第20回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和3年5月25日(火) 10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター  ホール15E
(東京都千代田区内幸町1-3-1)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、戎野淑子委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
北野眞一委員、仁平章委員、則松佳子委員、八野正一委員
使用者代表委員
大下英和委員、佐久間一浩委員、鈴木重也委員、山鼻恵子委員

議題

(1)過労死等の防止のための対策に関する大綱(案)について 等
 

議事

議事内容

○中窪会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第20回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらず、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症対策として座席の間隔を空けております。また、一部の委員についてはオンラインで参加いただいております。オンラインで参加されている委員におかれましては、何かありました場合にはチャット機能で事務局にお伝えいただければと思います。また、会場に御出席の委員におかれましては、配付資料を御確認いただき、不足等があれば事務局にお知らせください。
初めに、本日付で委員の異動がございましたので、御報告いたします。資料の104ページ、参考資料6の委員名簿を御覧ください。その中の使用者代表委員の湊元良明委員が退任され、後任に大下英和委員が厚生労働大臣から任命されております。
大下委員、一言お願いいたします。
○大下委員 日本商工会議所の大下でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
○中窪会長 よろしくお願いいたします。
さらに事務局にも異動があったとのことですので、事務局から御紹介ください。
○角南企画官 前回令和3年3月24日の協議会以降、事務局に異動がありましたので、紹介申し上げます。
私、労働基準局総務課企画官の角南でございます。
事務局の紹介は以上でございます。
○中窪会長 それでは、カメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○中窪会長 それでは、お手元の議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は「過労死等の防止のための対策に関する大綱(案)について」でございます。
前回の協議会において、大綱見直しの素案を委員の皆様に御議論いただきました。皆様からの御意見を踏まえて、関係省庁間で調整を経て、事務局において大綱の見直し案を用意していただきました。本日は、この見直し案について事務局から御説明の後、できる限りの御議論をいただき、大綱の見直しについての本協議会での議論に区切りをつけていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、厚生労働省から資料1及び2について説明をいただいた後、人事院から資料3について説明をいただきます。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いします。
○角南企画官 それでは、まず私から御説明します。資料1の大綱案新旧対照表についてでございます。
前回の協議会での御意見、御助言や、委員から御提出のありました意見書の内容等を踏まえ、前回お示しした素案からさらに全体を整理させていただいております。現行の大綱を右側に記載し、左側に見直し案として新旧対照の形でお示ししております。修正箇所は赤字の見え消しで表記をしております。これから、この赤字箇所のうち、素案以降の主な修正点について御説明をいたします。下にページが振っておりますので、このページとともに、該当箇所を御説明します。
まず、2ページの16行目辺りでございます。「さらに」のところでございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大とこの対応等のために発生する過重労働、これについて記述をしています。
続きまして、5ページをおめくりください。「(4)職場におけるハラスメントの発生状況」の欄の一番下のところ、「また、パワーハラスメントに関する」というところでございまして、職場のハラスメント実態調査のパワーハラスメントの相談があった職場の特徴について、こちらに代表的な特徴を順に整理させていただいています。
続きまして、6ページから、(7)の「ア.労災補償の状況」についてです。3行目のところ、「ここ3年間をみると増加傾向にあり」ということでございまして、脳・心事案に係る労災請求件数の推移は、先日、協議会で委員御指摘のとおり、こういった傾向であるということで、その旨記載をさせていただいています。
ただし、このア.のところのデータにつきましては、令和元年の数値を基に現在、記載をしていますが、最新の、つまり令和2年度のデータがまとまる予定となっていますので、その後はその数値に置き換えさせていただきたいと思っています。その際には、こちらでまとめております傾向等については若干記載ぶりを変更させていただくこともあるということを、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
続きまして、8ページを見てください。「(8)課題」の下から6行目辺りでございます。勤務間インターバル制度について、その導入が努力義務化されたことにつき、委員から御指摘がありました。これについてこの箇所に明記をしてございます。この後、何か所か同様の記述としています。
同じく8ページの「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い」のところでございます。こちらに、職場が人手不足状態となり、医療現場だけでなく、その他職場でも過重労働が明らかになっている、これも委員の御指摘を踏まえたものとして記述をしています。
次の9ページでございます。7行目辺り、「あわせて、DX」というところですけれども、このDX、IoT、AI等の先端技術についての記載のところですが、これらによる業務効率化の面と導入検討等の負担の影響、この両面に目を向ける必要があるという御指摘をいただいておりますので、この旨、記載をしています。
なお、アルファベットの略語については、もともとの英単語を追記していますが、なお分かりにくいというDXにつきましては、注書きによる説明を追加してございます。この後もアルファベットの略語につきましては、同じような対応をしております。
10ページ、メンタルヘルスの関係についてでございます。「令和2年版白書において」のところでございますけれども、精神障害発病から短期間で自殺につながった事例が多かったこと、それから、その下の職場内のハラスメント対策としては、いわゆるカスタマーハラスメント、これに関する取組が必要であること、こういった記載を追加でしています。
その下の「第2 過労死等の防止のための対策の基本的考え方」のところについてでございます。対策策定から6年経過、その後、過労死等の件数は近年高止まりであること、そして、国、地方、事業主等が密接に連携し、過労死ゼロに向けた取組を推進していく必要があるといった現状認識と基本とする考え方を冒頭に配置をさせていただいています。
11ページ、「一方で、デジタル技術を活用した働き方であるテレワーク」のところでございますけれども、このテレワークについて、労働者の生活時間帯の確保に留意すること等々、そして、長時間労働による健康障害の防止対策が必要である旨を記載しています。
13ページ、「(1)国民に対する啓発」のところの一番下のパラグラフのなお書きでございます。過労死等に対する理解を深めるため、脳・心臓疾患及び精神障害に係る労災補償の手続や申請等の状況、これを国民に広く周知することが重要であるということを具体的に記述しております。
次に14ページ、「職場の関係者に対する啓発」のところで、自殺事案に占める管理的職業従事者の割合が精神障害事案全体に占める割合より高くなっているといったことにも留意した対応が必要であるということを追記しています。
続きまして、16ページ、上から4行目でございます。「特に、テレワークにおいては」のところですが、上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいなどのため、コミュニケーション活性化の措置の実施が重要である、こういった記載を追加しています。
18ページ、「第3 国が取り組む重点対策」の「特に、長時間労働の実態があり」のところでございます。勤務間インターバル、メンタルヘルス対策の取組が進んでいない中小企業に対して、働き方改革推進支援センターや地域産業保健センターの窓口相談等々の支援を行うということを具体的に記述しています。
20ページ、「(3)メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策」につきましては、赤字の一番上の部分でございますが、パワーハラスメント防止の雇用管理上の措置が義務化されたことをまず書いています。その上で、各ハラスメントに関する記述、相談体制の整備であるとか指導内容等についての記述ですが、こういったものを充実させております。
続きまして、21ページの「過労死等事案の分析」の一番下の行からでございます。労災または公務災害として認定されなかった事案についての分析についてですが、具体的な分析項目について、記載しています。
22ページ、「(3)過労死等の労働・社会分野の調査・分析」に関してでございます。ここに赤字のとおり、テレワーク等のオンライン活用による影響あるいは先端技術進展に伴う影響、こういったものにも着目して分析する必要がある旨、記載をしています。
23ページ、「(4)過労死等防止対策支援ツールの開発等」については、今回の大綱で追加した項目でございますが、この支援ツールの内容について、まずはチェックリスト等の研究開発を行うということを想定しておりますので、そういった旨を具体的に書いてございます。
