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第22回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録
医政局研究開発振興課
日時
令和3年5月27日(木) 10:00~12:00
場所
TKP新橋カンファレンスセンター
議事
- ○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第22回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Webで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステムの機能から「参加者リスト」を表示していただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願い申し上げます。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにすると共に「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしておりますWeb会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡ください。
本日は、部会の定数14名に対しまして、14名全員の委員の先生の御出席を頂いておりますので、定員数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、会議資料についてです。会場で参加されております先生においては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。Webで参加されている委員の先生におかれましては事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので御覧ください。資料は資料1-1から資料1-4、資料2、参考資料1から参考資料8となっております。お手元で不足等がございましたら、事務局宛てにお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 おはようございます。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
早速、議事に入らせていただきます。議題1は「臨床研究法に関する検討について」です。事務局より資料1の説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 資料1-1「臨床研究法における今後の検討の方向性について」の説明をいたします。全体の4ページを御覧ください。これまで臨床研究法の見直しということで、研究班をはじめ様々な御意見を頂いた中で、御指摘された論点として3回にわたって問題点について御議論いただきました。おおむね御指摘いただいたような論点について、御提示させていただいたのではないかと思っておりまして、この機会に一度、今までの論点の考え方といったものをまとめた上で、今後の進め方について御相談させていただくものです。
4ページの中程を御覧ください。改めて、最近の「臨床研究法にまつわる状況」ということで整理しました。今、新型コロナウイルス感染症がある中で、新しい治療法を世界同時に適用できることが非常に重要となっております。そういった意味でも、日本の治験・臨床研究の実施環境について、更に国際整合性を向上させていくといったことで、日本発の治療法も世界に出していく環境を整えていくことが必要だということは認識されていると思います。
また一方で、臨床研究法について、手続きなどの負担が研究の推進を阻害しているとの御意見も頂いております。こういった臨床研究法の施行状況、開発推進に資するような臨床研究の促進の環境の整備、また、もともとこの法の趣旨である研究の信頼性確保とのバランスを踏まえまして、下に記載されている2つの大きなテーマの下に、各論点を整理させていただいてはどうかと考えております。
1つは、「革新的な医薬品等の研究開発の推進」ということで、大きくは国際整合性、それから研究の法への該当性を明確化するということ、そして手続きの合理化です。それぞれについて論点を整理しております。
国際整合性については、研究の実施体制、特に責任主体で、「Sponsor」と仮称しましたが、こういったものをどのように取り入れるか。それから、臨床研究で得られた情報を薬事申請に利活用すること、観察研究をどのような形で取り扱っていくのか、疾病報告の取扱いについてです。該当性の明確化については、適応外薬と医療機器に関して、どういった適用範囲を特定臨床研究と考えるのかといった論点です。手続きの合理化については、特定臨床研究に係る届出・変更手続きの合理化など、利益相反申告手続きの論点もございました。
一方で、「研究の信頼性確保」ですが、透明性の確保として、利益相反申告の手続き、研究資金等の提供に関する情報公表、重大な不適合の取扱いに関する御指摘も頂いております。また、研究の質を確保する観点から、臨床研究審査委員会(CRB)の認定要件といったことがあると思います。なお、被験者保護というのは非常に大事な論点ですが、これはいずれの検討においても前提としてあるものとして、あえて記載はしておりませんが、そういった考え方で整理させていただいたものです。
次のページを御覧ください。私どもが考えている今後のスケジュールについてです。先ほど申し上げましたように、1月から3回かけて様々な論点について課題の御指摘を頂いたところです。また、様々な立場からの御意見も頂戴いたしました。今回の第22回は、今、御説明している検討の視点の提示とともに、今後何回かに分けて、各論点について、どのような方向で進めていけばよいのか、どのような方向に変えるのか、あるいは変えないのかといったところの御議論をお願いしたいと考えております。下にあるように、今回は、届出・変更の手続きの合理化、疾病等報告の取扱いを議題とさせていただきましたが、次回以降、ある程度テーマ的に似通ったものなどをまとめながら、順次御議論いただきたいと考えております。
スケジュール案ですが、右上に「夏以降」と書いております。今後、何回かの議論を経た上で、今回、これまでの議論の全体像の整理をさせていただければと考えています。
1つは、今後、この論点を議論していく中で、法律そのものを変えないといけないようなものも出てこようかと思いますので、そういったものがどういうところにあるのか。また、法律までは変えなくてもいいけれども、施行規則などを見直すことで改善できるような点については、ある程度具体的な方向性も含めて整理できればと考えております。また、通知など運用の明確化などを図ることで対応できるところもあると思いますので、そういった全体を一度整理していただいた上で、引き続き、法律に係るような部分については御議論を継続してお願いすることになろうかと思いますが、まずは夏までの議論の進め方として、このようなことを考えております。
これは御紹介だけになりますが、46ページに資料1-4がございます。こちらについては、先ほど申し上げたとおり、3回の議論で様々な御意見を頂戴いたしました。事務局で議事録から、各論点について先生方から頂戴した御意見をテーマごとに簡潔にまとめたものです。改めて議論することはいたしませんが、今後、各論点を議論する際の参考としてお使いいただければと考えております。今後、また議論が進んでくる中で、それぞれの論点について頂戴した御意見を追記しながらお示ししていきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。この方向性について、御審議よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 今後の検討の方向性につきましてお示しいただいたわけですが、この点について何か御質問、コメントがあれば、お願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。方向性は特に問題視しておりません。特に、国際的な整合性を、より向上させてということに関しては同意しておりますが、事務局でこれに関しては「以下の論点」というのをまとめていただいているのですが、ほかの委員の先生方も御理解されているかもしれませんが、私は「国際整合性を、より向上させる」という所の全体像が見えていないので、例えば事務局がここにピックアップされた論点というのが何を根拠に引っ張ってこられて、ほかにはそういう課題はないのか、論点を幾つかピックアップされたことに対しての根拠は何かというのが、全体像が分からないので、国際整合性に合っていないと思われるポイントが分かるような資料を、すぐにはできないにしても、この会議の間に提示していただければ有り難いと思います。全体像が見えて初めて、事務局が提示されたポイントの重要性と直すべき理由というのが分かってくると思いますので。事務局がおっしゃっているとおり、国際整合性をより向上させると。向上できていないポイントを示していただくような資料を作って、提示していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 十分に説明できていない資料で申し訳ございません。ここに論点として示しているものは、これまでの3回で、課題として御指摘いただいたようなもの、あるいはこちらから出させていただいたものについて区分したものですが、次回には、先生の御指摘のように、どういった点について国際整合性が足りていないのかといったところが分かりやすくお示しできるような資料を準備させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○渡辺委員 よろしくお願いします。
○藤原部会長代理 今の渡辺委員の御疑問に補足して説明したいと思います。この臨床研究部会ができる前の臨床研究法を策定する段階で、私は厚労省の特別研究班の班長をしていて、全世界をたくさんの専門家の人たちと回って、各国のその当時の臨床研究をめぐる規制の内外差をまとめております。2年目は慶應のロースクールの磯部先生が班長を務められましたが、その当時の研究班の報告書の2冊を見ていただくと、内外差、どこが違うかということが分かってくると思いますので、詳細はそちらを参照していただければいいと思います。
その後の臨床研究法の立て付けを検討する委員会は、多分、楠岡先生も委員をされていたと思いますが、そのときにも様々なまとめが出ていますので、事務局はそこをまずは参照にしていただければと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今の渡辺委員からの御指摘の点も踏まえまして、少し整理した上で、この形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の資料1-2について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 資料1-2について御説明いたします。今回、先ほど申し上げましたとおり、届出・変更手続きの合理化と、疾病等報告、特に報告期日の取扱いについて、御議論をお願いしたいと思います。
8ページ、1.届出・変更手続の合理化についてです。現状・課題の説明をさせていただきます。現状、臨床研究法の下で特定臨床研究を実施する際には、新規にスタートする際に実施計画の提出をしていただきますが、そのほか、研究の経過の中で様々な変更が生じてくることがございます。そういった場合には、事前に委員会(CRB)の御意見を聞いた上で、厚生労働大臣(地方厚生局長)への届出が必要ということになっております。手続きとして、「軽微な変更」ということで、事後に届出をすればよいというような規定も設けておりますが、その対象が、「研究者の氏名の変更」及び「住所変更」ということで、極めて限定的な運用とされております。
