第162回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年2月26日(金)11:00~12:00

場所

厚生労働省 厚生労働省職業安定局第1会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)
厚生労働省 厚生労働省職業安定局第2会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階)

議事

議事内容
○阿部分科会長 それではまだ定刻より若干早いですが、ただいまから第162回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆さん声は聞こえておりますでしょうか。本日も大変お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。まず本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の太田委員、桑村委員、玄田委員、労働者代表の梅田委員、勝野委員、柴委員、使用者代表の今木委員が御欠席と伺っております。本日の分科会ですが、Zoomによるオンラインでの開催となっております。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付している「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますようよろしくお願いいたします。それでは議事に入りたいと思います。まず議題1ですが、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱についてです。こちらは本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。それでは資料につきまして事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 総務課長の蒔苗でございます。私のほうから年度末の雇用保険法施行規則等の改正について御説明申し上げます。資料でいきますと1-1が要綱で条文が書いてありますが、本日は資料1-2「概要」のほうを用いまして、御説明申し上げます。
資料1-2「概要」の1ページ目をお開きください。今回御説明する省令は全体で雇用均等分科会及び人材開発分科会にもお諮りしており、たくさんありますが、アンダーラインを引いている部分が今日諮問いたします安定分科会関係です。全部で9本あります。
最初が労働移動支援助成金です。こちらについては、早期雇入れ支援コースというのがありまして、離職後3か月以内に、いわゆる期間の定めのない雇用として労働者の方を雇い入れてくれた事業主を支援するためのもので、今まで40万円でしたが、それに今回新たな制度を付け加えまして、新型コロナの影響で離職した45歳以上の方を離職前と異なる業種、いわゆる他業種で受け入れた場合に更に40万円を加算するという拡充です。雇い入れた場合には事業主の方に合計80万円の支援を行うということになっております。それが1点目です。
2点目が高齢者関係でして、65歳超雇用推進助成金です。こちらは当分科会でも御議論いただきましたが、この4月から高齢法改正になりまして、枠組みが変わりますので、それに伴いまして助成金のほうの見直しを行ったものです。
資料3ページですが、こちらのほうに現行制度がありまして、3ページの2-(1)、3つポツを書いておりまして、3点改正事項あります。1点目がいわゆる60歳以上の被保険者の区分。これまで1~2、3~9、10人未満とマトリックスが3つに分かれていたのですが、これを統合するというものです。
2点目は今まではグループ内企業の継続雇用制度ということでしたが、この4月からは他社による継続雇用制度導入とありますので、それに対する支援。
最後は支給申請を行う事業主の方の負担軽減の観点からの見直しの以上3点です。
まず1点目、4ページです。こちらは区分が3区分あったものを2区分に見直すというものです。その見直し理由については、まず1点目は、60歳以上の被保険者の方が1人から2人という少人数であっても、事業主の方が助成金の支給対象経費、就業規則作成したりですとか、社労士の方に委託するという手間はそれほど差がなく、同じような負担であること。実際に定年延長等行った場合の将来的な事業主の賃金負担を考慮した場合に、相対的にですが、1人から2人の区分の方の負担が大きくなっているということから、そこを底上げするという観点から2区分に見直すものです。最後、企業の方にも3区分より2区分のほうが分かりやすいということで、今回見直しを行っております。それが1点目です。
2点目は他社による継続雇用制度導入です。4ページの3の部分です。こちらについては、今回4月から他社による継続雇用制度が可能となりますので、他社において高齢者の受入れに係る環境整備が行われ、選択肢が追加されるということを踏まえまして、助成制度を創設いたします。具体的な中身といたしましては、送出し側が受入れ側の就業規則改正などの必要な経費の全てを負担した場合に、送出し側が要した費用の2分の1を助成するというものです。実際には上限額決まっておりまして、そこにありますように引上げ幅によって5万円から15万円という上限が設定されております。
3点目は支給申請を行う事業主の負担軽減の観点から、助成金の支給手続から就業規則等の確認に関する事項を削除するという改正です。以上が高齢者関係の改正です。同じく4ページの下に特開金の見直しがあります。特開金についてはそこにありますように、障害者の方をこれまで雇い入れたことのない中小企業の方が、初めて雇い入れる場合の奨励金を暫定措置としてやっておりましたが、これを今年度限りで廃止するというものです。廃止理由といたしましては、支給実績が低調であったということで、件数を過去5年で見ますと平成27年から平成29年まで200件台で推移しておりましたが、平成30年、令和元年と100件台に落ちておりまして、こうしたことから今回廃止ということです。
4点目、トライアル雇用助成金です。こちらについては一般と障害者と2つの見直しがあります。5ページの上、4-(1)ですが、一般トライアルの見直しについては、いわゆる若者法のユースエール認定について、一般トライアルにおいて、通常トライアルコースは月4万円×3で12万円の支援なのですが、1万円上乗せして月5万円ということで、ユースエールの促進を図ってきたわけですが、制度創設から5年がたちまして、一定程度効果が現れたということで今回廃止するものです。
