第156回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和2年12月25日(金)13:00~14:00

場所

厚生労働省 厚生労働省職業安定局第1会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)
厚生労働省 職業安定局第2会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館12階)

議事

議事内容

○阿部分科会長 第156回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、使用者代表の今木委員、新しく委員になられました小阪委員が御欠席と伺っています。本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となっています。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付している「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。まず議題1ですが、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要項について」です。本件については、1224日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。それでは、資料について説明をお願いいたします。

○雇用開発企画課長 では、御説明いたします。まず改正内容について御説明の後、前回の分科会での意見を踏まえまして、雇用情勢に関わる主なデータ等も含めた御説明をさせていただきます。資料については、No.1-2を御覧いただければと思います。1ページ、概要です。改正の趣旨は、今般の新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、雇用維持の支援を図るために雇用調整助成金の特例措置の期間を延長することなどを内容とするものになります。

 2.改正の概要ですが、2点ございます。➀新型コロナウイルス感染症に係る特例措置として、休業等の助成率の引上げ、助成額の上限額の引上げ、クーリング期間や被保険者期間要件の撤廃等の特例措置を講じており、この特例措置は1231日までとしておりましたが、これを来年2月28日まで延長するというものです。➁は若干、技術的な規定なのですが、雇用調整助成金については、1年間の期間内に実施した休業等を支給対象としており、これを対象期間と呼んでいますが、コロナ特例の下で、一番早い対象期間は今年1月24日を初日とするものとなり、来年1月24日以降1年を経過する事業主が生じることとなります。こうした場合に、コロナ特例ではクーリング期間を撤廃されていることから、通常であれば引き続き雇調金による支援を受けるためには生産指標要件等の再確認を経まして、新たな対象期間の設定をし直すということが必要になります。しかしながら、こうした対象期間の再設定については、事業主の負担ともなりますし、迅速支給も難しくなることも見込まれることから、本改正により、対象期間を来年6月30日まで延長しようとするものです。例えば、対象期間が今年2月1日を初日とする場合、来年1月31日までで対象期間が終了するということではなく、新たに対象期間を設定する手続をせずとも6月30日までは対象期間が続くということになるというものです。

 ここから改正の背景として、雇用情勢等に係る御説明に移らせていただきたいと思います。まず雇用情勢についてですが、完全失業率(季節調整値)が3か月前と比べてどうかということですが、6月の数値が2.8%、7月が2.9%だったところ、9月が3.0%、10月が3.1%ということです。なお今朝、11月の数値が公表されておりますが、11月の数値については2.9%になっています。それから完全失業者数ですが、これも季節調整値で見ますと、6月が194万人、7月が196万人ということでしたが、9月については210万人、10月については214万人ということで、増加基調にあるところです。今朝、公表された11月の数値については、198万人ということになっています。それから休業者の数について、役員以外の方の休業者数、これは原数値で、かつ前年同月との差ということで見ますと、4月は+353万人、5月は+218万人ということでしたが、6月以降の各月については、それに比べて落ち着いてきているというような状況です。今朝、発表されましたが、足下の11月の数値は+20万人ということです。それから有効求人倍率(季節調整値)も3か月前と比較いたしますと、6月は1.11、7月が1.08、9月が1.0310月が1.04ということです。11月の数値については1.06倍です。以上、主な指標の紹介にとどめさせていただきますが、雇用情勢については、厳しさが見られるものの、大きく悪化しているという状況までには至っていないと見ているところです。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の感染状況についてですが、4月から5月の緊急事態宣言下での新規陽性者数の最高値は708人であったところですが、新規陽性者の7日間の移動平均ということで見ますと、1110日以降は1,000人台、1122日以降は2,000人台というようなことになっていまして、こうした感染の広がりによる経済活動水準の低下が雇用情勢に与える影響に対して万全を期すため、令和3年2月末までは現行の助成水準等を維持すべきと判断をしたものです。その上で、都度、都度の状況判断を、よりきめ細かく行い、柔軟に対応していくこととしたいと考えています。

 前回の分科会以降、今般の感染による事業活動への影響が大きいと思われる幾つかの業種の業界団体等からお話を伺ったところですが、雇調金を活用しつつ雇用維持に積極的に取り組んでいただいていたところですが、休業が長期化することによる労働者の能力とか、モチベーションの低下等の懸念も生じています。こうした観点も踏まえ、特例措置については、3月以降、段階的に通常の制度に戻していくこととし、5月、6月に、リーマンショック時並みとすることを基本の想定としつつ、雇用情勢が大きく悪化している場合、特に業況が厳しい企業等には特例を設けて柔軟な対応を図っていきたいと考えております。こうした方針は先般の政府としての経済対策にも盛り込んだところです。なお、この経済対策では、労働者が能力の発揮の場を確保しながら雇用を維持する在籍型出向への新たな支援や、離職者の再就職支援も含めた雇用対策パッケージを盛り込んでおりまして、バランスが取れた雇用対策を進めていくこととしております。