続きまして、24ページを見てください。「(2)大学・高等学校等における啓発」でございます。これにつきましては、学習指導要領改訂に伴い、中学校・高校の社会科で仕事と生活の調和に触れることとなったということ、そして、それに伴い労働条件への理解を深める指導について行うということについて、文部科学省において追記をしていただいています。
25ページ、「(5)勤務間インターバル制度の導入促進」のところの下から2行目からですが、改正労働時間等設定改善法に伴い、平成31年4月から同制度の導入が努力義務となった旨、ここにも追記をしております。
27ページの「(7)メンタルヘルス」のところですが、労働者自身のストレスへの気づきであるとか、集団分析結果を職場環境改善に活用するというストレスチェックの具体的活用内容を記述しています。
関連しまして、メンタルヘルス改善やストレス解消等にも効果があるとされるスポーツを通じた健康増進への取組についてもこの項目の一番下に追記をしてございます。
次に28ページ、「(9)ウィズコロナ・ポストコロナの時代におけるテレワーク等の新しい働き方への対応」のところでございます。テレワーク、副業・兼業、フリーランス、これらについてはおのおのガイドラインを策定しておりますので、これを活用した周知が中心ではございますけれども、今回、御指摘を踏まえてそれぞれのガイドラインの説明を入れたほか、その他の取組についても追加で記載をしております。
「(10)商慣行・勤務環境等を踏まえた取組の推進」についてでございます。大企業・親企業と下請等中小企業との取引に関しましては、働き方改革による「しわ寄せ」防止のための総合対策、これに基づく取組を推進すること、さらに連携による生産性向上や望ましい取引慣行の遵守を宣言する「パートナーシップ構築宣言」の実施といった具体的取組について追記をしています。
それから、次のパラグラフ「さらに」のところでございますけれども、大企業を含めた企業と国、地方公共団体等の行政機関との取引における長時間労働につながる商慣行の改善に向けた協力依頼を行うこと、こういった旨も追記をさせていただいています。
続きまして、30ページ、「こうした動きや」のところですけれども、続いて、この後、特定業種ごとの取組を記載しておるわけでございますが、前述したような商慣行の動きであるとか、勤務間インターバル制度の努力義務化、新型コロナの影響、こういったものにも留意しつつ、その業種別の取組を推進するということを記載してございます。
業種の中で「ウ.医療従事者」でございます。32ページになります。医師の働き方改革のところですが、先週、医療法改正法が国会で可決・成立したところでございまして、今後、こちらの部分については記述内容を整理することとしています。本日はまだ整っておりませんが、別途お示ししたいと考えております。
続きまして、34ページ、「その他」のところでございます。メディア業界のところですが、「重層下請構造や長時間労働の傾向が見られる」という説明を、現大綱にもありましたけれども、委員ご指摘を踏まえこちらに復活させております。
続きまして、36ページ、「(12)公務員に対する周知・啓発等の実施」についてでございます。まず、一番頭の3行ほどですが、公務員については自然災害や新型コロナ感染拡大などの非常事態への対応が必要な場合もあることを前提としなければならないという旨を書いております。
その上で、国家公務員につきましては、女性活躍とワークライフバランス推進の取組計画等に基づいて、勤務時間管理、長時間労働の要因分析、管理職員によるマネジメント、こういったことに取り組むといったことを具体的に記述しています。
進んでいただきまして、38ページの「(4)公務員に対する相談体制の整備等」のところでございます。国家公務員につきましては「こころの健康相談室」「職場復帰相談室」について一層の周知を図るといったことを書いています。地方公務員につきましては、人事委員会等や地方公務員共済組合が行う相談対応の充実や周知による一層の活用を働きかける、こういった旨を記載しております。
38ページの一番下の5の「(1)過労死等防止対策推進シンポジウムの開催」の後ろの3行の赤字の部分ですが、シンポジウムの内容としまして、遺族の方の体験談を聴くことを例示し、過労死防止の重要性について、参加者の自覚を促すものとするということをこちらに明示しています。
その下の「(2)シンポジウム以外の活動に対する支援」につきましては、39ページの(2)の一番下から2行目のところですが、遺児のための相談対応の実施を追加で記載しております。
次に、40ページを見てください。「2 事業主等」のところの赤字の部分でございます。長時間労働削減や年次有給休暇の取得促進等の取組や企業価値を高めること、過労死等を発生させた場合はその価値を下げることにつながり得ること、これらは企業規模にかかわらず取組を進める必要があること、こういったことについて、委員の御指摘を踏まえて追記をさせていただいています。
41ページ、「(1)経営幹部等の取組」についてでございます。まず、企業の経営幹部等は、裁判例において、法人の安全配慮義務違反等々の指摘があること、それから、過労死等を発生させた場合、企業価値の観点から企業の信用に関わるもの、こういったことを十分に認識する必要があることについて、まず書いております。
その後の部分ですけれども、働き盛りの年齢層や若い年齢層に過労死等が発生していることも踏まえつつ、労働時間管理を含む人事・労務の点検を行うこと、それから、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策、こういった取組については各企業の取組状況等がございましょうから、実情に応じて進める必要があるといった旨を記載しています。
そして、3点目としまして、過労死等が発生したと認識した場合には、経営幹部や現場の長自らがシンポジウムや各種研修会に参加すること、また全社研修の実施を検討すること、こういった旨を記載しています。
その下の「(2)産業保健スタッフ等の活用」についてでございます。42ページの上の部分ですけれども、産業保健スタッフ等におきましても適切な相談対応等のために産業保健総合支援センターの研修受講のほか、シンポジウム等に参加して過労死事例等を学ぶように努めるといった旨を記載しています。
「3 労働組合等」でございますけれども、労働組合も労働時間の把握・管理、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策が適切に講じられるよう、職場点検等を実施する旨、こういったことを記載しています。
42ページの一番下から「第5 過労死等防止対策の数値目標」についてでございます。次の43ページの「これらの数値目標については」のところですが、数値目標の進捗状況等につきましては、毎年取りまとめ、国会に報告しております白書等により確認できるようにするということを再確認しています。
また、公務員については、民間の目標の趣旨を踏まえて取り組むこととしたことについて、その下に記載をしております。つまり、御議論のありました公務員に関する数値目標について、目標数値自体の設定はしておりませんが、民間における目標の趣旨を踏まえて、これらと同等以上の取組を進めていくとしたものでございます。
以上、資料1でございます。
資料2の45ページの表ですが、赤字の部分が現行の数値目標からの変更部分でございまして、先ほど申しました「さらに公務員についても、目標の趣旨を踏まえ、必要な取組を推進する」ということを一番上の欄に追加をしてございます。
改定案、その他の赤字の部分につきましては、前回素案としてお示しした数値目標のとおりとなっております。
説明は以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 それでは、人事院でございますけれども、資料3、51ページを御覧ください。
これまで一般職の国家公務員の過労死等の防止対策につきましては、基本的な取組を説明させていただいておりますけれども、これまでの協議会の御議論の中で、先ほどもございましたように国家公務員におけるいわゆる大綱における目標との関係での取組状況について個別にお尋ねがございまして、その都度お答えはしてまいりましたけれども、このたび、ある程度データが整ったものにつきまして、状況を御報告させていただきたいと思います。
まず、左上の箱でございますけれども、国家公務員につきましても令和元年度からいわゆる超過勤務の上限規制を導入しております。組織全体を国会業務や国際交渉などがあります他律的業務の比率の高い部署、他律部署というものと、それ以外の自律部署という2つに分けてそれぞれ基準を設定しております。基準についてはここの表に掲げているとおりでございます。
そして、令和元年度、各府省においてこの基準がどのように運用されたのかということで、この上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合を全体、本府省、本府省以外でそれぞれの基準ごとに掲げたのがこの数字ということでございます。パーセントはそれぞれに該当する定員に対する上限を超えた職員、頭数でカウントしておりますけれども、その割合ということでございます。
特に他律部署の基準の中にあります1か月100時間というのはまさしくいわゆる過労死ラインに相当するものでございまして、これを超えて超過勤務を行った職員が一定程度いたということがデータから明らかになったところでございます。人事院としましてもこのデータを非常に重く受け止めておりまして、今後の取組においては、この100時間超えの数字をいかに減らしていくかということで取組を進めていきたいと思っております。
また、目標との関係では、他律部署の3つ目でございますけれども、2~6月平均の超過勤務が80時間以下というのが大綱の目標の長時間労働の指標と割合近い数字かと思っておりますけれども、この数字で今、全体で5.6%ということになっております。この数字につきましても縮減できるように取組を進めていきたいと考えているところでございます。
左下の国家公務員における年次休暇の平均取得日数ということでございます。国家公務員制度におきましては、原則として1年につき20日年次休暇が付与されていますところ、職員1人当たりの平均の取得日数が表に掲げた日数となってございます。全体で申し上げますと、平成27年度は13.5日であったものが、だんだん増えてきておりまして、令和元年におきましては14.9日ということになっておりますので、20日のうちの14.9ということですので、これを取得率と考えますと大体74%とか75%という水準になっているのかなと認識をしてございます。