2点目が障害者の方のトライアルコース助成金の見直しです。こちらは拡充でして、通常のトライアルは3か月間の見極め期間を置いて正社員に移行ということでございますが、今回障害者の方について、テレワークで勤務される場合の枠組みを整備いたします。テレワークでやる場合にはトライアル期間を6か月と、少し長めに取りまして、お互いの環境等が業務の適正を見極める期間を長く取るという趣旨でして、こちらについて拡充を行っております。
5点目が中途採用等支援助成金です。こちらもこの4月から労働政策推進法が施行になりまして、いわゆる大企業の方に対する中途採用比率の公表が義務付けられるということになりますので、これによって大企業の様々な情報を総合的に公開し、求職者からも選びやすくするという改正ですが、中小企業の方も併せて自主的に公開が進むように、情報公開に関するコースを新設するものです。
6ページの下の改正後の内容の1番右側に➂として書いてありますが、ここの部分で中途採用にかかる情報公開を行いまして、実際に中途採用者の方を雇い入れまして、雇い入れが6か月定着した場合に30万円助成するという制度です。その上でその方が更に6か月、トータル1年定着すればプラス20万円ということで、新しい制度を創設しております。具体的にどういう情報公開をすればいいのかということについては、例えば賃金の決め方ですとか、教育方針等の中途採用にかかる定性的な情報ですとか、あるいは中途採用比率を年齢階層別に示すとか、そういうことを想定しておりまして、詳細についてはまた要領でお示しする予定です。
7ページです。人材確保等支援助成金です。コースがたくさんありますが、まず1点目が介護福祉機器助成コースです。7ページにありますように、現行の介護福祉機器助成コースは機器導入助成と目標達成助成と2段階の助成になっておりますが、今回は最終目的である離職率の低下につながる、2段階目の目標達成助成は引き続き助成することといたしまして、1段階目の機器導入助成に関しては廃止するということです。
2点目が介護・保育労働者雇用管理制度助成コースです。こちらについては7ページの➁にありますように、制度といたしましては介護分野、保育分野の事業主の方が賃金制度整備した場合に50万円助成するというものですが、こちらについてこの制度を廃止するということです。今回廃止に至った理由といたしましては、介護あるいは保育分野の事業所の方で賃金制度の整備が一定程度進んできているということを評価したものです。ここ近年介護分野、保育分野の人手不足が大分続いておりまして、それぞれ老健局や子ども局で処遇改善の制度を大分進めてまいりましたので、その結果として、例えば介護ですと8割の事業所で賃金制度が整備されているということですとか、あるいは保育についても7割を超える事業所で処遇改善加算が認定されるなど、着実に進んできているということから、今回雇用勘定の支援としては廃止するというものです。
3点目、7ページの➂ですが、人事評価改善等助成コースの見直しです。こちらについては、先ほどの介護の助成と一緒で2段階の助成となっておりまして、こちら目標達成助成に絞りまして、前段の制度整備助成については廃止するという改正です。
8ページです。設備改善等支援コースの廃止です。制度創設から3年たったのですが、執行率が非常に低調のまま推移しておりまして、今後もなかなか需要見込まれないだろうということで今回廃止となっております。
最後は人確金、9ページですが働き方改革支援コースの廃止です。9ページに制度がありますが、働き方改革の推進に向けまして、新たな労働者の雇入れあるいは人員配置変更などの、雇用管理改善に取り組んでいただいた事業所に対する助成です。こちらについても昨年4月から既に中小企業の時間外労働の上限規制が適用となっておりまして、上限規制に対応するための支援という点において一定の役割を果したということで、今回廃止ということです。以上が人確金です。
続いて9ページ、11と書いてありますが、高年齢労働者処遇改善促進助成金です。こちらについては昨年の雇用保険法の一部改正におきまして、いわゆる高年齢雇用継続給付の給付率が令和7年度から縮小されると決まったことを踏まえまして、新設したものであります。目的といたしましては、雇用形態にかかわらない公正な待遇確保を推進することを目的としております。創設される具体的な助成内容としては、事業主の方で、雇用されている60歳から64歳の労働者の方にかかる高年齢雇用継続基本給付金の受給総額が、95%以上減少している事業主を対象としまして、令和4年度までは給付金の減少額の3分の2、中小企業は5分の4。令和5、6年度は減少額の2分の1、中小企業に対しては3分の2を助成するという制度を創設するものです。以上が雇用保険法施行規則の改正です。
続いて建設雇用改善法の施行規則の改正です。まず1点目は建設関係の10ページですが、建設分野の若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース助成金の見直しです。こちらについては、建設業は人手不足が続いており、建設労働者の賃金単価が上昇していることを踏まえまして、助成単価もその実態に合わせて引き上げるものです。
最後ですが、建設関係の人材開発支援助成金です。11ページにありますが、建設労働者技能実習コース助成金です。こちらについても同様の理由で、建設労働者の賃金単価が上昇しているので、助成額を引き上げるというものです。もう1点は11ページの改正後の内容のところの最後、さらにというところにありますが、被災3県に対する支援策で、岩手、宮城、福島に所在する中小建設事業主に対する助成率の暫定措置を廃止するというものです。こちらの見直し理由は、ちょうど今年で東日本大震災から10年経過いたしまして、復興創生期間第一期の終了を迎えることから、この暫定措置を廃止するというものです。以上全部で9本ですが、4月から制度をスタートしたいと考えておりまして、今日御審議いただきまして御了解いただければ、下旬に公布し4月1日施行を予定しております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件につきまして御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンを押していただき、指名された後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。では、杉崎委員どうぞ。
