第160回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年2月5日(金)15:00~17:00

場所

厚生労働省 厚生労働省 省議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館9階)
厚生労働省 職業安定局第一会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階)

議事

議事内容
○阿部分科会長 皆さん、こんにちは。ただいまから、第160回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の梅田委員、柴委員、使用者代表の今木委員が御欠席と伺っております。公益代表の玄田委員は遅れて参加される予定とお聞きしております。
本日の分科会ですが、Zoomによるオンラインでの開催となります。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。議題1「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱について」です。こちらは1月27日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、同日行われました雇用保険部会においてあらかじめ議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について、事務局より御説明をお願いいたします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。よろしくお願いします。資料1が今申し上げた法律案要綱、それから参考資料、雇用保険部会報告書に沿って御説明します。
まず、資料1の法律案要綱を御覧ください。この法律案は男性の育児休業取得促進などに関連し、育児休業制度等について法的整備を行う内容の、育児休業、介護休業の見直しが行われることに伴って雇用保険制度の育児休業給付の見直し行うというものを内容としております。タイトルは育児休業法と雇用保険法の2つを改正する法律案という建付になっています。要綱の前半は、育児休業あるいは介護休業の見直しについてそれぞれ書かれていますので、雇用保険法の見直しに係る部分の御説明をします。
10ページです。第四の雇用保険法の一部改正というところ、育児休業給付金の支給に係るみなし被保険者期間の計算方法の改正とあります。こちらは、雇用保険部会報告参考資料の4ページです。育児休業給付の現行制度は雇用保険制度でしていますので、支給の前提となる被保険者期間、要は保険の加入期間を計算する必要があります。雇用保険の失業給付が、離職日が保険事故であると同様に、育児休業給付については、育児休業開始日を離職した日と捉えて被保険者期間をカウントしているところです。
具体的には、遡って二年間に十二箇月以上の被保険者期間が必要となってきます。ただ、この育児休業開始日は通常産前産後休業の後になる関係で、必ず産前産後の休業期間というのを挟むことになります。その場合に、同じ日に就職をして、同じ日に産前休業を取り始める方が仮にいらっしゃった場合、出産日のタイミングによって、被保険者期間を満たす人と満たさない人が出てきてしまうという事例がありました。したがいまして、育児休業開始日から計算するのではなく、産前休業の開始日を起算点として計算をすれば、被保険者期間を満たすようなケースが出てきますので、こうした場合には、例外的に産前休業開始日を起算点とするという内容の報告です。今申し上げた内容を、法律案要綱の10ページの第四の一に規定しています。
続いて11ページです。第五、雇用保険法の一部改正です。第四と第五の違いは後に説明しますが、施行期日の違いによるものです。第五の一、育児休業給付金の改正です。1、被保険者が同一の子について三回以上の育児休業をした場合の三回目以降の育児休業は,給付金は支給しない。裏を返せば、二回までは育児休業給付を受給できるということで、いわゆる育児休業の分割取得の見直しに伴うものです。雇用保険部会報告、参考資料で言うと、3ページの(2)に記載がなされているところです。ちなみに注7で省令事項が書いてありますが、今回の育児休業制度の見直しにより、一歳以降と一歳半以降、今はそれぞれ延長の仕組みがありますが、一歳から一歳半、一歳半から二歳、この途中で、夫婦交代で育児休業を取ることができるようになっています。そういった場合には、例外的に二回以上というか三回以上の育児休業を取ることができるケースが生じます。そうした内容については、法令上は厚生労働省令で定める予定です。今の内容については、雇用保険部会報告3ページ(2)の一番下の「また」以下の段落の所で記載がなされているものです。
続いて12ページの2番です。こちらは部会報告を御覧ください。同じく3ページの(2)の4行目、「また」以下のところです。「また、事務負担を軽減する観点から、複数回育児休業を取得した場合、被保険者期間要件の判定や、休業前賃金の算定については、初回の育児休業の際に行う。」2回以降の育児休業が取れるわけですが、そのときに保険の加入要件あるいは休業前の賃金をいちいち算定をすることはかなりの負担が生ずること、こうした多くのケースについては、育児休業2回目の部分は、賃金水準が就労の日数あるいは時間が減少するケースが多いことから目減りするケースが多い。こうしたことも踏まえ、このような措置を取ることとしております。今の内容を12ページの2番のところに盛り込んでいます。
