2021年3月29日 自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会 議事録

健康局健康課栄養指導室

日時

令和3年3月29日(月)15:00~17:30

場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス ROOM A+B及びオンライン

出席者

構成員(五十音順・敬称略)
オブザーバー(順不同・敬称略)
事務局

議題・議事

議題
  1. (1)健康の保持増進に関するものとして、活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組むべき栄養課題について
  2. (2)環境面に関するものとして、適切な栄養・食生活やそのための食事を支える食環境の持続可能性を高める観点から、焦点を当てるべき事業者の取組について

議事
2021-3-29 第2回自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会

○清野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、今回より、イオンリテール株式会社様の人事異動により構成員に変更がございます。
 新任は、イオンリテール株式会社食品本部コーディネーター部部長の東広健構成員でございます。
 これ以降の進行につきましては、武見座長にお願いいたします。
○武見座長 それでは、皆様、今日は第2回ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事次第を御覧いただきますと、議事は二つになりますということで、まずは議事の「(1)健康の保持増進に関するものとして、活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組むべき栄養課題について」を進めていきたいと思います。
 この議題では、学術の構成員2名から、そして、食品関連事業者から3名、計5名の構成員の方からそれぞれ御発表いただきます。瀧本構成員、土橋構成員、畝山構成員、五味構成員、田辺構成員の順に御発表をお願いいたします。その後、論点整理を行った後、質疑、議論というふうに進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料1-1「活力ある持続可能な社会に向けての主な栄養課題の状況」ということで、国民健康・栄養調査の結果を用いた我が国の栄養課題について、瀧本構成員から御報告をお願いいたします。
○瀧本構成員 御紹介いただき、ありがとうございます。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の瀧本と申します。
 私からは、活力ある持続可能な社会に向けて、人々がより健康的な食生活を送れるようということで、国民健康・栄養調査の結果からお話をさせていただきます。
 次のスライドをお願いします。
 私からは、人々がより健康的な食生活を送れるよう、食品へのアクセスと情報へのアクセスの両方を整備していく必要があるということで、主にポピュレーションアプローチが有効と考えられる栄養課題のうち、本日は、このスライドにお示しした三つについて、国民健康・栄養調査の結果を踏まえてお話をいたします。一つ目は食塩の過剰摂取、二つ目は若年女性のやせ、三つ目は世帯収入による栄養格差についてです。
 次のスライドをお願いします。
 まず、食塩の過剰摂取についてお話しします。
 上のグラフは、国民健康・栄養調査における1日の食事記録調査の結果に基づき、食塩摂取量が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で設定された目標量を超えている人の割合を示しています。男女ともにどの年齢区分でも6割以上の人が食塩の目標量を上回っています。食事調査では対象者が食べた食品の量を少なめに申告してしまう傾向があることが知られており、食塩の過剰摂取者の割合も少なめに見積もられている可能性があります。つまり、少なく見積もっても日本人の大部分にとって食塩の過剰摂取は重要な課題と考えられます。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは、2003年から2019年の間で1歳以上の男女における食品群別食塩摂取量の経年変化を示しております。ただし、2019年時点で食塩摂取量への寄与率が3%より少ない食品群は省略させていただいています。食品群別の食塩摂取量は調味料由来の量が最も多く、2003年からの推移によると、この調味料由来の食塩摂取量は減少傾向にはあるのですが、近年はほぼ横ばいとなっています。2019年では、調味料由来の食塩摂取量は1日6.5gと、1日の食塩摂取量9.7gのうち約7割を占めております。
 次のスライドをお願いします。
 こちらのスライドでは、さらに調味料の種類別の食塩摂取量の経年変化を検討しています。しょうゆ、味噌、塩由来の食塩摂取量は2003年からの推移で見ると減少傾向にはあるものの、近年は横ばいになっています。一方、その他の調味料由来の食塩摂取量は増加傾向にあります。2019年のしょうゆ、味噌、塩由来の食塩摂取量の合計は4gと、調味料由来の食塩摂取量全体のうち、約6割を占めています。
 次のスライドをお願いします。
 次に、食塩摂取量の状況別、食品群別の食塩摂取量を比較しました。「健康日本21(第二次)」では、1日当たりの食塩摂取量の平均値を8gにすることが目標の一つとして設定されています。国民健康・栄養調査の調査日に8g以上の食塩を摂取した者では、調味料・香辛料類だけで約8gの食塩を摂取しております。また、8g未満の者では、どの食品群由来の食塩に関しても、8g以上の者と比べてその半分程度の摂取量でした。
 次のスライドをお願いします。
 令和元年の国民健康・栄養調査では、食習慣改善の意思を「あなたは食習慣を改善してみようと考えていますか」という質問で尋ねており、それを7つの選択肢で回答してもらっています。食塩摂取量の状況別に食習慣改善の意思を見ると、1日の食塩摂取量が8g未満の人でも8g以上の人でも「関心があるが改善するつもりはない」と回答した人の割合が最も高いことが分かっています。また、食塩摂取量が8g以上の人は、男性、女性別の図で下のバーのほうですが、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者の割合が2番目に高く、2割程度いました。
 それでは、食塩摂取量の状況と食習慣改善の意思の状況を踏まえて、食生活に関する情報へのアクセス手段をどのように整備していくべきでしょうか。
 次のスライドをお願いします。
 そこで、食塩摂取量の状況と食習慣改善の意思別に、食生活に影響を与えている情報源についてまとめています。さっきと同じ8g未満、8g以上で分けているのですけれども、さらに「改善の意思なし」という者を、「関心がない」、「関心はあるが改善するつもりはない」、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した群とし、「改善の意思あり」という者は「改善するつもりである(概ね6ヶ月以内)」、「近いうちに(概ね1ヶ月以内)改善するつもりである」、「既に改善に取り組んでいる(6ヶ月未満):、「既に改善に取り組んでいる(6ヶ月以上)」に分けました。こちらで見てみますと、20歳以上の男性の約5割、女性の約3割は食塩摂取量が8g/日以上であり、かつ食習慣の改善の意思がない状況にあることが分かります。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは食塩摂取量の状況と食習慣改善の意思別に、食生活に影響を与えている情報源について多い順にまとめたスライドになっています。食習慣改善の意思及び食塩摂取量の状況にかかわらず「テレビ」と回答した人の割合が最も高く、次いで「家族」と回答した人の割合が高いことが示されています。「テレビ」と回答した人の割合は改善の意思がない人よりもあるという人で高くなっています。
 次のスライドをお願いします。
 食塩摂取量の状況と食習慣改善の意思別の情報源の続きですが、食塩の摂取量の状況にかかわらず改善の意思がある者では「テレビ」「家族」に次いで「雑誌・本」「友人・知人」と回答した人の割合が高く、改善の意思のない者では「友人・知人」「特にない」「雑誌・本」の順に回答した人の割合が高いことが分かりました。また、食習慣改善の意思のない者のうち、約2割は「特にない」というふうに回答しています。
 次のスライドをお願いします。
 次に、若年女性のやせの状況についてです。
 このグラフは若年女性におけるBMIの状況別に見た食習慣改善の意思を示しています。意思のありなしは先ほどのものと同じです。ここの注を御覧ください。
 20~39歳の女性では、改善の意思なしに該当した者、すなわち「改善することに関心がない」、「関心はあるが改善するつもりはない」、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者の割合を見ますと、この年代の女性全体で55.5%であり、体格別に見ますとやせの者でもその割合が最も高いという結果でした。
 次のスライドをお願いします。
 若年女性におけるBMIの状況別の食品群摂取量の平均値をこちらに示しました。やせの者では、肉類の摂取量が少なく、乳類の摂取量が多いなど、体格による食品摂取量の傾向の違いが見られました。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは若年女性のBMIの状況別の栄養素等摂取量の平均値になっております。カルシウムを除きますと、主要な栄養素の摂取量に体格による顕著な違いは見られておりません。全体として、国民健康・栄養調査結果を用いた集計からは、やせの若年女性の栄養素等摂取量には公衆衛生上重要だと考えられる特徴は特段、観察はされていませんでした。
 次のスライドをお願いします。
 こちらはBMIの状況別に見た、食生活に影響を与えている情報源についてです。やせや普通体型の者では「家族」「テレビ」と回答した人の割合が高く、肥満の者では「ソーシャルメディア」「家族」と回答した人の割合が高いことが示されました。
 次のスライドをお願いします。
 こちらに参考としてDOHaD学説について御紹介しています。胎児期から乳幼児期に至る栄養環境が、成人期あるいは老年期における生活習慣病の発症リスクに影響することが先行研究から分かっており、これをDevelopmental Origins of Health and Diseaseという言葉の頭文字を取ってDOHaDと呼ばれています。胎児期からの環境にも目を向け、出産を希望する女性の健康問題として、標準体重の維持、喫煙、飲酒等、個々の生活習慣を見直すなど、世代を超えた健康という観点からの健康対策が必要だと考えられます。令和2年度、今年度はあと少しですが、「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」の策定のため、妊娠期における望ましい体重増加量について議論が行われ、その取りまとめ結果が近日中に発表される予定となっています。
 次のスライドをお願いします。
 最後に、世帯収入による栄養格差についてお話をします。
 こちらは世帯の年間収入、平成30年の国民健康・栄養調査データに基づいています。それと、栄養摂取量との関連を表に示したものになっております。世帯の年間収入が多いほど、炭水化物エネルギー比率が低く、脂質エネルギー比率が高い。食塩に着目しますと、1日当たりの食塩摂取量は年収が高い群ほど高い傾向が男性では見られていますが、これを1,000kcal当たりでエネルギー調整を行いますと、男性も女性も年収のカテゴリーによる差が生じていないと考えられます。
 次のスライドをお願いします。
 まとめです。
 減塩は全世代を通じた栄養課題であると考えられます。20歳以上の男性の約5割、女性の約3割は食塩摂取量が8g/日以上であり、かつ食習慣の改善の意思がない状況にあります。こうした状況を踏まえますと、例えば商品開発や店頭において減塩された商品を自然に選択できる仕掛けづくりを行いつつ、身近な人間関係やメディア等を通じた情報提供や販促を組み合わせていくことが有効かもしれません。
 次のスライドをお願いします。
 2番目、若年女性のやせの対策に向けてですが、やせの若年女性の約7割は食習慣の改善の意思がなく、これらの人はやせていることを問題と捉えていない可能性があります。体格にかかわらず若年女性においては、身近な人間関係、メディアをはじめ、いろいろな情報源が食習慣に影響を与える可能性があることを鑑みて、こうした様々な情報源から正しい情報提供が行われることが必要と考えられます。
 3番目、世帯収入による栄養格差への対策に向けてですが、先ほどのスライドでお示ししたように、世帯収入にかかわらず減塩は共通した栄養課題であると考えられます。誰もが自然に健康になれる食環境づくりに向けては、ふだん食品を購入する場において、減塩された商品を手頃な価格で購入・利用できるようにすることが重要だと考えられます。
 以上で私の発表を終えさせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。
○武見座長 瀧本構成員、ありがとうございました。
 では、続きまして、資料1-2のほうで、土橋構成員から「日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題」ということで、日本高血圧学会の取組を中心に御発表をお願いいたします。
 土橋構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○土橋構成員 私からは日本高血圧学会減塩・栄養委員会の立場でお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 次のスライドをお願いいたします。
 先ほども御紹介ありましたように、日本人の食塩摂取量は、国民健康・栄養調査で見てみますと、少しずつ低下傾向にはありますけれども、ここ最近、5~6年は横ばい状態になっておりまして、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が示しております男性目標7.5g、女性目標6.5gとするためには、さらに2gから3gぐらいの減塩が必要ということになります。私ども、啓発活動をやっておりますし、今、自治体での保健レベルでの啓発活動も非常に盛んになっておりますが、まだ国民健康・栄養調査の数値には表れていないということかと思います。ちなみに、高血圧学会では高血圧の方の目標を6gとしておりますし、WHOは高血圧の有無にかかわらず5g未満としております。