一方、研究の中で様々な変更が生じると申し上げましたが、例えば病院管理者が変わるとか、研究の内容そのものには影響しないような変更も含めて変更が様々に生じてきますので、その度にCRBの御意見を聞いて届出をするということで、時間と費用の肥大化につながっているとの御指摘も頂いております。
現在、届出事項については、jRCT上で内容を公開しておりますが、患者、国民への情報公開を適切に行うことは非常に重要と考えております。現在は、この公開内容と届出事項がぴったり一致しているという状況で、一方で、私ども厚生労働省に届け出ていただく事項については、もう少し限ることも可能ではないかという考え方もあると思います。jRCT上、公開する内容としては、今のものをベースにしつつ、届出として出していただく規定する事項について少し見直しが可能ではないかというような問題意識です。
一方で、様々な変更が生じてくる事項の把握についてですが、毎年、CRBに、研究を実施される所から実施計画等ということで、これには研究計画書などの関係書類も含めて、毎年状況を提供していただきまして研究継続の適否について御意見を頂くという機会がございます。また、この御意見を頂いたような機会に併せて、私ども厚労省にもこういった計画(研究計画書)を届け出ていただくということで、実質上、毎年というベースになりますが、変更の中身について把握いただけるということです。
論点です。事務局の事務手続の負担を軽減するために、どのように考えるかということで、今申し上げたように、「軽微な変更」の範囲をどのように考えるのか。幾つか例として、現在の対象である「氏名および住所」の変更に加えて、「研究者の所属部署」や「管理者の許可の有無」など、研究の実施に直接影響を与えないものを精査して、軽微な変更の項目を増やすことができないか。あるいは実施計画と、先ほど申し上げたような公表項目を分離したときに、どういったものを届出や実施計画の中から外すことができるのか、そういったことも議論できればと考えております。
それから、紙による届出を廃止してオンライン入力にできないか。これは、その方向でというような御意見が多かったかと思いますが、ここについては、今後またスキームなどを整理してお示しできればと思います。このほか、今申し上げたような軽微な変更、公表項目と届出の分離以外に、何か工夫があれば、そういった点の御指摘も頂ければと思います。
9ページ以降は参考となる情報です。まず、9ページですが、申し上げたとおり、現在は新しい計画、変更について、CRBと厚生労働大臣への届出が必要という図になっております。
10ページが、今申し上げたとおり、変更は2種類ありまして、事前にCRBの審査を経て国に届出をする変更、それから軽微な変更ということで、事後に報告を頂ければいいものがございます。
11ページを御覧ください。こちらについて、今後の議論の参考にしていただけるかということで御説明させていただきます。課題として、CRBに事前の審査を頂くというところについて、費用と時間が掛かるということがありましたが、CRBについて、ある程度簡便な審査という形での取扱いを認めているということで御紹介させていただきます。
施行規則の第80条の第4項にありますが、通知が具体的にありますので、中程を御覧ください。①にありますが、「臨床研究の実施に重要な影響を与えないものである場合」ということで、例えば臨床研究従事者の職名の変更とか、進捗状況の変更について、②としては、どのような方法でできるかと言うと、例えば委員長のみの確認をもって簡便な審査として取り扱うことができるということなど、審査に係る手続きを減らして、簡便、迅速に確認できるような手当といったものも規定しております。
その下に、「認定臨床研究審査委員会業務モデル」ということで、実際にこういった簡便な審査は、どのような形で、どのようなものをということについて、モデル事業として私どものホームページで掲示しているものについて示しております。ここでは第10条ということで、委員会の事務局で確認していただいて、それをもって委員会の承認があったものとみなすことができるというような運用をお示ししております。そういったことができる中身としては、外形的に確認できるものということになりますが、研究の問合せ先の担当者や連絡先とか、実施医療機関の管理者及び、その許可の有無、あるいはデータマネジメント、モニタリング、監査、研究・開発支援担当及び調整・管理実務担当機関の担当責任者、並びに担当者の所属や役職などの変更、ほかにも幾つかございますが、こういった研究の中身そのものには影響しないものの、変更の可能性があるようなものについて、簡便な取扱いについて例示させていただいているところで、届出そのものの中身をどうしていくかを考えるときに、こういったものが御参考になるのではないかということでお示しさせていただきました。
12ページを御覧ください。これも御参考までにということで御紹介いたします。同じように、治験の届出を求めている医薬品医療機器等法において、こういったものについても、厚生労働省(PMDA)への治験の届出について、ある程度まとめて届け出ればよい事項というものがございます。こういったものも御参考にしていただけるのではないかと思います。
18ページを御覧ください。こちらも議論の参考としていただけますように、現在、届出の様式ということでどういった項目が届出の対象になっているかということで、添付させていただきましたので、御議論いただく際に、これを御覧いただきながらお願いできればということです。
続いて、疾病等報告について御説明いたします。13ページからです。疾病等報告について、大きく2つ課題があります。まず、疾病等報告の主体についてというものがございます。現在、多施設で臨床研究法の特定臨床研究を実施いただく場合に、「臨床研究の実施に起因すると疑われる疾病等」については、それぞれの研究機関の研究責任医師により因果関係の判断を行うということになっていますので、同じプロトコールでも、それぞれ疾病が発生した医療機関ごとに判断がなされるということで、判断にばらつきが生じる可能性があるという御指摘があります。一方で、治験などの世界的な基準のICH-GCPでは、治験の実施の責任の主体の治験依頼者、そこに全ての有害事象の情報が集まった上で、それをスポンサーが因果関係を把握して規制当局に報告する。要するに、因果関係の判断を一元化しているというようなことがあり、この辺りをどうするかということがございます。この辺りについては、試験そのものの実施体制、スポンサーをどうするかというようなことが1つの論点として挙げられておりますので、その際に御議論をお願いできればと考えております。今回につきましては、②疾病等の報告期日について、御議論をお願いしたいと考えております。
臨床研究法における疾病等報告の期日ですが、これについては医薬品医療機器等法を参照して日にちを決定しております。一方で、臨床研究法における「既知かつ重篤な有害事象」のCRBへの報告期限が、未承認・適応外医薬品などについては定期で、1年に1回が目安となっています。既承認の医薬品については30日ということで、実際にそれぞれの潜在的なリスクなどを考えたときに少し齟齬があるのではないかという御指摘を頂いているところです。
14ページですが、これは以前に疾病等報告の論点をお示ししたときにお示ししたものを、少し様式を変えたものです。先ほど申し上げましたとおり、既知、重篤の取扱いに齟齬というか、不整合があるのではないかということで、その次15ページを御覧ください。これも以前にお示ししましたが、それぞれ未承認・適応外薬については、医薬品医療機器等法の中でも、治験に関する副作用の報告の期日を参照して決定しております。一方、既承認のものについては、同じく医薬品医療機器等法ではありますが、市販後の副作用報告の期日を引用したと御説明させていただきました。
16ページを御覧ください。少し前回の説明で足りないところがありましたので、これは新しい資料です。どういった形で、関係者の中で、この疾病等あるいは副作用の情報が共有されるのかについて、左に模式図を示させていただきました。青い矢印は、法令に基づき速やかに報告となっています。まず臨床研究法は、疾病等報告が発生した医療機関の担当の責任医師から、実施機関の管理者、代表責任医師に。多施設の場合は、こういった先生方に報告した上で、他の研究責任医師にも、そして、責任医師から他の実施医療機関に対しても、いずれも速やかに報告していただくことになっております。何か疾病等が発生した場合には、研究のかたまりと言いますか、研究参加施設間では速やかに関係者に情報の共有が図られるというような体制になっております。その上で、厚生労働省、CRBについては、法令で報告期限が定められておりまして、遅くともここまでにはきちんと報告しなさいという趣旨で期日が定められているものですが、今申し上げたとおり、研究の機関の中では素早い情報共有ができているという体制になっております。
下に、基となった薬機法について御説明しております。こちらについては「治験」と「製販後」ということで、治験については、おおむね臨床研究と同じような形で実施がなされています。これも治験責任医師の下で副作用が起こったときに、速やかに実施医療機関の長と治験依頼者に情報がいきますが、更に治験依頼者から他の施設の治験責任医師、他の実施医療機関の長といった形で、治験を実施されている機関の中では速やかに情報の共有が行われた上で、法令に基づいて厚生労働省(PMDA)に期限内に報告を頂くということで、研究を実施されているメンバーが決まっていまして、この中での情報共有が速やかに行われているという状況になります。
一方で、薬機法における製造販売後です。これは広く不特定多数と言うか、日本全体の医療機関で使用が可能となっているような状況の下で何かの副作用があった場合は、医療関係者から製造販売業者に情報提供いただきまして、これは分かったときにすぐに提供いただくということになっておりますが、この先で情報共有するというのが、広く販売されているものですので、まず、法令に沿った形で厚生労働省(PMDA)に御報告いただいて、そういったものの中身をPMDAで評価した上で、必要に応じて広く安全性情報をお知らせするといった趣旨で、それぞれの中身、情報の取扱いの仕方を基に決められているという背景がございます。前回、この辺りをよく説明できておりませんでしたので、改めてそれぞれの報告期日の考え方の基となる取扱いについて説明させていただきました。
その上で、17ページを御覧ください。今申し上げた説明の繰り返しではありますが、改めて御説明させていただきます。まず、臨床研究法において、疾病等の発生時には、それが未承認・適応外医薬品なのか既承認の医薬品なのかの別、あるいは疾病等の重篤性や、既知・未知の内容を問わず、その発生内容が、研究代表医師から当該研究を実施する共同の研究機関間において、速やかに情報共有が図られております。こういった中で、必要な安全対策も取られていくということになります。治験も同じような形で実施されています。
一方で、2つ目のポツになりますが、既に承認されている医薬品の特定臨床研究の報告期限として、参照した薬機法の製販後の副作用報告については、今申し上げたとおり広く市販されている医薬品に対する安全対策をどう取っていくのか。研究機関が固まって情報共有を密にできるような状況ではない中で、規制当局が一元的に報告を集めて評価をしていくというような枠組みの中での報告期限というものでした。
先ほどから「齟齬が」というように申し上げましたが、一般的に未承認・適応外の医薬品の特定臨床研究に比べて、既承認医薬品は、承認の用法・用量、効能・効果の範囲内で実施される特定臨床研究ということになりますので、対象となる医薬品の安全性などについては、既承認のほうが未承認・適応外に比べて多くの情報が得られているというような状態で行われているということがあります。こういった中で、先ほど御覧いただいたように、おおむね1年に1回の定期報告と、30日の取扱いをどのように考えるのかといった点について御議論をお願いできればと思います。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。2つの論点がありますが、それでは最初に1つ目の論点の「届出・変更手続きの合理化について」ということで、ただいまの御説明に関してコメント、御意見をお願いしたいと思います。では、まず藤原委員、続いて山口委員からお願いいたします。
