2021年5月20日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年5月20日(木)18:00~

出席者

出席委員(21名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人6名
 

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、先生方、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 このたびの医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議をさせていただきます。
 本日でございますが、当部会委員数21名のうち、浦野先生が後ほど御参加いただけると承知しておりますが、現在のところ20名の委員がこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 なお、本日でございますけれども、審議事項議題1に関連しまして、川崎医大小児科学講座教授、尾内一信先生、福岡看護大学基礎・基礎看護部門基礎・専門基礎分野、岡田賢司先生、国立研究開発法人国立循環器病研究センター心臓血管内科部長、草野研吾先生、熊本市民病院脳神経内科・リハビリテーション科、橋本洋一郎先生、それから、審議事項議題2に関連しまして、川崎市健康安全研究所所長、岡部信彦先生、東京医科大学病院渡航者医療センター教授、濱田篤郎先生を参考人としてお呼びしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。
 委員の皆様方には、会議開催の都度、書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 また、本日のウェブ会議に際しましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 部会長の清田です。
 それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 本日はウェブでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。
 審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。
 なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜メッセージ機能も御利用ください。
○清田部会長 これまでの御説明に御質問、御意見等はございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、本日の審議に入ります。
 まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1から3-2とDVDにて送付した資料を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料4として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料5として専門委員リスト、資料6として「競合品目・競合企業リスト」も事前にお送りさせていただいております。また、直前の送付となりましたが、本日参考資料1-1、1-2もお送りしておりますので、御準備をお願いいたします。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料6の1ページを御覧ください。
 バキスゼブリア筋注でございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に書かれる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。COVID-19ワクチンモデルナ筋注でございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、バキスゼブリア筋注。退室委員、なし。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員でございます。
 議題2、COVID-19ワクチンモデルナ筋注。退室委員、なし。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員でございます。
 また、議題3についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告をいただいておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。
 以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。
 よろしいですか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項3議題となっています。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 議題1及び議題3の一部について、機構及び事務局から御説明をお願いいたします。
○説明者 議題1、バキスゼブリア筋注の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
 資料No.1のフォルダを開き、「バキスゼブリア筋注_審査報告書」のファイルをお開きください。
 本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の118分の幾つの数字を使用いたします。
 本品目は、医薬品医療機器等法第14条の3に規定された特例承認に該当する品目として取り扱いました。
 本剤は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の遺伝子を組み込んだ非増殖型のチンパンジーアデノウイルスベクターから作られた遺伝子組換えウイルスワクチンです。本剤を筋肉内に接種後、スパイクタンパク質が局所的に発現し、中和抗体の産生及び細胞性免疫を誘導することでSARS-CoV-2による感染症の予防効果を発揮すると考えられています。
 本剤は、2021年5月6日時点で、79か国及びWHOにおいて条件付き販売承認または緊急供給の承認を取得しています。
 本品目の専門委員として、資料No.5に記載の15名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。
 本剤の有効性は、COVID-19の発症予防効果を評価した海外4試験の併合解析に加え、免疫原性を評価した国内試験に基づき審査いたしました。
 48ページ、「7.R.2.1.1 海外併合解析における発症予防効果について」を御覧ください。海外併合解析では、治験薬2回目接種後15日以降に発症し、SARS-CoV-2感染がウイルス学的に確定された初発のCOVID-19発症に対するVaccine Efficacy(以下、VE)を主要評価項目に設定して、COVID-19の発症予防効果が検討されました。
 同じページの表29、一番右の列に、VEの結果を示しています。本剤のVEは、中間解析において70.42%、主要解析において66.73%でした。それぞれのVEにおける両側95.84%信頼区間または両側95%信頼区間の下限は、事前に規定された有効性の基準である20%及びFDAのガイドライン等で示された下限値である30%を上回っており、本剤の有効性が示されたものと判断いたしました。
 次に、53ページ、「7.R.2.2.1.3 接種間隔が有効性に及ぼす影響について」を御覧ください。海外併合解析では、各臨床試験実施時における様々な制限から、実際に接種された被験者の接種間隔は本剤群で3~28週間と様々でした。なお、文中の「4~26週間」との記載は誤記になります。表34に、主要解析における接種間隔別のVEを示します。結果的に、4週以上の接種間隔では、接種間隔の延長とともにVE及び中和抗体価は上昇する傾向が認められました。本来であれば、申請者は本剤のより適切な接種間隔について検討すべきであったと考えますが、国別、年齢別の部分集団解析の結果からも全体集団と矛盾ない結果が得られていること等を踏まえると、接種間隔による影響に十分配慮した上で、本剤の有効性について評価することは可能と判断いたしました。
 続いて、日本人における免疫原性の結果について、23ページを御覧ください。表16に、治験薬初回接種後及び2回目接種後28日時点のSARS-CoV-2に対する中和抗体の幾何平均抗体価(以下、GMT)を示します。国内試験では、18~55歳のコホートCと56歳以上のコホートDが設定されました。表16、下から2行目を御覧ください。治験薬を2回接種し、治験実施計画書からの重要な逸脱がなかった解析対象集団であるFVS-2において、本剤接種後のGMTは、コホートCで107.3、コホートDで90.0であり、全体として98.0を示しました。
 次に、54ページ中ほど「7.R.2.2.2 日本人における有効性について」を御覧ください。下から5行目、一方、海外併合解析の主要解析においては、4週以上8週未満の接種間隔で、本剤の申請用量を2回接種した解析対象集団における2回目接種後28日のGMTは130.936であり、国内試験における値と比較して高いものでした。しかし、外国人被験者における中和抗体価には地域差が認められており、接種間隔4週以上8週未満の部分集団において、本剤2回目接種後28日のGMTは、英国及びブラジルでそれぞれ97.434及び110.964であったのに対し、南アフリカでは268.614でした。英国及びブラジルで得られた値と国内試験で認められた値は類似しており、国内外の中和抗体価の違いは南アフリカで得られた中和抗体価が高いことによるものと考えられました。
 57ページ、上から8行目「機構は」から始まる段落を御覧ください。機構は、以上のこと、及び日本人高齢者においても高齢者以外の集団と同様の中和抗体価の上昇が認められたこと等も踏まえると、日本人について本剤接種後の免疫応答が外国人と大きく異なる傾向は示されていないものと考えました。加えて、併合解析において、実施国や人種の違いがVE及び免疫原性の成績に大きな影響を及ぼす可能性は、一部の変異株による影響を除いて示唆されていないことを踏まえると、18歳以上の日本人において年齢を問わず本剤の有効性は期待できると判断いたしました。ただし、長期の有効性データは得られていないことなどから、臨床試験等から引き続き情報収集する必要があると考えます。
 続いて、変異株に対する本剤の有効性について御説明いたします。60ページ、上から4行目「オックスフォード大学及び」から始まる段落を御覧ください。英国で実施されたCOV002試験から得られたデータを用いて、英国で検出されたB.1.1.7系統の変異株に対する本剤の有効性を予備的に評価したところ、本剤のVEは、B.1.1.7系統で74.6%、非B.1.1.7系統で84.1%と類似していました。一方、次の「また」から始まる段落以降ですが、南アフリカで実施されたCOV005試験から得られたデータを用いて、南アフリカで検出されたB.1.351系統の変異株に対する本剤の有効性を予備的に評価したところ、B.1.351系統の変異株に対する本剤のVEは10.4%でした。
 さらに、本剤を接種した被験者の血清を用いて各種変異株に対する中和抗体価を測定した結果も踏まえ、機構は、海外併合解析に含まれた試験が実施された期間において主流であったウイルスに関しては、B.1.351系統の変異株を除き、本剤について一定の有効性は期待できると判断いたしました。なお、B.1.351系統の変異株に関しては、今後も引き続き本剤接種のベネフィットについて情報収集する必要があると考えます。また、変異株に対する有効性や変異株の流行状況については製造販売後も引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には適切に情報提供する等、対応する必要があると考えます。
