第158回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年1月22日(金)14:00~15:00

場所

厚生労働省 厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館9階)

議事

議事内容

○阿部分科会長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第158回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆様方にはおかれましては、大変お忙しい中御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 議事に先立ちまして、新たに就任された方を御紹介いたします。一言御挨拶をお願いできればと思います。当分科会の使用者代表委員として、日産自動車株式会社人事本部副本部長の小阪委員でございます。

○小阪委員 ありがとうございます。日産自動車の小阪でございます。昨年の4月から人事全般を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の太田委員、労働者代表の西尾委員、使用者代表の今木委員が御欠席と伺っております。 本日の分科会ですが、Zoomによるオンラインでの開催となります。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。議題1ですが、「雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてです。こちらは、本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。それでは、資料について事務局より御説明をお願いいたします。

○労働移動支援室長 労働移動支援室長の小林と申します。よろしくお願いします。議題1について、資料No.1-1の省令案要綱と資料No.1-2の省令案概要という2点を配布させていただいておりますが、本日の説明は資料No.1-2の省令案概要を使用させていただきたく思っております。

 概要の資料の2枚目を御覧ください。中段に本日お諮りしたい省令名、制度名を挙げさせていただいております。Ⅰの雇用保険法施行規則の一部関係で、1.トライアル雇用助成金、2.産業雇用安定助成金、3.就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業、Ⅱの建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部改正ということで、若年・女性建設労働者トライアルコース助成金です。このうち、1のトライアル雇用助成金とⅡの若年・女性建設労働者トライアルコース助成金は関連の制度でして、改正の趣旨も同じですので、合わせて説明させていただきたいと思います。

 なお、3の施行期日等について、令和3年1月下旬となっておりますが、いずれも今国会における第3次補正予算の成立をもって、速やかに施行ということを想定しております。

 制度の内容については、後ろのほうに付けていますポンチ絵を使用して説明させていただきたいと思います。6枚目のページですが、「コロナによる離職者を試行雇用する事業主の助成」という資料です。これは、現行のトライアル雇用助成金がありますが、新たにコロナの影響による離職者へ対応するコースを設けたいということで考えております。

 概要ですが、感染症の感染拡大の影響により、離職を余儀なくされた者であって、離職期間が3か月を超え、就労経験のない職業に就くことを希望する者の早期再就職支援を図るため、一定期間、原則3か月ですが、試行雇用をする事業主に対して、当該期間中の賃金の一部助成ということです。

 現行のトライアル雇用助成金は、職業経験の不足から、安定した職業に就くことが難しい方が、常用雇用への移行を目的として、3か月間の試行雇用期間中に、仕事の適性とか業務遂行能力の見極めなどについて、事業主・労働者間で相互理解を図ることによって、就職促進や職場定着を図る制度ですが、今般これに対して、この枠組みに加え、コロナの影響による需要の変化で、外食産業などについて、離職者の増加が懸念されているところで、そのような方々が新たな職業に対応できるまでの間、事業主の負担を軽減して、異なる分野への円滑な移動を支援してまいりたいという趣旨でございます。

 助成内容ですが、コロナによる離職者を対象ということで、令和2年1月24日以降に離職した方、これは雇用調整助成金のいわゆるコロナ特例措置を最初に適用した日ということです。2点目が離職期間が3か月を超える方、3点目が就労経験のない職業に就くことを希望する方ということで、3つの要件を設定させていただいております。

 さらに、御本人の就職後の希望ということで、2つパターンがあり、週30時間以上の常用雇用を目指す方、週20時間以上30時間未満の短時間労働を目指す方で、助成金の支給額は、その労働時間に応じ、月額4万円と2.5万円として設定しております。