○藤原部会長代理 少しずれるかもしれませんけれども、特定臨床研究の届出の効率化に関連することです。jRCTの登録画面が非常に見にくいので、早く変えていただきたいというか。今の登録画面でjRCTを見ると、タイトルだけが書いてあって、いちいち開いていかないと細かい所に入っていけないのです。臨床試験を把握するのに一番必要な登録期間であったり、観察期間であったり、サンプルサイズであったり、現在進行中なのか、もう終了してしまったのか、そういう情報を見るために1つ1つ開けていかないといけないし、タイトルの名前も全然なじみのない「管理する項目」とか、どこに何が入っているのか非常に分かりにくいのです。アメリカのClinical Trials.govみたいに一瞥できるように、スクロールしたら全部の登録項目が見られるように、できれば改修していただきたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 事務局から。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 恐らく今回の見直しの契機で、jRCTの改修が少し必要になってくるかと思います。その際に御指摘いただいた「見づらい」という点は、ほかからも御指摘を頂いているところですので、少し整理をして、どういった形で改修ができるのか、また御紹介させていただきながら進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 それでは山口委員、お願いいたします。その後、東大の渡部委員、お願いいたします。
○山口委員 届出のことです。「軽微な変更」というのが非常に限定的で、研究者の氏名の変更と住所変更というようになっています。特定臨床研究が始まって、かなり一定期間を経てきていますので、限定されているもの以外のよくある「軽微な変更」というのは、もうそろそろ抽出が可能ではないかと思います。ですから議論できないものや、CRBの意見を聞いても変え様がないものなどを抽出して、「軽微な変更」に該当するところを増やしていく必要があるのではないかと思っています。
ただ、そうは言っても、必ず例外やグレーゾーンのようなところがあります。そういったものについてはどうするのかということが必ず付いて回るような気がしますので、そういった場合は、例えば事務局が判断し、判断理由を明示しておくと。そして明示したものについては、CRBの委員が常にチェックできるような状況に置いておくということで、本当に妥当な判断をしているかどうかということも、ある程度チェックできるのではないかと思います。
それから、届出の煩雑さや二度手間になっているところが非常に研究者の負担になっていると思いますので、問題点として出てきているところ、そして一本化できるようなところについては、是非煩雑さを解消していただきたいと思います。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 事務局というのは、例えば私どもがということですか。
○山口委員 違います。CRBの事務局です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 CRBの事務局が御判断された理由なりを明示しておいていただくということですか。
○山口委員 はい。やはりCRBの事務局機能ということが重要になってくると思いますので、どんな判断をしているかということもCRBの委員が見ていくことになるのではないかと思って発言いたしました。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。
○楠岡部会長 では、続いて渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 山口委員の御意見と重複してしまうのですけれども、実際に実施医療機関で事務局の支援業務をやっている中で、薬機法との大きな違いは「事前に」というところと「事後でもよい」というところではないかと感じています。やはり役職や、臨床試験の本質にはさほど大きく関わらない内容であり、かつ事前にその情報を把握することが難しいものに関しては、事後にまとめてという形になるとよいのではないかと思います。CRBのほうで簡便な審査がある程度まとまってきているということでしたので、そういったものを各CRBでルールを統一して運用できるような仕組みができればよいのではないかと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ほかに御意見はありますか。では、藤原委員。
○藤原部会長代理 基本的なところで、継続してずっと申し上げていますけれども、特定臨床研究という変な名前を付けて、臨床試験という名前から外れた日本独特の仕組みを作っていることは、早めに卒業してほしいのです。治験と特定臨床研究というのが別々の報告基準とか、いろいろな項目基準などを設けていること自体がリスクを引き起こしますので、基本的に治験並びでやっていくと。例えば、簡便な審査であれば、薬機法並びに関連法令で決められている「簡便な審査」に統一するということを基本方針として臨んでいただければと、私は思います。
○楠岡部会長 それでは、次に近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 私も渡部委員や山口委員が話された内容に異論はありませんし、賛成です。本日提示いただいたような、CRBで簡便な審査が行われているものというのは、特に事後に評価できるような内容になってくるかと思いますので、それを十分に参照して、立て付けを考えていっていただければいいのではないかと考えます。以上です。
○楠岡部会長 ほかにありますか。渡辺委員。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。山口委員の御意見に関連するのですけれども、現時点ではCRBに入ってきた変更届、チェックされた変更の項目数や項目内容はリストアップできない制度なのですか。もし把握できるのであれば、どの程度の内容にどのぐらいの変更があったかが分かれば検討しやすいと思うのですけれども、今の時点のシステムでは、これを把握できないというように考えたらいいですか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 項目としては、先ほど御覧いただいた実施計画の各項目に変更があればということになるのですが、先生の御質問としては、例えば日本全体にあるCRBでどれぐらいの件数、どれぐらいの量の変更を取り扱っているかといった、定量的なボリュームの御質問になりますか。
○渡辺委員 そうです。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 すみません。そこの辺りはうまく把握し切れておりません。今後、アンケートなども含めて把握できるかどうか、重要な御指摘だと思いますので、私どもも検討していきたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。掛江委員、お願いします。
○掛江委員 掛江です。山口委員が指摘された御意見の中に、変更についてCRBの委員がきちんと見ていくというお言葉があったと思います。ここで「軽微な変更」に落とし込もうという内容については、そもそも検討の要らない内容とされているものだとは思いますが、どれだけ変わっているのか、審査承認したCRBの委員が、承認後に全く把握しないでどんどん変わっていっていいものなのかというところに、若干の不安があります。
私自身の意見としては、常にCRBの委員が変更箇所を見ていくことは、恐らく難しいのではないかと思います。必ず毎回報告をしてもらうという形になるのであれば、もちろんできるかもしれませんけれども、今回議論に上がっているものは事後報告で審査不要ということなので、委員会の場に出てこない想定のものと理解しました。そうだとすれば、例えば年に1回の定期報告のときに、変更された箇所のリストを添付してもらうとか、変更箇所をCRBの委員がフォローしていくための手立てを併せて考えていただけると、より安心して「軽微な変更」の手続きの項目に、いろいろなものを落とし込めるのではないかと考えています。
具体的には、モニタリングや監査の担当者の変更などについて、場合によっては、この先生がモニタリングに入られるから安心だとか、そういう審査をしている場合もあると思います。そういった意味で、研究の根幹に関わる部分ではないけれども被験者保護の意味では相応に重要な項目があると思うので、そういった辺りを少し配慮して御検討いただければと考えます。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 先ほど8ページで一部御紹介させていただきましたが、「現状・課題」の一番下の矢羽になります。先生も御指摘のとおり、毎年、研究継続の適否についてはCRBにお諮りすることになっております。その際に、添付資料として実施計画のみならず、実施計画書などの付属する資料も提出いただきますので、そういった中で把握していただくことも可能かと考えております。
○掛江委員 その際に、リストなり、変更箇所が分かるものが付いていれば、もちろん十分かと思います。ただ、委員が自分で自ら過去の申請書と見比べなければならないという形になってくると、かなり難しいのではないかと考えた次第です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。では、藤原委員。
○藤原部会長代理 簡単に事務局への質問です。こういう変更計画をCRB等に登録したりしますけれども、最終的にはjRCTの画面に登録されるわけです。jRCTのシステムの中で証跡記録と言いますか、様々な変更がされた所は、後から何月何日に誰が修正したかというのは永遠にストックされていて、悪いことというのは10年後ぐらいに分かりますから、そういうときに振り返ってみて、ちゃんと変更申請がリアルタイムでされていたかとか、規定のタイミングでされていたかというのは、見直すことができるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 いつ変更があったという記録は保持しておりますので、何かあった際に適切に使えるようになっていると思います。
○楠岡部会長 それでは北大の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。届出の内容をCRBの委員が把握できるうんぬんという今の問題ですが、事務局のほうではどういう改正をしようとしているのかと思います。今は施行規則で「軽微な変更」は2項目しか規定されていなくて、多分それ以上はCRB事務局で判断ができない状況になっているはずです。先ほど薬機法で治験届出の例を参考として出されて、藤原委員からも薬機法に合わせてという御発言がありましたが、ここにあるように項目がもう規定されているというのは、CRB事務局はそれに準じてこれだけしかできないということであれば、事務局の判断は入らないという立て付けになるのではないかと思うのです。その辺は今後、その他事務局が軽微でよろしいと判断したものを入れていくかどうかがポイントになってくるので、判断の余地がないようなものであれば、それはそれでそういう作り方があるのかなと思って聞いておりました。一応、その点だけ発言させていただきました。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 うまく説明ができておりませんでしたが、当初申し上げたとおり、夏ぐらいのまとめの中では、施行規則をどういう方向で改正していくかということについてもまとめたいと考えております。今お話いただいたように、仮に定型的に御議論いただくというより、確認するだけというのが明確な事項については、こちらの中での手続や整理をきちんとした上で、具体的な案については先生方にお諮りし、こういうものは施行規則のほうに書き加えることができるのではないかといったものについては、できれば今後、手続きが出た段階でお示しできればと考えております。今、考え方の整理について御議論を頂いたところですが、今日お示しした18ページからの各届出の項目のそれぞれがどうなるかという辺りについては、また具体的なところをお示しさせていただければと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、ただいま頂いた御意見と、既に厚生科学研究班の堀田班でいろいろ指摘されている状況、また、昨年度のAMEDの研究結果として、CRBの連絡会のようなものもできていると伺っておりますので、そういういろいろな所から御意見を頂き、その項目に関して事務局レベルの判断なのか、もう少し立ち入った委員長レベルの判断にするのか、それをCRBへ報告するのはどういう形にするのか、いろいろな観点を含めて事務局のほうで案を作っていただくことになるかと思います。これは案ができたところで、引き続き御検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、2つ目の論点の疾病等報告の取扱いについて、御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。山口委員、お願いします。
