第97回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第97回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和3年5月14日(金)9:59~12:13
 
2.場所 AP虎ノ門 会議室Bルーム(一部オンライン会議会場)
     (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○慶應義塾大学医学部・大学院健康マネジメント研究科教授 武林 亨
○明治大学法学部教授 小西 康之
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巌
○UAゼンセン労働条件局部長 髙橋 義和
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子

(使用者代表委員)
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 山内 幸治

4.議題
(1)特別加入制度の見直しに係る関係団体からのヒアリング
(2)特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項
(3)その他
 


5.議 事
○労災管理課長 それでは、皆様おそろいになりましたので、定刻より若干早めではございますけれども、ただいまから第97回労災保険部会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。労災管理課長の山田です。今回は委員改選後の初めての部会ですので、部会長選出まで私が議事進行を務めさせていただきます。議事に入る前に、新しく本部会の委員に就任された委員の皆様を御紹介いたします。委員名簿を御覧いただきながら、お聞きいただければと思います。
今回新たに御就任いただく委員は6名です。まず、公益代表として小西康之委員。続いて武林亨委員です。続いて守島基博委員です。そして、使用者代表として池田祐一委員。続いて坂下多身委員です。加えて使用者代表で二宮美保委員が就任されますが、本日は欠席となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、当部会の部会長ですが、労働政策審議会令第7条第4項の規程に基づき、公益を代表する労働政策審議会本審の委員の中から選出することとされておりますが、本部会においては公益を代表する本審委員は守島委員のみです。そのため、守島委員に部会長を御就任いただければと思います。よろしくお願いいたします。この後の議事進行については、部会長にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。皆さん方、こんにちは。部会長の役を仰せつかりました守島です。委員の皆様方の御協力、御支援を頂きながら、部会の運営に努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
本日の出席状況ですけれども、先ほどもありましたが、二宮委員が御欠席と伺っております。なお、武林委員は途中退席、水島委員は遅れて御参加いただく予定です。そのため現時点で公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席ですので、定足数を満たしていることを御報告します。
それでは、まず、部会長代理を指名させていただきます。労働政策審議会令第7条第6項に基づき、部会長代理は当該部会に所属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長が指名することとされておりますので、私から指名させていただきます。部会長代理は武林委員にお願いしたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。それでは、カメラ撮りはこのぐらいで終わりにさせていただければと思います。
それでは、本日の議事に入ります。第1の議題は、特別加入制度の見直しに係る関係団体からのヒアリングです。日本フードデリバリーサービス協会の西村様から御説明をお願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 よろしくお願いします。日本フードデリバリーサービス協会で共同事務局を担当しております西村と申します。私自身はUber Japanの公共政策部長を担っております。今回は、日本フードデリバリーサービス協会からこちら、私以外にも一緒に参加させていただいております。共同事務局を一緒に務めております、出前館から東さん、安達さん。同じく理事会社として一緒に活動しております、サービス展開ではmenuという名前で展開しておりますが、そちらから井上さんと盛川さん。あとは弊社Uber Japanから岩波、田中、田村、安井が参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
そうしましたら手元の資料に沿って、今、行っている日本フードデリバリーサービス協会の活動と、あとは今回、審議をお願いするフードデリバリー配達員の労災保険特別加入制度への適用について、私から説明させていただきます。
それでは、今日のアジェンダですけれども、今回説明します日本フードデリバリーサービス協会、Japan Food Delivery Service Associationということで、略してJaFDAとしておりますが、JaFDAについて、まず説明いたします。次に、代表的に出前館とUberのサービスモデルを提示させていただきますが、どのような形で、特に配達員の方に活動いただいているか説明します。3つ目として、先般アンケート調査を行っており、配達代行員の実態調査という形で、今回はフリーランス協会さんにその集計をお願いしておりますので、そちらの結果についても我々から説明します。最後に、弊協会が考える特別加入の対象化にしていただく場合のメリットということで、2点ほど申し上げたいと思います。
それでは、次のページをお願いいたします。我々一般社団法人として活動しております日本フードデリバリーサービス協会です。こちらは設立が今年の2月となっており、3月に設立の記者発表をしました。主な活動として、特に喫緊の課題となっているのが、交通ルール違反や交通トラブルといったものがかなりあり、特に警察や地方自治体からも問題意識が届けられております。それに対して、業界横断的に対応しようというものが1つございます。
あとは、これから特に増えてくると思うのですけれども、夏場の食中毒も懸念されますので、衛生管理や、あるいはサービス品質、例えば配達したときに送ったものの汁がこぼれてしまったりとか寄ってしまったりとか、そういうことがないように、あるいはそういったことがあったときは、どちらの責任で解決していくのかといったルール作りも議論していくべきかなということで、活動を始めたところです。
次をお願いします。今、参加している会員企業ですけれども、13社が参加しております。フードデリバリーという面では、その前からお寿司屋さんの配達やピザ屋さんの配達、そういったものもあったのですけれども、我々は特に新しいビジネスモデルであるマッチングのサービスをやっている会社が集まって団体を作っております。ですので、直接その注文を受けて、自社のものとして送っているのではなくて、幾つかレストランのパートナーがいて、利用者がいて、それのオーダーをマッチングさせて、レストランのほうから運ぶと。運ぶときは、また自社が雇っている配達員に運んでもらったり、あるいは配達員それぞれ独立した方とレストランとをマッチングさせて、運んでいただくというような、そんな形でのマッチングサービスを行っている会社が対象となります。
正会員A、Bというのがありますけれども、Aが理事を輩出している会社になっており、5社ほどいます。今回は事業者の団体としてJaFDAからお話させていただいているのですけれども、特別加入の適用が認められた場合は、別途労災保険の組合を特別加入団体として設立しなければならないと認識しております。そこの労災保険組合に、配達員の方にも構成員として入っていただくという形で、今回の制度を適用できたらと思っております。
次、お願いします。この労災保険組合の運営方法としては、2種類のパターンを今、考えているところです。まだどちらのほうがいいかは確定していないのですけれども、1つ目のオプションとしては、このJaFDAとして新しくフードデリバリーの配達員の労災保険組合を自ら設立しますと。ただ、やはり我々はまだ、その辺のオペレーションに慣れているわけではないので、既存の労災保険組合さんの協力を得て、業務を一緒に回したりしながら、このフードデリバリーの配達員の労災保険組合の運営をしていくというのがオプション1になります。
オプション2ですけれども、こちらは既存の労災保険などの協同組合の方に、フードデリバリーの配達員についても受け付けてもらうとか、あるいはそういった方に設立いただいて、そこに対してJaFDAから配達員に、こういった組合があるので加入されてはどうでしょうかと紹介するような形で、ここは提携と書いておりますけれども、その組合と提携して、配達員に紹介するという形で対応するというオプションも考えております。どちらになるか、あるいは両方の形でやるかというのは、これから考えていくところですけれども、いずれにしろ、ある程度そういった組織を作って進めていこうということで、今、考えているところです。
次、お願いいたします。またJaFDAの中身の話です。先ほど正会員Aの中から理事を輩出しますという話をさせていただきましたけれども、今回は特にJaFDAとしては、より世間の方々に対してもありますし、中での議論がなるべくバランスの取れたものになるべきだということで、外部の有識者の方に理事に入っていただいております。まず、代表理事として、元農水事務次官の末松様に就任いただいております。理事として、神戸大学の教授である大内様に入っていただいております。大内様は、特に労働法の専門家ですので、今回の労災保険の特別加入についても事前に御意見を伺って、御指導いただきながら、今回のヒアリングに臨んできたという次第です。もう1人は沢田様、こちらはECネットワークの代表を務めていらっしゃる方で、オンライン取引の専門家です。次は英知法律事務所の森弁護士です。森弁護士は消費者保護の関係で専門性を持たれておりますので、森弁護士にも入っていただいております。最後に幹事として、また弁護士の方で、フランテック法律事務所の金井弁護士にも入っていただいております。こういった形で、とかく我々事業者ですと、やはり事業者目線で考えがちになってしまうのですけれども、よりバランスの取れた議論ができるようにということで、外部の方も理事として人数も多く入っていただくような形で、我々の意思決定なり議事運営を行っているという次第です。
次をお願いいたします。活動内容ですけれども、大きく5つほど考えております。まず最初に申し上げたように、交通問題については喫緊の課題ですので、配達における交通ルールの遵守ということで、一番上に書いております。左回りにいきますと、先ほど申し上げたようなサービス品質の向上ということで、配達員のトラブル対応などのガイドラインなどが作れていったらと思っております。
下のほうにいきまして、食中毒のリスクの低減などの衛生・安全管理というもの。あるいは右側にいきまして、今回の話に関わってきますけれども、配達員との適切な関係性の構築ということで、各社様々な形で配達員の方と関わっており、そういったものの在り方や、配達員の方により活動していただきやすくなるような環境の整備といったことを検討できればと思っております。
最後は、今後の課題になるのですけれども、次世代配送モデルやゴーストレストラン。例えば自動運転による配送や厨房しかないようなレストラン、客席のないレストランでデリバリー専門のレストランという業態ができてきた時の我々の対応をどうするのだというような、そんな将来的なビジネスの広がりの中での議論というものもやっていこうと思っております。
