第21回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

日時

令和3年3月17日(水) 13:00~15:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター
 

議事

○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第21回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Webで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステムの機能から「参加者リスト」を表示していただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願い申し上げます。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにすると共に「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしておりますWeb会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡ください。
本日は、部会の定数14名に対して、13名の委員の先生に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、本日の会議資料についてですが、会場参加の先生におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。Webで参加されている委員の先生におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので御覧ください。資料は、1-1「臨床研究法の見直しに係る関係者ヒアリング」、資料1-2「山口委員提出資料」、資料1-3「堀田班提出資料」、資料2「臨床研究法制定時の附帯決議と検討が必要な項目について」、資料3「「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について2019年版とりまとめ」に係る今後の対応について」です。そして参考資料1~3となっております。お手元の資料で不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきます。御協力お願いいたします。
以降の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 楠岡です。年度末のお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。それでは早速、議事に入らせていただきます。議題1は、臨床研究法に関する検討についてです。それでは事務局より、資料1についての説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは資料1-1、通し番号4ページを御覧ください。前回、3月3日の臨床研究部会と同じ資料を御用意しております。これまで臨床研究法の見直しに関して特別研究班での御検討の状況も含み、幾つかの論点の御紹介をさせていただいたところです。今後、引き続き臨床研究法の見直しの各論点を御議論いただくことになりますが、その上で必要となる臨床研究の推進、信頼性確保、被験者保護の観点に係るヒアリングとして、関係する先生方から御意見を頂くこととしております。前回は、被験者の立場からということで、花井先生に御意見を頂きました。今回は、同じく被験者の立場からということで山口先生、特別研究班からということで堀田先生と中村先生に参考人としてお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。本日は、ただいまお話いただきましたように、被験者の立場から認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子委員、特別研究班より国立病院機構名古屋医療センター名誉院長の堀田知光参考人、国立がん研究センター中央病院国際開発部門長の中村健一参考人にお越しいただいております。堀田参考人は、Webでの参加となります。
それでは、山口委員より資料1、2の御説明をお願いいたします。
○山口委員 山口です。今日は被験者の立場からということで発表する機会を頂きましてありがとうございます。それでは、早速お話いたします。6ページをお願いします。今回の臨床研究法が5年経つことによって見直しをするということですが、被験者の立場ということで私も活動する中で、この臨床研究法が誕生したというのは特殊な経緯があったと承知しております。ここに書いてあることは皆さん御存じのとおりなので、改めて申しませんが、ディオバンをはじめとする不適切事案がいろいろ起きたことにより、特にディオバンの事件については任意による調査がおこなわれ、そして臨床研究の法制度の必要性を検討するためということで「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を開催されたことで、臨床研究法が成立いたしました。私もこの臨床研究に関わる制度の在り方に関する検討会の構成員として、この臨床研究法の成立にも関わってまいりました。
7ページをお願いします。実際、この「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」の議論に参加しているとき、この議論のポイントとして不正事案が発生しても、指針に基づいて行われていると調査権限がないということが、一つ大きなポイントになっておりました。それから資金提供の透明性の確保が必要だということと、事実と異なる研究結果が広告を通じて医療現場に大きな影響を与えたというようなことで、その結果として臨床試験にかなりスポットが当たってしまったこと、そして観察研究の位置付けということが不明確になりました。そのために医療ではできるのだが、研究という位置付けになると、なかなか難しいというような問題が生じてきたのではないかと思っております。そして、COIの管理を含めた事務的な手続がかなり煩雑になったということで、医療現場に負担がかかっていることも各地から聞こえてまいります。更には、臨床研究法という法律になったことで、治験の考え方を当てはめようとしたことで歪みが生じたのではないか等、こんなことをおっしゃる方も私の周りにいらっしゃって、臨床研究法ができてから研究がしにくくなったというような意見を数多く耳にするようになりました。
8ページをお願いいたします。私も、臨床研究法におけるCRBの委員を務めておりますが、その中で感じている問題点として、事務手続きがあります。特に、これは臨床研究法の問題点を改善していかないことには被験者保護という観点からしましても、必要な研究が行われなくなってしまうと、やはり患者側、国民にとってもプラスにはならないことだと思っております。ですので、できるだけ煩雑でなく進めるためには、できるだけ事務手続きの煩雑さを解消して、軽微な変更の範囲は拡大すべきではないか。例えば煩雑な中の1つを取っても、オンライン化をもっと進めることで、いろいろな二度手間、例えばjRCTにWeb登録した後に判子を押して厚生局に郵送するというように、そういう二度手間が実際にあるということですので、そういったことは極力解決していく必要があるのではないかと思っています。そして、研究者本人が「COIなし」と申告すれば、それを他者が確認する手立てがないということになると、やはり研究代表者の負担を重くするよりは、やはり虚偽申告をした場合は個人の責任を重くするという方法でしか、対応の方法はないのではないかとも感じています。
前々回の会議のときにも申し上げましたが、製薬企業から研究者のデータベースが公開されているので、各企業が公開しているものを研究者のデータベースとして作って、できれば製薬協などが可能であれば、そういったデータベース作りを進めていただくことで、そういう公開されている情報の利活用をしてはどうかということを提案させていただきたいと思っております。
9ページをお願いします。今回出てきている論点の中で、「適応外」の問題がございます。ここに書いているように、「用法・用量の微妙な違い」や既に「ガイドラインで推奨」されている、あるいはもう一般的に「臨床で使用することが一般的」になっているようなものは承認していく必要があると思います。そして、先進医療Bとして研究者が申請しない限り、混合診療の問題ということが常に抵触するということも問題ではないかと思っています。
だからといって、単に適応外の範囲を見直して緩めるというようなことでは問題解決につながらないのではないか。臨床研究で適応外の医薬品を使用した研究で、ある程度根拠ある成果が出てくれば、薬機法との連携を図って添付文書の改訂を行い、国の承認を得るというルートが作られることにより、適応外の臨床研究が国民の利益につながるのではないかと感じています。その一方で、こういった薬機法との関連だけで終わってしまうと、そもそも薬事申請は企業が申請しなければできないというハードルがあるというように聞いております。そうすると、企業が生産性を重視して申請しないとか、重大な資料の準備に負担が掛かるというということで敬遠するような問題が出てくるのではないかというようなことを懸念いたします。ですので、この辺りの問題を解決しながら、国民の利益につながるような、今回そういう仕組みの変革をしていくことが大事ではないかと考えております。
10ページをお願いします。今回、観察研究の位置付けというようなことも問題になっています。ここは文章として矛盾すると、書いてしまったのですが、例えば対象とする投薬・処置が、医療として行われた後に研究に組み入れられると観察研究となり、同じ内容でも、まず研究として投薬・処置を行い、その効果と安全性を評価するということになると介入研究になる。こういったタイミングによって、どの研究になるかということが変わってしまうというようなことが問題としてあると思っています。特にこの臨床研究法は、介入研究を対象にしていますが、一般的には臨床研究というと観察研究も含めた概念です。にもかかわらず、臨床研究法という名前にしたことによって現場が混乱してしまっている。そして、被験者のほうは、そんな違いということも全く理解できないわけですので、実際は臨床試験法であるということを明確にするのか、名称が変えられないのであれば名称変更に相当するぐらいの何か対策を講じる必要があるのではないかと思っています。
11ページをお願いします。論点に沿って私の意見を並べてあるのですが、スポンサーという概念を導入するかどうかということが出てきています。この「スポンサー」ということについては、ICH-GCPで意味しているスポンサーの定義と、日本で一般的にイメージされているスポンサーの定義が一致していません。それだけに、もしこれを導入するのであれば、ここでいう「スポンサー」とはどういう定義なのかということを明確にすることが必要ではないかと思います。そして、研究の責任体制が明確になるような用語の整理も、改めてする必要があるのではないかと考えます。
12ページをお願いします。それから医療機器に関することも今回出てきていますが、実は、どちらかというと医薬品のことに焦点が当たりがちで、医療機器の問題点は余り一般的には知られていないのが現状ではないかと思っています。ですので、治験というときには、ほとんどの国民が思い浮べるのが医薬品であって、医療機器もこの中に入っているということがなかなか認識されていない。その結果、例えばですが、CRBの研修でも医薬品の取扱いについては取り上げられることがあっても、医療機器について取り上げることが極めて少ないので、CRBをしっかりさせていくというようなことも今回出てきて、問題点として入っておりますので、例えば一般の立場の委員も、この医療機器についてCRBでしっかり審議できるための研修を組み入れることも考えていく必要があるのではないかと思います。
