第159回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年1月27日(水)11:00~12:00

場所

厚生労働省 厚生労働省職業安定局第1会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)
厚生労働省 統総大会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館11階)

議事

議事内容

○阿部分科会長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第159回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席を賜り、ありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の中窪委員、使用者代表の今木委員、河本委員、小阪委員が、それぞれ御欠席と伺っております。 

本日の分科会は、ZOOMによるオンラインでの開催となります。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付しております職業安定分科会の開催・参加方法についてに沿って操作いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。まず議題1「育児休業給付制度について」です。こちらは、本日付けで労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会から報告を受けております。それでは資料について、事務局より御説明をお願いいたします。

○雇用保険課長 事務局の雇用保険課長です。よろしくお願いします。資料1-1、資料1-2について御説明します。資料1-1は、雇用保険部会報告書です。労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会では、令和2年1113日から令和3年1月27日まで、つまり本日先ほどまでですが、男性の育児休業取得促進等に係る育児休業給付制度等について検討を行ってきたところですが、今般、その結果を別紙のとおり取りまとめたもので、安定分科会に御報告をということです。別紙が、雇用保険部会報告の内容です。テーマとしては、男性の育児休業取得促進等に係る育児休業給付制度等の見直しについてです。男性の育児休業取得促進に関しましては、雇用環境・均等分科会におきまして制度見直しを想定した男性の育児休業取得促進その他の議論がなされており、118日に建議が取りまとめられたところです。この育児休業制度の見直しに伴い、雇用保険の育児休業給付をどうするかが、雇用保険部会で先ほど11月から見直しをした1点目の論点です。もう1つの論点は、育児休業給付金制度自体の今後の在り方に関してです。こちらは若干、中長期的なタイムスパンを刻みながら、一方で育児休業給付の財政状況あるいは利用状況等に関して、雇用保険部会でも資料を提出して御議論いただいてきたところです。

 以上2点に関しまして、雇用保険部会として取りまとめが行われたのが、この別紙の内容です。1.ですが、育児休業給付制度の見直しの必要性です。1つ目の○、2つ目の○に関しましては、育児休業給付の経緯、あるいは制度の骨格、趣旨が記載されています。3つ目の○ですが、今般、雇用環境・均等分科会におきまして、男性の育児休業取得促進等の観点から、育児休業制度等について法的整備を求める報告が取りまとめられました。

 この報告では、育児休業制度等について2.()から()までの見直し内容がなされています。()から()までの部分が、特に育児休業給付に関わってくる部分ということで整理をしております。1点目。特に男性の育児休業の取得を促進するため、子の出生直後の時期に、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組みを設ける。2点目。育児休業の分割取得等を可能とする。3点目。有期雇用労働者の育児・介護休業に関する、「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件について、無期雇用労働者と同様の扱いとすることが内容として取りまとめられています。この内容に関しまして、育児休業制度の趣旨、目的を変更するわけでもなく、この育児休業制度の趣旨に関しましては育児休業給付の目的にも引き続き合致します。したがって、こうした育児休業制度の改正に伴い、新たに育児休業等の対象となる場合についても、育児休業給付等の対象とすることが適当であるという形で取りまとめています。

 以下少し飛びます。先に、育児休業給付の制度の見直しの具体的な内容を御説明します。2ページの下から3行目、育児休業給付制度等の見直しの方向です。育児・介護休業法の改正に対応し、()から()までのような見直し。3ページ目の上段ですが、育児休業給付の支給の前提となる休業前2年間に12か月以上の被保険者期間要件について、対象者の出産日により、現行不合理な取扱いが生じていましたが、そうした見直しを行うこと、大きくこの2点です。

 ()ですが、子の出生直後の休業の取得を促進する枠組みに対応する育児休業です。育児・介護休業法の改正による、子の出生直後の時期の現行制度より柔軟で取得しやすい新たな仕組みを新制度と呼びます。この新制度の創設に対応し、育児休業給付についても、従来の制度的枠組みに基づく給付である育児休業給付金とは別に、子の出生後8週間以内に4週間までの期間を定めて取得する休業(新制度)に対して支給する新たな給付金を創設します。この新給付金につきましては、新制度の骨格に対応し、2回まで分割して新制度に基づく育児休業を取得した場合についても、新給付金を受給できることとします。また、新制度において、一時的・臨時的な就労に加えて休業前に調整した上で就労することが可能なる仕組みとなるわけですが、このことを踏まえて、育児休業給付の休業中の就労の取扱いを、最大で1080時間の範囲内とします。それから賃金と給付の合計額が休業前賃金の80%を越える場合は、当該越える部分について給付を減額します。これは従来の育児休業給付金についても、こうした定量的な要件は定められており、1080時間、あるいは休業前賃金の80%の枠組みについては、新制度においても同様とします。給付率、その他の制度設計につきましては、現行の育児休業給付金と同等、つまり67%になります。67%の給付率が適用される期間、すなわち新制度、新しい育児休業制度と従来の育児休業制度を連続して取る方が、今後、出てまいります。その場合、67%の給付率が適用される期間、これは通算して6か月ですが、この新給付金と育児休業給付金の期間を通算する形です。支給手続に関しましては、煩雑にならないように、子の出生後8週経過以後に1度の手続により行います。