右上ですけれども、災害防止措置として今回、労災保険の組合において、災害防止規程をしっかりと定めていこうと思っております。JaFDA自身も今ちょうど議論を行っているところで、交通安全のガイドラインを定めて、会員企業とともにこういったものをしっかりと守っていこうと。かつ会員企業と一緒に配達員への安全講習を行っていくとか、様々な交通安全の啓発活動を推進していこうということを今、議論しているところです。
次をお願いいたします。フードデリバリーのサービスモデルとして、代表例として恐縮ですけれども、Uberと出前館2社の事例を紹介させていただきます。Uberの事例ですけれども、こちらはこの三者のマッチングを提供するサービスとなっております。何か食べ物をオーダーしたい方「御注文者様」がいらっしゃった場合は、アプリでオーダーをします。そのオーダーがレストランのほうに飛んでいって、レストランで料理を作り始めます。それに対して配達パートナーをマッチングさせて、そして配達パートナーが、そのレストランで料理ができる頃に受取りに行って、料理を受け取って、注文者様にその料理を届ける。この一連の流れをマッチングさせるのはUber Eatsがやっていることで、併せて決済も担っております。
次のページをお願いします。出前館でのサービスモデルですけれども、こちらはもう少し種類が多くあります。左側にあるのが自店配達ということで、もともと加盟店で配達を行っているような所、ピザ屋さんや、あるいは一部のファーストフード店で自社で配達も行っておりますので、そこは利用者、ユーザー側から注文が入ったときは、その加盟店にその注文を伝えて、加盟店の方が配達するというようなパターンになります。
右側がシェアリングデリバリーです。こちらの上で説明したUberのパターンと似ているのですけれども、配達員とユーザーと加盟店を出前館が間を持って、オーダーを加盟店に伝えて配達します。ただ、また少し形が違うのは、「出前館が配達」と書いてありますけれども、出前館が雇用するアルバイトの配達員、あるいは出前館の業務委託するパートナーの方が配達します。そういった形で代表的な2社だけでも、かなり事業モデルというものが異なっています。ただ、この三者、レストランとユーザーと配達員をマッチングさせる仕組みを提供しているという共通点で我々13社、JaFDAを構成しております。
次、お願いいたします。今、大体どれぐらいの人数が配達員をやっているのかというので、正確な数字ではないのですけれども、おおよそのつかみとして規模感を認識いただきたいと思っております。現時点では約9万人と推計しております。ただ、こちらは多分、月ごとにどんどん数字が変わっていくものと思っております。現状で、延べ約15万7,000人という数字を得ております。こちらは後ほど説明いたしますが、フリーランス協会で行った配達員の実態調査の結果になっています。ただ、その中で複数のサービスに登録されている方もいらっしゃいますので、仮の数字として重複率を1.2として割り戻しております。かつ、その中で原付や自転車以外で配達されている方もいるということで、この辺りは会員企業のいくつかに聞いたところ、おおむね7:3ぐらいだろうということで、大きくこの9万人というところから外れはしないのかなと思っております。ただ、Uberで、現時点で10万人以上がアクティブな配達員と発表もしているのですけれども、1年以内にそれを20万人にしていこうというような計画も述べていますので、月によってこの数は増えていくものと思っております。
次をお願いします。実態として、今は使用者数がどうなっているのか、自転車の配達のリスクはどうなのかということで、これは業務利用に限っていないのですけれども、全体の死傷者数を、警察庁のデータより作成しております。やはり自動車による死傷者数が非常に多くて、それに次ぐのが自転車であるということで、自転車もリスクとしては一定のものがあるのかと思っております。
次をお願いします。これが死者数や致死数になると、今度は自動車のほうが大幅に減っていきます。一方で歩行者はぐっと伸びてきて、死者数については自転車数が3番目に位置します。では、その致死率、死傷者数のうちの死者数はどれぐらいあるのかということでいくと、歩行者のほうがかなり致死率では高くなってしまいます。自転車は原付に準ずるような形で、これもまた自動車よりはるかに高くて、ある程度の致死率になってしまっているということが、データから言えます。原付やバイクというところのカバーは、既に労災保険の特別加入制度にも入っておりますけれども、一方で自転車のほうもセーフティーネットをしっかり広げていただきたいと感じているところです。
次をお願いします。先ほど申し上げた、フリーランス協会で調査いただいた調査結果についてお伝えします。今回、6社に対してインターネットでアンケート調査をして回答を得ております。上からサービス名でいきますと、foodpanda、DiDi、menu、Uber Eats、Wolt、出前館シェアリングデリバリーという6社になっております。こちらの6社に対してフリーランス協会で調査いただいております。時期については、去年の年末から今年にかけて、インターネットで調査しております。少し時間が掛かっているのは、それぞれの会社で、秘匿情報ですので機密保持契約を結んだり、海外とのやり取りがあったりということで、少し時間が掛かったということを聞いております。
次をお願いします。まず、個人事業主による配達代行のサービス提供時期は、2020年に入ってからサービスされたという方が大半になっております。2016年というものが1社ありますけれども、ほとんどは最近立ち上げたサービスであり、フードデリバリーは本当に新しいサービスということが言えると思います。
次、お願いします。サービスの提供地域ですけれども、かなり全国に広がっているということで、我々東京に住んでいると関東圏に集中しているような印象もあるのですけれども、各地方の中心都市でも展開されていて、むしろ東京よりも北海道、大阪、福岡で5社が展開するなど、そちらの展開の数が多くなっております。一方で空白になっている県もあります。ただ、こちらは月ごとに展開地域を各社広げておりますので、多分現時点あるいは今後3か月で見ると、またここはかなり変わってきて、カバレッジも広がっているのではないかなと思います。
次、お願いします。では、今回の議論になります自転車の事故の件数として、どんなものがあったか。6社が今回は回答しているのですけれども、そのうち4社から、ここの部分については回答があって、27件の事故事例について報告がありました。キーワードとして、やはり交差点や停車中の車、一般的な事故と同じだと思うのですけれども、交差点での出会い頭の事故があって、転倒して腰を打ってしまった事例があったり、あるいは、ちょっとこれは非常につらいところではあるのですが、タクシーが乗降してはいけないような場所で止まって、急にドアが開いて、そのドアに配達員がぶつかってしまって大きなけがをしてしまった事例もございます。
今度はバイクの事故についても見ております。こちらは4社から回答があって、13件の事故事例の報告がございました。こちらもやはり、交差点や停車中の車との事故が報告されております。あるいは転倒も、やはりバイクは自転車と比べても非常に重量がありますので、そういったところもキーワードとして挙げられます。具体的な事例としては交差点で右折しようとしたときに、出会い頭に衝突してしまって靱帯を損傷してしまった事例がございます。あるいは、こちらは非常に不幸なケースだと思うのですけれども、停車中のトラックの荷台のゴムがたなびいて、配達している方のバイクに絡まって、それで転倒してしまったということで非常に大きなけがをされて、1か月近く入院された事例も報告されております。あとは、バイクは重いので、転倒して、また持ち上げるときに、それで転んでしまって、またけがの程度が重くなったという話も聞いております。こういった形でバイクも自転車も、速度的には少し違うと思うのですけれども、事故事例としては似ているところがあると思っております。
事故に関して感じる課題も調査しております。こちらは、今、どのような取組をやっていますかということで各社に聞いておりますが、交通ルールの理解や安全意識の向上のために説明会を行っていますというような回答がございました。それぞれの事故の原因分析などを行って、再発防止策を講じているというような話もございます。
配達員の課題はどのようなものがあるかということも各社から聞いております。各社から課題として挙がっているのが、もし事故が起こって、その後に活動ができなくなった場合、配達員の収入が補償されないといった不安感というか不安定さがありますというようなことがございます。あるいは、他のプラットフォームサービスと併用している方が、先ほど申し上げたように何人か一定量おります。その場合にプラットフォーム間、どこのサービスで発送しているかによって、それぞれの会社の保険の内容が、また違ってきたりします。Uberの場合は配達中の事故に対して、例えば対人・対物とか、いろいろと補償も付けていたりするのですけれども、その補償の手厚さというのは、では、ほかのサービスで運んだときはどうなのかとか、もしかしたら保険が適用されないようなケースもあったりするので、その辺りでばらつきがあるところで、不安定な立場に置かれてしまうのではないかという懸念がございます。あるいは配達中以外、例えば自分が住んでいる所から、配達件数が多い渋谷や六本木エリアに移動しようというときに、移動している間は配達中ではないですので、プラットフォーム事業者が提供する保険ではカバーできないという課題もございます。
実際に、では配達員の方に直接聞くとどのようなことを言っているのかということですが、こちらはUber Eatsで安全講習会というものをやっており、そこで配達員の方何人かに聞いたものになります。1人は神奈川県で配達パートナーをされている方で、「自分は個人事業主であるけれども、国の制度で補償を得られるというのは非常に嬉しいことだ、好ましいことだ」というような前向きなお話を頂きました。あるいは、東京の配達パートナーの方からは、「そういった補償というものは是非、国としても用意すべきだと思っていたけれども、やはり配達料を1回ごとに数百円というものを積み重ねて配達しているので、保険料がどれぐらいになるかというのは、やはり非常に気になるところです」とおっしゃってました。
次、お願いいたします。最後にメリットとして1ページあります。今回、特別加入の対象としていただくメリットとして、我々考えているものは2つございます。配達員への補償範囲の拡大ということで、今回は労災保険の特別加入がかなった場合は、休業補償や障害補償の給付、あるいは死亡した場合は遺族に対する遺族補償の給付もございます。あとは配達中以外でも補償の対象となるということで、これは非常に補償範囲が広がる、あるいはプラットフォーム事業者が提供する補償範囲よりも拡大できるという期待感がございます。そういう意味で、補償範囲の拡大というものが1つあります。
2つ目としては、配達員への選択肢の拡大ということです。現状でも民間事業者が提供する保険はございます。フリーランス協会で仲介いただいているような保険もありますし、あるいはプラットフォーム事業者が配達中に掛けている保険もあります。ただ一方で、今回の労災保険という選択肢も増えることで、配達員の方が自らのリスク感覚に合わせて、そういった保険を選んでいただく、その選択肢が増えるということが2つ目のメリットとして考えております。長くなりましたが以上です。
○守島部会長 西村様、ありがとうございました。本日は調査に御協力いただいたフリーランス協会の方も同席されております。代表理事の平田様から、コメントがあればお願いしたいと思います。
○フリーランス協会平田代表理事 フリーランス協会の平田です。先ほど発表していただきました調査に御協力しております。私たちからは当事者の声について少しお話ができればと思っております。画面共有してもよろしいでしょうか。少々お待ちください。