13ページをお願いします。疾病等報告についてですが、これは以前から藤原委員がずっとおっしゃっていて、名称を変えるべきだというお話が出ているのですが、そもそもこの臨床研究法の中で疾病等報告という用語が出てきた経緯が何なのかというのを私は是非明らかにしていただきたいと思っています。その経緯が明らかにならないと、なぜ、この用語が使われるようになったのかがなかなか理解できません。もしそこで経緯が明らかになれば国際的に通用する用語に変更することも可能になるのではないかと思いますので、いつから、なぜ使われるようになったのかということを是非、事務局から御説明いただきたいと思っているところです。そして、前回議論になっていました未承認適応外の既知の疾病等報告は、1年に1回の定期報告で可とされていますが、だとしても少なくとも発生した段階でCRBに報告をして、そして共同研究者で情報共有するということは仕組みとしてきちんとしておいていただかなければ被験者保護には結び付かないのではないかなと思っておりますので、そこのところを定期報告と同時に、どの範囲まで共有するのかということは明確にしていく必要があるのではないかということです。
そして、14ページです。CRBの認定要件ですが、これはバラバラだと言われておりますが、何がどのようにバラバラになっているのかというようなことも、どこも実態把握ができていないのが現状だと思います。ですので、まずは個々のCRBがどのように運営されていて、どんな問題点があるのか、何がバラバラなのか、そういったことの実態調査をまずは行うというお話がありましたが、それをしっかりしていただいた上で問題点を把握することが必要だと思っています。例えば、どんな研修をしているのか、どんな形態でしているのか、その内容まで踏み込んで確認することも大事かと思いますし、ここにあるような審査基準や審査能力、審査手数料のばら付きということを解消するための機能評価体制も整備する必要があるかと思っています。
それから私が感じているのは、事務局の機能によりCRBの質も変わってくるということです。また、今私たちのような一般の委員がメンバーに入っています。その場合に委員長が議長として采配を振るわれるわけですが、事務局機能に併せて委員長がどのような意識を持っていらっしゃるのかによって、一般の委員が意見を言いやすいか、そうでないかが代わってきます。そして、一般委員がどんな勉強をする必要があるのか、研修をする必要があるのかといった判断も変わってくるかと思いますので、事務局機能の体制評価と、委員長に対してどんな研修が必要なのかということも整理していく必要があるのではないかと思っております。少し駆け足で話しましたが、以上で、私からの発表は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの山口委員からの御発表に関しまして御質問があればお願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。今の山口委員の資料の9ページのところの「適応外」のことで御意見をお聞きしたいと思います。受けられるお立場で言うと、適用範囲が広くなるということは望ましいという御意見はよく分かるのですが、まず1点目は、1行目の辺りの「微妙な違い」と「一般的なもの」が承認という非常に曖昧な表現のものを、これでいいという基準にするというのは、なかなか安全性の担保が十分賄えないのではないかなという気がするのです。
つまり、なぜ薬機法があるのかということを逆に考えれば、有効性と安全性を担保するということだと思うのですね。そういった場合に、有効性に関しても、もともと薬機法の薬事申請に準拠しない形で行われた研究の成果を、そのまま転用するということに対しての有効性の判断というのもちょっと難しいと思うのです。安全性というのも副作用報告等をチェックするという項目がもしなければ、もともとの研究のデザインが違うので、そのまま薬事申請に変え得る内容や、体制の研究でないと申請が行えないのはよくないということではなくて、逆に、そういうような対応の内容にするような研究をなさっていただいた場合は承認をするということが、本来の国民の安全性を担保するという考え方に近いのではないかなという気がするのですが、山口委員の適応を広げていこうというお考えと、先ほど私が言いました薬機法にあるような多少厳しいかもしれないけれども、国民の利益を安全性と考えた場合に、どちらを重要視するかというのは、変な言い方ですが、そのような考え方もあるのではないかなと思うのです。その辺りの山口委員の考え方をお教えいただければと思います。
○楠岡部会長 山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。もちろん安全性ということについては、最も重要視しないといけないところだと思っています。この微妙な違いという書き方をしたことがよくなかったと思うのですが、この辺りは、やはり専門家の方たちの中で、一番上のポツの所に書いているものについては、私が実際に感じているというよりは、研究に携わる方々から、このようなものまで全部ひっくるめて適応外ということで問題にされてしまうと困ると聞こえてくるところではあります。私が今回、この項目の適応外の中で一番申し上げたかったのは、後半の2つのところです。せっかく被験者として研究に協力して、きちんと成果が出てきたもので安全性が確保されるのであれば、それがしっかりと、やはり添付文書の改訂ということにつながるような仕組みづくりをすること。単に緩めるよりは、全体として必要なことではないかということを一番に言いたかったところがございます。安全性ということは、もちろん第一義だと思っています。
○渡辺委員 ありがとうございます。おっしゃられるとおりで、やはりデザインが承認に似合うような内容になっていれば、私も問題はないように思います。そこが不十分なものまで加えるかなと思って、ちょっと心配したものですので、お聞きしただけです。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
○山口委員 楠岡委員長、私が途中で質問した疾病等報告という言葉が、いつ、なぜ出てきたのかというのは事務局から御回答いただけるようなことがあれば教えていただきたいと思っているのですが。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 少し、まだ精査が足りていないのですが、再生医療等製品に関する法律があります。再生医療等を規制する法律があり、そちらのほうでは再生医療が製品になっているものもありますが、医療行為として実施するものも規制をしていることから、そちらのほうの有害事象の報告が疾病等報告ということになっており、その用語を引いてきたようです。一方で、こちらは確かに医薬品、医療機器、再生医療と製品となるようなものを対象にしていますので、そこは再度よく確認いたしまして、次回以降、また御報告をさせていただければと思います。
○山口委員 是非、国際的に通用する用語に変えていただきたいと私も思います。
○楠岡部会長 疾病等報告に関しましては、治験のときには、御承知のように、有害事象報告という形でしてきたわけですが、その有害事象というのは、あらゆる好ましくない事柄ということで、含まれる範囲が非常に広く、かつ試験に使っている薬や機器とは明らかに関係のないようなものであったとしても、条件がそろえば全部を報告しなければならないということで、現場としては非常に面倒くさいと言いますか、そういう負担感がありました。そこで、もう少し因果性があるものに絞ってはどうかという意見が前からあったわけです。そういうようなことも踏まえて、今回は因果性を確認できたものを報告するという形になってきたのだと思います。ただ、そうしますと前回の議論でもありましたが、因果性を判断するのが担当医であると、ある意味透明性、客観性がないことになるので、その辺りについては、もしするとしたらどういうような体制を作っていくのかというのは今後の議論になってくるのではないかと思います。ほかにございますでしょうか。新谷委員、お願いします。
○新谷委員 観察研究の位置付け、10ページです。ここに、「臨床研究法は介入研究を対象にしているのに」という記載があるのですが、こちらの議論はまた後ほどされると思いますが、現在の臨床研究法では介入だけではなく、例えば治療目的で投薬が行われる場合に、検査等で侵襲が発生する場合も臨床研究として定義されております。ですので、一概に介入研究だけを対象にしているというわけではありませんので、この辺も、また別途、議論の場をいただければと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。今の点に関しては、今後議論をしていく点になるかと思いますが、ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、次の堀田班の報告の後に、もしありましたら、また追加で御質問を受け付けたいと思いますので、次の堀田班からの報告に移らせていただきたいと思います。
堀田班から、資料1-3の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○堀田参考人 名古屋医療センターの堀田と申します。これは厚生労働科学研究の特別研究の臨床研究を取り巻く状況を勘案した、臨床研究法の改正を含めた対応策の検討という単年度の研究班で、様々なステークホルダーから頂いた意見、要望、あるいは臨床研究部会で議論されるべき課題につきまして、その論点整理をして、必要な対応策があれば、それを提起するということで、この部会の議論に資することを目的とした研究班です。私を含めて、今日参加させていただいている分担研究者の中村健一先生、そのほかに法律家、小児科医、研究事務を担当する者、研究倫理の専門家といった7名の構成で、研究班を立ち上げて、昨年の7月から7回の研究班会議を経て、研究報告書をまとめさせていただきました。
この間には、それぞれのステークホルダーに関係する業界団体、あるいは一般や患者を取り巻く立場を代表する方々との意見交換、意見聴取といった形での交流を深めまして、一昨日ですが第7回を終え、最終案を取りまとめたところです。
先ほど、山口委員から御指摘いただいた幾つかの点は、こういった論点の中に含まれておりまして、そういったことを班としては、これまでにも部分的には紹介させていただいていますが、今回、この8つの論点にまとめましたので、それを報告させていただきます。具体的な報告内容については、分担研究者の中村健一先生からお願いしたいと思います。
○中村参考人 説明させていただきます。17ページをお願いします。研究班では8つの論点について議論させていただきましたので、本日御紹介させていただきます。8つの論点ですが、大きく分けて、1~3は適用範囲の問題です。4はSponsor、これは責任体制です。5~7は手続きの簡略化、8は認定委員会の話ということになります。
18ページをお願いします。先ほど出ました観察研究に関する適用範囲ですが、法と省令とQ&Aで、研究者には定義が分かりにくいような形になっているところがあります。まず、法の定義に関しては、そこに示したとおりですが、これだけを見ると、医薬品等の介入研究が対象なのかなと読めるような文言になっています。ただし、施行規則第二条で、観察研究が「適応除外」となっているわけなのですが、ここでは下線部の所にあるように、「患者のために最も適切な医療を提供した結果」の研究が除外されるということで定義されています。ただし、例えば研究目的で質問票に回答いただくとか、あるいは研究目的で少量の追加採血をする、これは患者のために最も適切な医療をしたというわけではありませんので、極端な話、こういった質問票への回答までも、うまく除けていないというのが、この省令の文言では読めるということです。