 次のスライドをお願いします。
 私どもは高血圧の患者さんを対象としまして、この場合は1,600名ぐらいの方に24時間の蓄尿を平均3.7回やっていただいて、延べ6,000件余りの方で食塩摂取量、ここで言うと、尿中食塩排せつ量を見たことがあります。男性平均は10.0g、女性平均が8.2gです。高血圧の方なので、6g未満を目標とすると、男性では13%、女性で25%、全体で20%ですから、栄養指導も行いながらやっている状況の中で、5回に1回程度が6g未満の達成率ということになります。
 次のスライドをお願いいたします。
 高血圧の方も蓄尿と指導を繰り返しますとだんだん下がってまいりますけれども、8回目以降はほぼ横ばい状態で、これは国民健康・栄養調査のデータと非常に似たような推移となっていますが、8g台から平均としては下に下がってこないという状況を見ております。すなわち、個人の努力と通常の減塩指導ではなかなかここから先に進むことができないことが、本検討会の主旨である食環境整備によって苦痛なく減塩をさらに進めることの重要性を表しているのではないかと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 日本高血圧学会は、2005年に減塩ワーキンググループ、そして、2011年に減塩委員会、昨年から減塩・栄養委員会と改組して、ここに挙げている活動の4本柱を中心に活動してまいりました。2012年には減塩委員会報告書を出版しましたし、減塩食レシピという冊子も出しました。
 次のスライドをお願いします。
 その中でも、これが一番大事な活動であったかと思うのですけれども、2011年に関連する55の学会や職能団体の賛同をいただきまして、消費者庁、内閣府、厚生労働省に「食塩相当量」の表示に関する要望書を提出させていただきました。左下にありますように、栄養成分表示では「ナトリウム」という表示が義務化されておったわけですが、ナトリウムは食塩ではなくて、ナトリウムを塩化ナトリウムにするために2.54倍掛けた6.4gが食塩ですということを市民や患者さんに啓発を続けなければいけなかったわけですけれども、例えば健康講座や市民イベントなどで、このナトリウムと食塩の関係を分かっておられる方は私どものデータでは20%程度にとどまっておりましたので、食塩は8gがめどだと言いながら、このナトリウム2.5gというものが食塩でどれぐらいになるかが分からないのが非常に問題であろうと認識していました。昨年4月から義務化していただきましたので、ナトリウム2.3gであれば食塩相当量は5.8gである。このように記載していただくことによって、減塩の意識がある方がどの程度、これで減塩ができるかということを分かるようになったのは大きな進歩であろうと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 日本高血圧学会は、2019年秋の総会でJSH減塩東京宣言というものを出しました。
 次のスライドをお願いします。
 6gを目指した6つの戦略というものを挙げています。啓発活動、食塩摂取量の評価法と減塩手法の提示、子供の食育・スマートミール、外食・中食・給食の減塩化の支援、企業さんに対して減塩食品の開発・普及の支援、そして、行政に対して例えば健診で食塩摂取量を評価するといった減塩推進に向けた取組の働きかけでございます。
 次のスライドをお願いします。
 まず、啓発活動です。
 次をお願いします。
 高血圧学会は、2012年から秋の総会あるいは春のフォーラムのときなどに減塩サミットを行ってまいりまして、最初に呉市の日下先生が2012年で開催されたときにはイギリスの減塩推進のリーダー、MacGregor教授が来ていただいてお話をしてくださいました。以後、毎年やっておるのですが、やはり大規模なイベントを開催するには学会単独ではなかなか難しくて、最近はできていない状況でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 一昨年、2019年減塩委員会報告書というものを書きまして、減塩の啓発、測定法、食品などをまとめた報告書をつくり、メディカルスタッフの方には有用ではないかと思っています。また、ホームページで様々な取組を啓発活動として紹介しております。
 次のスライドをお願いいたします。
 食塩摂取量の評価法です。
 次のスライドをお願いします。
 これは私どもの高血圧専門外来に来られた患者さんに対して「減塩を意識している」とおっしゃった方と「減塩を意識していない」とおっしゃった方に24時間尿をためていただいて、その食塩排せつ量の分布を見たものですけれども、両者の間には1g程度しか差がないということで、減塩を意識していることが必ずしも実際の減塩の実行につながっていないのが課題であろう、したがって、何らかの方法で食塩摂取量を評価しないと指導はできないということを申し上げております。
 次のスライドをお願いします。
 2012年度減塩委員会報告書で私が担当したところですが、食塩摂取量の評価法は国民健康・栄養調査に代表されるような食事内容の調査、私は入り口調査と呼んでいます。一方、INTERSALT研究に代表されますように、尿をためて、その中にどれぐらい食塩が出ているのかというものを見る出口調査の、大きく二つの方法があります。ただし、食べた食塩は10%から20%が汗や便から出ていきますので、実際に尿中に出てきているのは8割から9割程度ということになりますので、本来、入り口で8gというものと出口で8gというものは意味合いが違いますが、先ほど瀧本先生がおっしゃったように、この食事内容の評価というものは過小評価しがちになりまして、両者の数値はそれほど開かないことを我々はしばしば経験しております。この中で、赤線で引いております食物摂取頻度調査、食事歴法や随時尿によるヒト推定値が有効ではないかと思っています。
 次のスライドをお願いいたします。
 参考までに、私どもがつくっております塩分チェックシートというものは、このような高塩分食品の摂取頻度や食行動、食意識の項目をチェックしていただいて点数化するものを使っています。もちろん、食塩摂取量は24時間の尿中食塩排泄量と弱い相関はあるのですけれども、これは食塩摂取量を推定する方法というよりは、対象とする患者さん、あるいは市民の方にどういった項目が減塩に有効かを知っていただくためのものと思っていただければ結構です。
 次のスライドをお願いいたします。
 このチェックシートはインターネットでも入手できますし、製薬会社さんも冊子で配ってくださっていますが、一応、2017年から私どもの病院ホームページで申請していただいて使っていただくようにしております。現在のところ、500件を超える使用実績がありまして、行政機関が一番多いということは行政での減塩のイベントや健診で使ってくださっていると考えています。こういった方法も一つの方法ではないかと思っています。
 次のスライドをお願いします。
 子供の食育につきましてです。
 次のスライドをお願いします。
 私どもが福岡市の早良区に御協力いただきまして、3歳児の尿を頂いて、スポット尿からの推定値で食塩摂取量を、これは尿中の食塩排泄量を推計したことがございます。4.4gが平均値ですけれども、半数以上の方は過剰と考えられるのではないかと考えています。
 次のスライドをお願いいたします。
 お母さんにアンケートを取っていますが、毎日、スナック菓子などの間食を食べさせていると回答されたお母さんのお子さんはやはりナトリウムが多い傾向にありますし、毎日、果物を食べさせていますと答えられたお母さんのお子さんはやはりカリウムがたくさん出ている。そういった証拠も得ております。
 次のスライドをお願いします。
 横軸が食塩なので、食塩は減らしたほうがよくて、縦軸はカリウムなのでたくさん食べたほうがいいのですけれども、このような分布をしておりまして、左上のほう、バナナ側にある、こういったところにどうやって持っていくかというのが食育のポイントではないかと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 参考までに、高血圧患者さんでの食塩摂取量を横軸に、縦軸はNa/K比で取っていますのでこれは低いほうがいいのですが、前回の検討会でも同じような議論があったと思いますが、減塩するとカリウムも減ってしまう欠点がありまして、6g未満が達成できている。この左側の赤い線から左側のその中の、仮にNa/K比2を理想的な値としますと、その以下にある人で、食塩も減塩できていて、カリウムをたくさん食べている人は40%しかいなくて、減塩6g未満ができている人の中の6割ぐらいはカリウムも少ない。したがって、Na/K比が高くなっている現象がございます。いかにナトリウムを減らしてカリウムを増やすかというのは大切な問題であろうかと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 高血圧学会では、春と秋の学会・フォーラムで、このように子供たちを招いて、減塩の教育やキッズクッキングショーなどの取組を、ささやかですけれども、やっているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 スマートミールのお話は、武見先生がリーダーです。
 次のスライドをお願いいたします。
 ここに挙げているような「ちゃんと」「しっかり」という二つのパターンで、この基準を強要するつもりはありませんが、私ども日本高血圧学会もコンソーシアムの一部として参加させていただいています。
 次のスライドをお願いいたします。
 4回までで419が認証されていると思います。私どもの地元、福岡県では外食・中食・給食が5・3・7という件数でございます。私どもの病院の食堂も頑張っていただいて、認証を取ることができております。昨年の第4回です。
 次のスライドをお願いいたします。
 それから、企業に対する働きかけでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 日本高血圧学会の減塩委員会では官能試験を行いまして、おいしいと実際に判定された減塩食品の認定をずっと行ってまいりました。前回もこのスライドがあったと思いますけれども、売上高は421億円、相対的減塩量が962tになっております。
 次のスライドをお願いします。
 昨年の秋の時点で30社133品目ございます。今日、会議にも出てくださっています味の素さん、あるいはキッコーマンさん、それから、ファミリーマートさん。こういった企業の皆さん方からも大変御協力いただいているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 このように販売実績が良かった、あるいは減塩に貢献いただいた企業の皆様方を受賞式でアワードを差し上げて、できればこのようなPOP、これは良塩くんというキャラクターですが、POPで示してほしいといったことも店舗にお願いしたりもしております。
 次のスライドをお願いいたします。
 最後に、行政に対しての取組です。
 次のスライドをお願いします。
 日本高血圧学会は、2019年に「高血圧ゼロのまち」モデルタウン募集を行いまして、何らかの形で高血圧ゼロを目指す取組を自治体に行ってほしいということを始めました。
 次のスライドをお願いいたします。
 現在、全国14の自治体が手を挙げてくださっておりまして、例えば重症高血圧ゼロを目指すとか、放置高血圧ゼロを目指すとか、健診未受診者ゼロを目指すとか、そういった取組をそれぞれの自治体に合わせて挙げていただいていますけれども、ここに食塩摂取量の変化と特定健診受診率などの指標も挙げていただいているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 今、厚生労働省の実証事業、武見先生にも食環境整備のリーダーとして加わっていただいておりますが、これを始めたところでございまして、例えば個別保健指導は特定健診の対象となる方に尿中のナトリウム、カリウム、Na/K比を測って、それから、目標を設定し、セルフモニタリングを行ってもらいながら、それで減塩ができるかということと、本日のテーマにも関わりますが、食環境整備を行うことによって、それをやらなかった地域と比べて成果が得られるか。これで成果が得られれば、特定健診にぜひ尿中のナトリウム、カリウム、Na/K比の測定を入れていただきたいという目標を掲げてやっているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 今日は「食環境整備の課題」ということで私の意見を書かせていただきましたけれども、やはり価格設定が減塩商品はどうしても割高になっておりますので、これをやはり、企業の皆様方の努力はなかなか難しいかもしれませんが、行政の支援、政府の支援などでその価格差を何とか解消していただけないかということと、たくさんの商品がある中で減塩食品がどれかということを分かるようにしていただきたい。したがって、減塩の意識がある人にとっては、減塩食品がまとめて置いてあるような環境が望ましいということだと思います。一番望ましいのは、減塩と書いていないものも少しずつ減塩になるということであろうかと思います。
 次をお願いします。
 イギリスのWASSHというグループ、World Action on Salt and Healthというグループが、Sugarが入って、World Action on Salt, Sugar and Healthとなっていますけれども、MacGregorさんが主宰して、3月8日から14日にSALT AWARENESS WEEKというものをやっています。「MORE FLAVOUR」「LESS SALT」。こういったいろいろな資材をつくって、ここに書いてありますように、世界中のこういったことをやっておられる人たちに情報共有をやって、みんなでやっていこうという取組をやっているところでございます。こういったものも併せてグローバルな活動ができることが望ましいのではないかと考えております。
 以上で私のお話とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○武見座長 たくさんの情報をありがとうございました。
 では、続きまして、今度は食品関連事業者様からの取組のお話に行きたいと思います。栄養面を中心に、本日の2番目の議題でもある環境面も含めて御発表いただきます。