お待たせいたしました。私たちフリーランス協会は、「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」をビジョンとしている非営利団体で、今、国内最大規模のネットワークということで、無料会員として4万8,000人を超える会員がいらっしゃいます。その中にフードデリバリー配達員の方もいらっしゃるわけですが、私たちが毎年行っているフリーランス白書という調査でも、こういった働き方を選択しやすくするために必要なものとして、労災保険は45.9%の人が必要だと言っていました。
この労災保険に関しては、職種により必要と感じる人とそうでない人が、フリーランスの中でもかなりバラつきがあります。フードデリバリー配達員の方は特にニーズがあり、私たちも一昨年の5月からUber Eatsさんと提携させていただき、傷害補償や所得補償制度を御提供しております。実際に、この傷害補償は自動付帯としては僅かなものではありますが、かなり多くの方に御加入いただいており、そういった不安を持っていらっしゃる方が多いことを実感しております。
また、任意保険として提供している「収入・けが・介護の保険」という所得補償制度もありますが、私たち個人事業主は御存じのとおり、労災も傷病手当金もないので、万が一仕事ができなくなったときの保険としてこちらも非常に好評で、全国中央会から御提供いただいている団体保険の中でも当協会の加入率が非常に高いということで、一番良い割引率を御提供いただいているぐらいニーズがあります。
特に、不安が大きいフードデリバリー配達員の方は、常に事故のリスクと隣合わせであることから労災保険ニーズがほかの職種よりも強い職種だと考えております。また、治療のために休業すると、家計を支えている手段である収入が途絶えてしまう、障害補償や遺族補償については民間保険で手厚いものが余りないということからも、労災保険を求める声があります。
バイク利用者の方の中には、既に一人親方向けの団体などを通じて特別加入制度を利用している方も一定数いらっしゃると把握しておりますが、今、自転車の利用者は入れないことが問題となっております。今回、少し先立って日経にこの検討会について記事が出ており、それに対するSNSの反響もたくさんありました。おおむね歓迎の声が多く、やはり不安なのでこのような制度ができると安心だという声が多数散見されました。
ですので、この特別加入制度への加入というのは、フードデリバリー配達員の方々が安心して業務を継続していただくための最低限のセーフティネットとして、是非、前向きに御検討いただきたいと私からもお願い申し上げます。
一方で、併せて御検討いただきたいこととして、声として私たちが把握しているものに、配達遅延にによってアルゴリズムに影響するのではないか、ペナルティを受けるのではないかということで、けがをしてしまっても対処ができない、報告ができない、隠さなければいけないという不安を持っている方もいらっしゃるようです。労災保険の問題と併せてそこをしっかり解決していくことが、安心・安全のためには必要だと思っております。
あと実際に、フードデリバリー配達員は簡単に始められることもあり、失業者、生活困窮者の受け皿になっている側面があります。そういった方にとっては保険料の自己負担がネックになってしまう、自己負担の特別加入制度でいいのかという声は根強くあります。併せて、特別加入制度を組み入れることで労働者性を議論することがなくならないでほしいという声も存在しており、こちらは特別加入枠に入ったからそれで解決ということではないという声があることも併せてお伝えします。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 平田様、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等がありましたら伺いたいと思います。チャット欄で御発言希望をお出しいただき、私が指名いたしますので、順次御発言いただければと思います。では、どなたからでもどうぞ。田久委員、お願いいたします。
○田久委員 御報告ありがとうございました。幾つかお聞きしたい点があるのですが、時間の関係も含めて2点ほどお聞きします。1つは、団体としての安全対策は交通の関係が多いですが、それ以外での安全対策は何を考えていらっしゃるのか。任意団体は安全対策をとらなくてはならないので、交通事故等であれば、Uber Eatsでやっておられるような説明会を頻繁にすれば安全対策はとれると思いますが、それ以外でも、何かそういった安全が脅かされる部分が、こういった配達の中であるのかお聞きしたい。もし行う場合は、基本的には地域要件が外れていませんが、全国で1つでやる考えなのか、地域で分けて、そういった所から地域に合った安全対策なども含めて検討されているのかどうかお聞きしたいと思います。
また、フリーランス協会さんから言われていたように、1つは労災保険、私は建設分野ですから典型的に労働者性が排除されやすくなるのは、現に数十年前から経験している団体ですから、先ほど言ったように生活困難者がそういった仕事に就いている、保険料は決して安くないと思います。そういった部分では、安全経費としてきちんと支払う、こういったことも検討しない限りは、ただ単に保険を広げただけであって、加入しなければ余り意味のないものになってしまいます。その辺はどうお考えになっているのかお聞きしたいです。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、西村様、いかがですか。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 3点御質問があったと認識しております。1点目の安全対策については、交通面のみかという御質問だと認識しております。今回、我々、団体としてやっている者として配達員のリスクをいろいろと考えた場合、やはり、交通面が一番大きいのではないかと考えております。
いろいろと考えていくと、ほかのリスクも当然あると思います。例えば、配送しているときに、こういった御時世ですので感染症に感染するリスクや、食品を運んでいるので、そういったものの衛生関係でのリスクもあるかもしれないですし、あるいは精神面でのリスク、時間に追われてやらなければいけない、あるいは自分の収入源の不安定さによって精神的に追い詰められるといった、いろいろなリスクがあると思います。
我々としては、一番大きなリスクとして、実際、人間が動いて配達し、非常に交通の往来の多い道路を通っているということで、交通面のリスクが一番大きいのではないかと思い、そこを重点的に対策を構じようと考え、今まで事業者側でもそういったことをやってきている次第です。ただ今後、交通面以外でも新たなリスクや課題も、こういったサービスが広がっていくと出てくると思いますので、そこは真摯に取り組んでいく次第です。
2点目の質問は、こういった交通安全対策、安全措置というものを各地域の事情に応じてやるのか、あるいは一括でやるのかというお話でした。こちらは、両方併せてやっていこうと思っております。団体というよりはまず事業者として、今、行っているようなものは、事業者から配達員の方へのオンライン講習やオンラインでのテスト、そういったことも一括でやっています。一方で、各地域の警察組織と連携して安全講習会などもしております。直近の事例でいくと、今週の火曜日に北海道の道警と連携して安全講習などもUber Eatsでやっていますし、東京、大阪でもやっており、当然、Uber Eatsだけでなく、ほかの会員企業でもこういった講習会などをしております。それぞれの地域の特性に応じて、また、そこの交通安全問題、特に知見のある都道府県警と連携して、そういった活動をやっており、各地域での活動も事業者側であります。
今後、設立を予定している労災保険組合でも交通安全措置はしっかりやらなければいけないと考えております。こちらに関しては、まだ組織形態は明確に決まっておりませんが、少なくともオンラインでの交通安全指導をそこでやるのというのは、一地域に作ったり、地域ごとに作っても、やはり各エリアごとに作ることになるので、そこから離れてしまう配達員の方もいますから、ある程度はリモートでの安全対策は労災保険組合でも対応していくことになると思っております。
3点目は、労働者性についての懸念があるというか、そこが排除されてしまうのではないかという御質問だと認識しております。こちらについては、我々のサービスは、コロナもあり、全国に広がっていった中、このサービスもニッチなものからかなり認知度が広がったものと感じておりますので、当然、社会的な責任、その前提として法制度についてはしっかり守っていかなければいけないと強く認識しております。そういった認識もありますので、配達員との関係性についても議論をしていく形で、委員会を立ち上げるまではいきませんが、活動案件として認識しており、中での議論も行う予定です。そこの中で1つ拠り所になるのは、先般3月26日に厚労省やほかの三府省から出されているフリーランスのガイドラインが指針になると思っております。こちらに準ずる形で我々の活動も行っていくと、それをJaFDAとしては会員企業にもしっかり周知していこうと考えております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。続けて、黒島委員、お願いいたします。
○黒島委員 先ほどの説明の中にもありましたように、今後も配達員の方は増えていくというお話があり、そういった中で、副業としてフードデリバリーという業務を行う労働者も増えていくのだろうと考えております。
本来、事業者には、けがをさせない、させてはいけない、そういった意味で災害防止措置が求められております。特別加入の場合においては、団体がその役割を担うわけですが、公道を利用する自転車による配送というのは、加害者にも被害者にもなり得るため、安全教育は不可欠であると考えます。田久委員からの質問に対する回答の中で西村様もおっしゃっていましたが、もう少し具体的なところをお聞きしたいと思います。
例えば、道路交通法によれば、歩道のある道路では自転車は車道を通行しなければなりませんが、例外として歩道を通行することが認められるケースもあります。そうした事例に沿って自転車を安全に運転することなども含めて、安全教育を適切に実施していただけるという理解でいいのかというのがまず1つ目です。
また、全国的にサービスが広がる中で、オンラインという話もありましたが、実技的な部分も重要だと思います。警察との連携というお話もありましたが、この安全教育についてはどのようにしていくお考えがあるのかが2つ目です。
3つ目は、我々の認識としては、配達員の方が急速に増えてきているということに加え、フードデリバリー業界は雇用されたり辞めたりの、いわゆる出入りも激しい業界だと思っています。安全教育を実施するというのはお聞きしましたが、そのタイミングの在り方についてはどのようなお考えなのか、どのように指導していくのか、この点についてお話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 今、3点御質問があったと認識しております。まず1点目は、道交法の規定も含めて詳しく教育をしていくのかどうかという御質問だと認識しております。こちらに関しては、おっしゃるとおり道交法の、特に自転車の運行方法についてはしっかり通知していかなければいけないということで、特に日本では自転車の運転方法は曖昧なまま来てしまったと思っております。改めて、このようなフードデリバリーで自転車を使うときになって、実は通ってもいい歩道の部分がある、あるいは自賠責保険に加入しなければいけないと条例で決められている都道府県もあります。そういった自転車に関する法令事項を、一般に使っている場合はよく理解していなくても、今回フードデリバリーの配達をする場合にはしっかり認識しなければいけなません。その辺りをしっかり周知すべきだと認識をしておりますので、現に、事業者の中でもそういった交通法規についてチェックリストのような形で配達員の方に確認するような仕組みを入れている所もありますし、そのような形で進めていければと思っております。JaFDAとしては、先ほど申し上げたように交通安全のガイドラインを作ろうという話をしておりますので、そういった自転車法規に関する注意喚起や指導、周知や認識といったところも事業者がやっていくため、ガイドラインの中でしっかりと決めていければと思っております。