続いて要綱の12ページの3番です。育児休業給付金の額について記載をしております。育児休業をした被保険者が既に同一の子について出生時育児休業をしていた場合、この出生時育児休業とは後で出てくる出生時育児休業給付金、こちらは新しい制度として今回の改正で盛り込む予定ですが、要は、出生時育児休業から続けて育児休業を取る場合の育児休業給付金の額の取扱いについて定めています。今、育児休業給付金の支給に関しては、休業日数が通算して百八十日までは給付率67%で支給されているところです。この新しい出生時育児休業から引き続いて通常の育児休業を取った場合は、多くの場合、出生時育児休業が先に取られるのですが、休業日数の通算規定を盛り込む必要があることで規定を設けているところです。
12ページの二、出生時育児休業給付金の創設です。育児休業給付に出生時育児休業給付金を追加する。育児休業給付は従来からある制度ですが、新たに育児休業給付のカテゴリを22つに分割して、新しく出生時育児休業給付金という形で新給付金を設けるという内容です。出生時育児休業給付金の支給要件が2番に書いてあり、被保険者が出生時育児休業をした場合において、当該出生時育児休業を開始した日前二年間に、みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であったときに、休業開始時賃金日額に当該出生時育児休業をした期間の日数を乗じて得た額の百分の六十七に相当する額の給付金を支給する、ということで支給要件を書いています。
ここの中に省令事項がありますが、出生時育児休業給付金の対象となる休業の要件の中に、就労をする場合の取扱いがあります。こちらは省令事項を予定しており、既に通常の育児休業給付にも同様の内容が盛り込まれているのですが、出生時育児休業制度については、産後八週間のうちに最大四週間取ることができます。したがって、出生時育児休業給付金というのは最大四週間になるのですが、四週間の中で休業期間中の就労日数を十日以下、八十時間以下ということを新たに定める予定です。
13ページの3番です。出生時育児休業をした方に関して、要は働いて賃金が支払われた場合の取扱いです。同様の内容は現行の育児休業給付にも盛り込まれていますが、この賃金が支払われた場合は、賃金の額と出生時育児休業給付の支給額の合計が80%を超えるときに関しては、超える額を給付の減額を行うという内容です。
4番です。「2にかかわらず」と書いていますが、育児休業給付金を支給しないということで2つの要件が定められております。14ページ(一)ですが、同一の子について被保険者が三回以上の出生時育児休業をした場合、これは新しく設けられる出生時育児休業に関しても二回までの分割取得が認められていることに対応するもので、書き方としては、三回以上は駄目と書いておりますが、裏を返せば二回まではできるということです。もう1つは、出生時育児休業の日数が二十八日以降の出生時育児休業に関しての給付は支給しないということで、最大二十八日というのを規定しているものです。
以上の中身は、雇用保険部会報告で申し上げますと、3ページ(1)、こちらに関してそれぞれ内容が示されています。施行期日ですが、第一から第三は育児休業制度の関連です。第四と第五が雇用保険法の改正の関係です。第四につきましては、先ほど申し上げたみなし被保険者期間の算定の特例です。例外的に産前休業開始日を起算点とする内容の改正は、早期施行が可能であるということで、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日と規定する。もう1つは、第五の部分です。育児休業制度の見直しとパラレルに育児休業の分割取得や出生時育児休業給付金の創設の内容が盛り込まれていますが、施行については、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日という形で規定をしたいと考えています。
以上が、この法律案における雇用保険制度の関連部分です。こちらに関しては、本日の雇用保険部会で御議論をお願いいたしました。議論の結果は、おおむね妥当ということで御報告を頂いたところです。説明は以上です。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、本件について御質問や御意見があれば御発言をお願いしたいと思いますが、「手を挙げる」ボタンをクリックして、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、杉崎委員お願いいたします。
○杉崎委員 商工会議所の杉崎です。この法律案要綱自体には異論はありませんが、改めて財政運営について一言申し上げます。育児休業給付金の財政運営試算によると、差し引き剰余は令和5年度以降から赤字になると予想されております。そうした中、今般の措置により、実際にはより厳しい財政運営になることも考えられます。したがいまして、令和元年の部会報告に記載のとおり、令和4年度以降の国庫負担割合は安定した財源を確保の上、速やかに本則に戻すべきであることを主張いたします。なお、育児休業給付率は現行水準を維持するとともに、国庫負担割合を本則に戻すことなく、育児休業給付に係る保険料率を引き上げ、企業に更なる負担を強いることがないようにお願いしたいと思います。
また、先般の部会報告にも記載のとおり、育児休業の取得促進や育児休業期間中の経済的支援は、少子化対策の一環として行われるものであり、少子化対策は社会全体で子育てを支えていく観点から、税による恒久財源で賄うべきであると考えます。今後、育児休業給付制度の在り方を検討していく際には、こうした主張を取り入れていただきますよう要望したいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告を申し上げたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。では、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま画面上に報告文案が表示されていますが、御確認いただけますか。それでは、表示された報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。事務局から何かありますか。
