かしらの問題があった場合、しっかりと労災保険でカバーしていただけるように、配達員の方々にも活用いただきたいと思っています。そういう意味でも、各社あるいは業界としても、制度についてしっかりと周知をしていって、もしアカウントの停止であるとか何か不利益なことが起こるのではないかというような、そういう懸念があれば、その懸念の払拭といったこともしっかりと情報発信していければと思っています。
何よりも、労災隠しとかがあるという懸念点というのは、交通法規違反によって何かしら隠したいということが起こってしまうということも懸念されます。そこについては、やはり交通安全教育というか啓発活動というのは非常に大事になってくると思いますので、そういった交通違反によってやましい状態になって、隠していくということにならないように、交通ルールの遵守といったことは繰り返し配達員の方々に啓発していくなり、あるいはそういった注意喚起の機会というのも設けていくべきと思っています。
この辺の交通安全の教育については、特別加入団体になる労災保険組合からの災害防止措置として行うことが軸としてありますけれども、業界団体としても会員各社に通じてそういった安全教育の徹底といったことを周知していって、これは本当に業界全体での問題となりますので、業界を挙げて安全対策に取り組んでいきたいと思っています。
○守島部会長 ありがとうございます。では、事務局から補足をお願いします。
○労災管理課長 それでは、私のほうから御説明いたします。御指摘のありましたような労災隠しということは当然あってはならないわけです。とりわけ明確に申し上げられることは、仮にその方が労働者だということになれば、当然労働関係法規の適用があるわけですので、これについては労働安全衛生法に基づいて、いわゆる死傷病報告が求められています。これを提出しないとか、虚偽の内容を記載して提出するということになった場合には、事業主に対して50万円以下の罰金といことで、刑事罰もありますので、当然こういったことも認識していただいた上で事業をやっていただくべきですし、我々もこういったことがないような周知の徹底を図って行きたいと考えています。
○守島部会長 ありがとうございます。では、髙橋委員から御発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○髙橋委員 御説明どうもありがとうございました。今年4月に新設されました芸能従事者などの省令改正と、これに関する通達の内容を拝見しますと、当面の事務処理としまして特別加入者が被災した場合には、特別加入団体において加入者から聞き取りなどを行うことによって、災害状況の把握に努め、実態を踏まえた災害防止措置を行うように積極的に周知することというような記載があります。
例えば、脳・心臓疾患に罹患した場合には、過重労働を原因としたものかについて認定を受ける際に、就業時間や健康状態の記録が不可欠になると思うのですが、これを加入者自身が意識してきちんと記録を取って、それを保管管理をするということ、そして加入団体においてはその実態を把握して適切な予防措置を行うこと、これらを求めているのだと解釈をすることができます。両団体へのお願いということになるのですが、労災防止措置の1つとして、日頃からそうした記録を取っておくことや、記録が必要だということを、加入者に対して十分に周知をしていただきたい、というのが1点です。
その一方で、実態を踏まえた災害防止措置を行おうとした場合には、災害の発生状況の把握が必要だと思いますが、冒頭の御説明にもありましたとおり、複数のプラットフォームを掛け持ちしている方、あるいは複数の仕事を掛け持ちされている方がいらっしゃると思うのです。そういった方が被災した場合には、複数の仕事を通じてどれだけ仕事をしていたのか、こういったことについても確認をすることが必要になってくるのだと思います。厚生労働省のホームページなどを見てみますと、マルチジョブ健康管理ツールといったアプリも紹介されています。こういった複数の仕事をされている方の仕事の状況をどのように把握しようと思っておられるのか、この辺りについてお聞かせいただきたいと思います。
それから、特別加入団体として労働時間やメンタル対策について十分な安全性教育を実施いただくこと、これらに加えまして、外部からなかなか見えにくいハラスメントなどについても相談窓口を整備して対応できるように考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、両団体の方からお答えいただければと思います。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 では先に、今度はITフリーランス支援機構から。
○守島部会長 高山様、よろしくお願いします。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 まず、業務の実態の把握という部分からなのですが、現状、ITフリーランスの方々が発注先と契約をして業務をする際に、どうしても報酬を請求するという必要性から、いつにどれだけ働いてどんなことをしたという稼働時間を含めた記録を取ることが一般的になっていて、それを報酬を請求する際のエビデンスとして付けていくというのが、業界的には一般的になっています。一般的ではあるのですが、更に労災認定にのっとって有効になるように、加入される際にしっかりとそこは併せて啓蒙していく必要があるのかと思っています。万が一、加入者の方々が被災した場合には、そういったエビデンスに基づいてしっかりと加入者から聞き取りを行っていきながら、どういった災害が発生したかという状況の把握をしていくということが、当支援機構の務めになってくるかなと考えています。