 7ページを御覧ください。「建設事業主等に対する助成金の概要」という資料ですが、このうち左上のトライアル雇用助成金の欄を御覧ください。現行の制度で、トライアル雇用助成金では、建設事業主に対しての上乗せ助成を行っております。その内容は➀に書いてあるとおりですが、先ほどの説明のとおり、今般のコロナによる離職者の試行雇用する事業主の助成ということで新たに創設しましたので、これに伴い、上乗せ助成も➁のとおり行ってまいりたいと考えております。要件等の考え方については、先ほどの説明と同様になります。

 次に、8ページを御覧ください。産業雇用安定助成金の創設ということでお願いしております。概要ですが、コロナ禍において事業活動の一時的な縮小を余儀なくされ、労働者の雇用を在籍型出向により維持するため、労働者を送り出す事業主及び当該労働者を受け入れる事業主に対して、一定期間助成するといった内容としております。

 感染症の影響が長引く中で、休業による雇用維持だけでなくて、在籍型出向の仕組みを活用し、労働者のモチベーションを維持しつつ雇用も維持するという視点も重要であると考えておりますので、現に人手不足企業により、一時的に余剰となった労働力を抱える企業から労働者の出向を受け入れている動きも見られるところです。なお、雇用維持を図るための出向については、現行でも雇用調整助成金のメニューの1つとして、出向元だけを助成する制度がありますが、今般の産業雇用安定助成金では、コロナ禍において受入先の確保が重要であると考え、出向元への助成に加えて新たに出向先への助成を設け、元・先一体となって1人の労働者の雇用を守っていただく制度として、雇調金のメニューとは別立てとして運用してまいりたいと考えております。

 助成の内容ですが、出向元事業主と出向先事業主が、共同事業主として支給申請を行っていただいて、国からはそれぞれの事業主に別々に助成金を支給するといったスキームで運用を考えております。申請手続は出向元事業主に行っていただきたいと思っております。

 下の対象経費の内容ですが、大きく2つあり、出向運営経費と出向初期経費となっておりますが、考え方としては、出向実施の際のランニングコストとイニシャルコストと御理解いただければと思います。

 出向運営経費については、労働者、これは雇用保険被保険者を対象としますが、在籍型出向により送り出す出向元と受け入れる出向先に対して、出向期間中の賃金、それから主に出向先になろうかと思いますが、教育訓練に要する費用、それから出向中にいろいろ人事労務の関係の調整をすると思いますので、それに要する諸費用といった出向中の経費を助成対象としております。助成率等については以下の表を御覧ください。出向元が解雇等を行っていない場合については、中小企業が9/10、中小企業以外が3/4、出向元が解雇を行っている場合には、4/52/3としております。また、助成額の上限額ですが、1出向労働者への経費について、1日当たり12,000円という設定を考えております。

 出向初期経費については、出向元・先それぞれに対して、就業規則や出向契約書といったものの整備費用、出向元であらかじめ行う教育訓練、それから出向先においては、出向者を受け入れるために用意する機器、パソコンとか備品といったもの、そういった出向が始まるまでに要する経費を初期経費の対象として想定をしております。

 初期経費の助成額は、元・先それぞれに労働者1人当たり各10万円ということで、定額で支給することと考えております。また、初期経費には加算ということで設けており、元・先それぞれに5万円と考えておりますが、出向元に対する加算の考え方としては、雇用過剰の厳しい業種ということで、休業が多くなっている業種を想定していたり、それから、企業単位でも、生産性指標要件が一定程度悪化した場合を想定して検討しております。出向先への加算額の考え方ですが、これはよりコストが掛かることが想定される異業種からの受入れということを要件として設定したいと思っております。私からの説明は以上になりますが、引き続き就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業について、御説明させていただきます。

○訓練受講者支援室長 訓練受講者支援室の安蒜と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業について御説明をさせていただきます。資料は、No.1-2の最後のページに概要をお付けしておりますので、そちらに沿って御説明させていただきます。