2点目は実技教育、実技指導するのかというお話でした。こちらは、実技でできる人数も限られてしまうのですが、オンラインと併用して積極的にやっていこうと考えております。JaFDAとしての活動というよりは、各事業者ごとの活動になっておりますが、実際、警察と連携した実技講習は、例えば、自動車学校のコースを休みの日に借りて、そこで自転車を実際に運転しながら実技講習をしております。私も以前参加しましたが、警視庁の場合は自転車の安全講習をするためのエリアが多摩川にあり、実際に自転車を走らせながら信号での停車や急な飛び出しがあったときの対応なども、実技として自分の身をもって体験することができます。そういった実技講習も進めていく、事業者ごとにやっていく、あるいはそれをJaFDAとしても各事業者に周知して促すことはしていきたいと思っております。
最後は、このような講習をするタイミングのお話です。タイミングについては、事業者の中でもかなり頻繁にやっていると認識しております。その実技講習に関しては、各都道府県警察との関係もあるので、都道府県単位ですと毎月やるわけではないと思いますが、事業者ごとにやられていて、多分、県警の方の感覚としては、毎月あるいは数箇月に1回ぐらい、どこかの事業者と一緒にやっているような感覚をお持ちだと思います。実技講習だけではなく、オンライン講習になりますと、いろいろなタイミングもあります。まず、配達員をされる方が登録されるタイミングで、交通法規についてしっかりと中身を伝えることを、いろいろな事業者の方がされております。配達をする前、アプリを立ち上げたときにテストするなど、あるいは、頻繁に交通安全についての認識を高めるような通知をすることもやっております。その辺りは警察の方とも話をして、とにかく交通安全というのは愚直にそういった繰返しの注意喚起が大事だと御指導いただいておりますので、それに真摯に向き合って、事業者としてもそういった仕組みを入れていく。あるいはJaFDAとしてもその辺りの注意喚起の仕組みの頻度についても、ガイドラインの中で述べていくことがあり得ると思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。続いて楠委員、お願いいたします。
○楠委員 3点ほどお聞きしたいと思います。まず会員に関連する質問です。4ページに記載のあります会員企業以外の企業と契約している、自転車を使ってフードデリバリーをしている配達員についても、配達員が特別加入を希望する場合は記載の会員企業による事務組合を通じて加入ができると考えていいのでしょうか。
もう1点は、フードデリバリー配達員は、現在コロナ感染拡大防止対策の影響を受けて増加し、20ページにも他のプラットフォームと併用して同時輸送する個人事業主も多いということですが、実態としては、やはり個人事業主のほうが圧倒的に多いのでしょうか。
もう1点は、先ほど労働者性に対するフリーランス協会さんの説明にも、特別加入できるようになったからといって労働者性を議論することをやめてほしくない、ということもありましたが、現在、雇用契約がある人で、傾向として雇用契約から個人事業主と、あるいはその逆へと置き換わっている状況があるのかどうか。その辺について把握していることがあれば教えていただきたいと思います。
最後に、22ページに配達中以外の業務災害についても補償対象となるといった記載がありますが、配達以外で具体的に想定される業務というのはどういったものがあるのか、教えていただければと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 最初の質問は厚労省の方に答えていただいたほうがいいのでしょうか。このJaFDAの会員企業と契約している配達員以外も労災保険に加入できるのかということですが。
○労災管理課長 では、私からお答えいたします。これまでほかの特別加入の御議論の中でも、ある団体が、その団体にはそもそも設立の経緯みたいなものがありますので、母体になった会社や、そういった所と関連する個人事業主の方しか入れないのかという御質問が過去あったものです。
まず、制度的には、基本的にどのような系統の人ということではなく、仮に特別加入として認められ、かつその団体が特別加入団体の場合、そこで承認された範囲の特別加入のカテゴリーの方が、是非そこを通じて特別加入したいということになった場合には、これは当然、応じていただくと、そのような運用をしていただくことをお願いしておりますし、また、これまでもヒアリング等いただいた団体様からは、そのように幅広く対応していくという御回答を頂いております。
今回、御提案いただいているところにおいては、今後、この特別加入組合をどのような形で運用していくのか、体制の在り方等も御検討中と伺っておりますので、その辺りはいろいろ御検討していただきながら、最終的には労働局での承認審査もありますので、その辺りでしっかり様々御相談させていただきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。続けてお願いします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 2番目の質問ですが、配達員の中で個人事業主が多いのかというような御質問だったと認識しております。こちらに関しては、具体的な人数比というものまでは我々で把握はしておりませんが、個人事業主として活動しているプラットフォームがどんどん拡大し、伸び率としては、個人事業主のパターンというのも大きくなっていくのかと思っております。ただ、現時点でアルバイトや直接雇用の方と個人事業主の方との比率がどれぐらいか、どちらが多いんだというところまでは、明確に把握しきれてはいません。
一方で、マッチングプラットフォーム、JaFDAの中で見るとそうですし、もう少し外のほうにいくと今度は、ファーストフード店で個別に契約されているアルバイトでの配達員の方やピザ店での配達員の方もいらっしゃいます。こちらの方は直接雇用という形だと思っておりますので、そういったものも含めていくと、かなり幅は広くなっていって、その中での比率というのは、我々JaFDAとして把握できるところの外になってしまいますので、そこは十分に把握し切れていないというところです。
3番目が、雇用されている方が個人事業主に置き換わっているような事例があるのかというような御質問だと認識しております。こちらについては、JaFDAとして特に何か認識しておりません。ただ、JaFDAの会員は、企業もビジネスモデルが異なっていて、アルバイトとしてやっている所や、業務委託として一社に任せて、どこかの会社にお願いして、その会社の中でまた配達員を確保しているというようなところもあります。例えば、新聞配達店に対して業務委託をして、そこがアルバイトとして配達員を雇っているようなケースもありますし、あるいは個人事業主として活動されている方をマッチングさせるというようなモデルもあります。ですので、先ほどもサービスモデルの違いというところでも説明させていただきましたが、いろいろなサービスモデルがある中で、我々として、それらのサービスモデルの違いを尊重した上で、法規制についてはしっかりと遵守していくと。その中でも、先般のフリーランスガイドラインというのが一番のよりどころになると思っておりますので、そちらに準じる形で各社が進めていけるように周知をしていこうと思っております。
最後、4番目として、配達中以外の業務は具体的に何なのかというようなお話がありました。こちらは、大きく2つほどあるのかなと思うのですが、まずは、通勤的なものです。自宅から配達のオーダーが多いエリアに移るようなとき、例えば、自宅が三軒茶屋にあって渋谷で配達をやりたいときに、そこに移動する間、そこが配達中以外になります。あるいは、その渋谷に着いて、今度は配達になる前に待機していたり、休憩していたりするような時間もあります。配達中というのは、オーダーをアプリ受けたで時点でスタートして、レストランにものを取りに行って受け取って、注文された方の所まで届け終わると、これが一連の中で配達中という定義になっておりますが、それ以外の部分で休憩していたり、待機していたりする時間などが配達中以外になります。以上のように、移動や通勤というか、そこのエリアに移動するときと、そのエリアの中で待機している場合が配達中以外になります。
○守島部会長 ありがとうございました。では、続いて仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 御説明ありがとうございました。労働側委員の仁平です。私からも幾つか質問をさせていただきます。1つは、デリバリー中に事故が起こったとき、現在の損害保険などを活用して対応しているという説明がありましたが、具体的にどのように対応されているのか、現状を教えていただきたいということが1つです。
それと今後の想定についてですが、会員企業と契約している配達員が、特別加入して、その後事故に遭った場合、その事故の情報は、事務組合を通じて会員企業が把握することになるのかどうかということです。なぜ、このような質問をさせていただくのかといえば、事業主が災害防止策を講じるために事故情報を知るというのは、ある意味、当然必要なことだと思っているのですが、以前のマスコミ報道で、大手デリバリー業者だったと記憶しておりますが、企業が提携している事故保険を適用すると、警告がきてアカウントが停止されることがあるという話も耳にしたことがあります。労災を申請することが、配達員の方にとって不利益になるので、保険があっても申請しない、ということは、いかがなものかと思っております。その辺りの対応が実際どうなるのか、現状と特別加入した場合の想定についてお伺いしたいと思います。。
更に3つ目ですが、特別加入の保険料負担についてです。田久委員からもありましたが、他の業種でも行われているように、請負契約の中で、保険料を安全経費として上乗せして、配達員が実質的に負担しなくてもよい仕組みにするという考え方もあるのではないかと思っております。また、質問なのですが、配達員の方の平均月収といいますか、どれくらい配達されているかによって、ばらつきがあるのかもしれませんが、配達員が一か月にどれくらいの稼ぎを得ているというデータを把握されていれば、教えていただきたい。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では、よろしくお願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 3点ありまして、2点目は厚労省側からお話いただいたほうがいいと思いますが、どうしましょう、先にお願いしてもよろしいですか。事故情報が会員企業のほうに回っていくのかどうかという、法の仕組みとしてお話をお願いします。
○守島部会長 では、よろしくお願いします。
○労災管理課長 では、私から御説明いたします。制度的には、特別加入団体を通じて加入していただくということになりますので、一義的には、その特別加入団体と特別加入する方との関係、例えば、実際に事故が現実に起きた場合には、基本的には個人が直接、監督署に申請することは可能ですが、多くの場合は団体を通じて、いろいろな手続の便宜というものもありますので、手続をしていただく。ですので、当然、団体は知り得るというか、あるいは、これまでの審議会の御議論の中でも、当然、特別加入団体は、労働災害がそもそも起きないようにする責務を負っているという観点から、当然のことながら、それを把握をするべきだというような御議論も頂いていて、今後、従前に定めている通達でも、そのように行う必要があるということも定めております。その上で、実際の発注をしている会社に対して、何か通報する必要があるかということについては、制度上は、例えば、何か義務があるかということではありません。ただ、実際に業界によっては、恐らく、いろいろ違いはあろうかと思いますが、本日の御説明の中では、特に、フードデリバリー配達員に関しては、いわゆる配達中の事故ということ。配達中の事故というのは、何といいますか、道路交通法との関係でいろいろ起きている中で、まず一義的には、各社がそういった対応をし、また、フードデリバリーサービス協会も、いろいろな形で関わっていくというように聞いておりますので、実際は、そういった事故に関する情報が共有されていくことが、運用上は当然望ましいということではないかなと考えております。