 続いて、本剤の安全性について御説明いたします。36ページを御覧ください。臨床試験では、治験薬接種後7日間、ワクチン接種による特徴的な局所反応及び全身性の事象が収集されました。表26に海外併合解析の結果を示しています。被験者の多くに接種部位の局所反応及び全身反応が認められたものの、そのほとんどは軽度または中等度で、回復性が認められました。国内試験の結果は、24ページ、表17に示しています。これらの結果から、国内外の安全性プロファイルに大きな差異は認められませんでした。加えて、その他の有害事象の発現状況や年齢別の発現状況等も踏まえ、機構は、本剤の安全性プロファイルについて、承認の可否に影響する重大な懸念は認められていないと判断いたしました。
 次に、注目すべき有害事象・副反応について御説明いたします。まず、ショック、アナフィラキシー等の免疫反応について、69ページを御覧ください。上から1行目より、臨床試験及び海外製造販売後における発現状況を示しています。海外併合解析では、本剤接種後63日に非重篤なアナフィラキシー反応が1件認められ、国内試験においては、アナフィラキシー反応は報告されていませんが、海外製造販売後に、本剤接種との因果関係が否定できないアナフィラキシー反応が報告されています。機構は、これらの多くが重篤例であることも踏まえ、添付文書等において、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい旨を注意喚起する必要があると判断いたしました。続いて、神経系有害事象について、70ページを御覧ください。上から2行目より、臨床試験及び海外製造販売後における発現状況を示しています。海外併合解析において、本剤との因果関係が否定できない重篤な有害事象として、横断性脊髄炎が認められています。また、同じページ中頃「海外での使用許可後又は製造販売後の自発報告」で始まる段落に記載のとおり、海外の製造販売後に、重篤例を含む免疫介在性の神経学的事象が報告されています。以上より、機構は、免疫介在性の神経学的反応を本剤の重要な潜在的リスクとして設定した上で、臨床試験及び海外製造販売後に重篤な脱髄関連事象等の神経系有害事象が発現していることについて、添付文書及び資材において情報提供する必要があると考えます。
 次に、血栓性、血栓塞栓性及び神経血管性イベントについて、71ページを御覧ください。1行目、海外併合解析で認められた血栓性イベントはいずれも本剤との因果関係が否定され、国内試験では該当する事象は発現しませんでした。同じページ、表44に、海外製造販売後2021年3月10日までに塞栓または血栓として収集された事象の概要を示します。これらのうち、脳卒中とその他の脳血管イベント及び静脈血栓塞栓症の発現件数は、いずれも文献等に基づく背景発現率から予測された件数より少なく、血栓性イベントについて何らかのパターンやリスク因子は認められませんでした。一方、72ページ、上から9行目「海外製造販売後に」から始まる段落以降に、3月24日までに報告されたデータに基づき検討した結果を示します。同じページ下部の「CVSTについて、」から始まる段落を御覧ください。報告されたイベントの中には、血栓症の中では非常にまれな、脳静脈洞血栓症(CVST)の発現が72例あり、多くが接種後14日以内に認められており、うち14件は転帰死亡の症例でした。なお、報告書における15件との記載は誤記になります。
 続いて、104ページ、上から3行目を御覧ください。2021年4月7日、欧州医薬品庁(EMA)は、本剤接種後に血小板減少を伴う血栓が極めてまれに起きる可能性があり、本剤の副反応とすべきと公表しました。ただし、当該リスクは極めてまれであり、副反応のリスクよりも、当該ワクチンによりCOVID-19を予防する全般的なベネフィットが上回るとされました。これらの評価は、同年3月22日までに欧州の副作用報告データベース「Eudravigilance」に報告された62例の脳静脈洞血栓症と24例の内臓静脈血栓症のレビューに基づくものであり、当該時点でのEEA(欧州経済領域)及び英国における本剤接種者は約2500万人でした。報告された症例のほとんどは60歳未満の女性で、本剤初回接種から2週間以内に発現していましたが、リスク因子は特定されませんでした。血小板減少を伴う血栓発現の考え得るメカニズムとしては、ワクチン接種後の免疫反応により、ヘパリンを投与された患者で認められるヘパリン起因性血小板減少症(HIT)に類似した状態が引き起こされている可能性があるとされました。英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)においてもEMAと同様の内容が公表されています。当該内容を踏まえてもMHRAは年齢制限を設ける等の変更を行っておりませんが、同時に、予防接種と予防接種に関する合同委員会であるJCVIのステートメントが発出され、本剤接種により得られるベネフィットと潜在的なリスクのバランスを踏まえ、30歳未満の健康成人は他のワクチンを接種することが好ましいとされています。なお、英国における年齢制限は、5月7日時点で、SARS-CoV-2の感染状況、本剤以外のワクチンの利用可能性等を踏まえ、40歳未満に変更されております。
 105ページ、1行目の「海外の複数の国で」から始まる段落を御覧ください。以上より、機構は、海外の複数の国で製造販売後において本剤接種後に血栓性イベントが複数発現していること、その中には重篤な転帰をたどり死亡に至る症例も認められること、及び海外における動向に加え、専門協議における議論を踏まえて、添付文書の重大な副作用の項において「血栓症」を注意喚起した上で、本剤接種後に重篤な血小板減少症を伴う血栓症が認められることを情報提供する必要があると判断いたしました。また、海外製造販売後に報告された事象の中には脳静脈洞血栓症等の非常にまれな事象もあり、これらの多くは非高齢者で報告されていること、欧州での状況からヘパリンの使用等の望ましくない治療方法が明確になってきていることも踏まえ、これらの血小板減少症を伴う血栓症の発現部位や転帰、発現時期、注意すべき症状、診断や治療に関する情報等についても、添付文書等において情報提供する必要があると判断いたしました。
 現時点では、海外製造販売後における本剤接種者の性別、年齢等の背景に偏りがあり、本剤接種後に認められる血小板減少を伴う血栓症について性別、詳細な年齢層等のリスク因子は特定されていないこと、COVID-19罹患によるリスクはSARS-CoV-2流行状況、年齢等によって異なると考えられること等を踏まえると、機構は、定常的な性別、年齢別のリスクについて判断することは困難であると考えます。一方で、本剤については、臨床試験等により幅広い年齢層の成人で有効性が認められており、SARS-CoV-2ワクチン接種によって得られるベネフィットはリスクを総じて上回っていることから、本剤の承認において性別や年齢の制限を設けることは適切ではなく、SARS-CoV-2の流行状況等や本剤以外のワクチン接種の代替可能な手段に応じて、弾力的に本剤の接種対象を検討することが適当と判断いたしました。SARS-CoV-2ワクチンは、「予防接種実施規則」、「新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領」等に基づき公的ワクチン接種プログラムにおける接種対象を設定することが可能であることから、その中で本邦における本剤の適切な接種対象について検討できるものと考えます。なお、現時点で本剤の接種対象を年齢に基づき制限している国や接種を中止している国においても、本剤の承認または使用許可の対象を変更してはおりません。政府、厚生労働省において接種対象の議論が行われるのであれば、審査の際に得た知見を共有してまいります。
 また、本剤の製造販売後には、申請者が提案する調査、医薬品安全性監視活動等の中で、国内における本剤接種後の血栓性事象の発現状況や当該事象のリスク因子等を検討する必要があると判断いたしました。医薬品安全性監視活動下において、本剤接種との関連性が疑われる血栓性イベントが報告された際には、当該事象のリスク因子等についての評価を可能とする情報、例えば患者背景、併用薬、既往歴、検査データ等を収集し、新たな注意喚起の必要性について検討する必要があると考えます。
 前述のような対応が可能となるように、関連学会や医療機関との連携についても検討し、情報提供、情報収集及び評価に係る体制を整えることが重要であると判断いたしました。既に一部の学会から診断・治療指針の作成及び当該事象の周知について前向きに御協力いただいており、本日参考人としていらしている橋本先生にも多大な御尽力をいただいているところでございます。引き続き厚生労働省及び申請者とも連携の上、遅滞なく広範な情報共有及び当該指針の円滑な運用に努めたいと考えております。
 次に、79ページ、「7.R.3.4 疾患増強リスクについて」を御覧ください。本剤接種後の免疫応答により、SARS-CoV-2感染時の症状がワクチン非接種時よりも増強する「疾患増強リスク」について、ヒト及び動物での血中サイトカインの発現から、本剤接種によるリスクは示唆されておらず、機構は、特段の注意喚起は不要と判断いたしました。一方で、臨床試験では、COVID-19発症例や重症例が少なく、長期のデータも得られていないことから、本剤の重要な潜在的リスクとして設定した上で、製造販売後に引き続き情報収集する必要があると考えます。
 以上より、臨床試験及び海外の使用許可後または製造販売後の情報から、本剤接種に際して注意が必要な事項はあるものの、適切な注意喚起・情報提供の下で使用されることを前提として、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。しかしながら、本剤接種後長期の安全性データは今後得られること、また、国内における本剤接種後の安全性に係るデータは限られていること等から、今後も継続的な情報収集及び安全性の評価が必要と考えております。
 次に、本剤の用法・用量について御説明いたします。
 92ページ中ほど、「併合解析においては」から始まる段落を御覧ください。前述のとおり、海外併合解析に含まれた試験における実際の接種間隔は本剤群で3~28週と非常に幅広いものであったものの、本剤群の約82%の被験者において4~12週の接種間隔で接種されていました。加えて、接種間隔4~8週及び9~12週のいずれの部分集団においても本剤の有効性が示されていること、国内試験においても、海外併合解析の接種間隔が4~8週の部分集団と同程度の中和抗体価が得られていること、並びに本剤を4~12週の接種間隔で接種された被験者集団における安全性及び忍容性について大きな懸念は認められていないことを踏まえ、機構は、接種間隔を4~12週とすることは可能と判断いたしました。また、国内試験で認められた中和抗体価は併合解析の接種間隔4~8週の部分集団と同程度であった一方で、海外併合解析において、4週以上の接種間隔では、接種間隔の延長とともにVE及び中和抗体価は上昇する傾向が認められたこと等を踏まえ、本剤について最大の効果を得るためには上限12週を超えない範囲で8週以上の間隔を置いて接種することが望ましいと判断いたしました。
 88ページを御覧ください。以上のことに加えて、臨床試験における用法・用量の設定根拠や併合解析の成績等を踏まえ、本剤の用法及び用量は「1回0.5mLを4~12週間の間隔を置いて2回筋肉内に接種する」とすることが適切と判断いたしました。
 最後に、本剤の品質に関して、一部の情報が限られているものの、SARS-CoV-2ワクチンの緊急性に鑑み、承認条件を付して対応することが適切と判断した点を説明いたします。