 こちらの事業は新規事業となり、コロナで離職した求職者の方に、大学で再就職に必要な教育訓練を行うものとしております。本事業は、文科省と厚生労働省が連携して行うことにしており、事業は文科省が大学に委託して実施することとしています。教育訓練のプログラムは、大学ごとに作成することにしているのですが、それらに各地域の労働局、ハローワークが参画して、助言などを行うこととしています。地域の労働局、ハローワークはそれ以外に、本事業への求職者の誘導やプログラム受講者の就職支援などを、大学と連携して行うことにしております。プログラム受講者のうちの要件を満たす方に対して、休職者支援制度の月10万円の生活支援のための給付金を支給することにしています。

 現在、厚生労働省では、公的職業訓練を実施しておりますが、訓練を通じた求職者の再就職をより一層推進してまいりますためには、求職者の皆様により多様な訓練コースを提供させていただくことが重要と考えております。本事業は、大学のノウハウを活用して、新たに教育訓練を行うものとなりますので、文科省と連携を図りながら本事業を実施し、求職者の皆様の再就職を推進してまいりたいと考えています。簡単ですが、以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。本件につきまして、御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますよう、お願いいたします。いかがでしょうか。

○仁平委員 連合の仁平です。産業雇用安定助成金は、失業なき労働移動を後押しする重要な制度だと受け止めておりまして、私も連合の会議などでは説明させていただいたのですが、非常に高い関心が寄せられております。その上で、確認と要望を申し上げます。

 まず2点確認ですが、この制度が恒久的なものなのか一時的なものなのかということが1点目です。また、雇用調整助成金の現在の在籍型出向とのすみ分けがどうなるのかというのが2点目です。

 要望ですが、コロナ禍で大きな打撃を受けて、経営体力が奪われているという大企業も多いため、中小企業以外の助成率を中小企業に合わせていくことも、是非今後検討いただけないでしょうか。また、職場に聞いてみると、コロナ禍に起因する、グループ内での企業間の在籍型出向のニーズも多いため、一定の条件の下で、対象に含めることも併せて検討いただけないでしょうか。最後に、詳細な内容をできるだけ早く公表していただけると有り難いです。

○阿部分科会長 では、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。

○労働移動支援室長 労働移動支援室長の小林です。1点目は恒久的か一時的かということですが、現時点のところ、予算としては令和2年度3次補正予算、令和3年度の本予算に政府案として措置しておりますので、令和3年度いっぱいは、制度としては確実に実行していくことは政府として決定しているところです。その後は、またその状況に応じて判断していくということかと思います。

 雇調金の出向との関係ですが、雇調金の出向のメニューも継続して制度としては運用されていきます。それぞれ違うところも同じところもございます。今現在、雇調金を支給されていて、今後、産業雇用安定助成金に乗り替えたいということについても、手続を整理し、可能なように要件を整理しておりますし、そのニーズ、目的に応じて、受給できるように詳細制度設計を検討中です。

 御要望につきまして承りたいと思いますが、1点目の大企業と中小企業の助成率の関係については、一般的なことですが、中小企業のほうが資力が乏しいということと、予算自体が限られた財源ということがありますので、一旦集中的な支援ということを考えさせていただいて現在の設定となっておりますが、また今後、引き続き検討はしていきたいと思います。

 グループ企業についても、そのグループ企業という法的な担保というのは余りないわけですので、要件の中で、これまでの雇調金でもありますが、原則論を見ながら、関係企業というのがどういったものがあるかといったような詳細を整理中です。それについても、引き続き検討していきますが、それも含めて細かい要件を早めに設定し、なるべく分かりやすく周知していきたいと思っております。

○阿部分科会長 仁平委員、いかがですか。

○仁平委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 梅田委員、お願いいたします。

○梅田委員 梅田でございます。私からは、トライアル雇用助成金について、質問と要望を1点ずつさせていただければと思います。

 まず質問です。事業主の方々が、現在のトライアル雇用助成金を活用して試行雇用された求職者の人数、それから試行雇用の後に実際に常用雇用に移行することができた方々の割合などについて、一般トライアルコースの実績で構いませんので、御確認させていただけたらと思います。