 ()育児休業の分割取得等です。育児・介護休業法の改正により育児休業を分割して2回取得することができるようになることに対応し、育児休業給付についても、同一の子に係る2回の育児休業まで支給することとします。また、事務負担を軽減する観点から、新制度に基づく育児休業も含めて、複数回育児休業を取得した場合、被保険者期間の要件の判定、あるいは休業前賃金の判定につきましては、初回の育児休業の際に行う形で整理をされています。また育児・介護休業法の改正により1歳以降の延長の場合も育児休業の開始日を柔軟化し、1歳から1歳半、1歳半から2歳の各期間の途中でも夫婦交代できるようになること。あるいは第2子以降の子の産休により育児休業が終了し、死産となった場合等、特別な事情があるときの再取得が可能となることに対応し、育児休業給付につきましても、こうした場合には、例外的に3回目以降の育児休業でも支給することとします。

 次のページは()有期雇用労働者の育児・介護休業促進ということで、育児・介護休業法の改正により、これまで有期雇用労働者のみ掛かっていた「引き続き雇用された期間1年以上」の要件につきまして、無期雇用労働者と同様の取扱いとなる。すなわち、この要件がなくなることになりますが、育児休業給付・介護休業給付につきましても、同様の対応とします。

 ()みなし被保険者期間の算定方法の見直しです。これは、現行制度は、育児休業を開始した日を離職した日とみなし、支給の前提となる被保険者期間を算定しています。少し分かりにくいですが、育児休業を開始した日から遡って12か月被保険者期間、すなわち雇用保険加入期間が必要になると思います。それが、育児休業給付の受給要件となっています。これを計算するに当たり、育児休業開始日を起点として遡りますと、出産日のずれにより同じ日に雇われたり、同じ日に産前休業を取り始めても、受給できる人とできない人が出てくる不合理が生じています。そういったことに対応はしますが、育児休業給付につきましては、育児休業による所得の喪失を保険事故としていますので、原則自体は維持します。維持した上で出産日のタイミングにより、この方法によっては被保険者期間要件を満たさないケースに限り、例外的に産前休業の開始日を起算点とする見直しを行う内容です。以上が、雇用保険部会報告における1つ目の論点、育児休業の新たな制度の枠組みに対応した育児休業給付制度の見直しの方法です。

 1ページにお戻りください。先ほど少し説明を飛ばした残りの部分の論点に係る記載が、1ページの下から8行目以降に記載されています。「一方」以下ですが、雇用保険制度につきましては、財政状況が非常に厳しいということで、雇用安定資金の残高、積立金の残高、積立金から雇用保険二事業への貸出額の累計といった数字を紹介させていただき、極めて厳しい財政状況に至っている状況認識です。

 育児休業給付に関しましては、令和2年3月の法改正により失業等給付から区分経理をして、保険料1,000分の4で、固定的に固定し財政運営を行っているところです。育児休業給付の受給動向ですが、10年で倍増する。男性に関しましては近年2年で、2倍の伸びを示しています。給付総額は令和元年度約5,700億円。これは、近年、年8%程度の伸びです。ちなみに令和2年度、今年度に関しましては育児休業を延長を行う受給者が多く、恐らくコロナの影響かと思われます。こういった事情もあり、前年同月比20%超の伸びが続くということで、例年よりも高い伸び率を示しているということです。今後の育児休業給付の財政運営に当たり、こうした伸びの影響を見込んで一定の前提の下で収支の見込みを試算したところ、今般の報告に係る制度改正、これは男性等の新しい育児休業制度の枠組みを指していますが、この報告に係る制度改正を行っても、現在の保険料率で今後5年度程度、つまり令和6年度までは安定的に運営可能であることを当部会において確認されているところです。