続きまして、右側のメンタルヘルス対策、ストレスチェックの取組でございます。メンタルヘルス対策につきましては、これは人事院が出しております指針に基づきまして、各府省共通で取組を進めているということでございます。また、相談体制につきましても、各府省における相談体制のほか、人事院におきましても「こころの健康相談室」「職場復帰相談室」などを設けておりまして、相談に応じているということで、令和元年度の相談件数を掲げさせていただいております。
また、ストレスチェックについても数値目標が設定されておりますけれども、公務におきましても平成28年度から制度を実施しているところでございます。公務におけるストレスチェックの結果のいわゆる集団分析の実施状況でございますけれども、全府省合計しますと40機関がございますが、そのうち39府省において集団分析を実施しているということでございます。実施していない1つの省庁につきましては、これは省庁が新設された直後ということで、まだ体制が整っていなかったということでございますが、基本的には全府省において集団分析を実施している状況でございます。また、そのうちの27の府省におきましては、現場の管理監督者に対してその結果をフィードバックして、それぞれの職場における改善を図っているということでございます。
人事院としましては、引き続きこうしたデータを御紹介しながら、国家公務員につきまして目標の趣旨を踏まえた取組を進めるように努力してまいりたいと考えてございます。
御説明は以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、大綱の見直し案につきまして御意見をいただければと思います。御意見をいただくに当たりましては、お配りしております資料のページ数とともに、見直し案のこの部分の記載はこのように修正または追記したほうがいいというような具体的な形にお示しいただければ幸いです。
それでは、御意見のある方は挙手にてお知らせください。
寺西委員、お願いいたします。
○寺西委員 過労死を考える家族の会の寺西でございます。
事務局におかれましては、私どもの追加意見書を反映していただき、ありがとうございます。
私から2点、意見を申し上げます。1点目は、委員提出資料3の通しナンバー134についてです。この資料は、5月17日にWHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)は、2016年に週55時間以上働いて心臓病や脳卒中などで亡くなった人は世界全体で74万5000人に上ったと、健康被害についての調査・分析を初めて発表しました。私たちはこの報告を受け記者会見したものを、過労死防止と密接に関連するため、本日の資料として提出いたしました。後ほど川人先生から詳しく御意見されると思いますので、私からは手短に述べます。
週55時間労働は、1日3時間の時間外労働で、月65時間の時間外労働になるとのことです。私たちは、国へ、長時間労働による労災認定基準となる過労死ラインを80時間から65時間にするよう求めています。なぜなら、労災認定基準のハードルが高過ぎるからです。時間外労働の複数月平均80時間に1時間でも足らなければ、過労死と認められないケースがあります。業務外決定になると、働き過ぎが原因なのに過労死ではないと評価され、企業は反省しないことで職場改善もされません。そのために、過労死を生み出す職場は放置され、長時間労働における健康被害は増え続けていくという悪循環になっているのが現状です。
2013年5月、国連社会権規約委員会は、総括所見として、日本政府に対し、過労死、過労自殺を是正する立法、規制をするよう勧告しました。その旨は大綱の「第1 はじめに」の「1 これまでの取組」において、「国際連合経済社会理事会決議によって設立された社会権規約委員会が、我が国に対して、長時間労働を防止するための措置の強化等を勧告している」と明記されています。このたびは、WHOとILOという大変権威ある機関から、日本を含む各国の政府や企業に対して、65時間超えの長時間労働を避ける健康維持への対策を迫られています。過労死を国際語にした日本は、この指摘を無視することはできません。直近ではありますが、上記の趣旨を踏まえて、ぜひ大綱に盛り込んでいただきますよう強く要望いたします。
2つ目は、資料1の41ページの一番下「(1)経営幹部等の取組」の上から10段目から11段目にかけての文言です。赤文字で「さらに、事業場において過労死等が発生したと認識した場合には」の文言があります。下のほうにも「過労死等が発生した場合には」という似た文言がありますので、これは下の「過労死等が発生した場合には」へ修正を希望します。
下の段落から6行目の赤文字で「全社研修を実施すること等」と書かれ、その次に「を検討する」と書かれています。「検討する」を削除していただきたいと思います。その次に続いている「加えて」のところに平仮名の「に」を入れていただいて文章を続けていただきたい。
最後に、下の段落から4行目の右端「不幸にして、過労死等が発生した場合には」を削除の修正をお願いいたします。
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかの方、いかがでしょうか。
黒田委員、お願いいたします。
○黒田委員 黒田です。
3点申し上げたいのですけれども、時間がかかってしまうといけませんので、主には勤務間インターバルの数値目標について発言させていただきたいと考えております。
この大綱の策定というのは、この協議会で多様な立場からいろいろな意見を出しながら全体の合議の中でまとめていく、そういうやり方で進めてきたわけです。その点では、担当している厚労省の事務方の方たち、大変苦労されてまとめてくださったことに敬意を表したいと思います。
この数値目標について、本日伺っているところ、最終の協議会ですので、この数値目標の修正という意見を述べるのは躊躇しますが、あえて述べさせていただき、今後の過労死防止等の対策について生かしていただきたいと考えて発言させていただきます。
本日も提示されている資料の中で、これは同じ厚労省のデータですが、就労条件総合調査、ここからの引用だと思いますけれども、「インターバルを知らない」とする企業の割合が昨年の実績で10.7%でしたが、2020年までに「20%以下とする」というのが目標でしたから、大変大きく目標数字を達成したことになります。この間、このインターバル制度が企業の努力義務になったということが反映したものではないかと考えられます。
しかし、その一方で、導入企業の割合が目標10.0%に対して、実態は4.2%です。残念ながら、目標の半分も達成していないということが明らかになりました。この実績を踏まえると、今回提示されている目標数値15%は妥当な目標のように見えます。しかし、よく考えてみますと、この就労条件総合調査では、同時に、導入を「予定または検討している」という企業が全体で15.9%あるわけです。これらの企業が導入に努力をいただければ、そう願いたいのですけれども、それらの15.9%の予定企業と既に導入済みの4.2%と合わせると、既に20.1%になるのです。そういうことを考えますと、今回の15%という目標は少な過ぎるのではないか、せめて30%を目標とすべきでないかということで、先日、私たちも追加意見として出させていただきました。
前回、同じ会議で経営側の委員から黒田の言う30%は厳し過ぎるという御批判をいただきました。そういう意味では協議会の一致した意見になっていないのですけれども、お話ししましたような予定企業のことについても十分に考慮に入れるべきではないか、そういう視点に立つと、30%というのはそれほど大きなとんでもない目標だとは思いません。今から目標数値を変えることについて、全体の合意を取ることはとても難しいと思いますけれども、現状でも例えば同じ就労条件総合調査の統計によりますと、超過勤務がないから導入の必要がないという企業が全体で45%あるわけです。この数値がどれだけ信憑性があるかどうかは疑問もあるのですけれども、とにかく45%の企業が超過勤務がないという回答をしている。これに目標とすべきだと私が考える30%を加えると、恐らく全体の75%が何らかの形でこの勤務間インターバル制度について導入もしくは適用しているということになります。その意味では、厚生労働省をはじめ、全体として過労死ゼロという目標に向かっていることへの、法律の強制がない中でも努力義務でおよそ4分の3の企業がこうしたことに努力をしているという点から考えますと、大変大きな意味のある数値になるのではないかと思います。
このように単純には進まないことは私も十分に了解しておりますけれども、向こう3年間の目標数値としてはこのように掲げていくことが妥当ではないかと考えますし、また、本日の協議会でこのような状況であることを認識いただき、企業の現場でなお汗をかいていただきながら、導入への努力をぜひお願いしたいと思います。1点目の意見はそういうことです。
2点目は、前回の委員会でも出されておりましたけれども、片仮名表記あるいはアルファベット表記の問題で、DXとPDCAという、このPDCAについては本日の18ページに見られますように修正いただいておりますが、なお修正したほうがいいのではないかと思うのは、9ページに出てきますDXの意味を解説した部分です。この用語、もともとスウェーデンの研究者が使った言葉が世界に広まっているわけですけれども、「X」というのは、「Transformation」という言葉を英語圏では「X」と表記することが多いそうです。そういうことから「DX」ということで「Digital Transformation」という言葉になったと聞いております。この用語の意味について、この9ページの中程に経産省の「DX推進ガイドライン」の引用で説明が加えられておりますが、私はここに出てくる経産省のDXの解説が、経産省ですから当然なのかもしれませんけれども、「DXとは、企業がビジネス環境の」云々と書かれております。この「企業が」という文言が入っているために企業で行っているDXということになり、狭く解釈される可能性があるのではないか。もともとDXを推奨していたスウェーデンの研究者もそうですが、社会全体を問題にしているという、社会全体がデジタル技術を活用しながらより快適な社会を実現していくのだと、こういう意味合いとしてDXという言葉があるわけです。その面からすると、最近、総務省が同じような形でもう少し分かりやすい文言で説明している部分があります。この総務省のほうは「企業」に限定しておりませんので、ぜひそちらを検討して、可能であればこの部分を少し変えていただければと思います。