 112ページ、表67の下、「機構は」から始まる段落を御覧ください。機構は、市販用製法の原薬及び製剤について、6か月までの安定性を確認するのに十分なデータは得られておらず、さらに追加の情報が必要と考えています。しかしながら、これらの原薬及び製剤について、6か月の安定性データが得られている臨床試験用製法で製剤されたものと同等性/同質性が示されていること等を踏まえると、原薬及び製剤の有効期間を海外の有効期間と同じ6か月とすることは可能と判断いたしました。
 現在実施中である原薬及び製剤の長期保存試験の成績について、取得後速やかに機構に提出することについて、申請者は適切に対応すると回答しています。
 総合評価について、114ページに記載しています。
 以上の結果、機構は、総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。複数種類のCOVID-19の予防を目的とするワクチンの迅速な供給が求められている現状において、本剤は2~8℃で冷蔵保管する製剤であり、流通、配送及び保管において一般的な感染症予防ワクチンを超える特別な対応は不要であることも踏まえると、本品目を医療現場に提供する意義はあると考えます。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会は報告を予定しております。
 議題1の御説明は以上です。
○清田部会長 では、議題3についての御説明をお願いします。
○事務局 議題3、生物学的製剤基準の一部を改正することの可否について、事務局より御説明いたします。
 資料3-1の1ページの「改正の趣旨」を御覧ください。
 医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めています。
 今回は、「コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)」を追加する改正を行います。
 本基準については、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験等、ほかのワクチンに含まれる試験で構成された基準となっています。
 なお、参考資料1-1として「検定基準の一部改正について」をつけております。
 本剤を国家検定の対象医薬品として指定することについて、こちらの資料に記載しております。
 内容については、SLP(製造・試験記録等要約書)の審査に加え、試験検査として表示確認試験を実施することとしております。
 また、本部会の後、薬事分科会に報告を予定しております。
 以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○事務局 事務局より追加で御紹介させていただきます。
 本議題では、尾内参考人、岡田参考人、草野参考人、橋本参考人にお越しいただいております。
○清田部会長 では、参考人の先生方から本議題につきまして御発言をお願いしたいと思います。
 まずは尾内先生からの御発言をお願いいたします。
○尾内参考人 分かりました。本剤は、先ほどお話がありましたように冷蔵保存で使えるということと、英国株が流行している英国で使用されて流行が沈静化しているという情報を考えると、非常に有用なワクチンだと思います。ただ、mRNAワクチンに比べてVaccine Efficacyが低いということもあったり、血栓症の可能性が示唆されているということがあって若干危惧するところはあるのですけれども、mRNAワクチンが2回目の副反応が強いということが今後追加接種に関して若干憂慮するところもあって、やはり違う種類のワクチンが承認されるということは非常に有益だと思います。
 総合すると、承認していいのではないかと思います。機構の判断に賛同します。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、岡田先生から御発言をお願いいたします。
○岡田参考人 岡田でございます。
 機構の御説明に、私は特に異論はございません。ただ、血栓性イベントに関しては、今までにあまりなかったようなことだったので、運用上でもいいと思うのですけれども、アナフィラキシーと違って対応策を何らかの形で示した方がいいのかなと考えました。
 ただ、供給量に関しては、私は正確な情報を持ち合わせていませんが、今のファイザーのワクチンだけでは多くの国民に接種するだけの量が十分でないかもしれませんので、このワクチンに関しても多くの国民に打つためにはまずは承認して、運用上、打っていただくことがいいことかなと考えました。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、草野先生から御発言をお願いしたいのですが、草野先生、よろしいですか。
○草野参考人 特に追加のコメントはありません。どうもありがとうございます。
○清田部会長 よろしいですか。
 それでは、そのままちょっと草野先生に入っていていただいて、橋本先生、御発言をお願いいたします。
○橋本参考人 熊本市民病院の脳神経内科の橋本です。脳卒中を専門にいたしております。
 今回、このアストラゼネカのワクチンとヤンセン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アデノウイルスベクターを使ったワクチンに関して、やはり脳静脈血栓症を中心とした血栓症が起こるということが欧米でちょっと言われ始めていて、4月9日に『New England Journal of Medicine』に文献が二つ載って、その辺からある程度本体が分かってきたということで、当初、血小板減少症を伴う血栓症に関して、通常、脳静脈血栓症ですとヘパリンを使って治療をするのですけれども、これはヘパリン起因性血小板減少症と同じような病態なので、ヘパリンを使うと泥沼にはまって亡くなっていかれるのです。当初、欧州にしろ、米国にしろ、最初の入口の治療を失敗した症例がかなり亡くなっておられて、途中でHITと同じということで血小板第4因子に対する抗体を測定して診断がつくということで、治療方針を変えることによって、死亡率が高かったのがかなり減っていっているということが分かって、そういう背景がどうもはっきりしてきていろいろな論文が出たり、欧米のガイドラインが出たりすることによって、本体、本質が分かって、診断と治療に関する対応がある程度、限界はありますけれども、できるのではないかと。
 4月12日の週以降に脳卒中学会と議論し始めたところで、かつ血栓止血学会も同時に議論が始まっていたところで、これは一緒に考えないといけないだろうということで、2学会共同で議論を始めたところで、厚労省から診断と治療の手引きについてつくってくださいという依頼が正式に上がりましたので、ある程度つくっていたところでさらに進めて、一応、現時点での取り得る診断と治療の手引きという20ページほどのものを2学会でつくりました。ただ、問題は、保険診療でない治療をやらないといけないというところがありますので、この辺はある程度、もしもそういう場合は可能な治療をやらないといけませんので、認めていただけるような形にしていただけると良いと思います。
 また、病態がやはり非常に特異的だと思います。通常の脳静脈血栓症というのは非常にまれであって、通常はヘパリンを使って治療するわけですけれども、通常の治療がやれないということと、ヘパリンを投与していないのに血小板の第4因子がHITと同じようにできてしまうということがありますので、ですから、そういう疑うということ。疑ったら検査をする。検査も日本では測れないような抗体を測らないといけないので、そういう抗体が測れる仕組みをつくっておくということ。疑ったら治療しましょうということにはなると思うのですけれども、治療に関しても血栓止血学会の先生方の協力を得て、世界のエビデンスをある程度網羅した形でできています。ただし、臨床の現場に周知をしておかないと、恐らく頭痛で発症してきますので、頭痛を診ているかかりつけ医の先生、あるいは脳卒中を専門にしている先生、神経内科、脳外科、あるいは腹部の静脈血栓とか心筋梗塞、脳梗塞とかがありますので、循環器内科の先生と、やはり最前線に立っている先生方に、非常にまれなのだけれどもこういうことが起こり得るということを周知しておいて、疑ったら対応可能な施設にすぐ紹介するという仕組みをつくっておくとすごくいいのかなと思います。
 欧米で当初非常に苦労されたみたいですけれども、ある程度の整理はできてきているかなと思いますので、そういうところを当局の方々と今後もさらに詰めていければと思います。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。参考人の先生方に御意見いただきました。
 それでは、早速、委員の先生方から御質問、御意見がございましたら承りたいと思います。チャットで御意見があるということをお書きいただければと思います。いかがでしょうか。参考人の先生方に対する御質問でもよろしいかと思います。ございましたら、チャットにお書き込みいただいて、御指名いたします。
○宮川委員 では、口火を切っていいですか。
○清田部会長 会場には、日本医師会の宮川先生にお越しいただいていますので、宮川先生から御質問があるようです。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 参考人の橋本先生にお伺いします。今、お話を聴いていてすごく分かったわけですがCVSTは若年者の方が頻度として多く、高齢者ではもともと出ない疾患と了解してもよろしいのでしょうか。
○橋本参考人 通常のCVSTは相対的に若い人に多いのですけれども、高齢者でも実はおられます。ただし、今回のアストラゼネカのワクチンを打った方での発症は、60歳未満が多いということと、女性が多いと。男性の数倍起こってくるということがありますので、やはり通常のCVSTとはちょっと違うのかな。さらに、通常のCVSTと違うのは、DICを合併していて出血まで起こってくる結構重篤な症例も出てきますので、早く見つけないとちょっと厄介な症例が出てくるだろうと思います。
 以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。
 日本の滋賀県の悉皆調査などを見ますと、100万人当たり16.6という数字が出ていたのを覚えております。少ない疾患なのですけれども、診断するにあたっては、海外に比べて日本はCTとかMRIが多いわけですから、日本の場合はしっかり診断できている状況の中で、疾患の頻度が多いのかどうかということも含めて教えていただければと思います。
○橋本参考人 通常、脳卒中の中の0.5~1%がCVSTだろうと言われてはいるのですけれども、実はこれはCOVID-19患者さんが大体1~2%脳卒中を起こすのですが、COVID-19の脳卒中の方の4~5%がCVSTということがあります。やはりCOVID-19感染で起こる場合とワクチンで起こる場合、通常のものとはちょっと違ってくるということですが、今御指摘いただいたとおり、日本ではどこでも簡単にMRIが撮れます。MRIでMRV、MRVenographyというのを撮ると、読める方は簡単に診断ができますので、疑ったらすぐ撮るということが日本では簡単にできますから、非常に診断率は高い国であろうと思います。欧米ではMRIを撮るのはすごく値段が高いのでハードルが高いということがありますので、御指摘のとおりだと思います。
 以上です。
○宮川委員 そういう意味では、日本での診断発見率は理解できました。もしこのようなワクチンが使えるようになったときに、頭痛などをはじめとする症状があった場合に、特に日本の場合には脳外科の先生が多く開業したりしていて、非常に診断力が高い国であろうと思いますので、そういう意味で早い段階でお救いすることができるのかということも聞きたかったので、ありがとうございます。