 具体的に資料1-2を御覧ください。制度改正の財政影響等(育児休業給付費)とあります。1ページですが、今年度検討中の制度改正に係る財政影響額。先ほど申し上げた新たな枠組みですが、こちらに関しましての財政影響額は一定の仮定をおいて試算しますと、約66億円ということです。2ページは、育児休業給付費の財政運営試算ですが、令和2年度から令和6年度までの見込みを示しています。簡単に申し上げますと、令和2年度から区分経理が始まり、今年度に関しましては収支は黒字、令和3年度も黒字ですが、支出の増、つまり受給者の伸び等先ほど申し上げた年8%増が、今後も引き続き続くという仮定の下で試算したところ、令和5年度頃から赤字に転落をし、令和6年度頃に資金の残高が更に低下。令和7年度以降は、安定的な財政運営とはいいにくい状況になるのではないかということです。こうしたことを雇用保険部会にも資料で提出し、確認したところです。

 雇用保険部会報告の記載にお戻りください。先ほど申し上げた今後5年度程度、令和6年度までは安定的に運営可能であることを当部会において確認をしたということで、それが今紹介した資料です。制度改正の影響を含めて、受給者の動向等に留意しつつ、引き続き、一定期間の財政状況を見通した上で適切な運営を図るべきであるとまとめられています。また、育児休業給付制度につきましては、閣議決定である少子化社会対策大綱におきまして、「男性の育児休業の取得促進等についての総合的な取組の実施状況も踏まえつつ、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討する。」とされたところです。育児休業給付の在り方については、今般の男性の育児休業促進策等に係る制度改正の効果等も見極めた上で、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関連諸施策の動向等も勘案しつつ検討していく必要があるものということで整理をしております。

 以上を踏まえ、2点目の雇用保険部会の大きな論点である育児休業給付制度の在り方に関しましては、「令和4年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で雇用保険法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するべきである」とした令和元年12月の雇用保険部会報告も踏まえつつ、引き続き、現在の保険料率で安定的な運営が可能と確認できている令和6年度までを目途に、検討を進めていくべきであるという形で整理をしているところです。

 加えて労働者代表委員、使用者代表委員から意見がありましたので、記載をしております。1点目として、我が国の育児休業給付の給付率は、非課税であること等も考慮すると、既に諸外国と比べても相当程度高い水準であり、また、給付率の引上げは雇用保険料負担の増加に直結するため慎重に検討するべきである。2点目として、育児休業の取得促進は少子化対策の一環として行われるものであり、育児休業期間中の経済的支援は、国の責任により一般会計で実施されるべきであるという内容の御意見を報告書に盛り込んでいるところです。以上が、1点目の資料の御説明です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンを押していただいて、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言を頂けますようお願いいたします。それでは杉崎委員、池田委員の順番にお願いいたします。杉崎委員、お願いいたします。

○杉崎委員 ありがとうございます。日本商工会議所の杉崎でございます。雇用保険部会報告の1ページの4つ目の○に記載のとおり、新たに育児休業等の対象となる場合についても、育児休業給付等の対象とすることが適当であるとの考えは、政策的に見ても妥当であると思います。その上で、2ページ中段に記載されている育児休業給付制度の在り方について意見を3点申し上げます。

 1点目は、制度改正の財政影響等についてです。財政運営試算を見ますと、国庫負担割合は、令和2年度と令和3年度は本則の10%。令和4年度以降は55%で算出している仮定の下で、差引剰余は令和5年度以降から赤字になると予想されております。一方で、参考資料の育児休業給付の支給状況によりますと、男性の受給者数が年々増加している中で、法改正により新制度の創設など、男性の育児休業取得促進策が講じられることになります。

 制度改正に係る財政影響額は、約66億円と試算されており、財政に与える影響は限定的であるとも考えられますが、男性の受給者数は今後更に増加し、給付期間もより長期化していく可能性があることから、実際には試算よりも厳しい財政運営になることも考えられます。したがって、令和元年の部会報告に記載のとおり、令和4年度以降の国庫負担割合は安定した財源を確保の上、速やかに本則に戻すべきであることを主張いたします。

 なお、国庫負担割合を本則に戻すことなく、育児休業給付に係る保険料率、4/1000を引き上げ、企業に更なる負担を強いることがないよう、強く主張いたします。

 2点目は育児休業給付率についてです。我が国の育児休業給付率は、既に諸外国と比べても相当程度高い水準にあることに加え、新制度は一時的・臨時的な場合に限らず、予定した就労が認められる制度になっております。また令和4年度には、失業等給付や雇用保険二事業の保険料率が引き上がることが予想されます。そうした状況下で多くの中小企業から、最低賃金や事業主拠出金、社会保険料等の負担増が続いている中で給付率の引上げは、雇用保険料負担の増加に直結するので、慎重に検討すべきであるという声が多く聞かれております。したがって、育児休業給付率は現行水準を維持すべき旨を改めて主張いたします。