最後にテレワークの問題です。テレワークの部分についてはいろいろな箇所で説明されておりまして、事実上、全体を読んでもらうと私が今から申し上げることについては了解いただけるのではないかと思うのですけれども、何を問題にしているかというと、テレワークについての説明で、11ページの真ん中から下ですね。ここにテレワークを導入することに伴うデメリットの部分について記載があります。ここは労働時間、長時間労働との兼ね合いの問題として長時間労働の危険性があるという指摘だと思いますけれども、同時に、テレワークについては、同じ厚生労働省から「導入ガイドライン」が別につくられております。そちらを見ると、実はテレワークはこうした長時間労働だけでなくてメンタルヘルス及びハラスメントという危険性もあるのだから気をつけて導入する必要があるということが、注意喚起として出されているのです。
そういう面では、この11ページは「第2 過労死等の防止のための対策の基本的考え方」という導入部分ですから、メンタルヘルスやハラスメントについての注意を明記すべきではないでしょうか。この点は、後段の28ページ以下にも同じような記述があって、そちらではそのように説明されているのですけれども、同時にここは冒頭の部分ですので、今言ったメンタルヘルス、ハラスメントについてもぜひ触れていただければと思っております。
以上3点でした。失礼しました。
○中窪会長 ありがとうございます。
大きな御意見もありましたけれども、他の皆さまの発言を待ってから議論したいと思いますが、そのほか、いかがでしょうか。
川人委員、お願いいたします。
○川人委員 川人でございます。
5月17日に、WHO・ILOが長時間労働による健康リスク・死亡に関する調査結果を発表しました。このような総括的な発表をWHO・ILOが行うというのは歴史的なことであると考えております。
その内容によれば、2016年に長時間労働によって74万5000人が死亡したと。脳・心臓疾患によるものであります。そして、この場合、長時間労働というのは週55時間以上とされております。あわせて、今回の発表では、新型コロナウイルスのパンデミックによって多くの人々の働き方が変わり、労働時間の増加の傾向がある、さらに、テレワークによる労働と家庭生活の境界が曖昧になっている等の指摘もされております。加えて、シフト勤務あるいは深夜労働等の過重負荷の問題についても指摘されております。
ここからは私の意見及び要望でございますが、まず第1に、今回の防止大綱について、この1週間前に出されましたWHO・ILOの発表内容を何らかの形で反映させることができないかという点であります。比較的直前の発表でありましたので、今回の案には記載することができなかったかと思いますが、具体的には今回御提出されている案の「第1 はじめに」のところの1ページから2ページの冒頭の部分に、国際機関であるWHO・ILOの発表が5月17日に行われて、その概要を記載するとともに、それらの指摘も踏まえて我が国において過労死等をなくするための努力に努めなければいけないと。こういう趣旨のものを1ページから2ページの総論の部分に入れることを提案したいと思います。
2番目に、これは労災補償課長に後でお答えいただければと思うのですが、現在進行しております脳・心臓疾患の労災認定基準の改正作業でありますが、大詰めを迎えていると聞いております。今回のWHO・ILOの調査報告は大変詳細な統計に基づいた発表であり、これらについて、ぜひ重要な知見として改正作業にも盛り込んでいただきたいと、そのように考えますが、その点についての御見解を出していただきたいと、このように考えております。
最後に、数値目標の問題に関係するのですが、今回の数値目標の今日お配りいただいた資料2でも、現行と改定案のところで週労働時間40時間以上の雇用者、そして、週60時間以上の雇用者という形で、週40時間以上と週60時間以上というものがベースになっております。これは従来の統計調査がそうなっており、その経緯は理解しているつもりなのですが、これは今後の検討課題ということでぜひ聞いていただきたいのですけれども、世界的に週55時間の労働時間ということで様々な統計処理が行われている、調査が行われているという中で、日本においても週60時間以上というよりも、それはそれでやっていいと思うのですが、週55時間以上の労働というものを長時間労働として位置づけて、それに必要な様々な調査あるいは数値目標の設定も今後の課題としては考えていく必要があるだろうと。実際、日本企業は世界的に各国で仕事をしているわけでありますので、日本の中だけは週60時間で海外では週55時間で様々な物事を考えるというのもおかしな話になってくると思います。
以上の点について意見を述べたいと思います。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがですか。
工藤委員、お願いいたします。
○工藤委員 ありがとうございます。神奈川過労死等を考える家族の会の工藤と申します。よろしくお願いいたします。
私からは3点述べさせていただきます。まず、前回の協議会にて、公務員の数値目標の白書への反映の意見を述べさせていただきましたけれども、今回国家・地方公務員の項がより具体的に示されて、設置目標についても、43ページにおきましても「公務員についても、目標の趣旨を踏まえ、必要な取組を推進する」と示されたり、49ページの年次有給休暇日数の表ですとか、先ほど人事院さんから御説明がありました51ページ、本当に大変分かりやすく可視化されたことにつきまして、大変ありがたく、心強く、また、これからも期待できるような内容で大変感謝しております。
数値目標につきましては、この43ページにて、白書にて進捗状況を確認できるようにするとありますけれども、国家・地方公務員について、今後推進していく具体的な取組についてと、白書にてどのように進捗状況を確認させていくかということをお伺いしたいです。
また、51ページのような対策を地方公務員でもぜひ出していただきたいと思っております。
また、働き方改革で勤務間インターバル制度の導入が努力義務化されまして、数値目標にも掲げられ、大変大切な問題と思います。36ページの(12)の公務員に対する周知・啓発の中でも「勤務間インターバルの確保」と書かれていますが、実際に国家・地方公務員はどのようにインターバル制度を周知・啓発して、その達成についてどのように公表されるかということもお伺いしたいところです。
2番目に、細かいことなのですけれども、13ページで「なお、過労死等に対する」というところなのですが、労災補償だけが書いてあるのですが、そこに公務災害についても文言を入れていただければと思います。
3番目、24ページの大学・高校等における労働条件に関する啓発についても、中学・高校について具体的な科目が入ったということは非常に重要なことだと思います。ぜひこちらも文科省より各教育委員会や学校等に周知をお願いしたいと思います。また、啓発事業を行うに当たっては、各教育委員会にお願いしてもなかなか取り合っていただけなかったり、行っていただけないというのが現状でもありますので、こちらも文科省からぜひ各教育委員会、各学校等へ、啓発事業の周知・啓発も併せてよろしくお願いいたします。
以上になります。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございます。
渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 東京過労死を考える家族の会の渡辺でございます。ありがとうございます。
今回の大綱案には、前回や前々回に協議会で述べさせていただいた意見を細かいところまで反映していただき、ありがとうございました。
今回はそれに少し付け加えて3点お願いしたいと思います。まず、15ページなのですけれども、「(3)職場の関係者に対する啓発」の項目で「過労死等を発生させた事業場に対しては監督指導等を実施し、当該疾病の原因究明、再発防止対策の確立及び対策の徹底を指導するとともに」という赤字の追記があります。この「指導」という言葉の指す内容なのですけれども、労働基準監督署が事業場に対して指導するということと、事業場が職場の管理職ですとか従業員に指導するということ、両方が必要だと思います。実際に過労死が発生した職場でも、同僚の人には過労死だったという事実が知らされていなかったという事案はよく見聞きします。会社側が従業員に伏せていることもありますし、労災は認定されるまでに時間がかかりますので、認定された後、そのことをあえて従業員には知らせなかったりしています。私たち家族の会でも、同僚が過労死と知らされていなかったということが分かった事案が幾つもあります。
私の夫も過労死しましたが、夫の死が労災に認定されるまでに3年くらいかかりました。亡くなって、しばらく経って、その後に労災と認定されたのですけれども、この認定されたということは、同じ職場で働いていた皆さんには知らされていませんでした。過労死が発生する職場は長時間労働やハラスメントなど、問題を抱えている職場です。職場で働き方やハラスメントが原因で命を失った同僚がいたということを職場全体で受け止めることが、再発防止の取組の第一歩になると考えております。そして、それが過労死をなくすということにつながると思います。ぜひここの文章から、以上の内容が読み取れるような記述を検討していただきたくお願いいたします。
また、41ページで、過労死が発生したと認識した場合には全社研修を実施することを検討するという内容で、先ほど寺西委員からも指摘があったのですけれども、同じ理由で「実施すること等を検討する」ではなくて、「実施する」ということにしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