 それから要望ですが、この助成金制度をたくさん使っていただいたほうがよろしいかと思いまして、是非とも従来以上に周知を徹底していただきたいということと、常用雇用移行者の割合を更に向上させることができますように、試行雇用の前段での事業主と求職者のマッチングについても、強化いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 御質問がありましたので、事務局からお願いいたします。

○労働移動支援室長 一般トライアルコースの実績ですが、詳細までは手元にないのですが、令和元年度の実績で、7,800人程度がトライアル雇用を実施しておりまして、そのうち75%程度が常用雇用に移行しております。

 それから、御要望ということですが、もちろん、コロナによる離職者への対策ということなので、広く活用されるように周知徹底していくことは当然でございます。そのため、ハローワークの業務の部分とも連携しまして、こういったトライアルの求人について事業主に御協力いただくといった部分では、ハローワークに指示をして、いずれにしても、コロナによる離職者の間口が広がるように求人を拡大していきたいと思っております。

○阿部分科会長 梅田委員、よろしいですか。

○梅田委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 杉崎委員、お願いします。

○杉崎委員 日本商工会議所の杉崎です。コロナ禍により極めて厳しい経済情勢が続いている中で、雇用調整助成金をはじめとした施策の効果により、11月の失業率は2.9%にとどまっています。一方で、新しい生活様式や働き方の定着、消費行動の変化により、今後業態転換を行う企業が増えていくことで、産業構造も変化していくということが予見されますので、失業防止対策とともに、雇用吸収力がある産業や成長分野への失業なき労働移動を推進していくことが、求められております。こうした認識の下で、トライアル雇用助成金や産業雇用安定助成金等の新設をすることは、時宜を得ていると思いますので、幅広く周知し、利用を促進していただきたいと思います。

 なお、周知に当たりましては、分かりやすい周知を是非お願いしたいと思っております。例えば、産業雇用安定助成金については、雇用調整助成金との違いですとか、また上限額が12,000円と書いてございますが、この12,000円というのは、あくまで1労働者当たりの上限額であるということなどを含めて、制度の詳細を分かりやすく周知していただくことで、利用の促進につなげていただきたいと思います。

 また、これらの事業が有効に機能するには、ハローワークや産業雇用安定センターのマッチング機能が重要になるかと思いますので、マンパワーの増強など、機能を強化していただきたいと思います。

 なお、これらの事業の財源は雇用保険二事業であると伺っておりますが、雇用調整助成金の1月15日時点の支給決定額は26,000億円に達しておりまして、既に事業主のみが負担している雇用保険二事業の範疇を大きく超えていると認識しております。また、雇用調整助成金の特例措置については、3月末まで延長される旨の報道がございますが、これが実現するならば、大変有り難いことでありますが、今般の緊急事態宣言に伴い、求業者の更なる増加が予想されることから、財源の枯渇化は必至な状況です。

 したがいまして、コロナ禍は国家の非常事態であるとの認識の下、これらの事業の財源は雇用保険二事業ではなく、一般会計による国費で負担すべきであると考えております。最低賃金や事業主拠出金など、企業の負担が増加していることから、雇用保険二事業や失業等給付に係る保険料は将来にわたり引き上がることがないよう、強く要望いたします。以上でございます。

○阿部分科会長 御意見として伺いたいと思います。続いて、林委員からお願いします。

○林委員 林です。私からは、就職定着支援のための大学リカレント教育推進事業についてということで、質問と意見を1点ずつ述べさせていただきます。

 まず質問です。資料1-2の最終ページの概念図の所です。事業内容の2行目に、「即効性があり、かつ質の高いリカレントプログラムの発掘・開発を行い」という記載があります。それに対して、同じページの右下のプログラムイメージの所には、法務、知的財産、起業・事業継承など、専門性の高い内容が含まれていますが、どのような労働者が、どのようなステップアップをしていくことを想定されているのか。これを質問としてお伺いいたします。