 次に、雇調金の支給実績についてです。雇用保険被保険者以外を対象に一般会計で実施しております緊急雇用安定助成金を除いた実績ということで見ますと、先週までで支給申請が約161万件、支給決定額は約2.3兆円ということになっています。足下でも、全国で1日8千から9千件程度の支給申請が現在においてもなされているという状況です。感染状況が今後悪化しなければ休業等も落ち着いてくると思われるものの、今後を見通すことは難しいわけですが、年度内の執行額については、3兆円程度に達することも見込まれるところです。御参考までにリーマンショック時の数字ということで申し上げますと、21年度の支給実績が約6,500億円、22年度については約3,200億円ということで、この2年間を合わせても1兆円弱であり、リーマンのときと比べても支出規模が大変大きくなっているということが言えるのではないかと思います。このために財源の確保、雇用安定資金の取崩しとか、失業保険の積立金からの借入れ等に頼ってきているというのが現状です。

 コロナ禍における雇用調整助成金の支給については、迅速支給を最優先してきており、システムへの入力項目を必要最小限としているため、データの収集・分析がなかなか難しいのが現状ですが、全国で支給決定されたものから抽出したサンプルデータで見ますと、休業等支給日数、それから支給決定金額の割合で見ると、多いのが製造業、それから生活関連サービス娯楽業・宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業、運輸業・郵便業と、大分類で見ると、このようになっています。リーマンショック後の平成21年度の支給決定額で見ますと、製造業の占める割合が高かったところで、今回これと比べて雇調金が活用されている産業には広がりがあると考えています。業界団体からお話を伺った際にも、売上等への影響はリーマンショック時よりもはるかに深刻という声も多かったところです。

 こうした状況の下、先ほど御説明をいたしました支給実績等と合わせて考えますと、今回、雇用指標に大きな悪化が見られない背景の1つとして雇用調整助成金が雇用の下支え効果を一定程度、発揮しているものと考えているところです。以上、今回の改正の背景を含め御説明をいたしましたが、今後、短いスパンでの助成水準等の見直しや検討が続くと見込まれますが、先ほど御説明いたしましたような経済対策で示された方向性に沿いまして、この分科会等の場で頂いた御意見等も十分踏まえながら対応していきたいと考えています。説明は以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問や御意見がございましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますよう、お願いいたします。仁平委員、お願いいたします。

○仁平委員 連合の仁平です。どうもありがとうございます。質問2点と意見を申し上げます。質問ですが、今後の雇調金については組織内でも非常に関心が高く、その動向によっては企業行動も大きく影響されるので、我々も注目しているところです。今しがた説明がありましたが、特例の期間が2月28日までということですが、年度末とせずにあえて2月末とした理由をお伺いいたします。また、3月以降の判断の考え方について、どのような指標を見ながら、どのように決めていくのかという点についてお伺いいたします。

 続いて意見です。資料1-2の3ページに、12月8日に閣議決定された内容があります。この中で、在籍型出向の更なる活用につながる新たな助成金の創設が盛り込まれております。このような内容は、我々も要請してきたものであり、非常に評価しているところです。こうした雇調金以外の経済対策による支援がどこまで労働市場に行き届いているのかということについても今後検討していくことが必要ではないかと思っております。以上です。

○阿部分科会長 では、御質問がありましたのでお願いします。

○雇用開発企画課長 お答えいたします。まず、なぜ2月末までなのかという御質問だったかと思います。特例措置を12月末まで延長する旨を8月に公表した際には、雇用情勢が大きく悪化しない限り、来年から段階的に通常の制度に戻していくとしていたところです。先ほど申し上げたように現在の雇用情勢は厳しさが見られるものの、8月の時点と比べると、休業者数・失業者数が急増するなど、大きく悪化した状況には至っていないと認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染者が広がりを見せているという情勢の中で、雇用に与える影響に対して万全を期すということで、来年2月末まで現行の特例を維持するということです。言わば、見極めの期間として2か月間を設定させていただき、その上で当面は、都度、都度の状況の判断をきめ細かく行い、対応していくということにしております。経済対策においても、3月と4月分については1月末、5月と6月分については3月末に判断していくということで、当面は少しきめ細かく情勢を見て制度に反映させてやっていくことができればと考えているところです。

 それから、3月1日以降の判断についてです。方向性については、経済対策に示されている方向でやらせていただければと思っているところです。従前どおり、雇用関係の主要な指標をしっかり見させていただくとともに、コロナの感染状況がどのように広がり、どのように雇用に影響を与えるのかということも含めた総合的な判断をしながら見定めていくのではないかと考えているところです。以上です。