○雇用保険課長 雇用保険課長です。ただいまの法律案要綱に関して了承を頂き誠にありがとうございます。本法律案に関しては、引き続き事務作業を進め、予算関連の法案を想定していますが、早期の国会提出を目指してまいります。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは次の議題に移ります。次の議題ですが、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。それでは、資料及び部会での議論について事務局より御説明をお願いいたします。
○雇用開発企画課長 雇用開発企画課長でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
資料は2-1、2-2ですが、資料の2-2で説明をさせていただきます。雇調金の特例措置等に関わる内容です。資料2-2の2で「改正の概要」です。➀新型コロナウイルス感染症に係る特例措置の期間を、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長するというのが1つ目の改正点です。
この背景となる指標等について、簡単に御説明をさせていただきます。直近12月の有効求人倍率については1.06倍です。完全失業者数、10月は214万人だったところ、11月、12月については、それぞれ198万人、204万人となっております。休業者数についても、前年同月比で見ますと、4、5月に比べれば落ち着いた状況が続いています。12月については前年同月比プラス11万人という状況です。重要なものだけ申し上げましたけれども、雇用情勢だけを見る限りにおきましては、大きく悪化しているとは必ずしも言えない状況だろうと考えております。
その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大について見ますと、12月にこの分科会の場で御報告したよりも更に、例えば、新規陽性者の移動平均の数等もかなり増えている状況でして、御案内のとおり、1月8日には緊急事態宣言も発出をされたということです。飲食店等をはじめといたしまして、業務への制約が様々生ずる中、感染状況が経済、雇用に与える影響を、より慎重に見ていく必要があること。また、緊急事態宣言の解除後についても、企業の経営への影響は一定継続することが見込まれること、そうしたことから、➀に書いてあります形で、特例措置の期間、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長するとさせていただければということです。
それから、改正の概要の➂を先に御説明しますと、今申し上げました、➀の緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末までの期間におきまして、業況が特に悪化している大企業が行う休業等、これは教育訓練も含むものですが、これにつきまして、助成率を4/5、解雇等を行っていない場合には10/10としたいと考えております。これは全国で実施をするということで考えております。
こちらについては、コロナの影響が非常に長期化をしていく中で、大企業についても特に配慮が必要なところ、業況が悪化をしている部分については、中小企業並みの助成率ということで支援を強めるべきではないかと、そのようにさせていただければというものです。なお、「業況が特に悪化している」と書いてありますけれども、この具体の要件については職業安定局長が定めるということにさせていただきたいと思っておりまして、具体的には、売上げ等が最近3か月間の平均で、前年比または前々年比で30%以上減少しているということを定めたいと考えております。
続きまして➁です。こちらは第157回分科会で、持ち回りで御審議を頂いた点に関連するものですが、➀と➂との整合の観点から見直しを行うものです。緊急事態宣言の対象地域の都道府県知事の要請を受けまして、営業時間の短縮等に協力をする飲食店等に関して大企業事業主が行う休業についても最大10/10と、第157回におきまして御審議を頂きましたが、今般、緊急事態宣言の期間を➀のように定めたといったことも考慮をいたしまして、第157回で、持ち回りでお願いをいたしました際には、緊急事態措置を行う期間中の休業というものを対象にしていたところ、緊急事態宣言が解除された月の翌月末までの休業というものを対象にするとしたいということです。
もう一つ、持ち回りで御審議をお願しました際には、実は、休業の助成率については最大10/10とさせていただいたところですが、教育訓練については、特段助成率の引き上げ等は行っていませんでしたが、➂のような類型も今般お願いをしたいと考えておりますし、こうした➁の類型のような事業主が行う教育訓練を、休業よりも低く据え置く妥当な理由もないだろうと考え、教育訓練も最大10/10と引き上げをさせていただけたらと思っております。
それから➁の1行目で、「緊急事態宣言の対象地域の都道府県知事等」と書いてあります。こちらも第157回分科会で、いわば、その準じた取組みを行う地域についても、緊急事態宣言の対象地域と同様の扱いをすると審議を頂いたところです。この準じた取組みを行う地域については、他施策との関連性もありまして、恐縮ですが、まだ未施行となっていますが、施行の環境が整った場合には、今申し上げましたような期間ですとか教育訓練を含むこと、そういったことを見直しの上、施行することとしたいと考えております。