○山口委員 この問題は、CRBが被験者保護についての責任を持っているということを考えると、やはり1年に一度の定期報告では。既知が重篤で30日にもかかわらず、未承認・適応外と既知で1年ということになっていますので、やはりここは30日ということで、私はそろえていったほうがいいのではないかと思います。やはり、ある程度CRBが把握することが必要ではないかと思っています。
ただ、事務局に1つ確認したいことがあります。16ページに、今回新しく図示していただいたのですけれども、臨床研究法においては、CRBに、法令に基づき期間内に報告という赤い矢印になっていますね。薬機法の治験の所ですけれども、IRB(治験審査委員会)については、ここで触れられていないのです。それは決まりがないということなのでしょうか。右下の表を見ても、国(PMDA)についての記述は書いてありますが、「委員会」とあるのが臨床研究法だけになっているので、そこは決まりがないということですか。確認です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 この赤い矢印のような、法律に基づき期限内に報告せよという規定はありません。
○山口委員 分かりました。そうだとしたら、臨床研究法についてはこういう期限があるとしたら、私は既知と未知とは合わせず、30日で合わせる必要があるのではないかと思っております。以上です。
○楠岡部会長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 まず前提として、今研究を進めている共同研究者が副作用についてシェアするということは、速やかにシェアされるということだと思うのです。先ほどの藤原委員の意見とは少し異なってしまうのですけれども、治験においては、いわゆるスポンサー概念ともちょっと関係してきますが、やはり評価が要ると思うのです。ただ、シェアするだけでは駄目な場合があると思うのです。御案内のとおり、いわゆる医薬品の既知の副作用というのは、例えば添付文書において、実は添付文書自体に重み付けがあるのです。一番重そうなのが赤枠で、「重大な副作用」とあり、「その他副作用」となっています。多分、臨床研究法上は、それが全て既知の副作用ということで整理されていると思うのです。
歴史的には、「その他の副作用」に載っているものは、やはり重み付けが軽いので、そこの重篤性を軽視した歴史もあって、やはり評価をする必要があると思うのです。既知・未知というのは、実は結構大雑把な概念で、既知であれば「その他の副作用」というのは、頭痛とか、ちょっとしためまいとか、いろいろなものが含まれてくるのです。そういったものが重篤である場合は、既知の「その他」とは既に違う重み付けになっているので、そういった観点から、副作用自体が重い場合は、一定程度評価した上でシェアするというように、同時にする必要があると思うのです。ですから、ここは治験とは整合しないのかもしれませんが、今の山口委員の意見に賛成です。CRBにおいては、それを確認する、評価することが必要だと思うので、30日そろえを支持します。
○楠岡部会長 ほかにありますか。医師会の渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。2点御意見を述べたいと思います。1点目は山口委員と同じというか、30日でいいかどうかは別にして、既承認が30日で、未承認薬若しくは適応外医薬品が定期であるということで、先ほど事務局は根拠のあらましをおっしゃったわけです。その逆とは言いませんけれども、未承認薬をそんなにルーズにチェックする必要はなくて、やはりちゃんとした定期と同じように最低30日で、もっと早くてもいいかと思うのですが、やはり登録すべきではないかと思います。
もう1つは、臨床研究法の報告対象が「臨床研究の実施に起因するものと疑える疾病等」となっています。ICH-GCP、薬機というか、医薬品の臨床研究の実施基準は「有害事象」という表記になっていると思うのです。有害事象として全ての情報を集積するほうが、先ほどのばらつきが減るということにつながるような気もするのです。表記の仕方を変えているのは、何か根拠があるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 先ほど花井委員から御指摘いただいた点から補足させていただきます。今回の資料にきちんと入れてなくて申し訳ありませんでした。既知・未知の判断については薬機法のほうで、添付文書や使用上の注意から予測できることがあっても、発生傾向などを含めて予測できないものについては、未知とするというのがあります。臨床研究法においても同じような形で、発生傾向が異なるものを未知として取り扱います。ここの部分について、資料の説明が十分ではありませんでした。すみません。
それから、渡辺委員から御指摘いただいた有害事象、副作用、疾病の別です。有害事象というのは、基本的に因果関係を問わずに起こってきた望ましくない事象です。例えば16ページを御覧いただきますと、「治験」の場合であれば、治験依頼者のほうに広く情報が集まって、先ほど御指摘いただいたような評価があって因果関係、既知と未知の別を区分した上で、法令上のそれぞれの区分に従った報告が出てきます。「臨床研究」においては、この判断も治験責任者がそれぞれなさって報告をするという形になっております。中での情報共有という観点も含めて、やはりスポンサー概念のようなものを置いて、どういうように整理するかというのが1つの大きな論点になるかと思います。
因果関係の有り無し、既知・未知などを含めて評価して、疾病あるいは副作用というように因果関係が否定できないものと呼ぶのか、あるいは因果関係がなさそうであっても好ましくないような事象が発生したときに、それを集めるかどうかといったところを、言葉として書き分けさせていただいております。
○渡辺委員 おっしゃるとおりで、ここはスポンサー概念を加えるかどうかというところが定まらないと、疾病等の扱いも多少変わってくるのではないかと思うのです。ここは連動して協議しないと。先に疾病等の報告の取扱いを議論して、次回にスポンサー概念を取り入れるということでは、ちょっと……が違うと言いますか、連携して話をしたほうがいいのではないかと思いましたので意見を述べました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 私は既承認で、既知のものは定期がいいというように従前から申し上げておりますけれども、その背景にあるのは、例えば既承認品目の医薬品、市場に流通している医薬品について、臨床試験や臨床研究所等も含めて、非常に重篤な副作用が出た場合には、現行の薬機法においても医療従事者(医療関係者)、特に医師・歯科医師については、公衆衛生上の危害の発生を懸念すると御本人が思ったら、PMDAや厚労省にそれを報告する義務が課されています。それが活用されればもっと早めに、どんどんいろいろな情報が上がってきて、いろいろなシグナルが検出されて、患者さんへの貢献とか、患者さんにアラームを流すことができるのです。
ただ、それがうまくいってないからといって、更に別の仕組みで既知重篤を30日ということでどんどん報告を上げても実効性が低いように私は思います。最終的には患者さんの安全性をどう既承認品目で担保するかは、添付文書の改訂あるいは緊急安全性情報等がリアルタイムに医療現場に流れることが重要なので、既存の仕組みをきちんと活用することを図るのが先決かと思います。
それから臨床試験、特に多施設共同試験で臨床試験をやっている場合には、通常は効果安全性評価委員会というものが設置されていて、そこがちゃんとWatchしているわけです。重篤な有害事象、これは危ないな、もっとみんなで共有したほうがいいなというものが出てくれば、当然、効安に懸けるのが研究責任医師の義務です。それができないなら研究責任医師を務める意味がないのです。効安の活用をしっかりすれば、わざわざ30日に細かくやるという方法論上の変更をすることなく、実質的に何が一番機能するかという観点から、患者さんを守るということを実現すべきだと私は思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。がんセンター東病院の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 藤原先生もおっしゃったとおり、研究者側からの意見としては、やはり臨床研究法と薬機法の医師主導治験と比べて、臨床研究法のほうが厳しく報告するというのは、研究者側からは正直、ちょっと違和感を持ちます。もちろん副作用を心配されるということは当然だと思うのですけれども、例えば既知の有害事象が、もともと知られているよりもすごく頻度が高かったとか、何かおかしなことが起こっているぞという場合には、それは既知ではなくて未知として取り扱われるものだと思います。もちろん御懸念されていることはよく分かるのですけれども、藤原先生が言われたように、私も既知のものであれば定期報告でいいのではないかと思う次第です。以上です。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。事務局のほうからありますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。渡辺先生からも御指摘いただきましたが、正にどういう形で情報が共有されて安全対策に結び付いていくのか、そこも含めて確認をしたほうがよいとも思いますので、再度、スポンサーの概念を整理する機会にもう一度、この資料あるいは追加した情報を御提示させていただければと思います。事務局の準備不足で申し訳ございません。この点は両方の御意見があったということをテイクノートして、次回以降に、スポンサー概念のところを含めて御議論をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 今の御意見にありましたように、既知の医薬品のみを使う特定臨床研究というのは、ありふれたコンビネーションであれば、わざわざ臨床試験をする必要もないわけです。やはり既知同士の変わった組合せを意図する場合、既に知られている副作用だけでも頻度が変わるという先ほどの佐藤委員からの御指摘のようなことが、各施設で1例しか出なければ、頻度としての認識が余りないのに対して、全体で取りまとめると、どうもおかしいことが起こっているということが分かることになりますので、この辺りはどうやって情報を収集し、どう判断するかというところがポイントになるかと思います。この点に関しては渡辺委員から御意見がありましたように、スポンサーというか、情報を統合する役割のところをどうするかという問題もあるかと思いますので、ただいま事務局が申し上げたように、今後はスポンサーとも併せて検討するという点で進めていきたいと存じます。以上でよろしいでしょうか。