19ページをお願いします。上の表を見ていただくと、法律では、医薬品等の使用は介入の場合のみ該当する、①のみ該当すると読めるのですが、施行規則や省令では、研究目的の検査を行った場合も除けていないように読めるということです。ただ一方で、こういった解釈のぶれをなくすためにQ&Aが出ておりまして、その中の問1-13では、こういった医薬品等の使用は日常診療どおりなのだけれども、研究目的で検査を行った場合、負担が大きい場合は該当するけれども、負担が小さい場合には非該当というように整理されています。
②というところが、研究者にとって重いと感じられているところも多いのですが、事例集3-8というものが出まして、②のような場合であっても、治験に付随して別の研究として実施する臨床研究(治験の付随研究)のような場合は、プロトコールを分ける形にすると、プロトコールの中では医薬品等の投与は行っていないので臨床研究に該当しないということがあって、実際には②に該当するものは少ないのですが、こういったことで解釈が上にいったり下にいったりしているというのが実態であります。
20ページをお願いします。研究班の議論では、適用範囲というのは医薬品等を用いる介入研究であることを明確にしてはどうかという議論になっています。現状の定義はかなり複雑で、研究者になかなか理解されていないということもありますし、やはり海外規制との一貫性、臨床研究法の英語名はClinical Trials Actだということもありますが、Clinical Trialが適用範囲であることを明確にしてはどうか。具体的には、先ほどの省令の下線を引いた所を削除してはどうかというように、研究班の議論ではなっています。
この点に関して、患者・一般の立場の方からの御意見としては多様な意見を頂いております。医薬品等の投与が日常診療どおりでも患者の負担が大きな検査を加える場合には、この対象にしたほうがいいのではないかというような御意見もありましたし、一方で、国際的な整合性を重視して介入研究にしたほうが分かりやすいのではないかという御意見もありました。そうしたとしても、この対象から外れたとしても、全て野放しというわけではなくて医学系指針は適用されるので、やはり実態に即した形にするのがいいのではないかという御意見も頂いたところです。
21ページをお願いします。続いて、医療機器に関する適用範囲です。医療機器に関しては、2点の論点があります。1点目は、医療機器に関する法への該当性が分かりにくいということです。今回の臨床研究法の対象かどうかというのは、「医行為」が行われるかどうかということなのです。医行為とは、下に書いてある定義なのですが、こちらは「医師法第17条の解釈について」という通知から持ってこられたものだと理解しています。この通知は、もともと医療機関以外の介護現場での「医行為の拡大解釈」の是正を目的としておりますので、特に具体的な例示がそれほどあるわけではなく、医療機器開発では、これは医療機器を用いた場合の医行為に該当するのかどうかというのが非常に分かりにくい事例があると聞いております。それが原因で、該当性が分からないので研究を差し控えたり、あるいは医療機関による研究制限が起きているということは、ヒアリングの中でも頂いています。
この点に関しては、日本生体医工学会の該当性ガイドラインが出ています。薬機法の医療機器の定義を引用することで、下の①②の両方を満たす場合に、医行為に該当すると定義してはどうかというのが、この該当性ガイドラインの記載です。
研究班では、やはり何が医行為に該当するかというのはなかなか難しいのではありますが、少なくとも、この定義を引用して、①の両者を満たして、医師の治療介入が行われる場合には、医療機器に係る臨床研究と考えてはどうかという意見に取りまとめられております。
22ページをお願いします。もう1点、論点2ですが、医療機器で難しいのは、低リスクの医療機器が特定臨床研究に該当してしまうということです。人体に与える影響は極めて小さい医療機器、例えば救急絆創膏も一般医療機器に当たるわけなのですが、救急絆創膏を適応外使用で臨床試験をしようとすると特定臨床研究になってしまうということがあります。こういった極めてリスクが小さい医療機器であっても、そういったものを使おうとすると、特定臨床研究に当たってしまうので、開発初期段階の小規模な研究という辺りをみるような研究が、特に実施困難になっているというのが実態ということです。
23ページをお願いします。医療機器は一旦承認されたとしても、その後に不断の改良・改善が行われていくものであるというのは御承知のとおりだと思います。ただし、こういった改良医療機器の中でも、必ずしも臨床試験データの提出が求められていない改良医療機器(認証なし)というカテゴリーがあるのですが、そういう場合であっても、申請前に企業の改良と臨床現場の評価を繰り返すような場合、どうしても特定臨床研究扱いになってしまうので、結果的に、この医療機器の改良・改善というのが非常にやりにくい状況になっているというのが実態です。ということで、この2点目に関しては、自己認証、第三者認証レベルの医療機器、あるいは改良医療機器(認証なし)と言われるようなカテゴリーに関しては、この対象から外してもいいのではないかというような議論になっています。
25ページをお願いします。適用範囲の論点の3点目は、適応外薬に関する特定臨床研究の適用範囲で、先ほども出たものになります。現状、この適応外かどうかという判断が、添付文書の用法・用量の範囲内かどうかで厳密に解釈されております。がん領域では、例えばシスプラチンやカルボプラチンというような非常に古い薬剤でも、日常診療で用いられている用法・用量と添付文書との間に乖離があるので、「適応外」の扱いになる。そして特定になるということが現状です。これは、がん領域では、特に市販後に研究者主導試験によって、用法・用量が最適化して、それをガイドラインに載せるということがよく行われるわけなのですが、これは治験ではないために添付文書には反映されない。そして、どんどんこの添付文書と日常で行われている治療法との乖離が広がっていくというのが現状になっております。
もう1つ、小児領域でも、企業による適応追加が積極的に行われるわけではありませんので、日常診療で通常行われている用法・用量「外」の使用法が一律に特定臨床研究に当たってしまうというのも大きな問題になっていました。つまり、診療では問題なく使える薬剤が研究になると適応外と扱われて、特定臨床研究が必要になってしまうので、日常診療で生じたような臨床的課題を解決するような臨床試験がやりにくくなっているという状況が生まれています。
26ページをお願いします。研究班の議論では、この点に関しては幾つか提案が出ているのですが、1つは、効能・効果が同じで、かつ副作用報告義務期間や再審査が終了している医薬品というのは、この法で規定される「適応外」の範囲から除いてもよいのではないか。更に、もう一歩踏み込んで、55年通知が適用されるような支払基金の提供事例に掲載されているような用法も「適応外」と扱わないこととしてはどうかという提案もありました。
ただし、適応内か適応外かという話は、どこまでいってもグレーゾーンが残りますので、そういった判断をCRBに委ねると、全国でかなり判断のぶれが生じてしまうのではないかということです。そういった該当性の判断を一括して行って、事例を蓄積して、継続的にQ&Aを更新・充実させるような中央機関というのはあってもいいのではないかという議論になっています。
この点について、患者・一般の立場からの御意見を聞いたところ、もっと診療ガイドラインなども判断の根拠として使えないのかというような御意見もありましたし、添付文書に標準的な使用法が反映されていないことが、そもそもの問題ではないかというような御意見も頂いております。
続いて27ページ、Sponsor概念です。左にICH-GCP、右に臨床研究法の立て付けを書いておりますが、ICH-GCP は皆さん御存じのとおりで、試験全体の計画・実施に責任を持つSponsorというのと、各医療機関で研究行為に責任を持つInvestigatorという役割が明確に分かれています。ただし、右側の臨床研究法では、各医療機関にSponsorかつInvestigatorの役割を持つ研究責任医師が存在するという形になっています。つまり、50施設の多施設共同試験では、50人のSponsorかつInvestigatorの研究責任医師がいて、その50人が50分の1ずつ研究全体の責任を分掌しているという形になっています。
これは何が起こるかと申しますと、例えばモニタリングというのは、各Sponsorが責任をもって行うことになりますので、各施設で50施設が、それぞれにそれぞれのやり方でモニタリングを行うことも可能というようになっています。でも、現状では、このモニタリング報告書も、研究代表医師へ必要に応じて報告しろということになっていますので、必ずしも研究代表医師に集約されない。ほかの医療機関でも集約されないということがあって、試験として品質の一貫性が取れないという状態が起こりかねない状況になっています。また、疾病等報告に関しても、因果関係の判断が、各Sponsor、Investigatorに任されていますので、少しリベラルな研究責任医師がいると、治療関連死が疑われるような症例であっても「因果関係はなし」となり、管理者にも上がらず、研究代表者にも報告されず、他機関にも共有されないという状況が生じるということになります。
28ページをお願いします。それで困っているのは、責任が50分の1ずつに分散してしまって、誰が試験の品質を統一するのかが不明確である、安全性にも懸念があるというのが問題であるわけなのです。もう1点、製薬協の方から伺った御意見としては、企業主導の試験でも、臨床研究法では研究責任医師が試験の実施責任を負わないといけないので、グローバル試験のときに非常に困ると。具体的には、市販後のグローバルのフェーズ4の試験があって、本来は、日本以外では当然、企業がSponsorになって実施するようなものではあるけれども、臨床研究法では研究責任医師がSponsorの役割を担わないといけないので、大きすぎる責任を持つ医師が見付からずに断念したという事例があったということです。また、こういった試験の場合は、契約しようとすると、当然企業が始めた試験ではあるのですが、臨床研究法では研究責任医師が主となって契約をしないといけないので、かなり契約も複雑になってしまうということになります。また、同じ文脈の話で、アカデミア主導で国際共同試験をしようとしても、Sponsorの役割が日本のみ独特という問題がありますので、「日本のみ」独自のSOPや契約書を作ってからやらないといけないという問題があります。
29ページをお願いします。研究班での議論としては、臨床研究法においても試験全体の実施責任を持つ者、Sponsorの役割を持つ者と、各施設における研究行為の責任を分離してはどうか。SponsorとInvestigatorの役割を分離してはどうかという議論になっています。ただし、Sponsorの役割を誰が担うかというのは、また別の問題でありまして、ここは例えば研究代表医師というのが臨床研究法に存在しますが、代表医師がSponsor の責務を全て負うということもありますが、この場合はかなり個人に係る責務が大きくなってしまうという問題があります。これがオプション1です。オプション2は、そのような場合に、研究代表医師だけではなくて、それらが所属する法人がSponsorになるようにしてはどうかというものです。オプション3は、医師が所属する医療機関のみならず製薬企業まで、あらゆる個人や法人がSponsorになるという、本当のICH-GCPと並びの規定にしてはどうかというものです。