 まず、資料2-1ということで、味の素グループの取組について、畝山構成員、よろしくお願いいたします。
○畝山構成員 畝山より味の素グループの取組について、ここに示していますように、1番から5番の順で紹介させていただきたいと思います。
 次をお願いします。
 最初に、今回の発表のサマリーをここで示しました。この後、具体的な概要について説明させていただきますが、ここでは本検討会への期待について、特にこちらの右のオレンジの部分4点について述べたいと思います。
 第1点目ですけれども、まず、インセンティブについてです。特に健康な製品開発と提供には一時的な費用が当然かかってきます。食品企業が進んで健康な製品の開発をして、販売しやすい環境。これには恐らく、いろいろな政府関係の補助とかがあるといいと思いますが、それについての議論も是非していただきたいと思うところです。
 2点目ですが、健康な製品開発の基盤となるデータの整備です。これは人材の育成もあると思います。
 3点目ですが、フェイクニュース対策。特にネット情報時代の正しい健康情報について、どうやっていけばいいかということもぜひ議論していただければと思っています。
 4点目、最後ですけれども、これは最後のESGの評価の取組と関係してきますが、国際市場における日本の競争力の視点から、日本市場の取組の「見える化」です。すなわち、日本発、アジア発の国際標準化に向けた戦略などについても、ぜひ、この検討会で議論いただければと思っているところです。
 次をお願いします。
 最初に、具体的なガバナンスです。味の素グループでは、ビジョンと2030年アウトカム、10億人の健康寿命の延伸と環境負荷50%削減の両立を挙げています。そして、それにひもづいた形で6つの社会価値を特定し、それぞれ価値創造ストーリー化を行って、具体的な重点取組項目を絞り込んでいます。そして、ガバナンスも今年4月から変更し、取締役会にひもづく形でサステナビリティ諮問会議を設置し、PDCAを回すというところで動き出したところです。
 次をお願いします。
 健康寿命延伸の指標としては、国連指標の一つであるDALYを採用しました。そして、このDALYの改善のための栄養のアプローチは6項目に絞り込んでいます。すなわち、最重点取組としては二つで「おいしい減塩」と「たんぱく質摂取促進」です。そして、残りの重点としては四つで「おいしい減糖と減脂」「野菜や果物の摂取促進」「多様な由来のたんぱく質摂取促進」、そして「職場の栄養改善」になっています。以後の活動内容、御紹介する内容については全て、この重点取組項目が入っています。特に減塩については全ての項目に入っていると理解していただければと思います。
 次をお願いします。
 健康的な製品の再組成のため、新たな製品開発システムを導入しました。オーストラリアのHSRのアルゴリズムに準拠した味の素グループ栄養プロファイリングシステム(ANPS)を社内実装し、昨年4月から日本を含む7か国9法人の製品約500品種に対して導入を終えています。今後ですけれども、NCD予防、健康増進の視点から、新たな製品開発はこのANPSによって管理されていくことになっています。
 次をお願いします。
 次にサービスです。アジアでは加工食品よりもメニューを通じた栄養素の摂取の比重が高いわけですが、デジタルメニュープラットフォーム「AJINOMOTO PARK」では健康的なメニューとそれにひもづいた栄養情報を共に提供することにしています。そのメニューの数をどんどん増やしているところでございます。そして、個別化栄養対策、個別化栄養に対応した疾病診断支援サービス、アミノインデックスリスクスクリーニング検査等がありますけれども、これに栄養ソリューション提供まで一貫したパーソナル栄養プラットフォームを現在準備して、4月以降に稼働させるところで来ております。
 次をお願いします。
 次にマーケティングです。うまみとだしを効かせて、おいしい減塩をナッジしていくためのSmart Salt(スマ塩)プロジェクトを昨年7月より全国展開を始めました。また、オリンピックと連動し、運動とバランス栄養を両立した健康プロモーション、勝ち飯プロジェクトを5つの自治体で開始し、現在、13自治体へ拡大中です。これらのマーケティング活動と製品、メニュー展開によって、うまみで「おいしい減塩」あるいはたんぱく摂取増の社会実装を今後ますます加速していきたいと考えているところです。また、これらの活動の前提として、味の素グループ全体の責任あるマーケティングポリシーを制定し、国際フレームワークICCに遵守する形で健全なマーケティング活動を担保するように心がけているところです。
 次をお願いします。
 こちらは補足になりますが、マーケティング活動は常にエビデンス・ベースドということになります。例えばだし・うま味による「おいしい減塩」に関しては海外の公的機関や多くの学術論文が既に示唆しているところでございます。私どもも実は2014年から2017年にかけて岩手県と一緒にうま味で減塩の社会実装トライアルを実際に行っています。そして、我々のやり方で地域社会の塩分摂取を減らすことが可能ということについては若干手応えを得ているところでございます。
 次をお願いします。
 ライフスタイルです。健康的な製品を安全に安く提供していくためには食品添加物などの活用が必要となってくるわけですが、実はここには生活者の事情であったり、フェイクニュースといった大きな課題が存在しているのが事実です。この課題を解決すべく、生活者に寄り添った総合コミュニケーションをCEOが率先して実施できる体制を今、整えているところです。また、人生の3分の1を過ごす職場ですが、健康宣言を行って、社員食堂で減塩メニューなどの提供をするなど、社員の栄養改善に取り組んでいるところでございます。
 次をお願いします。
 あとは、私たちの栄養のアプローチを浸透させていくためには、国内外の様々なステークホルダーとの会話、そして、新たなルール設定、製品・サービス開発の支援、ベンチャー企業支援などですけれども、その共創活動を現在、強化しているところでございます。
 次をお願いします。
 残りあと1~2分ぐらいですが、環境への取組について紹介させていただきます。50%環境負荷を軽減のために三つのテーマ、気候変動対応、ゼロプラスチック、フードロス50%削減を設定し、現在、活動を進めているところでございます。
 次をお願いします。
 こちらのスライドは、地球温暖化スコープ1・2・3及びゼロプラスチック、フードロス半減についてのそれぞれのテーマ、2030年までのロードマップを書いたものでございます。詳しくは説明しません。
 次をお願いします。
 特に地球温暖化対策のスコープ3の取組については、アンモニアのオンサイト生産実用化に向け、味の素グループが世界をリードしていると言えます。現在の食料問題の始まりは品種改良と化学肥料による緑の革命までに遡ると思いますけれども、化学肥料を製造可能としたものが空気中の窒素からアンモニアを作る技術です。しかし、この過程には膨大な環境負荷が強いられていました。味の素グループは東京工業大学とベンチャー企業を立ち上げ、この課題解決に取り組み、環境負荷を大幅に低減した小型プラントの試作に成功し、来年、2022年にタイの工場への実用化を目指して取り組んでいます。環境負荷のアンモニア合成技術はアミノ酸発酵や肥料製造にとどまらず、未来の水素社会の水素キャリアとしても大きく期待されているところと思います。
 次をお願いします。
 最後に、ESG評価への取組の事例です。2008年以降、環境への取組から始まったSRIインデックスの流れに健康や栄養改善の評価を加えてきました。味の素グループもAccess to Nutrition Indexに参加していますが、栄養改善の取組は現在、グローバルに14位のポジショニングとなっています。右のところで最後の強みについて書いています。FAOのGlobal Panelが昨年度まとめた報告書によりますと、四つの視点で整理されています。Availability、Accessibility、Affordabilityプラス、新たにDesirabilityを加えた四つです。私たちの強みはDesirability、すなわち個人の欲求を満たしたおいしさとか、そういったところが一番強いのではないかと考えているところです。
 すみません。1分ぐらい時間を超しましたけれども、以上です。詳細はこちらにアクセスいただけますと幸いです。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○清野栄養指導室長 検討会の途中ではございますが、健康局長の正林が到着いたしましたので、ここで挨拶をさせていただきます。
○正林健康局長 途中で中断させてしまいまして、すみません。健康局長の正林と申します。どうぞよろしくお願いします。
 前回、1回目にきちんと挨拶するつもりだったのですけれども、国会の関係で、到着したときも本当に数分前に終わったということで、御挨拶ができませんでした。申し訳ありません。
 私、ちょうど数年前まで健康課長をしておりまして、もっと遡ると2000年頃、まさに「健康日本21」を始めた頃に課長補佐のような仕事をしていて、ずっと20年近く、この健康づくり行政にいろいろな形で携わってきております。
 この自然に健康になれるというプロジェクトはちょっと思い入れもありまして、その心は、2000年からずっと「健康日本21」を展開してきて、国民の皆様に健康についての関心を高めてもらう。そのための国民健康づくり運動だったわけですが、かなりうまくいったのではないかと勝手に思っています。この20年間で見ていても、例えばマスメディアが取り扱う健康をテーマにした記事であるとか、あるいはテレビ番組を見ていても圧倒的に数が増えていますし、テレビなどをちょっとつけてみると、ゴールデンタイムはクイズ番組が多いですけれども、大体、健康を扱っていることが多いですし、国民の関心も相当高まってきたのではないかと感じています。当初「健康日本21」というものはまさにそれが目的でスタートさせたようなものですし、かなり多くの方に関心を高めていただいたという意味ではうまくいったと思っています。
 ただ、一方で相変わらず無関心な方々はいらっしゃって、こういう方々が不健康な生活をして、いわゆる生活習慣病になり、場合によってはお亡くなりになったりとか、その方々に対してどうアプローチしていったらいいかというのが恐らくここ5年から10年前からずっとそんなことを我々は悩んできたところです。それで到達した結論が、こちらからいろいろな情報発信をしても全く聞いていただけない。新聞もちゃんと読まない、テレビもろくに見ない。そういう健康無関心層に対しては、アプローチの仕方としては、気づいたら自分が健康になっている。そういう環境をつくっていくことが大事なことなのではないか。そんな観点から、こういった自然に健康になれるような環境づくりというものを何とかできないかということで今回のこういう検討会を立ち上げ、武見先生に座長をお願いしてまいりました。
 まずは食生活から手をつけていって、うまくいけばこの後、運動に関することとか、その他もろもろ、健康づくりのファクターがたくさんありますので、気づいたら周りの環境がそうなっているから、御本人の意思に関係なく、いつの間にか健康になっているみたいな、そういう姿が実現できればと感じております。
 ぜひ、先生方からも忌憚のない御意見をいただいて、何とかそういう方向に持っていっていただけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○武見座長 ありがとうございます。
○清野栄養指導室長 正林は業務の関係で退席させていただきます。
(正林健康局長退室)
○武見座長 正林局長、ありがとうございました。まさに、この自然に健康になれる食環境づくりをなぜ目指すのかということを局長からもう一度御説明いただいたかと思います。それに向けて、今日の議論を進めていきたいと思います。
 では、御報告のほうに戻らせていただきます。
 続いて、資料2-2、キッコーマンの取組について、五味構成員からお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○五味構成員 それでは、キッコーマンの五味よりキッコーマングループの取組を御紹介させていただきます。
 次をお願いします。
 本日のアジェンダで、この順番に御説明させていただきます。
 次をお願いいたします。
 食事の役割というふうに考えてみたときに、一義的には生きるための栄養を摂取することというのが一番大事なところですけれども、やはりおいしいものを食べることができる環境であったり、その経験が心の栄養となって、食の楽しみ、人生の彩りといったことになるかなと思っています。また、最低限の栄養では、急場は生き延びられたとしても、健康に暮らすためには、先ほどからお話があるように、バランス良い食事という切り口で考えなければいけない場合もあると思いますし、また、幾ら健康に良いというふうにされても、短絡的に何か特定の成分だけ減らしたり増やしたりしたからといって、それがおいしくなければなかなか長続きしませんので、そのおいしさとの両立というものが非常に肝要ではないかと考えております。
 次をお願いいたします。
 そのような点で、我々が郡山女子大学と一緒に行った減塩に関する共同研究の話を御紹介させていただきます。減塩しょうゆは慣れるという結果です。
 ここで一例をお示ししていますが、高齢者、大学生、ケアハウス入居者に対して減塩しょうゆを使った生活を続けてもらって、その前後で減塩しょうゆと普通のしょうゆの嗜好調査を行いました。そうしますと、2週間減塩生活を行うと減塩しょうゆを好む方が増えるという結果が示されました。
 次をお願いいたします。
 もう一つの研究成果を御紹介させていただきます。食塩の代わりにしょうゆを使うことでトータルの食塩摂取を抑えることができるという結果です。これも一例ですけれども、トマトクリームスープの味つけとして食塩を使った場合としょうゆを使った場合で同等の味の濃さとなるレベルを評価していただいたところ、食塩よりもしょうゆで味つけしたほうが30%少ない食塩量で同等のおいしさを感じることができるという結果になりました。これらの研究はオランダやシンガポール、アメリカでも行っておりまして、同様の結果を得られていますので、しょうゆに親しみを持つ日本人だからというわけではなく、人間の持つところかなと思っています。しょうゆは塩分摂取の原因として指摘されがちなのですが、ナトリウム摂取を減らす意味では決して悪者ではなくて、うまく活用することでよりナトリウム摂取をコントロールしつつ、自然なおいしさを追求できる可能性があるのかなというふうに考えています。