○橋本参考人 追加なのですけれども、日本ではMRIとかCTがすごく多いので簡単に検査ができるという反面、欧米は脳卒中を見る脳卒中センターに集約化されています。一方で、日本では中小病院がかなり脳卒中を見ていますので、こういう病気があるということが周知できていないと、俗に言う経過観察を一日二日されてしまうと泥沼にはまってしまうということがありますから、いかに周知をするかと。疑えば検査をしますので、そこのところの周知の問題が非常に大きいかと思います。
 以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 島田先生、よろしくお願いします。
○島田委員 皆さんの御意見は、アストラゼネカさんのワクチンは非常に有効で、承認してもいいのではないかという御意見が多かったように思うのですけれども、私どもはファイザーの承認もしましたし、ちょうどモデルナのmRNAのワクチンの報告書も今回見させていただきました。それと比べると、やはり効果はかなり劣るのではないかと思っております。mRNAの方は両者ともVEは95%なのですね。アストラゼネカはよく見て70%です。だから、ちょっと効果は薄いのではないかということ。
 それから、変異株に対しては、先ほどイギリスでは抑えられているからいいのではないかというお話でしたけれども、60ページの御報告で、ちょっと読み飛ばされたのですが、例えば中和抗体価はVictoria株に比べると9分の1ぐらいしか上がらなかったとか、あと、南アフリカ株、B.1.351に対しては、VEは10%とかそんなふうにも書いていますね。
 49ページの表30を見ていただきますと、南アフリカが下から3番目にあるのです。被験者の数は非常に少ないですけれども、非常に低い値だというようなことも、要するにデータとしては出ているので、イギリス株に対しても効果は低い可能性があると。しかも、南アフリカ株ではかなり低くて、有効性という面では他の二つのワクチンよりはかなり劣っているのではないかということがあります。
 それから、打ちやすいということで1回目の副反応は多いけれども、2回目からは少ない。確かにそのとおりなのですけれども、この試験はみんなアセトアミノフェン1,000mgを4回も投与しているのです。だから、そういう意味ではバイアスがかかっている。アセトアミノフェンを1,000mg、外国の方だからいいのかもしれませんけれども、かなりの量を使って痛みだとか熱を抑えられているという可能性も否定できないと思います。
 その上、血栓の問題が幾つかあって、橋本先生から今お話を聞いたので、先生のような方がおられるところだと非常に安心してできるのかもしれませんけれども、こういうのがいきなりぽんと来たときに、果たしてこれを見つけて、血栓があってもヘパリンを使ってはいけないとかいろいろなことがありますと、一般の治療としては非常に難しいことになってしまうのではないかと思います。
 頻度は非常に少ないのですけれども、要注意であることは確かかなと思いますし、一方、ほかのワクチンではそういうのはないというふうになりますと、例えばこれを承認していいと皆さんおっしゃいますけれども、先生方、どれか打っていいですよと言われたとき、このワクチンを選ばれますか。そのような観点からいくと、私はもうこれはちょっと勘弁してほしいと思うのです。
 ということで、数が少ないとおっしゃる方もおられるのですけれども、ファイザーとかモデルナは慌てて物すごい数を今用意しましたよね。そうすると、まずはそっちから打ってこれが3番目ということになるかとは思うのです。そうした場合に、これを打つ人はちょっとかわいそうかなと。これを全部知ってしまった後に打つのはちょっと気が引けるというふうに、私としてはそう思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○説明者 機構よりお答えいたします。
 先生、御意見ありがとうございました。一つずついただいた御意見について御説明さしあげたいと思います。
 まず、VEがファイザー、モデルナのmRNAワクチンに比べると劣るのではないかという御意見をいただきました。こちらの有効性についてでございますけれども、これらの2剤に比べますと、先生御指摘のとおりやや見劣りはしますが、WHO、FDA等の国際的なガイダンスの基準は満たしております。また、インフルエンザ等のワクチンの有効率が一般的に60%程度と言われておりますので、臨床的に不十分とは言えない状況であると考えております。
 また、変異株については、続いて後ほど御説明したいと思いますけれども、変異株に対する有効性と明らかでない点というのはございますが、現在、国内においてCOVID-19による致死率が約1%というような状況も踏まえますと、実用化が急がれる現状においては、ある程度やむを得ないものかと考えております。
 次に、変異株に関して御指摘をいただいたところかと思います。まず、英国株B.1.1.7系統変異株につきましては、先生が報告書の60ページの抗体価について引用くださいましたけれども、中和抗体価については御指摘のとおり低下は認められておりますが、ワクチンの有効率VEという点で申しますと、こちらも少数なので、精度にもちろん限界はございますけれども、非変異株と大きく異ならないと判断しております。
 それから、南アフリカ株についても御指摘をいただいたところかと思います。こちらは同じく60ページの真ん中辺りに記載しておりますけれども、B.1.351系統に対する発症予防効果というのは、御指摘のとおりCOV005試験からは確認できなかったというのが現状でございますが、こちらは今はまだ中間解析の段階ということで、評価対象となった症例数は非常に限られております。ですので、予備的な結果であるということになります。また、重症化予防効果については、現時点では明らかではありませんので、臨床的な有用性についてはさらなる検討が必要であるとも考えております。
 以上のことから、これまでに得られている情報からは、無効と断言することはできないと考えております。
○島田委員 無効とは言っていないのですよ。mRNAのワクチンと比べてどうかというお話を今したので、だから、あなたは私の質問に全く答えていないのですよ。これを第2か第3か知りませんよ。だけれども、明らかに劣るワクチンが、これは最初に出てきたら当然承認しましたよ。今のあなたの言ったとおりということで承認は当然だと思います。だけれども、前者より明らかに劣るものが出てきたときに、あなた自身、打たないでしょう。そういうことなのですよ。
 ということで、そういうものを承認していいのかなというところがあります。だから、もうちょっと待った方がいいのではないかなと思います。
○清田部会長 島田先生、部会長の清田です。劣る、劣らないの話は別としまして、申請があった単体に関してのワクチンの承認の水準は満たしているという解釈になりますので、ほかとの比較は運用の問題になりますので、この部会のマターではないのですね。これも御理解いただきたいのです。つまり、単体として通すか通さないか、これを御議論いただいて、この後のワクチン部会だとかそういうところのマターなのですね。ですから、先生、そこら辺は御理解いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○島田委員 私は理解しませんけれども、部会長の御意見には従います。
○清田部会長 ありがとうございます。
○説明者 もう一点よろしいですか。製剤の選べる状況であったら選ばないであろうという御意見をいただいたことに関しまして、本剤の製剤化の状況について1点御説明させていただければと思います。現在、全世界的なCOVID-19ワクチンのニーズの高まりによりまして、原料の輸出制限ですとか製剤の輸出制限というのも一部で問題となっているところでございます。本剤については、原薬は海外から輸入されておりますけれども、製剤化は国内の工場で行われておりますので、国内工場から出荷されるという状況でございます。
 また、近日中には原薬製造から製剤化まで全てを国内の工場で賄えるということを予定しておりまして、そのような海外からの輸出制限等の影響を受けにくいということは1点申し上げることができるかと考えております。御意見ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、山口先生、御質問があるようです。
○山口委員 ありがとうございます。
 今の島田先生の御議論は私もちょっと御質問したかったところでございまして、ちょっとEfficacyが他剤に劣るというところで、どういう形で御議論されたかというところは伺いたいところでございました。
 それは置いておいて、2点ほどお願いします。1点目は併合解析に関してなのですけれども、これはもともと予定されていなくて、海外の様式はそれぞれ独立で評価してという形だったと思うのですが、状況を鑑みて併合解析を計画されたということなのですが、ちょっとその全体の組織体制がよく分からなくて教えていただきたいのです。イベント数の確認とか全体のオペレーションやモニタリング体制はどういう形で行われたのかというのを教えていただけますか。あと、エンドポイント判定委員会とかも書かれていましたけれども、その辺の体制というのが1点目です。
 2点目が、こういったような併合解析をする場合に、やはり個々の試験の結果は吟味して、試験間の異質性とかその辺を含めて最終的にまとめていいかどうかという議論をするかと思うのですけれども、その辺の検討はされているかどうかというのが2点目です。
 3点目が、先ほどちょっと御議論がありましたけれども、CVST等々の有害事象に関してなのですが、今後、承認されて製造販売されていった場合にどういう形でのモニタリングがなされているかというところですね。特にレジストリとかワクチンとかはありませんので、そういった特にまれな有害事象等をどういう形で拾っていくのかというところ。その辺りを3点教えていただければと思います。
○清田部会長 機構、お願いします。
○説明者 御質問ありがとうございます。
 1点目の御質問は、イベント評価ですとかモニタリングの体制ということであったかと思います。
○山口委員 これは同時に4試験モニタリングしながら、例えばイベント数が解析に耐えるぐらいに達したとか、どこかがモニタリングとかをやられていたと思うのですけれども、その辺を含めてどういう体制でやられていたかを教えていただけますか。
○説明者 こちらは全ての試験について、同一の独立した委員会がイベント数の評価等を行っておりました。
○山口委員 その独立したというのはどこがやられていたのですか。アストラゼネカ社なのか、あるいは第三者機関みたいなところなのか。
○説明者 アストラゼネカではないです。アストラゼネカ社はオックスフォードの併合解析においては中間解析の結果の公表まで全く中身を見ていないという状況でした。
○山口委員 そうすると、試験に関係ない第三者の委員会なりが試験をモニタリングして、そこのオペレーションは適切になされていたという理解でよろしいですか。
○説明者 そのように判断しております。
○山口委員 分かりました。
○説明者 あとは、個々の試験の吟味ということでよろしかったでしょうか。
○山口委員 そうですね。これは試験間の吟味とか結果の吟味をしないで、最終的にモデル解析でちゃちゃっとやっているような感じなのですけれども、その辺り、こういったような統合解析はまずそもそも四つ一緒に解析していいかどうかという検討をしますよね。その辺りも含めてどのようになされていたかを教えてもらえますか。
○説明者 先生御指摘のとおり、今、併合解析に含まれました4試験のいずれにつきましても、現在まだ実施中ということで、個々の試験の結果についても最終的にはそれぞれ独立に評価をされる予定でございますけれども、いずれもまだされていないという状況です。
○山口委員 そうではなくて、解析するときに4試験の途中の結果を混ぜたわけですね。一緒にするということは本当に一緒にしていいかどうかという検討をこういったようなメタ解析ですと通常やるわけです。そこの部分の検討とかをどういうふうにされたのかが分からなかったので、お聞きしているところです。先ほどは運用的なところなのですけれども、今度、解析の妥当性というか前提の確認の妥当性、その辺はどういうふうにされたのかというところです。