○阿部分科会長 仁平委員、よろしいでしょうか。

○仁平委員 雇調金に関する判断は、企業行動も含めて雇用に大きなインパクトを与えると思うので、是非とも早めに、労使に御相談いただきながら進めていただきますようよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、杉崎委員、池田委員、柴委員の順番でお願いいたします。それでは、杉崎委員、お願いいたします。

○杉崎委員 雇用調整助成金の利用が進んでいる中で、日本商工会議所が本年9月に実施した調査で、新型コロナによる経営への影響が続いている企業のうち、雇用関連の対応として従業員の人員整理を検討・実施と回答した企業は、4月、6月の調査に引き続き、僅か4.3%にとどまっているということから、多くの中小企業は、雇用調整助成金を活用しながら事業の存続と雇用の維持に懸命の努力をしているということが窺えます。こうしたことは、直近の失業率を見ても言えることかと思っております。

 こうした中で、雇用調整助成金の特例が2月末まで延長されることは、感染が再び拡大基調にある中で妥当なことであり、大変心強い措置であると考えております。一方、更なる延長を求める声も多いことから、現在の特例措置は3月末まで延長していただくとともに、雇用情勢を注視しながら、その後の再延長についても柔軟に検討していただきたいと思います。

 なお、12月8日に閣議決定された総合経済対策には、1月末及び3月末時点で感染状況や雇用情勢を見極め、感染が拡大している地域、特に業況の厳しい企業について特例を設ける旨が記載されております。ここで言う地域や特に業況が厳しい企業とは、具体的にどのような根拠や指標を基に判断していく見込みなのかを御教示いただきたいと思いますし、是非そういうことは幅広く周知していただきたいと思います。

 併せて、雇用吸収力がある産業や成長分野への失業なき労働移動、早期再就職等の支援を円滑に進めていくことも極めて重要ですので、厚生労働省におかれましては、官民連携の下で雇用対策パッケージに記載の施策を幅広く周知し、利用を促進していくことが求められます。特に業種を越えた再就職に係る個別支援や在籍型出向に向けたマッチング、さらに、雇用調整助成金、労働移動支援助成金による支援を強力に推進していただきたいと思います。

 一方で、二事業関係収支の動向を踏まえると、弾力条項により二事業の保険料率は、令和4年度に1,000分の3から1,000分の3.5に引き上がることが予想されます。二事業の財政を回復させ、保険料率をできるだけ早期に1,000分の3に戻すためには、事業主の意見や費用対効果を十分に勘案の上、コロナ対策以外の事業は大幅な見直しを断行すべきであると考えます。また、コロナ禍は国家の非常事態であることから、そもそも雇用調整助成金など雇用維持に係る支援は一般会計による国費で負担すべきです。最低賃金や事業主拠出金など企業の負担が増加していることから、二事業や失業等給付に係る雇用保険料は将来にわたり引き上がることがないよう要望いたします。

 なお、コロナ禍で失業等給付の積立金残高も急速、かつ、大幅に減少しております。したがって、時限的に本則の10分の1としている国庫負担率の引下げに係る措置は、昨年12月の雇用保険部会報告や衆参の厚生労働委員会での附帯決議、雇用保険法附則第15条の規定にのっとり、令和3年度までの2年間に厳に限るべきであり、令和4年度以降は安定した財源を確保し、本則に戻すべきであることを強く主張したいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。御質問が1点ありましたので、お願いします。

○雇用開発企画課長 経済対策で3月以降は段階的に特例措置を縮減していく中で、感染状況、雇用情勢を踏まえて柔軟に対応していくということで、感染が拡大している地域、特に業況が厳しい企業について特例という場合に、特例の設定の仕方についてどういう見込みなのかという御質問だったかと存じます。

 地域や企業の業況をどのように判断するのかということについては、現段階でお話できるような具体的に詰まったものがあるわけではありません。特例措置で段階的に縮減をしていく中で、どのように柔軟に判断して対応すべきかということを、これからしっかり考えて具体化していくことができればと考えているところです。以上です。

○阿部分科会長 杉崎委員、よろしいでしょうか。それでは、池田委員、お願いいたします。

○池田委員 経団連の池田でございます。今般、雇調金の特例措置の期限を延長していただいたことに感謝申し上げます。一方で、雇調金の支出が膨らんでいて雇用安定資金は枯渇化している状況です。私の記憶では、コロナ禍で払われた雇調金支給額のうちの2兆円近くは事業主負担で賄われているかと思いますが、最新データを確認させていただきたく存じます。