 次をお願いいたします。
 ここに当社の塩分を減らしたしょうゆ製品をお示ししています。食塩分カットの比率はいろいろあるのですけれども、いわゆる減塩しょうゆとして表示されているものは真ん中から右になりまして、しょうゆ100g中の食塩相当量が9g以下、ナトリウムとしては3,550mg以下という定義になっております。最大に塩分を減らしたものは一番右側ですが、66%カットしたものが今、新しく出ているものになります。このようにお客様の嗜好に合わせて選択いただけるように、バリエーションを増やして販売いたしております。
 次をお願いいたします。
 減塩しょうゆのキャンペーンで提示させていただいているものは「ポジティブ減塩」という言い方をしています。我慢しないでおいしく減塩してねという感じです。
 次をお願いいたします。
 レスソルライフという、これは造語ですけれども、とにかく減塩にトライしてみて、簡単でおいしい、難しいことではないのだというメッセージを送って、減塩してもらおうという取組をしております。
 次をお願いいたします。
 レシピサイトもしくはSNSなどで、レスソルレシピという切り口で献立全体の塩分控えめが達成できるような提案をすることによって、もっと減塩しょうゆにトライしてもらいたいと考えています。
 次をお願いいたします。
 あまり大上段に振りかぶった苦難の減塩生活ではなく、簡単に取り組める、ちょっとしたことでおいしく達成できる減塩がありますという御紹介をすることによって、より減塩しょうゆが売れてほしいですし、皆さんの健康が少しでも近づけたらと考えています。
 次をお願いいたします。
 さて、次は環境に関する取組を紹介させていただきます。キッコーマングループの長期環境ビジョンをこちらにお示しさせていただいております。持続可能な社会に向けて、CO2削減、水環境、持続可能な調達、あと、資源の活用のための廃棄物や食品ロスへの対応、環境配慮型の製品などについて、明確な目標をビジョンとして共有して達成するために日々、活動を行っております。
 次をお願いいたします。
 こちらは資源の活用として、みんなの力でプラスチック資源の循環に取り組もうという宣言になります。いちいち内容は読み上げませんが、社外にこれを宣言することで確実に取り組むことをお約束しているものになります。
 次をお願いします。
 全体的な思想は先ほどまでのスライドのとおりなのですけれども、あまり文字だけ追うよりも実例をお示ししたほうが分かりやすいと思いますので、こちらに環境に配慮した容器の例をお示しいたします。食品容器としてのプラスチックは瓶より軽量であることから、お客様の持ち運びの面から、そして、製品流通の面から優位性はあるのですが、必要最低限の使用に向けた削減、リサイクルの取組を継続しています。具体的にはボトルの軽量化であったり、ラベルの厚みを薄くしたりすることによる使用量の削減、または素材を変更してリサイクルしやすくするための配慮。そういったもので環境負荷低減を行っております。以上、例として挙げさせていただきましたが、継続して様々な開発を進めております。
 次をお願いします。
 こちらは資源の活用、再資源化100%を目指した活動の一例になります。しょうゆは大豆と小麦と塩を原料としまして、麹菌、酵母、乳酸菌という3種類の微生物の力を活用して、しょうゆを醸造することになります。製造の過程で、もろみを絞ると、皆さん御存じのいわゆる透明なしょうゆができます。現在の形のしょうゆが広く流通するようになった江戸時代から基本的には変わらない製法であると言われています。製造工程で搾りかすが出てきて、それはしょうゆかすと呼んでいますが、これも無駄なく牛の飼料などに使っております。適度な塩分が牛に好まれるという話も聞いております。
 次をお願いします。
 水資源への配慮ということで、キッコーマングループで実施している水使用量の削減、もしくは水環境保全。そういった取組が評価されまして、国際NGOのCDPという組織から2年連続で最高評価を受けているという御紹介になります。
 次をお願いします。
 これは最後のスライドですけれども、ESG株価指数への組入れについて御紹介させていただきます。企業は営利団体ですので、利益を追求しなければいけないというのは大前提なのですが、ただ、これから永続的な事業を営むためには地球社会の中で責任を果たさなければいけない。これは非常に重要な考えであると考えています。2006年に国連のアナン事務総長が提唱した責任投資原則という考え方が急速に拡大しています。利益だけではなくて、環境のE、社会のS、そして、ガバナンスのGという、投資をする際に評価しましょうという考え方になります。
 ESGで高い評価を受ける企業で構成されたESG株価指数が公表されていますが、こちらは下に四つ並べていますが、こちらはGPIF、日本の年金積立金の管理運用を行っている行政法人なのですが、そちらが採用している日本株に対しての投資で採用している四つの株価指数なのですが、これら四つに組み入れられている食品企業は、この資料をつくった時点ではキッコーマンを含め5社であるというふうになっています。これは当社の様々な取組が評価されたものだというふうに考えています。
 以上、キッコーマンの取組について御紹介させていただきました。御清聴ありがとうございました。
○武見座長 どうもありがとうございました。
 では、続きまして、資料2-3、今度は日清食品グループからの取組紹介ということで、田辺構成員、よろしくお願いいたします。
○田辺構成員 お世話になっております。日清食品ホールディングスの田辺でございます。本日は発表の機会を下さり、どうもありがとうございます。
 早速、弊社グループの取組を紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次のスライドをお願いいたします。
 プレゼン内容ですが、1番に記載の内容でイントロをさせていただいた後、栄養・健康面、特に塩分に関する取組を主に御紹介し、最後に環境に対する取組についても簡単に御紹介させていただきます。
 次をお願いいたします。
 こちらは食品事業者を取り巻く社会情勢・今後の課題についてまとめました。繰り返しになりますが、栄養・健康面では本検討会の一つの柱である減塩、そして、脂肪等をはじめとする栄養成分の問題等が課題事項です。さらに、ESG投資、SDGsについても企業が持続的な成長をしていくに当たって必ず取り組むべき課題と認識しています。これを弊社カップヌードルに当てはめて考えてみると、左側、ESGについて、温室効果ガス対策、有限資源の保全、倫理的調達といった取組を進めており、おかげさまでESG投資の指標であるDow Jones Sustainability Indices、DJSIのWorld Index構成銘柄に選定されております。そして右側、SDGs目標については、例えばフードロスや廃棄物、海洋プラスチック等の問題に取り組んでおります。
 次をお願いいたします。
 続きまして、ここで弊社グループについてごく簡単に紹介させていただきます。創業者安藤百福は1958年に世界初のインスタントラーメンを世に出しました。創業以来、弊社では、こちら、真ん中にありますが、開発原則を意識して商品開発に当たっております。以前は5原則でしたが、2018年に7原則に改定されました。追加された2原則とは、6番目の栄養と健康、そして、環境保全で、まさに本検討会の方向性に合致します。社会環境や消費者意識の変化に応じ、人々の健康と地球環境に配慮することはメーカーの責務と考えております。
 次をお願いします。
 それでは、栄養・健康面の取組として、塩分にフォーカスして発表させていただきます。
 最初に、減塩商品「カップヌードルソルトオフ」を紹介いたします。減塩してもおいしさはそのままを目指し、まず、世界中から約170種類の塩を収集し分析することから始め、減塩に最適な素材として塩化マグネシウムにたどり着きました。そして、ちゃんとおいしいのに塩分30%オフを実現。製麵性や麺の食感、スープの味わいや保存性を維持し、おなじみの味わいをレギュラー品と同じ価格で提供しております。
 次をお願いします。
 また、弊社グループの明星食品では、おいしく賢く食塩摂取量をコントロールできる「しおケアカップ」を開発し、順次、導入を進めております。左下の図のように、お客様自身で内側の線までスープを残すことにより、食塩摂取量をコントロールできるようにしたカップで、麺・かやくを全て喫食した後、表示線の位置でスープを残した場合に摂取する食塩相当量の目安が一目で分かるようになっています。このように、おいしさそのままで塩分量をコントロールできる業界初のカップとなっております。
 次をお願いします。
 続いて、別の視点からも塩分問題に取り組んでおりますので、紹介いたします。弊社ではサイリウムという食物繊維に着目し、長年研究しております。保水作用、潤滑作用、吸着作用があることから、以前より整腸作用等の機能が知られております。我々は食事に含まれる過剰なナトリウムをサイリウムが吸着することで便中ナトリウム排せつが変化するかを検証した結果、便中ナトリウム排せつ量の上昇を認めております。引き続き解析を進め、塩分排せつ、排塩というコンセプトについても検討してまいります。
 次をお願いいたします。
 さらに、東京大学大学院に日清食品寄附講座「味覚サイエンス」を開設しております。甘味、うま味、塩味といった五つの基本味はそれぞれに対応する異なる受容体で受容されます。人の塩味受容体の全容はいまだ解明されておりませんが、これを明らかにし、利用することで、少ない食塩でも強い塩味を感じさせられる塩味増強剤の開発を試みております。
 次をお願いいたします。
 続いて、弊社グループの環境戦略について御紹介させていただきます。
 気候変動をはじめとする地球規模での環境問題が顕在化する中、世界中の人々の食を支えるグローバルカンパニーとして、より高いレベルでの環境対策推進を重要経営課題と位置づけております。弊社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する情報開示に賛同し、TCFDコンソーシアムに参画しております。提言を踏まえたシナリオ分析を実施し、数値目標を定め、こちらにお示ししております環境戦略、EARTH FOOD CHALLENGE 2030を策定し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指した様々な取組を強化しております。これは二つの柱から成っており、一つ目は地球環境を取り巻く環境の保護及び資源の有効活用に挑戦するEarth Material Challengeで、パーム油の倫理的な調達や水資源、廃棄物問題に取り組みます。二つ目はグループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦するGreen Food Challengeで、日清食品グループのバリューチェーン全体でのCO2削減に取り組みます。それぞれの取組について、お手元の資料を御覧いただければと思います。
 次をお願いいたします。
 10枚目には、持続可能なパーム油の調達について。
 次をお願いいたします。
 続いて、生産で使用する水使用量削減について。
 次をお願いいたします。
 こちらが食品ロスの削減について、それぞれ数値目標を定め、取り組んでおります。
 次をお願いいたします。
 CO2削減については、Scope 1及びScope 2ですが、主に国内外の工場から排出されるCO2を対象としております。弊社グループは、2018年を基準に、2030年に総量でCO2を30%削減する目標を設定しました。これは国際イニシアチブSBTより、パリ協定と整合し、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度を十分に下回る水準に抑える科学的根拠に基づいた目標であると認定を受けております。
 次をお願いいたします。
 Scope 3についても、SBT基準に沿って2030年に総量で15%削減を目標としており、包材・具材の改良に加え、より環境に配慮した輸送等を進めてまいります。
 次をお願いいたします。
 こちらがグリーンな食材の話です。
 16枚目をお願いいたします。
 こちらがグリーンな包材で、いずれもCO2削減に関連する項目ではございますが、申し訳ございませんが、本日は割愛させていただきます。
 御清聴くださり、どうもありがとうございました。
○武見座長 どうもありがとうございました。
 ここまで、学術のほうと事業者様からの報告をいただきました。
 続いて、本日の議題に関係することとして、資料3で「活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組むべき栄養課題について」、そして、その推進に向けた主な論点の整理ということで、資料4の御説明を事務局からお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、まず資料3から御説明させていただきます。こちらは「活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組むべき栄養課題について」というタイトルの資料でございます。
 1ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらは上に「全世代や生涯の長きにわたり関係し得る重要な栄養課題」とありますが、活力ある持続可能な社会を目指すときに、まず重要になるのが、この全世代や生涯の長きにわたり関係し得る栄養課題は重要ではないかと私どもとしては考えております。
 なお、このナトリウム(食塩)の多量摂取のことにつきましては、私どもからも前回、第1回の資料としてもお示ししているところで、あと、先ほども瀧本構成員、土橋構成員から詳しい御説明がございましたので、こちらの資料では割愛させていただきます。瀧本構成員の御説明にもございましたけれども「若年女性のやせ」、それから「経済格差に伴う栄養格差」。こういったものも重要な栄養課題ではないかと思っておりますので、この2点に関するデータについて簡単に御紹介させていただきます。
 2ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらが日本人の若年女性のやせの状況でございます。
 上の○にもございますが「健康日本21(第二次)」におきまして、女性のやせは、骨量減少、それから、次に誤字があって訂正させていただきたいのですけれども、低出生体重児出産のリスク等との関連があることが示されております。