2点目として、最近は若年層の過労死が増えています。それは私たちの家族の会に参加する会員さんを見ていても分かります。まだ若い就職して間もないお子さんを亡くされた会員さんが数多くいらっしゃいます。働き始めの若い人が職場環境や人間関係に慣れる間もなくハラスメントを受けたり、長時間労働をさせられたりして、心身ともに疲れ果てて、自ら考える力や気力がなくなって命を落とすという痛ましい事案が幾つもあります。若い人の命を守るために、この大綱でも35ページに「若年労働者への取組」について書かれています。今回の追記では、若年労働者の過労死防止のために、事業主や労務担当者を対象としたシンポジウムやセミナーを開催するとあり、とても大切なことだと思いますが、開催すると同時に、そこに参加も促すような記述にしていただけたらと思います。
また、若年労働者にとっては家族の支援もとても大切だという表記もしていただきました。私たちの会の会員さんは、どうして子供の命を守れなかったのだろう、助けられなかったのだろうという思いをずっと抱えていらっしゃいます。事業場と家族が連携したメンタルヘルスケアの取組をぜひ実施していただきたく、よろしくお願いいたします。
また、若年労働者自身もセミナーに参加する機会も必要だと思います。84ページに若年労働者向けにメンタルヘルス教育を行った実績が載っておりますが、これに参加する対象者は企業内で募集するのでしょうか。それとも一般で募集をしているのでしょうか。参加が希望制なのか強制なのか分かりませんが、せっかくの機会ですので、多くの若い人が参加する仕組みにしていただけたらと思います。
さらに、社会に出る前の高校・大学での労働条件に関する啓発事業も大切だと思います。先ほどの工藤委員からもありましたように、ぜひ文科省さんからの後押しで、多くの若い人たちが知識をつけてから社会に出るような仕組みをつくっていただけたらと思います。
3点目として、過労死の遺族のメンタルヘルスケアについてです。過労死はあってはならないことですが、私たち家族の会には毎年新しい会員さんが加わります。過労死を体験した家族は、消えることのない大きな痛みを抱えて生きていかなければなりません。そして、親を過労死で亡くした子供たちは、さらにその影響が大きく出ます。成長過程で過労死を受け止めなければならない子供たちは、将来働くということについて前向きに考えられない事実となります。今回の大綱で、過労死遺児たちに対しても交流会を行うとともに、相談体制も充実させていくという内容を加えていただきまして、大変感謝しております。子供たちの心のケアは、子供を支える親のケアも必要です。16ページや38ページ、39ページにそのことを記述していただき、また相談にも取り組むということも明記していただき、感謝しております。
その中で、39ページに「交流会を10年以上実施しており」という記述がありますが、これは3年前の大綱の内容がそのままになっておりまして、それから3年たっているということと、その前の活動実績もありますので、「交流会を15年以上実施しており」ということにしていただくのは可能でしょうか。
今後とも子供たちのことを見守り、支援していただきますようよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
幾つか御質問も出ておりますので、事務局から御回答をお願いいたします。
○石垣総務課長 労働基準局総務課長でございます。
今まで出た御意見などの中で、幾つか私どもでお答えできる部分などお話をさせていただければと考えております。
まず、寺西委員と川人委員からWHO・ILOの5月17日の発表についてお話をいただきました。本日、委員提出資料3に御要望いただきましたので資料をつけさせていただいておりますし、私どももこうした発表がされたことは承知しております。長時間労働が健康に与える負担については、様々な国際機関や研究機関などが調査研究しているところでございまして、そういったものを踏まえて過重労働防止の対策に取り組んでいくということは、私どもも非常に重要なことだと考えております。
通し番号133ページの川人先生などの文章にも、また、135ページからのILOのホームページを少し訳したものにも書いてあるのですが、長時間労働が健康に影響を与えるというお話と、あるいはテレワークが労働と生活の境を曖昧にしてしまうことや、そういった様々な働く場面についての影響をよく見て対策を取る必要があるということが書かれていると認識しております。そうしたものについては、先ほど私どもの企画官が御説明をいたしましたように、内容については、今までの委員の皆様の御意見のおかげでそういったものが各所に入っている状況だと思います。その上で、最初のほうにそういった国際機関の云々ということをどのぐらいの分量でどう盛り込んでいくのかについては文言的な部分だと思いますので、委員の皆様と少し御相談をさせていただいて、どんな書き方ができるのかということで対応させていただければありがたいと思っております。
それから、黒田先生から幾つかお話をいただきました「インターバル」についてでございます。これは私どもは前回黒田先生からも経営者側の委員の先生からも御意見をいただいたものを踏まえまして、全体状況を見まして数値目標の案を提示させていただいたところでございます。様々な御意見はあろうかと思いますけれども、私どもとしては、これまでの御意見を踏まえれば今の数値目標ということで、取組は個別具体的に見て取組が進むようにということは大事だと思っております。業種や、企業の規模や、何がネックになって導入できないのかなど、そういったところをよく見ながら、具体に取組が進むように取り組んでまいりたいと思っております。
さらに、片仮名表記のところについてお話をいただきました。大変ありがとうございます。私どもの考えといたしましては、DXというのは、様々な文脈、切り口で取り上げられており、それは先生方のほうが非常にお詳しいと思うのですが、殊に労働者の過重労働ということで言いますと、企業がどういう考え方でDXを導入するのかということがまずあって、その影響を労働者が受けるということなので、企業がどういう考えでDXを入れているという定義がよろしいのかなと思いました。このため、そういう注釈を入れておりますが、先ほどのお話ですと、あまり企業にフォーカスしたような形ではおかしいのではないかという御意見でございましたので、そういったものを踏まえて、先生にも教えていただいて、総務省の定義なども拝見して注釈の在り方は検討していきたいと思います。
テレワークのところですが、黒田先生からも御指摘いただきましたように、我々はそれぞれのパートですね。課題のところにもテレワークも入れていますし、国として対策を取っているところ、あるいは周知・啓発のところ、それぞれの部分で全体的に大事なものだと考えてテレワークを入れております。それぞれのところに全く同じ記述をしますとかなり重複してしまうようなところがありますので、それぞれのパートに分けて位置づけに合わせて記載をさせていただいておりますので、そういったことで御理解をいただければありがたいと考えているのが現時点でございます。
川人先生から、数値目標のところで週60時間というのを週55時間にするべきというお話をいただいたかと思います。これは私どもの大本は、資料にも書いてございますが、総務省の労働力調査に基づいて取り出しているものでございまして、これがどのように区切りが取れるのか、そういったことは今後の課題としまして関係する省庁とも相談をして、どのようにできるのか、どこまでできるのかといったことを考えてまいりたいと思っております。
取りあえず以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 それでは、国家公務員の関係につきまして、工藤委員からの御質問にお答えさせていただければと思います。
白書に公務の取組状況をどのように把握して記載するのかということでございますけれども、先ほど51ページの資料を御説明いたしましたが、ここにある数字というのは年に1回調査をして更新される性質のものでございますので、データが新しくなりましたらその都度協議会に御報告させていただくとともに、必要なデータ、結果につきましては、白書にも記載することが考えられるということでございます。
○内閣官房内閣参事官(働き方改革推進担当) 続きまして、内閣人事局でございます。
勤務間インターバルにつきまして御説明申し上げます。各府省の事務次官級の会議におきまして、国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針というものを各省共通の取組の指針として定めているところでございますけれども、長時間労働の是正が非常に喫緊の課題であるという認識の下に、本年の1月29日にこの取組指針を改正いたしまして、長時間労働の是正等のための働き方改革につき、各府省で取り組むべきことを定めたところでございます。
その中には、業務の効率化・デジタル化等により業務自体を減らすということとともに、勤務時間をしっかりと管理して超過勤務を縮減すること、併せまして、勤務間インターバルを確保するということを入れたところでございます。具体的に申しますと、各府省等はフレックスタイム制、早出遅出勤務制というものがございまして、いずれも通常の定時と異なる出勤時間等を定めることができるものですけれども、これらを活用することで職員の心身の疲労の回復や健康維持のために必要な時間、これを勤務間インターバルということで、こういった必要な時間の確保に組織的に取り組むということを定めたところでございます。この取組指針に基づき、各省はその働き方改革に関する取組計画を定めて公表することとなっております。
また、内閣人事局といたしましても、こういった各省の取組状況を確認いたしまして、好事例といいますか、特によく取り組んでいるもの等がございましたら取りまとめて協議会等で横展開、各省に知らしめるとともに、その協議会の資料は公表する形になっております。
以上でございます。
○石垣総務課長 基準局総務課長でございます。
先ほど回答がかなり漏れておりましたので、追加で恐縮でございます。寺西委員と渡辺委員から経営幹部の取組のところで御意見をいただきました。寺西委員からは具体的な文言の修正の形で、どこをつなげてというお話もいただきましたので、渡辺委員からの御指摘も含めて文言的なところで御相談をさせていただければありがたいと思っております。今すぐにこうするというのが難しいものですから、そういうことでお願いをできればと思っております。
工藤委員と渡辺委員から、それぞれ13ページに公務災害を入れることや、35ページのところで「参加を促す」旨の記載や、15ページのところで監督指導のほかに労働者向けの周知に関するお話もいただきましたので、それぞれ文言的にどういった形が分かりやすいのかというところで、改めて御相談をさせていただければと思っております。