○守島部会長 ありがとうございました。では、続けてお願いします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 では、私から1番目と3番目の御質問について回答させていただきます。1番目は、例えば、デリバリー中に事故が起こったときに、各事業所で加入している損害保険での対応が具体的にどうなるのかというお話だと思います。この点については、例えば、Uber Eatsの場合は、事故が起こった場合、当然そこでの救護とかいろいろ対応があるのですが、それを経て、Uber Eats側に配達員の方から連絡を頂いて保険の適用をすると。保険の適用をするときは、提携している損害保険会社がありますので、その損害保険会社と配達員の間で、事故の程度や現象の相談を頂いて、その損害保険の支払を行っていくというような、あるいは対人・対物で第三者の方に影響があった場合は、そちらへの算定を行うというような形で、その損害保険会社が入ってきて、こちらの解決に当たるというような仕組みになっております。
最後の3番目の御質問が2つほどあったかと思うのですが、保険料を配達費の中に入れて上乗せするような仕組みになるのか、そして別の話で、平均的に配達員の方は月にどれくらい稼いでいるのかというような話でした。保険料を上乗せする仕組みは明確になっているわけではありませんが、当然、自分で保険料を負担して入っている方が配達した場合は、配達料の中で出していただくか、工面していただくような形になっております。そこは明確にここの部分が乗っていますというわけではないですが、いろいろな会社が配達パートナーに対して、マッチングサービスを提供しているわけですし、その中で適正な金額が定められているのだと思っております。
一方で、例えば、別の会社の例ですが、個人事業主で契約される方は、民間の保険に自ら入って、入っていることを申告した上で登録する仕組みになっている会社もあります。そういった会社は、当然、保険料を配達員の方が負担していることが明確に分かっている上での配達料金の設定をされていて、その配達状況に対しては保険料を払っているという前提で、配達の方もマッチングサービスを使うかどうか御判断いただく形になりますので、そこは実質的に、保険料の部分というのも、お互い合意された中で上積みされた金額が考慮されているのだと思っております。ただ、明確にこの部分は保険料ですというわけではありませんし、あるいはその保険料分をどうしても賄えないというような料金レベルとなった場合は、今度は配達員の方が、そのマッチングサービスを選ばないというか、ある程度、市場原理でその辺りは成り立つのかと思っております。
最後の平均月収については、我々は、特にそこまでは把握はしておりません。ただ、SNSやいろいろな所で見ていると、最大で月に数十万円レベルで稼いでいるような方もいらっしゃるので、割と頻繁にそういった活動をされると、それぐらいの収入レベルにはなるのだと認識しております。
○守島部会長 ありがとうございました。では、続いて池田委員、お願いいたします。
○池田委員 私からは質問なのですが、先ほど、西村さんの質疑への回答の中で、通勤的なものや休憩のようなものを労災の範囲として想定していますという御発言でした。厚労省なり、その他公益の方に確認をしたいのですが、先ほど西村さんがおっしゃったような、アプリに連絡が入ったタイミングで業務が、言わば請負契約が始まって、その業務は配達が完了した時点で終了するという類型なのだとすると、いわゆる通勤という概念がそぐわない。先ほどおっしゃっていた、三軒茶屋から渋谷に移動されるというのは、その方が任意でマーケットを求めて移動されているのだと思うのですが、請負契約がない状況で、それを通勤と認めると、どの移動が通勤に当たるのかというのは非常に曖昧なのかなと思いました。また、合間で休憩的なものというのも、それが休憩なのか否かというのは、請負契約が存在していない中でのことなので、どうなのだろうというように感じました。その辺りを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。では、よろしくお願いします。
○労災管理課長 それでは、私からお答えをいたします。まず、労災の業務上外の判断については、案件に応じて最終的には個別の判断にはなりますが、例えば、注文を待っている間の事故や、注文を受けるために注文の多い地区に移動をしている際の事故については、登録や契約、そういったものによって、業務遂行性を確認することが大前提になりますが、その上で業務上と判断されれば、保険給付の対象となり得るということです。この辺り、例えばなのですが、個人タクシーのケースが、必ずしも完全パラレルではないですが、1つの参考として申し上げると、例えば、駅前のタクシー乗り場で並んでいる際に、後ろのタクシーに追突されてけがをしたというケースや、お客さんを探すためにタクシーで移動する際に事故に遭ってけがをしたというケースもあります。こういった場合に、これまでの運用の中では、業務上の災害として保険給付の対象としてきている事例もありますので、この辺りは、実際の業界の契約内容などを確認しながらですが、こういった、それ以外の運送業との比較などを勘案しながら対応をすることになろうかと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
○池田委員 すみません。今の件で続きの質問です。
○守島部会長 はい。では、どうぞ続けてください。
○池田委員 今の御回答の中の個人タクシーの例なのですが、個人タクシーが客待ちの状態で並んでいるというのは、そうは言っても、多分、営業中の状態で、個人タクシーとしての業をやっている状態だと思いますので、パラレルではないという御発言もあったとおりで、決してパラレルではないように思いました。何というのでしょう、業務内容ごとに判断されるというのはそのとおりだと思いますが、そこはいろいろ、先ほどおっしゃっていたような想定が合うのかどうかは検討が要ると思いました。
○労災管理課長 その辺りは今後、実際に業態なども見ながら、しっかり対応できるようにしてまいりたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、続いて坂下委員、お願いいたします。
○坂下委員 経団連の坂下です。私からは、JaFDAの西村様に質問させていただきます。先ほどの御説明の中で、事業者として、配達員への交通安全等に関するオンラインの講習やテスト、あるいは警察組織と連携した安全講習会を実施しているということで、非常に重要な取組をされていると感じたところです。そこについて、もう少しお聞きします。Uber Eatsをはじめ、会社によって違うかもしれませんが、交通安全に関する啓発・教育について、どの程度、配達員本人にお願いをするのか。例えば、契約を継続的に結ぶ場合には、講習の受講を義務付けているとか、あるいは、あくまでも本人の希望した場合のみとしているのか、その辺りです。非常に重要な取組だとは思うのですが、実際にどのぐらいの方が受けているのか、また、業界としてどこまでしっかり取り組んでいくつもりがあるのか、お考えや方向性があれば教えてください。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、西村様、お願いいたします。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 こちらの交通安全の啓発活動や教育活動が、どの程度、配達員に対しての強制力というか影響力があるのかという御質問だと思います。ここに関しては、本当に事業者ごとに色が違っているのだと思いますので、幾つかの事例で申し上げると、私が所属しているUber Eatsの場合は、コミュニティーガイドラインというものがあって、こちらの配達パートナーの方にも守っていただく、良き社会の一員として、こういったものは最低限守りましょう、迷惑を掛けてはいけませんなど、マナーの面が強いのですが、そういったガイドラインがあります。このガイドラインにちゃんと即していただくということで、今回のマッチングプラットフォームに乗っていただくわけですが、もし、それが満たせないような場合や迷惑行為が通報されて明らかになった場合は、Uber側としては、コミュニティーガイドラインへの違反という形で注意を行っていて、あまりに悪質な場合は、しかるべき対応を取るというような形になっております。あるいは、別の会社ですと、もっと交通安全へのルールというか、厳しくやっている所もあって、最初、登録をするときに、しっかりとテストを行って、あまりに交通安全に対する意識が低いとか知識が弱いと、登録できない仕組みを取られている方もいらっしゃいます。その辺りは、いろいろ業界内でも知見を溜めて、どういった形が一番交通安全に資するのかということ、北風と太陽ではないですが、当然厳しくする部分と、後はモチベートして促すような部分になりますので、その辺りの知見を溜めて、より交通安全を高めていく、向上させていく仕組みを、業界としても探していければと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに、どなたかありませんか、大丈夫ですか。それでは、西村様、長時間にわたり、ありがとうございました。お忙しい中、おいでいただき、本当にありがとうございました。
○日本フードデリバリーサービス協会西村共同事務局員 ありがとうございます。では、審議のほうを是非よろしくお願いいたします。
○守島部会長 それでは、続いて、ITフリーランス支援機構代表理事の高山様の御説明に移ります。高山様、よろしくお願いいたします。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 では、よろしくお願いいたします。改めまして、ITフリーランス支援機構の代表理事の高山と申します。よろしくお願いします。本日はこのような機会を頂きまして、ありがとうございます。労災特別加入団体の適用に向けたお願いということで、お話をさせていただきます。資料に沿って御説明いたします。
まずは、当支援機構が設立された経緯について、少しお話したいと思います。当機構は、ITフリーランス市場の課題を解決したいという思いがあり、複数の企業と一緒になって2019年の7月より取り組んでおり、今までに22回の協議会を経て団体の設立にきております。その協議の中で、ITフリーランスの方々や関連省庁、ITフリーランスにお仕事を発注している企業など、関係する様々な所にヒアリングをさせていただいたり、意見交換を重ねたりしてきました。その結果、ITフリーランスの方々がより活躍できるような社会をつくっていこうということを理念として、ITフリーランス支援機構というものが立ち上がっております。
後ほど少し触れるのですけれども、解決したい課題というのが幾つかあります。大きくはフリーランスの方々が活躍できるような、セーフティーネットも含めた環境の構築、ITフリーランスの方々に対しての様々な知識の提言も含めた啓発活動、発注企業とITフリーランスが適正な契約の中でうまく活動できるような、そういった啓発活動をしっかりやっていきたいというところで、今年の2月に誕生したというのが経緯です。