 いずれにしても、今回の国難とも言うべき経済危機は全国規模の感染症拡大によるものであり、必要となる失業予防対策は、事業主連帯の考え方の下、雇用主の雇用保険料で賄う雇用調整助成金の域を超えていると考えます。財務省は固いかと思いますが、是非、厚労省におかれては雇調金全体に要する費用として一般財源を思い切って投入していただくよう、よろしくお願いいたします。

 第3波も到来し、コロナ禍がいつまで続くか見通せないところがあります。経済が回復しない中での雇用保険料の引き上げは、雇用維持に尽力している企業に追加負担を課すことになるので、避けるべきと考えております。厚労省におかれては、何とぞよろしくお願いいたします。以上です。

○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 雇用調整助成金のうち、雇用勘定や一般会計からどのぐらい出ているのかについての最新の数値という御質問だったかと思います。先週までの数字で見ると、雇調金で23,000億円弱のうち、一般会計からは5,267億円になっております。雇用と一般の割合をざっくり言うと、3対1という傾向は変わっていないということかと思っております。以上です。

○阿部分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。

○池田委員 そうすると、23,000億円が出ていて、一般財源から5,000億円ですから、18,000億円ぐらい事業主負担で賄われているということですか。

○阿部分科会長 そうですね。

○雇用開発企画課長 はい。

○池田委員 是非とも、財務省との調整をよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは、柴委員、お願いいたします。

○柴委員 柴です。よろしくお願いします。先ほど他の委員からも出ておりましたが、12月8日に閣議決定された総合経済対策についての認識をお伺いしたいと思います。ここには、1月末及び3月末時点で雇用情勢が大きく悪化している場合に特例を設けるというふうに示されていますが、現在のように雇用情勢が継続して悪い水準にある場合は、厚生労働省として、どのように考えているのかという認識について、お聞かせいただきたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 お答えいたします。経済対策に書いてあるとおり、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化している場合としております。ただ、どのレベルまで達すると大きく悪化しているのか、どのレベルだとそこまでいっていないのかというのを一律に決めるのはなかなか難しいことです。そういう意味で、雇用関係の指標を見るとともに、その他の感染状況の広がりがどのように経済に影響を与えるのかということも総合的に考えながら、見極めていくことになろうかと思っております。以上です。

○阿部分科会長 柴委員、よろしいでしょうか。

○柴委員 財源の問題もあり、このことについては政府内で政治的な判断がされると思いますが、事務方として、雇用情勢が厳しい場合は、その厳しい現状をしっかり伝えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 それでは、久松委員、お願いいたします。

○久松委員 よろしくお願いいたします。先ほど来、何名かの委員から閣議決定の件について御質問がありましたが、先ほど杉崎委員の御質問に対して、特例をどのように設けるのかは、これから具体的に検討するということがありましたので、それに関して1つ意見を申し上げます。

 特例を設けることについては、感染が拡大している地域についてという選択肢が1つ、上げられています。経済活動が地域内で完結しない場合もあるということに留意が必要だと思います。1例として、貸切バスを運行している事業所のある地域は感染が少ない地域だったとしても、今回のGoToのように都市部で感染が拡大していて移動の制限や自粛が掛かったりした場合、感染の少ない貸切バスのある地域には、修学旅行や団体旅行が来ないという状況もあります。また、製造業でも消費地や供給先の地域の状況なども影響するかと思いますので、事業所の所在地によって特例の線引きをすることはなじまないと考えます。意見として、よろしくお願いいたします。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。それでは、太田委員、お願いいたします。

○太田委員 質問させていただきます。今後の方向性として、在籍出向を活用するということを上げられたと思いますが、これは必要なき労働移動を実現するために重要な施策かと思います。一方で、離職する前の労働者本人が仕事探しをすることについて、例えば、休業中の職探しをサポートするシステムをもう少し考えたほうがいいのかと。

 というのは、やはり休業者の場合は、実際に月末に1時間以上働いている従業者の人達よりも失業リスクがかなり高い。前月の労働力調査で私が計算してみたところ、おおよそ10倍ほどリスクが高いという結果が見受けられました。したがって、休業している方が不安に思い、そろそろ仕事を探そうというときに、どのようにサポートするかということは重要なポイントではないかと個人的に思っていますが、その辺りはいかがでしょうか。

○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 雇調金に関わる部分ということで申し上げると、雇調金を活用した休業中に、仮に労働者が職探しをしたとしても、そのことを理由に助成金の返還を求めることは通常はないと考えているところです。一方で、雇調金を活用して雇用の維持を図ろうとしている事業主の方々にとっては、やはり労働者との雇用関係を継続しようとしているのだろうと思いますので、要は、どれくらい表立って職探しをすることを勧めていけるかというのは、様々な御議論があろうかと思っております。