2点目のお尋ねで、ハラスメント等メンタル面も含めたケアということで、これは先ほどのお話にありましたとおり、国のフリーランストラブル110番と緊密に連携して対応していくというところを視野に入れて取り組んで行きたいと考えています。簡単ですが、以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、西村様、いかがでしょうか。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 フードデリバリーサービスからお答えいたします。1点目は、稼働実態をしっかりと記録するということを周知すべきだというお話でした。こちらについては、労災保険に加入された方に対して、特にその辺りをしっかりと意識していただきたいと思っております。
併せて、フードデリバリーのアプリの中でも、自分たちの稼働した時間が記録されるようになっていて、これはいろいろな見せ方というか仕様が各社のアプリで異なっているとは思うのですけれども、例えば私が属しておりますウーバーのアプリですと、アプリを立ち上げてオンラインにしている時間といったものが毎日記録されます。過去に遡ってこれを把握することもアプリ上でできますので、そういった形で自分たちがどれくらい活動したのかといったものは、アプリを通しても把握いただくことができると認識しています。
2つ目の御指摘で、複数のプラットフォームを利用している人たちについても、どうやって稼働時間を把握するのか、勤務時間を把握するのかというお話がありました。これも多分アプリごとに少しずつ仕様が異なっていると思うのですけれども、それぞれのアプリで稼働した時間というのがアプリによって分かってきますので、この稼働時間ということを通して把握していければと思っています。
ただ、複数のアプリを同時に立ち上げている方も多数いらっしゃいますので、重なっている部分は各自しっかり把握いただかないと、個社のアプリ上ではほかのアプリが上がっているかどうかというのは分かりませんので、その辺りを少し注意をしっかりしていかなければいけないと認識しています。
最後の御指摘で、ハラスメントですとかメンタルケアについてしっかり行うべきだといったお話がありました。こちらですけれども、それぞれのプラットフォーマー、事業者が準備している配達員のためのサポートデスクのほうで、こういった対応はしています。ですので、例えば配達をしていて、配達先の方に渡したときにすごく不快な思いをしたとか、何か問題があったといった場合には、サポートデスクのほうに連絡を頂いて、サポートデスクのほうでしっかりとした対応を行うといった流れになります。
こういった事業者での対応というのもございますけれども、先ほど事務局のほうからも御案内がありましたフリーランス110番といったサポートの体制も国のほうでも用意いただいていますので、そういったものも活用してハラスメント対策といったものは進めていければと思っています。以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、田久委員にもう一回御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○田久委員 すみません、再度お願いします。先ほど西村さんに質問した私自身の意図は、セーフティネットである以上、やはり掛け金がネックにならないような体制作りというのがすごく重要だという意味合いでの質問だったので、その事業者ごとに違うというのは分かるのですが、やはりそういった業界全体で別枠で支給をしていって、働く人たちが安心して加入も含めてできるような体制作りを是非検討していただいて、業界内では協会を作って検討を是非していただきたいというお願いがあります。現時点で、そういったことがなかなかできてこなかった建設では、随分前から問題になってきたものでありますので、こういったところは是非お願いをしたいと思います。
また、先ほど髙橋委員が言われたような実態をきちんと把握していくことは、今度の特別加入団体としては、特に地域要件を緩和するように全国規模でやる以上は、本当に重要になってくると思うのです。1つの団体が全国を網羅する、かなりの量の加入者を含めてなるとすれば、そこを本当にどう把握していくかを、両団体には今からでもそういったところはきちんと把握する体制作りを是非検討していただいて、そして2年後、事務局からもありました報告を含めて働いている人たちの声を挙げていただいて、本当にそういったところでの改善点、問題点、そして労働安全としてのつながった問題なども含めて報告を頂ければと感じています。是非、そこは再度お願いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。今のは御要望でした。では、ほかにどなたか御発言されたい方がおられましたら、どうぞチャットに御記入ください。ほかにありませんでしょうか。よろしいですか。それでは、団体の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中ありがとうございました。これで一応退室いただいて構わないと思います。