○花井委員 よろしいですか。今、藤原委員がおっしゃった意見は、私もそのとおりだと思ってはいるのです。前にお話させていただいたときも指摘したのですが、現状でそういう機能がちゃんとワークしているかどうかというところが評価されないと。日本は確かに特殊で、それはおかしいというのはそうかもしれません。ここにいる先生方は立派な先生が多いので、何となく性善的なところがあるのですけれども、やはりそこが信頼感というところで、日本だけがちょっと厳しいのはおかしいけれども、ここはやっておかなければいけないなという観点があるというのは、私としては疑念としてあるということが1点です。
それから、先ほど楠岡先生から御指摘いただいたのですが、頻度が多ければ未知になるということですが、やはりそこのところの判断をきちんとできるということをどう担保するかということなので、それはスポンサー概念と併せて議論するということには賛成です。その点で、ちょっとうるさいようですが、現状の制度がきれいにワークするという理想像は分かるけれども、そうでない部分はどうかという実態を、もうちょっと把握したいと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは時間も押しておりますので、次の資料1-3に移りたいと思います。これは増田委員から御説明をお願いいたします。
(スライド開始)
○増田委員 ありがとうございます。日本医療機器産業連合会の増田です。本日は、このような機会を頂きましたことを感謝申し上げます。医療機器産業会より、臨床研究法の見直しについて意見を述べさせていただきます。実際の議論につきましては次回以降で議論されるということですが、その前に意見を述べさせていただきます。よろしくお願いします。
27ページ、お願いします。意見の背景、意見の内容について資料を付けています。時間の関係上、説明は控えさせていただきますが、お時間が許されまして御質問があれば御説明いたします。
28ページ、お願いします。医療機器の特徴について、皆さんはこれまで何度もお聞きになられていると思いますが、医療現場において使用者のニーズに基づいて改良改善が繰り返されるものとなっています。また設計開発段階、いわゆる設計が固まる前、機器が固定される前にごく小規模の人に対して用いられる場合、いわゆるフィージビリティスタディというものが行われる場合があります。あと、医療機器に関しては多種多様であり、使用によるリスクの大きな違いがあります。これは医療機器業界の特徴ですが、医療機器を扱っている企業の中では事業規模に非常に大きな差があります。規模の小さな企業が非常に多いというのが医療機器業界の特徴となっています。フィージビリティに当たっては、我々はFDAガイダンスを参照して、こういうふうな形に定義させていただいています。
29ページ、お願いします。先ほど申しましたように、医療機器の特徴は改良改善を繰り返すことにより使いやすさが更に向上していく。これは革新的な医療機器も同じです。設計開発の中でいろいろ改善・改良というのは行われている。そのためにも開発段階でのフィージビリティスタディ、いわゆる先生方に使っていただいて、使いやすさを評価していくことが必要になってきます。ですから、フィージビリティスタディというのは設計開発の中で非常に重要な役割を持っていますが、まだ承認を得ているものではありません。また既承認であったとしても、そこから微妙に異なっているということで未承認機器となってしまいます。そうなりますと、侵襲性の低い機器であっても、臨床研究の実施には多くの工数が掛り、実施が難しくなっているという現状があります。
30ページ、お願いします。見直しに向けて説明させていただきます。
31ページ、お願いします。まず、臨床研究における未承認医療機器の使用については、使用による被験者のリスクで特定臨床研究の該当性の判断をしてはどうかと提案させていただきたいと思います。ヒトの生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどない研究、被験者への侵襲性がない、または軽微な研究については、特定臨床研究の対象外としてはどうかというものです。これについては「事例1」として、32ページで具体的な事例を紹介させていただきます。2番目としましては、当該承認と同じ使用方法で使用される研究、いわゆる軽微な変更を施された機器を用いる研究というのは、特定臨床研究の対象外としてはどうかということです。これにおいては、被験者に対してのリスクがどのぐらい増えるかということで判断していくことを考えています。それぞれについて、このような事例があったということで事例1、事例2を紹介させていただきます。
32ページ、お願いします。これは「事例1」ですが、パルスオキシメータのプローブを開発するということです。NICUの先生から、パルスオキシメータのプローブを開発してくれないかという依頼があったものです。通常の安全性評価は全て実施して問題はないと評価されていますけれども、赤ちゃんに使う場合は赤ちゃんの肌が非常に弱いということがありますので、粘着力のあるテープをつけると、かぶれ等や皮膚が損傷してしまうことがある。そのために粘着力を極めて低くして通気性の良い素材を採択していく。けれども、粘着力を下げれば下げるほど、ちょっとした動きで外れてしまったりということがあります。そのために改良・改善を繰り返している。当然、ちょっとした動きで外れるか外れないかは実際に使ってみないと分からないですから、こういうところでフィージビリティスタディが有効になってきます。また、NICUでは最近、カンガルーケアと言いまして、お母さんに抱っこしてもらいながら看護するということも行われています。その場合は、赤ちゃんが揺れたり泣いたりいろいろなノイズが発生します。そのノイズ環境下でもバイタルサインがきちんと測れるかということが大切になります。そのため実際には形状や固定方法について、ああでもない、こうでもないと何度も何度も試作を繰り返して、評価を行って製品化に至るという形になっています。通常、従前であれば倫理指針の下で臨床研究も不要で評価を行うこともできたのですが、現在では未承認ということで、特定臨床研究として実施しなさいと言われてしまっています。そうしますと、1回のCRBの審査だけで何十万という費用が掛かってしまいますし、特定臨床研究になると先生方に掛かる工数が相当多くなってきますので、こういうものに関しては、逆に先生方は「もう、できないね」ということになってしまうおそれがあります。そういう製品です。
33ページは、事例2です。事例2は神経探知刺激装置、これは手術中に使用される麻酔薬の効果をモニタリングする装置で、麻酔が掛かっているかどうかを確認する装置です。クラスとしてはクラスⅢになります。腕に付ける電気刺激様の電極部分は既存のものと同等のものになるので特に問題はないと思いますが、手指の動きをどういうふうに測るかというところで、これまでは加速度計を用いていました。それを筋電図に使われる電気信号で測定する方式に変えた製品に変更したいということがありました。測定原理は何十年も前から確立していて筋電図を測るということもあったのですが、国内では加速度方式のものしか販売されていませんので、当然、そこは未承認の機器になってしまいます。微弱な電気信号を測定する方式のために、当然、手術の中で電気メスを使う場合があり、そういうときにメスのノイズの影響が出ますので、その影響度合いを評価する必要があるということでフィージビリティを行う場合がある。手術中に起こりうる手技、体位の変化、術者の動きに対しても邪魔にならないかどうか。簡単に外れてしまわないかという検証も行っています。特に形状や構造については何度も繰り返して改良していきますので、それでやっと製品になると。電気刺激部分は軽微な侵襲となりますけれども、改良する部分であるモニタリングについては侵襲なしの装置です。この場合でも、臨床研究法の前までは倫理指針下で評価していましたけれども、現在は特定臨床研究としての実施となり、そのために迅速な開発ができなくなってきているということがあります。こういうことがありますので、患者さん、被験者へのリスクに応じて、特定臨床研究に該当するかどうかを判断してはどうかという御提案をしさせていただいています。
34ページはFDAの状況ですが、FDAの場合でも非侵襲とか軽微な侵襲の機器に関しては、IDEへの申請が不要というものもありますので、それと同じように簡略化してはどうかと考えています。
35ページです。もう1つは、特定臨床研究になるときの費用の負担について見直してはどうか。実質的な研究費用ではなく、倫理審査費用のみの提供であっても企業からの資金提供になりますので、現在は特定臨床研究と判断されています。その結果、研究者側には多大な手続きが必要になってしまうことがあります。現在、倫理指針でも中央審査が可能になってきていますので、各施設の倫理委員会が有料の審査を始めています。そのため医療機関の先生方の試験のときに費用面で実施がしづらくなっていると聞いています。そのために先生方から、倫理審査費用だけを提供してもらえないかという御相談はありますが、今申しましたように審査費用であっても、これは研究資金になりますので特定臨床研究となってしまいますよという話をすると、実施には更なる工数が掛かり、また非常に煩雑になるので、実施を躊躇したり、断念している状況があります。そうなりますと、治験のように大規模な試験の場合は外部組織機関には資金もある程度潤沢にありますので実施することは可能になりますけれども、このような医療機器は改良改善をやっていかないといけない。しかし、規模の小さなフィージビリティ試験が非常にしづらくなり、開発が進まないということが懸念されています。一部で、そういうところも発生してきているという状況です。倫理審査の費用については公開されています。ですから金額も明確であり、この用途に限定するということであれば、他の用途に使用されることはないと考えています。ですから、企業がこの研究に対してコントロールしない、資金の提供だけで、それ以外は何もしないということが確認され、倫理審査費用のある程度妥当な範囲での資金提供があった場合については、特定臨床研究に該当しないとして、そこから外してはどうかと考えています。
36ページです。事例として、こういう事例がありましたので紹介させていただきます。先生から、既承認のモニタリング装置を用いて臨床研究を実施したいので機器を貸してほしいという要望がありました。資金提供は全く行なわないということであり、特定臨床研究には該当しないという形になります。その後、先生より、倫理審査が有料になったので審査費用のみ提供してもらえないかという問合せがありましたが、審査費用の提供であっても企業が負担する場合は特定臨床研究になりますとお伝えしたところ、先生から「そうですか、それだといろいろな工数が掛かり過ぎて費用も掛かるので」ということで、結局、先生は断念されたという事例があります。
37ページをお願いします。これは観察研究の位置付けです。これまでと変わらず、患者への傷害・負担が小さい研究目的の検査等としていただくことが適切と考えています。「小さくない」ものに関しては、やはり問題だろうと考えています。
38ページは該当性に関する判断です。これまでスライドの中でもお示ししましたが、特定臨床研究の対象となるかどうか、医療機器に該当するかどうか。そういう該当性の判断が非常に難しいということがあります。また、被験者に与えるリスクの程度の判断についても非常に難しい。なぜならば、医療機器の多様性、研究の多様性があるため判断が非常に難しいところです。そのため、判断できる人材(組織)が必要で、そういう組織を継続的に確保していく必要があることより提案をさせていただきました。
39ページです。具体的なイメージとして、判断の場を作って事例を集積し、検討して通知化を進めたい。あと、こういう判断ができる審査力、その他の向上のためには教育も必要です。医機連としても、事例提供の推進、教育計画・資料作成、実施等についてはどんどん協力させていただきたいと考えています。