以上でございます。
○西村補償課長 労働基準局補償課長の西村でございます。
川人委員から、脳・心臓疾患の労災認定基準の検討についての御質問がありましたので、お答えしたいと思います。御案内のとおり、脳・心臓疾患の認定基準の検討につきましては、昨年の6月から検討を始めておりまして、この間10回の検討会をしているところでございます。結論をいつまでにというのは現時点におきましては申し上げることはできませんけれども、できるだけ早期に結論を得たいと考えているところでございます。
WHO・ILOが先だって出された知見でございますけれども、この知見は昨年2020年の知見を基にしたものでございまして、私どもの検討会におきましては、既に資料として提示をして御議論いただいている知見の一つでございます。議論の前提としては、WHO・ILOが示された知見を含めて様々な知見を基に御議論いただいているところでございまして、引き続き議論を進めていただきたいと考えております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、そのほかの方、御意見、御質問をお願いいたします。
岩城委員、お願いいたします。
○岩城委員 私は個々の記述の注文や要望ということではなくて、今回の大綱改定全体について少し意見を述べたいと思います。
改めて振り返りますと、今回の大綱の改定作業は大変重い課題を背負ったものだったと思います。具体的には、(1)過労死等防止対策推進法が成立して7年、最初の大綱が策定されて6年が経過をし、調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動支援という4つの過労死防止対策と労働行政機関の取組が大きく前進してきた成果をどのように取りまとめて新しい大綱に反映させるのか。(2)ハラスメント防止法、勤務間インターバルの努力義務化などの法改正の中身をどう反映させるのか。(3)テレワーク、ダブルワーク、雇用によらない働き方といった就労形態の下で過労死等の防止をどう図るのか。(4)進展しつつある先ほどからお話も出ておりますDX、AI、IoT等の先端技術の活用とともに、心身への負荷についてどう配慮するのか。(5)この1年余り我が国と世界を襲っている新型コロナウイルス禍の下で、エッセンシャルワークなど一部で起こっている過重労働をどのように防止するのか。(6)これまで過労死防止対策が必ずしも十分でなかったと言える国家公務員、地方公務員についても、民間労働者と同じように過労死防止対策をどのように大綱に盛り込んでいくのか。(7)これまでも大綱で掲げられてきた数値目標をどのように位置づけ実現につなげていくのか。(8)地方自治体や経営幹部、労働組合など、国以外の主体が取り組む重点対策をどのように具体化、充実させるのか等、数多くの、また相互に関連し合った課題を新しい大綱に取り込んでいくことが求められていたと思います。
これらにつきまして、協議会委員の皆様の積極的かつ多様な御議論と関係省庁の方々の積極的な御対応、厚労省の事務局の皆様の御理解と御配慮により、大変充実したすばらしい大綱案になりつつあることを大変うれしく思っております。
これらの課題に関して、当事者委員4名と黒田、川人、私、岩城の7人で、3月1日と4月15日の2度にわたって意見書を提出させていただきましたが、この協議会の場でしっかりと議論していただき、また事務局の皆さんの御理解、御配慮により、その大部分を本日の大綱案に取り入れていただいたと感じております。この場をお借りして、協議会委員の皆様と事務局の皆様に心から感謝と御礼を申し上げます。
本日、さらに幾つかの意見が出され、また、今後新たに発表される数値や法改正の結果が反映され、さらに国民からのパブリックコメントも募集されて、さらに充実したものになっていくことを期待しております。
今般策定される新しい大綱の下で、今後の3年間、過労死等防止対策が大きく前進することを願い、また、私どもが関わっている過労死防止に取り組む民間団体においても、この新大綱を十分に活用して過労死防止に努めていきたいと考えております。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。
この間、意見を反映していただいたことに、まずはお礼を申し上げます。
その上で幾つか意見を申し上げます。1点目は、新たな大綱に基づいて過労死等のない社会を実現していくことが大事であるという観点から、43ページの「将来的に過労死をゼロとすることを目指し」という記載については、「将来的に」ということではなく、過労死等ゼロの実現に向けてより積極的な書きぶりにしたほうが良いのではないかと考えます。また、10ページの基本的考え方のところでは「将来的に」と入れていないこともあり、表現ぶりの平仄を合わせたほうがよいのではないかと思います。
2点目は、数値目標についての意見でございます。産業全体の目標のみならず、各目標に対して業種、職種ごとの実績値を整理し、改善が進んでいないところや、どういったところに問題があるのかを洗い出し、要因を分析していくことが必要だと考えております。先ほど石垣課長からもお答えがございましたが、今後そうしたデータをこの協議会でもきめ細かに見ていき、業種の特性に応じた効果的な対策を検討していくことで、過労死等ゼロの実現にむけた取り組みを前進させていくことが必要だと思います。
3点目でございます。メンタルヘルスに関する目標は、第14次労働災害防止計画において新たな目標が設定されることになると認識しておりますが、本協議会における議論との相互連携がしっかりと図られるようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
4点目であります。勤務間インターバル制度については今回新たな数値目標を掲げていますが、これを契機として、インターバル制度の導入を実際に前進させることが大事だと思いますので、中小企業も含め取組の裾野を広げていくためにも、26ページに記載されている好事例集のさらなる充実と周知もお願い致します。
最後になりますが、川人委員、寺西委員からも発言がございましたが、先週、ILO・WHOから長時間労働が健康に与える影響に関するレポートが発表されております。労働組合としても、過労死等を決して起こさないという姿勢を新たに、職場点検の徹底や相談体制の整備などの取組を行ってまいりたいと思います。
また、36協定の適切な締結をはじめとした、労使による取組の推進も図って参りたいと思います。なお、従業員の健康と安全を守る責任は使用者にあるわけですが、その主体的な取組も不可欠であるということを申し上げ、意見としたいと思います。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかの方、いかがでしょうか。
髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 ありがとうございます。髙橋幸美でございます。
私は何年までに過労死をゼロにするという目標を立ててほしいというのが本来の気持ちです。娘は最初の大綱の制定の5か月後に亡くなりました。娘が亡くなった当初、もっと早く防止法や大綱ができていれば助かったのではないかと考えたこともあります。残念ながら6年間の取組の中で、仕事が原因で貴い命が失われ、若い人の心身の健康が損なわれる事案は増加しており、過労死ゼロには程遠く、どうしたら被災者や遺族の声が人々に届くのか、悲痛な思いでおります。遺族として強く言いたいのは、実際に過労死の原因である長時間労働やハラスメントなどをどうやって根絶していくのか、具体的に対策を実行していってもらいたいと思います。今回の大綱案で私たちの意見をかなりの部分で取り入れていただき、勤務間インターバル制度、ハラスメント対策など、これまで以上に踏み込んでいただいたと感じております。あらゆる対策において、次の3年間でしっかりと実行に移してもらいたいと願っております。
私からも勤務間インターバル制度の導入目標についてお願いです。繰り返しになりますが、娘は1週間で10時間しか寝ていないこともありました。娘と同じように多くの若者が長時間労働からまともに睡眠が取れず疲弊し、僅かな期間で自死に追い込まれていることを考えると、勤務間インターバルが導入されていたら貴い命が犠牲になることはなかったと私には思えてなりません。もともと長時間労働が行われておらず、制度の必要がない企業もあるのではないかとの意見もあります。ちゃんとした職場では労働者の安全と健康を守る労務管理が行われており、長時間労働は存在しないならば、ここに数値も出ておりますが、問題なく導入できるのではないでしょうか。フレックスタイム制と併せて導入している企業の好事例も白書のほうに記載があります。しかし、娘の会社もそうでしたが、大手企業でも悪質と言える労基法違反や従業員の過労死が繰り返されており、長時間労働を是認するような企業文化や職場風土、公務員もそうですが、商慣習を変えることができず、残業するなと言いながら業務の削減もできず、人員の補充もせず、長時間労働が常態化している業種や職種にこそ、インターバル制度を導入する必要があると思います。インターバル導入は長時間労働の根絶につながるはずです。なぜ導入できないのか、導入しない理由をより詳しく調査し、導入の必要性を啓発して、どうやったら導入できるのかともに考え、裾野を広げていき、意識改革が全体でできれば、導入目標を上げることができるのではないかと思います。
もう一つですが、33ページの情報通信業についてです。働き方改革の時間外労働の罰則付上限規制が施行された後に、大手メーカーで若いシステムエンジニアが100時間を超す違法な長時間労働が続き亡くなりました。業務は厚労省の案件だったと聞いています。IT企業は近年の社会の急速なデジタル化やコロナ対策に対応するために、これまでも過重労働だったところに一層の長時間労働のおそれがあるので、長時間労働の削減が急務であるとの内容の記載をお願いしたいと思います。
次に42ページ、労働組合の取組に関し修正を行っていただき、労働組合の方も承認していただき、ありがとうございました。労働組合には長時間労働の根絶にこれからも努め、もしも組合員から相談があった場合には迅速な対応が必要であるとの記載をお願いしたいと思います。娘は亡くなる1か月前に労働組合に相談をしていました。長時間労働に関してや上司から勤務時間を少なく申告するように指示をされていたことなどを相談していました。娘は労働組合の人に相談できたことで助かったとほっとしていたのです。ところが、翌月100時間の特別条項が出されていて、娘は亡くなってしまいました。本当に残念でなりません。どうか組合員を守る労働組合であってほしいと思います。