 また、日本人の20歳代女性のやせの方。これはBMI18.5未満の方でございますが、こういった方の割合は、ここのグラフにもお示ししておりますとおり、中長期的に見ますと増加傾向にある状況でございます。
 3ページ目が参考データで、成人女性のやせが国際的にみて、日本がどういう位置づけになっているかというデータでございます。
 御覧のとおり、日本は、主な先進国の中でも、成人女性のやせの割合が高い状況にあります。
 4ページ目で、こちらも参考データでございます。日本における低出生体重児の状況です。
 上のポツで御覧いただけますとおり、令和元年の日本の低出生体重児の割合は9.4%となっております。
 低出生体重児の増加の要因としては、医学の進歩、多胎児出産、妊娠前の母親のやせ、妊娠中の体重増加抑制、喫煙等の因子が報告されております。
 5ページは国際比較をした図になります。
 こちらも御覧のとおり、日本は、主な先進国と比較してみても、低出生体重児の割合が高い状況にあります。
 ただ、先ほどの資料でも御説明いたしましたが、この低出生体重児はいわゆるやせの問題のみならず、医学の進歩など、様々な影響がいろいろ掛け合わさって出てきているもので、そのあたりは御承知おきいただければと思いますが、いずれにしても高い状況にあるということでございます。
 6ページで、次にもう一つのテーマで、所得と食生活等に関する状況ということでお出ししております。これは私どもから既に公表させていただいておりますが、平成30年の国民健康・栄養調査の結果の概要から引っ張ってきているものでございます。
 上の見出しにもございますとおり、食品を選択するときに何を重視しますかということでいろいろ聞いているのですけれども、下の赤で囲っておりますとおり「栄養価」を重視する回答されている方の割合は、世帯の所得が600万円以上の方々に比較して、男女とも200万円未満の世帯で有意に低い状況になっております。
 これに関連するデータですが、7ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらも参考データとして、日本における貧困率の年次推移をお示ししております。
 グラフにも載せておりますけれども、相対的貧困率、子供の貧困率、そして、子供がいる現役世帯の貧困率の年次推移はこのようになっております。グラフの中の青の点線で囲っているところを御覧いただけますと、子供がいる現役世帯における大人の人数別の貧困率とあり、このうちの上、大人が1人の世帯におきましては、新基準で見ますと、48.3%がこの貧困層に該当する状況になっております。
 同様にまた国際比較しておりますものが8ページ目のスライドでございます。子供がいる現役世帯のうち、一人親世帯の貧困率の国際比較であります。
 グラフでもお分かりのとおり、日本は、主な先進国の中でも、一人親世帯の貧困の割合が高い状況になっております。
 こういったことを踏まえまして、私どもとしてはやはり、この活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、全世代や生涯の長きにわたって関係し得るものとして、ナトリウムの問題のほか「若年女性のやせ」、「経済格差に伴う栄養格差」重要ではないかと思っている次第でございます。
 以上です。
○武見座長 続けて、資料4のほうも御説明をお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、資料4の御説明をさせていただきます。こちらは「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた主な論点の整理(栄養面)(案)」としてお示ししております。
 優先して取り組むべき栄養課題につきましては、以下の方向で整理してはどうかということで幾つかお示ししております。
 まず、1ポツ目でございますけれども、栄養関係でいきますと、全世代を通じ、ナトリウム(食塩)の多量摂取が最大のリスク要因になっていると思いますが、こうしたことに鑑みまして、減塩を最優先事項といたしまして、産学官等が連携し、事業者による減塩の自主的取組を推進していくこととしてはどうかと考えております。
 2番目は、先ほど御紹介したものでございますけれども、減塩のほか、重要な栄養課題として「経済格差に伴う栄養格差」、また「若年女性のやせ」などの問題があると認識しておりますが、減塩に取り組む事業者が、これらの改善に向けた取組を任意に行っていくことについても、産官学等が連携して推進していくこととしてはどうかと思っております。
 取組の例で、こちらは※に示しておりますので、御覧いただければと思います。これはあくまでも例でございます。
 3番目のポツで、この食環境づくりを進める領域でございますけれども、いわゆる内食で、家庭内調理。それから、中食。これは持ち帰りのお弁当とか惣菜等を意味しております。また、外食。これらはいずれも重要でございます。ただ、今回の食環境づくりはこれからまさに立ち上げ期を迎えるところで、確実かつ着実な成果の創出が問われてくるところでございます。こうした観点から、そして、前回も御紹介しましたが、日本人の食塩摂取源等に鑑みますと、ここは「として供する」となっておりますけれども、ここは「『内食』や『中食』に用いる」としていただけますでしょうか。内食に供するというのは意味が分かりにくくなってしまいますので、こちらは「『内食』や『中食』に用いる」と訂正させていただきたく思います。当分の間は内食や中食に用いる一般用加工食品としてはどうかと考えております。
 続きまして、次のページで、先ほどESGとかSDGsという話が出てまいりました。それに関係するものでございます。
 栄養はSDGsの達成に向けて特に重要になる要素の一つであり、ESG評価のうちのS、すなわち社会を構成する要素の一つでもございます。こうした中、我が国で優先して取り組むべき栄養課題ということで減塩等を考えておりますけれども、これらについて、事業者が本業として展開して、その状況等について、事業者が自ら行う情報発信とは別に、今回新たに立ち上げる食環境づくりの仕組みの中においてもこうした情報を発信できるようにしていくことは、事業者の方々のESG評価の向上につながり、ビジネスの更なる展開を支え、持続可能な食環境づくりの推進にも寄与するというふうに期待されるのではないかと考えております。こうした考えの下、この食環境づくりにおきまして、事業者の減塩等の取組について情報発信していくことをしてはどうかと考えている次第でございます。
 以上です。
○武見座長 どうもありがとうございました。
 そういうことで、前半はかなりたくさんの情報提供になったわけですけれども、ここから質疑に入って議論に入っていきたいと思います。
 少したくさんでしたので、途中で切っていきます。まずは資料1-1と資料1-2、瀧本構成員と土橋構成員から御説明いただいた内容について、何か御質問、御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
 では、赤松構成員、今、手が挙がりました。どうぞ。
○赤松構成員 瀧本先生に御質問させてください。
 2点あります。まず1点目がスライド5について,増えている調味料がその他の調味料が増えているとこのグラフから読み取れます。その他の調味料には何が含まれるのですか。
○武見座長 では、瀧本先生。
○瀧本構成員 その他の調味料のところは、マヨネーズ、ソース、塩、味噌、しょうゆ以外のところですね。
○武見座長 いろいろあると思うので、幾つか例でもいいと思います。
○瀧本構成員 いろいろ入っていて、めんつゆとか、オイスターソース、麻婆豆腐の素とか、ミートソースとか、ドレッシング、ポン酢しょうゆ等々、いろいろです。
○赤松構成員 分かりました。このグラフを見ると、和食が減っていて、食事が大分変わってきていると思いました。
 もう一つがスライド6です。8g未満の男女とも、この人たちはエネルギーもやはり少ないのでしょうか。この間、土橋先生が減塩にするとエネルギーが減り,低栄養になる心配もあるということをおっしゃっていて、この方たちのエネルギー摂取量は8g以上の方に比べて差があるのかというのを教えてください。
○瀧本構成員 8g未満の群は、やはりエネルギー摂取量が8g以上と比べると低いです。
○赤松構成員 ありがとうございます。
○武見座長 赤松先生、よろしいですか。
○赤松構成員 はい。
○武見座長 これはつまり、エネルギー摂取量が低いから食塩摂取量も低いということも多少関係していますね。
○瀧本構成員 そうです。そこはトータルで見るとそういう結果になっています。
○武見座長 ありがとうございます。
 菅原構成員もさっき手が挙がりましたか。大丈夫ですか。
○菅原構成員 ありがとうございます。
  感想というか意見になってしまうのですけれども、瀧本構成員がおっしゃっていた11ページを見ていくと、やせの方は恐らく栄養に対する問題意識が低いという仮説があるのかなと読み取ったのですが、一方で14ページを見ていくと、肥満の方が情報源としてどこから情報を得ているかで言うと「ソーシャルメディア」となっています。私ども、デリッシュキッチンというメディアをやっておりまして、アプリであったり、あとはSNSでの動画配信なども行っていますので、そういったSNS、ソーシャルメディアの中で私たちができることは何だっけというところを改めて考えたいと思いました。
 その中で、肥満の方であったり、やせの方で回答してくださっている方の実態 、例えば家族構成であったりとか、世帯年収、どういう地域にお住まいなのかといった詳細をもうちょっと教えていただける機会があると、どういうアプローチをしていったらいいのか細かく考えられるかなという気がしました。
○武見座長 瀧本構成員から何かありますか、あるいはコメントとして受けるかという、どうでしょうか。
○瀧本構成員 若干補足なのですけれども、スライドの11番のやせの人で食生活改善の意思なしの割合が高い傾向なのですが、この調査では、食生活の何を改善しているかということははっきりとは聞いていないので、そこが限界だというところがあります。
 あと、体格別にもうちょっと背景情報が分かるというお話だったのですけれども、ここのスライド14番で人数を見ていただいてもお分かりのように、やせと肥満はあまり人数が多くないので、そこまで深い分析がしづらいのが限界かと思います。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
○菅原構成員 ありがとうございます。
○武見座長 笹尾構成員も御意見か御質問でしょうか。お願いいたします。
○笹尾構成員 様々な情報提供、ありがとうございます。
 瀧本さんも土橋さんもお二人ともおっしゃっていたのですけれども、食塩の摂取量は皆さん、自分よりも少なく見積もっていらっしゃるという御意見があって、その理由は何なのかなというのがもし分かればと思いました。お話を聞いていて、そもそもやはり自分の食塩の摂取量が分かっていないのが一つ課題なのかなと。もちろん、それを意識せずに食環境を整えようというのが今回の趣旨にはなっているかと思うのですが、自分たちがどれくらい摂取しているか、なかなか理解できない要因ですとか、そういったところに何かお気づきの点とか御存じのことがあれば教えていただければと思います。
○武見座長 では、時間も限られていますので、まず瀧本構成員から、そして、土屋先生も簡単に御意見、お返事をお願いします。
 まず、瀧本構成員から。
○瀧本構成員 食塩の摂取量の見積りが少ない理由として、一つは食事全体をなかなか正確に把握するのが難しいという方法論のこともあります。あと、食塩を自分が1日どれぐらい取っているか、なかなか推定が難しいですね。加工食品とかだったら表示がされているので大ざっぱに把握はできますけれども、実際に食卓で調味料をつけたりかけたりということも多々あると思います。そういうものももう少し標準化して、これくらいつける、あるいはかけるとこれだけというのが分かりやすく伝わるような方法も今後必要なのかなと思います。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 では、土橋構成員、先生はいろいろ、この把握の問題についてやっていらっしゃるので。
○土橋構成員 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 今のお話ですけれども、やはり私どもは高血圧の方を対象にしていることが多いので、そもそも減塩が大事だということが分かっていらっしゃるのです。したがって、おしょうゆをどれぐらいかけますかとか、どれぐらいつけますかとかといった質問に対してはどうしても少なめに言われる傾向があると感じています。一般の方と高血圧の方と同じような試験をすると、高血圧の方のほうが少なく出ることがあります。
 そういったことで、例えば少なくかけるとおっしゃった方に実際にフードモデルの冷ややっこにしょうゆをどれぐらいかけていますかとやったら、決して少なくない方もたくさんいらっしゃいます。したがって、自己評価で少なめとかあまりつけないという回答は当てにならないというのが実感です。
○武見座長 ありがとうございます。
 まだほかにもあるかもしれないのですが、また最後に論点のところでもこの内容は御質問いただけると思うので、ちょっと先に進みたいと思います。
 続いて、資料2-1から資料2-3、食塩関連事業者様から栄養に関する取組と環境に関する取組ということで御報告いただきました。そこについての御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 夫馬構成員、お願いいたします。
○夫馬構成員 お願いします。3社さんにそれぞれ少しお聞きできればと思うのですが、質問は二つあります。
 一つ目が、先ほど減塩商品ですとか健康・栄養面に配慮された商品がいろいろたくさん出されているということだったのですけれども、その売上げシェアが各製品カテゴリーで伸びてきているのかどうかというのが一つ目です。
 もう一つ目で、前の説明でも例えば減塩商品は価格が高いという話もありましたが、今の事業者さん3社にとって、この価格が高くなっている現状がもしあるとすると、そこにどこに大きな問題があるのか。例えば、どうしても皆さんの中では利益マージン率を高く設定されようとしているのかですとか、原料がどうしても高くなる、もしくは生産プロセスでお金がかかる。今後、価格を下げていくとすると、どのあたりに突破口がありそうかということを少し、感覚としても結構ですので、お聞きできればと思います。
 よろしくお願いいたします。