○杉崎委員 ありがとうございます。日本商工会議所の杉崎です。雇用調整助成金の支給決定額が2兆9,000億円に達しようとしており、雇用保険二事業財源の枯渇化が必至な状況となっております。こうした状況の中、各種助成金につきましては費用対効果を十分に勘案の上、予算にメリハリを付ける等、今後も適切に見直していくことが求められます。また、財源が非常に厳しい状況下で、助成金の見直し、特に廃止を議論する際には、予算額や支給決定件数、予算執行状況に関する資料を提示していただくと、より議論が深まるのではないかと思います。
次に、個別の助成金につきまして意見を申し上げます。「65歳超雇用推進助成金」は、令和3年度より「他社による継続雇用制度の導入」が助成対象に追加されますが、本年4月の改正法の施行を控えて、この改正法が有効に機能するには特殊関係事業主(子会社・関連会社等)以外の他社での継続雇用を推進していくことも非常に重要であります。したがいまして、改正法の内容に加えて、この助成金の内容は元より、資料1-2の9ページに記載の「11.の➀高年齢労働者処遇改善促進助成金の暫定措置」につきましても、幅広く周知していただきたいと思います。
また、資料1-2の4ページに記載の「障害者初回雇用コース奨励金」の廃止につきましては、中小企業は雇用ゼロ企業が多い等、障害者雇用の推進が課題となっている一方で、障害者の雇用・定着に係るノウハウやマンパワーが十分でないことから、助成金は非常に有り難いといった声が多く聞かれますし、本年3月の法定雇用率の引上げに対する懸念の声も多く聞かれております。こうした中で本助成金を廃止するのであれば、厚生労働省におかれましては、中小企業における障害者雇用や定着支援に関するニーズ・課題、助成金に対する意見・要望をしっかりと調査・分析し、令和4年度にはこれに代わる新たな助成金を創設する、若しくは既存の助成金の使い勝手を向上させる等、障害者の雇用・定着に係る中小企業支援策をより一層強化・拡充していただきたいと思います。
次に、9ページに記載の「働き方改革支援コース」の廃止につきましては、日商が昨年2月に実施した調査で、時間外労働の上限規制について「対応の目途が付いていない」という中小企業は2割ありました。したがって、相談体制の強化等、助成金の廃止に代わる支援措置を是非ともお願いしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 御意見、御要望でございますが、事務局から何かあればお願いいたします。
○総務課長 3点御質問、御意見があったかと思いますが、私から一番最初の高齢者の関係でございます。高対課と保険課にまたがりますので、私から御回答いたします。今回いろいろ改正内容があり、周知は非常に大事です。我々も今議論しておりますが、利用者にとって分かりやすい資料で周知する、あるいは皆さんの団体等での説明会に一緒に行って説明する等、そこは丁寧にきちんとした施行に向けた対応を行ってまいりたいと思います。
○障害者雇用対策課長 2点目につきまして、障害者雇用対策課から御説明申し上げます。今回の初回コースの廃止につきまして、中小企業等に対してのニーズ、課題をきちんと吸い上げた上で、新たな助成金の検討等ということの御意見でした。3月1日から雇用率の引き上げを予定しており、不安を抱える中小企業も多いといったお声もあるといったような御指摘もありました。今回、中小企業を中心といたしまして、初めて障害者を雇い入れる企業の方々、それから雇用率未達成となる企業の皆様方につきましては、特に企業支援に特化して、精神障害者の雇用トータルサポーターの増員を予定しております。職務の選定や職場環境の整備、またその後の雇い入れ後の継続的な職場訪問等により、定着支援をしっかりとやっていくということで重点的、専門的に支援に取り組んでいくこととして、令和2年度の第三次補正予算において、既に前倒しして措置をしているところです。
また御指摘にありましたように、中小企業をはじめとした企業への障害者雇用に対する支援策につきましては、御指摘のとおりニーズ、課題をしっかりと吸い上げて、状況を把握しますと共に、今後の障害者雇用分科会での議論も踏まえて、新たな助成金なのか、また見直しなのか、その他必要な支援も含めて引き続き検討してまいりたいと考えております。
○雇用開発企画課長 3点目の働き方改革支援コースについての御意見ですが、今の御意見を労働基準局とも共有させていただき、中小企業等における対応が進むようにしてまいりたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 杉崎委員どうでしょうか。
○杉崎委員 ありがとうございました。ただいま皆様から丁寧な御説明を頂きましたが、各種助成金、変更点、今後の政策の検討状況を含めて、是非各団体と連携して幅広く周知をしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、西尾委員お願いいたします。
○西尾委員 西尾です。よろしくお願いします。私からは、7.にある人材確保等支援助成金の中の介護福祉機器助成コース。➁番の介護保育労働者雇用管理制度助成コースの見直しなり廃止の所についてです。私ども実際に介護や保育の職場で働いている組合員もおりますので、私どもとしての認識と、それからもう1つ、御質問ということでお願いをしたいと思っております。まず最初の介護福祉機器助成コースの見直しということですが、やはり今、介護の関係は離職もまだ多いですし、慢性的に人手不足という状態でもあります。これは職場の環境であるとか、➁番にもかかってきますが、やりがいのある仕事ではあるが処遇が見合っていないというようなことから、こういったことが起きていると考えておりますし、そのことで人手不足が深刻化している中で、更に悪循環になってきているなという見方をしています。その中において機器を導入するということについては、大変かなり体力の要る仕事でもありますので、負担軽減にもつながるということであります。その意味では、こういったことで職場環境をよくしていくことについては、やはりこの離職率低下そのものについても、いい影響を与えるということだと思いますので、実は大変大事な施策だったと認識をしています。
それから2つ目は介護保育労働者雇用管理制度助成コースの廃止についてです。お調べいただき、一定の役割を果たし導入も増えてきたということでありますが、まだまだこの制度の整備ができていないところも多くあるというように我々は認識をしておりますし、まだまだたくさん改善の余地があるというようにも見ております。その意味で言うと、大事な役割を果たしてきたコースだったなと思います。こういったコースが廃止になるわけですが、その後自治体等のいろいろな場面で、いろいろなところの制度で現場においてこれに代わるものとして活用できる制度があるのかどうか。これは質問ですが、ちょっとお聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは御質問がございますので、事務局からお願いいたします。