40ページ、最後のスライドになりますが、医機連からの提案としては、特定臨床研究の対象外とするものとして4つ、それと該当性の判断を相談できる組織を継続していくということで提案させていただきます。また、時間の都合で説明しませんが、資料の18ページ、19ページに、効率化と手続きの簡略化についても提案していますので、御参照いただければと思います。ありがとうございました。
(スライド終了)
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの御発表に関しまして、御意見、コメントがございますでしょうか。幾つかの点に関しては、堀田班の報告の中にも含まれていたかと思いますが、全般として。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。1つ質問をさせていただきたいと思います。最後のほうで判断基準ということで臨床研究への該当性、37ページの所です。ここの判断基準、患者への傷害・負担が「小さくない」あるいは「小さい」の判断基準というのは、年齢や状態によって判断が難しいなと思っていましたら、次のページで、その判断をする組織、人材の育成が必要だという御説明を頂きました。これは一元的な判断をすると書いてあったのですが、これはイメージとして公的な所というイメージなのでしょうか。どういった所が、どれぐらいの規模でするというイメージで御提案されているのかをお聞きしたいと思いました。よろしくお願いいたします。
○増田委員 本来は、各CRBの中で全部できていればいいと思いますが、まず事例を積み重ねていくというところで、どこか1か所にまとめて、こういう場合はこうですねという事例を作っていくというのが1つ重要かと考えています。その例として39ページにも書かせていただきましたが、1つはこういう厚科研というのも使えるかもしれない。あとは、医療機器センターというのがありますので、そういう所にお願いするということも、一つ可能かなと考えています。お答えになっていますでしょうか。
○山口委員 ありがとうございます。こういう組織化することによって判断のぶれがなくなるという意味での御提案ということで、よろしいですか。
○増田委員 はい、そうです。
○山口委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 ほかにございますか。御提案の中にありましたが、CRBの審査費用の負担のみであれば特定臨床研究から外すというところですが、この臨床研究法を策定する過程においては、結局、金額の多寡ではないであろうと。要するに利益相反があるかないか。それが多額であろうが少額であろうが、研究者の受け止め方も当然違ってくるので、その利益相反を透明化するというところが一番基本になっていたところです。そうしますと、審査費用が少額だからというわけにはいかない。そこは企業側が審査費用を出す以上は企業側にも何らかのメリットと言いますか、利益相反が発生することになりますが、この辺りに関してはどういうふうに解釈されて、その透明性を確保するのか。この辺りはいかがなのでしょうか。
○増田委員 ここの部分に関しては本当に負担のみで、本来、今までは負担なしでできていたところを、負担しないと先生方が困るし、我々のほうもそこが改良・改善につながっていくのならばというところで、御提供させていただくことにはなると思います。ただし、そこに関しては、研究の中身の信頼性、いわゆる透明性をきちんと確保する。審査費用もそこにしか企業側は関わらないのだというところを倫理審査、CRBの中で確認していただいて、これが確認できているのであれば特定臨床研究という形でなくてもいいでしょうということで進めるのがいいのかなと。どこまで透明性を確保できるかというのは非常に難しいところではあるのですが、基本的にはそういう考え方にしています。
○楠岡部会長 この臨床研究部会の過去の議論の中で、薬に関する特定臨床研究について、資金源、研究資金に関して、これは1つの案というか提言としてあったのが、製薬協で基金を作って、そこで企業との紐付けのない形でのお金を出していくのはどうかという話があったわけです。例えばこれに関しては医機連の中で基金を作って、そこが出していくというように、要するに企業との紐付けのない形というものも何かお考えなのでしょうか。
○増田委員 今、医機連の中では基金を作ってということは、まだ想定はしておりません。
○楠岡部会長 分かりました。ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。ありがとうございました。
機器に関しては、今、御指摘のような様々な問題がありますので、これは引き続き事務局のほうでも検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。増田委員、ありがとうございました。
○増田委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 それでは、次、議題2に移りたいと思います。「臨床研究中核病院の業務報告について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料2を御覧ください。51ページからです。ちょっと細かい資料です。もともと令和元年12月に当臨床研究部会において、臨床研究中核病院が承認された後の取組を適切に評価する必要があるということから、毎年、提出される業務報告について実績を取りまとめて、翌年のこの臨床研究部会で報告させていただくということを決めていただいておりました。今回は1回目ですが、それぞれの実績についての御報告ということになります。
今回、各臨床研究中核病院、病院ごとに令和元年度の状況について取りまとめたものです。令和2年3月31日までになりますが、規定によりまして、これを令和2年10月5日までに報告を頂くということになっています。今回、その実績を私どもで概計的に取りまとめさせていただいたものということになっています。非常に大部にわたっていますが、基本的には臨床研究中核病院の承認要件、人員や設備、それから実施する医師主導治験、あるいは臨床研究、それから論文数などについてまとめたものです。今回は、全ての病院について、こちらの基準を満たしているということを確認させていただきました。個々別々には御説明をしませんが、事務局で確認をした結果ということで御報告をさせていただくものです。中身については、また適宜御確認を頂ければということです。
一部の病院において、ごく一定の期間、人員要件を満たさなかった時期があるというような御報告がありました。例えば、令和元年度の状況と申し上げましたが、実は2年度から人員要件が変わっていますので、その対応のためであるなど、突然の退職などがあり、早急に手当をしたものの、一時抜けていたことがあるというような御報告を頂いていますが、いずれも臨中としての機能に支障があるような状況はありませんでしたので、私どもとしては問題ないものというように考えています。
概計的には、こういうことで問題ないということではあるのですが、やはり今後、臨中をどういう形でよく進んでいただくのか、そういうことに資する資料というふうなことも考えさせていただければと思っています。参考資料の1を御覧ください。163ページです。概計的には、今、申し上げたような形で、承認要件との合致性について事務局で確認はさせていただくものの、やはり毎年、それぞれ革新的な薬品医療機器再生医療等製品の実現に向けて様々な取組をされているというようなこと、あるいは研修、それから近くの傘下の関連する医療機関の臨床研究体制の底上げなど、様々な取組をしていただいていますので、これは次回以降になりますが、こういった様式を事務局で考えまして、幾つか今申し上げたようなところを、各臨床研究中核病院に中身を埋めていただいて、こういったものを基に御評価を頂ければと考えています。
今回、まずは概計的に承認要件について、大きな問題はないという点について御報告をさせていただくとともに、次回以降、準備ができたところで、もう少し中身に踏み込んだ各病院の取組について御紹介をさせていただくとともに、さらに臨床研究中核病院がどういう形で、日本の臨床研究の環境を底上げしていけるのか、そういった議論の一助とさせていただければと考えています。
今回、お示ししたこの様式ですが、もう少しこういう内容を含めたほうがいいのではないかとか、そういった御意見がありましたら是非お願いできればというふうに考えています。非常に短い説明ですが、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。臨床研究中核病院の業務報告に関して、並びに今後の取りまとめの様式に関しての提案ですが、いかがでしょうか。藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 両方の資料についてのコメントですが、1つは臨床研究の業務報告内容です。いつも大変なのは、特定機能病院と同じような時期に監査が入って、特定機能病院の監査項目、例えば医療安全や感染対策など重複の見られるところがありますので、そういう特定機能病院で報告している案件は、そちらの資料をそのまま使うなどという工夫をされているのかということをお聞きしたいことと、かつて、これはAMEDの事業で、今も、多分、お金が出ているのかと思いますが、AMEDの事業のサイトビジットの際には、ここに出ていないような、例えばシーズ管理です。これは橋渡し研究として文科省でやればいいような話なのですが、シーズ管理などをねちねちと聞かれるようなことがあったり、そういうAMEDの事業の評価項目と、またこれが違うというようなことも止める方向で考えていただきたいというふうに思います。
それから、病院概要の所ですが、これは特定臨床研究から医師の治験もそうですが、全て臨床試験登録をされているわけなので、いろいろなものをいちいちタイトルを全部書くなどではなく、jRCT番号が何番ですというようにシンプルにしていただければ、記載項目が少なくなって、それがいいように思うので、それも将来、御考慮いただければと思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。現在のところ、特定機能病院とそれぞれ確認をしているような形になっています。実際に位置付け上は独立したものというふうになっていますが、実質上、ほとんどの病院で特定機能病院の機能をお持ちになっているということもありますので、御指摘を踏まえて、特定機能病院の部署とも相談をしながら、病院の御負担を少なくするような形で、この確認手順などについても改善していきたいと思います。
御指摘のAMEDのサイトビジットも含めて、提出していただく様式、一部は多分、AMEDのほうでは、施設とAMED、あるいはPD/PS/POのみで共有するような秘密のある情報もあるかと思いますが、いずれにせよ、できるだけ様式をそろえるというか、JRCT番号の活用も含めて、御負担の少ないような中できちんと中身が御評価いただけるような、そういった資料をちょっと考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。私も藤原委員と同じで、中核病院のほうに負担が掛からないような形で報告書の様式をまとめていただければと思います。それが1点。
あと、もう1点ですが、今回の報告で人員要件を満たさないというような懸念の報告があったというふうに伺ったのですが、そのほかに事務局で気になるような懸念事項などはありましたか。その点だけ教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。今回、少し紹介を省略しましたが、施設の中で特定臨床研究に関する不適正事案というようなものについても報告を頂いています。多くが同意についての文書に関してです。文書を改訂したときに再同意を失念されたものに、後から気が付いて同意を取ったなど、また、前の投薬からの期間をちょっと失念したなどというような、幾つかそういう御報告を頂いていますが、いずれも研究の体制の中できちんとそれを見付けて是正をするというような措置については、私どもで確認をさせていただいております。そういった意味で、今回、御報告した中身については、何かここでお諮りをし、その是非について御議論いただくようなものはなかったというように認識をしています。