○武見座長 では、順番に行きましょう。
 まず、味の素の畝山構成員からお願いします。
○畝山構成員 質問ありがとうございました。
 2番目の質問の価格面のところですけれども、それは味の素グループのポリシーとしていろいろな、特に塩分とかについては製品再組成をしていくのですが、そのときに、可能な限り同じ価格で売れるような努力をしようという基本原則はあります。でも、どうしてもやはり売れる規模とかによる、売れる量によって価格はどんどん変動していきますので、一つは本当に売れる環境に、特に減塩製品があるかどうか。それがとても重要だと思っています。
 あと、最初の質問は何でしたか。
○武見座長 減塩商品のシェアが増えているのかという御質問です。
○畝山構成員 シェアは、事業部というものは確実なところは、数値はちょっと出せないのですけれども、増えているそうです。特にコロナ禍において、いろいろな食形態も変わってきていて、減塩とかを意識している方が増えているのは幾つかの調査でたしかあったと思いますが、増えているみたいです。
○武見座長 ありがとうございます。
 では、キッコーマンの五味さん、お願いいたします。
○五味構成員 キッコーマンからお答えをさせていただきます。
 まず、最初の質問の減塩商品が伸びているかということなのですけれども、これは確実に減塩しょうゆの市場は伸びているというのがあります。
 もう一つ、価格についてなのですが、畝山さんがおっしゃっていたとおり、なるべく同じ価格でというのは大前提にあります。企業努力で何とかしようというのは考えなければいけないことだと思っています。ただ、やはり供給量、製造の規模ですか。そういったところで多少、影響は出るかなという考えで捉えていただければと思います。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 では、最後は日清食品グループの田辺さん、お願いいたします。
○田辺構成員 御質問ありがとうございます。
 シェアにつきましては、商品を出して、これから推移を見守っていくところになりますけれども、大きく伸びているかたちではなさそうでございますが、今後見守っていくというところです。
 もう一つ、減塩商品の価格につきましては、プレゼンでお話しさせていただきましたように、今回のものはレギュラー品と同じ価格にしておりまして、考え方として、企業努力でできる限りのことをしていこうという考えで商品開発に当たっております。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 夫馬構成員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○夫馬構成員 はい。ありがとうございました。
○武見座長 今、とても大事な質問をいただいたと思うのですが、そのほか、いかがでしょうか。
 では、諸岡構成員、お願いいたします。
○諸岡構成員 ありがとうございました。非常に興味深いお話を聞かせていただきました。
 その中で、日清食品様より御提示いただきました「しおケアカップ」という提案があったと思うのですけれども、やはり塩分というあたりが見えない、量が見えないというあたりが適正摂取を阻む要因になっているかなと思うのですが、今回、明星食品の「しおケアカップ」で「見える化」というところを御提示いただいた、そのようなお取組というあたりを味の素さん、キッコーマンさんのほうでもしておられましたら、少し御教示いただけるとありがたいと思うのですけれども、よろしくお願いします。
○武見座長 いかがでしょうか。
 畝山構成員、お願いします。
○畝山構成員 実際に「見える化」の努力はしていると思うのですけれども、キッコーマンさんみたいにそういった取組はあまり、すみません。僕自身はまだ把握できていませんが、どちらかというと、今「見える化」自身よりも、味の素グループとしては製品を作るときに、紹介させていただきましたけれども、栄養プロファイリングシステム、さらにHSRシステムに基づいて、いわゆる塩分管理を徹底しようというところで動いているのが現状です。
○武見座長 ありがとうございます。
 諸岡構成員、よろしいですか。
○諸岡構成員 キッコーマンさんのほうは何かされていますか。すみません。
○武見座長 失礼しました。
 五味構成員、お願いいたします。
○五味構成員 御質問の点なのですけれども、割と当社の製品はボトルに入って、自分の好きなだけかけるという方式なので、なかなかそういった視点では全部を食べる、1本飲むということはまずありませんので、そういった形はなかなか難しいところがあるかなと思っています。
 ただ、今、10年ぐらい前から新しいボトルにしていますが、1滴、2滴が垂らせるしょうゆという、多分、使っていただいていれば分かると思うのですが、少量ずつ出せるような形にしていますので、そういった意味では何滴かけるというのはコントロールがしやすいのかなとは思っています。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
○諸岡構成員 ありがとうございます。
○武見座長 そのほか、皆様、いかがですか。
 日清食品の田辺さん、この「しおケアカップ」は本当に面白いアイデアだなと思ってお聞きしましたが、実際、お客様の反応とかはどんな感じなのですか。
○田辺構成員 ここに商品パッケージを持ってきましたけれども、表示を御覧になって、トータルで食塩4.4gなのが、線の所でスープを残せば2.9gに減るということでケア意識を持っていただける点で好評ではないかと考えております。
○武見座長 ありがとうございます。
 廣田構成員、手が挙がっております。お願いいたします。
○廣田構成員 全国消費者団体連絡会の廣田と申します。
 日本を代表する食品メーカーさんのチャレンジングな、先進的な取組の内容に圧倒されて聞いておりました。ありがとうございます。このような形で日本の食品業界を牽引してくだされば、きっと自然に健康になれる食環境づくりが進むだろうと思いながら聞いておりました。消費者のほうも、そういった動きを敬遠することなく、賛同して応援しながら、一緒に社会的に健康づくりに参画するような意識づくりができるといいなと思って聞いておりました。
 先ほども出て、前回も出ていたのですけれども、食塩の摂取量が数値として一人一人がなかなか把握できない問題が出ていました。それぞれ個人で減塩の意識を高めて、塩分が多いのか少ないのか、1日どのぐらい取っているのかということを把握して、努力して減らしていくためには、やはりいろいろな食品の容器包装への表示の問題があると思います。そこの栄養成分の表示については義務化されているところではありますが、やはり見づらいですとか、書かれている場所、字の大きさの問題等あると思うのですけれども、やはりそこの見やすく理解しやすい、消費者が分かりやすい表示の仕方が必要になってくると思いますので、消費者のほうは表示を意識してみて購入したり摂取することが大事だと思いますし、お互いに事業者、消費者、双方がそういったことを認識していけるようになっていきたいと思いますので、それを含めた啓発活動や情報提供も必要だなと思っておりますので、今後とも表示の面もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○武見座長 御意見ということでよろしいでしょうか。
○廣田構成員 はい。
○武見座長 今のことに関して、3社の皆様、表示関係でもしあれば、手短に御意見を返していただいてもいいかなと思うのですが、どなたか、よろしいですか。いいですか。
 瀧本構成員から手が挙がりました。
○瀧本構成員 どうもありがとうございます。
 私からは1点コメントなのですけれども、非常に企業の皆さん、いろんな取組をされてきて、すばらしいと思いました。ありがとうございます。
 それで、世帯の収入による栄養格差のお話のときも少しさせていただいたのですが、どんな方でもそういった商品が手に取れるような流通とか販売環境というものが今後どんどん発展していくといいなと思いました。
 また、日本でのそういった先進的な取組をどんどん、やはり塩分摂取に課題を持っているアジアの地域に同じように広げていけると、よりすばらしいのではないかと思いました。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。御意見として受けておきたいと思います。
 では、ちょっと先に進めさせていただきます。続いて、資料3の優先して取り組むべき栄養課題について、事務局からの御説明がありましたけれども、この資料3に関連して、御質問、御意見はありますか。いかがでしょう。
 ナトリウムの、食塩の多量摂取と若年女性のやせ、そして、経済格差に伴う栄養格差ということで、特に国際比較の側面も含めて御説明があったのですけれども、後半二つはいかがでしょう。
 では、畝山構成員、笹尾構成員といきます。
○畝山構成員 では、すみません。質問というか、お願いなのですけれども、今後、この検討会とかが進んでいって、実際に社会実装の動きが今まで以上に加速した場合、個々の企業の取組、あるいはいろいろな人たちの取組を統合して、クリエーションレベルで評価できるフレームワークづくりとかというものは、それを基に海外の政策を広めていくことの枠組みはぜひ何か事務局の先生方に考えていただけないかと思いました。
 以上です。
○武見座長 では、今のは事務局への御質問だと思うので、いかがでしょう。
○塩澤栄養指導室長補佐 ありがとうございます。
 今回、どういう目標を立てて、それをどう評価していくかというのは非常に重要だと思っておりまして、それは第1回のときにもお示ししましたが、第3回の検討会で御議論いただきたい事項と思っております。
 ただ、いずれにしても、そういう評価をきちんとして、それを「見える化」して発信するのは当然ながら非常に重要になってくると思っておりますので、引き続き皆様方から御意見を賜り、どういう着地点があるのかというのを我々としても考えてまいりたいと思っております。
○武見座長 ありがとうございます。
 では、笹尾構成員、お願いします。
○笹尾構成員 ありがとうございます。
 私も御質問なのですけれども、今回、優先事項項目を三つ挙げていただいておりまして、これは引き続き、その三つが大事だねということであれば全ての施策について考えていくということなのでしょうか。それとも、この中から一つ選んで、さらに重点的に進めていくという議論になるのでしょうか。その方向性が分かれば。
○武見座長 事務局の考え方としてということでお答えをお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 資料4の1ポツ目、2ポツ目にも書かせていただいたのですけれども、まず、この三つが我々は重要と思っているのですが、中でも一番重要なのは減塩、これを最優先事項にしたいと思っております。
 残りの二つに関しては、重要ではあるのですけれども、やはり優先度は減塩のほうが上でして、資料4のところにも事業者の方々、減塩に取り組んでいただきながらも、この残りの二つなどにも任意で取り組んでいただくことについても何らか推進していくことにしてはどうかと思っております。そういうふうに一応、強弱はつけたいと考えているところでございます。
○笹尾構成員 ありがとうございます。
 個人的には、やはり所得によっての栄養格差があることに対してすごく課題意識もありますし、SDGsの観点で言うと、誰一人取り残さないという意味で、やはり弱い人の立場を改善していく視点が大事なので、個人的にはこの項目に注力したいと思い御質問させていただきました。ありがとうございます。
○武見座長 ありがとうございました。
 東構成員、手が挙がりましたので、お願いいたします。
○東構成員 本日から参加させていただいています東です。よろしくお願いします。
 ちょっと教えてほしいのですけれども、資料3の2ページ目から日本人の若年女性のやせの状況というところで、2011年のところで20~29歳の20歳代は若干減りつつあって、ほかの年代の方はそんなに下がっていないというのは何か特徴的なものがあったのでしょうか。若干、直近になってまた上がりつつはあるのですが、その辺がもし分かりましたら教えていただきたいと思いました。
 以上です。
○武見座長 事務局、お願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 御質問ありがとうございます。
 興味深い変遷かと思うのですけれども、あいにく私どもとして明確な要因分析はできていない状況でございます。
 以上でございます。
○武見座長 ありがとうございます。
○東構成員 ありがとうございます。
○武見座長 あと、土橋先生、手が挙がったのですが、次、資料4も併せていきたいと思うので。
○土橋構成員 では、簡単に一つ教えてください。
 資料3の6ページ目の所得と食生活で「栄養価」という表現がありますけれども、一般の方が栄養価を重視しているというときに、この栄養価をどのように理解しておられるのか、教えていただけますか。
○武見座長 これは事務局でいいですか。
○塩澤栄養指導室長補佐 私からお答えを差し上げます。
 ここは本来、栄養価というものをきちんと定義づける考え方もあろうかと思うのですけれども、ここでは栄養価として、これを重視していますかという調査の結果となっています。したがいまして、これが減塩を意識しているのか、あるいはエネルギーを抑えることを意識しているのか、その他を意識しているのかというのは残念ながら明確化できていない状況でございます。
 ただ、実際のところ、栄養価を重視すると答えた方が、低所得者層の方は高所得者層の方に比べて統計学的に低かったということになっております。ここは調査の限界でございます。
○武見座長 よろしいでしょうか。
○土橋構成員 ありがとうございます。
○武見座長 ありがとうございます。
 この資料3につきましては、先ほど2枚目のスライドが誤字ということで、訂正が入ったところは修正して、またホームページのほうの資料は修正しておいていただければと思います。
 では、続いて、資料4に議論を進めます。こちらで主な論点整理ということなのですが、まずは上の二つ、先ほどから議論になっている食塩とあとの二つ、そこを三つあるわけですけれども、この整理の仕方、減塩を主としながらという形で読んでいいのでしょうか。その辺につきまして、こういう整理でよろしいかどうか。御意見をいただきたいと思います。
 赤松構成員、どうぞ。
○赤松構成員 すみません。一言、赤松です。