○総務課長 総務課長の蒔苗です。御質問いただきありがとうございます。2点あります。まず1点目の介護機器導入助成です。こちらにつきましては、これまで雇用勘定でやってきたわけですが、実は老健局や社会局でやっている施策として平成26年度の消費税増収分を活用いたしまして、地域医療介護総合確保基金という事業がございます。これは既に全都道府県に基金を積んでおり、最近の補正でも、かなり積み増しする形でやっています。私も3年ぐらい前にそういう担当の課長をやっていた中で、地域医療介護総合確保基金でが、労働環境の処遇の改善というのが3柱の1本になっておりました。具体的に申しますとその中の推奨メニューとして介護従事者の負担軽減に資する介護ロボット、ICTの導入支援や業務改善支援というもので、今年度の一次補正、三次補正でそこは2回拡充されており、介護ロボット補助であれば、例えば移乗支援のパワーアシストのスーツみたいなものですと上限100万円、あるいは今コロナ禍ですので見守りセンサーやWi-Fiの工事やインカム工事と、かなりの支援は出ておりますので、各都道府県なり介護部局との連携を深めてそこはやっていきたいと思っております。
2点目の介護と保育の分野の処遇改善の部分です。こちらは最初に御説明差し上げたように、8割、7割と一定程度普及は進んでいるわけですが、確かに一方でまだ進んでいないところにとっては非常に大事な助成金だというようにも考えております。我々といたしましては、今回介護、保育の部分のコースはやめるわけですが、まだ残っている同じ人確金のメニューといたしましては、人材評価制度を評価するコース、人材評価改善等助成コースというのは残っております。こちらは賃金アップした場合の助成ですが、こうした残っている支援策も組み合わせながら、うまく使っていただければと思っております。以上でございます。
○阿部分科会長 西尾委員、いかがでしょうか。
○西尾委員 ありがとうございます。代わる施策もあるということですし、あるいはほかの目的が違うけれども、使えるものがあるということでお話を伺えました。初期の目的である介護の労働現場をよくしていくということにつながる施策ということで、是非このことが廃止、あるいは見直しされるということが出てきましても、そういったガイドをしていただけるようにお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは続いて、池田委員お願いいたします。
○池田委員 ありがとうございます。経団連の池田です。コロナ禍の下、雇調金の積極的な活用により本体給付の積立金からの借入れが3年度予算も含めて1.7兆円に上る等、2事業財源が枯渇化している中で、当分の間は2事業で賄われている各種助成金の思い切った重点化はやむを得ないと考えています。そうした観点から、今回の見直しについては理解、評価をいたします。
その上で、10ページ、11ページにある建設関係について質問です。見直し後の助成額が増えている理由を御説明いただければと思います。○阿部分科会長 では、事務局お願いいたします。
○総務課長 総務課長の蒔苗です。こちらの建設雇用改善の部分につきましては、人手不足を反映して、建設労働者の賃金単価が上昇しております。その賃金の上昇分を少し勘案して、助成金の助成単価も引き上げているというものです。
○阿部分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。
○池田委員 これはそもそも、そういう算式があって助成額が自動的に決まっているという理解でよろしいでしょうか。
○建設・港湾対策室長 建設・港湾対策室でございます。この助成金につきましては、毎年度の3か年の賃金センサスの平均額から求めて、ある一定の1日あたりの額に達した場合に改定をするというのは、従前からそういう仕組みでやっておりますので、毎年度改定しているわけではありませんが、今回ちょうど基準単価に達したので一定の改定をしているということです。
○阿部分科会長 池田委員、いかがでしょうか。
○池田委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 その他御質問、御意見ございませんでしょうか。
それでは特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま画面上で、報告文案が表示されているかと思いますので、御確認ください。現在表示されております報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。ありがとうございました。
では、次の議題に移ります。次の議題は、2020年度の年度目標に係る中間評価についてです。それでは資料について、事務局より御説明をお願いいたします。
○雇用政策課長 雇用政策課長の溝口です。資料は№2-1と2-2です。2020年度の目標については、昨年9月25日の分科会で御説明したところですが、本日はその中間評価(案)についてということです。説明は資料№2-2の評価シートに基づいていたします。まず、全体の資料の建て付けですが、御覧のとおり3つの大きな柱があります。1ページから1.ハローワークにおける職業紹介・人材確保等、11ページから2.成長分野等への人材移動、15ページから3.高齢者・外国人の就労促進として、その下に目標の項目を整理しているところです。さらに、それぞれの項目について、例えば1ページを御覧いただくと、項目ごとに左から2018年度実績、2019年度実績、2019年度実績のうち4月から10月、2020年度目標と右の一番端ですが、2020年度中間評価実績、4月から10月分といったものを整理しております。目標の到達度ということですので、真ん中辺りの参考の所の前年度の同時期と比較してどうだったのかというのを御覧いただければと思います。
2ページ、2020年度の目標設定における考え方とありますが、今年度の目標を設定する際に御説明したとおり、この目標は新型コロナの影響を加味していないものとなっています。このため、次ページに施策実施状況とありますが、この中で新型コロナの感染拡大の状況とともに、どのような対策を講じてきたのかを必要に応じて記載するようにしております。5ページには、2020年度の施策実施状況に係る分析という項目がありますが、10月時点での到達点だけではなくて、新型コロナが各項目に及ぼした影響と講じてきた対策の実績を、表を入れておりますが月次の推移とともに記載しているところです。8ページ以降には、施策の達成状況を踏まえた評価及び今後の方針といったことを整理しております。