 いずれにしても、ハローワークでも在職者を含めて休職者の方々にはサポートをしっかりやっているというところですので、そこは引き続きしっかりやっていくということではないかと考えております。以上です。

○太田委員 ありがとうございます。結構です。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。森下委員、お願いいたします。

○森下委員 大変お世話になります。今回の延長については、大変有り難いと思っておりますが、先ほど、杉崎委員、池田委員からもお話がありましたように、もし可能であれば3月までの延長も考慮いただきたいと考えているところです。なぜなら、今、特に小規模の事業者においては、非常に売上げの回復が厳しい状況となっているお話を伺っております。そういう中で、大企業と違ってホームワークもなかなかできない状況で、こういう中で今、企業側も精一杯の雇用の維持を図っているわけです。

 もし、雇調金が2月末で終了した場合、それ以降の反動が非常にあるのではないかという懸念を持っているところです。先ほど柔軟な対応をされるというお話を伺っておりますが、厚労省におかれましては、是非とも、その辺りも勘案した施策をお願いしたいと思っております。どうもありがとうございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。他に何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、以前からも申し上げているのですが、個人的な意見をお話させていただければと思います。新型コロナウイルスの問題が出てきた当時は、この問題がこれだけ長引くとは我々は余り考えていなかったように思います。ところが、いつ感染が収まるか分からない状況であり、しかも、経済にも大きな影響を与えています。その中で、企業や個人がいろいろな取組をしてきたと思います。

 例えば、今もオンラインで会議をやっておりますが、こういう形で新しい取組をどんどん進めています。今後、1年前と同じ働き方ができているかどうか、1年前と同じ産業構造になっているかどうかというのは、将来のことなのでよく分かりませんが、今後は、1年前と比べれば相当変わっているのではないかと思います。そういう中で、もしかしたら、ずっと休業を続けていき産業構造の変化に対応できなくなるというおそれもあるかもしれません。

 今は、DXや新しいカーボンニュートラルな産業を目指すなど、新しい方向性も出てきております。一方で、休業をずっと続けるよりも、失業なき労働移動を進めていくということも必要なのではないかと思います。

 皆さんから雇用調整助成金の延長を3月以降も求めるという声が聞かれますが、またその段階で議論を行えばいいかと思います。一方で、産業構造の変化に応じて、失業なき労働移動を進めていくというところも考えていく必要があるという意見もあるということです。今のところ、私は個人的にそのように考えております。短期的であれば元の世界に戻って休業の効果は十分あると思いますが、元の世界に戻らない場合、むしろ休業ではなくて失業なき労働移動を進めていくという方向性も重視したほうがいいのではないかと思います。そういうことで、いろいろな意見があるのは当然です。杉崎委員から、何か御発言はございますか。

○杉崎委員 阿部分科会長の御発言が終わりましたら、一言申し上げたいと思います。

○阿部分科会長 今、終わりましたので、お願いいたします。

○杉崎委員 阿部分科会長の御指摘は、正にそのとおりです。新型コロナが、いつ収束するのかが見通せない中で、働き方の変化や産業構造の変化が予見されるということを踏まえると、失業なき労働移動に資する政策を同時並行で進めていくのは極めて重要であるかと思います。

 一方で、足元の状況ですが、中小企業からは「雇調金がなかったら雇用は維持できなかった。非常に有り難い」という声が会議所にたくさん寄せられているのも事実です。特にインバウンド関連、小売、サービス関連など、今回特に打撃を受けた業界の企業からはそういう声が聞かれております。したがって、先ほど地域、特に業況が厳しい企業はどういう根拠や情報、指標で判断していくのかということについて質問させていただきました。そういう情報については、幅広くタイムリーに、厚生労働省から情報を発信していただくことが企業の不安感を排除することにつながるかと思いますので、情報の発信と、失業なき労働移動の施策を是非お願いしたいと思います。ありがとうございました。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。では、玄田委員、お願いいたします。

○玄田委員 今の関連で1つだけ申し上げたいと思います。今日たくさん貴重な御意見を伺い、実際の厳しさを大変よく認識いたしました。ただ、若干気になるのは、そういう声があるという御発言に対して、そういう重要性を理解すると同時に、その声はどこの代表性を持っているのかということについては、率直に言って十分理解できなかった面がございます。各業界で様々な声があるのは当然だと理解しております。

 一方で、声と同時に、データも同じぐらい重要であると認識しております。2020年4月の休業者数は現数値で574万人ですが、今日発表の11月に関しては170万人台ということで完全に感染の拡大の前の状況に戻っています。もし、そういう大変厳しい声が全体から寄せられているようであれば、もっと休業者数が多くてもおかしくはないのではないかという印象すら持つわけです。今後の対策として、2月以降をどのように考えるのかというのは、阿部分科会長がおっしゃったとおりで総合的に考えていくべきだと思いますが、声の把握と同時にデータの把握を照らし合わせて、その中でみんなが合意できるような判断を今後とも考えていっていただきたいと思っております。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。ただいまから、報告文案を表示いたしますので御確認ください。