「4.施行期日」、公布日施行ですが、上記➁、➂については、令和3年1月8日以降に開始した休業等について適用することとしたいと考えております。なお、緊急事態宣言が全国で解除された翌々月からですが、これについては雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置を段階的に縮減いたしますとともに、感染が拡大している地域、それから特に業況が厳しい企業、そういったものについて特例を設けることにしたいと考えています。これはまた別途、然るべき時期に諮問させていただきまして御審議を頂きたいと考えております。
もう1点、これも次回以降諮問させていただきますが、今日の段階では御報告ですが、緊急事態宣言が発出されまして、厳しい状況が続いている中におきまして、雇調金における雇用維持要件について、中小企業、及びこの改正の概要で書いてある➁、➂に当てはまるような大企業を対象にしまして、緊急事態宣言日以降、宣言の解除月の翌月末までの休業等について一定の緩和をすることにしたいと、現在考えているところです。これにつきましては、追って次回以降、諮問の上、御審議を頂きたいと考えております。説明は以上です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。本件ですが、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問されているものです。御質問、御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。
それでは、杉崎委員、仁平委員の順番でお願いします。
○杉崎委員 ありがとうございます。商工会議所の杉崎でございます。緊急事態宣言の発出、また今般の延長に伴いまして、雇用調整助成金の特例措置の延長を希望する声が全国の中小企業から多く聞かれています。こうした中、2月末まででありました特例措置の期間を、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長する措置をはじめとした一連の措置は、当該企業の事業の存続と雇用の維持に向け妥当であると思います。厚生労働省は、関係団体と緊密に連携し一連の措置を幅広く周知していただくとともに、申請から支給決定、助成金の入金に至るまで、迅速な処理をお願いしたいと思います。なお、雇用調整助成金の1月29日時点の支給決定額は、2兆7千億円であり、既に事業主のみが負担し、共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超えております。
また、今般の緊急事態宣言の延長に伴いまして、休業者の更なる増加が予想されることから、財源の枯渇化は必至な状況です。したがいまして、再三の主張で恐縮ですが、コロナ禍は国家の非常事態であるとの認識の下、一連の措置の財源は、雇用保険二事業ではなく一般会計による国費で負担すべきであると考えます。
また、先ほど御説明がありましたし、今朝方公表されました大企業のシフト労働者に対する休業支援金の適用、大企業の介護要件の見直しを講じていくという旨について、趣旨は賛同するところですが、これらの措置につきましても一般会計による国費で負担すべきであると考えます。また、シフト労働者に対する休業手当、休業支援金の支給に係る要件について明確にしていただきまして、幅広く周知していく必要もあるかと思います。なお、雇用保険二事業や失業等給付に係る保険料は、事業主給付金と同様に、業績に関係なく徴収されます。また、産業構造の変化が予想されている中で、コロナ収束後に、中小企業の業況や財務内容がすぐに回復するということも考えにくい状況です。したがいまして、雇用保険二事業や失業等給付に係る保険料率は、将来にわたり引き上がることがないよう要望したいと思います。以上です。
○阿部分科会長 仁平委員お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。仁平です。省令案要綱については了解したいと思います。その上で心配なのは、やはり雇用保険財政です。雇用保険財政の試算等について、雇用保険部会では資料とともに説明をしていただきましたが、その後も雇調金の特例措置の期間延長や対象拡大等の新たな施策も打ち出していただいております。改めて、新たな施策による影響が財政試算の想定の範囲内なのかどうか、大丈夫だと言っていただければ一番安心するのですが、コメントがあればお伺いしたいと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局お願いします。
○説明者 雇調金の予算についてということで、まず御説明をしたいと思いますが、今後、段階的に通常制度に戻していくといった基本的な想定を踏まえまして、第三次補正予算案及び令和3年度予算案におきまして、15か月予算の考え方で、当面の執行には支障のない額を計上していると考えているところです。しかしながら今般、緊急事態宣言も発出をされ、休業者が増加していくということも考えられるところでもありますし、特例措置の在り方の検討に併せ執行状況を注視しながら、財源の確保についても適切に対応してまいりたいと考えています。以上です。
○阿部分科会長 仁平委員、よろしいですか。
○仁平委員 ありがとうございます。財源の問題は大きな話だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは久松委員、お願いします。
○久松委員 私鉄総連の久松です。どうぞよろしくお願いいたします。本日の議題と直接関係はないのですが、先ほどの説明の中でありました、第156回、昨年の12月25日のときの議論でもあったのですが、今後感染が拡大している地域、特に業況が厳しい企業について、特例を設けることとするとされており、先ほどの説明の中でも触れておられました。第156回のときに私は、感染拡大している地域については経済活動が地域内で完結しない場合もあるということで、留意が必要であるということで発言をさせていただきました。今回、そのうち特に業況が厳しい地域についての生産指標の説明がありました。