○説明者 ありがとうございます。報告書の39ページを御覧いただければと思いますけれども、併合解析を行った経緯をこちらに記載しております。
○山口委員 書かれていなかったので質問しています。もちろん読んでいますので。書かれていなかったので伺いたかったのですけれども、もしあれだったら後でもいいです。とにかく確認したかったのは。
○説明者 機構から御説明させていただきます。
 今回の結果に関しましてですけれども、特に個々の試験の結果を見る前に、こちらの併合解析の成績については、併合した結果を見るということをまず決めて、併合した解析結果をある種検証的なものと捉えたいという形で、まずそれを第一にすると。つまり、通常のメタアナリシスのように各試験の成績を見てから、例えば試験の結果が似ているであるとか、そういう形を取るのではなく、ある種、検証性を大事にした併合解析として設定したといいますか、位置づけたいということで、早期の、つまりどの試験の結果も分かる前から併合した結果をプライマリーにするというような規定をされていたという状況です。
 ですので、試験の結果が分かってから併合を考えるというメタ解析とは少々異なる考え方をしていると、そのように理解しております。
○山口委員 ありがとうございます。
 結果的に本当にまとめてよかったという辺りはどういう評価なのでしょうか。
○説明者 先ほど申し上げましたとおり、個々の試験の結果はまだ出ていないところではありますが、併合解析の評価をする中で、国別の成績ですとか試験別の成績についても評価はしております。そちらを踏まえまして、特段問題はないものと判断しております。
○山口委員 当初の計画どおりの解析で妥当であると機構さんが判断されたということでよろしいですか。
○説明者 御指摘のとおりです。
○山口委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、宗林先生、お願いいたします。
○山口委員 先生、3点目、ごめんなさい。ちょっと引っ張ってしまってすみません。簡単にでいいです。
○清田部会長 どうぞ。3点目をやってください。ちょっと急いでいるもので、よろしくお願いいたします。
○説明者 CVSTのモニタリングについてということでよろしいでしょうか。
○山口委員 というか、それも含めて、レジストリとかはないわけですが、どういう形で今後、特に稀な有害事例を拾っていくかという、そこの方針とかその辺だけ教えてください。
○説明者 先生御指摘のように、ワクチンの接種に関しては、今、使用可能な大規模なデータベース等が国内にはない状況ですので、専門協議等の中では委員の先生からもそのような調査が本来できた方がよいという御指摘はいただいているところでございます。
 ただ、それがちょっと難しい状況ではございますので、国内では、先ほども申し上げましたとおり各学会の協力も得た上で製造販売後における副反応情報収集と評価等を行う体制を適切に構築いたしまして、また、本剤が使用される場合は公的プログラムの中で接種されることになり、被接種者の母数が把握可能な状況ということはございますので、そうした中で製販後情報の収集を確実に行うことによって、当該事象の発現状況の把握がある程度可能と考えております。
 また、海外において幾つかデータベース調査も予定されておりますので、そちらの結果も含めて継続的に評価したいと考えております。
○山口委員 ありがとうございます。引っ張ってしまいましてすみません。以上です。
○清田部会長 宗林先生、お願いします。
○宗林委員 この部会は有効性と安全性、両方を審議する部会だと認識しております。そして、有効性の方は諸外国が先に承認をしており、一定の有効性が確認されて承認をしているのだと認識しております。ただし、接種後の有害事象というのが各国より報告されておりまして、承認時には未知であった血小板減少を伴う重篤な血栓症が発生しているという事実は今日の御説明でもあったと思います。
 その結果として、例えばイギリスの年齢制限であったりとか、カナダ、ノルウェー、デンマークなどは、対応として今現在、接種を停止している状況だと聞いております。
 そうなりますと、安全性という観点から、日本で言えば承認後いろいろなことが起きるというようなことが大量に諸外国で使われた結果観察されていて、結果が出ている状態で、今、日本が無条件で年齢制限もつけず承認するということについては大変な懸念を持っています。
 それはどこが解決されればということなのですけれども、やはり接種後に注意すべき症状であったり、適正使用ガイドの中にあるものもそうですし、あと添付文書の中にも血小板減少症あるいは血栓塞栓症のリスク因子がある人についてというような書き方になっておりまして、それが何なのか、どういう判断を簡単にできるのかということが分からないことと、一般消費者が例えば集団接種会場で接種することもあり得ると思いますと適正使用ガイドに書いてある、先ほど橋本先生のお話にもありましたけれども、持続的な頭痛とかそういう形で起こった場合に、自分でももしかしたら副反応かもしれないという気づき、あるいは普通にいつも風邪でかかっているかかりつけ医に行ったときに判断できるのでしょうか。3の血小板減少症を伴う血栓症のところの特に本剤接種後の注意すべき症状というところは、いろいろなことが書いてあって、おなかが痛くなったり等も書いてあるのですが、これによって一般国民も気づきにくく、また、最初に橋本先生のお話であったように治療方法が、血栓症があるからヘパリンを打てばいいということではなく、免疫グロブリン大量投与等違う対応をしなくてはいけないと書かれていますが、それがしっかりしていない。まだガイドラインとか治療指針がしっかりしていないというようなことです。副反応の判断基準であるとか、あとは指針がもうしばらくでできるのであれば、このアストラゼネカについては、その時点で使用を開始するというか承認をするというような選択もあるのではないかと思っています。
 というのは、ファイザーについては、合わせて2億回分ぐらい入ってくる予定になっていると聞いていますし、それから、今回の次の案件でありますモデルナについても5000万回分ぐらいの数字が入ってきていると書いてございますので、16歳以上の方が打つには十分な量が確保できる可能性が高いのではないかと思います。ということであれば、副反応に気づき治療がきちんとされることを担保するまではワクチンの安全性の問題として捉え、ほかのmRNAのワクチンを選択するというのがより正しいのではないかなと。私は一般国民としても心配でしようがないところなのですけれども、今までのアナフィラキシーのようなものはもうある程度対応がしっかりされていますが、今回の場合はそれがないので大変心配です。であれば、それがしっかりするまでは、代替のmRNAのワクチンがあるので、そちらを使っていただきたいと私は思います。
 以上でございます。
○清田部会長 宗林先生、ありがとうございます。
 これは先ほどの島田先生の御意見とちょっと似たようなところがあろうかと私も理解しておりまして、この単体でどうするのかと、これを今議論していますので、ここをまず御理解いただきたいのです。それがまず一つです。
 それから、ガイドラインに対しては、先ほど橋本先生などが既にお知らせいただいた指針をいただいておりますので、それは多分、厚労省を通じて広くアナウンスされる。血栓症に対する指針ですね。それは既に私が関係する学会でもいただいておりますので、そこら辺はそれほど心配されなくてよろしいかなというのが私の意見です。
○宗林委員 すみません、座長、言い方が悪かったかもしれませんけれども、ほかのワクチンでというよりは、このもの自体、アストラゼネカのワクチン自体の安全性についてまだ今のこの時点では全体の接種に用いるにしては問題があるのではないかというのが私の意見です。
 それから、ガイドラインとか指針があるというお話ですけれども、これを周知したり、集団接種会場で展開し国民がそれに気づくところまでしっかりしないと、諸外国の先進国で起きたことが再発してしまうと私はとても心配だということで御発言いたしました。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。御意見として承っておきます。
 課長から。
○医薬品審査管理課長 宗林先生、貴重な御意見をありがとうございます。
 安全性の面で御懸念をお持ちであるというのはおっしゃるとおりだと思いますが、橋本先生もおっしゃいましたとおり、2学会の方からしっかりとした診断、それから対処方法の指針というのは既に私どもにも提示いただいておりますので、その辺りは実際に診断される先生、あるいは国民の皆様に対しても今後、厚労省としてしっかりと周知をさせていただきたいと思っております。それが、例えばしっかりと周知されるという形になった段階で実際に使うようになるというのはあり得るのだろうと思います。
 薬事の承認は個別のもの、そのものの有効性と安全性の判断であり、それを実際に使うかどうかというのはまた次のステップで、先生御案内のとおり厚生科学審議会の方でどういう使い方、どういう環境整備をするのかというのはまた別の御議論があると考えております。出来れば、使うようにするのかしないのかという御議論はそちらの方にお任せするというやり方もあろうかと思いますので、薬事における評価は、個別のものとしての有効性と安全性として承認できるのかどうか、ベネフィットがリスクを上回るかどうかという個別判断なのだろうと思っておりますし、諸外国におきましても、薬事においては特段の制限は加えておらず、個別の予防接種の事業といいましょうか、そちらの方での対応というふうに区別がなされているということは判断において御参考にしていただければと思っています。
 以上です。
○宗林委員 課長、私も承知しています。これ単体としても、今現在の情報の中では安全性が大変懸念されるということを最終的には意見として述べたいと思います。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、川上先生、よろしいですか。
○川上部会長代理 川上です。
 別の話になりますけれども、添付文書案の2ページ「14.2 薬剤接種時の注意」についてです。14.2.2のところで、接種部位は「アルコールで消毒すること」とアルコールの指定がございます。実際にはアルコールが使えない方が一部おられます。また、既に承認されていますファイザー/ビオンテックのワクチンの添付文書やこの後審議しますモデルナのワクチンの添付文書案にはこういったアルコールの指定がないので、本剤でもあえてアルコールの指定はなくてもよいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○説明者 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
 先生御指摘の記載、アルコールによる消毒につきましては、消毒の必要性についての一般的な注意事項でございまして、本剤について、実際の運用においてファイザーですとかモデルナ社のものと特段違いはないものと考えております。最近承認されました品目ですとか、ファイザー社の別のワクチンも含めて多くのワクチンの添付文書で同様の記載がございまして、アルコール過敏症の方についても、実態として問題になってはいないと理解はしておりますが、先生の御指摘を踏まえまして、混乱を避けるために、ファイザー、モデルナと統一した記載とするよう指示をしたいと考えております。
 なお、厚生労働省がホームページで提供している医療従事者向けのリーフレットにおきまして、接種前にアルコール消毒をする旨ですとか、アルコール過敏症の方への対応等を記載されておりますので、そのような添付文書記載とすることでファイザー社のコミナティと同様に適切に対応可能と考えております。