(報告文案表示)

○阿部分科会長 ただいま表示されている報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。では、次の議題に移ります。次の議題は、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。こちらは1211日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、同日行われた雇用保険部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について事務局より説明をお願いします。

○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。資料2-1、資料2-2は、今申し上げたように、いわゆる休業支援金関連の省令改正案です。内容につきましては、資料1の2ページを御覧いただければと思います。要綱の形で整理しております。新型コロナウイルス感染症対応休業支援金につきまして、休業の期限を2月28日まで延長するという内容です。背景につきましては、今しがた御議論いただいた雇用調整助成金の特例措置の考え方を踏襲した形となっております。すなわち経済対策等におきまして、雇調金の特例措置等については現行措置を来年2月末まで延長の上、3月以降は段階的に縮減するということを基本の想定とするという整理の中で、このような措置を講じさせていただければというものでございます。

 なお、考え方としては、雇調金の特例措置の今後の有り様に添って整理をしているところですが、新型コロナ対応休業支援金の特有の状況について、この場を借りて御報告申し上げたいと思います。休業支援金につきましては、雇用保険被保険者と、雇用保険被保険者以外の両方に支給するもので、それぞれ休業手当が受けられない中小企業の労働者を対象としているものでございます。雇用保険被保険者に対する休業支援金と呼んでおりますが、こちらは雇調金と同じようなルールで、いわゆる8,370円を越える部分については一般財源、それ以外の部分については雇用保険二事業で賄っているところです。休業給付金は、雇用保険被保険者以外を対象としたものですが、こちらに関しましては全額一般財源です。両者を比較いたしますと、休業支援金は雇用保険被保険者が対象ですが、おおむね支給の件数が20万件程度です。一方で、雇用保険以外の方の給付金は、支給の件数が50万件近くになっており、支給決定ベースで言うと、2対5ぐらいの割合で雇用保険被保険者以外の方が使われている状況です。

 それから、もう1つは、この1件当たりの日数につきましてそれぞれ整理をしているところですが、おおむね大体1件当たり20日ぐらいの日数分について、これらの給付金が支払われていることです。この制度は30日をマックスとして、就労があった日数を差し引いて支給する仕組みになっておりますので、これら休業支援金・給付金に関しましては、一定の就労があって一定の給料がある方々が比較的多く使われていて、いわゆる1か月フルに休んでいらっしゃる方の割合はそれほど多くないという状況です。すなわち、この休業支援金・給付金につきましては、つまり雇用保険に入っていない方々、典型的にはアルバイトの方で週所定労働時間が20時間未満の方、あるいは学生の方に多く使われている傾向にあり、そういった方が1か月間フルに休む形ではない形態が多いのではないかと認識しております。その意味で、いわゆる休業としてメインで想定している雇用保険被保険者に、この休業支援金がそれほど使われていないという状況です。この雇用保険被保険者に関しましては恐らく、これは推測でしかございませんが、雇用調整助成金のほうを積極的に活用されているのではないかという推測が成り立つところです。雇用保険被保険者以外の給付金のほうを活用されている事情がそれを裏付けるものになってきているのではないかと思っているところです。

 以上、簡単に背景を申し上げましたが、これらの措置につきまして、繰り返しになりますが、2か月間、228日までの延長について御議論いただければと思います。先ほどの分科会長からお話がありましたとおり、雇用保険部会では御議論いただき、1211日付けで、「おおむね妥当」という形でおまとめいただいているところです。以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件につきまして御質問、御意見がございましたら「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。では、仁平委員お願いいたします。

○仁平委員 ありがとうございます。連合の仁平です。本来であれば休業手当の支給と共に、雇調金が活用されるべきだと思いますが、依然として応急的な対応が必要な現状であると思いますので、今回の期間の延長は適切であると考えております。その上で1点質問ですが、3月以降についても、休業支援金について、先ほど雇調金の特例とセットで考えてはどうかという御説明であったかと思いますが、現段階において、どのような選択肢を想定しているのか、お考えがあればお伺いしたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 それでは御質問ですので、事務局お願いいたします。

○雇用保険課長 休業支援金につきましても、雇調金の特例措置と同じく経済対策で整理されていることになっております。なお経済対策上の文言では、「特例措置等」と書いております。この「等」の部分に、休業支援金が入っているという整理です。3月以降については段階的に縮減していく方向性の中で、先ほど申し上げたような、いわゆる地域、状況等についての特例という形で、おおまかな整理に関しては休業支援金の有り様についても同様の考え方で考えているところです。