 3点目は、財源についてです。令和元年の部会報告の趣旨は当然理解していますが、今回の部会報告にも記載のとおり、育児休業の取得促進や育児休業期間中の経済的支援は、少子化対策の一環として行われるものであり、少子化対策は社会全体で子育てを支えていく観点から、税による恒久財源で賄うべきであると考えます。

 育児休業給付制度の在り方を検討していく際には、こうした主張を是非取り入れてくださいますよう、要望いたします。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。では続いて、池田委員お願いします。

○池田委員 はい、ありがとうございます、経団連の池田です。私が申し上げたかったことは日商の杉崎委員と全く同じです。繰り返しになりますので簡単に申し上げますけれども、報告書2ページ目の2つ目の○について、「また」以下で示していただいた労働者代表委員、それから使用者代表委員の意見を政府として重く受け止めていただき、育児休業給付制度の在り方については、少子化対策という目的に照らして、是非とも令和6年度までを目途に、しっかり検討していただきたいと思います。厚労省の皆様におかれては、関係省庁との調整はかなり大変と思いますけれども、しっかりやっていただきたいとお願い申し上げます。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、仁平委員お願いします。

○仁平委員 ありがとうございます、仁平です。雇用保険部会報告については、先ほどの雇用保険部会でも了解の旨を述べており、異論はありませんが、2ページ目の労働者代表委員と使用者代表委員の意見の記載について、労働者側としての思いを補足させていただきます。

 育児期間中の経済的支援は、国の責任により全て一般会計で実施するべきであると考えています。今後時期を見て、是非そのための検討をしていただきたいと思いますので、改めて意見として述べさせていただきます。以上です。

 

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは西尾委員お願いします。

○西尾委員 はい、西尾でございます。ちょっと今までのお話とずれるかもしれませんけれども、育休制度の新制度のことについてですが、今度の新制度の創設ということで事情に合わせて選択肢が増えるということだと思います。男女の仕事と生活の調和、ワークライフバランスを実現していくことの、これは選択肢の1つということになりますので、有効であると思う反面、選択肢が増えるということは、従来の制度に比べると複雑になるということもありますし、手続などもまた変わってくるところもありますので、そういった部分について制度そのもの、あるいは手続等について、より分かりやすい周知をしていただいて、有効に活用してもらえるような形にしていただきたいということです。また今後、雇用保険法改正があるということですが、この辺についても分かりやすく周知をしていただけるようにお願いしたいと訴えます。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。森下委員どうぞ。

○森下委員 すみません、森下です。私も中央会の立場として先ほど杉崎委員、また経団連さんからもお話がありましたように、全くこの趣旨について異論はありません。ただ、やはり小規模事業者の立場としては、せっかくこういう制度があるにもかかわらず、我々の業界といいますか、小規模の事業者は、このコロナ下でも慢性的な人手不足という状況が続いています。このような施策が企業間格差というものを生まないような、また別途いろいろな対応を厚労省としても考えていただければというのが1つです。

 やはり財政的にも皆様の御意見と同様に、大変ひっ迫している保険の状況、また事業者の負担にこれ以上のし掛からないような配慮をお願いしたいということは、お話をしたいと思いました。以上です。

○阿部分科会長 はい、ありがとうございました。御意見として承ります。他にいかがでしょうか。よろしいですか。いろいろと委員の皆様から御意見を頂き、ありがとうございます。皆様の意見を承りたいと思いますが、当報告について直接御意見はございませんでしたので、雇用保険部会の報告として了承したいと思いますがいかがでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは当分科会として、本件は了承したということにいたします。では、今後の手続について、事務局から説明をお願いします。

○雇用保険課長 ただいま御了承いただきました雇用保険部会報告に基づき、今後法案作業を進めていきます。まずは要綱の作業から進めていきますが、今後あらかじめ雇用保険部会において、法律案要綱に関するご意見を頂いた上で、それらの御意見を踏まえ職業安定分科会において、御議論いただくことをお願いできればと考えています。引き続きよろしくお願い申し上げます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは次の議題に移りたいと思います。次の議題ですが、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料率を変更する告示案要綱について」です。こちらは本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、本日行われました雇用保険部会において、あらかじめ議論を行っています。それでは資料及び部会での議論について、事務局より御説明をお願いします。