○川上部会長代理 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、大隈先生、いかがでしょう。
○大隈委員 大隈です。一つ質問させてください。本製剤はウイルスベクターですので、投与後の残存が気になります。この残存はやはり製剤の有効性とか副作用にかなり影響するかなと考えています。実際、非臨床試験において生体内分布が確認されておりますけれども、一応、減少傾向はあるということですが、これが完全になくなるのかとか、そういう確認はされているのかとか、もし追加でデータがあったり今後の予定があったら教えてください。
 以上です。
○説明者 御質問ありがとうございます。
○説明者 機構よりお答えいたします。こちらは先生御指摘のとおり、生体内分布という形で本剤をマウスに打った後の各臓器への分布や消失等を確認してございます。それはPCRでDNAを確認しているのですけれども、接種後29日までという期間があるのですが、経時的に確認を行っておりまして、消失、なくなったというところまでは確認できていないのですけれども、低下傾向が認められていたというところと、本剤の特徴として生体内では増えないという特徴を持っておりますので、このままなくなっていくというふうに推測しているところでございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○大隈委員 示されたデータですけれども、一応これぐらい残っていても大丈夫というような考え方もあるのでしょうか。
○説明者 そのように判断してございます。
○大隈委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、横幕先生、お願いいたします。
○横幕委員 よろしくお願いいたします。
 まずは、先ほどの御質問と少し関連するかもしれないのですけれども、御説明いただいた資料の中で、投与間隔による有効性が相違、また、報道を含め1回目に少量接種、2回目通常量接種の方が有効性が高いとされたこと、また、2回目接種後の方が有害事象の発現が少ないことについては、我々が現在使っているmRNA型のワクチンとは少し違う事象の現れ方をしています。これは、このウイルスベクターワクチンでチンパンジーまたはヒューマンのアデノウイルスベクターを使うときに、それに対する免疫の応答が起こったことによってこの相違が説明し得るのではないかと思うのですけれども、何かデータがありますか。また、mRNA型のワクチンについてもやはり追加接種が今後必要な見込みを考えると、こういったウイルスベクターワクチンを使うときに3回目、4回目の追加接種が可能かどうか、何かそういった知見があるかどうかを教えていただければと思います。それが1点目です。
 2点目として、これはまたワクチン分科会にというお話かもしれませんがお尋ねします。例えば私はエイズの診療に従事していますがHIVだと3割でも効けば御の字だと言われながらワクチンが全然できない状況です。その状況とは異なり、新型コロナウイルスに対しては、非常に高い効果のあるワクチンが一方で、それよりも有効性が低いと考えられるワクチンが出てくるというとき、それが逆に変異を誘導することによって今有効な非常に大切にしなければいけないワクチンの効果を損なうようなウイルスを誘導する可能性があるのではないかと思っております。今、各国で新型コロナウイルスのパンデミックが問題になっている国で、中国製のものも含めて同じタイプのものが使われていたということがひょっとすると関連しているのではないかと危惧するところはあります。
 先々の議論かもしれませんが、このワクチンを使う対象としては現状であるならば、やはり今のmRNA型のワクチンが何らかの問題で使えない方について対象を絞るとか、そういった対応が適切ではないかと思っております。それが薬事の承認の中でやるべきなのか、ワクチン分科会でやるべきなのかも御教示いただければと思うのですけれども、そういった変異という観点で少しワクチンの使用対象を絞る議論が必要ではないかと考えまして、少し意見とともに御質問させていただきました。
 以上になります。
○説明者 御質問ありがとうございます。
 まず1点目に関して私の方からお答えいたします。先生の御質問は、まずは接種間隔が延長することによってVEが変わることと関連して、3回目、4回目接種が可能であるかという御質問でよろしかったでしょうか。
○横幕委員 ウイルスのベクターそのものに対する何らかの免疫応答がそういった事象にもし関連しているとすると、ひょっとすると3回目、4回目接種したときに、ブースターの効果が得られなくなるようなことが想定されるのかを伺いたいのです。
○説明者 ありがとうございます。
 審査報告書の87ページを御覧いただければと思います。本剤の海外併合解析に含まれました試験の一部におきまして、有効性の併合解析の解析対象からは除外をされたのですけれども、過去に同じアデノウイルスベクターワクチンを接種したことがある被験者の群も設けておりまして、その群での成績を予備的に評価しております。こちらにおきましては、本剤の初回接種後の抗体価は、初回接種後に投与経験のない方に比べると高いという結果は出ていたのですけれども、2回目接種後の抗体価につきましては、被験者間で類似していたということで、影響はほとんど受けないということが示唆されております。ただ、非常に人数も限られますし、今後、引き続き検討が必要とは考えております。
○清田部会長 部会長の清田ですけれども、ど真ん中の回答ではありませんが、お答えをする材料が多少足りないかなと思っています。
○医薬品審査管理課長 2点目の御質問ですけれども、先生御指摘の内容は、こういうワクチンをどのように使うのか、あるいはほかのワクチンがある中でどのように使うのか。まさにそれは公衆衛生の観点から考えるべき事項でございますので、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会で御議論いただくべき内容だと考えておりますので、先生の御懸念についてはそちらの方に私どもの方から伝えさせていただければと思います。どうもありがとうございます。
○横幕委員 ありがとうございます。
○清田部会長 では、南先生。
○南委員 ありがとうございます。
 重複する部分もあるのですが、まず、ほかのワクチンとの比較はcross trial comparisonになりますので、この場ではふさわしくないだろうと私も思います。個別にこのデータを見る限り、やはり副作用の観点の懸念が若干あります。まず質問ですが、このワクチンは公的接種の枠組みの中で使われるという理解でいいでしょうか。
○医薬品審査管理課長 そのこともまた、ここでもし御了解いただければ、次の部会の方で御審議いただく内容だと思います。
○南委員 分かりました。多分そうなるのだろうと思うのですが、公的接種の枠組みの中で使われるのであれば、恐らく今まで議論があったような、どのワクチンを優先的に使うかという問題点はコントロールできると思うのですが、逆に情報公開が大事になってくると思います。被接種者はワクチンを選択できないことになるわけですから、ぜひ十分な情報公開をして、御納得いただいた上で打っていく必要があるだろうと思います。その意味で、公的接種する場合にはワクチンの名前をぜひ御本人さんにお伝えする、あるいは紙でお渡しするという作業をしないと、開業医の先生に頭が痛いと受診したときに本人がどのワクチンを打ったかということが伝わるような体制を構築していただきたいと思います。ですので、十分な情報公開と、御本人へのワクチン名の情報伝達をお願いしたいと思います。もう一点、今まであまり議論されていなかったのですが、血栓症が女性あるいは若年者に多いということが言われていて、一応審査報告書の中ではまだ件数が少ないので確定的なことは言えないということになっているのですが、ただ、数字上は多くなっています。これは添付文書で書き込む程のデータではないかもしれませんが、これが公的接種から外れて自由に接種できるようになった場合のことも考えて、情報公開、情報の伝達をぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。
○医薬品審査管理課長 先生、どうもありがとうございました。薬事部門、それから健康局サイドと両方、先生の御指摘を真摯に受け止めまして、必ず対応させていただきます。どうもありがとうございます。
○南委員 私は、副反応と効果を考えた場合、見劣りはするかもしれないけれども、承認に値するだろうと考えています。ありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 補足させていただきます。販売名といいますか、どれを打ったかということは必ず接種者の方に情報が行くというシステムになっておりますので、そのことは付け加えさせていただきます。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、議決に入りたいと思います。
 議題1につきましては、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員におかれまして、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 それでは、議題1について、承認を可としてよろしいでしょうか。
○宗林委員 すみません、座長、一つ確認したいのですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○宗林委員 ほかのワクチン分科会とか副反応部会とかがあると思いますけれども、何をここから申し送りしていただけるのか、確認をお願いできますか。今懸念していることが、安全性についてちゃんと治療方法が確認できるかとか、私も心配していることがありますし、ほかの先生方もあると思うのですが、それをほかの部会に対してどういうふうに申し送りをするというようなことはありますか。
○医薬品審査管理課長 本日の報告書の内容とか、あるいはどんな議論があったのかということにつきましては、至急まとめまして、次のワクチン分科会の方にお伝えしたいと思っております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 分かりました。一応、全体が伝わるということですね。
○医薬品審査管理課長 そうですね。主にどんな御議論があったかということについて簡単なサマリーをつくらせていただきまして、それをお伝えしたいと思います。私ども部局もその会議には参加いたしますので、どんな議論があったのかということは責任を持ってお伝えしたいと思います。
○宗林委員 本当に一人一人の国民の意識の差とか知識の差も大変大きな差がありますので、この先、皆さんが副作用で何か大きなことが起こらないように、よろしくお願いします。
○清田部会長 先生の御意見は確実に伝わると思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議決に入りたいと思います。議題1につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題3につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 尾内参考人、岡田参考人、草野参考人、橋本参考人、本当にありがとうございました。
 それでは、議題2及び議題3に移ります。議題2及び議題3の一部に関しましては、機構及び事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○説明者 議題2、COVID-19ワクチンモデルナ筋注の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
 資料No.2のフォルダを開き、「【資料No.2★審査報告書【COVlD-19ワクチンモデルナ筋注】」のファイルをお開きください。ページ数が全部で72ページであることを御確認ください。同じファイル名で末尾に別添とついているファイルがありますので、お間違えのないようお願いいたします。