この点について、患者・一般の立場の皆さんから御意見を頂いたところ、責任の所在が曖昧で安全性に問題がある現在の仕組みは改善して、国際的な整合性を取るべきだという御意見もありましたし、オプション1では「個人」に係る責任が大きすぎるのではないかという御意見もありました。
30ページをお願いします。疾病等報告に関しては、ここまで議論がありましたので、少しスキップして一番下の2行だけを見ていただければと思います。先ほども出ましたが、「既承認」であっても既知・重篤は定期報告でいいのではないかということに関して、患者・一般市民の立場の方からも、おおむね賛同の意見が研究班の議論の中ではありました。これを30日報告にしてしまうと、かなり報告件数が多くなって、真に重要な報告がCRBとかに埋もれてしまうのではないかという御意見がありました。ですので、つまり、研究代表医師は広く意見を集めておくけれども、CRBはある程度絞ってもいいのではないかという議論になったということを御紹介しておきます。
32ページをお願いします。論点の6点目としては、実施計画の簡略化とjRCTとの分離ということです。実施計画とjRCTが、今は完全一致していますので、かなり細かいことまで実施計画に載っていて、それの変更にかなりの手続きが必要になるということです。臨床研究法の開始当初の運用では、実施計画の軽微な変更、例えば1施設の病院長の先生が変わるような場合でも、CRB審査を行って、全参加施設の管理者許可を得て、その後に厚生局へ届け出て、jRCTを変更した後に発効しなければならなかったのですが、この点に関しては非常に多くのQ&Aを出させていただきまして、実質的に、今現在はCRBの事務局決裁と管理者事後報告という流れが可能になっています。そこで手間は、ある程度改善されたのですが、頻回の「CRB報告から厚生局でのjRCT変更手続き」が必要というところは残っているところになります。
33ページをお願いします。これはjRCTと実施計画が完全一致しているということが根本原因であり、実施計画は当局への届出事項ですので非常に重要なことに絞るべきだろうと。jRCTは患者あるいは社会への情報公開の意味合いが強いものですので、もう少し幅広いものでもよかろうということで、実施計画とjRCTを分離するというのが、研究班での議論の方向性になっています。実施計画は当局に届けるべき重要事項のみに絞って、これらを変更する際には、しっかりとCRBで審議して、管理者許可も得ると。それ以外の情報はjRCTに掲載するのだけれども、実施計画には含めないということで、jRCTには管理者報告は不要にするという方法がいいのではないかという議論になっています。また、厚生局への郵送が一つ一つ必要になりますので、これもオンライン化してはどうかという意見になっております。患者・一般の立場からの御意見としては、現在のjRCTの情報の見せ方や検索方法が必ずしもベストというわけではないので、もう少し改善すべきではないかという御意見を頂いています。
34ページをお願いします。7点目は利益相反申告手続きの効率化です。利益相反の「事実確認」という仕組みが、今回新たに臨床研究法に導入されましたが、これが非常に医療機関にとっては重い仕組みと受け取られております。つまり、全ての研究責任医師、分担医師の利益相反を自己申告して、それを医療機関として事実確認して報告書を作らなければならないのですが、そもそも医療機関が有しているCOI情報も、研究者から申告された自己申告に基づくため、「自己申告」で「自己申告」を確認するような形になっていて、なかなか実効性が十分ではないのではないかという実感を現場では持っているところです。また、医療機関ごとで事実確認の方法も様々であり、利益相反が「あり」の場合も、利益相反が「なし」の場合も一律に事実確認をしている医療機関がまだまだ多くあると思いますが、「あり」の場合のみ事実確認をするという簡略化の手続きを取っている医療機関もあり、ここも様々ということになります。
35ページをお願いいたします。研究班の議論の方向性としては、「事実確認」の実効性が乏しいということで、事実確認の仕組み自体を廃止して、利益相反申告の正確性の担保は研究責任医師の責務としてはどうかというような議論になっています。ただし、正確性を担保する上で、各製薬企業がウェブサイトで公開している各医師の利益相反情報を1か所に集約して公表するように業界団体に促すべきではないかという議論になっています。そうすることで、医師側にも正確に報告しなければならないという意識付けの役に立つのではないかという議論になっています。
ただし、オプション2として、あくまでも現行の仕組みを踏襲し、COI申告「なし」の場合には原理的に「ない」ことを証明するのは難しいので、様式Dの作成を求めないということを一応、提示しております。患者・一般の立場からの御意見としては、企業の情報の話ですが、利益相反を客観的かつ容易に確認できるシステムが必要なのではないかという御意見と、SponsorとInvestigatorの立場では、そもそも利益相反の重みが違うのではないか。SponsorのCOIは、より重視すべきだけれども、InvestigatorのCOIというのは少し軽めにしてもいいのではないかという議論もありました。
36ページをお願いします。最後は、CRBの認定・更新要件の見直しですが、前回もお話があったところです。外形的要件プラス年11回以上の開催実績ということがありますが、日本全体の特定臨床研究の数に比べてCRBの総数が多いので、年11回が困難なCRBが多いというのは、前回もあったかと思います。そもそも現在のCRBの総数が適正かどうかということもありました。CRBは分散してしまうと審査の質の低下にもつながりますし、審査数の減少に由来する審査料の高騰にもつながりかねないということがあります。もう一点は、申請者が自由にCRBを選択できるので、安価で、厳しい審査意見の出されないCRBが選ばれる傾向にあります。
37ページをお願いします。ここに関しては今後も議論が必要になると思うのですが、開催件数ではなくて、審査の質を反映した指標とすべきであろうという、もう少し精緻なチェックリストで、この認定要件・更新要件を決めるべきだろうという議論になっています。また、CRBの審査の質をどうやって確保するかというのは、なかなか難しい問題ではありますが、専門委員会による模擬審査や、CRB間のピア・レビューといった仕組みを導入してはどうかという話になっています。
質の高いCRBに対しては、何らかの公的な支援が必要なのではないか。今、CRB事業などもありますが、審査業務以外のことをやらないと事業をこなせないということになっていますので、審査業務そのものに対する助成を行うことで、公的資金により審査料が抑制されれば特定臨床研究に感じている研究者の経済的負担も軽減するのではないかという議論がありました。
38ページをお願いします。こちらが、今回のヒアリングに御協力いただいた方々の名前となっております。以上です。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ただいまの堀田班の発表に関して、御質問がございましたらお願いしたいと思います。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。2か所について御質問させていただきます。
1か所は、9ページの一番下にある、自己認証と第三者認証レベルの医療機器を対象から外してはどうかという御提案に関して、次の10ページに、届出のもの、第三者認証のものと、クラスⅢの表がありますが、PMDAで審査されているものの一部は第三者認証にも掛かっているのです。つまり、クラスⅡとクラスⅢというところのラインは、割と曖昧なところも一部あるのではないかと思うのです。クラスⅡは第三者認証を全て法から外すというよりも、研究内容によって、機器の利用度によって、クラスⅡ若しくはクラスⅢのものも一部は認めるという考えのほうがいいのかなと思ったのですが、その辺りのお考えを後で教えていただきたいというのが1点です。
もう1点は、11ページの小さな緑色の四角の上側です。下半分に、「研究者主導試験によって用法・用量が最適化されても治験ではないため添付文書には反映されない」という文章なのですが、その「最適化」というのが分かりにくいのです。有効性と安全性が担保されたというように解釈してよいのかというのが1点と、治験ではないから添付文書には反映されないというのは他の研究とか海外の研究があれば、添付文書には書き加えられることがあると思いますが、この場合の「治験ではないため添付文書には反映されない」という意味は、そのレベルの問題をおっしゃっているのかどうかという、その辺りを聞かせていただければと思うのです。よろしくお願いいたします。
○中村参考人 御質問ありがとうございます。まず、届出と第三者認証というように書きましたが、御指摘のとおり、そこの区別というのはなかなか難しいところがあります。今現在、施行規則で医療機器の範囲として規定されているときには、届出とか第三者認証という文言ではなくて、その上の一般医療機器あるいは管理医療機器という薬事法上の区別が使われていますので、研究班の議論の中でも、どちらで外すという議論にするかという議論はありましたが、例えば一般医療機器や管理医療機器、つまりクラスⅠやクラスⅡというところを外すというほうがクリアに外せるのではないかという議論もありましたので、そういった方向性もあり得るとは思います。
2点目に関しては、抗がん剤の場合、例えば治験では、ステージ4に対して通常は転移があるような患者に治験が行われるわけなのですが、それを術後補助化学療法として使ったり、術前化学療法として使ったり、化学療法として使ったり等、あるいは分割投与で使ってみたりとか、いろいろな使われ方が研究主導治験でされて、それがガイドラインに載るという形になります。用法・用量の最適化というところです。例えば、転移がないような患者に、放射線療法と組み合わせる場合には、この用法・用量がよいなとか、そういった意味での最適化ということを、ここでは述べております。
そして、治験ではなくても添付文書にというところに関しては、そのようなルートもあるのかもしれないですが、これまでは企業側にも研究者側にも、余りそれをやるメリットがなかったというところで、実際にはそれが進んでいないということになります。つまり、これまでは保険で切られずに、日常診療でも臨床試験でも、普通に保険で切られない薬を使えていたわけなので、余り添付文書を積極的に変えようというインセンティブが企業にも研究者側にもなかったので、ずれがかなり大きくなった状態で、ここの線引きで特定かどうかというのが区別されることになったので、そこのずれの大きさが一気に明るみに出てしまったというのが実際のところかと思います。
○渡辺委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 次に山口委員、その後に花井委員にお願いいたします。
○山口委員 29ページの論点4の「どうするべきか」という所なのですが、この中のオプション2の所に、「研究代表医師、もしくはそれらが所属する法人を」と書いてあるのですが、所属する法人について、例えば法人の大きさによっては、研究の内容を把握できるのかというような、本当に責任を持つことができるのかというような規模のところもあると思います。そうすると、なかなか務めることが難しいのではないかと思ったのですが、例えばオプション2ということを考えているときに、所属する法人の規模みたいなもの、こういう内容であれば法人ということを入れてもいいのかというような議論があったのかどうかということが、もしあれば教えていただきたいと思います。