ところで、1月22日付けの厚生労働省のプレスリリースでも、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から2か月間の措置として想定する具体的内容についても触れられており、感染拡大している地域の内容については追って公表予定となっておりました。この点について現時点での検討状況を伺いたいということで、質問とさせていただきたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。では、御質問ですので事務局お願いいたします。
○雇用保険課長 ただいまの御質問です。地域の特例について、どのような要件を課していくかということですが、実はこれにつきましては様々な考慮要件があると思いますが、最近のトピックということですと、インフル特措法の改正というものがありまして、水曜日に確か成立をしたかと思いますが、そういったインフル特措法の枠組み等も踏まえながら考えていきたいと思っています。また詰めまして、然るべき時期に諮問させていただければと思っています。以上です。
○阿部分科会長 久松委員、よろしいですか。
○久松委員 今の御回答で理解いたしました。再度申しますが、経済活動の地域内で完結しない場合があるということについて、改めて意見とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは池田委員、お願いいたします。
○池田委員 ありがとうございます。経団連の池田です。諮問の内容につきましては、特段意見はございません。よろしくお願いいたします。
その上で、宮原課長が最後に「今後お諮りする予定」といった御説明があったのですけれども、それがよく分からなかったので、もう一度御説明いただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ではお願いします。
○雇用開発企画課長 最後に申し上げた点ということですが、雇調金の雇用維持要件についてということかと思っていますが、これについて若干繰り返しになりますが、緊急事態宣言が発出をされて厳しい状況が続いている中、企業の負担をより少なくして雇用の維持を図ったり、休業手当の支払いに活用していただきたいという観点から、雇調金の雇用維持要件を見直したいと考えているところです。
具体的には中小企業及び、今回の改正概要に書いています➁➂に該当するような大企業を対象にして、緊急事態宣言以降、宣言解除月翌月末までの休業等につきまして、この要件を緩和することにしたいと考えていまして、具体的には現在、雇用維持要件については、昨年1月24日以降解雇等を行っていないことという要件を課しており、この要件をクリアいたしませんと、高率のほうの助成、10/10ですとか、そういったものは当たらないというような仕組みになっていますが、この解雇していないという起算点を、現段階では本年1月8日以降に解雇等を行わない場合ということにさせていただければと考えているところでございまして、いずれにしましても、追って次回以降、諮問させていただきまして、御審議を頂きたいと考えています。以上です。
○阿部分科会長 池田委員、よろしいですか。
○池田委員 分かりました。その上で、仁平委員や杉崎委員からも、財源問題について御意見がございました。私からも、是非一般財源の投入を重ねてお願いをしたいと思います。釈迦に説法でございますけれども、雇調金は景気変動等の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なされる場合において、事業者連帯の考え方の下、失業予防対策として助成しているわけですが、今回は明らかに感染症対策になってきております。事業者の負担を基本として行うには限界があるのではないかと思っているところです。今後インフル特措法に関連して、支援措置等も恐らく政府の中でも検討されていくのではないかと思いますが、これはあくまでも感染症対策ですので、この支援策に雇調金が使われることがないように是非お願いをします。そうしないと雇調金のそもそもの目的・趣旨が変わってきてしまうのではないかと、心配をしているところです。御検討のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承ります。そのほかに御発言のある委員、いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
それでは特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま画面上に報告文案が表示されておりますが、御確認いただけますでしょうか。表示されております報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
では、次の議題に移りたいと思います。次の議題ですが、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。これも本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。本日行われました雇用保険部会におきまして、あらかじめ議論を行っております。それでは、資料及び部会での議論について、事務局より御説明をお願いいたします。
○雇用保険課長 資料3-1と資料3-2について、雇用保険課から御説明します。資料3-1は省令案の要綱です。概要は資料3-2にありますので、そちらを御覧ください。この省令ですが、昨年6月に、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律を制定しました。この法律において、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という制度を創設したところです。この休業支援金の支給の対象となる休業の期限は、当初は、昨年、令和2年9月30日までの休業としていたところですが、省令改正を行いまして、現在では、令和3年2月28日までの延長がされているところです。今般、足下の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして、支給の対象となる休業の期限を、令和3年2月28日から、今年1月7日にされた緊急事態宣言の解除宣言がされた日の属する月の翌月末まで延長することを内容とするものです。