 この二つを重要課題に入れるのは理解できます。この二つは、栄養課題、つまり、食生活のことを言っているのではないと思います。例えば若年女性の人にこの情報提供すると、この※のところに書かれていますので、もう少し具体的に、今日、瀧本先生が御紹介くださったように、どういう食生活の課題があるかを明確にしたほうが取り組みやすいのではないかと思います。このままですと、やせを減らしましょうという、もっと食べましょうといったメッセージになってしまい、また別の栄養課題が出てくるのではないかと心配です。
○武見座長 つまり、逆に言うと、若年女性のやせをどういうふうに扱っていくのかということですね。
○赤松構成員 そうです。ここで示しているのは食生活の課題ではないと思います。体格の話です。
○武見座長 体格は食べた結果といえば食生活というふうにも捉えられると思いますけれども、だから、栄養課題という表現がいいか、また少し広げた表現のほうが、栄養・食生活の課題とするのかについての御意見ということでよろしいですか。
○赤松構成員 はい。行動変容させるためには食行動としての課題を明確にしたほうがやりやすいのではないかという意見です。
○武見座長 分かりました。
 そのほか。
 合瀬構成員、お願いいたします。
○合瀬構成員 ありがとうございます。
 今日は大変いい分析、それから、報告と、それに今後の主な論点を示していただいたと思います。主な論点の一つ目の○の一つ目のポツですか。「栄養関連では、全世代を通じ」云々ということがあって、最後に「事業者による『減塩』の自主的取組を推進していく」となっているところ。異論はないのですけれども、本日、瀧本先生から食塩の過剰摂取についてのアンケートがあり、その資料の7ページ目に、1日の食塩摂取量が8g未満の者であっても、以上の者であっても「関心はあるが改善するつもりはない」と答えたとあります。
 つまり、これの意味するところが何かということなのですが、関心があるけれども改善するつもりがないというのは、つまりやりたくないということを言っているのか、それとも、やりたいけれども、やり方が分からないということを言っているのか。この言葉のニュアンスからすると「関心はあるが改善するつもりはない」という答えからすると、やるつもりはないという答えに聞こえるのです。
 そうすると、幾ら事業者が減塩の取組をしても、結局は消費者がやるつもりがないなら、そういう商品を選んでくれないのではないかと思うのですが、このあたりのところをどういうふうに分析していらっしゃるのか。例えば「関心はあるが改善するつもりはない」と答えられた人に、なぜ改善しないのか、改善しない理由を聞かれたことがあるのか。もし、そのあたりのことがお分かりになれば教えていただきたいと思いまして質問させていただきました。
○武見座長 恐らく、そこまでの質問はないのではないかと私は思うのですが、これはトランスセオレテイカル・モデルという、行動変容の段階を把握する中での、改善することに全く関心がないというので、全く関心がないわけではなくて、少しは関心があるのだけれども、今するつもりはないみたいな、そういうものがこの改善するつもりはないという回答だと思うのですが、瀧本先生、今の質問に関して何かお答えはありますか。
○瀧本構成員 この質問ですけれども、この後、あなたの健康な食習慣の妨げとなっていることは何ですかというのも実は聞いていて、今日はスライドに出していないのですが、「妨げとなる点は特にない」と回答した人が35%ぐらいいて、次いで「仕事・家事・育児等が忙しくて時間がない」と回答した人が27.5%、「面倒くさいこと」と回答した人の割合は25%でした。
 それ以外に聞いている項目は分かるのですけれども、それぐらいで大丈夫ですか。
○武見座長 よろしいでしょうか。
○合瀬構成員 そうすると、やはり一般消費者に対して塩を過剰に取ることと健康被害の関連をもうちょっと強くPRしないと、行動変容というか、それが減塩食品に向かわないのではないかという感じがするのです。ですから、個々の事業者による減塩の自主的取組を推進していくとともに、やはり一方で消費者に対して食塩の過剰摂取のリスクみたいなところをきちんと伝えていくことが必要なのかなという感じがしました。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 今の議論はまさに御本人、消費者の方が気づいて意識を持って取り組むことと同時に、この検討会の自然に健康になれるというのは、あまり気づいていない人も何となくその商品を選んでしまうねとか取ってしまうねという仕組みもつくっていく。その両方をやっていこうということかと思います。とても大事な議論をありがとうございます。
 ちょっと時間の関係で、次へ進ませていただきます。この資料4の一つ目の○の三つ目のポツ、食環境づくりを進める対象の領域ということで、内食と中食にということのところなのですけれども、ここについて御意見はいかがでしょうか。
 赤松構成員、お願いいたします。
○赤松構成員 すみません。食環境づくりを推進する領域についてです。内食と中食に焦点を当てることは理解できるのですが、※のところまで読むと、外食を対象から除外するようにも読めます。取り組むレベルが異なっていてもいいので、外食も含めた形にできないかと思います。
 その理由としましては、今回のターゲットとなる無関心層、食に対してや健康に対して無関心層はやはり家での調理をする頻度が少ないと考えられ、中食で買ってきたり、今でしたら,外食のテークアウトを利用されている方が多いのではないかと思います。それと、今、私はスマートミールに関わっていますが,外食の事業者でも中食をやったり、両方やっている事業者も結構あります。
 そして、もう一つが「健康日本21」の目標でも飲食店の登録数が目標に入っていますので,「健康日本21」との整合性も考えると、外食も視野に入れたほうがいいのではないかと考えます。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
 結構大きなことなのですけれども、多分、これは栄養成分表示のこととかを考えると、普通の外食と、いわゆる一般加工食品や、中食でも包装された惣菜や弁当などでは基準が違うということでこの提案になっているかと思います。決して外食という産業自体を全く入れないということではなく、当面、対象とする食品としては主に内食で使うもの、例えば調味料などもそうですけれども、それと中食を中心にしていくということなので、ただ、ニュアンス的に何か外食産業の方が見たときに、自分たちは全然関係ないと思わないような表現には少し修正する必要があるかなと思いましたので、そこは私のほうで預からせていただきたいと思います。
 今、赤松先生の御意見を聞いて思ったのですが、これは3行目の今回の立ち上げるところというところで、これは立ち上げるのは今回の食環境づくりの仕組みですね。ですから、この辺の言葉遣いも、食環境づくりを今からやりますではなくて、そういう産学官の連携していく仕組みをつくるということをこれからやるので、誤解の無いように表現は整理したほうがいいかなと思いましたので、事務局と相談していきたいと思います。
 では、裏面へ行きまして、最後のところです。ここのSDGsの達成に向けてというところで、食環境づくりのところに関して、いかがでしょうか。裏面のポツに関して、持続可能な食環境づくりの推進に向けてということで、このような環境面の取組も食環境づくりの仕組みの中でいろいろ情報発信をしていくということにしていってはどうかという御提案の整理なのですけれども、よろしいですか。
 細かい文言は最終的にはまた少し整理したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、今の最後のところはこれからまた御説明いただく環境面に関するところとも関係しますので、ちょっと時間が押しているのですけれども、この後、議事の「(2)環境面に関するものとして、適切な栄養・食生活やそのための食事を支える食環境の持続可能性を高める観点から、焦点を当てるべき事業者の取組について」ということで進めていきますが、今回は、環境省、経済産業省より話題提供をいただきます。環境省、経済産業省の順にそれぞれ御発表をいただいて、論点整理を行っていきたいと思います。
 では、まず、資料5-1を使いまして、環境省の名倉課長からお願いいたします。
○名倉廃棄物適正処理推進課長 環境省の名倉でございます。
 環境面の取組につきましては、先ほど、特に企業の構成員の方からのプレゼンの中で非常に先進的な取組を御紹介いただいたところではございますけれども、私からは背景的なことも含めて環境省の取組について説明させていただきます。
 こういう流れで説明させていただきますが、まず一つ目としまして、環境面の大きなトピックとしましては気候変動・地球温暖化対策の問題がございます。これにつきましては、2015年にパリ協定がCOP21で採択されております。全ての国が参加する公平な合意というものがされまして、産業革命から世界の平均的な気温の上昇を2度未満にしようという目標を掲げて、できれば1.5度以内にしようという努力目標が掲げられまして、そうしたところから今世紀後半にはカーボンニュートラル、即ち温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成することを目指すとされております。
 ちなみに、その少し下のところ見ていただきますと、2018年にはIPCCの1.5度特別報告書が公表されまして、1.5度以内に収めるためには世界全体で2050年にはカーボンニュートラルの達成が必要とされております。
 我が国としましては、昨年10月になりますけれども、菅総理の所信表明演説におきまして、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すというふうに宣言されたところで、今、政府全体としまして地球温暖化対策を日本の成長戦略にしようということでより具体的な検討等が行われているところでございます。
 次に、プラスチックの問題で、海洋プラスチックですとか、資源循環、温室効果ガスの削減という観点から、プラスチックの使用等々につきましても対応を進めていこうということで、G20で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが共有されたということでございます。これは共通のグローバルなビジョンとして共有されたということで、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すということがされております。
 また、G20の実施の枠組みというところでは(1)の下にあるような自主的取組を実施して、効果的な対策と成果を共有する、また、更新をしていくということが共有されたということでございます。
 「プラスチックスマート」という取組も進めておりまして、ここに企業とか業界団体の方も含めて様々な取組を登録していただいている。また、それぞれのいろいろなところで、一斉清掃等も含めて、様々なアクションを取っていただいているところでございます。
 自治体でもプラスチックごみについては様々な取組を進めていただいておりまして、プラスチックごみゼロ宣言というものをしていただいている自治体が昨年末で98自治体あるというところでございます。
 また、政府としましては、一昨年、令和元年5月31日にプラスチック資源循環戦略も取りまとめられました。基本原則のところに3Rという、Reduce、Reuse、Recycleというものに加えてRenewableということを原則として置いて、ReduceとかRecycleとか、再生材とか海洋プラスチック対策等々に対して様々な取組を進めていく。
 右上のほうにございますけれども、何年までにどうしていくという数値的なマイルストーンも掲げて対応を進めているところでございます。
 また、食と環境という意味では、これは令和2年の環境白書の中でかなりまとまった形で捉えているということで、まず、日本の温室効果ガス排出量を消費ベースで見ますと、全体の約6割が家計によるものということでございます。右上の円グラフでは、見にくいのですが「食」と書いているのが12%ございまして、それなりの割合を占めている。
 左のほうの三つ目のところでは、平均的な日本人の食事に伴うカーボンフットプリント、どれだけCO2換算で出しているかということでは、一人当たり年間で1,400kg出しているということで言われておりまして、そういう状況を踏まえまして、一番下のところでございますけれども、地域で生産された野菜や地域で加工された食品等の購入とか、環境に配慮したような食品の購入とか、食品廃棄物の削減などが重要というふうにしております。
 それぞれ見ていきますと、食品の地産地消につきましては、こういう自給率というもので取りあえず、グラフで示しておりますが、横ばいから少し下がり気味というところでございます。
 有機食品の選択ということにも触れておりまして、こういう有機食品のニーズは年々増加しているというところでございます。
 また、食品ロスの削減につきましては、食品ロス、まだ食べられるのに捨てられる食品ということになりますが、世界的には2030年までに一人当たりの食料の廃棄を半減させるというターゲットが設定されているということで、日本の昨今の食品ロスは612万tございまして、大体、事業者の方から出てくるものと家庭から出てくるものが大体半々というところでございます。食品ロスの削減の推進に関する法律も令和元年にできまして、様々な対応を進めているところでございます。
 また、IPCC土地特別報告書でも食に関する記載はありまして、世界の人為的な温室効果ガスの総排出量の21~37%を世界の食料システムで占めているというものがございますし、その下のほうも適応と緩和、気候変動の世界では気候変動が起こるので、ある程度までは仕方がないということで対応を進めるものを適応と、温室効果ガスの量を減らすことを緩和と呼んでおりますけれども、そういう緩和の観点でどういう影響が出ているかというものも載っておりますし、また、食品ロスにおきましても生産される食品全体の25~30%が失われたり無駄になったりしているということも出ているということでございます。
 また、併せて参考で、2019年度の温室効果ガスの排出量は12億1300万tございますが、産業部門はそのうち3億8600万tになりますが、図でいきますと右下のほうになりますけれども、食品飲料製造業からは2100万tが排出されているということでございます。
 また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が閣議決定されておりますが、認証とかラベリングなどの温室効果ガス排出削減に係る行動の「見える化」を推進していくとか、有機農業を推進するとか、食品廃棄物の削減ということについても触れられているということでございます。