○近藤委員 どうもありがとうございました。
○楠岡部会長 ただいまの不適正事案に関してですが、私も一通り目を通させていただいたのですが、1つは臨床研究中核病院の中で1つ不適正事案が報告されて、それをきっかけに院内で自己点検をすると同様の事案がぞろぞろ出てきたというような報告や、あるいはその内容を見てみますと、倫理審査委員会の承認を得る前にスタートしてしまったとか、あるいは同意書を取っていない、取ったはずなのだが、どこかにいってしまって存在が分からないなど、そういう意味では極めてプリミティブな段階での不適切なものというものが、ある程度あるようです。これに関しては臨床研究に携わるものは事前に必ず研修を受けることとなっている中で、その中でも、いろはに当たるようなところで不適正事案が起こっているということがありますので、各病院で、内部においてしっかり研修をしていただいて、このようなプリミティブな不適正事案が起こらないように、努力していただく必要はあるのではないかというように感じているところです。
北大の佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 佐藤です。ありがとうございます。今、ちょうどこの画面で出ているもう1つの調査について、ちょっと確認と言いますか、コメントさせていただきたいと思います。別の資料で概計要件や数値要件など、そこは中核病院として守るのは当然ですので、評価いただいて、いけないものはいけないということでいいと思います。もう1つの参考資料に出ているものの資料の取扱いと言いますか、考え方と言いますか、どうなのかなというのは少し分からないところがあります。
中核病院は、規定でいろいろな業務がありますが、ここに書くように指定されたこと、これそのものが評価にするのか、それとも臨床研究部会として、臨床研究中核病院の活動を知って、日本全体の中核病院や臨床研究のあり方をより良いものにするためにやるものなのか、その辺のところをちょっとはっきりさせていただければ有り難いなと。要は、これをもって個々の病院で、こちらの中核病院はすばらしいとか、ここの中核病院は少し活動が足らないのではないかなど、そういうふうにもっていくのか、こういう事例を合わせて見て、今後、日本の中核病院はこうあるべきだという参考にするのか、その辺りです。ほかの委員の先生にも言っていただきましたが、そこそこ、これは中核病院の負担になることです。ですが、日本の臨床研究のために協力しなさいということであれば、やぶさかではないのですが、これが個々の中核の評価になるのか、全体の日本の中核制度のあり方のバージョンアップにつなげるのか、その辺の意味が私はちょっと理解できなかったものですから、その辺を教えていただきたいと思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。まず、臨床研究中核病院の取組を適切に確認するためということについては、最低限の話として、今、資料2でお示しをさせていただいた概計的なもので確認をさせていただいているというふうに理解をしています。
その上で、今、参考資料でお示ししているものについては、ただ少なくとも臨床研究中核病院に求めている様々な事項について、その年度にどのような取組をしていただいたのか、そういったものを御覧いただくための分かりやすい資料というようになっています。これでこの中身を見ていただくというようなことも、一つ最低限のハードルをクリアしていく以上に、今後どういうところで頑張っておられるか、そういったポジティブな評価にお使いいただくということもあると思います。また、ここで今、御指摘いただいたように、各臨床研究中核病院が取り組んでいることが、日本の臨床研究の環境そのものを底上げしていくことになると思いますので、そういった視点からも御確認を頂ければというふうに思います。
今、私どもの問題意識として、各臨床研究中核病院は様々な特徴を持って頑張っていただいているのですが、そういったところをうまくアピール、あるいはお示しして、活動を広く外に御確認いただくような機会もありませんし、こういったところで広く御確認を頂くということも、積極的に今後いろいろ活動していただくに当たっての参考になるのではないかというふうにも考えているところです。
○佐藤(典)委員 余り答えになっていないような気がしないでもないですが、活用や位置付けなど、もう少し練っていただければ有り難いかなと思います。
○楠岡部会長 臨床研究中核病院には、本当にいろいろなことを、かなり御無理なこともお願いしながらやっていただいているのですが、実際にされているような事柄を、言うならば、世間一般に知っていただく機会というのがなかなかない。臨床研究部会においても、外形基準のみの結果しか見ることができていないということでは、せっかくの中核病院の御努力がしっかり認識されないのではないかということも踏まえて、このような形で取りまとめていくということを考えています。今の佐藤先生の御意見も踏まえて形を考えていきたいと思います。
がんセンター東病院の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 先ほどの不適切事案ですが、基本的に私たちは作っているほうの立場なのですが、ここに挙げさせていただいているのは、ここだけに出てくるというものではなくて、例えば臨床研究で不適切があればIRB(倫理審査委員会)に報告をして、IRBはそれが重大なものであるとすれば、当局への報告、厚労大臣への報告など、そういう判断がされた上で、記載されています。。もちろん個別の事例を見ていただいて、どんなことが問題として起こっているということを見ていただくのはいいと思いますが、ただ、これは既にそういう形で、問題に対する処理や予防策などの対応の適切性などの検討は各病院で実施された、ものとして出されているというふうに理解していただきたいなと思います。
その上で、地方厚生局の実地調査でもその観点でのレビューもされていますが、これを見ていただくときには各中核病院がこういう問題が起こったときに、内部でどういうふうに適切に処理をして、どういうふうに改善案を立てているなどといったところのプロセスで取り組んでいるのだなというところを中心に見ていただけると、個々の事例の適切性も大事ではありますが、そういったプロセスというところも見ていただければなと思います。
また、先ほど佐藤典弘先生も言われましたが、今、出ている別紙に関して、先ほど藤原先生からもあったとおり、サイトビジットのときに多分ほとんど含まれている情報でできていると思いますので、我々がいろいろな資料を作っていて、このぐらいの量であれば、そんなに負担ではないのですが、少しでも減らせるようにちょっと御考慮いただけると作っている側としては助かりますということだけ付け加えさせていただきます。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。私が先ほど申し上げたのは、どうしても報告書の中にある改善策というものが、個別の事案に対する改善策になってしまっていて、全体での改善方針というものが読み取れない形になっていますので、それで少し申し上げた次第です。
ほかにはありませんか。藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 この参考資料1で、今後、中核病院さんのアピールをされる資料になるということであれば、中核病院ができた経緯も考えると、例えばPatient & Public Involvementで、患者さんが様々な臨床研究に研究審査委員会以外でも多分携わってくるなど、あるいは一般向けの啓蒙のセミナーをたくさんやっているなど、被験者とのコミュニケーションやリエゾンをどういうふうにやっているかなど、そういう項目を1つ作っておいていただければいいのではないかなと思いましたが。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかにありますか。この様式等に関しては、今日は時間が押していますし、すぐに御意見もないかと思いますので、またお気付きの点があれば事務局のほうに随時御提言いただければというふうに思います。それらを含めまして、また次の機会において、修正案等を出していきたいと思っています。また、当然ながら今後の臨床研究部会においても検討していく方向で考えていますのでよろしくお願いしたいと思います。
それでは、続きまして、議題3「その他」ですが、事務局からの報告事項があるということなので、お願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、3点ほどありますので、続けて御報告をさせていただければと思います。
まず、参考資料の3、169ページから始まるものです。人を対象とする生命科学・医学系究に関する倫理指針ということで、今回2つの指針の統合がありましたので御紹介させていただきます。
概要が173ページにありますので御覧ください。背景・経緯です。従来、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」ということで、2つの倫理指針がありました。いずれも施行5年後をめどに見直しをされてきたところですが、中身的に共通するところもありますし、できるだけ整合性を図ること、それから研究をされる方々の利便性なども考えまして、見直しに当たって統合するということで検討してきたものです。3月23日に新たな指針の告示をさせていただきました。
中身については、下の概要の所から御紹介をさせていただきます。1つは、用語の定義を明確にさせていただきました。また2つ目として、研究者の基本的な責務として、地域住民などを対象とする際には説明と理解を得るという努力義務といったこと、それから研究計画に関する手続ですが、2つ目の小さなポツです。多機関で共同研究をする場合の研究計画書の審査についてですが、原則として1つの審査委員会によって一括した審査を求めるということを規定したということで、こちらが新設になっています。
また中ほどの枠内ですが、インフォームド・コンセントについて、2つ目のポツにありますように、電磁的な方法が可能であるということを明記するとともに、その際の留意事項もお示ししました。具体的に電磁的な方法ということで、ここにありますとおり、デジタルデバイスを用いたような電子的に署名をしていただくようなもの、あるいはネットワークを介して説明・同意をするといったものを想定しています。それから、右にありますように、研究により得られた結果の取扱いということで、あらかじめ結果の特性を踏まえて研究の対象となった方々への説明方針を定めていまして、インフォームド・コンセントにおいて、こういった説明・理解を求めること。それから、倫理審査委員会において、軽微なものは報告事項として取り扱えるということで、これまでの指針の整合性、あるいは新しい技術などを含めて、指針のほうの改訂をさせていただきました。後のほうに詳しい資料がありますので、もしお時間があれば是非、御覧いただければと思います。また、このガイダンスなども作っていますので、ホームページなどで提供していきたいと思います。
続きまして、②の臨床研究中核病院への新型コロナウイルス感染症治療薬又はワクチンの治験等への協力についてということで、資料としては参考資料4、189ページからの通知があります。こちらのほうは、4月6日に新型コロナ感染症対策推進本部から出させていただいた通知の御紹介ですが、現在、新型コロナウイルス感染症の治療薬などについて様々な治験が進んでいますが、なかなか医療体制がその時々の重症度などに影響されるということで、組入れが難しいというようなことがあり、改めてこういった治験への御参画について広く周知、それから組入れに向けた御配慮の御協力をお願いしたというものです。これを踏まえまして、私どものほうから臨床研究中核病院のほうにも是非組入れの御協力を頂きたいということでお願いをしていまして、様々な御提案を頂いているところです。