御案内のとおり、休業支援金に関しては、雇調金をなかなか御活用いただけない中小企業労働者を念頭に、いわゆる個人申請という形で支給する道を開いた制度です。その意味で、雇用調整助成金とこの制度の期間に関して平仄を取る形になっているところです。この省令案に関しては、本日、雇用保険部会において御議論を頂き、おおむね妥当であるとの御報告を頂いているところです。御説明は以上です。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について、御質問、御意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。特によろしいですか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま、報告文案が画面上に表示されていると思いますが、御確認いただけますでしょうか。ただいま表示された報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について」です。これは、1月29日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、同日行われました労働力需給制度部会においてあらかじめ議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について事務局より説明をお願いします。
○派遣・請負労働企画官 需給調整事業課です。議題4について御説明します。資料4-1が労働者派遣法施行令の一部を改正する政令案要綱です。概要を資料4-2にまとめておりますのでそちらを御覧ください。政令改正事項としては2点あります。まず1点目、「へき地の医療機関への看護師等の派遣」についてです。経緯としては、複数の自治体からの要望ということで、「令和元年の地方からの提案等に関する対応方針」、いわゆる「地方分権の対応方針」において、「看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師について、関係団体からの意見を聴きつつ、へき地の医療機関への派遣を可能とする方向で検討する」とされたところです。
現行制度の所です。労働者派遣制度上、法律において派遣禁止業務として、➀港湾、➁建設、➂警備の業務のほか➃として、その他政令で定める業務というのが派遣禁止業務とされております。この政令で定めるものとして、病院、診療所等の医療機関における医療関連業務については、チーム医療に対する支障が生じるおそれがあることから、原則派遣禁止とされているものです。他方、医師の業務については、地域における人材確保の観点から、平成18年より、へき地の医療機関への派遣が可能となっている状況です。
改正の内容についてです。「地方分権の対応方針」を受けて、社会保障審議会医療部会において、関係団体も交えた議論を行い、その上で労働力需給制度部会において御議論いただきました結果、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師について、看護師等の人材確保の観点から、へき地の医療機関への労働者派遣を認めることとしたいと考えているものです。その際、既にへき地の医療機関への派遣が認められております医師の派遣と同様の枠組みによることとし、事前研修の実施や派遣先による事前研修修了の確認、派遣先における教育訓練の実施など、チーム医療の支障を回避する措置を、派遣元・派遣先に対して求めることとした上で実施したいと考えているところです。
2ページ、2点目の改正事項「社会福祉施設等への看護師の日雇派遣」についてです。経緯としては、昨年の「規制改革実施計画」において、福祉及び介護施設における看護師の日雇派遣について、「令和2年に検討を開始する。その上で労働政策審議会での議論を行い、速やかに結論を得る」とされたところです。先ほど、医療機関への派遣については原則禁止と申し上げましたが、医療機関以外への派遣、つまり、社会福祉施設等への医療関係職種の派遣は現行でも可能となっております。現行制度の所にあるとおり、一方、日雇派遣については、医療分野にかかわらず、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として、政令で定める業務等を除き、原則禁止とされているところです。
改正の内容です。「規制改革実施計画」も踏まえて、社会保障審議会医療部会において医療関係団体も交えた議論を行っていただき、さらに、労働力需給制度部会において、派遣先となる社会福祉施設の関係団体などからのヒアリングも実施した上で御議論を頂き、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について、社会福祉施設等における突発的な欠員が生じた場合の看護師の人材確保の観点や看護師の多様な働き方を実現する観点等から、適切な事業運営、適正な雇用管理の実施を図るための措置を派遣元・派遣先に求めることとした上で、これを日雇派遣の例外業務に追加することとしたいとするものです。