それでは、1ページに戻っていただいて、項目ごとにかい摘まんで御説明いたします。1.ハローワークにおける職業紹介・人材確保等ですが、目標については➀から➇まであります。このうち、➃のマザーズハローワークと➅の就職氷河期対策を除く項目では、御覧いただいていますとおり昨年度の実績と比較して低調となっているところです。➅の就職氷河期対策は新しい目標ですので、昨年度とは比較できておりません。
3ページを御覧いただければと思います。施策の実施状況ですが、各項目の主な取組といったところで➀のハローワークの求職者の就職率、また、そこから➅の就職氷河期世代の専門窓口における支援対象者の正社員就職率、➀から➅まで大体共通のことが書いてあり、4月から5月はコロナの影響がありましたので、できる限り来所を求めない方式で業務を行ってきましたし、就職面接会とかセミナーは中止又は延期をしておりました。6月以降になると、コロナの影響による離職者、重点的な支援を要する方への来所勧奨型の職業紹介とか面接会も徐々に再開しておりますが、感染拡大防止に留意して、少人数で実施しているところです。その中でも、➀では非正規雇用者が今回大きな影響を受けておりますので、それに対する就職支援体制の強化とか、➁の所で医療・福祉分野については、人手不足分野ということもあって4月、5月も積極的な応募勧奨等を実施したり、7月以降は未充足求人の重点的なフォローアップ等をしているところです。
4ページの下のほうですが、➆が求職者支援制度における職業訓練の就職率です。今回、感染症の影響を強く受けている業種に、パート・アルバイト等の非正規労働者の方の割合が相対的に高いといったこともあり、この制度を利用する求職者の増加が見込まれたため、対象人員等の拡充を行っているところです。➇は生活保護受給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率ですが、こちらもコロナの影響を踏まえて、住居を消失するおそれのある方をはじめとした、生活困窮状態に陥る方が増えることが懸念されていましたので、ハローワークにその窓口を設置して、地方公共団体と協力しているところです。
次に、2020年度の実施に係る分析というのが5ページにありますが、➀のハローワーク求職者の就職率については、4月から6月は新型コロナの影響で求職活動を控える動きが見られたことで、就職率の分母である新規求職件数が減少しております。分子の就職件数も新規求人が大幅に減少しておりますので、なかなか希望する条件に即した求人が見付かりにくいといった理由で減少しているということで、結果として就職率は低下しております。7月以降になると、Go Toキャンペーン等の下支えもあったのですが、新規求人の減少というのが引き続き続いており、就職支援体制の強化とか来所勧奨型の支援等を実施していくことで、就職率の低下幅自体は緊急事態宣言後から縮小傾向となっているところです。
➁の人材確保対策コーナーにおける人材不足分野の充足数ですが、こちらも新規求人が減少したことに加えて、4月から6月は見学会とか面接会といったマッチングイベントを例年規模では開催できなかったということで、充足数が前年同時期を下回っております。7月以降になると、医療・介護をはじめ人材不足分野への就職支援を拡充するとともに、マッチングイベントも徐々に再開しておりますので、充足数の減少幅が縮小してきているところです。
次ページの➂のハローワークにおける正社員就職件数ですが、4月、5月は先行きの不透明感などから採用を抑制する動きが見られ、正社員新規求人数が減少しております。選択肢となる求人が減少したことで、正社員就職件数も大幅に落ち込んでおります。7月以降になると、こういった求人数の減少幅は縮小傾向にあるのですが、依然として大きいといった中で、増加している求職者に対してきめ細かな支援を実施するといった就職支援体制の強化といったことに取り組み、正社員就職件数の減少幅は縮小傾向で推移しているところです。
➃のマザーズハローワークですが、こちらも同じように求職活動を控える動きというのは見られたのですが、重点支援対象者に担当者制による支援というのを実施しておりますので、就職率は9割を超える水準で推移しているところです。その下にある➄の雇用保険受給者の早期再就職割合ですが、こちらも4月から6月は、就職割合の分母になる雇用保険受給者資格決定件数が増加しております。求職活動を控える動きとか新規求人の減少から、分子の早期再就職件数が減少しているといったことで、早期再就職割合は低下したということです。7月以降になると、就職支援体制の強化を図ってイベントも再開し支援を行ってきたことにより、低下幅は縮小傾向となっております。
次ページの➅の就職氷河期対策ですが、こちらは事業の先行き不透明感があるので、企業としては即戦力を求める傾向が強まっていると伺っております。そういった中で、専門窓口を設けて支援対象者の正社員就職をしておりますが、なかなか厳しい状況があるということで、引き続き注視が必要な状況です。➆の求職者支援制度による職業訓練の就職率ですが、こちらも採用抑制の動きが見られる中で、就職率は低下傾向で推移しておりますけれども、把握可能な最新月の8月の修了者の就職率を見ると、基礎コースでは上昇に転じており、実践コースでも低下幅が縮小するなど、持ち直しの兆しも見られているところです。
次ページの生活保護受給者ですが、こちらも4月、5月は支援対象者が大幅に減少して、6月になると増加に転じておりますけれども、採用活動自体が慎重になっているので就職率は低下しているところです。一方、緊急事態宣言下では臨時的に窓口閉鎖をしていた所もありましたので、そういったものが再開される中で、支援対象者数とか就職者数が増加する地域が増えてきており、就職率を見ても前年同月比を見ると、6月を底として低下幅が縮小しているところです。次の項目の評価と今後の方針ですが、➀のハローワークの求職者の就職率については、早期再就職を希望する方々をはじめとして、求職者の置かれた状況に応じたきめ細かな就職支援を講じていくということです。また、なかなか来所困難な方もいらっしゃるということなので、オンラインを活用した職業相談・紹介の試行実施というのも取り組んでいるところです。