すみません、ちょっと資料を切り替えていただいて、あらかじめお送りしていなかった資料になりますが、御紹介をさせていただきます。こちらは5月25日に健康医療戦略本部の医薬品開発協議会で議論をされた中身ですが、ワクチンの開発・生産体制の強化について、これまで日本で不足していたような、そういった観点について今後きちんと体制を強化していく、あるいはきちんと対応を取っていくということで幾つか提言をまとめていただいています。中ほどの黄色い大きな四角の部分が、正にその中身になっていますが、この中で「治験環境の整備・拡充」といった点についても御指摘を頂いているところです。議論の中で、臨床研究中核病院に対して大変大きな期待の声が寄せられていました。こういった中で、緊急時の治験を要件化して速やかに御対応いただけるようにお願いすること、またそういった対応の備えのために治験病床の平時からの確保などについても、きちんとサポートをするといったことを含めて、臨床研究中核病院に期待される姿というものが、今までAROの活動が中心となっていましたが、こういった緊急時への対応というところについても提言を頂いています。
今、私どもとして具体的にこの部分をどうするという考えがすぐにあるわけではないのですが、今後またこういったものをどのように規定をしていくかということについては、この研究部会のほうでも御意見を頂きながら、また進めていきたいと思いますので、是非、今後の議論をよろしくお願いいたします。
また特に、こういったコロナの治験などに参画を頂くというようなことで御負担をかけるところもありますので、以前も今後の業務報告、先ほども種々御議論を頂きましたが、必ずしも概計的に何件の治験があったというだけではなく、様々な、そのときの取組も含めて総合的な評価をさせていただきたいということ、1月ぐらいにも御審議を頂きましたが、そういった取組も含めて、また御相談をさせていただきたいということになります。
最後になりますが、③大阪大学病院の報告ということで、参考資料5です。前回、不正に関する御報告をこちらでさせていただいた際に、論文の共著者に対する責任の扱いについて御指摘を頂いたところです。この点について阪大のほうにお伝えしたところ、回答を受領しましたので御報告をさせていただきます。ICMJEの趣旨に基づいて共著者についても、きちんと注意をするということで、今の段階で阪大病院に所属されている方については、病院長名で注意を行うということで、きちんとICMJEの勧告に従って実施をすべきということで注意をしていただいています。既に4月19日付で注意を行ったという報告を頂きました。なお、今後の取組として、阪大が改善策を実施されていくことに関するフォローアップですが、業務報告において様々な報告を頂いている中で、こういったものについても確認させていただければというように考えています。駆け足になりましたが、事務局からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。まず最初に、この参考資料5に関して、掛江委員から御意見はありますか。
○掛江委員 ありがとうございます。前回、リクエストさせていただいたコメントについて対応していただいて、非常に感謝しています。ただ、1点、このご回答の「今後はICMJEの勧告に従って、元データの確認、原稿の作成、査読及び最終承認を行うよう、病院長名で注意を行うこととした」というのは、今回の事案についてだけなのですが、これは大阪大学の今後の対応のところのベースになっている教育の箇所にも組み込むような書きぶりをして頂いている部分もあるのですが、実際の教育の箇所にはこういったことを組み込まれるかどうか全く記載がないのが気になります。できれば今回の案件だけということではなくて、組織として再発防止のために、こういったことを教育の中で取り組んでいただくようにお願いできればと感じました。ただ、前回お願いした内容についてはきちんと対応していただいているので、もし可能であればというコメントです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。また年次報告の中で研修の一環として、こういったことも含めて研究者全体にお伝えいただくべきという趣旨というふうに理解しましたので、フォローしていきたいと思います。
○楠岡部会長 他の参考資料等も含めまして、御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。花井委員、お願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。いわゆる阪大からの「共著者が、元データの確認、原稿の作成、査読及び最終承認を行うよう注意する」と書いてありますが、これはこういったら何ですが、私の現状認識とは相当異なるもののように思えます。本来あるべきことは、こうだということだと思うのですが、そうなるとやはり、これは臨中全体においても、これは阪大だけの問題なのかというところはあるので、私も本当に素人で申し訳ないのですが、医学系の場合は必ずしもこういうことは行わないのが通例だというようにすら認識していたところがあり、こういうことであるならば、まずは臨中に、阪大でこういう事例があったので、これは臨中としても徹底していただきたいということを伝える必要があると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。もっと言えば、研究機関全てだとは思うのですが、今回は臨中なので。このことについて、ほかの臨中も、もちろんそうしているとは思いますが、ちゃんと襟を正すというところを周知徹底していただくようなことは、今回していただけるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 承知しました。以前、この事例について、各臨中のほうにも共有をさせていただきましたので、改めて、また一言付け加えてお伝えをしたいというふうに思います。こういった趣旨をちゃんと踏まえて、研究を進めていただきたいということだと思いますので。
○花井委員 そうですね、やはり大規模研究であればあるほど、複数の目で見ているはずなのにというのが、これまでの歴史の私の経験なのですが、何でみんな見ているのにというところがあって、やはり共同研究者全体が主体的責任を負うという感覚がないのではという疑惑を今まで持ってきていたので、ちょっと偏見に満ちた意見かもしれませんが、是非、今のようにお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにはありますか。新谷委員、お願いいたします。
○新谷委員 本件について、こちらに著者全員で元データの確認というところがあるのですが、どのレベルまで確認するかというところを少し詳しくご説明いただきたいと思います。捏造したかどうかではなく 本当にそこにあるのかどうなのかということなど、データがあるかどうかだけの簡単なチェックも一応確認と言うと確認になりますので。統計家が確認する場合は、元データと論文に記載されたデータは整合性があるかどうかのところも含めて、確認だと思っているのですが、それは人によって確認という言葉の解釈にもかなり違いがあると思います。もう少し詳細に、どの程度の確認かということを含めて記載していただきたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 この阪大の事例は、余りほじくるのは、私は避けたほうがいいと思います。なぜかと言うと、この阪大の事例の背景は、単にPNASの基礎研究のデータを改竄しているところが問題で、先進医療で行われた臨床試験のデータを改竄しているわけではありません。ですから、もしそんなに皆さん方が御懸念するのであれば、全ての国内の研究機関で行われている基礎研究のデータを全部、元データまで振り返って、多分JSTやJSPSで規定しているような実験ノートに、電気泳動などから様々な検査結果が書かれているわけですから、そこまで全部チェックするというような事態に、厳しく言えば遡らなければいけなくなるので、そういうことが実際に行われることではあり得ませんので、臨床試験としてはきちんとデータマネジメントされている環境下で臨床研究中核病院では行われているので、余り臨床研究中核病院にどんどん要求するのは変だと思いますが。
○楠岡部会長 それでは掛江委員、がんセンター東病院の佐藤委員の順でお願いいたします。
○掛江委員 掛江です。私はここにこだわっているのは、共著者もきちんと責任を持って、何か問題があった場合には共著者も責任を負う立場にあるということを自覚して研究していただきたいという趣旨であって、共著者が何をどうするかというところを、もちろん新谷先生のように専門家の目で御覧になられると、細かく決めておくべきというご意見もあるのかもしれないのですが、私の意見としては責任を負っている自覚を持って研究をしてほしいというところだけですので、あとは研究者がチームの中で、不正を防止して正しい研究、適正な研究ができるようにお考えになって実施されれば十分かなというように思っています。今回、倫理の立場から拝見すると、一番末端と言うと失礼ですが、若い先生のみを処分するような、トカゲの尻尾切りみたいな形になっているように外から見えてしまったので、そういった意味では研究チームの全ての方が責任を持って、自覚を持って研究していただきたいですし、何か問題があった場合には皆さんがきちんと相応の責任を取られるべきではないかという趣旨で申し上げました。私も、藤原先生がおっしゃるようにこれ以上深掘りをしようと思っているわけではないので、その趣旨だけ伝えていただければ私自身は満足です。以上です。
○楠岡部会長 佐藤先生、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 今、掛江先生に言っていただいたので、あれなのですが、この元データの確認という言葉が一人歩きしてしまうと、例えば何100人と登録されている臨床研究試験で、そのデータがEDCのデータがどこにあるか、その元になる各施設に保管されている原資料をその場に行って確認してなど、それはそれを行う専門家がものすごい労力を掛けてやることであって、共著者に全部それをやれというのは、それは無理な話なので、システムとして、こういうデータ管理が、きちんとできているということを確保するのが臨床研究の支援体制の1つですので、そこに関しては著者全員で元データの確認という言葉だけが一人歩きされると、やはり臨床研究の実施自体に支障が出るかなと、その辺の言葉使いに関してはちょっと御留意いただけると助かるなと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。今回の事案に関しては、先ほど掛江委員、また藤原委員からのお話がありましたように、今回の阪大からの報告で一旦終了とし、あとは定期報告の中でフォローしていただくという点と、この事例を教訓にして、論文の共著者になるということはどんな責任が発生するかということも含めて、しっかり研修等の中で拡充していただく。これは阪大だけではなくて、臨床研究中核病院並びに全研究機関に関わる話ということになるかと思いますが、その辺りのところをまた事務局から伝えていっていただくことになるかと思います。この阪大以外のことで、何か御意見はありますか。よろしいですか。
そうしましたら、御意見はないということで、この議題に関しては一旦終了させていただきたいと思います。
本日の議題は以上で終了していますが、事務局、そのほかの点に関してありましたら、お願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 次回の開催については、改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これで本日の臨床研究部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。