 意見のほうですが、本事業の目的ということに照らし合わせれば、非正規労働者とか失業者への支援、つまり円滑な就職、転職を促すことが目的ですから、その目的に照らし合わせるならば、より実用性の高い内容を充実させていただきたいと思います。内容もさることながら、例えばこうしたプログラムを受講することによって大学の単位認定を受けられるとか、資格取得につながるようなプログラム設定をしていただくとよいのではないかと考えます。大学、専門学校などの供給側の論理による一方的なプログラムではなく、より実効性の高いものということを、内容的により精査していく必要があるかと思います。

○阿部分科会長 質問がございましたので、事務局からお願いいたします。

○訓練受講者支援室長 訓練受講者支援室の安蒜です。よろしくお願いいたします。まず、訓練について、どのような方がどのようなコースを受けるかということですが、こちらは大学ごとに訓練コースを作りますので、訓練コースの内容は大学ごとに異なることになります。そして、今現在、大学では社会人講座などでいろいろな分野の講座を実施していただいています。それらのノウハウを活用して、訓練コースを作っていただきいろいろな訓練コースができることになりますので、ハローワークでしっかりと職業相談をして、その方の適性に応じた訓練コースに誘導していきたいと考えています。

 御意見賜りました就職に役立つものとすべきという話は、正にそのとおりだと思います。カリキュラムの作成に、労働局とハローワークが参画させていただきますので、その中でしっかりと大学に対して必要な助言などをさせていただきたいと思っております。

○阿部分科会長 林委員、よろしいですか。

○林委員 再三になりますが、即効性と実効性のあるということに着目していただきながら、進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ほかに御質問、御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。

 これ以上は特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。

(報告文案表示)

○阿部分科会長 ただいま画面に表示されている報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。では、そのように報告させていただきたいと思います。

 それでは、次の議題に移ります。「「雇用保険法第十八条第一項及び第二項の規定に基づき同条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件の一部を改正する件案要綱」、「雇用保険法第六十一条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件案要綱」及び「雇用保険法第六十一条第七項の規定に基づき同条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件の一部を改正する件案要綱」について」です。こちらは、1225日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、同日の雇用保険部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。資料及び部会での議論について、事務局より説明をお願いいたします。

○雇用保険課長 雇用保険課長です。資料No.2-1は3つの告示の要綱をお示ししております。資料2-2は概要ですので、こちらに沿って御説明いたします。

 雇用保険の基本手当の日額算定の基礎となる賃金日額の範囲については、法律上、毎月勤労統計の平均定期給与額を用いまして、その年度ごとに上昇、低下をチェックしまして、それに応じて毎年変更するという枠組みがございます。

 この毎月勤労統計調査ですが、去る11月に、統計調査の公表結果が一部修正されたところです。原因は2つ目のマルにございますが、この統計については統計法に基づき総務大臣から承認を受けた調査計画において500人以上の規模の事業所は全数調査となっているわけですが、神奈川、愛知、大阪の府県については、平成31年1月分について、調査対象として指定していた500人以上規模の事業所については全数調査を行ってはいるものの、全国調査の集計に含めていない事業所が79事業所あったことが確認されたところです。これらの事業所を含めて統計数値を再集計しまして、その結果から毎月勤労統計の平均定期給与額の変動を基礎として算定している雇用保険の給付に必要な額に関して、一部変更が生じることとなりました。

 この告示は、公表結果の訂正を踏まえまして、3つございます。1つ目が、基本手当の日額算定の基礎となる賃金日額の上限額の令和2年8月から令和3年7月までの部分についての訂正です。2点目は、高年齢雇用継続給付の支給限度額ですが、令和元年8月から令和2年7月までの訂正です。それから、同じく高年齢雇用継続給付の支給限度額の令和2年8月から令和3年7月までの訂正というのがございました。