○雇用保険課長 引き続き、私から御説明します。資料2-1は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案です。資料2-2は関係資料で、この1ページ目の概要に沿って御説明したいと思います。

 雇用保険料率に関しては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律において、15.5/1000とされているところですが、附則において令和3年度までは13.5/1000とされています。こちらは法律上の措置となっていますが、更にこの雇用保険料率は雇用保険財政の状況を踏まえまして、➀➁の変更と書いています。これはいわゆる弾力条項と呼んでいて、2種類の弾力条項があります。

 次のページは、雇用保険料率の弾力条項の失業等給付の部分の説明です。財政状況に照らして一定の要件を満たす場合、雇用保険料率を大臣が変更することが可能であるという仕組みです。今年度から育児休業給付が区分経理されて、保険料4/1000が固定されている関係で、これ以外の失業等給付に関する雇用保険料率については、原則が8/1000、令和3年度まで法律上、2/1000引き下げられ6/1000となっています。加えて、財政状況に照らして、一定の要件を満たす場合は、雇用保険料率を大臣が変更することが可能な仕組みで、以下にあるような計算式になります。

 簡単に申し上げますと、単年度の育児休業給付費を除いた失業等給付、それから年度末の積立金の残高、それからその年度の差引きの剰余、こうしたものを加味しまして給付費を分母、積立金などを分子として、その値が2を超えると保険料の引下げができる。1を下回ると保険料率の引上げができる。それぞれ±4/1000の範囲ということになります。

 令和3年度の雇用保険料率の計算に当たっては、令和元年度の決算額による計算となります。令和元年度の積立金の残高は、おおむね45,000億程度です。これらに基づきまして計算をしますと、2.36という数字になり、令和3年度の保険料率を上に書かれている6/1000から-4/1000、つまり2/1000まで引下げ可能となってきます。

 続いて3ページは、雇用保険二事業の保険料率ですが、こちらに関しても、弾力条項があります。分母を保険料収入、分子を雇用安定資金で計算して、1.5を超えると原則の保険料3.5/1000の引下げが可能ではなくて、引下げが行われるものとなります。すなわち3/1000に下がるということになります。

 令和3年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率についても、令和元年度決算額に基づいて計算を行うこととなり、その結果2.52となります。これは令和元年度の雇用安定資金の残高が15,000億程度あって、それを前提とした計算となります。そうなりますと、令和3年度の保険料率は、3/1000にこれは引き下がるということになります。

 以上に基づいて、全体の雇用保険料、1ページに戻ってください。2.告示の概要と書いていますが、令和3年度の雇用保険率について次のとおり変更し、9/1000とします。

 ➀失業等給付額等を踏まえた変更、これはいわゆる弾力条項で、4/1000引き下げる部分。それから➁、これは雇用保険二事業の所で、0.5/1000引き下げるということになります。結果として令和3年度の雇用保険率ですが、合計で9/1000。雇用保険は3種類あり、失業等給付、それから育児休業給付2事業で、それぞれ労働者負担、使用者負担があります。二事業は使用者負担のみ3/1000となります。育児休業給付は、先ほど申し上げたように4/1000、労使2/1000ずつで法定されています。

 失業等給付に関しては、弾力条項を使って2/1000まで下がる。労使1/1000ずつの負担となります。合計して9/1000、労働者負担3/1000、事業主負担6/1000という枠組みになります。

 なお農林水産、清酒製造の二事業あるいは建設の事業に関しては、特計保険料率ということで上乗せの負担が法定されていますので、それぞれ引き上がった形での料率となります。この水準は令和2年度、今年度の雇用保険料率と同じです。

 適用期日は、告示に関しては2月中旬を予定していて、毎年度こうした告示を出していますが、この適用期日は令和3年4月1日から適用することとしたいと考えています。

 この雇用保険料率の告示に関して、本日先ほどですが雇用保険部会で議論が行われ、その結果おおむね妥当との御報告を頂いています。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは本件について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは特にないようですので、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 それでは報告文案の表示をお願いします。ただいま画面に表示されています報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告をいたします。ありがとうございました。それでは次の議題、その他に入りたいと思います。事務局から何かありますでしょうか。特にないですか。特にないようですので、予定されている議題は以上で終了しました。本日の分科会はこれで終了したいと思いますが、委員の皆様から、何か御発言はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、お忙しいところ本日もありがとうございました。以上で終了いたします。