先ほどから、工藤委員、渡辺委員からもありましたが、23ページの大学・高等学校などにおける労働条件に関する啓発の実施についてです。私も同様に若い人たちの啓発をもっとできるような機会を与えてほしいと思います。高校の公民科の「公共」という新しい授業科目が新設されたということですが、この公民の中では社会問題を専門家の意見を聞いて討論したり、学生自ら自発的に考え話し合う教科になると聞いています。若者たちが過労死問題、労働問題に対しても、自分たちの将来、自分たちのこれから生きていく社会、今生きている社会にどういう問題があって、自分たちがどのように対処していかなければいけないか、自らが考えていく機会になると思います。ぜひ文科省からも、もっとたくさんの子供たちが自分たちが将来どのように生きていったらいいか、自分たちの身を守れる方法を考える、啓発の機会を持てるようにしていってほしいと思います。
娘のように希望を持って社会に出て間もなくの若者が、過重労働が原因で苦しんだり、命を失うことがないよう、大切な子供を失い、生きる希望を奪われる親がいなくなるように願っております。企業文化や職場風土の見直しが行われるように、国や国民全体が対策を講じ、過労死を根絶し、誰もが健康で働き続けることのできる国にしてほしいと思います。
最後に、この後の大綱の制定の際には、過労死防止大綱が国民全体に周知徹底され、働く人の健康と命は失われることはあってはならないのだということをこれまで以上に強く発信していってもらいたいと思います。
私からは以上です。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、御意見はございますでしょうか。
八野委員、お願いいたします。
○八野委員 髙橋委員から労働組合に対しての御意見をいただきました。労働組合がある職場で命を守れなかったことについて、私共の加盟組合ではありませんが、同じ労働組合として申し訳ないという思いが非常に高まっております。
先ほど仁平委員からもありましたが、新たな大綱の策定を契機に、連合傘下の労働組合については、産業別組織も通じて、労使での話合いや組合員の声をしっかりと聴くということを、今一度しっかりとやっていきたいと思っております。
御意見を頂きどうもありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
堤委員からお願いします。
○堤委員 ありがとうございます。
私は27ページの「(7)メンタルヘルス対策に関する周知・啓発の実施」について、最後の段落で付け加えられましたスポーツの奨励について2つ申し上げたいと思います。1つ目は用語の追記に関しての要望と、2つ目は今後のことになります。
この文章が入ったのはとてもよいことだと私自身は考えております。といいますのは、今まで、いわゆる労働現場以外の視点で、労働者のメンタルヘルスの要因について話題になったことがありませんでしたので、とてもよかったと思っています。確かにスポーツは健康増進が認められておりますけれども、学術的には「身体活動」という用語での研究がより多くて、この部分は記述としては「身体活動」という用語を盛り込むのがより一般的で好ましいのではないかと考えております。身体活動はスポーツや運動も含む概念で、例えばウオーキング等を含むものです。ここでスポーツを奨励することは大賛成でございますけれども、一方で、スポーツや運動は事情によっては実施できない方もいらっしゃいますので、より多くの方が参画可能な「身体活動」という用語も添えて記述していただくとよいかと思っております。
2つ目は今後のことでございます。改めて、先ほど申し上げたようにこの文章はとても私にとっては目が開かれるものでございました。労働現場だけでなくて日常生活での好ましい保健活動が労働者のメンタルヘルスに好影響を及ぼすということについては、知見が蓄積しております。最もエビデンスが多いのはこの身体活動やスポーツだと思いますけれども、今後は栄養や休養、そういう視点も含めて進言してまいりたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
私は、まず41ページに経営幹部の取組がございます。前回の大綱、現在の大綱ですけれども、この中では経営幹部の取組は4行程度記載され、その内容は、「推進する」、「努める」ということでありました。同じ企業から二度と過労死を繰り返さないという認識は、労使または家族会の方々もともに持っている気持ちだと思います。今回の大綱では、前回よりも一歩進め、どういう行動を取っていくかが入ったということでは、評価できるのではないかと思っております。
それから、43ページのインターバル制度の導入目標のところでございます。これは前回私からも申し上げたのですけれども、企業の導入というか、割合について、今回15%と前回案から提示されておりました。この3年間の経緯を見ると、4.2%しか導入ができていないのに、令和7年度までの目標であるとはいえ、一挙に15%という数値は、非常に高い数値に思います。先ほども議論の中で出ていましたけれども、インターバル制度を実際に導入する必要がないと思っている企業については、中小企業の実際の超過勤務の実態をみると、これは私どもの中小企業労働事情実態調査の結果ですけれども、令和2年度7月1日時点の調査で10.5時間ぐらいなのです。数字的には超過勤務時間が少ない、と言ってはいけないのかもしれませんけれども、それほど過大な時間数ではないと思います。ただ、中小企業において、もちろん隠れてやっているところも、もしかしたらあるかもしれない。
また、超過勤務時間を従業員規模から見ると、1人から9人までの中小企業者、零細企業と言ってもいいと思うのですけれども、「超過勤務は無い」というところが、その人数枠では50%ぐらいを占めているのです。もちろんこれは規模が大きくなれば、それに応じて拡大する傾向があり、例えば100人から300人の中小企業であれば、だんだん比率は増えています。しかし、それほど多い超過勤務を行っているとはいえず、インターバルについての認識が本当にないのだろうなと思われます。インターバルを課さなくてはいけない、そういう企業だけを分母にすれば、15%は可能な数字なのかもしれない。ただ、全体として、「うちは必要ない、そこまで残業がない。」といった企業には、まだインターバル制度の導入については、認識がないところもいっぱいあると思うので、そういう面では働き方改革推進支援助成金などのインターバル制度を導入するに当たって使用できる助成金を、年間を通して応募ができるようするとか、また、例えば機械や就業規則をつくるためのコンサル費用とか、それだけではなくて、ある程度、企業内部で運転資金として自由に使えるようなお金を落としていただくと、うちもやってみようかな、インターバル制度を就業規則に入れていこうかということも出てくるのではないかと思います。
それに併せて、今回、公務員の関係については、いろいろ概念的には今回の大綱案に文言を盛り込んでいただいているのですけれども、定量的な数値目標としては入っていないものですから、今、ここに1から6の項目までの数値目標がありますけれども、いずれかに入れるのも必要ではないかと思います。特にインターバル制度については、国家公務員の方々は、人事院の結果よりも実際には長時間労働が多いのではないかと思えてならず、要は、「仕事から離れる」というのが必要だと思うのです。今、行政でも自宅でメールを入力し、送受信できるようになってきた方が多いと思います。そうすると、夜中も気になって仕事が頭から離れずにメールのやり取りをする職員の方もいらっしゃると思います。そういう面では仕事から離れることが重要だと思いますので、公務員の方々、特に国家公務員なのですけれども、インターバル制度という数値自体を入れたほうが良いのではないかと思います。これはいろいろな状況がありますから一挙には難しいのかもしれませんけれども、それによって民間側というか、公務員がインターバル制度を導入したということになれば、民間においてもインターバルの制度の普及にもつながっていくのではないかと考えたところでございます。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
お示しいただきました案は、これまでの皆様の御議論をかなり反映したものになっていると思っており、修正の意見等ではございませんが、3点ほどコメントさせていただければと思います。
1点目は、11ページ目の行政のデジタル化という点でございます。行政のデジタル化は、行政機関の職員の方の働き方改革にも資する大変重要な施策ではないかと考えております。今月12日にはデジタル改革関連法案の可決・成立を見たということで、急ピッチで取組が進んでいると思っておりますが、官民の過重労働防止の観点からも、引き続き政府一丸となって行政のデジタル化を進めていただきたいと思っております。
次に、29ページの商慣行の是正についてでございます。特に行政機関等との取引における長時間労働につながる商慣行の是正を、今回中小企業のみならず大企業も含めた課題と位置づけるとともに、各府省等に対する協力依頼を行うと具体的に追記いただいたことに感謝申し上げたいと存じます。
また、この商慣行の是正につきましては、B to B、いわゆる民間企業同士の課題、こちらも引き続き対応していかなくてはいけない問題であり、この点についてはとりわけ大企業に求められる役割・期待も大きいと思っております。経団連では、大綱案にも盛り込まれた「パートナーシップ構築宣言」の会員企業への参加を呼びかけているところでございますが、引き続き取引慣行の適正化に向けしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、今回の大綱の見直し案では、経営幹部などに求められる姿勢や取組、また、実情に応じたインターバル制度の導入、あるいは新しく「過労死等防止対策支援ツール」の開発といったところも盛り込まれておりまして、様々事業主に対する対応について、関係者の皆様方の思いを込めた形で追記あるいは強調がされているのだと承知をしているところでございます。経団連といたしましても、過労死はあってはならないという思いも含めて、会員企業にしっかりと取組を促してまいりたいと思っているところでございます。