○中村参考人 ここは法律の専門家の先生にもお聞きしたほうがいいかもしれませんが、やはり責任主体としては個人あるいは法人ということで、例えば大学とかになりますと、大学法人というすごく大きな法人になると思いますが、いろいろな学部があって、実際に見られないということもあります。その場合には、法人の責務を病院などに移管していただいて、その病院が責任をもって見るようなやり方が一般的になるのではないか。特に、組織の大きい大学などに関しては、そういった立て付けで、実際には病院として責任を取るような形になるのではないかという議論がありました。
○山口委員 ということは、責任が取れる範囲というような場合にということですか。
○中村参考人 そうです。うまく責任をデリゲートする、実際に見られるような単位にデリゲートするということが、実際のやり方になるのではないかと思います。
○山口委員 ありがとうございました。
○花井委員 2つあるのですが、1つ目は、今、山口委員が質問したところと関係するのですが、Sponsorという概念を十分に理解していないことから生じるものかもしれませんが、オプション2で言われたように、そもそもリサーチクエスチョン、構想して、研究をしたいと発案した人が代表医師になる。しかし、その研究を実際上、大規模に進行するに当たって、研究全体の中で責任を取っていくことが個人では難しいので、その人が所属する法人なりにお願いするという立て付け。例えば、それは逆に、お願いする所が民間の企業でもあり得るというのは何となく理解できるのですが、最初から企業がということになると、企業がやりたい研究となると、研究をやりたい人、リサーチクエスチョンを構想する人が企業内にいるということなのでしょうか。研究の担い手が責任を持つという話と、この研究をしたい、リサーチクエスチョンを発案した、研究をしたいと思った人、この人と区別が分かりにくかったので、教えてほしいというのが1点目です。
2点目は、観察研究のところですが、研究会の方向の流れとしては、例えば割り付けを行わないのであれば、その後の検査等が、ある種の放射線を過分に浴びるとか、割と侵襲性のある検査であっても、いわゆる割り付けを行う臨床試験でなければ、ここから外すべきという方向性として理解したらよろしいのでしょうか。以上の2点について、お願いします。
○中村参考人 2点目から先にお答えさせていただきます。必ずしも割り付けだけではなくて、例えば単群試験であっても、普段行わないような、日常診療では行わないような医薬品等の投与を行って、その有効性・安全性を見るということについては、介入そのものになりますので、割り付けを行わなくても、日常診療では行わない情報を患者に強制的と言ったら語弊がありますが、やることに関しては、ここに含まれるということになります。
○花井委員 検査の侵襲は含まないのですか。
○中村参考人 そうですね。今回は医薬品、医療機器、再生医療製品というのは、今回の臨床研究法の対象になっていますので、そういったものを使用、医薬品等の使用において介入するということに関して対象にしてはどうかというのが、研究班では議論になっています。
○花井委員 ということは、検査の負担に関しては、別のガイドライン等で対応すべきという意見ですね。分かりました。
○中村参考人 企画した人とSponsorが別ではないかというところがあったかと思います。Sponsorというのは、左側のICH-GCPと赤で書いてある所ですが、「臨床試験の立案・運営又は資金に責任を負う個人、会社、研究機関又は団体」が、ICH-GCPの定義になります。基本的には、立案した人が、その後の運営も含めて責任を取るというのが、Sponsorの役割になるということになります。
ただし、小規模な試験であれば、個人で責任を取れるかもしれませんが、例えば50施設の多施設共同試験に関して、全て個人が責任を負うというのはなかなか大変なことであります。例えば、保険に入るということもありますし、何かあったときの責任ということに関しても、個人ではなくて、所属する医療機関が、欧米でも大規模な研究になってくると、個人では負い切れないので法人が負うというパターンが多いと聞いておりますが、そういった形で、規模に応じて個人あるいは法人がSponsorの役割を負うというのが、オプション2に示したことになります。
○花井委員 Sponsorというのは立案、それなりの大規模なものをしようと思うと、立案者はそれなりに責任の負える体制を持った者が研究的であるとも言えますか。
○中村参考人 そうですね。立案しても実行するだけの組織であったり、資金がなければ試験はできませんので、それをトータルで責任を取れる人がSponsorの役割を負うということになります。
○花井委員 なるほど、分かりました。
○楠岡部会長 次は、北海道大学の佐藤委員に、引き続き、国立がん研究センター東病院の佐藤委員でお願いいたします。
○佐藤(典)委員 膨大な御説明をありがとうございました。非常に勉強になりました。聞きたいことは山ほどありますが、山ほど聞いてはいけないと思いますので、1点だけ確認させていただきたいと思います。
今の花井委員の御質問、御指摘と重なってしまうところがあるのですが、論点1の所です。20ページになると思います。今回、臨床研究法の問題点ということで、観察研究の定義について、いろいろと御指摘なり、不備なところを頂きましたが、このページの上にある赤の所ですが、医薬品等を用いる介入研究であることを明確にすべきというのは、私も基本的には賛成です。そうすると、いっそのこと、介入、インターベンション、花井委員も、肝臓の臨床研究について、観察研究かどうかということで群分けしないものはというように、そういう理解が十分にいかない場合も臨床研究の専門家でなければ起こり得ると思いますので、インターベンションというものをしっかりと定義することによって、倫理指針のことも定義されていますし、それが十分かどうかということもあるかもしれませんが、そういったことを、違うものを定義して、それ以外というのではなくて、そうであるということをしっかり定義した上で、これが法律の範囲だというほうが、より明確になるのではないかという気がしましたので、そういう議論はなかったか、あるいは先生方はどのようにお考えなのかということです。
それから、それに付随していくと、先ほどのお話にもありましたが、20ページの下のほうです。一般の立場・患者の立場からすると、自分たちに負担になることが法で守られない懸念というのは大きくなると思うのです。そこに対するケアが必要で、そのページの一番下の所ですが、「法の対象から外れても医学系指針(以下略)」と書いていますが、これの意味するところは、医学系指針でもしっかり侵襲性のあるものに関してはケアできているからいいとみなしているのか、医学系指針を適用させることは、その運用も含めて今は不十分だと理解しているのか、この文章の意味が読み取れなかったので教えていただきたいと思います。ここをしっかりとできるかどうかが、介入研究であるという定義で統一できるかどうかということに関わってくるのではないかと思うので、その辺のところを教えていただけますか。
○中村参考人 後者からお答えいたします。お答えいただいたのは患者・一般の立場からの御意見を頂いた際なのですが、皆さん、IRBの委員などをされていて、IRB委員かつCRBの委員をされている方から御意見を頂きましたので、その方々の実感として、CRBとIRBですごく審査の質に差があるかと言うと、所属しておられるIRBがよかったのかもしれないのですが、そこまではないのではないかと。なので、特定臨床研究から外れて、研究倫理審査委員会、指針のほうの委員会の適用になったとしても、それほど患者に対して著しい不利益というのはないのではないかというような文脈で発言されたと理解しております。
また、介入に関しては、研究班でも議論がありました。今まで研究者はずっと医学系指針でやってきましたので、介入と侵襲というところで結構慣れてきていたと思います。ところが、今回は「医行為」という新たな概念が入ってきて、こちらで少しそこが微妙にずれているのではないかという議論があって、分かりにくいということで、やはり介入のところを、今まで慣れ親しんだ介入という意味合いと、もう一つは欧米の規制要件がInterventional Studyという用語で規制をしています。例えば、EU regulationなどはInterventional Studyということで適用範囲が括られているところもありますので、先生がおっしゃったように、インターベンションという介入の定義をはっきりさせて、その上でInterventional Studyというのを適用範囲にするというのが、一つの方向性かなとは考えています。
○佐藤(典)委員 ありがとうございました。私はこれで結構です。
○楠岡部会長 それでは、国立がん研究センター東病院の佐藤委員、お願いいたします。時間がかなり迫ってきましたので、手短にお願いいたします。
○佐藤(暁)委員 全体の方向性に関しては、私も賛同するところなのですが、ここの基準をどうやって判断するかというところを教えていただきたくて、2つあります。例えば、医療機器、自己認証、第三者認証レベルであれば評価不要とするものであればいいというのは、それはそうだと思うのですが、これは例えばPMDAと相談したり、第三者認証機関と相談した上でOKと言われる場合が多いかなと、実際の開発ではそのようにしていると思うのです。これを実際に臨床研究法でやる場合には、誰がどうやって判断するのか、CRBが判断するのか、それとも当局に何かお伺いを立てた上でやるのかが、実務的には気になるところかなと思います。
同じような観点で、Sponsorのところなのですが、オプション3であらゆる個人、法人となった場合に、この法人が本当に臨床研究をできるケイパビリティがあるかどうかというところを、PMDAだったら30日調査とか15日調査で判断すると思いますが、臨床研究法の立て付けだとCRBが判断することになるのかなと思います。2つともCRBが判断するとなると、結構CRBが重い判断を迫られる場合は増えてくるのかなと思うので、ここら辺をどうやっていくかというのは課題なのかなと思いました。
○中村参考人 ありがとうございます。
○楠岡部会長 時間もまいりましたので、次の資料2に移らせていただきます。資料2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料2について御説明させていただきます。通し番号で39ページからを御覧ください。まず40ページです。これは前回もお示ししましたけれども、法律の制定時に衆議院、参議院のそれぞれから附帯決議ということで、それぞれ9点及び8点について指摘を頂いたところです。これにつきまして多くのものは解決していますけれども、一部検討中、それから対応継続中のものがありまして、これが41ページです。これも前回御紹介したものになりますが、衆議院のほうの三という所で、臨床研究で得られた情報を、医薬品、医療機器等の承認申請に係る資料として利活用できる仕組みを検討するということ。七として、これは企業からの資金提供に関してですけれども、本法の公表の対象外とされている情報提供関連費や接遇費等を公表の対象とすることについて検討すること。九として、患者申出療養、評価療養として保険外併用療養費制度で行われている医療行為について、引き続き保険収載に向けて必要な措置を講ずること。このようなことが指摘されています。参議院についても、ほぼ同様の御指摘がございます。ここまでは前回も御紹介したところです。
42ページから、それぞれの内容と検討の方向性などについて御紹介させていただければと思います。論点としては、まず臨床研究で得られた情報を薬事申請に利活用すべきではないかということです。背景の1つ目は、先ほど御紹介しました附帯決議です。2つ目は、今、薬事申請がどういう形になっているかということです。申請に際しては臨床試験の成績を提出する必要がありますが、これは「治験」として実施された試験の結果が提出されることになっています。実質的に「治験」と「臨床研究」では、それぞれの規則におきまして作成すべき書類の種類や内容、データの信頼性を担保するためのモニタリングの手法、データの保管期間などの規定が異なっている状況があります。次に、3つ目ですが、一方で、薬事申請も必ずしも治験ではない情報を活用する場合もあり、「公知申請」と書いていますけれども、公的な研究事業の委託研究等によって倫理性、科学性及び信頼性が確認し得る臨床試験の試験成績がある場合には、これをもちまして治験の全部または一部を省略することが可能という記載もありまして、必ずしも治験ではないものも使われているという状況です。