適切な事業運営の確保の観点からは、例えば派遣契約において派遣される看護師の業務を、基本的には利用者の日常的な健康管理業務とするとともに、必要に応じ派遣される看護師に求める条件を定めることや、あらかじめ緊急時の対応について定めておき、派遣される看護師に説明することなど、また、適正な雇用管理の確保の観点から、派遣元は就業条件の明示を確実に行うこと、派遣先は、労働者派遣法上求められている責務を適切に果たすことなど、これらを派遣元・派遣先に求めることとし、さらに、労働者派遣法に基づく指導監督により適切な履行確保を図ってまいりたいと考えているところです。
以上、2点の改正事項について、施行日は令和3年4月1日を予定しております。この政令案要綱については、1月29日の労働力需給制度部会において、おおむね妥当とされておりますので、その旨、御報告いたします。議題4の御説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について、御質問、御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。連合の仁平です。労働力需給制度部会と同様の趣旨の発言をさせていただきます。
まず、へき地への看護師等の派遣についてです。派遣元・派遣先における研修及び教育訓練を確実に実施いただくとともに、へき地医療支援機構が看護師等の派遣について適切に支援調整がなされているかについて、労働行政として厳格に指導監督をしていただきたいと思っております。
次に、社会福祉施設等への日雇看護師の派遣についてです。日雇派遣は不安定雇用の最たるもので、労働者保護の観点からは問題があると考えております。看護師の人材確保については、本来、医療政策の中で検討すべき課題であると考えます。
今回の改正の措置については、あくまでコロナ禍による看護師の不足という、緊急事態下において極めて例外的でやむを得ない措置として容認せざるを得ないものと考えております。しかしながら、労働側として、日雇派遣の例外業務の追加については一切必要ないという認識について、改めて強く申し上げておきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、池田委員、お願いします。
○池田委員 2つの案についてはいずれも妥当と考えます。その上で、昨年7月に取りまとめられました労働者派遣制度に関する議論が、中間整理で言及されていたように、今後、新型コロナウイルス感染症による派遣労働者の雇用への影響について検証を行うとともに、引き続き、検討事項とされた項目についても議論を深めていくことが望ましいと考えております。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、他にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま、画面に報告文案が表示されております。御確認いただけますでしょうか。表示されております報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。
では、次の議題に移ります。次の議題ですが、「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する件案要綱について」です。こちらは、1月28日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、1月29日開催の労働力需給制度部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について、事務局より説明をお願いします。
○派遣・請負労働企画官 議題5について御説明します。職業安定法に基づく指針の改正です。資料5-1が改正案の要綱ですが、資料5-2が改正案の概要ですので、資料5-2を御覧ください。職業紹介事業者の中には、求職者に対して、例えば、その事業者の紹介で就職した場合は幾らお金を差し上げますといった形で、いわゆる、「お祝い金」として金銭の提供を行うことにより求職の申込みを勧奨しているといった事業者がいるということです。現行の指針においても、金銭等の提供による休職の申込みの勧奨については好ましくないとしているところですが、なお、お祝い金等の提供により、本来、転職する必要のない方にまで転職を志向させるといった一部事業者の行動が、労働市場における需給調整機能を歪めるとともに、労働者の雇用の安定を阻害することとなっているという御指摘があることを踏まえて、今回改正を行うものです。
改正の内容としては、職業紹介事業者が、お祝い金その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することにより、求職の申込みの勧奨を行ってはならないとするものです。適用日は本年4月1日としております。本指針の改正については、1月29日の労働力需給制度部会において妥当とされておりますので、その旨、御報告させていただきます。御審議のほどよろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、本件について、御質問、御意見があれば御発言をお願いします。いかがでしょうか。特によろしいですか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いします。
 
(報告文案表示)
○阿部分科会長 ただいま、画面上に報告文案が表示されておりますが、御確認いただけますでしょうか。それでは、表示されました報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。
では、次の議題に移ります。次の議題は「その他」となっております。事務局から何か連絡事項はございますでしょうか。特にないですか。分かりました。それでは、これをもちまして、予定されている議題は終了いたしました。本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日も、どうもありがとうございました。