それでは、資料に沿って御説明したいと思います。まず最初に、当支援機構がどういった人たちをITフリーランスと定義しているかといった部分の御説明です。企業に雇用されずに、独立自営業者として事業活動を行っているIT人材といった定義をしております。後ほど詳しい職種などを御覧いただくのですけれども、特徴的なところで申し上げますと、ビジネス経験、IT現場での経験も含めて経験豊富な方々が非常に多いという部分と、ゆえにスキルが高く、コミュニケーション能力も非常に高い方が多いのではないかと思っています。リーダーシップをIT現場で発揮する方々も多いです。あと、自己成長に対しての意欲や投資も含めて、非常にアクティブな方が多いといったところが特徴的ではないかと考えているわけです。
次のページをお願いします。一口にIT人材と言っても、様々な職種があります。ITコンサルタントから書き出しは始まっているのですけれども、いわゆる各企業でのIT戦略の立案に関わるシステム構想という、本当に最上位の関わりをやっておられる方もいらっしゃれば、実際の社内での情報システムの構築におけるマネージメントや設計業務、プログラム、コーディング、実装のようなシステム構築そのものに関わる方々もいらっしゃいます。
あと、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、データベースエンジニアなどと書いております。こちらはシステムが動作するための、いわゆるインフラ部分のエンジニアです。最近、情報セキュリティの重要性が急激に高まってきています。そういったセキュリティに関する設計であったり、実装の方法であったり、システムの構造であったり、そういうことを考えていくセキュリティのエンジニアの方々もいらっしゃいます。
あとは、稼働しているシステムを安全に運用していくような運用保守をしていただいている方々もいらっしゃいます。「テストエンジニア」と書いているのは、システムを構築して、本番としてリリースとして乗せ上げていくまでに稼働テストをしていただくような方々です。「社内SE」と書いているのは、通常、社内のシステムなどを構築する際は専門のITベンダーにお願いして構築するケースも多いのですけれども、一方で社内の情報システム部門として、自社の社員が自社の情報システムを設計、運用、時には開発などをするケースもあります。そういった方々を「社内SE」と呼ぶケースもあります。
その他、製品の研究開発に携わる方々もいらっしゃいますし、ビッグデータ等を用いた、いわゆるデータサイエンスの分野で活躍されるエンジニアもいらっしゃいます。最近はWeb系のエンジニアも結構増えてきていて、Webの世界でアプリケーションを作られる方とか、デザインに携わる方とか、そもそもWebのプロジェクトをディレクションするような方々もいらっしゃいます。そういうことで、一口にIT人材と申し上げても、非常に多岐にわたる職種があると考えております。
次のページをお願いいたします。そういったITフリーランスの方々が、どういった働き方をしているかをまとめております。主に契約形態は、発注企業からどういった契約で働いているかという部分です。準委任契約若しくは請負契約という契約形態で働いているケースが多いです。作業内容や作業時間、どこで働くかという作業場所、報酬といったものは、発注企業と実際に受注するフリーランスの方々との間で十分な話合いや取決めを行い、最終的には契約としてこの辺りを取り決めていくといった形で働いています。特に報酬については準委任契約の場合、いわゆる工数精算という言い方をします。どのぐらいの時間働いたのかという部分で精算をするケースが多いのです。一方で、請負契約の場合は成果物責任が発生しますので、成果物を納品することでその対価として、あらかじめ発注企業と示し合わせて、合意した契約金額を対価として受け取るといった報酬形態になっております。
次に災害状況です。これはフリーランスではなくて会社に雇用されているIT人材、いわゆる労働者の立場、社員の立場で働いている方々と同様のケースが多いと思っております。過度なストレスや過重労働などに起因する精神疾患、脳・心臓疾患、腰痛、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、腱鞘炎などの事例が中心になっているのではないかと考えております。
次のページをお願いいたします。ここでIT人材が、日本全体でどのくらいの数いらっしゃるのかという統計をお示ししたいと思います。こちらはIPAの資料や経産省の資料など、いろいろな資料からの推計値になりますが、全体で150万人から160万人ぐらいの方々が、日本ではIT人材として就業しています。そのうち正社員ということで、いわゆる企業に雇われている方々が140万人弱で、フリーランスで働いている方々は、ちょっと幅はあるのですけれども、17万人から25万人の間というように、当機構では推計しております。
次のページをお願いいたします。そういったITフリーランスの方々ですけれども、今度は発注企業側から、どういった活用の部分でお仕事を依頼しているかというところです。対比として社員の方々や、派遣でシステムの企画に携わっている方々もいますので、相対的な比較として出しております。比較的ITスキルが高く、経験値も高いという部分から、難易度が高いジョブやタスクに発注企業の第一があり、こういった部分で活躍されているケースが多いのかなと考えております。また、ここ最近ではIT人材の不足が叫ばれており、質と量的な両面で人的課題の解決という部分で、フリーランスの方を活用されている実態もあるかと考えています。
次のページをお願いいたします。今度は、ITフリーランス業界の課題です。支援機構が立ち上がった背景が、この辺りにあります。現状として大きく3つ捉えております。1つ目が取引ルールの適正化と言いますか、発注側とITフリーランス側の双方で、いかに契約をうまく遂行していくかという部分でのルール作りと、それを啓発・推進していくことが、業界全体として重要ではないかと思っております。こういったものを1つ目の課題として取り上げております。
2つ目がセーフティーネットです。労働災害のリスクは先ほど申し上げたとおり、社員の方々と同等であると捉えておりますので、補償制度の整備が非常に重要なポイントになってくるのかなと考えております。正に今回のお願いというのは、この課題の解決の中の1コマというように捉えていただければよろしいかと考えております。
そして3つ目が、ITフリーランス側の意識の醸成と書いております。働き方改革など、最近の日本ではフリーランスへの転身が非常に容易になってきております。それは素晴らしいことではあるのですけれども、容易である一方で、非常になりやすくなっていることで、事業主としての自覚や責任感という部分については、個人差が非常に出ているのかなと考えております。ですから、社会的な需要を高めるためにも、ITフリーランスの方々に様々な法律的な知識や姿勢を学ぶ機会を提供していくというのは、非常に重要な部分ではないかと捉えております。
次のページをお願いいたします。こういったITフリーランス業界の課題を踏まえて、一般社団法人ITフリーランス支援機構というものを2月に立ち上げております。代表理事は、私がさせていただいております。理事の中には、私が所属しているPE-BANKやレバテックのメンバーがおります。PE-BANKとレバテックは、ITフリーランスの方々のためにお仕事を御紹介したり、様々なフォローアップをしている、いわゆるエージェント企業と呼ばれる企業です。それから、保険会社として三井住友海上です。現状はこの理事の構成で運用をスタートしております。
次のページをお願いいたします。今後我々が重要だと思っているのは、いかに業界のネットワークを作っていくかといったところです。まずは下の赤っぽい四角に「エージェント企業」と書いておりますが、ITフリーランスの方々を支援している我々のようなエージェント企業を会員として迎え入れたいと。それと並行して、ITフリーランスの方々も直接会員として迎え入れたいと。左側のほうには「IT企業」「事業会社」と書いておりますけれども、フリーランスの方々にお仕事を委託する企業も取り込んでいきたいと思っています。こういった方々と一緒に課題を解決していき、あとは協力団体としていろいろな団体がありますので、情報交換をしながら、時には行政の方々とも情報交換をしながら、必要に合わせた政策提言なども、将来的にはやっていきたいと考えております。
○労災管理課長 すみません。時間が押しておりますので、説明時間のほうを御配慮いただければと思います。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 承知いたしました。次のページをお願いいたします。フリーランス支援機構の活動は、先ほどポイントを申し上げました。実態調査、環境整備、人材育成が支援機構の活動内容となっております。
次のページをお願いいたします。支援機構の直近の目標として、3年後に個人会員を1万人、法人を35社というところを目標としております。
次のページをお願いいたします。今回のお願いのポイントになるのですけれども、「労働災害の実態」という所でまとめております。災害の内容としては精神疾患・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・腱鞘炎・通勤時の事故です。精神疾患に関しては、やはり職務上、納期が厳格に定められていることから起因する過度なストレスが生じる事例が非常に多いのではないかと考えております。一方で腰痛を代表とする身体的な疾患については、長時間同じような姿勢で業務をすることが多いですから、そういった部分から発生していくのではないかと考えております。下に参考文献として幾つか挙げております。そういった事例やレポートから考えるに、IT業及び情報通信業の就業現場においては、今申し上げた事例での疾患が多いということです。これはいずれも労災に加入しているIT人材に対する内容ではありますが、ITフリーランスも同じような業界や職種で働いていますので、同様の傾向での災害のリスクがあると考えております。
次のページをお願いいたします。こちらはPE共済会といって、私ども株式会社PE-BANKと契約しているITフリーランスの方々を支援する目的で、約30年前に設立された非営利の組織です。いわゆる相互扶助の精神に基づいて、万が一の病気やけがの際に所得補償や入院費用などの福利厚生を提供している組織で、そこの過去3年間の給付実績を示したサマリー表になっております。御覧いただくと分かるように、先ほどの労災加入者の実態に関するレポートでもあったとおり、やはり過度なストレスによる精神疾患、脳・心臓疾患に対する給付事例が毎年記録されていることが御覧いただけるかと思っております。また、通勤途上のけがなどの事例もあります。
次のページをお願いいたします。ここから3ページほどは、今お示ししたサマリーの明細です。業務中に発生していないものもあるのですけれども、多くは業務中に発生しているものに対する給付というのがお分かりいただけるかと思います。
次のページをお願いいたします。こちらはレバテックのほうで、昨年10~12月の間に所属されているITフリーランスの方々にアンケート調査を取った結果です。労災の特別加入に関する興味を伺ったところ、「加入したい」「加入を検討したい」と答えた方々が86%いらっしゃるということで、特別加入への期待値が非常に高いことが見て取っていただけるのではないかと考えております。
次のページをお願いいたします。労災の災害防止活動として書いております。ポイントは、やはり双方向でいかに啓蒙していくかというところかと思っております。いろいろなパンフレットやホームページで情報を掲載するという一方的な一方向の情報発信もやっていますけれども、やはりオンラインを活用した講習会などで、双方向でやり取りをしていくのが非常に重要な取組ではないかと考えておりますので、そういったことを想定しています。
また、法人会員も迎え入れるわけですけれども、法人会員を通してITフリーランスの方々に、労働災害を防止する取組をしていただくというところも非常に重要なので、会員になっていただく企業としては、こういった活動を努力義務として、加入要件とするように考えております。そして適時、各法人へのフォローアップもやっていくつもりにしております。このような活動を通じて、当機構は労災の防止活動をやっていこうと考えております。