こういった中で、今後の検討の方向性という所ですが、試験計画の立案の段階で、薬事申請に活用することを前提としている場合には、まずは治験として行っていただくことが原則ということになろうかと思います。しかしながら、臨床試験を実施して改めて治験を実施することが困難な場合なども想定されますので、こういった臨床試験のうち、治験と同程度の信頼性が確保された臨床研究の結果については、薬事申請に利活用することができるのではないかと考えています。
一方で、臨床研究の結果を利活用することを促進するためには、申請に際して最低限必要となる要件、先ほど差分があると申し上げましたが、データの信頼性の確保や記録の保存等について、最低限、どういったところを満たせばいいのかという辺りを明らかにしていく必要があると考えています。
併せて、今は信頼性のお話でしたけれども、やはり医薬品や医療機器などの有効性、安全性が、適切に評価されるデザインになっているかということも非常に大事ですので、そういった試験デザインの適切性を向上させるような、何らかの取組が必要ではないかと考えています。続いて、研究資金のほうについては経済課のほうから御説明いただきます。
○医政局経済課長 経済課から御説明します。課題は、「研究資金等の提供に関する情報公表の範囲の見直し」ということで、現在、法の対象となっていない情報提供関連費や接遇費等を公表の対象とするかどうかということです。
通しの45ページですが、今の法律の制度がどうなっているかというものです。自社製品である医薬品等の臨床研究を実施する医師・歯科医師(研究実施者)が所属する機関への資金提供について、毎年度、公表を義務付けるという規定が入っています。具体的にどの範囲の資金提供について公表するかについて書いているのが下の表です。研究資金等、寄附金、原稿執筆料及び講演料などは公表の対象になっているわけですが、情報提供関連費、具体的には自社製品に対する情報提供のための講演会とか説明会といったものの費用、会場費、交通費、接遇費、こういったものについては公表対象になっていないというのが現行の規定になっています。
44ページに戻っていただき、これについては、附帯決議で「情報提供関連費や接遇費等を公表の対象とすることについて検討すること」となっています。論点の所に書いていますが、この法律の趣旨、目的ですけれども、臨床研究に係る資金提供の状況を透明化することによって、いろいろございました臨床研究の不正を防止し、信頼性を確保することが目的であるということです。
これらが対象外になっている理由ですが、情報提供関連費及び接遇費というのは、言わば必要経費、必要実費として支払われるという性格のものであって、その費用提供自体が臨床研究の不正につながる可能性は低いのではないかという考えから、法律の対象外になっているということです。
一方で、現状におきましては製薬企業等において自主的にガイドライン等において、こういった接遇費等についても情報公開を求めているということです。
こういった状況を踏まえますと、今後、検討を行うに当たっては、こういった公表の状況についても明らかにして検討していただく必要があるのではないかと考えています。特に情報公開の範囲の在り方については、製薬企業の自助努力や法規制以外の対応方法としてどういったものがあり得るか。研究者側に対する使用範囲の規制について、このやり方自体も議論になっていますけれども、こういったものとのバランスといったところが論点になるのではないかと考えています。
具体的には、今後の検討に向けまして施行後の状況を調査し、その結果を踏まえて、またこの部会でも議論していただきたいと思っています。したがいまして、業界自主ガイドラインに基づく情報提供がどのような範囲等で行われているか。あるいは各社が自主的に公表しているものについて、どのような基準があるのか、ないのか。外部照会についての対応の内容といったものなども、併せて検討していただいてはどうかと考えているところです。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 続きまして、保険外併用療養費制度下での医療行為の保険収載についてということで、通し番号の49ページを御覧ください。背景の所に先ほどの附帯決議がございますけれども、ここでは患者申出療養、評価療養として保険外併用療養費制度で行われている医療行為ということで、少しこの点について50ページで説明させていただきます。
こちらは保険外療養費制度に関する御説明の紙ですけれども、保険診療との併用が認められている療養ということで、①評価療養、②患者申出療養があり、いずれも保険導入のための評価を行うものとされています。このうち評価療養につきましては、右の四角囲みにありますが、先進医療、治験、薬事法承認後で保険収載前のもの、それから適応外使用については承認事項の一部変更の承認申請がなされたものとなっていて、おおむね今回の議論では、先進医療が対象になると考えています。
49ページに戻っていただき、現状です。先進医療の対象となった医療技術については、少なくとも1年に1回はその実績について国への報告を求めることとしています。さらに、2年ごとの診療報酬改定に合わせ、先進医療で試験が終了して総括報告書が提出された技術については、先進医療会議においてそれぞれの医療技術に係る医学的評価を行うとともに、保険収載の適切性に係る評価を行っているということで、実際に保険評価に向けての検討が進んでいるところです。
最後、51ページを御覧いただきたいと思います。右下辺りに「実施状況」とありますけれども、令和2年4月時点ということですが、この段階で、技術としては81の技術が先進医療として実施されています。そこから保険導入された技術が110あり、実際に有効性、安全性が確認されたものが保険収載になっているという状況です。また、今後も引き続き新しい医療技術が出てきますので、この枠組みの中で評価を進めていくことになろうかと思います。資料2については以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、この附帯決議の課題に関しまして御質問等をお願いしたいと思います。藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 3点ございます。まず、先ほど示していただいた今後の薬事申請に様々な臨床研究のデータを利活用できる仕組みの検討の方向性の所です。現実問題として世界的に見ても薬事承認が様々な診療にキャッチアップ、スピードとして付いて行けていないケースは結構あります。国内で一番問題なのは、再審査期間が終了してしまい、開発して承認を取ることによって先発メーカーが益を得られないような場合に効能追加をやらないケース等です。先ほど中村先生もおっしゃっていたのですが、例えば抗がん剤であれば最初は転移のある患者さんを対象にしていますけれども、だんだんエビデンスが積み重なってくると術後の補助化学療法で使いたいという場合に、もう再審査期間も切れていて術後の効能を取りたくない、取ってもペイしないという営利判断を企業は当然してきます。そういうケースもありますので、気を付けていただきたいと思います。
2点目と3点目は、研究資金の提供の情報に関する範囲の見直しについて、経済課がお話していたところですけれども、これから実態の調査をされるという話を先ほどされていましたので、そのときに是非お願いしたいのは、こういう所に、いつも「製薬企業等」と書いてあって製薬企業が先に出てきますが、こういう開示が一番遅れているのは、製薬企業以外の医療機器メーカーがたくさんありますけれども、そういう所だったりしますので、製薬企業は今までも結構努力されていますから、それ以外にもきちんと目配りをするということを心掛けていただきたいのと、ただし、現行で見ていますと、企業も公表の仕方が様々で、ホームページ上で見にくかったり、掲載の仕方が様々だったり、データをいろいろ使いにくく公表にアクセスしにくいようにしている所もあると思うので、そこの使い勝手がどうかというのをきちんと見ていただきたいことです。それから、先ほど様々な経費の話をされていましたけれども、医療機器の開発の場合だと、例えば立会いと言って、新しい機器が入って来ると、それに対して企業、メーカーの人が機器の特性を教えるために医療機関に入って来るということが昔はやられていたように思います。そこの人件費などはどうなるのかとか、商習慣にも関わるところですけれども、実態として製薬企業以外のところをしっかり見ていただきたい。臨床研究後の対象として化粧品はどうか、あるいは健康食品はどうかというところは微妙なところがありますけれども、そういうところは、厳密にはCOIを運用されていない状況もありますので、幅広く資金の透明性に留意した調査をしていただきたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 まず1点目、御指摘ありがとうございます。御指摘のように、申請に当たって負担が大きいというところがあります。別途、医療上必要な医薬品に関する検討会などもありますけれども、ここにおきまして、必ずしも患者の数に限らず、既に臨床試験があって改めて治験を実施することが困難な場合を想定して、まずは検討を進めたいと思いますが、また検討の経過の中で範囲などについては具体的にお示しできればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○医政局経済課長 2点目、経済課ですけれども、御指摘を踏まえて調査設計を検討したいと思います。説明の中で触れませんでしたが、最後におっしゃっていた機器の立会い等の話については、どちらかというと公正競争規約上、どこまでのサービス提供が認められるかという範囲の話ですが、今回の話では、どこまでそういうことがカバーできるかというのは難しいところもあるかと思って聞いていました。いずれにしても、1点目、2点目を含めて、ずっと御指摘されていることですので、機器の話とか見やすさ、データの提供のしやすさも含めて検討したいと思います。なお、公正規約については説明を省略いたしましたけれども、47ページ、48ページに現状の仕組みを書いております。同様のものが機器についてもありますので、後で御覧いただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、次は山口委員、その後は渡辺委員に、お願いいたします。まず山口委員からお願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。まず、42ページで附帯決議の中の薬事申請の利活用の所です。薬事申請に利活用できるようにしてはどうかということが書いてありますが、この申請者について先ほど私がヒアリングで少し触れたように、どうしても企業が申請するということになると負担が大きくて、なかなかそういった行動に移らないことがハードルになっていると聞いています。その辺りの負担軽減の可能性ということがあるのかどうか。今回、こういうことを書かれている中で可能性としてどうなのかということをお聞きしたいというのが、1点です。