 段階的な縮減の対応につきましては、逆に特例措置がどのような形で発展していったかという部分で、大きく言うと、いわゆる上限額の部分や被保険者以外の部分に対して広げていくこともありますし、休業支援金自体、雇調金と違い、もともとない制度ですので、制度自体が特例であるという位置付けとなっているところです。その意味で、段階的に縮減していく中で、どのようなやり方を考えるかは今後の議論かとは思っておりますが、基本的な考え方は雇調金と同様の枠組の中で考えていくことになるのかなと思っているところです。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○仁平委員 はい、ありがとうございます。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特によろしいですか。それでは、特にないようでしたら当分科会は、厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。

(報告文案表示)

〇阿部分科会長 ただいま表示されております報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

〇阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきたいと思います。次の議題に移りたいと思います。次の議題は「その他」となっております。事務局からお願いいたします。

○雇用政策課長 雇用政策課長でございます。私から、雇用政策研究会の報告書が取りまとめられましたので御報告いたします。資料は、当日配布資料の1から3となりますが、説明は資料1の概要で行いたいと思います。1ページ目ですが、雇用政策研究会の開催趣旨です。今回は、新型コロナが雇用・失業情勢や働き方に及ぼす影響について分析し、アフターコロナを見据えた雇用政策の方向性について議論されております。阿部分科会長、玄田委員にも御参画いただき、10月から検討を開始し、4回にわたり集中的に開催し、今月21日に取りまとめられ、昨日公表されております。

 2ページ目からが、報告書の内容でございます。まず冒頭に、今後の雇用政策を実施するに当たっての基本的視点として、コロナ禍では、感染状況の動向等に敏感に影響を受け、社会経済活動のレベルが変動し、「短期的におおきな局面変化」は持続することが予想され、雇用・失業情勢への影響を適切に分析・把握し、機動的かつ効果的な雇用政策を実施していくことが求められる。また、アフターコロナを見据えて、人材の有効活用、ウェル・ビーイングの向上につながる構造的変化に向かっての政策展開が必要であることを指摘されております。

 具体的な内容につきましては、かい摘んで御説明いたします。左側ですが、コロナの長期化の下での女性への影響とミスマッチの拡大等として休業の長期化に伴って労働者のモチベーションや生産性が低下することの懸念があること、女性の非正規雇用労働者に強い影響が生じていること、更にはミスマッチも拡大していることなどを指摘しています。右側ですが、政策の具体的な方向性として、新型コロナウイルス感染症禍における労働市場のセーフティーネット機能の強化として雇用維持への支援に加えて、休業中の教育訓練への支援や在籍出向等の支援が重要であること、女性への手厚い就職支援や、そのニーズも踏まえた求人開拓等が重要であること、「日本版O-NET」等も活用しながらキャリアコンサルティング、訓練、就職支援により労働移動を支援していくこと等を指摘されております。

 また左側に戻っていただき、就職内定率の低下と、就職氷河期世代への影響を指摘しております。右側の政策の方向性としては、新たな就職氷河期を生むことのないような取組を進めること、就職氷河期世代の方々には継続的な支援を着実に実施することを指摘されております。

 更にコロナ禍においては、社会経済活動の様々な場面においてデジタル技術の活用が加速化しており、それが可逆な動きであるとの認識の下、その対応も盛り込まれております。左側に、財・サービスの変化と業務のデジタル化に対応する必要性を指摘しており、右側の政策の方向性として、能力開発の機会の提供や、リスキリングのできる仕組みを充実することを指摘しております。

 3ページです。左側ですが、新型コロナによる就職活動や企業ニーズの変化として、感染拡大防止の観点から、求職活動を不本意に控えている可能性があること、デジタル技術を活用したサービス向上の可能性があること、企業において人材確保・育成や生産性の把握・向上の課題があること、デジタル技術を活用した機動的な雇用政策の実施は必要であることを指摘しております。右側の政策の方向性としては、雇用政策のデジタル化としてハローワークにおけるサービスのオンライン化に加えて、対面型支援とデジタル技術を活用した支援の組み合わせによる極め細やかな支援、労働市場の変化や働き方の多様化を踏まえた企業へのサービス・向上等を指摘しております。

 また左側に戻って、4月、5月の緊急事態宣言下で、テレワークが急速に拡大いたしましたが、出勤勤務に戻る動きもあることを指摘した上で、右側の政策の方向性としては、中長期的に多様な働き方を推進していく観点から、必要に応じてテレワーク等のデジタル技術を活用した働き方が活用できるように環境整備を進めることが重要であること。今回テレワークを実施して明らかになった課題について、ガイドラインの改訂に取り組んだり、労使で話し合うことが重要であること等を指摘されております。