➁の人材確保コーナーですが、こちらは医療・福祉分野をはじめとした人材不足分野において、相対的に人材不足が続いているといった状況ですので、マッチング機会の拡充に向け、より一層支援をしていくというものです。➂のハローワークにおける正社員就職件数ですが、正社員の求人数が減少する中で、今後は離職者が増えていくおそれもありますので、その中で正社員を希望する求職者が増加することも想定されるところです。より一層のマッチング支援が求められておりますので、担当者制等を活用しながらきめ細かな支援をしていくとともに、求人サイドについても求人条件緩和の働きかけとか、求人開拓を進めていきたいと考えております。
次ページの➃のマザーズハローワークですが、こちらについては引き続き個々の求職者のニーズに応じた担当者制による一貫したきめ細かな職業相談等に取り組んでいきたいということです。➄の雇用保険受給者の早期再就職割合ですけれども、求人が減少する中で希望する分野になかなか就けないということがあるのですが、今後は求人開拓の体制強化とともに、求職者の方の置かれている状況に応じた支援を行っていきたいと考えております。➅の就職氷河期世代の専門窓口ですが、こちらはなかなか厳しい状況ではありますけれども、専門窓口を通じて引き続き着実に支援を実施していきたいと考えております。
➆の求職者支援制度による職業訓練の就職率ですが、訓練受講者の個々の状況に応じてキャリコンなどを実施して、きめ細かな就職支援に取り組んでいきたいということです。また、周知が大事だということですので、対象者数の多くが利用するわかものハローワークとか、マザーズハローワークにおいて周知を行っていきたいと考えております。また今般、パッケージという形で新型コロナウイルスの影響で離職した方や休業中の方、シフトで働く方などについて、職業訓練の情報提供等を一括してワンストップで個別・伴走型で提供する窓口も設置されていますので、そういったところを活用していきたいと考えております。➇は生活保護受給者の関係ですが、こちらも生活困窮者が増加している中で就労による自立を支援するために、地方公共団体と親密に連携をした取組を進めてまいりたいと考えております。
大きな柱の2番目ですが、11ページ以降、成長分野等への人材移動ということで、目標と実績の所が➈から⑪とあります。➈を除けば、昨年度の同時期の実績と比較してほぼ同じか上回っているところかと思います。また、➈➉は労働移動支援助成金といった同じ助成金なのですが、備考の所を御覧いただくと支給実績が書いてあるということで、この実績の中での数字だと御理解いただければと思います。
施策の実施状況ですが、12ページです。今般、新型コロナの影響で、先ほどもちょっとお話があった雇用調整助成金等で雇用維持が図られている中で、⑪の産業雇用安定センターにおいても在籍出向をはじめとした取組を強化しているといったところを記載しています。その下の施策実施状況に係る分析ですが、➈と➉は同じ助成金ですので一括すると、新型コロナの収束が見通せない中で、コロナ前の人手不足もあって雇用調整助成金等で雇用維持を図った企業が多かったわけですけれども、企業からの送出件数が大幅に減少しているところです。そういった中で、採用活動の動きも鈍くて早期再就職割合は低下するのですが、送り出されたほうの方が無期雇用フルタイムで働いていた方が多かったということで、数字としては再就職者においても無期雇用フルタイムの割合が高まっているところです。
次ページの⑪の産雇センターの成立率ですが、4月から5月は、成立率の分子である出向・移籍の成立件数の減少幅が、分母になる送出情報件数の減少幅よりも小さかったことで、成立率は前年同月を上回っておりますけれども、6月から10月は前年同月を下回る傾向となっております。6月から10月については、新型コロナの影響で一時的に雇用過剰となった企業の雇用維持を支援するといったことで、在籍型出向制度を活用することを進めている中で、出向マッチングを無料化するなどの施策を講じており、企業からの送出が増加しております。そういった中で、分母である送出情報件数の増加幅が、分子である成立件数の増加幅を上回る水準で推移しているといったことが原因かと考えております。
評価と今後の方針の所ですが、➈➉は同じですけれども、先ほど御説明したとおり雇用調整助成金等による雇用維持が大きな役割を果たしているところです。今後は労働移動を望む労働者の方も増加することが考えられますので、助成金制度の周知に努めていきたいと考えております。⑪の産雇センターについては、受入企業がやはり重要ですので、受入企業の情報の収集とか開拓に努めて丁寧な職業相談を行って、在籍型出向等を活用した雇用維持の支援に取り組んでいきたいと考えております。
大きな柱の3本目、高齢者・外国人の就労促進、15ページ以降です。目標は⑫から⑭まであります。⑫と⑭は、ほぼ前年度の同時期と同じであるというように御覧いただければと思いますが、⑬は若干低調になっているといったところです。施策の実施状況ですが、⑫については生涯現役支援窓口を全国の主要なハローワークに増設しておりますので、支援に取り組んでいるところです。⑬のシルバー人材センターについては、ここに書かれている高齢者活用・現役世代雇用サポート事業等を実施しており、就業機会を拡大する取組を実施したところです。
次ページの外国人関係の⑭ですが、外国人のうち定住外国人等については、外国人雇用サービスコーナーを増設し、専門相談員や通訳、若しくは翻訳機器の追加配布といったことで体制の強化をしているところです。留学生については、大学等の担当者との連携を強化して、実施可能な範囲ではありますが、就職セミナーとかインターンシップ、面接会等を実施しております。
施策の実施状況に係る分析ですが、生涯現役支援窓口については、やはり4月、5月は支援対象者数が減少しておりますが、6月以降は増加傾向で推移しております。窓口を強化しておりますので、そういった支援チームによる高齢求職者の状況に応じた手厚い支援を実施することで、就職率はおおむね前年度と同水準というように推移しております。⑬のシルバー人材センターですが、4月以降に公共施設等からの受注が減少しており、4月、5月は会員就業数が大きく減少しております。6月以降になると、公共施設の受注再開もありましたので回復傾向にありますが、今後の動向に注意が必要だということです。