 脱炭素経営ということでは、先ほどもプレゼンの中でも触れていただいておりましたけれども、ESG金融、環境、社会、企業統治などの非財務的な情報を考慮して行う投融資ということで、従来、日本は世界のESG投資の約2%でございましたが、2018年には全体の約7%ということで、2年間で4.2倍増の1760兆円の増加となっております。
 また、脱炭素経営という観点では国際的なイニシアチブも幾つかございまして、TCFD、金融安定理事会の下で設置された企業の気候関連情報の開示の枠組みもございますし、また、SCIENCE BASED TARGETS、SBTという取組、企業の使用電力を100%再エネで賄うRE100といった取組もございます。
 日本はそれぞれ、TCFDですと世界1位、SBTですと世界2位、RE100でも世界2位ということで取組をしていただいているということで、一番下のところにはそれぞれ三つの取組全てに取り組んでいただいている企業一覧を載せておりますけれども、今回のこの検討会では、例えば食料品のところですとか小売のところの企業の方が参加されているということでございます。
 また、環境省におきましても、こういった脱炭素経営を支援するプログラムを進めているところでございまして、こういうESGのプラットフォームの運営を進めるとか、野心的な目標設定の支援をするとか、実践行動についても支援をするといったことをしているということでございます。
 TCFDに参加している日本企業、ここにちょっと細かいのですが、また後で御覧いただきまして、こういうところに関係するような企業の方も参加していただいている。
 SBTの認定済みの企業、ここにも食料品とか小売とかというところが関連が深い企業さんになっておりますけれども、それを載せております。
 また、コミットメント済みの企業とか、次のページではRE100に参加いただいている日本企業も挙げているところでございます。
 こういう方々に向けても環境省でも表彰するような制度もございまして、ESGのファイナンス・アワード。すみません。これは2月に表彰予定ということで書いておりますが、2月24日に開催しております。
 それから、グッドライフアワードとか、あと、エコファースト制度といった企業の先進的な取組を後押しするような取組も進めております。また、関連する予算等々も取っておりまして、これは令和3年度予算(案)ということに書いておりますけれども、先般、予算が成立いたしましたので(案)を取っていただいて、令和3年度の予算としてきちんと支援をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○武見座長 ありがとうございました。
 では、続きまして、資料5-2を使って、経済産業省環境経済室の小川室長補佐から御説明をお願いしたいと思います。
○小川環境経済室長補佐 御紹介にあずかりました経済産業省の小川と申します。私からは「TCFD開示促進に向けた取組」について御紹介させていただきます。
 TCFDにつきましては、前半の企業さんからのプレゼンテーションでも幾つか触れていただいていました。環境省さんからの御説明の中で気候変動への取組、温室効果ガス削減に向けた考え方といった全体の取組の中でのTCFDという位置づけからもお取り扱いをいただいています。こちらについて、お時間を頂戴いたしましたので、もう少し深掘りということで私から御紹介いたしたいという趣旨でございます。
 食環境の持続性を高める観点でこのTCFDがいかに関係してくるかということなのですけれども、企業におかれては、環境の一要素である気候変動が経営に大きな影響のある分野となってきています。昨今ですと、企業活動において気候変動が大きなリスクになるという指摘を、日々、新聞などでも目にするようになりました。また、この気候変動の影響が企業にとって新しいチャンスにもなることから、財務への影響を開示するべきであると世界的にも指摘されており、この開示が市場においても求められ、企業の社会的な責任にもなっています。
 1ページ目は、まず、TCFDとは何か、というところです。G20からの要請を受けて、金融安定理事会が2015年に設置した民間主導のタスクフォースであるTask Force on Climate-related Financial Disclosuresの略語がTCFDです。このタスクフォースが2017年に提言をまとめていまして、一般にTCFD開示というものは、この報告書で求められている要件のことでございます。
 具体的に何を開示していくのかについて、右側で4点挙げております。ガバナンスにつきまして、こちらは企業においては一般的に求められているものでございますが、その中に気候変動関連のリスク・機会についての対応も含めていきましょうということです。戦略につきましては、リスク・機会がもたらす影響を分析してくださいということ、リスク管理につきましては、そのリスクを識別・評価・管理していくということです。そして、その具体的な指標と目標も開示の中に含めてくださいといった内容になっております。
 2ページです。国際的な取組として始まったのですが、国際的な提言というだけではなかなか日本で実行していくのに難しいところもあるということで、経済産業省でTCFD研究会を立ち上げ、そこで2018年末にガイダンスを発表した経緯になっております。そして、現在ではこの動きがさらに加速していまして、民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムが活動を引き継ぎました。コンソーシアムでこのTCFDガイダンスを2.0にアップデート、また、グリーン投資ガイダンスも策定し、活動は前進しています。
 3ページを御覧いただきたいのですけれども、本日確認したところ、TCFDの賛同機関数は世界では1,900を超え、日本では360以上の企業が既に賛同していただいているということです。日本でこの賛同者が非常に多いのは企業側の大変前向きな努力の成果によるところでございます。
 4ページ目、5ページ目については割愛させていただきまして、6ページ目について、経済産業省も引き続き直接的に関わっている分野として、国際的な会議も主催しています。こちらは2019年に引き続いて、2020年もTCFDサミットということで、この分野の世界的なリーダーもお呼びして議論しています。昨年は菅総理からもメッセージをいただいていて、TCFDの賛同をぜひ進めていこうという、日本全体としての取組となっております。
 TCFDガイダンス2.0の御紹介をさせていただいているのが7ページ目と8ページ目です。8ページ目の業種別ガイダンスでは、開示推奨事項を分野ごとに落とし込んでおり、今、分野を拡充している段階です。このTCFDガイダンス2.0の中で新たに追加された業種別ガイダンスの一つに、食品業界があります。9ページ目で詳細を記載しておりますが、こちらで原料や水資源のリスク対策、食品ロスといったものも含めて排出削減の取組を開示していただいたり、新たな製品の開発などの事業機会を特定いただいたり、分野毎の開示が推奨される取組みを紹介しています。先ほど事業者さんからプレゼンテーションでご紹介いただきました内容が、よい例だと思います。
 10ページ目に移りますが、TCFDコンソーシアムでは業種別の活動を実際に行っていただいています。食品企業は約150社ある中で、TCFDコンソーシアムに参加していただいているのはまだ12社ということで、これからさらに広がっていくのかなというふうに期待もしていますが、一方で、企業全体での取り組みに理解をえるのが難しいといった課題もいただいています。こういった業種別の活動を通じてTCFD開示が実践しやすくなっていくことを期待しています。
 最後、11ページ目でTCFDの開示の中のリスク項目を挙げさせていただいています。これらの事項について各企業でも既に開示していただいているのですけれども、内容を見ていただくと、何が食品業界におけるリスクに当たるものなのかというイメージも湧くのではないかと思い、ご紹介させていただきました。
 以上、経済産業省からTCFDについて御紹介申し上げました。ありがとうございます。
○武見座長 ありがとうございます。食品関連企業のまさに環境サステナビリティに関する取組を、政策としてどのように後押ししてくださっているかという様子がよく分かりました。
 続けて、資料6について、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進ということで、事務局から御説明をお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、資料6について簡単に御説明させていただきます。
 こちらの資料でございますが、この環境面で事業者がいろいろされているわけですけれども、今回の食環境づくりの仕組みの中でどういうものに焦点を当てるべきかという方向性の案のペーパーでございます。
 ポツを御覧いただきますでしょうか。持続可能な食環境づくりに関連し得る環境面の取組ということで、先ほど関係省庁の方々からも御説明がありましたが、直接的に環境保全に寄与するもの、また、情報開示等を通じて間接的に環境保全に影響を与えるものなどが考えられるかなと思います。詳しくは下の※に例示として載せてございます。こうした取組は、関係省庁等の各種施策・支援等の下、事業者により自主的に行われているものも多い。そして、事業者のいわゆるESGに関する評価にも影響していると考えられます。このため、栄養面での整理と同様の考えの下、今回の食環境づくりにおきましても、関係省庁の協力を得て、持続可能な食環境づくりに関連し得る環境面の取組に焦点を当てる。そして、その取組について、事業者が任意で情報発信できるようにしていってはどうかと考えております。なお、こうした情報発信を行うに当たりましては、環境面の取組は事業者の規模で範囲や程度が異なってくる可能性があるだろうということに十分留意して行っていてはどうかと思っております。
 以上です。
○武見座長 ありがとうございました。
 今、環境省、経済産業省から御説明いただいたこと、あと、資料6で論点整理として御説明いただいたことについて、御質問、御意見はいかがでしょうか。
 では、夫馬構成員、お願いいたします。
○夫馬構成員 夫馬です。よろしくお願いします。
 環境省さんと経済産業省さんにそれぞれ少しお聞きしたいのですけれども、環境省さんは今、気候変動の緩和のほうについてたくさんお話しいただいたのですが、特に栄養面に関わる適応面で既に環境省さんのほうで少し課題が何かありましたら共有いただければと思うのが一つです。
 経済産業省さんも今回も、今、TCFDのお話がありました。TCFDで言いますと、今度は物理的リスクに該当する栄養面での何か既に各業種別ガイダンス等で出てきている論点がありましたら、そちらも御共有いただければと思います。
 お願いします。
○武見座長 栄養に関連してというあたりの御質問でしたけれども、そうすると、まず環境省のほうからお願いしてよろしいでしょうか。
○清家秘書課長補佐 清家と申します。よろしくお願いします。
 今、夫馬さんから御質問いただいた緩和ではなく適応の方につきましては、特に気温の上昇に伴って農作物への影響が出始めているので、気温の上昇に適応した形での新しい農作物の開発などを自治体とか企業さんとかと連携しながらやっている取組はございます。
○武見座長 ありがとうございます。
 では、小川室長補佐、お願いいたします。
○小川環境経済室長補佐 では、経済産業省からお答えいたします。
 気候変動の物理的リスクに対応する食品業界の開示の内容ということなのですけれども、一番大きいのは持続可能な調達だと思っています。気候変動によって、今まで調達してきた経路で対応できなくなるのではないかというところが、恐らく企業さんとして非常にクリティカルな問題になるということで、原料等の調達経路を多様化するという取組を開示していらっしゃるところは幾つかあると理解しております。
○武見座長 ありがとうございます。
 そのほか、御質問あるいはコメントなどはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、まず、今の資料6の論点整理につきましては、今、特に御意見ないということで、この事務局の提案のような形で整理をするということで進めさせていただきたいと思います。
 それから、ちょっと戻りますけれども、先ほどの前半の資料4のところになりますが、あれも大きな方向性としては御賛同いただいたと理解しておりますので、あと、幾つか御意見いただいたところに関して、文言等の整理を事務局と座長のほうでさせていただくということで御了解いただいたということで進めさせていただいてよろしいでしょうか。
 今日はこの資料4と資料6について、一応、皆様のコンセンサスを取るところが目標でした。ありがとうございます。
 全体として、皆様、御発言いただいているのですが、木下構成員、まだ一言も御発言いただいていないので、何か全体を通してあれば、すみません。最後になって恐縮なのですけれども。
○木下構成員 すみません。御指名いただき、ありがとうございます。
 先ほど来、お話しになっている、やはり減塩に含めて関心のない方に対してアプローチの仕方というところも弊社もかなり苦労していまして、いろいろな食品メーカーさんを含めながら、この構成員の方も含めて、先般も申し上げたのですが、関心のある方と関心のない方の両アプローチというところを皆様の御意見をいただきながら我々の運営にも反映させていければと思っています。
 以上です。
○武見座長 どうもありがとうございました。
 では、今日は本当に内容が盛りだくさんだったのですけれども、一応、準備した御説明と議論を終了したというふうにさせていただきたいと思います。
 最後に、事務局からの御連絡をお願いいたします。
○清野栄養指導室長 本日は貴重な御発表、また、有意義な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 今後の日程につきまして、御案内申し上げます。
 第3回検討会は、4月30日金曜日14時から16時の開催を予定しております。
 開催案内につきましては、また後日お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○武見座長 ありがとうございました。
 では、以上をもちまして本日は閉会とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。