 本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の72分の幾つの数字を使用いたします。なお、説明する報告書のページについては、先ほどと同じようにWebEXの画面にも共有いたします。
 本品目は、医薬品医療機器等法第14条の3に規定された特例承認に該当する品目として取り扱いました。本剤については報告書に記載しておりますので、本剤の説明は割愛させていただきます。
 本剤は、2021年4月30日時点で39か国及びWHOで条件付き承認または緊急承認の承認を取得しています。
 本品目の専門委員として、資料No.5、2ページに記載の9名の委員を指名いたしました。
 本剤の有効性に関しては、主にCOVID-19の発症予防効果を評価した海外第III相試験(以下、海外301試験といいます)及び日本人の安全性と免疫原性を評価した国内1501試験(以下、国内試験といいます)の二つの成績に基づき審査をいたしました。
 33ページを御覧ください。3行目「有効性について」に記載のとおり、海外301試験では、COVID-19の発症予防効果を検討することを目的として、主要評価項目に、治験薬1回目接種前にSARS-CoV-2感染歴のない被験者における、治験薬2回目接種後14日以降に発症したCOVID-19確定例に基づくVaccine Efficacy(以下、VEといいます)を設定し、有効性が評価されました。COVID-19確定例の定義は、三つの箇条書きで記載したとおり、判定委員会により判定評価された症例となります。
 中間解析におけるVEは表16、右から2列目、94.5%であり、両側99.1%信頼区間の下限は事前に規定された有効性基準である30%を上回り、本剤の有効性が示されました。また、表17、COVID-19確定例が196例集積した時点で実施された主要解析におけるVEは94.1%でした。
 続いて、国内の免疫原性の結果について御説明します。40ページを御覧ください。ページ中ほど、表24に、国内試験における抗体価の測定結果を示しています。年齢層によらず、本剤群ではSタンパク質特異的抗体価及び中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)の顕著な上昇が認められ、Sタンパク質特異的抗体価のGMTは約800でした。これに対して、国内試験と同一の方法で各抗体価を測定し、値を比較可能な海外301試験のSタンパク質特異的抗体価の結果が追加で提出されました。63ページを御覧ください。表33、海外301試験におけるSタンパク質特異的抗体価のGMTは高齢者で600強、非高齢者で750弱でした。年齢層によらずGMTが800以上であった国内試験の結果は、海外301試験と比較して同等またはそれ以上の値であり、日本人においても海外試験成績と同様の免疫応答が認められることが示唆されました。
 以上より、機構は、海外試験成績から本剤のCOVID-19発症予防効果は示され、日本人においても非日本人と同等の免疫原性が確認されたことから、日本人においても海外301試験と同様の有効性が期待できると判断いたしました。
 続いて、変異株に対する本剤の有効性について御説明いたします。43ページから始まる「7.R.2.4 変異株に対する有効性について」の項、主な結果は44ページ中ほど「変異株に対する」から始まる段落に記載しています。ここに記載のとおり、イギリス株B.1.1.7系統、南アフリカ株B.1.351系統及び追加でデータが提出されましたが、インドで新たに拡大中のB.1.617系統等に対して中和活性が認められました。インド株の結果は65ページ、上から3行目に記載しております。このように、種々の変異株に対して本剤は一定の有効性が期待できると考えております。ただし、機構は、申請者に対して、製造販売後においても変異株に対する有効性や変異株の流行状況について引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には情報提供するなど、適切に対応するよう求めております。
 また、長期の有効性についても、41ページの表25に中和抗体価の結果、また、64ページの中ほどに海外301試験の主要評価の解析対象とは異なる集団ではありますが、追跡期間の中央値が約6か月の、2回目接種14日目以降のCOVID-19発症例の成績が提出されております。64ページ中ほどですが、発症例は、本剤群70例、プラセボ群759例であり、予防効果がおおむね持続していると申請者は説明しています。しかしながら、本剤の長期の有効性に関する情報は現時点では限られていることから、機構は申請者に、引き続き可能な範囲で情報収集することを求めています。
 続いて、本剤の安全性について御説明いたします。臨床試験では、治験薬接種後7日間、特定有害事象として、ワクチン接種による特徴的な局所反応及び全身性の事象が、被験者日誌を用いて収集されました。34ページ、表18、海外301試験の結果を御覧ください。海外301試験においては、本剤接種後、多くの被験者で注射部位疼痛、疲労、頭痛などの事象が認められ、また、1回目接種後よりも2回目接種後で発現割合の高い事象が認められました。この傾向は国内試験でも同様でした。国内試験の結果については、27ページ、表12に示しております。国内外の臨床試験における有害事象は、そのほとんどが軽度または中等度であり回復性が認められていること、国内外の安全性プロファイルに大きな差異は認められていないことなどから、現時点では、重大な懸念は認められていないと判断いたしました。
 ショック・アナフィラキシーについては、51~52ページ、7.R.3.2.1項に記載しています。国内外の臨床試験において、治験薬接種との因果関係が否定できないアナフィラキシーは認められませんでした。しかしながら、海外における製造販売後の情報を踏まえ、添付文書において注意喚起するとともに、接種前には過敏症の既往歴等を確認し、接種後一定時間は被接種者の観察を行う旨及び異常が認められた場合には速やかに適切な処置を行う必要がある旨を情報提供する必要があると判断しました。加えて、医療従事者または被接種者向けの各情報提供資材においては、帰宅時や帰宅後の体調の変化にも留意する必要があることを情報提供する必要があると判断いたしました。
 また、臨床試験で認められた有害事象は忍容可能であるものの、Grade 3以上の全身性の事象が一定の割合で認められており、これらは日常生活に影響を及ぼす可能性があり、被接種者にとって重要な情報となります。
 51ページ上段「機構は」から始まる段落以降に記載のとおり、本剤接種後に見られる全身反応は日常生活に影響を及ぼす可能性があること、1回目接種後より2回目接種後で発現割合が高い事象が認められていること、また、遅発性局所反応については、1回目接種後に発現した場合でも2回目の接種が可能であることについて、医療従事者や被接種者に情報提供する必要があると判断いたしました。
 以上より、本剤の安全性に関して、臨床試験及び海外の使用許可後または製造販売後の情報から、適切な注意喚起・情報提供の下で使用されることを前提として、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。しかしながら、本剤接種後長期の安全性データは今後得られること、また、本剤は国内外で多数の人に接種され、多くの市販後情報が蓄積されることから、今後も継続的な安全性評価が必要と考えています。
 最後に、本剤の品質審査に関してですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ことなどから、品質管理に関して、今後検討することになっている事項が何点かあります。しかし、世界各国で本剤の製造販売承認申請が行われており、現時点で管理の変更は困難であること、海外市販用製剤のロット分析結果からロット間の一貫性が認められていることなどから、本剤を速やかに供給する必要性を考慮し、検討中の内容は、承認条件を付して承認後に対応することで許容可能としております。
 総合評価について、67~69ページに記載しています。
 機構は、総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会は報告を予定しております。
 議題2の御説明は以上となります。
○清田部会長 続きまして、議題3について御説明をお願いします。
○事務局 続きまして、再度、議題3について御説明させていただきます。
 資料3-2を御覧ください。こちらではコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)の改正を行うものです。
 参考資料1-2として、先ほどと同様に「検定基準の一部改正について」をつけておりますが、こちらも同様に議題2に伴って所要の改正を行うものとなっております。
 こちらについても、本部会の後、薬事分科会に報告を予定しております。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○事務局 事務局より追加で御紹介させていただきます。
 本議題では、岡部参考人、濱田参考人にお越しいただいております。
○清田部会長 まず、参考人のお二方のうち岡部先生から御意見をお願いいたします。
○岡部参考人 岡部です。どうもありがとうございます。
 協議会をやったときに機構の説明についてはいずれも機構の考え方に同意をするという返事をしております。ワクチンとしてはmRNAワクチンなので、今、その前に議論のあったワクチンとは異なって、既にファイザー社/ビオンテックのを使われていますので、もうほぼ同じコンセプトで作られたものなので、ほぼその効果、安全性も同様であるというように考えられました。
 このワクチンが承認に値するかどうかというところでは、私はこれは使い得るワクチンであるというふうに思って、これの承認には賛成の意見で本日臨みました。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、濱田先生、御発言をお願いいたします。
○濱田参考人 東京医大病院の濱田でございます。私もこの審査に加わって機構の意見に全て同意いたしました。
 ファイザー/ビオンテックのワクチンと違う点はほとんどないといいますか、有効性あるいは安全性についてもほとんど同じなのですけれども、2点ちょっと違う点を申し述べます。まず、遅発性の局所反応というものがこのモデルナのワクチンの場合には、主に1回目接種して8日目ぐらいからおきます。そういった副反応が4月の初めに『The New England Journal of Medicine』にも報告されました。これはそんなに重篤化しません。国内の臨床試験でも見られているのですけれども、1%ぐらいですか。2回目の接種をほとんどしておりますので、そういったものが出ることがあるということは、ある程度医療従事者なりに知らせた方がいいのかもしれません。ワクチンを受けられる方もそうです。
 もう一つ大きな点は保存だと思います。ファイザーのワクチンはマイナス70℃で保存なのですが、これはマイナス20℃で6か月もって、しかも、1か月間2~8℃で保存ができる。それから、1バイアルに10回分入っているということで、大規模接種をする場合には非常に有効なワクチンになるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局からお願いします。
○事務局 事前に委員から御質問いただいておりますので、事務局から回答させていただきます。
○事務局 事前に石井委員より御意見をいただいております。
 まず、議題3の生物学的製剤基準の方についてですが、今回のモデルナ社のワクチンの収載に当たり、ファイザー社のワクチンで定められていたときにあった試験項目が一部削除されていると。こちらについて、生物学的製剤基準に各条が定められる意義は、各製品における重要な品質特性が明示されることにあると考えるとすると、削除ではなく併記としておき、各製品の管理戦略に応じた試験項目の選択を可能とすることが適切ではないかといった御意見をいただいております。