2点目として、これは意見ですけれども、情報公開の見直しの所です。今、自主的な公表も行われていて、研究資金、寄附金、原稿及び講演料、これは公開しなければならないというところで一定の歯止めになっていると、私は思っています。この中で情報提供関連費というのは、かなり事務的な部分が大きくて、提供してもらったお弁当が幾らのお弁当でしたかみたいなことまで調べるとなると、またそれはそれで大変なことになるかなと思いますので、この情報提供関連費というのは公表しなくても問題ないのではないかと思います。一方で、接遇の所ですけれども、これが慶弔とか飲食の提供ということになると、今、国会で騒がれているように、飲食と言っても社会的儀礼というのが、かなり人によってレベルが違うことも出てくると思いますので、ここのところがちょっと気になるところです。何かこれについての基準みたいなことを設ける必要があるのかということも、ちょっと気になりながらお聞きしていました。1点目だけ質問に答えていただければと思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。1点目、企業の負担に対する軽減の対策ということで、正に、臨床研究で先ほども試験の発案をする方がということがありましたけれども、申請者がやる場合には、おおむね承認事項を変更するための治験という形であり、ここの臨床研究法で実施されるのはクリニカルクエスチョンの解決ということで、実施された結果が、結果として承認申請の変更に利用できるという形になりますので、これまでは場合によって、同じような形の試験を申請者が改めて治験として実施し直して申請をする必要があったものについて、一定の最低限の要件を満たした臨床試験、治験ではなく行われたものについても同様に評価の対象とするということで、必要な申請に対する企業の負担の軽減にも役に立つものと考えています。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、次は渡辺委員、その後は掛江委員、増田委員でお願いします。渡辺委員、よろしくお願いいたします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。今、山口委員がお話しされた所と同じ42ページですが、その下の利活用の所です。議論として、日頃、私も臨床医ですから適応外の薬を使わざるを得ないという経験があるので、薬事申請がもっと軽減されるといいと思うところもある反面、逆に言えば薬事法がなぜ存在するかということを考えた場合に、申請しやすくするというだけの論点ではよろしくないのではないかと思います。ここに方向性が示されていますように、2つ目の所、最低限必要となる要件というか、ある程度のハードルを付けたところで決めることが、どうしても必要ではないかと思います。間口を広げるために最低限の要件を作るという概念ではなく、安全性を確保するための最低限必要となる要件と項目を定めるという視点が必要ではないかと思います。
この事務局の方向性の要件を定めるというか設けるというのは、どこで決めるのですか。これはまた別の意味の質問ですが、これは誰がどこで決めるのでしょうか。ここの委員会ではないですよね、きっと。せっかく今後の方向性を事務局が提案されているのであれば、その辺りの考えを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。2つ目の矢羽ですけれども、正に御指摘のとおり、何でもいいということではなく、一定の条件を満たしたものが申請の審査に用いることができるだろうと考えています。御指摘のように、この部分については医薬生活衛生局のほうで薬機法を所管していますから、そちらのほうと検討いたしまして、私どものほうで整理をさせていただいた上で、また、この部会のほうでも御紹介をさせていただければと思います。最終的には通達のような形でお示しすることになるかと考えています。
○渡辺委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 それでは、引き続き掛江委員、増田委員、それから近藤委員ですが、時間の関係で近藤委員までとさせていただきます。掛江委員、お願いいたします。
○掛江委員 ありがとうございます。1点目は、今の42ページの背景の所の中段に公知申請の話がありますけれども、こういった既に制度化されている公知申請等を用いても十分に利活用できない状況というのが、理解が悪くて申し訳ないのですが、あまりよく分からないのです。公知申請等の制度があってもいま新たに制度枠組みを再検討しなければいけない状況というのが、どういう状況なのかというところを簡単に教えていただきたいというのが1点です。
もう1点が、接遇費の話、資料の44ページ目になりますけれども、私も山口委員が御指摘されたのと全く同じ感想を持っていて、非常に驚くというか、再検討していただきたいと思うところです。製薬協等の自主的ガイドラインで公表していただいていることは承知していますが、この自主的ガイドラインの規制の中に入っていない企業というのがどのくらいあるのか。自主的ガイドラインがどのくらいの実効力というか、広く役に立っているのか、公平に評価する情報が公に出る状況になっているのかという辺りを、是非、調査をされるときに併せて確認してご教示いただきたいと思っているところです。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、1点目についてお答えしたいと思います。43ページを御覧いただければと思います。薬機法の規定について書いています中ほどの施行規則40条の所に、先ほど御紹介した公知の規定がありますけれども、下から2行目、再審査期間中は、そういった取扱いが認められないという記載があります。一般に、新有効成分として承認されてから8年又は10年間はこの制度が使えないということで、その間にも様々な検討が行われるようなケースもありまして、そういったものも含めて手当ができればと考えています。
○医政局経済課長 2点目、簡潔に申し上げます。まず御指摘は、調査内容をデザインする際に考えたいと思います。御紹介しませんでしたけれども、46ページに製薬協の自主ガイドラインと臨床研究法との比較があります。この臨床研究法では、なぜ公表を対象にしているかと言いますと、特定臨床研究の信頼性確保というところが目的です。したがって、法律で義務付ける範囲は特定臨床研究に係る部分に限られることに自ずとなってきますので、製薬企業や医療機器メーカーと医師等との間のコンプライアンスというか、社会的にどういった関係にあるか、また透明性というのは、もらう側の問題としてどこまで公開できるかという問題もあり、そういった課題もある中で、製薬企業は自主的に公開をしている状況です。
それと、次のページに公正競争規約があります。どちらかと言いますと、これは自社製品の処方等の誘導になるようなことはしてはいけないということを、こちらの景品表示法で規制している仕組みになっていますので、こちらでは医師等の接遇費も含めて公正競争規約の中で、例えば飲食費1人当たり5,000円を超えないことを規制として設けている枠組みになっていますので、参考に情報提供させていただきます。以上です。
○掛江委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 それでは、増田委員、お願いいたします。
○増田委員 医療機器連の増田と申します。何点かお話させていただきます。先ほど藤原委員のほうからお話がありましたが、立会いに関しては、医機連の中でも立会いの基準を作りまして、その中で自主的に運営をしてきています。何もやっていないというわけではございません。透明性のところに関しましても、御説明いただきました46ページの所には「製薬協」と書いていますが、これは医機連のほうでも同じようにガイドラインを作って、ほぼ同じ年度から公開しています。情報提供関連費、その他の接遇費に関しても年間の総額という形での公開をさせていただいています。基本的には、自社のホームページでということにしています。一部、ホームページを持っていない所は医機連を使うということにしています。
あと、未承認の所に関して、いろいろ医療機器の場合は、未承認の提供というところで、別の通知、その他が出ていまして、研究の立案に関しては企業側はやってはいけないと言われていますので、その辺を含めてどういうふうな形であればやっていけるのか。研究開発課、経済課のほうで、他の部局と調整いただければ非常に有り難いと思います。この辺の詳細につきましては、時間がどこかで許されるようでしたら、我々のほうから提案も含めて、もう少しお話をさせていただきますので、どこかでお時間を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。特に事務局からは、ありませんか。それでは、この部分での最後になりますが、近藤委員からお願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。製薬協の近藤と申します。よろしくお願いいたします。私のほうからも、研究資金の提供に関する情報公表の現状について御紹介させていただければと思います。まず製薬協の加盟会社に関しましては、臨床研究法の対象の有無にかかわらず情報提供関連費、接偶費等を継続して公開しております。これについては非常に重要なことと考えていますので、今後も公開をし続けていく方針でおります。
情報提供関連費は講演会とか説明会といったものになるわけですが、先ほど医機連の増田委員からもありましたけれども、現在は総額の公開を行っておりまして個別公開はしていないという状況です。特定臨床研究に関わった研究者が講演会の講師をされるような場合、そういう講演料につきましては臨床研究法における公表の義務として既に公表、公開されております。また、講演会、説明会というのは臨床研究と紐付けて開催するようなものではないケースが非常に多くございます。臨床研究法の対象とならないような医療関係者の方々の情報というのも非常に多く含まれているというのが現状であり、実際問題、切り分けて行うという形になりますと、非現実的な部分が出てくるのではないかと考えています。また、現在のところ情報提供関連費、接偶費等が臨床研究法の独立性や中立性を阻害するような事例は、今のところ報告させていないという形で承知しております。現状について私が知り得る状況を御紹介させていただきました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ここまでで臨床研究法に係る議論は一通り、論点並びに附帯決議に関しまして出てきたと思いますが、これ以外の点に関しまして何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。今後、これらの論点に関して検討してまいりますけれども、その間、また出てきましたらいろいろ御提案いただければと思います。
○掛江委員 すみません、掛江でございます。
○楠岡部会長 掛江委員、お願いいたします。