最後のページは設立趣意書になっております。文字は読み上げませんけれども、冒頭に申し上げたとおり、ITフリーランスの方々が安心・安全に活躍していただけるようなことを考え、当機構は今後も進めていきたいと思っております。私からの御案内は以上です。御検討をよろしくお願いいたします。
○守島部会長 高山様、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関して御意見、御質問等がありましたら、先ほどと同じようにチャットに入れていただければ、私から指名させていただきます。では、高橋委員からお願いいたします。
○高橋委員 御説明、どうもありがとうございました。私からは、3点ほど御質問させていただきます。説明の中でありましたとおり、精神疾患や脳・心臓疾患にかかった方が症例としても非常に多く出ていたように思います。18ページにもありましたが、貴機構の労働災害防止活動(案)の中で、相談窓口の設置をすることも掲げられているのですけれども、そもそもこういったITフリーランスで業務に従事されている方の長時間労働や、あるいはハラスメント、発注主からの様々なハラスメントに関するようなもの、この辺の実態をもし把握されておりましたら教えていただきたいというのが1点です。
それから、今回、補償制度を設けるということなのですが、補償制度を設けるだけではなくて、やはりそもそもこういった症例を減少させていくというのが一番重要なことだと思います。そういった意味でいきますと、安全教育というのは非常に重要になってくると思います。ただ、特にメンタルヘルスなどの場合には、専門的な知識が必要な場合もあったりしますので、安全教育をどのような形で行うのか、どういった内容にするのかについてお聞きしたいというのが2点目です。
3点目は、事務局にお伺いしたいのですが、もしフリーランスの方が長時間労働やハラスメントに起因して精神疾患になったというケースが出てきた場合に、これが業務と関連しているか否かについてどのように立証していくのか、認定のプロセスについて、お伺いしたいと思います。以上、3点です。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 ありがとうございます。それでは、まず1点目と2点目は、当支援機構からの回答になるのかなと思っております。まず、ハラスメントや長時間労働の実態をどの程度把握しているのかということだと思うのですけれども、これは支援機構としても当然なのですが、我々エージェントを運営している中で、所属しているフリーランスの方々がどの程度現場で働いているかというところは、実態として把握しています。やはり、これも本当にいろいろなケースが案件ごとにあって、いわゆる繁忙期では非常に高稼動な方々もいっぱいいらっしゃるというのが実態です。
ただ、良くはないわけで、そこはきちんと発注企業様に申し上げながら、稼動調整というのはしていただくような取組をしております。ただ、ここ数年は、いわゆる発注企業様でもここに対する意識を非常に強く持っていただいているような流れもあって、10年ほど前などは非常に厳しい状況で働いているエンジニアさんが多くいらっしゃったのですが、最近この辺は以前に比べると、かなり解消してきているのかなと思っております。ただ、注視していかないといけないというところは、状況は変わっていないと思っています。
ハラスメントについても、なかなかセンシティブな問題ですので、見付けづらいというところが正直あるのですが、ただ、やはりエージェントがここら辺はきちんとフォローしていくことで、実態としてはつかんでいける部分だと思っておりますので、支援機構とエージェントというのが今後一体となって、この辺のところの実態調査、問題解決に努めていけたらと考えております。
2点目のメンタルヘルスについてどのようにフォローしていくかは、ある種テーマかなと思っております。当支援機構だけではなくて、民間であったり、外部のいろいろなメンタルヘルス関係の施設と協力しながら、情報の提供だったり申込窓口の設定というのは、支援機構としては推進していく必要があるのかなと考えています。支援機構としては以上2点です。
○守島部会長 では、よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 事務局から1点です。様々な要因、長時間労働その他による精神疾患が疑われる場合、どのように認定していくのかという御質問だったと思います。例えば、そういった長時間の就業や顧客等からのかなり過度あるいは無理な注文、そういうものを背景に精神障害があるということが仮にあるのかどうかを調べる前には、1つのやり方としては、パソコンのログイン時間や、そういった客観的な労働時間の記録をまず把握していくということがあり得ると思います。その上で、もう1つはやはり契約あるいは発注の内容です。これもどこまで調査できるかということはあるかもしれませんが、やはり客観的な資料が重要ですので、契約やメールの記録から過度の要請、注文によって強い心理的負荷があったことが認定できた場合には、労災認定していくということになるかと思います。この辺り、どのような場合に業務遂行性が認められるかという作業の範囲も含めて、これもまた整理していきたいと思っておりますが、そういった形で客観的な資料を可能な限り集めて、認定作業をやっていきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、続いて安原委員、お願いいたします。
○安原委員 今回、貴組織が特別加入制度適用を考えるに当たって、少し全体像で教えていただきたいところがあるのですが、既に活動計画で民間の保険の開発に取り組むという計画があるという記載があります。それから、先ほど13ページの調査の所でも、PE共済会という所で既にそういった仕組みも活用されており、今回、特別加入制度という国の仕組みを考えていらっしゃるということで、それらのそれぞれの関係性をどのようにお考えなのか教えていただければと思います。また、貴組織の個人会員ではない方でフリーランスで働いている人が、特別加入を希望する場合に、機構を通じて特別加入することが可能かどうか。この仕組みだけのためにという言い方は変かもしれませんが、そういったところの機能を持たれるのかも確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 では、よろしくお願いいたします。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 御質問ありがとうございます。まず1点目、共済会制度や民間で救おうとしている部分の関係性ですが、先ほど御紹介したPE共済会は、手前どもがPE-BANKと契約しているITフリーランスのみが対象になっておりますので、今後、理事として参加している三井住友海上様と一緒になって、これの成長・発展版というのが作れて、日本全体のITフリーランスの方々が活用できればいいのかなという思いで現在、取り組んでいるところです。なので、現状はまだPE-BANKのみが対象になっているのですが、そういった方向性で今後、考えていきたいと思っております。今回の特別加入の部分は、ベースとして民間の保険がその上に乗っていくような2階建ての補償制度というのを作れたらいいのかなと考えながら進めているような方向性になっています。
2点目なのですが、この制度への加入だけのために設立したのかという御質問だと思います。冒頭で申し上げましたとおり、セーフティーネットを構築していくのは重要なのですが、これだけではないと思っております。先ほど申し上げました民間の保険会社と組んで2階建ての所を作っていくという部分も当然必要ですし、今後は社会的な要請で、様々なセーフティーネットというのを作っていかないといけないと考えております。介護時代に突入しておりますし、フリーランスでITの現場で活躍しながら、一方で介護もしっかりとやっていかないといけないという方々が増えてきますので、そういった方々がいかに両立していくかというところも今後、中長期的にはメスを入れていかないといけない部分かなと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。続いて田久委員、お願いいたします。
○田久委員 時間もないので、簡単に申し上げます。1点は、今回はITフリーランス機構さんが特別加入団体のベースとして団体を作っていって安全対策を、先ほどもUberでも話しましたが、地域的にそういった場所を設けるのか全国に1つなのかというのが1点です。もう1つは気になる点というか、建設の中で今、最大の問題となっている一人親方化で、特別加入を広げることによって今言われている130万人の正社員が、そういったITフリーランスに流れないように、やはりきちんとしていかなければいけないのかなと思っています。特に、そういった高い技術ということでいくと、実はITでいきますと年齢関係なく高い技術を持っている方はいらっしゃいます。建設ですと16歳の一人親方はあり得ないというのはよく分かるのですが、そういった部分ではITはなかなか難しい部分があるので、加入させるというか、団体として加入を勧めていくことになるので、そういった点はどうお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
○守島部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 ありがとうございます。まず1点目、安全対策の地域性をどう考えるかという部分のお尋ねだと思うのですが、昨今リモートをはじめ、オンラインでやれることがかなり増えてきていると考えております。基本的には双方向な啓蒙活動、それから研修会等はオンラインでできることが多いと思っておりますので、さほどその地域に行って何をしないといけないという部分は、余りないのかなと思っているのと、IT現場というのは余り地域性を感じる部分がありませんので、全国一律での取組がいいのかなと思っています。ただ、そうは言いながらも、ひょっとしたら地域性を今後、考慮しないといけない安全対策というのは、可能性はありますので、そういった場合は是非その地方に特化した取組を検討しないといけないかなと考えています。
○守島部会長 ありがとうございました。時間も押しておりますので、一応、高山様への質問は、この辺で終わらせていただきたいと思います。高山様、本日はお忙しい中ありがとうございました。
○ITフリーランス支援機構高山代表理事 どうもありがとうございました。
○守島部会長 委員の皆様におかれましては、今回の両発表を今後の議論の参考にしていただければ有り難いと思います。
では、次の議題に移ります。続いての議題は、特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項です。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、私から御説明させていただきます。資料は2つあります。A3横長の資料3、もう1つ資料4というのがあります。まず、資料3から説明いたします。このフォーマットは従前、特別加入を検討するに当たって必要な事項を整理しているフォーマットです。順番に御説明いたします。まず、自転車配達員については、業界全体としては先ほどの御説明の中でいろいろ重複等もあるということですが、約9万人程度という御説明がありました。業務の範囲としては、自転車を使用して貨物の運送を行う業務です。ちなみに、先ほどの団体の御説明では、いわゆるフードデリバリーという食品の配達ですけれども、これは事前に事務局から確認しておりますが、実際に運ぶ物というのは様々、もともと多岐にわたっております。書籍などを運ぶということも当然ありますので、仮にそういったものを完全に区別することは実際、業界でもできないということですので、その辺りは一体として、貨物の運送を行う業務ということで1つくくっていくのかなと考えております。