私からは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
そろそろ時間も迫っておりますけれども、何かございますか。
では、則松委員からお願いいたします。
○則松委員 ありがとうございます。
髙橋委員、工藤委員からのお話にもありましたが、学校教育において、労働条件に関する教科指導を行っていくのは教員ですので、私たちも、組合の仲間と共に、そのことを重く受け止めたいと思っています。また、そうした取り組みを推進する上で、労働について議論が行える労働組合の存在は学校においても大きいということを改めて自覚しました。
次に、大綱案への文言の追記をお願いするものではないのですが、43ページの目標の趣旨を踏まえた公務員への取り組みに関して、今後の具体的な取組に向けてぜひ御議論いただきたく、私からも一言意見を述べさせていただきます。公立学校の教員については、給特法があり、時間外労働を行っても、時間外勤務手当が支払われるわけではないという制度の中で、時間管理が個人に至ってもなかなか難しいという実態があります。長時間労働是正にむけて勤務時間の上限規制等が入ったことにより意識は高まってきたのですが、実際の地取り組みが遅々として進まなかったり、なかなか状況が改善されないということを、もどかしく思っています。
そこで、勤務間インターバル制度については、労基法の関連法令で定められているものの、給特法が優先されることで勤務時間の管理が難しくなっている公立学校の教員には、大変有効な制度だと思っております。もちろん、これは国会や都道府県議会のマターでもありますので、導入までにはかなりの議論や時間を要する制度だと思っています。ですから、ぜひとも早い段階から導入の具体策を議論していただき、導入することが当たり前になるような方向性を示していっていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 ありがとうございます。
今般の大綱修正案ですけれども、大変幅広い分野について、また、コロナ禍やデジタル化の進展による働き方の変革を捉えた内容となっておりまして、これまでの御議論の成果かと思っております。特に修正等を求めるところございません。企業としては、今般の内容をしっかり受け止めて、過労死防止に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。
数値目標について何人かの委員から御意見がございました。令和7年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合5%以下、あるいはインターバル制度の導入の割合を15%以上、いろいろな受け止めはあるかと思いますけれども、この2点につきまして、我々としては現状を踏まえれば決して低い目標ではない、むしろやや高い目標ではないかと受け止めております。とはいえ、過労死防止に向けて、今回のこの目標達成に向けて、まずはしっかり取組を推進、浸透させていくことこそが大事なのではないかと思っております。そういった意味においても、これまで私どもから申し上げておりました働き方改革推進支援センターを通じた中小企業への働き方改革の支援、今般の修正案の18ページ目にしっかりと取り入れていただきました。大変意義があると思います。ありがとうございます。
また、この働き方改革を進めていく上で、中小企業にとっては、いかに労働生産性を高めていくのか、限られた人員の中でしっかりと収益を上げて、それを従業員に還元をしていくということが非常に重要になってまいります。そういう意味でも、これも私どもの意見を踏まえた修正案として、29ページに、先ほど鈴木委員からも言及いただきましたけれども、パートナーシップ構築宣言の周知、働きかけ、これを通じまして、我々商工会議所としても大企業と中小企業の取引関係が適正化され、中小企業が適正な利益を確保できて、従業員の雇用をしっかりと守っていける状況を作っていくことが、非常に大事だと思っています。これを盛り込んでいただきましたことを大変心強く感じております。
先ほど申し上げましたけれども、何よりもこの大綱の趣旨を、広く中小企業も含めて浸透、実行させていくことが大変大事かなと思っております。厚労省におかれましては、一層有効に機能するように関係省庁と連携をして、周知・支援を引き続き強力に推進いただきますようお願い申し上げたいと思います。
会議所といたしましても、厚労省等とも連携をしまして、働き方改革の支援あるいはパートナーシップ構築宣言企業のさらなる拡大、それから、今般の改正内容を踏まえました過労死防止に向けた企業の取組の支援への周知・啓発等、しっかり取り組んでまいりまして、過労死等がない社会の実現に向けて、会議所としての役割を果たしてまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしければ、事務局で今の御意見等について御回答がありましたらお願いします。
○石垣総務課長 基準局総務課長でございます。
先ほど、途中以降で岩城委員、仁平委員、髙橋委員、八野委員以下、皆様、いろいろと御意見をいただきました。その中で、文言を幾つか直すようにいただいたものもございます。それについては、前半でお話をしましたものも含めて文言的な修正の部分だと思っております。仁平委員の43ページの「将来的に」というところをどうするかですとか、堤委員のスポーツのところの用語の整理の仕方ですとか、そういったものについてはまた後日御相談させていただければと思っております。
そのほかの委員からも、方向性や今後に向けた課題として、将来に向けての宿題をいただいたと思っております。そういったところもよく整理をしまして、事務局として今後の取組につなげてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、活発な御意見、御議論をいただきまして、ありがとうございました。
本日頂戴しました御意見のうち、修文等を検討しなければならない部分につきましては、事務局において関係省庁と調整いただきたいと思っていますが、それを反映させた最終案の確定に当たっては、委員の皆様の御確認もいただくことを前提としつつ、私に御一任いただくということで御了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中窪会長 ありがとうございます。
それでは、大綱の見直し案に盛り込まれております対策の推進に当たっては、協議会で出された御意見を踏まえ、関係省庁等においてしっかりと取り組んでいただきたいということを会長として改めて要望し、本日の議論は終了とさせていただきたいと思います。
改めて、皆様、活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上ですが、委員の皆様からほかに何かございますでしょうか。
どうぞ。
○川人委員 私、昨日、ある大都市の地方公務員の方の御遺族の相談を受けました。昨年から今年にかけて8か月間、平均時間外労働が150時間で、1日平均3時間ぐらいしかずっと眠れなかった。泊まり込みになるときもあったけれども、ソファーしか眠るところはなかった。そうした中で今年の春に亡くなったということであります。過労死の疑いがあるということで調査を始めているわけですが、今、コロナ禍の中で、公務員の方々を含めてとても無理をなさっている。こうして過労死の防止のための協議会を進めているわけですが、その中で1か月150時間の時間外労働を8か月も続けて、そして、これは当局自身が認めている数字なのですね。それが現実に今もなお進行している。今後ともさらに8月に向けて強まるかもしれません。ぜひ、これは地方公務員の問題だけではないと思うのですが、私ども、この過労死防止法ができた原点を忘れることなく今後とも取組を強めていきたいと思います。
時間を取って失礼いたしました。
○中窪会長 ありがとうございました。貴重な御指摘をいただきました。
最後に、ここで小林審議官から御挨拶をいただきたいと思います。
○小林審議官 審議官の小林でございます。
本日はありがとうございました。本来であれば局長から御挨拶を申し上げるところなのですけれども、所用のため出席できませんでしたので、代わって御挨拶を申し上げます。
過労死等の防止のための対策に関する大綱でございますけれども、過労死等の防止対策推進法に基づきまして、平成27年に初めて閣議決定されまして、平成30年に1回目の見直しを行っております。私ども、法律、大綱を踏まえまして、これまでもいろいろな取組を重ねてまいりましたけれども、残念ながら働き過ぎによって貴い命、心身の健康が損なわれる痛ましい事態が後を絶っていない状況でございます。
川人先生からもお話がございましたけれども、最近では新型コロナウイルス感染症への対応、新しい働き方への対応で、社会の変化に応じた新たな過労死防止への取組も求められているところでございます。
このような中で、昨年11月から4回にわたりまして、大綱の見直しにつきまして、公労使の皆様、当事者の委員の皆様方、大変熱心に御議論をいただいたところでございます。これを踏まえまして、新たな過労死等の防止対策につなげていかなければいけないと考えております。
大綱の見直しにつきましては、今後の段取りでございますけれども、関係省庁間で最終調整させていただき、また、パブリックコメントも行った上で、政府として閣議決定をして、それに基づく対策を講じていきたいと考えております。
また、本協議会でございますけれども、今後も予算要求、それから、白書を作成する際の節目節目で開催をさせていただきまして、皆様からの御意見を伺いつつ、過労死防止対策推進法の心でございます過労死ゼロ、これを目指しまして一歩一歩しっかりと対策を進めていきたいと考えておりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
本日は本当にどうもありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、第20回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。
本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。