 最後に、「今後留意すべき動向」として、4点上げております。1点目は、今後の賃金動向です。フリーランスも含めた収入損失の懸念について注視していく必要があること。2点目ですが、働き方の違いによるウェル・ビーイングの動向ということで、テレワークなどの時間や場所を有効に活用できる働き方が拡大する一方で、エッセンシャルワーカー等の働き方もあり、多様化が進展していく中で、違いによるウェル・ビーイングの変化にも注目する必要があること。3点目は、地域の雇用・失業情勢の動向ということで、コロナの影響は地域により様々ですので、地域の社会経済活動を支える基盤や雇用の受皿となっている企業や産業に対する対応や地方移住の動向等にも注目する必要があること。4点目が、今後の雇用・失業情勢や賃金等の分析ということで、今後も短期的な局面変化が続くことが懸念される中で、雇用・失業情勢や賃金等への影響の範囲や内容も変化することや、同じ属性内でもばらつきが生じてくる可能性がありますので、それを注意深く分析・把握すること等を指摘されております。報告は以上でございます。

○阿部分科会長 では、続いてお願いします。

○総務課長 総務課長のナカガイでございます。私からは、2点御報告いたします。1点目は、当日配布資料4をお開きください。今日は何度か御発言にも出ていましたが、雇用対策パッケージについて私から御説明いたします。コロナ禍の雇用対策につきましては、今日も御議論いただきましたように、雇調金の特例措置でやってきたわけですが、コロナ感染症がリーマンショックのような一時のショックではなくて、足下でも感染拡大が続いており、長期化する要素も見せてきておりますので、休業が長期化することによる労働者のモチベーションや生産性の低下、先ほど御議論が出ましたように、産業構造変化への対応も必要になってきております。今ほど雇用政策課長からも御説明がありましたが、それと共に、今回のコロナ禍での特徴といたしましては、宿泊、飲食あるいは小売り等の、もともと女性のパートやアルバイトが就業比率の高い産業で、需要のデータによると非正規雇用の長期者等が増加しております。

 こうした話題に対応すべく資料1枚目にありますように、ウィズ・ポストコロナ時代を見据えた雇用対策パッケージとして提示公表し、今年度の第3次補正予算と来年の通し予算を合わせて、15か月予算として2.5兆円の雇用対策パッケージを策定しております。1番目の柱は、在籍型出向制度の活用による雇用維持への支援、0.1兆円です。こちらについては出向元と出向先の双方の企業に新たな助成制度として、産業雇用安定助成金を590億ほど計上しておりますが、それを創設し、あとが各都道府県単位において、労使の方や県庁の方、あるいは地銀・信金等の方々が有する受入れ企業の情報を協議会で集約し、産業雇用安定センターによる地域における在籍出向のマッチング強化を図ってまいります。

 2番目は、離職者が出た場合において、なるべく早期に再就職支援をする観点から、0.3兆円を計上しております。1点目の足下におきましても、医療介護等の人手不足分野がありますので、それらのマッチング支援の強化や、あるいはコロナ禍で離職された方について3か月間の試行的に雇用する事業主への支援の創設、あるいは都道府県の支援として業種・職種を越えた転換を伴う再就職を促進する支援、あるいは女性への対策として非正規や子育て中の女性等の休職者の特性に応じた支援の強化等を盛り込んでおります。3つ目の柱は、今日の御議論にもありましたように、雇調金による雇用維持の取組支援の強化については、2.1兆円を計上し、引き続きやっていくものです。

 2ページ以降につきましては、それぞれのメニューを詳しくポンチ絵で示しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。

 最後に、もう1点、口頭での説明となります。前回、持回りにて御審議いただきましたが、押印を求める手続きの見直しについて、この審議会の中でも改めて御報告させていただきます。本件につきましては、1119日付けで、大臣より労働政策審議会宛てに諮問があり、1120日付けで「妥当である」と答申を頂きました。本省令につきましては、本日、施行されたところでございます。答申に際しましては、労働側代表の方に御意見を頂いており、押印の見直しにより今後トラブルが増える懸念もありますので、そういったトラブルを低減する観点から、現場の労働局として、これまで以上に確認強化をするということについて、本省から局長通知等を発出し、その通知等についても審議会の場で提出してほしいという意見を頂いておりますので、これらにつきましては、次回の安定分科会において御報告させていただきたいと思っております。以上でございます。

○阿部分科会長 3点、御報告いただきましたが、何か委員の皆様から御発言はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、予定されている議題は以上で終了いたしました。本日の分科会は、これで終了したいと思います。なお、本日、労働政策審議会運営規程が改正され、議事録の署名が廃止されることになりました。したがいまして、本分科会より議事録署名委員の署名は行わないことにいたします。本日は、お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。以上で終了させていただきます。