 また、審査報告書に記載のあるとおり、○○○○○○○○○○○○○は本品の品質を評価する上で重要な項目と考えられるため、本品において製剤の規格及び試験方法の設定について引き続き検討されることや、ほかの製剤の規格及び試験方法なども踏まえ、○○○○○○○の試験項目の収載についても検討する必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
 こちらについては、今回、短い期間でミニマムリクワイアメントとしての基準として検討させていただきましたが、新しいmRNAワクチンであって、ほかのモダリティよりも蓄積が少ないということも確かですので、先生からいただいた御意見も踏まえて、今後きちんと検討していきたいと考えております。
 もう一点、同じモデルナのワクチンについてですが、有効成分に関して、ファイザー社のワクチンの方ではトジナメランという一般的名称が取得されていたが、本品では国際一般名や日本医薬品一般的名称が取得されていないことについて、本品目のタイムラインにおいては一般名の取得ができていないことですとか、そういったことについては致し方ないと考えられますが、安全性情報の適切な収集や解析の観点から、一般的名称が定められることが望ましいと考えられること。そして、意図した有効成分の構造が明らかであることから、医薬品の本質として構造情報が開示されることが望ましいと考えますといった御意見をいただいております。
 こちらについて、今後の方針についてどうなのかといった御意見ですが、短い期間で処理するに当たって、一部、一般的名称が取得されていない面とかはありますが、こちらについても新しいモダリティのワクチンということで、ほかの生ワクチンとかそういったものと性質が違ったりということで、少し検討ができていないところもありますけれども、今後、望ましい形で様々示していけるようにしていきたいと考えております。御意見を踏まえて適切に考えていきたいと思っております。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、川上先生から御質問があるようです。川上先生、お願いします。
○川上部会長代理 川上です。
 添付文書の注意事項の記載について質問させてください。
 1ページの「2.接種不適当者」の2.3に「本剤の成分に対し、重度の過敏症の既往歴のある者」とありまして、その下、3.2の組成を見ますと、添加剤の四つ目の成分がポリエチレングリコール類に相当すると思います。ただ、これだけの説明では、部会長をはじめ、この部会の先生方も、ポリエチレングリコール類に過敏症を持つ方がこの薬剤を使っていいかどうかは大変分かりにくいと思います。例えば、「8.重要な基本的注意」の中で、ポリエチレングリコール類に過敏症を持つ方には注意してくださいと明示的に書くことはいかがかなと思うのですが、お考えを聞かせてください。
○清田部会長 お願いします。
○説明者 御指摘ありがとうございます。まず、ポリエチレングリコールが含まれているという情報は、適正使用ガイド、被接種者向けの資材に書いてあるので、そこで情報提供すればよいのではと考えていましたが、先生の御指摘を踏まえまして、添付文書の組成の項の成分名にポリエチレングリコールが含まれることが分かる記載を追加するよう、申請者に指示しようと考えております。具体的には、この添加剤の上から四つ目の成分名の後ろに括弧書きで「PEG2000」という文言を入れることによって、ポリエチレングリコールが本剤にも含まれているということが分かると思います。
 重要な基本的注意の項につきましては、現時点ではアナフィラキシーの原因がポリエチレングリコールであるということが確定はしていないということもありますので、成分分量欄に追記することをもって今回の対応とさせていただきたいと考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○川上部会長代理 分かりました。ありがとうございました。よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、島田先生、御質問があるようです。よろしくお願いします。
○島田委員 やはりこれは前のものとどうしても比べてしまうのですけれども、圧倒的に優れていると思います。VEも約95%ですか。それで要するに変異株に対しても一定の効果を示しているというので、やはりこれは一緒に審査されるのはちょっと酷かなと。議長の御意見には従いますのでこれ以上は言いませんけれども。
 あとは、用法・用量で間隔なのですけれども、ファイザーはたしか3週間でやっていて、これは4週間なのですね。もう一方のアストラゼネカは4~12週と各ワクチンによってかなり間隔が違うので、ここら辺はもうちょっとはっきりとおっしゃっていただいた方がいいのかなと。これはどれぐらいのエビデンスがあるのか知りませんけれどもね。3週と4週でどう違うとかね。アストラゼネカさんは長く置いても抗体価がびゅんびゅん上がるというような特殊なワクチンかなと思いますけれども、その辺をもうちょっとしっかりと明示していただければと思いました。それだけです。
○清田部会長 ありがとうございます。
 これは大丈夫ですね。承知したようですので、どうもありがとうございました。
 中野先生、御意見があるようです。
○中野委員 手短に参ります。私は、川上先生の御質問で大体クリアされたので大丈夫なのですが、おっしゃられるとおり、アナフィラキシーとかアレルギーがまだポリエチレングリコールが原因とは決まっていないと思います。ただ、当初、CDCの発表をはじめポリエチレングリコールという成分がクローズアップされたがために、ポリエチレングリコールとかポリソルベートという言葉がはっきりと使われて、ファイザーのワクチンの添付文書、さらにはアストラゼネカのワクチンにもポリソルベートというのが添付文書に書いてあるのですが、今回このワクチンに全くポリエチレングリコールというのが、一般の方が御覧になってちょっと分からないなと思ったのです。確かに適正使用の手引きのQ&Aには2行、2Q&Aぐらいに書いてはあるのですが、これは添付文書に追加していただけるということなので、非常にクリアでしたので、私の方は解決しました。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、宮川先生、お願いします。
○宮川委員 有効性、安全性については問題ないのですけれども、もともとこの審議会の性質として発言させていただきます。製造とか品質の問題ということなのですけれども、現在、後発品で問題になっている製造及び品質管理の観点から考えると、11ページに書いてあるとおり、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○から、現時点で規格値を変更することは困難であるが云々と書いてあります。このような状態で本当は承認していいのかどうか。薬事承認という中でこのようなことが企業の製造責任に対する考え方を明らかにしていかないといけないと考えます。先ほど機構からもお話がありましたけれども、そういう問題はしっかりしなければいけないということが一つ。
 それから、9ページのように、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、こうした製造や品質の課題を解消するまでには、本来からすると承認するべきではないわけです。本来は、当面は国が責任を持って設置するような集団接種のみに限定せざるを得ない。このような文言がこういうところに書かれてしまうということは、本来からすると企業の製造責任は非常に重いと考えざるを得ないと思います。
 それから、12ページのように、○○○の規格ということに関しても、今後見直す予定でありと、それも○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○状態である。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのは本来からすると前代未聞なことなのだと認識しています。これは緊急事態というようなことを言って、認めるということはよく分かりますけれども、薬事承認の審議の中では、非常に問題があるということは委員の先生方も知っていただきたいと思います。本来ではないという前提の中で有効性、安全性ということだけを論議して語っていくのは問題です。薬事承認として本来的ではないなということで、今後、使用されるのであれば、国というところの責任においてやっていくべきであると考えます。問題点があったときに、どこが責任を取るのかということについてはつまびらかになっていかないといけないのではないかなと思って発言させていただきました。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 機構から。
○説明者 機構からお答えいたします。
 先生のおっしゃられるとおり、適切な安全性、有効性を担保するような品質管理を求めるべきなのですけれども、今回は3月に申請をされてから時間がなかったこともありました。世界中に供給しながらの審査なので、日本のためだけに規格を狭めさせることが困難な面がありました。実際こういうふうに書くと皆さん心配されるかと思いますが、実際のデータは、日本向けの製造所のロット数はあまり多くないですがいくつか確認しており、また、実製造スケールとして米国向けの製造所のロット分析結果は多く確認しており、非常に一貫した狭い範囲の実測値でした。なので、規格幅は広いが、実際はとても狭い範囲のロット分析結果が示されておりました。あと、品質管理は、欧米の管理と全て同じか日本の方が厳しくさせている部分もございます、特に、○○○○は日本向けに管理を追加させており、現時点で条件を付して承認することは可能と考えております。
○宮川委員 分かりました。そういう条件をしっかりとしていくのが、本来の薬事承認の在り方であるということはしっかり認識していかないといけないのだろうと私は一委員として思います。
 以上です。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。
 まさに御指摘のとおり、これはいわゆる特例承認という形になってございますので、そういう通常とは若干異なるところはありますが、その中でも見られる範囲内で品質は十分確認しておりますけれども、建て付けとしてはそういう部分があるということは御認識いただいた上での扱いだということで御理解いただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。
 議題2につきましては、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことといたします。
 それでは、まず議題2につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続けて、議題3につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 岡部参考人、濱田参考人におかれましては、本当にありがとうございました。
 本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か御報告がございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は5月28日金曜日午後2時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、今日はこれで終了とさせていただきます。本当にありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)