⑭の外国人雇用サービスセンターの関係ですけれども、定住外国人の就職件数は4月から6月にかけて下回っておりますが、7月以降に持ち直して、10月末時点では上回る実績となっております。新型コロナウイルスの影響で増加した外国人求職者に対して、先ほど御説明したような体制の強化で取り組んだことによるものと考えております。留学生の就職件数については、前年同時期を上回って推移しておりますが、10月の実績は下回っているところです。採用計画の見直しとか、採用活動の後ろ倒しといったこともありますので、引き続き注視が必要な状況だと考えております。
17ページの下の評価と今後の方針ですが、生涯現役支援窓口については、引き続き支援チームによるきめ細かな相談等に取り組んでいきたいところです。⑬のシルバー人材センターについては、若干減少傾向にあるということですので、補正予算でも必要な数値を積んで、感染症防止対策や就業機会の確保、創出に取り組んでいきたいと思います。⑭の外国人関係ですが、定住外国人等については、個々の状況に応じたきめ細かな支援を実施するといったこと、また、ハローワークコールセンターの外国人求職者の対応の強化も取り組んでいきたいと考えております。留学生については、ハローワークと大学との連携の強化ということを引き続き実施して、企業面接会等を通じた就職機会もより一層提供できるように取り組んでいきたいと考えております。
これが資料2-2の説明ですが、もう1つ資料2-1というのがあります。今、御説明した内容を抜粋した形で縦書きにしたものが資料2-1ですので、説明は割愛させていただきます。本日、御審議いただいた後、取りまとめたものを公表する予定となっております。私からの説明は以上です。
○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックし、指名された後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員 林です。私からは、表の一番上にありますハローワークの求職者の就職率という所について、1点意見を述べさせていただきたいと思います。ハローワークによる求職者と求人のマッチング機能を評価する基準として、従来どおり就職率というものが使われてきたわけですが、今、御説明の中にもありましたように、新型コロナウイルスの感染症の懸念ということから就職活動を控える動きが見られたことで、分母である新規求職者件数が減少したということ、それから、企業の事業活動が抑制されたことで、求職者が希望する条件に即した求人を紹介できない状況が続いたことによって、分子である就職件数も大きく減少したという御説明があったかと思います。
ということでありますと、このコロナ禍においてはマッチング機能そのものというよりは、就職者が希望する労働条件の求人数があるのかどうかというところとか、ハローワークを活用する求職者の数、そういったものに就職率が大きく左右されているという結果が出ているのではないかと思います。今後、新型コロナウイルス感染拡大の状況がどうなるか分かりませんが、2021年度目標における評価の指標を変更することも含めて、例えば従前から使っている就職率は残すとしても、それ以外にいろいろな角度からこういった指標を含めて検討できないかということを提案させていただきたいと思います。来年度目標策定に当たっては、既存の目標に捉われず、柔軟な幅広い指標というものを御検討いただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 御意見を頂きました。ありがとうございます。事務局、何かございますか。
○雇用政策課長 御指摘のとおり、新型コロナの関係で求職の動きとか、求人の動きがこれまでにないような動き方をしているというのは事実です。これがまだ引き続き続いているという状況ですので、いつまで続くのかというのもありますが、来年度の目標の策定、若しくは評価に当たっては、今回も若干、工夫をしているところではありますけれども、引き続き工夫していきたいと考えております。
○林委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 それでは、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 日本商工会議所の杉崎です。「1.ハローワークにおける職業紹介・人材確保等」については、有効求人倍率が10の都府県で1倍を下回るなど、足下の雇用情勢は厳しい状況となっております。一方で日商の調査では、介護業や建設業は、このコロナ禍においても深刻な人手不足の状況が続いております。こうした中、資料に記載の取組をはじめ、ハローワークが果たすべき役割、機能は従来にも増して重要になっております。特に、「➆の求職者支援制度による職業訓練の就職率」について、各訓練の周知は主にハローワークで行われることから、就職支援ナビゲーター等ハローワークの現場では、訓練内容の丁寧な周知はもとより、訓練修了後に雇用吸収力のある産業や、成長分野等の求人企業とのマッチングを図ることも含めて、対象者に対するきめ細やかな対応をお願いしたいと思います。
次に、「2.成長分野等への人材移動」については、産業雇用安定センターによる在籍型出向制度を利用したマッチングの促進が期待されますが、在籍型出向に関しては多くの中小企業から、出向の相手先企業との出会い・マッチングや相手先企業との経費負担の取決め、出向契約の締結に係るノウハウなど、多岐にわたる課題が聞かれております。したがって、産業雇用安定センターのコンサル機能とか、マンパワーの拡充を是非ともお願いしたいと思います。
最後に、「3.高齢者・外国人の就労促進」については、シルバー人材センターの機能強化、会員増強に向けた周知の強化、また、外国人材に関しては、コロナ禍で就職や就労が困難になっていますので、外国人雇用サービスセンターにおけるきめ細やかな就職支援を是非ともお願いしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、御意見として承りたいと思います。では、久松委員、お願いいたします。
○久松委員 久松です。どうぞよろしくお願いいたします。私からは1点、質問をさせていただきます。2020年度の施策実施状況に係る分析の中で、何箇所かで指摘されているのですが、ハローワークでの失業の認定の際に、新型コロナウイルス感染防止のため求職活動が行えなかったとか、控えていると申告された失業者はどの程度いるのか教えていただきたい。もし、そのような失業者が多いようでありましたら、やはりコロナ禍の影響もあって失業者が次の就職を見付けることに焦ることなく、じっくりと求職しているという傾向もあると解釈できるのではないかなと思いますので、確認しておきたい。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは事務局、お願いいたします。