(ヒアリング団体退室)
○守島部会長 それでは、特別加入制度の対象拡大について、ヒアリング等を実施し、一定の議論がなされてきたことを踏まえ、関係する省令改正案の諮問がなされております。まず、事務局から御説明を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 では、事務局から説明をいたします。資料3-1、3-2を利用させていただいております。資料3-1が労災保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱ですので、こちらに沿って御説明させていただきます。
まず、第1は施行規則の一部改正です。1号が自転車配達に係るものですが、「特別加入の対象となる事業として、自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業に加えて、原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業を新たに規定すること」とありまして、今回御議論いただくのは、この「自転車を使用して」ということです。原動機付自転車につきましては、前回の審議会の御議論を経て、通達の改正という形でもう既にお認めいただいていたものです。
今回改めて文言の整理をしていたときに、自動車、原動機付自転車、自転車につきましては、関係法類に照らして、これは分けて書いたほうがいいということで整理しましたので、このような改正になっておりますが、実質的な内容としては自転車を使用して行う貨物の運送の事業を新たに規定するということです。
2号ですが、これはITに関してでして、少し長くなりますが、情報処理システムの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理その他情報処理システムに係る業務の一体的な企画又はソフトウェア若しくはウェブページの設計、開発、管理、監査、セキリュティ管理若しくはデザインその他ソフトウェア若しくはウェブページに係る業務の一体的な企画その他の情報処理に係る作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの、これは細かくはいろいろありますが、この辺りを整理した上で新たに規定をするということを諮問させていただきたいと思っております。その上で、第2は保険料率のことです。第1の2の事業、これはITですが、1,000分の3ということで、これは既存のものに照らしてこの料率ということで御提案をさせていただきます。
また、自転車につきましては第1の1になりますので、これは従前から1,000分の12ということですので、その料率でという御提案です。
それから、第3です。施行期日につきましては、次のページにありますとおり、令和3年9月1日からの施行ということです。時間的にはあと2か月ほどありますが、本日、様々御意見を頂いたことを踏まえて、団体のほうではしっかり準備していただくということは必要と考えておりますが、そのような形で諮問させていただきたいと考えております。
資料3-2は、今ほど私が御説明したものを敷衍して準備をさせていただきましたものでして、内容は同じです。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいま諮問のあった件につきまして、御意見、御質問等がございましたら、チャットの欄に発言希望というふうに御記入いただきたいと思います。まず、仁平委員からお願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。先ほど田久委員からも発言があったところでございますが、労働側としては、雇用契約で就労することができる人が、特別加入が可能になったからということで安易に「個人事業主としてなら契約しても良い」とされてしまうことがないようにしていただきたいと思います。また、その働き方の実態が雇用である場合には、労災保険本体が適用されるように、これも適切に指導していただきたいと思っております。
併せて、新しく特別加入できることになる自転車での配達、それと情報処理に係る作業については、厚労省としての周知のパンフレット、Q&A等も作成して、対象者に適切な情報提供というのを行っていただきたいと思います。
加えて、冒頭の御説明で、2023年の秋に実態の検証をする、その一環として、行政として調査なども行う予定である、とのことですが、これについては労働組合としても、できることは是非協力をしていきたいと思っております。全体を通じて、今回の諮問についてはおおむね妥当と考えています。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。続きまして、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 ちょっと意見を述べさせていただければと思います。セーフティネットとして、この労災の特別加入を認めるということは否定するものではないと考えています。先ほど両団体の説明にもありましたとおり、セーフティネットだけあればということではなくて、そもそも事故を発生させないように、労災防止対策を同時に、むしろ、あるべきは先んじて進めるべきであろうと考えます。ですので、その意味でいうと、過重労働の予防であるとか、安全運行のための各種法令の遵守、安全衛生、災害防止の教育の実施など、各団体がやられるとおっしゃっていましたが、その実行と、あと、特別加入制度の適切な運営という観点で、厚労省としてもそれを調査、指導、監督するということについてはきちんとお願いしたいと思います。