それから、災害の状況ですが、これも先ほど御説明があったとおり、交差点での事故あるいは停車中の車との衝突の事故、こういったものがあるということで、類似するものとしてはここにあります。後ほどまた御説明いたしますが、現在、特別加入として認めている自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業、これが1つ類似するものかなと思っております。団体の担い手としては、今日御説明があったフードデリバリーサービス協会が設立する、あるいは既存の団体ということもまだ並行して検討していると聞いておりますが、こういった状況です。この下の実際の作業従事者の数については、これは自転車に関してですが、先ほど御説明した約9万人。全体として登録している人は15万人程度となっております。
仮に団体として設立するということであれば、会員の構成員の資格や得喪に関する規程を当然設けていただくことになると思います。また、事務処理はきちんとやっていただく必要がありますので、そういった規程、事務局体制、財務内容に関する規程を設けていただくことになるかと思います。現在のフードデリバリーサービスの団体は東京都渋谷区ですが、今後、設立あるいは既存の所にお願いすることになれば、それによってちょっと変わってくるのかなと思っております。
労働災害防止対策の措置ですが、ある程度ブロック別で、先ほど都道府県等の連携、県警との連携というようなこともありましたので、ちょっとその辺りも含めて今、いろいろ検討していただいているということです。当然、特別加入団体になる団体については、災害防止規程を定めていただいて、特に今日、御説明いただいたフードデリバリーサービス協会は、もともと交通安全というところをしっかりやっていかなければならないということを活動の主軸にされているということですので、ここがある意味、様々な形で関与して、特別加入団体とか、あるいは実際の事業者、こういったところに対する様々な啓発等を行っていくということが想定されていると承知しております。
次に、右側です。情報サービス業ですが、先ほどの御説明では、IT全体では160万程度ということですけれども、その中でフリーランスのIT人材は、17万6,000から25万6,000程度です。内容としてはかなり多岐にわたりますが、情報システムの企画、構築、運用など、それから、そういったシステム、サービス、製品の企画提案、そういったものが入ってくるということです。災害の状況についても説明があったとおり、長時間のデスクワークとか、結果としての不規則な生活リズムによる心筋梗塞その他の例というのが見られると。また、過度のストレスによる精神障害等の例、あるいは階段から落ちてけがをすることもあるということです。類似するものとしては、これは労災の本体のほうの区分になりますが、情報サービス業というのがありますので、これが1つ類似するところかなと思います。
団体としては、今日御説明のあったITフリーランス支援機構が想定されております。これは想定されている人数ということで、機構の会員数として約4,000人という御説明がありましたので、この辺りが1つ最初の起点になっていくかと思っております。団体には当然、構成員の資格、その他の規程がありますし、事務処理をやっていく上で、ITフリーランス向けの福利厚生に関する事業という規程があります。組合の出資その他の規程もあります。事務所は東京都港区ということですが、先ほど御議論もあった災害防止の措置については、本部から遠方である所も当然ありますので、ブロック単位で特別加入のいる地域の会員について、先ほど御説明では双方向も含めたオンラインということもありましたけれども、資料の中には実際、出張での研修というような記載もありました。この辺りもやっていただくということだと認識しております。当然、災害の状況等もきちんと把握して、特別加入者にフォローアップをしていく。それから、災害防止に関する講習実施パンフレットを作成し、様々な各種の相談、あるいは、先ほど説明があった相談窓口の設置が予定されています。
次は、資料4です。これは、仮にこれらの業種について特別加入を認めていく場合に、どのような料率の設定が考えられるかを事務局として整理したものです。資料4をおめくりいただくと、自転車配達員の災害の状況で、先ほどの説明の中で、簡単に言えば交差点の事故、それから止まっている車との事故、こういったものがあるということです。現在、原動機付き自転車での配達も特別加入の中に入っているわけですが、実際の事故の対応としてはこれに近いものがあるということで、現在、存在する自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業に含まれる業種に近いと考えております。
そうすると、次ページですが、今回、設定する業種ということであれば、既存の自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業の業種は料率が1,000分の12になりますけれども、これに追加していくということが考えられるのではないかなと思っております。ちなみに、今日の御説明の中でも、自転車を使って配達をする人、原付を使う人、それがかぶる人もいるというような御説明がありました。ですので、もちろん技術的には別物として分けた特別加入ということもあり得なくはないと思いますが、実態としてかぶっている方がいるということになると、分けてしまうと場合によっては両方に加入しなければならないケースも出てくるだろうということですし、また、災害のどのような類型かも類似性があるということで、この料率からスタートすることが考えられるかと思っております。
次ページは、情報サービス業です。これは、既存の情報サービス業に1つ近しいところがあるかなと思っております。この情報サービス業を含むその他の各種事業における料率1,000分の3が考えられると思っております。最後に、参考として料率の設定案についてですが、これは基本的には同種、若しくは類似の既存の業種を特定して、そこから設定することを基本にするということではないかなと思っております。もとより、特別加入を認めるといったときに、何か事故が起きたときに災害の補償をすればいいということでは当然ないわけですので、加入を認めることとあいまって、団体に災害防止の措置にきちんと努めていただくことが非常に大事だと思っております。ですので、この料率については、また最終的には様々御議論いただくことになるかと思いますが、実際に災害が減ってくれば、料率を下げていくことも当然余地が出てくるわけですので、その辺り、スタートとしてはこのような提案をさせていただきますけれども、今日特に御議論のあった災害防止をしっかりやっていくということについても、こういった団体に私どももしっかり働き掛けをしていきたいと思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関して御意見、御質問等がありましたら御発言いただければと思います。
○仁平委員 経済社会の変化が激しい中、変化に対応してセーフティーネットを広げていくことは重要であるし、これまで対象とならなかった方が、労災特別加入によって保護されるようになることは必要なことだと思います。ただ、他の委員からも意見としてございましたが、本来雇用契約であるべき人が、労災の特別加入制度の対象だからということで、安易に個人事業主に移行されてしまう流れにならないように、注意が必要だろうと思っております。そのためにも、行政には働き方の実態をきちんと見て、実態が雇用であれば労災本体が適用されるように、きちんと指導していただきたいと思います。
それと、周知についてですが、この間の特別加入拡大の動きもあって、社会的な関心も高まっていますので、企業、労働者、双方に正しい情報を知っていただくことが大事だと思います。この機会に雇用と個人事業主が曖昧に混在しそうな業種に向けて、周知用のパンフレットなどを作成するなど、具体的には今後の検討課題だと思いますが、社会的な周知活動に取り組んでいただきたいということを意見として申し上げたいと思いす。
また、説明いただいた料率の考え方について、特別加入の対象範囲を今回拡大するということであれば、料率についての考え方は提案のとおりでよいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
○労災管理課長 今、仁平委員から御指摘いただいた点、これは労働者なのかフリーランスなのかということの区別について、特別加入が拡大することに伴って、結果として本来労働者である方がそうでない所にカテゴリーされることは、当然あってはならないことであろうと思います。その辺りは様々、周知など、先ほどパンフレットその他、こういった業界のいろいろな特殊性もございますので、工夫をしてまいりたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。続いて池田委員に御発言いただきたいと思います。
○池田委員 私からは1点、意見です。これまで対象でなかった方々にセーフティーネットを広げるということは、先ほど仁平委員もおっしゃっていたとおりかなと思いますし、私としてはフリーランスの方がそこで特別加入という仕組みで入るということは極めて妥当だろうと感じています。料率の設定の仕方についても、類似と思われる事業で設定することも1つの合理的な案ですので、これまでの考え方というのは妥当だろうと思います。
ただ、例えば、旅客の運送事業や貨物の運送事業は、事業としてもともと求められている安全策みたいなものがあって、そういったものが存在されるものと、今回、新たに入ってくるであろう自転車配達員の部分が同じでいいのかというのは、義務化されている安全策が恐らくない中で、今回の御説明を聞く中でも、まず一番マジョリティであろうと思われる交通災害について検討を始める。その他のことは、逆に言えばこれからになるのだろうということで、緒に就いたばかりかと思いますので、今後進んでいくそういう安全関係の取組が既存のものとは大きく異なっている状況にあるのだろうと感じました。ですので、今後は実態を見ていく中で、初めの料率は1,000分の12がスタートというのがやむを得ないのかとも思いますが、今後の実態に応じて、安全の取組なり実態がかなり少なければ、それは当然見直されるでしょうし、逆に多ければ、そこと区分して多くなるということが、それが保険ですので必要なのかなと感じておりますので、その旨申し上げておきたいと思います。私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では、よろしくお願いします。
○労災管理課長 料率の考え方については、保険の原理というところで、1つの業種についてどれぐらいのリスクがあるかということからスタートするという考え方ですが、一方でその業界の実態も、特にフリーランスの世界は非常に動きがあるところですので、いろいろ設定した上で、またよく実態を見て、その辺り、仮にくくり直しがやはり必要だということが出てくれば、それはまたしっかり検討していく必要があるのかなと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○池田委員 くくり直しが必要という御発言、どうもありがとうございます。であれば、くくり直しができるような形での制度構築が必要かなと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。それでは、大分時間を超過して申し訳ありませんでした。第1の議題は、本日の議論を踏まえて省令案の要綱について、次回の部会に諮問していただくことを考えておりますので、よろしくお願いいたします。ほかに何かあればお伺いいたしますけれども、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、本日予定した議題は以上になります。次回の日程については事務局より追って連絡をさせていただきます。皆様方、お忙しい中、本日は大変ありがとうございました。これで終了します。