○雇用政策課長 保険の認定とは別として、ハローワークの現場の状況を聞くと、求職活動をされている方は感染状況が広がるとちょっと控えるような動きになっていて、感染状況が収まってくると求職者の方が増えてくるといった状況が見えていると。職業安定業務統計を見てもそういった形で、今、動いているといったところです。ですので、どの程度いらっしゃるのかという数自体は、なかなかこういった数でということは御説明することが難しいのですが、いずれにしても感染拡大防止をしながら求職活動を行っていただいて、御自身の希望に合った所にちゃんと就職できるような形で、訓練とかも含めながらしっかり就職支援に取り組んでいきたいと考えております。
○阿部分科会長 久松委員、いかがでしょうか。
○久松委員 ありがとうございました。求職者のニーズや動向を正確に踏まえていただいて、今後もきめ細かな支援をお願いしたい。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。2点質問があります。今月厚労省が策定した「新たな雇用訓練パッケージ」には、求職者支援制度の要件緩和が盛り込まれており、シフト制などで働く人もこの制度を活用できるようになったのは評価しています。これと併せて、訓練期間も要件緩和されて、1週間のコースも可能になりました。一方で、➆の目標の「求職者支援制度による職業訓練の就職率」を見ますと、かなり厳しい状況にあると思っています。この就職率の分母となる「求職者支援制度を活用する労働者」は、「新たな雇用訓練パッケージ」による緩和を受けて増えることが見込まれますが、短期的に企業からの求人数が増えなければ、当然、就職率というのは低下することになります。企業からの求人数を増やすために今後どのような対策を強化していこうと考えているのか、教えていただきたいというのが1つです。
また、コロナ禍における目標設定と評価の全体に関わる話ですが、昨年9月の目標設定のときには、感染症による影響は目標に加味しないこととして、中間評価・年度評価においては、その時点で把握可能なデータを利用して感染症の影響を評価することにしていたと思います。今回示された中間実績について、把握可能なデータを活用して感染症による定量的な評価ができているという目標は、そもそもあるのでしょうか。定量的分析は難しいとしても、感染症の影響とコロナ対策を含めた施策運営そのものがうまくいっているのかという点と、コロナを加味しない当初の目標と、コロナに対応した施策の効果というのを区分けして分析しようとした目標があるのかという点を伺いたいと思います。雇用問題が正に社会的に注目される中で、中間評価としてどうも消化不良な感じを受けるため、質問させていただきました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、御質問ですので事務局、お願いいたします。
○雇用政策課長 新たな雇用訓練パッケージはこの前取りまとめたものですが、こちらについては要件緩和することで、対象者の拡大というのは当然予想しておりますし、足下でも求職者支援訓練を活用していただけるように周知しながら、徐々に拡大してきているところです。求人数を増やすことが重要だというのはおっしゃるとおりでして、産業別に見ると増えている所もあれば、そうでない厳しい産業の所もあるといったことで、斑模様になっているところではありますが、求職者側から見た場合に、自分が就きたい職業の求人がなかなか確保できていないといったところが問題なのだろうと思っております。求人者支援員等の体制も拡充しながら、取り組んでいるところですので、そういった取組を引き続き進めていきたいと考えております。
全体の評価の在り方という御質問がありましたが、なかなか新型コロナの影響だけを取り出して定量的に分析するというのは、我々としても難しかったというのが正直なところです。新型コロナの影響がかなり幅広く雇用に影響を及ぼしておりますし、ハローワークの業務においてもそれがベースとなっている部分がかなり大きいだろうと思っております。引き続き年度目標の最終的な評価に向けて、どういったことができるのかというのを考えていきたいと思います。
○阿部分科会長 仁平委員、いかがですか。
○仁平委員 取りあえず結構です。ありがとうございます。
○阿部分科会長 会議の終了予定時刻を若干過ぎておりますが、少し延長させていただきたいと思います。それでは、池田委員、手が挙がっておりますのでお願いいたします。
○池田委員 2点意見を申し上げます。第1は求職者支援制度です。コロナ禍の下で非正規雇用の方々の失業といったものが問題視されています。雇用保険受給者でない方々の第二のセーフティネットとして求職者支援制度が用意されているということですが、広く国民を見渡せばまだまだ知られていないのではないかと思います。是非、職を失った方々には職業訓練を受けるということの重要性の理解を含めて、求職者支援制度の周知を広く行っていっていただければと思います。
2点目は、2.の成長分野への人材移動です。これまでは雇用維持が最優先ということで取り組んできましたが、そろそろポストコロナを見据えて、成長分野への人材移動をいかに図っていくのかということが、企業や労働者からの視点はもちろん、日本経済の活性化といった観点からも重要になってくると認識しています。これはなかなか難しい政策課題であるということは理解していますが、既存の施策にとどまらず、どのように人材移動を進めていったらいいのかということについて、是非厚労省の皆様方には御検討いただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。もう予定終了時刻を過ぎておりますので、こちらの議題はこれで終了とさせていただきたいと思いますが、各委員におかれましては本日御指摘の点以外、あるいは発言できなかったという方もいらっしゃるかと思いますので、後ほど事務局から意見記入用紙を配布させていただきます。御意見がございましたらこちらに御記入いただき、3月5日(金)までに御提出していただければと思います。その上で、当分科会としての2020年度の中間評価については、本日の議論と追加で御提出いただいた意見を踏まえて、私と事務局で相談し、取りまとめたいと考えております。そのようなことで進めさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
予定されていた議題は、以上で終了です。これで本日の分科会は終了したいと思います。本日もお忙しい中ありがとうございました。