その上で、実態に即した料率に見直していくということもなされていくべきではないかと考えております。それらを含めまして、この御提案は妥当なものと私は考えております。以上です。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。ほかに、御意見等ございましたら、どうぞ。よろしいですかね。
特に意見がないようでしたら、諮問のあった件につきまして、当部会としましては、おおむね妥当というふうに認めて、労働条件分科会長宛てに報告することといたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。
また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがって、当部会の議決が審議会の議決となります。
それでは、事務局に答申案を用意してもらっておりますので、読み上げていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、読み上げさせていただきます。3ページです。令和3年6月18日、労働条件分科会分科会長荒木尚志殿。労災保険部会部会長守島基博。「労働者災害補償保険法施行規則等の一部の改正する省令案要綱」について。令和3年6月18日付け厚生労働省発基0618第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ただいま読み上げられました内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うことといたしたいと思います。なお、答申は後ほど皆様に送付させていただきます。
それでは、次の議題のその他に移りたいと思います。まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、まず資料4から御説明させていただきます。A4の横の資料です。タイトルは「毎月勤労統計の影響による労災保険の追加給付の実施状況について」です。今、画面に出しております。
この毎月勤労統計については、昨年、不適正な処理が行われていたということが判明したところです。具体的には、規模の大きい所について全数調査でやるべきところを、一部の地域においてサンプル調査でやり、かつ、復元を行わなかったということによって数字が変わり、それが結果として労災保険の給付額に影響が生じたということで、必要な方に順次追加給付を実施していたところです。平成31年2月に工程表を作成して以降、処理を進めてきていたところですが、現時点の状況について御報告をさせていただくものです。
まず、1のスケジュールに、「現受給者(約16万人、約160億円)」とあります。これは、当時、休業補償や年金を継続的に受給されていた方については、住所その他は分かっているので、お知らせをして必要な追加給付を既に実施して完了しているところです。
そして、この後に「過去受給者」というのがあります。推計すると約45万人ほど対象になる方がいらっしゃいまして、この方々に対する追加給付について様々な業務がありました。これについてが2の「これまでの実績」です。これは令和3年4月末時点の過去受給者分ですが、過去に受給されていた方で現在はもう受給されていないということですので、この方々の住所を補足していくということ、あるいは既に亡くなられているケースもありますので、その場合は遺族の方を特定していくという作業がありまして、そのためにまず「お知らせ」の送付をしております。この「お知らせ」は約38万件と書いておりますが、まず1回目を令和元年の7~9月の期から「お知らせ」をした上で、未回答の方もいらしたので、2回目の「お知らせ」もしたところです。この中で「お知らせ」の返信があったのは約22万件でした。最終的に、残念ながら返信を頂けなかった方もいらっしゃいますが、電話等でいろいろ確認している感じだと、人によっては非常に給付の額が小さいということで、もういいですという方も中にはいらっしゃったことも事実です。いずれにしても、返信があった方については、確実にお支払いをしていくということで、支給件数は20.3万件、支給額23.8億円ということで、残りについても順次実施をしています。
3の今後の取組ですが、「お知らせ」に返信していただいた方への支給処理は引き続き進めていきます。まれに口座番号が間違っているとか、地方によっては金融機関が統廃合などで変わっているケースもあって、ちょっとその辺りの特定その他で、若干遅れているケースも中にはありますが、そういった方も含めて、引き続き処理を進めていきます。
一方、受給をされている方が既に死亡していて、かつ、未支給請求ができる遺族が不明な事案もあります。こういったケースについては、自治体への問合せなどを含めて、引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。これは、支払情報等の精査が必要な方も引き続きやっていきます。