 訂正額は表にして整理しております。基本手当の賃金日額上限額については、30歳未満に影響が生じまして、訂正後と訂正前を比較しますと、差額がマイナス10円という形で生じることになります。Ⅱ、Ⅲに関しては、それぞれマイナス5円、マイナス59円という形で生じているところで、それぞれに関して、この限度額などの訂正を行う告示となっております。

 なお、高年齢雇用継続給付の支給限度額はそれぞれ36万円強の数字がありますが、ⅡとⅢに書かれている部分に関しては、実際にはここの影響を受ける方がいらっしゃらないことが分かっておりますので、実質上、影響が生じるのはⅠの13,700円が13,690円になるという部分です。

 11月に統計の公表結果が訂正されましたが、雇用保険の日額の変更に関しては、システム改修など所要の準備を行いまして、告示を令和3年1月下旬、適用を2月1日から始めたいということです。

 なお、表の下の※の所に書いておりますが、既に訂正前の額を基に計算しまして、結果的に多い支払いになってしまった場合の差額は、受給者から国への返還などは求めないという取扱いとしたいと思っております。すなわち、令和3年3月1日以降に訂正後の額が適用されるような形で、制度としては仕組んでいきたいと考えているところです。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。仁平委員、お願いいたします。

○仁平委員 連合の仁平です。御報告があった毎勤統計ですが、これは言うまでもなく厚生労働行政における重要な統計データですし、公表結果の誤りは今後発生することがないように、最大限努めていただきたいと思っております。

 そのためにも、今回の誤りの原因となった事務処理において、第三者による専門家のチェックを受けていただくことは当然だとは思いますが、それだけではなく、算出フロー全体をもう一回見渡して、そこに潜むリスクを点検して潰していただくことも必要だと思います。人員体制も含めて大変だということは重々承知はしているのですが、信頼に関わる話ですので、改めて苦言は申しておきたいと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として承ります。他にいかがでしょうか。他に御意見がなければ、雇用保険部会でも厚生労働省案を妥当と認めておりますので、当分科会も厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。何か御意見はございますでしょうか。特にございませんか。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。

(報告文案表示)

○阿部分科会長 ただいま御覧いただいている報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 では、次の議題に移りたいと思います。議題3は「その他」となっております。事務局から何かあればお願いいたします。

○総務課長 総務課長の蒔苗です。議題3の「その他」として、ここ何回か御議論いただいております押印を求める手続の見直しの関係での御報告が1件ございます。参考資料をお配りしておりますので、「雇用保険業務に関する業務取扱要領の一部改正について」を御覧ください。

 昨年11月の分科会におきまして、押印手続の見直しの省令を御審議いただき、年末に公布したところです。前回の12月の審議会の際も私からお話いたしましたが、廃止に当たり、労働者側委員の方から御意見を頂いており、「押印を見直すことによって、トラブルが今後増えるという懸念もあるので、トラブルを低減する観点から、現場の労働局でしっかりと確認するようにという旨の通知を出してほしい。通知を出した上で、その通知を審議会の場で提出いただきたい」という御意見がございましたので、本日、資料をお配りしているような、離職票の確認に関する局長通達について、該当部分のみですが、参考に配布しております。

 安定局としましても、申請者の利便性の向上を図るとともに、現場で労使のトラブルが生じないよう、引き続き注視していきたいと考えております。

○阿部分科会長 ただいまの報告について、何か御質問、御意見はございますか。仁平委員、お願いします。

○仁平委員 仁平です。審議会での意見のとおり対応していただきありがとうございました。是非、現場でトラブルがないようお願いします。

○阿部分科会長 その他いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいですか。こちらで用意している議題は以上となります。もし、この際に委員の皆様から何か御発言があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日もお忙しい中、ありがとうございました。なお、この後に少し懇談したいことがございますので、少々お残りいただければと思います。ありがとうございました。