○掛江委員 1点だけ確認ですが、臨床研究法の中の不適合の取扱いについて確認をさせていただければと思いました。通常、指針のほうでは不適合事案に関しては大臣への報告と公表となっていたかと思いますが、臨床研究法ですと、不適合事案が起こった場合に、CRBには意見を聞くとなっています。CRBは国へ報告することとなっていますけれども、法律の92条で報告先が国から厚生局長になっているものですから、結局、実質的に大臣報告にはなっていないと考えます。この不適合事案の取扱いについて、指針と臨床研究法異なっており、バランスとしてどうなのかなと気になっているところです。そういった指針と法の整合性やバランスの辺りについて御検討いただくことはできないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。次回以降、また各論点について御相談することになりますが、この中で、今、御指摘を頂きました不適合の際の報告先取扱いについては、法と指針の違いを整理しまして、お示しをしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○掛江委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの点等も含めまして、事務局でこれまでいただきました御意見をまとめ、今後の議論を整理していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。それでは、続きまして、議題2の「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ」に係る今後の対応についてです。資料3につきまして事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい、それでは資料3を御覧ください。通し番号52ページからですが、まず53ページを御覧ください。上の四角囲みです。「2019年版とりまとめ」については、作成に際して様々な御議論を頂いたところです。前々回1月13日に開催しました臨床研究部会においても御意見を頂いたところです。この中身につきまして54ページに、この「2019年とりまとめ」において5つの柱を立てていただいた中で、赤で囲っております3つについて、今後、治験・臨床研究の活性化を見込める事項として重点的に取扱ってはどうかということで御提案をさせていただき、各点について御意見を頂いたところです。
再度、53ページですが、来年度(令和3年度)に新たに取り組むべき事項として、3点ほど具体的な御提案をさせていただければと思います。いずれもそれぞれ議論の基盤となる実態を把握するために調査を実施してはどうかと考えており、調査の内容について御意見を頂ければということです。また、この3点以外の点で、リアルワールドデータの利活用の促進、小児疾病・難病等の研究開発が進みにくい領域の取組については、これまでの取組がありますので、引き続き継続しつつ、更なる取組について検討を実施させていただきたいということで、まずは来年度実施をする調査について少し具体的な御説明をさせていただければと思います。
i)診療の最適化に係る臨床研究の推進についてです。実際に、診療の最適化を図る上でということになりますと、まず思い付くのが各学会などで診療ガイドラインを作成されているかと思いますが、この中にガイドラインの根拠となるエビデンスが様々あります。RCTから始まって、専門家のリコメンデーションまでありますが、こういう創出の状況の中でも、特に試験や調査などを実施しているものについての試験の内容、それから実施主体、また資金がどのような形で提供されているのかという辺りを調査させていただければと考えております。また、諸外国におきましても同様の取組がありますので、そういう辺りも含めて調査をさせていただければと思います。なお、調査に当たりましては、リアルワールドデータをどのように活用していくのか、しているのかという辺りも含めて調査をしていければと考えております。
ii)人材の質向上と効率的活用についてですが、1月の部会でも御指摘をいただきましたCRC、それから生物統計家等を対象として、こういう方々のこれまでの人数がどうなってきているのか、それから医療機関等における職位、所属の異動や転職などを含めたキャリアパスはどうなっているのか、なかなか難しいところはありますが、できるだけ実態を調査できればと考えております。また、御指摘の中に、臨床研究中核病院及び支援機関の役割等があり、実際に実施している業務の実態とか、あるいは研修の実施や利用状況などについても調査をさせていただきたいと考えております。
iii)国民・患者の理解や参画促進についてですが、既に国内で様々な取組が実施されてきております。患者会においても研修などを実施されていると伺っておりますし、PMDAにおいても患者参画検討WGが検討されていると伺っております。また、AMEDにおきましても、患者・市民参画の取組があり、製薬協などの業界団体においても患者参加型医療を目指した取組などがあります。こういう様々な取組の中で、私どもがどういうところでお役に立てるのか、あるいは諸外国の規制当局における取組事例なども調査し、俯瞰的に全体の取組の中での役割を整理させていただきたいと思っておりますので、まずこういう取組の整理から着手させていただければと考えております。この辺りの具体的な調査内容などについて、御意見を賜われればと思います。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいま説明ありました令和3年度における取組の方針につきまして、御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。まず藤原委員、それから花井委員、山口委員の順でお願いいたします。藤原委員、お願いいたします。
○藤原部会長代理 2か所あります。令和3年度の取組の方針においてお願いしたいところです。1つは、最適化に係る研究に関しての調査ですが、この際に、市販薬を使った比較試験をやる際に、先ほど経済課からご説明のあった公取協のガイドライン等で、企業からマーケットで調達することがなかなか難しいという記載があり、昔よく経験していましたが、その辺りが今現在どういうふうに運用されているのかというのをきちんと見ていただいて、どうしても薬事にこだわってしまうと、使われているお薬、市販薬同士を使うにしても、両方とも治験薬にしなさいとか、非常に細かく規定されてしまうと、試験自体やりにくくなってしまうので、その辺りの現状を調べていただきたいというのが1点目です。
2つ目は、この人材の質向上と効率的運用についてのところですが、CRCについては2002年ぐらいだと思いますが、医薬品産業ビジョンで、CRCが5,000名ということがうたわれて、既に20年が経過しましたが、本当に5,000名に到達しているのかというところを確認していただきたいのと、生物統計家については、アメリカ統計協会が昨年の11月にNewsletterで示していますが、アメリカの大学は大体毎年700名超の生物統計のマスター、200名超のピーエッチディーを輩出しているのですが、AMEDの生物統計事業だと10名か20名ぐらいにすぎず、アメリカの10分の1以下の要請しかしていない状況では、なかなか臨床研究の活性化にはつながらないので、このアメリカ統計協会のNewsletterは必ず引用していただきたいと思います。
それから、キャリアパスについてですが、よくあるのは臨床研究部門と看護部や薬剤部臨床研査部との間の人事交流の遮断ということが昔はよくされていたと思うのですが、そこがきちんと、いろんな医療機関で臨床研究部門と看護部、薬剤部、臨床研査部がきちんと交流しているか、例えば看護師であればCRCになってしまうと本来の病棟の看護師長とか、副看護部長とか看護部長になれないという、取り決めではないのですが、慣習が長らく続いていると思いますので、その辺りも調べていただきたいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。事務局から。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい、ありがとうございました。頂いた点を踏まえて、調査を進めてまいりたいと思います。
○楠岡部会長 花井委員、お願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。「人材の質向上と効率的活用について」のところなのですが、前回少しお話をさせていただいたのですが、結局いろんな専門家集団が関わっているわけです。にもかかわらず、この法律ができた経緯は、ある種のモラルハザードだったと思うのですね、ディオバン事件というのは。だから、制度でどうするかというよりも、こんなことが何で起こったのかみたいなところがあったので、結局のところ、こういう専門家集団がどのような、例えば水準とかキャリアとか学位とか、いろんなものあると思いますが、そういうことも国際比較をしないと、この法律だけを見ても分からないところがあります。例えば、臨床研究の不正を横目で見て、見逃がしても別に何のペナルティーもないのか、あるのか等、こういう学位というものが日本とどう違うかとか、そういうところをもう少し国際的に比較できるように、独善的ないわゆるクライテリアについて比較できるような形で、CRC、生物統計家のみならず、医師、薬剤師等々、医療や臨床研究に関わる全ての人たちについて、国際比較ができるようなものも一つ用意していただけると、制度を構想する上でも参考になると思ったのです。それはお願いできますでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい、国際比較ということで、なかなか難しい宿題ですが、令和3年度だけで済むかどうか、具体的な調査の構築をしながら、また御相談をさせていただきたいと思います。頂いた点を踏まえて、具体的な調査を検討したいと思います。
○花井委員 よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 山口委員、お願いいたします。
○山口委員 53ページの2のところで、まず人材の質向上と効率的活用については調査をするということですが、もちろん実態調査だけでなく、さらにプラスアルファのことをされるのだと思いますが、実際に、CRCや生物統計家として従事している人たちを、自分たちがやっている中で人数を増やすには何が必要だと思っているかとか、自分たちが安定したキャリアパスを出現できるためにどのようなものが必要かとか、希望のようなものも、併せてヒアリングすることを進めていただけると、より幅広く見えてくるのではないかと思いました。
それから、iii)の国民・患者の理解や参画促進についてですが、私たちは30年以上にわたって、正にこの患者の立場でPPIの取組をしてきたところですが、これを継続していくには、行政、産業界、医療現場との更なる協働が必要だというふうに思っておりますので、このことについては、私たちの所もできるだけ協力させていただきたいと思っております。以上です。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 山口先生、具体的な御提案とお申し出をありがとうございました。大変助かります。是非、具体的なところを、この患者参画につきまして教えていただきながら、私どもも考えてまいりたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは今の御意見を踏まえて、令和3年度の調査を進めていただきたいと思いますが、私から一つ。これは、いずれも相当膨大な調査になりますので、予算の確保の問題と、やはり単年度ではなかなか難しいので、一応、複数年度を念頭に置いた形での調査を進めていただければと思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 はい、承知いたしました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 それでは、本日の議題は終了いたしましたが、今日の議題全般に関しまして何か御意見はございますか。よろしゅうございますか。それでは、本日の議題は以上とさせていただきまして、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 次回の開催につきましては、改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上となります。
○楠岡部会長 本日はどうもありがとうございました。活発な議論で、少し時間がタイトになってしまいましたので、途中でちょっと急かしまして申し訳ございませんでした。また次回以降、どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。