ただ、過去のケースなので、なかなか遺族の方の情報が特定できない、あるいは住所がよく分からないというケースも、最終的には一定数出てくると思います。こういった方々にも、今後もし手を挙げていただければ必要な手続を取れるように、ホームページ上の住所情報などを登録フォームに登録いただくように引き続き周知を行って、対象者であることが確認できた方については、順次お支払いをしていくということで考えております。これは労災保険の追加給付です。同じように雇用保険もあります。これも同じように雇用保険部会のほうで報告がなされるというように承知しております。資料4については以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ただいま御説明いただいた資料4について、御質問や御意見等がありましたら、チャットに発言希望と御記入ください。特にありませんか。それでは、続いて資料5についてお願いします。
○労災管理課長 それでは、引き続いて資料5について説明をさせていただきます。A4の縦の資料で、特定石綿被害建設等業務労動者等に対する給付金等の支給に関する法律の概要です。石綿にさらされる建設業務に従事していた労働者の方々については、従来から労働災害ということで申請があり、認定された方については必要な療養の給付、休業あるいは年金その他について支給をさせていただいているところです。
これについて昨今、裁判で、もともと当時の国の労働安全衛生法に基づく権限行使というところが不十分であったことによって、精神的な苦痛を被ったということに関して、最高裁判決、今年5月17日ですが、国の責任が認められたというところです。既に裁判を起こしていらっしゃる方、全国でざっと1,000人ぐらいですが、実は労災の支給を受けているけれども裁判という形で起こしていらっしゃらない方、全国ベースで見ると約1万人ほどいらっしゃいます。それから、今後新たに認定される可能性もあります。大体平均すると、建設関係でアスベストによる中皮腫その他の疾患になって認定される方が毎年600人ぐらいいらっしゃいます。遅発性疾病ということで、非常に長期にわたって、こういったことが続くこともあり得るというように我々は思っておりますが、仮に今後30年続けば、それらの方が約2万人、既に認定されている方と合わせて約3万人という方々に対して、この最高裁判決において国の責任が認められたということで、こういった方々について、損害の迅速な賠償を図るというために、新たに法律が今国会で提出をされて、全会一致で可決をされたというものです。
第2の対象者にあるとおり、対象者については表の中にありますが、これは最高裁の判決で認められた期間、業務といった方々についてお支払いをするということです。
第3の給付金の支給ですが、これまで類似の裁判において、原告団あるいは弁護団の皆様方と、最終的には基本合意書ということで、どのような支給をしていくのかというような合意に沿った形で、ここの表2にあるとおり1~7までの区分に応じて給付をさせていただくということが、法律の中に盛り込まれております。
それから、②権利の認定ということですが、実際の認定は厚生労働大臣のほうで行うということです。また、③追加給付というのは、症状が悪化するということもあるので、その場合は差額をお支払いするというものです。④認定審査会ですが、実際の認定に当たっては、新しく認定審査会を設けて、ここの結果に基づいて認定をしていくということが盛り込まれております。
第4の基金の設置ということですが、独立行政法人労働者健康安全機構に、支払いに要する費用に充てるために、支払基金を設けて給付金等の支払い等の業務を行わせるという内容です。
一番下ですが、施行期日は公布後1年内で政令で定める日、これは、一昨日の6月16日に公布がなされましたので、そこから1年以内で政令で定めた日に施行ということです。
最後、検討事項です。国以外の者による特定石綿被害建設業務労働者等に対する損害賠償その他に対する補償の在り方ということで書かれています。これは何を指しているかというと、一連の裁判の中で被告となっていたのが国と建材メーカーでして、弁護団、原告団の皆様方からは、建材メーカーからの拠出も合わせた形での基金の創設、そこからの給付というような御意見を頂いていたところです。これについては従来、与党のほうでプロジェクトチームが立ち上げられて議論がなされていたところですが、最終的には、建材メーカーのほうで、様々な御議論がある中で、今回の法律の中で盛り込むということには至っておらず、引き続き与党のプロジェクトチームの中で、その点については検討をしていくという形になっております。このことを、法律上でも附則の中で検討をするということを表したものです。ですので、ここの「国以外の者」というのは、建材メーカーを想定しているということでして、国会のほうでもそのような答弁をさせていただいているところです。こういった法律が、昨今成立をしたということで、御報告をさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明に関して、御意見や御質問等がありましたら、チャットに発言希望と御記入ください。よろしいですか、特にないようなので、ほかに何かあればお伺いしますが、これでよろしいでしょうか。
それでは、これで本日予定した議題は全て終了ということになりますので、部会を終了させていただければと思います。
次回の日程については、事務局より追って御連絡をさせていただきます。本日はお忙しい中、皆様にはお集まりいただきどうもありがとうございました。これで終了とさせていただきます。